JP2004520852A - 皮膚に微細孔を形成する方法 - Google Patents
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Abstract
角質層(210)に孔(600)を形成する方法は、角質層の表面領域に水性材料(123)を塗布し、その後、前記水性材料に音波および/または超音波放射(112)を当てることを含み、前記音波および/または超音波放射が、10KHzから5MHzの範囲内の周波数を有し、かつ角質層の前記表面領域にキャビテーション・バブル(500)を発生させるのに有効な、強度、期間、および角質層の前記表面領域からの距離を隔てて当てられ、キャビテーション・バブルが潰れてそのエネルギーが角質層に伝達され、孔の形成が引き起こされる。水性材料中に溶解した大きいサイズの分子(>500Da)は、治療的使用に適する流量で、これらの孔内を移動し、角質層を横切って、血管に到達する。
Description
【0001】
(関連する同時係属出願の相互参照)
本願は、1999年11月2日に出願されたSONOPORETIC CAUSATION OF MICROPORES IN SKIN FOR TRANSDERMAL DRUG DELIVERY OF LARGE MOLECULESという名称の、米国仮出願第60/163,146号の利益を請求するものであり、その内容を、参照により本明細書に特に組み込む。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、経皮薬物伝達のため皮膚に微細孔を形成するための方法および装置に関し、より詳細には、音波および/または超音波放射を使用して薬物およびその他の高分子量の分子を経皮伝達することに関する。
【0003】
(発明の背景)
薬物の経皮伝達は、経口および注射による方法を含めた従来の伝達方法に優る、いくつかの利点を提供する。経皮伝達は、所定の薬物量を、制御された安定した速度でかつ均一な分布になるように局所領域に伝達し、非侵襲性で、便利であり、痛みが無い。
【0004】
薬物の経皮伝達は、角質層、すなわち皮膚の最外層を通して薬物分子を輸送する必要がある。角質層(SC)は、任意の化学物質が身体に入る際に強固な化学障壁となり、分子量が500Da(ダルトン)未満の小さい分子だけが、治療効果をもたらす速度で皮膚内に抵抗無く拡散することができる。ダルトンは、水素分子と比較した分子量の単位と定義される。
【0005】
500Daよりも大きい分子の経皮伝達を容易にするいくつかの方法が提案されており、イオン導入法、電気穿孔法、エレクトロインコーポレーション、ソノフォレシス、およびケミカル・エンハンサを含めたSCを通した薬物伝達の速度が速くなる。
【0006】
イオン導入法は、U.S.5,224,927に記載されているように、薬物分子を皮膚に送り込むのに低電界を利用する。しかし、イオン導入法はイオン性薬物および分子に限られ、N.G.Turner他のPharm.Research−14、1322〜1331、1997に記載されているように、分子量が約7kDaよりも大きい分子には効果が無い。
【0007】
電気穿孔法およびエレクトロインコーポレーション法は、U.S.5,019,034に記載されるように、皮膚に直接印加される150Vの高電圧電気パルスを利用する。電気パルスは、皮膚に孔を開けるのを助け、したがって、7kDaを超える分子が皮膚に入ることができる。しかし、高電界を使用すると、安全性に関する問題が生じ、複雑な装置が必要である。さらに、薬物は、米国特許第5,688,233号に記載されるように二次的な手段によって孔内に通す必要があり、適用をさらに複雑にする。
【0008】
ソノフォレシス法は、米国特許第5,814,599号および第5,947,921号に記載されるように、超音波を利用し、最大48kDaの分子を伝達できることが示されている。しかし、伝達の速度は極めて遅く、したがって実用的ではなくなる。
【0009】
不飽和脂肪酸や飽和脂肪酸、それらのエステルやテルペンなどのケミカル・エンハンサは、J.R.Kunta他のJ.Pharm.Sci.86、1369〜1373、1997および米国特許第5,947,921号に記載されているように、エストラジオールやテストステロンなど分子量が大きい薬物、および塩基性薬物の塩酸塩などの極性薬物(例えばプロプラノロールHCl)がSCを通る流束を増大させることができる。しかし、ケミカル・エンハンサには処方に関する深刻な問題があり、皮膚刺激を引き起こしかつ経皮パッチを付着させて使用する際にその接着剤に不要な可塑化が生じる可能性があり、その有効性は、薬物のタイプおよびその付着方法に左右される。
【0010】
任意のサイズの薬物分子を速い伝達速度で経皮伝達するための方法を提供することが有利と考えられる。
(発明の概要)
一般に、一態様では、本発明は、角質層に孔を形成する方法であって、角質層の表面領域に水性材料を塗布すること、およびこの水性材料に音波および/または超音波放射を当てることを含む方法を提供する。音波および/または超音波放射は、10KHzから5MHzの範囲の周波数を有し、角質層の表面領域にキャビテーション・バブルを発生させるのに有効な強度、期間、および角質層の表面領域からの距離を隔てて当てられる。キャビテーション・バブルは潰れ、そのバブルのエネルギーが角質層に伝達されて、孔の形成を引き起こす。
【0011】
本発明の実施に際し、以下の特徴の1つまたは複数を含めることができる。音波および/または超音波放射は、20KHzの周波数と、5W/cm2から55W/cm2の強度を有するものでよい。超音波は、角質層の表面積からある距離を隔てて、すなわち1ミリメートル〜10ミリメートルの範囲の距離を隔てて当てることができる。一例では、その距離は4ミリメートルでよい。音波および/または超音波放射は連続的でもパルス状態でもよく、この放射に連続的に曝される場合は約30秒から1分の範囲内の時間、また5%のデューティサイクルでパルス状態の放射に曝される場合は10分から20分の範囲内の時間、当てることができる。孔の直径は、1マイクロメートルから100マイクロメートルの範囲内である。
【0012】
一般に、別の態様では、本発明は、角質層を横切るように分子を輸送する方法であって、分子を含有する水性材料を角質層の表面領域に塗布することを含む方法を特徴とする。音波および/または超音波放射は、10KHzから5MHzの範囲の周波数を有し、角質層の表面領域にキャビテーション・バブルを発生させるのに有効な強度、期間、および角質層の表面領域からの距離を隔てて当てられる。キャビテーション・バブルは潰れ、そのバブルのエネルギーが角質層に伝達されて、孔の形成を引き起こす。音波および/または超音波放射は、超音波ジェットを発生させるのに有効な、強度および角質層からの距離を隔てて当てられ、次いでこの超音波ジェットにより、分子は、角質層全体に形成された孔内を通過する。
【0013】
本発明のこの態様の実施に際し、以下の特徴の1つまたは複数を含めることができる。分子は、18Daから100kDaの範囲内の分子量を有する。分子は、鎮痛薬、麻酔薬、抗生物質、抗凝血剤、解毒剤、抗ヒスタミン剤、種々の抗感染薬、抗炎症性のステロイド系および非ステロイド系、抗腫瘍薬、抗ウイルス薬、食欲抑制剤、生物学的製剤、心・血管作動薬、避妊薬、中枢神経興奮薬、皮膚用製剤、糖尿病治療薬、酵素、消化薬、抗真菌剤、発毛剤、ヘルペス治療薬、ホルモン、免疫抑制薬、虫刺され予防薬、片頭痛治療薬、筋弛緩薬、麻薬拮抗薬、血漿蛋白分画、向精神薬、パーキンソン治療薬、アルツハイマー治療薬、エイズ治療薬、アンチワード、制癌剤、骨粗しょう症治療薬、遺伝物質からなる群から選択される薬物でよい。分子は、ビタミン、薬用化粧品、および薬用栄養剤からなる群から選択される活性成分でよい。
【0014】
一般に、別の態様では、本発明は、角質層に孔を形成するための装置であって、水性材料が入っている容器、すなわちこの水性材料が角質層の表面領域に接触するように角質層の表面領域に取着されている容器と、この容器内に沈められ、水性材料に音波および/または超音波放射を当てる超音波ホーンとを含む装置を特徴とする。音波および/または超音波放射は、10KHzから5MHzの範囲の周波数を有し、角質層の表面領域にキャビテーション・バブルを発生させるのに有効な強度、期間、および角質層の表面領域からの距離を隔てて当てられる。キャビテーション・バブルは潰れ、そのバブルのエネルギーが角質層に伝達されて、孔の形成を引き起こす。
【0015】
一般に、さらに別の態様では、本発明は、角質層を横切るように分子を輸送するための装置であって、水性材料および分子が入っている容器、すなわちこの水性材料および分子が角質層の表面領域に接触するように角質層の表面領域に取着されている容器と、この容器内に沈められ、水性材料に音波および/または超音波放射を当てる超音波ホーンとを含む装置を特徴とする。音波および/または超音波放射は、10KHzから5MHzの範囲の周波数を有し、角質層の表面領域にキャビテーション・バブルを発生させるのに有効な強度、期間、および角質層の表面領域からの距離を隔てて当てられる。キャビテーション・バブルは潰れ、そのバブルのエネルギーが角質層に伝達されて、孔の形成を引き起こす。音波および/または超音波放射は、超音波ジェットを発生させるのに有効な、強度および角質層からの距離を隔てて当てられ、次いでこの超音波ジェットにより、分子は、角質層全体に形成された孔内を通過する。
