JP2004518778A - 火炎処理方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、高分子支持体を火炎処理して、支持体の表面特性を改質する方法に関し、かつ、該方法により処理される物品に関する。
【0002】
火炎処理は、一般に高分子フィルム表面の、特にポリオレフィンフィルム表面の濡れ性および接着性を改善するために使用される。最も濡れ性が良好な表面改質高分子フィルムは、通常、様々な実用的用途で最適な接着性を有する。濡れ性が高いと、その結果、感圧接着剤、プライマー、および低接着剥離塗料などの物質の塗工性および接着性が改善される。濡れ性が高いと、全てのフィルム速度で、水を媒体にする溶液を塗工するのに、および、速い塗工速度で、溶媒を媒体にする物質を塗工するのに特に有用である。
【0003】
火炎処理装置では、通常、予混合火炎が使用される、即ち、燃料と酸化剤が燃焼の前に完全に混合されており、燃焼の速度は火炎中で起きる化学反応の速度によって制御される。予混合火炎では、発光領域は、温度の上昇が最大で、大部分の反応および発熱が起きる火炎部分である。火炎処理工程中、高分子フィルムの一面は火炎付近を通過するが、高分子表面の他方の面は、熱歪を最小限にするように、一般に、例えば冷却ドラムなどの冷却サポート上を通過する。
【0004】
火炎は、一般に2つの特性、即ち、火力、並びに、酸化剤と燃料とのモル比について記載される。火力は、単位時間あたりに燃焼される燃料の容量と、燃料の熱含量との積である。火力の典型的な単位は、W、またはBtu/時である。火炎処理では、火力はバーナーの寸法に合うように標準化され、W/cm2、またはBtu/時−平方インチなどの単位にすることができる。
【0005】
完全燃焼に必要な、酸化剤と燃料との正確な比は、化学量論比として知られている。例えば、メタンの完全燃焼に必要な乾燥空気の正確な量は、メタン1容量あたり9.55容量であり、空気:メタンの火炎の化学量論比は、9.55:1である。当量比は、化学量論的な酸化剤:燃料の比を実際の酸化剤:燃料の比で除したものと定義される。燃料希薄な火炎、または酸化性の火炎では、化学量論より多くの量の酸化剤が存在し、当量比は1未満である。化学量論比の酸化剤:燃料の混合物では、当量比は、1に等しい。燃料過濃な系では、当量比は1より大きい。
【0006】
実際に、全ての工業用火炎処理装置で、空気を酸化剤として、および気体の炭化水素を燃料として用いる層流の(乱流に対する)予混合火炎が使用される。典型的な炭化水素燃料には、水素、天然ガス、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、液化石油ガス、アセチレン、またはこれらのブレンド、並びに、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、メタン、および窒素の混合物からなることが多い都市ガスなどが挙げられる。ハロゲンおよびハロゲン含有化合物はまた、後の塗料に対するポリオレフィンフィルムの接着性を向上させる、酸化剤:燃料の混合物の添加剤として開示されてきた。
【0007】
最近、酸素原子、若しくは窒素原子のいずれか、またはそれらの両方、またはケイ素原子を含有する、燃料、および酸化剤の代替物を過濃にした炭化水素炎では、過濃にされていない火炎プロセスと比較して、高分子フィルムの濡れの値がかなり高くなることが実証された。
【0008】
モノマー、および硫酸バリウムなどのイオウ含有化合物を含有する混合物から重合されるものや、真空グロー放電、または硫化水素などのイオウ含有気体で作り出されるプラズマに、高分子表面を暴露することにより作成されるものなどの様々な種類の支持体で、高分子支持体に対する金属塗料の接着の改善が実証された。
【0009】
高分子表面の濡れ性が向上すると塗工産業に利点があるため、高分子フィルムの濡れ性を改善するプロセスが、引き続き必要とされている。更に、広範囲の高分子表面で金属塗工が望まれているため、高分子表面に対する金属の接着を向上させる向上させるプロセスが引き続き必要とされている。
【0010】
本発明は、例えば、高分子支持体表面の濡れ性を改善するため、または後で塗布される金属塗料層に対する高分子支持体の接着性を改善するため、高分子支持体の表面を改質する方法を提供する。高分子支持体と金属層との間で、親和性の増大が起きるが、高分子支持体が更に酸化されても、金属層の高分子支持体の表面に対する親和性は増大しない。本発明の方法は、酸化剤と燃料との混合物によって維持される火炎に、支持体を暴露する工程を含むが、これは燃料代替物として機能する少なくとも1種類のイオウ含有化合物を含む。
【0011】
