JP2004515655A - 熱処理可能なアルミニウム合金鋳物の人工自己時効による簡略化された製造方法および製造装置 - Google Patents
熱処理可能なアルミニウム合金鋳物の人工自己時効による簡略化された製造方法および製造装置 Download PDFInfo
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Abstract
時効によって改善された型の、特に自動車機関のシリンダーヘッドおよびモーターブロックのためのアルミニウム合金鋳物を作る際の簡略化された熱処理。この鋳物は、凝固しその鋳型から取り出された後には、最終製品(加工物)部分と押湯部分(この部分は最終的に不要部として切断される)とからなっている。鋳物の加工物部分は、水あるいは他の適当な液体、好ましくはガス駆動噴霧を加工物の表面に噴射することで、溶体化温度から約120°Cまで選択時効され、一方、鋳物の押湯部分は基本的に噴射されることなく比較的高い温度に維持される。この焼入れの後に、前記押湯部分により、また、内部の熱伝導により保有された残留熱の貯蔵器によって加工物部分が再加熱されて、このような加工物部分は、人工時効のための温度範囲内に実効時間だけ維持され、その結果、従来技術で使われた時効用加熱炉の必要性が排除される。この焼入れは鋳物を鋳型から取り出した直後に(すべて焼入れに先立つ、標準的な自然冷却、再加熱および溶体化熱処理によることなく)行なわれるのが好ましく、それによって、従来技術で必要であった溶体化熱処理用加熱炉もまた取り除かれる。
Description
【0001】
(発明の分野)
本発明は、いくつかの伝統的な工程および設備を実際に排除することで従来技術の熱処理過程が簡略化されたアルミニウム合金鋳物を製造するための方法および装置に関する。本発明は、例えば、自動車エンジンのためのシリンダーヘッド、モーターブロックなどの製造に適用することができる。本発明によれば、鋳造用プラントの製造性が向上するとともに、資本コストおよび運転コストも軽減される、従来技術の熱処理に勝る多くの長所がもたらされる。本発明は、アルミニウム協会(AA)の分類における3xx.xシリーズのアルミニウム合金を製造するために、とりわけT6およびT7の特性のために一部有用である。
本発明は、過去において焼入れおよび時効加熱炉中での人工時効から派生した意義のある利益が備わっている、どのようなアルミニウム合金鋳物の製造にも広く適用することができる。本発明によれば、前記利益を保有しながら、時効加熱炉の必要性が排除される。この改良は、この明細書では、(周囲温度での自然時効と区別するために、また、時効加熱炉が必要な従来技術の人工時効と区別するために)人工自己時効と称されてきた。
【0002】
優れた背景の考察と、「熱処理可能なアルミニウム合金鋳物」、「人工時効」(また、「析出硬化」も参照のこと)、「焼入れ」、「溶体化熱処理」、「鋳物系3xx.x」および「T6およびT7焼戻し」の定義とについては、ASMハンドブックシリーズを参照されたい。とりわけ、「熱処理」と表題の付けられた第4巻(1991年)第10版(特に第841〜879ページ。「熱処理可能」については第841ページを、「焼入れ」については第851ページ以下を、そして「時効硬化」については第859ページを参照のこと)と、「性質および選択:非鉄合金および特殊目的材料」と表題の付けられた第2巻(1990年)第10版(特に第15〜41ページ。「熱処理可能」については第39ページを、「人工時効」については第40ページを参照のこと)と、「性質および選択:非鉄合金および特殊目的材料」と表題の付けられた第2巻(1990年)第10版(特に第15〜41ページ。「熱処理可能」については第39ページを、「人工時効」については第40ページを参照のこと)と、「鋳物」と表題の付けられた第15巻(1988年)第9版(特に第757〜761ページ。「焼入れ」および「時効」については第760〜761ページを参照のこと)とを参照されたい。これらはすべて、ASMインターナショナル社から発行されており、これらの内容(下記発明も含まれる)は、引用によってこの明細書に組み入れられる。
【0003】
本発明は、選択的に導かれた噴射焼入れを、高価な設備を排除するとともに全体の製造時間をかなり減少させるやり方で用いるものである。この鋳物は、(T6焼戻しに必要になるような性質)従来の「溶体化」熱処理の諸特性を得るために、しかし、加熱炉中での普通の「溶体化」熱処理によることなく同熱処理の諸特性を得るために、出願人自身の最近の特許に従って、成型品の取出し後にそのように即座に焼入れするのが好ましい。
【0004】
本発明は、「溶体化」熱処理および時効から得られた意義のある利益が備わっている、かなりの析出硬化を有している型のどのようなアルミニウム合金鋳物の製造にも広く適用することができる。
【0005】
(発明の背景)
アルミニウム合金から作られた鋳物部品の製造では、これらの鋳物部品に必要な機械的性質(これらの部品の厳しい実用的使用のために必要な硬度および引張り強さなどの)を付与するために、このような鋳物(とりわけ、T6あるいはT7焼戻しされたもの)の多くについて念入りな熱処理過程を受けさせる必要がある、ということが過去において常に考えられていた。
【0006】
これらの鋳物部品の硬度および他の機械的性質の程度は鋳型の中で鋳造された後におけるこれらの鋳物部品の熱履歴に左右される、ということが知られている。アルミニウム協会(AA)では、もっともよく使われるアルミニウム合金と、産業界で用いられるいくつかの標準的熱処理とを分類してきた。T6およびT7と称されるこのような標準的熱処理の例は、標準的な一組の機械的性質を表すものであり、主として、ケイ素−銅−アルミニウム合金のある種の鋳物によって発展した。
【0007】
世界中の自動車産業界はきわめて厳しい品質規格を要求している。従って、アルミニウム製モーター部品を作るための鋳物プラントは、それぞれの部品について仕様が指定された機械的性質の最低基準にいつも変わることなく適合する鋳物部品を製造することができるものでなければならない。品質が必須要件であるので、これらの鋳物プラントは、念入りに試験されかつ信頼性が証明されたそれらの手順および方法に永年、従っている。産業界が現在従っている製造方法は、鋳型に液状アルミニウム合金を満たし、凝固した鋳物を得るために鋳型の中の鋳物部品を冷却し、鋳型からその鋳物を抜き出し、その鋳物部品を周囲温度まで自然に冷却し、その後、このような冷却ずみ鋳物の1バッチ分を前記「溶体化」熱処理過程に供することからなる。溶体化熱処理用加熱炉における熱負荷を減らす1つの方法は、鋳物砂の中子および鋳物の押湯部分を、自然冷却後であって溶体化熱処理前に取り除くことである。従来技術の熱処理は、好適にばり取りされた鋳物を加熱炉の中で約470°Cを超える温度(一般的には480°C〜495°Cの範囲)に所定時間、通常は少なくとも2〜7時間、加熱することからなる。この処理は、鋳物にその硬度を付与する銅および/または他の合金元素を固溶体に戻すために行なわれる。鋳造用金属がアルミニウム地の中で溶融状態にある一方で、その合金元素がアルミニウム地の中で溶体状態にある、ということは知られている。冷却処理の際に、とりわけその冷却が遅い速度で行なわれるときには、相異なる元素どうしが偏析する傾向がある。従って、昔から、その鋳物は「溶体化」熱処理加熱炉の中で数時間、再加熱され、かつ、そのすぐ後に焼入れ、すなわち、流体焼入れによって、例えば約480°Cからおよそ85°Cまで急速に冷却され、その結果、(偏析が起きる前に)固溶体が維持される。このような溶体化処理後の焼入れ冷却は、強調される合金の最終性質に従って、鋳物を多くの相異なる温度のうちのいずれかに減少させるのに充分な方法で、かつ相異なる速度で行なわれるのが普通である。