【0016】
この発明の利点には、以下の1つまたは複数が含まれる。本発明は、細分された開口を角質層に形成し、この皮膚を通して高分子量の薬物を血流内に伝達する方法を提供する。500Daよりも大きい分子量の薬物は、高電圧または皮膚刺激や経皮パッチ接着剤の可塑化などの化学的な副作用に関連する危険性が無い状態で、適切な体積用量を治療のため伝達するのに十分高い流量で短時間で移送される。この方法は、イオン・タイプの薬物に限定されず、複雑な装置を必要としない。
【0017】
本発明の1つまたは複数の実施形態の詳細について、添付図面および以下の記述の中で述べる。本発明のその他の特徴、目的、および利点は、以下の好ましい実施形態の記述、図面、および特許請求の範囲から明らかにされよう。
【0018】
様々な図面で、同じ参照番号および呼称は同じ要素を指している。
(好ましい実施形態の詳細な説明)
図1を参照すると、インビトロ・ソノポレーションおよび経皮薬物伝達を行うための装置100が、超音波機器アセンブリ110と、Franzセル・アセンブリ120とを含む。超音波機器アセンブリ110は、電気ケーブル115によって超音波トランスデューサ113に接続された電源117を含む。電源117はトランスデューサ113にエネルギーを提供し、トランスデューサが電気エネルギーを超音波112に変換する。超音波112は、トランスデューサ113に取り付けられているホーン111によって水性媒体123中に伝達される。ホーン111は、水性媒体123中に浸水された先端114を有する。一例では、超音波機器アセンブリ110は、Branson Instruments Inc.、Danbury、Connecticutが製造している市販のSonifierモデル450である。ホーン111は、図2に示された、15cmの長さ118と、1cm2の先端断面積116とを有するテーパ形円筒体である。トランスデューサ113は、周波数が10KHz〜5MHzの範囲内にあり、強度が5W/cm2〜55W/cm2の範囲内にある超音波112を発生する非合焦シングル・バンド・トランスデューサである。
【0019】
図3を参照すると、一例では、超音波は、周波数が20KHzで、強度119cが20W/cm2のパルス119である。パルス幅119aは0.5秒であり、1つのパルスの終わりと次のパルスの始めとの時間間隔119bは9.5秒であり、超音波の周期は10秒である。一例では、皮膚は、5%デューティサイクルで20分間(すなわち、各パルスが超音波エネルギーを0.5秒間提供して120パルス)超音波に露出され、その結果、計1分の連続超音波露出となる。
【0020】
図1および4を参照すると、Franzセル・アセンブリ120はカスタムメードのものであり、ドナー・コンパートメント122、レシーバ・コンパートメント124、およびドナー・コンパートメントとレシーバ・コンパートメントの間に取り付けられた試料保持アセンブリ140を含む。一例では、ドナー・コンパートメント122とレシーバ・コンパートメントはどちらも、Krackeler Scientific,Inc.、Albany、NY 12201から購入される市販のOリング接合ガラス管からできている。ドナー・コンパートメント・ガラス管130は、6cmの長さ131と、第1の端部133と、第2の端部134とを有し、両端部が、1.6cmの直径132をもつ開口を有する。第2の端部134はフランジ135を有し、溝136がOリング137を収容する。レシーバ・コンパートメント124は、3cmの長さ148をもつ円筒形本体142を有する。本体142は、第1の端部143と、第2の端部144と、第2の円筒形管146に接続された側部ポート145とを有する。レシーバ・コンパートメント124の第1の端部143は、フランジ147を有し、かつドナー・コンパートメント122の第2の端部134の開口と同じ直径149をもつ開口を有する。第2の端部144は閉じている。ドナー・コンパートメントは、開端部134と143が位置合わせされるようにレシーバ・コンパートメントの上に配置される。膜152上に支持される人の死体の表皮150の試料は、ドナー・コンパートメント122の第2の端部134のフランジ135と、レシーバ・コンパートメント124の第1の端部143のフランジ147との間に取り付けられる。クランプ155が、2つの・コンパートメント122と124を一体に保持する。クランプ155は、ばね156によってフランジ135および147に圧力を加える。加えられた圧力がOリング137を溝136内に押し込み、それにより耐液性封止が得られる。支持膜は、Du Pont、Wilmington、DE 19898によって製造されるスパンボンド不織布オープン・メッシュ材料である。膜を使用して、真皮による表皮のインビボ(in vivo)支持をシミュレートし、起こり得る皮膚試料の損傷を低減する。
【0021】
図5を参照すると、人の皮膚200の断面は、上層210と、中間層220と、下層230とを含む。上層210は角質層と呼ばれ、厚さ約15マイクロメートルであり、図6に示される脂質二重層212によって取り囲まれた角化蛋白質211の複数の層からなる。角化蛋白質211またはケラチノサイトは、ケラチン繊維で充填された死んだ細胞である。各ケラチノサイトが、直径が約15〜20マイクロメートルで、厚さが1マイクロメートルの領域を有するプレート状構造を有する。ケラチノサイトは脂質によって取り囲まれ、隣接して配置されて層を形成し、この層は、脂質二重層212によって互いに離隔されている。脂質二重層212は、厚さが約50ナノメートルである。角質層のこの構造は、「れんが壁」に似ており、ケラチノサイトが「れんが」を構成し、脂質が、「れんが」を一体に保持する「セメント」を構成する。この非常に秩序だった構造は、角質層を、多くの薬物に対して不浸透性にする。中間層220は、角質層の下に位置し、生存表皮と呼ばれる。生存表皮220は、生きている細胞からなり、親水性を有する。生存表皮の下に位置する下層230は真皮である。生存表皮220と真皮230との界面に、毛管血管系240の末端がある。
【0022】
角質層の試料は、死後の人の皮膚から抽出される。一例では、死後の人の皮膚は、Michigan Tissue Bank、Lansing、MI 48909から提供された71歳の匿名の成人の大腿部から得られる。皮膚試料は、冷凍器内で−50℃で保管し、死後数週間のうちに使用する。角質層および表皮の一部を、熱剥離法によって真皮から分離する。熱剥離を行うために、皮膚を解凍し、食塩溶液の浴内に配置する。この食塩溶液は、塩化ナトリウム濃度が9g/リットルであり、温度が55℃である。皮膚試料を、2分間溶液中に維持し、次いで取り出して、温度が23℃の同様の食塩溶液中に配置する。次いで、角質層の外層、および生存表皮の一部を、人の指を使って、皮膚試料から手作業で分離する。角質層試料は、40〜50マイクロメートルの範囲内の厚さを有する。
【0023】
図4に戻ると、角質層150の試料は、試料ホルダ・アセンブリ140内に配置される。試料アセンブリ140は、Franzセル120のドナー・コンパートメント122とレシーバ・コンパートメント124の間に配置されている。次いで、Franzセル120が組み立てられ、ドナー・コンパートメント122に、pH=7.4の25mMHEPES緩衝液中の2.5kDaオクタ−l−リジン−FITC水溶液123が充填される。HEPESは、N−[2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−N’−[2−エタンスルホン酸]を意味し、Sigma Chemicals、St.Louis、MO 63178−9916から得られる。2.5kDaオクタ−l−リジン−FITCは、フルオレセインイソチオシアネートでタグ付けされたオクタ−l−リジンを指し、Peptide Technologies Corp.、Gaithersburg、MD 20877から得られる。レシーバ・コンパートメント124には、pH=7.4で緩衝された25mMのHEPES溶液125が充填される。超音波ホーンの先端114は、ドナー・コンパートメントの溶液123中に浸水されており、角質層試料の上面151の上方に、事前設定された距離180で維持される。先端114と角質層上面151との距離180は、1〜10ミリメートルの間で変化する。電源117がオンに切り換えられ、トランスデューサ113が、周波数20KHzで交互に正および負となる圧力サイクルを有する超音波圧力波112を発生する。浸水された超音波先端114は、ドナー・コンパートメントの溶液123中で超音波を伝達する。超音波は、水溶液123中を伝播して、角質層試料の上面151に衝突する。超音波の強度は、5〜55W/cm2の間で変化し、熱電対160を用いて熱量測定法によって測定される。熱電対160は、銅とコンスタンタンの2つの100μm直径ワイヤの接合点162を有し、人の死体の皮膚150に固定されている。熱電対信号は、Keithley Model 196デジタル・マルチメータを使用して測定される。