一つの好ましい実施形態では、酸化物と燃料との混合物は、燃料希薄な、または化学量論の当量比を有し、得られる火炎処理された高分子フィルムは改善された濡れ性を示す。驚くべきことに、高分子フィルムの処理された表面は、一般に、酸化状態のイオウを含有する少なくとも1種類の化学基、および少なくとも1種類の窒素含有化学基を有する。これらのフィルムでは、濡れ性が改善する。
【0012】
別の好ましい実施形態では、酸化物と燃料との混合物は、燃料過濃である当量比を有し、得られる火炎処理高分子フィルムでは、後で塗布される金属塗料に対する改善された接着力を示す。高分子フィルムの処理された表面は、一般に、酸化状態のイオウを含有する少なくとも1種類の化学基、および非酸化状態のイオウを含有する少なくとも1種類の化学基を有する。
【0013】
本発明はまた、新規な物品に関する。本発明により提供される1つの物品は、酸化状態のイオウを含有する少なくとも1種類の化学基、および、ニトロソおよびニトロソアミンからなる群からの少なくとも1種類の窒素含有化学基を有する高分子表面である。提供される別の物品は、酸化状態のイオウを含有する少なくとも1種類の化学基、および、非酸化状態のイオウを含有する少なくとも1種類の化学基を有する高分子表面である。
【0014】
本発明に従って処理された好ましい高分子支持体では、ASTM D−2578−84濡れ試験により測定される場合、濡れ性の大きな向上、例えば、天然ガスを使用する従来の火炎処理方法で得られる濡れ性よりも16mJ/m2大きい値が観測される。更に、金属に対する高分子支持体表面の接着力の顕著な向上、例えば、50パーセントを上回る、銀に対するポリプロピレンの接着力の向上が観測された。
【0015】
本発明は、燃料代替物として機能する少なくとも1種類のイオウ含有化合物を含む、酸化剤と燃料との混合物によって維持される火炎に、高分子支持体の表面を暴露する工程を含む、高分子表面を改質する方法を提供する。
【0016】
火炎処理は、濡れ性のより良好な表面、および酸化状態の化学基と反応する金属に対する接着性がより良好な表面が得られるように、高分子表面を酸化する方法である。しかし、様々な種類の化学的な表面改質が有用な場合が多く存在する。
【0017】
濡れ性がより良好な、または金属層に対する接着が改善した高分子支持体表面は、塗工産業で有用である。一般に、高分子支持体表面は、濡れ性が良好であるほど、後の塗料溶液、懸濁液、または分散物とより密接に接触することができ、このためそれらを高分子支持体表面へ塗工することがより容易になる。接触が改善されると、その結果、塗料が乾燥した後、高分子支持体表面と塗料との間の接着が改善されていることが多い。濡れ性がより良好になるように改質された高分子表面は、一般に、より酸化した状態にある。酸化した表面は、酸化した表面と反応することができる、後で塗布される物質に対する接着性がより良好である。本発明者らは、高分子表面の濡れ性を改善し得るか、または後で塗布される金属塗料、特に酸化した表面と反応性がないものに対する、高分子表面の接着性を向上させ得る火炎処理方法を発見した。選択される燃料代替物の種類および量、並びに火炎を維持するのに使用される酸化剤:燃料の混合物の当量比で、主に調整する。
【0018】
酸化剤は、燃料より電気陰性度が高い。酸化剤は、燃料と発熱反応し、熱力学的により安定な化学種を生成する。好適な酸化剤は、空気および酸素濃縮空気である。好適な燃料には、例えば、天然ガス、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、液化石油ガス、アセチレン、またはこれらのブレンドなどが挙げられる。
【0019】
酸化剤:燃料の混合物中に含まれるイオウ含有化合物は燃料代替物であり、無機または有機のどちらかでもよい。好適なイオウ含有無機化合物には、例えば、硫化水素などが挙げられる。好適なイオウ含有有機化合物には、例えば、メチルメルカプタンなどのメルカプタンなどが挙げられる。室温および室圧で気体のイオウ含有化合物は、室温で液体のイオウ含有化合物よりも容易に、他の物質と予混合し酸化剤:燃料混合物になる。
【0020】
高分子支持体の表面を改質するのに必要なイオウ含有化合物の有効な量は、イオウを高分子表面上に析出させることになる量である。有効な量は、20モルパーセント超までとすることができ、使用されるイオウ含有化合物、および所望の効果によって変わることになる。使用されるイオウ含有化合物の量は、モルパーセントで表される。モルパーセントは、イオウ含有化合物のモル流量を、イオウ含有化合物のモル流量と燃料のモル流量との合計で除して100倍したものと定義される。驚くべきことに、ごく少量のイオウ含有化合物の存在で、物質の濡れ性が著しく向上し、実施例1で使用される状態が得られた。十分なイオウ含有化合物が含まれ、燃料の一部に代わり、燃料代替物として機能するが、例えば、天然ガス中に臭気剤として微量含まれるメルカプタンは、燃料代替物と見なされない。一般に、イオウ含有化合物は、燃料の0.1モルパーセント以上、好ましくは燃料の0.5モルパーセント以上を構成する。窒素を含有する、燃料または酸化剤代替物は存在しなかったが、驚くべきことに、幾つかの当量比では、高分子表面に窒素含有化学基も固定されていた。空気からの窒素は、一般に、火炎処理条件では不活性であると考えられている。
