JP2004511182A - エコー減少方法並びに装置 - Google Patents
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Abstract
本発明は、アンテナ(10)を形成するマルチ・センサ(11m)録音装置(8)そして音再生装置(13)とともに利用されるエコー減少方法に関するものである。本方法は、センサ(11m)の出力信号ym(f)に複素重み付けw(f)をすることからなる。但し、前記重み付けは、指向性係数Ffd(f)を、低周波数で近い領域における制限付き極大化により計算されるものである。本発明は更に、エコー減少装置(6)にも関するものである。本装置は、以下のものからなる:アンテナ(10)を形成するマルチ・センサ(11m)録音装置(8)、第一制約の計算手段、第二制約の計算手段。
Description
【0001】
発明の分野
本発明は特にホールの音響システムに応用される空間音響設備の分野に関するものである。
【0002】
本発明はアンテナを形成するマルチ・センサの録音装置及び音再生装置と共に利用されるエコー減少方法に関するものである。更に本発明は、本発明による方法を実施する為の音再生装置と共に機能することになっている音響減少装置に関するものである。本発明の関係する周波数領域は、音声の周波数領域であり、特に、低周波音声信号の周波数のものである。
【0003】
先行技術の説明
本発明は大変優れた応用を見出し、それはテレビ電話会議システムの録音装置の中でのエコーを減少させることにより、指向性のないマイクを使わずに済ませることができ、所謂フリー・ハンドの通信が可能にするということである。
【0004】
アコースティックエコーは、フリー・ハンドの通信端末が良好に機能する上での主要な障害である。このアコースティックエコーの原因は、録音装置のセンサが、音再生装置のトランスデューサが発した信号の一部をキャッチしてしまうことに起因する。空間音響設備に使用されるセンサとトランスデューサは、それぞれ、マイクとスピーカである。
【0005】
フリー・ハンドの通信端末において、マイクは、音再生装置と音響的に、そして場合によっては、機械的にも接続されており、そしてマイクと再生装置が同じケースに収納されて場合には直接接続であり、テレビ受像器に設置されたテレビ電話会議端末の場合には間接接続である。その結果生じるエコーは二部に分解される。
・会場の反応
・スピーカとマイクの直接のカップリング
【0006】
会場の反応は、特にエコーのこの部分のレベルはかなり弱いものであるという事実からして当然、エコーの解消またはゲイン(増巾率)を変化させるなどの、従来のエコー制御技術によって、効率的に処理されるのが一般的である。直接カップリングしている場合には、同様にはいかない。その原因は、空中を音響が伝わってくる経路にもよるが、それと同時に、通信端末の収納ケースを通して振動が伝播するということもあり、更に、テレビモニターの箱の場合には、場合によっては、空洞や機械部品の共鳴ということもある。この部分も音響は、マイクが拾う現地の音声よりも6から20dBも高いのが一般的であり、なんらかの処理を行われなければ、ラルセン効果を引き起こす。
【0007】
既に知られているエコーキャンセル技術で、この望ましくない効果を十分に処理することができない場合は、ラルセン効果の発生を防止する為に、ゲインの大幅な変化を導入しなければならない。このゲイン変化は、一方では、エキーキャンセラーの収束過程を通じて及ばなければならず、他方では、音響の経路が変化した後に、または音声がダブっている間にも及ばなければならない。このような制約があることから、通信端末があまり対話性のないものになってしまっており、ユーザーはフリー・ハンド機能は性能の低いものであると思いかねない。
【0008】
この不都合を克服する為に、直接のカップリングの減少を目指す幾つもの技術が存在する。
【0009】
第一には、専ら機械的接続を減少する為の技術である。通常行われる解決法は、マイクを収納ケースから分離する、発泡スチロールやゴムのような振動防止材を使うことであり、これらの材質は、スピーカの引き起こす収納ケースの振動と、その振動がマイクの方に伝わっていくのを止めるか、または大幅に減じる効果がある。
【0010】
機械的に分離する方法で、振動によるカップリングは確かに減るのではあるが、これは産業上の方法としては高くつく。しかし、この方法では、今日小型化された通信端末が好まれる傾向がある為、マイクがスピーカの近くに設置されがちであり、この場合、音響カップリングも発生する可能性が大きいにもかかわらず減らない。更に、スピーカとマイクを含むテレビ受像器やマイクを含む装置を搭載したモニターの場合のように、再生システムが録音装置を含む全装置に不可欠な部分を成している場合には、スピーカを全装置の収納ケースから分離することは考えられない。
【0011】
第二の技術は、マイクとスピーカの間の機械的及び音響的カップリングのインパルス応答の逆数の計算結果を応答とする、補償デジタル・フィルタを使用することである。
【0012】
理論的には、補償フィルタの出力で、エコーに起因するスピーカからの信号は解消される。実際には、この技術は、例えば、ほんの少しでもカップリングの特性が変化、通信端末の取り付け/取り外し、マイクの特性が変化すると、十分な効果が得られない。また、この技術は、擾乱の性質が線形でない場合、つまり、擾乱がスピーカから来る信号とフィルタリングのインパルス応答との間の畳み込みの積でモデル化できない場合は、適さない。それに加えて、この技術はトランスデューサの働きが線形であることはめったになく、一般的にトランスデューサは歪み、及び/または飽和する傾向にあり、そのようなことは、非線形的機能の典型的な例となるものだからである。結局、大量生産の場合には、例えば、互いに僅かに異なるスピーカまたはマイクを使うのであれば、必然的にカップリングも一つの通信端末と、もう一つのものとでは異なるものになる。結局のところ、このような制約から、フィルタによるこの補償技術も効率が悪い。
【0013】
他にも、マイクを単に均衡させるか、マイクの位相をずらすことに関連して、スピーカの回りにマイクを等しく分配に基づく、マイク均衡システムが存在する。このようなシステムはフランス特許9302054の対象になっている。これらのシステムは、無指向性の録音による極めて特別な幾何学的対称性を有する通信端末グループのものである。これらシステムの効率性はマイクや取得経路の差異には非常に影響を受けやすい。したがって、これらのシステムは、構成物の選別と、時間の経過に従って狂いの生じうるマイクの厳密な測定を不可欠とする。更に、ディスプレーの文字板、キーボード、旋回カメラを付け加えると、マイクに対するスピーカの対称性の特性を損なう可能性がある。他では、マイクの数Nが2を越える場合、これらの装置が最適でなくなる。何故なら、N度の使える自由度は二つの制約、与えた方向にゲインを固定すること、そして、直接のカップリングを解消することを満たす為に有効であるからである。結局、キャッチされた信号が、有効な音源に向かって、各マイクの力全体に対応しており、そしてこれらの、マイクの力の位相が互いにずれており、更に、場合によっては振幅も異なっている為、信号のスペクトルが高周波では次第に劣化するという結果が生じる。
【0014】
もう一つのシステムは、どちらかといえば個別での実施を目指すもので、例えばフランス特許9814321によって知られているものであるが、最終的な端末、つまり、組み込み後の通信端末の特異性を考慮するという利点がある。このシステムでは二つのマイクが使用され、スピーカからの距離がそれぞれ異なるように配置されている。二つのマイクの利点は、カップリングの直接の波を解消する為に、重み付けにより、組み合わされている。二つのマイクから来る二つの異なる信号のバランスを変えることによって、遠くの領域に位置する有効音源を感知することが可能になる。二つめのマイクに適用された経路フィルタの計算は、マイクとスピーカ間のカップリングの測定の応答を逆転させることによって得られる。マイクは、スピーカの直接の領域にあるので、大部分の状況において、このような計算は満足のいくものとなる。しかしながら、この解決法には、二つのマイクの間に、カップリング波の十分な振幅の違いが存在することが不可欠である。このような差を実現する為には、マイクの位置をスピーカに十分に近づけることが必要となり、その結果、カップリングの観点から非常に好ましくない条件が生じる。この条件は、このような配置が必要とされる個別のシステムにおいては妨げとなるものではないが、「セット・トップ・ボックス」タイプのテレビ電話会議端末、つまり、テレビモニターの上に置くことができる形の端末のような他のシステムについては、そうはいかない。この原則に従うと、マイクがスピーカから離れる程、センサ間のスペースの距離を大きくしなければならないということになる。この結果として、通過周波帯は制限され、近くに障害物があれば、更に大きな影響を受けることになる。結局、非干渉性ノイズの増幅は、残念ながら、二つのマイクを隔てる距離を変えることによってしか制御することができない。
【0015】
結局のところ、これらの装置の指向性は部分的にしか制御することができず、マイク本来の指向性と余り変わらない。