【0024】
超音波の全エネルギーが熱に変換されると仮定すると、超音波強度は、以下の式から計算される。
超音波強度=4.19cp*m*ΔT/(A*t)
ここで、cpは水の熱容量であり、1cal/g℃であり、mは、超音波に露出された水溶液の質量であり、一例では4gであり、ΔTは、5秒間の超音波露出時間中の温度上昇であり、tは超音波露出時間であり、Aは超音波放出面積であり、一例では1cm2であり、4.19は、「カロリー」から「ジュール」への単位変換係数である。温度上昇ΔTは、デジタル・マルチメータを用いてミリボルト(mV)単位で測定され、次いで、0.039で割ることによって摂氏(℃)に変換される。すなわち、ΔT=mV/0.039である。
【0025】
角質層試料は、所定の時間にわたって超音波に露出される。一例では、露出時間は、パルス超音波の5%デューティサイクルで20分であり、または連続超音波で計1分である。
【0026】
図7を参照すると、20KHz超音波に露出された人の皮膚の概略断面図が、角質層210の上面215でのキャビテーション500の形成を示している。キャビテーションは、超音波圧力波の負の圧力サイクル中に水溶液中に形成される小さなガス空洞である。これらの小さなガス空洞は引き続き成長し、後の圧力サイクルを通じて高いエネルギーを蓄積して、最終的には臨界サイズおよびエネルギーに達し、その後、崩壊する。これらの空洞は、角質層の上面151付近で崩壊すると、その高いエネルギーを角質層に伝達し、脂質二重層212の破断、または角質層内での孔の形成をもたらす。キャビテーションは、空気ポケットが存在する角質層内部で発生する場合もある。
【0027】
図8を参照すると、20KHz超音波に露出された角質層210の概略断面が、超音波によって生成される孔600を示している。この孔は、拡大共焦光顕微鏡検査で見ることができる。
【0028】
図9を参照すると、超音波に露出する前の角質層資料の上面151の光学的画像が、角化細胞211のよく秩序立てられた細胞構造を示している。周波数が20KHzで、強度が20W/cm2の超音波に露出した後の同じ試料を図10に示す。孔600(黒い領域)を倍率40倍で見ることができる。超音波露出後、1〜2時間、観察が行われる。孔600は、1〜100マイクロメートルの範囲内の直径を有する。
【0029】
特定の周波数、強度をもつ、所定の距離での音波および/または超音波放射線への角質層の露出中に孔が形成されることを利用して、薬物の経皮伝達を行う。図1および図4に戻ると、Franzセル120のドナー・コンパートメント122に、4ミリリットルの0.1064mMのオクタ−l−リジン−4−FITCが充填される。オクタ−l−リジン−4−FITCは、分子サイズが2.5kDaであり、4つのフルオレセインイソチオシアネート分子が取り付けられている。レシーバ・コンパートメント124には、pH7.4を有する8ミリリットルの25mMのHEPES緩衝液が充填される。磁気攪拌装置126が、500rpmの速度でHEPES溶液を連続的に攪拌する。溶液123と125はどちらも、18Mオーム/cmよりも大きい抵抗率を有する脱イオン水を用いて調製される。総面積8cm2を有する角質層試料150が試料ホルダ140内に取り付けられる。一例では、超音波に露出される角質層試料の表面積は2.5cm2である。試料の構造的完全性は、皮膚抵抗を測定することによって保証される。皮膚抵抗は、皮膚全体に1.5Vの電圧および1Hzを加えることによって測定される。50Kオームよりも大きい抵抗を有する試料のみが使用される。超音波ホーン111は、あらかじめ設定された角質層試料上面からの距離だけ、ドナー溶液123中に浸水される。一例では、超音波ホーン111は、角質層試料の上面から13ミリメートルの距離180にあらかじめ設定されている。角質層151の上面からの超音波先端114の距離180は、キャリパを用いて測定される。2.5kDaオクタ−l−リジン−4−FITC溶液の温度は、25℃〜30℃の間で維持される。
【0030】
図11を参照すると、人の角質層試料を介する2.5kDaオクタ−l−リジン−4−FITCのフラックスが、角質層試料150の上面151からの超音波先端114の距離180に応じて示されている。試料は、周波数が20KHzであり、5%デューティサイクルでパルス強度が20W/cm2である音波および/または超音波放射線に露出される。角質層試料にわたって移送されるオクタ−l−リジン−4−FITCの量は、レシーバ溶液125の蛍光測定によって求められる。蛍光測定は、Hitachi F−2000蛍光分光器を用いて行われる。励起波長は497nmであり、フルオレセイン・タグ付き2.5kDaオクタ−l−リジン−4−FITCの放出は522ナノメートルである。0.8ミリリットルのレシーバ溶液125の試料が、マイクロピペットを用いて側部ポート管146を介して収集され、同量のHEPES溶液がレシーバ溶液に再び加えられる。次の溶液試料の蛍光測定は、希釈係数に関する補正がなされる。
【0031】
角質層試料を介する2.5kDaオクタ−l−リジン−4−FITCのフラックスは、まず、試料の上面151からの超音波先端114の距離が増加するにつれて増大する(領域I)。この値は、2〜4ミリメートルの距離で最大値に達し(領域II)、その後、距離の増加と共に減少する(領域III)。角質層の表面151からの超音波先端114の距離が約4ミリメートルのとき、オクタ−l−リジン−4−FITCの分子移送が最適になる。本発明者は、超音波先端114が皮膚試料150の上面151に非常に近い領域Iでは、皮膚の表面でのキャビテーション・プロセスによる超音波ジェット170(図11A、11B、11Cに示される)の高い干渉により皮膚の孔形成が小さくなると仮説を立てている。距離が増大するにつれ、この干渉が低減し、それによりキャビテーション活動が高まり、皮膚の効果的な穿孔が得られる。次いで、超音波ジェット170は、角質層全体にわたって、孔を介してレシーバ・コンパートメント内に2.5kDaオクタ−l−リジン−4−FITC溶液を打ち込む(領域II)。距離のさらなる増大は、超音波ジェットの打込み効果を低減させ、2.5kDaオクタ−l−リジン−4−FITCの量が減少する(領域III)。図11A、11B、および11Cは、それぞれ約18W/cm2、37W/cm2、および55W/cm2の超音波強度での超音波ジェット170を示す。超音波ジェット170は、ドナー・コンパートメント122内に光165を送ることによって視覚化される。
【0032】
図12を参照すると、角質層の試料を介する2.5kDaオクタ−l−リジン−4−FITCのフラックスが、超音波強度の関数として示されている。超音波強度は、5%のデューティサイクルで、20KHzパルス励起に関して5〜55W/cm2の間で変化する。超音波先端114は、角質層試料151の上面から2ミリメートルの距離で維持される。最適な分子移送は、超音波強度が約18W/cm2のときに生じる。
【0033】
図13を参照すると、角質層の試料を介する2.5kDaオクタ−l−リジン−4−FITCの累積フラックスが、20KHzの周波数、5%デューティサイクル、37W/cm2をもち、試料表面から4mmの距離での超音波励起に対する露出時間に応じて示される。領域Iでは、超音波出力がオンであり、露出時間が増大するにつれて、孔が形成され、角質層をわたって移送する2.5kDaオクタ−l−リジン−4−FITCの分子の数が増大する。その後、領域IIで、超音波出力がオフに切り換えられ、角質層をわたる分子の移送が実質的に観察されなくなる。最後に、領域IIIで、超音波出力が再びオンに切り換えられ、露出時間が増大するにつれて角質層をわたる分子の移送の増大が観察される。これらの観察に基づき、本発明者は、角質層をわたる分子の移送が、角質層内の一過性微細孔の形成と、超音波ジェットの打込み力との両方によるものであると結論付ける。
【0034】
表1を参照すると、2.5kDaオクタ−l−リジン−4−FITCの分子と、音波および/または超音波放射線に露出された2.5kDaオクタ−l−リジン−4−FITCの分子とに関する角質層の浸透率が、ソノポレーションおよび超音波ジェット形成をもたらす本発明の超音波条件に関して要約されている。浸透率は、フィックの拡散式を使用してフラックス・データから計算される。フィックの式によれば、
J=PxC
であり、ここで、Jは図13の累積フラックス曲線の傾斜であり、Pは試料の浸透率であり、Cは、ドナー溶液123中の2.5kDaオクタ−l−リジン−FITC分子の濃度である。一例では、Cが0.1mMである。51kDaポリ−l−リジンおよび2.5kDaオクタ−l−リジン−FITCに関する対応する計算値が、ソノフォレーシス薬物伝達に関する従来技術の結果と共に表1に示されている。本発明による51kDaポリ−l−リジン−FITCの浸透率が、ソノフォレーシスによって得られる浸透率の約100000倍であることが観察される。
【0035】
【表1】
【0036】
