JP2004511457A - 高い細胞内カルシウム濃度の条件下で機能する選択的マキシ−kカリウムチャネル・オープナー、その方法および用途 - Google Patents

高い細胞内カルシウム濃度の条件下で機能する選択的マキシ−kカリウムチャネル・オープナー、その方法および用途 Download PDF

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Abstract

本発明は、高い細胞内カルシウム濃度の条件下でマキシ−Kチャネルを開ける機能を果し、かつ低いまたは生理的に正常な細胞内カルシウム濃度の条件下ではマキシ−Kチャネルたん白の開放に有意に作用しない、カルシウム感受性および選択性のマキシ−Kカリウムチャネル・オープナー/アクチベーター化合物、並びに該化合物の検定および使用方法を提供する。
本発明の全細胞電圧パッチ−クランプ研究によれば、フルオロ−オキシンドールおよびクロロ−オキシンドール化合物などのオープナー化合物の、マキシ−Kチャネルを開ける能力が細胞内Ca2+濃度([Ca2+]i)に対し敏感であり、すなわち、負電位が高くなると多くのチャネルが開放することが新たに証明される。特定のフルオロ−およびクロロ−オキシンドール化合物は、低い[Ca2+]iにおける効果と比べ、高い[Ca2+]iの細胞においてのみ、全細胞マキシ−Kカリウムチャネル−仲介外部電流の有意な増加をもたらす。かかる化合物は、[Ca2+]i増加の条件下で最大効力を示すマキシ−KチャネルのCa2+−感受性および選択性オープナーを提供し、かつそれ自体、細胞が高い細胞内カルシウム量に基づく外傷性ストレスをこうむったりあるいは該ストレスになりやすい疾患または障害、たとえば発作の治療薬となる。

Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、細胞内カルシウム濃度に対し非常に敏感で、かつ高い細胞内カルシウムの条件下でコンダクタンスの大きいカリウムチヤネル(マキシ(maxi)−K、マキシ−KまたはBKカリウムチヤネル)を選択的に開けることが新たにわかった、これらチャネルのモジュレーター、特にオープナーあるいはアクチベーターの同定に関する。かかるカルシウム−感受性オープナーは、高い細胞内カルシウム濃度の症状と関連する疾患および障害、特に神経学的病理もしくは神経変性病理、疾患および障害、たとえば虚血性発作の処置に特に有効となりうる。
【0002】
(背景技術)
コンダクタンスの大きいカルシウム(Ca2+)−活性化カリウム(マキシ−K、マキシ−KまたはBKと称す)チャネルは、脳を含めほとんどの組織で見られる。マキシ−Kチャネルは、その大きなコンダクタンス並びに活性化のためのCa2+および膜電位の存在に対する信頼に基づきユニークである。該チャネルは、細胞内のCa2+量([Ca2+]i)の増加、および/または膜脱分極に応じて自然に開き、このため、細胞からのカリウム(K)流出および細胞膜電位の調節を可能にする。この活性は、内因性フィードバック機構として役立ち、それによって、細胞はもとの興奮性の少ない、過分極電位の高い状態に戻ることにより、細胞へのさらなる電圧−依存Ca2+進入を限定する。
【0003】
哺乳類のマキシ−Kチャネルは、7つの膜ドメイン含有たん白であって、Ca2+の結合に必要と思われる、大きなカルボキシ−末端領域を有する[M.Schreiberらの「Nat.Neurosci.」(2:416−421、1999年);P.Meeraらの「Proc.Natl.Acad.Sci.USA」(94:14066−14071、1997年);V.K.Gribkoffらの「Advances in Pharmacology」(37:319−347、1997年)]。ヒトニューロンや他の組織で発現されるマキシ−Kチャネルとしては、hSlo1遺伝子ファミリー・メンバーが包含される[S.I.Dworetzkyらの「Brain Res.Mol.Brain Res.」(27:189−193、1994年);D.P.McCobbらの「Am.J.Physiol.」(269:H767−H777、1995年)]。
【0004】
ニューロンにおけるマキシ−Kチャネルは、選択的スプライシング[J.Tseng−Crankらの「Neuron」(13:1315−1330、1994年)]、ベータ・サブユニット・アセンブリー[S.I.Dworetzkyらの「J.Neurosci.」(16:4543−4550、1996年)およびR.Brennerらの「J.Biol.Chem.」(275:6453−6461、2000年)]および密に関係するファミリー・メンバー,hSlo2またはSlackとの可能なコアセンブリー[W.Joinerらの「Nat.Neurosci.」(1:462−469、1998年)]の結果として,重要な表現型変動を示す。
【0005】
この変動に拘らず,全てのマキシ−Kチャネルは電圧−およびCa2+−依存性を有し、従って、重要な脱分極の期間中および/またはニューロン内部のCa2+量が高いときのみに、上記チャネルの活性化限界に到達する[O.McManusの「J.Bioenerg.Biomembr.」(23:537−560、1991年)およびK.T.WannおよびC.D.Richardsの「Eur.J.Neurosci.」(6:607−617、1994年)]。従って、これらチャネルの薬理学的遮断は、正常なニューロン機能に対して非常に穏当な効果を持つ[K.N.Juhngらの「Epilepsy Res.」(34:177−186、1999年)]。しかしながら、これらのチャネルが開いているとき、それらは細胞膜電位の有効な調節器である。
【0006】
発作は、世界中の非常に多くの人々に対して死や長期の廃疾をひき起こす神経学的症状のよく知られた具体例である。実際に、米国だけでも、毎年700000以上もの人々が発作に苦しんでいる[G.R.Williamsらの「Stroke」(30:2523−2528、1999年)]。目下、たった1つの形態の療法、すなわち、血栓崩壊のみが、限られた患者母集団における急性発作の結果の改善に有効であることが知られている[M.Fisherの「J.Thromb.Thrombolysis」(7:165−169、1999年)]。
【0007】
最も一般的形態の疾患である、急性虚血性発作は、閉塞した管に対して遠位の、激しく損傷した組織の芯領域をもたらし、該芯領域は、芯への近接およびおそい脈管灌流のため死の危険状態の周縁部組織で取り巻かれている[G.Schlaugらの「Neurology」(53:1528−1537、1999年)]。エネルギー有効性の低下、過度の興奮性アミノ酸放出、高い細胞内カルシウムおよびニューロンの高興奮性によって起こる神経毒性生化学カスケードの結果、周縁部の虚血性ニューロンは死ぬ[U.Dirnaglらの「Trends Neurosci.」(22:391−397、1999年)]。
【0008】
神経保護化合物は、管閉塞後の危険なニューロン細胞に対しある程度の保護を付与するようになっているが、見込みのある臨床前の支持データにも拘らず、再三再四、臨床試験ではうまく行かなかった[K.K.Jainの「Exp.Opin.Invest.Drugs」(9:695−711、2000年)]。ヒトの臨床試験で神経保護化合物を用いる成功の欠如は、副作用が存在することに帰し、これによって、その有用性あるいは用量が制限される。他の作用物質について完全に試験したが、効きめを証明できなかった[J.De Keyserらの「Trends Neurosci.」(22:535−540、1999年)]。
【0009】
マキシ−Kチャネルは、細胞機能において重大な調節の役目を演じることから、これらのチャネルは特に、発作中に影響されるニューロン細胞で、重要な治療標的を構成する。これらのチャネルの転形(modulation)は、高興奮性またはCa2+の病原性量の条件にさらされる細胞、特にニューロン細胞、および/またはニューロン起点の細胞を保護する治療的選択を提供することができよう。マキシ−Kチャネルのオープナーが記載されているが、これらのオープナーは、十分な効力および治療剤として使用できるという特異性に欠くことがわかった[V.K.Gribkoffらの「Mol.Pharmacol.」(50:206−217、1996年);J.E.Starrettらの「Curr.Pharm.Design」(2:413−428、1996年)]。
【0010】
当該分野で必要なのは、新しいモジュレーター、特に、特殊な条件下、たとえば高い細胞内カルシウム濃度下で細胞の標的にされるマキシ−Kチャネルたん白に対し選択的作用を示す、マキシ−Kチャネルのオープナーまたはアクチベーターである。かかるオープナー化合物は一般に、細胞内の環境がカルシウム濃度の高いものである疾患およびマキシ−Kチャネルがオープナー化合物によって標的にされる疾患の処置用に設計することができる。さらに詳しくは、かかるオープナー化合物は、ニューロン病理および疾患、たとえば発作(特に、虚血性発作)の処置用に設計できるが、これは、発作中の神経毒性によって破壊される細胞に起こる生理学的プロセスに基づく。
【0011】
また当該分野において、マキシ−Kチャネルが活性である細胞、特に虚血性細胞に起こる条件(状態)、および条件に依存し、かつかかる条件下でその効果を発揮して、危険な細胞の標的を活性化する、薬物、化合物、小分子、治療剤等を包含するマキシ−Kオープナーまたはアゴニストの発見および設計の理解も必要とされ、かつ本発明によってその理解が得られる。
【0012】
本発明は、有効で選択的なオープナー化合物、およびその使用方法を提供する。これらの化合物は、マキシ−Kチャネルに対するその作用において条件に依存するように設計されており、該オープナーは高い細胞内カルシウム条件下、たとえば虚血性細胞の条件下で有効に働くことにより、虚血保護を付与するが、正常な細胞、および/またはこのような高い細胞内カルシュウム条件を有さない細胞に対しては実質的に効果を有さないようになっている。これに対し、他のオープナー化合物は、細胞内カルシウム濃度に対する感受性に欠けるのが認められ、従って、その作用は細胞内カルシウムの濃度に依存しない。
【0013】
本明細書で記載されるように、本発明は、高量の細胞内カルシウムではマキシ−Kチャネルの有力で特殊な開放機能を示すが、細胞内カルシウム量の低い細胞のこれらのチャネルに対してほとんど効果を有さない、マキシ−Kチャネルの新しいカルシウム−依存オープナー、またはカルシウム・コ−アゴニストを規定する。
【0014】
(発明の概要)
本発明は、哺乳類のマキシ−Kチャネルのオープン(開放)確率を増大し、かつ該チャネルの機能を増加する、新規なマキシ−Kチャネル・オープナーまたはアクチベーター化合物を提供する、かかるオープナーは、細胞の細胞内カルシウム濃度に対し敏感で、かつ高い細胞内カルシウム濃度、たとえばミクロモル範囲下で最も有効であるが、正常な、たとえば生理的下の、低い細胞内カルシウム濃度に対しては、効果が最小限であるか、もしくは少しも効果を有しないことが明らかである。
【0015】
本発明は、特別な側面において、高い細胞内カルシウム量、たとえば神経変性疾患(発作など)中危険な状態のニューロンに存在する量の条件下で機能する、マキシ−Kチャネル・オープナー化合物の形態の新規な神経保護剤に関係する。
【0016】
また本発明の目的は、ニューロン興奮性と神経系の細胞中のCa2+進入を限定する内因性系から成る、標的、すなわち、マキシ−Kチャネルたん白を転調する(modulate)、方法および化合物を提供することである。本発明によれば、新規化合物は、たとえば急性発作や関連症状中に、細胞内Ca2+量が正常より高く、たとえばミクロモル範囲になると、マキシ−Kチャネルを開けるように設計されている。
【0017】
本発明の別の目的は、特に虚血性ニューロンを標的にして、マキシ−Kチャネルの機能の増加によりかかるニューロンのマキシ−Kチャネルたん白、特にヒトマキシ−Kチャネルの転調によって、虚血保護を付与し、これによって、医薬標的の条件−依存性活性化を可能ならしめ、かつ他の細胞や非虚血性細胞と比較して、細胞内Ca2+量の高い虚血性細胞への該化合物の作用を限定する、方法および化合物を提供することである。
【0018】
本発明のまた別の目的は、本発明の選択的マキシ−Kカリウムチャネル・オープナーから成る医薬組成物を提供することであり、ここで、該組成物はさらに医薬的に許容しうる担体、賦形剤または希釈剤を含有する。
【0019】
本発明のまた別の目的は、高い細胞内カルシウム濃度の条件下で選択的に機能して、マキシ−Kカリウムチャネルを開け、たとえばK流出を増加したり、電圧−依存Ca2+流入を縮小する、マキシ−Kチャネル・モジュレーター、作用物質(剤)または化合物を選別、同定または検出するアッセイおよび方法を提供することである。
【0020】
好ましいオープナー化合物は、マキシ−Kカリウムチャネルたん白に影響を及ぼし、かつ高い細胞内カルシウム濃度の条件下でマキシ−Kチャネルたん白に対しその活性を選択的に発揮するよう機能するが、正常なまたは低い細胞内カルシウム濃度の条件下ではマキシ−Kチャネルたん白にその活性を発揮しないものである。
【0021】
かかる選別(スクリーニング)法としては、該モジュレーター、作用物質または化合物が高い細胞内Ca2+量の条件下でマキシ−Kチャネルを標的にしこれに作用する能力を、正常なまたは低い細胞内Ca2+量の条件下のマキシ−Kチャネルを標的にし作用する能力と比較して評価することが包含されうる。
【0022】