【0008】
このような焼入れ工程によって、合金を時間の経過とともに自然に硬化させる過飽和固溶体が作られる。最後に、この時効効果を促進させかつ改善するため、焼入れされた鋳物は、「時効用」加熱炉の中で約200°Cの温度に約2時間以上、保持される。高い人工時効温度にある「時効用」加熱炉の中で費やされた時間によって、その合金は、構造が少なくとも一部密着性の強いものになり、必要な硬度および強度の性質を示すようになる。
【0009】
Koppenhoeferらに付与された米国特許第5,788,787号には、「溶体化熱処理用加熱炉2、隣接する焼入れ用装置3および時効用加熱炉4」を必要とし、これらはすべてピストン機関のシリンダーヘッドのものである、熱処理用軽金属鋳物についての処理方法が開示されている。この第5,788,787号における処理方法では、鋳物を凝固し鋳型から取り出した後に、該鋳物は、従来とは異なり、自然に冷却されることなく、(このような処理のおよそ530°Cで存在する鋳物の残留熱を利用するという利点を求めるために)さらに溶体化熱処理に付される。その後、鋳物は、空気/水分混合気で130°C〜160°Cまで焼入れされ、次いで、(このようにすることで、比較的少ない残留熱がその時効用加熱炉の中へ持ち越されるという利点を得るために)加熱炉中においておよそ170°C〜210°Cで時効され、そして最後に、例えば4時間の加熱炉時効の後に、室温まで冷却される。鋳物は、鋳物の「すべての面にノズル吹き付けされた」空気と水分との霧状微細混合気で個々に焼入れされる。
【0010】
Koppenhoeferの前記特許では、鋳物を空気−水分の噴射で焼入れすることを理由に、多くの利点が主張されている。これらの利点は例えば、均一で低ひずみの冷却が達成されること、付着する中子砂が、高い焼入れ温度で濡れないこと、再生の後にきれいなものを集めて再使用することができること、そして、130°C〜160°Cにとどまっている鋳物の残留熱を用いて、次の加熱炉時効工程を促進することができること(鋳物を冷却し過ぎて該鋳物から熱がいくぶんか逃げないことによって)である。鋳物のすべての面に噴射水を導くことによって鋳物を焼入れすると、残留熱の大部分が失われるということと、保有された量は主として鋳物の内側部分にあるということとが示唆される。これによって、時効工程の中へ持ち越された保有残留熱の量を意味のあるものにするために、鋳物の内部と表面との間で大きい温度勾配を維持しなければならないということも示唆される。鋳物にわたるこのような大きい温度差(特にその最終製品部分における)は、応力を避けてT6あるいはT7の性質を達成するために、また、合金元素の球状化を避けるために、部品を焼入れするときに防止すべき問題点の1つである。さらにまた、Koppenhoeferの前記特許には、焼入れされることなく保有された湯口からの残留熱と、一時的に保有された他の鋳物の不要部分(鋳物砂の中子を含む)からの、焼入れされることなく保有された残留熱とを最後に用いるために、また、時効用加熱炉を必要とすることなく鋳物の時効を可能にするために、鋳物の最終製品部分だけを選択的に焼入れする本出願人の発明は、教示も示唆もされていない。これに対して、Koppenhoeferの前記特許には、溶体化熱処理の際に「熱分解的に壊す」ことで、また、焼入れの際にもさらに取り出すことで、いずれも時効に先立って、樹脂接合された鋳物砂の中子を鋳物から取り外すことが教示されている。
【0011】
Plataらに付与された米国特許第5,112,412号には、アルミニウムの大きい鋳物ビレットを温度均一化(再加熱)焼入れ工程の後に冷却するための処理方法が教示されている。焼入れは、(本発明の強化および硬化熱処理のちょうど逆の)アルミニウムのための軟化処理方法であり、また、このPlata特許では、特定結果を達成するためにどのようにして冷却を行なうかについては記載がない(主として言及されているのは、冷却は「合金組成に従って」ということだけであり、また、説明されているのは、「自動化されかつ制御された噴射方法は、相異なる形状のビレットが通常の円形形状ではないときに、それらの相異なる形状に応じて調整することができる」ということである)。この特許には、焼入れされたビレットをすべての面に噴射を施して冷却することがまず説明されている。このような処理によれば、該ビレットの表面では温度が下がるが、(噴射がとどかない)中心部分は、必然的にいっそうゆっくりと冷却されるため、比較的高い温度に初めはとどまる。このビレットは、噴射の後に、断熱チャンバーの中でその内側温度と外側温度とを等しくすることができる。別の実施形態では、Plataらは、いわゆる(さもなければ未確認の)「硬質」合金の場合にはそのビレットが均一化温度になるまで噴射を続ける処理方法の変形例について説明している。この温度の一例は、「AlMgSi合金では310°C〜350°C」(たいていの時効硬化温度範囲よりは高いが軟化焼入れの代表的な温度範囲)として示されている。その教示には連続する噴射の強さを変える可能性が含まれているが、それは、「より良好に均衡のとれた熱の流れ」と、「変形、応力あるいは亀裂形成がまったくないかあるいは最小となるように冷却の際に均一に分布するのが好ましい」温度帯とを実現する目的のためだけのものである。例えば、この特許では、円形ビレットのときには一様に噴射されるが、長方形ビレットのときにはその周縁に沿って異なる強度で噴射される、と述べられている。噴射強度のこのような相違は、実用部分の焼入れの際にその部分をかなり高い温度に維持するために、(そして、噴射が届くもののあまり噴射冷却されない不要部分を見分けることがほとんどないようにするために)、(鋳物を鋳物の特定の不要部分のかなりの差があるかあるいはまったく差がない焼入れ冷却に施すのとはちょうど逆に、)焼入れの際における冷却の均一性を達成するためである。従って、実施形態の1つに、後に均一化温度に到達するビレットにおけるいくつかの部分どうしの間に温度差が含まれる処理方法が開示されているとしても、鋳物における特定の相異なる部分どうしの間にある初めのかなりの熱の差を最小化するよりもむしろ助長する、鋳物の特定部分(とりわけ、その区分は、等しく露出した不要部分と加工物部分との間にある)の差別焼入れについての開示はまったくない。さらにまた、Plataらは、すべての面における加工物(ビレット)の表面を冷却する噴射方法については教示しているが、加工物の内側部分は熱い状態にとどまる。この処理方法がシリンダーヘッドあるいはエンジン用ブロックのための鋳物の加工物部分に適用されると、合金元素の相異なる分布が引き起こされ、そのために、(すべて促進時効に伴うものであるが時効用加熱炉の必要のないものである、T6処理で得られたような均一な諸性質を作る焼入れ工程をもたらす)本発明の目的を達成することはできない。本出願人の鋳物では、焼入れされなかった部分は、有用な当座の目的に供されるがその最終的な合金や物理的性質とは無関係である現実の不要部分である。Plata処理方法によって作られたエンジン用鋳物は拒絶されると思われる。
