JP2004522008A - 二酸化塩素漂白で形成された有機結合塩素の低減 - Google Patents

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Abstract

本発明はクラフトパルプの漂白の改良に関する。ECF漂白においては、二酸化塩素は或る漂白プロセスの位置で好ましい漂白薬剤であることが最も多い。二酸化塩素使用の欠点はAOXの形で有機結合した塩素即ち流出液中の有機結合塩素及び/又はOCl即ち製造したパルプ中の有機結合塩素が残留量で得られることである。通常の解決方式は二酸化塩素の装填量を減少させることであった。
本発明によると、二酸化塩素段階の処理条件が91℃以上に昇温されしかも90分以上に延長されたならば、AOX濃度の実質的な低減が達成し得る。OClを対応的に増大することなく50%までのAOXの主要な低減が示される。塩素化した物質は、AOXとして流出液中に放出されるかまたはOClとしてパルプに結合される代りに、処理条件によって無害な塩素イオンに分解される。

Description

【0001】
(発明の分野)
本発明は、クラフトパルプの二酸化塩素漂白における塩素化した有機物の形成に関し、パルプ中の有機結合塩素(organically bound chlorine)(OCl)の量を如何に低減させるか及び/又は廃水中の有機結合塩素化合物(例えばAOX又はTOClとして測定した)の量を如何に低減させるかに関する。
【0002】
(発明の背景)
これまで知られている最も有効で安価な漂白薬剤は元素態塩素であり、その使用は世界の大部分で最近十年間中に目的となった。この発展の駆動力は市場の要求としてあるいは政府によって規定される環境基準としてあるいはこれら2つの組合せとして表わされる環境上の力であった。元素態塩素の使用に関連してマイナスの環境上の衝撃は主として、塩素化有機構造体が形成されることである。
【0003】
酸素での脱リグニン系の大量導入に続いて、次後の漂白で必要とされる作業は有意な程に減少でき、ECF概念(元素態塩素無含有)即ち何らの元素態塩素又は次亜塩素酸塩を用いない漂白が導入された。元素態塩素の代りに通常用いる薬剤は二酸化塩素であり、これは例えば抽出物を除去するその優れた能力により、パルプの最終的な白色化を得るために且つ良好な清浄化を得るために用いられていた。
【0004】
例えば塩素漂白で形成された塩素化構造体は、漂白流出液中に見出される時はAOX(吸着性の有機ハロゲン化合物)及びパルプ中に固着した時はOCl(有機結合塩素)と表わされる。AOXとOClとの両方の量はECF漂白への転化により大幅に低減されるが、零のレベルには到達せず、実際上有意な量のOClがECF漂白したパルプ中に尚見出され、有意な量のAOXが二酸化塩素段階からの流出液中に見出される。
【0005】
これらのレベルはTCF(完全塩素無含有)漂白操作から生ずるレベルよりもまた有意な程に高い。これは、二酸化塩素がパルプ中のリグニンと反応する時塩素と平衡している次亜塩素酸が形成され、これらの両方共塩素化剤として作用し得るという事実に因る。また、工場の現場(mill site)で二酸化塩素を製造する間に、若干の元素態塩素が典型的には1〜4%の程度で、最も多くは5%以下で製造され、かかる元素態塩素は全て用いた二酸化塩素形成プロセスの型式に応じて決まる。
【0006】
流出液中のAOXを考慮すると、製造したパルプ1トン当りの排出物はECF漂白に切換えた時には有意な程に減少するけれども、工場は同時にまた成長し、特定の容器への全AOX装填量はずっと変化しなかったことを意味し、未だ潜在的な問題を成していることに留意するのが重要である。図1においては、生産容量が増大したことに因り、BDtパルプ当りのAOXレベルが経時的に減少したとしても、流出液中のAOXの全量が如何に一定であり得るかを示している。
【0007】
ECF系列で二酸化塩素を用いて漂白されたパルプはそのOCl含量に因り尚容易に識別され、かかるOCl含量は或る紙製品で又は或る市場で該パルプを用いるのを妨害する。市場用のパルプを製造する若干の工場では、これは重大な事実である。何故ならば、或る顧客は高含量のOClパルプには興味を示さないことを意味するからである。
【0008】
種々の理由のため、TCF漂白への実質的な転化はこれまで生起しなかったので、ECF漂白においてOClおよびAOX問題を解決する革新的な様式に開かれた領域が残っている。