【0021】
酸化剤:燃料:化合物の混合物中の酸化剤、燃料、およびイオウ含有化合物の最適濃度は、ブレンドの化学量論比を計算し、使用される特定の物質および所望とする効果に最適な当量比を実験的に決定することにより決定される。典型的には、当量比の精度は、記録される値の0.02以内である。最初に、酸化性物質と酸素反応性物質との、または酸化剤と燃料との化学量論比は、酸化剤:燃料:化合物の混合物中での物質の完全燃焼について計算される。最適な当量比は、化学量論的な酸化剤:燃料の比を、最適な表面改質が得られる実際の酸化剤:燃料の比で除したものと定義され、実験的に決定される。空気による硫化水素の燃焼に対する化学量論比は、反応:H2S+1.5O2−−−>SO2+H2O、および乾燥空気中の酸素のモル濃度が20.95パーセントであることに基づき、7.15:1である。空気によるメチルメルカプタンの燃焼に対する化学量論比は、反応:CH3SH+3O2−−−>CO2+SO2+2H2O、および乾燥空気中の酸素のモル濃度が20.95パーセントであることに基づき、14.3:1である。
【0022】
高分子表面を燃料希薄な、または化学量論の火炎で火炎処理すると、酸化状態のイオウを含有する化学基と窒素含有化学基の両方を有する表面が得られる。後者の基の結合エネルギーは、X線光電子分光装置(XPS)としても知られる、化学分析用電子分光装置(ESCA)で測定した場合、約402.4eVである。この結合エネルギーは、ニトロソ(−NO)またはニトロソアミン(=N−N=O)化学基と関連していることが知られている。窒素含有酸化剤代替、または燃料代替化合物は酸化剤:燃料の混合物に添加されなかったため、窒素含有化学種の存在は、予測外であった。
【0023】
酸化状態のイオウを含有する化学基の結合エネルギーは、ESCAで測定した場合、約168.8eVである。例えば、これらの基には、スルフェート(−RSO4R’)、スルホン(−RSO2R’)、スルホネート(−RSO3R’)、およびスルホン酸(−RSO3H)などが挙げられる。これらは、濡れ性の改善と関連し、気体、プラズマ、または液体方法でも生成することができる。
【0024】
本発明から得られる窒素固定は、既知の火炎処理プロセスから得られるものとは異なる。空気中の窒素は、一般に、火炎処理条件では不活性である。従って、窒素含有化学基は、一般に、典型的な炭化水素燃料と空気との混合物によって維持される火炎を用いた火炎処理によって、高分子表面に固定されない。更に、窒素含有燃料代替物、または酸化剤代替物の使用により、様々な組合せの窒素含有化学基が得られる。米国特許第5,753,754号(Strobelら)に開示されるように、酸化状態の窒素官能基(有機硝酸および/または亜硝酸エステル)および還元状態の窒素官能基(アミン、アミド、イミン、および/またはニトリル)が固定される。プラズマ、またはコロナ処理などの、他の窒素固定プロセスでは、還元状態の窒素官能基のみが生成される。しかし、これらの方法では、ニトロソ、またはニトロソアミン化学基が、他の窒素含有化学基から分離して、または最も濃度の大きい窒素含有化学基として固定されることも知られていない。これらの方法はまた、高分子表面に酸化状態のイオウを含有する化学基を固定するのに使用される方法と併用するのが望ましいこと、またはそのように使用されることも知られていない。知られている限り、酸化状態のイオウを含有する化学基と、ニトロソおよび/またはニトロソアミン化学基との両方が存在するのは、他に例がない。濡れ性の著しい向上は、非常に有益である。
【0025】
イオウ含有化合物を含有する、燃料過濃な火炎で高分子表面を火炎処理すると、酸化状態のイオウを含有する化学基と、非酸化状態のイオウを含有する化学基の両方が存在する表面が得られる。酸化状態のイオウを含有する化学基については、前述した。非酸化状態のイオウを含有する化学基の結合エネルギーは、ESCAで測定される場合、約163.8eVである。これらの基には、例えば、スルフィド基(−R−S−R’)およびチオール基(−R−SH)などが挙げられる。これらは、酸化した表面との反応によって接着されない金属に対する接着の改善と関連している。これらの基は、米国特許第5,506,059号(Robbinsら)およびよって接着されない金属に対する接着の改善と関連している。これらの基は、米国特許第5,660,892号(Robbinsら)に開示されるようなプラズマ方法で生成することができる。驚くべきことに、酸化状態と非酸化状態のイオウ含有化学基を両方とも有する本発明の燃料過濃な実施形態により処理された表面で、金属接着の向上が観測された。同様に、同じ当量比を有するが燃料代替のイオウ含有化合物を含有しない酸化剤:燃料の混合物により維持される火炎で、表面を火炎処理して得られる濡れ性と比較すると、幾つかの場合、支持体の濡れ性は少なくとも低下するように見えるが、意外なことに、後で塗布される金属に対する接着は向上する。