本発明の他の目的は、特に記載の選別法によって得られるような、マキシ−Kチャネル・アゴニストまたはアクチベーターとしての新規なオープナー化合物およびマキシ−Kモジュレーターを提供することである。
【0023】
また本発明の他の目的は、哺乳類、特にヒトの疾患で、被作用細胞が高量の細胞内カルシウムを有し、被作用細胞の高い細胞内カルシウム濃度の結果として、マキシ−Kチャネルたん白が明確に標的にされることを特徴とする疾患の処置または予防法を提供することである。かかる疾患の具体例としては、これらに限定されるものでないが、発作、全般脳虚血、外傷性脳損傷、パーキンソン病、てんかん、片頭痛および慢性神経変性障害、たとえばアルツハイマー病が挙げられる。
【0024】
さらに本発明の特別な他の目的は、哺乳類、好ましくはヒトの神経学的疾患、特に発作、さらに詳しくは急性虚血性発作の処置または予防法を提供することで、該方法において、高量の細胞内Ca2+を有する細胞(たとえば虚血性ニューロン)のマキシ−Kチャネルを標的にしかつ活性化する選択的能力を有するが、非虚血性または正常なニューロンを有意に標的とせずかつ活性化しない、マキシ−Kチャネルのオープナーを使用する。
【0025】
また本発明の別の目的は、新しい種類のCa2+−感受性および選択的マキシ−Kチャネル・オープナー化合物、およびその具体的メンバーを提供することである。
さらに本発明の別の目的は、本明細書で詳しく記載される、Ca2+−感受性および選択的マキシ−Kチャネル・オープナーであることが新たにわかったクロロ−オキシンドール(oxindole)化合物を提供することである。
【0026】
なお、本発明のさらに他の目的、特徴および利点については、添付の図面を参照し、かつ発明の詳細な説明を読めば、容易に理解されるだろう。
【0027】
図1Aおよび1Bは、高量(1.0μM)の細胞内Ca2+を含有の培地で灌流した細胞中、hSlo α−サブユニットでトランスフェクションされたHEK−293細胞のピーク全細胞電流に関し、マキシ−Kカリウムチャネル・オープナー化合物,BMS−204352(3−置換オキシンドール誘導体)の効果を証明する。図1Aは、電流−電圧関係を示す(平均値±SE;n=5、但し、ウオッシュ(wash),n=3)。図1Bは、図1Aのデータの用量応答を示す。薬物の電流振幅は、+30mVで測定し、+30mVで測定した対照電流のパーセントで表示する。
【0028】
図2A−2Cは、hSlo α−サブユニットでトランスフェクションされたHEK−293細胞の全細胞電流に関し、細胞内カルシウム濃度[Ca2+]iおよびBMS−204352化合物(5μM)の効果を証明する。図2Aは、内部
[Ca2+フリーを変えた条件下の全細胞外部電流のI−V関係を示す。(i.),(オープン符号)は対照条件を示し、(ii.),(クローズド符号)は5μM−BMS−204352を示す(平均値±SE;各データポイントn=3〜20;図1Aおよび1Bのデータを1μM Ca2+グループに含ませる)。図2Bは、(薬物電流/対照電流)の比対電圧で示される、図2Aの電流データを示す。図2Cは、1μM[Ca2+]iで実験した代表的電流を示す。図2Aにおいても同様、(i.)は対照を示し、(ii.)は5μMのBMS−204352化合物の存在下で実施する。
【0029】
図3Aおよび3Bは、全細胞パッチ(patch)−クランプ(clamp)技法を用い、クローン化hSlo α−サブユニットでトランスフェクションされたHEK−293細胞の外部カリウム電流に関し、各種[Ca2+]iおよびBMS−225113オープナー化合物(10μM)の効果を示す。保持電位は、[Ca2+]i=250nMおよび1μMの場合で−80mV、[Ca2+]i=2.5μMの場合−100mVであった。[Ca2+]iに適する一連の10mV脱分極電圧ステップを適用した。[Ca2+]iを250nMから1.0μM、または2.5μMに増加すると、ピーク電流−電圧関係が左へシフトし、このようにV1/2に見掛けの左方向のシフトが示される。図3Aにおいて、BMS−225113化合物(10μM)は、[Ca2+]iが高くなればなる程その条件下でマキシ−K電流の増大をもたらした。図3Bにおいて、図3Aのデータを、(薬物電流/対照電流)の比対電圧で表わす。(各データポイントは、3〜9細胞の平均値±SEを示す)
【0030】
図4A−4Fは、発作に関連する数匹のラットモデルにBMS−204352オープナー化合物を投与したインビボ実験の結果を示す。図4Aは、インビトロのラット海馬組織ウェッジ(wedges)からの[H]グルタメートのBMS−204352化合物による、電気刺激放出の転形(調整)を示す。該化合物は、放射性同位元素標識グルタメートの放出を穏当かつ有力に抑制した。***P<0.005、**P<0.01、P<0.05。
【0031】
図4Bは、麻酔をかけたラットにインビボでBMS−204352(IV巨丸剤)を投与し、薬物注射の2時間後に判断したところ、CA3領域の対側性交連線維系の刺激によって生じる、CA1領域に記録された電界電位の小さいが重要な縮小となることを示す。広い範囲の用量,50ng/kg〜1mg/kgがこのモデルに有効であった。**P<0.01、P<0.05。挿入図は、(i.)の前と100ng/kgのBMS−204352投与後(2時間;ii.)の誘電電位の一例を示す。これらの効果は常に、長く永続し、かつ最長実験の期間(4〜5時間)中持続した。
【0032】
図4Cは、SHRラットにおいて永久片側MCA閉塞の2時間後に化合物1を投与したことによる、磁気共鳴映像を用いて測定した皮質梗塞量の縮小を示す。MRIで見られるこれらの結果は、閉塞開始の24時間後に組織学的技法で確認した。P<0.05。
【0033】
図4Dは、Wistar正常血圧ラットの皮質梗塞量に対するラセミ化合物1とBMS−204352(0.3mg/kg IV)の効果の比較を示す(永久片側MCA閉塞、永久同側CCA閉塞、一過性対側性CCA閉塞の併用モデル;MCA閉塞開始の2時間後にPUM、PIC、TCCモデル、BMS−204352を投与)。**P<0.01。
【0034】
図4Eは、Wistar正常血圧ラット(PUM、PIC、TCCモデル)において、MCA閉塞開始の2時間後にBMS−204352を投与した場合の、用量−応答関係を示し、図4Bにおけるシナプス転形に見られるものに類する有効用量−応答関係を証明する。発作および誘発電位モデルにおける3mg/kg以上の用量での効きめの反転メカニズムは、不明である。**P<0.01、P<0.05。
【0035】
図4Fは、正常血圧Wistarラット(PUM、PIC、TCCモデル)における皮質梗塞量の縮小に関し、閉塞開始後1または2時間のBMS−204352(1mg/kg IV)の投与効果の比較を示す。これら2つの閉塞後時間ポイントでは、マキシ−Kチャネル・オープナーの効果を統計的に区別できない。**P<0.01、P<0.05。全てのデータは、閉塞開始後24時間で収集した。
【0036】
図5A−5Dは、ヒト脳hSlo α−サブユニットを発現させるHEK−293細胞における全細胞電流に関し、細胞内Ca2+濃度([Ca2+]i)と、BMS−A化合物または公知のNS−1619ベンズイミダゾロン化合物使用の効果を表わす。図5Aは、2つの[Ca2+]i条件(すなわち、50nMの[Ca2+]iと2.5μMの[Ca2+]i)下の、対照(オープン符号)とBMS−A(1μM)(クローズド符号)のマキシ−K電流−電圧(I−V)関係を示す。
【0037】
図5Bは、図5Aのデータに対し(薬物電流/対照電流)の比対電圧で示される、I−V電流データを示す。各データポイントは、4〜8細胞の平均値±標準誤差(SE)を示す。
【0038】
図5Cは、[Ca2+]iが50nMおよび2.5μMの条件下、公知のNS−1619ベンズイミダゾロンで実験した場合のマキシ−K・I−V関係を示す。対照はオープン符号で示され、薬物はクローズド符号で示される。
【0039】
図5Dは、図5Cのデータに対し比対電圧で示す、図5CのI−V電流データを示す。各データポイントは、9〜11細胞の平均値±SEを示す。注目として、BMS−A(図5A、5B)は実際に、低[Ca2+]i(たとえば50μM)でマキシ−Kチャネル電流を縮小するが、NS−1619は両[Ca2+]iで、同量の電流増加をもたらす。
【0040】
(発明の詳細)
本発明は、哺乳類マキシ−Kカリウムチャネル、特にヒトマキシ−Kチャネルの開放確率を増大し、かつ機能を増加する、新規なマキシ−Kチャネル・オープナー化合物を提供する。かかるオープナーは新たに、細胞の細胞内カルシウム濃度に対し敏感であることを特徴とし、かつ高い細胞内カルシウム濃度(たとえばミクロモル範囲)の条件下で最も有効であるが、正常な、たとえば生理的下の、低い細胞内カルシウム濃度に対しては、効果が最小限であるか、もしくは少しも効果を有しないことが明らかである。すなわち、本明細書記載のオープナーは、細胞のマキシ−Kカリウムチャネルへの活性を発揮するためには、細胞内カルシウム濃度が増殖していない細胞内カルシウム濃度より高いことを必要とする。
【0041】
本発明は、特別な側面において、高い細胞内カルシウム量、たとえば神経変性疾患(発作など)中危険な状態のニューロンに存在する量の条件下で機能する、マキシ−Kチャネル・オープナー化合物の形態の新規な神経保護剤に関係する。
【0042】
マキシ−Kイオンチャネルは、カリウム(K)流出を著しく増大し、膜を急速に過分極し、次いで電圧−依存Ca2+流入をさらに縮小することにより、細胞内Ca2+および膜脱分極の実質的な増加に反応するたん白である[V.K.Gribkoffらの「Adv.Pharmacol.」(37:319−348、1997年)]。本発明は、特定のマキシ−Kチャネル・オープナー化合物が、高い細胞内カルシウム濃度を有する細胞のマキシ−Kチャネルに対し選択的に作用を発揮するが、正常な、適度のあるいは低い細胞内カルシウム濃度を有する細胞のマキシ−Kチャネルに対しては、最小限の作用しか、あるいは全く作用を発揮しないという発見に関連する。
【0043】
すなわち、本発明に係る新規オープナー化合物(“オープナー”または“マキシ−Kオープナー”)は、細胞の細胞内カルシウム濃度に対し極めて敏感であり、かつカルシウム増加条件下で最も有効であるが、生理的に正常乃至低い細胞内カルシウム濃度下では、効果が最小限であるか、もしくは少しも効果を有しないことが証明されている。
【0044】
このことは特に、細胞内カルシウムの増大または蓄積が、細胞に外傷性ストレスを起こし、および/または病理、細胞毒、アポプトシスまたは死に関係する疾患、症状または障害の場合に重要である。急性虚血性発作は、細胞内Ca2+の蓄積が、虚血性周縁部の細胞の最後の死の主要な近い原因と思われる、特別な疾患である[D.W.Choiの「Trends Neurosci.」(18:58−60、1995年);T.KristianおよびB.K.Siesjoの「Stroke」(29:705−718、1998年)]。
【0045】
本発明のマキシ−Kオープナーは特に、高い細胞内カルシウム量の細胞、たとえば虚血性ニューロンを標的にするよう設計されている。すなわち、本発明が新たに提供する化合物の活性が、高濃度の内部カルシウムを有する細胞に対し限定的かつ選択的であるため、これらの化合物は本発明によって、副作用を有意に縮小、たとえば血圧を低下するよう規定される。
【0046】
加えて、本発明に係る化合物およびその使用は、正常または低い内部カルシウム量を有する細胞を、実質上影響を及ぼさない状態にする。ガイダンスとして、高量の細胞内カルシウムの非制限的具体例は、概して高ナノモル(たとえば約250または300nM以上)〜ミクロモル(たとえば約1〜10μM)範囲にあると考えられ;正常または生理的量の細胞内カルシウムは概して、約50nM〜250nMの範囲にあると考えられ;および低量の細胞内カルシウムは概して、約5〜50nMの範囲にあると考えられる。
【0047】
本発明の化合物は、Ca2+感受性がマキシ−Kチャネルに対する該化合物作用と関連し、このため、疾患の危険な状態にある細胞への作用力を制限し、また発作などの神経変性疾患の場合にも、急性発作および関連症状中の、正常量より高いCa2+を有する細胞には虚血保護を付与するように設計されている。
【0048】
本発明は、マキシ−Kチャネル・オープナー化合物の活性に、独特の高レベルのCa2+感受性を組み入れることにより、非虚血性細胞への衝撃が最小限であるより有効な神経保護剤を提供する。神経学的障害および疾患の場合、これは、潜在的に病的量の細胞内Ca2+にさらされないニューロンや他の細胞のマキシ−Kチャネルに対する薬物作用を、大いに減少させる。
【0049】
従って、本明細書記載の化合物および方法は、正常または影響を受けていないニューロンの、並びに潜在的に病的または致死量の細胞内Ca2+にさらされない他の細胞のマキシ−Kチャネルに対する薬物作用を、大いに減少させるように規定される。高量の細胞内Ca2+に対し独特に敏感なオープナー薬物/化合物の創造により、高い細胞内Ca2+量を有することが特徴でない、非虚血性細胞または他のタイプの細胞において、Ca2+およびK調節の混乱をほとんどなくすべきである。加えて、かかるオープナー薬物/化合物は、虚血性発作の回復においてマキシ−Kチャネル・オープナーに対し神経保護の役割を付与する。
【0050】
マキシ−Kチャネル・オープナーとしての使用に好適な化合物は、高い細胞内カルシウム濃度の存在下で活性であるが、低いまたは正常な生理的細胞内カルシウム濃度の条件下でマキシ−Kチャネルの開放に対しほとんど乃至全く有意な活性を有しないものである。神経保護剤として使用する場合、該化合物は脳に浸透しうることが好ましい。