【0012】
前記のことについて言及した本出願人らの最近の米国特許第5,922,147号(Valtierraらに付与された)には、改善された熱処理方法が開示されており、この方法によれば、伝統的な溶体化加熱工程を受けるものと類似した諸性質を有する、この方法によらない製造方法に係る鋳物とは異なり、この方法の鋳物は鋳型から取り出された後にすぐ焼入れされ、従って、「溶体化」熱処理が排除されるとともに、溶体化熱処理用加熱炉の必要性がなくなる。この第5,922,147号特許の処理方法によれば、生産性が大きく改善されるとともに、資本コストおよび運転コストがかなり節約された鋳物プラントがもたらされる。しかしながら、この特許には、時効用加熱炉も排除することができる方法については教示も示唆もない。
【0013】
(発明の目的および概要)
本発明は、大まかに言えば個別に適用することができるものの、さらに鋳物の熱処理全体さえも簡略化することで、本出願人らの前記第5,922,147号特許を改良するものである。本発明によれば、時効用加熱炉を使う必要がなくなり、そのうえ、好ましくは溶体化加熱炉もまた使う必要がなくなる。従って、本発明によれば、かなり短時間で、資本コストをほとんど用いることなく、またより少ない製造コストで、鋳物を製造するための方法および装置が提供されるとともに、鋳物に必要な機械的性質が維持されかつそれが改善さえされる。
【0014】
本発明をいっそうよく説明するために、本出願人らは、鋳物の2つの主要部分を、押湯部分(この押湯部分は、実質的に取り外されて廃棄される部分である)と、加工物部分(この加工物部分は、最終製品のために使われる部分である)とに、特に識別することにする。「押湯」は、鋳物がその鋳型の中で冷えるときに鋳物の収縮を大いに補償するのに使われる、液状金属の貯蔵器である。「押湯」という用語は、この出願に用いられた意味、すなわち、鋳物が冷えた後にその貯蔵器の中に残っている、鋳物の凝固金属部分という意味も一般に有している。「押湯部分」には、少なくとも押湯が含まれるとともに、さらに広い意味で、原鋳物の一部として形成された湯口、湯道、湯口などのような、類似した他の不要な付属部が含まれるということが意図されている。鋳物が代表的な水冷鋳型から取り出されたとき、その加工物の温度は一般に約400°Cであり、その押湯の温度は一般に約500°Cである。本発明によれば、加工物部分だけを、約100°C〜約130°Cの範囲にあるのが好ましい表面温度まで、原子加工物のアルミニウム合金における原子レベルでの硬化元素(代表的には銅)の過飽和溶液を実現するのに充分な速度で選択焼入れすることによって、その利点が達成される。この選択焼入れを行なうために、噴射ノズルが設置されて噴射水あるいは噴霧が加工物に指し向けられ、押湯における衝撃が最小限にされる。この加工物指向焼入れによって、(自然冷却あるいは多くとも最小限にされた間接冷却だけを施される)押湯は、加工物焼入れ工程の際に普通は約300°C〜約350°Cよりもかなり高い温度に維持される。その後、焼入れが終わると、湯口部分における残留熱が熱貯蔵器として用いられて、加工物が、(伝導現象によって)少し再加熱されるとともに、140°C〜250°Cの、好ましくは約180°C〜約220°Cの人工時効温度範囲に適当な時間、維持され、それによって、加工物についての所望の諸性質が達成される。本発明によれば、再加熱のために加熱炉に熱を供給する必要がなくなり、また、鋳物全体が人工時効温度範囲に維持され、さらに、このように時効用加熱炉を不要にすることで鋳物プラントが簡略化される。最終焼入れ温度は、押湯からの残留熱が加工物を所望時効温度に必要時間だけ維持するには低すぎるようなものであるほど低いものであってはならない。また、加工物の表面温度が、焼入れの間中に、噴射液体(代表的には水)の沸点よりも充分高く維持されると、押湯の上へあふれる液体をいっそう容易に最小限にすることができ、あるいは完全に避けることができ、さらに、その潜熱を利用して加工物に集中させることができる。微細な噴霧水のおびただしい流れが特に効果的であるが、それは、霧の粒子が直ちに蒸発するからであり、また、押湯の上へ流れることのある熱い加工物表面を濡らす液体がまったくないからである。
【0015】
普通の鋳物工場の操業によって決定されたように、現存する押湯の質量はこの結果を達成する(すなわち、時効用加熱炉を要することなく人工時効硬化のための適切な熱貯蔵器をもたらす)には充分なものであるということがわかった。しかしながら、発明力のある所望結果のために必要とされるようにその質量を増やすことは本発明の範囲内にあると思われる。
【0016】
加工物および押湯の温度がこれら両部分の質量および表面積に大きく左右されるとしても、焼入れ温度を調節して、異なった温度軌跡で本発明の利点を達成することはできる。また、鋳物プラントの時効場所を断熱して、高温での人工時効工程を、必要とされるようないっそう長い延長時間だけ延長することができる(あるいは、鋳物プラントシステムの他の場所で入手することのできる他の残留熱あるいは過剰熱を活用する熱交換器を使用することさえできる)。これらはすべて、時効用加熱炉の余分な費用をなくすという1つの目標として行なわれる。
【0017】
従って、本発明の1つの目的は、時効用加熱炉の必要性をなくして、好ましくはさらに溶体化熱処理用加熱炉の必要性もなくして、従来技術で製造されたものと同様の機械的諸性質が備わっているアルミニウム合金鋳物を製造するための方法および装置を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、鋳物プラントの生産性を向上させるとともに、その資本コストと運転コストとをかなり減少させることである。
【0019】
本発明の他の目的は、当業者にとって明らかであり、あるいは以下に指摘される。
【0020】
本発明は、この明細書では、T6およびT7の特性が備わっているAA3xx.xシリーズのケイ素基アルミニウム合金(とりわけA319のような)を一般に使用する自動車用内燃機関のためのシリンダーヘッドの製造に適用して説明されているが、当業者にとっては、本発明は、その広い観点において他の金属合金にも他の鋳物の熱処理にも適用できる、ということが明らかである。
【0021】
この明細書および添付図面には、本発明のいくつかの好適な実施形態が示されるとともに説明されており、また、さまざまな代案および変形が示唆されているが、これらは網羅的であることを意図しておらず、変形は本発明の範囲から逸脱することなく行なうことができる、ということを理解すべきである。
【0022】
(発明の好適な実施形態の詳細な説明)
図1は、さまざまな鋳物の相異なる温度軌跡対時間を示すグラフであって、従来技術の方法に係るものが破線で示され、本発明の方法に係るものが実線で示されている。今日では、最も一般的な従来技術の操業(同グラフでは細い破線で示されている)には、鋳型から取り出した後に、鋳物を、自然冷却し、溶体化熱処理用加熱炉において再加熱してそこに維持し、焼入れし、そして時効用加熱炉において再加熱してそこに維持する、といった諸工程が含まれている。別に示された従来技術の温度軌跡(肉太の破線で示されている)は、本出願人ら自身のごく最近の米国特許第5,922,147号に開示された熱処理である(ここで、鋳型から取り出した後の自然冷却によることなく、また好ましくは直ちに行なわれる鋳物の焼入れを伴う溶体化処理はまったく省略される)。
【0023】
