JP2004518693A - 虚血状態を処置するための遺伝子供給製剤および方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【発明の背景】
【技術分野】
本発明は、血管形成因子をコードする核酸を供給し発現させることで血管形成を刺激することに関する。詳細には、本発明の組成物および方法は、末梢血管および冠動脈疾患における虚血状態を改善するために利用できる。本出願は、2000年10月20日出願の米国仮出願60/242,277および2001年5月29日出願の米国仮出願60/294,454を優先権主張の基礎としている。
【0002】
【関連技術の説明】
虚血は身体の器官または組織への血液供給が欠乏していることを示す医学用語である。虚血は通常、酸素が豊富な血液を組織等へ供給する動脈が狭窄または閉塞することから引き起こされる。重篤かつ長期の虚血は被障害組織の死を導く(梗塞)。
冠動脈疾患(CAD)は、酸素を含む血液を心臓の筋系(心筋)に供給する血管における、心虚血を引き起こす疾患を意味する。1つまたはそれ以上の冠動脈が狭窄または閉塞すると心虚血に至る。身体活動の増加や他のストレスにより心臓に負荷される要求に見合う血液供給が不具合になることにより起こる一時的虚血は、狭心症または胸痛を引き起こす。血流が重度にまたは完全に閉鎖すると、心筋が死亡することがあり、これは通常、心筋梗塞(心発作)と称される。心疾患は米国における主要な死亡原因である。心虚血は、薬物療法および心臓の酸素要求を減少させる身体的条件付けまたは薬物使用、心臓への血流を改善させる血管形成術またはバイパス手術により処置されているのが現状である。
【0003】
末梢血管疾患(PVD)は心臓および脳の外側の血管における疾患を意味する。血液を足や腕の筋肉に運ぶ血管が狭窄すると、下肢の筋肉や皮膚の灌流減少、即ち進行性の組織虚血を決定付ける単一または多重狭窄および/または腸骨−大腿−膝窩動脈軸の閉塞、を伴うPVDの典型的な原因となる。末梢動脈疾患(PAD)は冠動脈疾患および頚動脈疾患に類似する状態である。
【0004】
PADでは、脂肪沈着が動脈壁に沿って形成され、それが足および腕に導く主として動脈における血液循環に影響する。アテローム動脈硬化は、下肢の慢性動脈閉塞疾患の最も普通の原因であり、間欠性跛行(虚血性疼痛)から潰瘍形成および壊疽に至る臨床症状を導くことがある。アテローム動脈硬化の進行の結果として起こる動脈狭窄や閉塞は、運動時または休息時において下肢への血流を減少させる。症状の成績スペクトルやその重篤度は、関与の程度や利用可能な側枝循環に依存する。表面大腿および膝窩動脈はアテローム動脈硬化の進行に最も普通に影響される血管である。遠位大動脈およびその2つの腸骨動脈への2分枝は、その次に最も頻繁に関与する部位である。
【0005】
末梢動脈疾患(PAD)は、年次医療費のかなりの部分を占める。さらに、実際の医療費の支出だけでなく、PADは身体不能、労働/賃金の損失およびライフスタイルの制限における主たる原因である(Rosenfield, K., and Isner, JM. (1998). In: Comprehensive Cardiology Medicine. J. Topol, ed. Lippincott−Raven Publishers, Philadelphia 3109−3134)。PADは米国では50歳以上の20人に1人、即ち800万人が罹患していると推定され、そして女性よりも男性において診断されるのが通常である(Creager, MA. (2001) Cardiol Rev. 9, 238−245)。
【0006】
PVDの処置としては、運動、危険因子の改変および薬物療法などの非外科的手段、および血管形成術またはステント挿入などのインターベンショナルラジオロジー手法や、動脈内膜切除、バイパス移植および切断術などの手術的処置を包含する外科的処置などがある。血管形成術では、つぶしたバルーンをその先端に付けたカテーテルを狭窄した動脈セグメントに通し、バルーンを膨らませ、そしてその狭窄したセグメントを広げる。しかし、下肢における血管新生の欠陥に対して利用できる効果的な薬物処置は存在しない。持続的な虚血性潰瘍を有する多くの患者は、外科的または血管内アプローチに適していない。
【0007】
CVDにおける不充分な心臓灌流に応答して、血管床は、冠血管狭窄の回りの領域に血液を送りそれにより心筋を灌流させるのに役立つ側枝と呼ばれる付加的な血管を発達させることができる。心筋および末梢虚血の処置では、血管形成または新血管成長の誘導が虚血組織の灌流を増大させると期待される。
【0008】
繊維芽細胞成長因子(FGF)ファミリー(Yanagisawa−Miwa, et al., Science, 257:1401−1403 (1992) and Baffour, et al., J Vasc Surg, 16:181−91 (1992))、内皮細胞成長因子(ECGF)(Pu, et al., J Surg Res, 54:575−83 (1993))、血管内皮細胞成長因子(VEGF)(Takeshita, et al., Circulation, 90:228−234 (1994) and Takeshita, et al., J Clin Invest, 93:662−70 (1994))、およびVEGFとアンジオポエチン−1との組合わせ(Chae, J.K. et al. Artherioscler Thromb Vasc Biol. December 2000)などの組換え血管形成成長因子を使用し、心筋および後肢虚血の動物モデルにおける側枝動脈の発達を刺激できることが、最近の研究により確立された。局所的な高い最適濃度を維持するには、成長因子の筋肉内投与を繰り返す必要があった。繰り返し投与の必要性は、組換えタンパク質療法の主要な限定である。組換えタンパク質を繰り返し投与すると、タンパク質濃度のスパイクを生じさせ、治療期間中、間欠的な濃度のみを与える。心筋虚血を有する患者における組換えVEGF165およびbFGFタンパク質の第2相臨床試験の最近の結果は、3ヶ月またはおよそ1年の時点で陰性であり、このことは組換えタンパク質療法により得られる短い残留時間では所望の治療効果を得るには不充分であることを示している(Chiron Corp. Press Release 3/12/2000; http://222.prnewswire.com/CHIR; Henry, TD. et al. (1998) J. Am. Coll. Cardiol. 31, 65A)。
【0009】
遺伝子治療が最近薬理学的成績を与えており、それにより、宿主細胞におけるインビボ発現を媒介できる発現組立て物に担持された機能的な組換え遺伝子が供給できている。精製した、または組換えタンパク質を患者へ供給するのに代わり、発現制御要素に沿って遺伝子を供給することにより、患者によるタンパク質の局所産生が可能である。患者によるタンパク質のインビボ産生は自然発現をまねて、単一投与により所望のタンパク質の治療濃度での長期局所産生を導くことができる。
【0010】
手足に虚血を有する患者に治療的血管形成を行うための別のストラテジーは、動脈遺伝子導入である(Kannno S. et al. (1999). Circulation 99, 2682−2687; Liau, G. et al. (2001) Drug Disc Today 1, 689−697; Rissanen, TT. et al. (2001) Eur.J. Clin.Invest. 31, 651−666)。数日または数週間にわたり高い局所的な濃度を適切に維持する潜在的な必要性が、組換えタンパク質療法よりも遺伝子導入を有利としている(Isner JM. and Asahara T. (1999) J. Clin. Invest. 103,1231−1236.)。この血管形成アプローチは様々あり、それらはすでに臨床試験において研究されている(Carmeliet, P. and Jain, RK. (2000). Nature 407, 249−257)。
【0011】
遺伝子治療として血管形成因子を供給すると、組換えタンパク質療法と比較して効能が増大し、投与頻度が減少し、全身毒性が減少する。しかし、有効な遺伝子治療では、所望の治療プロファイルを有するタンパク質を同定し、所望のタンパク質をコードする遺伝子の産生を制御できる発現ベクターを作成し、そして発現ベクターを所望のタンパク質を発現できる細胞に局所的な組織破壊や全身反応を引き起こさずに効率的に局所供給しなければならない。
【0012】
血管内皮成長因子(VEGF)をコードするDNAを供給し血管形成を促すPVDの遺伝子治療がヒト臨床試験において試験された。しかし、試験した患者90人のうち31人(34%)に下肢の浮腫が認められ、VEGF発現は血管透過性という望ましくない副作用を引き起こす可能性があることが示された(Baumgartner et al. Ann Intern Med (2000) 132(11):880−4)。最近の報告では、梗塞性心筋への直接注入、冠動脈への直接注入および心膜内でのインキュベーションにより供給されるセンダイウイルス(HVJ)被覆リポソームを使用し、それにより供給された遺伝子から肝細胞成長因子(HGF)を過剰発現させることにより、梗塞性心筋内の血流を増大させることが記載されている(Aoki et al. Gene Therapy 7 (5), 417−427, 2000.)。
【0013】
組織損傷を伴うことなく効率的に遺伝子を供給できる供給方法またはビヒクルは効率的な遺伝子治療にとって重要である。投与部位からのウイルス製剤の移動を制限するためにポロキサマーゲル製剤を使用するなどして、ウイルスベクターを使用する、血管組織に遺伝子をインビボ供給することが記載されている(Feldman et al. Gene Therapy (1997) 4, 189−198; Van Belle et al. Human Gene Therapy (1998) 9, 1013−1024; Hammond et al., US Patent No. 6,100,242)。直接注入により非ウイルスの裸のDNAを心臓へ供給することがWolff et al.により報告されている(米国特許第5,693,622)。Leiden et al.は米国特許第5,661,133において、直接注入により心臓へ遺伝子を供給することを記載している。冠状静脈における選択圧調節再注入を使用する心筋のウイルス供給も記載されている。Boekstaegers et al. Gene Therapy (2000) 7, 232−240。しかし、ウイルスベクターは幾つかの深刻な欠点を有している。ウイルスベクターは哺乳動物培養において生育させなければならず、その宿主細胞またはウシ胎児血清などの必要な培地成分に由来する他のウイルスの混入を招きかねない。ウイルスベクターは本質的に、外来ウイルスタンパク質を導入させる。このようなベクターをインビボにおいて投与すると、宿主に深刻な免疫応答を引き起こすことがある。
【0014】
進行した虚血心疾患を有する患者を血管形成成長因子で治療する領域はこの5年の間に急速に進歩している(Simons et al. Circulation (2000) 102:e73−e86)。虚血を処置するための治療様式が最近進歩しているにもかかわらず、望ましくない副作用を伴うことなく、哺乳動物の虚血組織に側枝血管成長を促進させることのできる遺伝子として投与可能なタンパク質を同定するさらなる要求がある。さらに、即座の局所または全身毒性や病因性の免疫応答を惹起させずに、効能が増大した、虚血組織にこのような遺伝子を供給できる供給方法および製剤が必要である。
【0015】
【発明の概要】
本発明者らは、心臓および末梢の脈管構造に血管形成因子を効率的に供給するための、現存する供給方法に付随する毒性の問題を回避している新規なアプローチを開発した。
1つの態様では、ポリマー遺伝子供給系は、細胞外ヌクレアーゼによる分解から血管形成因子発現プラスミドを保護し、供給領域内においてそれを骨格筋および心筋繊維に取りこませることができる。
1つの態様では、新規な血管形成因子、発育的内皮座(Developmental Endothelial Locus (Del−1))タンパク質をコードする遺伝子を効率的に供給するための製剤化された発現系を提供する。
【0016】
本発明は1つの態様として、内生Del−1に関連する自己分泌(オートクリン)/パラ分泌の作用様式をより緊密に真似た態様にてDel−1を持続的に局所発現させることのできる、製剤化されたDEL−1コード化プラスミドDNAを提供する。局所供給により、全身投与により引き起こされる全身暴露や毒性の可能性が減じられる。
