JP2004519449A - 特異的開裂性結合単位を有するインテグリン受容体拮抗薬と細胞増殖抑制剤との複合体 - Google Patents
特異的開裂性結合単位を有するインテグリン受容体拮抗薬と細胞増殖抑制剤との複合体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004519449A JP2004519449A JP2002552585A JP2002552585A JP2004519449A JP 2004519449 A JP2004519449 A JP 2004519449A JP 2002552585 A JP2002552585 A JP 2002552585A JP 2002552585 A JP2002552585 A JP 2002552585A JP 2004519449 A JP2004519449 A JP 2004519449A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- substituted
- alkyl
- formula
- butyl
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
- 0 *Cc1ccc[o]1 Chemical compound *Cc1ccc[o]1 0.000 description 13
- YQOPNAOQGQSUHF-UHFFFAOYSA-N CC(C)N1CCCC1 Chemical compound CC(C)N1CCCC1 YQOPNAOQGQSUHF-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- HINMGNHBDCADKG-UHFFFAOYSA-N CC(C)c1c[nH]cn1 Chemical compound CC(C)c1c[nH]cn1 HINMGNHBDCADKG-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- PFYPDUUXDADWKC-UHFFFAOYSA-N CC(C)c1ncccc1 Chemical compound CC(C)c1ncccc1 PFYPDUUXDADWKC-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- VWSLLSXLURJCDF-UHFFFAOYSA-N CC1=NCCN1 Chemical compound CC1=NCCN1 VWSLLSXLURJCDF-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- CXWZCDMNULDCJQ-UHFFFAOYSA-N CCC(CCC1)N1C(C)C Chemical compound CCC(CCC1)N1C(C)C CXWZCDMNULDCJQ-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- NKNMTTQQRVIDAE-UHFFFAOYSA-N CCC1=CCNC=C1 Chemical compound CCC1=CCNC=C1 NKNMTTQQRVIDAE-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- LJGPEMGHVJRWOB-UHFFFAOYSA-N CCC1=NCCC=C1 Chemical compound CCC1=NCCC=C1 LJGPEMGHVJRWOB-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- IHMXVSZXHFTOFN-UHFFFAOYSA-N CCC1OCCC1 Chemical compound CCC1OCCC1 IHMXVSZXHFTOFN-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- MFEIKQPHQINPRI-UHFFFAOYSA-N CCc1cccnc1 Chemical compound CCc1cccnc1 MFEIKQPHQINPRI-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- DWVCPSQPTSNMRX-UHFFFAOYSA-N CNc1ncc[s]1 Chemical compound CNc1ncc[s]1 DWVCPSQPTSNMRX-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- FKNQCJSGGFJEIZ-UHFFFAOYSA-N Cc1ccncc1 Chemical compound Cc1ccncc1 FKNQCJSGGFJEIZ-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- BSKHPKMHTQYZBB-UHFFFAOYSA-N Cc1ncccc1 Chemical compound Cc1ncccc1 BSKHPKMHTQYZBB-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K47/00—Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
- A61K47/50—Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates
- A61K47/51—Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates the non-active ingredient being a modifying agent
- A61K47/54—Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates the non-active ingredient being a modifying agent the modifying agent being an organic compound
- A61K47/55—Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates the non-active ingredient being a modifying agent the modifying agent being an organic compound the modifying agent being also a pharmacologically or therapeutically active agent, i.e. the entire conjugate being a codrug, i.e. a dimer, oligomer or polymer of pharmacologically or therapeutically active compounds
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P35/00—Antineoplastic agents
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P43/00—Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Public Health (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Pharmacology & Pharmacy (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Epidemiology (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
- Medicinal Preparation (AREA)
Abstract
本発明は、メタロマトリックスプロテアーゼ(MMP)のような酵素、即ち、腫瘍組織に特に見出される酵素によって、選択的に開裂される選択された結合単位を介するαvβ3インテグリン拮抗薬への結合の結果として、腫瘍特異作用を有する細胞増殖抑制剤に関する。選択された結合単位は、細胞増殖抑制剤とαvβ3インテグリン拮抗薬との複合体の血清安定性と共に、細胞増殖抑制剤の放出を伴う特異的酵素的または加水分解的開裂の結果として腫瘍細胞内での所望の細胞内作用を、確実なものにする。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタロマトリックスプロテアーゼ(MMP)のような酵素、即ち、腫瘍組織に特に見出される酵素によって、選択的に開裂される選択された結合単位を介するαvβ3インテグリン拮抗薬への結合の結果として、腫瘍特異作用を有する細胞増殖抑制剤に関する。選択された結合単位は、細胞増殖抑制剤とαvβ3インテグリン拮抗薬の複合体の充分な血清安定性を与えると共に、細胞増殖抑制剤の放出を伴う特異的酵素的または加水分解的開裂の結果として腫瘍細胞内での所望の細胞内作用を与える。
【背景技術】
【0002】
癌の化学療法は、腫瘍組織以外の組織型の増殖細胞における、化学療法の毒性作用に起因する一般に重大な副作用を伴う。長年にわたり、化学者は、使用される活性化合物の選択性を向上させるという課題に取り組んでいる。よく使用される方法は、pHの変化によって(Tietzeら、例えば、DE-A-4229903)、酵素によって(例えば、グルクロニダーゼ;Jacquesyら、EP-A-0511917;Bossletら、EP-A-0595133)、または抗体−酵素複合体によって(Bagshaweら、WO 88/07378;Senterら、US-4975278;Bossletら、EP-A-0595133)、標的組織においてある程度選択的に放出されるプロドラッグの合成である。これらの方法における課題は、他の組織および器官における複合体の安定性の不足、特に、腫瘍組織における活性化合物の細胞外放出の結果として起こる遍在する活性化合物分布である。
【0003】
腫瘍細胞表面における顕著なレクチンパターン(Gabius;Onkologie 12, (1989), 175)は、細胞増殖抑制剤への適切な糖質の結合によって、これらを特異的に腫瘍細胞に向かわせる基本的可能性を開く。この可能性は、他の組織においても、特に肝臓において、同様の糖質特異性を有するレクチン(ガラクトース、ラクトース、マンノース、N−アセチルグルコサミン、フコース等)が存在する(Ashwellら、Annu. Rev. Biochem. 46(1982), 531;Stahlら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74 (1977), 1521;Hillら、J. Biol. Chem. 262(1986), 7433;Jansenら、J. Biol. Chem. 266(1991), 3343)という事実によって限定される。従って、この方法において、腫瘍組織への選択性を確立する特定の改質を行わずに糖質を使用した場合、肝臓およびレクチンを多く含む他の器官における、活性化合物含有複合糖質の高濃度を予測すべきである。
【0004】
複素環式アミンバトラシリン(1)は、種々の胃癌モデルにおいて高い抗腫瘍活性を示す(US-4757072):
【化10】
【0005】
高い生体外作用およびより有利な溶解特性を有する(1)のペプチド複合体(US-4180343)は、動物実験において遊離バトラシリンより好ましくない。EP-A-0501250に開示されているバトラシリン(1)のフコース複合体は、肝臓において極めて強く凝集するので不利である。
【0006】
キノロン−a(2)、7−[(3a-R,S, 4-R,S, 7a-S,R)−4−アミノ−1,3,3a,4,7,7a−ヘキサヒドロ−イソ−インドル−2−イル]−8−クロロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸は、顕著な抗細菌活性に加えて、種々の腫瘍細胞系に対して極めて高い活性を有する(EP-A-0520240, JP-4253973)も示す。しかし、それは重大な毒物学的問題(例えば、生体内における遺伝子毒性、骨髄毒性、高急性毒性など)を有する。
【化11】
【0007】
20(S)−カンプトテシンは、1996年にWallら(J. Am. Chem. Soc. 88, 3888(1966))によって単離された5員環アルカロイドである。それは、多くの生体外および生体内試験において高活性抗腫瘍潜在性を有する。しかし、残念なことに、毒性および溶解性の問題の故に、臨床試験において有望な潜在性が得られなかった。
【0008】
E環ラクトンの開環およびナトリウム塩の形成によって、閉環形態とpH依存性平衡にある水溶性化合物が得られた。この場合も、臨床試験は成功していない。
【化12】
【0009】
約20年後、生物学的活性が、トポイソメラーゼIの酵素阻害に起因することが見出された。それ以来、より許容され、かつ生体内において活性なカンプトテシン誘導体を見出す研究活動が再び増加している。
【0010】
水溶性の向上のために、イオン化しうる基を有するA環−およびB環−改質カンプトテシン誘導体の塩および20−O−アシル誘導体の塩が開示されている(Vishnuvajjalaら、US 4943579)。後者のプロドラッグ概念も、後に、改質カンプトテシン誘導体に変換された(Waniら、WO 9602546)。しかし、前記20−O−アシルプロドラッグは、極めて短い生体内半減期を有し、極めて速く開裂して親構造物を生じる。
【0011】
WO 96/31532は、糖質改質細胞増殖抑制剤を開示し、該抑制剤において、血清安定性、ならびに腫瘍細胞内での細胞増殖抑制剤の放出および腫瘍細胞における細胞増殖抑制剤の特定濃度の両方が、選択されたスペーサーおよびリンカー基を介する細胞増殖抑制剤(例えば、バトラシリン、キノロン−a、カンプトテシン)への選択的改質糖質の新規結合によって達成される。
【0012】
インテグリンは、細胞の表面に見出されるヘテロダイマー膜内外タンパク質であり、それらは細胞外マトリックスへの細胞の付着において重要な役割を果たしている。それらは、これらのタンパク質に存在するRGD配列によって、細胞外マトリックスにおいてフィブロネクチンまたはビトロネクチンのような細胞外糖タンパク質を認識する(RGDは、アミノ酸配列アルギニン−グリシン−アスパルテートの1文字コードである)。
【0013】
一般に、インテグリン、例えば、ビトロネクチン受容体(αvβ3受容体、またはαvβ5受容体またはGpIIb/IIIa受容体とも称される)は、細胞移動、新脈管形成および細胞マトリックス付着のような生物学的過程、即ちこれらの過程が重要な段階である疾患において、重要な役割を果たす。癌、骨粗鬆症、動脈硬化症、再狭窄および結膜炎がその例として挙げられる。
【0014】
αvβ3受容体は、例えば、増殖する内皮細胞において多量に存在し、細胞外マトリックスへのそれらの付着を可能にする。このように、αvβ3受容体は、腫瘍成長および癌性疾患における転移形成に極めて必要な、新脈管形成、即ち新しい血管の形成において、重要な役割を果たす。
【0015】
前記の受容体の遮断は、この種の疾患の治療の重要な出発点であることを示すことができた。細胞外マトリックスへの増殖内皮細胞の付着が、例えば環状ペプチドまたはモノクローナル抗体によって、それらの対応するインテグリン受容体を遮断することによって抑制されれば、内皮細胞は死ぬ。従って、新脈管形成は生じず、腫瘍成長の停止または退行を生じる(例えば、Brooksら、Cell, Volume 79, 1157-1164, 1994参照)。
【0016】
さらに、腫瘍細胞の侵襲特性、即ち転移を形成するそれらの能力は、αvβ3受容体が抗体によって遮断された場合に、顕著に減少する(Brooksら、J. Clin. Invest., Volume 96, 1815, 1995)。
【0017】
WO 98/10795は、腫瘍に付着する分子が、機能単位(functional unit)、例えば細胞増殖抑制剤または放射性核種のような検出可能標識に結合している複合体を開示している。特に、インテグリン拮抗薬、例えば、前記のRGD配列を有するペプチドが、腫瘍に付着する分子であると記載されている。ドキソルビシンは、腫瘍に向かうこの種の分子に結合している細胞増殖抑制剤の例として開示されている。
【0018】
WO 98/10795の化合物の場合、腫瘍に向かう分子および機能単位が、それぞれの特性を維持しながら互いに直接的に結合するように、結合が行われる(例えば、p.56, 1. 17〜p.58, 1. 10、および実施例6参照)。この結果、これらの化合物は、腫瘍に向かう単位(entity)の結合によって、腫瘍細胞のすぐ近くで選択的に凝集する(新脈管形成によって新たに形成された内皮細胞において特に発現されるαvβ3インテグリン受容体に結合することによって、αvβ3インテグリン拮抗作用を有する基の場合)が、直接結合の故に、細胞増殖抑制剤のような機能単位は、腫瘍組織の細胞内スペースに放出されない。
【0019】
基本的に、一方で、複合体に見られるαvβ3受容体またはαvβ5インテグリン受容体に向かう部分の作用によって腫瘍組織に選択的に凝集し、他方で、複合体から放出される細胞増殖抑制剤を有する複合体は、WO 98/10795に開示されている複合体と比較して、腫瘍細胞における細胞増殖抑制剤のより直接的な作用の可能性によって、腫瘍組織への増加した毒性作用(toxophoric effect)を有すると考えられる。特に、細胞増殖抑制剤の放出が、腫瘍組織のすぐ近くかまたは腫瘍組織において起こる場合、そのような毒性作用は、さらに高くなると考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
従って、本発明の目的は、αvβ3インテグリン受容体に向かう成分、および、好ましくは腫瘍組織の近くで、複合体から放出しうる細胞増殖抑制剤を含んで成る複合体であって、αvβ3インテグリン受容体に向かう複合体中の成分が、αvβ3インテグリン受容体に結合する能力を維持する複合体を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記の目的は、αvβ3インテグリン受容体に向かう非ペプチド成分、細胞増殖抑制剤、およびメタロマトリックスプロテアーゼ(MMP)のような酵素、即ち腫瘍組織に特に見出される酵素によって選択的に触媒的開裂可能な結合単位を含んで成る複合体によって達成できる。
【0022】
原則として、薬剤含有複合体は、例えばAnti-Cancer Drug Design 10(1995), 1-9、特にp.1に説明されているように、複雑かつ製造困難な化合物である。この文献において、細胞増殖抑制性メトトレキサート、オリゴペプチドスペーサーおよびタンパク質(ヒト血清アルブミン)の複合体が記載されている。しかし、結合単位の種類、ならびに毒作用基(toxophores)および担体(例えば抗体)へのこの単位の結合の型は、結合単位の開裂に影響を与えうることも指摘している(例えば、p.7、第1パラグラフ参照)。従って、この文献は、そこに示されている結合を、他の複合体系に簡単に移せないことを示している。特に、このようにしてαvβ3受容体インテグリン受容体にも向けられている成分が、この手段によってαvβ3インテグリン受容体に向かう成分のαvβ3インテグリン受容体に結合する能力を失わずに、毒作用基に結合しうるかどうかについて記載されていない。
【0023】
WO 96/31532に開示されている結合単位は、少糖基への毒作用基の結合に特に使用される。αvβ3インテグリン受容体にも向けられている成分が、この手段によってαvβ3インテグリン受容体に向かう成分のαvβ3インテグリン受容体に結合する能力を失わずに、このように毒作用基に結合しうるかどうかについて記載されていない。
【0024】
本発明によれば、結合単位は腫瘍関連酵素によって開裂することができる。これは、本発明の複合体の組織特異性をさらに増加させ、それによって、他の組織型において本発明化合物をさらに減少させる。
【0025】
本発明のさらに好ましい態様によれば、腫瘍組織に選択性を有する抗体に結合し、従って腫瘍組織に向かう酵素によって、結合単位を開裂することができる。これはADEPT法とも称される。これも、本発明の複合体の組織特異性をさらに増加させ、それによって他の組織型における本発明の複合体をさらに減少させる。
【0026】
本発明の特に好ましい複合体は、一般式(I)で示される複合体、およびその生理的に許容される塩および立体異性体である:
CT−LI−Sp−IA (I)
[式中、
CTは、細胞毒性基、または細胞増殖抑制剤または細胞増殖抑制性剤誘導体の基を表し、該基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはアミノ基をさらに有してもよく;
LIは、DまたはL配置における5〜8個のアミノ酸残基を有するリンカー基であり、該残基はそれぞれ保護基を有している場合もあり;
Spは、不存在、またはカルボニル基またはチオカルボニル基であり;
IAは、下記から成る群から選択される、αvβ3インテグリン受容体に向かう非ペプチド基である:
A) 式(II)の基:
【化13】
式中、
R1は、OH、置換または非置換アルコキシまたはシクロアルコキシ基、置換または非置換アリールオキシ基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよいヘテロシクリルオキシ基であるか、またはそれを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合またはO、NおよびSから成る群から選択される原子を表す場合もあり;
R2は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、任意に置換されていてよいアルケニル基または任意に置換されていてよいアルキニル基であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり、または−NR2 ’ 2、−NR2 ’SO2R2 ’’、−NR2 ’COOR2 ’’、−NR2 ’COR2 ’、−NR2 ’CONR2 ’ 2、または−NR2 ’CSNR2 ’ 2であり;
R2 ’は、互いに独立に、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であるか、またはそれを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もあり;
R2 ’’は、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
Uは、直接結合または置換または非置換アルキレン基であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
Vは、置換または非置換アルキレン基、−NR2 ’CO−または−NR2 ’SO2−であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
AおよびBは、互いに独立に、1,3−または1,4−架橋した、さらに置換されていることもあるフェニレン基であり;
Wは、直接結合または置換または非置換アルキレン基であり;
Cは、不存在であるかまたは
【化14】
であり;
R3は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、アルキルアミン基、アルキルアミド基であるか、または存在する場合にR4、Y、R5またはR6の1つに結合して、任意に置換されていてよい複素環系を形成し、該環系は、R3が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R4は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、アルキルアミン基、アルキルアミド基であるか、または存在する場合にR3、Y、R5またはR6の1つに結合して、任意に置換されていてよい複素環系を形成し、該環系は、R4が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もあり;
Xは、O、NまたはSであり;
mは、0または1であり;
Yは、直接結合または任意に置換されていてよいアルキレンまたはアルキン基であり;
R5は、不存在、−NO2、−CN、−COR5 ’、−COOR5 ’であるか、または存在する場合にR3、Y、R4またはR6の1つに結合して、任意に置換されていてよい炭素環または複素環系を形成し、該環系は、Xを含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく:
R5 ’は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、該複素環式基は、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R6は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、アルキルアミン基、アルキルアミド基であるか、または存在する場合にR3、R4、YまたはR5の1つに結合して、任意に置換されていてよい複素環系を形成し、該環系は、R6が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよい;
または、
B) 式(III)の基:
【化15】
式中、
R7は、OH、置換または非置換アルコキシまたはシクロアルコキシ基、置換または非置換アリールオキシ基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよいヘテロシクリルオキシ基であるか、またはそれを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表す場合もあり;
R8は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、任意に置換されていてよいアルケニル基または任意に置換されていてよいアルキニル基、ヒドロキシル基またはアルコキシ基であるか、またはR9に結合して、任意に置換されていてよい炭素環または複素環系を形成し、該環系は、R8が結合している炭素原子を含み、ヘテロ原子を任意に含有してもよく;
R9は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、任意に置換されていてよいアルケニル基、任意に置換されていてよいアルキニル基、ヒドロキシル基またはアルコキシ基であるか、またはR8に結合して、任意に置換されていてよい炭素環または複素環系を形成し、該環系は、R9が結合している炭素原子を含み、ヘテロ原子を任意に含有してもよく;
R10は、−SO2R10 ’、−COOR10 ’’、−COR10 ’、−CONR10 ’ 2、または−CS−NR10 ’ 2であるか、またはそれを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している場合もある直接結合を表し;
R10 ’は、互いに独立に、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、であり、それを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
R10 ’’は、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、それを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
R11は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、または置換または非置換アリール基であり;
R16は、水素、CN、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アルコキシ基、またはハロゲン原子であり;
R17は、水素、CN、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アルコキシ基、またはハロゲン原子であり;
Lは、−(CH2)nNHSO2(CH2)o−、−(CH2)nSO2NH(CH2)o−、
−(CH2)nNH−CO(CH2)o−、−(CH2)nCONH(CH2)o−、
−(CH2)nOCH2(CH2)o−、−(CH2)nCH2O(CH2)o−、
−(CH2)nCOO(CH2)o−、−(CH2)nOOC−(CH2)o−、
−(CH2)nCH2CO(CH2)o−、−(CH2)nCOCH2(CH2)o−、
−NHCONH−、−(CH2)nSCH2(CH2)o−、−(CH2)nCH2S(CH2)o−、
−(CH2)nCH2SO(CH2)o−、−(CH2)nSOCH2(CH2)o−、
−(CH2)nCH2−SO2(CH2)o−、または−(CH2)nSO2CH2(CH2)o−であり、nおよびoは、それぞれ0または1の整数であり、n+o≦1であり;
R12は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であるか、または存在する場合にR13、R14またはR15の1つに結合して、任意に置換されていてよい複素環系を形成し、該環系は、R12が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
X'は、N、OまたはSであり;
pは、0または1であり;
R13は、不存在であるか、または−H、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、−NO2、−CN、−COR13 ’、−COOR13 ’であるか、またはR12、R14またはR15の1つに結合して、任意に置換されていてよい複素環系を形成し、該環系はX'を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R13 ’は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、該複素環式基は、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
Y'は、NまたはSであり;
R14は、不存在であるか、または水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であるか、または存在する場合にR12、R13またはR15の1つに結合して、任意に置換されていてよい複素環系を形成し、該環系は、R14が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R15は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であるか、または存在する場合にR12、R13またはR14の1つに結合して、任意に置換されていてよい複素環系を形成し、該環系は、R15が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく、またはそれを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もある;
または、
C) 式(IV)の基:
【化16】
式中、
R18は、OH、置換または非置換アルコキシまたはシクロアルコキシ基、置換または非置換アリールオキシ基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよいヘテロシクリルオキシ基であるか、またはそれを介して式(IV)の基が複合体の残部に結合している直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表す場合もあり;
qは、0または1であり;
R19は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、アルキルアミン基、アルキルアミド基であるか、またはそれを介して式(IV)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もある]。
【0027】
好ましい態様による式(I)の複合体のうち、下記のような複合体が好ましい:
LIは、下記の式:
−AA1−AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−AA7−AA8−
で示されるリンカー基であり、
式中、
少なくとも5個の基AA1〜AA8が存在し、AA1は基CTに結合し;
AA1は、DまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、グルタメート、アスパルテート、セリン、リシン、オルニチンおよびフェニルアラニンから成る群から選択され;
AA2は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、アラニン、バリン、フェニルアラニン、チロシン、スレオニン、セリン、イソロイシン、リシン、グルタメート、ヒスチジン、グリシン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、S−メチル−システイン、メチオニン、アルギニン、アスパルテート、トリプトファン、プロリン、オルニチンおよびロイシンから成る群から選択され、保護基を有する場合もあり;
AA3は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、アラニン、バリン、フェニルアラニン、チロシン、セリン、イソロイシン、リシン、グルタメート、ヒスチジン、グリシン、アルギニン、アスパルテート、トリプトファン、プロリン、オルニチン、メチオニン、S−メチル−システイン、ノルバリンおよびロイシンから成る群から選択され、保護基を有する場合もあり;
AA4は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、システインおよびノルバリンから成る群から選択され;
AA5は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、プロリン、メチオニン、フェニルアラニンおよびシステインから成る群から選択され;
AA6は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパルテートおよびプロリンから成る群から選択され;
AA7は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、γ−アミノ酪酸、アスパルテート、グルタメート、リシンおよびプロリンから成る群から選択され;
AA8は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、リシン、プロリンおよびγ−アミノ酪酸から成る群から選択され;
他の基CT、SpおよびIAは、前記と同じ意義を有する。
【0028】
下記のような式(I)の複合体が特に好ましい:
LIは、下記の式:
−AA1−AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−AA7−AA8−
で示されるリンカー基であり、
式中、
5〜7個の基AA1〜AA8が存在し、AA1は基CTに結合し;
AA1は、バリン、グリシン、ロイシン、ヒスチジンであり;
AA2は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、アラニン、フェニルアラニン、セリン、イソロイシン、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、グリシン、アスパルテート、トリプトファン、プロリンおよびロイシンから成る群から選択され、保護基を有する場合もあり;
AA3は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、アラニン、フェニルアラニン、セリン、イソロイシン、ノルバリン、S−メチル−システイン、メチオニン、グルタメート、ヒスチジン、グリシン、アスパルテート、トリプトファンおよびロイシンから成る群から選択され、保護基を有する場合もあり;
AA4は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、ロイシン、システインおよびノルバリンから成る群から選択され、保護基を有する場合もあり;
AA5は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、ヒスチジン、グルタミン、フェニルアラニン、イソロイシンおよびメチオニンから成る群から選択され;
AA6は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、プロリン、グルタミン、メチオニンおよびロイシンから成る群から選択され;
AA7は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、ロイシン、アスパルテート、ヒスチジン、γ−アミノ酪酸およびプロリンから成る群から選択され;
AA8は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、プロリンおよびγ−アミノ酪酸から成る群から選択され;
他の基CT、SpおよびIAは、前記と同じ意義を有する。
【0029】
好ましい態様による式(I)の複合体のうち、下記のような複合体が好ましい:
CTは、カンプトテシンまたはカンプトテシン誘導体であり、C20−OH基を介して複合体の残部に結合していてもよく;
LIは、前記と同じ意義を有し;
Spは、不存在であるか、またはカルボニル基またはチオカルボニル基であり;
IAは、αvβ3インテグリン受容体に向かう式(II)の非ペプチド基を表し:
式中、
R1は、OH、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、シクロプロポキシ、シクロプロピルメトキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ、シクロヘキソキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、トリルオキシまたはそれらの置換誘導体であるか、またはそれを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表す場合もあり;
R2は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、任意に置換されていてよいアルキニル基または任意に置換されていてよいアルケニル基であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり、または−NR2 ’ 2、−NR2 ’SO2R2 ’’、−NR2 ’COOR2 ’’、−NR2 ’COR2 ’、−NR2 ’CONR2 ’ 2、または−NR2 ’CSNR2 ’ 2であり;
R2 ’は、互いに独立に、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体であるか、またはそれを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もあり;
R2 ’’は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、−C6H2(CH3)3、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、2−クロロフェニル、4−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、2,5−ジクロロフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、カンフォル−10−イル、4−t−ブチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、3−クロロフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2−ナフチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリンまたは8−キノリニルであり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
Uは、直接結合であり;
Vは、任意に置換されていてよいC1 〜 5アルキレン基であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
Aは、非置換であるかまたは少なくとも1個のアルコキシ基を有する1,3−または1,4−架橋フェニレン基であり;
Bは、非置換であるかまたは少なくとも1個のアルキル基を有する1,3−または1,4−架橋フェニレン基であり;
Wは、直接結合であるか、または任意に置換されていてよいC1 〜 4アルキレン基であり;
Cは、直接結合であるか、または
【化17】
であり;
R3は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、
【化18】
であるか、または存在する場合にR4、Y、R5またはR6の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R3が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R4は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR3、Y、R5またはR6の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R4が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく、またはそれを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もあり;
Xは、O、NまたはSであり;
Yは、直接結合であるか、または置換または非置換メチレンまたはメチン基であり;
R5は、不存在であるか、または−NO2、−CN、−COR5 ’、−COOR5 ’であるか、または存在する場合にR3、Y、R4またはR6の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員の炭素環または複素環系を形成し、該環系は、Xを含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R5 ’は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体であり;
R6は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR3、Y、R4またはR5の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R6が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよい。
【0030】
この好ましい態様における式(I)の特に好ましい複合体は、R1が直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表し、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合し、式(II)の他の基は前記と同じ意義を有する複合体である。
【0031】
同様に、この好ましい態様における式(I)の特に好ましい複合体は、R4が直接結合を表し、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合し、式(II)の他の基は前記と同じ意義を有する複合体である。
【0032】
同様に、この好ましい態様における式(I)の特に好ましい複合体は、式(II)の基が、カルボキシル基に対してαまたはβ位置にある基を介して複合体の残部に結合し、式(II)の他の基は前記と同じ意義を有する複合体である。
【0033】
さらに好ましい態様による式(I)の複合体のうち、下記のような複合体が好ましい:
CTは、カンプトテシンまたはカンプトテシン誘導体であり、C20−OH基を介して複合体の残部に結合していてもよく;
LIは、前記と同じ意義を有し;
Spは、不存在であるか、またはカルボニル基またはチオカルボニル基であり;
IAは、αvβ3インテグリン受容体に向かう式(II)の非ペプチド基であり:
式中、
R1は、OH、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、シクロプロポキシ、シクロプロピルメトキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ、シクロヘキソキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、トリルオキシまたはそれらの置換誘導体であるか、またはそれを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表す場合もあり;
R2は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、4−アミノベンジル、トリル、フェニルエチル、4−アミノベンジルのような置換誘導体、またはそれらの飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環類似体、任意に置換されていてよいアルケニル基、任意に置換されていてよいアルキニル基であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
Uは、直接結合であるか、または任意に置換されていてよいC1 〜 3アルキレン基、例えば−CH(C6H4−3−NH)−または−CH(C6H4−4−NH)−であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
Vは、−NR20CO−または−NR20SO2−であり;
R20は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、トリル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェノキシエチルまたはそれらの置換誘導体であり;
Aは、非置換であるかまたは少なくとも1個のアルコキシ基を有する1,3−または1,4−架橋フェニレン基であり;
Bは、非置換であるかまたは少なくとも1個のアルキル基を有する1,3−または1,4−架橋フェニレン基であり;
Wは、直接結合であるか、または任意に置換されていてよいC1 〜 3アルキレン基であり;
Cは、
【化19】
であり;
R3は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR4、YまたはR6の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R3が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R4は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR3、YまたはR6の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R4が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく、またはそれを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もあり;
Xは、OまたはSであり;
Yは、直接結合であるか、または置換または非置換メチレンまたはメチン基であり;
R5は、不存在であり;
R6は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR3、YまたはR4の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R6が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよい。
【0034】
このさらに好ましい態様における、式(I)の特に好ましい複合体は、R1が直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表し、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合し、式(II)の他の基は前記と同じ意義を有する複合体である。
【0035】
同様に、このさらに好ましい態様における式(I)の特に好ましい複合体は、R4が直接結合を表し、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合し、式(II)の他の基は前記と同じ意義を有する複合体である。
【0036】
同様に、このさらに好ましい態様における式(I)の特に好ましい複合体は、式(II)の基が、カルボキシル基に対してαまたはβ位置にある基を介して複合体の残部に結合し、式(II)の他の基は前記と同じ意義を有する複合体である。
【0037】
さらに好ましい態様による式(I)の複合体のうち、下記のような複合体が特に好ましい:
CTは、C20−OH基を介して複合体の残部に結合していてもよいカンプトテシンであり;
LIは、前記と同じ意義を有し;
Spは、不存在であるか、またはカルボニル基またはチオカルボニル基であり;
IAは、αvβ3インテグリン受容体に向かう式(III)の非ペプチド基である:
式中、
R7は、OH、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、シクロプロポキシ、シクロプロピルメトキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ、シクロヘキソキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、トリルオキシまたはそれらの置換誘導体、またはそれを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表す場合もあり;
R8は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、−OH、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ベンジルオキシであるか、またはR9に結合して、任意に置換されていてよい3〜6員の炭素環または複素環系を形成し、該環は、R8が結合している炭素原子を含み、ヘテロ原子を任意に含有してもよく;
R9は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、−OH、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシであるか、またはR8に結合して、任意に置換されていてよい3〜6員の炭素環または複素環系を形成し、該環系は、R9が結合している炭素原子を含み、ヘテロ原子を任意に含有してもよく;
R10は、−SO2R10 ’、−COOR10 ’’、−COR10 ’、−CONR10 ’ 2、または−CSNR10 ’ 2であるか、またはそれを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している場合もある直接結合を表し;
R10 ’は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、−C6H2(CH3)3、−C6(CH3)5、−CH2C6H2(CH3)3、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−クロロフェニルメチル、2,4−ジクロロフェニルメチル、2,6−ジクロロフェニルメチル、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、2−メトキシカルボニルフェニルメチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、フェニルメチル、2−アセトアミド−4−メチルチアゾル−5−イル、フェニルエチル、1−フェニルプロピル、(S)−(+)−カンフォル−10−イル、(R)−(−)−カンフォル−10−イル、2−フェニルエテニル、2−チオフェニル、4−メトキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−プロピルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリン、4−アセトアミドフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、5−クロロ−3−メチルベンゾチアゾル−2−イル、N−メトキシカルボニルピペリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、イソオキサゾル−5−イル、エトキシ、2−クロロピリジン−3−イル、ピリジン−3−イル、ベンジルオキシ、5−メチルイソオキサゾル−3−イル、1−アダマンチル、4−クロロフェノキシメチル、2,2−ジメチルエテニル、2−クロロピリジン−5−メチル、5,7−ジメチル−1,3,4−トリアザインドリジン−2−イル、(S)−カンファン−1−イル、(R)−カンファン−1−イルまたは8−キノリニルであり;
R10 ’’は、C1 〜 6アルキル基、C3 〜 7シクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、それを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
R11は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルコキシ−C1 〜 4アルキル、ジアルキルアミノC1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、または
【化20】
であり;
R16は、水素、CN、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシまたはヘキソキシ、弗素、塩素、臭素または沃素であり;
R17は、水素、CN、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシまたはヘキソキシ、弗素、塩素、臭素または沃素であり;
Lは、−NHSO2−、−CH2NHSO2−、−NHSO2CH2−、−SO2NH−、−CH2SO2NH−、−SO2NHCH2−、−NHCO−、−CH2NHCO−、−NHCOCH2−、−CONH−、−CH2CONH−、−CONHCH2−、−OCH2−、−CH2OCH2−、−OCH2CH2−、−CH2O−、または−CH2CH2O−であり;
R12は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR13、R14またはR15の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R12が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
X'は、N、OまたはSであり;
pは、0または1であり;
R13は、不存在であるか、または−H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、−NO2−、−CN、−COR7 ’、−COOR7 ’であるか、またはR12、R14またはR15の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員の炭素環または複素環系を形成し、該環系はX'を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R13 ’は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体であり;
Y'は、NまたはSであり;
R14は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR12、R13またはR15の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R14が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R15は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR12、R13またはR14の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R15が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく、またはそれを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もある。
【0038】
このさらに好ましい態様における式(I)の特に好ましい複合体は、R7が、直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表し、それを介して式(III)の基が複合体の残部に結合し、式(III)の他の基は前記と同じ意義を有する複合体である。
【0039】
同様に、このさらに好ましい態様における式(I)の特に好ましい複合体は、R15が直接結合を表し、それを介して式(III)の基が複合体の残部に結合し、式(III)の他の基は前記と同じ意義を有する複合体である。
【0040】
同様に、このさらに好ましい態様における式(I)の特に好ましい複合体は、式(III)の基が、カルボキシル基に対してαまたはβ位置にある基を介して複合体の残部に結合し、式(III)の他の基は前記と同じ意義を有する複合体である。
【0041】
さらに好ましい態様によれば、R18が直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表し、それを介して式(IV)の基が複合体の残部に結合し、式(IV)の他の基は前記と同じ意義を有する式(I)の複合体が好ましい。
【0042】
同様に、このさらに好ましい態様における式(I)の特に好ましい複合体は、R19が直接結合を表し、それを介して式(IV)の基が複合体の残部に結合し、式(IV)の他の基は前記と同じ意義を有する複合体である。
【0043】
本発明の式(I)の化合物は、その塩の形態で存在することもできる。一般に、有機または無機塩基または酸との塩を本明細書に記載する。
【0044】
特に、本発明の式(I)の化合物は、生理的に許容されるその塩の形態で使用しうる。生理的に許容される塩は、本発明において、非毒性の塩を意味するものと理解され、該塩は、この目的に一般に使用される無機または有機塩基または酸と、本発明の式(I)の化合物との反応によって一般に得られる。本発明の式(I)の化合物の好ましい塩の例は、対応するアルカリ金属塩、例えば、リチウム、カリウムまたはナトリウム塩、対応するアルカリ土類金属塩、例えば、マグネシウムまたはカルシウム塩、第四アンモニウム塩、例えば、トリエチルアンモニウム塩、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、二炭酸塩、二硫酸塩、二酒石酸塩、硼酸塩、臭化物、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、二塩酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、ヘキシルレゾルシネート、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、沃化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシレート、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、硝酸塩、オレイン酸塩、蓚酸塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、燐酸塩、二燐酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、琥珀酸塩、酒石酸塩、トシレート、吉草酸塩、および医学目的に使用される他の塩である。
【0045】
本発明は、本発明化合物の個々のエナンチオマーまたはジアステレオマーおよび対応するラセミ化合物、ジアステレオマー混合物の両方、および塩を包含する。さらに、前記の化合物の全ての可能な互変異性体形態も本発明に含まれる。さらに、本発明は、式(I)の化合物の純粋なEおよびZ異性体、およびあらゆる比率のそれらのE/Z混合物の両方を含む。ジアステレオマー混合物またはE/Z混合物は、クロマトグラフィー法によって個々の異性体に分離することができる。ラセミ化合物は、キラル相(chiral phases)におけるクロマトグラフィー法、または分割によって、各エナンチオマーに分離することができる。
【0046】
本発明に関して、置換基は、他に記載がなければ下記の意味を一般に有する。
【0047】
アルキルは、1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基を一般に意味する。例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、オクチルおよびイソオクチル、ノニル、デシル、ドデシル、エイコシルである。
【0048】
アルケニルは、2〜20個の炭素原子を有し、1つまたはそれ以上、好ましくは1つまたは2つの二重結合を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基を一般に意味する。例は、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、イソヘキセニル、ヘプテニル、イソヘプテニル、オクテニル、イソオクテニルである。
【0049】
アルキニルは、2〜20個の炭素原子を有し、1つまたはそれ以上、好ましくは1つまたは2つの三重結合を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基を一般に意味する。例は、エチニル、2−ブチニル、2−ペンチニルおよび2−ヘキシニルである。
【0050】
アシルは、カルボニル基を介して結合している、1〜9個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖低級アルキルを一般に意味する。例は、アセチル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、ブチルカルボニルおよびイソブチルカルボニルである。
【0051】
アルコキシは、1〜14個の炭素原子を有し、酸素原子を介して結合している直鎖または分岐鎖炭化水素を一般に意味する。例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ヘキソキシ、イソヘキソキシ、ヘプトキシ、イソヘプトキシ、オクトキシまたはイソオクトキシである。「アルコキシ」および「アルキルオキシ」は同義語的に使用される。
【0052】
アルコキシアルキルは、8個までの炭素原子を有するアルコキシ基によって置換されている、8個までの炭素原子を有するアルキル基を一般に意味する。
【0053】
アルコキシカルボニルは、例えば、式:
【化21】
によって示すことができる。
式中のアルキルは、1〜13個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基を一般に意味する。アルコキシカルボニル基の例は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニルまたはイソブトキシカルボニルである。
【0054】
シクロアルキルは、3〜8個の炭素原子を有する環状炭化水素基を一般に意味する。シクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが好ましい。例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルである。
【0055】
本発明におけるシクロアルコキシは、その炭化水素基がシクロアルキル基であるアルコキシ基を意味する。シクロアルキル基は、一般に8個までの炭素原子を有する。例は、シクロプロピルオキシおよびシクロヘキシルオキシである。「シクロアルコキシ」および「シクロアルキルオキシ」という用語は、同義語的に使用される。
【0056】
アリールは、6〜10個の炭素原子を有する芳香族基を意味する。好ましいアリール基は、フェニル、ベンジルおよびナフチルである。
【0057】
本発明におけるハロゲンは、弗素、塩素、臭素および沃素を意味する。
【0058】
本発明における複素環は、S、Nおよび/またはOから成る群から選択される3個までのヘテロ原子を含有し、窒素原子の場合は、それを介して結合することもできる、飽和、不飽和または芳香族の3〜10員、例えば5〜6員の複素環を一般に意味する。例は、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、チエニル、フリル、ピロリル、ピロリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1,2,3−トリアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、モルホリニルまたはピペリジルである。チアゾリル、フリル、オキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニルおよびテトラヒドロピラニルが好ましい。「ヘテロアリール」(または「ヘタリール」)は、芳香族複素環式基を意味する。
【0059】
本発明の複合体は、細胞毒性基、または細胞増殖抑制剤または細胞増殖抑制剤誘導体の基が、結合単位を介して、αvβ3インテグリン受容体に向かう非ペプチド成分に結合していることを特徴とする。
【0060】
αvβ3インテグリン受容体に向かう複合体の非ペプチド成分は、複合体の毒作用基部分を、腫瘍細胞にまたは腫瘍細胞の近くに運ぶ働きをし、そのようにして組織選択性を与える。増殖する腫瘍組織は、新しい血管の形成、即ち新脈管形成をかなりの程度に刺激して、増加する栄養要求を満たす。新脈管形成によって新しく形成された血管は、形成された内皮細胞表面の特定の標識によって従来組織と異なる。さらに、αvβ3インテグリン受容体は、多くのヒト腫瘍によって発現される(WO 98/10795およびそれに記載されている文献を参照)。このように、新脈管形成によって形成された内皮細胞または腫瘍細胞に見出されるαvβ3インテグリン受容体と、αvβ3インテグリン受容体に向かう非ペプチド部分との相互作用によって、複合体は、治療される腫瘍組織かまたはその近くに選択的に運ばれる。