図1のグラフには、本発明による加工物部分および押湯部分の鋳物温度軌跡(それぞれ実線で示されている)もまた示されている。図1から分かるように、鋳物の加工物部分の選択焼入れがある。同時に、押湯は基本的に焼入れされずに残り、どのような冷却も普通は自然だけでまたいっそう低速で起き、その結果、焼入れされた加工物の温度が約120°Cであるときに、押湯の温度はまた約350°Cである。大体この時点では、焼入れ物が周囲温度になる前に、焼入れ工程が停止されるとともに、鋳物(押湯および加工物とともに)は、その加工物が主として約160°C〜約220°Cの範囲(好ましくは初めはこの範囲の上限に向かう)にあることで、その温度に均一化することができる。これによって、焼入れ工程の後に時効用加熱炉に維持された鋳物の従来の温度分布が基本的に再現され、時効用加熱炉の必要性が驚くほど排除される。このことが可能になるのは、押湯に充分な質量があり、それが、完全な時効を達成するために充分な持続時間中に利用することのできる適切な熱貯蔵器として作用するからである。
【0024】
図2には、本発明を実施するために焼入れ工程に使われる装置の好適な1つの実施形態が概略的に示されている。大まかに押湯24と加工物22とを備える鋳物20は、供給用ロボット12によってコンベヤ16の上に置かれる。コンベヤ16には、焼入れ用ユニット10を通して配置された(ローラーのような)構造用支持体18が備わっている。焼入れ用ユニット10には、空気ヘッダ26および水ヘッダ28が設けられており、これらはともに噴射ノズル30に連結されている。噴射ノズル30からは、コンベヤ16の上に置かれた鋳物22の加工物部分20に主として当たるように指し向けられる噴射水あるいは空気駆動噴霧32が噴射される。加工物20に所望の性質を実現するためには速い冷却速度がきわめて重要であるので、また、この実施形態におけるノズル30が焼入れ用ユニット10の決められた位置にあるので、鋳物20を1つの焼入れステーション33から次の焼入れステーションまで(距離34を越えて)漸次モードで移送するためには、コンベヤ16は不連続状に操作される。鋳物20が焼入れ用ユニット10の内部でコンベヤ16の長手方向に沿って移動した後に、加工物22を所望温度まで焼入れするために必要な滞留時間が満たされる。最後に、焼入れされた鋳物は、押湯24に残っている熱の貯蔵器を利用する拡張時間にわたってまだ高い温度で人工的に時効を行なう場所まで、取出用ロボット14によって移送される。焼入れ用ユニット10の焼入れ作業を改善するために、鋳物20の加工物22を焼入れしながら、ファン13を働かせて、噴射水の蒸発でできた水蒸気を排出することもできる。
【0025】
図3には、焼入れ用ユニット10の端面図が示されている。図2の場合と同じ要素には図2と同じ参照符号が付けられている。追加して示されているのは空気ヘッダ26のための空気供給部25であり、これは、いっそう良好な噴射水あるいは噴霧を実現するために高圧が好ましいときに用いられる。液体供給部27からはヘッダ28に液体が供給されるが、この部分によって、水あるいは他の適当な液体冷却用媒体が扱われる。
【0026】
図2および図3で説明された処理方法には、漸次モードで処理されるとともに鋳物20の基部として向けられた押湯24が備わっている鋳物20を処理するための焼入れ用ユニット10について教示されているが、当業者にとっては、本発明の焼入れ用ユニット10を、好ましくは可動のヘッダおよび噴射ノズルであるいはバッチ式処理システムで連続的に操作してもよい、ということは明らかであろう。本発明の実施形態を発明の範囲から逸脱することなく実施することのできる別の変更には、噴射ノズルを鋳物の下方に配置して噴射32を上方へ指し向けることが備わっている。この場合、鋳物20の湯口部分24は加工物22の上方に位置するであろう。
【0027】
先に表されたように、本発明は、より広い観点で、他のアルミニウム合金と熱処理方法とに適用することができ、その場合には、時効用加熱炉工程が普通用いられ、従来の溶体化熱処理をその次の焼入れ工程とともにまだ用いるそれらの従来技術システムが含まれている。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、一般に行なわれている従来技術による熱処理、本出願人らによるつい最近の従来技術の方法(Valtierraらに付与された米国特許第5,922,147号に示されている)による熱処理、加工物部分および押湯部分に関する本発明による熱処理の際における、時間の経過に伴う相異なる鋳物温度軌跡を示すグラフである。
【図2】
図2は、鋳物製造ラインの焼入れ部分を作り上げる一組のステーションを示す、本発明による好ましい1つの実施形態の概略側面図であって、いくつかの鋳物(それぞれは加工物部分および押湯部分の双方からなっている)と、一番上を向いた加工物部分だけを焼入れするために使われる噴射ノズルとを示している。
【図3】
図3は、図2に示された実施形態の概略正面図であって、噴射水あるいは噴霧を鋳物の加工物の一部分に導くためのノズルを示している。
(発明の分野)
本発明は、いくつかの伝統的な工程および設備を実際に排除することで従来技術の熱処理過程が簡略化されたアルミニウム合金鋳物を製造するための方法および装置に関する。本発明は、例えば、自動車エンジンのためのシリンダーヘッド、モーターブロックなどの製造に適用することができる。本発明によれば、鋳造用プラントの製造性が向上するとともに、資本コストおよび運転コストも軽減される、従来技術の熱処理に勝る多くの長所がもたらされる。本発明は、アルミニウム協会(AA)の分類における3xx.xシリーズのアルミニウム合金を製造するために、とりわけT6およびT7の特性のために一部有用である。
本発明は、過去において焼入れおよび時効加熱炉中での人工時効から派生した意義のある利益が備わっている、どのようなアルミニウム合金鋳物の製造にも広く適用することができる。本発明によれば、前記利益を保有しながら、時効加熱炉の必要性が排除される。この改良は、この明細書では、(周囲温度での自然時効と区別するために、また、時効加熱炉が必要な従来技術の人工時効と区別するために)人工自己時効と称されてきた。
【0002】
優れた背景の考察と、「熱処理可能なアルミニウム合金鋳物」、「人工時効」(また、「析出硬化」も参照のこと)、「焼入れ」、「溶体化熱処理」、「鋳物系3xx.x」および「T6およびT7焼戻し」の定義とについては、ASMハンドブックシリーズを参照されたい。とりわけ、「熱処理」と表題の付けられた第4巻(1991年)第10版(特に第841〜879ページ。「熱処理可能」については第841ページを、「焼入れ」については第851ページ以下を、そして「時効硬化」については第859ページを参照のこと)と、「性質および選択:非鉄合金および特殊目的材料」と表題の付けられた第2巻(1990年)第10版(特に第15〜41ページ。「熱処理可能」については第39ページを、「人工時効」については第40ページを参照のこと)と、「性質および選択:非鉄合金および特殊目的材料」と表題の付けられた第2巻(1990年)第10版(特に第15〜41ページ。「熱処理可能」については第39ページを、「人工時効」については第40ページを参照のこと)と、「鋳物」と表題の付けられた第15巻(1988年)第9版(特に第757〜761ページ。「焼入れ」および「時効」については第760〜761ページを参照のこと)とを参照されたい。これらはすべて、ASMインターナショナル社から発行されており、これらの内容(下記発明も含まれる)は、引用によってこの明細書に組み入れられる。