1つの態様では、末梢手足、心筋、腎血管疾患を伴う腎臓における虚血、脳血管疾患を伴う虚血、創傷治癒、虚血を伴う非癒合性骨折および大腿頭の無血管性壊死を局在的に処置するために準備される非ウイルスプラスミド基本Del−1遺伝子製剤を開示する。Del−1遺伝子は、筋肉内注射、静脈内注射、関節内への関節内注射または逆行性静脈灌流によって投与される。1つの態様では、逆行性静脈灌流は手足、腎臓、肝臓、脳または心臓におけるものである。
【0017】
1つの態様では、製剤化されたDel−1発現系は、ポロキサマーポリマー遺伝子供給系により製剤化されたプラスミド発現系から構成される。このプラスミド発現系は、完全長のヒト発育的内皮座(Del)1タンパク質をコードする真核生物発現カセットを含む。
1つの態様では、製剤化されたDel−1発現系は、2−8℃において安定である単一のウイルス製剤として供給される。製剤化Del−1発現系による虚血組織の処置は要すれば、繰り返すことができる。
【0018】
Del−1はα−v−β−3(avb3)インテグリン受容体のリガンドである。従って、別の態様では、Del−1は、新たな血管の発育にとって重要であることが知られている別の受容体に対するリガンドとして機能する別の成長因子とともに使用する。1つの態様では、血管内皮成長因子2(VEGF−2)受容体のリガンドであるVEGFをコードする核酸とともに、Del−1をコードする核酸を供給し、血管形成および血管新生を調整する。Del−1およびVEGF遺伝子の組合わせ使用は、冠動脈疾患、創傷治癒、末梢動脈疾患および慢性関節リウマチなどの幾つかの、今だ対処されていない治療上の要求にかなうものである。
【0019】
本発明の好ましい態様に対する詳しい説明を、以下の図面ととに参照すれば、本発明をより良く理解することができる。
【0020】
【好ましい態様の詳しい説明】
本明細書にて使用する「血管形成タンパク質」なる用語は、新たな血管の形成を直接的または間接的に誘導できるタンパク質、ポリペプチド、そのムテインまたは部分を意味する。このようなタンパク質には例えば、発育的内皮座−1(Del−1)、酸性および塩基性繊維芽成長因子(aFGFおよびbFGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、上皮細胞成長因子(EGF)、トランスフォーミング成長因子−αおよび−β(TGF−αおよびTFG−β)、血小板誘導内皮成長因子(PD−ECGF)、血小板誘導成長因子(PDGF)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、肝細胞成長因子(HGF)、インスリン様成長因子(IGF)、エリスロポイエチン、コロニー刺激因子(CSF)、マクロファージ−CSF(M−CSF)、顆粒球/マクロファージCSF(GM−CSF)、および一酸化窒素合成酵素(NOS)がある。好ましくは、血管形成タンパク質は、タンパク質を分泌させる分泌シグナル配列を含む。Del−1およびVEGFは好ましい血管形成タンパク質である。
【0021】
発育的に調節される内皮座−1(Del−1)は、胚における血管発育期に発現される、最近同定された内皮細胞特異的細胞外マトリックスタンパク質である(Penta, K. et al (1999). J. Biol. Chem. 274, 11101−11109)。Del−1遺伝子は、発育している脈管構造の内皮に主として、そしてその隣接細胞型に即座に発現される遺伝子としてトランスジェニックマウスにおいてエンハンサートラップにて同定された(Hidai, C., et al. (1998). Genes Dev. 1, 21−33)。Del−1タンパク質およびヒトとマウスDel−1をコードする核酸配列は米国特許第5,877,281 および 5,874,562の主題であり、これらは引用によって本明細書に包含される。
【0022】
固形腫瘍および急性虚血マウス骨格筋におけるDel−1発現のさらなる分析により、Del−1遺伝子の発現が活動的血管形成の領域において局所的に上方調節(up−regulated)されていることが示された。Del−1は出生後は正常には発現していないが、Del−1発現は虚血および他の血管形成刺激に応答して上方調節されている。Del−1は、α−v、β−3インテグリン受容体の結合を介する内皮細胞の遊走および接着に関与していることが示された。組換えDel−1は絨毛尿膜検定において血管形成を増大させることが示されている。
【0023】
Del−1コード化プラスミドによってコードされている完全長Del−1タンパク質は、2つのジスコイジンI様ドメインが後続する3つのEGF様反復からなる約52kDaのタンパク質である。α−v、β−3(「αvβ3」またはavb3」)インテグリン受容体との結合を媒介するRGD配列は、Del−1内の第2のEGF様反復のBループ内に含まれる。RGD配列はフィブロネクチン、ジスコイジンI、ニドゲン(nidogen)/エンタクチン(entactin)およびテナスチン(tenascin)の細胞結合部位であることが示されている(Anderson, 1990, Experientia 46:2)。Del−1の全体構造を図3aに示す。
【0024】
利用可能なデータは、Del−1の作用機序はインテグリン受容体リガンドおよび既知の血管形成因子の中でもユニークであることを示している。αvβ3インテグリン受容体へのリガンド結合により、虚血内皮に対して抗−アポトーシスシグナルが提供され(3)、これは血管形成のために必要であることが知られている(4)。Del−1タンパク質が複雑な構造であること、および完全長Del−1配列のC末端断頭物は内皮接着を支持するが血管形成を惹起させないという観察事項により、Del−1は、今だ同定されていない第2の受容体と相互作用するのかもしれないと推定されている(Penta et al., Journal of Biological Chemistry (1999) 274; 11101−11109)。
【0025】
本発明者らはマウスおよびウサギの後肢虚血の両モデルにおいて、筋肉内投与した非ウイルス製剤化Del−1発現系の治療的可能性を示した。18匹のニュージーランド白ウサギにおいて、遠位外腸骨動脈を結紮した後、大腿動脈を切除することにより、その左後肢に虚血を起こした。手術の日に、虚血した肢にベースライン血管造影を行った。手術の3日後に、ウサギの左大腿四頭筋にVEGFまたはDel−1をコードするプラスミド、または陰性対照としての空ベクター5mgを注射し、虚血肢の血管造影を再び行い、処置した肢から四頭筋を採取し、次いでRT−PCR、CD31免疫検定、およびウサギの内側大腿部に形成される側枝血管の血管造影による分析により、評価を行った。さらに、遠位内部腸骨動脈および深部大腿動脈へと2又に分岐する大腿動脈の部分を結紮することにより32CD−1マウスに虚血モデルを誘発させた。手術の日に、VEGF、Del−1をコードするプラスミドまたは空ベクター70μgを投与した。動物の後肢を上記手術と同じく開き、プラスミドを投与せずに閉じる疑似対照群も使用した。動物をトレッドミル上を走らせ、疲労困憊するまでの走行時間を記録した。ウサギモデルにおける新たな側枝血管形成の点において、非ウイルス製剤化プラスミドのVEGFおよびDel−1投与は有意であった(p<0.01)。マウスモデルでは、Del−1群の毛細管 対 筋細胞比率が対照に比較して1.5倍増大し、これは(p<0.05)の有意差であり、トレッドミル上での疲労困憊するまでの走行時間も有意に改善した(p<0.05)。
【0026】
1つの態様では、血管形成および血管新生が、Del−1とは異なる受容体を利用するもう1つの内皮細胞成長因子とともにDel−1を生成させることで調整される。Del−1はα−v−β−3(avb3)インテグリン受容体のリガンドである(Hidai, C. et al. Genes and Development 1998, 12:21−33)。
【0027】
対照的に、血管内皮成長因子VEGFは血管内皮成長因子受容体−1(VEGFR−1,a.k.a.flt−1)およびVEGFR−2(ヒトではa.k.aKDR)のリガンドである。現在のデータは、flt−1を介するシグナリングが内皮細胞の遊走に主として関与しており、KDRのように増殖には必須でないことを示している。VEGFR−1はVEGFR−2の活性を実際に拮抗することができる(Yancopoulos, GD, et al. Nature (2000) 407:242)。avb3インテグリン受容体およびVEGF受容体−2は2つの重要な経路に関与している。avb3インテグリン受容体の刺激は、血管形成にとって重要な工程である内皮細胞の遊走を媒介すると考えらる。VEGF受容体−2は刺激に応じて自己リン酸化するチロシンキナーゼ受容体であり、内皮細胞の増殖や運動を促進するキナーゼのカスケードを開始させる。VEGF−R2の刺激はavb3を上方調節する。avb3はVEGF−R2の結合により上方調節されるが、この系を最大にするに充分なリガンドがマトリックスに既に存在することにより、さらなる付加的なDel−1があったとしても付加的な効果をもたらさない可能性があった。本発明者らはここに、ユニークな血管形成インテグリン受容体リガンドであるDel−1が付加的にあることにより、血管形成の促進においてVEGFを相乗的に高めるだけでなく、内皮細胞の遊走および増殖を顕著に増大させることができることを見出した。
【0028】
本発明者らは驚くべきことに、準最大(sub−maximal)のレベルで2つの遺伝子を供給すると内皮細胞が遊走され、これは遺伝子を個々に最大用量で供給した場合より明らかに優れていることを見出した。2つの受容体は刺激に際してそれぞれ相互作用することは既に同定されていたが、いずれも固有のリガンドに直接結合して他のリガンドと結合する必要はない。しかし、一方の受容体が刺激され次いで、結合していない受容体に結合すると、部分的な結合になるだけである。本発明の基本は、Del−1およびVEGFの2つのリガンドを同時投与すれば、avb3インテグリンおよびVEGF受容体−2の完全な結合を可能にする点にある。
【0029】
本明細書にて使用している「Del−1遺伝子」なる用語は、Del−1遺伝子ファミリーの機能的タンパク質をコードするDNA配列を意味する。本発明では、Del−1遺伝子産物のアミノ酸配列をコードするあらゆるヌクレオチド配列を、Del−1遺伝子産物を発現させる組換え分子を創製するために使用できる。遺伝子コードの本来的な縮重により、同じアミノ酸配列または機能的に等価なアミノ酸配列を実質的にコードする他のDNA配列を本発明の実施にあたり使用できる。このようなDNA配列には、マウスおよび/またはヒトDel−1配列とストリンジェントな条件下にハイブリダイズできる配列が含まれる。「ストリンジェントな条件」とは本明細書においては、(1)低イオン強度かつ高温の洗浄、例えば50℃における0.015M NaCl/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1% SDSを使用、(2)ハイブリダイゼーション時においてホルムアミドなどの変性剤、例えば42℃において50%(vol/vol)ホルムアミドおよび0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%Ficoll/0.1%ポリビニルピロリドン/50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)および750mM NaCl、75mMクエン酸ナトリウムを使用、または(3)42℃における50%ホルムアミド、5×SSC(0.75MNaCl,0.075Mピロリン酸ナトリウム、5×Denhardt’s溶液、音波処理サケ精子DNA(50g/ml)、0.1%SDSおよび10%デキストラン硫酸を使用し、0.2×SSCおよび0.1%SDS中、42℃にて洗浄する条件を意味する。本発明に使用できる改変DNA配列には、同じ遺伝子産物または機能的に等価な遺伝子産物をコードする配列を与える、別のヌクレオチド残基の欠失、付加または置換が含まれる。遺伝子産物自身は、サイレント変化であり機能的に等価なDel−1タンパク質を与える、Del−1配列内におけるアミノ酸残基の欠失、付加または置換を含むことができる。このようなアミノ酸置換は、関連する残基における極性、荷電性、溶解性、疎水性、親水性および/または両親媒性の類似性に基づいて作成できる。例えば、負に荷電したアミノ酸にはアスパラギン酸およびグルタミン酸があり:正に荷電したアミノ酸にはリジン、ヒスチジンおよびアルギニンがあり:類似した親水性値を示す荷電していない極性ヘッド基を有するアミノ酸にはグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシンがあり:非極性ヘッド基を有するアミノ酸にはアラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、プロリン、メチオニン、トリプトファンがある。本発明のDNA配列は遺伝子操作することで、遺伝子産物のプロセッシングや発現を修飾する改変など(これらに限定されない)の様々な末端に対応するようDel−1コード化配列を改変できる。例えば、部位特異的突然変異などの当業者に周知の手法により突然変異を導入し、新たな制限部位を挿入し、グリコシル化パターンやリン酸化などを改変することができる。本発明は別の態様として、Del−1または修飾Del−1配列を異種配列に連結し、融合タンパク質をコードさせることができる。生物学的に活性なDel−1を発現するには、Del−1をコードするヌクレオチド配列またはその機能的等価物を適当な発現ベクター、即ち挿入コード化配列を転写し翻訳するのに必須の要素を含むベクターに挿入する。