【0061】
αvβ3インテグリン受容体に向かうペプチド基(例えば、WO 98/10795に開示されている)と異なり、αvβ3インテグリン受容体に向かう本発明の非ペプチド成分は、増加した血清安定性によって区別され、それによって複合体の毒作用基の腫瘍組織への輸送が高度に保証される。
【0062】
αvβ3インテグリン受容体に対して拮抗作用を有する前記化合物は、複合体において、αvβ3インテグリン受容体に向かう特性を維持すべきである。これは、化合物の前記作用が結合によって損なわれないかまたは少ししか損なわれないように、これらの化合物が毒作用基に結合すべきであることを意味する。一般に、結合単位による結合は、分子中のこれに好適な官能基、例えば、アミノ、ヒドロキシルまたはカルボキシル官能基を介して行われる。前記化合物が官能基を有さない場合、当業者に既知の一般法によって、αvβ3インテグリン受容体に対する該化合物の拮抗作用を失うことなく、これらの官能基の1つを分子に容易に挿入することができる。
【0063】
本発明の複合体は、その標的部位において毒作用基を放出することができ、それによって腫瘍組織への浸透を可能にする。これは、αvβ3インテグリン受容体に向かう成分に毒作用基を結合させる単位の特定の選択によって行われる。本発明の複合体の結合単位は、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)のような腫瘍関連酵素によって開裂しうるように設計される。
【0064】
本発明の複合体の作用の組織選択性を向上させるのにさらに好適な出発点は、いわゆるADEPT法から成る。この方法において、複合体は、特定の酵素によって開裂される。これらの酵素は、本発明の複合体と一緒に、抗体に結合させて体に導入され、抗体は腫瘍組織に特異的に向かう担体として作用する。これは腫瘍組織における複合体および酵素/抗体系の両方の選択的凝集を生じ、それによって、毒作用基が、より高い選択性で腫瘍組織に放出され、腫瘍組織においてその作用を示すことができる。
【0065】
本発明の好適な結合単位は、前記の基準を満たし、αvβ3インテグリン受容体への結合作用を維持するような仕方で、αvβ3インテグリン受容体に向かう成分に結合しうるあらゆる結合単位である。
【0066】
本発明の複合体において、使用される毒作用基は、腫瘍治療に一般に使用されるあらゆる細胞毒性基、または細胞増殖抑制剤または細胞増殖抑制剤誘導体の基であってよい。
【0067】
好ましい態様によれば、使用しうる本発明の複合体は、式(I)の化合物であり、該化合物において、5〜8個のアミノ酸、好ましくは5〜7個のアミノ酸、特に好ましくは6個のアミノ酸および適切であれば非ペプチドスペーサー基から成る結合単位を介して、毒作用
基が、式(II)〜(IV)の基から成る群から選択されるαvβ3インテグリン受容体に向かう非ペプチド成分に結合している:
【化22】
[式(II)〜(IV)の基は、前記と同じ意義を有する]。
【0068】
本発明の式(I)の複合体において、使用される毒作用基は、腫瘍治療に一般に使用される細胞毒性基、または細胞増殖抑制剤または細胞増殖抑制剤誘導体の基であってよい。カンプトテシンまたは9−アミノカンプトテシンのようなカンプトテシン誘導体が本発明に好ましく、該物質は、C20−OH基を介するか、または分子に存在する場合もある官能基、例えば9−アミノカンプトテシンの場合はアミノ基を介して、複合体の残部に結合することができる。この好ましい態様によれば、出発化合物として使用されるカンプテテシン単位は、20(R)または20(S)配置におけるか、またはこれら2つの立体異性形の混合物として存在することができる。20(S)配置が好ましい。
【0069】
式(I)の複合体において、結合単位は、好ましくは、下記式の単位から成り:
−LI−Sp−
式中、単位LIは、好ましくは、下記のアミノ酸残基を有し:
−AA1−AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−AA7−AA8−
式中、AA1は、基CT、即ち毒作用基に結合し、基AA8(または、AA8が不存在である場合に、この末端において結合単位の末端を構成する対応する基AA7、AA6等)は、スペーサー単位Spに結合している。
本発明の好ましい態様によれば、少なくとも5個の基AA1〜AA8が存在する。5〜8個の基AA1〜AA8が存在する結合単位が特に好ましい。5〜7個の基AA1〜AA8が存在する結合単位が特に好ましい。本発明の最も好ましい態様によれば、結合単位は、6個の基AA1〜AA8を有する。
【0070】
基AA1〜AA8は、存在する場合に、それぞれDまたはL配置におけるアミノ酸を表す。これに関して、それらは、特に好ましくは、天然アミノ酸、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、システイン、メチオニン、アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、リシン、ヒスチジン、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシンまたはプロリンである。本発明の方法に使用されるアミノ酸は、LまたはD配置において、またはD形とL形の混合物として存在することができる。
【0071】
本発明における「アミノ酸」という用語は、特に天然α−アミノ酸を意味するが、それらの同族体、異性体および誘導体も包含する。異性体の例は、エナンチオマーである。誘導体は、例えば、保護基を有するアミノ酸であってもよい。
【0072】
本発明によれば、各アミノ酸は、それらのα−カルボキシル官能基またはα−アミノ官能基を介してだけでなく、側鎖に存在する場合もある官能基、例えばアミノ官能基を介しても、相互に、および毒作用基またはαvβ3インテグリン受容体に向かう成分に、結合することができる。
【0073】
側鎖に官能基を有するアミノ酸の場合、これらの官能基は、脱ブロックする(deblock)か、またはペプチド化学において使用される一般的な保護基によって保護することができる。アミノ酸のこれらの官能基に使用される保護基は、ペプチド化学において既知の保護基、例えば、ウレタン、アルキル、アシル、エステルまたはアミド型であってよい。
【0074】
本発明におけるアミノ保護基は、ペプチド化学に使用される一般的なアミノ保護基である。これらは下記のものであるのが好ましい:ベンジルオキシカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、4−ニトロベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル、2−ニトロ−4,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、アリルオキシカルボニル、ビニルオキシカルボニル、3,4,5−トリメトキシベンジルオキシカルボニル、フタロイル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロ−tert−ブトキシカルボニル、メンチルオキシカルボニル、4−ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル−9−メトキシカルボニル(Fmoc)、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、2−クロロアセチル、2−ブロモアセチル、2,2,2−トリフルオロアセチル、2,2,2−トリクロロアセチル、ベンゾイル、ベンジル、4−クロロベンゾイル、4−ブロモベンゾイル、4−ニトロベンゾイル、フタルイミド、イソバレロイルまたはベンジルオキシメチレン、4−ニトロベンジル、2,4−ジニトロベンジル、4−ニトロフェニルまたは2−ニトロフェニルスルフェニル。Fmoc基およびBoc基は特に好ましい。
【0075】
適切な反応段階における保護基の除去は、例えば、酸または塩基の作用によって、水素添加分解的に、または別の方法において還元的に行うことができる。
【0076】
本発明によれば、AA1は、好ましくは、DまたはL配置における天然アミノ酸であり、該アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、グルタメート、アスパルテート、セリン、リシン、オルニチンおよびフェニルアラニンから成る群から選択される。本発明によれば、AA1は、最も好ましくは、バリンまたはグリシンである。
【0077】
本発明によれば、AA2は、好ましくは、不存在であるかまたはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該アミノ酸は、アラニン、バリン、フェニルアラニン、チロシン、スレオニン、セリン、イソロイシン、リシン、グルタメート、ヒスチジン、グリシン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、S−メチルシステイン、メチオニン、アルギニン、アスパルテート、トリプトファン、プロリン、オルニチンおよびロイシンから成る群から選択される。本発明によれば、AA2は、最も好ましくは、フェニルアラニン、ヒスチジンおよびアスパラギンから成る群から選択されるDまたはL配置における天然アミノ酸である。
【0078】
本発明によれば、AA3は、好ましくは、不存在であるかまたはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該アミノ酸は、アラニン、バリン、フェニルアラニン、チロシン、セリン、イソロイシン、リシン、グルタメート、ヒスチジン、グリシン、アルギニン、アスパルテート、トリプトファン、プロリン、オルニチン、メチオニン、S−メチルシステン、ノルバリンおよびロイシンから成る群から選択される。本発明によれば、AA3は、最も好ましくは、ロイシン、ノルバリンおよびS−メチルシステインから成る群から選択されるL配置における天然アミノ酸である。
【0079】
本発明によれば、AA4は、好ましくは、不存在であるかまたはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、システインおよびノルバリンから成る群から選択される。本発明によれば、AA4は、最も好ましくは、グリシンおよびアラニンから成る群から選択されるL配置における天然アミノ酸である。
【0080】
本発明によれば、AA5は、好ましくは、不存在であるかまたはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、プロリン、メチオニン、フェニルアラニンおよびシステインから成る群から選択される。本発明によれば、AA5は、最も好ましくは、グリシン、ロイシンおよびグルタミンから成る群から選択されるL配置における天然アミノ酸である。
【0081】
本発明によれば、AA6は、好ましくは、不存在であるかまたはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパルテートおよびプロリンから成る群から選択される。本発明によれば、AA6は、最も好ましくは、プロリンおよびロイシンから成る群から選択されるDまたはL配置における天然アミノ酸である。
【0082】
本発明によれば、AA7は、好ましくは、不存在であるかまたはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、γ−アミノ酪酸、アスパルテート、グルタメート、ロイシンおよびプロリンから成る群から選択される。本発明によれば、AA7は、最も好ましくは、不存在であるか、またはグリシン、ヒスチジン、γ−アミノ酪酸およびプロリンから成る群から選択されるDまたはL配置における天然アミノ酸である。
【0083】
本発明によれば、AA8は、好ましくは、不存在であるかまたはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、リシン、プロリンおよびγ−アミノ酪酸から成る群から選択される。本発明によれば、AA8は、最も好ましくは、不存在であるか、またはグリシン、ヒスチジンおよびγ−アミノ酪酸から成る群から選択されるDまたはL配置における天然アミノ酸である。
【0084】
本発明の複合体の結合単位LIは、腫瘍関連酵素、即ち、腫瘍組織に存在し、好ましくは正常組織に見出されないかまたは腫瘍組織に存在する量よりかなり少ない量でのみ正常組織に存在する酵素によって、選択的に開裂しうるように設計される。本発明の複合体の結合単位LIを選択的に開裂する腫瘍関連酵素の種類の例は、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)である。特に好ましい態様によれば、本発明の複合体の結合単位LIは、そのような種類の特定の酵素によって選択的に開裂しうるように設計される。本発明の複合体の結合単位LIは、MMP-2またはMMP-9によって選択的に開裂しうるのが特に好ましい。
【0085】
本発明によれば、結合単位は6〜7個のアミノ酸AA1〜AA8およびスペーサー単位Spから成るのが好ましく、特に、AA2単位を保護基によって側鎖において改質することができる。しかし、結合単位は、5または8個のアミノ酸AA1〜AA8およびスペーサー単位Spから成ることもできる。これらの場合、毒作用基への結合は、一般に、アミノ酸AA1のカルボキシル官能基を介して行われ、スペーサー単位Spを介するαvβ3インテグリン受容体に向かう成分への結合は、αvβ3インテグリン受容体に向かう成分のアミノ基またはヒドロキシル基を使用して行われる。
【0086】
しかし、αvβ3インテグリン受容体に向かう成分のカルボキシル官能基を介して結合が行われる場合、スペーサー単位Spを有さない結合単位を使用するのが好ましい。この場合、結合単位とαvβ3インテグリン受容体に向かう成分との結合は、アミノ酸のアミノ官能基を介して行われる。αvβ3インテグリン受容体に向かう成分は、例えば、式(II)の基であってよい:
【化23】
[式(II)における基は、前記と同じ意義を有する]。
【0087】
以下の記載において、二価置換基は、それらの各左端が式(II)の対応する置換基の左に示された基に結合し、それらの各右端が、式(II)の対応する置換基の右に示された基に結合しているように示される。例えば、式(II)において、基Vが−NR20SO2−である場合、窒素原子は基Uに結合し、硫黄原子は基Aに結合している。下記の態様は、非結合状態の式(II)の基にも関する。結合単位を介する式(II)の基の毒作用基への結合は、末端カルボキシル基、末端アミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基を介するか、または式(II)の基の側鎖における官能基を介して、即ち、基R2、または基UまたはVの置換基を介して行われ、それによって、結合状態において、末端カルボキシル基または末端アミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基は、対応する架橋単位に変換される。
【0088】
本発明の式(II)の基は、主要構造要素としてビフェニル核を有することを特徴とし、該ビフェニル核は、末端カルボキシル基を有する基と、環系に組み込まれている場合もあるアミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の成分である少なくとも1個の窒素原子を主鎖に有する基とを架橋する。ビフェニル核は、前記の基の他に、さらに置換基を有してもよい。
【0089】
末端カルボキシル単位は、式(II)の基の結合がこれを介して行われない場合、遊離カルボン酸またはエステルとして存在しうる。末端カルボキシル単位をエステル化する場合、一般法によって得られる基本的に全てのカルボン酸エステル、例えば、対応するそのアルキルエステル、シクロアルキルエステル、アリールエステルおよびそれらの複素環式類似体を本発明に使用することができ、アルキルエステル、シクロアルキルエステルおよびアリールエステルが好ましく、アルコール基は置換基をさらに有してもよい。C1 〜 6アルキルエステル、例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ネオペンチルエステル、ヘキシルエステル、シクロプロピルエステル、シクロプロピルメチルエステル、シクロブチルエステル、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル、またはアリールエステル、例えば、フェニルエステル、ベンジルエステルまたはトリルエステルが特に好ましい。
【0090】
しかし、本発明の式(II)の基は、末端カルボキシル単位が遊離カルボン酸として存在する形態で使用するのが好ましい。
【0091】
末端カルボキシル単位は、さらに置換基を有してもよいアルキレン鎖を介してビフェニル核に結合される。ある制限内で、末端カルボキシル単位と、ビフェニル核のフェニル環Bに結合している基の主鎖に存在するアミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の窒素原子との距離によって、インテグリン受容体、例えば特にαvβ3受容体に対する本発明の式(II)の基の生物学的活性を調節することができ、1個より多い窒素原子が対応する基の主鎖に存在する場合、ビフェニル核のフェニル環Bの近くに存在する窒素原子が重要になる。ビフェニル核の他に、好ましくは6個以下の原子がこれらの2つの構造要素の間の主鎖に存在すべきである。しかし、ビフェニル核の他に、末端カルボキシル単位と、ビフェニル核のフェニル環Bに結合している基の主鎖に存在するアミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の窒素原子との間の主鎖に、6個未満の付加的原子が存在する式(II)の基がより好ましい。本発明によれば、アミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の前記窒素原子が、ビフェニル核のフェニル環Bに直接的に結合し、末端カルボキシル単位が、主鎖における2〜4個の原子によって、ビフェニル核のフェニル環Aから離れている式(II)の基が特に好ましい。
【0092】
末端カルボキシル基をビフェニル核のフェニル環Aに結合させるアルキレン鎖は、アルキレン鎖を形成する炭素原子のいずれかの付加的置換基を任意に有してもよい。これらの置換基は、下記から成る群から選択しうる:水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、任意に置換されていてよいアルケニル基、任意に置換されていてよいアルキニル基、−NR2 ’ 2、−NR2 ’SO2R2''、−NR2 ’COOR2 ’’、−NR2 ’COR2'、−NR2 ’CONR2'2、および−NR2 ’CSNR2'2[式中、R2 ’は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、R2 ’’は、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基である]。アルキル基は、好ましくは、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシルである。シクロアルキル基は、好ましくは、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである。アリール基は、好ましくは、フェニル、ベンジルまたはトリルである。複素環式基は、好ましくは、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、オキサチアゾール、ベンゾフラン、キノリン、イソキノリンまたはピリミジンである。アルケニル基は、末端または内部E−またはZ−アルケン単位であってよい。前記の基は、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、複素環式基、例えば、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、オキサザール、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、硫化物基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。
【0093】
末端カルボキシル基とビフェニル核のフェニル環Aとを結合するアルキレン鎖に任意に存在する置換基のうち、−NR2 ’ 2、−NR2 ’SO2R2''、−NR2 ’COOR2 ’’、−NR2 ’COR2'、−NR2 ’CONR2'2、または−NR2 ’CSNR2'2[式中、R2 ’は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、R2 ’’は、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基である]が好ましい。好ましくは、R2 ’は、水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルおよびそれらの置換誘導体から成る群から選択され、R2 ’’は、好ましくは、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルおよびそれらの置換誘導体、−C6H2(CH3)3、2−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、カンフォル−10−イル、4−メトキシフェニル、4−t−ブチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、3−クロロフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2−ナフチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリンおよび8−キノリニルから成る群から選択される。
【0094】
本発明によれば、特に好ましい式(II)の基は、末端カルボキシル基をビフェニル核のフェニル環Aに結合するアルキレン鎖に、アミド、尿素、スルホンアミドまたはカルバメート基が存在する基である。好ましくは、アミド、尿素、スルホンアミドまたはカルバメート基が、末端カルボキシル基に対してαまたはβ位置に存在する。しかし、末端カルボキシル基のカルボキシル炭素と、スルホンアミドまたはカルバメート単位の窒素原子との間に、2個より多い炭素原子が存在してもよい。本発明によれば、スルホンアミド基は、存在する場合に、硫黄原子上に基R2 ’’を有するのが特に好ましく、基R2 ’’は下記から成る群から選択される:フェニル、ベンジル、トリルおよびそれらの置換誘導体、−C6H2(CH3)3、2−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、カンフォル−10−イル、4−メトキシフェニル、4−t−ブチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、3−クロロフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2−ナフチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、3−アミノベンジル、4−アミノベンジル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリンおよび8−キノリニル。カルバメート基は、存在する場合に、基R2 ’’をアルコール部分として有するのが特に好ましく、基R2 ’’は、フェニル、ベンジル、トリルおよびそれらの置換誘導体から成る群から選択され、特に好ましくは、ベンジル基、3−アミノベンジルまたは4−アミノベンジルである。
【0095】
他の態様によれば、本発明は、式(II)の基であって、式中、末端カルボキシル基が、アルキレンスルホンアミド単位またはアルキレンアミド単位を介して、ビフェニル核のフェニル環Aに結合し、即ち、−NRSO2−または−NR−CO基が、アルキレン鎖とビフェニル核のフェニル環Aとの間に挿入され、ビフェニル核のフェニル環Aは、スルホンアミド単位の硫黄原子またはアミド単位のカルボキシル炭素原子に結合している基に関する。末端カルボキシル基とスルホンアミドまたはアミド単位との間のアルキレン鎖は、この場合、先に詳しく記載した置換基をさらに有する場合もあり、該置換基は、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジル、フェニルエチルまたはトリル、複素環式基、例えば、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、オキサチアゾール、ベンゾフラン、キノリン、イソキノリンまたはピリミジン、または末端または内部E−またはZ−アルケン単位であるのが好ましく、該置換基は、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、複素環式基、例えば、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、オキサチアゾール、ベンゾフラン、キノリン、イソキノリンまたはピリミジン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。
【0096】
この態様による特に好ましい式(II)の基は、末端カルボキシル基と架橋スルホンアミドまたはアミド単位とを結合するアルキレン鎖が、任意に置換されていてよいフェニルまたはベンジル基、例えば、β−3−アミノフェニル、β−4−アミノフェニルまたはα−4−アミノベンジルを、末端カルボキシル単位に対してαまたはβ位置に有する基である。
【0097】
対応するアルキレン鎖とビフェニル核のフェニル環Aとの間にスルホンアミドまたはアミド単位が挿入されているこの態様の式(II)の基において、前記のように、ビフェニル核の他に、好ましくは5個以下の原子が、ビフェニル核のフェニル環Bに結合している基の主鎖においてフェニル環Bの隣に存在するアミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の窒素原子と、末端カルボキシル基との間に存在するように、末端カルボキシル基と架橋スルホンアミドまたはアミド単位との間のアルキレン鎖は、この主鎖において2個以下の炭素原子を有するのが好ましい。
【0098】
架橋スルホンアミドまたはアミド単位の窒素原子は、下記から成る群から選択される基で任意に置換されていてもよい:水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジル、トリルおよびそれらの置換誘導体、例えば、フェニルエチル、フェニルプロピルおよびフェノキシエチル。
【0099】
ビフェニル核は、本発明の式(II)の基の中心構造要素である。それは、非結合状態において、フェニル環A上の末端カルボキシル基を含む基と、アミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の少なくとも1個の窒素原子を主鎖に有するフェニル環B上の基とを架橋する。それは置換基をさらに有さないのが好ましい。しかし、2個のフェニル環は、付加的置換基を有してもよい。好ましくは、フェニル環A、即ち、末端カルボキシル基を有する基に結合している環は、1個またはそれ以上の付加的アルコキシ基、好ましくはC1 〜 6アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシまたはヘキソキシ、特に好ましくは1個またはそれ以上のメトキシ基を有し、フェニル環B、即ち、アミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の少なくとも1個の窒素原子を有する基がそれの主鎖において結合している環は、1個またはそれ以上のアルキル基、好ましくはC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、特に好ましくは1個またはそれ以上のメチル基を有する。この場合、フェニル環AおよびBは、互いに独立に、1個またはそれ以上の前記の付加的置換基を有してもよい。
【0100】
2個のフェニル環は、相互に、および末端カルボキシル基を有する基、およびアミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の少なくとも1個の窒素原子を主鎖に有する基に、1,3−または1,4−結合してよく、即ち、末端カルボキシル基およびフェニル環Bを有する基は、フェニル環Aにおいて相互にメタ−またはパラ−位置で置換されていてもよく、フェニル環Aおよびアミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の少なくとも1個の窒素原子を主鎖に有する基は、相互にフェニル環B上のメタ−またはパラ−位置で置換されていてもよく、前記置換パターンの各組み合わせは、本発明の式(II)の基のビフェニル核に可能である。本発明によれば、式(II)の特に好ましい基は、ビフェニル核が、前記定義により、p−置換フェニル環Aおよびp−置換フェニル環B、p−置換フェニル環A−およびm−置換フェニル環B、m−置換フェニル環A−およびp−置換フェニル環B、またはm−置換フェニル環Aおよびm−置換フェニル環Bから成る。本発明によれば、特に好ましい式(II)の基は、ビフェニル核が、本発明の定義により、p−置換フェニル環Aおよびm−置換フェニル環Bから成る。
【0101】
非結合状態の本発明の式(II)の基は、第三構造要素として、ビフェニル核および末端カルボキシル基を有する基の他に、アミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の少なくとも1個の窒素原子を主鎖に有する基を含有する。この窒素原子は、ビフェニル核のフェニル環Bに、直接的かまたはアルキレン鎖を介して結合しうる。このアルキレン鎖は好ましくは、主鎖における多くとも4個の炭素原子から成り、前記に鑑みて、ビフェニル核の他に、6個以下の追加原子が、末端カルボキシル基と、フェニル環Bの隣のアミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の窒素原子との間に存在すべきである。このアルキレン鎖は、水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルおよびトリル、複素環式基、例えば、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、オキサチアゾール、ベンゾフラン、キノリン、イソキノリンおよびピリミジン、および末端または内部E−またはZ−アルケン単位から成る群から選択される置換基をさらに有する場合もあり、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、インドリル、複素環式基、例えば、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、オキサチアゾール、ベンゾフラン、キノリン、イソキノリンまたはピリミジン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。
【0102】
フェニル環Bの隣の、ビフェニル核のフェニル環Bに結合している基の主鎖に存在する窒素原子は、式(II)の基の結合がこれを介して行われない場合、任意に置換されていてよいアミノ基の成分であるか、または−C=O単位、−CONR2単位、−C=S単位、−CSNR2単位、−C=NR単位または−CNRNR2単位に直接的に接し、それによってアミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の成分であってよい。
【0103】
フェニル環Bの隣の、ビフェニル核のフェニル環Bに結合している基の主鎖に存在する窒素原子が、アミノ基の成分である場合、それは非置換であるかまたは1個または2個の置換基を有してよく、即ち、第一級、第二級または第三級アミノ基の成分であってよい。これらの置換基は、互いに独立に、または共に、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、アルキルアミン基、アルキルアミド基であるか、または互いに結合して、それらが結合している窒素原子と一緒になって複素環系を形成してもよい。この場合、好ましい置換基は、水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルおよびトリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンおよびキサンチン、および末端または内部E−またはZ−アルケン単位から成る群から選択される置換基であり、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、インドリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンまたはキサンチン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。特に好ましい置換基は、例えば、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、
【化24】
【化25】
である。
【0104】
フェニル環Bの隣に存在する窒素原子上の2個の置換基が、互いに結合して、窒素原子と一緒になって複素環系を形成する場合、形成される複素環系は、例えば、下記の非制限的な例から選択され、
【化26】
式中、示されている環系は、水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルおよびトリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンおよびキサンチン、および末端または内部E−またはZ−アルケン単位から成る群から選択される1個またはそれ以上の基を有していてもよく、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、インドリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンまたはキサンチン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。
前記の環系の中で、4〜6員の環系が好ましい。
【0105】
前記のように、ビフェニル環Bの隣に存在する、ビフェニル核のビフェニル環Bに結合している基の主鎖における窒素原子は、下記の好ましい官能単位の1つにおける成分であってもよく、
【化27】
前記の例は、全ての可能な構造単位の非制限的な例を示す。
【0106】
本発明によれば、前記の好ましい構造単位の他に、1個またはそれ以上の4〜6員の環系が複素環に縮合しているそれらの類似体、例えば、前記構造単位の対応するベンソ縮合類似体も含まれる。
【0107】
前記の構造単位において、R3、R4およびR6は、それぞれ、水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルまたはトリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンまたはキサンチン、または末端または内部E−またはZ−アルケン単位であり、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、インドリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンまたはキサンチン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。特に好ましい置換基は、例えば、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、または前記の基(a1)〜(a28)の1つである。
【0108】
しかし、前記の構造単位において、R4およびR6は、相互に結合し、それらが結合している窒素原子と一緒になって複素環系を形成してもよい。これの例は、
【化28】
であり、前記の例は制限的ではなく、R4とR6の組み合わせから形成される環系は、水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルおよびトリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンおよびキサンチン、および末端または内部E−またはZ−アルケン単位から成る群から選択される1個またはそれ以上の基を有していてもよく、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、インドリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンまたはキサンチン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。R4とR6の組み合わせから形成された環系のうち、4〜6員の環系が好ましい。
【0109】
さらに、前記構造単位において、R5は、−NO2、−CN、−COR5 ’または−COOR5 ’であり、R5 ’は、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、該複素環式基は、飽和または不飽和であってよく、および/または複素原子をさらに有してよく、好ましくは、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルまたはトリル、またはそれらの置換誘導体である。
【0110】
さらに、前記構造単位において、Yは、不存在であるか、または1〜5個の炭素原子を主鎖に有するアルキレンまたはアルキン単位である。本発明によれば、Yは、存在する場合に、1個の炭素原子から成る主鎖を有するのが好ましい。Yはさらに、水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルおよびトリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンおよびキサンチン、および末端または内部E−またはZ−アルケン単位から成る群から選択される1個またはそれ以上の基を有していてもよく、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、インドリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンまたはキサンチン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。
【0111】
本発明によれば、特に好ましい式(II)の基は、フェニル環Bの隣の、フェニル環Bに結合している基の主鎖に存在する窒素原子が、複合体の残部への結合がこれを介して行われない場合に、尿素またはチオ尿素単位の成分である基である。
【0112】
αvβ3インテグリン受容体に向かう成分は、式(III)の基であってもよい:
【化29】
[式(III)における基は、前記と同じ意義を有する]。
【0113】
以下の記載において、二価置換基は、それらの各左端が式(III)の対応する置換基の左に示されている基に結合し、それらの各右端が、式(III)の対応する置換基の右に示された基に結合しているように示される。例えば、式(III)において、基Lが−(CH2)mNHSO2(CH2)n−である場合、窒素原子は、基(CH2)mを介して式(III)の基Lの左に存在するフェニレン基に結合している。下記の詳しい説明は、非結合状態の式(III)の基にも関する。結合単位を介する式(III)の基の毒作用基への結合は、末端カルボキシル基、末端アミノ基、尿素基、チオ尿素基、グアニジン基または基NR12CX'R13S−を介するか、または式(III)の基の側鎖における官能基を介して、即ち、アミノ基または末端カルボキシル基に対してβ位置においてそれに結合している置換基を介して行われ、それによって、結合状態において、末端カルボキシル基およびまたは末端アミノ基、尿素基、チオ尿素基、グアニジン基または基NR12CX'R13S−は、対応する架橋単位に変換される。
【0114】
本発明の式(III)の基は、リンカー基Lを介して結合している2つのフェニル単位を主要構造要素として有することを特徴とし、1つのフェニレン基はβ−アミノ酸から誘導される基を有し、他のフェニレン基は、環系に組み込まれている場合もあるアミノ基、尿素基、チオ尿素基またはグアニジン基を有する。リンカー基Lを介して結合しているフェニレン単位は、前記の基の他に置換基をさらに有してもよい。
【0115】
β−アミノ酸から誘導される基に含まれる末端カルボキシル単位は、複合体の基への結合がこれを介して行われない場合、遊離カルボン酸またはエステルとして存在しうる。末端カルボキシル単位がエステル化される場合、一般法によって得られる基本的に全てのカルボン酸エステル、例えば、対応するアルキルエステル、シクロアルキルエステル、アリールエステルおよびそれらの複素環式類似体を本発明に使用することができ、アルキルエステル、シクロアルキルエステルおよびアリールエステルが好ましく、アルコール基は置換基をさらに有してもよい。特に好ましいC1 〜 6アルキルエステルは、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ネオペンチルエステル、ヘキシルエステル、シクロプロピルエステル、シクロプロピルメチルエステル、シクロブチルエステル、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル、またはアリールエステル、例えば、フェニルエステル、ベンジルエステルまたはトリルエステルである。
好ましくは、本発明の式(III)の基は、末端カルボキシル単位が遊離カルボン酸として存在する形態で使用される。
【0116】
2個の中心フェニレン単位の1つに結合し、β−アミノ酸から誘導される基は、カルボキシル基に対してα−位置において1個または2個の付加的置換基を任意に有していてもよい。これらの置換基は、それぞれ、水素、置換または非置換アルキルおよびシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、任意に置換されていてよいアルケニル基、任意に置換されていてよいアルキニル基、ヒドロキシル基およびアルコキシ基から成る群から選択しうる。アルキル基は、好ましくは、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシルである。シクロアルキル基は、好ましくはC3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルである。アリール基は、好ましくは、フェニル、ベンジルまたはトリルである。複素環式基は、好ましくは、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、オキサチアゾール、ベンゾフラン、キノリン、イソキノリンまたはピリミジンである。アルケニル基は、末端または内部E−またはZ−アルケン単位であってよい。アルコキシ基は、好ましくは、C1 〜 6アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシまたはベンジルオキシである。前記の基は、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、複素環式基、例えば、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、オキサゾール、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。
【0117】
さらに、末端カルボキシル基に対してα位置にある2個の置換基は、存在する場合に、互いに結合して、β−アミノ酸から誘導される基のα−炭素原子と一緒になって、炭素環系または複素環系を形成してもよい。この環系は、場合により、置換基をさらに有し、および/または複素原子をさらに有してもよい。本発明によれば、前記の環は、存在する場合に、好ましくは、3〜6員の炭素環系または複素環系、例えば、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ジヒドロフラン環、テトラヒドロフラン環、ジヒドロピラン環、テトラヒドロピラン環、ジオキサン環、ジヒドロチオフェン環、テトラヒドロチオフェン環、またはそれらの置換誘導体である。
【0118】
本発明の基において、β−アミノ酸から誘導される基に含まれるアミン基は、これを介して複合体の残部への結合が行われない場合に、−SO2R10 ’、−COOR10 ’’、−COR10 ’、−CONR10 ’ 2および−CSNR10 ’ 2の1つによって置換され、R10 ’は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、R10 ’’は、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基である。この場合に、好ましくは、アルキル基は、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシルであり、シクロアルキル基は、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルであり、アリール基は、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、例えば、−C6H2(CH3)3、−C6(CH3)5、−CH2C6H2(CH3)3、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−クロロフェニルメチル、2,4−ジクロロフェニルメチル、2,6−ジクロロフェニルメチル、2−メトキシカルボニルフェニルメチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、フェニルメチル、2−アセトアミド−4−メチルチアゾル−5−イル、フェニルエチル、1−フェニルプロピル、(S)−(+)−カンフォル−10−イル、(R)−(−)−カンフォル−10−イル、2−フェニルエテニル、2−チオフェニル、4−メトキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−プロピルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリン、4−アセトアミドフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、5−クロロ−3−メチルベンゾチアゾル−2−イル、N−メトキシカルボニルピペリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、イソオキサゾル−5−イル、エトキシ、2−クロロピリジン−3−イル、ピリジン−3−イル、ベンジルオキシ、5−メチルイソオキサゾル−3−イル、1−アダマンチル、4−クロロフェノキシメチル、2,2−ジメチルエテニル、2−クロロピリジン−5−メチル、5,7−ジメチル−1,3,4−トリアザインドリジン−2−イル、(S)−カンファン−1−イル、(R)−カンファン−1−イルまたは8−キノリニルである。
【0119】
本発明によれば、β−アミノ酸から誘導される基に含まれるアミノ基は、−SO2R10 ’、−COOR10 ’’、−CONR10 ’ 2または−COR10 ’[R10 ’およびR10 ’’は前記と同じ意義を有する]によって置換されるのが特に好ましい。特に、β−アミノ酸から誘導される基が、カルボキシル単位に対してα位置に置換基を有さず、この基に含まれるアミノ基が、−SO2R10 ’、−CONR10 ’ 2または−COR10 ’[R10 ’は前記と同じ意義を有する]によって置換されている式(III)の基がこの場合に好ましい。
【0120】
1個の前記の基の他に、β位置に存在するアミノ基の窒素原子は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基から成る群から選択される置換基を有してもよく、または、互いに結合して、それらが結合している窒素原子と一緒になって複素環系を形成してもよい。この場合に、好ましい置換基は、水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルおよびトリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンおよびキサンチンから成る群から選択され、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、インドリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンまたはキサンチン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。β−アミノ基の窒素原子上の付加的置換基は、特に好ましくは、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、
【化30】
である。
【0121】
β−アミノ酸から誘導される基は、リンカー基Lを介して結合した2個の中心フェニレン単位の1つに結合し、該フェニレン単位はこの場合フェニレン単位Aと称される。β−アミノ酸から誘導される基およびリンカー基Lの他に、フェニレン単位Aは、さらに置換基を有さないのが好ましいが、水素、CN、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アルコキシ基またはハロゲン原子から成る群から選択される1個またはそれ以上の基を有していてもよい。アルキル基は、好ましくは、C1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシルである。シクロアルキル基は、好ましくは、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチルである。アルコキシ基は、好ましくは、C1 〜 6アルコキシ基、例えば、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシまたはヘキソキシであり、ハロゲン原子は、好ましくは、F、Cl、BrまたはIである。
【0122】
リンカー基L、およびβ−アミノ酸から誘導される基、またはアミノ、グアニジン、尿素またはチオ尿素単位に関して、2個の中心フェニレン単位は、1,3−または1,4−結合していてよく、即ち、β−アミノ酸から誘導される基およびリンカー基Lは、フェニレン単位Aにおいて互いにメタ−またはパラ−位置で置換されていてもよく、それと同時に、フェニレン単位Bにおけるリンカー基Lおよびアミノ、グアニジン、尿素またはチオ尿素単位は、互いにメタ−またはパラ−位置で置換されていてもよく、前記置換パターンの各組み合わせは、本発明の式(III)の基の中心A−リンカーL−フェニレンB単位に可能である。本発明に特に好ましいのは、中心フェニレンA−リンカーL−フェニレンB単位が、前記の定義により、p−置換フェニレン単位Aおよびp−置換フェニレン単位B、p−置換フェリンレン単位Aおよびm−置換フェニレン単位B、m−置換フェニレン単位Aおよびp−置換フェニレン単位B、またはm−置換フェニレン単位Aおよびm−置換フェニレン単位Bから成る式(III)の基である。本発明に特に好ましいのは、中心フェニレンA−リンカーL−フェニレンB単位が、前記の定義により、m−置換フェニレン単位Aおよびm−置換フェニレン単位Bから成る式(III)の基である。
【0123】
本発明によれば、リンカー基Lは、下記から成る群から選択される:
−(CH2)mNHSO2(CH2)n−、−(CH2)mSO2NH(CH2)n−、
−(CH2)mNHCO(CH2)n−、−(CH2)mCONH(CH2)n−、
−(CH2)mOCH2(CH2)n−、−(CH2)mCH2O(CH2)n−、
−(CH2)mCOO(CH2)n−、−(CH2)mOOC(CH2)n−、
−(CH2)mCH2CO(CH2)n−、−(CH2)mCOCH2(CH2)n−、
−NHCONH−、−(CH2)mSCH2(CH2)n−、−(CH2)mCH2S(CH2)n−、
−(CH2)mCH2SO(CH2)n−、−(CH2)mSOCH2(CH2)n−、
−(CH2)mCH2SO2(CH2)n−、または−(CH2)mSO2CH2(CH2)n−であり、mおよびnは、それぞれ0または1の整数であり、m+n≦1である。
【0124】
本発明によれば、リンカー基Lは、好ましくは、−NHSO2−、−CH2NHSO2−、−NHSO2CH2−、−SO2NH−、−CH2SO2NH−、−SO2NHCH2−、−NHCO−、−CH2NHCO−、−NH−COCH2−、−CONH−、−CH2CONH−、−CONHCH2−、−OCH2−、−CH2OCH2、−OCH2CH2−、−CH2O−、−CH2CH2O−、−COO−、−CH2COO−、−COOCH2−、−OOC−、−OOCCH2−、−CH2OOC−、−CH2CO−、−COCH2−、−CH2CH2CO−、−COCH2CH2−、−CH2COCH2−、−NHCONH−、−SCH2−、−CH2S−、−CH2SCH2、−SCH2CH2−、CH2CH2S−、−SOCH2−、−CH2SO−、−CH2SOCH2−、−SOCH2CH2−、−CH2CH2SO2−、−SO2CH2−、−CH2SO2、−CH2SO2CH2−、−CH2CH2−SO2−または−SO2CH2CH2−である。特に好ましいリンカー基Lは、−NHSO2−、−CH2NHSO2−、−NHSO2CH2−、−SO2NH−、−CH2SO2NH−、−SO2NHCH2−、−NHCO−、−CH2NHCO−、−NHCOCH2−、−CONH−、−CH2CONH−、−CONHCH2−、−OCH2−、−CH2OCH2、−OCH2CH2−、−CH2O−または−CH2CH2O−である。
【0125】
中心フェニレン単位Bは、複合体の基への結合がこれを介して行われない場合、基NR12CX'R13S−、アミノ、グアニジン、尿素およびチオ尿素単位から選択される基を置換基として有する。この基NR12CX'R13S−、アミノ、グアニジン、尿素またはチオ尿素単位は、開鎖であるか、または環系の成分であってよい。任意に存在し、単結合を介してのみ結合している各単位の窒素原子は、付加的置換基R12、R14、R15を有してよい。これらの置換基は、互いに独立に、または共に、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であるか、または互いに結合して、それらが結合している窒素原子と一緒になって複素環系を形成してもよい。この場合、好ましい置換基は、水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルおよびトリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンおよびキサンチンから成る群から選択される置換基であり、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、インドリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンまたはキサンチン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。特に好ましい置換基は、例えば、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、または前記の基(a1)〜(a28)の1つである。基R15は、複合体の残部への式(III)の基の結合がこの基を介して行われる場合、式(III)の基と複合体の残部の対応する結合がそれを介して行われる直接結合を表す。
【0126】
式(III)のpが0である場合、2個の基R14およびR15、または基R12およびR15は互いに結合して、窒素原子と一緒になって、下記の非制限的な例から選択される複素環系を形成し:
【化31】
式中、示されている環系は、水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルおよびトリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンおよびキサンチン、および末端または内部E−またはZ−アルケン単位から成る群から選択される1個またはそれ以上の基を有していてもよく、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、インドリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンまたはキサンチン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。
前記の環系のうち、4〜6員の環系が好ましい。
【0127】
前記のように、基NR12CX'R13S−、アミノ、尿素、チオ尿素またはグアニジン単位は、開鎖であるか、または環系に組み込まれて、下記の好ましい官能単位の1つの成分であってもよい:
【化32】
【化33】
前記の例は、全ての可能な構造単位の非制限的な例を示す。
【0128】
本発明によれば、前記の好ましい構造単位の他に、1個またはそれ以上の4〜6員の環系が複素環に縮合しているそれらの類似体、例えば、前記構造単位の対応するベンソ縮合類似体も含まれる。
前記の構造単位において、R12、R14およびR15は、前記と同じ意義を有する。
【0129】
さらに、前記構造単位において、R13は、不存在であるか、または水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、例えば、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、またはC3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、−NO2、−CN、−COR13 ’または−COOR13 ’であり、R13 ’は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、該環式基は、飽和または不飽和であってよく、および/または複素原子をさらに含有してよく、好ましくは、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体である。
【0130】
本発明によれば、特に好ましい式(III)の基は、β−アミノ酸から誘導される基に含まれるアミノ基が、基−SO2R10 ’を有し、R10 ’は、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、−C6H2(CH3)3、−C6(CH3)5、−CH2C6H2(CH3)3、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、4−クロロフェニルメチル、2,4−ジクロロフェニルメチル、2,6−ジクロロフェニルメチル、2−メトキシカルボニルフェニルメチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、フェニルメチル、2−アセトアミド−4−メチルチアゾル−5−イル、フェニルエチル、1−フェニルプロピル、(S)−(+)−カンフォル−10−イル、(R)−(−)−カンフォル−10−イル、2−フェニルエテニル、2−チオフェニル、4−メトキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−プロピルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリン、4−アセトアミドフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、5−クロロ−3−メチルベンゾチアゾル−2−イル、N−メトキシカルボニルピペリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、イソオキサゾル−5−イル、エトキシ、2−クロロピリジン−3−イル、ピリジン−3−イル、ベンジルオキシ、5−メチルイソオキサゾル−3−イル、1−アダマンチル、4−クロロフェノキシメチル、2,2−ジメチルエテニル、2−クロロピリジン−5−メチル、5,7−ジメチル−1,3,4−トリアザインドリジン−2−イル、(S)−カンファン−1−イル、(R)−カンファン−1−イルまたは8−キノリニルであり、リンカー基Lは、−NHSO2−、−CH2NHSO2−、−NHSO2CH2−であり、フェニレン単位に存在する基は、開鎖または環式グアニジン単位であり、環式グアニジン単位、例えば、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾル−2−イルアミノ単位が特に好ましい。
【0131】
さらに、本発明によれば、β−アミノ酸から誘導される基に含まれるアミノ基が基−SO2R10 ’または基−COOR10 ’’を有する式(III)の基が特に好ましく、R10 ’またはR10 ’’は、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、−C6H2(CH3)3、−C6(CH3)5、−CH2C6H2(CH3)3、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、4−クロロフェニルメチル、2,4−ジクロロフェニルメチル、2,6−ジクロロフェニルメチル、2−メトキシカルボニルフェニルメチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、フェニルメチル、2−アセトアミド−4−メチルチアゾル−5−イル、フェニルエチル、1−フェニルプロピル、(S)−(+)−カンフォル−10−イル、(R)−(−)−カンフォル−10−イル、2−フェニルエテニル、2−チオフェニル、4−メトキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−プロピルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリン、4−アセトアミドフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、5−クロロ−3−メチルベンゾチアゾル−2−イル、N−メトキシカルボニルピペリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、イソオキサゾル−5−イル、エトキシ、2−クロロピリジン−3−イル、ピリジン−3−イル、ベンジルオキシ、5−メチルイソオキサゾル−3−イル、1−アダマンチル、4−クロロフェノキシメチル、2,2−ジメチルエテニル、2−クロロピリジン−5−メチル、5,7−ジメチル−1,3,4−トリアザインドリジン−2−イル、(S)−カンファン−1−イル、(R)−カンファン−1−イルまたは8−キノリニルであり、リンカー基Lは、−NHSO2−、−CH2NHSO2−、−NHSO2CH2−または−OCH2−、−CH2O−、−CH2OCH2−、−CH2CH2O−、−OCH2CH2−であり、フェニレン単位に存在する基は、開鎖または環式グアニジン単位であり、環式グアニジン単位、例えば、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾル−2−イルアミノ単位が特に好ましい。
【0132】
さらに、本発明によれば、β−アミノ酸から誘導される基に含まれるアミノ基が基−COR10 ’を有する式(III)の基が特に好ましく、R10 ’は、好ましくは、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、−C6H2(CH3)3、−C6(CH3)5、−CH2C6H2(CH3)3、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、4−クロロフェニルメチル、2,4−ジクロロフェニルメチル、2,6−ジクロロフェニルメチル、2−メトキシカルボニルフェニルメチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、フェニルメチル、2−アセトアミド−4−メチルチアゾル−5−イル、フェニルエチル、1−フェニルプロピル、(S)−(+)−カンフォル−10−イル、(R)−(−)−カンフォル−10−イル、2−フェニルエテニル、2−チオフェニル、4−メトキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−プロピルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリン、4−アセトアミドフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、5−クロロ−3−メチルベンゾチアゾル−2−イル、N−メトキシカルボニルピペリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、イソオキサゾル−5−イル、エトキシ、2−クロロピリジン−3−イル、ピリジン−3−イル、ベンジルオキシ、5−メチルイソオキサゾル−3−イル、1−アダマンチル、4−クロロフェノキシメチル、2,2−ジメチルエテニル、2−クロロピリジン−5−メチル、5,7−ジメチル−1,3,4−トリアザインドリジン−2−イル、(S)−カンファン−1−イル、(R)−カンファン−1−イルまたは8−キノリニルであり、リンカー基Lは、−NHSO2−、−CH2NHSO2−、−NHSO2CH2−であり、フェニレン単位に存在する基は、開鎖または環式グアニジン単位であり、環式グアニジン単位、例えば、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾル−2−イルアミノ単位が特に好ましい。
【0133】