【0009】
二酸化塩素の全装填量を低減させる明らかな様式は若干の場合には、D−段階でかなり少量の装填量の二酸化塩素を用いることに乗り出すことであり、これは「ECF−軽質(light)」概念と呼ばれることが多く、1以下の活性塩素/二酸化塩素の装填率(charge factor of active chlorine as chlorine dioxide)であることが多い。
【0010】
Tappiのパルプ会議(1989)では、2つの論文が呈示され、AOX問題への解決策が呈示された。活性塩素/二酸化塩素の低い装填率(即ちカッパー価)を用いることによりD−段階(又はC−段階又はC/D段階)における脱リグニン化の低下はAOXを減少させる方法として識別され、D−段階での低い脱リグニン化作用の代償は他段階での高い装填率によって成される。「低いAOX、可能性及び結果」なる標題の1つの論文(pp 427〜436)はJ. Basta, L. Holtinger, J. Hook及びP. Lundgrenによって提示され、「短系列漂白の環境上の見地(Environmental Aspects of Short−Sequence Bleaching)」なる標題の別の論文(pp 527〜537)はDegussa社からのH. Suss, W. Eul, N. Nimmerfroh及びJ. Meierによって提示される。AOX低減がECF漂白の目的である時、これらの論文の主たる解決方法は、高い装填分の過酸化水素を犠牲にして二酸化塩素の使用を減少させるものである。
【0011】
この解決方式は欧州特許第500813号に示され、そこでは2.0以下の活性塩素/二酸化塩素の装填率がD0段階(即ち多数の系列D−E−D…等における第1のD−段階)で用いられ、次のP−段階(P=過酸化物)は乾燥パルプの1トン当り少なくとも3.0kgの過酸化水素を用い、次の複数D−段階での二酸化塩素装填量はD0段階で用いた装填量よりも少ないか又はこれに等しく即ちD0段階の装填量の20〜100%である。
【0012】
この解決方式に加えて、低いpH値で続いてアルカリ性条件にまでpH上昇で短期反応により第1の二酸化塩素段階はpH分布していることが提案された(Ljunggren, S., Bergnor, E., 及びKolar, J. (1994)の「改良した現代のClO漂白」、国際パルプ漂白会議(IPBC)、カナダ、Vol. 1 pp 169〜176及びLjunggren, S., Bergnor−Gidnert, E. 及びKolar, J. (1996)の「2工程の低位乃至高位pH分布を有する二酸化塩素漂白」Tappi J. 79; 12, pp. 152〜160)。
【0013】
この解決方式はウルチム(Ultim)−O方法(D0段階とE段階との間で洗浄なし)と多数の類似性がある。この解決方式は実際上AOX排出物を有意な程に低減させ得たけれども、OCl含量は余り影響されておらず、最も重要なことには大幅に上昇したアルカリ性の必要性がこれを余り魅力的なものとしていない。
【0014】
最近、還元性のアルカリ後処理がパルプのOCl含量を有意に低減させる方法として提案されている(Ljunggren, S., Johansson, E. 及びPettersson, B.(1998)の「ODEDD漂白したクラフトパルプの脱塩素化」、リグノセルロース及びパルプについての第5回欧州工場(EWLP)、ポルトガルpp.437〜440参照)。これはアルカリ抽出が明らかにOClの除去にきわめて有効な方法であるという周知の事実を利用する幾分洗練された方法である。
【0015】
有効ではあるけれども、パルプのかかる後処理は追加の洗浄装置と追加の漂白塔との両方を必要とし、この解決方式を工場での実施には余り魅力的でないものとさせる。
【0016】
二酸化塩素段階での改良は幾つかの目的のため成されている。Lachenal, D及びChirat, C. によって提示された論文(1998)「高温での二酸化塩素脱リグニン化」(硬材クラフトパルプのECF漂白における改善、パルプ会議、米国、Vol.2, pp601〜604)においては、慣用のD−段階の改良が示唆されている。D−段階をより有効とさせる目的でしかも二酸化塩素の装填量を低減させる目的で、慣用の45℃でのD−段階を、長い滞留時間(1.5〜4時間)を有する高温(90〜100℃)のD−段階に変更することが提案された。同じ改良を達成する別の変更が提案されており、そこでは二酸化塩素を消費したD−段階後に、D−段階の「出口」で代りに高温を実施し、このプロセス位置の間は、高温はD−段階における二酸化塩素の分解プロセスに影響し得ない。この論文はまた塩素漂白から二酸化塩素漂白への変更はAOXの問題を解決することを示している。