【0016】
これらの方法と平行して、システム全体に指向性をもたせることで音響カップリングに備える為のマルチ・センサ技術が存在する。実際、音源が、騒がしい、あるいは音が反響する環境に位置する場合には、一つのセンサの指向性だけでは、騒音信号を抽出するには不十分となる可能性がある。
【0017】
このような問題に対策を講じる為の一つの方法は、N個のセンサを関連づけて、一つの音響アンテナを形成することである。この関連づけは、与えられた方向(ψ,θ)について、様々なセンサの出力信号の位相の干渉性を加算することである。この加算は経路形成という呼称の下にまとめられた技術の一つである。一つのセンサ、あるいはトランスデューサは、空間内でのその指向性によって特徴づけられており、その空間は、通常二つの直交する平面において測定され、極座標(r,ψ,θ)に二つの図式として表される。センサの指向性により、方向(ψ,θ)で、センサの中心からの距離がrの位置にある点音源について、このセンサが捕らえた信号レベルの、一つの「画像」が与えられる。経路の形成が終わった段階で得られたアンテナの指向性の性能は、単一のセンサの指向性よりも優れている。距離dで互いに隔てられたN個のマイクは、空間内の局地的領域で圧力を感知し、音の領域の空間サンプリングを行う。この方法は、高周波では、確かな効率性を提供するが(f<1000Hz)低周波では、以下のような幾つもの理由により、問題が残る。
・アンテナのサイズが小さくなっているので指向性が不足している。
・テレビのスクリーンの影響を受ける場合もあり、低周波でのセンサ間の差異に重大な影響を受けやすく、堅牢性において劣る。
・スピーカボックスの置き場所に位置する音源の為の、アンテナの指向性の図式が3mのところでの指向性の図式とは異なっているが、それは遠い領域の仮説が、最初の場合では検証されていないからである。
【0018】
そのようなわけで、本発明の目的の一つは、録音装置と音再生装置との間の音響カップリングによって発生した音響を、その上既知の装置や方法にあるような不都合を無しに、減少させることにある。
【0019】
発明の要約
その為、本発明が対象とする音響減少方法は、アンテナを形成するマルチ・センサ録音装置並びに音再生装置とともに実施され、それは、センサの出力信号に複素重み付けw(f)を受けさせることである。但し、前記重み付けw(f)は、指向性係数Fd(f)を、低周波数で、近い領域における制限付き極大化により計算され、次の式で表される。
【0020】
【数8】
【0021】
その計算は、前記重み付けw(f)が、与えられた方向での録音装置の伝達関数の係数と位相における第一の線形制約(3)を満たすように行うものであり、各周波数fにおけるこの第一の制約の式は次の通りである。
CH(f)w(f)=s(f) (3)
そして、前記重み付けw(f)が満たす第二の制約(4)は、音響チャネルの複素伝達関数を「自然な位置で」測定することに基づいて決定され、音再生装置のスピーカの入力と録音装置を構成するセンサの出力で区分されており、この制約の式は次の通りである。
MH(f)w(f)=0 (4)
式(1)から(4)において、
Hは、周波数fで計算される、偏角ψ及びθが規定する方向でアンテナの中心からの距離がrのところに位置する点音源とそのアンテナの各センサとの間の自由領域での伝達関数の複素値を成分とする伝播ベクトルであり、
Dr(f)は、距離rのところにあるアンテナの空間分離特性を特徴づける指向性マトリックスであり、
W(f,ψ,θ)は、スピーカの方向からくる波を更に大きく減衰させて、スピーカとの直接のカップリングを減少できるようにする空間重み付けであり、
w(f)は、周波数fでのセンサの出力信号の複素重み付けベクトルであり、
C(f)は、所謂「制約の」マトリックスであり、その中に理論的な伝播ベクトルを含み、自由領域タイプの伝播モデルに基づいて計算されるか、あるいは、自由領域を条件として測定され、
s(f)は、与えられた方向において望まれる複素ゲインである。
M(f)は、カップリング制約のマトリックスであり、その中に含まれている複素伝達関数は、音響チャネルから「自然な位置で」測定され、それらの音響チャネルの区分を画定するのは、音再生装置のスピーカの入力と録音装置を構成するセンサの出力であり、
0はゼロ・ベクトルである。
【0022】
そのようなわけで、本発明では、経路の形成を計算する場合の直接カップリングにおける制約を考慮に入れる。経路の形成の計算は、伝播の理論上のモデルまたは無響室で行われる測定のみに基づいて行われるだけでなく、「自然な位置で」得られる伝達関数の評価にも基づいて行われる。そのようなわけで、本発明によれば、望ましい指向性を課し、非干渉性ノイズの最大限の増幅を制御しつつ、直接的及び/または半直接的なカップリングを減少することができる。
【0023】
本発明は特に、集団のテレビ電話会議を行う為の録音装置に応用される。
【0024】
本発明の利点は、(テレビモニターとアンテナ収納ケースの形、アンテナ収納ケースのモニターに対する位置、近くの障害物または近くに壁があること等)近くの音響環境と、スピーカの応答とセンサの差異とを、自動的に考慮に入れることである。更に、最適化は分け隔てなく行われている為、本発明による方法では、スピーカの位置の認識や、スピーカとセンサの電気音響的特徴について、前もって仮説を立てる必要がない。
【0025】
図面の簡単な説明
本発明の他の特徴と利点は、あくまで例示であり、これだけに限定されない添付図面に続く、詳細な説明により明らかになる。
【0026】
図1は、本発明による方法の第一の実施法を示すフローチャートである。
【0027】
図2は、極座標での座標系である。
【0028】
図3は、本発明による方法の第二の実施法を示すフローチャートである。
【0029】
図4は、本発明による方法の実施の為に音響システムとともに動作するエコー減少装置の個別的実施例の概略図である。
【0030】
図5は、本発明による方法の実施一覧である。
【0031】
実施態様の詳細な説明
本発明の音響減少方法は、アンテナと音再生装置とを形成するマルチ・センサの録音装置と共に、実施される。本発明による方法は、録音装置のセンサの出力信号に複素重み付けw(f)をすることであり、但し、前記重み付けは、低周波数で、指向性係数Fd(f)に近い領域における制限付き極大化により計算されるものである。本方法は、以下に説明され、図1にも示された幾つもの段階を経て、展開されていく。
【0032】
第一の手順1においては、本発明による方法は、以下のマトリックス方程式によって規定される有効音源(話者)に対応する方向での遠い領域で望まれるゲインの第一線形制約(3)の方程式を決定することである。
CH(f)w(f)=s(f) (3)
但し、この方程式において、
C(f)は、いわゆる「制約の」マトリックスであり、その中に理論的な伝播ベクトルは、自由領域タイプの伝播モデルに基づいて計算されるか、あるいは、自由領域を条件として測定され、
w(f)は、周波数fでのセンサの出力信号の複素重み付けベクトルであり、
s(f)は、与えられた方向において望まれる複素ゲインである。
【0033】
第二の手順2においては、本発明による方法は、音響チャネルの複素伝達関数を「自然な位置で」測定することに基づいて決定される第二の制約(4)の式を決定する。それらの音響チャネルの区分を画定しているのは、音再生装置のスピーカの入力と録音装置を構成するセンサの出力であり、この制約は次の通りである。
HH(f)w(f)=0 (4)
但しこの方程式において、
M(f)は、カップリング制約のマトリックスであり、その中に含まれる複素伝達関数は、音響チャネルから自然な位置で測定され、それらの音響チャネルの区分を画定するのは、音再生装置のスピーカの入力と録音装置を構成するセンサの出力であり、
0はゼロ・ベクトルである。
【0034】
第三の手順3においては、本発明による方法は、近くの領域において指向性係数(1)を極大化をすることである。
【0035】
近くの領域における指向性係数Fdは以下の方程式により規定される。
【0036】
【数9】
【0037】
但し、上記方程式において、
Hは、周波数fで計算される、偏角ψ及びθが規定する方向でアンテナの中心からの距離がrのところに位置する図2に示された、点音源Sとそのアンテナの各センサとの間の自由領域での伝達関数の複素値を成分とする伝播ベクトルであり、
Dr(f)は、距離rのところにあるアンテナの空間分離特性を特徴づける指向性マトリックスであり、
W(f,ψ,θ)は、スピーカの方向からくる波を更に大きく減衰させて、スピーカとの直接のカップリングを減少を可能にする空間重み付けである。
【0038】
指向性係数を極大化する際の本方法の実施にあたり、随意の選択事項として以下の制約を考慮に入れてもよい。対応するフローチャートは図3に示されている。
・非干渉性ノイズへの堅牢性の第三の非線形制約(4)であり、その最小減少係数RImin(f)は、以下の方程式に従って、値を定められている。
【0039】
【数10】
【0040】