【0051】
高い細胞内カルシウム濃度を有する細胞に対し選択的機能を有する化合物の1つの種類としては、P.HewawasamらのU.S.特許No.5565483および5602169に記載の、3−フェニル置換オキシンドール誘導体が含まれる。フルオロ−オキシンドール化合物は、上記種類に属し、高い細胞内カルシウム濃度を有する細胞に対しマキシ−Kチャネル・オープナーとして選択的に作用することができ、かつ正常な、適度のまたは低い細胞内カルシウム濃度を有する細胞のマキシ−Kカリウムチャネルを開けるのにはっきりと感知できる程度には作用しない。
【0052】
フルオロ−オキシンドール化合物の1つのメンバーは、マキシ−Kオープナー化合物の(3S)−(+)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン、または高い細胞内カルシウム濃度の条件下、ヒトの胎芽腎(HEK−293)細胞で発現されるヒト脳マキシ−Kチャネル・α−サブユニット,hSloの選択的で有効なオープナーであることが[S.Dworetzkyらの「Brain Res.Mol.Brain Res.」(27:189−193、1994年)]、本発明に従って新たに判定されたBMS−204352である。
【0053】
本発明によれば、BMS−204352化合物は、低い、適度のまたは正常な細胞内カルシウム濃度([Ca2+]i)を有する細胞とは対照的に、高い[Ca2+]iを有する細胞のマキシ−Kカリウムチャネルに対し作用を発揮する、カルシウム感受性オープナーとして機能することがわかった。本明細書に記載の如く、本発明に係るBMS−204352化合物を用いる実験により、マキシ−Kチャネルを開けるBMS−204352の能力に関し異なる[Ca2+]iの効果を調べた。
【0054】
さらに詳しくは、全細胞電圧−クランプ・電気生理学的技法に従って、異なる濃度のCa2+([Ca2+フリー=50nM、250nM、1μMまたは2.5μM)含有のピペットを用い、hSlo−仲介外部電流を記録し、クランプ締めした細胞を5μMのBMS−204352化合物にさらした(実施例1)。実施例1および2に記載の実験結果から、BMS−204352化合物は、1μMの内部[Ca2+フリーを有する細胞において、濃度−依存および逆転方法で全細胞hSlo−仲介外部電流を増大した(図1Aおよび1B;図2Aおよび2B)。
【0055】
“正常な”または生理的に正常な細胞に見られるような低細胞内カルシウム、たとえば約50〜250nMの[Ca2+]iで、BMS−204352化合物は、クローン化ヒトSloマキシ−Kチャネルの開放確率に関してほとんど効果を有さないことがわかった(実施例2)。しかしながら、細胞内カルシウムをμM範囲に上げると、BMS−204352化合物は、これらのチャネルの有力で特殊なオープナーとなる(図2Aおよび2B)。
【0056】
本発明に従って、ユニークな高[Ca2+]i−選択的および感受的特性と、高[Ca2+]iに関連するオープナー機能を有する他の新規な化合物としては、クロロ−オキシンドール化合物が包含され、その中でBMS−225113(すなわち、(±)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン)は、特別でかつ非制限的な具体例である。
【0057】
BMS−204352化合物と同様、BMS−225113化合物も、高い細胞内カルシウム濃度の条件下で細胞マキシ−Kチャネルに対しその効果を発揮するが、低いまたは正常な細胞内カルシウム濃度の細胞のこれらのチャネルに対し最小限の効果しか発揮しない(図3Aおよび3Bおよび実施例2)。
【0058】
さらに、U.S.特許No.5869509に記載の、化学名:3−[(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)メチル]−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オンを有するBMS−A化合物は、高い細胞内カルシウム濃度の条件下で細胞マキシ−Kチャネルを開けることが証明された(実施例12)。
【0059】
本発明に係る化合物は、高い細胞内カルシウム濃度の条件下で細胞のマキシ−Kカリウムチャネルを活性化し、かつ低いまたは正常濃度の細胞内カルシウム下では細胞のマキシ−Kカリウムチャネルを有意に活性化しない。かかる化合物は、本明細書記載の如く、高い細胞内カルシウム量を特徴とする疾患や障害で利用できるという点で有益である。実際に、本発明に係る化合物および方法は、以下に詳しく解明するように、当該分野の他のオープナー化合物に優る利点を付与する。
【0060】
過度の細胞刺激の時間中のマキシ−Kチャネル開放の向上は、外傷性ストレスをこうむる細胞への保護、さらに詳しくは、Ca2+進入を減衰し、次いでCa2+−仲介細胞事態(events)を縮小することによる神経保護、特に神経変性に関連する神経保護を付与する潜在性を有する。細胞脱分極に応じるニューロン・マキシ−Kチャネルの開放と、[Ca2+]iの増大は、細胞を再分極し、Ca2+流入を縮小する有効な内因性メカニズム(機構)を構成する。
【0061】
本発明に係る例示化合物の場合、マキシ−Kカリウムチャネル開放において最も根深い薬物−誘発増大がミクロモルの[Ca2+]iで観察され、これによって、本発明の化合物は、細胞を病原性レベルの興奮性インプットにさらし、[Ca2+]iを増大せしめ、たとえば虚血性発作の条件にあるときに最大効果を有しうることが示される。
【0062】
本発明の化合物は、細胞内カルシウムの濃度に拘らずマキシ−Kチャネル活性を増大することが報告されている他のマキシ−Kチャネル・オープナーと対照をなす立場にあり、すなわち、上記他のオープナー化合物の活性は非選択的で、かつ細胞内カルシウム濃度に依存しないようになっている。これらの種類の化合物の具体例は、D.Strφbaekらの「Neuropharmacology」(35:903−914、1996年)およびM.McKayらの「J.Neurophysiology」(71:1873、1997年)に記載されている。
【0063】
実際に、本明細書実施例12に記載の結果によれば、上記種類の非選択的化合物は、内部カルシウム濃度に依存しない一般のチャネル開放活性を示すが、本発明の化合物のチャネル開放を行なう能力は、カルシウムの細胞内濃度に極めて敏感であることが明らかになる。
【0064】
細胞内カルシウム濃度に依存せずに作用する他のマキシ−Kチャネル・オープナー/モジュレーターと異なり、本明細書記載の、高濃度の細胞内カルシウムに対し選択性および感受性を有するカルシウム−依存オープナーは、高い細胞内カルシウムを有する細胞、たとえば前虚血性ニューロン細胞のチャネルに有意に影響を及ぼす。
【0065】
すなわち、本発明記載のかかるオープナーは、発作/虚血の場合や高い細胞内カルシウム量が特徴であるもしくは該量によって始まる他の障害、疾患もしくは症状の場合の処置あるいは療法に特に使用することができ、かつマキシ−Kカリウムチャネルのオープナーによる処置に敏感に反応し、応答する。
【0066】
また、当業者にとって理解される点は、高い細胞内カルシウム量を有する細胞のマキシ−Kカリウムチャネルの開放確率を増大するが、生理的に正常または低い細胞内カルシウム量を有する細胞ではそのように増大しない、他のオープナー化合物、たとえばマキシ−Kチャネルの小分子アクチベーターも本発明によって包含されることである。
【0067】
治療/処置
本発明の具体例において、高い細胞内カルシウム濃度を有する細胞環境のマキシ−Kチャネルへの作用に対し感受性および選択性を有するマキシ−Kオープナー化合物は、治療目的に使用しうる。かかる本発明に係るオープナー化合物を、他の適当な治療剤と組合せ、治療を必要とする個人(たとえば患者)に投与することができる。
【0068】
組合せ療法に用いる適当な作用物質の選択は、従来の薬理的原理に従って当業者が適宜に成しうる。治療剤の組合せは、相乗的に作用して、本発明の高[Ca2+]−感受性マキシ−Kオープナー化合物による処置に敏感に反応し、応答する特定の疾患や障害、特に発作を含む神経学的疾患または障害の処置あるいは予防を行なうことができる。このアプローチを使用すれば、何人も各作用物質の低用量によって、治療的効きめを得ることができ、これによって、有害な副作用の可能性を縮小することができる。
【0069】
本明細書記載のマキシ−Kチャネル・オープナーを必要とする治療法のいずれも、かかる療法が必要ないずれかの個々の哺乳類(たとえばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ラビット、サル、最も好ましくはヒトなどの哺乳類を含む)に適用することができる。高い細胞内カルシウム量が特徴である疾患または障害、たとえば急性虚血性発作の処置方法が本発明によって包含され、該方法において、高[Ca2+]iの細胞のマキシ−Kチャネルを開けるのに感受性および選択性を有するマキシ−Kオープナーの有効量を、該処置が必要な個人に投与して、上記疾患または障害を縮小、改善または緩和する。虚血性発作からの神経保護や、神経学的疾患または障害(これらに限定されないが、発作を含む)の処置を付与する方法が好ましい。
【0070】
げ歯動物で行なったインビボ処置を評価する最初の実験において、BMS−204352フルオロ−オキシンドール化合物を用い、近位中大脳動脈(MCA)の永久病巣閉塞に、遅延薬物適用を併用し、臨床出現(presentation)の条件を再現する努力で、薬物を発作開始の多少時間後に頻繁に投与する。救うべきニューロンは低下した血流の領域、すなわち周縁部にあるので、BMS−204352化合物が特に有利であり、何故なら、その他の全ての特性以外に、それが非常に高レベルで脳にはいるからである(図4A−4F;実施例7)。
【0071】
本発明の他の具体例において、高い細胞内カルシウム濃度の細胞環境のマキシ−Kチャネルへの作用に対し感受性および選択性を有するマキシ−Kオープナー化合物を、高い細胞内カルシウム量が特徴であるもしくは該量によって始まり、かつマキシ−Kチャネルのオープナーによる処置に敏感に反応し、応答する疾患、障害または症状の予防的処置のために、あるいはその開始を予防したりまたはその厳しさを軽減するための予備処置に使用することができる。予防目的のため、あるいは予備処置としての、本発明に係るオープナー化合物の投与は、治療のため上述したような他の作用物質と組合せて行なうことができる。
【0072】
かかる予備処置用途の非制限的具体例は、上述の疾患または障害、たとえば神経変性疾患または障害、あるいは慢性神経変性疾患または障害、さらに詳しくは、発作、全般大脳虚血、外傷性脳損傷、パーキンソン病、てんかん、片頭痛およびアルツハイマー病の危険な状態の、あるいはこれらの疾患または障害にかかりやすい個人への投与である。この具体例の1つの側面において、該疾患または障害の開始の前に、たとえば前に1以上の発作を持った患者のための予備処置として、すなわち、続いて起こる発作または関連症状の危険を減少、またはその厳しさもしくは程度を軽減できるように、本発明に係るオープナー化合物を投与することができる。
【0073】
スクリーニング・アッセイおよび方法
本発明の具体例として、マキシ−Kオープナー化合物を同定、検出または選別するアッセイおよび方法が含まれ、上記マキシ−Kオープナー化合物は、高量の細胞内カルシウムを有する細胞のこれらタイプのカリウムチャネルを開けるよう機能するが、低いまたは正常な量の細胞内カルシウムを有する細胞のマキシ−Kチャネルに対しては有意な開放活性を有しない。
【0074】
本発明の選別および検出法によって確定されるマキシ−Kオープナー化合物は、高い細胞内カルシウム濃度に関連する疾患および症状、好ましくは神経変性および神経学的疾患および障害、より好ましくは急性虚血性発作の処置の治療剤として使用できる。
【0075】
候補(candidate)作用物質は、合成もしくは天然化合物のパネルあるいはライブラリーを含む幅広い種々の源から、または単離した天然化合物、あるいは合成化合物もしくは薬物から得ることができる。
かかるアッセイ法の1つとして、細胞内カルシウム条件のコントロール下の細胞ベースアッセイでの、候補オープナー化合物のテストが必要である。マキシ−Kチャネルを発現する一次細胞を含む細胞、細胞系、または細胞培養物を使用する。かかる細胞は、機能しうるマキシ−Kチャネルを発現、または過発現する天然産出細胞であってよい。
【0076】
別法として、細胞は商業上または他の方法で入手しうる定着した細胞系または培養物からのもの(たとえばHEK−293)であってよく、またクローン化マキシ−KチャネルDNA(たとえばhSlo)でトランスフェクションされたもので、マキシ−Kチャネルを発現する。本発明に従って、潜在的マキシ−Kチャネル・オープナーをテストするアッセイで用いる細胞の場合、高い細胞内カルシウム濃度[Ca2+]iを有する細胞と、低い、適度または生理的に正常な細胞内カルシウム濃度[Ca2+]iを有する他の細胞に対する条件を設定する。
【0077】
候補化合物または試験化合物について、高[Ca2+]iたとえば約500nM、または1、5もしくは10μM[Ca2+]iの存在下のマキシ−Kチャネルのオープナーとして機能するが、低いまたは正常濃度の[Ca2+]i、たとえば約5、50、100または250nM[Ca2+]iではマキシ−Kチャネルに対し有意なオープナー活性を有しない能力を検定する。