図14および15を参照すると、それぞれ音波および/または超音波放射線を用いた場合、または用いなかった場合の、0.1mMの2.5kDaオクタ−l−リジン−FITC溶液に露出された人の表皮試料の断面の共焦顕微鏡検査画像が、FITC蛍光色素の488ナノメートルのレーザ光励起の下で得られている。画像は、BioRad Laboratories、Hercules、CAが製造するLaserSharp MRC 1024 Confocal Laser Scanning Microscopeを使用して得られる。音波および/または超音波放射線に露出された試料では、角質層210と生存表皮220の両方が特性FITC蛍光を放出し、一方、音波および/または超音波放射線に露出されていない試料では、角質層210の上面のみが特性FITC蛍光を放出する。これは、2.5kDaオクタ−l−リジン−FITCの経皮移送が超音波露出下でのみ生じることを示唆している。超音波によって生成される微細孔600は、表皮の永久外乱ではなく、超音波露出が除去されたときに閉じる一過性および弾性の開口であり、角質層の表面に孔が存在していたことを表す印をほんのわずかに残すだけで消える。
【0037】
他の実施形態も、本発明の範囲内にある。例えば、ソノポレーションおよび分子の経皮伝達の上述した方法は、2.5kDaオクタ−l−リジン−FITC分子に関連して記述したが、本発明は、鎮痛剤、麻酔剤、抗生物質、凝固阻止剤、解毒薬、抗ヒスタミン剤、種々の抗感染薬、抗炎症ステロイドおよび非ステロイド、抗腫瘍剤、抗ウィルス剤、食欲抑制剤、生物学的製剤、心臓血管薬、避妊薬、中枢神経系刺激薬、外皮用剤、糖尿病薬、酵素消化薬、抗真菌剤、毛髪成長刺激薬、ヘルペス治療薬、ホルモン剤、免疫抑制剤、抗昆虫刺傷薬、抗偏頭痛薬、筋弛緩剤、抗麻酔薬、血漿蛋白分画剤、向精神薬、抗パーキンソン、アルツハイマー、エイズ、アンチウォーズ(anti−wards)、抗癌、ビスフォスフォネートなどの抗骨粗鬆症薬、および遺伝物質からなる群から選択される薬物を含めた任意のサイズを有する任意の分子を移送するために使用することができることを理解されたい。ビタミン、美容食品、および栄養補給食品からなる活性成分の群から選択される分子を、本発明のソノポレーション法を使用して角質層を介して移送することもできる。
【0038】
音波および/または超音波放射線は、連続であっても、パルスであってもよく、周波数が1KHz〜5MHzの範囲内にある。パルス音波および/または超音波放射線は、試料の温度を上昇させないという利点を有し、連続する超音波は、短い治療時間で済むという利点を有する。音波および/または超音波放射線は、連続露出では約30秒〜1分の範囲内の時間間隔にわたって適用することができ、5%デューティサイクルでのパルス露出では、10分〜20分の範囲にわたって適用することができる。
【0039】
本発明の多くの特徴および利点は詳細な明細書から明らかであり、したがって、頭記の特許請求の範囲により、本発明の真の精神および範囲に従う上述の装置の全てのそのような特徴および利点をカバーできるものとする。さらに、当業者には多数の修正および変更が容易に想起されるので、本明細書で上述した正確な構成および動作に本発明を限定するのは望ましくない。さらに、本発明の方法および装置、ならびに医療適用例で使用される関連装置および方法は、性質上、複雑になる傾向があり、動作パラメータの適切な値を実験により求めることによって、または所与の適用例に関する最良の設計に到達するようにコンピュータ・シミュレーションを行うことによってしばしば最良に実施される。したがって、他の実施形態も頭記の特許請求の範囲の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【図1】
皮膚のインビトロ・ソノポレーション用の装置の概略図である。
【図2】
超音波ホーンの概略図である。
【図3】
パルス超音波を示すグラフである。
【図4】
図1の試料ホルダ・アセンブリの断面図である。
【図5】
人の皮膚の試料の概略断面図である。
【図6】
図5の角質層領域Aの詳細図である。
【図7】
音波および/または超音波放射線に露出中の人の皮膚の試料の概略断面図である。
【図8】
音波および/または超音波放射線に露出した後の人の皮膚の試料の概略断面図である。
【図9】
超音波に露出する前の倍率40倍での角質層試料の光学的画像である。
【図10】
本発明による超音波に露出した後の倍率40倍での角質層試料の光学的画像である。
【図11】
図11は、角質層(SC)試料の上面からの超音波ホーンの距離に応じた、SC試料を介する2.5kDaオクタ−l−リジン−FITCのフラックスを示すグラフである。図11Aは、超音波強度18W/cm2での超音波ジェットの概略図である。図11Bは、超音波強度37W/cm2での超音波ジェットの概略図である。図11Aは、超音波強度55W/cm2での超音波ジェットの概略図である。
【図12】
超音波強度に応じた、角質層(SC)試料を介する2.5kDaオクタ−l−リジン−FITCのフラックスを示すグラフである。
【図13】
超音波露出時間に応じた、角質層(SC)試料を介する2.5kDaオクタ−l−リジン−FITCのフラックスを示すグラフである。
【図14】
2.5kDaオクタ−l−リジン−FITCに露出された人の表皮の断面の共焦顕微鏡検査画像である。
【図15】
2.5kDaオクタ−l−リジン−FITCと、音波および/または超音波放射線とに露出された人の表皮の断面の共焦顕微鏡画像である。
(関連する同時係属出願の相互参照)
本願は、1999年11月2日に出願されたSONOPORETIC CAUSATION OF MICROPORES IN SKIN FOR TRANSDERMAL DRUG DELIVERY OF LARGE MOLECULESという名称の、米国仮出願第60/163,146号の利益を請求するものであり、その内容を、参照により本明細書に特に組み込む。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、経皮薬物伝達のため皮膚に微細孔を形成するための方法および装置に関し、より詳細には、音波および/または超音波放射を使用して薬物およびその他の高分子量の分子を経皮伝達することに関する。
【0003】
(発明の背景)
薬物の経皮伝達は、経口および注射による方法を含めた従来の伝達方法に優る、いくつかの利点を提供する。経皮伝達は、所定の薬物量を、制御された安定した速度でかつ均一な分布になるように局所領域に伝達し、非侵襲性で、便利であり、痛みが無い。
【0004】
薬物の経皮伝達は、角質層、すなわち皮膚の最外層を通して薬物分子を輸送する必要がある。角質層(SC)は、任意の化学物質が身体に入る際に強固な化学障壁となり、分子量が500Da(ダルトン)未満の小さい分子だけが、治療効果をもたらす速度で皮膚内に抵抗無く拡散することができる。ダルトンは、水素分子と比較した分子量の単位と定義される。
【0005】
500Daよりも大きい分子の経皮伝達を容易にするいくつかの方法が提案されており、イオン導入法、電気穿孔法、エレクトロインコーポレーション、ソノフォレシス、およびケミカル・エンハンサを含めたSCを通した薬物伝達の速度が速くなる。
【0006】
イオン導入法は、U.S.5,224,927に記載されているように、薬物分子を皮膚に送り込むのに低電界を利用する。しかし、イオン導入法はイオン性薬物および分子に限られ、N.G.Turner他のPharm.Research−14、1322〜1331、1997に記載されているように、分子量が約7kDaよりも大きい分子には効果が無い。
【0007】
電気穿孔法およびエレクトロインコーポレーション法は、U.S.5,019,034に記載されるように、皮膚に直接印加される150Vの高電圧電気パルスを利用する。電気パルスは、皮膚に孔を開けるのを助け、したがって、7kDaを超える分子が皮膚に入ることができる。しかし、高電界を使用すると、安全性に関する問題が生じ、複雑な装置が必要である。さらに、薬物は、米国特許第5,688,233号に記載されるように二次的な手段によって孔内に通す必要があり、適用をさらに複雑にする。
【0008】
ソノフォレシス法は、米国特許第5,814,599号および第5,947,921号に記載されるように、超音波を利用し、最大48kDaの分子を伝達できることが示されている。しかし、伝達の速度は極めて遅く、したがって実用的ではなくなる。
【0009】
不飽和脂肪酸や飽和脂肪酸、それらのエステルやテルペンなどのケミカル・エンハンサは、J.R.Kunta他のJ.Pharm.Sci.86、1369〜1373、1997および米国特許第5,947,921号に記載されているように、エストラジオールやテストステロンなど分子量が大きい薬物、および塩基性薬物の塩酸塩などの極性薬物(例えばプロプラノロールHCl)がSCを通る流束を増大させることができる。しかし、ケミカル・エンハンサには処方に関する深刻な問題があり、皮膚刺激を引き起こしかつ経皮パッチを付着させて使用する際にその接着剤に不要な可塑化が生じる可能性があり、その有効性は、薬物のタイプおよびその付着方法に左右される。
【0010】
任意のサイズの薬物分子を速い伝達速度で経皮伝達するための方法を提供することが有利と考えられる。