【0003】
本発明は、選択的に導かれた噴射焼入れを、高価な設備を排除するとともに全体の製造時間をかなり減少させるやり方で用いるものである。この鋳物は、(T6焼戻しに必要になるような性質)従来の「溶体化」熱処理の諸特性を得るために、しかし、加熱炉中での普通の「溶体化」熱処理によることなく同熱処理の諸特性を得るために、出願人自身の最近の特許に従って、成型品の取出し後にそのように即座に焼入れするのが好ましい。
【0004】
本発明は、「溶体化」熱処理および時効から得られた意義のある利益が備わっている、かなりの析出硬化を有している型のどのようなアルミニウム合金鋳物の製造にも広く適用することができる。
【0005】
(発明の背景)
アルミニウム合金から作られた鋳物部品の製造では、これらの鋳物部品に必要な機械的性質(これらの部品の厳しい実用的使用のために必要な硬度および引張り強さなどの)を付与するために、このような鋳物(とりわけ、T6あるいはT7焼戻しされたもの)の多くについて念入りな熱処理過程を受けさせる必要がある、ということが過去において常に考えられていた。
【0006】
これらの鋳物部品の硬度および他の機械的性質の程度は鋳型の中で鋳造された後におけるこれらの鋳物部品の熱履歴に左右される、ということが知られている。アルミニウム協会(AA)では、もっともよく使われるアルミニウム合金と、産業界で用いられるいくつかの標準的熱処理とを分類してきた。T6およびT7と称されるこのような標準的熱処理の例は、標準的な一組の機械的性質を表すものであり、主として、ケイ素−銅−アルミニウム合金のある種の鋳物によって発展した。
【0007】
世界中の自動車産業界はきわめて厳しい品質規格を要求している。従って、アルミニウム製モーター部品を作るための鋳物プラントは、それぞれの部品について仕様が指定された機械的性質の最低基準にいつも変わることなく適合する鋳物部品を製造することができるものでなければならない。品質が必須要件であるので、これらの鋳物プラントは、念入りに試験されかつ信頼性が証明されたそれらの手順および方法に永年、従っている。産業界が現在従っている製造方法は、鋳型に液状アルミニウム合金を満たし、凝固した鋳物を得るために鋳型の中の鋳物部品を冷却し、鋳型からその鋳物を抜き出し、その鋳物部品を周囲温度まで自然に冷却し、その後、このような冷却ずみ鋳物の1バッチ分を前記「溶体化」熱処理過程に供することからなる。溶体化熱処理用加熱炉における熱負荷を減らす1つの方法は、鋳物砂の中子および鋳物の押湯部分を、自然冷却後であって溶体化熱処理前に取り除くことである。従来技術の熱処理は、好適にばり取りされた鋳物を加熱炉の中で約470°Cを超える温度(一般的には480°C〜495°Cの範囲)に所定時間、通常は少なくとも2〜7時間、加熱することからなる。この処理は、鋳物にその硬度を付与する銅および/または他の合金元素を固溶体に戻すために行なわれる。鋳造用金属がアルミニウム地の中で溶融状態にある一方で、その合金元素がアルミニウム地の中で溶体状態にある、ということは知られている。冷却処理の際に、とりわけその冷却が遅い速度で行なわれるときには、相異なる元素どうしが偏析する傾向がある。従って、昔から、その鋳物は「溶体化」熱処理加熱炉の中で数時間、再加熱され、かつ、そのすぐ後に焼入れ、すなわち、流体焼入れによって、例えば約480°Cからおよそ85°Cまで急速に冷却され、その結果、(偏析が起きる前に)固溶体が維持される。このような溶体化処理後の焼入れ冷却は、強調される合金の最終性質に従って、鋳物を多くの相異なる温度のうちのいずれかに減少させるのに充分な方法で、かつ相異なる速度で行なわれるのが普通である。
【0008】
このような焼入れ工程によって、合金を時間の経過とともに自然に硬化させる過飽和固溶体が作られる。最後に、この時効効果を促進させかつ改善するため、焼入れされた鋳物は、「時効用」加熱炉の中で約200°Cの温度に約2時間以上、保持される。高い人工時効温度にある「時効用」加熱炉の中で費やされた時間によって、その合金は、構造が少なくとも一部密着性の強いものになり、必要な硬度および強度の性質を示すようになる。
【0009】
Koppenhoeferらに付与された米国特許第5,788,787号には、「溶体化熱処理用加熱炉2、隣接する焼入れ用装置3および時効用加熱炉4」を必要とし、これらはすべてピストン機関のシリンダーヘッドのものである、熱処理用軽金属鋳物についての処理方法が開示されている。この第5,788,787号における処理方法では、鋳物を凝固し鋳型から取り出した後に、該鋳物は、従来とは異なり、自然に冷却されることなく、(このような処理のおよそ530°Cで存在する鋳物の残留熱を利用するという利点を求めるために)さらに溶体化熱処理に付される。その後、鋳物は、空気/水分混合気で130°C〜160°Cまで焼入れされ、次いで、(このようにすることで、比較的少ない残留熱がその時効用加熱炉の中へ持ち越されるという利点を得るために)加熱炉中においておよそ170°C〜210°Cで時効され、そして最後に、例えば4時間の加熱炉時効の後に、室温まで冷却される。鋳物は、鋳物の「すべての面にノズル吹き付けされた」空気と水分との霧状微細混合気で個々に焼入れされる。
【0010】
Koppenhoeferの前記特許では、鋳物を空気−水分の噴射で焼入れすることを理由に、多くの利点が主張されている。これらの利点は例えば、均一で低ひずみの冷却が達成されること、付着する中子砂が、高い焼入れ温度で濡れないこと、再生の後にきれいなものを集めて再使用することができること、そして、130°C〜160°Cにとどまっている鋳物の残留熱を用いて、次の加熱炉時効工程を促進することができること(鋳物を冷却し過ぎて該鋳物から熱がいくぶんか逃げないことによって)である。鋳物のすべての面に噴射水を導くことによって鋳物を焼入れすると、残留熱の大部分が失われるということと、保有された量は主として鋳物の内側部分にあるということとが示唆される。これによって、時効工程の中へ持ち越された保有残留熱の量を意味のあるものにするために、鋳物の内部と表面との間で大きい温度勾配を維持しなければならないということも示唆される。鋳物にわたるこのような大きい温度差(特にその最終製品部分における)は、応力を避けてT6あるいはT7の性質を達成するために、また、合金元素の球状化を避けるために、部品を焼入れするときに防止すべき問題点の1つである。さらにまた、Koppenhoeferの前記特許には、焼入れされることなく保有された湯口からの残留熱と、一時的に保有された他の鋳物の不要部分(鋳物砂の中子を含む)からの、焼入れされることなく保有された残留熱とを最後に用いるために、また、時効用加熱炉を必要とすることなく鋳物の時効を可能にするために、鋳物の最終製品部分だけを選択的に焼入れする本出願人の発明は、教示も示唆もされていない。これに対して、Koppenhoeferの前記特許には、溶体化熱処理の際に「熱分解的に壊す」ことで、また、焼入れの際にもさらに取り出すことで、いずれも時効に先立って、樹脂接合された鋳物砂の中子を鋳物から取り外すことが教示されている。
【0011】