【0030】
本明細書にて使用する「Del−1タンパク質」なる用語は、Del−1遺伝子の配列から誘導される核酸によりコードされている、Del−1活性を有するポリペプチド配列を意味する。
本明細書にて使用する血管内皮成長因子(VEGF)は46−48kDaの重度にグリコシル化されているホモ二量体のタンパク質(24kDaサブユニット)であるが、グリコシル化は生物活性に必要とされていない。ホモ二量体サブニットはジスルフィド結合により連結している。そのヒト遺伝子は約12kbの長さであり、8つのエキソンを含んでいる。VEGF−Aをコードする少なくとも4種のmRNAが同定されており、組織特異的に発現されることが見出されている。その因子の165アミノ酸型(VEGF−165)が殆どの組織にて見出される最も普通の型である。VEGF−121およびVEGF−165はその因子の可溶性分泌型であるが、VEGF−189およびVEGF−206は細胞表面上のまたは基底膜内のヘパリン含有プロテオグリカンにその殆どが結合している。これらは、エキソン6によりコードされる配列を欠くVEGFの165アミノ酸型、およびエキソン6および7配列を欠く121アミノ酸型を伴う差別的スプライシングにより生じる。
【0031】
170−235kDaの高親和性糖タンパク質VEGF受容体は血管内皮細胞にて発現される。VEGFの高親和性受容体、現在はVEGF−R1として知られているものはflt−1の遺伝子産物として同定された。現在はVEGF−R2として知られているVEGFの別の受容体はflk−1としても知られているKDRである。KDR/VEGFR−2受容体を介するシグナリングにより、インテグリン受容体の発現が上方調節される。
【0032】
別のVEGF関連因子はVEGF−Bであり、これはVEGFおよびVEGF−C(a.k.a.VEGF−2)とヘテロ二量体を形成する。VEGF−Cはより長い前駆体がタンパク質分解的に開裂することにより誘導される。VEGF−Cの別の受容体はFlt−4である。VEGF−Dとも記載され、これはKDR/Flk−1およびFlt−4の両者のリガンドである。従って、KDR/VEGFR−2のリガンドにはVEGF−A、VEGF−CおよびVEGF−Dファミリーが含まれる(Yanocopoulos, GD, et al. Nature (2000))。1つの態様では、VEGF−A、−Cおよび−DをDel−1とともに使用し、血管形成を促す。
【0033】
「内部投与に適した」なる用語は、ある化合物が生物の組織内、例えば筋肉内または関節空隙内、皮内、皮下または静脈内への投与に適してることを意味する。
「核酸」とは、RNAとDNAの両方を意味し、cDNA、ゲノムDNA、プラスミドDNA、凝集核酸、または核酸の局在的なバイオアベイラビリティーを長期化できる化合物と共に製剤化された核酸を包含する。好ましい態様では、投与される核酸は、「ベクター」を含むプラスミドDNAである。
【0034】
「逆行性注入」または「逆行性灌流」とは、正常な血流の経路に逆らった静脈内投与を意味する。心臓の逆行性注入または灌流のためには、バルーン閉鎖カテーテルを経静脈的に冠静脈洞に挿入する。カテーテルは冠静脈洞からさらにその支流、即ち大心臓静脈(GCV)、中心静脈(MCV)、左心室後静脈(PVLV)、前室間静脈(AIV)、またはそれらの側枝に到達させることができる。この供給様式は元来、薬物、心臓保護剤の供給または心臓手術時の心臓機能停止法のためのものとして開示されている(Kar et al. Heart Lung (1992) 21; 148−59; Herity et al. Catheter Cardiovasc Interv (2000) 51; 358−63)。マーカータンパク質であるLacZやルシフェラーゼをコードする裸のプラスミドDNAを逆行供給することはWolff によりWO00/15285に記載されている。しかし、トランスフェクションを行う物質とともに製剤化されたDNAについては教示も示唆もされていない。
【0035】
「ベクター」とは、治療産物(群)をコードする核酸配列と共に、転写、翻訳、転写物安定、複製および当技術分野で知られている他の機能についての様々な調節要素を含む分子である。ベクターは、プラスミドまたは他のDNAベクターなどの核酸であることができる。あるいは、ベクターは、天然の形態がウイルス粒子のゲノム物質を含む修飾ウイルスであることができる。
【0036】
「転写物安定」とは、転写物の半減期を長期化(消失を遅らせる)するのに寄与するベクター内の配列である。「翻訳後プロセッシング」とは、発現した遺伝子産物に対してなされる修飾を意味する。これには、炭化水素、脂質、無機または有機化合物などの側鎖の付加、標的シグナルまたはプロペプチド要素の開裂、および例えばミトコンドリア、核または膜などの細胞の特定の区画における遺伝子産物の位置決めが含まれ得る。ベクターには直鎖または環状構造の1つまたはそれ以上の遺伝子を含ませることができる。また、ベクターには遺伝子産物の産生、製造または分析に関与するプラスミド骨格または他の要素を含ませることもできる。「発現ベクター」とは、ベクター内に含まれる核酸配列によってコードされている産物を産生できるベクターである。例えば、特定遺伝子によりコードされている特定の成長因子タンパク質を発現させるものである。「遺伝子産物」とは、ベクターの核酸配列によりコードされている産物を意味する。
【0037】
「核酸の局在的なバイオアベイラビリティー(生物学的利用性)を長期化」とは、本発明における化合物を含む組成物中の核酸を生物に投与すると、その化合物を含まない組成物中にて投与した場合よりも長い期間、細胞からの取り込みに利用される意味である。この細胞への核酸利用性の増大は、例えば核酸含有組成物と細胞との接触期間が増大すること、またはヌクレアーゼによる攻撃から核酸が保護されることに由来して起こるのであろう。核酸の局在的なバイオアベイラビリティーを長期化する化合物は内部投与に適している。
【0038】
核酸の局在的なバイオアベイラビリティーを長期化する化合物はその物理的、化学的または流体力学的性質により以下に示す1つまたはそれ以上の効果を達成することができる:(1)ヌクレアーゼからの核酸、例えばプラスミドDNAの保護;(2)核酸が取り込まれる細胞外マトリックスおよび細胞膜を介した、核酸、例えばプラスミドDNAと接触領域の増大;(3)水排除による細胞表面への核酸(プラスミドDNAなど)凝集;(4)浸透性、疎水性または細胞溶解性により細胞膜を破壊することによる核酸(プラスミドDNAなど)の間接的な取り込み。核酸の局在的なバイオアベイラビリティーを長期化する化合物としての使用に適した化合物には以下のものがある:
ポロキサマー(Pluronics(登録商標));ポロキサミン(Tetronics(登録商標));ポリグルタメート;酢酸ビニルエチレン;ポリエチレングリコール;デキストラン;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;プロピレングリコール;およびポリビニルアセテートなど。これらの物質は溶液、懸濁液、ゲル、エマルジョンまたはミクロエマルジョンとして調製することができる。「溶液」とは、核酸を含む溶液中の水溶性ポリマーおよび/または界面活性剤を意味する。
【0039】
核酸のバイオアベイラビリティーを長期化する化合物はまた、分子間力および/または原子荷結合、例えばファンデルワールス力、イオン−双極子相互作用、イオン誘導性双極子相互作用、水素結合またはイオン結合によって核酸と相互作用するか、または会合することができる。この相互作用は以下の機能を果たすことができる:(1)核酸をヌクレアーゼから立体選択的に遮蔽して保護する;(2)「ピギーバック(piggyback)エンドサイトーシス」により核酸の細胞取り込みを容易にする。ピギーバックエンドサイトーシスとは、エンドサイトーシスにより取り込まれ得る担体と複合体を形成した薬物または他の分子の細胞取り込みである。CV UgleaおよびC Dumitriu−Medvichi, 合成オリゴヌクレオチドの医療適用, In: Polymeric Biomaterials, Severian Dumitriu著., Marcel Dekker, Inc., 1993(引用により本明細書中に包含される)。ここに記載の所望の効果を達成するために、核酸のバイオアベイラビリティーを長期化する化合物は両親媒性の特徴を持つこと、即ち親水性領域と疎水性領域の両方を持つことが望ましいが、必須ではない。化合物の親水性領域は、核酸の大部分のイオン領域および親水性領域と会合することができ、一方化合物の疎水性領域は、核酸の拡散を遅延させ、核酸をヌクレアーゼから保護するように働くことができる。加えて、化合物の疎水性領域は細胞膜と特異的に相互作用することで、化合物のエンドサイトーシスを容易にすることができ、それにより化合物と会合した核酸のエンドサイトーシスが起こる。この過程で細胞周囲の核酸濃度が増加できる。両親媒性の特徴を有し、一般に製薬的に許容されると考えられる物質には、以下の物質がある:
ポロキサマー(Pluronics(登録商標));ポロキサミン(Tetronics(登録商標)); エチレンビニルアセテート;ポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;ポリビニルアセテート。さらに、コポリマー系、例えばポリエチレングリコール−ポリ乳酸(PEG−PLA)、ポリエチレングリコール−ポリヒドロキシ酪酸(PEG−PHB)、ポリビニルピロリドン−ポリビニルアルコール(PVP−PVA)および誘導体コポリマー、例えばN−ビニルプリン(またはピリミジン)誘導体およびN−ビニルピロリドンなどのコポリマー。
【0040】
非ウイルス核酸の非凝集ポリマー製剤の具体的な利点は、食塩水中のプラスミドおよび非凝集ポリマーであるPVPとの製剤化プラスミドを比較している図14に示しているような、変動係数が大幅に減少して使用できることである。
【0041】
本明細書にて使用している「ポロキサマー」という用語は、疎水性のプロピレンオキサイド(POP、ポリオキシプロピレンは式:(C3H6O)xで示されるので、単位分子量58である)および親水性のエチレンオキサイド(POE、ポリオキシエチレンは式:(C2H4O)xで示されるので、単位分子量44である)から成るジ−またはトリ−ブロックコポリマーを意味する。ポロキサマーはポリグリコールの化学ファミリーである。ポロキサマーの共通する化学名はポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマーである。CAS番号は9003−11−6である。
【0042】
プルロニック(Pluronic(登録商標))はBASFが製造しているポロキサマーの登録商標である。欧州では、BASFが製造している医薬品グレードのポロキサマーはルトロール(Lutrol)の名称で市販されている。プルロニック型のポロキサマーは、疎水性プロピレンオキシドブロックが2つの親水性エチレンオキサイドブロックに挟まれたトリ−ブロックコポリマーであり、以下の一般式および構造を有する:
【化1】
【0043】
リバースプルロニック(reverse Pluronic(登録商標))型のBASFポロキサマーは、以下の構造を有する:
【化2】
【0044】
本明細書中にて用いる、「ポロキサミン」という用語は、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)(POE−POP)ブロックコポリマーであり、POE−POP単位が他のPOE−POP単位とアミンによって連結されており、一般構造式:(POEn−POPm)2−N−C2H4−N−(POPm−POEn)2を有するコポリマーを意味する。BASFが製造しているTETRONIC(登録商標)およびTETRONIC Rの非イオン性界面活性剤がポロキサミンとして例示される。ポロキサミンはそのアミン基により正に帯電しているが、凝集濃度で使用してもDNAは凝集しないと考えられる。