【0078】
たとえば、標準パッチ(patch)−クランプ(clamp)分析および記録技法を行なうことができ、たとえば実施例1および2に記載の、インサイドアウトおよびアウトサイドアウトの切除パッチ、細胞−貼付パッチおよび全細胞クランプにより、候補化合物または試験化合物の高[Ca2+]iの導入後に、マキシ−Kチャネル外部電流が増大もしくは賦活(活性化)するかどうかを判定し、低いまたは好ましくは正常な[Ca2+]i、好ましくは漸進的によりネガチブな電圧でのマキシ−Kチャネル外部電流に対する候補化合物または試験化合物の効果と比較する。
【0079】
候補化合物または試験化合物が、本発明に係るマキシ−KチャネルのCa2+−感受性および選択的オープナーとして機能することが確定されれば、該化合物によって、マキシ−Kチャネルが仲介する全細胞電流のI−V関係は、細胞内カルシウム濃度の増大に伴って、左へシフトするが、該化合物は低[Ca2+]i条件下では有意な効果を全く有さない。
【0080】
アッセイまたはテストをうける化合物が、高い細胞内カルシウム濃度の条件下のアッセイで、細胞によって発現されるマキシ−Kチャネルを活発に開ければ、該化合物を同時に上述の試験に付して、正常乃至低い細胞内カルシウム濃度下の、マキシ−Kチャネル−発現細胞へのそのオープナー機能を判定する。
【0081】
本発明に係る適当なマキシ−Kオープナー化合物が、このアッセイおよび方法を介して同定または検出されるが、それは、試験化合物が高[Ca2+]iの条件下の細胞のマキシ−Kチャネルを有効に開けるが、正常乃至低[Ca2+]iを有する細胞のマキシ−Kチャネルを有効に開けない場合である。
【0082】
非制限的具体例として、候補化合物または試験化合物の活性は、クローン化マキシ−Kカリウムチャネル(たとえばhSlo)で形質導入されたもので、かつこれらのチャネルを発現するツメガエル属卵母細胞(Xenopus oocytes)に対し、検定または試験することができる。
【0083】
かかるアッセイにおいて、全細胞マキシ−K電流の発現をもたらすのに十分なhSlo cRNAを、たとえば晩期(late−stage)ツメガエル属卵母細胞に注入する。発現に2〜4日間の余裕をみて、二電極電圧−クランプ技法を採用して、マキシ−Kチャネル電流を記録することができ、そして、たとえば電流−電圧関係の変化を調べることにより、薬物への応答を評価することができる。
【0084】
卵母細胞は内因性低量の細胞内カルシウムを有するので、本発明記載の新規マキシ−Kチャネル・オープナーの特性を有する試験化合物は、卵母細胞のこれらのチャネルを有意に開けず、しかし、本明細書記載の高量の[Ca2+]iの条件下で検定されるマキシ−Kチャネル−発現細胞のチャネルを開け、これによって、オープナー化合物のカルシウム感受性および選択性が証明される。
【0085】
あらかじめ記載したマキシ−Kオープナーは、内因性低[Ca2+]i条件下ツメガエル属卵母細胞で発現されるマキシ−K電流の増加に有効であったが、(V.Gribkoffらの「Molecular Pharmacology」(50:206−217、1996年)]、これとは対照に、本発明の化合物は、これらの条件下ツメガエル属卵母細胞のマキシ−K電流において、矛盾がないあるいは有意な増加をもたらさない。
【0086】
さらに、本発明に従って、高い[Ca2+]i下の細胞のマキシ−Kカリウムチャネルを明確に標的にし、開けるが、低い乃至正常な[Ca2+]iを有する細胞に対してはその作用を発揮しない能力のスクリーニングをうける化合物は、必要に応じて、実施例3に記載の他のレセプタや酵素に対するその標的特異性の検定を行なうことができる。
【0087】
医薬組成物
さらに本発明の具体例は、医薬組成物を上述の治療使用および効果のために、医薬的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤と共に投与することを包含する。かかる医薬組成物は、高い細胞内カルシウム濃度を有する細胞のマキシ−Kチャネルのオープナーとしての活性が機能的で選択的である、オープナー化合物の1種以上を含有しうる。
【0088】
該組成物は単独で、または安定化化合物などの他の作用物質の少なくとも1種と組合せて投与されてよく、またいずれかの無菌で生物学的適合性の医薬用担体(これらに限定されるものでないが、食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エタノールなどの有機溶剤、および水が含まれる)中にて投与されてもよい。また該組成物は単独で、または他の作用物質、薬物、ホルモン、または生物学的応答変性剤と組合せて、患者に投与されてよい。
【0089】
本発明で用いる医薬組成物は、これらに限定されるものでないが、静脈内、頭蓋内、筋肉内、動脈内、骨髄内、クモ膜下腔内、心室内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、局所、舌下または経口手段を含む幾らかの方法のいずれかで投与することができる。
【0090】
かかる医薬組成物は、活性成分(すなわち、選択的オープナー化合物)以外に、適当な医薬的に許容しうる担体、希釈剤、または活性化合物を医薬的に使用できる製剤に加工するのを容易にする助剤を含む賦形剤を含有してもよい。なお、配合や投与に関する技法のさらなる詳細については、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」の最新版(マーック・パブリッシング・カンパニー、ペンシルバニア州イーストン)を参照。
【0091】
経口投与用の医薬組成物は、経口投与に適切な調剤において周知の医薬的に許容しうる担体を用いて配合することができる。かかる担体によれば、該医薬組成物を、患者が摂取するための錠剤、丸剤、糖剤(糖衣錠)、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ、スラリー剤、懸濁液などに配合するのが可能となる。
【0092】
経口用の医薬製剤は、活性化合物を固体賦形剤と混合し、必要に応じて得られる混合物を粉砕し、次いで要すれば、錠剤または糖剤コアを得るために適当な助剤を加えた後、顆粒混合物を加工することによって、得ることができる。適当な賦形剤は、炭水化物またはたん白フィラー、たとえばラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含むシュガー;トウモロコシ、小麦、米、ジャガイモまたは他の植物のスターチ;メチルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロース・ナトリウムなどのセルロース;アラビアゴムやトラガカントゴムを含むゴム;およびゼラチンやコラーゲンなどのたん白である。要すれば、崩壊剤もしくは可溶化剤を加えてもよく、たとえば架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはその医薬的に許容しうる塩(アルギン酸ナトリウムなど)が挙げられる。
【0093】
糖剤コアは、濃シュガー溶液などの生理的に適切なコーチング、ラッカー液、および適当な有機溶剤もしくは溶剤混合物と共に使用することができ、なお、上記シュガー溶液には、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポール(carbopol)ゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタンを含有させてもよい。製品識別のため、あるいは活性化合物の量(すなわち、投与量)を特徴づけるのに、錠剤または糖剤コーチングに染料もしくは顔料を加えてもよい。
【0094】
経口使用できる医薬製剤としては、ゼラチンから作られるプッシュ嵌めカプセル剤、並びにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどのコーチングから作られる軟質計量カプセル剤が挙げられる。プッシュ嵌めカプセル剤は、活性成分を、ラクトースまたはスターチなどのフィラーまたはバインダー、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、および必要に応じて安定化剤と混合して含有することができる。軟質カプセル剤において、活性化合物を、安定化剤を用いまたは用いずに、適当な液体、たとえば脂肪油、液体、または液状ポリエチレングリコールに溶解もしくは懸濁させてもよい。
【0095】
非経口投与に好適な医薬配合物は、水溶液、好ましくはハンクス液、リンゲル液または生理的緩衝食塩水などの生理的に適合しうる緩衝液中に配合されてよい。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を上げる物質、たとえばカルボキシメチルセルロース・ナトリウム、ソルビトールまたはデキストランを含有してもよい。さらに、活性化合物の懸濁液は、適当な油状注射懸濁液としても製造しうる。
【0096】
適当な親油性溶剤またはビヒクルとしては、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセライドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームが挙げられる。また懸濁液は、必要に応じて高濃度溶液の調製を可能ならしめるため、適当な安定化剤あるいは化合物の溶解性を高める作用物質、たとえばDMSOを含有してもよい。
【0097】
局所または鼻腔投与の場合、浸透されるべき個々のバリヤに適切な浸透剤または透過剤を、配合物に用いる。このような浸透剤は一般に、当該分野で公知である。
本発明の医薬組成物は、公知の方法により、たとえば通常の混合、溶解、粒状化、糖剤製造、糊状化、乳化、カプセル化、閉じ込め(entrapping)または凍結乾燥法に従って製造しうる。
【0098】
医薬組成物は、塩で供給されてよく、かつ多数の酸(これらに限定されないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等が含まれる)を用いて形成できる。塩は、水性溶剤、または対応する遊離塩基形状である、他のプロトン溶剤により溶解する傾向にある。
【0099】
他の場合、好ましい製剤は、下記成分:ヒスチジン1〜50mM、スクロース0.1〜2%、およびマンニトール2〜7%のいずれかまたは全てを含有してもよい凍結乾燥粉末であってよく、4.5〜5.5のpH範囲にて使用前に緩衝液と混合される。医薬組成物を製造した後、適当な容器に入れ、次いで指示症状の処置のラベルを貼ることができる。オープナー化合物の投与の場合、ラベルの表示としては、量、投与回数および投与方法が挙げられる。
【0100】
本発明での使用に好適な医薬組成物としては、意図した目的を達成するのに十分な量で活性成分を含有した組成物が含まれる。有効な用量の決定は、当業者の能力の十分範囲内である。いずれの化合物の場合も、治療上有効な用量は、たとえばマキシ−Kチャネルたん白を発現または含有する細胞を用いる細胞培養アッセイで、あるいは動物モデル、通常、これらに限定されないが、マウス、ラット、ラビット、イヌまたはブタにて、最初に見積もることができる。また動物モデルを用いて、適切な濃度範囲および投与の方法を決定することができる。次いでかかる情報を用い、これを基にして、ヒトにおける有用な用量と投与方法を決定しうる。
【0101】
治療上有効な用量とは、徴候もしくは症状を改善し、縮小しまたは排除する活性成分、たとえば本発明に係る新規Ca2+−感受性および選択性オープナーの1種以上の量を指称する。治療の効きめおよび毒性は、細胞培養または実験動物での標準医薬手順、たとえばED50(母集団の50%が治療上有効な用量)およびLD50(母集団の50%に及ぶ致死用量)で決定しうる。
【0102】
毒性対治療効果の用量比は、治療上のインデックスであって、ED50/LD50比で表示することができる。細胞培養アッセイおよび動物実験から得られるデータは、ヒトに使用する場合の用量範囲の決定に用いる。医薬組成物に含まれる好ましい用量は、毒性がほとんどもしくは全くないED50を含む、流通(circulating)濃度の範囲内である。用量はこの範囲内で、使用する投与剤形、患者の感受性、および投与方法に応じて適宜変化する。
【0103】
正しい用量は、個々の要求処置に関連するファクターを考慮する開業医によって決定されるだろう。投与の用量および時間は、十分量の活性化合物/成分を付与したり、あるいは所望の効果を維持するよう調整される。考慮されうるファクターとしては、個人の病気状態の厳しさ、患者の一般的健康状態、患者の年令、体重および性別、食事療法、投与の時間および回数、薬物の組合せ、反応感受性、および療法に対する耐性/応答が含まれる。マキシ−Kオープナー化合物は、それ単独でまたは必要もしくは所望ならば、組合せて投与することができる。
【0104】
一般的指針として、予備処置または予防的療法用の医薬組成物は、その厳しさが縮小もしくは改善されつつある、またはその開始が防止もしくは排除されつつある疾患または障害が現われる前に投与される。理解すべき点は、マキシ−Kチャネル・オープナーの1種以上の同じ用量または異なる用量による、1回の予備処置あるいは繰返しの、たとえば継続した予備処置を採用できることである。
【0105】