・主要なローブの開きについての、及び/または与えられた方向での振幅のゲインについての、そしてエイリアシングのローブと二次的ローブの減少についての、第四の非線形制約(5)。これらの制約は、まず第一に、アンテナの角区域を正確にカバーすることができる、主要なローブの十分な幅の保証を可能にし、それによって有効音源の方向を発見できる。この意味で、それらの制約は、方程式(3)に対応する線形制約を補完するものである。第二に、エイリアシングのローブのレベルを制限することで、二次的ローブのレベルを制限し、シャノン条件を尊重するには余りにも間隔が大きい周波数でも、マイクがアクティブであることを維持することができる。そのようなわけで、これらの制約により、特に、センサがアクティブ状態からイナクティブ状態に推移するセンサもあるような周波数帯域においても、より高度な指向性係数を達成することを可能にする。そのようにして、それらの制約により、センサの数がより限られたものでも実施することを可能にしており、つまり、装置の費用を最適化することができる。それら制約の方程式は、次のような非線形の方程式体系で表現される。
【0041】
【数11】
【0042】
但し、上記方程式体系において、
Hi,i=0,..kは、角方向(ψi,θi)での遠い領域での点音源と、アンテナのマイクとの間の伝播ベクトルを表し、giはこの方向で望まれるゲインを表す。そうして、g0は、主要なローブの開きに対応する方向の例えば−3dBの、その中央に対して例えば±30度の方向において望まれるゲインを表す。
【0043】
これらの様々な随意に選択される制約を考慮に入れて、以下の式に従って、指向性マトリックスの表現式を変更する。
【0044】
【数12】
【0045】
μ(f)は堅牢性制約(5)を満たすように調節されるラグランジュ係数であり、αi(f),i=0...kは主要なローブの開きの、そしてエイリアシングのローブと二次的ローブ(6)の減少の、非線形制約を満たすように調節された一組のラグランジュ係数である。
【0046】
この問題の最適な方法は、以下の式で与えられる。
【0047】
【数13】
【0048】
このような最適化は、遠い領域のアンテナの性能に大きな変更を加えることなく、近い音源に対するアンテナの感度を低くすることが可能になる。
【0049】
図4の概略図は、本発明による方法の実施の為の音響システム7とともに機能する、エコー減少装置6の一例である。
【0050】
その音響減少装置6の形状は、「セット・トップ・ボックス」タイプの箱である。その箱は、アンテナ録音装置8と計算電子モジュール9とからなる。アンテナ録音装置8を構成するアンテナ10は、以下にとり上げた例によると、11個のマイク11mで形成されており、概略図では透明になって見えるようになっているが、平行な三つの平面に従って配分されており、m=1,2,...Nで、N=11とする。計算電子モジュール9は、様々な制約を計算する為に、特に、関係式(3)によって表される第一制約と関係式(4)によって表される第二制約とを計算する為の手段を含むものである。計算手段は典型的には、リアル・タイムで計算を実行する信号処理集積回路を構成する。一つの変形例によると、計算手段は進歩したテレビ電話会議端末に実際に組み込まれたもののような十分な速度の、汎用プロセッサーから構成されていても良い。
【0051】
音響システム7は、テレビモニター12と、そのテレビモニターの両側に一つずつ配置された二つのスピーカからなる音再生装置13を含む。
【0052】
低周波では、高度な超指向性指数からしてアンテナ10は、遠い領域に位置する話者に向かって照準を定めるが、近くの領域に位置する音源に対して高い感度を持つ。システム7が壁の近くに配置されている場合、スピーカは、その画像源と同様に、近くの音源を構成している。これらの反射/拡散は、それらが早期に発生することから、非常に強いエネルギをもっている。この効果は、これらの周波数帯域においては、音波が反射表面の吸収による僅かな減衰しかこうむらない為に、それだけ、顕著である。
【0053】
近い音源の為に、遠い領域におけるアンテナ10の性能を大きく変更させることなくアンテナ10の感度を低くする為に、本発明の方法により、エコー減少装置6が、関係式(1)で規定される近い領域の指向性係数を制約付き極大化させる。関係式(2)においては、方向0及びπは、システム7のスピーカの方向に対応しており、空間重み付け関数wにより、直接の音響カップリングは最小になるように更に大きく重み付けされる。
【0054】
エコー減少装置と音再生装置を用いた、本発明による方法の実施は図4及び5を参照に、詳細に説明される。
【0055】
テレビモニター12と箱6に電圧をかけた後で、生成器14が生成する測定信号x(n)を、デジタル・アナログ変換器15で、アナログに変換する。変換器15の出力x(t)は、テレビモニター12のスピーカ13のそれぞれに別々に伝達される。例によると、生成器14は、MLSと呼ばれる最長の疑似乱数シーケンスを生成する。音響アンテナを構成する各マイク11mから出る信号ym(t)を、アナログ・デジタル変換器16mによって、デジタル信号ym(n)の形で、デジタル化する。
【0056】
各音響チャネル・スピーカ/マイクm、m=1,2,...N、N=11とする、インパルス応答の推定hestm(n)は、現行技術分野の計算を行う計算器17mにより、信号ym(n)に基づき決定される。測定信号x(t)がMLSシーケンスである場合には、インパルス応答の推定hestm(n)は、とりわけアダマール変換を用いた内部相関により、決定することもありうる。
【0057】
時間的窓の配置18mは、各音響チャネル・スピーカ/マイクのインパルス応答の推定hestm(n)に対して行われるが、直接の行程と、早期に発生する少数の反射のみを考慮に入れるようになされ、それぞれ、後に直接カップリング及び半直接カップリングという用語で、示されるものである。そういうわけで、このカップリング減少は、もっとも安定したカップリング要素に(直接の音響行程と、例えば近くの壁のような固定された障害物に対する最初の反射等)基づいており、時間とともに(例えば、話者の運動や移動につれて)急速に変化する可能性のあるカップリング要素の各部分を遠ざける。これによって、中央マイクのインパルス応答の、短期の最大項が求められ、そして対応するサンプル番号n0が求められる。各インパルス応答に対し、サンプルn0を中心とする窓によって画定される一時的領域に対し、高速フーリエ変換(FFT)が行われる。
【0058】
複数のカップリング制約を考慮に入れられる場合には、カップリング制約と同じだけの分析窓がある。分析窓は、長方形であってよい。しかしながら、例えばハミングのような別の形の窓も好適に使用することができる。分析窓の音域は、短く選択され、典型的には、約64から256個のサンプリング、あるいは、サンプリング周波数fe=16kHzについて4から16ミリ秒である。従って、分析窓の後に、19mのゼロを付け加えることが必要となり、それにより、FFT20mを行う前に周波数の分解能が向上される。FFTの結果は、直接及び/または半直接カップリングを優遇する重み付けの後、アンテナの各音響チャネル・スピーカ/マイクmに対応する複素伝達関数Hest_directm(ω)である。
【0059】
経路形成重み付け係数w(f)は、21,22で計算され、図1に関して説明された近い領域での指向性係数最適化方法に基づいている。これらの様々な伝達関数に基づき、関係式(4)のマトリックスM(f)には、前もって得られたカップリングの複素伝達関数が含まれており、それらの関数は測定された伝播ベクトルに対応している。最適な解決方法は式(8)によって計算されるが、これにおいて、マトリックスC(f)は、自由領域タイプの理論的伝播ベクトル、つまり、有効音源の為の遠い領域での制約と、測定された伝播ベクトルとを、同時に含んでいる。制約s(f)のベクトルは典型的に、有効な話者に対し、制約(3)を表す規則的な遅れと、方程式(4)に従った連結の制約のための多くのゼロを有している。
【0060】
例としての、以下のデジタル・データは、それらは、図4に示されているように音響システム7とともに機能するエコー減少装置6を使って、ホールの中で録音を行い、測定をすることで引き出されたものである。本発明による方法は、1400Hz以下の、あるいは同等の周波数について実施された。前述したように、周波分析は、ゼロを加えて256ポイントから1024ポイントにまで広げた窓について行われた。計算された経路のフィルタはFIRタイプのもので、152個の係数付きであり、望ましいフィルタリングのゲージングをおおよそではあるが、満足できる程度にまで、行うことを可能にする。
【0061】
連続測定の第一回目を例にとると、それは、遠い領域での指向性係数の制約のない極大化に対応する経路形成の出力において得られるインパルス応答に関するものである。連続測定の第二回目は、直接カップリングに対する単一の制約を考慮に入れた後に計算した経路形成の出力で得られるインパルス応答に関するものである。連続測定の第三回目は、二つの分析窓を使って、カップリングに対する二つの制約を考慮に入れた後に、計算した経路形成の出力で得られるインパルス応答に関するものである。第一のものは直接波に集中しており、第二のものは、第一のものとはずれており、その結果、早期に発生する反射に対して集中する。
【0062】