【0026】
本発明で有用な金属は、得られる金属フィルムに所望される物質の特性(例えば、導電性)によって変わる。金属の非限定的な例には、クロム、チタン、ニッケル、銅、スズ、インジウム、金、および銀、およびこれらの合金などが挙げられる。
【0027】
本発明は、イオウ含有化学基を固定され得る、広範囲の高分子支持体で有用である。高分子支持体は、少なくとも1つの高分子の主面を有する支持体である。高分子支持体は、火炎処理による表面の改質が可能な任意の形状とすることができ、例えば、フィルム、シート、成形された形状、機械加工された、または組立てられた部品、多孔質または不織材料、三次元の物体、発泡体、繊維、および繊維構造体などが挙げられる。このような高分子支持体には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン;ポリオレフィンポリマーの混合物、およびオレフィンのコポリマー;ポリ(エチレンビニルアセテート)、ポリ(エチレンメタクリレート)およびポリ(エチレンアクリル酸)などのオレフィンセグメントを含有するポリオレフィンコポリマー;ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンフタレート)およびポリ(エチレンナフタレート)などのポリエステル;セルロースアセテート、セルローストリアセテート、およびセルロースアセテート/ブチレートなどのアセテート;ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)などのポリアミド;ポリウレタン;ポリカーボネート;ポリ(メチルメタクリレート)などのアクリル;ポリスチレンおよびスチレンをベースにしたコポリマー;ポリ(塩化ビニル)、ポリ(二塩化ビニリデン)(poly(vinylidone dichloride))、ポリ(ビニルアルコール)およびポリ(ビニルブチラール)などのビニル;ポリ(エチレンオキシド)およびポリ(メチレンオキシド)などのエーテルオキシドポリマー;ポリエーテルエーテルケトンなどのケトンポリマー;ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、およびフッ化エチレンプロピレンなどのフルオロポリマー;エポキシ;ポリイミド;これらの混合物、またはこれらのコポリマーなどが挙げられる。
【0028】
本発明に有用な火炎処理装置は、高分子支持体表面の近くに火炎を供給し、高分子表面の特性を改質することができる任意のものである。一般に、高分子支持体がフィルムの場合は、フィルムの熱歪を防止する冷却サポート、例えば冷却ロール上をフィルムが通過する時に、フィルム表面は火炎処理される。しかし、冷却ロールは必要ではない。例えば、フィルムを2つのサポート間に吊すことにより、十分に冷却してもよい。火炎処理装置には、例えば、英国、オールトンのアエロゲン・カンパニー(The Aerogen Company,Ltd.,Alton,United Kingdom)およびニューヨーク州ニューロシェルのフリン・バーナー・コーポレーション(Flynn Burner Corporation,New Rochelle,New York)により製造される市販のシステムなどが挙げられる。装置は、本発明の火炎処理方法に使用される火炎に供給する前に、酸化剤と燃料を混合するミキサーを有することが好ましい。リボンバーナーが、高分子フィルムの火炎処理に最適であるが、他の種類のバーナーを使用してもよい。
【0029】
火炎は、高分子支持体表面からの最適距離を有し、酸化剤と燃料との混合物によって維持される。発光する火炎の錐体の先端と、高分子支持体の表面との間の距離は、観測される表面特性の向上の程度に影響を与える。一般に、有用な距離は30mm未満であり、−2mmまで小さくすることができる、即ち、この時、フィルムは火炎と接触し、接触しなければ火炎先端の端部の2mmを構成することになる空間を占める。距離は、0mm〜10mmであることが好ましく、0mm〜2mmであることが更に好ましい。
【0030】
本発明を以下の実施例によって更に説明するが、これにより本発明の範囲を限定するものではない。以下の試験方法を使用して、実施例で製造されるフィルム表面を評価し、特徴付けた。
【0031】
前進および後退接触角