さらに、本発明に係るマキシ−Kチャネル・オープナーはそれ単独、または別のマキシ−Kチャネル・オープナー、もしくは他の治療剤と組合せて、患者の疾患が現われるとき、たとえば疾患の出現時直ちにあるいは疾患の開始の一定時間後に投与することができる。また、本発明に係るマキシ−Kチャネル・オープナーを疾患開始の後に投与するときには、適当な時間にわたる繰返しまたは継続的投与も採用することができる。
【0106】
非制限的指針および非制限的具体例として、マキシ−Kチャネル・オープナーをその投与が必要な患者に対し、疾患出現時直ちに、および/または疾患開始もしくは出現の一定時間後に、たとえば疾患開始もしくは出現の後2・3分もしくは2・3時間以内に、および/または5・6時間または5・6日までに投与することができる。本発明のマキシ−Kチャネル・オープナーからなる長期作用性の医薬組成物は、処置される疾患または障害、個々の配合物の半減期およびクリアランス速度に応じて、3〜4日毎、1週間毎に、または2週間に1回投与されてよい。
【0107】
標準の投与量は、投与方法に応じて、0.1〜100000ミクログラム(μg)で、トータル用量約1グラム(g)以下で変化させてよい。個々の投与量やデリバリーの方法に関するガイダンスについては、文献に記載され、かつ一般的に当該分野の実務家(開業医)にとって入手しうる。当業者であれば、本発明に係る化合物のデリバリーが、個々の細胞、症状、位置等に対して特異性であることが理解されよう。たとえば、本明細書に記載の如く、親油性であるオープナー化合物は、有効な脳浸透剤であり、かつ脳−関連障害によって作用される細胞、たとえば発作中のニューロンのマキシ−Kカリウムチャネルに影響を及ぼすのに使用することができる。
【0108】
(実施例)
以下に挙げる実施例は、本発明の例示であって、本発明を限定するものではない。
実施例1
方法:
細胞調製
HEK−293細胞を、製造のプロトコルに従って、リポフェクタミン(lipofectamine)(Gibco)を用い、hSlo α−サブユニットcDNA含有の1〜2μgのpcDNA3発現プラスミド[S.I.Dworetzkyらの「Brain Res.Mol.Brain Res.」(27:189−193、1994年)]でトランスフェクションする。
【0109】
0.5mg/mLのゲネチシン(Geneticin)(G418、Sigma)を補給した培地で、hSloで安定してトランスフェクションされた細胞を選択する。CO5%およびO95%の加湿雰囲気中37℃の、10%のウシ胎児血清およびG418を補給したミニマム・エセンシャル・メディアム(Minimum Essential Medium)(MEM、Gibco)中で、トランスフェクションしたHEK−293細胞を成長させる。35mm培養皿中のフィブロネクチン−被覆ガラスカバースリップ上に、細胞を載せる。
【0110】
電気生理学的記録
標準全細胞パッチ−クランプ技法を用いて、外部K−仲介電流を調べる[P.O.Hamillらの「Pflugers Arch.」(391:85−100、1981年)]。10または20kHzのデジタル化の前に、レコードを2kHzで濾過する(filtered)。浴(bathing)溶液は、以下の成分:NaCl 145mM、KCl 3mM、CaCl 2.5mM、MgCl 1mM、HEPES 10mMを含有する(pH7.4)。厚壁のあるホウ珪酸塩ガラスから記録ピペットを抜き(浴溶液中2〜4MΩ)、燃焼磨きをし、次いでKCl 140mM、MOPS 20mM、EGTA 1.0mM含有の、CaClでpH7.2に調整した溶液を満たして、要求される[Ca2+フリーとする[A.FabiatoおよびF.Fabiatoの「J.Physiol.,Paris.」(75:463−505、1995年)に記載の方法を織り込んだEQCALプログラム(Biosoft、ケンブリッジ)を用いて測定]。
【0111】
Axopatch 200増幅器またはEPC9増幅器とPulseプログラムで、刺激発生およびデータ取得をコントロールする。データを貯蔵し、オフライン分析する。細胞保持電位は、2.5μM[Ca2+]iで実験した場合は−100mVで、残りのCa2+濃度(1μM、250nMおよび50nM)の場合−80または−6mVである。[Ca2+]iに適切な一連の10mV脱分極電圧ステップ(100〜200ms)を適用して、一系列の外部電流を誘発する。直列抵抗は、80%補償前で6MΩである。電圧パルスの終り付近で、定常状態の電流を測定する。
【0112】
薬物/オープナー化合物
BMS−204352フルオロ−オキシンドール化合物およびBMS−225113クロロ−オキシンドール化合物は、親油性であり、従って、DMFまたはDMSOを用いストック溶液を作ってから、浴溶液中の最終実験濃度に希釈した。必要ならば、超音波処理を用いて、可溶化を助成する。溶剤の濃度は、常に0.2%である。各実験で、注意を払って、化合物と表面(ガラスおよびプラスチックを含む)の接触を最小化にし、そして使用前に新たに溶液を調製する。
【0113】
実施例2
パッチ−クランプ:
全細胞電圧−クランプ技法[R.Pennerの「Single Channel Recording,2版」(B.SakmanおよびE.Neher編、プレナム・プレス、ニューヨーク、3−30頁、1995年),“パッチ・クランピングへの実用的ガイド”]を用い、異なった濃度のCa2+(すなわち、[Ca2+フリー=50nM、1μMまたは2.5μM)を含有するピペットで、hSlo−仲介外部電流を記録する。クランプした細胞を、実施例1に記載の如く、5μMのBMS−204352フルオロ−オキシンドール・オープナー化合物またはBMS−225113クロロ−オキシンドール・オープナー化合物にさらす。
【0114】
これらの実験の結果から、BMS−204352化合物は、全細胞hSlo−仲介外部電流を、濃度に依存および逆転して増大することが認められる(図1Aおよび1B)。これらの実験の中部[Ca2+フリーは1μMであった。
【0115】
BMS−204352およびBMS−225113化合物の場合共に、ピペット溶液中の[Ca2+フリーの変化による細胞内Ca2+濃度の増大は、全細胞マキシ−K電流に漸進的によりネガチブな電圧で賦活せしめる。図2Aおよび3Aで示されるように、[Ca2+]iの50nMから250nM、1μMまたは2.5μMへの増大は、電流−電圧(I−V)関係(相関)を左にシフトし、これによって、半−最大賦活電圧(V1/2)の明らかな左方向シフトが見られる。
【0116】
BMS−204352およびBMS−225113オープナー化合物(5μM)の添加は、全て4つのCa2+濃度においてhSlo−仲介電流を増大するが、該化合物は最高濃度のCa2+(1μMおよび2.5μM)のときしか、有意な増大をもたらさない(図2Bおよび3B)。
【0117】
これらの結果は、BMS−204352およびBMS−225113化合物が、非常に高い細胞内カルシウム濃度の条件下のHEK−293細胞で発現された、ヒト脳マキシ−Kチャネル・α−サブユニット(hSlo)の有効で有力なオープナーであることを証明する。
【0118】
hSloで仲介される全細胞電流のI−V関係は、[Ca2+]iの増大に伴なって左にシフトし、これによって、半−最大賦活電圧はより高い[Ca2+フリーに伴なってよりネガチブになることが示唆される。両化合物(5μM)は、1および2.5μM[Ca2+]iの条件下で記録した電流の最も根深い増大をもたらす。
【0119】
上記結果と対照的に、内因性の低い細胞内Ca2+の形状(configuration)を記録する細胞−貼付パッチ−クランプにおいて、BMS−204352化合物の効果は比較的に適度であり、そして該化合物をhSlo1を発現するツメガエル属卵母細胞に適用すると、類似した適度で相反する効果が見られる。
【0120】
また本発明の新規マキシ−Kオープナーを用いて観察される結果は、たとえば内因性低[Ca2+]iの条件下のツメガエル属卵母細胞において、先に記載したマキシ−Kチャネル・オープナーの一貫した結果と対照的な立場にある[V.Gribkoffらの「Molecular Pharmacology」(50:206−217、1996年)]。これら両方の系は、低くかつ可変量の細胞内Ca2+を有する。
【0121】
本発明に係るオープナー化合物の作用が、非常にCa2+−感受性であることは、本実施例に記載の実験および結果によって確認される。すなわち、該オープナー化合物は低量の細胞内Ca2+(たとえば50nM)では、マキシ−K電流に関してほとんど全く効果を有しないが、細胞内Ca2+が増大すると(たとえばミクロモル範囲に)、該オープナー化合物は、マキシ−Kチャネル−仲介電流の漸進的に大きな増大をもたらし、かつその増大は広範囲の賦活電圧に及ぶ(図2B、2Cおよび3B)。
【0122】
これらのデータによって、マキシ−Kチャネルの開放が、高い細胞内Ca2+および該化合物両方の存在下、生理的に適切な膜電圧で、有意に拡大されることが提案される。これは、外傷性ストレスを付随する疾患状態の期間中、たとえば虚血中の高[Ca2+]iの細胞において、膜電位、細胞興奮性およびCa2+進入の有効なコントロールを可能ならしめることができる。
【0123】
アウトサイドアウトおよび全細胞パッチ分析の場合、使用する溶液は、いずれもmM単位で、145のNaCl、3のKCl、2.5のCaCl、1のMgCl、10のHEPES、10の±グルコースを含有する規定の細胞外Na溶液(pH7.4)である。インサイドアウト・パッチ用の細胞内および細胞外培地、または全細胞パッチ用のピペット溶液は、いずれもmM単位で、140のKCl、20のMOPS、10のEGTAを含有し、CaClでpH7.2に調整され、要求される[Ca2+フリーとなっている[EQCALプログラム(Biosoft、ケンブリッジ)を用いて測定]。
【0124】
全細胞記録用の細胞保持電位は、−80または−60mVであり、内部Ca2+濃度に適切な脱分極電圧ステップを適用する(高い細胞内Ca2+において、シール(seals)は高いクランプ電圧で不安定となり、かつ短時間の低い電圧で安定である)。
【0125】
アウトサイドアウト切除パッチ実験の場合、パッチをNa溶液の浴に入れる。ピペット(細胞内パッチ面)は、概算[Ca2+フリー1μMのK溶液と、200μMのATPγ−Sを含有する。レコードは、5kHzのデジタル化の前に2kHzで濾過する。細胞保持電圧は−60mVで、−50〜+130mVの10mV脱分極電圧ステップを適用する。インサイドアウト切除パッチ実験の場合、浴およびピペットは、[Ca2+フリー=10μMのK溶液を含有する。
【0126】
レコードは、10kHzのデジタル化の前に2kHzで濾過する。ピペット電位は、薬物適用前にシングルチャネルの分解(resolution)を可能ならしめる電圧で保持する。1つ以上のチャネルが常に存在し、薬物の適用後に可視できるのみなので、平均オープン確率,NPオープンを用いて、化合物の効果を判定する。細胞−貼付パッチ実験において、浴およびピペットはNa溶液を含有する。
【0127】
レコードは、20kHzのデジタル化の前に2または5kHzで濾過する。ピペット電位は、電圧ランプ(ramp)の開始まで、あるいは定常状態記録のため−80mVへの変化まで、0mVで保持する。NPオープンを用いて、化合物効果を判定(確定)する。適用できる場合、コンダクタンス(G)/最大コンダクタンス(Gmax)対電圧(V)の関係を、ボルツマン(Boltzmann)関数,G/Gmax=1/(1+e(V1/2−V)/k)より算出する。ここで、V1/2は半−最大賦活時の膜電位で、kは勾配係数である。プロットは、カレイダグラフ(Kaleida Graph)ソフトウェアを用いて行なう。V1/2対BMS−204352濃度−応答関係のロジスティック・フィット(logistic fit)を用い、EC50概算を算出する。
【0128】
実施例3
Ca2+−感受性および選択性マキシ−Kチャネル・オープナー化合物の標的特異性:
BMS−204352を含むオープナー化合物の、マキシ−Kカリウムチャネルに対する効果の特異性を判定するため、ツメガエル属卵母細胞およびクローン細胞系で発現されるクローン化および生イオンチャネルの代表サンプルに対して、化合物を試験し、当業者に容易に知られかつ実施される標準電気生理学的技法を用いて検定する。
【0129】
これらは、電圧−依存カリウムチヤネル(Kv1.3、Kv1.5、Kv2.1)、Ca2+−賦活クロリド(Cl)チャネル(生の卵母細胞チャネル)、のう胞性線維症膜内外コンダクタンス・レギュレーターClチャネル(CFTR)およびCa2+電流(生GH細胞Ca2+電流)を包含する。化合物はKv電流およびCl電流に対し有意の効果を全く有しないことが認められ、CFTRを賦活せず(cAMPおよびCFTRオープナーNS004と比較して)、かつ生Ca2+電流に対し濃度−依存効果を生じない(1および10μMのBMS−204352の場合に15〜16%縮小が見られ、電流減少に基づく同様な縮小が対照細胞で観察される)。
【0130】
また50を超えるレセプタおよび酵素システム(PanLabs Profiling Screen(登録商標)およびDiscovery Screen(登録商標))の結合スクリーン(binding screen)に対しても、BMS−204352を試験する。これらのシステムとしては、モーストG−たん白連結レセプタファミリー、リガンド−ゲート(gated)イオンチャネルファミリーの見本、並びに幾つかの電圧−ゲートイオンチャネル結合部位、たとえばL型Ca2+チャネルのジヒドロピリジン・レセプタが挙げられる。
【0131】