直接カップリングに対して二つの制約を加える、あるいは、単一の制約を加えて得られたインパルス応答を、遠い領域の、指向性係数の制約のない極大化を使って得られたインパルス応答と比較すると、カップリング効果の減少が際立ってくる。この減少は、インパルス応答の減衰がそれにも増して、持続するにもかかわらず、主にインパルス応答の開始時に測定可能である。事実、本発明による方法により、直接カップリング効果を減衰させることができるだけでなく、更に、全体的なカップリング効果を減らすにも効果的である。周波数での分析によると、二つの制約を用いて得られるエコー減少は、250Hzを下回る周波数については6から8dB程度である。
【0063】
連続測定の第一回目と第三回目に対応するエコー図を調べたところ、20dBにまで到達可能な直接波のところでの大幅な減衰が確認された。インパルス応答終了時のひきずりも、大幅に減っている。
【0064】
カップリングのインパルス応答を測定する為に、システムに電圧をかける際の最長シーケンスMLSの発信は、シーケンスMLSは音声信号との相関関係は絶たれているので、たとえ話者が同時に喋りはじめたとしても、かなりしっかりした推定が得られる。とはいうものの、このことから、伝達関数の推定に、そのような変形例を持ち込むことで、本方法の性能が落ちたりしないように、録音や幾つもの測定の平均化、などの段階で、局地的な音声が感知された場合には、測定を拒絶する等の、用心をしてもよい。伝達関数の評価は、話者がシステムの直接近くにいない限りは、話者の動きに影響を受けることは余りなく、それは、直接のカップリングまたは近くのカップリングだけが分析されるからである。更に、その処理を低周波においてのみ行うと、サイズの小さい障害物が通信中に移動する際に、伝達関数を大幅に変更するような余地は殆どない。
【0065】
念のために申し添えると、考えられる制約の数は、遠くの領域のゲインの制約も含めて、どれだけの自由度が使用可能かによって変化する。(係数及び位相における)制約の正確な数は、理論的にはN−1を下回るものであり、(係数または位相のみにおける)部分的制約の数は、理論的には2N−1を下回るものであり、Nはマイクの数とする。制約の数を制限することが不可欠となる。そうしなければ、遠くの領域におけるアンテナの方向特性をかなり落とすことになる。しかしながら、制約の数がそれを上回ることが判明した場合には、最適化問題は、もはや厳密には解決することができず、ベクトルC(f)w(f)と望ましい制約ベクトルs(f)との間の二乗の格差を最小限にすることが望ましい。
【0066】
補遺1
指向性
通常、二つの直交する平面で測定され、極座標(r,ψ,θ)で二つのグラフで表される空間において、センサは指向性で特徴づけられる。センサが一本の軸の回りを回転する場合には、その軸が通過する平面で測定される指向性は、その場合、局部的指向性と呼ばれる。直交する平面で測定される指向性は、相対方位指向性と呼ばれる。通常は、相対方位指向性の極大値が通過する平面における局部的指向性のみが測定される。指向性により得られるイメージは、センサから(ψ,θ)の方向で距離rのところに位置する点音源についてセンサが感知した信号のところのものである。
【0067】
空間音響において使用されるマイクは、それらの基準軸の回りに回転対称を呈するのが一般である。定義では次のように定められる。
・その感度が音波の入射方向と無関係であれば、無指向性、
【0068】
・その感度が以下のような形になりうるなら、次数nの双方向性、
【0069】
【数14】
【0070】
但しA(ω)は、周波数によって決まる可変変数であり、nは正の整数、
・その感度を以下のように書き表せるなら、n程度の単一指向性、
【0071】
【数15】
【0072】
但し、βはカージオイド定数と呼ばれる正の定数。β=1の場合はカージオイド指向性に対応しており、β=√3は超カージオイド指向性に対応しており、β=3はハイパーカージオイド指向性に対応する。
【0073】
アンテナは一般的に離散的マイクで構成されているのが一般的である。互いに距離dで隔てられたN個のマイクは、空間をローカライズした場所における圧力を捉え、音の領域の空間サンプリングを行う。これらの離散アンテナの作用の分析は、時間Tにおいてサンプリングされた信号のデジタル化との類推によって行うことが可能である。
三次元の場合についてはT⇔dまたは更に
【数16】
【0074】
同じ感度で、同一の重み付け係数を有するセンサの音響アンテナの為の受信した圧力領域をマイクで表現する励振関数は、次のような式で表される。
【0075】
【数17】
【0076】
空間フーリエ変換を行うと、そこからアンテナの空間スペクトルΩ(u/λ)を控除することが可能である。
【0077】
【数18】
【0078】
アンテナを、長方形の窓で一部を切り取った空間サンプラーと考えると、この式による表現の別の解釈をすることができる。その結果、励振関数は、次のように表すことができる。
【0079】
【数19】
【0080】
Lはアンテナの「有効な」長さに対応するものであるが、それは物理的長さLp=(N−1)dとは異なっている。
【0081】
つぎに、アンテナの空間スペクトルは、畳み込みの積の形で次のように書き表すことができる。
【0082】
【数20】
【0083】
初項から導かれるのは、(連続アンテナの空間スペクトルに対応する)基数のサイン(正弦)である。
【0084】
【数21】
【0085】
第二項については、次のように表現される。
【0086】
【数22】
【0087】
等距離dの一連のインパルスを物理空間においてフーリエ変換すると、空間周波数領域においてこれまた等距離λ/dの一連のインパルスが導かれる。
【0088】
方程式(15)を方程式(16)で畳み込むことにより、アンテナの方向線図Ω(u)を得ることが可能になる。
【0089】
【数23】
【0090】
極座標の線図は、間隔λ/dだけずれた基数のサインの合計に対応している。u=0に集中する最初の極大値は巾λ/Lのアンテナの主要なローブに対応する。関数TF{rectL(x)}の線図の外観から、以下の結論を導き出せる。
・アンテナは、その長さLが長くなる程、指向性が高くなる。
・定義により、空間周波数の「可視の部分」と呼ばれる全範囲は−1≦u≦1によって区分される。センサ間の距離が波長に対して余りに大きくなりすぎる場合は、第二のローブが可視的な面に現れる。それが空間エイリアシングである。この現象は、シャノンの定理が尊重されない場合には、時間─周波数領域のスペクトルの畳み込みと全く同様のものである。
・dが十分に小さければ、離散アンテナの指向性線図は連続アンテナのそれにとても近い。
【0091】
(幾何学的連続性に関わるものであることに着目して)正規化された式(12)によって与えられた関数を直接計算すると、次の式に近い位相のずれが導かれる。
【0092】
【数24】
【0093】
この式はd<<λ/2の場合に連続アンテナについて得られたものと非常に近い。
【0094】
アンテナの離散化の結果、連続アンテナの指向性線図は周期化され、そして、空間エイリアシングが存在することから、高周波での制限が課されることになる。
【0095】
指向性係数
マイクの方向的特性を説明する為に、一つの方法として指向性係数を定義するという方法があるが、その指向性係数とは、空間のあらゆる方向から来る可能性のある波の全体に対して、(目指す方向の)基準軸に対して直交し、マイクの全面に向かう波を優遇する為にマイクが有する特性を特徴づけるものである。指向性係数は、軸の中に到着する波についてマイクの出力で生じる電圧の二乗と、4πの立体角でやってくる、同一の有効圧力と同一の周波数の波が発生させる電圧の二乗の平均との比として、表される。従って、それは、自由領域における効率性の二乗と拡散領域における効率との比としても表すことができる。拡散領域は、平均の単位体積当たりのエネルギがすべての部位で同一の値を取り、音響の強度が全ての方向において同一である領域の状態に対応している。
【0096】
遠くの領域/近くの領域
長さはL、x=0に中心を置いた、横座標軸xにそって配置された線形アンテナか、あるいは方向OSが横座標軸と角度ψをなすような座標(x0,y0)の点Sかである。点Sに置かれた音源が生み出す音響領域に設置されたアンテナが受信する信号は、アンテナの基本受信器R(x,y)のそれぞれが捉える信号の全体に対応している。アンテナの出力で捉えられ、音源S(x0,y0)の存在に関連づけられた電気信号s(x0,y0)は、以下の式で表される。
【0097】
【数25】
【0098】
但しKはxとは無関係な変数であり、i(x)は各基本受信器が受信した圧力領域である。
【0099】
音源S(x0,y0)をアンテナの各基本受信器R(x,y)から隔てる距離ρは以下のように表される。
【0100】
【数26】
【0101】
音源がアンテナの大きさ
【数27】
に関して、起点から十分に離れたところにある場合は、最後の式は、主要な項のみを保持しつつ、二項級数の形で展開することができる。
【0102】
【数28】
【0103】
音源が遠い領域(ρ0>>L)にある場合には、方程式(19)の分母にある振幅項は項ρ0で置き換えることができる。すなわち、
【0104】