Cahn DCA−322動的接触角計器で、ウィルヘルミー(Wilhelmy)プレート法を使用して、試験サンプル表面で、空気中における脱イオンろ過水の前進および後退接触角の測定をした。水の表面張力を21℃で微量はかりを使用して測定すると、72.6mN/mであった。スコッチ・ブランド(SCOTCH BRAND)(登録商標)No.666両面被覆テープを使用し、フィルムの処理された面を外側にして取り付けて3層積層体を準備した。この積層体を準備する間の汚染を防止するため、取扱いの間、サンプルを2軸方向に配向した未処理のポリプロピレンフィルム、2枚の間に挟んだ。この積層体を分析用に2.5×2.5cmの正方形に切断した。ステージ速度は49.8μm/秒、移動距離は約1cmであった。接触角測定に使用される水の体積は約50mLであり、分析するサンプルごとに使用する水を新しいものにした。浮力補正のため線形回帰を使用するカーン(Cahn)計器と共に供給されるソフトウェアルーチンを使用して、前進および後退接触角を計算した。接触角測定に対する典型的な標準偏差は、2〜3°であった。
【0032】
ASTM D−2578−84濡れ試験
高分子フィルム表面の濡れ張力の測定は、高分子フィルムサンプルの表面の様々な領域で、様々な表面張力を有する一連の液体を拭うことによって行われる。フィルム表面の濡れ張力は、約2秒間、フィルムの表面を濡らすだけの液体の表面張力で近似される。この試験で使用される未処理のポリプロピレンフィルムのASTMの濡れ試験の値は、29mJ/m2であった。ASTMの濡れ試験に対する典型的な標準偏差は、±2mJ/m2であった。別途記載されていなければ、結果は6つのサンプルの平均である。
【0033】
表面組成の決定
クラトス・アクシス・ウルトラ分光装置(Kratos Axis Ultraspectrometer)で、単色AlKα光子源を使用し、表面に対する電子の飛び出す角度が38°で、X線光電子分光法(XPSまたはESCA)のスペクトルが得られた。パスエネルギーは、40eVであった。炭化水素で観測される285.0eVの炭素1s準位に関してスペクトルを参照した。ESCAスペクトルから、O/C、S/C、N/C原子比が得られた。ESCAから得られる、O/C、S/C、N/C原子比の典型的な標準偏差は±0.01であった。従って、ピークが存在した場合、報告する値を0.005の最近似までの概数にした。
【0034】
金属接着試験
銀を使用して、サンプルの金属接着性を決定した。カリフォルニア州フリーモンントのCHAインダストリーズ(CHA Industries,Fremont,California)から入手可能なマーク(Mark)50バッチコーターの支持体ホルダにサンプルを固定することにより、サンプルをメタライジングした。蒸着を開始する前に、9×10−6トルの気圧になるまでポンプでシステムを脱気した。電子線蒸発により、1.8nm/秒の速度で120nmの厚さに銀を塗布した(例えば、スパッタリングおよび熱蒸着などの、金属層を塗布する他の方法も使用できる)。メタライジングしたサンプル表面を、アルミニウムパネル上に予め積層したポリ(エチルアクリル酸)フィルム上に積層した。カンザス州ピッツバーグのHIXコーポレーション(HIX Corporation,Pittsburg,Kansas)から入手可能なHIX N−840熱伝達機(Heat Transfer Machine)を使用し、平滑なゴム製底部熱板を用い、約102℃(215°F+/−3°F)のラミネーション温度、4分の停止時間、および172kPa(25psi)のラミネーション圧力を使用して積層を行った。ミネソタ州エデンプレーリーのMTSシステムズ・コープ(MTS System Corp.,Eden Prairie,Minnesota)から入手可能なシンテック・モデル1引張り試験機(Sintech Model 1 Tensile Tester)で、サンプルパネルを固定具に保持したまま、メタライジングしたシートの耳部を引張ることにより剥離を行った。アルミニウムパネルに対して90度の剥離角度が維持されるように、サンプルを剥離する時、サンプルパネルを移動させた。剥離速度は、30cm/分(12インチ/分)であった。接着の結果を銀について報告するが、他の金属についても接着の改善が予測されるであろう。
【0035】
実施例1〜4、および比較例1〜2
実施例1〜4は、高分子フィルムの表面特性に対する火炎中のイオウ含有化合物の効果を表す。
【0036】