初期テストで、BMS−204352は、たった2つのリガンド:[H]スピペロン,ドパミンDリガンド(10μMで74%抑制)、およびσリガンド[H](+)ペンタゾシン(10μMで54%抑制)の結合の有意な抑制をもたらした。しかしながら、後の再テストで、ヒトのドパミンDレセプタとの有意な相互作用が全くないことを証明した。σリガンド結合の適度な抑制の有意性は、知られていない。
【0132】
実施例4
BMS−204352フルオロ−オキシンドール化合物の脳浸透度
虚血性周縁部は,低脈管灌流の領域である。神経保護剤が発作の開始後、治療用量で虚血性ニューロンに到達するには、それは非常に高い量で脳に入らなければならない。BMS−204352化合物は、その高度な親油性(clog P=5.1)に基づき、神経保護剤として魅力がある。
【0133】
静脈内(IV)投与の後、BMS−204352は素早くラットの脳へ高量で入り(Tmax=15分;5mg/kgのIVボーラス用量の後の脳中Cmax>10μg/g)、この場合、8時間にわたって検出されるトータル化合物の脳対プラズマの比は9.6である。プラズマ半減期は1.6時間で、脳半減期は1.9時間であった。これらのデータは、BMS−204352が素早く高量で脳に入ることができ;脳対プラズマの高い比が、低灌流脳部分(たとえば虚血性周縁部)へ有効な量で分配される化合物の能力をサポートすることを証明する。
【0134】
実施例5
BMS−204352フルオロ−オキシンドール化合物の安全プロフィール:
BMS−204352は、有望な前臨床安全プロフィールを有する。BMS−204352のラット、麻酔をかけたイヌおよび意識のあるイヌへの投与は、1mg/kg・IVの最も高い神経保護剤より少なくとも3倍高い用量の薬物によって、心拍数や平均動脈血圧が影響されないことを証明した。
【0135】
単一および数回−用量実験において(マウス、ラット、ラビットおよびイヌ)、10mg/kg/日以下の用量で1ケ月(ラット)および20mg/kg/日以下の用量で10日間(イヌ)IV投与した後に、BMS−204352−関連細胞毒性標的器官の変化は全くなかった。加えて、BMS−204352はインビトロおよびインビボで評価したが、遺伝子毒性はなく、かつラットおよびラビットにおいて奇形発生もない。
【0136】
実施例6
H]−グルタメート放出およびシナプス伝達を減衰させるマキシ−Kチャネルの開放:
マキシ−Kチャネルを、シナプス前に多くの脳部分に配置せしめ、該チャネルはシナプス前Ca2+進入の調節によって、神経伝達物質放出の転調に関与することができる[H.G.Knausらの「J.Neurosci.」(16:955−963、1996年)]。シナプス伝達は、末端への一過性高量のCa2+流入によって起こるプロセスである。
【0137】
海馬のグルタメート・シナプスでのマキシ−Kカリウムチャネルのオープナーによるシナプス効力の縮小は、神経伝達物質レセプタ・アンタゴニストに関して適度であると予測されるが、Ca2+−感受性マキシ−Kチャネル・オープナーの存在の有用なニューロン指示薬であると思われる。BMS−204352化合物の存在下インビトロの海馬組織の電界電気刺激は、0.5nM〜20μMの濃度に放射性同位元素標識グルタメートの放出において小さいが有意の縮小をもたらした。
【0138】
また電気生理学的実験も、インビボの麻酔をかけたラットで行なった。異なるグループのラットに、一定範囲の用量で投与したところ、50ng/kg〜1.0mg/kg・IVの用量で、CA1領域の電気誘発の海馬電界電位に小さく、長期持続の、用量−依存の現象が観察され;ビヒクル並びに低および高用量は効果がなかった。これらの効果は確かに適度であるが、前臨床モデルを要する実験の用量決定に使用することができる。
【0139】
H]−グルタメート放出
雄のスプラーグ(Sprague)−ダウレイ(Dawley)ラットからの海馬組織(350μMウェッジ)を、それぞれmM単位で、125のNaCl、3.0のKCl、1.2のMgSO、1.2のCaCl、22のNaHCO、10のNaHPO、10のグルコース、1mL当り1ユニットのアデノシン・デアミナーゼを含有するクレブス(Krebs)緩衝液で5回洗う。組織を、5μCiの[H]グルタメート(ニュー・イングランド・ニュウクレア;比活性=50〜60Ci/mモル)含有の緩衝液中、37℃で30分間培養する。組織を洗い流し室(Brandel装置)に移し、緩衝液で流速1mL/分にて60分間洗う。ウォッシュ緩衝液を捨てた後、5分画分を流速0.5mL/分で集める。
【0140】
H]グルタメートの放出を、電界電気刺激(35mA、10Hz、パルス幅2ms、持続時間1分)で誘発する。組織は、画分3(S)および13(S)の最初の瞬間の間に刺激する。BMS−204352化合物をS(画分7)の30分前に導入し、画分15の終りに除く。液体シンチレーション分光分析を用いて、放射能を定量し、BMS−204352の濃度範囲にわたって、データをS/S比で表示する。分散分析(ANOVA)からなる統計的分析の後、テストを行なう(Newmann−Keuls)。
【0141】
インビボの海馬における誘発電位の記録
雄のロング(Long)−エバンス(Evans)ラットに、1.2g/kg腹腔内(IP)ウレタンで麻酔をかけ、該ラットを定位装置に入れる。海馬のCA1錐体細胞層に、ステンレススチール記録電極を入れ、対側性海馬領域CA3に二極刺激電極を入れる。単一電気刺激(2〜10V、0.5ms)を、0.1パルス/秒の割合で与える。得られる誘発電位を、差動増幅器で増幅し、次いでオフライン分析のためデジタル方式でサンプリングする。
【0142】
最低1時間の基線記録の後、ビヒクル注射液を投与し、その1時間後に、1回用量のBMS−204352化合物を投与する。化合物はDMSOに可溶化し、そして注射液は頸静脈カテーテルを介してIV投与する。注射後4〜5時間のデータを集める。動物1匹当り、たった1回用量の単一化合物を試験した。実験の終りに、動物を灌流し、電極配置を組織学的に確かめる。計量を繰返してデータを分析し、ANOVAの後、薬物濃度の関数として個々の時間ポイントの有意差のKruska−Wallisテストを行なった。
【0143】
実施例7
急性発作のモデル:
近位中大脳動脈(MCA)の永久病巣閉塞は、A.タムラらが独創的に開発した方法[「J.Cerebr.Blood Flow Metab.」(1:53−60、1981年)]を修正して行なう。永久片側MCA、永久同側総頸動脈(CCA)および一過性対側性CCA(PUM、PIC、TCCモデル)において、正常血圧の雄Wistarラットに、ケタミン(40mg/kg.i.m.)とキシラジン(4.5mg/kg.i.m.)の併用で麻酔をかける。
【0144】
側頭下接近(subtemporal approach)による左MCの露出後、動脈の2mm切片を電気焼灼し、切断する。5分以内に、両CCAを露出し、閉塞する。左CCAを2つの縫合結紮で永久に閉塞し、右CCAをミクロ−動脈瘤クリップの使用で60分間一時閉塞する。
【0145】
対側一過性CCA閉塞は、一貫した大きな皮質梗塞を可能ならしめるのに十分に、副行流を縮小する[S.Brintらの「Cerebr.Blood Flow Metab.」(8:474−485、1988年)]。突発性高血圧ラット(SHR)による実験において、同じMCA閉塞を行なうが、CCA閉塞はせず。化合物を2%DMSO/98%プロピレングリコールに溶解し、適当な時間ポイントにて(通常、閉塞の2時間後に)、尾の静脈に単一IVボーラスで注射する。ビヒクル単独で処置したグループとの比較を行なう。
【0146】
各グループは、12〜24匹の動物を含有する。動物は終始37℃に維持し、直腸プローブで監視する。閉塞の24時間後、動物をいけにえにし、脳を取出し、梗塞の領域を判定するのに、染色する塩化トリフェニルテトラゾリウム(TTC)で評価する。脳のスライスの写真を撮り、コンピューター処理映像分析の援助で梗塞量を測定する。データは、ANOVAsおよび適当なこのあとのテスト(Dunnett’s)で分析する。
【0147】
MRI MCA閉塞実験[F.Liらの「Neurology.」(54:689−696、2000年)]において、成体雄SHRラット(300〜330g)に永久MCA閉塞を行なう。上述の手術中、動物を37℃に維持し、直腸温度を監視する。次いで動物を、磁気共鳴実験室に移動させる。
【0148】
ラットは最初に、3%イソフルランガスで麻酔をかけ、その後、MRI測定中1%〜1.5%イソフルランガスで麻酔を維持する。15cm勾配コイルを取付けた水平4.7Tマグネットを用い、200MHzで画像化を行なう。拡散−加重画像(DWI)は、閉塞の約1.5および5.5時間後に、60mT/mの単一拡散勾配のSTEAMシーケンスを用いて取得する。
【0149】
最初の時間ポイント後、ビヒクルまたはオープナー化合物(0.3mg/kg)をビヒクルに溶解したものを、閉塞の2時間後に投与する。ビヒクルまたは薬物の投与後5.5時間で、DWI画像を取得する。また閉塞の24時間後に、T−加重脳画像も得る。1日当り2匹のラットを画像化し、TTC染色を用いてMRI成果を組織学的に確認する。統計的分析は、他のMCA閉塞実験に一致する。
【0150】
実施例8
大きな永久血管閉塞のげ歯動物モデルにおいて、梗塞量を有効に縮小するマキシ−Kチャネルの開放:
急性病巣発作のげ歯動物モデルにおいて、352マキシ−Kチャネル・オープナーの活性を調べるため、MCAの永久閉塞の開始の2時間後に、該化合物を静脈内(IV)に投与する。一例として、閉塞の1または2時間後に、薬物投与の相対効果を比較した。
【0151】
神経保護効果の最初の特性決定は、ラセミ化合物,化合物1(化合物1:(±)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン)を用いて行なう。この実験で、MCA閉塞後24時間にわたる皮質梗塞進化の時間経過を、突発性高血圧ラット(SHR)のグループにおいて、磁気共鳴映像(MRI)技法を用いて比較する。
【0152】
ラットに、永久MCA閉塞開始の2時間後、ボーラスIV用量0.3mg/kgの化合物1またはビヒクルを投与する(図4A)。この実験で、閉塞の5.5および24時間後の化合物1−処置グループにおいて、皮質梗塞量の有意な縮小が見られる。
【0153】
次の永久MCA閉塞のSHRラットを用いる実験において、BMS−204352化合物は0.01〜0.3mg/kgの数回の用量試験で、皮質梗塞量の有意な縮小をもたらす。非拮抗的NMDAアンタゴニストのMK−801(Dizocilpine)およびCNS−1102(Cerestat)は、早い時間ポイントで神経保護をもたらす用量にて、閉塞開始の2時間後に投与したが、効果はなかった。
【0154】
Wistar正常血圧ラットにおいて、永久片側MCA(PUM)/永久同側総頸動脈(PIC)閉塞と、対側性総頸動脈(TCC)の一過性(1時間)閉塞の両方を組込んだモデルを用いたところ(PUM、PIC、TCCモデル:上記方法参照)、BMS−204352およびラセミ化合物の化合物1は、同じレベルの神経保護をもたらす(図4B)。
【0155】
BMS−204352化合物は、0.001〜1mg/kgの用量で投与すると、皮質梗塞の有意な縮小をもたらすが、3mg/kg用量では効果がない(PUM、PIC、TCCモデル;図4C)。
【0156】
他の実験において、薬物は0.001μg/kgの用量で有効でなく、かつ3mg/kg.IVで効果のないことが確認され、これによって、誘発電位実験で見られるものに類似する広い有効用量範囲による、‘インバーテッド−U’用量−応答関係が示唆される(図4D参照)。BMS−204352化合物を閉塞2時間後に投与した場合に41%の最大縮小が見られるが、より典型的には20〜30%縮小である。
【0157】
BMS−204352化合物は、閉塞開始の1または2時間後に投与すれば、同じ程度に有効である(図4E)。これらの結果から、マキシ−Kチャネルの開放は、閉塞開始の少なくとも2時間後に投与すると、永久MCA閉塞後に見られる皮質梗塞の程度を縮小する有効な戦略であることが示唆される。
【0158】
さらに、マキシ−Kチャネルの特性および該オープナーの新しいCa2+−感受性を仮定すれば、BMS−204352は非虚血性細胞の機能に関してほとんど効果を有しないと思われ、そして該化合物は、臨床試験において、特にニューロンカリウムチャネルを標的にする、CNS用の有効な治療剤としての評価をサポートする前臨床安全プロフィールを有することが認められる。
【0159】
実施例9
(±)−3−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン
ジクロロメタン(25mL)中の(±)−3−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン(0.500g、1.4ミリモル)[U.S.特許No.5602169の記載に準じ製造]およびトリエチルアミン(0.726mL、8.4ミリモル、6当量)の−78℃溶液に、塩化チオニル(0.613mL、8.4ミリモル、6当量)を加える。
【0160】
冷却浴を取除き、反応混合物を室温まで加温せしめる。3時間後、得られる混合物を0℃に冷却し、0.1N塩化水素酸の水溶液(10mL)を注意深く加えて、反応を抑える。内容物を水(100mL)に注ぎ、酢酸エチル(50mL×3)で抽出する。
【0161】