Plataらに付与された米国特許第5,112,412号には、アルミニウムの大きい鋳物ビレットを温度均一化(再加熱)焼入れ工程の後に冷却するための処理方法が教示されている。焼入れは、(本発明の強化および硬化熱処理のちょうど逆の)アルミニウムのための軟化処理方法であり、また、このPlata特許では、特定結果を達成するためにどのようにして冷却を行なうかについては記載がない(主として言及されているのは、冷却は「合金組成に従って」ということだけであり、また、説明されているのは、「自動化されかつ制御された噴射方法は、相異なる形状のビレットが通常の円形形状ではないときに、それらの相異なる形状に応じて調整することができる」ということである)。この特許には、焼入れされたビレットをすべての面に噴射を施して冷却することがまず説明されている。このような処理によれば、該ビレットの表面では温度が下がるが、(噴射がとどかない)中心部分は、必然的にいっそうゆっくりと冷却されるため、比較的高い温度に初めはとどまる。このビレットは、噴射の後に、断熱チャンバーの中でその内側温度と外側温度とを等しくすることができる。別の実施形態では、Plataらは、いわゆる(さもなければ未確認の)「硬質」合金の場合にはそのビレットが均一化温度になるまで噴射を続ける処理方法の変形例について説明している。この温度の一例は、「AlMgSi合金では310°C〜350°C」(たいていの時効硬化温度範囲よりは高いが軟化焼入れの代表的な温度範囲)として示されている。その教示には連続する噴射の強さを変える可能性が含まれているが、それは、「より良好に均衡のとれた熱の流れ」と、「変形、応力あるいは亀裂形成がまったくないかあるいは最小となるように冷却の際に均一に分布するのが好ましい」温度帯とを実現する目的のためだけのものである。例えば、この特許では、円形ビレットのときには一様に噴射されるが、長方形ビレットのときにはその周縁に沿って異なる強度で噴射される、と述べられている。噴射強度のこのような相違は、実用部分の焼入れの際にその部分をかなり高い温度に維持するために、(そして、噴射が届くもののあまり噴射冷却されない不要部分を見分けることがほとんどないようにするために)、(鋳物を鋳物の特定の不要部分のかなりの差があるかあるいはまったく差がない焼入れ冷却に施すのとはちょうど逆に、)焼入れの際における冷却の均一性を達成するためである。従って、実施形態の1つに、後に均一化温度に到達するビレットにおけるいくつかの部分どうしの間に温度差が含まれる処理方法が開示されているとしても、鋳物における特定の相異なる部分どうしの間にある初めのかなりの熱の差を最小化するよりもむしろ助長する、鋳物の特定部分(とりわけ、その区分は、等しく露出した不要部分と加工物部分との間にある)の差別焼入れについての開示はまったくない。さらにまた、Plataらは、すべての面における加工物(ビレット)の表面を冷却する噴射方法については教示しているが、加工物の内側部分は熱い状態にとどまる。この処理方法がシリンダーヘッドあるいはエンジン用ブロックのための鋳物の加工物部分に適用されると、合金元素の相異なる分布が引き起こされ、そのために、(すべて促進時効に伴うものであるが時効用加熱炉の必要のないものである、T6処理で得られたような均一な諸性質を作る焼入れ工程をもたらす)本発明の目的を達成することはできない。本出願人の鋳物では、焼入れされなかった部分は、有用な当座の目的に供されるがその最終的な合金や物理的性質とは無関係である現実の不要部分である。Plata処理方法によって作られたエンジン用鋳物は拒絶されると思われる。
【0012】
前記のことについて言及した本出願人らの最近の米国特許第5,922,147号(Valtierraらに付与された)には、改善された熱処理方法が開示されており、この方法によれば、伝統的な溶体化加熱工程を受けるものと類似した諸性質を有する、この方法によらない製造方法に係る鋳物とは異なり、この方法の鋳物は鋳型から取り出された後にすぐ焼入れされ、従って、「溶体化」熱処理が排除されるとともに、溶体化熱処理用加熱炉の必要性がなくなる。この第5,922,147号特許の処理方法によれば、生産性が大きく改善されるとともに、資本コストおよび運転コストがかなり節約された鋳物プラントがもたらされる。しかしながら、この特許には、時効用加熱炉も排除することができる方法については教示も示唆もない。
【0013】
(発明の目的および概要)
本発明は、大まかに言えば個別に適用することができるものの、さらに鋳物の熱処理全体さえも簡略化することで、本出願人らの前記第5,922,147号特許を改良するものである。本発明によれば、時効用加熱炉を使う必要がなくなり、そのうえ、好ましくは溶体化加熱炉もまた使う必要がなくなる。従って、本発明によれば、かなり短時間で、資本コストをほとんど用いることなく、またより少ない製造コストで、鋳物を製造するための方法および装置が提供されるとともに、鋳物に必要な機械的性質が維持されかつそれが改善さえされる。
【0014】
本発明をいっそうよく説明するために、本出願人らは、鋳物の2つの主要部分を、押湯部分(この押湯部分は、実質的に取り外されて廃棄される部分である)と、加工物部分(この加工物部分は、最終製品のために使われる部分である)とに、特に識別することにする。「押湯」は、鋳物がその鋳型の中で冷えるときに鋳物の収縮を大いに補償するのに使われる、液状金属の貯蔵器である。「押湯」という用語は、この出願に用いられた意味、すなわち、鋳物が冷えた後にその貯蔵器の中に残っている、鋳物の凝固金属部分という意味も一般に有している。「押湯部分」には、少なくとも押湯が含まれるとともに、さらに広い意味で、原鋳物の一部として形成された湯口、湯道、湯口などのような、類似した他の不要な付属部が含まれるということが意図されている。鋳物が代表的な水冷鋳型から取り出されたとき、その加工物の温度は一般に約400°Cであり、その押湯の温度は一般に約500°Cである。本発明によれば、加工物部分だけを、約100°C〜約130°Cの範囲にあるのが好ましい表面温度まで、原子加工物のアルミニウム合金における原子レベルでの硬化元素(代表的には銅)の過飽和溶液を実現するのに充分な速度で選択焼入れすることによって、その利点が達成される。この選択焼入れを行なうために、噴射ノズルが設置されて噴射水あるいは噴霧が加工物に指し向けられ、押湯における衝撃が最小限にされる。この加工物指向焼入れによって、(自然冷却あるいは多くとも最小限にされた間接冷却だけを施される)押湯は、加工物焼入れ工程の際に普通は約300°C〜約350°Cよりもかなり高い温度に維持される。その後、焼入れが終わると、湯口部分における残留熱が熱貯蔵器として用いられて、加工物が、(伝導現象によって)少し再加熱されるとともに、140°C〜250°Cの、好ましくは約180°C〜約220°Cの人工時効温度範囲に適当な時間、維持され、それによって、加工物についての所望の諸性質が達成される。本発明によれば、再加熱のために加熱炉に熱を供給する必要がなくなり、また、鋳物全体が人工時効温度範囲に維持され、さらに、このように時効用加熱炉を不要にすることで鋳物プラントが簡略化される。最終焼入れ温度は、押湯からの残留熱が加工物を所望時効温度に必要時間だけ維持するには低すぎるようなものであるほど低いものであってはならない。また、加工物の表面温度が、焼入れの間中に、噴射液体(代表的には水)の沸点よりも充分高く維持されると、押湯の上へあふれる液体をいっそう容易に最小限にすることができ、あるいは完全に避けることができ、さらに、その潜熱を利用して加工物に集中させることができる。微細な噴霧水のおびただしい流れが特に効果的であるが、それは、霧の粒子が直ちに蒸発するからであり、また、押湯の上へ流れることのある熱い加工物表面を濡らす液体がまったくないからである。