(発明の概要)
一般に、一態様では、本発明は、角質層に孔を形成する方法であって、角質層の表面領域に水性材料を塗布すること、およびこの水性材料に音波および/または超音波放射を当てることを含む方法を提供する。音波および/または超音波放射は、10KHzから5MHzの範囲の周波数を有し、角質層の表面領域にキャビテーション・バブルを発生させるのに有効な強度、期間、および角質層の表面領域からの距離を隔てて当てられる。キャビテーション・バブルは潰れ、そのバブルのエネルギーが角質層に伝達されて、孔の形成を引き起こす。
【0011】
本発明の実施に際し、以下の特徴の1つまたは複数を含めることができる。音波および/または超音波放射は、20KHzの周波数と、5W/cm2から55W/cm2の強度を有するものでよい。超音波は、角質層の表面積からある距離を隔てて、すなわち1ミリメートル〜10ミリメートルの範囲の距離を隔てて当てることができる。一例では、その距離は4ミリメートルでよい。音波および/または超音波放射は連続的でもパルス状態でもよく、この放射に連続的に曝される場合は約30秒から1分の範囲内の時間、また5%のデューティサイクルでパルス状態の放射に曝される場合は10分から20分の範囲内の時間、当てることができる。孔の直径は、1マイクロメートルから100マイクロメートルの範囲内である。
【0012】
一般に、別の態様では、本発明は、角質層を横切るように分子を輸送する方法であって、分子を含有する水性材料を角質層の表面領域に塗布することを含む方法を特徴とする。音波および/または超音波放射は、10KHzから5MHzの範囲の周波数を有し、角質層の表面領域にキャビテーション・バブルを発生させるのに有効な強度、期間、および角質層の表面領域からの距離を隔てて当てられる。キャビテーション・バブルは潰れ、そのバブルのエネルギーが角質層に伝達されて、孔の形成を引き起こす。音波および/または超音波放射は、超音波ジェットを発生させるのに有効な、強度および角質層からの距離を隔てて当てられ、次いでこの超音波ジェットにより、分子は、角質層全体に形成された孔内を通過する。
【0013】
本発明のこの態様の実施に際し、以下の特徴の1つまたは複数を含めることができる。分子は、18Daから100kDaの範囲内の分子量を有する。分子は、鎮痛薬、麻酔薬、抗生物質、抗凝血剤、解毒剤、抗ヒスタミン剤、種々の抗感染薬、抗炎症性のステロイド系および非ステロイド系、抗腫瘍薬、抗ウイルス薬、食欲抑制剤、生物学的製剤、心・血管作動薬、避妊薬、中枢神経興奮薬、皮膚用製剤、糖尿病治療薬、酵素、消化薬、抗真菌剤、発毛剤、ヘルペス治療薬、ホルモン、免疫抑制薬、虫刺され予防薬、片頭痛治療薬、筋弛緩薬、麻薬拮抗薬、血漿蛋白分画、向精神薬、パーキンソン治療薬、アルツハイマー治療薬、エイズ治療薬、アンチワード、制癌剤、骨粗しょう症治療薬、遺伝物質からなる群から選択される薬物でよい。分子は、ビタミン、薬用化粧品、および薬用栄養剤からなる群から選択される活性成分でよい。
【0014】
一般に、別の態様では、本発明は、角質層に孔を形成するための装置であって、水性材料が入っている容器、すなわちこの水性材料が角質層の表面領域に接触するように角質層の表面領域に取着されている容器と、この容器内に沈められ、水性材料に音波および/または超音波放射を当てる超音波ホーンとを含む装置を特徴とする。音波および/または超音波放射は、10KHzから5MHzの範囲の周波数を有し、角質層の表面領域にキャビテーション・バブルを発生させるのに有効な強度、期間、および角質層の表面領域からの距離を隔てて当てられる。キャビテーション・バブルは潰れ、そのバブルのエネルギーが角質層に伝達されて、孔の形成を引き起こす。
【0015】
一般に、さらに別の態様では、本発明は、角質層を横切るように分子を輸送するための装置であって、水性材料および分子が入っている容器、すなわちこの水性材料および分子が角質層の表面領域に接触するように角質層の表面領域に取着されている容器と、この容器内に沈められ、水性材料に音波および/または超音波放射を当てる超音波ホーンとを含む装置を特徴とする。音波および/または超音波放射は、10KHzから5MHzの範囲の周波数を有し、角質層の表面領域にキャビテーション・バブルを発生させるのに有効な強度、期間、および角質層の表面領域からの距離を隔てて当てられる。キャビテーション・バブルは潰れ、そのバブルのエネルギーが角質層に伝達されて、孔の形成を引き起こす。音波および/または超音波放射は、超音波ジェットを発生させるのに有効な、強度および角質層からの距離を隔てて当てられ、次いでこの超音波ジェットにより、分子は、角質層全体に形成された孔内を通過する。
【0016】
この発明の利点には、以下の1つまたは複数が含まれる。本発明は、細分された開口を角質層に形成し、この皮膚を通して高分子量の薬物を血流内に伝達する方法を提供する。500Daよりも大きい分子量の薬物は、高電圧または皮膚刺激や経皮パッチ接着剤の可塑化などの化学的な副作用に関連する危険性が無い状態で、適切な体積用量を治療のため伝達するのに十分高い流量で短時間で移送される。この方法は、イオン・タイプの薬物に限定されず、複雑な装置を必要としない。
【0017】
本発明の1つまたは複数の実施形態の詳細について、添付図面および以下の記述の中で述べる。本発明のその他の特徴、目的、および利点は、以下の好ましい実施形態の記述、図面、および特許請求の範囲から明らかにされよう。
【0018】
様々な図面で、同じ参照番号および呼称は同じ要素を指している。
(好ましい実施形態の詳細な説明)
図1を参照すると、インビトロ・ソノポレーションおよび経皮薬物伝達を行うための装置100が、超音波機器アセンブリ110と、Franzセル・アセンブリ120とを含む。超音波機器アセンブリ110は、電気ケーブル115によって超音波トランスデューサ113に接続された電源117を含む。電源117はトランスデューサ113にエネルギーを提供し、トランスデューサが電気エネルギーを超音波112に変換する。超音波112は、トランスデューサ113に取り付けられているホーン111によって水性媒体123中に伝達される。ホーン111は、水性媒体123中に浸水された先端114を有する。一例では、超音波機器アセンブリ110は、Branson Instruments Inc.、Danbury、Connecticutが製造している市販のSonifierモデル450である。ホーン111は、図2に示された、15cmの長さ118と、1cm2の先端断面積116とを有するテーパ形円筒体である。トランスデューサ113は、周波数が10KHz〜5MHzの範囲内にあり、強度が5W/cm2〜55W/cm2の範囲内にある超音波112を発生する非合焦シングル・バンド・トランスデューサである。
【0019】
図3を参照すると、一例では、超音波は、周波数が20KHzで、強度119cが20W/cm2のパルス119である。パルス幅119aは0.5秒であり、1つのパルスの終わりと次のパルスの始めとの時間間隔119bは9.5秒であり、超音波の周期は10秒である。一例では、皮膚は、5%デューティサイクルで20分間(すなわち、各パルスが超音波エネルギーを0.5秒間提供して120パルス)超音波に露出され、その結果、計1分の連続超音波露出となる。
【0020】
図1および4を参照すると、Franzセル・アセンブリ120はカスタムメードのものであり、ドナー・コンパートメント122、レシーバ・コンパートメント124、およびドナー・コンパートメントとレシーバ・コンパートメントの間に取り付けられた試料保持アセンブリ140を含む。一例では、ドナー・コンパートメント122とレシーバ・コンパートメントはどちらも、Krackeler Scientific,Inc.、Albany、NY 12201から購入される市販のOリング接合ガラス管からできている。ドナー・コンパートメント・ガラス管130は、6cmの長さ131と、第1の端部133と、第2の端部134とを有し、両端部が、1.6cmの直径132をもつ開口を有する。第2の端部134はフランジ135を有し、溝136がOリング137を収容する。レシーバ・コンパートメント124は、3cmの長さ148をもつ円筒形本体142を有する。本体142は、第1の端部143と、第2の端部144と、第2の円筒形管146に接続された側部ポート145とを有する。レシーバ・コンパートメント124の第1の端部143は、フランジ147を有し、かつドナー・コンパートメント122の第2の端部134の開口と同じ直径149をもつ開口を有する。第2の端部144は閉じている。ドナー・コンパートメントは、開端部134と143が位置合わせされるようにレシーバ・コンパートメントの上に配置される。膜152上に支持される人の死体の表皮150の試料は、ドナー・コンパートメント122の第2の端部134のフランジ135と、レシーバ・コンパートメント124の第1の端部143のフランジ147との間に取り付けられる。クランプ155が、2つの・コンパートメント122と124を一体に保持する。クランプ155は、ばね156によってフランジ135および147に圧力を加える。加えられた圧力がOリング137を溝136内に押し込み、それにより耐液性封止が得られる。支持膜は、Du Pont、Wilmington、DE 19898によって製造されるスパンボンド不織布オープン・メッシュ材料である。膜を使用して、真皮による表皮のインビボ(in vivo)支持をシミュレートし、起こり得る皮膚試料の損傷を低減する。