【0045】
ポロキサミンはアルコキシ化アミンの化学ファミリーである。BASF Testrnic(登録商標)型は、式:(POEn−POPm)2−N−C2H4−N−(POPm−POEn)2で示される化学名1,2−エタンジアミンポリマーであり、CAS番号11111−34−5である。Reverse Tetronics(登録商標)は式:(POPn−POEm)2−N−C2H4−N−(POEm−POPn)2で示され、CAS番号26316−40−5である。
【0046】
以下のBASF Tetronics(登録商標)はプラスミドDNAの筋肉への供給を増大させるのに有用であることが示されており、これは、Del−1を含みそれをコードする遺伝子を筋肉への直接注射または逆行性供給による供給を増大させるのに適用できる。
TETRONIC(登録商標)904は平均分子量6,700Daの液体として供給される。
TETRONIC(登録商標)908は平均分子量25,000Daの固体として供給される。
TETRONIC(登録商標)1107は平均分子量15,000Daの固体として供給される。
TETRONIC(登録商標)90R4は平均分子量7,240Daの液体として供給される。
【0047】
実施例1: 骨格筋繊維へのプラスミド供給を増大させるための製剤
筋肉へのプラスミド供給を増大させるには、PINC(登録商標)(保護、相互作用、非凝集(Protective, Interactive, Non−Condensing))ポリマー供給系の製剤により行うことができる。Del−1のPINC(登録商標)供給系はU.S.P NFグレードポロキサマー188 (Pluronic(登録商標)F68)を含む。図1は、マウス骨格筋における発現プラスミドの供給に対するプラスミドおよびポロキサマー188濃度の効果を示している。マウスの前脛骨筋に、プラスミドおよびポロキサマーをそれぞれ濃度0.1から3.0mg/mlおよび1−10%で含有するプラスミド/ポロキサマー188製剤10μlをim注射した。注射の7日後に注射した筋肉を捕集し、ルシフェラーゼ発現について検定した。データは、平均±SEM(n=10筋肉/群)として示す。1mg/mlプラスミドおよび5%(w/v)ポロキサマー188からなる最適なプラスミド/ポロキサマー188製剤により、等張性生理食塩水中の同等濃度プラスミドで製剤化したもので観察される発現レベルと比較して約1対数高い発現が得られた。この最適なプラスミドポロキサマー製剤を次のウサギ骨格筋試験に用いた(図2)
【0048】
図2は、等張性生理食塩水、ポリビニルピロリドンまたはポロキサマー188PINC(登録商標)供給系で製剤化したルシフェラーゼ発現プラスミドpLC0888をラットの前脛骨筋に注射した際のルシフェラーゼ発現を示している。ルシフェラーゼ発現プラスミドpLC0888はサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、5’合成イントロン、ルシフェラーゼをコードする遺伝子およびウシ成長ホルモン遺伝子由来の3’ポリアデニル化シグナルと非翻訳領域を含んでいる。異なる上付きの棒グラフは異なっている(p<0.05)。生理食塩水中のプラスミド製剤と比較して約1対数高い、マウスにて観察された遺伝子発現がラットでも観察された。ポロキサマー188のプラスミド製剤の筋肉内注射は充分に寛容性であり、いかなるグロス病状も関連性が見出されなかった。
【0049】
非凝集ポリマー供給系による製剤に加え、エレクトロポレーションを利用しても幾つかの試験において、プラスミドの骨格筋への供給が増大された。最適なパラメーターを使用するエレクトロポレーションはプラスミド供給をさらに1−2対数増大させることが示されている。この増大供給により、マウス肢筋肉内における筋繊維の実質的に全体がプラスミドコード化トランスジーンを発現した。エレクトロポレーションを使用し、局所的に発現したDel−1に対する完全な用量応答を試験した。前臨床試験の結果から、Del−1発現の治療的レベルはエレクトロポレーションなどの機械的増強がさらにあっても無くても達成できることが示された。
【0050】
実施例2: Del−1発現プラスミド
サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、5’合成イントロン、hDel−1cDNAおよびヒト成長ホルモン遺伝子由来の3’ポリアデニル化シグナルと非翻訳領域を組込み、Del−1発現系を開発した(図3b)。ヒトDel−1をコードする発現プラスミドに加え、類似したマウスDel−1発現プラスミドを構築した。mDel−1プラスミドは幾つかのマウス前臨床試験にて利用されている。図3bに示すDel−1発現カセットは、プラスミド産生の際に選択的成長を行うためのカナマイシン耐性の細菌遺伝子を含むプラスミド骨格中に含まれている(図3c)。例えば、別のプロモーター、5’および3’非翻訳領域、ポリアデニル化シグナルを含む他の発現骨格、および当業者に周知のものを使用してもよい。図12はヒトDel−1のヌクレオチド配列を示し、図13は、図3cに模式図的に示すヒトDel−1発現プラスミドpDL1680のヌクレオチド配列を示している。
【0051】
実施例3: Del−1遺伝子医薬の薬理
Del−1ウエスターン: Del−1コード化ベクターからのタンパク質産物をSDS−PAGEゲルにより分析した。2.5mmシリカビーズを細胞溶解緩衝液10μl/mg(湿重量)とともに含有する2mlチューブ中にて、凍結乾燥した筋肉組織をホモジナイズし、不溶性物質を遠心にて除去した。NOVEXトリス−グリシンゲルに対して、高分子量マーカー(SIGMA #C3312)、1レーン当たりペプチド標品(PROGENITOR)50ngまたは未知の試料の総タンパク質50μgを負荷した。得られたゲルをニトロセルロース膜に移し、PBS/0.1%Tween−20/5%ドライミルク/4%BSA中にて1時間ブロックした。一次抗体は、ブロック緩衝液に希釈度1:500で一晩加えたラット抗−Del−1モノクローナル抗体であった。PBS/0.1%Tween−20中で洗浄した後、抗−ラットHRP二次抗体をPBS/0.1%Tween−20に希釈度1:10、000で加えた。得られた膜を1時間インキュベートし、次いでAMERSHAM ECL化学ルミネッセンス試薬中にて1−2分間完全に洗浄し、インキュベートし、X−OMAT ARフィルムに暴露した。
【0052】
IGEN: 製剤化したDel−1発現系からのタンパク質産物を、Del−1のために特別に開発したOFIGEN IGEN免疫検定により定量化した。簡単に説明すれば、2.5mmシリカビーズを細胞溶解緩衝液10μl/mg(湿重量)とともに含有する2mlチューブ中にて、凍結乾燥した筋肉組織をホモジナイズし、不溶性物質を遠心にて除去した。この検定では、アビジン被覆ビーズ、ビオチン化捕獲抗体およびルテニウム化検出抗体を利用した。すべての試薬をインキュベートして結合させ、次いでIGEN装置によりサンプリングした、ここでは磁気捕獲系がビーズ複合体を結合し、非結合画分は洗い流される。結合した複合体を介して電流が流れ、シグナルを放出するルテニウム化成分が検出器により測定される。この検定のダイナミック・レンジは10pg−100ng/全タンパク質mg(溶解液中)である。
【0053】
RT−PCR: Del−1およびVEGF−165を分析し、Del−1およびVEGF−165RNAの存在をRT−PCRにより同定した。RT−PCRの操作として、まず後肢から筋肉を採取し、その組織を疎液し、ホモジナイズした。次いで、得られた組織を、ビーズビートおよびTel−Test RNA Stat 60を用いてRNAのために加工した。試料から夾雑DNAを除去するため、標準的なDNアーゼI(Boehringer Mannheim)操作を行った。RT−PCRは、SUPERSCRIPT(登録商標)ONE STEP(登録商標)RT−PCR System (GIBCO/BRL)により行った。cDNA合成およびPCRはともに、遺伝子特異的プライマーを用いた単一チューブで行った。Del−1およびVEGF両者のプライマーを、プラスミドの合成イントロンをまたぐように選択した。DEL−1プライマーにより304bp断片が得られる(DNA夾雑は421bp)。プライマーはセンス5’−TGA CCTCCA TAG AAG ACA CCT TTA C−3’(配列番号:4)、アンチセンス5’−GTG ATG CAA CCT CCA CAA CAC TAG A−3’(配列番号:5)であった。VEGFプライマーにより724bp断片が得られる(DNA夾雑は841bpであろう)。センスプライマーはDel−1と同じであり、アンチセンスは5’−GGA GGGGTC ACA GGG ATG C−3’(配列番号:6)であった。RT反応とPCRサイクリングパラメーターは次の通りである:RT50℃、30分;95℃、2分;PCRサイクリング95℃、30秒、65℃40秒×35サイクル。伸張は65℃、5分、次いで4℃。
【0054】
Del−1およびVEGFの免疫組織: Del−1およびVEGF−165遺伝子医薬を、免疫組織化学的分析により処置した筋肉試料中に視覚化した。正常ウサギ血清でブロックした後、1:500に希釈したラット抗−マウスDel−1抗体を1時間使用して免疫染色した5μm凍結切片に対し、Del−1の免疫組織化学局在法を行った。次いで、筋肉切片をPBSですすぎ、ビオチン化ウサギ抗−ラットIgG(Vector Laboratories)とともに希釈率1:400で1時間インキュベートした。次いで、得られた筋肉切片をPBSですすぎ、アビジン−HRP(ABC ELITE, Vector Laboratories)とともに1時間インキュベートした。PBSで切片を洗浄した後、DAB(Vector Laboratories)と反応させて免疫複合体を視覚化した。3mm2パラフィン切片に対し、VEGF−165の免疫組織化学局在法を行った。正常ヤギ血清でブロックした後、1:200に希釈したウサギ抗−ヒトVEGF抗体(Intergen Company)を1時間使用し、得られた切片を免疫染色した。筋肉切片をPBSですすぎ、ビオチン化ヤギ抗−ウサギIgG(Vector Laboratories)とともに希釈率1:400で1時間インキュベートした。次いで、得られた筋肉切片をPBSですすぎ、アビジン−HRP(ABC ELITE, Vector Laboratories)とともに1時間インキュベートした。PBSで切片を洗浄した後、DAB(Vector Laboratories)と反応させて免疫複合体を視覚化した
【0055】
定量的RT−PCR: 製剤化Del−1発現系で処置した筋肉からのRNAをRT−PCRにより定量分析した。RANzolを用いて筋肉試料から全RNAを単離した。RNA試料をDNアーゼで処理して残余のプラスミドDNAを除去した。ABI−7700サーマルサイクラーの単一工程Taqmann RT−PCR検定により、Del−1試料中のmRNAを定量した。Del−1mRNAの5’UTRのイントロンをはさむ5’および3’プライマーをmRNA特異的アンプリコンの増幅に使用した。
【0056】
毛細管密度および毛細管と筋肉繊維との比率: CD−31の準定量ウエスターンブロッティングにより、毛細管密度を分析した。簡単に説明すれば、2.5mmシリカビーズを細胞溶解緩衝液10μl/mg(湿重量)とともに含有する2mlチューブ中にて、凍結乾燥した筋肉組織をホモジナイズし、不溶性物質を遠心にて除去した。NOVEXトリス−グリシンゲルに対して、高分子量マーカー(SIGMA#C3312)、1レーン当たりペプチド標品(RDI)50ngまたは未知の試料の総タンパク質50μgを負荷した。得られたゲルをニトロセルロース膜に移し、PBS/0.1%Tween−20/5%ドライミルク/4%BSA中にて1時間ブロックした。一次抗体、ヤギ抗−CD31(RDI)を1:500でブロック緩衝液に加え、振盪下に、室温にて一晩インキュベートした。PBS/0.1%Tween−20中で洗浄した後、抗−ヤギHRP二次抗体をPBS/0.1%Tween−20に希釈度1:10、000で加えた。得られた膜を1時間インキュベートし、次いでAMERSHAM ECL化学ルミネッセンス試薬中にて1−2分間完全に洗浄し、インキュベートし、X−OMAT ARフィルムに暴露した。このフィルムをコンピューターで走査し、ImageQuantソフトウエアを用いて各バンドの画素密度を評価した。ゲル対ゲル間で変動が生じるおそれがあるので、すべての数値を、同じゲルにかけたCD31ペプチド標品に対するパーセンテイジとして表した。