さらに、本発明によれば、β−アミノ酸から誘導される基に含まれるアミノ基が基−COR10 ’を有する式(III)の基が特に好ましく、R10 ’は、好ましくは、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、−C6H2(CH3)3、−C6(CH3)5、−CH2C6H2(CH3)3、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、4−クロロフェニルメチル、2,4−ジクロロフェニルメチル、2,6−ジクロロフェニルメチル、2−メトキシカルボニルフェニルメチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、フェニルメチル、2−アセトアミド−4−メチルチアゾル−5−イル、フェニルエチル、1−フェニルプロピル、(S)−(+)−カンフォル−10−イル、(R)−(−)−カンフォル−10−イル、2−フェニルエテニル、2−チオフェニル、4−メトキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−プロピルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリン、4−アセトアミドフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、5−クロロ−3−メチルベンゾチアゾル−2−イル、N−メトキシカルボニルピペリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、イソオキサゾル−5−イル、エトキシ、2−クロロピリジン−3−イル、ピリジン−3−イル、ベンジルオキシ、5−メチルイソオキサゾル−3−イル、1−アダマンチル、4−クロロフェノキシメチル、2,2−ジメチルエテニル、2−クロロピリジン−5−メチル、5,7−ジメチル−1,3,4−トリアザインドリジン−2−イル、(S)−カンファン−1−イル、(R)−カンファン−1−イルまたは8−キノリニルであり、リンカー基Lは、−NHSO2−、−CH2NHSO2−、−NHSO2CH2−であり、フェニレン単位に存在する基は、開鎖または環式グアニジン単位であり、環式グアニジン単位、例えば、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾル−2−イルアミノ単位が特に好ましい。
【0134】
αvβ3インテグリン受容体に向かう成分は、式(IV)の基であってもよい:
【化34】
[式(IV)における基は、前記と同じ意義を有する]。
【0135】
末端カルボキシル単位は、複合体の残部への結合がこれを介して行われない場合、遊離カルボン酸またはエステルとして存在しうる。末端カルボキシル単位をエステル化する場合、一般法によって得られる基本的に全てのカルボン酸エステル、例えば、対応するそのアルキルエステル、シクロアルキルエステル、アリールエステルおよびそれらの複素環式類似体を本発明に使用することができ、アルキルエステル、シクロアルキルエステルおよびアリールエステルが好ましく、アルコール基は置換基をさらに有してもよい。特に好ましいC1 〜 6アルキルエステルは、例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ネオペンチルエステル、ヘキシルエステル、シクロプロピルエステル、シクロプロピルメチルエステル、シクロブチルエステル、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル、またはアリールエステル、例えば、フェニルエステル、ベンジルエステルまたはトリルエステルである。
【0136】
本発明の式(IV)の基は、末端カルボキシル単位が遊離カルボン酸として存在する形態で使用するのが好ましい。
【0137】
本発明の式(IV)の基は、末端グアニジンまたはアミノ単位を有することができる。この場合に、基R19は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基である。この場合に、置換基は、好ましくは、水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルおよびトリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンおよびキサンチンから成る群から選択され、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、インドリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンまたはキサンチン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。特に好ましい置換基は、例えば、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、または前記の基(a1)〜(a28)の1つである。基R17は、複合体の残部への式(IV)の基の結合がこの基を介して行われる場合、式(IV)の基と複合体の残部との対応する結合がそれを介して行われる直接結合を表す。
【0138】
請求項1に記載の新規複合体は、毒作用基の結合単位への結合、次に、αvβ3インテグリン受容体に向かう成分への結合によって製造できる。しかし、先ずαvβ3インテグリン受容体に向かう成分を結合単位に結合し、次に毒作用基を結合単位に結合させることもできる。
【0139】
相互に反応することができ、その結果、当業者に既知の一般法によって結合できる官能基を使用して、本発明の複合体の個々の単位の組み合わせを行うのが好ましい。例えば、カルボキシル官能基は、アミノ基と反応して、アミド結合を形成することができる。結合される2つの基の1つ、即ち、毒作用基またはαvβ3インテグリン受容体に向かう成分、において当業者に既知の方法によって結合単位を段階的に合成し、次に、完成結合単位を、結合すべきもう1つの基に結合することもできる。
【0140】
本発明は、特に、式(I)の複合体の製造方法に関し、該方法は、下記の工程を含んで成る:
[A] 遊離または所望により活性化されたカルボキシル官能基を有する式(II)、(III)および(IV)の化合物から成る群から選択される化合物を、塩基の存在下に、遊離第一級または第二級アミノ基を有する式(Ia)の化合物:
CT−LI (Ia)
[式中、全ての基は請求項1と同じ意義を有する]
と反応させるか、または
[B] 遊離第一級または第二級アミノ官能基を有する式(II)、(III)および(IV)の化合物から成る群から選択される化合物を、適切であれば塩基の存在下に、炭酸誘導体、例えば、ホスゲン、チオホスゲンまたはクロロ蟻酸エステルと反応させ、次に、遊離第一級または第二級アミノ基を有する式(Ia)の化合物:
CT−LI (Ia)
[式中、全ての基は請求項1と同じ意義を有する]
と反応させ、適切であれば、保護基を除去し、および/または製造工程の好ましい時点で存在する窒素原子を誘導体化し、および/または得られた化合物を遊離酸に変換し、および/または得られた化合物を、無機または有機塩基または酸との反応によって生理的塩の1つに変換にするか、または
[C] 遊離第一級または第二級アミノ官能基を有する式(II)、(III)および(IV)の化合物から成る群から選択される化合物を、塩基の存在下に、遊離または所望により活性化されたカルボキシル官能基を有する式(Ia)の化合物:
CT−LI (Ia)
[式中、全ての基は請求項1と同じ意義を有する]
と反応させ、適切であれば、保護基を除去し、および/または製造工程の好ましい時点で存在する窒素原子を誘導体化し、および/または得られた化合物を遊離酸に変換し、および/または得られた化合物を、無機または有機塩基または酸との反応によって生理的塩の1つに変換する。
【0141】
好ましい態様によれば、いくつかの製造工程を固相で行う。
本発明の製造法[A]において、式(II)、(III)および(IV)の基から成る群から選択されるαvβ3インテグリン受容体に向かう成分を、その遊離カルボキシル官能基を介して、毒作用基−結合単位複合体(Ia)のアミノ官能基に結合させて、アミド結合を形成する。この反応は、当業者に既知の一般法によって行うことができる(例えば、J. March, Advanced organic chemistry 第3版、Wiley, p.370 ff参照)。本発明によれば、αvβ3インテグリン受容体に向かう成分のカルボキシル官能基を活性化させ、次に、塩基の存在下に有機溶媒中で化合物(Ia)と反応させるのが好ましい。
【0142】
カルボキシル基を活性化するために、例えばJakubke/Jeschkeit:Aminosaeuren, Peptide, Proteine [Amino acid, Peptide, Proteins];Verlag Chemie 1982またはTetrahedr. Lett, 34, 6705(1993)に記載のようなペプチド化学において既知のカップリング試薬を使用することができる。その例は、N−カルボン酸無水物、酸塩化物または混合無水物、カルボジイミドとの付加物、例えば、N,N'−ジエチル−、N,N'−ジイソプロピル−またはN,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N'−エチルカルボジイミドヒドロクロリド、N−シクロヘキシル−N'−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド、メト−p−トルエンスルホネート、またはカルボニル化合物、例えば、カルボニルジイミダゾール、または1,2−オキサゾリウム化合物、例えば、2−エチル−5−フェニル−1,2−オキサゾリウム−3−スルフェートまたは2−tert−ブチル−5−メチル−イソオキサゾリウムペルクロレート、またはアシルアミノ化合物、例えば、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリンまたはプロパンホスホン酸無水物またはイソブチルクロロホルメートまたはベンゾトリアゾリルオキシ−トリス−(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールまたはN−ヒドロキシスクシンイミドエステルである。さらに、Leuchs無水物の形態の酸成分を使用することも勧められる。
【0143】
前記の本発明の製造法[A]は、種々の圧力および温度条件、例えば、0.5〜2バール、好ましくは、標準圧力、−30℃〜+100℃、好ましくは−10℃〜+80℃において、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン、クロロホルム、低級アルコール、アセトニトリル、ジオキサン、水のような好適な溶媒中かまたは前記溶媒の混合物中で行うことができる。一般に、DMF、ジクロロメタン、THF、ジオキサン/水またはTHF/ジクロロメタン中、室温かまたは氷冷却しながら、標準圧力において反応を行うのが好ましい。
【0144】
本発明の製造法[A]で使用しうる塩基は、例えば、トリエチルアミン、エチル−ジイソプロピルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、またはこの種の工程に一般に使用される他の塩基である。
【0145】
本発明の方法[B]において、式(II)、(III)および(IV)の基から成る群から選択されるαvβ3インテグリン受容体に向かう成分を、その遊離アミノ官能基を介して、先ず炭酸誘導体と反応させて、対応するイソシアネート、イソチオシアネートまたはカルバメートを形成し、次に、毒作用基−結合単位複合体(Ia)のアミノ官能基に結合させて、複合体(I)を形成する。
【0146】
式(II)、(III)および(IV)の基から成る群から選択されるαvβ3インテグリン受容体に向かう成分の、それの遊離アミノ官能基を介する炭酸誘導体との反応は、当業者に既知の一般法によって行うことができる(例えば、J. March, Advanced organic chemistry 第3版、Wiley, p.370 ff参照)。本発明によれば、その反応は、ホスゲンまたはホスゲン代用物、例えば、トリクロロメチルクロロホルメート、チオホスゲンまたはクロロ蟻酸エステルを使用して、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキサンと水(1:1)の混合物またはテトラヒドロフラン(THF)とジクロロメタン(DCM)(1:1)の混合物のような溶媒中で、室温かまたは冷却しながら、好ましくは室温で、約10分〜約3時間にわたって撹拌しながら、適切であれば塩基の存在下に行うのが好ましい。
【0147】
次に、そのようにして得られたイソシアネート、イソチオシアネートまたはカルバメートを、当業者に既知の一般法によって(例えば、J. March, Advanced organic chemistry 第3版、Wiley, p.802 ff参照)、毒作用基−結合単位複合体(Ia)のアミノ基と反応させて、対応するチオ尿素または尿素を形成する。
【0148】
本発明によれば、カルバメートまたはチオシアネートまたはイソチオシアネートを、式(Ia)のアミノ官能と、室温で、約1〜5時間、好ましくは約2〜3時間撹拌しながら、塩基の存在下に、ジメチルホルムアミド(DMF)のような溶媒中で反応させるのが好ましい。
【0149】
本発明の方法[B]に使用しうる塩基は、例えば、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジンまたはこの種の工程に一般に使用される他の塩基である。
【0150】
本発明の方法[C]において、式(II)、(III)および(IV)の基から成る群から選択されるαvβ3インテグリン受容体に向かう成分を、その遊離アミノ官能基を介して、毒作用基−結合単位複合体(Ia)のカルボキシル官能基に結合させて、アミド結合を形成する。この反応は、当業者に既知の一般法によって行うことができる(例えば、J. March, Advanced organic chemistry 第3版、Wiley, p.370 ff参照)。本発明によれば、化合物(Ia)のカルボキシル官能基を活性化し、次に、有機溶媒中で、塩基の存在下に、それを式(II)、(III)および(IV)の基から成る群から選択されるαvβ3インテグリン受容体に向かう成分と反応させる。
【0151】
カルボキシル基を活性化するために、例えばJakubke/Jeschkeit:Aminosaeuren, Peptide, Proteine [Amino acid, Peptide, Proteins];Verlag Chemie 1982またはTetrahedr. Lett, 34, 6705(1993)に記載のようなペプチド化学において既知のカップリング試薬を使用することができる。その例は、N−カルボン酸無水物、酸塩化物または混合無水物、カルボジイミドとの付加物、例えば、N,N'−ジエチル−、N,N'−ジイソプロピル−またはN,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N'−エチルカルボジイミドヒドロクロリド、N−シクロヘキシル−N'−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド メト−p−トルエンスルホネート、またはカルボニル化合物、例えば、カルボニルジイミダゾール、または1,2−オキサゾリウム化合物、例えば、2−エチル−5−フェニル−1,2−オキサゾリウム−3−スルフェートまたは2−tert−ブチル−5−メチル−イソオキサゾリウムペルクロレート、またはアシルアミノ化合物、例えば、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリンまたはプロパンホスホン酸無水物またはイソブチルクロロホルメートまたはベンゾトリアゾリルオキシ−トリス−(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールまたはN−ヒドロキシスクシンイミドエステルである。さらに、Leuchs無水物の形態の酸成分を使用することも勧められる。
【0152】
前記の本発明の製造法[C]は、種々の圧力および温度条件、例えば、0.5〜2バール、好ましくは、標準圧力、−30℃〜+100℃、好ましくは−10℃〜+80℃において、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン、クロロホルム、低級アルコール、アセトニトリル、ジオキサン、水のような好適な溶媒中かまたは前記溶媒の混合物中で行うことができる。一般に、DMF、ジクロロメタン、THF、ジオキサン/水またはTHF/ジクロロメタン中、室温かまたは氷冷却しながら、標準圧力において反応を行うのが好ましい。
【0153】
本発明の製造法[C]で使用しうる塩基は、例えば、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、またはこの種の工程に一般に使用される他の塩基、例えばHuenig塩基である。
【0154】
前記の方法によって得られた化合物は、存在する場合がある保護基を除去し、製造工程の好ましい時点で存在する窒素原子をさらに置換し、および/または得られた化合物を遊離酸および/またはその生理的に許容される塩に変換することによって、さらに誘導体化することができる。例えば、窒素原子の保護基として一般に使用されるt−ブトキシメトキシカルボニル基は、酸性媒体中で、例えばトリフルオロ酢酸を添加して、除去される。この工程における窒素原子の誘導体化に好適なアルキル化剤は、この目的に一般に使用される試薬であり、それを使用して、例えば、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基を、適切な窒素原子に結合させることができる。各窒素原子に結合させるのに好ましい置換基に関して、本発明の化合物についての先の記載を参照しうる。前記反応およびそれらの実施は、当業者によく知られており、例えばHouben-Weyl Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme Verlag, Stuttgartのような一般的書物に詳しく記載されている。
【0155】
本発明のエステル誘導体は、一般法、例えば塩基性エステル加水分解によって、対応する遊離カルボン酸に変換できる。
【0156】
所望であれば、本発明の化合物を生理的に許容される塩に変換することができる。これは、有機または無機塩基、例えばアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物、例えばKOH、NaOH、LiOH、Mg(OH)2またはCa(OH)2と反応させて、末端カルボキシル基を脱プロトンし、対応するカルボキシレートを形成するか、または有機または無機酸、例えば、塩酸、硫酸、燐酸、マンデル酸、オレイン酸、リノール酸またはp−トルエンスルホン酸と反応させて、存在する1個またはそれ以上の窒素原子をプロトン化することによって行うことできる。
【0157】
出発物質として機能する式(Ia)の化合物は、一般法によって製造しうる。毒作用基のアミノ酸単位への結合は、ペプチド化学の一般法によって行うことができ(例えば、Jakubke/Jeschkeit:Aminosaeuren, Peptide, Proteine [Amino acid, Peptides, Proteins];Verlag Chemie 1982、Houben-Weyl Methoden der Organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme Verlag, Stuttgart、第4版;第15.1および15.2巻、E. Wuensch編を参照)、例えば、WO 96/31532およびWO 98/51703にも開示されており、それらに開示の内容は本発明の開示の一部を構成するものとする。
【0158】
適切なカルボニルまたはチオカルボニル基の結合は、前記のように、毒作用基、または毒作用基−アミノ酸複合体と、ホスゲンまたはホスゲン代用物、例えばトリクロロメチル、クロロホルメートまたはチオホスゲンとの反応によって行うことができる。
【0159】
本発明によれば、毒作用基−結合単位複合体(Ia)を先ず合成するのが好ましいが、αvβ3インテグリン受容体に向かう成分上に連続して結合単位を先ず形成するか、または全体としてそれに結合させ、次に、そのようにして得られた複合体を毒作用基に結合させることも当然可能である。
【0160】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の化合物の合成を、固相、例えば、ポリスチレン樹脂、特に好ましくは商業的に入手可能なWangポリスチレン樹脂において部分的に行う。この場合、ジメチルホルムアミド(DMF)のような溶媒中で樹脂を先ず膨潤させる。次に、αvβ3インテグリン受容体に向かう式(II)、(III)または(IV)の成分を、標準法によってカルボキシル官能基を介して樹脂に結合させる。例えば、樹脂へのカルボン酸の結合は、ピリジンのような塩基、およびカルボキシル単位を活性化させる試薬、例えば塩化ジクロロベンゾイルのような酸ハロゲン化物の存在下に、ジメチルホルムアミド(DMF)のような溶媒中で行うことができる。しかし、この目的に一般に使用される他の試薬も使用しうる。反応混合物を、室温および標準圧力で、少なくとも2時間、好ましくは12時間、特に好ましくは24時間撹拌し、カルボン酸は、固相添加量に対して過剰、好ましくは2〜3倍過剰で使用される。本明細書に記載した全ての反応を、ここに記載した樹脂に結合しαvβ3インテグリン受容体に向かう式(II)、(III)または(IV)の成分において行うことができる。
【0161】
本発明の好ましい態様によれば、毒作用基はカンプトテシンまたはカンプトテシン誘導体である。結合単位へのこれらの毒作用基の結合は、C20 OH基または分子中の他の官能基を介して行うことができる。
【0162】
出発化合物として使用されるカンプトテシン単位は、20(R)または20(S)配置においてか、またはこれらの2つの立体異性形の混合物として存在しうる。20(S)配置が好ましい。
【0163】
カンプトテシンへの第一アミノ酸の結合後に、ジアステレオマー混合物を形成しうる。本発明の化合物の純粋ジアステレオマーは、前記の方法、例えば、カンプトテシンへの第一アミノ酸単位の結合後に好適な方法によってジアステレオマーを分離し、次に保護基を除去することによって得られる。
【0164】
αvβ3インテグリン受容体に向かう式(II)の基は、商業的に入手可能な化合物から下記の工程によって製造できる:
a) 式(IIa)のカルボン酸誘導体:
【化35】
[式中、
Pは、一般的な保護基、固相反応を行うために一般に使用される固相、または前記に定義したR1であり;
Aは、VおよびLに対して1,3−または1,4−置換されている、付加的基を任意に有するフェニレン基であり;
Lは、−H、−F、−Cl、−Br、−I、−SCN、−N2 +、または有機金属基であり;
他の基は前記と同じ意義を有する]
を、式(IIb)のフェニル化合物:
M−B−W−D (IIb)
[式中、
Mは、−H、−I、−N2 +、−COOOCOBNO2、または有機金属基であり;
Bは、MおよびW−Dに対して1,3−または1,4−置換されている、付加的基を任意に有するフェニレン基であり;
Wは、請求項1と同じ意義を有し;
Dは、−NO2、−NH2または−CHOである]
と反応させて、式(IIc)のビフェニル化合物:
【化36】
[式中、基は前記と同じ意義を有する]
を得;
b) Dが−NH2でない場合、基Dを対応するアミノ基に変換し;
c) 適切であれば、製造工程の好ましい時点で存在する窒素原子を誘導体化し、および/または得られた化合物を遊離酸に変換し、および/または得られた化合物を、無機または有機塩基または酸との反応によって、生理的塩の1つに変換する。
【0165】
好ましい態様によれば、本発明の方法において、式(IIa)のカルボン酸誘導体を固相に結合する間に、全ての工程を行う。
【0166】
さらに、本発明に好ましい方法の態様によれば、
式(IIa)のカルボン酸誘導体[Lは、−F、−Cl、−Brまたは−Iであり、他の基は前記と同じ意義を有する]を、
パラジウム(II)化合物およびトリフェニルホスファンの存在下に、
式(IIb)のフェニル化合物[Mは有機金属基であり、他の基は前記と同じ意義を有する]
と反応させる。
【0167】
好ましくは、前記の本発明の方法において、
式(IIa)のカルボン酸誘導体の対応する先駆物質のアミノ酸とハロゲン化スルホニルまたはハロゲン化カルバモイルとを反応させることによって得られる、スルホンアミドまたはカルバメート基を有する式(IIa)のカルボン酸誘導体を使用する。
【0168】
式(IIc)のDが−NO2である場合の本発明の前記方法において、Dのアミノ基への変換を、錫(II)化合物の存在下に行うのがさらに好ましい。
【0169】
式(IIc)のDが−CHOである場合の本発明の前記方法において、Dのアミノ基への変換を、還元条件下のアミンの反応によって行うのがさらに好ましい。
【0170】
Dがアミノ基である式(IIc)の化合物は、このアミノ基と炭酸誘導体またはチオ炭酸誘導体とを反応させ、次に、式NHR4R6[R4およびR6は前記と同じ意義を有する]のアミンとさせて、尿素またはチオ尿素単位を得るのがさらに好ましい。
【0171】
式(II)の基の製造法の重要な工程は、それのカルボキシル基が保護されており、アリール−アリールカップリング反応に使用できる基を有する少なくとも1個のアリール基を有するカルボン酸と、アリール−アリールカプリング反応に使用できる少なくとも1個の基を有し、アミノ基であるかまたはアミノ基に簡単に変換しうる基Dをさらに有するフェニル化合物とを反応させる工程、および、基Dがアミノ基でない場合に、基Dを対応するアミノ基に変換する工程である。さらに含みうる工程は、製造工程の好ましい時点で分子に存在する窒素原子を誘導体化する工程、および/またはそのようにして得た化合物を遊離酸へ変換する工程、および/または無機または有機酸または塩基との反応によって、そのようにして得た化合物を生理的に許容される塩の1つに変換する工程である。
【0172】
出発化合物として使用されるカルボン酸は、商業的に入手可能であるか、またはHouben-Weyl Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme-Verlag, Stuttgartのような一般的書物に記載され当業者に既知であるような化学標準法によって簡単に得られる。
【0173】
好ましい態様によれば、式(II)の基の製造法は、下記のカルボン酸誘導体から開始される:
【化37】
【0174】
製造法に関して、この場合、カルボキシル基は一般的保護基Pによって遮断される。この種の保護基は当業者に既知であり、ここで詳しく記載する必要はない。カルボキシル基をエステル化するのが特に好ましく、Pは、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルまたはトリル、またはそれらの置換誘導体である。しかし、特に好ましくは、式(II)の基の製造法は、できる限り経済的な方法で行えるように、固相で行われる。この場合、この種の反応に一般に使用されるあらゆる固相にカルボキシル基を結合しうる。本発明によれば、使用される特に好ましい固相は、ポリスチレン樹脂、特に、商業的に入手可能なWangポリスチレン樹脂である。
【0175】
本発明の好ましい態様によれば、R2は前記と同じ意義を有し、Vは任意に置換されていてよいC1 〜 5アルキレン基である。このように、この好ましい態様の出発化合物は、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸またはヘプタン酸の誘導体であると理解される。カルボキシル基に対してα−位置において、これらのカルボン酸誘導体は、下記のような置換基を有しうる:水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルまたはトリル、またはそれらの置換誘導体、任意に置換されていてよいアルケニル基、任意に置換されていてよいアルキニル基、−NR2 ’SO2R2 ’、−NR2 ’COOR2 ’、−NR2 ’COR2 ’、−NR2 ’CONR2 ’ 2、または−NR2 ’CSNR2 ’ 2。対応する誘導体が商業的に入手できない場合、アルキルおよびシクロアルキル基ならびにベンジル基は、例えば、出発化合物のエステルと、適切なアルキル、シクロアルキルまたはベンジルハロゲン化物との塩基性媒体における反応によって、導入することができる。アルキニル基は、例えば、Reformatski反応によって得られる出発化合物のα−ブロモエステルと、適切なアセチリド陰イオンとの反応によって導入しうる。フェニル基、アルケニル基および窒素含有置換基の場合、対応するα−フェニル−またはα−アミノカルボン酸誘導体を出発物質として使用するのが好ましく、必要であれば、末端カルボキシル基に対してα−C原子における他の置換基を、対応するアルキルハロゲン化物を使用して導入する。前記の反応およびそれら実施は、当業者によく知られており、例えば、Houben-Weyl Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme-Verlag, Stuttgartのような一般的書物に詳しく記載されている。
【0176】
カルボキシル基に対してβ−位置における置換基の導入に関して、例えば、対応するα,β−不飽和カルボン酸誘導体から開始して、これらを、Michael付加において各アルキル、シクロアルキルまたはアリールクプレート(cuprates)と反応させることが勧められる。従って、所望であれば、前記のようにカルボキシル基に対してα−位置に置換基を付加的に導入することもできる。これらの反応およびそれら実施は、当業者によく知られており、例えば、Houben-Weyl Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme-Verlag, Stuttgartのような一般的書物に詳しく記載されている。
【0177】
カルボキシル基に対してα−またはβ−位置に存在するのが好ましい基−NR2 ’SO2R2 ’、−NR2 ’COOR2 ’、−NR2 ’COR2 ’、−NR2 ’CONR2 ’ 2、または−NR2 ’CSNR2 ’ 2は、各α−またはβ−アミノ酸から製造するのが好ましい。本発明に使用されるα−アミノ酸は、例えばNovabiochemまたはBachemから商業的に入手可能である。β−アミノ酸は、これらの会社から得られる場合もあり、または、T.B. Johnson, Journal of the American Chemical Society, 1936, 58またはV.A. Soloshonok, Tetrahedron Assymetry, 1995, 1601の手順によって製造できる。これらのアミノ酸は、例えば、アミノ基を保護し、次にカルボン酸単位を保護し、次にアミノ基を脱保護することによって、所望のカルボキシル保護アミノ酸誘導体に変換できる。この場合に、アミノ基に使用しうる保護基は、この目的に関して既知のあらゆる基である。9−フルオレニルメトキシカルボニル基(FMOC)をアミノ単位の保護基として使用するのが本発明に特に好ましい。カルボン酸根は、前記のように保護されるかまたは誘導体化される。このようにして得られるカルボキシル保護α−またはβ−アミノ酸を、好適なスルホン化試薬、カルバモイル化試薬またはアシル化試薬と反応させて、対応するスルホンアミド、カルバメートまたはアミド誘導体を得る。使用されるスルホン化試薬は、好ましくは、式R2 ’’−SO2Clの塩化スルホニル、または式R2 ’’−OCOClの塩化カルバモイルであり、R2 ’’は、C1 〜 10アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはカンフォル−10−イル、アリール、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、メシチルまたはこれらの置換誘導体、例えば、2−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、4−メトキシフェニル、4−t−ブチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、3−クロロフェニル、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2−ナフチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリンまたは8−キノリニル、または前記の環式基の複素環式類似体である。特に好ましくは、R2 ’’は、メシチル基、ベンジル基、2−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、3−アミノフェニル基、4−アミノフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基またはカンフォル−10−イル基である。前記のスルホニルまたはカルバモイルクロリドの代わりに、対応する弗化物、臭化物または沃化物を使用することもできる。アシル化試薬として、適切なカルボン酸ハロゲン化物またはカルボン酸無水物をアミノ基と反応させ、対応するC1 〜 6アルキルカルボニルクロリド、例えば、メチル−、エチル−、プロピル−、イソプロピル−、ブチル−、イソブチル−、t−ブチル、ペンチル−、イソペンチル−、ネオペンチル−、ヘキシル−、C3 〜 7−シクロアルキル−、例えば、シクロプロピル−、シクロブチル−、シクロペンチル−、シクロヘキシル−、アリール−、例えば、フェニル−、ベンジル−またはトリルカルボン酸クロリドまたはそれらの置換誘導体が本発明にとって好ましい。尿素またはチオ尿素基の製造に関して、好ましくは、アミノ基を炭酸またはチオ炭酸誘導体、例えばクロロ蟻酸エステルまたはチオホスゲンと先ず反応させ、次に、好適なアミンNHR2 ’ 2と反応させる。前記の反応およびそれらの実施は、当業者によく知られており、例えばHouben-Weyl Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme Verlag, Stuttgartのような一般的書物に詳しく記載されている。
【0178】
前記の好ましい実際態様に使用される出発化合物は、少なくとも1個の置換基Lを有する末端フェニル単位を有する。この置換基Lは、既知のアリール−アリールカップロング法の1つを使用して、もう1つのフェニル基で置換可能であるべきである。本発明によれば、Lは、−H、−F、−Cl、−Br、−I、−SCN、−N2 +であるかまたは有機金属基である。好ましい有機金属基の例は、マグネシウム、銅、硼素、錫、リチウムまたはリチウムクプレート基である。
【0179】
末端フェニル単位は、基VおよびLの他に、1個またはそれ以上の置換基、好ましくは1個またはそれ以上のアルコキシ基、特に好ましくは1個またはそれ以上のメトキシ基をさらに有していてもよい。
【0180】
適切な出発物質が商業的に入手できない場合、標準法、例えばFriedel-Craftsアルキル化、Friedel-Craftsアシル化によるか、または有機金属合成法、例えばパラジウムカップリングによって、末端フェニル単位を適切なカルボン酸誘導体に結合させることができ、次に、当業者に既知の、例えばHouben-Weyl Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme Verlag, Stuttgartのような一般的書物に詳しく記載されている誘導体化工程をさらに行ってもよい。
【0181】
基VおよびLに関して、末端フェニル単位は、1,3−または1,4−置換されていたもよい。これらの各異性体は、商業的に入手できない場合に、当業者に既知の方法によって得られる。
【0182】
さらに好ましい態様によれば、式(II)の化合物の製造法は、下記のカルボン酸誘導体から開始される:
【化38】
【0183】
この場合、PおよびR2は、前記と同じ意義を有し、それらが市販の出発化合物に含有されていない場合は、前記の方法によって導入しうる。Uは、任意に置換されていてよいアルキレン基、好ましくは任意に置換されていてよいC1 〜 3アルキレン基を表す。Uにおける可能な置換基に関して、本発明の化合物に関する前記の説明を参照できる。
【0184】
Uが任意に置換されていてよいメチレン基である場合、前記化合物の製造は、任意に付加的に置換された3−アミノプロパン酸から開始し、これをアリールスルホニルハロゲン化物、好ましくは塩化アリールスルホニルと反応させる。塩化アリールスルホニルは、LおよびOalkの所望の存在および位置によって選択され、Lは前記と同じ意義を有し、Oalkは、1個またはそれ以上のアルコキシ基、好ましくは1個またはそれ以上のメトキシ基を表す。好ましいアリールスルホニルハロゲン化物は、商業的に入手可能であるかまたは当業者に既知の一般的な反応によって製造できる。前記の反応およびそれらの実施は、当業者によく知られており、例えばHouben-Weyl Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme Verlag, Stuttgartのような一般的書物に詳しく記載されている。
【0185】
ビフェニル核は、アリール−アリールカップリング反応によって、本発明の全ての態様において製造される。形式上、これに関して、出発化合物として機能するカルボン酸誘導体の末端フェニル基における基Lは、下記式のフェニル化合物によって置き換えられる:
M−B−W−D (IIb)
[式中、
Mは、−H、−I、−N2 +、−COOOCOBNO2または有機金属基であり;
Bは、MおよびW−Dに対して1,3−または1,4−置換され、付加的基を任意に含有するフェニレン基であり;
Wは、前記と同じ意義を有し;
Dは、−NO2、−NH2または−CHOである]。
【0186】
可能なカップリング反応は、例えば、AlCl3および酸の存在下の2つの非置換フェニル基(即ち、LおよびMが水素である)の反応(Scholl反応)、銅の存在下の2つの沃化フェニルのカップリング(Ullmann反応)、塩基性条件下の非置換カルボン酸誘導体とフェニルジアゾニウム化合物との反応(Gomberg-Bachmann反応)または、有機金属試薬の関与するカップリングである。これに関して、臭化タリウムの存在下の2つのフェニル−Grignard化合物のカップリング、硝酸銀および水酸化ナトリウムの存在下の2つの有機硼素化合物のカップリング、酸素の存在下のジフェニルリチウムクプレートの反応、有機金属フェニル化合物によるハロゲン化フェニルのパラジウム補助カップリングが好適であるい。これらの反応の実施は、Houben-Weyl Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Thieme Verlag, Stuttgartのような一般的書物に詳しく記載されている。カップリング反応の選択は、反応物における、任意に干渉するかまたは鋭敏な物質によって決まる。しかし、本発明の好ましい式(II)の基に関しては、パラジウム−(II)化合物およびトリフェニルホスファンの存在下に、ハロゲン化フェニルと有機金属フェニル化合物とをカップリングすることによってビフェニル核を形成するのが特に有利であることがわかった。
【0187】
この場合に使用されるハロゲン化フェニルは、対応する弗化、塩化、臭化または沃化フェニルであり、対応する臭化物が特に好ましい。使用される有機金属フェニル化合物は、これらの目的に一般に使用される金属元素、例えば、亜鉛、マグネシウム、硼素、リチウム、銅、錫または他の元素が、アリール環に直接結合している物質であるのが好ましい。本発明によれば、有機硼素化合物が特に好ましい。基−W−Dの他に、さらに置換基がアリール環に付加的に結合していてもよい。好ましくは、これらの置換基は、1個またはそれ以上のアルキル基、好ましくはC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、特に好ましくは1個またはそれ以上のメチル基である。Wが存在する場合、即ち、基Dが、任意に置換されていてよいアルキレン基を介してフェニル環Bに結合している場合、このアルキレン鎖の主鎖の長さは、前記の理由から、得られた式(IIC)の化合物において、ビフェニル核の他に6個以下の原子が末端カルボキシル単位と基Dの間に存在するように選択すべきである。
【0188】
本発明に特に好ましいアリール試薬は、3−ニトロベンゼン硼酸または3−ホルミルベンゼン硼酸である。
【0189】
化合物に導入された基Dは、それがアミノ基でない場合は、アミノ基に変換される。Dがニトロ基である場合、塩化錫のような一般的な還元剤を使用して、これを対応するアミノ基に還元する。Dがアルデヒド基である場合は、アミノ基への変換は、還元条件下、例えば、オルトエステルおよび還元剤、例えば硼化水素のような金属水素化物の存在下に、アミンと反応させることによって行う。次に、このように形成されたアミノ基を、例えばアルキルまたはシクロアルキルハロゲン化物との反応によって誘導体化できる。このようにして窒素原子上に導入しうる好ましい置換基に関しては、本発明の式(II)の基についての先の記載を参照しうる。
【0190】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の式(II)の基の合成は、ポリスチレン樹脂、特に好ましくは商業的に入手可能なWangポリスチレン樹脂のような固相において行われる。これに関して、樹脂を、ジメチルホルムアミド(DMF)のような溶媒中で先ず膨潤させる。次に、出発化合物として機能する適切なカルボン酸を、標準法によって樹脂に結合させる。例えば、樹脂へのカルボン酸の結合は、ピリジンのような塩基、およびカルボキシル単位を活性化する試薬、例えば塩化ジクロロベンゾイルのような酸ハロゲン化物の存在下に、ジメチルホルムアミド(DMF)のような溶媒中で行うことができる。この目的に一般に使用される他の試薬も使用しうる。反応混合物を、室温、標準圧力で、少なくとも2時間、好ましくは12時間、特に好ましくは24時間撹拌し、カルボン酸は、過剰において、好ましくは固相の添加量に対して2〜3倍の過剰において使用される。
【0191】
未反応の試薬を除去した後、所望であれば、樹脂から前もって除去することを必要とせずに、樹脂に結合したカルボン酸を誘導体化することができる。本発明の好ましい態様によれば、例えば、アミノ基が保護されている前記のようなアミノ酸を固相に結合し、次に、アミノ基の遊離後に、置換基をそれに導入する。アミノ基は、スルホニル化またはカルバモイル化されているのが好ましい。このために、テトラヒドロフラン(THF)のような溶媒中で、ジイソプロピルエチルアミンのような補助塩基の存在下に、固相に結合しているアミノ酸を、過剰の、好ましくは2〜4倍過剰、特に好ましくは約3倍過剰の適切なスルホニル化剤またはカルバモイル化剤の溶液で処理し、反応混合物を室温、標準圧力で、少なくとも2時間、好ましくは12時間、特に好ましくは約24時間撹拌する。得られたスルホンアミドまたはカルバメートは、樹脂から除去する必要はなく、存在する場合がある未反応試薬の除去後すぐにさらに反応させることができる。
【0192】
本発明によるアリール−アリールカップリングは、任意に誘導体化された、例えば前記のようにスルホニル化またはカルバモイル化された、固相に結合したカルボン酸を、水性媒体中で、炭酸ナトリウムのような塩基の存在下に、式(IIb)の適切なアリールカップリング試薬、およびこの目的に一般に使用される触媒、例えばパラジウム−(II)塩、好ましくはトリフェニルホスファンと組み合わせたビス−(トリフェニルホスファン)−パラジウム−(II)クロリドで処理することによって行うのが好ましい。これに関して、約3〜8倍、好ましくは約4〜6倍過剰のアリールカップリング剤であって、本発明によれば特に3−ニトロベンゼン硼酸または3−ホルミルベンゼン硼酸であるアリールカップリング剤、および触媒活性量、例えばカルボン酸に対して約10倍過剰のパラジウム化合物を使用し、反応混合物を室温で短時間、例えば5〜10分加熱した後、約2〜24時間、好ましくは6〜24時間、特に好ましくは12〜24時間にわたって40〜110℃、好ましくは50〜100℃、特に好ましくは60〜90℃で加熱するのが好ましい。存在する場合がある未反応反応物を塩酸溶液のような酸性溶液で洗浄して除去した後に、得られたビフェニル化合物をさらに精製せずに直ぐに反応させることができる。
【0193】
基Dがニトロ基である場合、該ニトロ基のアミノ基への本発明による変換は、適切であればN−メチルピロリドン(NMP)のような溶媒の存在下に、塩化錫(II)のような一般的な還元剤を、前記のようにして得た固相に結合した中間体に添加し、室温、標準圧力で、少なくとも2時間、好ましくは12時間、特に好ましくは24時間にわたって反応混合物を撹拌することによって行うのが好ましい。
【0194】
基Dがアルデヒド基である場合、該アルデヒド基のアミノ基への変換を、還元アミノ化によって行う。このために、ジイソプロピルエチルアミンのような中和剤、および約6〜10倍過剰で存在するオルトエステルの存在下に、前記のように得られた固相に結合した中間体を、約3〜6倍、好ましくは4〜5倍過剰のアミンで処理する。室温で数時間、好ましくは1〜3時間撹拌した後、約3〜6倍、好ましくは4〜5倍過剰の水素化硼素テトラブチルアンモニウムのような金属水素化物の酸性溶液を反応混合物に添加し、再び、室温で数時間、好ましくは12〜24時間撹拌する。
【0195】
前記で得た生成物を、式(IIc)の化合物のアミノ基を表す基Dを誘導体化するか、または分子中に存在する窒素原子上に置換基をさらに導入することによって、さらに反応させてもよく、または樹脂から直接的に除去してもよい。樹脂からの除去は、酸性媒体中で一般的方法によって行われる。樹脂から除去した生成物は、存在する場合がある溶媒を除去した後に、既知の精製法、例えばクロマトグラフィー法によって、精製することができる。
【0196】
さらに、式(IIc)の化合物のアミノ基を表す基Dを、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基に変換することもできる。これらの構造単位は、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme Verlag, Stuttgartに記載のような当業者に既知の一般的反応によって形成できる。
【0197】
本発明によれば、式(IIc)の化合物のアミノ基を表す基Dを、尿素基またはチオ尿素基に変換するのが特に好ましい。これのために、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロロメタン、または両方の混合物(好ましくは1:1の混合物)のような不活性溶媒中で、固相に結合したカルボン酸の前記アミノ基と、2〜5倍、好ましくは3〜4倍過剰の炭酸エステルまたはチオ炭酸エステル誘導体とを、室温で、約1時間、好ましくは約45分間撹拌することによって先ず反応させるのが好ましい。使用される炭酸エステルまたはチオ炭酸エステル誘導体は、好ましくは、ホスゲン、トリホスゲン、チオホスゲンまたはクロロ蟻酸エステルであり、商業的に入手可能なクロロ蟻酸エステルは尿素誘導体の製造に好ましく、チオホスゲンはチオ尿素誘導体の製造に好ましい。
【0198】
このようにして形成されたカルバメートまたはイソチオシアネートは、好適なアミンとの反応によって、対応する尿素およびチオ尿素誘導体に変換できる。使用されるアミンは、式HNRR'の物質であってよく、式中のRおよびR'は、互いに独立に、または共に、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、アルキルアミン基、アルキルアミド基であるか、または互いに結合して、窒素原子と一緒になって、任意に置換されていてよい複素環系を形成してもよく、該複素環系は、飽和または不飽和であってよく、および/または複素原子をさらに有してもよい。アミン上の好ましい基に関しては、本発明の式(II)の基に関する先の記載を参照しうる。本発明によれば、固相に結合したカルバメートまたはイソチオシアネートと、顕著に過剰の、好ましくは3〜10倍過剰、特に好ましくは5〜10倍過剰のアミンとを、ジイソプロピルエチルアミンのような補助塩基の存在下に、ジメチルホルムアミド(DMF)のような不活性溶媒中で、室温で、1〜5時間、好ましくは2〜3時間にわたって撹拌しながら反応させるのが好ましい。
【0199】
αvβ3インテグリン受容体に向かう式(III)の基は、商業的に入手可能な出発物質から下記の工程によって製造しうる。
【0200】
本発明の製造法の重要な工程は、下記の工程である:
式(IIIa)のβ−アミノ酸:
【化39】
[式中、
Pは、−(CH2)mNO2、−(CH2)mO−C1 〜 6アルキル、−(CH2)mSO2P'、−(CH2)mCOP'、−(CH2)mCH2O−C1 〜 6アルキルであり、mは各場合に0または1の整数であり;
P'は、−OH、−O−C1 〜 6アルキルであり;
他の基は、前記と同じ意義を有し、R7は、追加的に、固相反応に一般に使用される固相であってもよい]
と、化合物R10−Aとを反応させて、式(IIIb)の化合物:
【化40】
[式中、
R10は、−SO2R10 ’、−COOR10 ’’または−COR10 ’であり;
R10 ’およびR10 ’’は、前記と同じ意義を有し;
Aは、−Cl、−Br、−I、−O−トリフリル、−O−トシル、−O−C1 〜 6アルキル、−O−CO−C1 〜 6アルキル、−O−CO−O−C1 〜 6アルキル、−OC(CH3)=CH2であり;
他の基は、前記と同じ意義を有する]
を得る工程;
基Pを基Qに変換する工程:
[Qは、−(CH2)mNH2、−(CH2)mOH、−(CH2)mCH2OH、−(CH2)mSO2A、−(CH2)mCOAであり;
Aは、前記と同じ意義を有し;
mは、0または1の整数である];
前記で得た化合物(IIIb)の化合物を、式(IIIc)の化合物:
【化41】
[式中、
Sは、ASO2(CH2)n−、NH2(CH2)n−、ACO(CH2)n−、HOCH2(CH2)n−、M(CH2)n−、MCH2(CH2)n−、HSCH2(CH2)n−またはHS(CH2)n−であり;
nは、0または1の整数であり;
Mは、Mg、Li、CdまたはSnを含む基であり;
Aは、前記と同じ意義を有し;
Cは、−NO2または
【化42】
であり;
X、R12、R13、R14およびR15は、前記と同じ意義を有する]
と反応させて、式(IIId)の化合物:
【化43】
[式中、基は前記と同じ意義を有する]
を得る工程;
適切であれば、Cがニトロ基である場合に、基(III)を維持しながら任意に環式の尿素、チオ尿素またはグアニジン単位に変換する工程;および
適切であれば、保護基を除去し、および/または製造工程の好ましい時点で存在する窒素原子を誘導体化し、および/または得られた化合物を遊離酸に変換し、および/または得られた化合物を、無機または有機塩基または酸との反応によって生理的塩の1つに変換する工程。
【0201】
式(IIIa)のβ−アミノ酸誘導体は、商業的に入手可能であるか、または当業者によく知られた、Houben-Weyl Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme-Verlag, Stuttgartのような一般的書物に詳しく記載されている標準化学法によって簡単に得られる。特に、Rodionowら、J. Am. Chem. Soc. 51, 1929, 844-846, Kunzら、Angew. Chem. 101, 1989, 1042-1043およびIshiharaら、Bull. Chem. Soc. Jpn., 68, 6, 1995, 1721-1730に記載されているβ−アミノ酸誘導体の製造法を参照しうる。
【0202】
本発明の好ましい態様によれば、式(IIIa)のβ−アミノ酸誘導体は、アンモニア、アンモニウム化合物またはアミンの存在下に、マロン酸と式(IIIa')のベンズアルデヒド誘導体とを反応させることによって得られる:
【化44】
[式中、R17およびPは、前記と同じ意義を有する]。
マロン酸の代わりに、適切であればNaHまたはナトリウムアルコキシド、好ましくはナトリウムメトキシドまたはナトリウムエトキシドのようなこれらの目的に一般に使用される塩基を付加したエステルも使用しうる。好ましくは、酢酸アンモニウムのようなアンモニウム化合物を窒素化合物として使用する。
【0203】
ベンズアルデヒド誘導体(IIIa')は、商業的に入手可能であるか、または当業者に既知の、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme-Verlag, Stuttgartのような一般的書物に詳しく記載されている標準化学法によって簡単に得られる。
【0204】
本発明の好ましい態様によれば、3−または4−ニトロベンズアルデヒドのようなニトロベンズアルデヒド誘導体、または3−または4−メトキシベンズアルデヒドのようなアルコキシベンズアルデヒド誘導体を、式(IIIa')の化合物として使用する。
【0205】
本発明の好ましい態様によれば、式(IIIa)のβ−アミノ酸は、ほぼ等モル量のマロン酸、酢酸アンモニウムおよび3−ニトロベンズアルデヒドまたは3−メトキシベンズアルデヒドを、イソプロパノールのような溶媒中で、数時間、好ましくは2〜6時間にわたって50〜110℃で、好ましくは溶媒を還流させながら、周囲大気中(即ち、空気中および標準圧力下)で反応させることによって得られる。
【0206】
次の反応工程のために、カルボキシル基を、一般的保護基Pで遮断する。この種の保護基は当業者に既知であり、ここで詳しく記載する必要はない。カルボキシル基は、特に好ましくはエステル化され、Pは、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体である。
【0207】
さらに、式(III)の基の本発明の製造法は、式(II)の基に関して記載したように、固相において行うことができる。この場合、この種の反応に一般に使用されるあらゆる固相、例えば、Wangポリスチレン樹脂のようなポリスチレン樹脂に、カルボキシル基を結合しうる。
【0208】
本発明の好ましい態様によれば、前記β−アミノ酸のカルボキシル基は、エタノールのようなアルコールまたは固相反応に一般に使用されるポリマーとの反応によってエステル化される。これは、当業者に既知の条件、例えば、酸触媒反応および適切であればジシクロヘキシルカルボジイミドのような脱水剤の添加によって行うことができる。しかし、過剰で存在する適切なアルコール、例えばエタノールにβ−アミノ酸を懸濁し、HClを約30分〜約2時間にわたって通し、次に、混合物を、数時間、好ましくは約1〜6時間、特に好ましくは約3〜5時間にわたって、約50℃〜約100℃で、好ましくはアルコールを還流させながら、周囲大気において加熱するのが好ましい。
【0209】
このようにして得たカルボキシル保護βアミノ酸を、好適なスルホン化試薬、カルバモイル化試薬またはアシル化試薬と反応させて、対応するスルホンアミド誘導体、カルバメート誘導体またはアミド誘導体を得る。使用されるスルホン化試薬は、好ましくは式−R10 ’’−SO2Clの塩化スルホニルまたは式R10 ’’−OCOClの塩化カルバモイルであり、R10 ’’は、C1 〜 10アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはカンフォル−10−イル、アリール、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、メシチルまたはこれらの置換誘導体、例えば、−C6H2(CH3)3、−C6(CH3)5、−CH2C6H2(CH3)3、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−クロロフェニルメチル、2,4−ジクロロフェニルメチル、2,6−ジクロロフェニルメチル、2−メトキシカルボニルフェニルメチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、フェニルメチル、2−アセトアミド−4−メチルチアゾル−5−イル、フェニルエチル、1−フェニルプロピル、(S)−(+)−カンフォル−10−イル、(R)−(−)−カンフォル−10−イル、2−フェニルエテニル、2−チオフェニル、4−メトキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−プロピルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリン、4−アセトアミドフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、5−クロロ−3−メチルベンゾチアゾル−2−イル、N−メトキシカルボニルピペリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、イソオキサゾル−5−イル、2−クロロピリジン−3−イル、ピリジン−3−イル、5−メチルイソオキサゾル−3−イル、1−アダマンチル、4−クロロフェノキシメチル、2,2−ジメチルエテニル、2−クロロピリジン−5−メチル、5,7−ジメチル−1,3,4−トリアザインドリジン−2−イル、(S)−カンファン−1−イル、(R)−カンファン−1−イル、8−キノリニルまたは前記の環式基の複素環類似体である。前記の塩化スルホニルまたは塩化カルバモイルの代わりに、対応する弗化物、臭化物または沃化物も使用できる。アシル化試薬として、適切なカルボン酸ハロゲン化物またはカルボン酸無水物をアミノ基と反応させ、適切なC1 〜 6アルキルカルボン酸塩化物、例えば、メチル−、エチル−、プロピル−、イソプロピル−、ブチル−、イソブチル−、t−ブチル−、ペンチル−、イソペンチル−、ネオペンチル−、ヘキシル−、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル−、シクロブチル−、シクロペンチル−、シクロヘキシル−、アリール−、例えば、フェニル−、ベンジル−、トリルカルボン酸塩化物またはそれらの置換誘導体が本発明に好ましい。尿素またはチオ尿素基の製造に関して、アミノ基を、炭酸またはチオ炭酸誘導体、例えば、クロロ蟻酸エステルまたはチオホスゲンと先ず反応させ、次に、所望のアミンと反応させるのが好ましい。前記の反応およびそれらの実施は、当業者によく知られており、Houben-Weyl Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme Verlag, Stuttgartのような一般的書物に詳しく記載されている。
【0210】
本発明の好ましい態様によれば、式(IIIa)のカルボキシル保護βアミノ酸を、冷却しながら、好ましくは0℃において、ピリジンまたはジオキサンのような溶媒中で、周囲大気において、アミン、好ましくはトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下に、等モル量か少し過剰の適切なスルホニル化剤、例えば、塩化フェニルスルホニル、またはアシル化剤、例えば塩化メシチルアセチルで処理し、混合物をこの温度で約10分〜約2時間撹拌する。スルホニル化の場合、この後に、室温で数時間、好ましくは2〜6時間撹拌する。
【0211】
リンカー基Lの合成の前に、式(IIIb)の化合物の基Pを、求核試薬または基質として求核置換に参加しうる基Qに変換すべきである。Pがニトロ基を有する場合、これは対応するアミノ基に還元され、この還元は、本発明によれば、塩化錫(II)を、エタノールのような溶媒中の式(IIIb)の化合物の溶液に添加し、次に、好ましくは溶媒を還流させながら、数時間、好ましくは約1〜4時間にわたって周囲大気中で約50〜110℃に加熱することによって行うのが好ましい。Pがエーテル基を有する場合、対応するヒドロキシル基の遊離は、ジクロロメタンのような溶媒中で、冷却しながら、好ましくは−78℃において、三臭化硼素のようなルイス酸を添加し、次に、数時間、好ましくは6〜24にわたって室温で撹拌することによって行うのが好ましい。Pがスルホン酸またはカルボン酸根を有する場合、対応するスルホニルまたはカルボン酸ハロゲン化物に変換するのが好ましい。これは、当業者に既知の方法、例えば、対応するスルホン酸またはカルボン酸を塩化チオニルと反応させることによって、行うことができる。
【0212】
次に、このように製造した化合物を式(IIIc)の化合物:
【化45】
[式中、
Sは、ASO2(CH2)n−、NH2(CH2)n−、ACO(CH2)n−、HOCH2(CH2)n−、M(CH2)n−、MCH2(CH2)n−、HSCH2(CH2)n−またはHS(CH2)n−であり;
nは、0または1の整数であり;
Mは、Mg、Li、CdまたはSnを含む基であり;
Aは、前記と同じ意義を有し;
Cは、−NO2または
【化46】
であり;
X、R12、R13、R14およびR15は、前記と同じ意義を有する]
と反応させ、式(IIId)の化合物を得る:
【化47】
[式中、基は前記と同じ意義を有する]。
この反応は、形式的に、各場合の他の出発化合物における求核単位による、出発化合物の1つにおける脱離基の置換を示す。
【0213】
本発明の好ましい態様によれば、ピリジンまたは水素化ナトリウムのような塩基の存在下に、適切であれば、テトラヒドロフラン(THF)またはジメチルホルムアミド(DMF)のような溶媒中で、周囲大気において、室温かまたは冷却しながら、好ましくは0℃において、反応物をほぼ等モル量で混合し、数時間、好ましくは約1時間〜約24時間にわたって、室温かまたは冷却しながら、例えば0℃で撹拌する。
【0214】
このようにして得た式(IIId)の化合物は、末端ニトロ基を開鎖または環式グアニジン、尿素またはチオ尿素に変換することによって、本発明の式(III)の基に変換される。
【0215】
このために、好ましくは、適切であればエタノールのような溶媒の存在下に、塩化錫(II)のような一般的な還元剤を添加し、好ましくは溶媒の還流下に、約50〜110℃で加熱しながら、周囲大気において混合物を約2時間撹拌することによって、本発明によってニトロ基をアミノ基に先ず変換する。
【0216】
次に、このようにして得たアミノ基を、グアニジン、尿素またはチオ尿基単位に変換する。これのために、前記のアミノ基を、ジメチルホルムアミド(DMF)のような溶媒中で、塩化水銀(II)の存在下に、冷却しながら、好ましくは0℃において、炭酸エステルまたはチオ炭酸エステル誘導体と先ず反応させ、冷却しながら、好ましくは約0℃で、適切であれば次に室温で、約10分〜約3時間撹拌する。使用される炭酸エステルまたはチオ炭酸エステル誘導体は、好ましくは、ホスゲン、トリホスゲン、チオホスゲン、クロロ蟻酸エステルまたはチオプソイド尿素誘導体であり、商業的に入手可能なクロロ蟻酸エステルは尿素誘導体の製造に好ましく、チオホスゲンはチオ尿素誘導体の製造に好ましく、チオプソイド誘導体はグアニジン誘導体の製造に好ましい。
【0217】
このようにして形成されたカルバメートまたはイソチオシアネートは、適切なアミンとの反応によって、対応する尿素、チオ尿素およびグアニジン誘導体に変換しうる。使用されるアミンは、式HNRR'の物質であってよく、式中のRおよびR'は、互いに独立に、または共に、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、アルキルアミン基、アルキルアミド基であるか、または互いに結合して、窒素原子と一緒になって、任意に置換されていてよい複素環系を形成してもよく、該複素環系は、飽和または不飽和であってよく、および/または複素原子をさらに有してもよい。アミン上の好ましい基に関しては、本発明の化合物についての先の記載を参照しうる。本発明によれば、カルバメートまたはイソチオシアネートとアミンとを、ジイソプロピルエチルアミンのような補助塩基の存在下に、ジメチルホルムアミド(DMF)のような溶媒中で、室温で、約1〜5時間、好ましくは約2〜3時間にわたって撹拌しながら反応させるのが好ましい。環式グアニジン誘導体を製造する場合、対応するイソチオシアネートを、エタノール中で、数時間、好ましくは約12〜24時間にわたって先ず加熱し、次に、トルエン、ジメチルホルムアミド(DMF)または両方の混合物のような溶媒中で、ジアミノエタンのようなジアミンと一緒に加熱するのが好ましい。
【0218】
さらに好ましい本発明の態様によれば、前記のグアニジン、尿素またはチオ尿素基を、前記の方法によって式(IIIc)の化合物上に生成し、次に、そのようにして得た式(IIIc)の化合物を、前記の方法で式(IIIb)の化合物と反応させることもできる。
【0219】
前記の方法によって得た化合物は、存在する場合がある保護基を除去し、製造工程の好ましい時点で存在する窒素原子をさらに置換し、および/または得られた化合物を遊離酸および/またはその生理的に許容される塩に変換することによって、さらに誘導体化する。例えば、窒素原子の保護基として一般に使用されるt−ブトキシメトキシカルボニル基は、酸性媒体中で、例えばトリフルオロ酢酸の添加によって除去される。窒素原子の誘導体化に好適なアルキル化剤は、この工程におけるこの目的に一般に使用される試薬であり、例えば、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基を、対応する窒素原子に結合させることができる。各窒素原子に結合させるのに好ましい置換基に関しては、本発明の化合物についての先に記載を参照することができる。前記の反応およびそれらの実施は、当業者によく知られており、Houben-Weyl Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme Verlag, Stuttgartのような一般的書物に詳しく記載されている。
【0220】
本発明のエステル誘導体は、一般法によって、例えば塩基性エステル加水分解によって、対応する遊離カルボン酸に変換できる。
【0221】
所望であれば、本発明の化合物をその生理的に許容される塩に変換することができる。これは、有機または無機塩基、例えばアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物、例えばKOH、NaOH、LiOH、Mg(OH)2またはCa(OH)2との反応によって、末端カルボキシル基を脱プロトンして対応するカルボン酸塩を形成するか、または有機または無機酸、例えば塩酸、硫酸、燐酸、マレイン酸、オレイン酸、リノール酸またはp−トルエンスルホン酸との反応によって、1個またはそれ以上の前記窒素原子をプロトン化することによって行うことができる。
【0222】
αvβ3インテグリン受容体に向かう式(IV)の基は、商業的に入手可能な出発化合物から製造できる。
【0223】
本発明の複合体は、癌疾患治療薬の製造における活性化合物成分として使用できる。このために、既知の方法によって、不活性かつ非毒性の医薬的に好適な賦形剤または溶剤を使用して、それらを錠剤、被覆錠剤、エーロゾル剤、丸剤、顆粒剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤および液剤のような一般的な配合物に変換することができる。好ましくは、本発明の化合物は、この場合、合計混合物におけるそれの濃度が約0.5〜約90重量%であるような量で使用され、濃度は、薬剤の対応する適応症に特に依存する。
【0224】
前記の配合物は、例えば、前記の特性を有する溶剤および/または賦形剤で活性化合物を希釈することによって製造され、適切であれば、付加的に、乳化剤または分散剤、および水が溶剤の場合は選択的に有機溶剤も添加される。