【数29】
【0105】
u=cosψとすると、線形アンテナの指向性線図の軸に対して正規化された式は次の通り、
【0106】
【数30】
【0107】
但しinは、|Ω(k,0)|=1を満たす圧力領域に対応している。
【0108】
積分下の指数の初項は空間フーリエ積分を表している。これは、遠くの領域でのアンテナの指向性線図と関連づけられる。第二項は、音源が近くの領域にある場合のアンテナの方向的作用を考慮するのに必要である。この矯正の為の項のおかげで、波の前の部分の湾曲を考慮に入れることができる。したがって、キルヒホッフ・フレネルの回折理論との類比により、上記の式の初項は、(x/ρ0での一次の近似である)フラウンホーファーの区域の類比である。更に、制限されたアンテナのサイズは、無限の長さのアンテナを覆う完全に無反響の仮想スクリーンの効果と解釈することもでき、キルヒホッフの二つの仮説は結果的に尊重されることになる。それゆえこの場合、結果に大きな類似性が観察されることも驚くにはあたらない。この際、M.ブリュノーの著作「音響理論入門」、メーヌ大学、ル・マン、1983年、370頁を参照して、回折の形象は、開放関数の二倍のフーリエ変換となることを確認することになる回折理論に倣うと、アンテナの指向性の形象は、励振関数の空間フーリエ変換であるということになる。このフーリエ変換は、アンテナが直線の場合は、一次元的なものであり、アンテナが平面なら二重のものになり、アンテナが三次元なら三重のものになる。アンテナの出力の一般式は、次の通りである。
【0109】
【数31】
【0110】
式(23)の積分下の指数の第二項は、(x/ρ0での一次の近似である)フレネル区域を特徴づけるものである。振動するピストンの放射と全く同様に、(音響圧力の)励振関数がu=0につき、アンテナに沿って一定のままなら、フレネル積分の力は、コルニュの螺旋を援用して表現することができる。但し、M.ブリュノーの著作「音響理論入門」、メーヌ大学、ル・マン、1983年、301頁を参照。
【0111】
アンテナの開きLに対して、距離ρ0が十分に大きければ、式(23)は、位相の二乗項は積分に余り影響しないことを示している。遠くの領域だけの場合を考慮に入れることが予想できる最小距離ρ0は、その上また、u=0の時、このコルニュの螺旋を用いて得られる。B.スタインベルグの著作「口径及びアレイのシステム設計の原理」、ワイリー−インター サイエンスパブリケーション、ジョン・ワイリー&サンズ、ニューヨーク、1976年、参照。この著作は、ρ0=L2/2λについて、第二級の項が欠けると1dBを下回るエラーが生じることを示している。遠くの領域を近くの領域から隔てる為に意図的にとり上げられた値は、その場合、以下のようにして与えられる。
ρ0>L2/2λ (25)
【0112】
重要なことは、遠くの領域と近くの領域との間の限度はアンテナのサイズに直接関係しており、その長さの二乗とともに大きくなる。
【0113】
例えとして、長さL=40cmのアンテナで、ρ0=3mであれば、条件(25)はf<6300Hzを前提にする。その結果、本発明による方法を実施する為にとり上げられる音声の周波数帯域を考慮に入れると、そのような距離に位置する話者は、40cmのアンテナの方向的作用に関しては、遠くの領域にいるものと見なされることになる。それゆえ、そのようなアンテナの指向性線図は、空間フーリエ積分により理性的に求められる。
【0114】
仮説(25)の下では、正規化された方程式で得られる遠くの領域のアンテナの複素指向性関数Ω(u/λ)は、アンテナに沿って均質な励振Iの場合には、つぎのようになる。
【0115】
【数32】
【0116】
超指向性のアンテナ
超指向性のアンテナとは、センサ間の音響行程に関係する遅れに対応する位相を上回るセンサの位相において再設定が行われるアンテナのことである。このような方法は、アンテナを不可視の領域に向させるに戻るが、それは、主要なローブの極大値がもはや−1≦u≦1の間隔の外にあるからである。
【0117】
センサの間の間隔が一定の「エンドファイア」のアンテナについては、各センサに生じる遅れは、次のような形で表される。
【0118】
【数33】
【0119】
但し、ηは「オーバーステアリング」の量を決定する正の定数である。この手続は、音速cを下回る伝播速度c/(1+η)に対応する遅れを再び生じさせることになる。このような照準は、より高い相対的水準の二次的ローブを犠牲に、主要なローブを更に狭くすることができることを明確にする。更に、オーバーステアリングでも、次のようなより厳格なdについての条件を導く、より低い周波数で、エイリアシングのローブを生じさせることがある。
【0120】
【数34】
【0121】
有効なエネルギの一部は、可視的な部分にある為、感度が低くなり、非干渉性ノイズの減少は劣化することになる。結局、実際には、理論上の最適性能の実現は、そのような合成が(センサの差異などの)システムのちょっとした不完全さに大いに影響される為である。振幅や信号の位相における誤差は、センサ相互では相関関係がないのが一般的であり、非干渉性ノイズと同様に、経路の形成に影響する。それゆえ、非干渉性ノイズの減少の評価は、そのような合成の実現可能性を占う上での良い指標となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、本発明による方法の第一の実施法を示すフローチャートである。
【図2】
図2は、極座標での座標系である。
【図3】
図3は、本発明による方法の第二の実施法を示すフローチャートである。
【図4】
図4は、本発明による方法の実施の為に音響システムとともに動作するエコー減少装置の個別的実施例の概略図である。
【図5】
図5は、本発明による方法の実施一覧である。
発明の分野
本発明は特にホールの音響システムに応用される空間音響設備の分野に関するものである。
【0002】
本発明はアンテナを形成するマルチ・センサの録音装置及び音再生装置と共に利用されるエコー減少方法に関するものである。更に本発明は、本発明による方法を実施する為の音再生装置と共に機能することになっている音響減少装置に関するものである。本発明の関係する周波数領域は、音声の周波数領域であり、特に、低周波音声信号の周波数のものである。
【0003】
先行技術の説明
本発明は大変優れた応用を見出し、それはテレビ電話会議システムの録音装置の中でのエコーを減少させることにより、指向性のないマイクを使わずに済ませることができ、所謂フリー・ハンドの通信が可能にするということである。
【0004】
アコースティックエコーは、フリー・ハンドの通信端末が良好に機能する上での主要な障害である。このアコースティックエコーの原因は、録音装置のセンサが、音再生装置のトランスデューサが発した信号の一部をキャッチしてしまうことに起因する。空間音響設備に使用されるセンサとトランスデューサは、それぞれ、マイクとスピーカである。
【0005】
フリー・ハンドの通信端末において、マイクは、音再生装置と音響的に、そして場合によっては、機械的にも接続されており、そしてマイクと再生装置が同じケースに収納されて場合には直接接続であり、テレビ受像器に設置されたテレビ電話会議端末の場合には間接接続である。その結果生じるエコーは二部に分解される。
・会場の反応
・スピーカとマイクの直接のカップリング
【0006】
会場の反応は、特にエコーのこの部分のレベルはかなり弱いものであるという事実からして当然、エコーの解消またはゲイン(増巾率)を変化させるなどの、従来のエコー制御技術によって、効率的に処理されるのが一般的である。直接カップリングしている場合には、同様にはいかない。その原因は、空中を音響が伝わってくる経路にもよるが、それと同時に、通信端末の収納ケースを通して振動が伝播するということもあり、更に、テレビモニターの箱の場合には、場合によっては、空洞や機械部品の共鳴ということもある。この部分も音響は、マイクが拾う現地の音声よりも6から20dBも高いのが一般的であり、なんらかの処理を行われなければ、ラルセン効果を引き起こす。
【0007】
既に知られているエコーキャンセル技術で、この望ましくない効果を十分に処理することができない場合は、ラルセン効果の発生を防止する為に、ゲインの大幅な変化を導入しなければならない。このゲイン変化は、一方では、エキーキャンセラーの収束過程を通じて及ばなければならず、他方では、音響の経路が変化した後に、または音声がダブっている間にも及ばなければならない。このような制約があることから、通信端末があまり対話性のないものになってしまっており、ユーザーはフリー・ハンド機能は性能の低いものであると思いかねない。
【0008】
この不都合を克服する為に、直接のカップリングの減少を目指す幾つもの技術が存在する。
【0009】
第一には、専ら機械的接続を減少する為の技術である。通常行われる解決法は、マイクを収納ケースから分離する、発泡スチロールやゴムのような振動防止材を使うことであり、これらの材質は、スピーカの引き起こす収納ケースの振動と、その振動がマイクの方に伝わっていくのを止めるか、または大幅に減じる効果がある。
【0010】