コンバインした有機層を塩水(25mL)で洗い、乾燥し(MgSO)、濾過し、減圧濃縮する。粗残渣をシリカゲルカラム・クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4:1)で精製して、325mg(収率62%)の所望生成物をオフホワイト固体で得る。固体を酢酸エチル/ヘキサンより再結晶して、分析上純粋な標記化合物を得る。
【0162】
H−NMR(400MHz、DMSO−d):11.24(1H、s)、7.91(1H、d、J=2.6)、7.52(1H、dd、J=8.8、2.6)、7.30−7.24(2H、m)、7.17(1H、s)、7.07(1H、d、J=8.8)、3.33(3H、s)
MS,ESI398(M−H)
元素分析(C1610ClNOとして)
計算値:C51.08、H2.67、N3.72
実測値:C51.11、H2.53、N3.72
【0163】
実施例10
(3S)−(+)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン
U.S.特許No.5602169に記載されるようなキラルHPLCカラムを用い、実施例9のラセミ化合物を、そのエナンチオマーに分離して、本例の標記化合物の単一(+)エナンチオマーを得ることができる。
【0164】
実施例11
(3R)−(−)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン
U.S特許No.5602169に記載されるようなキラルHPLCカラムを用い、実施例9のラセミ化合物を、そのエナンチオマーに分離して、本例の標記化合物の単一(−)エナンチオマーを得ることができる。
【0165】
実施例12
ヒト脳hSlo α−サブユニットを発現するHEK−293細胞における全細胞電流に関する、細胞内Ca2+濃度([Ca2+]i)およびBMS−AまたはNS−1619の効果:
本例は、ヒト脳hSlo α−サブユニットを発現するよう遺伝子的に設計されたHEK−293細胞における全細胞電流に関し、NS−1619と呼ばれる公知ベンズイミダゾロン化合物[D.Strφbaekらの「Neuropharmacology」(35:903−914、1996年);およびM.McKayらの「J.Neurophysiology」(71:1873、1997年)]に対する、細胞内Ca2+濃度([Ca2+]i)およびBMS−A化合物(U.S.特許No.5869509の実施例82参照)の使用の効果を判定するのに行った実験を記載する。
【0166】
これらの実験の場合、細胞保持電位は−80または−100mVのいずれかであり、[Ca2+]iに適切な一連の10mV脱分極電圧ステップを適用する。標準全細胞パッチ−クランプ技法は、ピペット中の[Ca2+]i=2.5μMまたは50nMのいずれかで[A.FabiatoおよびF.Fabiatoの「J.Physiol.,Paris」(75:463−505、1975年)に記載の方法を織り込んだEQCALプログラムを用いて測定]、用いる。各[Ca2+]iの場合に用いる電圧の範囲は、細胞の[Ca2+]iおよびhSlo発現レベルの小さな差異をなくすために変える。
【0167】
図5Aは、2つの[Ca2+]i条件(すなわち、50nMの[Ca2+]iと2.5μMの[Ca2+]i)下の、対照(オープン符号)とBMS−A(1μM)(クローズド符号)のマキシ−K電流−電圧(I−V)関係を示す。図5Bは、(薬物電流/対照電流)の比対電圧で示される、I−V電流データを示す。各データポイントは、4〜8細胞の平均値±標準誤差(SE)を示す。
【0168】
図5Cは、図5Aで用いる同じ2つの[Ca2+]iの条件下、公知のNS−1619ベンズイミダゾロンで実験した場合のマキシ−K・I−V関係を示す。図5Cにおいて、対照はオープン符号で示され、薬物はクローズド符号で示される(円)。図5Dは、比対電圧で示す、図5CのI−V電流データを示す。
【0169】
各データポイントは、9〜11細胞の平均値±SEを示す。かかる結果から観察されるように、高い細胞内カルシウム濃度([Ca2+]i=2.5μM)は、低濃度の細胞内カルシウム([Ca2+]i=50nM)を用いて生じる関係と比較して、よりネガチブな電圧に対するI−V関係をシフトし、これによって、半−最大賦活電圧(Vm)において明らかな左方向シフトが示される。
【0170】
NS−1619の効果は、各[Ca2+]iの場合同じで、高電圧でhSlo−仲介電流振幅を増大する。
これに対し、BMS−Aは、[Ca2+]iに強く依存するチャネルに対して示差効果を明らかにする。特に、[Ca2+]i=2.5μMの場合、BMS−Aは最高電圧でhSlo−仲介電流振幅を増大する。
【0171】
[Ca2+]i=50nMの場合、BMS−Aは広範囲の電圧にわたって、実際に電流振幅を減少させる。これらのデータは、NS−1619化合物の場合、[Ca2+]iに依存しない、一般的で非特異的なチャネル開放活性を示す。しかしながら、BMS−Aのチャネル開放を行なう能力は、[Ca2+]iに対して感受性であることが証明される。
【0172】
本発明で引用する全ての特許、特許出願、公開PCT出願並びに記事、書物、文献、参考マニュアルおよびアブストラクトの内容をそっくりそのまま、参考までにここに導入して、本発明が関係する技術の現状をより詳しく説明する。
【0173】
上述の主題事項において、本発明の技術的範囲および精神から逸脱せずに種々の変更を成すことができるので、意図される点は、上記説明に含まれる、あるいは特許請求の範囲で規定される全ての主題事項が本発明の記述的および例示的事項であると解釈されることである。かかる教えに鑑み、本発明の数多くの修正および変化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】高量(1.0μM)の細胞内Ca2+を含有の培地で灌流した細胞中、hSlo α−サブユニットでトランスフェクションされたHEK−293細胞のピーク全細胞電流に関し、BMS−204352オープナー化合物の効果を明らかにし、図1Aは電流と電圧の関係を示すグラフ、図1Bは図1Aのデータの用量応答を示すグラフである。
【図2】hSlo α−サブユニットでトランスフェクションされたHEK−293細胞の全細胞電流に関し、細胞内カルシウム濃度[Ca2+]iおよびBMS−204352化合物(5μM)の効果を明らかにし、図2Aは、内部[Ca2+フリーを変えた条件下の全細胞外部電流のI−V関係を示すグラフ、図2Bは、薬物電流/対照電流の比と電圧の関係を示すグラフであり、図2Cは、1μM[Ca2+]iで実験した代表的電流を示す。
【図3】全細胞パッチ−クランプ技法を用い、クローン化hSlo α−サブユニットでトランスフェクションされたHEK−293細胞の外部カリウム電流に関し、各種[Ca2+]iおよびBMS−225113オープナー化合物(10μM)の効果を示し、図3Aは電流と電圧の関係を示すグラフ、図3Bは薬物I/対照Iの比と電圧の関係を示すグラフである。
【図4】発作を持つラットモデルにBMS−204352オープナー化合物を投与したインビボ実験の結果を示し、図4Aは、インビトロのラット海馬組織ウェッジからの[H]グルタメートのBMS−204352化合物による、電気刺激放出の転形を示すグラフ、図4Bは、麻酔ラットにBMS−204352をインビボ投与し、CA3領域の対側性交連線維系の刺激によって生じる、CA1領域に記録された電界電位の縮小を示すグラフ、図4Cは、SHRラットにおいて永久片側MCA閉塞の2時間後に化合物1を投与したことによる、磁気共鳴映像を用いて測定した皮質梗塞量の縮小を示すグラフ、図4Dは、Wistar正常血圧ラットの皮質梗塞量に対するラセミ化合物1とBMS−204352(0.3mg/kgIV)の効果の比較を示すグラフ、図4Eは、Wistar正常血圧ラットにおいて、MCA閉塞開始の2時間後にBMS−204352を投与した場合の、用量−応答関係を示すグラフ、図4Fは、正常血圧Wistarラットにおける皮質梗塞量の縮小に関し、閉塞開始後1または2時間のBMS−204352(1mg/kgIV)の投与効果の比較を示すグラフである。
【図5】ヒト脳hSlo α−サブユニットを発現させるHEK−293細胞における全細胞電流に関し、細胞内Ca2+濃度と、BMS−A化合物または公知のNS−1619ベンズイミダゾロン化合物の効果を示し、図5Aは、50nMの[Ca2+]iと2.5μMの[Ca2+]i下の、対照とBMS−A(1μM)のマキシ−K電流−電圧関係を示すグラフ、図5Bは、薬物電流/対照電流の比と電圧の関係を示すグラフ、図5Cは、NS−1619ベンズイミダゾロンで実験した場合のマキシ−K・I−V関係を示すグラフ、図5Dは、上記比と電圧の関係を示すグラフである。

Claims (65)

  1. 下記処置を必要とする個人の高い細胞内カルシウム量が特徴である疾患または障害を処置する方法であって、
    マキシ−Kカリウムチャネルのオープナーの有効量を上記個人に供給することから成り、該オープナーは、高い細胞内カルシウム濃度の条件下で細胞のマキシ−Kカリウムチャネルを活性化するが、細胞内カルシウムの低いまたは正常な濃度下では細胞のマキシ−Kカリウムチャネルを有意に活性化しないことを特徴とする処置法。
  2. さらに、高い細胞内カルシウム濃度の細胞への追加カルシウムの流入もしくは導入を制限または縮小する請求項1に記載の処置法。
  3. 疾患または障害が、神経変性疾患または障害である請求項1に記載の処置法。
  4. 神経変性疾患または障害が、発作、全般脳虚血、外傷性脳損傷、パーキンソン病、てんかん、片頭痛およびアルツハイマー病からなる群から選ばれる請求項3に記載の処置法。
  5. 神経変性疾患が発作である請求項4に記載の処置法。
  6. 神経変性疾患が、虚血性発作または急性虚血性発作である請求項5に記載の処置法。
  7. 高い細胞内カルシウム濃度の細胞が、前虚血性または虚血性ニューロンである請求項6に記載の処置法。
  8. マキシ−Kカリウムチャネル・オープナーが、フルオロ−オキシンドール化合物およびクロロ−オキシンドール化合物からなる群から選ばれる請求項1に記載の処置法。
  9. フルオロ−オキシンドール化合物が、(±)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルロメチル)−2H−インドール−2−オン;(3S)−(+)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン;および(3S)−(−)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オンからなる群から選ばれる請求項8に記載の処置法。
  10. フルオロ−オキシンドール化合物が、(3S)−(+)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オンである請求項9に記載の処置法。
  11. クロロ−オキシンドール化合物が、(±)−3−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン;(3S)−(+)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン;および(3R)−(−)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オンからなる群から選ばれる請求項8に記載の処置法。
  12. マキシ−Kカリウムチャネル・オープナーを、疾患または障害の開始の前または後に投与する請求項1に記載の処置法。
  13. マキシ−Kカリウムチャネル・オープナーを、発作、虚血性発作または急性虚血性発作の開始の前または後に投与する請求項5または6に記載の処置法。
  14. 下記処置を必要とする個人の発作を処置する方法であって、
    マキシ−Kチャネル・オープナーの有効量を上記個人に投与することから成り、該オープナーは、高い細胞内カルシウム濃度のニューロン細胞のマキシ−Kカリウムチャネルたん白に対してオープナー活性を有するが、細胞内カルシウム濃度が正常または低いニューロン細胞のマキシ−Kカリウムチャネルたん白に対し有意なオープナー活性を全く有しないことを特徴とする処置法。
  15. マキシ−Kチャネル・オープナーが、フルオロ−オキシンドール化合物およびクロロ−オキシンドール化合物からなる群から選ばれる請求項14に記載の処置法。
  16. フルオロ−オキシンドール化合物が、(±)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルロメチル)−2H−インドール−2−オン;(3S)−(+)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン;および(3S)−(−)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オンからなる群から選ばれる請求項15に記載の処置法。
  17. フルオロ−オキシンドール化合物が、(3S)−(+)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オンである請求項16に記載の処置法。
  18. クロロ−オキシンドール化合物が、(±)−3−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン;(3S)−(+)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン;および(3R)−(−)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オンからなる群から選ばれる請求項15に記載の処置法。