本発明の薬剤は、一般的な方法で投与できる。
【実施例】
【0225】
実施例および比較例によって、本発明を以下に例示するが、これらは本発明を制限するものではない。
下記の実施例において、全ての量的データは、他に記載がない場合、重量%による。質量測定は、電子スプレーイオン化(ESI)法を使用する高性能液体クロマトグラフィー−マススペクトロメトリー(HPLC−MS)によるか、またはFABまたはMALDI質量分光分析法によって行った。
【0226】
使用した略語のリスト
HPLC: 高性能液体クロマトグラフィー
RP: 逆相
ACN: アセトニトリル
DMF: ジメチルホルムアミド
DCM: ジクロロメタン
THF: トラヒドロフラン
DIEA: ジイソプロピルエチルアミン(Huenig塩基)
NMP: N−メチルピロリドン
TFA: トリフルオロ酢酸
Fmoc: フルオレニル−9−メトキシカルボニル
RT: 室温
MTBE: メチルtert−ブチルエーテル
Boc: tert−ブトキシカルボニル
TLC: 薄層クロマトグラフィー
DMAP: ジメチルアミノピリジン
DMSO: ジメチルスルホキシド
Abu: γ−アミノ酪酸
【0227】
I.出発物質の合成
I.1 20−O−L−バリル−カンプトテシントリフルオロアセテート
【化48】
無水ジクロロメタン500mL中の20(S)−カンプトテシン10g(28.7mmol)の懸濁液を、撹拌しながら、N−(tert−ブトキシカルボニル)−バリン−N−カルボキシ無水物14g(2当量)および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン1gで処理する。4日間にわたって加熱還流した後、混合物を真空濃縮する。残渣を、MTBE100mLと一緒に20分間撹拌する。次に、石油エーテル200mLを添加し、混合物を濾過する。Boc−保護中間体化合物14.9gを得、該化合物は少量のD−バリンエピマーを含有する場合もあるが、該エピマーは保護基の除去後に簡単に除去できる。
【0228】
次に、このBoc−保護中間体化合物11.65gを、ジクロロメタン300mLおよび無水トリフルオロ酢酸70mLの混合物中で、5℃で1時間撹拌する。真空濃縮して少量にした後、生成物をジエチルエーテルで沈殿させ、ジエチルエーテルで充分に洗浄する。ジエチルエーテルを使用して、生成物をジクロロメタン/メタノールから再び沈殿させる。適切であれば、粗生成物を再びメタノール40mLに取り、溶液をMTBE120mLで処理し、0℃に冷却する。沈殿物を濾過し、乾燥して、20−O−(バリル)−カンプトテシントリフルオロアセテート9.4g(80%)得る。
[TLC:アセトニトリル/水(20:1);Rf=0.39]。
【0229】
I.2 20−O−[L−ヒスチジル−L−バリル]カンプトテシンビスフルオロアセテート
【化49】
ベンジルN−tert−ブトキシカルボニルヒスチジン2g(7.8mmol)をDMF100mLに溶解し、0℃に冷却する。ヘドロキシベンゾトリアゾール1.59g(1.5当量)およびN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N'−エチルカルボジイミドヒドロクロリド1.8g(1.2当量)を添加し、混合物を0℃で30分間撹拌する。実施例I.1の化合物3.65g(6.5mmol)およびHuenig塩基2.7mLを添加する。16時間後にカップリング反応を終了する。反応混合物をMTBE600mLに注ぐ、沈殿生成物を集め、ジクロロメタンに取る。混合物を水で2回抽出し、次に、有機相を乾燥し、濃縮する。MTBEを添加し、沈殿生成物を濾過し、真空乾燥する。
収量:4.45g=量的;TCL:アセトニトリル/水(10:1);Rf=0.33。
【0230】
次に、このBoc−保護中間体化合物4.45g(6.5mmol)を、ジクロロメタン60mLおよび無水トリフルオロ酢酸30mLの混合物中で、5℃で1時間撹拌する。真空濃縮した後、生成物をジクロロメタン/メタノールに取り、MTBEで沈殿させ、MTBEで充分に洗浄する。MTBEを使用して、生成物をジクロロメタン/メタノールから再び沈殿させる。沈殿物を濾過し、乾燥して、目的とする化合物4.75g(91%)を得る。
[TLC:アセトニトリル/水/氷酢酸(5/1/0.2);Rf=0.3]。
【0231】
I.3 N−tert−ブトキシカルボニル−L−プロリル−L−ロイシル−グリシル−L−ロイシン
商業的に入手可能な出発物質N−tert−ブトキシカルボニルプロリンヒドロキシスクシンイミドエステル(687mg;2.2mmol)およびL−ロイシル−グリシル−L−ロイシン(602.8mg;2mmol)を、DMF10mLに溶解し、エチル−ジイソプロピルアミン1035μLを添加し、混合物を18時間音波処理する。次に、溶媒を真空除去し、残渣をジクロロメタンに溶解し、濾過する。アセトニトリル/水 20:1を溶離剤として使用するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって、粗生成物を精製する。関連する画分を集め、濃縮する。残留する残渣をジクロロメタンに溶解し、クエン酸で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去する。生成物を収量420mg(42%)で得る。
[ESI−MS:m/e=499=(M+H)+]。
【0232】
I.4 N−tert−ブトキシカルボニル−L−プロリル−L−ロイシル−グリシル−L−ロイシル−L−アスパラギン
この化合物は、I.3とアスパラギン誘導体とのカップリングによるか、またはHouben Weyl;Methoden der Organischen Chemie;Vierte Auflage;Band XV Teil 1 und 2; Georg Thieme Verlag Stuttgart 1974、またはHans-Dieter JakubkeおよびHans Jeschkeit:Aminosaeuren, Peptide, Proteine;Verlag Chemie, Weinheim 1982に記載されている標準法による代替経路によって、合成される。
[TLC:アセトニトリル/水/氷酢酸 5/1/0.2;Rf=0.68]。
【0233】
I.5 N−tert−ブトキシカルボニル−L−プロリル−L−ロイシル−グリシル−L−ロイシン−L−ヒスチジン
この化合物は、標準法によって合成される。
[TLC:アセトニトリル/水/氷酢酸 5/1/0.2;Rf=0.28]。
【0234】
I.6 N−フルオレニル−9−メトキシカルボニル−L−プロリル−L−ロイシル−グリシル−L−ロイシン−L−アスパラギン−L−グリシン
この化合物は、標準法によって合成される。
[TLC:アセトニトリル/水/氷酢酸 5/1/0.2;Rf=0.55]。
【0235】
II.カンプトテシンペプチド複合体の製造
II.1 20−O−[L−プロリル−L−ロイシル−グリシル−L−ロイシル−L−ヒスチジル−L−バリル]カンプトテシンビストリフルオロアセテート
【化50】
化合物I.3 277.4mg(0.57mmol)をMDF80mLに溶解する。1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール116mg(0.86mmol)およびN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N'−エチルカルボジイミドヒドロクロリド131.7mg(0.69mmol)を添加し、さらに実施例I.2の化合物400mg(0.57mmol)およびHuenig塩基222mgを添加する。2時間後にカップリング反応が終了する。反応混合物を、濃縮し、残渣を水で処理する。ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 17% 15/1/0.1を溶離剤として使用するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって、粗生成物を精製する。関連する画分を集め、濃縮する。生成物を収量472mg(77%)で得る。
[TLC:アセトニトリル/水 10/1;Rf=0.2]。
【0236】
このBoc−保護中間体化合物470mg(0.44mmol)を、ジクロロメタン50mLおよび無水トリフルオロ酢酸10mLの混合物中で、5℃で1時間撹拌する。真空濃縮した後、生成物をジクロロメタン/メタノールに取り、ジエチルエーテルで沈殿させ、濾過する。ジエチルエーテルを使用して、ジクロロメタン/メタノールから残渣を再び沈殿させる。沈殿物を、濾過し、乾燥して、標的化合物432mg(91%)を得る。
[TLC:アセトニトリル/水/氷酢酸 5/1/0.2;Rf=0.15]。
【0237】
I.1と同様に、他のカンプトテシンアミノ酸複合体を、カンプトテシンと部分的に保護したアミノ誘導体との反応によって製造した。次に、単一アミノ酸誘導体の結合、次にアミノ末端の脱保護によるか、または実施例II.1に例示したようなフラグメント縮合によるか、または両方の組み合わせによって、ペプチド鎖を延長する。適切であれば、保護基を除去する。カップリング、保護および脱保護の工程は、Houben Weyl;Methoden der Organischen Chemie;Vierte Auflage;Band XV Teil 1 und 2; Georg Thieme Verlag Stuttgart 1974;Hans-Dieter JakubkeおよびHans Jeschkeit:Aminosaeuren, Peptide, Proteine;Verlag Chemie, Weinheim 1982に記載されているような既知の方法によって行われる。この方法によって製造される複合体を以下に示す:
【0238】
【表1−1】
【表1−2】
【表1−3】
【表1−4】
1 ) アセトニトリル/水/氷酢酸 5/1/0.2
2 ) ジクロロメタン/メタノール 10/1
3 ) アセトニトリル/水 10/1
4 ) アセトニトリル/水/氷酢酸 10/1/0.1
5 ) アセトニトリル/水 20/1
6 ) ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 17% 15/4/0.5
7 ) アセトニトリル/水/氷酢酸 10/2.5/1.2
8 ) ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 17% 15/3/0.3
9 ) アセトニトリル/水/氷酢酸 10/3/1.5
【0239】
III. インテグリンリガンドの製造
実施例 III.1
【化51】
III.1-a 3−アミノ−3−[3−(プロピルアミノカルボニルアミノ−フェニル−スルホニルアミノ)フェニル]プロピオン酸
【化52】
ポリスチレンWang樹脂1.2g(添加量1.08mmol/g)を、DMF中で膨潤させる。溶媒を吸引濾過によって除去し、DMF15mL中の(3R,S)−3−(9−フルオレニルメトキシカルボニルアミノ)−3−(3−ニトロフェニル)−プロピオン酸(アミノ酸試薬)841mgの溶液を添加する。室温で15分間振とうした後、懸濁液を、ピリジン350μLおよび2,6−ジクロロベンゾイルクロリド540mgで処理する。室温で一晩振とうする。次に、樹脂をDMF、MeOHおよびDCMで洗浄する。
【0240】
この樹脂を、NMP12mL中の塩化錫(II)二水化物5400mgの溶液で処理し、室温で一晩振とうする。次に、樹脂をNMP、MeOH、THFおよびDCMで洗浄する。
【0241】
樹脂を、THF500μL中のDIEA450μLの溶液、およびTHF500μL中の3−ニトロベンゼンスルホニルクロリド430mgの溶液で処理する。それを室温で一晩振とうする。次に、樹脂をDMF、MeOHおよびTHFで洗浄する。
【0242】
樹脂を、NMP12mL中の塩化錫(II)二水化物5400mgの溶液で処理し、室温で一晩振とうする。次に、樹脂をNMP、MeOH、THFおよびDCMで処理する。
【0243】
樹脂を、1:1のTHF/DCM(12mL)中のDIEA500μLの溶液、および1:1のTHF/DCM(12mL)中の4−ニトロフェニルクロロ蟻酸エステル2757mgの溶液で処理する。室温で45分間振とうした後、THFおよびDMFで洗浄し、NMP20mL中のプロピルアミン943mgおよびDIEA2780μLの溶液を添加する。10時間振とうした後、樹脂を、DMF、MeOH、THFおよびDCMで洗浄する。
【0244】
生成物の採取のために、TFA/DCM 12mLで1時間振とうし、濾過し、濾液を真空濃縮する。
【0245】
III.1 3−(4−アミノフェニルアミノカルボニルアミノ)−3−[3−(3−プロピルアミノカルボニルアミノ−フェニル−スルホニルアミノ)フェニル]プロピオン酸
【化53】
化合物III.1-a 70mg(0.166mmol)を4−ニトロフェニルイソシアネート54mg(2当量)と一緒に、DMF10mL中で1時間撹拌する。混合物を濃縮し、ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 17%濃度(15:2:0.2)を使用するシリカゲル上でのフラッシュクロマトフラフィーによって残渣を精製する。エーテルを使用してジクロロメタン/メタノールから沈殿した後、中間体(29mg;30%)を得る。
【0246】
これをメタノールに溶解し、パラジウム/炭素上で水素添加する。触媒を分離によって除去し、溶液を濃縮し、残渣をジオキサン/水から凍結乾燥する。目的とする化合物18mg(74%)を得る。
【0247】
III.2 III.1(3−(4−アミノフェニルアミノカルボニルアミノ)−3−[3−(3−プロピルアミノカルボニルアミノ−フェニル−スルホニルアミノ)フェニル]プロピオン酸)のエナンチオマーA
【化54】
III.2.a 3−(アミノ)−3−(3−ニトロフェニル)プロピオン酸ヒドロクロリド
【化55】
3−ニトロベンズアルデヒド151g、酢酸アンモニウム94g、およびマロン酸127gを、2−プロパノール1L中で5時間にわっって加熱還流した。溶液を濾過し、沈殿物を温かい2−プロパノール0.7Lで洗浄した。粗生成物を真空乾燥し、水1.5Lに懸濁し、1N塩酸で処理し、濾過した。濾液を濃縮して146gを得た。
1H-NMR(400MHz, D4-MeOH):3.09(m, 2H), 4.88(m, 1H), 7.74(t, 1H), 7.90(d, 1H), 8.33(d, 1H), 8.43(s, 1H)。
【0248】
III.2.b エチル3−(アミノ)−3−(3−ニトロフェニル)プロパノエートヒドロクロリド
【化56】
3−アミノ−3−(3−ニトロフェニル)プロピオン酸ヒドロクロリド60gを、エタノール660mLに懸濁し、気体HClをその混合物に1時間通した。次に、反応混合物を4時間にわたって加熱還流し、次に冷却し、濃縮した。白色固形物62gを得た。
1H-NMR(400MHz, D4-MeOH):1.22(t, 3H), 3.12(dd, 1H), 3.20(dd, 1H), 4.18(q, 2H), 4.95(t, 1H), 7.77(t, 1H), 7.94(d, 1H), 8.35(d, 1H), 8.43(s, 1H)。
【0249】
III.2.c エチル3−{[(アリルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−(3−ニトロフェニル)プロパノエート
【化57】
ジクロロメタン350mL中のエチル3−アミノ−3−(3−ニトロフェニル)プロピオネートヒドロクロリド41.2gに、ジクロロメタン150mL中のジイソプロピルエチルアミン48.8gおよびアリルオキシカルボニルクロリド24.8gを、0℃で添加した。30分間撹拌した後、混合物を水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮して、白色固形物を得た(収量:56.4g)。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):1.18(t, 3H), 2.90(d, 2H), 4.11(q, 2H), 4.58(m, 2H), 5.15-5.40(m, 3H), 5.90(m, 1H), 6.05(m, 1H), 7.55(t, 1H), 7.70(d, 1H), 8.12(d, 1H), 8.19(s, 1H)。
【0250】
III.2.d エチル3−{[(アリルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−(3−アミノフェニル)プロパノエート
【化58】
塩化錫(II)64.6gを、エタノール245mL中のエチル3−{[(アリルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−(3−ニトロフェニル)プロパノエート18.8gの溶液に添加し、混合物を2時間にわたって加熱還流した。反応混合物を、2N NaOH溶液300mLで凍結乾燥し、次に、シリカゲルで濾過し、ジクロロメタンで洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、濃縮して、白色固形物13.1gを得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):1.19(t, 3H), 2.80(m, 2H), 4.06(q, 2H), 4.57(m, 2H), 5.07(m, 1H), 5.20(d, 1H), 5.29(d, 1H), 5.70(m, 1H), 5.89(m, 1H), 6.57(d, 1H), 6.62(s, 1H), 6.68(d, 1H), 7.11(t, 1H)。
【0251】
III.2.e エチル3−{[(アリルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−(3−{[(3−ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)プロパノエート
【化59】
3−ニトロフェニルスルホニルクロリドを、ピリジン110mL中のエチル3−{[(アリルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−(3−アミノフェニル)プロパノエート11.6gの溶液に、0℃で添加した。2時間反応させた後、混合物を濃縮し、1N HClで処理し、ジクロロ
メタンで抽出した。MgSO4で乾燥した後、溶媒を除去し、粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=40:1)によって精製して、固形物17.8gを得た。
【0252】
III.2.f エチル3−{[(アリルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−(3−{[(3−アミノフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)プロパノエート
【化60】
塩化錫(II)43.5gを、エタノール165mL中のエチル3−{[(アリルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−(3−{[(3−ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)プロパノエート17.8gの溶液に添加し、混合物を2時間にわたって加熱還流した。反応混合物を2N NaOH溶液200mLで凍結乾燥し、次に、シリカゲルで濾過し、ジクロロメタンで洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、濃縮して、固形物9.2gを得た。
【0253】
THFを溶媒として使用するセレクターBayer-CSP(N−メタクリロイル−L−バリン−3−ペンチルアミド)でのキラルクロマトグラフィーによって、該固形物をイスト(ist)エナンチオマーに分離した。同様のセレクターが文献に記載されている(Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 30(1991), 1662-1664)。この分離によって2つの生成物画分1および画分2を得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):1.18(t, 3H), 2.80(m, 2H), 3.95(br.s, 2H), 4.08(q, 2H), 4.54(m, 2H), 5.08(m, 1H), 5.22(d, 1H), 5.30(d, 1H), 5.78(m, 1H), 5.90(m, 1H), 6.58(s, 1H), 6.75(d, 1H), 6.88(d, 1H), 6.95(s, 1H), 7.05(d, 1H), 7.11(d, 1H), 7.15-7.22(m, 3H)。
【0254】
III.2.g エチル3−{[(アリルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−(3−{[(3−{[(プロピルアミノ)カルボニル]アミノ}フェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)プロパノエート
【化61】
ジオキサン500mL中の画分1からのエナンチオピュア(enatiopure)エチル3−{[(アリルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−(3−{[(3−アミノフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)プロパノエート50gの溶液に、プロピルイソシアネート9.6gを添加し、混合物を50℃で18時間撹拌した。溶媒を蒸発させた後、塩酸(1M)1.5Lを添加し、溶液をジクロロメタンで抽出した。有機相をMgSO4で乾燥し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=30:1)にかけて、目的とする化合物19.1gを得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):0.90(t, 3H), 1.19(t, 3H), 1.52(q, 2H), 2.83(m, 2H), 3.18(m, 2H), 4.10(q, 2H), 4.56(m, 2H), 5.05-5.35(m, 3H), 5.90(m, 1H), 6.18(m, 1H), 6.77(m, 1H), 6.88(s, 1H), 7.00-7.45(m, 8H), 7.98(m, 1H)。
【0255】
III.2.h エチル3−アミノ−3−(3−{[(3−{[(プロピルアミノ)カルボニル]アミノ}フェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)プロパノエート
【化62】
酢酸2.57mL、トリブチルスズハイドライド5.32mL、およびビストリフェニルホスフィンパラジウム(II)クロリド177mgを、ジクロロメタン245mL中のエチル3−{[(アリルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−(3−{[(3−{[(プロピルアミノ)カルボニル]アミノ}フェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)プロパノエート9.58gの溶液に添加し、室温で22時間撹拌した。NaHCO3の溶液を添加し、混合物をジクロロメタンで抽出した。MgSO4で乾燥した後、溶媒を除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=10:1)によって精製して、目的とする化合物2.30gを得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):0.88(t, 3H), 1.20(t, 3H), 1.50(q, 2H), 2.60(dd, 1H), 2.67(dd, 1H), 3.17(m, 2H), 4.11(q, 2H), 4.33(m, 1H), 5.21(m, 1H), 6.89(d, 1H), 7.07(d, 1H), 7.16(t, 1H), 7.22-7.34(m, 5H), 7.38(s, 1H), 7.49(s, 1H)。
【0256】
III.2 3−(4−アミノフェニルアミノカルボニルアミノ)−3−[3−(プロピルアミノカルボニルアミノ−フェニル−スルホニルアミノ)フェニル]プロピオン酸、ジアステレオマーA
【化63】
化合物III.2.h700mg(1.56mmol)を、4−ニトロフェニルイソシアネート510mg(2当量)と一緒に、DMF100mLで1時間撹拌する。混合物を濃縮し、ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 17%濃度(15:2:0.2)を使用するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製する。エーテルを使用してジクロロメタン/メタノールから沈殿させた後、中間体a(290mg;30%)を得る。これをメタノールに溶解し、パラジウム/炭素上で水素添加する。触媒を分離によって除去し、溶液を濃縮し、残渣をジオキサン/水から凍結乾燥する。中間体b204mg(74%)を得る。
【0257】
中間体b200mg(0.34mmol)をメタノールに溶解し、2Mの水酸化リチウム溶液1mLで処理する。6時間後、水酸化リチウム300μLをさらに添加し、脱エステルが終了するまで混合物を撹拌する。溶液を濃縮し、エーテルを使用してジクロロメタンから沈殿させる。化合物III.2 141mg(75%)を得る。
[TLC:(アセトニトリル/水/氷酢酸 10/1/0.1;Rf=0.6]。
[ESI−MS:m/e=555(M+H)+]。
【0258】
III.3 3−(4−アミノフェニルアミノカルボニルアミノ)−3−[3−(プロピルアミノカルボニルアミノ−フェニル−スルホニルアミノ)フェニル]プロピオン酸のエナンチオマーB
エタンチマーの分離後にエチル3−{[(アリルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−(3−{[(3−アミノフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)プロパノエートの画分2を使用する以外は、エナンチオマーAの合成と同じプロトコルを使用した。
【0259】
III.4 3−[3−(3−(ベンズイミダゾル−2−イル−アミノカルボニルアミノ)フェニル)フェニルスルホンアミド]−3−(3−アミノ−フェニル)プロピオン酸
【化64】
ポリスチレンWang樹脂1.2g(添加量1.08mmol/g)をDMF中で膨潤させる。溶媒を吸引濾過によって除去し、DMF15mL中の(3R,S)−3−フルオレニルメトキシカルボニルアミノ−3−(3−ニトロフェニル)−プロピオン酸(アミノ酸試薬)841mgの溶液を添加する。室温で15分間振とうした後、懸濁液を、ピリジン350μLおよび2,6−ジクロロベンゾイルクロリド540mgで処理する。室温で一晩振とうする。次に、樹脂をDMF、MeOHおよびDCMで洗浄する。
【0260】
この樹脂を、DMF中20%の濃度のピペリジン溶液15mLで処理し、室温で10分間振とうする。次に、DMFで3回洗浄し、DMF中20%の濃度のピペリジン溶液15mLを再び添加する。20分間振とうした後、DMFおよびTHFで洗浄する。樹脂を、THF500μL中のDIEA450μLの溶液、およびTHF500μL中の3−ブロモベンゼンスルホニルクロリド(スルホニル化試薬)430mgの溶液で処理する。室温で一晩振とうする。次に、樹脂をDMF、MeOHおよびTHFで洗浄する。
【0261】
樹脂をキシレン9000μLに懸濁し、3−アミノベンゼン硼酸一水化物1250mg、および水9000μL中の炭酸ナトリウム1940mgの溶液で処理し、室温で5分間振とうする。次に、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド200mgおよびトリフェニルホスフィン150mgを添加し、混合物を85℃で一晩撹拌する。次に、樹脂を、THF/水 1:1、0.25Mの塩酸水溶液、水、DMF、MeOH、THFおよびDCMで洗浄する。
【0262】
樹脂を、1:1のTHF/DCM 12mL中のDIEA500μLの溶液、および1:1のTHF/DCM 12mL中の4−ニトロフェニルクロロ蟻酸エステル2757mgの溶液で処理する。室温で45分間振とうした後、THFおよびDMFで洗浄し、NMP20mL中の2−アミノベンズイミダゾール(アミン試薬)2125mgおよびDIEA2780μLの溶液を添加する。10時間振とうした後、樹脂をDMF、MeOH、THFおよびDCMで洗浄する。生成物の採取のために、樹脂をTFA/DCM12mLと一緒に1時間振とうし、濾過し、濾過液を真空濃縮する。
【0263】
粗生成物をメタノールに取り、活性炭上のパラジウム上で水素を使用して還元して、目的とする化合物を得る。ジクロロメタン/メタノール/アンモニア(17%濃度)(15:4:0.4)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。
[TLC:(アセトニトリル/水/氷酢酸 10:1:0.1);Rf=0.5]。
[MALDI−MS:m/e=571(M+H)+]。
【0264】
III.5 3−[4−(3−(ベンズイミダゾル−2−イル−アミノカルボニルアミノ)フェニル)フェニルスルホンアミド]−3−(3−アミノ−フェニル)プロピオン酸
【化65】
4−ブロモスルホニルクロリドをスルホニル化試薬として使用して、III.4と同様に製造する。ジクロロメタン/メタノール/アンモニア(17%濃度)(15:2:0.2)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーによって、目的とする化合物を精製する。
[TLC:(ジクロロメタン/メタノール/アンモニア(17%濃度)(15:6:0.6);Rf=0.33]。
[FAB−MS:m/e=571(M+H)+]。
【0265】
IV インテグリンリガンドと細胞毒性剤との複合体の製造
一般的方法A(チオ尿素結合):
III系列からのインテグリンリガンド0.09mmolを、ジオキサン/水(1:1)10mLに溶解し、チオホスゲン9.6μL(0.13mmol)で処理する。室温で15分間撹拌した後、Huenig塩基94μL(0.54mmol)を添加し、混合物をさらに10分間撹拌し、次に濃縮する。残渣をジクロロメタンに取り、エーテルを使用して沈殿させる。得られたイソチオシアネートをさらに精製せず次の段階で反応させる。
【0266】
イソチオシアネート0.09mmolをDMF15mLに溶解し、次に、Huenig塩基43μLの存在下に、系列IIの1つのペプチド複合体0.08mmolで処理する。室温で30分間撹拌した後、混合物を濃縮し、残渣を水と一緒に撹拌する。残渣を分離し、メタノール/ジクロロメタンに溶解する。エーテルを使用して混合物を沈殿させる。
【0267】
必要であれば、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによってさらに精製する。適切な溶離剤系を下記に示す:
ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 17% 15/3/0.3
ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 17% 16/2/0.2
【0268】
関連する画分を集め、濃縮し、エーテルを使用してメタノール/ジクロロメタンから沈殿させて目的とする化合物を単離する。
【0269】
一般的方法B(尿素結合)
4−ニトロフェニルクロロ蟻酸エステル0.07mmolを、THF10mLに溶解し、Huenig塩基16μlを添加する。次に、THF5mLおよびDMF0.5mLの混合物に溶解した系列IIIからの1つのインテグリンリガンド0.05mmolを少しずつ添加し、混合物を室温で10分間撹拌する。DMF2mLに溶解した系列IIからのペプチド複合体0.04mmol、およびHuenig塩基24μLを添加し、混合物を室温でさらに1時間撹拌する。溶媒を除去し、残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。適切な溶離剤混合物を下記に示す:
ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 17% 15/3/0.3
ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 17% 16/2/0.2
【0270】
関連する画分を集め、濃縮し、エーテルを使用してメタノール/ジクロロメタンから沈殿させて目的とする化合物を単離する。
【0271】
実施例 1
【化66】
出発物質:II.1、III.1 方法:A
収率:71% Rf=0.286 ) [ESI-MS:m/e=1561=(M+H)+]
【0272】
実施例 2 :実施例1の化合物のジアステレオマーA
出発物質:II.1、III.2 方法:A
収率:32% Rf=0.286 ) [ESI-MS:m/e=1561=(M+H)+]
【0273】
実施例 3 :実施例1の化合物のジアステレオマーB
出発物質:II.1、III.3 方法:A
収率:13% Rf=0.51 ) [ESI-MS:m/e=1561=(M+H)+]
【0274】
実施例 4
【化67】
出発物質:II.1、III.5 方法:A
収率:20% Rf=0.541 ) [ESI-MS:m/e=1578=(M+H)+]
【0275】
実施例 5
【化68】
出発物質:II.1、III.4 方法:A
収率:64% Rf=0.228 ) [ESI-MS:m/e=1578=(M+H)+]
【0276】
実施例 6
【化69】
出発物質:II.1、III.1 方法:B
収率:9% Rf=0.446 ) [ESI-MS:m/e=1545=(M+H)+]
【0277】
実施例 7
【化70】
出発物質:II.1、III.5 方法:B
収率:6% Rf=0.446 ) [ESI-MS:m/e=1561=(M+H)+]
【0278】
実施例 8
【化71】
出発物質:II.2、III.1 方法:A
収率:85% Rf=0.423 ) [ESI-MS:m/e=1424=(M+H)+]
【0279】
実施例 9
【化72】
出発物質:II.4、III.1 方法:A
収率:61% Rf=0.43 ) [ESI-MS:m/e=1538=(M+H)+]
【0280】
実施例 10: 実施例9の化合物のジアステレオマーA
出発物質:II.4、III.2 方法:A
収率:27% Rf=0.43 ) [ESI-MS:m/e=1538=(M+H)+]
【0281】
実施例 11: 実施例9の化合物のジアステレオマーB
出発物質:II.4、III.3 方法:A
収率:11% Rf=0.33 ) [ESI-MS:m/e=1538=(M+H)+]
【0282】
実施例 12
【化73】
出発物質:II.4、III.1 方法:B
収率:30% Rf=0.43 ) [ESI-MS:m/e=1522(M+H)+]
【0283】
実施例 13
【化74】
出発物質:II.5、III.1 方法:A
収率:34% Rf=0.376 ) [ESI-MS:m/e=1541(M+H)+]
【0284】
実施例 14
【化75】
出発物質:II.11、III.1 方法:A
収率:41% Rf=0.483 ) [ESI-MS:m/e=1610(M+H)+]
【0285】
実施例 15
【化76】
出発物質:II.11、III.1 方法:B
収率:9% Rf=0.426 )
【0286】
実施例 16
【化77】
出発物質:II.21、III.1 方法:A
収率:15% Rf=0.536 ) [ESI-MS:m/e=1646(M+H)+]
【0287】
実施例 17
【化78】
出発物質:II.21、III.1 方法:B
収率:11% Rf=0.073 ) [ESI-MS:m/e=1630(M+H)+]
【0288】
実施例 18
【化79】
出発物質:II.22、III.1 方法:B
収率:8% Rf=0.316 ) [ESI-MS:m/e=1608(M+H)+]
【0289】
実施例 19
【化80】
出発物質:II.6、III.1 方法:A
収率:38% Rf=0.316 ) [ESI-MS:m/e=1566(M+H)+]
【0290】
実施例 20
【化81】
出発物質:II、III.1 方法:A、次にFmoc開裂
収率:2段階で11% Rf=0.51 ) [ESI-MS:m/e=1522(M+H)+]
【0291】
実施例 21
【化82】
ジアステレオマーA
出発物質:II.7、III.2 方法:A
収率:45% Rf=0.36 ) [ESI-MS:m/e=1524(M+H)+]
【0292】
実施例 22
【化83】
ジアステレオマーA
出発物質:II.23、III.2 方法:A
収率:11% Rf=0.276 ) [ESI-MS:m/e=1596(M+H)+]
【0293】
実施例 23
【化84】
出発物質:II.20、III.1 方法:A
収率:74% Rf=0.256 ) [ESI-MS:m/e=1482(M+H)+]
【0294】
実施例 24
【化85】
出発物質:II.25、III.1 方法:A
収率:44% Rf=0.381 ) [ESI-MS:m/e=1563(M+H)+]
【0295】
実施例 25(実施例19の化合物のジアステレオマーA)
出発物質:II.6、III.2 方法:A
収率:36% Rf=0.143 ) [ESI-MS:m/e=1566(M+H)+]
【0296】
実施例 26
【化86】
ジアステレオマーA
出発物質:II.3、III.2 方法:A
収率:21% Rf=0.346 ) [ESI-MS:m/e=1448(M+H)+]
【0297】
実施例 27
【化87】
ジアステレオマーA
出発物質:II.2、III.2 方法:A
収率:66% Rf=0.483 ) [ESI-MS:m/e=1425=(M+H)+]
【0298】
実施例 28
【化88】
ジアステレオマーA
出発物質:II.24、III.2 方法:A
収率:35% Rf=0.54 ) [ESI-MS:m/e=1636=(M+H)+]
【0299】
実施例 29
【化89】
ジアステレオマーA
出発物質:II.27、III.2 方法:A
収率:13% Rf=0.66 ) [ESI-MS:m/e=1619=(M+H)+]
【0300】
実施例 30
【化90】
出発物質:II.26、III.2 方法:A
収率:67% Rf=0.486 ) [ESI-MS:m/e=1495.3(M+H)+]
【0301】
実施例 31
【化91】
出発物質:II.12、III.2 方法:A
収率:56% Rf=0.466 ) [ESI-MS:m/e=1495.3(M+H)+]
【0302】
実施例 32
【化92】
出発物質:II.13、III.2 方法:A
収率:72% Rf=0.626 ) [ESI-MS:m/e=1523.2(M+H)+]
【0303】
実施例 33
【化93】
出発物質:II.14、III.2 方法:A
収率:69% Rf=0.596 ) [ESI-MS:m/e=1571.3(M+H)+]
【0304】
実施例 34
【化94】
出発物質:II.15、III.2 方法:A
収率:70% Rf=0.2610 ) [ESI-MS:m/e=1511.4(M+H)+]
【0305】
実施例 35
【化95】
出発物質:II.16、III.2 方法:A
収率:81% Rf=0.3310 ) [ESI-MS:m/e=1537.4(M+H)+]
【0306】
実施例 36
【化96】
出発物質:II.17、III.2 方法:A
収率:73% Rf=0.486 ) [ESI-MS:m/e=1553.3(M+H)+]
【0307】
実施例 37
【化97】
出発物質:II.18、III.2 方法:A
収率:54% Rf=0.3110 ) [ESI-MS:m/e=1481.3(M+H)+]
【0308】
実施例 38
【化98】
出発物質:II.19、III.2 方法:A
収率:51% Rf=0.4210 ) [ESI-MS:m/e=1521.3(M+H)+]
【0309】
生物学的試験
A:α v β 3 結合試験
ヒトA375細胞からのαvβ3を、Wongら(Molecular Pharmacology, 50, 529-537(1996))によって記載された方法と同様に精製した。各場合に、TBS pH7.6、2mM CaCl2、1mM MgCl2、1% n−オクチルグルコピラノシド(Sigma)中のαvβ3(5ng)10μL;TBS pH7.6、0.1%DMSO中の被験物質10μL、および45μL TBS pH7.6、2mM CaCl2、1mM MgCl2、1mM MnCl2を室温で1時間培養した。各場合に、次に、WGA SPAビーズ(Amersham、4mg/mL)25μL、およびエキスタチン(0.1μCi、Amersham、クロラミン−T標識)10μLを添加した。室温で16時間後、試料をシンチレーション測定装置(Wallac 1450)で測定した。試験結果を下記の表2に示す。
【0310】
【表2−1】
【0311】
【表2−2】
【0312】
B:種々の腫瘍細胞系における細胞毒性の測定のための増殖阻害試験
ヒト大腸細胞系SW 480およびHT29(ATCC No. CCL 228およびHTB38)およびマウス黒色腫細胞系B16F10(CRL 6475)を、Roux皿において、10% FCSを添加したRPMI 1640培地で集密に増殖させる。次に、それらをトリプシン処理し、RPMI+10% FCSに取り、50,000細胞、またはB16F10については20,000細胞/mLの細胞数を得た。細胞懸濁液100μL/穴を、96微小穴培養皿に添加し、CO2インキュベーターで37℃で1日間培養した。次に、さらに100μLのRPMI培地および1μLのDMSOを、被験物質と一緒に添加した。6日後に増殖を検査した。このために、25μLのMTT溶液(3−(4,5−ジメチルチアゾル−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)を、5mg/mL H2Oの開始濃度において各穴に添加した。CO2インキュベーターで培養皿を37℃で5時間培養した。次に、培地を吸引し、i−プロパノール100μL/穴を添加した。100μLのH2Oと一緒に30分間振とうした後、Multiplate Reader(BIO-RAD 3550-UV)を使用して595nmで吸光度を測定した。
【0313】
各場合の各細胞系についての細胞増殖抑制作用を、表3にIC50値として示す
【表3−1】
【表3−2】
【0314】
C:ヌードマウスモデルを使用した腫瘍増殖の生体内阻害
材料:
腫瘍増殖の阻害を研究する全ての生体内実験において、無胸腺ヌードマウス(NMRI nu/nu株)を使用した。腫瘍を、ヌードマウスにおける連続継代によって発生させた。腫瘍のヒト由来は、イソエンザイム法および免疫組織化学法によって確認した。
【0315】
実験構成:
6〜8週齢のnu/nuヌードマウスの両側腹に、腫瘍を皮下的に植え込んだ。倍加時間に依存して、腫瘍が直径5〜7mmに達すると直ぐに処置を開始した。ランダム化によってマウスを処置群または対照群に分けた(1つの群につき、8〜10個の評価しうる腫瘍を有するマウス5匹)。対照群の各腫瘍は全て前進的に増殖した。
【0316】
腫瘍の大きさを、スライドゲージによって2次元で測定した。細胞数によく相関する腫瘍体積を、全ての評価に使用した。式「長さx幅x幅/2」([axb2]/2、aおよびbは、直角に位置する2つの直径を表す」によって、体積を算出した。
【0317】
第X日の腫瘍の大きさを、第0日(ランダム化したとき)の腫瘍の大きさで割ることによって、相対腫瘍体積(RTV)値を各腫瘍について算出した。次に、RTVの平均値を、さらに評価するのに使用した。
【0318】
腫瘍体積の増加の阻害(被験群腫瘍体積/対照群腫瘍体積、T/C、%)は、最終測定値であった。
【0319】
処置:
化合物は、腹腔内、静脈内、経口または皮下経路によって、数日間にわたって、毎日かまたは間欠的治療計画によって投与することができる。
【0320】
皮下増殖する黒色腫異種移植モデル(MEXF 989)において、いくつかの化合物が腫瘍増殖を阻害した(例えば、実施例2、10および25の化合物)。化合物を、2:1のPEG400/水に溶解し、第1日〜第3日および第15日〜第17日に静脈内または腹腔内投与する。最適T/C計算値を表4に示す。
【表4】
【0321】
D.造血幹細胞の CSF −誘発増殖
骨髄細胞をマウスの大腿骨から洗い落とす。105細胞を、McCoy 5A培地(0.3%寒天)において、組換えネズミGM-CSF(Genzyme;親細胞コロニー形成)および物質(10− 4〜100μg/mL)と一緒に、37℃、7%CO2で、培養する。7日後に、コロニー(<50細胞)およびクラスター(17〜50細胞)を計数する。
【0322】
一連の化合物は、カンプトテシンと比較して、生体外において幹細胞に対する顕著に減少した毒性を示す(表5参照)。
【表5】
【0323】
E.緩衝剤中の MMP − 2 による複合体の開裂
特異活性60μU/μLを有するMMP−2(Calbiochem)2.5μLを、実施例1〜25に示した複合体10nMと一緒に、50mM Tris−HCl pH7.5、0.2M NaCl、10mM CaCl2 *2H2Oおよび0.05% Brij 35から成る培地1mL中で培養する。70% HCIO4/水(0.4%v/v)を溶離剤Aとし、アセトニトリルを溶離剤BとするRP18(5μM)カラムを使用するHPLC分析によって、酵素媒介複合体開裂を検出する(356nMにおけるUV検出)。6時間および24時間の培養後の非開裂複合体(出発物質)と開裂生成物(カンプトテシンのトリペプチド複合体)のピーク領域を比較することによって、開裂有効性を評価する(表6参照)。
【表6】
【0001】
本発明は、メタロマトリックスプロテアーゼ(MMP)のような酵素、即ち、腫瘍組織に特に見出される酵素によって、選択的に開裂される選択された結合単位を介するαvβ3インテグリン拮抗薬への結合の結果として、腫瘍特異作用を有する細胞増殖抑制剤に関する。選択された結合単位は、細胞増殖抑制剤とαvβ3インテグリン拮抗薬の複合体の充分な血清安定性を与えると共に、細胞増殖抑制剤の放出を伴う特異的酵素的または加水分解的開裂の結果として腫瘍細胞内での所望の細胞内作用を与える。
【背景技術】
【0002】
癌の化学療法は、腫瘍組織以外の組織型の増殖細胞における、化学療法の毒性作用に起因する一般に重大な副作用を伴う。長年にわたり、化学者は、使用される活性化合物の選択性を向上させるという課題に取り組んでいる。よく使用される方法は、pHの変化によって(Tietzeら、例えば、DE-A-4229903)、酵素によって(例えば、グルクロニダーゼ;Jacquesyら、EP-A-0511917;Bossletら、EP-A-0595133)、または抗体−酵素複合体によって(Bagshaweら、WO 88/07378;Senterら、US-4975278;Bossletら、EP-A-0595133)、標的組織においてある程度選択的に放出されるプロドラッグの合成である。これらの方法における課題は、他の組織および器官における複合体の安定性の不足、特に、腫瘍組織における活性化合物の細胞外放出の結果として起こる遍在する活性化合物分布である。
【0003】
腫瘍細胞表面における顕著なレクチンパターン(Gabius;Onkologie 12, (1989), 175)は、細胞増殖抑制剤への適切な糖質の結合によって、これらを特異的に腫瘍細胞に向かわせる基本的可能性を開く。この可能性は、他の組織においても、特に肝臓において、同様の糖質特異性を有するレクチン(ガラクトース、ラクトース、マンノース、N−アセチルグルコサミン、フコース等)が存在する(Ashwellら、Annu. Rev. Biochem. 46(1982), 531;Stahlら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74 (1977), 1521;Hillら、J. Biol. Chem. 262(1986), 7433;Jansenら、J. Biol. Chem. 266(1991), 3343)という事実によって限定される。従って、この方法において、腫瘍組織への選択性を確立する特定の改質を行わずに糖質を使用した場合、肝臓およびレクチンを多く含む他の器官における、活性化合物含有複合糖質の高濃度を予測すべきである。
【0004】
複素環式アミンバトラシリン(1)は、種々の胃癌モデルにおいて高い抗腫瘍活性を示す(US-4757072):
【化10】
【0005】
高い生体外作用およびより有利な溶解特性を有する(1)のペプチド複合体(US-4180343)は、動物実験において遊離バトラシリンより好ましくない。EP-A-0501250に開示されているバトラシリン(1)のフコース複合体は、肝臓において極めて強く凝集するので不利である。
【0006】
キノロン−a(2)、7−[(3a-R,S, 4-R,S, 7a-S,R)−4−アミノ−1,3,3a,4,7,7a−ヘキサヒドロ−イソ−インドル−2−イル]−8−クロロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸は、顕著な抗細菌活性に加えて、種々の腫瘍細胞系に対して極めて高い活性を有する(EP-A-0520240, JP-4253973)も示す。しかし、それは重大な毒物学的問題(例えば、生体内における遺伝子毒性、骨髄毒性、高急性毒性など)を有する。
【化11】
【0007】
20(S)−カンプトテシンは、1996年にWallら(J. Am. Chem. Soc. 88, 3888(1966))によって単離された5員環アルカロイドである。それは、多くの生体外および生体内試験において高活性抗腫瘍潜在性を有する。しかし、残念なことに、毒性および溶解性の問題の故に、臨床試験において有望な潜在性が得られなかった。
【0008】
E環ラクトンの開環およびナトリウム塩の形成によって、閉環形態とpH依存性平衡にある水溶性化合物が得られた。この場合も、臨床試験は成功していない。
【化12】
【0009】
約20年後、生物学的活性が、トポイソメラーゼIの酵素阻害に起因することが見出された。それ以来、より許容され、かつ生体内において活性なカンプトテシン誘導体を見出す研究活動が再び増加している。
【0010】
水溶性の向上のために、イオン化しうる基を有するA環−およびB環−改質カンプトテシン誘導体の塩および20−O−アシル誘導体の塩が開示されている(Vishnuvajjalaら、US 4943579)。後者のプロドラッグ概念も、後に、改質カンプトテシン誘導体に変換された(Waniら、WO 9602546)。しかし、前記20−O−アシルプロドラッグは、極めて短い生体内半減期を有し、極めて速く開裂して親構造物を生じる。
【0011】
WO 96/31532は、糖質改質細胞増殖抑制剤を開示し、該抑制剤において、血清安定性、ならびに腫瘍細胞内での細胞増殖抑制剤の放出および腫瘍細胞における細胞増殖抑制剤の特定濃度の両方が、選択されたスペーサーおよびリンカー基を介する細胞増殖抑制剤(例えば、バトラシリン、キノロン−a、カンプトテシン)への選択的改質糖質の新規結合によって達成される。
【0012】
インテグリンは、細胞の表面に見出されるヘテロダイマー膜内外タンパク質であり、それらは細胞外マトリックスへの細胞の付着において重要な役割を果たしている。それらは、これらのタンパク質に存在するRGD配列によって、細胞外マトリックスにおいてフィブロネクチンまたはビトロネクチンのような細胞外糖タンパク質を認識する(RGDは、アミノ酸配列アルギニン−グリシン−アスパルテートの1文字コードである)。
【0013】
一般に、インテグリン、例えば、ビトロネクチン受容体(αvβ3受容体、またはαvβ5受容体またはGpIIb/IIIa受容体とも称される)は、細胞移動、新脈管形成および細胞マトリックス付着のような生物学的過程、即ちこれらの過程が重要な段階である疾患において、重要な役割を果たす。癌、骨粗鬆症、動脈硬化症、再狭窄および結膜炎がその例として挙げられる。
【0014】
αvβ3受容体は、例えば、増殖する内皮細胞において多量に存在し、細胞外マトリックスへのそれらの付着を可能にする。このように、αvβ3受容体は、腫瘍成長および癌性疾患における転移形成に極めて必要な、新脈管形成、即ち新しい血管の形成において、重要な役割を果たす。
【0015】
前記の受容体の遮断は、この種の疾患の治療の重要な出発点であることを示すことができた。細胞外マトリックスへの増殖内皮細胞の付着が、例えば環状ペプチドまたはモノクローナル抗体によって、それらの対応するインテグリン受容体を遮断することによって抑制されれば、内皮細胞は死ぬ。従って、新脈管形成は生じず、腫瘍成長の停止または退行を生じる(例えば、Brooksら、Cell, Volume 79, 1157-1164, 1994参照)。
【0016】
さらに、腫瘍細胞の侵襲特性、即ち転移を形成するそれらの能力は、αvβ3受容体が抗体によって遮断された場合に、顕著に減少する(Brooksら、J. Clin. Invest., Volume 96, 1815, 1995)。
【0017】
WO 98/10795は、腫瘍に付着する分子が、機能単位(functional unit)、例えば細胞増殖抑制剤または放射性核種のような検出可能標識に結合している複合体を開示している。特に、インテグリン拮抗薬、例えば、前記のRGD配列を有するペプチドが、腫瘍に付着する分子であると記載されている。ドキソルビシンは、腫瘍に向かうこの種の分子に結合している細胞増殖抑制剤の例として開示されている。
【0018】
WO 98/10795の化合物の場合、腫瘍に向かう分子および機能単位が、それぞれの特性を維持しながら互いに直接的に結合するように、結合が行われる(例えば、p.56, 1. 17〜p.58, 1. 10、および実施例6参照)。この結果、これらの化合物は、腫瘍に向かう単位(entity)の結合によって、腫瘍細胞のすぐ近くで選択的に凝集する(新脈管形成によって新たに形成された内皮細胞において特に発現されるαvβ3インテグリン受容体に結合することによって、αvβ3インテグリン拮抗作用を有する基の場合)が、直接結合の故に、細胞増殖抑制剤のような機能単位は、腫瘍組織の細胞内スペースに放出されない。
【0019】
基本的に、一方で、複合体に見られるαvβ3受容体またはαvβ5インテグリン受容体に向かう部分の作用によって腫瘍組織に選択的に凝集し、他方で、複合体から放出される細胞増殖抑制剤を有する複合体は、WO 98/10795に開示されている複合体と比較して、腫瘍細胞における細胞増殖抑制剤のより直接的な作用の可能性によって、腫瘍組織への増加した毒性作用(toxophoric effect)を有すると考えられる。特に、細胞増殖抑制剤の放出が、腫瘍組織のすぐ近くかまたは腫瘍組織において起こる場合、そのような毒性作用は、さらに高くなると考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
従って、本発明の目的は、αvβ3インテグリン受容体に向かう成分、および、好ましくは腫瘍組織の近くで、複合体から放出しうる細胞増殖抑制剤を含んで成る複合体であって、αvβ3インテグリン受容体に向かう複合体中の成分が、αvβ3インテグリン受容体に結合する能力を維持する複合体を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記の目的は、αvβ3インテグリン受容体に向かう非ペプチド成分、細胞増殖抑制剤、およびメタロマトリックスプロテアーゼ(MMP)のような酵素、即ち腫瘍組織に特に見出される酵素によって選択的に触媒的開裂可能な結合単位を含んで成る複合体によって達成できる。
【0022】
原則として、薬剤含有複合体は、例えばAnti-Cancer Drug Design 10(1995), 1-9、特にp.1に説明されているように、複雑かつ製造困難な化合物である。この文献において、細胞増殖抑制性メトトレキサート、オリゴペプチドスペーサーおよびタンパク質(ヒト血清アルブミン)の複合体が記載されている。しかし、結合単位の種類、ならびに毒作用基(toxophores)および担体(例えば抗体)へのこの単位の結合の型は、結合単位の開裂に影響を与えうることも指摘している(例えば、p.7、第1パラグラフ参照)。従って、この文献は、そこに示されている結合を、他の複合体系に簡単に移せないことを示している。特に、このようにしてαvβ3受容体インテグリン受容体にも向けられている成分が、この手段によってαvβ3インテグリン受容体に向かう成分のαvβ3インテグリン受容体に結合する能力を失わずに、毒作用基に結合しうるかどうかについて記載されていない。
【0023】
WO 96/31532に開示されている結合単位は、少糖基への毒作用基の結合に特に使用される。αvβ3インテグリン受容体にも向けられている成分が、この手段によってαvβ3インテグリン受容体に向かう成分のαvβ3インテグリン受容体に結合する能力を失わずに、このように毒作用基に結合しうるかどうかについて記載されていない。
【0024】
本発明によれば、結合単位は腫瘍関連酵素によって開裂することができる。これは、本発明の複合体の組織特異性をさらに増加させ、それによって、他の組織型において本発明化合物をさらに減少させる。
【0025】
本発明のさらに好ましい態様によれば、腫瘍組織に選択性を有する抗体に結合し、従って腫瘍組織に向かう酵素によって、結合単位を開裂することができる。これはADEPT法とも称される。これも、本発明の複合体の組織特異性をさらに増加させ、それによって他の組織型における本発明の複合体をさらに減少させる。
【0026】
本発明の特に好ましい複合体は、一般式(I)で示される複合体、およびその生理的に許容される塩および立体異性体である:
CT−LI−Sp−IA (I)
[式中、
CTは、細胞毒性基、または細胞増殖抑制剤または細胞増殖抑制性剤誘導体の基を表し、該基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはアミノ基をさらに有してもよく;
LIは、DまたはL配置における5〜8個のアミノ酸残基を有するリンカー基であり、該残基はそれぞれ保護基を有している場合もあり;
Spは、不存在、またはカルボニル基またはチオカルボニル基であり;
IAは、下記から成る群から選択される、αvβ3インテグリン受容体に向かう非ペプチド基である:
A) 式(II)の基:
【化13】
式中、
R1は、OH、置換または非置換アルコキシまたはシクロアルコキシ基、置換または非置換アリールオキシ基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよいヘテロシクリルオキシ基であるか、またはそれを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合またはO、NおよびSから成る群から選択される原子を表す場合もあり;
R2は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、任意に置換されていてよいアルケニル基または任意に置換されていてよいアルキニル基であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり、または−NR2 ’ 2、−NR2 ’SO2R2 ’’、−NR2 ’COOR2 ’’、−NR2 ’COR2 ’、−NR2 ’CONR2 ’ 2、または−NR2 ’CSNR2 ’ 2であり;
R2 ’は、互いに独立に、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であるか、またはそれを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もあり;
R2 ’’は、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
Uは、直接結合または置換または非置換アルキレン基であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
Vは、置換または非置換アルキレン基、−NR2 ’CO−または−NR2 ’SO2−であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
AおよびBは、互いに独立に、1,3−または1,4−架橋した、さらに置換されていることもあるフェニレン基であり;
Wは、直接結合または置換または非置換アルキレン基であり;
Cは、不存在であるかまたは
【化14】
であり;
R3は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、アルキルアミン基、アルキルアミド基であるか、または存在する場合にR4、Y、R5またはR6の1つに結合して、任意に置換されていてよい複素環系を形成し、該環系は、R3が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R4は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、アルキルアミン基、アルキルアミド基であるか、または存在する場合にR3、Y、R5またはR6の1つに結合して、任意に置換されていてよい複素環系を形成し、該環系は、R4が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もあり;
Xは、O、NまたはSであり;
mは、0または1であり;
Yは、直接結合または任意に置換されていてよいアルキレンまたはアルキン基であり;
R5は、不存在、−NO2、−CN、−COR5 ’、−COOR5 ’であるか、または存在する場合にR3、Y、R4またはR6の1つに結合して、任意に置換されていてよい炭素環または複素環系を形成し、該環系は、Xを含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく:
R5 ’は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、該複素環式基は、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R6は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、アルキルアミン基、アルキルアミド基であるか、または存在する場合にR3、R4、YまたはR5の1つに結合して、任意に置換されていてよい複素環系を形成し、該環系は、R6が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよい;
または、
B) 式(III)の基:
【化15】
式中、
R7は、OH、置換または非置換アルコキシまたはシクロアルコキシ基、置換または非置換アリールオキシ基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよいヘテロシクリルオキシ基であるか、またはそれを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表す場合もあり;
R8は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、任意に置換されていてよいアルケニル基または任意に置換されていてよいアルキニル基、ヒドロキシル基またはアルコキシ基であるか、またはR9に結合して、任意に置換されていてよい炭素環または複素環系を形成し、該環系は、R8が結合している炭素原子を含み、ヘテロ原子を任意に含有してもよく;
R9は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、任意に置換されていてよいアルケニル基、任意に置換されていてよいアルキニル基、ヒドロキシル基またはアルコキシ基であるか、またはR8に結合して、任意に置換されていてよい炭素環または複素環系を形成し、該環系は、R9が結合している炭素原子を含み、ヘテロ原子を任意に含有してもよく;
R10は、−SO2R10 ’、−COOR10 ’’、−COR10 ’、−CONR10 ’ 2、または−CS−NR10 ’ 2であるか、またはそれを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している場合もある直接結合を表し;
R10 ’は、互いに独立に、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、であり、それを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
R10 ’’は、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、それを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
R11は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、または置換または非置換アリール基であり;
R16は、水素、CN、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アルコキシ基、またはハロゲン原子であり;
R17は、水素、CN、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アルコキシ基、またはハロゲン原子であり;
Lは、−(CH2)nNHSO2(CH2)o−、−(CH2)nSO2NH(CH2)o−、
−(CH2)nNH−CO(CH2)o−、−(CH2)nCONH(CH2)o−、
−(CH2)nOCH2(CH2)o−、−(CH2)nCH2O(CH2)o−、
−(CH2)nCOO(CH2)o−、−(CH2)nOOC−(CH2)o−、
−(CH2)nCH2CO(CH2)o−、−(CH2)nCOCH2(CH2)o−、
−NHCONH−、−(CH2)nSCH2(CH2)o−、−(CH2)nCH2S(CH2)o−、
−(CH2)nCH2SO(CH2)o−、−(CH2)nSOCH2(CH2)o−、
−(CH2)nCH2−SO2(CH2)o−、または−(CH2)nSO2CH2(CH2)o−であり、nおよびoは、それぞれ0または1の整数であり、n+o≦1であり;
R12は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であるか、または存在する場合にR13、R14またはR15の1つに結合して、任意に置換されていてよい複素環系を形成し、該環系は、R12が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
X'は、N、OまたはSであり;
pは、0または1であり;