機械的に分離する方法で、振動によるカップリングは確かに減るのではあるが、これは産業上の方法としては高くつく。しかし、この方法では、今日小型化された通信端末が好まれる傾向がある為、マイクがスピーカの近くに設置されがちであり、この場合、音響カップリングも発生する可能性が大きいにもかかわらず減らない。更に、スピーカとマイクを含むテレビ受像器やマイクを含む装置を搭載したモニターの場合のように、再生システムが録音装置を含む全装置に不可欠な部分を成している場合には、スピーカを全装置の収納ケースから分離することは考えられない。
【0011】
第二の技術は、マイクとスピーカの間の機械的及び音響的カップリングのインパルス応答の逆数の計算結果を応答とする、補償デジタル・フィルタを使用することである。
【0012】
理論的には、補償フィルタの出力で、エコーに起因するスピーカからの信号は解消される。実際には、この技術は、例えば、ほんの少しでもカップリングの特性が変化、通信端末の取り付け/取り外し、マイクの特性が変化すると、十分な効果が得られない。また、この技術は、擾乱の性質が線形でない場合、つまり、擾乱がスピーカから来る信号とフィルタリングのインパルス応答との間の畳み込みの積でモデル化できない場合は、適さない。それに加えて、この技術はトランスデューサの働きが線形であることはめったになく、一般的にトランスデューサは歪み、及び/または飽和する傾向にあり、そのようなことは、非線形的機能の典型的な例となるものだからである。結局、大量生産の場合には、例えば、互いに僅かに異なるスピーカまたはマイクを使うのであれば、必然的にカップリングも一つの通信端末と、もう一つのものとでは異なるものになる。結局のところ、このような制約から、フィルタによるこの補償技術も効率が悪い。
【0013】
他にも、マイクを単に均衡させるか、マイクの位相をずらすことに関連して、スピーカの回りにマイクを等しく分配に基づく、マイク均衡システムが存在する。このようなシステムはフランス特許9302054の対象になっている。これらのシステムは、無指向性の録音による極めて特別な幾何学的対称性を有する通信端末グループのものである。これらシステムの効率性はマイクや取得経路の差異には非常に影響を受けやすい。したがって、これらのシステムは、構成物の選別と、時間の経過に従って狂いの生じうるマイクの厳密な測定を不可欠とする。更に、ディスプレーの文字板、キーボード、旋回カメラを付け加えると、マイクに対するスピーカの対称性の特性を損なう可能性がある。他では、マイクの数Nが2を越える場合、これらの装置が最適でなくなる。何故なら、N度の使える自由度は二つの制約、与えた方向にゲインを固定すること、そして、直接のカップリングを解消することを満たす為に有効であるからである。結局、キャッチされた信号が、有効な音源に向かって、各マイクの力全体に対応しており、そしてこれらの、マイクの力の位相が互いにずれており、更に、場合によっては振幅も異なっている為、信号のスペクトルが高周波では次第に劣化するという結果が生じる。
【0014】
もう一つのシステムは、どちらかといえば個別での実施を目指すもので、例えばフランス特許9814321によって知られているものであるが、最終的な端末、つまり、組み込み後の通信端末の特異性を考慮するという利点がある。このシステムでは二つのマイクが使用され、スピーカからの距離がそれぞれ異なるように配置されている。二つのマイクの利点は、カップリングの直接の波を解消する為に、重み付けにより、組み合わされている。二つのマイクから来る二つの異なる信号のバランスを変えることによって、遠くの領域に位置する有効音源を感知することが可能になる。二つめのマイクに適用された経路フィルタの計算は、マイクとスピーカ間のカップリングの測定の応答を逆転させることによって得られる。マイクは、スピーカの直接の領域にあるので、大部分の状況において、このような計算は満足のいくものとなる。しかしながら、この解決法には、二つのマイクの間に、カップリング波の十分な振幅の違いが存在することが不可欠である。このような差を実現する為には、マイクの位置をスピーカに十分に近づけることが必要となり、その結果、カップリングの観点から非常に好ましくない条件が生じる。この条件は、このような配置が必要とされる個別のシステムにおいては妨げとなるものではないが、「セット・トップ・ボックス」タイプのテレビ電話会議端末、つまり、テレビモニターの上に置くことができる形の端末のような他のシステムについては、そうはいかない。この原則に従うと、マイクがスピーカから離れる程、センサ間のスペースの距離を大きくしなければならないということになる。この結果として、通過周波帯は制限され、近くに障害物があれば、更に大きな影響を受けることになる。結局、非干渉性ノイズの増幅は、残念ながら、二つのマイクを隔てる距離を変えることによってしか制御することができない。
【0015】
結局のところ、これらの装置の指向性は部分的にしか制御することができず、マイク本来の指向性と余り変わらない。
【0016】
これらの方法と平行して、システム全体に指向性をもたせることで音響カップリングに備える為のマルチ・センサ技術が存在する。実際、音源が、騒がしい、あるいは音が反響する環境に位置する場合には、一つのセンサの指向性だけでは、騒音信号を抽出するには不十分となる可能性がある。
【0017】
このような問題に対策を講じる為の一つの方法は、N個のセンサを関連づけて、一つの音響アンテナを形成することである。この関連づけは、与えられた方向(ψ,θ)について、様々なセンサの出力信号の位相の干渉性を加算することである。この加算は経路形成という呼称の下にまとめられた技術の一つである。一つのセンサ、あるいはトランスデューサは、空間内でのその指向性によって特徴づけられており、その空間は、通常二つの直交する平面において測定され、極座標(r,ψ,θ)に二つの図式として表される。センサの指向性により、方向(ψ,θ)で、センサの中心からの距離がrの位置にある点音源について、このセンサが捕らえた信号レベルの、一つの「画像」が与えられる。経路の形成が終わった段階で得られたアンテナの指向性の性能は、単一のセンサの指向性よりも優れている。距離dで互いに隔てられたN個のマイクは、空間内の局地的領域で圧力を感知し、音の領域の空間サンプリングを行う。この方法は、高周波では、確かな効率性を提供するが(f<1000Hz)低周波では、以下のような幾つもの理由により、問題が残る。
・アンテナのサイズが小さくなっているので指向性が不足している。
・テレビのスクリーンの影響を受ける場合もあり、低周波でのセンサ間の差異に重大な影響を受けやすく、堅牢性において劣る。
・スピーカボックスの置き場所に位置する音源の為の、アンテナの指向性の図式が3mのところでの指向性の図式とは異なっているが、それは遠い領域の仮説が、最初の場合では検証されていないからである。
【0018】
そのようなわけで、本発明の目的の一つは、録音装置と音再生装置との間の音響カップリングによって発生した音響を、その上既知の装置や方法にあるような不都合を無しに、減少させることにある。
【0019】
発明の要約
その為、本発明が対象とする音響減少方法は、アンテナを形成するマルチ・センサ録音装置並びに音再生装置とともに実施され、それは、センサの出力信号に複素重み付けw(f)を受けさせることである。但し、前記重み付けw(f)は、指向性係数Fd(f)を、低周波数で、近い領域における制限付き極大化により計算され、次の式で表される。
【0020】
【数8】
【0021】
その計算は、前記重み付けw(f)が、与えられた方向での録音装置の伝達関数の係数と位相における第一の線形制約(3)を満たすように行うものであり、各周波数fにおけるこの第一の制約の式は次の通りである。
CH(f)w(f)=s(f) (3)
そして、前記重み付けw(f)が満たす第二の制約(4)は、音響チャネルの複素伝達関数を「自然な位置で」測定することに基づいて決定され、音再生装置のスピーカの入力と録音装置を構成するセンサの出力で区分されており、この制約の式は次の通りである。
MH(f)w(f)=0 (4)
式(1)から(4)において、
Hは、周波数fで計算される、偏角ψ及びθが規定する方向でアンテナの中心からの距離がrのところに位置する点音源とそのアンテナの各センサとの間の自由領域での伝達関数の複素値を成分とする伝播ベクトルであり、
Dr(f)は、距離rのところにあるアンテナの空間分離特性を特徴づける指向性マトリックスであり、
W(f,ψ,θ)は、スピーカの方向からくる波を更に大きく減衰させて、スピーカとの直接のカップリングを減少できるようにする空間重み付けであり、
w(f)は、周波数fでのセンサの出力信号の複素重み付けベクトルであり、
C(f)は、所謂「制約の」マトリックスであり、その中に理論的な伝播ベクトルを含み、自由領域タイプの伝播モデルに基づいて計算されるか、あるいは、自由領域を条件として測定され、
s(f)は、与えられた方向において望まれる複素ゲインである。
M(f)は、カップリング制約のマトリックスであり、その中に含まれている複素伝達関数は、音響チャネルから「自然な位置で」測定され、それらの音響チャネルの区分を画定するのは、音再生装置のスピーカの入力と録音装置を構成するセンサの出力であり、
0はゼロ・ベクトルである。
【0022】