【0021】
図5を参照すると、人の皮膚200の断面は、上層210と、中間層220と、下層230とを含む。上層210は角質層と呼ばれ、厚さ約15マイクロメートルであり、図6に示される脂質二重層212によって取り囲まれた角化蛋白質211の複数の層からなる。角化蛋白質211またはケラチノサイトは、ケラチン繊維で充填された死んだ細胞である。各ケラチノサイトが、直径が約15〜20マイクロメートルで、厚さが1マイクロメートルの領域を有するプレート状構造を有する。ケラチノサイトは脂質によって取り囲まれ、隣接して配置されて層を形成し、この層は、脂質二重層212によって互いに離隔されている。脂質二重層212は、厚さが約50ナノメートルである。角質層のこの構造は、「れんが壁」に似ており、ケラチノサイトが「れんが」を構成し、脂質が、「れんが」を一体に保持する「セメント」を構成する。この非常に秩序だった構造は、角質層を、多くの薬物に対して不浸透性にする。中間層220は、角質層の下に位置し、生存表皮と呼ばれる。生存表皮220は、生きている細胞からなり、親水性を有する。生存表皮の下に位置する下層230は真皮である。生存表皮220と真皮230との界面に、毛管血管系240の末端がある。
【0022】
角質層の試料は、死後の人の皮膚から抽出される。一例では、死後の人の皮膚は、Michigan Tissue Bank、Lansing、MI 48909から提供された71歳の匿名の成人の大腿部から得られる。皮膚試料は、冷凍器内で−50℃で保管し、死後数週間のうちに使用する。角質層および表皮の一部を、熱剥離法によって真皮から分離する。熱剥離を行うために、皮膚を解凍し、食塩溶液の浴内に配置する。この食塩溶液は、塩化ナトリウム濃度が9g/リットルであり、温度が55℃である。皮膚試料を、2分間溶液中に維持し、次いで取り出して、温度が23℃の同様の食塩溶液中に配置する。次いで、角質層の外層、および生存表皮の一部を、人の指を使って、皮膚試料から手作業で分離する。角質層試料は、40〜50マイクロメートルの範囲内の厚さを有する。
【0023】
図4に戻ると、角質層150の試料は、試料ホルダ・アセンブリ140内に配置される。試料アセンブリ140は、Franzセル120のドナー・コンパートメント122とレシーバ・コンパートメント124の間に配置されている。次いで、Franzセル120が組み立てられ、ドナー・コンパートメント122に、pH=7.4の25mMHEPES緩衝液中の2.5kDaオクタ−l−リジン−FITC水溶液123が充填される。HEPESは、N−[2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−N’−[2−エタンスルホン酸]を意味し、Sigma Chemicals、St.Louis、MO 63178−9916から得られる。2.5kDaオクタ−l−リジン−FITCは、フルオレセインイソチオシアネートでタグ付けされたオクタ−l−リジンを指し、Peptide Technologies Corp.、Gaithersburg、MD 20877から得られる。レシーバ・コンパートメント124には、pH=7.4で緩衝された25mMのHEPES溶液125が充填される。超音波ホーンの先端114は、ドナー・コンパートメントの溶液123中に浸水されており、角質層試料の上面151の上方に、事前設定された距離180で維持される。先端114と角質層上面151との距離180は、1〜10ミリメートルの間で変化する。電源117がオンに切り換えられ、トランスデューサ113が、周波数20KHzで交互に正および負となる圧力サイクルを有する超音波圧力波112を発生する。浸水された超音波先端114は、ドナー・コンパートメントの溶液123中で超音波を伝達する。超音波は、水溶液123中を伝播して、角質層試料の上面151に衝突する。超音波の強度は、5〜55W/cm2の間で変化し、熱電対160を用いて熱量測定法によって測定される。熱電対160は、銅とコンスタンタンの2つの100μm直径ワイヤの接合点162を有し、人の死体の皮膚150に固定されている。熱電対信号は、Keithley Model 196デジタル・マルチメータを使用して測定される。
【0024】
超音波の全エネルギーが熱に変換されると仮定すると、超音波強度は、以下の式から計算される。
超音波強度=4.19cp*m*ΔT/(A*t)
ここで、cpは水の熱容量であり、1cal/g℃であり、mは、超音波に露出された水溶液の質量であり、一例では4gであり、ΔTは、5秒間の超音波露出時間中の温度上昇であり、tは超音波露出時間であり、Aは超音波放出面積であり、一例では1cm2であり、4.19は、「カロリー」から「ジュール」への単位変換係数である。温度上昇ΔTは、デジタル・マルチメータを用いてミリボルト(mV)単位で測定され、次いで、0.039で割ることによって摂氏(℃)に変換される。すなわち、ΔT=mV/0.039である。
【0025】
角質層試料は、所定の時間にわたって超音波に露出される。一例では、露出時間は、パルス超音波の5%デューティサイクルで20分であり、または連続超音波で計1分である。
【0026】
図7を参照すると、20KHz超音波に露出された人の皮膚の概略断面図が、角質層210の上面215でのキャビテーション500の形成を示している。キャビテーションは、超音波圧力波の負の圧力サイクル中に水溶液中に形成される小さなガス空洞である。これらの小さなガス空洞は引き続き成長し、後の圧力サイクルを通じて高いエネルギーを蓄積して、最終的には臨界サイズおよびエネルギーに達し、その後、崩壊する。これらの空洞は、角質層の上面151付近で崩壊すると、その高いエネルギーを角質層に伝達し、脂質二重層212の破断、または角質層内での孔の形成をもたらす。キャビテーションは、空気ポケットが存在する角質層内部で発生する場合もある。
【0027】
図8を参照すると、20KHz超音波に露出された角質層210の概略断面が、超音波によって生成される孔600を示している。この孔は、拡大共焦光顕微鏡検査で見ることができる。
【0028】
図9を参照すると、超音波に露出する前の角質層資料の上面151の光学的画像が、角化細胞211のよく秩序立てられた細胞構造を示している。周波数が20KHzで、強度が20W/cm2の超音波に露出した後の同じ試料を図10に示す。孔600(黒い領域)を倍率40倍で見ることができる。超音波露出後、1〜2時間、観察が行われる。孔600は、1〜100マイクロメートルの範囲内の直径を有する。
【0029】
特定の周波数、強度をもつ、所定の距離での音波および/または超音波放射線への角質層の露出中に孔が形成されることを利用して、薬物の経皮伝達を行う。図1および図4に戻ると、Franzセル120のドナー・コンパートメント122に、4ミリリットルの0.1064mMのオクタ−l−リジン−4−FITCが充填される。オクタ−l−リジン−4−FITCは、分子サイズが2.5kDaであり、4つのフルオレセインイソチオシアネート分子が取り付けられている。レシーバ・コンパートメント124には、pH7.4を有する8ミリリットルの25mMのHEPES緩衝液が充填される。磁気攪拌装置126が、500rpmの速度でHEPES溶液を連続的に攪拌する。溶液123と125はどちらも、18Mオーム/cmよりも大きい抵抗率を有する脱イオン水を用いて調製される。総面積8cm2を有する角質層試料150が試料ホルダ140内に取り付けられる。一例では、超音波に露出される角質層試料の表面積は2.5cm2である。試料の構造的完全性は、皮膚抵抗を測定することによって保証される。皮膚抵抗は、皮膚全体に1.5Vの電圧および1Hzを加えることによって測定される。50Kオームよりも大きい抵抗を有する試料のみが使用される。超音波ホーン111は、あらかじめ設定された角質層試料上面からの距離だけ、ドナー溶液123中に浸水される。一例では、超音波ホーン111は、角質層試料の上面から13ミリメートルの距離180にあらかじめ設定されている。角質層151の上面からの超音波先端114の距離180は、キャリパを用いて測定される。2.5kDaオクタ−l−リジン−4−FITC溶液の温度は、25℃〜30℃の間で維持される。
【0030】
図11を参照すると、人の角質層試料を介する2.5kDaオクタ−l−リジン−4−FITCのフラックスが、角質層試料150の上面151からの超音波先端114の距離180に応じて示されている。試料は、周波数が20KHzであり、5%デューティサイクルでパルス強度が20W/cm2である音波および/または超音波放射線に露出される。角質層試料にわたって移送されるオクタ−l−リジン−4−FITCの量は、レシーバ溶液125の蛍光測定によって求められる。蛍光測定は、Hitachi F−2000蛍光分光器を用いて行われる。励起波長は497nmであり、フルオレセイン・タグ付き2.5kDaオクタ−l−リジン−4−FITCの放出は522ナノメートルである。0.8ミリリットルのレシーバ溶液125の試料が、マイクロピペットを用いて側部ポート管146を介して収集され、同量のHEPES溶液がレシーバ溶液に再び加えられる。次の溶液試料の蛍光測定は、希釈係数に関する補正がなされる。