実施例1では、露点が−20℃未満の、除塵ろ過した25℃の圧縮空気からなる酸化剤を、天然ガス燃料(比重0.577、乾燥空気:天然ガスの化学量論比9.6:1、熱含量37.8kJ/L)98モルパーセントと、イオウ含有化合物(乾燥空気:硫化水素の化学量論比7.15:1、熱含量24.0kJ/Lの工業用硫化水素燃料)2モルパーセントとからなる燃料混合物の成分と、オハイオ州クリーブランドのパイロニックス・インク(Pyronics Inc.,Cleveland,Ohio)から入手可能なベンチュリミキサ、フロウミキサー(Flowmixer)モデル(Model)1210−1−14中で予混合し、燃焼性混合物を形成した。空気、天然ガス、および硫化水素の流量を、それぞれ、ブルックス・インスツルメント(Brooks Instrumen)モデル(Model)5812(8〜400Lpm)、ブルックス・インスツルメント(Brooks Instrument)モデル(Model)5811(1〜50Lpm)、およびタイラン・ジェネラル(Tylan General)モデル(Model)FC−2911KZ(1〜20Lpm)質量流量計で測定した。変位の原理で機能するインラインのロックウェル・インターナショナル(Rockwell International)累積流量計を使用して質量流量計を較正した。天然ガスおよび空気の流量をバージャー・メーター・インク(Badger Meter Inc.)制御バルブで制御し、硫化水素の流量をタイラン・ジェネラル(Tylan General)質量流量計と一体のバルブで制御した。火炎の当量比が0.97(燃料希薄な燃焼性混合物)、標準化した火力が330W/cm2となるように、全ての流量を調節した。燃焼性混合物は、長さ6mのパイプを通過し、鋳鉄ハウジングの中に35cm×1cmのステンレス鋼リボンが取付けられた、英国、オールトンのアエロゲン・カンパニー(The Aerogen Company Ltd.,Alton,United Kingdom)製のPart No.FMB−206として入手可能なリボンバーナーに達した。
【0037】
ウィスコンシン州カンザスビルのアメリカン・ローラー・カンパニー(American Roller Company,Kansasville,Wisconsin)から入手可能で、アルコサーム(ARCOTHERM)(登録商標)TC−100セラミック塗料を有し、30℃に水冷される直径25cm、面幅40cmのスチール製チルロールの下に、バーナーを取り付けた。電気火花で燃焼性混合物を点火した。発光先端部がリボンバーナーの最上部表面の2〜3mm上にある安定な錐状の火炎が形成した。2軸方向に配向した厚さ0.05mm(2ミル)、幅30cmのホモポリマーポリプロピレン(PP)フィルムは、125m/分で移動し、アイドラーロールにより案内され、チルロールの底部側半分に巻き付いた。発光する安定な火炎錐体の先端部と、ポリプロピレンフィルムの表面との間の距離が2±1mmに維持されるように、リボンバーナーの最上部の表面とチルロールとの間の距離を調節した。フィルムは左から右に移動するため、支持体とチルロールとの間が確実に密接に接触するように、直径10cm、面幅40cmのニップロールをチルロールの供給側の9時の位置に配置した。ニップロールは、アメリカン・ローラー・カンパニー(American Roller Company)から入手可能な、80〜90ショア(Shore)Aデュロメータのポリエーテルウレタンゴムで被覆された。ポリプロピレンフィルムの正面側を層流の予混合火炎に暴露することにより火炎処理し、後ろ側はチルロールと接触させて冷却した。反応性生成物ガスの実際のゾーンは、リボンバーナーダウンウェブ(downweb)寸法の1cmより幾分幅が広かった。実際、反応生成物ガスの噴出炎は、ダウンウェブ方向に動いて約15cmとなった。火炎処理のゾーンの寸法としてこの値を使用し、ポリプロピレンフィルムを火炎に暴露する時間は、約0.07秒であった。
【0038】
実施例2〜4では、表1に列記するように、燃料混合物が4モルパーセント〜8モルパーセントの範囲の様々な量の硫化水素(H2S)を含有したことを除いて、ポリプロピレンフィルムを実施例1のように火炎処理した。比較例1では、燃料混合物が天然ガスのみを含有したことを除いて、ポリプロピレンフィルムを実施例1のように火炎処理した。比較例2では、ポリプロピレンフィルムを火炎処理しなかった。
【0039】
フィルムサンプルを全て、ASTMの濡れ試験、並びに、前進および後退接触角試験で試験したが、抜粋したフィルムは、またESCAを使用して試験した。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
表1
【0041】
表1に見られるように、燃料代替のイオウ含有化合物を含有する火炎で処理したポリプロピレンは、幾つかの条件では、純粋な天然ガス火炎中で処理したポリプロピレンより濡れ性が良好であった。純粋な天然ガス火炎で処理すると、フィルムの濡れ性が29から、56mJ/m2に向上した。しかし、イオウ含有化合物が燃料中に最大約8モルパーセントまでの量で存在する場合、硫化水素を含有する火炎で処理したフィルムの濡れ性は、最大72mJ/m2になった。
【0042】
イオウ含有燃料代替添加剤の有効性は、接触角およびESCAデータにも反映される。水の接触角は、純粋な天然ガス火炎中で処理されたポリプロピレン上よりも、2モルパーセントの硫化水素で火炎処理されたポリプロピレン上の方が顕著に低かった。火炎処理したポリプロピレンフィルムのESCAによるO/C原子比は、また、硫化水素火炎添加剤を使用する火炎方法で処理したサンプルの方が表面酸化のレベルが高かった。