そのようなわけで、本発明では、経路の形成を計算する場合の直接カップリングにおける制約を考慮に入れる。経路の形成の計算は、伝播の理論上のモデルまたは無響室で行われる測定のみに基づいて行われるだけでなく、「自然な位置で」得られる伝達関数の評価にも基づいて行われる。そのようなわけで、本発明によれば、望ましい指向性を課し、非干渉性ノイズの最大限の増幅を制御しつつ、直接的及び/または半直接的なカップリングを減少することができる。
【0023】
本発明は特に、集団のテレビ電話会議を行う為の録音装置に応用される。
【0024】
本発明の利点は、(テレビモニターとアンテナ収納ケースの形、アンテナ収納ケースのモニターに対する位置、近くの障害物または近くに壁があること等)近くの音響環境と、スピーカの応答とセンサの差異とを、自動的に考慮に入れることである。更に、最適化は分け隔てなく行われている為、本発明による方法では、スピーカの位置の認識や、スピーカとセンサの電気音響的特徴について、前もって仮説を立てる必要がない。
【0025】
図面の簡単な説明
本発明の他の特徴と利点は、あくまで例示であり、これだけに限定されない添付図面に続く、詳細な説明により明らかになる。
【0026】
図1は、本発明による方法の第一の実施法を示すフローチャートである。
【0027】
図2は、極座標での座標系である。
【0028】
図3は、本発明による方法の第二の実施法を示すフローチャートである。
【0029】
図4は、本発明による方法の実施の為に音響システムとともに動作するエコー減少装置の個別的実施例の概略図である。
【0030】
図5は、本発明による方法の実施一覧である。
【0031】
実施態様の詳細な説明
本発明の音響減少方法は、アンテナと音再生装置とを形成するマルチ・センサの録音装置と共に、実施される。本発明による方法は、録音装置のセンサの出力信号に複素重み付けw(f)をすることであり、但し、前記重み付けは、低周波数で、指向性係数Fd(f)に近い領域における制限付き極大化により計算されるものである。本方法は、以下に説明され、図1にも示された幾つもの段階を経て、展開されていく。
【0032】
第一の手順1においては、本発明による方法は、以下のマトリックス方程式によって規定される有効音源(話者)に対応する方向での遠い領域で望まれるゲインの第一線形制約(3)の方程式を決定することである。
CH(f)w(f)=s(f) (3)
但し、この方程式において、
C(f)は、いわゆる「制約の」マトリックスであり、その中に理論的な伝播ベクトルは、自由領域タイプの伝播モデルに基づいて計算されるか、あるいは、自由領域を条件として測定され、
w(f)は、周波数fでのセンサの出力信号の複素重み付けベクトルであり、
s(f)は、与えられた方向において望まれる複素ゲインである。
【0033】
第二の手順2においては、本発明による方法は、音響チャネルの複素伝達関数を「自然な位置で」測定することに基づいて決定される第二の制約(4)の式を決定する。それらの音響チャネルの区分を画定しているのは、音再生装置のスピーカの入力と録音装置を構成するセンサの出力であり、この制約は次の通りである。
HH(f)w(f)=0 (4)
但しこの方程式において、
M(f)は、カップリング制約のマトリックスであり、その中に含まれる複素伝達関数は、音響チャネルから自然な位置で測定され、それらの音響チャネルの区分を画定するのは、音再生装置のスピーカの入力と録音装置を構成するセンサの出力であり、
0はゼロ・ベクトルである。
【0034】
第三の手順3においては、本発明による方法は、近くの領域において指向性係数(1)を極大化をすることである。
【0035】
近くの領域における指向性係数Fdは以下の方程式により規定される。
【0036】
【数9】
【0037】
但し、上記方程式において、
Hは、周波数fで計算される、偏角ψ及びθが規定する方向でアンテナの中心からの距離がrのところに位置する図2に示された、点音源Sとそのアンテナの各センサとの間の自由領域での伝達関数の複素値を成分とする伝播ベクトルであり、
Dr(f)は、距離rのところにあるアンテナの空間分離特性を特徴づける指向性マトリックスであり、
W(f,ψ,θ)は、スピーカの方向からくる波を更に大きく減衰させて、スピーカとの直接のカップリングを減少を可能にする空間重み付けである。
【0038】
指向性係数を極大化する際の本方法の実施にあたり、随意の選択事項として以下の制約を考慮に入れてもよい。対応するフローチャートは図3に示されている。
・非干渉性ノイズへの堅牢性の第三の非線形制約(4)であり、その最小減少係数RImin(f)は、以下の方程式に従って、値を定められている。
【0039】
【数10】
【0040】
・主要なローブの開きについての、及び/または与えられた方向での振幅のゲインについての、そしてエイリアシングのローブと二次的ローブの減少についての、第四の非線形制約(5)。これらの制約は、まず第一に、アンテナの角区域を正確にカバーすることができる、主要なローブの十分な幅の保証を可能にし、それによって有効音源の方向を発見できる。この意味で、それらの制約は、方程式(3)に対応する線形制約を補完するものである。第二に、エイリアシングのローブのレベルを制限することで、二次的ローブのレベルを制限し、シャノン条件を尊重するには余りにも間隔が大きい周波数でも、マイクがアクティブであることを維持することができる。そのようなわけで、これらの制約により、特に、センサがアクティブ状態からイナクティブ状態に推移するセンサもあるような周波数帯域においても、より高度な指向性係数を達成することを可能にする。そのようにして、それらの制約により、センサの数がより限られたものでも実施することを可能にしており、つまり、装置の費用を最適化することができる。それら制約の方程式は、次のような非線形の方程式体系で表現される。
【0041】
【数11】
【0042】
但し、上記方程式体系において、
Hi,i=0,..kは、角方向(ψi,θi)での遠い領域での点音源と、アンテナのマイクとの間の伝播ベクトルを表し、giはこの方向で望まれるゲインを表す。そうして、g0は、主要なローブの開きに対応する方向の例えば−3dBの、その中央に対して例えば±30度の方向において望まれるゲインを表す。
【0043】
これらの様々な随意に選択される制約を考慮に入れて、以下の式に従って、指向性マトリックスの表現式を変更する。
【0044】
【数12】
【0045】
μ(f)は堅牢性制約(5)を満たすように調節されるラグランジュ係数であり、αi(f),i=0...kは主要なローブの開きの、そしてエイリアシングのローブと二次的ローブ(6)の減少の、非線形制約を満たすように調節された一組のラグランジュ係数である。
【0046】
この問題の最適な方法は、以下の式で与えられる。
【0047】
【数13】
【0048】
このような最適化は、遠い領域のアンテナの性能に大きな変更を加えることなく、近い音源に対するアンテナの感度を低くすることが可能になる。
【0049】
図4の概略図は、本発明による方法の実施の為の音響システム7とともに機能する、エコー減少装置6の一例である。
【0050】
その音響減少装置6の形状は、「セット・トップ・ボックス」タイプの箱である。その箱は、アンテナ録音装置8と計算電子モジュール9とからなる。アンテナ録音装置8を構成するアンテナ10は、以下にとり上げた例によると、11個のマイク11mで形成されており、概略図では透明になって見えるようになっているが、平行な三つの平面に従って配分されており、m=1,2,...Nで、N=11とする。計算電子モジュール9は、様々な制約を計算する為に、特に、関係式(3)によって表される第一制約と関係式(4)によって表される第二制約とを計算する為の手段を含むものである。計算手段は典型的には、リアル・タイムで計算を実行する信号処理集積回路を構成する。一つの変形例によると、計算手段は進歩したテレビ電話会議端末に実際に組み込まれたもののような十分な速度の、汎用プロセッサーから構成されていても良い。
【0051】
音響システム7は、テレビモニター12と、そのテレビモニターの両側に一つずつ配置された二つのスピーカからなる音再生装置13を含む。
【0052】
低周波では、高度な超指向性指数からしてアンテナ10は、遠い領域に位置する話者に向かって照準を定めるが、近くの領域に位置する音源に対して高い感度を持つ。システム7が壁の近くに配置されている場合、スピーカは、その画像源と同様に、近くの音源を構成している。これらの反射/拡散は、それらが早期に発生することから、非常に強いエネルギをもっている。この効果は、これらの周波数帯域においては、音波が反射表面の吸収による僅かな減衰しかこうむらない為に、それだけ、顕著である。
【0053】
近い音源の為に、遠い領域におけるアンテナ10の性能を大きく変更させることなくアンテナ10の感度を低くする為に、本発明の方法により、エコー減少装置6が、関係式(1)で規定される近い領域の指向性係数を制約付き極大化させる。関係式(2)においては、方向0及びπは、システム7のスピーカの方向に対応しており、空間重み付け関数wにより、直接の音響カップリングは最小になるように更に大きく重み付けされる。
【0054】