R13は、不存在であるか、または−H、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、−NO2、−CN、−COR13 ’、−COOR13 ’であるか、またはR12、R14またはR15の1つに結合して、任意に置換されていてよい複素環系を形成し、該環系はX'を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R13 ’は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、該複素環式基は、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
Y'は、NまたはSであり;
R14は、不存在であるか、または水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であるか、または存在する場合にR12、R13またはR15の1つに結合して、任意に置換されていてよい複素環系を形成し、該環系は、R14が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R15は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であるか、または存在する場合にR12、R13またはR14の1つに結合して、任意に置換されていてよい複素環系を形成し、該環系は、R15が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく、またはそれを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もある;
または、
C) 式(IV)の基:
【化16】
式中、
R18は、OH、置換または非置換アルコキシまたはシクロアルコキシ基、置換または非置換アリールオキシ基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよいヘテロシクリルオキシ基であるか、またはそれを介して式(IV)の基が複合体の残部に結合している直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表す場合もあり;
qは、0または1であり;
R19は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、アルキルアミン基、アルキルアミド基であるか、またはそれを介して式(IV)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もある]。
【0027】
好ましい態様による式(I)の複合体のうち、下記のような複合体が好ましい:
LIは、下記の式:
−AA1−AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−AA7−AA8−
で示されるリンカー基であり、
式中、
少なくとも5個の基AA1〜AA8が存在し、AA1は基CTに結合し;
AA1は、DまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、グルタメート、アスパルテート、セリン、リシン、オルニチンおよびフェニルアラニンから成る群から選択され;
AA2は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、アラニン、バリン、フェニルアラニン、チロシン、スレオニン、セリン、イソロイシン、リシン、グルタメート、ヒスチジン、グリシン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、S−メチル−システイン、メチオニン、アルギニン、アスパルテート、トリプトファン、プロリン、オルニチンおよびロイシンから成る群から選択され、保護基を有する場合もあり;
AA3は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、アラニン、バリン、フェニルアラニン、チロシン、セリン、イソロイシン、リシン、グルタメート、ヒスチジン、グリシン、アルギニン、アスパルテート、トリプトファン、プロリン、オルニチン、メチオニン、S−メチル−システイン、ノルバリンおよびロイシンから成る群から選択され、保護基を有する場合もあり;
AA4は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、システインおよびノルバリンから成る群から選択され;
AA5は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、プロリン、メチオニン、フェニルアラニンおよびシステインから成る群から選択され;
AA6は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパルテートおよびプロリンから成る群から選択され;
AA7は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、γ−アミノ酪酸、アスパルテート、グルタメート、リシンおよびプロリンから成る群から選択され;
AA8は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、リシン、プロリンおよびγ−アミノ酪酸から成る群から選択され;
他の基CT、SpおよびIAは、前記と同じ意義を有する。
【0028】
下記のような式(I)の複合体が特に好ましい:
LIは、下記の式:
−AA1−AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−AA7−AA8−
で示されるリンカー基であり、
式中、
5〜7個の基AA1〜AA8が存在し、AA1は基CTに結合し;
AA1は、バリン、グリシン、ロイシン、ヒスチジンであり;
AA2は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、アラニン、フェニルアラニン、セリン、イソロイシン、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、グリシン、アスパルテート、トリプトファン、プロリンおよびロイシンから成る群から選択され、保護基を有する場合もあり;
AA3は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、アラニン、フェニルアラニン、セリン、イソロイシン、ノルバリン、S−メチル−システイン、メチオニン、グルタメート、ヒスチジン、グリシン、アスパルテート、トリプトファンおよびロイシンから成る群から選択され、保護基を有する場合もあり;
AA4は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、ロイシン、システインおよびノルバリンから成る群から選択され、保護基を有する場合もあり;
AA5は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、ヒスチジン、グルタミン、フェニルアラニン、イソロイシンおよびメチオニンから成る群から選択され;
AA6は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、プロリン、グルタミン、メチオニンおよびロイシンから成る群から選択され;
AA7は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、ロイシン、アスパルテート、ヒスチジン、γ−アミノ酪酸およびプロリンから成る群から選択され;
AA8は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、プロリンおよびγ−アミノ酪酸から成る群から選択され;
他の基CT、SpおよびIAは、前記と同じ意義を有する。
【0029】
好ましい態様による式(I)の複合体のうち、下記のような複合体が好ましい:
CTは、カンプトテシンまたはカンプトテシン誘導体であり、C20−OH基を介して複合体の残部に結合していてもよく;
LIは、前記と同じ意義を有し;
Spは、不存在であるか、またはカルボニル基またはチオカルボニル基であり;
IAは、αvβ3インテグリン受容体に向かう式(II)の非ペプチド基を表し:
式中、
R1は、OH、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、シクロプロポキシ、シクロプロピルメトキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ、シクロヘキソキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、トリルオキシまたはそれらの置換誘導体であるか、またはそれを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表す場合もあり;
R2は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、任意に置換されていてよいアルキニル基または任意に置換されていてよいアルケニル基であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり、または−NR2 ’ 2、−NR2 ’SO2R2 ’’、−NR2 ’COOR2 ’’、−NR2 ’COR2 ’、−NR2 ’CONR2 ’ 2、または−NR2 ’CSNR2 ’ 2であり;
R2 ’は、互いに独立に、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体であるか、またはそれを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もあり;
R2 ’’は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、−C6H2(CH3)3、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、2−クロロフェニル、4−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、2,5−ジクロロフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、カンフォル−10−イル、4−t−ブチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、3−クロロフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2−ナフチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリンまたは8−キノリニルであり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
Uは、直接結合であり;
Vは、任意に置換されていてよいC1 〜 5アルキレン基であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
Aは、非置換であるかまたは少なくとも1個のアルコキシ基を有する1,3−または1,4−架橋フェニレン基であり;
Bは、非置換であるかまたは少なくとも1個のアルキル基を有する1,3−または1,4−架橋フェニレン基であり;
Wは、直接結合であるか、または任意に置換されていてよいC1 〜 4アルキレン基であり;
Cは、直接結合であるか、または
【化17】
であり;
R3は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、
【化18】
であるか、または存在する場合にR4、Y、R5またはR6の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R3が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R4は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR3、Y、R5またはR6の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R4が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく、またはそれを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もあり;
Xは、O、NまたはSであり;
Yは、直接結合であるか、または置換または非置換メチレンまたはメチン基であり;
R5は、不存在であるか、または−NO2、−CN、−COR5 ’、−COOR5 ’であるか、または存在する場合にR3、Y、R4またはR6の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員の炭素環または複素環系を形成し、該環系は、Xを含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R5 ’は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体であり;
R6は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR3、Y、R4またはR5の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R6が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよい。
【0030】
この好ましい態様における式(I)の特に好ましい複合体は、R1が直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表し、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合し、式(II)の他の基は前記と同じ意義を有する複合体である。
【0031】
同様に、この好ましい態様における式(I)の特に好ましい複合体は、R4が直接結合を表し、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合し、式(II)の他の基は前記と同じ意義を有する複合体である。
【0032】
同様に、この好ましい態様における式(I)の特に好ましい複合体は、式(II)の基が、カルボキシル基に対してαまたはβ位置にある基を介して複合体の残部に結合し、式(II)の他の基は前記と同じ意義を有する複合体である。
【0033】
さらに好ましい態様による式(I)の複合体のうち、下記のような複合体が好ましい:
CTは、カンプトテシンまたはカンプトテシン誘導体であり、C20−OH基を介して複合体の残部に結合していてもよく;
LIは、前記と同じ意義を有し;
Spは、不存在であるか、またはカルボニル基またはチオカルボニル基であり;
IAは、αvβ3インテグリン受容体に向かう式(II)の非ペプチド基であり:
式中、
R1は、OH、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、シクロプロポキシ、シクロプロピルメトキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ、シクロヘキソキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、トリルオキシまたはそれらの置換誘導体であるか、またはそれを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表す場合もあり;
R2は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、4−アミノベンジル、トリル、フェニルエチル、4−アミノベンジルのような置換誘導体、またはそれらの飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環類似体、任意に置換されていてよいアルケニル基、任意に置換されていてよいアルキニル基であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
Uは、直接結合であるか、または任意に置換されていてよいC1 〜 3アルキレン基、例えば−CH(C6H4−3−NH)−または−CH(C6H4−4−NH)−であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
Vは、−NR20CO−または−NR20SO2−であり;
R20は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、トリル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェノキシエチルまたはそれらの置換誘導体であり;
Aは、非置換であるかまたは少なくとも1個のアルコキシ基を有する1,3−または1,4−架橋フェニレン基であり;
Bは、非置換であるかまたは少なくとも1個のアルキル基を有する1,3−または1,4−架橋フェニレン基であり;
Wは、直接結合であるか、または任意に置換されていてよいC1 〜 3アルキレン基であり;
Cは、
【化19】
であり;
R3は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR4、YまたはR6の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R3が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R4は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR3、YまたはR6の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R4が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく、またはそれを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もあり;
Xは、OまたはSであり;
Yは、直接結合であるか、または置換または非置換メチレンまたはメチン基であり;
R5は、不存在であり;
R6は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR3、YまたはR4の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R6が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよい。
【0034】
このさらに好ましい態様における、式(I)の特に好ましい複合体は、R1が直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表し、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合し、式(II)の他の基は前記と同じ意義を有する複合体である。
【0035】
同様に、このさらに好ましい態様における式(I)の特に好ましい複合体は、R4が直接結合を表し、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合し、式(II)の他の基は前記と同じ意義を有する複合体である。
【0036】
同様に、このさらに好ましい態様における式(I)の特に好ましい複合体は、式(II)の基が、カルボキシル基に対してαまたはβ位置にある基を介して複合体の残部に結合し、式(II)の他の基は前記と同じ意義を有する複合体である。
【0037】
さらに好ましい態様による式(I)の複合体のうち、下記のような複合体が特に好ましい:
CTは、C20−OH基を介して複合体の残部に結合していてもよいカンプトテシンであり;
LIは、前記と同じ意義を有し;
Spは、不存在であるか、またはカルボニル基またはチオカルボニル基であり;
IAは、αvβ3インテグリン受容体に向かう式(III)の非ペプチド基である:
式中、
R7は、OH、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、シクロプロポキシ、シクロプロピルメトキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ、シクロヘキソキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、トリルオキシまたはそれらの置換誘導体、またはそれを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表す場合もあり;
R8は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、−OH、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ベンジルオキシであるか、またはR9に結合して、任意に置換されていてよい3〜6員の炭素環または複素環系を形成し、該環は、R8が結合している炭素原子を含み、ヘテロ原子を任意に含有してもよく;
R9は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、−OH、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシであるか、またはR8に結合して、任意に置換されていてよい3〜6員の炭素環または複素環系を形成し、該環系は、R9が結合している炭素原子を含み、ヘテロ原子を任意に含有してもよく;
R10は、−SO2R10 ’、−COOR10 ’’、−COR10 ’、−CONR10 ’ 2、または−CSNR10 ’ 2であるか、またはそれを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している場合もある直接結合を表し;
R10 ’は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、−C6H2(CH3)3、−C6(CH3)5、−CH2C6H2(CH3)3、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−クロロフェニルメチル、2,4−ジクロロフェニルメチル、2,6−ジクロロフェニルメチル、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、2−メトキシカルボニルフェニルメチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、フェニルメチル、2−アセトアミド−4−メチルチアゾル−5−イル、フェニルエチル、1−フェニルプロピル、(S)−(+)−カンフォル−10−イル、(R)−(−)−カンフォル−10−イル、2−フェニルエテニル、2−チオフェニル、4−メトキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−プロピルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリン、4−アセトアミドフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、5−クロロ−3−メチルベンゾチアゾル−2−イル、N−メトキシカルボニルピペリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、イソオキサゾル−5−イル、エトキシ、2−クロロピリジン−3−イル、ピリジン−3−イル、ベンジルオキシ、5−メチルイソオキサゾル−3−イル、1−アダマンチル、4−クロロフェノキシメチル、2,2−ジメチルエテニル、2−クロロピリジン−5−メチル、5,7−ジメチル−1,3,4−トリアザインドリジン−2−イル、(S)−カンファン−1−イル、(R)−カンファン−1−イルまたは8−キノリニルであり;
R10 ’’は、C1 〜 6アルキル基、C3 〜 7シクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、それを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
R11は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルコキシ−C1 〜 4アルキル、ジアルキルアミノC1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、または
【化20】
であり;
R16は、水素、CN、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシまたはヘキソキシ、弗素、塩素、臭素または沃素であり;
R17は、水素、CN、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシまたはヘキソキシ、弗素、塩素、臭素または沃素であり;
Lは、−NHSO2−、−CH2NHSO2−、−NHSO2CH2−、−SO2NH−、−CH2SO2NH−、−SO2NHCH2−、−NHCO−、−CH2NHCO−、−NHCOCH2−、−CONH−、−CH2CONH−、−CONHCH2−、−OCH2−、−CH2OCH2−、−OCH2CH2−、−CH2O−、または−CH2CH2O−であり;
R12は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR13、R14またはR15の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R12が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
X'は、N、OまたはSであり;
pは、0または1であり;
R13は、不存在であるか、または−H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、−NO2−、−CN、−COR7 ’、−COOR7 ’であるか、またはR12、R14またはR15の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員の炭素環または複素環系を形成し、該環系はX'を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R13 ’は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体であり;
Y'は、NまたはSであり;
R14は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR12、R13またはR15の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R14が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R15は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR12、R13またはR14の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R15が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく、またはそれを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もある。
【0038】
このさらに好ましい態様における式(I)の特に好ましい複合体は、R7が、直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表し、それを介して式(III)の基が複合体の残部に結合し、式(III)の他の基は前記と同じ意義を有する複合体である。
【0039】
同様に、このさらに好ましい態様における式(I)の特に好ましい複合体は、R15が直接結合を表し、それを介して式(III)の基が複合体の残部に結合し、式(III)の他の基は前記と同じ意義を有する複合体である。
【0040】
同様に、このさらに好ましい態様における式(I)の特に好ましい複合体は、式(III)の基が、カルボキシル基に対してαまたはβ位置にある基を介して複合体の残部に結合し、式(III)の他の基は前記と同じ意義を有する複合体である。
【0041】
さらに好ましい態様によれば、R18が直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表し、それを介して式(IV)の基が複合体の残部に結合し、式(IV)の他の基は前記と同じ意義を有する式(I)の複合体が好ましい。
【0042】
同様に、このさらに好ましい態様における式(I)の特に好ましい複合体は、R19が直接結合を表し、それを介して式(IV)の基が複合体の残部に結合し、式(IV)の他の基は前記と同じ意義を有する複合体である。
【0043】
本発明の式(I)の化合物は、その塩の形態で存在することもできる。一般に、有機または無機塩基または酸との塩を本明細書に記載する。
【0044】
特に、本発明の式(I)の化合物は、生理的に許容されるその塩の形態で使用しうる。生理的に許容される塩は、本発明において、非毒性の塩を意味するものと理解され、該塩は、この目的に一般に使用される無機または有機塩基または酸と、本発明の式(I)の化合物との反応によって一般に得られる。本発明の式(I)の化合物の好ましい塩の例は、対応するアルカリ金属塩、例えば、リチウム、カリウムまたはナトリウム塩、対応するアルカリ土類金属塩、例えば、マグネシウムまたはカルシウム塩、第四アンモニウム塩、例えば、トリエチルアンモニウム塩、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、二炭酸塩、二硫酸塩、二酒石酸塩、硼酸塩、臭化物、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、二塩酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、ヘキシルレゾルシネート、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、沃化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシレート、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、硝酸塩、オレイン酸塩、蓚酸塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、燐酸塩、二燐酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、琥珀酸塩、酒石酸塩、トシレート、吉草酸塩、および医学目的に使用される他の塩である。
【0045】
本発明は、本発明化合物の個々のエナンチオマーまたはジアステレオマーおよび対応するラセミ化合物、ジアステレオマー混合物の両方、および塩を包含する。さらに、前記の化合物の全ての可能な互変異性体形態も本発明に含まれる。さらに、本発明は、式(I)の化合物の純粋なEおよびZ異性体、およびあらゆる比率のそれらのE/Z混合物の両方を含む。ジアステレオマー混合物またはE/Z混合物は、クロマトグラフィー法によって個々の異性体に分離することができる。ラセミ化合物は、キラル相(chiral phases)におけるクロマトグラフィー法、または分割によって、各エナンチオマーに分離することができる。
【0046】
本発明に関して、置換基は、他に記載がなければ下記の意味を一般に有する。
【0047】
アルキルは、1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基を一般に意味する。例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、オクチルおよびイソオクチル、ノニル、デシル、ドデシル、エイコシルである。
【0048】
アルケニルは、2〜20個の炭素原子を有し、1つまたはそれ以上、好ましくは1つまたは2つの二重結合を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基を一般に意味する。例は、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、イソヘキセニル、ヘプテニル、イソヘプテニル、オクテニル、イソオクテニルである。
【0049】
アルキニルは、2〜20個の炭素原子を有し、1つまたはそれ以上、好ましくは1つまたは2つの三重結合を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基を一般に意味する。例は、エチニル、2−ブチニル、2−ペンチニルおよび2−ヘキシニルである。
【0050】
アシルは、カルボニル基を介して結合している、1〜9個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖低級アルキルを一般に意味する。例は、アセチル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、ブチルカルボニルおよびイソブチルカルボニルである。
【0051】
アルコキシは、1〜14個の炭素原子を有し、酸素原子を介して結合している直鎖または分岐鎖炭化水素を一般に意味する。例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ヘキソキシ、イソヘキソキシ、ヘプトキシ、イソヘプトキシ、オクトキシまたはイソオクトキシである。「アルコキシ」および「アルキルオキシ」は同義語的に使用される。
【0052】
アルコキシアルキルは、8個までの炭素原子を有するアルコキシ基によって置換されている、8個までの炭素原子を有するアルキル基を一般に意味する。
【0053】
アルコキシカルボニルは、例えば、式:
【化21】
によって示すことができる。
式中のアルキルは、1〜13個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基を一般に意味する。アルコキシカルボニル基の例は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニルまたはイソブトキシカルボニルである。
【0054】
シクロアルキルは、3〜8個の炭素原子を有する環状炭化水素基を一般に意味する。シクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが好ましい。例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルである。
【0055】
本発明におけるシクロアルコキシは、その炭化水素基がシクロアルキル基であるアルコキシ基を意味する。シクロアルキル基は、一般に8個までの炭素原子を有する。例は、シクロプロピルオキシおよびシクロヘキシルオキシである。「シクロアルコキシ」および「シクロアルキルオキシ」という用語は、同義語的に使用される。
【0056】
アリールは、6〜10個の炭素原子を有する芳香族基を意味する。好ましいアリール基は、フェニル、ベンジルおよびナフチルである。
【0057】
本発明におけるハロゲンは、弗素、塩素、臭素および沃素を意味する。
【0058】
本発明における複素環は、S、Nおよび/またはOから成る群から選択される3個までのヘテロ原子を含有し、窒素原子の場合は、それを介して結合することもできる、飽和、不飽和または芳香族の3〜10員、例えば5〜6員の複素環を一般に意味する。例は、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、チエニル、フリル、ピロリル、ピロリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1,2,3−トリアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、モルホリニルまたはピペリジルである。チアゾリル、フリル、オキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニルおよびテトラヒドロピラニルが好ましい。「ヘテロアリール」(または「ヘタリール」)は、芳香族複素環式基を意味する。
【0059】
本発明の複合体は、細胞毒性基、または細胞増殖抑制剤または細胞増殖抑制剤誘導体の基が、結合単位を介して、αvβ3インテグリン受容体に向かう非ペプチド成分に結合していることを特徴とする。
【0060】
αvβ3インテグリン受容体に向かう複合体の非ペプチド成分は、複合体の毒作用基部分を、腫瘍細胞にまたは腫瘍細胞の近くに運ぶ働きをし、そのようにして組織選択性を与える。増殖する腫瘍組織は、新しい血管の形成、即ち新脈管形成をかなりの程度に刺激して、増加する栄養要求を満たす。新脈管形成によって新しく形成された血管は、形成された内皮細胞表面の特定の標識によって従来組織と異なる。さらに、αvβ3インテグリン受容体は、多くのヒト腫瘍によって発現される(WO 98/10795およびそれに記載されている文献を参照)。このように、新脈管形成によって形成された内皮細胞または腫瘍細胞に見出されるαvβ3インテグリン受容体と、αvβ3インテグリン受容体に向かう非ペプチド部分との相互作用によって、複合体は、治療される腫瘍組織かまたはその近くに選択的に運ばれる。
【0061】
αvβ3インテグリン受容体に向かうペプチド基(例えば、WO 98/10795に開示されている)と異なり、αvβ3インテグリン受容体に向かう本発明の非ペプチド成分は、増加した血清安定性によって区別され、それによって複合体の毒作用基の腫瘍組織への輸送が高度に保証される。
【0062】
αvβ3インテグリン受容体に対して拮抗作用を有する前記化合物は、複合体において、αvβ3インテグリン受容体に向かう特性を維持すべきである。これは、化合物の前記作用が結合によって損なわれないかまたは少ししか損なわれないように、これらの化合物が毒作用基に結合すべきであることを意味する。一般に、結合単位による結合は、分子中のこれに好適な官能基、例えば、アミノ、ヒドロキシルまたはカルボキシル官能基を介して行われる。前記化合物が官能基を有さない場合、当業者に既知の一般法によって、αvβ3インテグリン受容体に対する該化合物の拮抗作用を失うことなく、これらの官能基の1つを分子に容易に挿入することができる。
【0063】
本発明の複合体は、その標的部位において毒作用基を放出することができ、それによって腫瘍組織への浸透を可能にする。これは、αvβ3インテグリン受容体に向かう成分に毒作用基を結合させる単位の特定の選択によって行われる。本発明の複合体の結合単位は、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)のような腫瘍関連酵素によって開裂しうるように設計される。
【0064】
本発明の複合体の作用の組織選択性を向上させるのにさらに好適な出発点は、いわゆるADEPT法から成る。この方法において、複合体は、特定の酵素によって開裂される。これらの酵素は、本発明の複合体と一緒に、抗体に結合させて体に導入され、抗体は腫瘍組織に特異的に向かう担体として作用する。これは腫瘍組織における複合体および酵素/抗体系の両方の選択的凝集を生じ、それによって、毒作用基が、より高い選択性で腫瘍組織に放出され、腫瘍組織においてその作用を示すことができる。
【0065】
本発明の好適な結合単位は、前記の基準を満たし、αvβ3インテグリン受容体への結合作用を維持するような仕方で、αvβ3インテグリン受容体に向かう成分に結合しうるあらゆる結合単位である。
【0066】
本発明の複合体において、使用される毒作用基は、腫瘍治療に一般に使用されるあらゆる細胞毒性基、または細胞増殖抑制剤または細胞増殖抑制剤誘導体の基であってよい。
【0067】
好ましい態様によれば、使用しうる本発明の複合体は、式(I)の化合物であり、該化合物において、5〜8個のアミノ酸、好ましくは5〜7個のアミノ酸、特に好ましくは6個のアミノ酸および適切であれば非ペプチドスペーサー基から成る結合単位を介して、毒作用
基が、式(II)〜(IV)の基から成る群から選択されるαvβ3インテグリン受容体に向かう非ペプチド成分に結合している:
【化22】
[式(II)〜(IV)の基は、前記と同じ意義を有する]。
【0068】
本発明の式(I)の複合体において、使用される毒作用基は、腫瘍治療に一般に使用される細胞毒性基、または細胞増殖抑制剤または細胞増殖抑制剤誘導体の基であってよい。カンプトテシンまたは9−アミノカンプトテシンのようなカンプトテシン誘導体が本発明に好ましく、該物質は、C20−OH基を介するか、または分子に存在する場合もある官能基、例えば9−アミノカンプトテシンの場合はアミノ基を介して、複合体の残部に結合することができる。この好ましい態様によれば、出発化合物として使用されるカンプテテシン単位は、20(R)または20(S)配置におけるか、またはこれら2つの立体異性形の混合物として存在することができる。20(S)配置が好ましい。
【0069】
式(I)の複合体において、結合単位は、好ましくは、下記式の単位から成り:
−LI−Sp−
式中、単位LIは、好ましくは、下記のアミノ酸残基を有し:
−AA1−AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−AA7−AA8−
式中、AA1は、基CT、即ち毒作用基に結合し、基AA8(または、AA8が不存在である場合に、この末端において結合単位の末端を構成する対応する基AA7、AA6等)は、スペーサー単位Spに結合している。
本発明の好ましい態様によれば、少なくとも5個の基AA1〜AA8が存在する。5〜8個の基AA1〜AA8が存在する結合単位が特に好ましい。5〜7個の基AA1〜AA8が存在する結合単位が特に好ましい。本発明の最も好ましい態様によれば、結合単位は、6個の基AA1〜AA8を有する。
【0070】
基AA1〜AA8は、存在する場合に、それぞれDまたはL配置におけるアミノ酸を表す。これに関して、それらは、特に好ましくは、天然アミノ酸、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、システイン、メチオニン、アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、リシン、ヒスチジン、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシンまたはプロリンである。本発明の方法に使用されるアミノ酸は、LまたはD配置において、またはD形とL形の混合物として存在することができる。
【0071】
本発明における「アミノ酸」という用語は、特に天然α−アミノ酸を意味するが、それらの同族体、異性体および誘導体も包含する。異性体の例は、エナンチオマーである。誘導体は、例えば、保護基を有するアミノ酸であってもよい。
【0072】
本発明によれば、各アミノ酸は、それらのα−カルボキシル官能基またはα−アミノ官能基を介してだけでなく、側鎖に存在する場合もある官能基、例えばアミノ官能基を介しても、相互に、および毒作用基またはαvβ3インテグリン受容体に向かう成分に、結合することができる。
【0073】
側鎖に官能基を有するアミノ酸の場合、これらの官能基は、脱ブロックする(deblock)か、またはペプチド化学において使用される一般的な保護基によって保護することができる。アミノ酸のこれらの官能基に使用される保護基は、ペプチド化学において既知の保護基、例えば、ウレタン、アルキル、アシル、エステルまたはアミド型であってよい。
【0074】
本発明におけるアミノ保護基は、ペプチド化学に使用される一般的なアミノ保護基である。これらは下記のものであるのが好ましい:ベンジルオキシカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、4−ニトロベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル、2−ニトロ−4,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、アリルオキシカルボニル、ビニルオキシカルボニル、3,4,5−トリメトキシベンジルオキシカルボニル、フタロイル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロ−tert−ブトキシカルボニル、メンチルオキシカルボニル、4−ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル−9−メトキシカルボニル(Fmoc)、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、2−クロロアセチル、2−ブロモアセチル、2,2,2−トリフルオロアセチル、2,2,2−トリクロロアセチル、ベンゾイル、ベンジル、4−クロロベンゾイル、4−ブロモベンゾイル、4−ニトロベンゾイル、フタルイミド、イソバレロイルまたはベンジルオキシメチレン、4−ニトロベンジル、2,4−ジニトロベンジル、4−ニトロフェニルまたは2−ニトロフェニルスルフェニル。Fmoc基およびBoc基は特に好ましい。
【0075】
適切な反応段階における保護基の除去は、例えば、酸または塩基の作用によって、水素添加分解的に、または別の方法において還元的に行うことができる。
【0076】
本発明によれば、AA1は、好ましくは、DまたはL配置における天然アミノ酸であり、該アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、グルタメート、アスパルテート、セリン、リシン、オルニチンおよびフェニルアラニンから成る群から選択される。本発明によれば、AA1は、最も好ましくは、バリンまたはグリシンである。
【0077】
本発明によれば、AA2は、好ましくは、不存在であるかまたはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該アミノ酸は、アラニン、バリン、フェニルアラニン、チロシン、スレオニン、セリン、イソロイシン、リシン、グルタメート、ヒスチジン、グリシン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、S−メチルシステイン、メチオニン、アルギニン、アスパルテート、トリプトファン、プロリン、オルニチンおよびロイシンから成る群から選択される。本発明によれば、AA2は、最も好ましくは、フェニルアラニン、ヒスチジンおよびアスパラギンから成る群から選択されるDまたはL配置における天然アミノ酸である。
【0078】
本発明によれば、AA3は、好ましくは、不存在であるかまたはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該アミノ酸は、アラニン、バリン、フェニルアラニン、チロシン、セリン、イソロイシン、リシン、グルタメート、ヒスチジン、グリシン、アルギニン、アスパルテート、トリプトファン、プロリン、オルニチン、メチオニン、S−メチルシステン、ノルバリンおよびロイシンから成る群から選択される。本発明によれば、AA3は、最も好ましくは、ロイシン、ノルバリンおよびS−メチルシステインから成る群から選択されるL配置における天然アミノ酸である。
【0079】
本発明によれば、AA4は、好ましくは、不存在であるかまたはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、システインおよびノルバリンから成る群から選択される。本発明によれば、AA4は、最も好ましくは、グリシンおよびアラニンから成る群から選択されるL配置における天然アミノ酸である。
【0080】
本発明によれば、AA5は、好ましくは、不存在であるかまたはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、プロリン、メチオニン、フェニルアラニンおよびシステインから成る群から選択される。本発明によれば、AA5は、最も好ましくは、グリシン、ロイシンおよびグルタミンから成る群から選択されるL配置における天然アミノ酸である。
【0081】
本発明によれば、AA6は、好ましくは、不存在であるかまたはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパルテートおよびプロリンから成る群から選択される。本発明によれば、AA6は、最も好ましくは、プロリンおよびロイシンから成る群から選択されるDまたはL配置における天然アミノ酸である。
【0082】
本発明によれば、AA7は、好ましくは、不存在であるかまたはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、γ−アミノ酪酸、アスパルテート、グルタメート、ロイシンおよびプロリンから成る群から選択される。本発明によれば、AA7は、最も好ましくは、不存在であるか、またはグリシン、ヒスチジン、γ−アミノ酪酸およびプロリンから成る群から選択されるDまたはL配置における天然アミノ酸である。
【0083】
本発明によれば、AA8は、好ましくは、不存在であるかまたはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、リシン、プロリンおよびγ−アミノ酪酸から成る群から選択される。本発明によれば、AA8は、最も好ましくは、不存在であるか、またはグリシン、ヒスチジンおよびγ−アミノ酪酸から成る群から選択されるDまたはL配置における天然アミノ酸である。
【0084】
本発明の複合体の結合単位LIは、腫瘍関連酵素、即ち、腫瘍組織に存在し、好ましくは正常組織に見出されないかまたは腫瘍組織に存在する量よりかなり少ない量でのみ正常組織に存在する酵素によって、選択的に開裂しうるように設計される。本発明の複合体の結合単位LIを選択的に開裂する腫瘍関連酵素の種類の例は、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)である。特に好ましい態様によれば、本発明の複合体の結合単位LIは、そのような種類の特定の酵素によって選択的に開裂しうるように設計される。本発明の複合体の結合単位LIは、MMP-2またはMMP-9によって選択的に開裂しうるのが特に好ましい。
【0085】
本発明によれば、結合単位は6〜7個のアミノ酸AA1〜AA8およびスペーサー単位Spから成るのが好ましく、特に、AA2単位を保護基によって側鎖において改質することができる。しかし、結合単位は、5または8個のアミノ酸AA1〜AA8およびスペーサー単位Spから成ることもできる。これらの場合、毒作用基への結合は、一般に、アミノ酸AA1のカルボキシル官能基を介して行われ、スペーサー単位Spを介するαvβ3インテグリン受容体に向かう成分への結合は、αvβ3インテグリン受容体に向かう成分のアミノ基またはヒドロキシル基を使用して行われる。
【0086】
しかし、αvβ3インテグリン受容体に向かう成分のカルボキシル官能基を介して結合が行われる場合、スペーサー単位Spを有さない結合単位を使用するのが好ましい。この場合、結合単位とαvβ3インテグリン受容体に向かう成分との結合は、アミノ酸のアミノ官能基を介して行われる。αvβ3インテグリン受容体に向かう成分は、例えば、式(II)の基であってよい:
【化23】
[式(II)における基は、前記と同じ意義を有する]。
【0087】
以下の記載において、二価置換基は、それらの各左端が式(II)の対応する置換基の左に示された基に結合し、それらの各右端が、式(II)の対応する置換基の右に示された基に結合しているように示される。例えば、式(II)において、基Vが−NR20SO2−である場合、窒素原子は基Uに結合し、硫黄原子は基Aに結合している。下記の態様は、非結合状態の式(II)の基にも関する。結合単位を介する式(II)の基の毒作用基への結合は、末端カルボキシル基、末端アミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基を介するか、または式(II)の基の側鎖における官能基を介して、即ち、基R2、または基UまたはVの置換基を介して行われ、それによって、結合状態において、末端カルボキシル基または末端アミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基は、対応する架橋単位に変換される。
【0088】
本発明の式(II)の基は、主要構造要素としてビフェニル核を有することを特徴とし、該ビフェニル核は、末端カルボキシル基を有する基と、環系に組み込まれている場合もあるアミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の成分である少なくとも1個の窒素原子を主鎖に有する基とを架橋する。ビフェニル核は、前記の基の他に、さらに置換基を有してもよい。
【0089】
末端カルボキシル単位は、式(II)の基の結合がこれを介して行われない場合、遊離カルボン酸またはエステルとして存在しうる。末端カルボキシル単位をエステル化する場合、一般法によって得られる基本的に全てのカルボン酸エステル、例えば、対応するそのアルキルエステル、シクロアルキルエステル、アリールエステルおよびそれらの複素環式類似体を本発明に使用することができ、アルキルエステル、シクロアルキルエステルおよびアリールエステルが好ましく、アルコール基は置換基をさらに有してもよい。C1 〜 6アルキルエステル、例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ネオペンチルエステル、ヘキシルエステル、シクロプロピルエステル、シクロプロピルメチルエステル、シクロブチルエステル、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル、またはアリールエステル、例えば、フェニルエステル、ベンジルエステルまたはトリルエステルが特に好ましい。
【0090】
しかし、本発明の式(II)の基は、末端カルボキシル単位が遊離カルボン酸として存在する形態で使用するのが好ましい。
【0091】
末端カルボキシル単位は、さらに置換基を有してもよいアルキレン鎖を介してビフェニル核に結合される。ある制限内で、末端カルボキシル単位と、ビフェニル核のフェニル環Bに結合している基の主鎖に存在するアミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の窒素原子との距離によって、インテグリン受容体、例えば特にαvβ3受容体に対する本発明の式(II)の基の生物学的活性を調節することができ、1個より多い窒素原子が対応する基の主鎖に存在する場合、ビフェニル核のフェニル環Bの近くに存在する窒素原子が重要になる。ビフェニル核の他に、好ましくは6個以下の原子がこれらの2つの構造要素の間の主鎖に存在すべきである。しかし、ビフェニル核の他に、末端カルボキシル単位と、ビフェニル核のフェニル環Bに結合している基の主鎖に存在するアミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の窒素原子との間の主鎖に、6個未満の付加的原子が存在する式(II)の基がより好ましい。本発明によれば、アミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の前記窒素原子が、ビフェニル核のフェニル環Bに直接的に結合し、末端カルボキシル単位が、主鎖における2〜4個の原子によって、ビフェニル核のフェニル環Aから離れている式(II)の基が特に好ましい。
【0092】
末端カルボキシル基をビフェニル核のフェニル環Aに結合させるアルキレン鎖は、アルキレン鎖を形成する炭素原子のいずれかの付加的置換基を任意に有してもよい。これらの置換基は、下記から成る群から選択しうる:水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、任意に置換されていてよいアルケニル基、任意に置換されていてよいアルキニル基、−NR2 ’ 2、−NR2 ’SO2R2''、−NR2 ’COOR2 ’’、−NR2 ’COR2'、−NR2 ’CONR2'2、および−NR2 ’CSNR2'2[式中、R2 ’は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、R2 ’’は、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基である]。アルキル基は、好ましくは、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシルである。シクロアルキル基は、好ましくは、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである。アリール基は、好ましくは、フェニル、ベンジルまたはトリルである。複素環式基は、好ましくは、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、オキサチアゾール、ベンゾフラン、キノリン、イソキノリンまたはピリミジンである。アルケニル基は、末端または内部E−またはZ−アルケン単位であってよい。前記の基は、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、複素環式基、例えば、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、オキサザール、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、硫化物基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。
【0093】
末端カルボキシル基とビフェニル核のフェニル環Aとを結合するアルキレン鎖に任意に存在する置換基のうち、−NR2 ’ 2、−NR2 ’SO2R2''、−NR2 ’COOR2 ’’、−NR2 ’COR2'、−NR2 ’CONR2'2、または−NR2 ’CSNR2'2[式中、R2 ’は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、R2 ’’は、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基である]が好ましい。好ましくは、R2 ’は、水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルおよびそれらの置換誘導体から成る群から選択され、R2 ’’は、好ましくは、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルおよびそれらの置換誘導体、−C6H2(CH3)3、2−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、カンフォル−10−イル、4−メトキシフェニル、4−t−ブチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、3−クロロフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2−ナフチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリンおよび8−キノリニルから成る群から選択される。
【0094】
本発明によれば、特に好ましい式(II)の基は、末端カルボキシル基をビフェニル核のフェニル環Aに結合するアルキレン鎖に、アミド、尿素、スルホンアミドまたはカルバメート基が存在する基である。好ましくは、アミド、尿素、スルホンアミドまたはカルバメート基が、末端カルボキシル基に対してαまたはβ位置に存在する。しかし、末端カルボキシル基のカルボキシル炭素と、スルホンアミドまたはカルバメート単位の窒素原子との間に、2個より多い炭素原子が存在してもよい。本発明によれば、スルホンアミド基は、存在する場合に、硫黄原子上に基R2 ’’を有するのが特に好ましく、基R2 ’’は下記から成る群から選択される:フェニル、ベンジル、トリルおよびそれらの置換誘導体、−C6H2(CH3)3、2−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、カンフォル−10−イル、4−メトキシフェニル、4−t−ブチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、3−クロロフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2−ナフチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、3−アミノベンジル、4−アミノベンジル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリンおよび8−キノリニル。カルバメート基は、存在する場合に、基R2 ’’をアルコール部分として有するのが特に好ましく、基R2 ’’は、フェニル、ベンジル、トリルおよびそれらの置換誘導体から成る群から選択され、特に好ましくは、ベンジル基、3−アミノベンジルまたは4−アミノベンジルである。
【0095】
他の態様によれば、本発明は、式(II)の基であって、式中、末端カルボキシル基が、アルキレンスルホンアミド単位またはアルキレンアミド単位を介して、ビフェニル核のフェニル環Aに結合し、即ち、−NRSO2−または−NR−CO基が、アルキレン鎖とビフェニル核のフェニル環Aとの間に挿入され、ビフェニル核のフェニル環Aは、スルホンアミド単位の硫黄原子またはアミド単位のカルボキシル炭素原子に結合している基に関する。末端カルボキシル基とスルホンアミドまたはアミド単位との間のアルキレン鎖は、この場合、先に詳しく記載した置換基をさらに有する場合もあり、該置換基は、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジル、フェニルエチルまたはトリル、複素環式基、例えば、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、オキサチアゾール、ベンゾフラン、キノリン、イソキノリンまたはピリミジン、または末端または内部E−またはZ−アルケン単位であるのが好ましく、該置換基は、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、複素環式基、例えば、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、オキサチアゾール、ベンゾフラン、キノリン、イソキノリンまたはピリミジン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。
【0096】
この態様による特に好ましい式(II)の基は、末端カルボキシル基と架橋スルホンアミドまたはアミド単位とを結合するアルキレン鎖が、任意に置換されていてよいフェニルまたはベンジル基、例えば、β−3−アミノフェニル、β−4−アミノフェニルまたはα−4−アミノベンジルを、末端カルボキシル単位に対してαまたはβ位置に有する基である。
【0097】
対応するアルキレン鎖とビフェニル核のフェニル環Aとの間にスルホンアミドまたはアミド単位が挿入されているこの態様の式(II)の基において、前記のように、ビフェニル核の他に、好ましくは5個以下の原子が、ビフェニル核のフェニル環Bに結合している基の主鎖においてフェニル環Bの隣に存在するアミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の窒素原子と、末端カルボキシル基との間に存在するように、末端カルボキシル基と架橋スルホンアミドまたはアミド単位との間のアルキレン鎖は、この主鎖において2個以下の炭素原子を有するのが好ましい。
【0098】
架橋スルホンアミドまたはアミド単位の窒素原子は、下記から成る群から選択される基で任意に置換されていてもよい:水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジル、トリルおよびそれらの置換誘導体、例えば、フェニルエチル、フェニルプロピルおよびフェノキシエチル。
【0099】
ビフェニル核は、本発明の式(II)の基の中心構造要素である。それは、非結合状態において、フェニル環A上の末端カルボキシル基を含む基と、アミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の少なくとも1個の窒素原子を主鎖に有するフェニル環B上の基とを架橋する。それは置換基をさらに有さないのが好ましい。しかし、2個のフェニル環は、付加的置換基を有してもよい。好ましくは、フェニル環A、即ち、末端カルボキシル基を有する基に結合している環は、1個またはそれ以上の付加的アルコキシ基、好ましくはC1 〜 6アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシまたはヘキソキシ、特に好ましくは1個またはそれ以上のメトキシ基を有し、フェニル環B、即ち、アミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の少なくとも1個の窒素原子を有する基がそれの主鎖において結合している環は、1個またはそれ以上のアルキル基、好ましくはC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、特に好ましくは1個またはそれ以上のメチル基を有する。この場合、フェニル環AおよびBは、互いに独立に、1個またはそれ以上の前記の付加的置換基を有してもよい。
【0100】
2個のフェニル環は、相互に、および末端カルボキシル基を有する基、およびアミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の少なくとも1個の窒素原子を主鎖に有する基に、1,3−または1,4−結合してよく、即ち、末端カルボキシル基およびフェニル環Bを有する基は、フェニル環Aにおいて相互にメタ−またはパラ−位置で置換されていてもよく、フェニル環Aおよびアミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の少なくとも1個の窒素原子を主鎖に有する基は、相互にフェニル環B上のメタ−またはパラ−位置で置換されていてもよく、前記置換パターンの各組み合わせは、本発明の式(II)の基のビフェニル核に可能である。本発明によれば、式(II)の特に好ましい基は、ビフェニル核が、前記定義により、p−置換フェニル環Aおよびp−置換フェニル環B、p−置換フェニル環A−およびm−置換フェニル環B、m−置換フェニル環A−およびp−置換フェニル環B、またはm−置換フェニル環Aおよびm−置換フェニル環Bから成る。本発明によれば、特に好ましい式(II)の基は、ビフェニル核が、本発明の定義により、p−置換フェニル環Aおよびm−置換フェニル環Bから成る。