【0057】
毛細管と筋肉繊維との比率は、CD−31の免疫組織化学的局在により測定した。5 mm2凍結切片である筋肉組織試料を、正常ウサギ血清でブロックした後、1:1000に希釈したラット抗−マウスCD31抗体(PharMingen)を1時間使用して免疫染色した。筋肉切片をPBSですすぎ、ビオチン化ウサギ抗−ラットIgG(Vector Laboratories)とともに希釈率1:400で1時間インキュベートした。次いで、得られた筋肉切片をPBSですすぎ、アビジン−HRP(ABC ELITE, Vector Laboratories)とともに1時間インキュベートした。PBSで切片を洗浄した後、DAB(Vector Laboratories)と反応させて免疫複合体を視覚化した。
毛細管と筋繊維を計数するカスタムマクロを使用するOptimas画像分析ソフトウエアにより、毛細管と筋繊維との比率の画像分析を行った。CD31に対して免疫染色した凍結切片の画像を分析し、毛細管と筋繊維との比率を確立した。
【0058】
血管造影評価: ウサギ後肢の虚血モデル実験にて発達した動脈側枝を評価するため、血管造影を行った。右大腿動脈にカテーテルを挿入し、造影剤(VISIOPAQUE(登録商標))4mlを注入した。両後肢の連続画像を記録した。盲検観察者が、大腿部における解剖学的目標から測定した2つの垂直面を交差する血管の数を直接計数し、平均し、側枝血管発達の定量的血管造影分析を行った。この分析に使用した画像は、DIACOM VIEW(登録商標)ソフトウエアを使用してカメラから採取した映像ループの130フレームで採取した。この分析は3回別個に行い、観測値の平均を記録した。
【0059】
トレッドミル: Del−1、VEGF−165、非コード化プラスミドを投与した生理学的変化を分析するため、偽操作対照群とともに、トレッドミルストレス試験を行った。動物を7度の角度の5メーター/分のトレッドミルに5分間置き、トレッドミル上に馴化させた。最初の5分の後、トレッドミルの速度を10メーター/分に上げ、時計をスタートさせた。2分ごとに速度を上げ、疲労の徴候が現れるまでそれを続けた。疲労の徴候は、足取りが変化すること、トレッドミルの前方へ走れなくなること、およびショッカーグリッド上にて5秒以上過ごすことである。これらの1つ以上の徴候が見られたら、動物を取りだし時計を止める。
【0060】
統計的分析: すべての結果は、平均+/−SEMで表す。後知恵解析としてDuncanを用いた一方向ANOVAにより、統計的有意を評価した。P<0.05は、統計的に有意であると解釈した。
【0061】
動物モデル: 製剤化Del−1発現系の前臨床薬理をマウスおよびウサギ動物モデルで評価した。肢虚血の動物モデルにおける製剤化Del−1プラスミドの筋肉内注射により、酸素正常状態(normoxic)の骨格筋の毛細管密度が増大し、側枝血管形成および運動耐用性が増大することが示された。製剤化Del−1プラスミドの生物学的効果は用量依存的である。動物モデルでは、Del−1の発現に関連した毒性またはグロス病状はいずれもその証拠は見出されなかった。
【0062】
エレクトロポレーション有りおよび無しで製剤化mDel−1プラスミドを注射した後のマウス前脛骨筋における、mDel−1発現のレベルおよび持続時間を図4に示す。CD−1マウスの前脛骨筋に製剤化Del−1プラスミド10μgを注射した。注射の7、14、30および60日後に、注射した筋肉を採取し、定量的逆転写PCR(qrtPCR)にてmDel−1mRNAについて検定した。示したデータ点は、n=5/群/時点の平均+/−SEMである。この実験の結果は、エレクトロポレーション無しで投与した場合と比較して、1ヶ月当たり約1対数の割合でmDel−1の発現が減少したことを示している。エレクトロポレーションとともにmDel−1をコードする核酸を投与すると、Del−1mRNAレベルが約2対数増大し、さらにmDel−1発現の持続性が増大しているようであった。
【0063】
エレクトロポレーション有りおよび無しで注射した7日後のマウスの酸素正常状態の前脛骨肉におけるhDel−1遺伝子発現の効果を図5に示す。マウスの前脛骨筋に製剤化Del−1または対照プラスミドをIM注射し、次いでエレクトロポレーションを用いて、注射された筋肉の半分においてプラスミド取込みをさらに高めた(+EP)。パネルA:棒グラフの結果はCD31免疫染色のコンピューター画像分析によって測定された処置7日後の毛細管密度を示す。データは、n=3/群に関する平均+/−SEMを示す。星印はこの群が対照と異なっていることを示す(p<0.01)。パネルB:写真は筋肉断面における典型的CD−31免疫染色を示す。hDel−1プラスミドDNAの単一の10μg投与は、毛細管:筋線維の割合を約60%増加させた(p<0.01)。エレクトロポレーションを使用したhDel−1発現レベルの増大は、毛細管:筋線維の割合をさらに増加させることはなかった。示していないが、このモデルにおけるヒトおよびマウスDel−1の効果は同等であった。
【0064】
この免疫組織分析は、製剤化Del−1プラスミドが非常の小さな炎症効果を起こし、VEGF−165製剤化プラスミドが炎症性細胞を広範囲に浸潤させることを示した。VEGF−165発現系により観察された炎症は、VEGF−165を長期間発現させた場合に血管腫の究極の状態が観察されたとしても炎症性細胞の増大が示された他の研究と矛盾がない (Springer M, et al. Molecular Cell. 1998;2:549−558; Ozawa C, et al. Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol. 2000; 40:295−317)。
【0065】
実施例4: 用量作用の関係
Del−1タンパク質の発現と毛細管内皮表面抗原CD31の発現増大との関係を調べるため、注射した筋肉内における発現mDel−1およびCD31の濃度を定量する実験を行った。非コード化プラスミド10μg、Del−1プラスミド10μg 、Del−1プラスミド20μgまたはDel−1プラスミド30μgのいずれかをエレクトロポレーションとともにマウスに筋肉内注射して投与した。注射の7日後に筋肉を採取し、サンドイッチ免疫検定によりmDel−1を、ウエスターンブロッティングした後の濃度測定によりCD31を検定した。この実験の結果を図6に示す。mDel−1の発現は毛細管内皮表面抗原CD31の発現と強く相関していた(R=0.65,p<0.01)。CD31の増大に依存したDel−1濃度の適当なEC50はおよそ5ng/g湿筋肉であった。
【0066】
実施例5: マウス後肢虚血における製剤化Del−1プラスミドの効果
酸素正常状態のマウス後肢の試験に加え、製剤化Del−1プラスミドの効果をマウス後肢虚血にモデルにおいて試験した。CD−1マウス(26−31gm)をCharles River (Houston) から入手した。簡単に説明すれば、ケタミン(7.4mg/gm)、キシラジン(0.4mg/gm)およびアセプロマジン(0.08mg/gm)で鎮静させた後、両足の大腿動脈を結紮した。膝蓋の基点にまで鼠径部靭帯から下る大腿の内側を縦方向に切開した。この切開により、膝窩および伏在動脈の2分する遠位部位に腸骨から分岐する近位点において大腿を結紮した。
【0067】
大腿動脈を結紮した直後に、製剤化hDel−1プラスミド、製剤化hVEGFプラスミドまたは対照(非コード化)プラスミドを28ゲージ1/2”針を用いて、大腿および下肢の5つの異なる部位に筋肉内注射した(脛骨動脈(10μg)、腓腹筋(20μg)および4頭筋(40μg)と分割し手術の直後に投与した総用量70μg/下肢)。各注射は、濃度1mg/mlのポロキサマー製剤0.1mlから構成されていた。血管再生を、トレッドミルストレス試験の生理学的終点およびCD31準定量的ウエスターンブロッティングにより評価した。運動耐用性は、術後4週間にわたる週間隔で決定した。多くの研究はVEGFの過剰発現により虚血組織が再灌流できることを示しているので、製剤化VEGFプラスミドも比較のために試験した。
【0068】
図7に示すデータは、n=7−8/群/の平均+/−SEMである。異なる群の異なる上付き文字は各群の運動時間が異なることを示している(p<0.05)。図7に示されるこの試験の結果は、Del−1およびVEGF遺伝子医薬がともに対照と比較して運動耐用性を増大させていることを示している(p<0.05)。製剤化Del−1プラスミドで6ヶ月間処置したマウス骨格筋をqRT−PCRで評価すると、製剤化Del−1プラスミドの発現が6ヶ月後には有意に減少していることが示された。
【0069】
実施例6: ウサギ大腿動脈切開虚血モデルにおける製剤化Del−1プラスミドの効果
下肢虚血における血管形成因子の研究に最も普通に使用される動物モデルはウサギ大腿動脈切開モデルである。マウスについて上記した研究と類似した研究をニュージーランドウサギにて行った。最初のモデルは、ウサギ下肢虚血モデルを作成した14匹の雄性ニュージーランドウサギ(4kg)を使用した。簡単に説明すれば、ケタミン(20mg/kg)、キシラジン(5mg/kg)およびアセプロマジン(2.5mg/kg)で鎮静させた後、左肢から大腿動脈を切除した。膝蓋の基点にまで鼠径部靭帯から下る大腿の内側を縦方向に切開した。この切開により、大腿動脈を露出させ、連結している動脈側枝を露出させて結紮した。ここに、大腿動脈が、膝窩および伏在動脈の2分する遠位部位に腸骨から分岐する近位点から摘出された。
【0070】
ウサギ後肢虚血モデルでは手術の3日後に、Del−1、VEGF−165をコードする非ウイルス製剤化DNAまたは対照としての非コード化プラスミドを28ゲージ1/2”針を用いて、ウサギ大腿における内側部分の10の異なる部位に筋肉内注射した。使用したDNA濃度は、ポロキサマー188との製剤1mg/mlであり、各注射はDNAの全量5mg当たり0.5mlから構成されていた。
術後およびその1ヶ月後に再び、血管造影を行った。虚血肢の血管再生を術後30日目に、CD31準定量的ウエスターンブロッティングおよび血管造影分析により評価した。大腿の中央部を横切る新たな側枝血管の数についての結果を図8に示す。1群の動物数は、n=3(対照)、n=5(Del−1)およびn=6(VEGF)であった。棒グラフは、大腿の中央部を横切る新たな側枝血管の数についての平均+/−SEMを表す。異なる上付き文字を有する棒グラフは異なることを示している(p<0.01)。Del−1およびVEGFはともに、1ヶ月の実験期間にわたり、側枝血管発達を2倍以上増大させた(p<0.05)。
【0071】
実施例7: 心筋へのDel−1プラスミドの製剤化および供給の最適化
Del−1プラスミドDNAの心筋への製剤および供給を同定し最適化する実験を行った。結果は、逆行性IV注入で投与したポリマー製剤により、左心室への最適供給効率が得られることを示している。製剤化したプラスミドをこの経路で8匹のブタに投与し(ポロキサマー4匹、カチオン性脂質4匹)、操作は充分に寛容性であった。しかし、7日目に、カチオン性脂質製剤を投与したブタの心筋にグロス病状が認められた。この操作により造影剤または色素を供給すると、左心室の実質組織に局在的に血管外漏出した。Del−1mRNAの発現は、ポロキサマー製剤を投与したブタにおいて最も高かった。種々の製剤について直接的心筋内注射を評価するためにマウスモデルで行った実験により得られた結果は、ポリグルタメートまたはプラスミド濃度を1mg/mlから3mg/mlに増加させたいずれの製剤も針注射で投与すると心筋へのプラスミド供給が明らかに増大することを示している。
【0072】
実施例8: 心筋への経皮供給
可能性ある経皮供給様式をブタにおいて試験し、その安全性、技術的容易さおよびプラスミド供給効率に関して比較した。これらの実験の遺伝子実験および寛容性データを表1にまとめる。実行したすべての経皮供給実験では、主要臓器をサンプリングし、採取時(通常、投与の7日後)におけるプラスミドの生物分布を評価した。結果(示していない)は、製剤の投与経路にかかわらず、プラスミドが主として心臓に局在化していることを示した。
【0073】
針注射カテーテルによる供給
2つの実験間において、ポロキサマー188(n=4)または生理食塩水(n=2)のいずれかと製剤化したDel−1プラスミドDNAを総数6匹のブタに、BioCardia, Inc.から提供されているらせん針注射カテーテルを介して投与した。この供給操作はすべての動物で寛容であり、採取の際、顕著なグロス病状は認められなかった。表1の発現データは、逆行性静脈供給では高いレベルのDel−1発現が得られたのに対し、IM針カテーテル供給を用いて注射した左心室内にはDel−1発現レベルが低く局在していることを示している。
