JP2004521232A - 弁ばね機構 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明は弁ばね機構に関する。本発明は好適な実施例において、内燃機関の入り口弁及び/又は排気弁と共に使用するのに適した弁ばね機構を提供する。本発明の特に好適な応用例では、内燃機関の入り口弁装置及び/又は排気弁装置において、ポペット弁は該弁を一方向に付勢するためのばねを備えている。本発明はこの応用例に限定されることはなく、他の応用例でも場合により使用できる。
【背景技術】
【0002】
殆どの内燃機関は入り口弁及び排気弁としてポペット弁を使用している。ポペット弁は、該弁が閉鎖位置にある時にシートと協働する頭部と、該頭部から機関の燃焼室及びポートの外部位置まで延びる軸とを備えている。頭部から遠い方の弁軸の端部は弁作動機構(例えばオーバーヘッドカム機関のカムシャフト)により作動し弁を開ける。弁の開弁及び閉弁動作の両方を、弁軸と弁作動機構との間の連結手段により行う構成が提案されている。殆どの機関では、弁を閉弁位置に向けて付勢するためにばねを使用し、弁を開く際には、例えばカムにより弁軸に力を与えて弁をばね付勢に抗して移動させている。
【0003】
従来の殆どの機関では、弁ばねは機械コイルばねである。しかし、機械コイルばねは多くの欠点、特に高出力、高速機関において欠点のあることが良く知られている。従って、弁ばね機構の弾性要素が圧縮ガス、一般には圧縮空気というシステムが開発されている。この構成では、弁軸の周囲に固定シリンダを形成し、シリンダ内で作動するピストンを弁軸自身に結合させている。ピストンとシリンダとの間で画成される室へ圧縮ガスを供給し、ピストンに働くガス圧で弁を閉鎖位置に向けて付勢する。関連する開弁機構(一般にはカムシャフトのカム)により弁が作動すると、ピストンが弁軸と共に移動して、ピストンとシリンダとの間に画成された室の容積を減少させ、室内のガスを圧縮する。カムが弁を閉鎖するよう移動すると、ピストンに働く圧縮ガスが弁とカムとの係合を維持する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ばね機構の弾性要素として圧縮ガスを使用することには多くの利点があるが、弁装置の正確な作動は、ばね機構の室内の加圧ガスの存在に決定的に依存するという欠点がある。ガス圧がない場合、重力の影響により弁はその開弁位置まで単に落ちてしまうか(オーバーヘッド弁又はオーバーヘッドカム機関の場合)、又は作動機構により開弁位置まで押圧された後に閉弁位置まで戻らなくなってしまう。これにより、弁は機関のピストンと係合して、機関に大きな損傷を負わせることになる。この問題点は、例えば車両を暫くの間使用しなかった後、他の車両により牽引して機関を始動させる車両用機関の場合、特に深刻である。
【0005】
このような問題を避けるために、弁作動機構のガス室内にばねを設け、ガス室内にガス圧が存在しなくても弁に対するばね付勢を維持することが提案されている。しかし、室内の一部にばねを設けることはガス作動式機構の意義がなくなり、機械弁ばねを不要にすることになる。室内に機械ばねを設けることの欠点を最小限に抑えるために、一般にばねを比較的軽量とし、低い機関速度で弁装置を作動できるようにしている。しかし、それでもばねは弁装置の移動量に影響しており、比較的短い使用期間で破損しやすい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、主弾性要素が圧縮ガスであり、補助作動ばねを備えてなり、上記欠点のない弁ばね機構を提供することである。
【0007】
本発明の第1の側面によれば、弁頭部と弁軸とを有するポペット弁用の弁ばね機構であって、該弁ばね機構は、ピストンとシリンダとを有し、該シリンダは弁軸の一部を包囲し、前記ピストンは前記弁軸上に摺動自在にシールするように取り付けられ、前記ピストンと前記シリンダとで室を画成し、前記弁ばね機構は、室内のガス圧により前記ピストンに生じた力を弁軸に伝達する力伝達手段と、前記室内にガス圧が低下した際に弁を閉じるように弁軸に力を与える弁軸とピストンとに作用するばねとを更に有し、前記室内のガス圧の結果、弁ばね機構の正常な作動の間、前記ばねは圧縮状態を維持するように位置決めされることを特徴とする弁ばね機構が提供される。
【0008】