【0031】
角質層試料を介する2.5kDaオクタ−l−リジン−4−FITCのフラックスは、まず、試料の上面151からの超音波先端114の距離が増加するにつれて増大する(領域I)。この値は、2〜4ミリメートルの距離で最大値に達し(領域II)、その後、距離の増加と共に減少する(領域III)。角質層の表面151からの超音波先端114の距離が約4ミリメートルのとき、オクタ−l−リジン−4−FITCの分子移送が最適になる。本発明者は、超音波先端114が皮膚試料150の上面151に非常に近い領域Iでは、皮膚の表面でのキャビテーション・プロセスによる超音波ジェット170(図11A、11B、11Cに示される)の高い干渉により皮膚の孔形成が小さくなると仮説を立てている。距離が増大するにつれ、この干渉が低減し、それによりキャビテーション活動が高まり、皮膚の効果的な穿孔が得られる。次いで、超音波ジェット170は、角質層全体にわたって、孔を介してレシーバ・コンパートメント内に2.5kDaオクタ−l−リジン−4−FITC溶液を打ち込む(領域II)。距離のさらなる増大は、超音波ジェットの打込み効果を低減させ、2.5kDaオクタ−l−リジン−4−FITCの量が減少する(領域III)。図11A、11B、および11Cは、それぞれ約18W/cm2、37W/cm2、および55W/cm2の超音波強度での超音波ジェット170を示す。超音波ジェット170は、ドナー・コンパートメント122内に光165を送ることによって視覚化される。
【0032】
図12を参照すると、角質層の試料を介する2.5kDaオクタ−l−リジン−4−FITCのフラックスが、超音波強度の関数として示されている。超音波強度は、5%のデューティサイクルで、20KHzパルス励起に関して5〜55W/cm2の間で変化する。超音波先端114は、角質層試料151の上面から2ミリメートルの距離で維持される。最適な分子移送は、超音波強度が約18W/cm2のときに生じる。
【0033】
図13を参照すると、角質層の試料を介する2.5kDaオクタ−l−リジン−4−FITCの累積フラックスが、20KHzの周波数、5%デューティサイクル、37W/cm2をもち、試料表面から4mmの距離での超音波励起に対する露出時間に応じて示される。領域Iでは、超音波出力がオンであり、露出時間が増大するにつれて、孔が形成され、角質層をわたって移送する2.5kDaオクタ−l−リジン−4−FITCの分子の数が増大する。その後、領域IIで、超音波出力がオフに切り換えられ、角質層をわたる分子の移送が実質的に観察されなくなる。最後に、領域IIIで、超音波出力が再びオンに切り換えられ、露出時間が増大するにつれて角質層をわたる分子の移送の増大が観察される。これらの観察に基づき、本発明者は、角質層をわたる分子の移送が、角質層内の一過性微細孔の形成と、超音波ジェットの打込み力との両方によるものであると結論付ける。
【0034】
表1を参照すると、2.5kDaオクタ−l−リジン−4−FITCの分子と、音波および/または超音波放射線に露出された2.5kDaオクタ−l−リジン−4−FITCの分子とに関する角質層の浸透率が、ソノポレーションおよび超音波ジェット形成をもたらす本発明の超音波条件に関して要約されている。浸透率は、フィックの拡散式を使用してフラックス・データから計算される。フィックの式によれば、
J=PxC
であり、ここで、Jは図13の累積フラックス曲線の傾斜であり、Pは試料の浸透率であり、Cは、ドナー溶液123中の2.5kDaオクタ−l−リジン−FITC分子の濃度である。一例では、Cが0.1mMである。51kDaポリ−l−リジンおよび2.5kDaオクタ−l−リジン−FITCに関する対応する計算値が、ソノフォレーシス薬物伝達に関する従来技術の結果と共に表1に示されている。本発明による51kDaポリ−l−リジン−FITCの浸透率が、ソノフォレーシスによって得られる浸透率の約100000倍であることが観察される。
【0035】
【表1】
【0036】
図14および15を参照すると、それぞれ音波および/または超音波放射線を用いた場合、または用いなかった場合の、0.1mMの2.5kDaオクタ−l−リジン−FITC溶液に露出された人の表皮試料の断面の共焦顕微鏡検査画像が、FITC蛍光色素の488ナノメートルのレーザ光励起の下で得られている。画像は、BioRad Laboratories、Hercules、CAが製造するLaserSharp MRC 1024 Confocal Laser Scanning Microscopeを使用して得られる。音波および/または超音波放射線に露出された試料では、角質層210と生存表皮220の両方が特性FITC蛍光を放出し、一方、音波および/または超音波放射線に露出されていない試料では、角質層210の上面のみが特性FITC蛍光を放出する。これは、2.5kDaオクタ−l−リジン−FITCの経皮移送が超音波露出下でのみ生じることを示唆している。超音波によって生成される微細孔600は、表皮の永久外乱ではなく、超音波露出が除去されたときに閉じる一過性および弾性の開口であり、角質層の表面に孔が存在していたことを表す印をほんのわずかに残すだけで消える。
【0037】
他の実施形態も、本発明の範囲内にある。例えば、ソノポレーションおよび分子の経皮伝達の上述した方法は、2.5kDaオクタ−l−リジン−FITC分子に関連して記述したが、本発明は、鎮痛剤、麻酔剤、抗生物質、凝固阻止剤、解毒薬、抗ヒスタミン剤、種々の抗感染薬、抗炎症ステロイドおよび非ステロイド、抗腫瘍剤、抗ウィルス剤、食欲抑制剤、生物学的製剤、心臓血管薬、避妊薬、中枢神経系刺激薬、外皮用剤、糖尿病薬、酵素消化薬、抗真菌剤、毛髪成長刺激薬、ヘルペス治療薬、ホルモン剤、免疫抑制剤、抗昆虫刺傷薬、抗偏頭痛薬、筋弛緩剤、抗麻酔薬、血漿蛋白分画剤、向精神薬、抗パーキンソン、アルツハイマー、エイズ、アンチウォーズ(anti−wards)、抗癌、ビスフォスフォネートなどの抗骨粗鬆症薬、および遺伝物質からなる群から選択される薬物を含めた任意のサイズを有する任意の分子を移送するために使用することができることを理解されたい。ビタミン、美容食品、および栄養補給食品からなる活性成分の群から選択される分子を、本発明のソノポレーション法を使用して角質層を介して移送することもできる。
【0038】
音波および/または超音波放射線は、連続であっても、パルスであってもよく、周波数が1KHz〜5MHzの範囲内にある。パルス音波および/または超音波放射線は、試料の温度を上昇させないという利点を有し、連続する超音波は、短い治療時間で済むという利点を有する。音波および/または超音波放射線は、連続露出では約30秒〜1分の範囲内の時間間隔にわたって適用することができ、5%デューティサイクルでのパルス露出では、10分〜20分の範囲にわたって適用することができる。
【0039】
本発明の多くの特徴および利点は詳細な明細書から明らかであり、したがって、頭記の特許請求の範囲により、本発明の真の精神および範囲に従う上述の装置の全てのそのような特徴および利点をカバーできるものとする。さらに、当業者には多数の修正および変更が容易に想起されるので、本明細書で上述した正確な構成および動作に本発明を限定するのは望ましくない。さらに、本発明の方法および装置、ならびに医療適用例で使用される関連装置および方法は、性質上、複雑になる傾向があり、動作パラメータの適切な値を実験により求めることによって、または所与の適用例に関する最良の設計に到達するようにコンピュータ・シミュレーションを行うことによってしばしば最良に実施される。したがって、他の実施形態も頭記の特許請求の範囲の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【図1】
皮膚のインビトロ・ソノポレーション用の装置の概略図である。
【図2】
超音波ホーンの概略図である。
【図3】
パルス超音波を示すグラフである。
【図4】
図1の試料ホルダ・アセンブリの断面図である。
【図5】
人の皮膚の試料の概略断面図である。
【図6】
図5の角質層領域Aの詳細図である。
【図7】
音波および/または超音波放射線に露出中の人の皮膚の試料の概略断面図である。
【図8】
音波および/または超音波放射線に露出した後の人の皮膚の試料の概略断面図である。
【図9】
超音波に露出する前の倍率40倍での角質層試料の光学的画像である。
【図10】
本発明による超音波に露出した後の倍率40倍での角質層試料の光学的画像である。
【図11】
図11は、角質層(SC)試料の上面からの超音波ホーンの距離に応じた、SC試料を介する2.5kDaオクタ−l−リジン−FITCのフラックスを示すグラフである。図11Aは、超音波強度18W/cm2での超音波ジェットの概略図である。図11Bは、超音波強度37W/cm2での超音波ジェットの概略図である。図11Aは、超音波強度55W/cm2での超音波ジェットの概略図である。