【0015】
普通の鋳物工場の操業によって決定されたように、現存する押湯の質量はこの結果を達成する(すなわち、時効用加熱炉を要することなく人工時効硬化のための適切な熱貯蔵器をもたらす)には充分なものであるということがわかった。しかしながら、発明力のある所望結果のために必要とされるようにその質量を増やすことは本発明の範囲内にあると思われる。
【0016】
加工物および押湯の温度がこれら両部分の質量および表面積に大きく左右されるとしても、焼入れ温度を調節して、異なった温度軌跡で本発明の利点を達成することはできる。また、鋳物プラントの時効場所を断熱して、高温での人工時効工程を、必要とされるようないっそう長い延長時間だけ延長することができる(あるいは、鋳物プラントシステムの他の場所で入手することのできる他の残留熱あるいは過剰熱を活用する熱交換器を使用することさえできる)。これらはすべて、時効用加熱炉の余分な費用をなくすという1つの目標として行なわれる。
【0017】
従って、本発明の1つの目的は、時効用加熱炉の必要性をなくして、好ましくはさらに溶体化熱処理用加熱炉の必要性もなくして、従来技術で製造されたものと同様の機械的諸性質が備わっているアルミニウム合金鋳物を製造するための方法および装置を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、鋳物プラントの生産性を向上させるとともに、その資本コストと運転コストとをかなり減少させることである。
【0019】
本発明の他の目的は、当業者にとって明らかであり、あるいは以下に指摘される。
【0020】
本発明は、この明細書では、T6およびT7の特性が備わっているAA3xx.xシリーズのケイ素基アルミニウム合金(とりわけA319のような)を一般に使用する自動車用内燃機関のためのシリンダーヘッドの製造に適用して説明されているが、当業者にとっては、本発明は、その広い観点において他の金属合金にも他の鋳物の熱処理にも適用できる、ということが明らかである。
【0021】
この明細書および添付図面には、本発明のいくつかの好適な実施形態が示されるとともに説明されており、また、さまざまな代案および変形が示唆されているが、これらは網羅的であることを意図しておらず、変形は本発明の範囲から逸脱することなく行なうことができる、ということを理解すべきである。
【0022】
(発明の好適な実施形態の詳細な説明)
図1は、さまざまな鋳物の相異なる温度軌跡対時間を示すグラフであって、従来技術の方法に係るものが破線で示され、本発明の方法に係るものが実線で示されている。今日では、最も一般的な従来技術の操業(同グラフでは細い破線で示されている)には、鋳型から取り出した後に、鋳物を、自然冷却し、溶体化熱処理用加熱炉において再加熱してそこに維持し、焼入れし、そして時効用加熱炉において再加熱してそこに維持する、といった諸工程が含まれている。別に示された従来技術の温度軌跡(肉太の破線で示されている)は、本出願人ら自身のごく最近の米国特許第5,922,147号に開示された熱処理である(ここで、鋳型から取り出した後の自然冷却によることなく、また好ましくは直ちに行なわれる鋳物の焼入れを伴う溶体化処理はまったく省略される)。
【0023】
図1のグラフには、本発明による加工物部分および押湯部分の鋳物温度軌跡(それぞれ実線で示されている)もまた示されている。図1から分かるように、鋳物の加工物部分の選択焼入れがある。同時に、押湯は基本的に焼入れされずに残り、どのような冷却も普通は自然だけでまたいっそう低速で起き、その結果、焼入れされた加工物の温度が約120°Cであるときに、押湯の温度はまた約350°Cである。大体この時点では、焼入れ物が周囲温度になる前に、焼入れ工程が停止されるとともに、鋳物(押湯および加工物とともに)は、その加工物が主として約160°C〜約220°Cの範囲(好ましくは初めはこの範囲の上限に向かう)にあることで、その温度に均一化することができる。これによって、焼入れ工程の後に時効用加熱炉に維持された鋳物の従来の温度分布が基本的に再現され、時効用加熱炉の必要性が驚くほど排除される。このことが可能になるのは、押湯に充分な質量があり、それが、完全な時効を達成するために充分な持続時間中に利用することのできる適切な熱貯蔵器として作用するからである。
【0024】
図2には、本発明を実施するために焼入れ工程に使われる装置の好適な1つの実施形態が概略的に示されている。大まかに押湯24と加工物22とを備える鋳物20は、供給用ロボット12によってコンベヤ16の上に置かれる。コンベヤ16には、焼入れ用ユニット10を通して配置された(ローラーのような)構造用支持体18が備わっている。焼入れ用ユニット10には、空気ヘッダ26および水ヘッダ28が設けられており、これらはともに噴射ノズル30に連結されている。噴射ノズル30からは、コンベヤ16の上に置かれた鋳物22の加工物部分20に主として当たるように指し向けられる噴射水あるいは空気駆動噴霧32が噴射される。加工物20に所望の性質を実現するためには速い冷却速度がきわめて重要であるので、また、この実施形態におけるノズル30が焼入れ用ユニット10の決められた位置にあるので、鋳物20を1つの焼入れステーション33から次の焼入れステーションまで(距離34を越えて)漸次モードで移送するためには、コンベヤ16は不連続状に操作される。鋳物20が焼入れ用ユニット10の内部でコンベヤ16の長手方向に沿って移動した後に、加工物22を所望温度まで焼入れするために必要な滞留時間が満たされる。最後に、焼入れされた鋳物は、押湯24に残っている熱の貯蔵器を利用する拡張時間にわたってまだ高い温度で人工的に時効を行なう場所まで、取出用ロボット14によって移送される。焼入れ用ユニット10の焼入れ作業を改善するために、鋳物20の加工物22を焼入れしながら、ファン13を働かせて、噴射水の蒸発でできた水蒸気を排出することもできる。
【0025】
図3には、焼入れ用ユニット10の端面図が示されている。図2の場合と同じ要素には図2と同じ参照符号が付けられている。追加して示されているのは空気ヘッダ26のための空気供給部25であり、これは、いっそう良好な噴射水あるいは噴霧を実現するために高圧が好ましいときに用いられる。液体供給部27からはヘッダ28に液体が供給されるが、この部分によって、水あるいは他の適当な液体冷却用媒体が扱われる。
【0026】
図2および図3で説明された処理方法には、漸次モードで処理されるとともに鋳物20の基部として向けられた押湯24が備わっている鋳物20を処理するための焼入れ用ユニット10について教示されているが、当業者にとっては、本発明の焼入れ用ユニット10を、好ましくは可動のヘッダおよび噴射ノズルであるいはバッチ式処理システムで連続的に操作してもよい、ということは明らかであろう。本発明の実施形態を発明の範囲から逸脱することなく実施することのできる別の変更には、噴射ノズルを鋳物の下方に配置して噴射32を上方へ指し向けることが備わっている。この場合、鋳物20の湯口部分24は加工物22の上方に位置するであろう。
【0027】