【0101】
非結合状態の本発明の式(II)の基は、第三構造要素として、ビフェニル核および末端カルボキシル基を有する基の他に、アミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の少なくとも1個の窒素原子を主鎖に有する基を含有する。この窒素原子は、ビフェニル核のフェニル環Bに、直接的かまたはアルキレン鎖を介して結合しうる。このアルキレン鎖は好ましくは、主鎖における多くとも4個の炭素原子から成り、前記に鑑みて、ビフェニル核の他に、6個以下の追加原子が、末端カルボキシル基と、フェニル環Bの隣のアミノ基、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の窒素原子との間に存在すべきである。このアルキレン鎖は、水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルおよびトリル、複素環式基、例えば、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、オキサチアゾール、ベンゾフラン、キノリン、イソキノリンおよびピリミジン、および末端または内部E−またはZ−アルケン単位から成る群から選択される置換基をさらに有する場合もあり、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、インドリル、複素環式基、例えば、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、オキサチアゾール、ベンゾフラン、キノリン、イソキノリンまたはピリミジン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。
【0102】
フェニル環Bの隣の、ビフェニル核のフェニル環Bに結合している基の主鎖に存在する窒素原子は、式(II)の基の結合がこれを介して行われない場合、任意に置換されていてよいアミノ基の成分であるか、または−C=O単位、−CONR2単位、−C=S単位、−CSNR2単位、−C=NR単位または−CNRNR2単位に直接的に接し、それによってアミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基の成分であってよい。
【0103】
フェニル環Bの隣の、ビフェニル核のフェニル環Bに結合している基の主鎖に存在する窒素原子が、アミノ基の成分である場合、それは非置換であるかまたは1個または2個の置換基を有してよく、即ち、第一級、第二級または第三級アミノ基の成分であってよい。これらの置換基は、互いに独立に、または共に、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、アルキルアミン基、アルキルアミド基であるか、または互いに結合して、それらが結合している窒素原子と一緒になって複素環系を形成してもよい。この場合、好ましい置換基は、水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルおよびトリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンおよびキサンチン、および末端または内部E−またはZ−アルケン単位から成る群から選択される置換基であり、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、インドリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンまたはキサンチン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。特に好ましい置換基は、例えば、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、
【化24】
【化25】
である。
【0104】
フェニル環Bの隣に存在する窒素原子上の2個の置換基が、互いに結合して、窒素原子と一緒になって複素環系を形成する場合、形成される複素環系は、例えば、下記の非制限的な例から選択され、
【化26】
式中、示されている環系は、水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルおよびトリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンおよびキサンチン、および末端または内部E−またはZ−アルケン単位から成る群から選択される1個またはそれ以上の基を有していてもよく、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、インドリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンまたはキサンチン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。
前記の環系の中で、4〜6員の環系が好ましい。
【0105】
前記のように、ビフェニル環Bの隣に存在する、ビフェニル核のビフェニル環Bに結合している基の主鎖における窒素原子は、下記の好ましい官能単位の1つにおける成分であってもよく、
【化27】
前記の例は、全ての可能な構造単位の非制限的な例を示す。
【0106】
本発明によれば、前記の好ましい構造単位の他に、1個またはそれ以上の4〜6員の環系が複素環に縮合しているそれらの類似体、例えば、前記構造単位の対応するベンソ縮合類似体も含まれる。
【0107】
前記の構造単位において、R3、R4およびR6は、それぞれ、水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルまたはトリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンまたはキサンチン、または末端または内部E−またはZ−アルケン単位であり、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、インドリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンまたはキサンチン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。特に好ましい置換基は、例えば、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、または前記の基(a1)〜(a28)の1つである。
【0108】
しかし、前記の構造単位において、R4およびR6は、相互に結合し、それらが結合している窒素原子と一緒になって複素環系を形成してもよい。これの例は、
【化28】
であり、前記の例は制限的ではなく、R4とR6の組み合わせから形成される環系は、水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルおよびトリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンおよびキサンチン、および末端または内部E−またはZ−アルケン単位から成る群から選択される1個またはそれ以上の基を有していてもよく、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、インドリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンまたはキサンチン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。R4とR6の組み合わせから形成された環系のうち、4〜6員の環系が好ましい。
【0109】
さらに、前記構造単位において、R5は、−NO2、−CN、−COR5 ’または−COOR5 ’であり、R5 ’は、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、該複素環式基は、飽和または不飽和であってよく、および/または複素原子をさらに有してよく、好ましくは、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルまたはトリル、またはそれらの置換誘導体である。
【0110】
さらに、前記構造単位において、Yは、不存在であるか、または1〜5個の炭素原子を主鎖に有するアルキレンまたはアルキン単位である。本発明によれば、Yは、存在する場合に、1個の炭素原子から成る主鎖を有するのが好ましい。Yはさらに、水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルおよびトリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンおよびキサンチン、および末端または内部E−またはZ−アルケン単位から成る群から選択される1個またはそれ以上の基を有していてもよく、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、インドリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンまたはキサンチン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。
【0111】
本発明によれば、特に好ましい式(II)の基は、フェニル環Bの隣の、フェニル環Bに結合している基の主鎖に存在する窒素原子が、複合体の残部への結合がこれを介して行われない場合に、尿素またはチオ尿素単位の成分である基である。
【0112】
αvβ3インテグリン受容体に向かう成分は、式(III)の基であってもよい:
【化29】
[式(III)における基は、前記と同じ意義を有する]。
【0113】
以下の記載において、二価置換基は、それらの各左端が式(III)の対応する置換基の左に示されている基に結合し、それらの各右端が、式(III)の対応する置換基の右に示された基に結合しているように示される。例えば、式(III)において、基Lが−(CH2)mNHSO2(CH2)n−である場合、窒素原子は、基(CH2)mを介して式(III)の基Lの左に存在するフェニレン基に結合している。下記の詳しい説明は、非結合状態の式(III)の基にも関する。結合単位を介する式(III)の基の毒作用基への結合は、末端カルボキシル基、末端アミノ基、尿素基、チオ尿素基、グアニジン基または基NR12CX'R13S−を介するか、または式(III)の基の側鎖における官能基を介して、即ち、アミノ基または末端カルボキシル基に対してβ位置においてそれに結合している置換基を介して行われ、それによって、結合状態において、末端カルボキシル基およびまたは末端アミノ基、尿素基、チオ尿素基、グアニジン基または基NR12CX'R13S−は、対応する架橋単位に変換される。
【0114】
本発明の式(III)の基は、リンカー基Lを介して結合している2つのフェニル単位を主要構造要素として有することを特徴とし、1つのフェニレン基はβ−アミノ酸から誘導される基を有し、他のフェニレン基は、環系に組み込まれている場合もあるアミノ基、尿素基、チオ尿素基またはグアニジン基を有する。リンカー基Lを介して結合しているフェニレン単位は、前記の基の他に置換基をさらに有してもよい。
【0115】
β−アミノ酸から誘導される基に含まれる末端カルボキシル単位は、複合体の基への結合がこれを介して行われない場合、遊離カルボン酸またはエステルとして存在しうる。末端カルボキシル単位がエステル化される場合、一般法によって得られる基本的に全てのカルボン酸エステル、例えば、対応するアルキルエステル、シクロアルキルエステル、アリールエステルおよびそれらの複素環式類似体を本発明に使用することができ、アルキルエステル、シクロアルキルエステルおよびアリールエステルが好ましく、アルコール基は置換基をさらに有してもよい。特に好ましいC1 〜 6アルキルエステルは、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ネオペンチルエステル、ヘキシルエステル、シクロプロピルエステル、シクロプロピルメチルエステル、シクロブチルエステル、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル、またはアリールエステル、例えば、フェニルエステル、ベンジルエステルまたはトリルエステルである。
好ましくは、本発明の式(III)の基は、末端カルボキシル単位が遊離カルボン酸として存在する形態で使用される。
【0116】
2個の中心フェニレン単位の1つに結合し、β−アミノ酸から誘導される基は、カルボキシル基に対してα−位置において1個または2個の付加的置換基を任意に有していてもよい。これらの置換基は、それぞれ、水素、置換または非置換アルキルおよびシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、任意に置換されていてよいアルケニル基、任意に置換されていてよいアルキニル基、ヒドロキシル基およびアルコキシ基から成る群から選択しうる。アルキル基は、好ましくは、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシルである。シクロアルキル基は、好ましくはC3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルである。アリール基は、好ましくは、フェニル、ベンジルまたはトリルである。複素環式基は、好ましくは、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、オキサチアゾール、ベンゾフラン、キノリン、イソキノリンまたはピリミジンである。アルケニル基は、末端または内部E−またはZ−アルケン単位であってよい。アルコキシ基は、好ましくは、C1 〜 6アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシまたはベンジルオキシである。前記の基は、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、複素環式基、例えば、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、オキサゾール、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。
【0117】
さらに、末端カルボキシル基に対してα位置にある2個の置換基は、存在する場合に、互いに結合して、β−アミノ酸から誘導される基のα−炭素原子と一緒になって、炭素環系または複素環系を形成してもよい。この環系は、場合により、置換基をさらに有し、および/または複素原子をさらに有してもよい。本発明によれば、前記の環は、存在する場合に、好ましくは、3〜6員の炭素環系または複素環系、例えば、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ジヒドロフラン環、テトラヒドロフラン環、ジヒドロピラン環、テトラヒドロピラン環、ジオキサン環、ジヒドロチオフェン環、テトラヒドロチオフェン環、またはそれらの置換誘導体である。
【0118】
本発明の基において、β−アミノ酸から誘導される基に含まれるアミン基は、これを介して複合体の残部への結合が行われない場合に、−SO2R10 ’、−COOR10 ’’、−COR10 ’、−CONR10 ’ 2および−CSNR10 ’ 2の1つによって置換され、R10 ’は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、R10 ’’は、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基である。この場合に、好ましくは、アルキル基は、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシルであり、シクロアルキル基は、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルであり、アリール基は、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、例えば、−C6H2(CH3)3、−C6(CH3)5、−CH2C6H2(CH3)3、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−クロロフェニルメチル、2,4−ジクロロフェニルメチル、2,6−ジクロロフェニルメチル、2−メトキシカルボニルフェニルメチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、フェニルメチル、2−アセトアミド−4−メチルチアゾル−5−イル、フェニルエチル、1−フェニルプロピル、(S)−(+)−カンフォル−10−イル、(R)−(−)−カンフォル−10−イル、2−フェニルエテニル、2−チオフェニル、4−メトキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−プロピルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリン、4−アセトアミドフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、5−クロロ−3−メチルベンゾチアゾル−2−イル、N−メトキシカルボニルピペリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、イソオキサゾル−5−イル、エトキシ、2−クロロピリジン−3−イル、ピリジン−3−イル、ベンジルオキシ、5−メチルイソオキサゾル−3−イル、1−アダマンチル、4−クロロフェノキシメチル、2,2−ジメチルエテニル、2−クロロピリジン−5−メチル、5,7−ジメチル−1,3,4−トリアザインドリジン−2−イル、(S)−カンファン−1−イル、(R)−カンファン−1−イルまたは8−キノリニルである。
【0119】
本発明によれば、β−アミノ酸から誘導される基に含まれるアミノ基は、−SO2R10 ’、−COOR10 ’’、−CONR10 ’ 2または−COR10 ’[R10 ’およびR10 ’’は前記と同じ意義を有する]によって置換されるのが特に好ましい。特に、β−アミノ酸から誘導される基が、カルボキシル単位に対してα位置に置換基を有さず、この基に含まれるアミノ基が、−SO2R10 ’、−CONR10 ’ 2または−COR10 ’[R10 ’は前記と同じ意義を有する]によって置換されている式(III)の基がこの場合に好ましい。
【0120】
1個の前記の基の他に、β位置に存在するアミノ基の窒素原子は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基から成る群から選択される置換基を有してもよく、または、互いに結合して、それらが結合している窒素原子と一緒になって複素環系を形成してもよい。この場合に、好ましい置換基は、水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルおよびトリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンおよびキサンチンから成る群から選択され、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、インドリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンまたはキサンチン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。β−アミノ基の窒素原子上の付加的置換基は、特に好ましくは、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、
【化30】
である。
【0121】
β−アミノ酸から誘導される基は、リンカー基Lを介して結合した2個の中心フェニレン単位の1つに結合し、該フェニレン単位はこの場合フェニレン単位Aと称される。β−アミノ酸から誘導される基およびリンカー基Lの他に、フェニレン単位Aは、さらに置換基を有さないのが好ましいが、水素、CN、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アルコキシ基またはハロゲン原子から成る群から選択される1個またはそれ以上の基を有していてもよい。アルキル基は、好ましくは、C1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシルである。シクロアルキル基は、好ましくは、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチルである。アルコキシ基は、好ましくは、C1 〜 6アルコキシ基、例えば、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシまたはヘキソキシであり、ハロゲン原子は、好ましくは、F、Cl、BrまたはIである。
【0122】
リンカー基L、およびβ−アミノ酸から誘導される基、またはアミノ、グアニジン、尿素またはチオ尿素単位に関して、2個の中心フェニレン単位は、1,3−または1,4−結合していてよく、即ち、β−アミノ酸から誘導される基およびリンカー基Lは、フェニレン単位Aにおいて互いにメタ−またはパラ−位置で置換されていてもよく、それと同時に、フェニレン単位Bにおけるリンカー基Lおよびアミノ、グアニジン、尿素またはチオ尿素単位は、互いにメタ−またはパラ−位置で置換されていてもよく、前記置換パターンの各組み合わせは、本発明の式(III)の基の中心A−リンカーL−フェニレンB単位に可能である。本発明に特に好ましいのは、中心フェニレンA−リンカーL−フェニレンB単位が、前記の定義により、p−置換フェニレン単位Aおよびp−置換フェニレン単位B、p−置換フェリンレン単位Aおよびm−置換フェニレン単位B、m−置換フェニレン単位Aおよびp−置換フェニレン単位B、またはm−置換フェニレン単位Aおよびm−置換フェニレン単位Bから成る式(III)の基である。本発明に特に好ましいのは、中心フェニレンA−リンカーL−フェニレンB単位が、前記の定義により、m−置換フェニレン単位Aおよびm−置換フェニレン単位Bから成る式(III)の基である。
【0123】
本発明によれば、リンカー基Lは、下記から成る群から選択される:
−(CH2)mNHSO2(CH2)n−、−(CH2)mSO2NH(CH2)n−、
−(CH2)mNHCO(CH2)n−、−(CH2)mCONH(CH2)n−、
−(CH2)mOCH2(CH2)n−、−(CH2)mCH2O(CH2)n−、
−(CH2)mCOO(CH2)n−、−(CH2)mOOC(CH2)n−、
−(CH2)mCH2CO(CH2)n−、−(CH2)mCOCH2(CH2)n−、
−NHCONH−、−(CH2)mSCH2(CH2)n−、−(CH2)mCH2S(CH2)n−、
−(CH2)mCH2SO(CH2)n−、−(CH2)mSOCH2(CH2)n−、
−(CH2)mCH2SO2(CH2)n−、または−(CH2)mSO2CH2(CH2)n−であり、mおよびnは、それぞれ0または1の整数であり、m+n≦1である。
【0124】
本発明によれば、リンカー基Lは、好ましくは、−NHSO2−、−CH2NHSO2−、−NHSO2CH2−、−SO2NH−、−CH2SO2NH−、−SO2NHCH2−、−NHCO−、−CH2NHCO−、−NH−COCH2−、−CONH−、−CH2CONH−、−CONHCH2−、−OCH2−、−CH2OCH2、−OCH2CH2−、−CH2O−、−CH2CH2O−、−COO−、−CH2COO−、−COOCH2−、−OOC−、−OOCCH2−、−CH2OOC−、−CH2CO−、−COCH2−、−CH2CH2CO−、−COCH2CH2−、−CH2COCH2−、−NHCONH−、−SCH2−、−CH2S−、−CH2SCH2、−SCH2CH2−、CH2CH2S−、−SOCH2−、−CH2SO−、−CH2SOCH2−、−SOCH2CH2−、−CH2CH2SO2−、−SO2CH2−、−CH2SO2、−CH2SO2CH2−、−CH2CH2−SO2−または−SO2CH2CH2−である。特に好ましいリンカー基Lは、−NHSO2−、−CH2NHSO2−、−NHSO2CH2−、−SO2NH−、−CH2SO2NH−、−SO2NHCH2−、−NHCO−、−CH2NHCO−、−NHCOCH2−、−CONH−、−CH2CONH−、−CONHCH2−、−OCH2−、−CH2OCH2、−OCH2CH2−、−CH2O−または−CH2CH2O−である。
【0125】
中心フェニレン単位Bは、複合体の基への結合がこれを介して行われない場合、基NR12CX'R13S−、アミノ、グアニジン、尿素およびチオ尿素単位から選択される基を置換基として有する。この基NR12CX'R13S−、アミノ、グアニジン、尿素またはチオ尿素単位は、開鎖であるか、または環系の成分であってよい。任意に存在し、単結合を介してのみ結合している各単位の窒素原子は、付加的置換基R12、R14、R15を有してよい。これらの置換基は、互いに独立に、または共に、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であるか、または互いに結合して、それらが結合している窒素原子と一緒になって複素環系を形成してもよい。この場合、好ましい置換基は、水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルおよびトリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンおよびキサンチンから成る群から選択される置換基であり、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、インドリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンまたはキサンチン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。特に好ましい置換基は、例えば、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、または前記の基(a1)〜(a28)の1つである。基R15は、複合体の残部への式(III)の基の結合がこの基を介して行われる場合、式(III)の基と複合体の残部の対応する結合がそれを介して行われる直接結合を表す。
【0126】
式(III)のpが0である場合、2個の基R14およびR15、または基R12およびR15は互いに結合して、窒素原子と一緒になって、下記の非制限的な例から選択される複素環系を形成し:
【化31】
式中、示されている環系は、水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルおよびトリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンおよびキサンチン、および末端または内部E−またはZ−アルケン単位から成る群から選択される1個またはそれ以上の基を有していてもよく、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、インドリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンまたはキサンチン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。
前記の環系のうち、4〜6員の環系が好ましい。
【0127】
前記のように、基NR12CX'R13S−、アミノ、尿素、チオ尿素またはグアニジン単位は、開鎖であるか、または環系に組み込まれて、下記の好ましい官能単位の1つの成分であってもよい:
【化32】
【化33】
前記の例は、全ての可能な構造単位の非制限的な例を示す。
【0128】
本発明によれば、前記の好ましい構造単位の他に、1個またはそれ以上の4〜6員の環系が複素環に縮合しているそれらの類似体、例えば、前記構造単位の対応するベンソ縮合類似体も含まれる。
前記の構造単位において、R12、R14およびR15は、前記と同じ意義を有する。
【0129】
さらに、前記構造単位において、R13は、不存在であるか、または水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、例えば、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、またはC3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、−NO2、−CN、−COR13 ’または−COOR13 ’であり、R13 ’は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、該環式基は、飽和または不飽和であってよく、および/または複素原子をさらに含有してよく、好ましくは、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体である。
【0130】
本発明によれば、特に好ましい式(III)の基は、β−アミノ酸から誘導される基に含まれるアミノ基が、基−SO2R10 ’を有し、R10 ’は、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、−C6H2(CH3)3、−C6(CH3)5、−CH2C6H2(CH3)3、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、4−クロロフェニルメチル、2,4−ジクロロフェニルメチル、2,6−ジクロロフェニルメチル、2−メトキシカルボニルフェニルメチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、フェニルメチル、2−アセトアミド−4−メチルチアゾル−5−イル、フェニルエチル、1−フェニルプロピル、(S)−(+)−カンフォル−10−イル、(R)−(−)−カンフォル−10−イル、2−フェニルエテニル、2−チオフェニル、4−メトキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−プロピルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリン、4−アセトアミドフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、5−クロロ−3−メチルベンゾチアゾル−2−イル、N−メトキシカルボニルピペリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、イソオキサゾル−5−イル、エトキシ、2−クロロピリジン−3−イル、ピリジン−3−イル、ベンジルオキシ、5−メチルイソオキサゾル−3−イル、1−アダマンチル、4−クロロフェノキシメチル、2,2−ジメチルエテニル、2−クロロピリジン−5−メチル、5,7−ジメチル−1,3,4−トリアザインドリジン−2−イル、(S)−カンファン−1−イル、(R)−カンファン−1−イルまたは8−キノリニルであり、リンカー基Lは、−NHSO2−、−CH2NHSO2−、−NHSO2CH2−であり、フェニレン単位に存在する基は、開鎖または環式グアニジン単位であり、環式グアニジン単位、例えば、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾル−2−イルアミノ単位が特に好ましい。
【0131】
さらに、本発明によれば、β−アミノ酸から誘導される基に含まれるアミノ基が基−SO2R10 ’または基−COOR10 ’’を有する式(III)の基が特に好ましく、R10 ’またはR10 ’’は、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、−C6H2(CH3)3、−C6(CH3)5、−CH2C6H2(CH3)3、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、4−クロロフェニルメチル、2,4−ジクロロフェニルメチル、2,6−ジクロロフェニルメチル、2−メトキシカルボニルフェニルメチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、フェニルメチル、2−アセトアミド−4−メチルチアゾル−5−イル、フェニルエチル、1−フェニルプロピル、(S)−(+)−カンフォル−10−イル、(R)−(−)−カンフォル−10−イル、2−フェニルエテニル、2−チオフェニル、4−メトキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−プロピルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリン、4−アセトアミドフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、5−クロロ−3−メチルベンゾチアゾル−2−イル、N−メトキシカルボニルピペリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、イソオキサゾル−5−イル、エトキシ、2−クロロピリジン−3−イル、ピリジン−3−イル、ベンジルオキシ、5−メチルイソオキサゾル−3−イル、1−アダマンチル、4−クロロフェノキシメチル、2,2−ジメチルエテニル、2−クロロピリジン−5−メチル、5,7−ジメチル−1,3,4−トリアザインドリジン−2−イル、(S)−カンファン−1−イル、(R)−カンファン−1−イルまたは8−キノリニルであり、リンカー基Lは、−NHSO2−、−CH2NHSO2−、−NHSO2CH2−または−OCH2−、−CH2O−、−CH2OCH2−、−CH2CH2O−、−OCH2CH2−であり、フェニレン単位に存在する基は、開鎖または環式グアニジン単位であり、環式グアニジン単位、例えば、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾル−2−イルアミノ単位が特に好ましい。
【0132】
さらに、本発明によれば、β−アミノ酸から誘導される基に含まれるアミノ基が基−COR10 ’を有する式(III)の基が特に好ましく、R10 ’は、好ましくは、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、−C6H2(CH3)3、−C6(CH3)5、−CH2C6H2(CH3)3、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、4−クロロフェニルメチル、2,4−ジクロロフェニルメチル、2,6−ジクロロフェニルメチル、2−メトキシカルボニルフェニルメチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、フェニルメチル、2−アセトアミド−4−メチルチアゾル−5−イル、フェニルエチル、1−フェニルプロピル、(S)−(+)−カンフォル−10−イル、(R)−(−)−カンフォル−10−イル、2−フェニルエテニル、2−チオフェニル、4−メトキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−プロピルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリン、4−アセトアミドフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、5−クロロ−3−メチルベンゾチアゾル−2−イル、N−メトキシカルボニルピペリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、イソオキサゾル−5−イル、エトキシ、2−クロロピリジン−3−イル、ピリジン−3−イル、ベンジルオキシ、5−メチルイソオキサゾル−3−イル、1−アダマンチル、4−クロロフェノキシメチル、2,2−ジメチルエテニル、2−クロロピリジン−5−メチル、5,7−ジメチル−1,3,4−トリアザインドリジン−2−イル、(S)−カンファン−1−イル、(R)−カンファン−1−イルまたは8−キノリニルであり、リンカー基Lは、−NHSO2−、−CH2NHSO2−、−NHSO2CH2−であり、フェニレン単位に存在する基は、開鎖または環式グアニジン単位であり、環式グアニジン単位、例えば、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾル−2−イルアミノ単位が特に好ましい。
【0133】
さらに、本発明によれば、β−アミノ酸から誘導される基に含まれるアミノ基が基−COR10 ’を有する式(III)の基が特に好ましく、R10 ’は、好ましくは、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、−C6H2(CH3)3、−C6(CH3)5、−CH2C6H2(CH3)3、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、4−クロロフェニルメチル、2,4−ジクロロフェニルメチル、2,6−ジクロロフェニルメチル、2−メトキシカルボニルフェニルメチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、フェニルメチル、2−アセトアミド−4−メチルチアゾル−5−イル、フェニルエチル、1−フェニルプロピル、(S)−(+)−カンフォル−10−イル、(R)−(−)−カンフォル−10−イル、2−フェニルエテニル、2−チオフェニル、4−メトキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−プロピルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリン、4−アセトアミドフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、5−クロロ−3−メチルベンゾチアゾル−2−イル、N−メトキシカルボニルピペリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、イソオキサゾル−5−イル、エトキシ、2−クロロピリジン−3−イル、ピリジン−3−イル、ベンジルオキシ、5−メチルイソオキサゾル−3−イル、1−アダマンチル、4−クロロフェノキシメチル、2,2−ジメチルエテニル、2−クロロピリジン−5−メチル、5,7−ジメチル−1,3,4−トリアザインドリジン−2−イル、(S)−カンファン−1−イル、(R)−カンファン−1−イルまたは8−キノリニルであり、リンカー基Lは、−NHSO2−、−CH2NHSO2−、−NHSO2CH2−であり、フェニレン単位に存在する基は、開鎖または環式グアニジン単位であり、環式グアニジン単位、例えば、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾル−2−イルアミノ単位が特に好ましい。
【0134】
αvβ3インテグリン受容体に向かう成分は、式(IV)の基であってもよい:
【化34】
[式(IV)における基は、前記と同じ意義を有する]。
【0135】
末端カルボキシル単位は、複合体の残部への結合がこれを介して行われない場合、遊離カルボン酸またはエステルとして存在しうる。末端カルボキシル単位をエステル化する場合、一般法によって得られる基本的に全てのカルボン酸エステル、例えば、対応するそのアルキルエステル、シクロアルキルエステル、アリールエステルおよびそれらの複素環式類似体を本発明に使用することができ、アルキルエステル、シクロアルキルエステルおよびアリールエステルが好ましく、アルコール基は置換基をさらに有してもよい。特に好ましいC1 〜 6アルキルエステルは、例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ネオペンチルエステル、ヘキシルエステル、シクロプロピルエステル、シクロプロピルメチルエステル、シクロブチルエステル、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル、またはアリールエステル、例えば、フェニルエステル、ベンジルエステルまたはトリルエステルである。
【0136】
本発明の式(IV)の基は、末端カルボキシル単位が遊離カルボン酸として存在する形態で使用するのが好ましい。
【0137】
本発明の式(IV)の基は、末端グアニジンまたはアミノ単位を有することができる。この場合に、基R19は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基である。この場合に、置換基は、好ましくは、水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルおよびトリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンおよびキサンチンから成る群から選択され、1個またはそれ以上のC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル、インドリル、複素環式基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピリジン、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、イミダゾール、オキサゾリジン、オキサゾール、チアゾリジン、チアゾール、オキサチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、トリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、プリン、シトシン、チミン、ウラシル、アデニン、グアニンまたはキサンチン、または官能基、例えば、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子への二重結合、任意に置換されていてよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、エーテル基、スルフィド基、メルカプタン基、シアノ基、イソニトリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基またはスルホン基によって任意に置換されていてもよい。さらに、1個またはそれ以上の付加的飽和または不飽和の環を、前記の環式基に縮合させて、例えば、ナフチル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリニルまたはイソキノリニル単位、またはそれらの部分または完全水素化類似体を形成してもよい。特に好ましい置換基は、例えば、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、または前記の基(a1)〜(a28)の1つである。基R17は、複合体の残部への式(IV)の基の結合がこの基を介して行われる場合、式(IV)の基と複合体の残部との対応する結合がそれを介して行われる直接結合を表す。
【0138】
請求項1に記載の新規複合体は、毒作用基の結合単位への結合、次に、αvβ3インテグリン受容体に向かう成分への結合によって製造できる。しかし、先ずαvβ3インテグリン受容体に向かう成分を結合単位に結合し、次に毒作用基を結合単位に結合させることもできる。
【0139】
相互に反応することができ、その結果、当業者に既知の一般法によって結合できる官能基を使用して、本発明の複合体の個々の単位の組み合わせを行うのが好ましい。例えば、カルボキシル官能基は、アミノ基と反応して、アミド結合を形成することができる。結合される2つの基の1つ、即ち、毒作用基またはαvβ3インテグリン受容体に向かう成分、において当業者に既知の方法によって結合単位を段階的に合成し、次に、完成結合単位を、結合すべきもう1つの基に結合することもできる。
【0140】
本発明は、特に、式(I)の複合体の製造方法に関し、該方法は、下記の工程を含んで成る:
[A] 遊離または所望により活性化されたカルボキシル官能基を有する式(II)、(III)および(IV)の化合物から成る群から選択される化合物を、塩基の存在下に、遊離第一級または第二級アミノ基を有する式(Ia)の化合物:
CT−LI (Ia)
[式中、全ての基は請求項1と同じ意義を有する]
と反応させるか、または
[B] 遊離第一級または第二級アミノ官能基を有する式(II)、(III)および(IV)の化合物から成る群から選択される化合物を、適切であれば塩基の存在下に、炭酸誘導体、例えば、ホスゲン、チオホスゲンまたはクロロ蟻酸エステルと反応させ、次に、遊離第一級または第二級アミノ基を有する式(Ia)の化合物:
CT−LI (Ia)
[式中、全ての基は請求項1と同じ意義を有する]
と反応させ、適切であれば、保護基を除去し、および/または製造工程の好ましい時点で存在する窒素原子を誘導体化し、および/または得られた化合物を遊離酸に変換し、および/または得られた化合物を、無機または有機塩基または酸との反応によって生理的塩の1つに変換にするか、または
[C] 遊離第一級または第二級アミノ官能基を有する式(II)、(III)および(IV)の化合物から成る群から選択される化合物を、塩基の存在下に、遊離または所望により活性化されたカルボキシル官能基を有する式(Ia)の化合物:
CT−LI (Ia)
[式中、全ての基は請求項1と同じ意義を有する]
と反応させ、適切であれば、保護基を除去し、および/または製造工程の好ましい時点で存在する窒素原子を誘導体化し、および/または得られた化合物を遊離酸に変換し、および/または得られた化合物を、無機または有機塩基または酸との反応によって生理的塩の1つに変換する。
【0141】
好ましい態様によれば、いくつかの製造工程を固相で行う。
本発明の製造法[A]において、式(II)、(III)および(IV)の基から成る群から選択されるαvβ3インテグリン受容体に向かう成分を、その遊離カルボキシル官能基を介して、毒作用基−結合単位複合体(Ia)のアミノ官能基に結合させて、アミド結合を形成する。この反応は、当業者に既知の一般法によって行うことができる(例えば、J. March, Advanced organic chemistry 第3版、Wiley, p.370 ff参照)。本発明によれば、αvβ3インテグリン受容体に向かう成分のカルボキシル官能基を活性化させ、次に、塩基の存在下に有機溶媒中で化合物(Ia)と反応させるのが好ましい。
【0142】
カルボキシル基を活性化するために、例えばJakubke/Jeschkeit:Aminosaeuren, Peptide, Proteine [Amino acid, Peptide, Proteins];Verlag Chemie 1982またはTetrahedr. Lett, 34, 6705(1993)に記載のようなペプチド化学において既知のカップリング試薬を使用することができる。その例は、N−カルボン酸無水物、酸塩化物または混合無水物、カルボジイミドとの付加物、例えば、N,N'−ジエチル−、N,N'−ジイソプロピル−またはN,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N'−エチルカルボジイミドヒドロクロリド、N−シクロヘキシル−N'−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド、メト−p−トルエンスルホネート、またはカルボニル化合物、例えば、カルボニルジイミダゾール、または1,2−オキサゾリウム化合物、例えば、2−エチル−5−フェニル−1,2−オキサゾリウム−3−スルフェートまたは2−tert−ブチル−5−メチル−イソオキサゾリウムペルクロレート、またはアシルアミノ化合物、例えば、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリンまたはプロパンホスホン酸無水物またはイソブチルクロロホルメートまたはベンゾトリアゾリルオキシ−トリス−(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールまたはN−ヒドロキシスクシンイミドエステルである。さらに、Leuchs無水物の形態の酸成分を使用することも勧められる。
【0143】
前記の本発明の製造法[A]は、種々の圧力および温度条件、例えば、0.5〜2バール、好ましくは、標準圧力、−30℃〜+100℃、好ましくは−10℃〜+80℃において、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン、クロロホルム、低級アルコール、アセトニトリル、ジオキサン、水のような好適な溶媒中かまたは前記溶媒の混合物中で行うことができる。一般に、DMF、ジクロロメタン、THF、ジオキサン/水またはTHF/ジクロロメタン中、室温かまたは氷冷却しながら、標準圧力において反応を行うのが好ましい。
【0144】
本発明の製造法[A]で使用しうる塩基は、例えば、トリエチルアミン、エチル−ジイソプロピルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、またはこの種の工程に一般に使用される他の塩基である。
【0145】
本発明の方法[B]において、式(II)、(III)および(IV)の基から成る群から選択されるαvβ3インテグリン受容体に向かう成分を、その遊離アミノ官能基を介して、先ず炭酸誘導体と反応させて、対応するイソシアネート、イソチオシアネートまたはカルバメートを形成し、次に、毒作用基−結合単位複合体(Ia)のアミノ官能基に結合させて、複合体(I)を形成する。
【0146】
式(II)、(III)および(IV)の基から成る群から選択されるαvβ3インテグリン受容体に向かう成分の、それの遊離アミノ官能基を介する炭酸誘導体との反応は、当業者に既知の一般法によって行うことができる(例えば、J. March, Advanced organic chemistry 第3版、Wiley, p.370 ff参照)。本発明によれば、その反応は、ホスゲンまたはホスゲン代用物、例えば、トリクロロメチルクロロホルメート、チオホスゲンまたはクロロ蟻酸エステルを使用して、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキサンと水(1:1)の混合物またはテトラヒドロフラン(THF)とジクロロメタン(DCM)(1:1)の混合物のような溶媒中で、室温かまたは冷却しながら、好ましくは室温で、約10分〜約3時間にわたって撹拌しながら、適切であれば塩基の存在下に行うのが好ましい。
【0147】
次に、そのようにして得られたイソシアネート、イソチオシアネートまたはカルバメートを、当業者に既知の一般法によって(例えば、J. March, Advanced organic chemistry 第3版、Wiley, p.802 ff参照)、毒作用基−結合単位複合体(Ia)のアミノ基と反応させて、対応するチオ尿素または尿素を形成する。
【0148】
本発明によれば、カルバメートまたはチオシアネートまたはイソチオシアネートを、式(Ia)のアミノ官能と、室温で、約1〜5時間、好ましくは約2〜3時間撹拌しながら、塩基の存在下に、ジメチルホルムアミド(DMF)のような溶媒中で反応させるのが好ましい。
【0149】
本発明の方法[B]に使用しうる塩基は、例えば、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジンまたはこの種の工程に一般に使用される他の塩基である。
【0150】
本発明の方法[C]において、式(II)、(III)および(IV)の基から成る群から選択されるαvβ3インテグリン受容体に向かう成分を、その遊離アミノ官能基を介して、毒作用基−結合単位複合体(Ia)のカルボキシル官能基に結合させて、アミド結合を形成する。この反応は、当業者に既知の一般法によって行うことができる(例えば、J. March, Advanced organic chemistry 第3版、Wiley, p.370 ff参照)。本発明によれば、化合物(Ia)のカルボキシル官能基を活性化し、次に、有機溶媒中で、塩基の存在下に、それを式(II)、(III)および(IV)の基から成る群から選択されるαvβ3インテグリン受容体に向かう成分と反応させる。
【0151】
カルボキシル基を活性化するために、例えばJakubke/Jeschkeit:Aminosaeuren, Peptide, Proteine [Amino acid, Peptide, Proteins];Verlag Chemie 1982またはTetrahedr. Lett, 34, 6705(1993)に記載のようなペプチド化学において既知のカップリング試薬を使用することができる。その例は、N−カルボン酸無水物、酸塩化物または混合無水物、カルボジイミドとの付加物、例えば、N,N'−ジエチル−、N,N'−ジイソプロピル−またはN,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N'−エチルカルボジイミドヒドロクロリド、N−シクロヘキシル−N'−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド メト−p−トルエンスルホネート、またはカルボニル化合物、例えば、カルボニルジイミダゾール、または1,2−オキサゾリウム化合物、例えば、2−エチル−5−フェニル−1,2−オキサゾリウム−3−スルフェートまたは2−tert−ブチル−5−メチル−イソオキサゾリウムペルクロレート、またはアシルアミノ化合物、例えば、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリンまたはプロパンホスホン酸無水物またはイソブチルクロロホルメートまたはベンゾトリアゾリルオキシ−トリス−(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールまたはN−ヒドロキシスクシンイミドエステルである。さらに、Leuchs無水物の形態の酸成分を使用することも勧められる。
【0152】
前記の本発明の製造法[C]は、種々の圧力および温度条件、例えば、0.5〜2バール、好ましくは、標準圧力、−30℃〜+100℃、好ましくは−10℃〜+80℃において、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン、クロロホルム、低級アルコール、アセトニトリル、ジオキサン、水のような好適な溶媒中かまたは前記溶媒の混合物中で行うことができる。一般に、DMF、ジクロロメタン、THF、ジオキサン/水またはTHF/ジクロロメタン中、室温かまたは氷冷却しながら、標準圧力において反応を行うのが好ましい。
【0153】
本発明の製造法[C]で使用しうる塩基は、例えば、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、またはこの種の工程に一般に使用される他の塩基、例えばHuenig塩基である。
【0154】
前記の方法によって得られた化合物は、存在する場合がある保護基を除去し、製造工程の好ましい時点で存在する窒素原子をさらに置換し、および/または得られた化合物を遊離酸および/またはその生理的に許容される塩に変換することによって、さらに誘導体化することができる。例えば、窒素原子の保護基として一般に使用されるt−ブトキシメトキシカルボニル基は、酸性媒体中で、例えばトリフルオロ酢酸を添加して、除去される。この工程における窒素原子の誘導体化に好適なアルキル化剤は、この目的に一般に使用される試薬であり、それを使用して、例えば、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基を、適切な窒素原子に結合させることができる。各窒素原子に結合させるのに好ましい置換基に関して、本発明の化合物についての先の記載を参照しうる。前記反応およびそれらの実施は、当業者によく知られており、例えばHouben-Weyl Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme Verlag, Stuttgartのような一般的書物に詳しく記載されている。
【0155】
本発明のエステル誘導体は、一般法、例えば塩基性エステル加水分解によって、対応する遊離カルボン酸に変換できる。
【0156】
所望であれば、本発明の化合物を生理的に許容される塩に変換することができる。これは、有機または無機塩基、例えばアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物、例えばKOH、NaOH、LiOH、Mg(OH)2またはCa(OH)2と反応させて、末端カルボキシル基を脱プロトンし、対応するカルボキシレートを形成するか、または有機または無機酸、例えば、塩酸、硫酸、燐酸、マンデル酸、オレイン酸、リノール酸またはp−トルエンスルホン酸と反応させて、存在する1個またはそれ以上の窒素原子をプロトン化することによって行うことできる。
【0157】
出発物質として機能する式(Ia)の化合物は、一般法によって製造しうる。毒作用基のアミノ酸単位への結合は、ペプチド化学の一般法によって行うことができ(例えば、Jakubke/Jeschkeit:Aminosaeuren, Peptide, Proteine [Amino acid, Peptides, Proteins];Verlag Chemie 1982、Houben-Weyl Methoden der Organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme Verlag, Stuttgart、第4版;第15.1および15.2巻、E. Wuensch編を参照)、例えば、WO 96/31532およびWO 98/51703にも開示されており、それらに開示の内容は本発明の開示の一部を構成するものとする。
【0158】
適切なカルボニルまたはチオカルボニル基の結合は、前記のように、毒作用基、または毒作用基−アミノ酸複合体と、ホスゲンまたはホスゲン代用物、例えばトリクロロメチル、クロロホルメートまたはチオホスゲンとの反応によって行うことができる。
【0159】
本発明によれば、毒作用基−結合単位複合体(Ia)を先ず合成するのが好ましいが、αvβ3インテグリン受容体に向かう成分上に連続して結合単位を先ず形成するか、または全体としてそれに結合させ、次に、そのようにして得られた複合体を毒作用基に結合させることも当然可能である。
【0160】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の化合物の合成を、固相、例えば、ポリスチレン樹脂、特に好ましくは商業的に入手可能なWangポリスチレン樹脂において部分的に行う。この場合、ジメチルホルムアミド(DMF)のような溶媒中で樹脂を先ず膨潤させる。次に、αvβ3インテグリン受容体に向かう式(II)、(III)または(IV)の成分を、標準法によってカルボキシル官能基を介して樹脂に結合させる。例えば、樹脂へのカルボン酸の結合は、ピリジンのような塩基、およびカルボキシル単位を活性化させる試薬、例えば塩化ジクロロベンゾイルのような酸ハロゲン化物の存在下に、ジメチルホルムアミド(DMF)のような溶媒中で行うことができる。しかし、この目的に一般に使用される他の試薬も使用しうる。反応混合物を、室温および標準圧力で、少なくとも2時間、好ましくは12時間、特に好ましくは24時間撹拌し、カルボン酸は、固相添加量に対して過剰、好ましくは2〜3倍過剰で使用される。本明細書に記載した全ての反応を、ここに記載した樹脂に結合しαvβ3インテグリン受容体に向かう式(II)、(III)または(IV)の成分において行うことができる。
【0161】
本発明の好ましい態様によれば、毒作用基はカンプトテシンまたはカンプトテシン誘導体である。結合単位へのこれらの毒作用基の結合は、C20 OH基または分子中の他の官能基を介して行うことができる。
【0162】
出発化合物として使用されるカンプトテシン単位は、20(R)または20(S)配置においてか、またはこれらの2つの立体異性形の混合物として存在しうる。20(S)配置が好ましい。
【0163】
カンプトテシンへの第一アミノ酸の結合後に、ジアステレオマー混合物を形成しうる。本発明の化合物の純粋ジアステレオマーは、前記の方法、例えば、カンプトテシンへの第一アミノ酸単位の結合後に好適な方法によってジアステレオマーを分離し、次に保護基を除去することによって得られる。
【0164】
αvβ3インテグリン受容体に向かう式(II)の基は、商業的に入手可能な化合物から下記の工程によって製造できる:
a) 式(IIa)のカルボン酸誘導体:
【化35】
[式中、
Pは、一般的な保護基、固相反応を行うために一般に使用される固相、または前記に定義したR1であり;
Aは、VおよびLに対して1,3−または1,4−置換されている、付加的基を任意に有するフェニレン基であり;
Lは、−H、−F、−Cl、−Br、−I、−SCN、−N2 +、または有機金属基であり;
他の基は前記と同じ意義を有する]
を、式(IIb)のフェニル化合物:
M−B−W−D (IIb)
[式中、
Mは、−H、−I、−N2 +、−COOOCOBNO2、または有機金属基であり;
Bは、MおよびW−Dに対して1,3−または1,4−置換されている、付加的基を任意に有するフェニレン基であり;
Wは、請求項1と同じ意義を有し;
Dは、−NO2、−NH2または−CHOである]
と反応させて、式(IIc)のビフェニル化合物:
【化36】
[式中、基は前記と同じ意義を有する]
を得;
b) Dが−NH2でない場合、基Dを対応するアミノ基に変換し;
c) 適切であれば、製造工程の好ましい時点で存在する窒素原子を誘導体化し、および/または得られた化合物を遊離酸に変換し、および/または得られた化合物を、無機または有機塩基または酸との反応によって、生理的塩の1つに変換する。
【0165】
好ましい態様によれば、本発明の方法において、式(IIa)のカルボン酸誘導体を固相に結合する間に、全ての工程を行う。
【0166】
さらに、本発明に好ましい方法の態様によれば、
式(IIa)のカルボン酸誘導体[Lは、−F、−Cl、−Brまたは−Iであり、他の基は前記と同じ意義を有する]を、
パラジウム(II)化合物およびトリフェニルホスファンの存在下に、
式(IIb)のフェニル化合物[Mは有機金属基であり、他の基は前記と同じ意義を有する]
と反応させる。
【0167】
好ましくは、前記の本発明の方法において、
式(IIa)のカルボン酸誘導体の対応する先駆物質のアミノ酸とハロゲン化スルホニルまたはハロゲン化カルバモイルとを反応させることによって得られる、スルホンアミドまたはカルバメート基を有する式(IIa)のカルボン酸誘導体を使用する。
【0168】
式(IIc)のDが−NO2である場合の本発明の前記方法において、Dのアミノ基への変換を、錫(II)化合物の存在下に行うのがさらに好ましい。
【0169】
式(IIc)のDが−CHOである場合の本発明の前記方法において、Dのアミノ基への変換を、還元条件下のアミンの反応によって行うのがさらに好ましい。
【0170】
Dがアミノ基である式(IIc)の化合物は、このアミノ基と炭酸誘導体またはチオ炭酸誘導体とを反応させ、次に、式NHR4R6[R4およびR6は前記と同じ意義を有する]のアミンとさせて、尿素またはチオ尿素単位を得るのがさらに好ましい。
【0171】
式(II)の基の製造法の重要な工程は、それのカルボキシル基が保護されており、アリール−アリールカップリング反応に使用できる基を有する少なくとも1個のアリール基を有するカルボン酸と、アリール−アリールカプリング反応に使用できる少なくとも1個の基を有し、アミノ基であるかまたはアミノ基に簡単に変換しうる基Dをさらに有するフェニル化合物とを反応させる工程、および、基Dがアミノ基でない場合に、基Dを対応するアミノ基に変換する工程である。さらに含みうる工程は、製造工程の好ましい時点で分子に存在する窒素原子を誘導体化する工程、および/またはそのようにして得た化合物を遊離酸へ変換する工程、および/または無機または有機酸または塩基との反応によって、そのようにして得た化合物を生理的に許容される塩の1つに変換する工程である。
【0172】
出発化合物として使用されるカルボン酸は、商業的に入手可能であるか、またはHouben-Weyl Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme-Verlag, Stuttgartのような一般的書物に記載され当業者に既知であるような化学標準法によって簡単に得られる。
【0173】
好ましい態様によれば、式(II)の基の製造法は、下記のカルボン酸誘導体から開始される:
【化37】
【0174】
製造法に関して、この場合、カルボキシル基は一般的保護基Pによって遮断される。この種の保護基は当業者に既知であり、ここで詳しく記載する必要はない。カルボキシル基をエステル化するのが特に好ましく、Pは、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルまたはトリル、またはそれらの置換誘導体である。しかし、特に好ましくは、式(II)の基の製造法は、できる限り経済的な方法で行えるように、固相で行われる。この場合、この種の反応に一般に使用されるあらゆる固相にカルボキシル基を結合しうる。本発明によれば、使用される特に好ましい固相は、ポリスチレン樹脂、特に、商業的に入手可能なWangポリスチレン樹脂である。
【0175】
本発明の好ましい態様によれば、R2は前記と同じ意義を有し、Vは任意に置換されていてよいC1 〜 5アルキレン基である。このように、この好ましい態様の出発化合物は、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸またはヘプタン酸の誘導体であると理解される。カルボキシル基に対してα−位置において、これらのカルボン酸誘導体は、下記のような置換基を有しうる:水素、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジルまたはトリル、またはそれらの置換誘導体、任意に置換されていてよいアルケニル基、任意に置換されていてよいアルキニル基、−NR2 ’SO2R2 ’、−NR2 ’COOR2 ’、−NR2 ’COR2 ’、−NR2 ’CONR2 ’ 2、または−NR2 ’CSNR2 ’ 2。対応する誘導体が商業的に入手できない場合、アルキルおよびシクロアルキル基ならびにベンジル基は、例えば、出発化合物のエステルと、適切なアルキル、シクロアルキルまたはベンジルハロゲン化物との塩基性媒体における反応によって、導入することができる。アルキニル基は、例えば、Reformatski反応によって得られる出発化合物のα−ブロモエステルと、適切なアセチリド陰イオンとの反応によって導入しうる。フェニル基、アルケニル基および窒素含有置換基の場合、対応するα−フェニル−またはα−アミノカルボン酸誘導体を出発物質として使用するのが好ましく、必要であれば、末端カルボキシル基に対してα−C原子における他の置換基を、対応するアルキルハロゲン化物を使用して導入する。前記の反応およびそれら実施は、当業者によく知られており、例えば、Houben-Weyl Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme-Verlag, Stuttgartのような一般的書物に詳しく記載されている。