【図12】
超音波強度に応じた、角質層(SC)試料を介する2.5kDaオクタ−l−リジン−FITCのフラックスを示すグラフである。
【図13】
超音波露出時間に応じた、角質層(SC)試料を介する2.5kDaオクタ−l−リジン−FITCのフラックスを示すグラフである。
【図14】
2.5kDaオクタ−l−リジン−FITCに露出された人の表皮の断面の共焦顕微鏡検査画像である。
【図15】
2.5kDaオクタ−l−リジン−FITCと、音波および/または超音波放射線とに露出された人の表皮の断面の共焦顕微鏡画像である。
Claims (45)
- 角質層に孔を形成する方法であって、
角質層の表面領域に水性材料を塗布すること、および水性材料に音波および/または超音波放射を当てることを含み、前記音波および/または超音波放射が、10KHzから5MHzの範囲の周波数を有し、かつ角質層の前記表面領域にキャビテーション・バブルを発生させるのに有効な強度、期間、および角質層の前記表面領域からの距離を隔てて当てられ、前記キャビテーション・バブルが潰れてそのエネルギーが角質層に伝達され、孔の形成を引き起こす方法。 - 前記超音波の周波数が20KHzである請求項1に記載の方法。
- 前記超音波の強度が5W/cm2から55W/cm2の範囲内である請求項1に記載の方法。
- 前記距離が1ミリメートルから10ミリメートルの範囲内である請求項1に記載の方法。
- 前記距離が4ミリメートルである請求項1に記載の方法。
- 前記期間が、音波および/または超音波放射に連続的に曝される場合は約30秒から1分の範囲内である請求項1に記載の方法。
- 前記期間が、5%のデューティサイクルで音波および/または超音波放射にパルス状態で曝される場合は10分から20分の範囲内である請求項1に記載の方法。
- 前記音波および/または超音波放射が連続的である請求項1に記載の方法。
- 前記音波および/または超音波放射がパルス状態である請求項1に記載の方法。
- 前記孔の直径が1マイクロメートルから100マイクロメートルの範囲内である請求項1に記載の方法。
- 角質層を横切るように分子を輸送する方法であって、
前記分子を含有する水性材料を角質層の表面領域に塗布すること、
音波および/または超音波放射を前記水性材料に当てることを含み、前記音波および/または超音波放射が、10KHzから5MHzの範囲の周波数を有し、かつ角質層の前記表面領域にキャビテーション・バブルを発生させるのに有効な強度、期間、および角質層の前記表面領域からの距離を隔てて当てられ、キャビテーション・バブルが潰れてそのエネルギーが角質層に伝達され、孔の形成が引き起こされ、
前記音波および/または超音波放射が、超音波ジェットを発生させるのに有効な、強度および角質層からの距離を隔てて当てられ、前記超音波ジェットにより前記分子を角質層全体に形成された前記孔内に通す方法。 - 前記分子の分子量が18Daから100kDaの範囲内である請求項11に記載の方法。
- 前記音波および/または超音波放射が連続的である請求項11に記載の方法。
- 前記音波および/または超音波放射がパルス状態である請求項11に記載の方法。
- 前記超音波の周波数が20KHzである請求項11に記載の方法。
- 前記超音波の強度が5W/cm2から55W/cm2の範囲内である請求項11に記載の方法。
- 前記距離が1ミリメートルから10ミリメートルの範囲内である請求項11に記載の方法。
- 前記距離が4ミリメートルである請求項11に記載の方法。
- 前記期間が、音波および/または超音波放射に連続的に曝される場合は30秒から1分の範囲内である請求項11に記載の方法。
- 前記期間が、5%のデューティサイクルで音波および/または超音波放射にパルス状態で曝される場合は10分から20分の範囲内である請求項11に記載の方法。
- 前記孔の直径が1マイクロメートルから100マイクロメートルの範囲内である請求項11に記載の方法。
- 前記分子が、鎮痛薬、麻酔薬、抗生物質、抗凝血剤、解毒剤、抗ヒスタミン剤、種々の抗感染薬、抗炎症性のステロイド系および非ステロイド系、抗腫瘍薬、抗ウイルス薬、食欲抑制剤、生物学的製剤、心・血管作動薬、避妊薬、中枢神経興奮薬、皮膚用製剤、糖尿病治療薬、酵素および消化薬、抗真菌剤、発毛剤、ヘルペス治療薬、ホルモン、免疫抑制薬、虫刺され予防薬、片頭痛治療薬、筋弛緩薬、麻薬拮抗薬、血漿蛋白分画、向精神薬、パーキンソン治療薬、アルツハイマー治療薬、エイズ治療薬、アンチワード、制癌剤、骨粗しょう症治療薬、遺伝物質からなる群から選択される薬物である請求項11に記載の方法。
- 前記分子が、ビタミン、薬用化粧品、および薬用栄養剤からなる群から選択される活性成分である請求項11に記載の方法。
- 角質層に孔を形成するための装置において、
水性材料が入っている容器であって、水性材料が角質層の表面領域に接触するように角質層の表面領域に取着可能な容器と、
前記容器内に沈められ、前記水性材料に音波および/または超音波放射を当てる超音波ホーンとを含み、前記音波および/または超音波放射が、10KHzから5MHzの範囲の周波数を有し、かつ角質層の前記表面領域にキャビテーション・バブルを発生させるのに有効な強度、期間、および角質層の前記表面領域からの距離を隔てて当てられ、前記キャビテーション・バブルが潰れてそのエネルギーが角質層に伝達され、角質層に孔が形成される装置。 - 前記超音波の周波数が20KHzである請求項24に記載の装置。
- 前記超音波の強度が5W/cm2から55W/cm2の範囲内である請求項24に記載の装置。
- 前記距離が1ミリメートルから10ミリメートルの範囲内である請求項24に記載の装置。
- 前記距離が4ミリメートルである請求項24に記載の装置。
- 前記期間が、音波および/または超音波放射に連続的に曝される場合は約30秒から1分の範囲内である請求項24に記載の装置。
- 前記期間が、5%のデューティサイクルで音波および/または超音波放射にパルス状態で曝される場合は10分から10分の範囲内である請求項24に記載の装置。
- 前記音波および/または超音波放射が連続的である請求項24に記載の装置。
- 前記音波および/または超音波放射がパルス状態である請求項24に記載の装置。
- 前記孔の直径が1マイクロメートルから100マイクロメートルの範囲内である請求項24に記載の装置。
- 角質層を横切るように分子を輸送するための装置において、
水性材料および前記分子が入っている容器であって、水性材料および前記分子が角質層の表面領域に接触するように角質層の表面領域に取着されている容器と、
前記容器内に沈められ、前記水性材料に音波および/または超音波放射を当てる超音波ホーンとを含み、前記音波および/または超音波放射が、10KHzから5MHzの範囲の周波数を有し、角質層の前記表面領域にキャビテーション・バブルを発生させるのに有効な強度、期間、および角質層の前記表面領域からの距離を隔てて当てられ、前記キャビテーション・バブルが潰れてそのエネルギーが角質層に伝達され、角質層に孔の形成が生じ、
前記音波および/または超音波放射が、超音波ジェットを発生させるのに有効な強度および角質層からの距離を隔てて当てられ、前記超音波ジェットにより前記分子を角質層全体に形成された前記孔内に通す装置。 - 前記超音波の周波数が20KHzである請求項34に記載の装置。
- 前記超音波の強度が5W/cm2から55W/cm2の範囲内である請求項34に記載の装置。
- 前記距離が1ミリメートルから10ミリメートルの範囲内である請求項34に記載の装置。
- 前記距離が4ミリメートルである請求項34に記載の装置。
- 前記期間が、音波および/または超音波放射に連続的に曝される場合は約30秒から1分の範囲内である請求項34に記載の装置。
- 前記期間が、5%のデューティサイクルで音波および/または超音波放射にパルス状態で曝される場合は10分から20分の範囲内である請求項34に記載の装置。
- 前記音波および/または超音波放射が連続的である請求項34に記載の装置。
- 前記音波および/または超音波放射がパルス状態である請求項34に記載の装置。
- 前記孔の直径が1マイクロメートルから100マイクロメートルの範囲内である請求項34に記載の装置。
- 前記分子が、鎮痛薬、麻酔薬、抗生物質、抗凝血剤、解毒剤、抗ヒスタミン剤、種々の抗感染薬、抗炎症性のステロイド系および非ステロイド系、抗腫瘍薬、抗ウイルス薬、食欲抑制剤、生物学的製剤、心・血管作動薬、避妊薬、中枢神経興奮薬、皮膚用製剤、糖尿病治療薬、酵素、消化薬、抗真菌剤、発毛剤、ヘルペス治療薬、ホルモン、免疫抑制薬、虫刺され予防薬、片頭痛治療薬、筋弛緩薬、麻薬拮抗薬、血漿蛋白分画、向精神薬、パーキンソン治療薬、アルツハイマー治療薬、エイズ治療薬、アンチワード、制癌剤、骨粗しょう症治療薬、遺伝物質からなる群から選択される薬物である請求項34に記載の装置。
- 前記分子が、ビタミン、薬用化粧品、および薬用栄養剤からなる群から選択される活性成分である請求項34に記載の装置。
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