【0043】
更に、イオウまたはイオウ含有官能基と、窒素または窒素含有官能基の両方を、全サンプルのポリプロピレン表面に固定した。上記実施例の燃料希薄な火炎により固定されたイオウの、ESCAによる結合エネルギーは、約168.8eVであった。この結合エネルギーは、一般に、スルホン、スルフェート、スルホネート、またはスルホン酸基などの酸化した形態のイオウの存在を示す。比較例1または2の表面に窒素は固定されなかったため、ポリプロピレンに固定された窒素は驚くべきことであった。この固定された窒素のESCAによる結合エネルギーは、約402.4eVであり、これは一般にニトロソ(−NO)基の存在を示す。
【0044】
図1は、実施例2のイオウのESCAによるスペクトルを表わす。窒素含有基と、酸化状態のイオウを含有する基の両方が検出されたが、非酸化状態のイオウ基はほとんど検出されなかった。
【0045】
実施例5〜14、および比較例3
実施例5〜14は、高分子フィルムの表面特性に対する、イオウ含有火炎の当量比の効果を示す。
【0046】
表2に示すように、火炎の当量比が0.85〜1.20まで(即ち、燃料希薄なものから燃料過濃なものまで)様々であったことを除いて、実施例5〜14のポリプロピレンフィルムを、それぞれ実施例1のように火炎処理した。比較例3は、当量比が1.12であったことを除いて、比較例2のように作成された。フィルムサンプルを全て、ASTM濡れ試験、前進および後退接触角試験、およびESCAで試験したが、抜粋したサンプルは、また金属接着試験でも試験した。結果を比較例1〜2の結果と共に表2に示す。
【0047】
【表2】
表2
【0048】
表2に示すように、ポリプロピレンは、火炎の当量比が0.97の時、濡れ性が最も良好になった。しかし、ポリプロピレンは改質され、当量比が1.0より大きい時に、金属銀に対する接着が最も良好になった。燃料希薄な火炎および化学量論の火炎を用いた実施例5〜10では、ポリプロピレン表面に固定されたイオウのESCAによる結合エネルギーは、約168.8eVであり、スルホン、スルフェート、またはスルホン酸基などの酸化状態のイオウの存在を示した。燃料過濃な火炎を用いた実施例11〜14では、固定されたイオウは、ESCAによる2つの異なる結合エネルギーを有し、あるイオウは、高い方の結合エネルギー168.8eVを有しており、残りのイオウは、低い方の結合エネルギー、約163.8eVを有していた。低い方の結合エネルギーを有するイオウは、スルフィドまたはチオール基などの非酸化状態のイオウを示す。火炎は、非常に酸化性の環境であると考えられるため、火炎により、非酸化状態のスルフィドおよび/またはチオール基の形態でイオウが固定されることは、驚くべきことである。濡れ性の改善は、結合エネルギーが168.8eVのイオウ官能基と、結合エネルギーが402.4eVの窒素官能基の両方の存在と相関があり、金属銀の接着の改善は、結合エネルギーが168.8eVのイオウ官能基と、結合エネルギーが163.8eVのイオウ官能基の両方の存在と関係があった。金属銀の接着の改善は、表面の濡れ性の改善とも、表面の更なる酸化とも、または窒素の固定とも相関していなかった。
【0049】
実施例5〜10では、窒素は、火炎処理されたポリプロピレン表面にも固定された。この固定された窒素のESCAによる結合エネルギーは、約402.4eVであり、ニトロソまたはニトロソアミン基の存在と関係がある。実施例11〜14、または比較例1および3のポリプロピレンには、窒素は固定されなかった。
【0050】
図2は、実施例13のイオウのESCAスペクトルを表わす。酸化状態の、および非酸化状態のイオウ基が明確に検出された。
【0051】
実施例15〜18
実施例15〜18は、高分子フィルムの表面特性に対する、別のイオウ含有燃料代替添加剤の効果を示す。
【0052】
実施例15〜18では、ポリプロピレンフィルムは、イオウ含有燃料代替物が異なり、幾つかのプロセス条件が変化したことを除いて、実施例1のように処理された。燃料混合物は、2.0モルパーセントのメチルメルカプタン(CH3SH)を含有したが、その空気中での燃焼に対する化学量論比は14.3であり、熱含量は約51.4kJ/Lであり、ミネソタ州セントポールのオキシジェン・サービス(Oxygen Service Co.,Inc.,St.Paul,Minnesota)から入手可能である。火炎の当量比は、表3に示されるように、0.90〜1.20まで様々であった。フィルムサンプルを全て、ASTMの濡れ試験、前進および後退接触角試験、およびESCAで試験した。結果を比較例1〜2の結果と共に表3に示す。
【0053】
【表3】
表3
【0054】