【0176】
カルボキシル基に対してβ−位置における置換基の導入に関して、例えば、対応するα,β−不飽和カルボン酸誘導体から開始して、これらを、Michael付加において各アルキル、シクロアルキルまたはアリールクプレート(cuprates)と反応させることが勧められる。従って、所望であれば、前記のようにカルボキシル基に対してα−位置に置換基を付加的に導入することもできる。これらの反応およびそれら実施は、当業者によく知られており、例えば、Houben-Weyl Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme-Verlag, Stuttgartのような一般的書物に詳しく記載されている。
【0177】
カルボキシル基に対してα−またはβ−位置に存在するのが好ましい基−NR2 ’SO2R2 ’、−NR2 ’COOR2 ’、−NR2 ’COR2 ’、−NR2 ’CONR2 ’ 2、または−NR2 ’CSNR2 ’ 2は、各α−またはβ−アミノ酸から製造するのが好ましい。本発明に使用されるα−アミノ酸は、例えばNovabiochemまたはBachemから商業的に入手可能である。β−アミノ酸は、これらの会社から得られる場合もあり、または、T.B. Johnson, Journal of the American Chemical Society, 1936, 58またはV.A. Soloshonok, Tetrahedron Assymetry, 1995, 1601の手順によって製造できる。これらのアミノ酸は、例えば、アミノ基を保護し、次にカルボン酸単位を保護し、次にアミノ基を脱保護することによって、所望のカルボキシル保護アミノ酸誘導体に変換できる。この場合に、アミノ基に使用しうる保護基は、この目的に関して既知のあらゆる基である。9−フルオレニルメトキシカルボニル基(FMOC)をアミノ単位の保護基として使用するのが本発明に特に好ましい。カルボン酸根は、前記のように保護されるかまたは誘導体化される。このようにして得られるカルボキシル保護α−またはβ−アミノ酸を、好適なスルホン化試薬、カルバモイル化試薬またはアシル化試薬と反応させて、対応するスルホンアミド、カルバメートまたはアミド誘導体を得る。使用されるスルホン化試薬は、好ましくは、式R2 ’’−SO2Clの塩化スルホニル、または式R2 ’’−OCOClの塩化カルバモイルであり、R2 ’’は、C1 〜 10アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはカンフォル−10−イル、アリール、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、メシチルまたはこれらの置換誘導体、例えば、2−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、4−メトキシフェニル、4−t−ブチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、3−クロロフェニル、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2−ナフチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリンまたは8−キノリニル、または前記の環式基の複素環式類似体である。特に好ましくは、R2 ’’は、メシチル基、ベンジル基、2−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、3−アミノフェニル基、4−アミノフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基またはカンフォル−10−イル基である。前記のスルホニルまたはカルバモイルクロリドの代わりに、対応する弗化物、臭化物または沃化物を使用することもできる。アシル化試薬として、適切なカルボン酸ハロゲン化物またはカルボン酸無水物をアミノ基と反応させ、対応するC1 〜 6アルキルカルボニルクロリド、例えば、メチル−、エチル−、プロピル−、イソプロピル−、ブチル−、イソブチル−、t−ブチル、ペンチル−、イソペンチル−、ネオペンチル−、ヘキシル−、C3 〜 7−シクロアルキル−、例えば、シクロプロピル−、シクロブチル−、シクロペンチル−、シクロヘキシル−、アリール−、例えば、フェニル−、ベンジル−またはトリルカルボン酸クロリドまたはそれらの置換誘導体が本発明にとって好ましい。尿素またはチオ尿素基の製造に関して、好ましくは、アミノ基を炭酸またはチオ炭酸誘導体、例えばクロロ蟻酸エステルまたはチオホスゲンと先ず反応させ、次に、好適なアミンNHR2 ’ 2と反応させる。前記の反応およびそれらの実施は、当業者によく知られており、例えばHouben-Weyl Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme Verlag, Stuttgartのような一般的書物に詳しく記載されている。
【0178】
前記の好ましい実際態様に使用される出発化合物は、少なくとも1個の置換基Lを有する末端フェニル単位を有する。この置換基Lは、既知のアリール−アリールカップロング法の1つを使用して、もう1つのフェニル基で置換可能であるべきである。本発明によれば、Lは、−H、−F、−Cl、−Br、−I、−SCN、−N2 +であるかまたは有機金属基である。好ましい有機金属基の例は、マグネシウム、銅、硼素、錫、リチウムまたはリチウムクプレート基である。
【0179】
末端フェニル単位は、基VおよびLの他に、1個またはそれ以上の置換基、好ましくは1個またはそれ以上のアルコキシ基、特に好ましくは1個またはそれ以上のメトキシ基をさらに有していてもよい。
【0180】
適切な出発物質が商業的に入手できない場合、標準法、例えばFriedel-Craftsアルキル化、Friedel-Craftsアシル化によるか、または有機金属合成法、例えばパラジウムカップリングによって、末端フェニル単位を適切なカルボン酸誘導体に結合させることができ、次に、当業者に既知の、例えばHouben-Weyl Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme Verlag, Stuttgartのような一般的書物に詳しく記載されている誘導体化工程をさらに行ってもよい。
【0181】
基VおよびLに関して、末端フェニル単位は、1,3−または1,4−置換されていたもよい。これらの各異性体は、商業的に入手できない場合に、当業者に既知の方法によって得られる。
【0182】
さらに好ましい態様によれば、式(II)の化合物の製造法は、下記のカルボン酸誘導体から開始される:
【化38】
【0183】
この場合、PおよびR2は、前記と同じ意義を有し、それらが市販の出発化合物に含有されていない場合は、前記の方法によって導入しうる。Uは、任意に置換されていてよいアルキレン基、好ましくは任意に置換されていてよいC1 〜 3アルキレン基を表す。Uにおける可能な置換基に関して、本発明の化合物に関する前記の説明を参照できる。
【0184】
Uが任意に置換されていてよいメチレン基である場合、前記化合物の製造は、任意に付加的に置換された3−アミノプロパン酸から開始し、これをアリールスルホニルハロゲン化物、好ましくは塩化アリールスルホニルと反応させる。塩化アリールスルホニルは、LおよびOalkの所望の存在および位置によって選択され、Lは前記と同じ意義を有し、Oalkは、1個またはそれ以上のアルコキシ基、好ましくは1個またはそれ以上のメトキシ基を表す。好ましいアリールスルホニルハロゲン化物は、商業的に入手可能であるかまたは当業者に既知の一般的な反応によって製造できる。前記の反応およびそれらの実施は、当業者によく知られており、例えばHouben-Weyl Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme Verlag, Stuttgartのような一般的書物に詳しく記載されている。
【0185】
ビフェニル核は、アリール−アリールカップリング反応によって、本発明の全ての態様において製造される。形式上、これに関して、出発化合物として機能するカルボン酸誘導体の末端フェニル基における基Lは、下記式のフェニル化合物によって置き換えられる:
M−B−W−D (IIb)
[式中、
Mは、−H、−I、−N2 +、−COOOCOBNO2または有機金属基であり;
Bは、MおよびW−Dに対して1,3−または1,4−置換され、付加的基を任意に含有するフェニレン基であり;
Wは、前記と同じ意義を有し;
Dは、−NO2、−NH2または−CHOである]。
【0186】
可能なカップリング反応は、例えば、AlCl3および酸の存在下の2つの非置換フェニル基(即ち、LおよびMが水素である)の反応(Scholl反応)、銅の存在下の2つの沃化フェニルのカップリング(Ullmann反応)、塩基性条件下の非置換カルボン酸誘導体とフェニルジアゾニウム化合物との反応(Gomberg-Bachmann反応)または、有機金属試薬の関与するカップリングである。これに関して、臭化タリウムの存在下の2つのフェニル−Grignard化合物のカップリング、硝酸銀および水酸化ナトリウムの存在下の2つの有機硼素化合物のカップリング、酸素の存在下のジフェニルリチウムクプレートの反応、有機金属フェニル化合物によるハロゲン化フェニルのパラジウム補助カップリングが好適であるい。これらの反応の実施は、Houben-Weyl Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Thieme Verlag, Stuttgartのような一般的書物に詳しく記載されている。カップリング反応の選択は、反応物における、任意に干渉するかまたは鋭敏な物質によって決まる。しかし、本発明の好ましい式(II)の基に関しては、パラジウム−(II)化合物およびトリフェニルホスファンの存在下に、ハロゲン化フェニルと有機金属フェニル化合物とをカップリングすることによってビフェニル核を形成するのが特に有利であることがわかった。
【0187】
この場合に使用されるハロゲン化フェニルは、対応する弗化、塩化、臭化または沃化フェニルであり、対応する臭化物が特に好ましい。使用される有機金属フェニル化合物は、これらの目的に一般に使用される金属元素、例えば、亜鉛、マグネシウム、硼素、リチウム、銅、錫または他の元素が、アリール環に直接結合している物質であるのが好ましい。本発明によれば、有機硼素化合物が特に好ましい。基−W−Dの他に、さらに置換基がアリール環に付加的に結合していてもよい。好ましくは、これらの置換基は、1個またはそれ以上のアルキル基、好ましくはC1 〜 6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、特に好ましくは1個またはそれ以上のメチル基である。Wが存在する場合、即ち、基Dが、任意に置換されていてよいアルキレン基を介してフェニル環Bに結合している場合、このアルキレン鎖の主鎖の長さは、前記の理由から、得られた式(IIC)の化合物において、ビフェニル核の他に6個以下の原子が末端カルボキシル単位と基Dの間に存在するように選択すべきである。
【0188】
本発明に特に好ましいアリール試薬は、3−ニトロベンゼン硼酸または3−ホルミルベンゼン硼酸である。
【0189】
化合物に導入された基Dは、それがアミノ基でない場合は、アミノ基に変換される。Dがニトロ基である場合、塩化錫のような一般的な還元剤を使用して、これを対応するアミノ基に還元する。Dがアルデヒド基である場合は、アミノ基への変換は、還元条件下、例えば、オルトエステルおよび還元剤、例えば硼化水素のような金属水素化物の存在下に、アミンと反応させることによって行う。次に、このように形成されたアミノ基を、例えばアルキルまたはシクロアルキルハロゲン化物との反応によって誘導体化できる。このようにして窒素原子上に導入しうる好ましい置換基に関しては、本発明の式(II)の基についての先の記載を参照しうる。
【0190】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の式(II)の基の合成は、ポリスチレン樹脂、特に好ましくは商業的に入手可能なWangポリスチレン樹脂のような固相において行われる。これに関して、樹脂を、ジメチルホルムアミド(DMF)のような溶媒中で先ず膨潤させる。次に、出発化合物として機能する適切なカルボン酸を、標準法によって樹脂に結合させる。例えば、樹脂へのカルボン酸の結合は、ピリジンのような塩基、およびカルボキシル単位を活性化する試薬、例えば塩化ジクロロベンゾイルのような酸ハロゲン化物の存在下に、ジメチルホルムアミド(DMF)のような溶媒中で行うことができる。この目的に一般に使用される他の試薬も使用しうる。反応混合物を、室温、標準圧力で、少なくとも2時間、好ましくは12時間、特に好ましくは24時間撹拌し、カルボン酸は、過剰において、好ましくは固相の添加量に対して2〜3倍の過剰において使用される。
【0191】
未反応の試薬を除去した後、所望であれば、樹脂から前もって除去することを必要とせずに、樹脂に結合したカルボン酸を誘導体化することができる。本発明の好ましい態様によれば、例えば、アミノ基が保護されている前記のようなアミノ酸を固相に結合し、次に、アミノ基の遊離後に、置換基をそれに導入する。アミノ基は、スルホニル化またはカルバモイル化されているのが好ましい。このために、テトラヒドロフラン(THF)のような溶媒中で、ジイソプロピルエチルアミンのような補助塩基の存在下に、固相に結合しているアミノ酸を、過剰の、好ましくは2〜4倍過剰、特に好ましくは約3倍過剰の適切なスルホニル化剤またはカルバモイル化剤の溶液で処理し、反応混合物を室温、標準圧力で、少なくとも2時間、好ましくは12時間、特に好ましくは約24時間撹拌する。得られたスルホンアミドまたはカルバメートは、樹脂から除去する必要はなく、存在する場合がある未反応試薬の除去後すぐにさらに反応させることができる。
【0192】
本発明によるアリール−アリールカップリングは、任意に誘導体化された、例えば前記のようにスルホニル化またはカルバモイル化された、固相に結合したカルボン酸を、水性媒体中で、炭酸ナトリウムのような塩基の存在下に、式(IIb)の適切なアリールカップリング試薬、およびこの目的に一般に使用される触媒、例えばパラジウム−(II)塩、好ましくはトリフェニルホスファンと組み合わせたビス−(トリフェニルホスファン)−パラジウム−(II)クロリドで処理することによって行うのが好ましい。これに関して、約3〜8倍、好ましくは約4〜6倍過剰のアリールカップリング剤であって、本発明によれば特に3−ニトロベンゼン硼酸または3−ホルミルベンゼン硼酸であるアリールカップリング剤、および触媒活性量、例えばカルボン酸に対して約10倍過剰のパラジウム化合物を使用し、反応混合物を室温で短時間、例えば5〜10分加熱した後、約2〜24時間、好ましくは6〜24時間、特に好ましくは12〜24時間にわたって40〜110℃、好ましくは50〜100℃、特に好ましくは60〜90℃で加熱するのが好ましい。存在する場合がある未反応反応物を塩酸溶液のような酸性溶液で洗浄して除去した後に、得られたビフェニル化合物をさらに精製せずに直ぐに反応させることができる。
【0193】
基Dがニトロ基である場合、該ニトロ基のアミノ基への本発明による変換は、適切であればN−メチルピロリドン(NMP)のような溶媒の存在下に、塩化錫(II)のような一般的な還元剤を、前記のようにして得た固相に結合した中間体に添加し、室温、標準圧力で、少なくとも2時間、好ましくは12時間、特に好ましくは24時間にわたって反応混合物を撹拌することによって行うのが好ましい。
【0194】
基Dがアルデヒド基である場合、該アルデヒド基のアミノ基への変換を、還元アミノ化によって行う。このために、ジイソプロピルエチルアミンのような中和剤、および約6〜10倍過剰で存在するオルトエステルの存在下に、前記のように得られた固相に結合した中間体を、約3〜6倍、好ましくは4〜5倍過剰のアミンで処理する。室温で数時間、好ましくは1〜3時間撹拌した後、約3〜6倍、好ましくは4〜5倍過剰の水素化硼素テトラブチルアンモニウムのような金属水素化物の酸性溶液を反応混合物に添加し、再び、室温で数時間、好ましくは12〜24時間撹拌する。
【0195】
前記で得た生成物を、式(IIc)の化合物のアミノ基を表す基Dを誘導体化するか、または分子中に存在する窒素原子上に置換基をさらに導入することによって、さらに反応させてもよく、または樹脂から直接的に除去してもよい。樹脂からの除去は、酸性媒体中で一般的方法によって行われる。樹脂から除去した生成物は、存在する場合がある溶媒を除去した後に、既知の精製法、例えばクロマトグラフィー法によって、精製することができる。
【0196】
さらに、式(IIc)の化合物のアミノ基を表す基Dを、アミド基、尿素基、チオアミド基、チオ尿素基、アミジン基またはグアニジン基に変換することもできる。これらの構造単位は、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme Verlag, Stuttgartに記載のような当業者に既知の一般的反応によって形成できる。
【0197】
本発明によれば、式(IIc)の化合物のアミノ基を表す基Dを、尿素基またはチオ尿素基に変換するのが特に好ましい。これのために、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロロメタン、または両方の混合物(好ましくは1:1の混合物)のような不活性溶媒中で、固相に結合したカルボン酸の前記アミノ基と、2〜5倍、好ましくは3〜4倍過剰の炭酸エステルまたはチオ炭酸エステル誘導体とを、室温で、約1時間、好ましくは約45分間撹拌することによって先ず反応させるのが好ましい。使用される炭酸エステルまたはチオ炭酸エステル誘導体は、好ましくは、ホスゲン、トリホスゲン、チオホスゲンまたはクロロ蟻酸エステルであり、商業的に入手可能なクロロ蟻酸エステルは尿素誘導体の製造に好ましく、チオホスゲンはチオ尿素誘導体の製造に好ましい。
【0198】
このようにして形成されたカルバメートまたはイソチオシアネートは、好適なアミンとの反応によって、対応する尿素およびチオ尿素誘導体に変換できる。使用されるアミンは、式HNRR'の物質であってよく、式中のRおよびR'は、互いに独立に、または共に、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、アルキルアミン基、アルキルアミド基であるか、または互いに結合して、窒素原子と一緒になって、任意に置換されていてよい複素環系を形成してもよく、該複素環系は、飽和または不飽和であってよく、および/または複素原子をさらに有してもよい。アミン上の好ましい基に関しては、本発明の式(II)の基に関する先の記載を参照しうる。本発明によれば、固相に結合したカルバメートまたはイソチオシアネートと、顕著に過剰の、好ましくは3〜10倍過剰、特に好ましくは5〜10倍過剰のアミンとを、ジイソプロピルエチルアミンのような補助塩基の存在下に、ジメチルホルムアミド(DMF)のような不活性溶媒中で、室温で、1〜5時間、好ましくは2〜3時間にわたって撹拌しながら反応させるのが好ましい。
【0199】
αvβ3インテグリン受容体に向かう式(III)の基は、商業的に入手可能な出発物質から下記の工程によって製造しうる。
【0200】
本発明の製造法の重要な工程は、下記の工程である:
式(IIIa)のβ−アミノ酸:
【化39】
[式中、
Pは、−(CH2)mNO2、−(CH2)mO−C1 〜 6アルキル、−(CH2)mSO2P'、−(CH2)mCOP'、−(CH2)mCH2O−C1 〜 6アルキルであり、mは各場合に0または1の整数であり;
P'は、−OH、−O−C1 〜 6アルキルであり;
他の基は、前記と同じ意義を有し、R7は、追加的に、固相反応に一般に使用される固相であってもよい]
と、化合物R10−Aとを反応させて、式(IIIb)の化合物:
【化40】
[式中、
R10は、−SO2R10 ’、−COOR10 ’’または−COR10 ’であり;
R10 ’およびR10 ’’は、前記と同じ意義を有し;
Aは、−Cl、−Br、−I、−O−トリフリル、−O−トシル、−O−C1 〜 6アルキル、−O−CO−C1 〜 6アルキル、−O−CO−O−C1 〜 6アルキル、−OC(CH3)=CH2であり;
他の基は、前記と同じ意義を有する]
を得る工程;
基Pを基Qに変換する工程:
[Qは、−(CH2)mNH2、−(CH2)mOH、−(CH2)mCH2OH、−(CH2)mSO2A、−(CH2)mCOAであり;
Aは、前記と同じ意義を有し;
mは、0または1の整数である];
前記で得た化合物(IIIb)の化合物を、式(IIIc)の化合物:
【化41】
[式中、
Sは、ASO2(CH2)n−、NH2(CH2)n−、ACO(CH2)n−、HOCH2(CH2)n−、M(CH2)n−、MCH2(CH2)n−、HSCH2(CH2)n−またはHS(CH2)n−であり;
nは、0または1の整数であり;
Mは、Mg、Li、CdまたはSnを含む基であり;
Aは、前記と同じ意義を有し;
Cは、−NO2または
【化42】
であり;
X、R12、R13、R14およびR15は、前記と同じ意義を有する]
と反応させて、式(IIId)の化合物:
【化43】
[式中、基は前記と同じ意義を有する]
を得る工程;
適切であれば、Cがニトロ基である場合に、基(III)を維持しながら任意に環式の尿素、チオ尿素またはグアニジン単位に変換する工程;および
適切であれば、保護基を除去し、および/または製造工程の好ましい時点で存在する窒素原子を誘導体化し、および/または得られた化合物を遊離酸に変換し、および/または得られた化合物を、無機または有機塩基または酸との反応によって生理的塩の1つに変換する工程。
【0201】
式(IIIa)のβ−アミノ酸誘導体は、商業的に入手可能であるか、または当業者によく知られた、Houben-Weyl Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme-Verlag, Stuttgartのような一般的書物に詳しく記載されている標準化学法によって簡単に得られる。特に、Rodionowら、J. Am. Chem. Soc. 51, 1929, 844-846, Kunzら、Angew. Chem. 101, 1989, 1042-1043およびIshiharaら、Bull. Chem. Soc. Jpn., 68, 6, 1995, 1721-1730に記載されているβ−アミノ酸誘導体の製造法を参照しうる。
【0202】
本発明の好ましい態様によれば、式(IIIa)のβ−アミノ酸誘導体は、アンモニア、アンモニウム化合物またはアミンの存在下に、マロン酸と式(IIIa')のベンズアルデヒド誘導体とを反応させることによって得られる:
【化44】
[式中、R17およびPは、前記と同じ意義を有する]。
マロン酸の代わりに、適切であればNaHまたはナトリウムアルコキシド、好ましくはナトリウムメトキシドまたはナトリウムエトキシドのようなこれらの目的に一般に使用される塩基を付加したエステルも使用しうる。好ましくは、酢酸アンモニウムのようなアンモニウム化合物を窒素化合物として使用する。
【0203】
ベンズアルデヒド誘導体(IIIa')は、商業的に入手可能であるか、または当業者に既知の、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme-Verlag, Stuttgartのような一般的書物に詳しく記載されている標準化学法によって簡単に得られる。
【0204】
本発明の好ましい態様によれば、3−または4−ニトロベンズアルデヒドのようなニトロベンズアルデヒド誘導体、または3−または4−メトキシベンズアルデヒドのようなアルコキシベンズアルデヒド誘導体を、式(IIIa')の化合物として使用する。
【0205】
本発明の好ましい態様によれば、式(IIIa)のβ−アミノ酸は、ほぼ等モル量のマロン酸、酢酸アンモニウムおよび3−ニトロベンズアルデヒドまたは3−メトキシベンズアルデヒドを、イソプロパノールのような溶媒中で、数時間、好ましくは2〜6時間にわたって50〜110℃で、好ましくは溶媒を還流させながら、周囲大気中(即ち、空気中および標準圧力下)で反応させることによって得られる。
【0206】
次の反応工程のために、カルボキシル基を、一般的保護基Pで遮断する。この種の保護基は当業者に既知であり、ここで詳しく記載する必要はない。カルボキシル基は、特に好ましくはエステル化され、Pは、C1 〜 6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリール、例えば、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体である。
【0207】
さらに、式(III)の基の本発明の製造法は、式(II)の基に関して記載したように、固相において行うことができる。この場合、この種の反応に一般に使用されるあらゆる固相、例えば、Wangポリスチレン樹脂のようなポリスチレン樹脂に、カルボキシル基を結合しうる。
【0208】
本発明の好ましい態様によれば、前記β−アミノ酸のカルボキシル基は、エタノールのようなアルコールまたは固相反応に一般に使用されるポリマーとの反応によってエステル化される。これは、当業者に既知の条件、例えば、酸触媒反応および適切であればジシクロヘキシルカルボジイミドのような脱水剤の添加によって行うことができる。しかし、過剰で存在する適切なアルコール、例えばエタノールにβ−アミノ酸を懸濁し、HClを約30分〜約2時間にわたって通し、次に、混合物を、数時間、好ましくは約1〜6時間、特に好ましくは約3〜5時間にわたって、約50℃〜約100℃で、好ましくはアルコールを還流させながら、周囲大気において加熱するのが好ましい。
【0209】
このようにして得たカルボキシル保護βアミノ酸を、好適なスルホン化試薬、カルバモイル化試薬またはアシル化試薬と反応させて、対応するスルホンアミド誘導体、カルバメート誘導体またはアミド誘導体を得る。使用されるスルホン化試薬は、好ましくは式−R10 ’’−SO2Clの塩化スルホニルまたは式R10 ’’−OCOClの塩化カルバモイルであり、R10 ’’は、C1 〜 10アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはカンフォル−10−イル、アリール、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、メシチルまたはこれらの置換誘導体、例えば、−C6H2(CH3)3、−C6(CH3)5、−CH2C6H2(CH3)3、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−クロロフェニルメチル、2,4−ジクロロフェニルメチル、2,6−ジクロロフェニルメチル、2−メトキシカルボニルフェニルメチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、フェニルメチル、2−アセトアミド−4−メチルチアゾル−5−イル、フェニルエチル、1−フェニルプロピル、(S)−(+)−カンフォル−10−イル、(R)−(−)−カンフォル−10−イル、2−フェニルエテニル、2−チオフェニル、4−メトキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−プロピルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリン、4−アセトアミドフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、5−クロロ−3−メチルベンゾチアゾル−2−イル、N−メトキシカルボニルピペリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、イソオキサゾル−5−イル、2−クロロピリジン−3−イル、ピリジン−3−イル、5−メチルイソオキサゾル−3−イル、1−アダマンチル、4−クロロフェノキシメチル、2,2−ジメチルエテニル、2−クロロピリジン−5−メチル、5,7−ジメチル−1,3,4−トリアザインドリジン−2−イル、(S)−カンファン−1−イル、(R)−カンファン−1−イル、8−キノリニルまたは前記の環式基の複素環類似体である。前記の塩化スルホニルまたは塩化カルバモイルの代わりに、対応する弗化物、臭化物または沃化物も使用できる。アシル化試薬として、適切なカルボン酸ハロゲン化物またはカルボン酸無水物をアミノ基と反応させ、適切なC1 〜 6アルキルカルボン酸塩化物、例えば、メチル−、エチル−、プロピル−、イソプロピル−、ブチル−、イソブチル−、t−ブチル−、ペンチル−、イソペンチル−、ネオペンチル−、ヘキシル−、C3 〜 7シクロアルキル、例えば、シクロプロピル−、シクロブチル−、シクロペンチル−、シクロヘキシル−、アリール−、例えば、フェニル−、ベンジル−、トリルカルボン酸塩化物またはそれらの置換誘導体が本発明に好ましい。尿素またはチオ尿素基の製造に関して、アミノ基を、炭酸またはチオ炭酸誘導体、例えば、クロロ蟻酸エステルまたはチオホスゲンと先ず反応させ、次に、所望のアミンと反応させるのが好ましい。前記の反応およびそれらの実施は、当業者によく知られており、Houben-Weyl Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme Verlag, Stuttgartのような一般的書物に詳しく記載されている。
【0210】
本発明の好ましい態様によれば、式(IIIa)のカルボキシル保護βアミノ酸を、冷却しながら、好ましくは0℃において、ピリジンまたはジオキサンのような溶媒中で、周囲大気において、アミン、好ましくはトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下に、等モル量か少し過剰の適切なスルホニル化剤、例えば、塩化フェニルスルホニル、またはアシル化剤、例えば塩化メシチルアセチルで処理し、混合物をこの温度で約10分〜約2時間撹拌する。スルホニル化の場合、この後に、室温で数時間、好ましくは2〜6時間撹拌する。
【0211】
リンカー基Lの合成の前に、式(IIIb)の化合物の基Pを、求核試薬または基質として求核置換に参加しうる基Qに変換すべきである。Pがニトロ基を有する場合、これは対応するアミノ基に還元され、この還元は、本発明によれば、塩化錫(II)を、エタノールのような溶媒中の式(IIIb)の化合物の溶液に添加し、次に、好ましくは溶媒を還流させながら、数時間、好ましくは約1〜4時間にわたって周囲大気中で約50〜110℃に加熱することによって行うのが好ましい。Pがエーテル基を有する場合、対応するヒドロキシル基の遊離は、ジクロロメタンのような溶媒中で、冷却しながら、好ましくは−78℃において、三臭化硼素のようなルイス酸を添加し、次に、数時間、好ましくは6〜24にわたって室温で撹拌することによって行うのが好ましい。Pがスルホン酸またはカルボン酸根を有する場合、対応するスルホニルまたはカルボン酸ハロゲン化物に変換するのが好ましい。これは、当業者に既知の方法、例えば、対応するスルホン酸またはカルボン酸を塩化チオニルと反応させることによって、行うことができる。
【0212】
次に、このように製造した化合物を式(IIIc)の化合物:
【化45】
[式中、
Sは、ASO2(CH2)n−、NH2(CH2)n−、ACO(CH2)n−、HOCH2(CH2)n−、M(CH2)n−、MCH2(CH2)n−、HSCH2(CH2)n−またはHS(CH2)n−であり;
nは、0または1の整数であり;
Mは、Mg、Li、CdまたはSnを含む基であり;
Aは、前記と同じ意義を有し;
Cは、−NO2または
【化46】
であり;
X、R12、R13、R14およびR15は、前記と同じ意義を有する]
と反応させ、式(IIId)の化合物を得る:
【化47】
[式中、基は前記と同じ意義を有する]。
この反応は、形式的に、各場合の他の出発化合物における求核単位による、出発化合物の1つにおける脱離基の置換を示す。
【0213】
本発明の好ましい態様によれば、ピリジンまたは水素化ナトリウムのような塩基の存在下に、適切であれば、テトラヒドロフラン(THF)またはジメチルホルムアミド(DMF)のような溶媒中で、周囲大気において、室温かまたは冷却しながら、好ましくは0℃において、反応物をほぼ等モル量で混合し、数時間、好ましくは約1時間〜約24時間にわたって、室温かまたは冷却しながら、例えば0℃で撹拌する。
【0214】
このようにして得た式(IIId)の化合物は、末端ニトロ基を開鎖または環式グアニジン、尿素またはチオ尿素に変換することによって、本発明の式(III)の基に変換される。
【0215】
このために、好ましくは、適切であればエタノールのような溶媒の存在下に、塩化錫(II)のような一般的な還元剤を添加し、好ましくは溶媒の還流下に、約50〜110℃で加熱しながら、周囲大気において混合物を約2時間撹拌することによって、本発明によってニトロ基をアミノ基に先ず変換する。
【0216】
次に、このようにして得たアミノ基を、グアニジン、尿素またはチオ尿基単位に変換する。これのために、前記のアミノ基を、ジメチルホルムアミド(DMF)のような溶媒中で、塩化水銀(II)の存在下に、冷却しながら、好ましくは0℃において、炭酸エステルまたはチオ炭酸エステル誘導体と先ず反応させ、冷却しながら、好ましくは約0℃で、適切であれば次に室温で、約10分〜約3時間撹拌する。使用される炭酸エステルまたはチオ炭酸エステル誘導体は、好ましくは、ホスゲン、トリホスゲン、チオホスゲン、クロロ蟻酸エステルまたはチオプソイド尿素誘導体であり、商業的に入手可能なクロロ蟻酸エステルは尿素誘導体の製造に好ましく、チオホスゲンはチオ尿素誘導体の製造に好ましく、チオプソイド誘導体はグアニジン誘導体の製造に好ましい。
【0217】
このようにして形成されたカルバメートまたはイソチオシアネートは、適切なアミンとの反応によって、対応する尿素、チオ尿素およびグアニジン誘導体に変換しうる。使用されるアミンは、式HNRR'の物質であってよく、式中のRおよびR'は、互いに独立に、または共に、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、アルキルアミン基、アルキルアミド基であるか、または互いに結合して、窒素原子と一緒になって、任意に置換されていてよい複素環系を形成してもよく、該複素環系は、飽和または不飽和であってよく、および/または複素原子をさらに有してもよい。アミン上の好ましい基に関しては、本発明の化合物についての先の記載を参照しうる。本発明によれば、カルバメートまたはイソチオシアネートとアミンとを、ジイソプロピルエチルアミンのような補助塩基の存在下に、ジメチルホルムアミド(DMF)のような溶媒中で、室温で、約1〜5時間、好ましくは約2〜3時間にわたって撹拌しながら反応させるのが好ましい。環式グアニジン誘導体を製造する場合、対応するイソチオシアネートを、エタノール中で、数時間、好ましくは約12〜24時間にわたって先ず加熱し、次に、トルエン、ジメチルホルムアミド(DMF)または両方の混合物のような溶媒中で、ジアミノエタンのようなジアミンと一緒に加熱するのが好ましい。
【0218】
さらに好ましい本発明の態様によれば、前記のグアニジン、尿素またはチオ尿素基を、前記の方法によって式(IIIc)の化合物上に生成し、次に、そのようにして得た式(IIIc)の化合物を、前記の方法で式(IIIb)の化合物と反応させることもできる。
【0219】
前記の方法によって得た化合物は、存在する場合がある保護基を除去し、製造工程の好ましい時点で存在する窒素原子をさらに置換し、および/または得られた化合物を遊離酸および/またはその生理的に許容される塩に変換することによって、さらに誘導体化する。例えば、窒素原子の保護基として一般に使用されるt−ブトキシメトキシカルボニル基は、酸性媒体中で、例えばトリフルオロ酢酸の添加によって除去される。窒素原子の誘導体化に好適なアルキル化剤は、この工程におけるこの目的に一般に使用される試薬であり、例えば、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基を、対応する窒素原子に結合させることができる。各窒素原子に結合させるのに好ましい置換基に関しては、本発明の化合物についての先に記載を参照することができる。前記の反応およびそれらの実施は、当業者によく知られており、Houben-Weyl Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme Verlag, Stuttgartのような一般的書物に詳しく記載されている。
【0220】
本発明のエステル誘導体は、一般法によって、例えば塩基性エステル加水分解によって、対応する遊離カルボン酸に変換できる。
【0221】
所望であれば、本発明の化合物をその生理的に許容される塩に変換することができる。これは、有機または無機塩基、例えばアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物、例えばKOH、NaOH、LiOH、Mg(OH)2またはCa(OH)2との反応によって、末端カルボキシル基を脱プロトンして対応するカルボン酸塩を形成するか、または有機または無機酸、例えば塩酸、硫酸、燐酸、マレイン酸、オレイン酸、リノール酸またはp−トルエンスルホン酸との反応によって、1個またはそれ以上の前記窒素原子をプロトン化することによって行うことができる。
【0222】
αvβ3インテグリン受容体に向かう式(IV)の基は、商業的に入手可能な出発化合物から製造できる。
【0223】
本発明の複合体は、癌疾患治療薬の製造における活性化合物成分として使用できる。このために、既知の方法によって、不活性かつ非毒性の医薬的に好適な賦形剤または溶剤を使用して、それらを錠剤、被覆錠剤、エーロゾル剤、丸剤、顆粒剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤および液剤のような一般的な配合物に変換することができる。好ましくは、本発明の化合物は、この場合、合計混合物におけるそれの濃度が約0.5〜約90重量%であるような量で使用され、濃度は、薬剤の対応する適応症に特に依存する。
【0224】
前記の配合物は、例えば、前記の特性を有する溶剤および/または賦形剤で活性化合物を希釈することによって製造され、適切であれば、付加的に、乳化剤または分散剤、および水が溶剤の場合は選択的に有機溶剤も添加される。
本発明の薬剤は、一般的な方法で投与できる。
【実施例】
【0225】
実施例および比較例によって、本発明を以下に例示するが、これらは本発明を制限するものではない。
下記の実施例において、全ての量的データは、他に記載がない場合、重量%による。質量測定は、電子スプレーイオン化(ESI)法を使用する高性能液体クロマトグラフィー−マススペクトロメトリー(HPLC−MS)によるか、またはFABまたはMALDI質量分光分析法によって行った。
【0226】
使用した略語のリスト
HPLC: 高性能液体クロマトグラフィー
RP: 逆相
ACN: アセトニトリル
DMF: ジメチルホルムアミド
DCM: ジクロロメタン
THF: トラヒドロフラン
DIEA: ジイソプロピルエチルアミン(Huenig塩基)
NMP: N−メチルピロリドン
TFA: トリフルオロ酢酸
Fmoc: フルオレニル−9−メトキシカルボニル
RT: 室温
MTBE: メチルtert−ブチルエーテル
Boc: tert−ブトキシカルボニル
TLC: 薄層クロマトグラフィー
DMAP: ジメチルアミノピリジン
DMSO: ジメチルスルホキシド
Abu: γ−アミノ酪酸
【0227】
I.出発物質の合成
I.1 20−O−L−バリル−カンプトテシントリフルオロアセテート
【化48】
無水ジクロロメタン500mL中の20(S)−カンプトテシン10g(28.7mmol)の懸濁液を、撹拌しながら、N−(tert−ブトキシカルボニル)−バリン−N−カルボキシ無水物14g(2当量)および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン1gで処理する。4日間にわたって加熱還流した後、混合物を真空濃縮する。残渣を、MTBE100mLと一緒に20分間撹拌する。次に、石油エーテル200mLを添加し、混合物を濾過する。Boc−保護中間体化合物14.9gを得、該化合物は少量のD−バリンエピマーを含有する場合もあるが、該エピマーは保護基の除去後に簡単に除去できる。
【0228】
次に、このBoc−保護中間体化合物11.65gを、ジクロロメタン300mLおよび無水トリフルオロ酢酸70mLの混合物中で、5℃で1時間撹拌する。真空濃縮して少量にした後、生成物をジエチルエーテルで沈殿させ、ジエチルエーテルで充分に洗浄する。ジエチルエーテルを使用して、生成物をジクロロメタン/メタノールから再び沈殿させる。適切であれば、粗生成物を再びメタノール40mLに取り、溶液をMTBE120mLで処理し、0℃に冷却する。沈殿物を濾過し、乾燥して、20−O−(バリル)−カンプトテシントリフルオロアセテート9.4g(80%)得る。
[TLC:アセトニトリル/水(20:1);Rf=0.39]。
【0229】
I.2 20−O−[L−ヒスチジル−L−バリル]カンプトテシンビスフルオロアセテート
【化49】
ベンジルN−tert−ブトキシカルボニルヒスチジン2g(7.8mmol)をDMF100mLに溶解し、0℃に冷却する。ヘドロキシベンゾトリアゾール1.59g(1.5当量)およびN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N'−エチルカルボジイミドヒドロクロリド1.8g(1.2当量)を添加し、混合物を0℃で30分間撹拌する。実施例I.1の化合物3.65g(6.5mmol)およびHuenig塩基2.7mLを添加する。16時間後にカップリング反応を終了する。反応混合物をMTBE600mLに注ぐ、沈殿生成物を集め、ジクロロメタンに取る。混合物を水で2回抽出し、次に、有機相を乾燥し、濃縮する。MTBEを添加し、沈殿生成物を濾過し、真空乾燥する。
収量:4.45g=量的;TCL:アセトニトリル/水(10:1);Rf=0.33。
【0230】
次に、このBoc−保護中間体化合物4.45g(6.5mmol)を、ジクロロメタン60mLおよび無水トリフルオロ酢酸30mLの混合物中で、5℃で1時間撹拌する。真空濃縮した後、生成物をジクロロメタン/メタノールに取り、MTBEで沈殿させ、MTBEで充分に洗浄する。MTBEを使用して、生成物をジクロロメタン/メタノールから再び沈殿させる。沈殿物を濾過し、乾燥して、目的とする化合物4.75g(91%)を得る。
[TLC:アセトニトリル/水/氷酢酸(5/1/0.2);Rf=0.3]。
【0231】
I.3 N−tert−ブトキシカルボニル−L−プロリル−L−ロイシル−グリシル−L−ロイシン
商業的に入手可能な出発物質N−tert−ブトキシカルボニルプロリンヒドロキシスクシンイミドエステル(687mg;2.2mmol)およびL−ロイシル−グリシル−L−ロイシン(602.8mg;2mmol)を、DMF10mLに溶解し、エチル−ジイソプロピルアミン1035μLを添加し、混合物を18時間音波処理する。次に、溶媒を真空除去し、残渣をジクロロメタンに溶解し、濾過する。アセトニトリル/水 20:1を溶離剤として使用するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって、粗生成物を精製する。関連する画分を集め、濃縮する。残留する残渣をジクロロメタンに溶解し、クエン酸で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去する。生成物を収量420mg(42%)で得る。
[ESI−MS:m/e=499=(M+H)+]。
【0232】
I.4 N−tert−ブトキシカルボニル−L−プロリル−L−ロイシル−グリシル−L−ロイシル−L−アスパラギン
この化合物は、I.3とアスパラギン誘導体とのカップリングによるか、またはHouben Weyl;Methoden der Organischen Chemie;Vierte Auflage;Band XV Teil 1 und 2; Georg Thieme Verlag Stuttgart 1974、またはHans-Dieter JakubkeおよびHans Jeschkeit:Aminosaeuren, Peptide, Proteine;Verlag Chemie, Weinheim 1982に記載されている標準法による代替経路によって、合成される。
[TLC:アセトニトリル/水/氷酢酸 5/1/0.2;Rf=0.68]。
【0233】
I.5 N−tert−ブトキシカルボニル−L−プロリル−L−ロイシル−グリシル−L−ロイシン−L−ヒスチジン
この化合物は、標準法によって合成される。
[TLC:アセトニトリル/水/氷酢酸 5/1/0.2;Rf=0.28]。
【0234】
I.6 N−フルオレニル−9−メトキシカルボニル−L−プロリル−L−ロイシル−グリシル−L−ロイシン−L−アスパラギン−L−グリシン
この化合物は、標準法によって合成される。
[TLC:アセトニトリル/水/氷酢酸 5/1/0.2;Rf=0.55]。
【0235】
II.カンプトテシンペプチド複合体の製造
II.1 20−O−[L−プロリル−L−ロイシル−グリシル−L−ロイシル−L−ヒスチジル−L−バリル]カンプトテシンビストリフルオロアセテート
【化50】
化合物I.3 277.4mg(0.57mmol)をMDF80mLに溶解する。1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール116mg(0.86mmol)およびN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N'−エチルカルボジイミドヒドロクロリド131.7mg(0.69mmol)を添加し、さらに実施例I.2の化合物400mg(0.57mmol)およびHuenig塩基222mgを添加する。2時間後にカップリング反応が終了する。反応混合物を、濃縮し、残渣を水で処理する。ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 17% 15/1/0.1を溶離剤として使用するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって、粗生成物を精製する。関連する画分を集め、濃縮する。生成物を収量472mg(77%)で得る。
[TLC:アセトニトリル/水 10/1;Rf=0.2]。
【0236】
このBoc−保護中間体化合物470mg(0.44mmol)を、ジクロロメタン50mLおよび無水トリフルオロ酢酸10mLの混合物中で、5℃で1時間撹拌する。真空濃縮した後、生成物をジクロロメタン/メタノールに取り、ジエチルエーテルで沈殿させ、濾過する。ジエチルエーテルを使用して、ジクロロメタン/メタノールから残渣を再び沈殿させる。沈殿物を、濾過し、乾燥して、標的化合物432mg(91%)を得る。
[TLC:アセトニトリル/水/氷酢酸 5/1/0.2;Rf=0.15]。
【0237】
I.1と同様に、他のカンプトテシンアミノ酸複合体を、カンプトテシンと部分的に保護したアミノ誘導体との反応によって製造した。次に、単一アミノ酸誘導体の結合、次にアミノ末端の脱保護によるか、または実施例II.1に例示したようなフラグメント縮合によるか、または両方の組み合わせによって、ペプチド鎖を延長する。適切であれば、保護基を除去する。カップリング、保護および脱保護の工程は、Houben Weyl;Methoden der Organischen Chemie;Vierte Auflage;Band XV Teil 1 und 2; Georg Thieme Verlag Stuttgart 1974;Hans-Dieter JakubkeおよびHans Jeschkeit:Aminosaeuren, Peptide, Proteine;Verlag Chemie, Weinheim 1982に記載されているような既知の方法によって行われる。この方法によって製造される複合体を以下に示す:
【0238】
【表1−1】
【表1−2】
【表1−3】
【表1−4】
1 ) アセトニトリル/水/氷酢酸 5/1/0.2
2 ) ジクロロメタン/メタノール 10/1
3 ) アセトニトリル/水 10/1
4 ) アセトニトリル/水/氷酢酸 10/1/0.1
5 ) アセトニトリル/水 20/1
6 ) ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 17% 15/4/0.5
7 ) アセトニトリル/水/氷酢酸 10/2.5/1.2
8 ) ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 17% 15/3/0.3
9 ) アセトニトリル/水/氷酢酸 10/3/1.5
【0239】
III. インテグリンリガンドの製造
実施例 III.1
【化51】
III.1-a 3−アミノ−3−[3−(プロピルアミノカルボニルアミノ−フェニル−スルホニルアミノ)フェニル]プロピオン酸
【化52】
ポリスチレンWang樹脂1.2g(添加量1.08mmol/g)を、DMF中で膨潤させる。溶媒を吸引濾過によって除去し、DMF15mL中の(3R,S)−3−(9−フルオレニルメトキシカルボニルアミノ)−3−(3−ニトロフェニル)−プロピオン酸(アミノ酸試薬)841mgの溶液を添加する。室温で15分間振とうした後、懸濁液を、ピリジン350μLおよび2,6−ジクロロベンゾイルクロリド540mgで処理する。室温で一晩振とうする。次に、樹脂をDMF、MeOHおよびDCMで洗浄する。
【0240】
この樹脂を、NMP12mL中の塩化錫(II)二水化物5400mgの溶液で処理し、室温で一晩振とうする。次に、樹脂をNMP、MeOH、THFおよびDCMで洗浄する。
【0241】
樹脂を、THF500μL中のDIEA450μLの溶液、およびTHF500μL中の3−ニトロベンゼンスルホニルクロリド430mgの溶液で処理する。それを室温で一晩振とうする。次に、樹脂をDMF、MeOHおよびTHFで洗浄する。
【0242】
樹脂を、NMP12mL中の塩化錫(II)二水化物5400mgの溶液で処理し、室温で一晩振とうする。次に、樹脂をNMP、MeOH、THFおよびDCMで処理する。
【0243】
樹脂を、1:1のTHF/DCM(12mL)中のDIEA500μLの溶液、および1:1のTHF/DCM(12mL)中の4−ニトロフェニルクロロ蟻酸エステル2757mgの溶液で処理する。室温で45分間振とうした後、THFおよびDMFで洗浄し、NMP20mL中のプロピルアミン943mgおよびDIEA2780μLの溶液を添加する。10時間振とうした後、樹脂を、DMF、MeOH、THFおよびDCMで洗浄する。
【0244】
生成物の採取のために、TFA/DCM 12mLで1時間振とうし、濾過し、濾液を真空濃縮する。
【0245】
III.1 3−(4−アミノフェニルアミノカルボニルアミノ)−3−[3−(3−プロピルアミノカルボニルアミノ−フェニル−スルホニルアミノ)フェニル]プロピオン酸
【化53】
化合物III.1-a 70mg(0.166mmol)を4−ニトロフェニルイソシアネート54mg(2当量)と一緒に、DMF10mL中で1時間撹拌する。混合物を濃縮し、ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 17%濃度(15:2:0.2)を使用するシリカゲル上でのフラッシュクロマトフラフィーによって残渣を精製する。エーテルを使用してジクロロメタン/メタノールから沈殿した後、中間体(29mg;30%)を得る。
【0246】
これをメタノールに溶解し、パラジウム/炭素上で水素添加する。触媒を分離によって除去し、溶液を濃縮し、残渣をジオキサン/水から凍結乾燥する。目的とする化合物18mg(74%)を得る。
【0247】
III.2 III.1(3−(4−アミノフェニルアミノカルボニルアミノ)−3−[3−(3−プロピルアミノカルボニルアミノ−フェニル−スルホニルアミノ)フェニル]プロピオン酸)のエナンチオマーA
【化54】
III.2.a 3−(アミノ)−3−(3−ニトロフェニル)プロピオン酸ヒドロクロリド
【化55】
3−ニトロベンズアルデヒド151g、酢酸アンモニウム94g、およびマロン酸127gを、2−プロパノール1L中で5時間にわっって加熱還流した。溶液を濾過し、沈殿物を温かい2−プロパノール0.7Lで洗浄した。粗生成物を真空乾燥し、水1.5Lに懸濁し、1N塩酸で処理し、濾過した。濾液を濃縮して146gを得た。
1H-NMR(400MHz, D4-MeOH):3.09(m, 2H), 4.88(m, 1H), 7.74(t, 1H), 7.90(d, 1H), 8.33(d, 1H), 8.43(s, 1H)。
【0248】
III.2.b エチル3−(アミノ)−3−(3−ニトロフェニル)プロパノエートヒドロクロリド
【化56】
3−アミノ−3−(3−ニトロフェニル)プロピオン酸ヒドロクロリド60gを、エタノール660mLに懸濁し、気体HClをその混合物に1時間通した。次に、反応混合物を4時間にわたって加熱還流し、次に冷却し、濃縮した。白色固形物62gを得た。
1H-NMR(400MHz, D4-MeOH):1.22(t, 3H), 3.12(dd, 1H), 3.20(dd, 1H), 4.18(q, 2H), 4.95(t, 1H), 7.77(t, 1H), 7.94(d, 1H), 8.35(d, 1H), 8.43(s, 1H)。
【0249】
III.2.c エチル3−{[(アリルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−(3−ニトロフェニル)プロパノエート
【化57】
ジクロロメタン350mL中のエチル3−アミノ−3−(3−ニトロフェニル)プロピオネートヒドロクロリド41.2gに、ジクロロメタン150mL中のジイソプロピルエチルアミン48.8gおよびアリルオキシカルボニルクロリド24.8gを、0℃で添加した。30分間撹拌した後、混合物を水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮して、白色固形物を得た(収量:56.4g)。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):1.18(t, 3H), 2.90(d, 2H), 4.11(q, 2H), 4.58(m, 2H), 5.15-5.40(m, 3H), 5.90(m, 1H), 6.05(m, 1H), 7.55(t, 1H), 7.70(d, 1H), 8.12(d, 1H), 8.19(s, 1H)。
【0250】
III.2.d エチル3−{[(アリルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−(3−アミノフェニル)プロパノエート
【化58】
塩化錫(II)64.6gを、エタノール245mL中のエチル3−{[(アリルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−(3−ニトロフェニル)プロパノエート18.8gの溶液に添加し、混合物を2時間にわたって加熱還流した。反応混合物を、2N NaOH溶液300mLで凍結乾燥し、次に、シリカゲルで濾過し、ジクロロメタンで洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、濃縮して、白色固形物13.1gを得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):1.19(t, 3H), 2.80(m, 2H), 4.06(q, 2H), 4.57(m, 2H), 5.07(m, 1H), 5.20(d, 1H), 5.29(d, 1H), 5.70(m, 1H), 5.89(m, 1H), 6.57(d, 1H), 6.62(s, 1H), 6.68(d, 1H), 7.11(t, 1H)。
【0251】
III.2.e エチル3−{[(アリルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−(3−{[(3−ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)プロパノエート
【化59】
3−ニトロフェニルスルホニルクロリドを、ピリジン110mL中のエチル3−{[(アリルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−(3−アミノフェニル)プロパノエート11.6gの溶液に、0℃で添加した。2時間反応させた後、混合物を濃縮し、1N HClで処理し、ジクロロ
メタンで抽出した。MgSO4で乾燥した後、溶媒を除去し、粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=40:1)によって精製して、固形物17.8gを得た。
【0252】
III.2.f エチル3−{[(アリルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−(3−{[(3−アミノフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)プロパノエート
【化60】
塩化錫(II)43.5gを、エタノール165mL中のエチル3−{[(アリルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−(3−{[(3−ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)プロパノエート17.8gの溶液に添加し、混合物を2時間にわたって加熱還流した。反応混合物を2N NaOH溶液200mLで凍結乾燥し、次に、シリカゲルで濾過し、ジクロロメタンで洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、濃縮して、固形物9.2gを得た。
【0253】
THFを溶媒として使用するセレクターBayer-CSP(N−メタクリロイル−L−バリン−3−ペンチルアミド)でのキラルクロマトグラフィーによって、該固形物をイスト(ist)エナンチオマーに分離した。同様のセレクターが文献に記載されている(Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 30(1991), 1662-1664)。この分離によって2つの生成物画分1および画分2を得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):1.18(t, 3H), 2.80(m, 2H), 3.95(br.s, 2H), 4.08(q, 2H), 4.54(m, 2H), 5.08(m, 1H), 5.22(d, 1H), 5.30(d, 1H), 5.78(m, 1H), 5.90(m, 1H), 6.58(s, 1H), 6.75(d, 1H), 6.88(d, 1H), 6.95(s, 1H), 7.05(d, 1H), 7.11(d, 1H), 7.15-7.22(m, 3H)。
【0254】
III.2.g エチル3−{[(アリルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−(3−{[(3−{[(プロピルアミノ)カルボニル]アミノ}フェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)プロパノエート
【化61】
ジオキサン500mL中の画分1からのエナンチオピュア(enatiopure)エチル3−{[(アリルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−(3−{[(3−アミノフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)プロパノエート50gの溶液に、プロピルイソシアネート9.6gを添加し、混合物を50℃で18時間撹拌した。溶媒を蒸発させた後、塩酸(1M)1.5Lを添加し、溶液をジクロロメタンで抽出した。有機相をMgSO4で乾燥し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=30:1)にかけて、目的とする化合物19.1gを得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):0.90(t, 3H), 1.19(t, 3H), 1.52(q, 2H), 2.83(m, 2H), 3.18(m, 2H), 4.10(q, 2H), 4.56(m, 2H), 5.05-5.35(m, 3H), 5.90(m, 1H), 6.18(m, 1H), 6.77(m, 1H), 6.88(s, 1H), 7.00-7.45(m, 8H), 7.98(m, 1H)。
【0255】
III.2.h エチル3−アミノ−3−(3−{[(3−{[(プロピルアミノ)カルボニル]アミノ}フェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)プロパノエート
【化62】
酢酸2.57mL、トリブチルスズハイドライド5.32mL、およびビストリフェニルホスフィンパラジウム(II)クロリド177mgを、ジクロロメタン245mL中のエチル3−{[(アリルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−(3−{[(3−{[(プロピルアミノ)カルボニル]アミノ}フェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)プロパノエート9.58gの溶液に添加し、室温で22時間撹拌した。NaHCO3の溶液を添加し、混合物をジクロロメタンで抽出した。MgSO4で乾燥した後、溶媒を除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=10:1)によって精製して、目的とする化合物2.30gを得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):0.88(t, 3H), 1.20(t, 3H), 1.50(q, 2H), 2.60(dd, 1H), 2.67(dd, 1H), 3.17(m, 2H), 4.11(q, 2H), 4.33(m, 1H), 5.21(m, 1H), 6.89(d, 1H), 7.07(d, 1H), 7.16(t, 1H), 7.22-7.34(m, 5H), 7.38(s, 1H), 7.49(s, 1H)。
【0256】
III.2 3−(4−アミノフェニルアミノカルボニルアミノ)−3−[3−(プロピルアミノカルボニルアミノ−フェニル−スルホニルアミノ)フェニル]プロピオン酸、ジアステレオマーA
【化63】
化合物III.2.h700mg(1.56mmol)を、4−ニトロフェニルイソシアネート510mg(2当量)と一緒に、DMF100mLで1時間撹拌する。混合物を濃縮し、ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 17%濃度(15:2:0.2)を使用するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製する。エーテルを使用してジクロロメタン/メタノールから沈殿させた後、中間体a(290mg;30%)を得る。これをメタノールに溶解し、パラジウム/炭素上で水素添加する。触媒を分離によって除去し、溶液を濃縮し、残渣をジオキサン/水から凍結乾燥する。中間体b204mg(74%)を得る。
【0257】
中間体b200mg(0.34mmol)をメタノールに溶解し、2Mの水酸化リチウム溶液1mLで処理する。6時間後、水酸化リチウム300μLをさらに添加し、脱エステルが終了するまで混合物を撹拌する。溶液を濃縮し、エーテルを使用してジクロロメタンから沈殿させる。化合物III.2 141mg(75%)を得る。
[TLC:(アセトニトリル/水/氷酢酸 10/1/0.1;Rf=0.6]。
[ESI−MS:m/e=555(M+H)+]。
【0258】
III.3 3−(4−アミノフェニルアミノカルボニルアミノ)−3−[3−(プロピルアミノカルボニルアミノ−フェニル−スルホニルアミノ)フェニル]プロピオン酸のエナンチオマーB
エタンチマーの分離後にエチル3−{[(アリルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−(3−{[(3−アミノフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)プロパノエートの画分2を使用する以外は、エナンチオマーAの合成と同じプロトコルを使用した。
【0259】
III.4 3−[3−(3−(ベンズイミダゾル−2−イル−アミノカルボニルアミノ)フェニル)フェニルスルホンアミド]−3−(3−アミノ−フェニル)プロピオン酸
【化64】
ポリスチレンWang樹脂1.2g(添加量1.08mmol/g)をDMF中で膨潤させる。溶媒を吸引濾過によって除去し、DMF15mL中の(3R,S)−3−フルオレニルメトキシカルボニルアミノ−3−(3−ニトロフェニル)−プロピオン酸(アミノ酸試薬)841mgの溶液を添加する。室温で15分間振とうした後、懸濁液を、ピリジン350μLおよび2,6−ジクロロベンゾイルクロリド540mgで処理する。室温で一晩振とうする。次に、樹脂をDMF、MeOHおよびDCMで洗浄する。
【0260】
この樹脂を、DMF中20%の濃度のピペリジン溶液15mLで処理し、室温で10分間振とうする。次に、DMFで3回洗浄し、DMF中20%の濃度のピペリジン溶液15mLを再び添加する。20分間振とうした後、DMFおよびTHFで洗浄する。樹脂を、THF500μL中のDIEA450μLの溶液、およびTHF500μL中の3−ブロモベンゼンスルホニルクロリド(スルホニル化試薬)430mgの溶液で処理する。室温で一晩振とうする。次に、樹脂をDMF、MeOHおよびTHFで洗浄する。
【0261】
樹脂をキシレン9000μLに懸濁し、3−アミノベンゼン硼酸一水化物1250mg、および水9000μL中の炭酸ナトリウム1940mgの溶液で処理し、室温で5分間振とうする。次に、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド200mgおよびトリフェニルホスフィン150mgを添加し、混合物を85℃で一晩撹拌する。次に、樹脂を、THF/水 1:1、0.25Mの塩酸水溶液、水、DMF、MeOH、THFおよびDCMで洗浄する。