【0017】
(発明の開示)
本発明の主たる目的は、二酸化塩素段階から出て行く塩素化有機物の全量を低減するものであり、特にAOX及びOClの全量を低減するものであり、そこではAOXレベルの少なくとも実質的な低減が達成され、しかもこれは「ECF軽質」よりも高い装填量の二酸化塩素で二酸化塩素段階を操作し得るものである。
【0018】
本発明の別の目的は、漂白系列の第1の二酸化塩素段階で二酸化塩素からの脱リグニン化作用を全部利用するならば、パルプ漂白の全操作経費を低く保持できることであり、これによってkg当り又は漂白効果当りの経費で別のより高価な漂白薬剤の装填量を低い値に保持できる。
【0019】
本発明の別の目的は、高温で長時間操業した最初の二酸化塩素段階が、恐らくは該段階で生成した塩素化構造体の強制分解によって、約50%だけAOXの全排出量を低減させる有効な手段であることを示すことである。所与の全二酸化塩素装填量で約50%だけAOXのこの高い低減は、慣用の条件で即ち約60〜70℃で20〜60分間最初の二酸化塩素段階の操作と対比される。
【0020】
更には、最終的なD−段階にスルファミド酸を別量で添加することは、漂白したパルプ、好ましくはECF漂白したパルプのOCl含量を実質的に低減させながら、AOX及びOClの全量を低減させる有効な手段として呈示される。何故ならば、スルファミド酸はその場で生成した元素態塩素を捕捉するからである。最終のD−段階で約50%にもなる実質的な前記の低減は、二酸化塩素の同様な装填量で操作されるものである。
【0021】
本発明は、二酸化塩素の使用を必らずしも低減させることなくしかも尚同じ最終的な白色度に達しなから、OClの起源及びこれを低減させる仕方に基づく。ECF−漂白したパルプ中にOClが分布すると重大な役割を演じるものである。
【0022】
AOXとOClとの間の対応を理解するのが重要である。図2において、パルプ中の塩素化物質の3種の主要で可能な真正物を要約する。塩素化に続いて、かくして3種の別種物質が存在し、塩素化構造体は最終的に得られるパルプに付着してOClとなり、あるいは塩素化構造体は次後の漂白段階中に放出されてAOXとなり、あるいは塩素原子が無害な塩素イオンを形成するように塩素化構造体は置換/分解される。
【0023】
それ故、例えば或る二酸化塩素装填量で高いAOX排出量がパルプ中の低いOCl含量を意味すると判明するようにAOXとOClとの間に直接的な対応はないことに留意するのが重要である。
【0024】
5−段階系列の試験
一連の試験において、29.6kgのCl/BDtの全二酸化塩素装填量を用いながらDEDEDの標準のECF漂白系列を用いて、第2列の試験からの酸素で脱リグニンした硬材(HW)クラフトパルプ(カッパー値9.8)を全白色度(ISOの89%以上)にまで漂白した。19.6kgのCl/BDtをD0段階で用い、5kgのCl/BDtをD1及びD2段階の各々で用いた。D0段階における活性塩素/二酸化塩素の装填率は(19.6/9.8=)2.0に等しい。この標準系列を3個の変更した系列、D*EDED、DEDE(SD)及びD*EDE(SD)と比較した。
【0025】
D*は高温(90℃)及び長時間(120分)で操業したD−段階を表わす。「S」はスルファミド酸の存在を示す。E段階は前記の如く実施した。D1及びD2段階は75℃で120分間実施した。
【0026】
一般的方法
カッパー価、粘度及びISO白色度はそれぞれのSCAN標準規格を用いて分析した。更に、SCAN標準規格のCM52:94「パルプ、紙及び板紙−有機塩素」を用いて、種々の段階後のパルプ中のOCl含量を測定した。
【0027】
全ての漂白実験はプラスチックバッグ中で10%のパルプ濃度で行ない、強度の混練後に該バッグを加熱水浴中に配置した。スルファミド酸の装填量は活性塩素の装填量よりもモル基準で幾分高くあるべきであり、この研究では、1.0ミリモルのスルファミド酸/BDtを意味する。
【0028】