【0074】
【表1】
1)分析したすべての切片におけるコピーDel−1 mRNA/μg全RNA、LOQ=500コピー/μg(500,000−1,000,000 マウス肢筋肉において達成される典型的レベル)。
2)コピーDel−1 mRNA/μg全RNA(陽性切片の平均)。
【0075】
針注射カテーテルを用いた心筋への製剤化DNAの供給は、針およびシリンジを用いた筋肉内注射と最も類似していた。本明細書に示す上記のマウス試験の結果から、遺伝子薬物を導入するための筋肉内注射は骨格筋に対するほどには心筋に対して効率的でないことが分かる。
【0076】
心膜腔への供給
心膜腔への供給は、Comedicus, Inc.から提供される外套針(トロカール)装置(PERDUCER(登録商標))を使用して行った。この経路を用いて、正に帯電したカチオン性脂質製剤を試験した。この供給操作は充分に寛容性であった。Del−1mRNAの発現は心筋組織では低レベルでしか検出されなかった(<500 コピー/μg 全RNA)。
【0077】
逆行性IV注入による左心室への供給
冠静脈洞(20、図11A)を介して大心臓静脈(30、図11B)、および前室間静脈の中央領域(40)に7Fバルーンカテーテル(10、図11Aおよび11B)を配置し、左心室への逆行性IV(rIV)供給を行った。バルーン(15)を膨らませて静脈流出を止めた後、最大手圧(maximum hand pressure)または制御速度に製剤化プラスミド10mLを注射した:この速度は1mL/秒などの容量/時間速度、または予め決定した圧力のいずれかである。この手法により造影剤または色素を供給すると、左心室の実質組織に造影剤が局所的に血管外漏出した(50)。図11Aおよび11Bの矢印(60および70)は、カテーテル(10)を介したそこからの製剤化プラスミドの流出方向を示している。図11Aおよび11Bの矢印(80および90)は静脈内の血流方向を示している。
【0078】
製剤化プラスミドを供給した後、膨張したバルーン(15)を数分間(実験に応じてブタ中2−10分)設置したままにし、この組織内での製剤の残留時間を増加させた。この経路により、8匹のブタに製剤化プラスミドを投与した(ポロキサマー製剤を用いてn=4、カチオン性脂質製剤を用いてn=4)。供給手法はすべての動物において十分に寛容性であった。しかし、投与7日後の採取時に、カチオン性脂質製剤を投与したブタの心筋に有意に著しいグロス病状が認められた。1:0.5(−/+)製剤より1:3(−/+)製剤を投与されたブタにおいて病状は明らかに重篤であった。
【0079】
Del−1 mRNAの発現は、表2に示すように、ポロキサマー188製剤を投与したブタにおいて最も高く、カチオン性脂質の濃度が高くなるほど有意に減少した。試験した供給様式および製剤のうち、逆行性IV注入により投与したポロキサマー188製剤のみが、IM注射後のマウス肢筋肉において典型的に達成されるレベルに匹敵する発現レベルを生じた。ポロキサマー製剤の心筋内注射および逆行性IV注入による供給はともに、十分に寛容されることがわかった。
【0080】
現在までに行われた経皮心筋供給実験で得られたデータのまとめ
【表2】
1)技術的成功は、重大な問題なく行われた供給操作の割合として定義される。
2)コピーDel−1mRNA/μg全RNA、LOQ=500コピー(500,000−1,000,000 マウス肢筋肉において達成される典型的レベル)。
3)輸送中におけるRNAの部分的分解により、これら試料中のDel−1mRNAの定量を妨げられた。
【0081】
実施例9: マウス心臓における製剤化プラスミドの直接的IM注射
マウスにおいて直接的心筋内注射が可能であったので、遺伝子薬物の心筋への供給について種々のポリマー製剤の有用性を評価した。この実験にて得られた観察事項は、針注射カテーテルによる大きな動物の試験のための製剤/製剤化パラメーターを選択するに当たり考慮される。以下の項に記載のすべての実験は、ルシフェラーゼレポータープラスミドpLC0888を用いてマウスにおいて行った。簡単に説明すれば、マウスをペントバルビタールで麻酔し、挿管し、次いで胸骨中央に沿って切開して胸部を開いた。500−600拍動/分の心拍を、滅菌綿棒を用いて胸部腔でゆっくりと上昇させ、製剤化プラスミドをインスリンシリンジを用いて注射した。この注射操作後の生存率は一般に、製剤の毒性が影響しない限り80%以上である。5%ポロキサマー188中にて製剤化したpLC0888を注射した後におけるマウス骨格筋7dにて観察されるルシフェラーゼ発現レベルは約107RLU/mgであることに、比較のため、留意すべきである。
【0082】
この実験の目的は、プラスミドのポロキサマー188製剤中濃度を増大させると、pLC0888の供給が増大されることを決定することであった。しかし、この実験で得られた図9に示す結果は、5%ポロキサマー188製剤中のプラスミド濃度を1mg/ml−3mg/mlに増加させると、心筋内の細胞への供給効率が増大することを示している。このデータは1群当たりn=3の平均+/−SDである。CD−1マウスに1、3および12mg/ml製剤を注射した。C57BL6マウスに6mg/ml製剤を注射した。
【0083】
さらなる実験により、1mg/mlプラスミド、5%ポロキサマー製剤を直接IM注射すると、注射心臓において測定可能なレベルのルシフェラーゼ発現が得られた。
【0084】
心筋内注射による心筋へのプラスミド供給について種々の製剤を比較した。図10aに示す結果は、ポリグルタミン酸中のプラスミド製剤が他の試験した製剤よりも効率的なプラスミド供給を与えることを示している。図10bに示す別の試験結果により、この結果は生理食塩水中の製剤に対することが確認された。データは、1群当たりn=3(パネルA)、1群当たりn=4−5(パネルB)の平均+/−SDである。
【0085】
実施例10: 非凝集ポリマー製剤化プラスミド
本発明は1つの態様として、DNAが製剤化されている化合物が、次の1つまたはそれ以上の方法:FTIR;ITC;DELSA;および蛍光クエンチングによってDNAと相互作用することを示すことができる。特定の状況では、化合物はインビトロにおいてヌクレアーゼから保護することを示すことができる。好ましい化合物はDNAを凝集させないが、分散させ、固体組織(例えば筋肉、腫瘍)に供給させ、そして発現の範囲とレベルを増大させる。図12に示すように、好ましい化合物は発現の再現性を増大させる。
【0086】
実施例11: 製剤化Del−1発現プラスミド医薬製剤
本発明の1つの態様は、促進剤が組成:
HO(CH2CH2)80(CH(CH3)CH2O)27(CH2CH2O)80H
を有するポロキサマー188である。
1つの態様は、Del−1薬物製剤が次のものである:
【表3】
【0087】
1つの態様では、製剤化DNAは、プラスミドDNA、pDL1680およびポロキサマー188の等量を以下のようにして滅菌的に混合することにより、調製される:
【表4】
濾過後、得られた組成物または混合物を凍結乾燥し保存する。凍結乾燥組成物は用時に、通常の生理食塩水中にて再構成できる。
【0088】
実施例12: エレクトロポレーションを用いて供給される製剤化Del−1発現プラスミド
本明細書で使用する「パルス電圧装置」または「パルス電圧注射装置」なる用語は、生物の細胞に局所的な電気パルスを放出することにより、細胞膜を不安定化させ、細胞膜に通路または細孔を形成させ、生物の細胞への核酸分子の取り込みを引き起す能力を持つ、またはそのような取り込みを引き起す機器に関する。このタイプの従来からある装置は、所望の電圧強度および/またはパルス電圧の持続時間を当業者が選択および/または調節できるように校正できると考えられるので、この機能を果たす、これからの装置も同様に校正されると期待される。このタイプの注射装置が本発明を限定するものとは見なされない。実際、パルス電圧装置の最も重要な点は、生物の細胞に本発明の組成物を供給できるという装置の能力である。パルス電圧注射装置としては例えば、米国特許第5,439,440号、米国特許第5,704,908号もしくは米国特許第5,702,384号に記載のエレクトロポレーション機器、またはPCT WO96/12520、PCT WO96/12006、PCT WO95/19805およびPCT WO97/07826に記載されているエレクトロポレーション機器などを挙げることができる(これらは引用により本明細書中に包含される)。
【0089】
明細書で使用する「機器」という用語は、組み合わせた時に、パルス電圧供給法によって、生物の細胞に本発明組成物を供給できる一組の部材を表す。本発明の機器は、1つまたは複数のシリンジ、様々な組合わせの電極、光ファイバーおよびビデオモニタリングなどの手段による標的の選択に役立つ装置、ならびに様々な電圧強度、持続時間および周期を校正できる電圧パルスを発生する起電装置、の組合わせであってよい。シリンジには様々なサイズがあり、例えば哺乳動物などの生物の皮膚に対して、または皮膚を通じて、本発明組成物が種々の供給深度で注射されるように選択することができる。
【0090】
1つの態様では、ベクター(プラスミド)の投与および供給のための製剤の使用は、細胞へのパルス電圧送達と針注射もしくは針なし注射とを併用することにより行うか、またはパルス電圧の直接適用により、この場合はエレクトロポレーション装置の電極を、例えば表皮細胞などの標的組織または標的細胞に直接押し当て、パルス適用前またはパルス適用後に、ベクターを局所投与して、細胞を通じておよび/または細胞にベクターを供給して行う。
【0091】
選択したベクター構築物の投与経路は、発現ベクターの個々の用途に依存する。一般に、使用する各ベクター構築物の具体的製剤では、特定の標的組織に関するベクター供給、パルス電圧供給パラメーター、続いて効力の実証に焦点が置かれる。供給試験には、細胞によるベクターの取り込みおよび選択したDNAの発現を評価するための取り込み検定が含まれる。そのような検定では、取り込み後の標的DNAの局在も決定され、発現したタンパク質の定常状態濃度の維持に必要な条件が確立されるだろう。次に効力および細胞毒性も調べることができる。毒性には細胞の生存だけでなく細胞機能も含まれる。
【0092】
筋細胞は、DNA粒子を溶液、懸濁液またはコロイドとして筋肉内に単純に注射すると、細胞外間隙からDNAを取り込むという独自の能力を持っている。この方法によるDNAの発現は数ヶ月間持続できる。
【0093】
非ウイルス遺伝子薬物として供給した場合にマウスの後肢筋肉の血管密度を増大させるDel−1の能力を測定する実験を行った。簡単に説明すれば、PINC(登録商標)ポリマー製剤化mDel−1、hDel−1またはhVEGF165プラスミド(プラスミド用量10μg)を雄性CD−1マウスの前脛骨筋に注射した。ある場合には、エレクトロポレーションを利用し、筋繊維のトランスフェクション効率を製剤化プラスミドを用いる以上にさらに増大させた。処置の7日後に注射した筋肉を採取し、急速冷凍し、凍結切片を作製し、そして毛細管内皮表面抗原CD31、Del−1およびVEGF165について免疫組織化学分析を行った。カスタムマクロを備えたOPTIMAS画像分析ソフトウエアを用いて画像を分析し、骨格筋における毛細管:心筋細胞の比率を計算した。エレクトロポレーションはトランスフェクション効率およびトランスジーン発現を2対数も増大させた。未処置の筋肉のエレクトロポレーションは検出可能な病状が殆どまたは全く認められず、毛細管:心筋細胞の比率に影響しなかった(2.56非エレクトロポレーション:2.52エレクトロポレーション)。製剤化del−1またはVEGF165発現プラスミドのいずれかを注射すると、毛細管:心筋細胞の比率が対照の値の30−50%上方まで有意に増大した(p<0.05)。エレクトロポレーションにより増大したトランスジーン発現はさらに、毛細管:心筋細胞の比率を対照と比較して70%も増大させたが、エレクトロポレーションの効果はすべてのケースで有意であるとは限らなかった。トランスジーン発現領域の近接部位においてCD31の免疫染色の増大が観察された。製剤化Del−1またはVEGF165発現プラスミドのいずれかを注射した筋肉におけるCD31免疫染色のパターンは、類似していた。しかし、エレクトロポレーションを使用して得られたVEGF165の薬理レベルは血管集団や重篤な局在化浮腫と関係しており、これらは他の処置群では観察されなかった。この結果は、非ウイルス製剤化Del−1発現系が虚血組織の再血管新生の刺激に有用であり、非ウイルス遺伝子薬物の用量−作用および治療係数を研究する手段としてエレクトロポレーションを利用できる証拠となることを示している。