【0262】
樹脂を、1:1のTHF/DCM 12mL中のDIEA500μLの溶液、および1:1のTHF/DCM 12mL中の4−ニトロフェニルクロロ蟻酸エステル2757mgの溶液で処理する。室温で45分間振とうした後、THFおよびDMFで洗浄し、NMP20mL中の2−アミノベンズイミダゾール(アミン試薬)2125mgおよびDIEA2780μLの溶液を添加する。10時間振とうした後、樹脂をDMF、MeOH、THFおよびDCMで洗浄する。生成物の採取のために、樹脂をTFA/DCM12mLと一緒に1時間振とうし、濾過し、濾過液を真空濃縮する。
【0263】
粗生成物をメタノールに取り、活性炭上のパラジウム上で水素を使用して還元して、目的とする化合物を得る。ジクロロメタン/メタノール/アンモニア(17%濃度)(15:4:0.4)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。
[TLC:(アセトニトリル/水/氷酢酸 10:1:0.1);Rf=0.5]。
[MALDI−MS:m/e=571(M+H)+]。
【0264】
III.5 3−[4−(3−(ベンズイミダゾル−2−イル−アミノカルボニルアミノ)フェニル)フェニルスルホンアミド]−3−(3−アミノ−フェニル)プロピオン酸
【化65】
4−ブロモスルホニルクロリドをスルホニル化試薬として使用して、III.4と同様に製造する。ジクロロメタン/メタノール/アンモニア(17%濃度)(15:2:0.2)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーによって、目的とする化合物を精製する。
[TLC:(ジクロロメタン/メタノール/アンモニア(17%濃度)(15:6:0.6);Rf=0.33]。
[FAB−MS:m/e=571(M+H)+]。
【0265】
IV インテグリンリガンドと細胞毒性剤との複合体の製造
一般的方法A(チオ尿素結合):
III系列からのインテグリンリガンド0.09mmolを、ジオキサン/水(1:1)10mLに溶解し、チオホスゲン9.6μL(0.13mmol)で処理する。室温で15分間撹拌した後、Huenig塩基94μL(0.54mmol)を添加し、混合物をさらに10分間撹拌し、次に濃縮する。残渣をジクロロメタンに取り、エーテルを使用して沈殿させる。得られたイソチオシアネートをさらに精製せず次の段階で反応させる。
【0266】
イソチオシアネート0.09mmolをDMF15mLに溶解し、次に、Huenig塩基43μLの存在下に、系列IIの1つのペプチド複合体0.08mmolで処理する。室温で30分間撹拌した後、混合物を濃縮し、残渣を水と一緒に撹拌する。残渣を分離し、メタノール/ジクロロメタンに溶解する。エーテルを使用して混合物を沈殿させる。
【0267】
必要であれば、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによってさらに精製する。適切な溶離剤系を下記に示す:
ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 17% 15/3/0.3
ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 17% 16/2/0.2
【0268】
関連する画分を集め、濃縮し、エーテルを使用してメタノール/ジクロロメタンから沈殿させて目的とする化合物を単離する。
【0269】
一般的方法B(尿素結合)
4−ニトロフェニルクロロ蟻酸エステル0.07mmolを、THF10mLに溶解し、Huenig塩基16μlを添加する。次に、THF5mLおよびDMF0.5mLの混合物に溶解した系列IIIからの1つのインテグリンリガンド0.05mmolを少しずつ添加し、混合物を室温で10分間撹拌する。DMF2mLに溶解した系列IIからのペプチド複合体0.04mmol、およびHuenig塩基24μLを添加し、混合物を室温でさらに1時間撹拌する。溶媒を除去し、残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。適切な溶離剤混合物を下記に示す:
ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 17% 15/3/0.3
ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 17% 16/2/0.2
【0270】
関連する画分を集め、濃縮し、エーテルを使用してメタノール/ジクロロメタンから沈殿させて目的とする化合物を単離する。
【0271】
実施例 1
【化66】
出発物質:II.1、III.1 方法:A
収率:71% Rf=0.286 ) [ESI-MS:m/e=1561=(M+H)+]
【0272】
実施例 2 :実施例1の化合物のジアステレオマーA
出発物質:II.1、III.2 方法:A
収率:32% Rf=0.286 ) [ESI-MS:m/e=1561=(M+H)+]
【0273】
実施例 3 :実施例1の化合物のジアステレオマーB
出発物質:II.1、III.3 方法:A
収率:13% Rf=0.51 ) [ESI-MS:m/e=1561=(M+H)+]
【0274】
実施例 4
【化67】
出発物質:II.1、III.5 方法:A
収率:20% Rf=0.541 ) [ESI-MS:m/e=1578=(M+H)+]
【0275】
実施例 5
【化68】
出発物質:II.1、III.4 方法:A
収率:64% Rf=0.228 ) [ESI-MS:m/e=1578=(M+H)+]
【0276】
実施例 6
【化69】
出発物質:II.1、III.1 方法:B
収率:9% Rf=0.446 ) [ESI-MS:m/e=1545=(M+H)+]
【0277】
実施例 7
【化70】
出発物質:II.1、III.5 方法:B
収率:6% Rf=0.446 ) [ESI-MS:m/e=1561=(M+H)+]
【0278】
実施例 8
【化71】
出発物質:II.2、III.1 方法:A
収率:85% Rf=0.423 ) [ESI-MS:m/e=1424=(M+H)+]
【0279】
実施例 9
【化72】
出発物質:II.4、III.1 方法:A
収率:61% Rf=0.43 ) [ESI-MS:m/e=1538=(M+H)+]
【0280】
実施例 10: 実施例9の化合物のジアステレオマーA
出発物質:II.4、III.2 方法:A
収率:27% Rf=0.43 ) [ESI-MS:m/e=1538=(M+H)+]
【0281】
実施例 11: 実施例9の化合物のジアステレオマーB
出発物質:II.4、III.3 方法:A
収率:11% Rf=0.33 ) [ESI-MS:m/e=1538=(M+H)+]
【0282】
実施例 12
【化73】
出発物質:II.4、III.1 方法:B
収率:30% Rf=0.43 ) [ESI-MS:m/e=1522(M+H)+]
【0283】
実施例 13
【化74】
出発物質:II.5、III.1 方法:A
収率:34% Rf=0.376 ) [ESI-MS:m/e=1541(M+H)+]
【0284】
実施例 14
【化75】
出発物質:II.11、III.1 方法:A
収率:41% Rf=0.483 ) [ESI-MS:m/e=1610(M+H)+]
【0285】
実施例 15
【化76】
出発物質:II.11、III.1 方法:B
収率:9% Rf=0.426 )
【0286】
実施例 16
【化77】
出発物質:II.21、III.1 方法:A
収率:15% Rf=0.536 ) [ESI-MS:m/e=1646(M+H)+]
【0287】
実施例 17
【化78】
出発物質:II.21、III.1 方法:B
収率:11% Rf=0.073 ) [ESI-MS:m/e=1630(M+H)+]
【0288】
実施例 18
【化79】
出発物質:II.22、III.1 方法:B
収率:8% Rf=0.316 ) [ESI-MS:m/e=1608(M+H)+]
【0289】
実施例 19
【化80】
出発物質:II.6、III.1 方法:A
収率:38% Rf=0.316 ) [ESI-MS:m/e=1566(M+H)+]
【0290】
実施例 20
【化81】
出発物質:II、III.1 方法:A、次にFmoc開裂
収率:2段階で11% Rf=0.51 ) [ESI-MS:m/e=1522(M+H)+]
【0291】
実施例 21
【化82】
ジアステレオマーA
出発物質:II.7、III.2 方法:A
収率:45% Rf=0.36 ) [ESI-MS:m/e=1524(M+H)+]
【0292】
実施例 22
【化83】
ジアステレオマーA
出発物質:II.23、III.2 方法:A
収率:11% Rf=0.276 ) [ESI-MS:m/e=1596(M+H)+]
【0293】
実施例 23
【化84】
出発物質:II.20、III.1 方法:A
収率:74% Rf=0.256 ) [ESI-MS:m/e=1482(M+H)+]
【0294】
実施例 24
【化85】
出発物質:II.25、III.1 方法:A
収率:44% Rf=0.381 ) [ESI-MS:m/e=1563(M+H)+]
【0295】
実施例 25(実施例19の化合物のジアステレオマーA)
出発物質:II.6、III.2 方法:A
収率:36% Rf=0.143 ) [ESI-MS:m/e=1566(M+H)+]
【0296】
実施例 26
【化86】
ジアステレオマーA
出発物質:II.3、III.2 方法:A
収率:21% Rf=0.346 ) [ESI-MS:m/e=1448(M+H)+]
【0297】
実施例 27
【化87】
ジアステレオマーA
出発物質:II.2、III.2 方法:A
収率:66% Rf=0.483 ) [ESI-MS:m/e=1425=(M+H)+]
【0298】
実施例 28
【化88】
ジアステレオマーA
出発物質:II.24、III.2 方法:A
収率:35% Rf=0.54 ) [ESI-MS:m/e=1636=(M+H)+]
【0299】
実施例 29
【化89】
ジアステレオマーA
出発物質:II.27、III.2 方法:A
収率:13% Rf=0.66 ) [ESI-MS:m/e=1619=(M+H)+]
【0300】
実施例 30
【化90】
出発物質:II.26、III.2 方法:A
収率:67% Rf=0.486 ) [ESI-MS:m/e=1495.3(M+H)+]
【0301】
実施例 31
【化91】
出発物質:II.12、III.2 方法:A
収率:56% Rf=0.466 ) [ESI-MS:m/e=1495.3(M+H)+]
【0302】
実施例 32
【化92】
出発物質:II.13、III.2 方法:A
収率:72% Rf=0.626 ) [ESI-MS:m/e=1523.2(M+H)+]
【0303】
実施例 33
【化93】
出発物質:II.14、III.2 方法:A
収率:69% Rf=0.596 ) [ESI-MS:m/e=1571.3(M+H)+]
【0304】
実施例 34
【化94】
出発物質:II.15、III.2 方法:A
収率:70% Rf=0.2610 ) [ESI-MS:m/e=1511.4(M+H)+]
【0305】
実施例 35
【化95】
出発物質:II.16、III.2 方法:A
収率:81% Rf=0.3310 ) [ESI-MS:m/e=1537.4(M+H)+]
【0306】
実施例 36
【化96】
出発物質:II.17、III.2 方法:A
収率:73% Rf=0.486 ) [ESI-MS:m/e=1553.3(M+H)+]
【0307】
実施例 37
【化97】
出発物質:II.18、III.2 方法:A
収率:54% Rf=0.3110 ) [ESI-MS:m/e=1481.3(M+H)+]
【0308】
実施例 38
【化98】
出発物質:II.19、III.2 方法:A
収率:51% Rf=0.4210 ) [ESI-MS:m/e=1521.3(M+H)+]
【0309】
生物学的試験
A:α v β 3 結合試験
ヒトA375細胞からのαvβ3を、Wongら(Molecular Pharmacology, 50, 529-537(1996))によって記載された方法と同様に精製した。各場合に、TBS pH7.6、2mM CaCl2、1mM MgCl2、1% n−オクチルグルコピラノシド(Sigma)中のαvβ3(5ng)10μL;TBS pH7.6、0.1%DMSO中の被験物質10μL、および45μL TBS pH7.6、2mM CaCl2、1mM MgCl2、1mM MnCl2を室温で1時間培養した。各場合に、次に、WGA SPAビーズ(Amersham、4mg/mL)25μL、およびエキスタチン(0.1μCi、Amersham、クロラミン−T標識)10μLを添加した。室温で16時間後、試料をシンチレーション測定装置(Wallac 1450)で測定した。試験結果を下記の表2に示す。
【0310】
【表2−1】
【0311】
【表2−2】
【0312】
B:種々の腫瘍細胞系における細胞毒性の測定のための増殖阻害試験
ヒト大腸細胞系SW 480およびHT29(ATCC No. CCL 228およびHTB38)およびマウス黒色腫細胞系B16F10(CRL 6475)を、Roux皿において、10% FCSを添加したRPMI 1640培地で集密に増殖させる。次に、それらをトリプシン処理し、RPMI+10% FCSに取り、50,000細胞、またはB16F10については20,000細胞/mLの細胞数を得た。細胞懸濁液100μL/穴を、96微小穴培養皿に添加し、CO2インキュベーターで37℃で1日間培養した。次に、さらに100μLのRPMI培地および1μLのDMSOを、被験物質と一緒に添加した。6日後に増殖を検査した。このために、25μLのMTT溶液(3−(4,5−ジメチルチアゾル−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)を、5mg/mL H2Oの開始濃度において各穴に添加した。CO2インキュベーターで培養皿を37℃で5時間培養した。次に、培地を吸引し、i−プロパノール100μL/穴を添加した。100μLのH2Oと一緒に30分間振とうした後、Multiplate Reader(BIO-RAD 3550-UV)を使用して595nmで吸光度を測定した。
【0313】
各場合の各細胞系についての細胞増殖抑制作用を、表3にIC50値として示す
【表3−1】
【表3−2】
【0314】
C:ヌードマウスモデルを使用した腫瘍増殖の生体内阻害
材料:
腫瘍増殖の阻害を研究する全ての生体内実験において、無胸腺ヌードマウス(NMRI nu/nu株)を使用した。腫瘍を、ヌードマウスにおける連続継代によって発生させた。腫瘍のヒト由来は、イソエンザイム法および免疫組織化学法によって確認した。
【0315】
実験構成:
6〜8週齢のnu/nuヌードマウスの両側腹に、腫瘍を皮下的に植え込んだ。倍加時間に依存して、腫瘍が直径5〜7mmに達すると直ぐに処置を開始した。ランダム化によってマウスを処置群または対照群に分けた(1つの群につき、8〜10個の評価しうる腫瘍を有するマウス5匹)。対照群の各腫瘍は全て前進的に増殖した。
【0316】
腫瘍の大きさを、スライドゲージによって2次元で測定した。細胞数によく相関する腫瘍体積を、全ての評価に使用した。式「長さx幅x幅/2」([axb2]/2、aおよびbは、直角に位置する2つの直径を表す」によって、体積を算出した。
【0317】
第X日の腫瘍の大きさを、第0日(ランダム化したとき)の腫瘍の大きさで割ることによって、相対腫瘍体積(RTV)値を各腫瘍について算出した。次に、RTVの平均値を、さらに評価するのに使用した。
【0318】
腫瘍体積の増加の阻害(被験群腫瘍体積/対照群腫瘍体積、T/C、%)は、最終測定値であった。
【0319】
処置:
化合物は、腹腔内、静脈内、経口または皮下経路によって、数日間にわたって、毎日かまたは間欠的治療計画によって投与することができる。
【0320】
皮下増殖する黒色腫異種移植モデル(MEXF 989)において、いくつかの化合物が腫瘍増殖を阻害した(例えば、実施例2、10および25の化合物)。化合物を、2:1のPEG400/水に溶解し、第1日〜第3日および第15日〜第17日に静脈内または腹腔内投与する。最適T/C計算値を表4に示す。
【表4】
【0321】
D.造血幹細胞の CSF −誘発増殖
骨髄細胞をマウスの大腿骨から洗い落とす。105細胞を、McCoy 5A培地(0.3%寒天)において、組換えネズミGM-CSF(Genzyme;親細胞コロニー形成)および物質(10− 4〜100μg/mL)と一緒に、37℃、7%CO2で、培養する。7日後に、コロニー(<50細胞)およびクラスター(17〜50細胞)を計数する。
【0322】
一連の化合物は、カンプトテシンと比較して、生体外において幹細胞に対する顕著に減少した毒性を示す(表5参照)。
【表5】
【0323】
E.緩衝剤中の MMP − 2 による複合体の開裂
特異活性60μU/μLを有するMMP−2(Calbiochem)2.5μLを、実施例1〜25に示した複合体10nMと一緒に、50mM Tris−HCl pH7.5、0.2M NaCl、10mM CaCl2 *2H2Oおよび0.05% Brij 35から成る培地1mL中で培養する。70% HCIO4/水(0.4%v/v)を溶離剤Aとし、アセトニトリルを溶離剤BとするRP18(5μM)カラムを使用するHPLC分析によって、酵素媒介複合体開裂を検出する(356nMにおけるUV検出)。6時間および24時間の培養後の非開裂複合体(出発物質)と開裂生成物(カンプトテシンのトリペプチド複合体)のピーク領域を比較することによって、開裂有効性を評価する(表6参照)。
【表6】
Claims (21)
- 一般式(I)で示される複合体、およびその生理的に許容される塩および立体異性体:
CT−LI−Sp−IA (I)
[式中、
CTは、細胞毒性基、または細胞増殖抑制剤または細胞増殖抑制剤誘導体の基を表し、該基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはアミノ基をさらに有してもよく;
LIは、DまたはL配置における5〜8個のアミノ酸残基を有するリンカー基であり、該残基はそれぞれ保護基を有している場合もあり;
SPは、不存在、またはカルボニル基またはチオカルボニル基であり;
IAは、下記から成る群から選択される、αvβ3インテグリン受容体に向かう非ペプチド基である:
A) 式(II)の基:
R1は、OH、置換または非置換アルコキシまたはシクロアルコキシ基、置換または非置換アリールオキシ基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよいヘテロシクリルオキシ基であるか、またはそれを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表す場合もあり;
R2は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、任意に置換されていてよいアルケニル基または任意に置換されていてよいアルキニル基であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり、または−NR2 ’ 2、−NR2 ’SO2R2 ’’、−NR2 ’COOR2 ’’、−NR2 ’COR2 ’、−NR2 ’CONR2 ’ 2、または−NR2 ’CSNR2 ’ 2であり;
R2 ’は、互いに独立に、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であるか、またはそれを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もあり;
R2 ’’は、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
Uは、直接結合または置換または非置換アルキレン基であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
Vは、置換または非置換アルキレン基、−NR2 ’CO−または−NR2 ’SO2−であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
AおよびBは、互いに独立に、1,3−または1,4−架橋した、さらに置換されていることもあるフェニレン基であり;
Wは、直接結合または置換または非置換アルキレン基であり;
Cは、不存在であるかまたは
R3は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、アルキルアミン基、アルキルアミド基であるか、または存在する場合にR4、Y、R5またはR6の1つに結合して、任意に置換されていてよい複素環系を形成し、該環系は、R3が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R4は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、アルキルアミン基、アルキルアミド基であるか、または存在する場合にR3、Y、R5またはR6の1つに結合して、任意に置換されていてよい複素環系を形成し、該環系は、R4が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もあり;
Xは、O、NまたはSであり;
mは、0または1であり;
Yは、直接結合または任意に置換されていてよいアルキレンまたはアルキン基であり;
R5は、不存在、−NO2、−CN、−COR5 ’、−COOR5 ’であるか、または存在する場合にR3、Y、R4またはR6の1つに結合して、任意に置換されていてよい炭素環または複素環系を形成し、該環系は、Xを含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく:
R5 ’は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、該複素環式基は、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R6は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、アルキルアミン基、アルキルアミド基であるか、または存在する場合にR3、R4、YまたはR5の1つに結合して、任意に置換されていてよい複素環系を形成し、該環系は、R6が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよい;
または、
B) 式(III)の基:
R7は、OH、置換または非置換アルコキシまたはシクロアルコキシ基、置換または非置換アリールオキシ基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよいヘテロシクリルオキシ基であるか、またはそれを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表す場合もあり;
R8は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、任意に置換されていてよいアルケニル基または任意に置換されていてよいアルキニル基、ヒドロキシル基またはアルコキシ基であるか、またはR9に結合して、任意に置換されていてよい炭素環または複素環系を形成し、該環系は、R8が結合している炭素原子を含み、ヘテロ原子を任意に含有してもよく;
R9は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、任意に置換されていてよいアルケニル基、任意に置換されていてよいアルキニル基、ヒドロキシル基またはアルコキシ基であるか、またはR8に結合して、任意に置換されていてよい炭素環または複素環系を形成し、該環系は、R9が結合している炭素原子を含み、ヘテロ原子を任意に含有してもよく;
R10は、−SO2R10 ’、−COOR10 ’’、−COR10 ’、−CONR10 ’ 2、または−CS−NR10 ’ 2であるか、またはそれを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している場合もある直接結合を表し;
R10 ’は、互いに独立に、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、であり、それを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
R10 ’’は、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、それを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
R11は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、または置換または非置換アリール基であり;
R16は、水素、CN、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アルコキシ基、またはハロゲン原子であり;
R17は、水素、CN、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アルコキシ基、またはハロゲン原子であり;
Lは、−(CH2)nNHSO2(CH2)o−、−(CH2)nSO2NH(CH2)o−、
−(CH2)nNH−CO(CH2)o−、−(CH2)nCONH(CH2)o−、
−(CH2)nOCH2(CH2)o−、−(CH2)nCH2O(CH2)o−、
−(CH2)nCOO(CH2)o−、−(CH2)nOOC−(CH2)o−、
−(CH2)nCH2CO(CH2)o−、−(CH2)nCOCH2(CH2)o−、
−NHCONH−、−(CH2)nSCH2(CH2)o−、−(CH2)nCH2S(CH2)o−、
−(CH2)nCH2SO(CH2)o−、−(CH2)nSOCH2(CH2)o−、
−(CH2)nCH2SO2(CH2)o−、または−(CH2)nSO2CH2(CH2)o−であり、nおよびoは、それぞれ0または1の整数であり、n+o≦1であり;
R12は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であるか、または存在する場合にR13、R14またはR15の1つに結合して、任意に置換されていてよい複素環系を形成し、該環系は、R12が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
X'は、N、OまたはSであり;
pは、0または1であり;
R13は、不存在であるか、または−H、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、−NO2、−CN、−COR13 ’、−COOR13 ’であるか、またはR12、R14またはR15の1つに結合して、任意に置換されていてよい複素環系を形成し、該環系はX'を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R13 ’は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、該複素環式基は、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
Y'は、NまたはSであり;
R14は、不存在であるか、または水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であるか、または存在する場合にR12、R13またはR15の1つに結合して、任意に置換されていてよい複素環系を形成し、該環系は、R14が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R15は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であるか、または存在する場合にR12、R13またはR14の1つに結合して、任意に置換されていてよい複素環系を形成し、該環系は、R15が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく、またはそれを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もある;
または、
C) 式(IV)の基:
R18は、OH、置換または非置換アルコキシまたはシクロアルコキシ基、置換または非置換アリールオキシ基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよいヘテロシクリルオキシ基であるか、またはそれを介して式(IV)の基が複合体の残部に結合している直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表す場合もあり;
qは、0または1であり;
R19は、水素、置換または非置換アルキルまたはシクロアルキル基、置換または非置換アリール基、飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基、アルキルアミン基、アルキルアミド基であるか、またはそれを介して式(IV)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もある]。 - LIは、下記の式:
−AA1−AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−AA7−AA8−
で示されるリンカー基であり、
式中、
少なくとも5個の基AA1〜AA8が存在し、AA1は基CTに結合し;
AA1は、DまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、グルタメート、アスパルテート、セリン、リシン、オルニチンおよびフェニルアラニンから成る群から選択され;
AA2は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、アラニン、バリン、フェニルアラニン、チロシン、スレオニン、セリン、イソロイシン、リシン、グルタメート、ヒスチジン、グリシン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、S−メチル−システイン、メチオニン、アルギニン、アスパルテート、トリプトファン、プロリン、オルニチンおよびロイシンから成る群から選択され、保護基を有する場合もあり;
AA3は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、アラニン、バリン、フェニルアラニン、チロシン、セリン、イソロイシン、リシン、グルタメート、ヒスチジン、グリシン、アルギニン、アスパルテート、トリプトファン、プロリン、オルニチン、メチオニン、S−メチル−システイン、ノルバリンおよびロイシンから成る群から選択され、保護基を有する場合もあり;
AA4は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、システインおよびノルバリンから成る群から選択され;
AA5は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、プロリン、メチオニン、フェニルアラニンおよびシステインから成る群から選択され;
AA6は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパルテートおよびプロリンから成る群から選択され;
AA7は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、γ−アミノ酪酸、アスパルテート、グルタメート、リシンおよびプロリンから成る群から選択され;
AA8は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、リシン、プロリンおよびγ−アミノ酪酸から成る群から選択され;
他の基CT、SpおよびIAは、請求項1と同じ意義を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の複合体。 - LIは、下記の式:
−AA1−AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−AA7−AA8−
で示されるリンカー基であり、
式中、
5〜7個の基AA1〜AA8が存在し、AA1は基CTに結合し;
AA1は、バリン、グリシン、ロイシン、ヒスチジンであり;
AA2は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、アラニン、フェニルアラニン、セリン、イソロイシン、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、グリシン、アスパルテート、トリプトファン、プロリンおよびロイシンから成る群から選択され、保護基を有する場合もあり;
AA3は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、アラニン、フェニルアラニン、セリン、イソロイシン、ノルバリン、S−メチル−システイン、メチオニン、グルタメート、ヒスチジン、グリシン、アスパルテート、トリプトファンおよびロイシンから成る群から選択され、保護基を有する場合もあり;
AA4は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、ロイシン、システインおよびノルバリンから成る群から選択され、保護基を有する場合もあり;
AA5は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、ヒスチジン、グルタミン、フェニルアラニン、イソロイシンおよびメチオニンから成る群から選択され;
AA6は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、プロリン、グルタミン、メチオニンおよびロイシンから成る群から選択され;
AA7は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、ロイシン、アスパルテート、ヒスチジン、γ−アミノ酪酸およびプロリンから成る群から選択され;
AA8は、不存在であるか、またはDまたはL配置における天然アミノ酸であり、該天然アミノ酸は、グリシン、プロリンおよびγ−アミノ酪酸から成る群から選択され;
他の基CT、SpおよびIAは、請求項1と同じ意義を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の複合体。 - CTは、C20−OH基を介して複合体の残部に結合していてもよいカンプトテシンまたはカンプトテシン誘導体であるか、またはドキソルビシンまたはキノロンaであり;
LIは、請求項2また3と同じ意義を有し;
Spは、不存在であるか、またはカルボニル基またはチオカルボニル基であり;
IAは、αvβ3インテグリン受容体に向かう式(II)の非ペプチド基を表し:
式中、
R1は、OH、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、シクロプロポキシ、シクロプロピルメトキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ、シクロヘキソキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、トリルオキシまたはそれらの置換誘導体であるか、またはそれを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表す場合もあり;
R2は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、任意に置換されていてよいアルキニル基または任意に置換されていてよいアルケニル基であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり、または−NR2 ’ 2、−NR2 ’SO2R2 ’’、−NR2 ’COOR2 ’’、−NR2 ’COR2 ’、−NR2 ’CONR2 ’ 2、または−NR2 ’CSNR2 ’ 2であり;
R2 ’は、互いに独立に、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体であるか、またはそれを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もあり;
R2 ’’は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、−C6H2(CH3)3、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、2−クロロフェニル、4−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、2,5−ジクロロフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、カンフォル−10−イル、4−t−ブチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、3−クロロフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2−ナフチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリンまたは8−キノリニルであり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
Uは、直接結合であり;
Vは、任意に置換されていてよいC1 〜 5アルキレン基であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
Aは、非置換であるかまたは少なくとも1個のアルコキシ基を有する1,3−または1,4−架橋フェニレン基であり;
Bは、非置換であるかまたは少なくとも1個のアルキル基を有する1,3−または1,4−架橋フェニレン基であり;
Wは、直接結合であるか、または任意に置換されていてよいC1 〜 4アルキレン基であり;
Cは、直接結合であるか、または
R3は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、
R4は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR3、Y、R5またはR6の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R4が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく、またはそれを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もあり;
Xは、O、NまたはSであり;
Yは、直接結合であるか、または置換または非置換メチレンまたはメチン基であり;
R5は、不存在であるか、または−NO2、−CN、−COR5 ’、−COOR5 ’であるか、または存在する場合にR3、Y、R4またはR6の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員の炭素環または複素環系を形成し、該環系は、Xを含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R5 ’は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体であり;
R6は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR3、Y、R4またはR5の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R6が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよい
ことを特徴とする請求項2または3に記載の複合体。 - R1は、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表し;
式(II)の他の基は、請求項4と同じ意義を有する
ことを特徴とする請求項4に記載の複合体。 - R4は、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表し;
式(II)の他の基は、請求項4と同じ意義を有する
ことを特徴とする請求項4に記載の複合体。 - 式(II)の基が、カルボキシル基に対してα−またはβ−位置にある基を介して複合体の残部に結合し、
式(II)の他の基は、請求項4と同じ意義を有する
ことを特徴とする請求項4に記載の複合体。 - CTは、C20−OH基を介して複合体の残部に結合していてもよいカンプトテシンまたはカンプトテシン誘導体であるか、またはドキソルビシンまたはキノロンaであり;
LIは、請求項2または3と同じ意義を有し;
Spは、不存在であるか、またはカルボニル基またはチオカルボニル基であり;
IAは、αvβ3インテグリン受容体に向かう式(II)の非ペプチド基であり:
式中、
R1は、OH、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、シクロプロポキシ、シクロプロピルメトキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ、シクロヘキソキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、トリルオキシまたはそれらの置換誘導体であるか、またはそれを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表す場合もあり;
R2は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、4−アミノベンジル、トリル、フェニルエチル、4−アミノベンジルのような置換誘導体、またはそれらの飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環類似体、任意に置換されていてよいアルケニル基、任意に置換されていてよいアルキニル基であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
Uは、直接結合であるか、または任意に置換されていてよいC1 〜 3アルキレン基、例えば−CH(C6H4−3−NH)−または−CH(C6H4−4−NH)−であり、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
Vは、−NR20CO−または−NR20SO2−であり;
R20は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、トリル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェノキシエチルまたはそれらの置換誘導体であり;
Aは、非置換であるかまたは少なくとも1個のアルコキシ基を有する1,3−または1,4−架橋フェニレン基であり;
Bは、非置換であるかまたは少なくとも1個のアルキル基を有する1,3−または1,4−架橋フェニレン基であり;
Wは、直接結合であるか、または任意に置換されていてよいC1 〜 3アルキレン基であり;
Cは、
R3は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR4、YまたはR6の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R3が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R4は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR3、YまたはR6の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R4が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく、またはそれを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もあり;
Xは、OまたはSであり;
Yは、直接結合であるか、または置換または非置換メチレンまたはメチン基であり;
R5は、不存在であり;
R6は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR3、YまたはR4の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R6が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよい
ことを特徴とする請求項2または3に記載の複合体。 - R1は、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表し;
式(II)の他の基は、請求項8と同じ意義を有する
ことを特徴とする請求項8に記載の複合体。 - R4は、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表し;
式(II)の他の基は、請求項8と同じ意義を有する
ことを特徴とする請求項8に記載の複合体。 - 式(II)の基が、カルボキシル基に対してα−またはβ−位置にある基を介して複合体の残部に結合し、
式(II)の他の基は、請求項8と同じ意義を有する
ことを特徴とする請求項8に記載の複合体。 - CTは、C20−OH基を介して複合体の残部に結合していてもよいカンプトテシンであり;
LIは、請求項2または3と同じ意義を有し;
Spは、不存在であるか、またはカルボニル基またはチオカルボニル基であり;
IAは、αvβ3インテグリン受容体に向かう式(III)の非ペプチド基であり:
式中、
R7は、OH、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、シクロプロポキシ、シクロプロピルメトキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ、シクロヘキソキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、トリルオキシまたはそれらの置換誘導体、またはそれを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表す場合もあり;
R8は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、−OH、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ベンジルオキシであるか、またはR9に結合して、任意に置換されていてよい3〜6員の炭素環または複素環系を形成し、該環は、R8が結合している炭素原子を含み、ヘテロ原子を任意に含有してもよく;
R9は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、−OH、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシであるか、またはR8に結合して、任意に置換されていてよい3〜6員の炭素環または複素環系を形成し、該環系は、R9が結合している炭素原子を含み、ヘテロ原子を任意に含有してもよく;
R10は、−SO2R10 ’、−COOR10 ’’、−COR10 ’、−CONR10 ’ 2、または−CSNR10 ’ 2であるか、またはそれを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している場合もある直接結合を表し;
R10 ’は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、−C6H2(CH3)3、−C6(CH3)5、−CH2C6H2(CH3)3、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−クロロフェニルメチル、2,4−ジクロロフェニルメチル、2,6−ジクロロフェニルメチル、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、2−メトキシカルボニルフェニルメチル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、フェニルメチル、2−アセトアミド−4−メチルチアゾル−5−イル、フェニルエチル、1−フェニルプロピル、(S)−(+)−カンフォル−10−イル、(R)−(−)−カンフォル−10−イル、2−フェニルエテニル、2−チオフェニル、4−メトキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−プロピルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−アルキルスルホニルフェニル、2−アリールスルホニルフェニル、3−(N−アセチル−6−メトキシ)アニリン、4−アセトアミドフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、5−クロロ−3−メチルベンゾチアゾル−2−イル、N−メトキシカルボニルピペリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、イソオキサゾル−5−イル、エトキシ、2−クロロピリジン−3−イル、ピリジン−3−イル、ベンジルオキシ、5−メチルイソオキサゾル−3−イル、1−アダマンチル、4−クロロフェノキシメチル、2,2−ジメチルエテニル、2−クロロピリジン−5−メチル、5,7−ジメチル−1,3,4−トリアザインドリジン−2−イル、(S)−カンファン−1−イル、(R)−カンファン−1−イルまたは8−キノリニルであり;
R10 ’’は、C1 〜 6アルキル基、C3 〜 7シクロアルキル基、置換または非置換アリール基、または飽和または不飽和の任意に置換されていてよい複素環式基であり、それを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している場合もあり;
R11は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルコキシ−C1 〜 4アルキル、ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、または
R16は、水素、CN、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシまたはヘキソキシ、弗素、塩素、臭素または沃素であり;
R17は、水素、CN、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシまたはヘキソキシ、弗素、塩素、臭素または沃素であり;
Lは、−NHSO2−、−CH2NHSO2−、−NHSO2CH2−、−SO2NH−、−CH2SO2NH−、−SO2NHCH2−、−NHCO−、−CH2NHCO−、−NHCOCH2−、−CONH−、−CH2CONH−、−CONHCH2−、−OCH2−、−CH2OCH2−、−OCH2CH2−、−CH2O−、または−CH2CH2O−であり;
R12は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR13、R14またはR15の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R12が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
X'は、N、OまたはSであり;
pは、0または1であり;
R13は、不存在であるか、または−H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、−NO2、−CN、−COR7 ’、−COOR7 ’であるか、またはR12、R14またはR15の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員の炭素環または複素環系を形成し、該環系はX'を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R13 ’は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体であり;
Y'は、NまたはSであり;
R14は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR12、R13またはR15の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R14が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく;
R15は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、4−メチルシクロヘキシル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、5−メチル−2−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリルまたはそれらの置換誘導体、C1 〜 4アルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4ジアルキルアミノ−C1 〜 4アルキル、アミノ−C1 〜 4アルキル、C1 〜 4アルキルオキシ−C1 〜 4アルキル、(a1)基〜(a28)基の1つであるか、または存在する場合にR12、R13またはR14の1つに結合して、任意に置換されていてよい4〜6員複素環系を形成し、該環系は、R15が結合している窒素原子を含み、飽和または不飽和であってよく、および/またはさらなるヘテロ原子を含有してもよく、またはそれを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表す場合もある
ことを特徴とする請求項2または3に記載の複合体。 - R7は、それを介して式(II)の基が複合体の残部に結合している直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表し;
式(III)の他の基は、請求項12と同じ意義を有する
ことを特徴とする請求項12に記載の複合体。 - R15は、それを介して式(III)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表し;
式(III)の他の基は、請求項12と同じ意義を有する
ことを特徴とする請求項12に記載の複合体。 - 式(III)の基が、カルボキシル基に対してα−またはβ−位置にある基を介して複合体の残部に結合し、
式(III)の他の基は、請求項12と同じ意義を有する
ことを特徴とする請求項12に記載の複合体。 - IAは、αvβ3インテグリン受容体に向かう式(IV)の非ペプチド基であり;
R18は、それを介して式(IV)の基が複合体の残部に結合している直接結合またはN、OおよびSから成る群から選択される原子を表し;
他の基は、請求項2または3と同じ意義を有する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の複合体。 - IAは、αvβ3インテグリン受容体に向かう式(IV)の非ペプチド基であり;
R19は、それを介して式(IV)の基が複合体の残部に結合している直接結合を表し;
他の基は、請求項2または3と同じ意義を有する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の複合体。 - [A] 遊離または所望により活性化されたカルボキシル官能基を有する式(II)、(III)および(IV)の化合物から成る群から選択される化合物を、塩基の存在下に、遊離第一級または第二級アミノ基を有する式(Ia)の化合物:
CT−LI (Ia)
[式中、全ての基は請求項1と同じ意義を有する]
と反応させるか、または
[B] 遊離第一級または第二級アミノ官能基を有する式(II)、(III)および(IV)の化合物から成る群から選択される化合物を、適切であれば塩基の存在下に、炭酸誘導体、例えば、ホスゲン、チオホスゲンまたはクロロ蟻酸エステルと反応させ、次に、遊離第一級または第二級アミノ基を有する式(Ia)の化合物:
CT−LI (Ia)
[式中、全ての基は請求項1と同じ意義を有する]
と反応させ、適切であれば、保護基を除去し、および/または製造工程の好ましい時点で存在する窒素原子を誘導体化し、および/または得られた化合物を遊離酸に変換し、および/または得られた化合物を、無機または有機塩基または酸との反応によって生理的塩の1つに変換にするか、または
[C] 遊離第一級または第二級アミノ官能基を有する式(II)、(III)および(IV)の化合物から成る群から選択される化合物を、塩基の存在下に、遊離または所望により活性化されたカルボキシル官能基を有する式(Ia)の化合物:
CT−LI (Ia)
[式中、全ての基は請求項1と同じ意義を有する]
と反応させ、適切であれば、保護基を除去し、および/または製造工程の好ましい時点で存在する窒素原子を誘導体化し、および/または得られた化合物を遊離酸に変換し、および/または得られた化合物を、無機または有機塩基または酸との反応によって生理的塩の1つに変換する
工程を含んで成る請求項1に記載の複合体の製造方法。 - いくつかの工程を固相で行うことを特徴とする請求項18に記載の方法。
- 請求項1〜17のいずれかに記載の少なくとも1つの複合体を含んで成る薬剤。
- 癌疾患治療用の薬剤の製造における、請求項1〜17のいずれかに記載の化合物の使用。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
EP00128401A EP1219305A1 (en) | 2000-12-27 | 2000-12-27 | Conjugates of integrin receptor antagonists and a cytostatic agent having specifically cleavable linking units |
PCT/EP2001/014965 WO2002051444A1 (en) | 2000-12-27 | 2001-12-18 | Conjugates of integrin receptor antagonists and a cytostatic agent having specifically cleavable linking units |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004519449A true JP2004519449A (ja) | 2004-07-02 |
JP2004519449A5 JP2004519449A5 (ja) | 2005-12-22 |
Family
ID=8170799
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002552585A Withdrawn JP2004519449A (ja) | 2000-12-27 | 2001-12-18 | 特異的開裂性結合単位を有するインテグリン受容体拮抗薬と細胞増殖抑制剤との複合体 |
Country Status (5)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20020183256A1 (ja) |
EP (2) | EP1219305A1 (ja) |
JP (1) | JP2004519449A (ja) |
CA (1) | CA2433116A1 (ja) |
WO (1) | WO2002051444A1 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
AU2003273540A1 (en) * | 2002-05-31 | 2003-12-19 | Cognosci, Inc. | Assays for measuring matrix metalloproteinase activities |
WO2023057813A1 (en) * | 2021-10-04 | 2023-04-13 | Vincerx Pharma Gmbh | Compounds, pharmaceutical compositions, and methods for the treatment, prevention, or management of hyperproliferative disorders |
WO2023057812A1 (en) * | 2021-10-04 | 2023-04-13 | Vincerx Pharma Gmbh | Compounds, pharmaceutical compositions, and methods for the treatment, prevention, or management of hyperproliferative disorder |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE69322860T2 (de) * | 1992-04-03 | 1999-07-01 | Genentech Inc | Antikörper gegen alpha v beta 3 integrin |
CN1402643A (zh) * | 1999-09-08 | 2003-03-12 | 拜尔公司 | 整联蛋白介导的药物靶向作用 |
-
2000
- 2000-12-27 EP EP00128401A patent/EP1219305A1/en not_active Withdrawn
-
2001
- 2001-12-18 CA CA002433116A patent/CA2433116A1/en not_active Abandoned
- 2001-12-18 EP EP01985899A patent/EP1347783A1/en not_active Withdrawn
- 2001-12-18 JP JP2002552585A patent/JP2004519449A/ja not_active Withdrawn
- 2001-12-18 WO PCT/EP2001/014965 patent/WO2002051444A1/en not_active Application Discontinuation
- 2001-12-21 US US10/026,408 patent/US20020183256A1/en not_active Abandoned
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
EP1219305A1 (en) | 2002-07-03 |
WO2002051444A1 (en) | 2002-07-04 |
US20020183256A1 (en) | 2002-12-05 |
EP1347783A1 (en) | 2003-10-01 |
CA2433116A1 (en) | 2002-07-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5149620B2 (ja) | 2価リンカーおよびその結合体 | |
RU2676324C2 (ru) | Пролекарство, содержащее саморасщепляемый линкер | |
CA3008111C (en) | Low molecular weight drug conjugates for binding to carbonic anhydrase ix | |
US20080108576A1 (en) | Novel cytostatic conjugates with integrin ligands | |
JP2006507322A (ja) | 多重自己脱離放出スペーサーとして構築されたプロドラッグ | |
US20060189544A1 (en) | Integrin-Mediated drug targeting | |
BR122019000248B1 (pt) | reagente de ligador de pró-fármaco de cascata polimérico | |
KR20160125361A (ko) | Var2csa-약물 접합체 | |
JP2023119064A (ja) | 四級化ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドサルベージ経路阻害剤コンジュゲート | |
US7803903B2 (en) | Protein-binding doxorubicin peptide derivatives | |
ES2349743T3 (es) | Derivados de la il-21. | |
EP1279405A1 (en) | Drugs retained in target tissue over long time | |
US11896671B2 (en) | Conjugation method for carrier-linked prodrugs | |
JP2004519449A (ja) | 特異的開裂性結合単位を有するインテグリン受容体拮抗薬と細胞増殖抑制剤との複合体 | |
US7220824B1 (en) | Integrin-mediated drug targeting | |
US20020173452A1 (en) | Cytostatic-glycoconjugates having specifically cleavable linking units | |
US10266547B2 (en) | Thieno[2,3-e]indole derivatives as new antitumor agents | |
RU2798085C9 (ru) | Пролекарство, содержащее саморасщепляемый линкер |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20041005 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20041208 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20041208 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20060720 |