スルファミド酸の添加が成される段階においては、活性塩素の装填量を増大させて、二酸化塩素の塩素イオンへの還元が元素態イオンのレベルで破壊される時の段階の酸化能力の減少を相殺する。二酸化塩素の酸化能力はスルファミド酸の存在下では20%だけ減少し、スルファミド酸は中間で生成した元素態イオンを捕捉し、次後の反応様式はスルファミド酸と共に且つこれなしに展開する。
【0029】
Figure 2004522008
実際に、これはスルファミド酸の存在下に二酸化塩素漂白を用いる時には5個の電子のうち4個の電子が用いられることを意味し、かくしてかかる段階への活性塩素の装填量は25%だけ増大する。この様にして、全てのパルプは「活性な」有効塩素の同一の装填量を受ける。
【0030】
低含量の OCl パルプを得る方法と AOX 排出量を低減する方法
硬材(HW)工場の酸素脱リグニン化したクラフトパルプについて5段階漂白研究の結果を次の表1に示す。
【0031】
Figure 2004522008
前記の結果から、第1の漂白段階としてDの代りにD*を用いるとAOX排出量を約50%も低減させ得ることは明白である。この結果は二酸化塩素の同一の全装填量を用いる系列を比較する時に得られることに注目すべきである。AOXのこの低減に加えて、D*の二酸化塩素節約効果(例えばLachenal, D及びChirat,C (1998)の高温二酸化塩素脱リグニン化;硬化クラフトパルプのECF漂白における改善、パルプ会議、米国Vol.2 ; 601〜604頁によって認められる如く)を考慮した時には、該数値は更に低減させることができ、ここでは代りにより高い最終白色度として記録される。
【0032】
この発見は全く予期せぬものである。AOX濃度が減少を経験したならばその時はOClは同様な程度だけ増大するであろうと予期するものである。然しながら、発見が示す処によれば、AOX濃度はOClの同様な程度の増大なしに減少するものである。
【0033】
前記結果の解釈は塩素化が余り行われないかあるいは慣用のD−段階におけるよりもD*−段階でAOXが余り形成されないことであるべきでない。反対に、D*段階の苛酷な条件下では、該段階で生成されるAOXの実質的な部分が例えば無害な塩素イオンに更に分解されると想到するのが適当と思われる。この認識に留意すると、D*を(AD)と対比するのが興味あるものであり、ここでAは英国特許第1,062,734号のような概念により長期間高温の酸処理例えば90〜100℃で120分間実施される。英国特許第1,062,734号においてはpH2.25、温度100℃、期間120分でのこの酸処理は白色度の逆転を低減するために実施される。一番端のA−段階に続いて中間の洗浄なしに約60℃で慣用のD0−段階を行なう。D*と一致して、(AD)方式は特にHWクラフトパルプの漂白に二酸化塩素の全必要量を減少させる能力を与えるが、D*はこの点に関してより大きな能力を有することが示された。然しながら、D*と正反対に、(AD)方式は提示したメカニズムによりAOXの低減を何ら可能とさせるものではない。理論上、D*は勿論漂白系列における多数のD−段階に拘らず漂白系列の任意の位置で利用し得る。然しながら、一般には、該段階の利点は主としてD0位置で即ち二酸化塩素を用いる第1の段階でその利用を動機付けることが多い。
【0034】
最終のD−段階でスルファミド酸が存在するとパルプのOCl含量を低減させる有効な手段であることは表1の結果からも明らかである。図3に示したOCl図形に留意すると、スルファミド酸の最低装填量に対する最大の効果は、スルファミド酸の添加を最後のD−段階で行なう時に得られることが容易に結論されるが、勿論より大きな効果は全てのD−段階でスルファミド酸を用いて得られる。スルファミド酸は既に今日例えば操業停止時の機械のスケール除去にパルプ工場で普通用いられるけれども、低いOCl含量のパルプを得るために連続漂白法でのその使用は新規である。スルファミド酸が二酸化塩素段階での二酸化塩素の消費中に存在するように、スルファミド酸の添加は二酸化塩素段階での漂白プロセス中に連続的な要領で成されるべきである。スルファミド酸は二酸化塩素混合機での二酸化塩素の添加前に、添加後に又は添加中にパルプに添加できる。
【0035】
(SD)段階における二酸化塩素装填量は、スルファミド酸により元素態塩素の捕捉に因る失われた酸化力の減損を相殺するために約15〜30%だけ、典型的には25%だけ増大させねばならないように添加すべきである。然しながら、D2の位置で又は最終のD−段階で用いる時は、これはこの最終段階での二酸化塩素に対してきわめて温和な追加必要量を意味する。