先に表されたように、本発明は、より広い観点で、他のアルミニウム合金と熱処理方法とに適用することができ、その場合には、時効用加熱炉工程が普通用いられ、従来の溶体化熱処理をその次の焼入れ工程とともにまだ用いるそれらの従来技術システムが含まれている。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、一般に行なわれている従来技術による熱処理、本出願人らによるつい最近の従来技術の方法(Valtierraらに付与された米国特許第5,922,147号に示されている)による熱処理、加工物部分および押湯部分に関する本発明による熱処理の際における、時間の経過に伴う相異なる鋳物温度軌跡を示すグラフである。
【図2】
図2は、鋳物製造ラインの焼入れ部分を作り上げる一組のステーションを示す、本発明による好ましい1つの実施形態の概略側面図であって、いくつかの鋳物(それぞれは加工物部分および押湯部分の双方からなっている)と、一番上を向いた加工物部分だけを焼入れするために使われる噴射ノズルとを示している。
【図3】
図3は、図2に示された実施形態の概略正面図であって、噴射水あるいは噴霧を鋳物の加工物の一部分に導くためのノズルを示している。
Claims (25)
- 押湯部分および加工物部分が備わっているアルミニウム合金鋳物を焼入れして人工的に時効する方法であって、この方法が、
鋳物の加工物部分を選択焼入れ冷却し、一方で、押湯部分を比較的高い温度に維持し、
その焼入れを、鋳物が高い温度にあってその合金元素が固溶体にあるときに開始し、
その焼入れを、加工物部分を充分に速く冷却して合金元素の析出を阻止し、それによって、その合金元素をアルミニウム地の内部で過飽和溶液に維持するために進行させ、
その焼入れを、加工物部分が人工時効のための温度範囲かあるいはその温度範囲よりも低い温度まで冷却されたときに中断し、
この加工物部分を、ある温度範囲内で、かつ、アルミニウム合金鋳物のそのような時効に本質的に適した実効時間にわたって、比較的熱い押湯部分からの残留熱の流れにより人工時効する
ことを備えてなる方法。 - 前記加工物部分の人工時効が、鋳物全体を積極的に加熱することなく成し遂げられる、請求項1に記載の方法。
- 加工物部分に対する押湯部分の付属部の質量、形状および断面積と、それらの間の温度差とが、加工物部分を人工時効に必要な温度範囲および時間範囲の中に維持するために充分であるように選ばれる、請求項1または2に記載の方法。
- 前記選択焼入れ冷却が、焼入れ流体を前記加工物部分の表面に噴射することによって行なわれる、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記焼入れ流体が水である、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記焼入れが噴霧水によって行なわれる、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記焼入れは鋳物が約350°Cよりも高い温度にあるときに開始される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記焼入れは持続時間が5分間よりも少ないものである、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記焼入れは加工物部分が100°C〜130°Cのオーダーの温度に達し、押湯部分が300°Cよりも高い温度にとどまっているときに中断される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記焼入れは加工物部分が約130°Cに達したときに中断される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記焼入れは加工物部分が約120°Cに達したときに中断される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
- 加工物部分の前記人工時効が140°C〜250°Cの温度で行なわれる、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 加工物部分の前記人工時効が180°C〜220°Cの温度で行なわれる、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記人工時効が2〜5時間の時間行なわれる、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記加工物部分が人工時効の後に中子外しされる、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記鋳物が、鋳物に熱を加えることなく人工時効処理の持続時間を延長するために人工時効の際に断熱される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 熱処理可能なアルミニウム合金が、時効を通して析出硬化することによって改善された硬度および強度の含まれている諸性質を有している、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記鋳物が、アルミニウム協会(AA)の分類による3xx.xシリーズのアルミニウム合金であって、Al、SiおよびCuあるいはMgを主要鋳物構成成分として有し、T6およびT7焼戻しに少なくとも等しい諸性質を有している、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記鋳物が最大で5%の銅含有率を有しているA319アルミニウム合金から作られている、請求項18に記載の方法。
- 前記鋳物が400°Cよりも高い温度にある間に、その鋳物を凝固させて鋳型から取り出し、
前記鋳物を、溶体加熱炉の中で約2〜7時間の時間溶体化熱処理温度まで加熱する
ことをさらに備えている、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。 - 溶体加熱炉の中における前記鋳物の前記加熱が、約480°C〜約495°Cの溶体化熱処理温度の範囲まで行なわれる、請求項20に記載の方法。
- 前記鋳物をその鋳型から引き出した後であって溶体化熱処理する前にその鋳物を自然冷却することをさらに備えている、請求項20または21に記載の方法。
- 押湯部分および加工物部分を有している熱間アルミニウム鋳型を焼入れして人工時効するための装置であって、
焼入れユニットと、
時効ユニットと、
少なくとも1つの鋳物を前記両ユニットを通して連続的に移動させるとともに、このような鋳物を前記焼入れユニットの中で定方位位置に配置するための移送手段と、
前記焼入れユニットの中でそのように方位付けられた鋳物の加工物部分を、初めは比較的高い温度にとどまる押湯部分の主たる除外のために、急速にかつ選択的に焼入れするための冷却手段と
を備えてなる装置。 - 前記両ユニットが、連続処理ラインの一部であり、前記焼入れユニットが、噴射封じ込めハウジングであり、前記冷却手段が、定方位位置における前記移送手段によってそれに向けられた鋳物の加工物部分だけに直接当たるように指し向けられた少なくとも1つの液体焼入れ噴射器である、請求項23に記載の装置。
- 前記時効ユニットが、絶縁されたトンネル型ハウジングである、請求項23または24に記載の装置。
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