表3に示すように、メチルメルカプタンをイオウ含有燃料代替物として使用すると、その結果、イオウがポリプロピレン表面に固定された。実施例15および16で固定されたイオウのESCAによる結合エネルギーは、約168.8eVであり、スルフェート、スルホン、またはスルホン酸官能基が存在することが分かった。実施例17および18でポリプロピレンに固定されたイオウは、ESCAによる高い結合エネルギー約168.8eVと、ESCAによる低い結合エネルギー約163.8eVの両方を有することが分かった。また、結合エネルギーが約402.4eVの窒素が、実施例15および16のポリプロピレンに固定された。
【0055】
実施例19〜21、および比較例4〜10
実施例19〜21は、他の高分子フィルムの表面特性に対するイオウ含有燃料代替物の効果を表す。
【0056】
高分子フィルムが、厚さ0.025mm(1ミル)、幅30cmの2軸方向に配向したポリ(エチレンテレフタレート)(PET)であったということを除いて、実施例19、比較例4および比較例5は、それぞれ、実施例1、比較例1および比較例2と類似の方法で作成された。
【0057】
高分子フィルムが、厚さ0.062mm(2.5ミル)、幅15cmのキャストポリ(エチレン)(PE)であったということを除いて、実施例20、比較例6および比較例7は、それぞれ、実施例1、比較例1および比較例2と類似の方法で作成された。
【0058】
高分子フィルムが、ペンシルベニア州レニのウェストレイク・プラスチックス(Westlake Plastics Co.,Lenni,Pennsylvania)製のキナー(KYNAR)740として入手可能な、厚さ0.05mm(2ミル)、幅30cmのポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)であったということを除いて、実施例21および比較例8は、それぞれ、実施例1および比較例2と類似の方法で作成された。
【0059】
フィルムサンプルは全て、ASTM濡れ試験、前進および後退接触角試験、およびESCAで試験した。結果を表4に示す。
【0060】
【表4】
表4
【0061】
全ての場合において、イオウ含有燃料代替物を含有する火炎により、イオウまたはイオウ含有官能基が様々な高分子フィルムの表面に固定された。イオウ含有燃料代替物を含有しなかった火炎中で処理されるフィルムと比較して、濡れ性も改善された。
【0062】
本発明の範囲および趣旨を逸脱することなく、本発明の様々な修正および変更が可能であることが当業者には明らかであろう。本発明は、単に説明の目的で本明細書に記載されたものに限定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸化状態のイオウを含有する化学基を示す、実施例2の処理されたフィルム表面のESCAスペクトルの図である。
【図2】酸化状態のイオウを含有する化学基および非酸化状態のイオウを含有する化学基を示す、実施例13の処理されたフィルム表面のESCAスペクトルの図である。
Claims (12)
- 高分子支持体を火炎に暴露する工程を含む、高分子支持体を改質する方法であって、燃料代替物として機能する少なくとも1種類のイオウ含有化合物を含む、酸化剤と燃料との混合物によって、前記火炎が維持される方法。
- 前記酸化剤と燃料との混合物が燃料希薄である、請求項1に記載の方法。
- 前記酸化剤と燃料との混合物が燃料過濃である、請求項1に記載の方法。
- 前記イオウ含有化合物が硫化水素を含む、請求項1に記載の方法。
- 少なくとも1つの表面に、請求項1に記載の方法により接着を促進する処理を施された高分子支持体。
- 請求項1に記載の方法により少なくとも1つの表面が処理され、前記処理された表面に接着している金属層を有する高分子支持体。
- 酸化状態のイオウを含有する少なくとも1種類の化学基と、ニトロソおよびニトロソアミンからなる群から少なくとも1種類の窒素含有化学基とを含む表面を含む、表面処理を有する高分子支持体。
- 前記酸化状態のイオウを含有する化学基が、スルフェート、スルホン、スルホネート、またはスルホン酸である、請求項7に記載の高分子支持体。
- 酸化状態のイオウを含有する少なくとも1種類の化学基と、非酸化状態のイオウを含有する少なくとも1種類の化学基とを含む表面を含む、処理された表面を有する高分子支持体。
- 前記酸化状態のイオウを含有する化学基が、スルフェート、スルホン、スルホネート、またはスルホン酸を含む、請求項9に記載の高分子支持体。
- 前記非酸化状態のイオウを含有する化学基が、スルフィドまたはチオールを含む、請求項9に記載の高分子支持体。
- 少なくとも1つの表面に酸化状態および非酸化状態のイオウを含有する基を含む、接着を促進する処理と、その表面に接着された金属層と、を有する高分子支持体。
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