  19. 虚血性発作または急性虚血性発作を処置する請求項14に記載の処置法。
  20. マキシ−Kチャネル・オープナーを、発作、虚血性発作または急性虚血性発作の開始の前または後に投与する請求項14または19に記載の処置法。
  21. マキシ−Kチャネル・オープナーが、毒性量のカルシウムにさらされるニューロン細胞へのカルシウムの進入を制限することにより、皮質神経保護を付与する請求項14に記載の処置法。
  22. 下記処置を必要とする個人の高い細胞内カルシウム量が特徴である疾患または障害を処置する方法であって、
    a)マキシ−Kチャネルのオープナーを上記個人に供給し、該オープナーは、高い細胞内カルシウム濃度に対し敏感で、かつ該疾患または障害と関連しおよび高い細胞内カルシウム濃度を有する細胞のマキシ−Kチャネルを標的にするが、低いまたは正常な細胞内カルシウム濃度を有する細胞を有意に標的とせず;次いで
    b)該疾患または障害と関連する細胞への追加カルシウムの流入を縮小または制限し、カリウム流出を増加しおよび膜電位を調節することにより、該疾患または障害と関連する細胞を毒性または死から保護する
    ことから成る処置法。
  23. マキシ−Kチャネル・オープナーが、フルオロ−オキシンドール化合物またはクロロ−オキシンドール化合物である請求項22に記載の処置法。
  24. フルオロ−オキシンドール化合物が、(±)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルロメチル)−2H−インドール−2−オン;(3S)−(+)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン;および(3S)−(−)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オンからなる群から選ばれる請求項23に記載の処置法。
  25. フルオロ−オキシンドール化合物が、(3S)−(+)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オンである請求項24に記載の処置法。
  26. フルオロ−オキシンドール化合物が、(3S)−(−)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オンである請求項24に記載の処置法。
  27. クロロ−オキシンドール化合物が、(±)−3−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン;(3S)−(+)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン;および(3R)−(−)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オンからなる群から選ばれる請求項23に記載の処置法。
  28. 疾患または障害が、神経変性疾患または障害である請求項22に記載の処置法。
  29. 神経変性疾患または障害が、発作、全般脳虚血、外傷性脳損傷、パーキンソン病、てんかん、片頭痛およびアルツハイマー病からなる群から選ばれる請求項28に記載の処置法。
  30. 神経変性疾患または障害が発作である請求項29に記載の処置法。
  31. 神経変性疾患または障害が、虚血性発作または急性虚血性発作である請求項30に記載の処置法。
  32. 該疾患または障害と関連しおよび高い細胞内カルシウム濃度を有する細胞が、危険な状態の前虚血性または虚血性ニューロンである請求項22に記載の処置法。
  33. 神経変性疾患または障害が、外傷性脳損傷である請求項29に記載の処置法。
  34. マキシ−Kチャネル・オープナーを、疾患または障害の開始の前または後に投与する請求項22に記載の処置法。
  35. 下記付与を必要とする個人の発作から神経保護を付与する方法であって、
    高い細胞内カルシウム濃度のニューロンのマキシ−Kカリウムチャネルたん白を活性化するが、細胞内カルシウム濃度が低いまたは正常なニューロンのマキシ−Kカリウムチャネルたん白に対し有意なオープナー活性を全く有しないマキシ−Kカリウムチャネル・オープナー化合物の有効量を投与する
    ことから成る付与法。
  36. 下記付与を必要とする個人の発作から神経保護を付与する方法であって、
    フルオロ−オキシンドールまたはクロロ−オキシンドール化合物の有効量を上記個人に投与することから成り、該化合物は、高い細胞内カルシウム濃度のニューロンのマキシ−Kカリウムチャネルたん白を活性化するが、細胞内カルシウム濃度が低いまたは正常なニューロンのマキシ−Kカリウムチャネルたん白に対し有意なオープナー活性を全く有さず、これによって、神経毒性または死の危険な状態のニューロンへのカルシウムの進入を制限することにより、皮質神経保護を付与するマキシ−Kカリウムチャネル・オープナー化合物であることを特徴とする付与法。
  37. マキシ−Kチャネル・オープナー化合物が、フルオロ−オキシンドール化合物である請求項35または36に記載の付与法。
  38. フルオロ−オキシンドール化合物が、(±)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルロメチル)−2H−インドール−2−オン;(3S)−(+)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン;および(3S)−(−)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オンからなる群から選ばれる請求項37に記載の付与法。
  39. フルオロ−オキシンドール化合物が、(3S)−(+)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オンである請求項38に記載の付与法。
  40. フルオロ−オキシンドール化合物が、(3S)−(−)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オンである請求項38に記載の付与法。
  41. マキシ−Kチャネル・オープナー化合物が、クロロ−オキシンドール化合物である請求項35または36に記載の付与法。
  42. クロロ−オキシンドール化合物が、(±)−3−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン;(3S)−(+)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン;および(3R)−(−)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オンからなる群から選ばれる請求項41に記載の付与法。
  43. マキシ−Kカリウムチャネル・オープナー化合物を、発作の開始の前または後に投与する請求項35または36に記載の付与法。
  44. 神経保護が、虚血性発作または急性虚血性発作のためである請求項35または36に記載の付与法。
  45. 高い細胞内カルシウム濃度のニューロンが、前虚血性および/または虚血性ニューロンである請求項35または36に記載の付与法。
  46. 高い細胞内カルシウム濃度の条件下でマキシ−Kカリウムチャネルたん白を活性化しうるが、正常な生理的または低い細胞内カルシウム濃度の条件下でマキシ−Kチャネルたん白を有意に活性化しないオープナーまたはアゴニスト化合物を選別または同定する方法であって、
    a)試験化合物を、高い細胞内カルシウム濃度の条件下で、マキシ−Kカリウムチャネルたん白−発現細胞と接触させ;次いで
    b)高い細胞内カルシウム濃度の条件下の細胞のマキシ−Kカリウムチャネルたん白を活性化し、および低いまたは正常な生理的細胞内カルシウム濃度下の細胞のマキシ−Kカリウムチャネルたん白を有意に活性化しない試験化合物を、上記オープナーまたはアゴニスト化合物として選択する
    ことを特徴とする方法。
  47. 高い細胞内カルシウム濃度の細胞が、クローン化マキシ−Kカリウムチャネルたん白−コード化DNAでトランスフェクションされた哺乳類細胞であり、マキシ−Kチャネルたん白を発現する請求項46に記載の方法。
  48. 高い細胞内カルシウム濃度の条件が、約250ナノモル以上から約10ミクロモル範囲のカルシウム濃度[Ca2+]iからなる請求項46に記載の方法。
  49. 低いまたは正常な生理的細胞内カルシウム濃度下の細胞が、マキシ−Kチャネルたん白−コード化DNAでトランスフェクションされたツメガエル属の卵母細胞であり、該トランスフェクションされた卵母細胞がマキシ−Kチャネルたん白を発現する請求項46に記載の方法。
  50. 低いまたは正常な生理的細胞内カルシウム濃度の条件が、約5〜250ナノモル範囲のカルシウム濃度[Ca2+]iからなる請求項46に記載の方法。
  51. 細胞中のマキシ−Kチャネルの試験化合物による活性化を、パッチ−クランプ分析で測定する請求項46に記載の方法。
  52. パッチ−クランプ分析が、インサイドアウト切除パッチ、アウトサイドアウト切除パッチ、細胞−貼付切除パッチおよび全細胞クランプパッチからなる群から選ばれる請求項51に記載の方法。
  53. パッチ−クランプ分析が、全細胞クランプパッチである請求項52に記載の方法。
  54. マキシ−Kチャネルたん白の活性化が、試験化合物の導入後のマキシ−Kチャネル外部電流の増加または活性化である請求項46に記載の方法。
  55. 高い細胞内カルシウム濃度の条件下でマキシ−Kカリウムチャネルたん白を選択的に活性化し、および低い細胞内カルシウム濃度または正常な細胞内カルシウム濃度の条件下でマキシ−Kカリウムチャネルたん白を有意に活性化しないカルシウム−感受性オープナー化合物を同定する化合物の検定法であって、
    (a)マキシ−Kカリウムチャネルたん白を、高い細胞内カルシウム濃度の条件下で、試験化合物と接触させ;次いで
    (b)オープナー化合物が、高い細胞内カルシウム濃度の存在下でマキシ−Kカリウムチャネルたん白を選択的に活性化し、かつ低いまたは生理的に正常な細胞内カルシウム濃度の存在下でマキシ−Kカリウムチャネルたん白を有意に活性化しないかどうかを測定する
    ことを特徴とする検定法。
  56. 高い細胞内カルシウム濃度に対し敏感であるという特徴を有し、かつ高い細胞内カルシウム濃度の条件下で細胞のマキシ−Kカリウムチャネルを選択的に標的にするマキシ−Kカリウムチャネル・オープナー化合物であるポジティブ対照をさらに包含する請求項55に記載の検定法。
  57. ポジティブ対照が、フルオロ−オキシンドールまたはクロロ−オキシンドール・マキシ−Kカリウムチャネル・オープナー化合物である請求項56に記載の検定法。
  58. ポジティブ対照が、(±)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン;(3S)−(+)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン;および(3S)−(−)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オンからなる群から選ばれるフルオロ−オキシンドール・マキシ−Kカリウムチャネル・オープナー化合物である請求項57に記載の検定法。
  59. ポジティブ対照が、(±)−3−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン;(3S)−(+)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オン;および(3R)−(−)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オンからなる群から選ばれるクロロ−オキシンドール・マキシ−Kカリウムチャネル・オープナー化合物である請求項57に記載の検定法。
  60. 請求項46または55に記載の方法に従って選択または同定されるマキシ−Kオープナー化合物。
  61. 高い細胞内カルシウム濃度の条件下で細胞のマキシ−Kカリウムチャネルを開けまたは活性化し、かつ細胞内カルシウムの低いまたは正常な濃度下では細胞のマキシ−Kカリウムチャネルを有意に開けまたは活性化しないことが特徴であり、かつ高い細胞内カルシウム濃度の条件下の細胞への追加カルシウムの流入もしくは導入を縮小または制限するマキシ−Kカリウムチャネル・オープナー化合物。
  62. (±)−3−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オンである化合物。
  63. (3S)−(+)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オンである化合物。
  64. (3R)−(−)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オンである化合物。
  65. 請求項62〜64のいずれか1つに記載の化合物、および生理的に許容しうる希釈剤、担体または賦形剤から成る医薬組成物。
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