【0094】
実施例13: 生理食塩水またはポロキサマーのいずれかで製剤化したプラスミドのブタ心筋への供給後に測定した発現レベルの比較
生理食塩水または5%ポロキサマーで製剤化したプラスミド(1mg/mL)を供給した後に測定される発現レベルを比較する研究を行った。等張性生理食塩水中の5%ポロキサマー188とのpDL1680(1mg/ml)を、等張性生理食塩水中のpDL1680(1mg/ml)と比較した。SPFヨークシャーブタ(約50kg)を試験に使用した。
【0095】
バルーンカテーテルを用いてrIV注入により、被検物質(10ml、10mgプラスミド用量)をAIV(またはAIVにアクセスできない場合は別の静脈)の中央領域に供給した。蛍光透視ガイダンスのもとにカテーテルを標的静脈に設置し、必要に応じてX線撮影造影剤を用いた。造影剤を投与して分布領域(即ち、紅潮)を決定し、側枝ドレナージを最小限にするためカテーテルを正しく位置させ、それにより供給部位を評価した。カテーテルの位置決めを行った後、製剤化Del−1プラスミドのボーラス10mlを、最大手圧または約10秒以下の時間で供給した。結果は、制御圧下の投与と比較して最大手圧の供給により心筋へのトランスフェクションが増大することを示した。
【0096】
試験物質の投与直前に造影剤を投与したときに最も強い紅潮を示す領域として同定された心筋の標的領域を採取し(全領域約4.5x4.5cm)、1x1cm3立方体に切断した。得られた組織試料、およびより遠位の心筋領域の試料、肺、肝臓、腎臓および脾臓の試料を、定量的rtPCR(qrtPCR)によりhDel−1トランスジーンmRNAについて検定した。さらに、供給した標的領域から入手した心筋試料について、hDel−1タンパク質の免疫組織化学を行った。
【0097】
この供給操作は、重篤な生命事象も心筋に関連する顕著なグロス病状もなく充分に寛容性であった。バルーン膨脹部位に小さな打撲傷が認められたブタがいた。図15は、生理食塩水中にて製剤化したpDL1680または5%ポロキサマー188で製剤化したpDL1680のいずれかをrIV供給して処置したブタにおける心筋内のhDel−1mRNAの発現を示している。データポイントは、供給の4.5x4.5cm標的領域内の平均hDel−1mRNAレベルである。黒丸は最大手圧の結果を、白丸は時限投与の結果を示している。図中、横線はまとめた処置群の平均を示す。図15に示すhDel−1mRNAの結果は、最大手圧または時限投与のいずれを行おうとも、心筋の標的領域内のhDel−1mRNAレベルが生理食塩水の製剤よりも5%ポロキサマー188の製剤のほうがおよそ6倍高ったことを示している(p=0.036)。より遠位の心筋領域および遠位器官におけるhDel−1トランスジーンの発現は存在しないか、無視できる程度であり、製剤により影響されなかった。
【0098】
実施例14: 血管形成のためのDel−1およびVEGFの組合わせ使用
VEGF165をコードするcDNAを化学的に合成し、(CMV)プロモーター、5’合成イントロン、hDel−1cDNAおよびヒト成長ホルモン遺伝子由来の3’ポリアデニル化シグナルと非翻訳領域を含む哺乳動物発現プラスミドに、図3bに示すDel−1発現プラスミドにおけるようにクローニングした。使用したVEGFのコード化配列を図16に示す。高度に発現するヒトタンパク質に見出される既知の優先コドンを参考に、VEGF165のコドンユーセイジを分析した。稀にしか使用されないコドンである天然VEGF165の8個のコドンを、高度に発現するヒトタンパク質に使用されるコドンと合うように改変した。改変コドンを図16に示す、ここでは天然コドンを両鎖に挟んで示している。
【0099】
細管形成におけるDel−1およびVEGF組合わせのインビトロ検定
ヒト臍静脈(HUVEC細胞)由来の初代内皮細胞を使用し、Del−1、VEGFまたはDel−1/VEGFを加えた3Dコラーゲンゲルを作製した。2日目に細胞写真をとり、Del−1、VEGFまたはその組合わせを細管形成誘導能について試験した。Del−1およびVEGFの組合わせ群は、対照であるDel−1またはVEGF単独よりも優れた細管形成能を示した。
【0100】
毛細管発育におけるDel−1およびVEGF組合わせのインビボ検定
Del−1(10μg)、VEGF(10μg)、Del−1およびVEGF(プラスミド当たり5μg)をコードするプラスミドDNAの5%ポロキサマー188製剤の全10μg、または空ベクター対照を雄性CD−1マウスの前脛骨筋に注射した。プラスミドDNA製剤を注射した直後にエレクトロポレーションを行った。注射の約2分後、Electro Square Porator(T820, BTX, San Diego, CA)により供給される各25ミリセカンド(ms)および375V/cmの2矩形波パルス(1秒当たり1回)型で電場を適用した。クランプ電極は2ステンレス鋼の並行プレートカリパス(1.5cm2)からなり、これを皮膚に接触させて設置し、パルス投与中を通して肢を半伸張位置で保持した。通例、マウスの肢を2つのプレート間に置き、プレート間の分離距離が3−4mmになるまでそれらを押し縮めた。7および28日目にrt−PCRによりトランスジーンmRNA発現を測定し、毛細管:心筋細胞(C/M)比率を抗−CD31染色組織の免疫組織化学によって計算した。トランスジーンmRNA発現は7日目で上昇し、これは28日目には数対数だけ減少した。図17に示されるように、Del−1およびVEGF単独のC/M比率は空ベクターよりも1.5−2倍良好であり、これは先の実験結果を支持するものである。Del−1およびVEGFの組合わせを準最適な用量で投与すると、遺伝子単独の最適用量(それぞれの用量の2倍)と比較して毛細管内皮細胞密度が顕著に増大した。Del−1/VEGFの組合わせでは、得られたCD−31陽性内皮細胞は数が多過ぎて計数できなかった。Del−1およびVEGFの組合わせは、運動耐用性が対照プラスミドまたはVEGF単独よりも実験的に増大することも示された。
この実施例におけるDel−1およびVEGFの組合わせは2つの別個のプラスミドを用いて製剤化したものであるが、当業者であれば、2つの転写発現単位を有する単一のプラスミド、または内部リボゾームエントリー部位を有する単一の転写発現単位からでもDel−1およびVEGFが発現できることは理解されよう。
【0101】
実施例15:逆行性供給による遺伝子供給のためのポロキサマー製剤
ポロキサマーの命名では、一般名「ポロキサマー」の次の数字を付し、最初の2桁に100を掛ければ、そのポリオキシプロピレン(POP)のおよその分子量(mw)となり、3番目の数字に10を掛ければ、ポリオキシエチレン(POE)のおよその重量%となる。従って、ポロキサマー188は平均POP分子量が約1800であり、平均POE%が80%である。ポロキサマー188(a.k.a.F68)のポロキサマー命名法に従って計算すると、POP基の平均数は次のようにして導かれる: 1800÷58(C3H6Oの分子量)=31POP単位。全分子量=1800÷(20/100)=9000。POEの平均数は次のようにして導かれる: (およその全分子量−POPの分子量)÷44(C2H4Oの分子量)は従って、(9000−1800)=7200÷44=163。このように、ポロキサマー188(a.k.a.F68)は式:
HO−(C2H4O)82−(C3H6O)31−(C2H4O)82−Hによって表される。
【0102】
さらに、式:HO−(C2H4O)x−(C3H6O)y−(C2H4O)x−Hからは、平均分子量、POEのパーセンテイジ、およびPOEおよびPOP単位の数は既知の変動要素に応じて導くことができる。従って、全分子量および%POEを知られれば、次のようにしてその式を導く事ができる:
POE基の平均の数は次のようにして導く事ができる: (およその全分子量−18(末端ヒドロキシおよび水素基の分子量))x POE重量%)=POE分子量÷44=POE基の数、従ってF68; ((8400−18)x80%)=6705.6÷44=152.4(÷2=76)。
【0103】
POP基の平均の数は次のようにして導く事ができる: ((およその全分子量−18)−POE分子量)=POP分子量÷58。従って、F68では:((8400−18)−6705.6=1676.4÷58=30。ポロキサマー188、a.k.a.F68は従って、式:HO−(C2H4O)76−(C3H6O)3 0−(C2H4O)76−Hによって表される。
【0104】
BASF命名によれば、ポロキサマーの物理的形状をあらわす文字の後に、ポロキサマーグリッド(格子)におけるy軸までの段階的POPの分子量を任意に表す第1の数字、およびPOE%を表す第2の数字が後続する。PLURONIC(登録商標)F68はポロキサマー188のBASF登録商標である。BASFはF68に平均分子量8400を与えているが、F68NFグレードでは平均分子量は8600であり、POE=80(x2)、POP=27である、従ってPOP分子量=1566、POE%=81.6%であり、式:HO−(C2H4O)80−(C3H6O)27−(C2H4O)80−Hで示され、これによれば分子量は18+7040+1566=8624となる。
【0105】
実際上、ポロキサマーは典型的には、プロピレンオキサイドにプロピレングリコールの2つのヒドロキシ基を制御的に付加して所望の分子量の疎水性部分を生成させ、次いでエチレンオキサイドを付加し、その疎水性部分を親水性基で挟むことで合成されるので、規定された平均分子量と親水性基の全平均%を有する疎水性物質を特徴とする、比較的制限された範囲の分子量を有する分子集団が得られる。
【0106】
EOとPOの比率と重量はともに界面活性剤のファミリー内で変動するので、BASFはPLURONIC(登録商標)グリッドを開発し、コポリマー構造、物理的形態および界面活性特性間の関係をグラフで表している。PLURONIC(登録商標)界面活性剤グリッドでは、各分子毎に、疎水性部分(プロピレンオキサイド)の分子量範囲を親水性部分(エチレンオキサイド)の重量%に対してプロットしている。PLURONIC(登録商標)グリッドの位置で規定されるポロキサマー種は性質を共有していると期待でき、それらは全分子量および相対的疎水性という機能である。
【0107】
その複製を図18に示しているPLURONIC(登録商標)グリッドは、PLURONIC(登録商標)シリーズの種々の製品を同定するのに、文字−数字の組合わせ使用を明確にする。アルファベット表示は製品の物理的状態を説明している: 液体を表す「L」、ペーストを表す「P」、固形を表す「F」である。数字表示における最初の数字(3桁数字の2桁)に300を掛けると、疎水性部分(グリッドの左の縦軸)のおよその分子量となる。最後の数字に10を掛けると、分子内のおよそのエチレンオキサイド量となり、これは横軸から読める。
【0108】
図19は、プラスミドDNAの筋肉への供給を増大させると決定されたポロキサマーの化学的性質を示している。好ましいポロキサマーは図18において丸印で囲っており、それはPLURONIC(登録商標)F38, F68, F87, F88, F108およびF127である。具体的には、本発明者らは、PLURONIC(登録商標)F68とタイプされるポロキサマー188が骨格筋および心筋の両者において、血管形成トランスジーンの発現とともにプラスミドDNAの供給を有意に増大させることを示した。
【0109】
実施例16
図3Bおよび3Cは血管形成タンパク質を虚血組織に供給するのに有用な好ましいプラスミドベクターの構造を示している。ここに示されているように、プラスミドは、タンパク質発現のレベルと確実性を向上させると期待できる転写後要素(合成イントロンおよびhGHポリAシグナル)を含んでいる。この態様では、図3Bに示す発現カセットは、5’UTR内に、合成イントロンIVS8に加えてUT12(配列番号:8)と呼称されるCMV 5’UTRを含んでいる。UT12(配列番号:8)の配列は次の通りである:
【化3】
【0110】
真核生物発現ベクターからの転写物が曖昧にしかスプライシング(cryptic splicing)されないことが望ましくないのは明らかである。スプライシングパターンを制御し、遺伝子発現を最大にするには、準最適イントロンを強いイントロンと置きかえればよい。コンセンサススプライシング配列を有する合成イントロンがこの目的に最適である。本発明の態様での合成イントロン(IVS8)は、5’スプライス部位、3’スプライス部位および枝分かれ部位を含む。治療的遺伝子を発現するよう作成した真核生物ベクターに組込めば、合成イントロンは高い効率かつ正確にRNA転写物をスプライシングさせ、それにより曖昧なスプライシングは最小限に抑えられ、所望の遺伝子産物の生産性が最大となる。