前記力伝達手段は、前記弁軸に固定された当接部材の当接面と係合する、室内のガス圧により正常に維持された前記ピストンの当接面を備えることが好ましい。前記ばねは、前記弁軸を包囲すると共に、一端が前記ピストンに、他端が前記弁軸に固定されたシート部材に作用するコイル圧縮ばねであるのが好ましい。また前記シート部材は前記弁ばね機構の正常な作動の間、前記ピストンの当接面が当接する当接部材を構成するのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、例示を目的としてのみ記載され、添付図面を参照した以下の好適な実施例からより良く理解されよう。
【0010】
先ず図1を参照し、シート3と協働する頭部2を有するポペット弁1を示す。この弁は内燃機関の入り口弁でも排気弁でも良い。弁1はガイド5内に摺動自在に取り付けられた軸4と、キャップ7の頭部2から遠い方の軸4の端部6に固定されたキャップ7とを更に有する。弁軸を包囲するようにシリンダ8が取り付けられる。ピストン9がシリンダ8内に摺動自在に取り付けられて弁軸に固定される。複数のシール(図示せず)によってピストン9と弁軸4との間にはガスケットが設けられ、ピストン9とシリンダ8の内面との間には摺動シールが設けられる。ピストンとシリンダで室10を画成している。機構の正常の使用時には、入り口11から圧縮空気が供給される。
【0011】
室10内にガス圧がない時に弁を確実に閉弁位置に付勢するために、室10内にばね13が設けられる。ばね13はシリンダのベース14とピストンの下面15との間で作用する。
【0012】
正常の使用時には、適切な手段、例えば圧縮機により室10内にガス圧が維持される。ピストン9の下面11に作用する室10内のガス圧により上方への力が発生し(図1)、この上方への力は弁軸に伝達されて弁をその閉弁位置に付勢する。弁を開く際には、適切な手段(例えばカムシャフト)によりキャップ7に適切な力を与える。この力が弁1を室10内の流体圧の付勢力及びばね13の力に抗して図1の下方向に押圧する。従って、ばね13の意図する目的が室10内にガス圧が低下した際に弁を作動させることだけであっても、ばね13は弁が開くたびに圧縮される。弁の各動作におけるばね13の圧縮の反復は、弁を閉鎖位置に向けて移動させる単独の手段であることが要求される場合に充分な動作を安定して行うことができるように、弁の設計者はばね13をできるだけ軽量にしなければならないことを意味する。ばね13をできるだけ軽量にすると、ばねの強度が低下し、比較的短い使用期間で破損しやすくなる。
【0013】
図2は本発明の実施形態を示す。この実施形態では、弁101は使用時にシート103と協働する頭部102を有する。弁軸104はガイド105内に摺動自在に取り付けられ、頭部から遠い方の弁軸の端部106にキャップ107が設けられている。弁軸104はシリンダ108に包囲されている。シリンダ内にはピストン109が摺動自在に取り付けられ、ピストン109とシリンダ108との間にシール120が設けられている。ピストンとシリンダとで室110を画成している。
【0014】
図1に示す構成と比較して、図2の構成では、ピストン109は弁軸104に摺動自在に取り付けられ、ピストン109と弁軸104との間を気密に保つべく摺動シール121が設けられている。
【0015】
室110の外側に弁ばね113が設けられ、該弁ばね113は適切な手段により弁軸に固定されたシート部材123とピストンの上面122との間で作用する。
【0016】
機関の正常の動作時には、圧縮機等の適切な手段から入り口111を介して室110にガス圧が供給される。
【0017】
図2及び3に示す機関の正常の動作状態では、室110内に充分なガス圧が保持されており、ピストンの当接面124がばねシートの当接面125との係合が保持される。両当接面124及び125が互いに接触している状態で、ばね113は略完全に圧縮されて、動かないか略動かない状態となる。従って、弁が関連する作動機構の手段により作動すると、ピストン109は室110内の圧力により生じた力を当接面124及び125を介して弁軸に作用させ、当接面124及び125は弁のピストンの可能な範囲を通じて互いの接触状態を維持する。図3は弁の完全な開弁状態を示す。全作動状態において、当接面124及び125は互いの接触状態を維持し、従ってばね113は伸びも縮みもしない。そのため、弁装置の正常の動作において補助リング13が繰り返し伸び縮みするという従来の問題点を回避することができる。