【0036】
2つの概念D*及び(SD)はまた同じ系列で利用でき、かくして表1に示す如くAOX排出量を低く保持するのと同時に低いOCl含量を有するパルプを製造できる。
【0037】
D0位置で慣用のD−段階の代りにD*段階を用いることによりDEDED系列の全AOX排出量の50%低減が得られると結論される。
【0038】
最後のD−段階を、(SD)段階でのスルファミド酸添加操作に変更することによりOCl含量に抵抗することができOCl含量を現存する漂白系列でさえ約50%低減させ得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】
パルプのBDt当りのAOX濃度の経時変化を示す図表である。
【図2】
パルプに結合した塩素化有機構造体の3種の塩素化物質を示す図である。
【図3】
パルプ中のOCl含量の経時変化を示す図表である。

Claims (11)

  1. 若干の漂白段階を用いてクラフトパルプの二酸化塩素漂白で形成された有機結合塩素の量を低減する方法であって、漂白段階の少なくとも1つは漂白薬剤として二酸化塩素を用いる漂白段階であり、前記の漂白段階は漂白系列を形成しており、漂白系列中に用いた第1の二酸化塩素漂白段階は0.5以上の装填率を有するものとする、有機結合塩素低減方法において、漂白系列中に用いた第1の二酸化塩素漂白段階は91℃以上の温度でしかも90分以上の滞留時間で操作し、これによって漂白系列からの流出液中に得られるAOX含量は25%以上低減されることを特徴とする有機結合塩素低減方法。
  2. 漂白系列中に用いた第1の二酸化塩素漂白段階は、95℃以上で精々120℃までの温度でしかも90分以上で精々300分までの滞留時間で、好ましくは約200分の滞留時間で操作し、第1の二酸化塩素漂白段階は、該段階の温度に対して少なくとも20%だけ飽和蒸気圧を超える圧力に加圧する請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 第1の二酸化塩素漂白段階における装填率は1.5以上であり、好ましくは1.5〜3.0の範囲である請求の範囲第1項又は第2項記載の方法。
  4. 第1の二酸化塩素漂白段階中のパルプ濃度は中位の稠度範囲にあり、即ち7〜25%である請求の範囲第1項〜第3項の何れかに記載の方法。
  5. 第1の二酸化塩素漂白段階で漂白されるパルプは、第1の二酸化塩素漂白段階で漂白される前に20以下のカッパー価にまで脱リグニン化され、好ましくは15以下のカッパー価にまで脱リグニン化される請求の範囲第1項〜第4項の何れかに記載の方法。
  6. 漂白系列における少なくとも1つの二酸化塩素漂白段階にスルファミド酸を添加し、該スルファミド酸は二酸化塩素漂白段階中で中間に形成した塩素又は次亜塩素酸塩を捕捉して反応プロセスによりクロロスルファミド酸を形成する請求の範囲第5項記載の方法。
  7. スルファミド酸は、漂白系列中の少なくとも1つの二酸化塩素漂白段階に対して、ミリモルの関係に基づいた活性塩素の装入分の量を超える量で添加される請求の範囲第6項記載の方法。
  8. スルファミド酸は、漂白系列中の少なくとも1つの二酸化塩素漂白段階に対して、パルプのBDt当り1.0ミリモルのスルファミド酸を超える量で添加される請求の範囲第6項記載の方法。
  9. 漂白系列に添加したスルファミド酸の全装入分の主要部分即ち全装入分の80%以上、好ましくは100%は最後の二酸化塩素漂白段階に添加される請求の範囲第6項記載の方法。
  10. 最後の二酸化塩素漂白段階は、少なくともD2段階であり、即ち該二酸化塩素段階は少なくともD0段階即ち第1の二酸化塩素段階とD1段階とによって先導されしかも二酸化塩素段階同志の間で抽出段階を有し、従ってD0−E−D1−E−D2漂白系列により行なう請求の範囲第9項記載の方法。
  11. スルファミド酸を添加する段階で用いた二酸化塩素の装入分は、スルファミド酸を添加することなくこの段階で用いた二酸化塩素の装入分と比較すると、少なくとも10%だけ増大し、好ましくは20%増大し、ISO白色度と同じ程度で最終的なパルプ白色度が得られ、即ち最終的なISO白色度で±1%に対応する同じ程度のISO白色度が得られる請求の範囲第8項、第9項又は第10項記載の方法。
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