【0111】
5’スプライス部位コンセンサス配列の第1および第6位は部分的に不明確である。この5’スプライス部位はU1snRNAと対である。選択した配列はU1RNAと合成5’スプライス部位との螺旋形成の自由エネルギーを最小化する。
【化4】
【0112】
哺乳動物では、枝分かれ部位が非常に不明確である。シグナル突起A残基を除き、枝分かれ部位はU2snRNAと対合する。選択した配列は、U2RNAと合成枝分かれ配列との螺旋形成の自由エネルギーを最小化する。これは、酵母プレmRNAスプライシングに必須である枝分かれ部位配列とマッチングする。枝分かれ部位は通常、3’スプライス部位の18−38ヌクレオチド上流に位置している。合成イントロンの枝分かれ部位は3’スプライス部位から24ヌクレオチド上流に位置している。
【化5】
【0113】
3’スプライス部位のコンセンサス配列のポリピリミジン・トラクトは正確に規定されていない。最適な3’スプライス部位機能のためには、少なくとも5つの連続したウラシル残基が必要である。このことは、7つの連続したウラシル残基であるここでの合成イントロンのポリピリミジン・トラクトにおいて配慮している。
【0114】
イントロンが>80ヌクレオチド長である場合、インビトロのスプライシングは最適である。多くのイントロンは数千塩基の長さである場合があるが、天然に存在する殆どのイントロンは90−200ヌクレオチド長である。好ましい態様における合成イントロンIVS8の長さは、118ヌクレオチドである。IVS8の配列(配列番号:13)は以下の通りである:
【化6】
【0115】
エキソン配列を太字で示している。Nは何の塩基であってもよい。コンセンサススプライシングシグナルは二重線で示している。制限酵素認識部位は上線で示している。制限酵素BbsIは5’スプライス部位のDNAを正確に切断するのに使用でき、EarIは3’スプライス部位のDNAを正確に切断するのに使用できる。合成イントロン内に位置するBbsIおよびEarIの2つの制限部位により、イントロンを容易かつ正確に欠失させることができる。PstIおよびNdeI部位を含ませ、クローニング操作を確認できる。この配列を有する2本鎖DNAは、相互プライミング・ロング・オリゴヌクレオチドを用いて製造できる。
【0116】
多くのイントロンを通常は含有する天然に存在する遺伝子構造をより正確にマッチングさせるには、目的遺伝子の多くの位置に合成イントロンを挿入すればよい。しかし、多くのイントロンを挿入する場合、得られる内部エキソンの長さが300ヌクレオチドよりも短くなるようにすることに留意しなければならない。内部エキソンが300ヌクレオチド長よりも長くなると、エキソンの読み飛ばしが起こることがある。
【0117】
本発明に関する上記の記載や開示は本発明の例示かつ説明であり、本明細書に例示した系の詳細、サイズ、形態や材料は本発明の思想を逸脱しない限り、種々変動させることができる。単一要素の引用は1つまたはそれ以上を、2つの要素の引用は2つまたはそれ以上を網羅する等の、歴史的な推定表現に基づく用語を用い、本発明は特許請求されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】マウス骨格筋における発現プラスミド供給に対するプラスミドおよびポロキサマー188濃度の効果。
【図2】等張性生理食塩水で製剤化したルシフェラーゼ発現プラスミドを注射したラットの前脛骨筋におけるルシフェラーゼの発現をポリマー供給系での製剤と比較したもの。
【図3aおよびb】hDel−1の発現プラスミド地図。
【図4】マウスの前脛骨筋におけるmDel−1の発現。
【図5】酸素正常状態(normoxic)のマウス骨格筋における毛細管密度に対するDel−1発現の効果。
【図6】種々の用量の製剤化mDel−1プラスミドを注射したCD1マウスの酸素正常状態の前脛骨筋における、mDel−1発現とCD31発現との相関性。
【図7】大腿動脈を結紮して後肢に虚血誘導した後における運動耐用性に対するhDel−1プラスミドの効果。
【図8】後肢虚血のウサギモデルにおけるDel−1およびVEGF遺伝子薬物の効果。
【図9】製剤化pLC1088プラスミド(10μl)のIM注射後のマウス心筋におけるルシフェラーゼ発現。
【図10】直接心筋内注射(10μl)後のマウス心筋におけるルシフェラーゼ発現を示すデータ。
【図11a】心臓の隔壁面から見た、冠静脈洞からの供給カテーテルの挿入経路。
【図11b】心臓の胸肋面から見た、大心臓静脈内における供給カテーテルの位置。
【図12】pDL1680発現プラスミドに利用されるヒトDel−1配列(配列番号:1)を示す。
【図13】pDL1680ヒトDel−1発現プラスミドの配列(配列番号:2)を示す。
【図14】ポリマー基本製剤による発現の増大した再現性を示す。
【図15】生理食塩水中に製剤化したpDL1680または5%ポロキサマー188で製剤化したpDL1680のいずれかによるrIV供給で処置したブタ心筋内におけるhDel−1 mRNAの発現を示す。
【図16】コドン最適化したVEGF165の核酸配列(配列番号:3)。
【図17】(A)対照、(B)Del−1、(C)VEGF、および(D)Del−1/VEGFの7日目におけるCD31染色。
【図18】ポロキサマーおよび逆ポロキサマー特性を示すグリッド。
【図19】筋肉供給に有用なポロキサマーの特性。
Claims (48)
- Del−1ポリペプチドを機能的にコードする核酸およびその核酸のバイオアベイラビリティー局在を長期化する化合物を含む、血管形成を刺激する処置組成物。
- 核酸のバイオアベイラビリティー局在を長期化する化合物がポロキサマーである、請求項1記載の組成物。
- ポロキサマーが組成物中、約10%w/v以下の濃度で存在する、請求項2記載の組成物。
- ポロキサマーが約80%以上の親水性成分、および950−4000ダルトンの疎水性部分を有する、請求項3記載の組成物。
- ポロキサマーが、Pluronics(登録商標)F38、F68、F87、F88、F108およびF127の特性を有するポロキサマーからなる群から選ばれる、請求項3記載の組成物。
- ポロキサマーが約1−10%w/vの濃度のポロキサマー188である、請求項5記載の組成物。
- ポロキサマー188が約5%の濃度で存在する、請求項6記載の組成物。
- 核酸のバイオアベイラビリティー局在を長期化する化合物がポリグルタメートである、請求項1記載の組成物。
- Del−1ポリペプチドをコードする核酸が配列番号:1の配列を含む、請求項1記載の組成物。
- Del−1ポリペプチドをコードする核酸がプロモーター、5’UTR、合成イントロンおよび3’UTRをさらに含む、請求項1記載の組成物。
- 核酸がプラスミドである、請求項1記載の組成物。
- プラスミドが配列番号:2である、請求項11記載の組成物。
- VEGFタンパク質をコードする核酸をさらに含む、請求項1記載の組成物。
- VEGFタンパク質をコードする核酸が、ヒトにおける発現に最適化されている少なくとも5つのコドンを有する、請求項13記載の組成物。
- VEGFタンパク質をコードする核酸が配列番号:3の配列を含む、請求項14記載の組成物。
- del−1をコードする核酸およびVEGFをコードする核酸が2つの別個のプラスミドベクターに含まれている、請求項13記載の組成物。
- del−1をコードする核酸およびVEGFをコードする核酸が1つのプラスミドベクターに含まれている、請求項13記載の組成物。
- 2−8℃において安定なように製剤化されている、請求項1記載の組成物。
- 凍結乾燥されている、請求項18記載の組成物。
- 逆行性静脈灌流によって供給される、請求項1記載の組成物。
- 逆行性静脈灌流による供給が、手足、腎、肝、脳および心臓のなかから選ばれる哺乳動物の器官に対するものである、請求項20記載の組成物。
- 筋肉内注射、静脈内注射および関節内注射から選ばれる注射により供給される、請求項1記載の組成物。
- 核酸のバイオアベイラビリティー局在を長期化する化合物が核酸を凝集させない、請求項1記載の組成物。
- ポロキサマー、ポロキサミン、エチレンビニルアセテート、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリグルタメートおよびそれらのコポリマーのなかから選ばれる非凝縮ポリマーとともに製剤化されている、血管形成タンパク質をコードする核酸配列を含むベクターを含有する、血管形成を刺激するための組成物。
- 血管形成タンパク質がα−v,β−3インテグリン受容体と結合できる、請求項24記載の組成物。
- 血管形成タンパク質がDel−1である、請求項25記載の組成物。
- 血管形成タンパク質がVEGFタンパク質であり、GEGFをコードする核酸配列がヒトにおける発現に最適化されている少なくとも5つのコドンを有する、請求項24記載の組成物。
- VEGFのコドン最適化配列が配列番号:3である、請求項27記載の組成物。
- ベクターがプロモーター、5’UTR、合成イントロンおよび3’UTRを含むプラスミドである、請求項24記載の組成物。
- ヒトにおける発現に最適化されているコドンである、VEGFタンパク質をコードする核酸をさらに含む、請求項26記載の組成物。
- ベクターがポロキサマーとともに製剤化されているウイルスベクターであり、逆行性静脈灌流によって哺乳動物に供給される、請求項24記載の組成物。
- 虚血組織における側枝血管の成長を促進させる方法であって、10%w/v以下の濃度のポロキサマーを含む製剤中の血管形成タンパク質をコードする核酸を虚血組織に局所的に供給する方法。
- 製剤化された核酸を虚血組織に直接注射することにより供給する、請求項32記載の方法。
- 虚血組織が心臓組織であり、製剤化された核酸が、冠静脈洞に流入する静脈に配置されたバルーンカテーテルを介して逆行性静脈注入により供給される、請求項33記載の方法。
- 冠静脈洞に流入する静脈が、大心臓静脈(GCV)、中心静脈(MCV)、左心室後静脈(PVLV)、前室間静脈(AIV)、およびそれらの側枝のなかから選ばれる、請求項34記載の方法。
- 80%以上の親水性成分および950−4000ダルトンの分子量の疎水性部分を含むポロキサマーを含有する組成物中にDel−1タンパク質を機能的にコードする核酸を製剤化することを特徴とする、哺乳動物の心臓における虚血領域の側枝血管の成長を促進させる方法であって、得られる製剤が、冠静脈洞に流入する静脈に配置されたバルーンカテーテルを介して心筋組織に供給され、次いで製剤化された核酸が正常な血流とは逆の方向にてかつ虚血組織領域に血管外漏出するに充分な圧力をもって静脈に注入されるよう製剤化する方法。
- 冠静脈洞に流入する静脈が、大心臓静脈(GCV)、中心静脈(MCV)、左心室後静脈(PVLV)、前室間静脈(AIV)、およびそれらの側枝のなかから選ばれる、請求項36記載の方法。
- ポロキサマーが約1−10%w/vの濃度のポロキサマー188である、請求項36記載の方法。
- 組成物がVEGFタンパク質をコードする核酸をさらに含む、請求項38記載の方法。
- 水溶液中のポロキサマーを含む組成物中に血管形成タンパク質を機能的にコードする核酸を含むベクターを製剤化することを特徴とする、哺乳動物の心臓における虚血領域の側枝血管の成長を促進させる方法であって、バルーンカテーテルを冠静脈洞に流入する静脈に配置し、製剤化された核酸が、正常な血流とは逆の方向にてかつ虚血組織領域に血管外漏出するに充分な圧力をもって静脈に注入されることにより心筋組織に供給される方法。
- 冠静脈洞に流入する静脈が、大心臓静脈(GCV)、中心静脈(MCV)、左心室後静脈(PVLV)、前室間静脈(AIV)、およびそれらの側枝のなかから選ばれる、請求項40記載の方法。
- 血管形成タンパク質がDel−1である、請求項40記載の方法。
- 組成物がVEGFタンパク質をコードする核酸をさらに含む、請求項46記載の方法。
- 血管形成タンパク質がVEGFタンパク質であり、VEGFをコードする核酸が、ヒトにおける発現に最適化されている少なくとも5つのコドンを有する、請求項44記載の方法。
- 血管形成タンパク質がDel−1である、請求項40記載の方法。
- ベクターがウイルスベクターである、請求項40記載の方法。
- 濃度5%w/vのポロキサマー188および5.0mMトリス−HCl緩衝液とともに製剤化されている、del−1をコードする核酸配列を含むプラスミド、を含有する医薬組成物。
- 5mgのpDL1680、250mgのポロキサマー188、0.45mgのTRISおよび0.70mgのトリス−HClを含む、医薬組成物のバイアル。
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