【0018】
機関を作動させずに車両を長い間放置した等の理由により室110のガス圧が低下した場合、弁が閉じた時にばね113によりピストン109が図4に示す状態となる。実際にはピストンはシリンダの下面に当接し、ばね113が伸びる。ばね113によりばねシート123に与えられる力は、弁軸104に作用して弁を閉弁構成に保持する。室110内の圧力不足が続いた状態でキャップ107への力により弁が開くと、弁が開いている間ばね113は圧縮され、その後弁が閉じている間、ばねは伸びてキャップ107とそれに関連する駆動機構との係合が保持される。図5は室110内に流体圧がない状態で完全に開いている弁を示している。
【0019】
上記の通り、機関の正常の作動時には、ばね113は単に圧縮状態を維持している。室110内のガス圧が不足しない限り、又は不足するまでばねは伸びない。従って、設計者は機関の正常の作動の間、伸び縮みを繰り返すようばね13を設計しなければならなかった従来技術の制約から解放される。また、正常の使用時に伸び縮みの繰り返しにより生じるばねの破損が回避される。
【0020】
一般に、上記弁装置を備えた機関が一度始動すると、圧縮空気が即座に室110に供給される。従って、機関の始動の最初の瞬間は、ばね113は弁を作動させるだけしか要求されず、室110内に充分なガス圧が蓄積されるとすぐに、構成要素は図2及び3に示す相対的位置に戻り、その後、ばね113は機関の正常の作動の間、圧縮されたままである。
【0021】
上記実施形態では、ピストンから弁に力を伝達するために当接面124及び125が設けられていたが、適切な設計により、ピストンから弁軸に正常の作動力を伝達する力伝達手段としてばね113自身を使用することもできる。ばね113をこの目的で使用するために、機関の正常な作動の間を通じ、ばね113を完全に圧縮する(縮む)よう設計する。従って、ばねはピストン109の上面とばねシート123との間で固形の円筒状圧縮材をして作用する。室110内のガス圧が不足すると、ばねは伸びて図4及び5に示すように上述した通り作用する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来技術の弁ばね作動機構の概略図である。
【図2】閉弁した正常の作動状態にある本発明の好適な実施例による弁ばね機構を示す。
【図3】開弁位置にある弁を示し、図2に対応する図である。
【図4】図2及び3の機構を示す図であるが、室内にガス圧がなく、閉弁した状態の構成要素の構成を示す。
【図5】図4に対応する図であるが、開弁した状態の構成要素の構成を示す。
Claims (5)
- 弁頭部(102)と弁軸(104)とを有するポペット弁(101)用の弁ばね機構であって、該弁ばね機構は、ピストン(109)とシリンダ(108)とを有し、該シリンダ(108)は弁軸(104)の一部を包囲し、前記ピストン(109)は前記弁軸(104)上に摺動自在にシールするように取り付けられ、前記ピストン(109)と前記シリンダ(108)とで室(110)を画成し、前記弁ばね機構は、室(110)内のガス圧により前記ピストン(109)に生じた力を弁軸(104)に伝達する力伝達手段と、前記室(110)内のガス圧が低下した際に弁を閉じるように弁軸に力を与える弁軸とピストン(109)とに作用するばね(113)とを更に有し、前記室(110)内のガス圧の結果、弁ばね機構の正常な作動の間、前記ばね(113)は圧縮状態を維持するように位置決めされることを特徴とする弁ばね機構。
- 前記力伝達手段は、前記弁軸に固定された当接部材の当接面と係合する、室内のガス圧により正常に維持された前記ピストンの当接面を備えることを特徴とする、請求項1に記載の弁ばね機構。
- 前記ばねは、前記弁軸を包囲すると共に、一端が前記ピストンに、他端が前記弁軸に固定されたシート部材に作用するコイル圧縮ばねであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の弁ばね機構。
- 前記シート部材は前記弁ばね機構の正常な作動の間、前記ピストンの当接面が当接する当接部材をも構成することを特徴とする、先行する請求項の内いずれかに記載の弁ばね機構。
- 実質的に添付図面を参照して上記に記載され、かつその添付図面に示される弁ばね機構。
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