エコー減少装置と音再生装置を用いた、本発明による方法の実施は図4及び5を参照に、詳細に説明される。
【0055】
テレビモニター12と箱6に電圧をかけた後で、生成器14が生成する測定信号x(n)を、デジタル・アナログ変換器15で、アナログに変換する。変換器15の出力x(t)は、テレビモニター12のスピーカ13のそれぞれに別々に伝達される。例によると、生成器14は、MLSと呼ばれる最長の疑似乱数シーケンスを生成する。音響アンテナを構成する各マイク11mから出る信号ym(t)を、アナログ・デジタル変換器16mによって、デジタル信号ym(n)の形で、デジタル化する。
【0056】
各音響チャネル・スピーカ/マイクm、m=1,2,...N、N=11とする、インパルス応答の推定hestm(n)は、現行技術分野の計算を行う計算器17mにより、信号ym(n)に基づき決定される。測定信号x(t)がMLSシーケンスである場合には、インパルス応答の推定hestm(n)は、とりわけアダマール変換を用いた内部相関により、決定することもありうる。
【0057】
時間的窓の配置18mは、各音響チャネル・スピーカ/マイクのインパルス応答の推定hestm(n)に対して行われるが、直接の行程と、早期に発生する少数の反射のみを考慮に入れるようになされ、それぞれ、後に直接カップリング及び半直接カップリングという用語で、示されるものである。そういうわけで、このカップリング減少は、もっとも安定したカップリング要素に(直接の音響行程と、例えば近くの壁のような固定された障害物に対する最初の反射等)基づいており、時間とともに(例えば、話者の運動や移動につれて)急速に変化する可能性のあるカップリング要素の各部分を遠ざける。これによって、中央マイクのインパルス応答の、短期の最大項が求められ、そして対応するサンプル番号n0が求められる。各インパルス応答に対し、サンプルn0を中心とする窓によって画定される一時的領域に対し、高速フーリエ変換(FFT)が行われる。
【0058】
複数のカップリング制約を考慮に入れられる場合には、カップリング制約と同じだけの分析窓がある。分析窓は、長方形であってよい。しかしながら、例えばハミングのような別の形の窓も好適に使用することができる。分析窓の音域は、短く選択され、典型的には、約64から256個のサンプリング、あるいは、サンプリング周波数fe=16kHzについて4から16ミリ秒である。従って、分析窓の後に、19mのゼロを付け加えることが必要となり、それにより、FFT20mを行う前に周波数の分解能が向上される。FFTの結果は、直接及び/または半直接カップリングを優遇する重み付けの後、アンテナの各音響チャネル・スピーカ/マイクmに対応する複素伝達関数Hest_directm(ω)である。
【0059】
経路形成重み付け係数w(f)は、21,22で計算され、図1に関して説明された近い領域での指向性係数最適化方法に基づいている。これらの様々な伝達関数に基づき、関係式(4)のマトリックスM(f)には、前もって得られたカップリングの複素伝達関数が含まれており、それらの関数は測定された伝播ベクトルに対応している。最適な解決方法は式(8)によって計算されるが、これにおいて、マトリックスC(f)は、自由領域タイプの理論的伝播ベクトル、つまり、有効音源の為の遠い領域での制約と、測定された伝播ベクトルとを、同時に含んでいる。制約s(f)のベクトルは典型的に、有効な話者に対し、制約(3)を表す規則的な遅れと、方程式(4)に従った連結の制約のための多くのゼロを有している。
【0060】
例としての、以下のデジタル・データは、それらは、図4に示されているように音響システム7とともに機能するエコー減少装置6を使って、ホールの中で録音を行い、測定をすることで引き出されたものである。本発明による方法は、1400Hz以下の、あるいは同等の周波数について実施された。前述したように、周波分析は、ゼロを加えて256ポイントから1024ポイントにまで広げた窓について行われた。計算された経路のフィルタはFIRタイプのもので、152個の係数付きであり、望ましいフィルタリングのゲージングをおおよそではあるが、満足できる程度にまで、行うことを可能にする。
【0061】
連続測定の第一回目を例にとると、それは、遠い領域での指向性係数の制約のない極大化に対応する経路形成の出力において得られるインパルス応答に関するものである。連続測定の第二回目は、直接カップリングに対する単一の制約を考慮に入れた後に計算した経路形成の出力で得られるインパルス応答に関するものである。連続測定の第三回目は、二つの分析窓を使って、カップリングに対する二つの制約を考慮に入れた後に、計算した経路形成の出力で得られるインパルス応答に関するものである。第一のものは直接波に集中しており、第二のものは、第一のものとはずれており、その結果、早期に発生する反射に対して集中する。
【0062】
直接カップリングに対して二つの制約を加える、あるいは、単一の制約を加えて得られたインパルス応答を、遠い領域の、指向性係数の制約のない極大化を使って得られたインパルス応答と比較すると、カップリング効果の減少が際立ってくる。この減少は、インパルス応答の減衰がそれにも増して、持続するにもかかわらず、主にインパルス応答の開始時に測定可能である。事実、本発明による方法により、直接カップリング効果を減衰させることができるだけでなく、更に、全体的なカップリング効果を減らすにも効果的である。周波数での分析によると、二つの制約を用いて得られるエコー減少は、250Hzを下回る周波数については6から8dB程度である。
【0063】
連続測定の第一回目と第三回目に対応するエコー図を調べたところ、20dBにまで到達可能な直接波のところでの大幅な減衰が確認された。インパルス応答終了時のひきずりも、大幅に減っている。
【0064】
カップリングのインパルス応答を測定する為に、システムに電圧をかける際の最長シーケンスMLSの発信は、シーケンスMLSは音声信号との相関関係は絶たれているので、たとえ話者が同時に喋りはじめたとしても、かなりしっかりした推定が得られる。とはいうものの、このことから、伝達関数の推定に、そのような変形例を持ち込むことで、本方法の性能が落ちたりしないように、録音や幾つもの測定の平均化、などの段階で、局地的な音声が感知された場合には、測定を拒絶する等の、用心をしてもよい。伝達関数の評価は、話者がシステムの直接近くにいない限りは、話者の動きに影響を受けることは余りなく、それは、直接のカップリングまたは近くのカップリングだけが分析されるからである。更に、その処理を低周波においてのみ行うと、サイズの小さい障害物が通信中に移動する際に、伝達関数を大幅に変更するような余地は殆どない。
【0065】
念のために申し添えると、考えられる制約の数は、遠くの領域のゲインの制約も含めて、どれだけの自由度が使用可能かによって変化する。(係数及び位相における)制約の正確な数は、理論的にはN−1を下回るものであり、(係数または位相のみにおける)部分的制約の数は、理論的には2N−1を下回るものであり、Nはマイクの数とする。制約の数を制限することが不可欠となる。そうしなければ、遠くの領域におけるアンテナの方向特性をかなり落とすことになる。しかしながら、制約の数がそれを上回ることが判明した場合には、最適化問題は、もはや厳密には解決することができず、ベクトルC(f)w(f)と望ましい制約ベクトルs(f)との間の二乗の格差を最小限にすることが望ましい。
【0066】
補遺1
指向性
通常、二つの直交する平面で測定され、極座標(r,ψ,θ)で二つのグラフで表される空間において、センサは指向性で特徴づけられる。センサが一本の軸の回りを回転する場合には、その軸が通過する平面で測定される指向性は、その場合、局部的指向性と呼ばれる。直交する平面で測定される指向性は、相対方位指向性と呼ばれる。通常は、相対方位指向性の極大値が通過する平面における局部的指向性のみが測定される。指向性により得られるイメージは、センサから(ψ,θ)の方向で距離rのところに位置する点音源についてセンサが感知した信号のところのものである。
【0067】
空間音響において使用されるマイクは、それらの基準軸の回りに回転対称を呈するのが一般である。定義では次のように定められる。
・その感度が音波の入射方向と無関係であれば、無指向性、
【0068】
・その感度が以下のような形になりうるなら、次数nの双方向性、
【0069】
【数14】
【0070】
但しA(ω)は、周波数によって決まる可変変数であり、nは正の整数、
・その感度を以下のように書き表せるなら、n程度の単一指向性、
【0071】
【数15】
【0072】
但し、βはカージオイド定数と呼ばれる正の定数。β=1の場合はカージオイド指向性に対応しており、β=√3は超カージオイド指向性に対応しており、β=3はハイパーカージオイド指向性に対応する。
【0073】
アンテナは一般的に離散的マイクで構成されているのが一般的である。互いに距離dで隔てられたN個のマイクは、空間をローカライズした場所における圧力を捉え、音の領域の空間サンプリングを行う。これらの離散アンテナの作用の分析は、時間Tにおいてサンプリングされた信号のデジタル化との類推によって行うことが可能である。
三次元の場合についてはT⇔dまたは更に
【数16】
【0074】
同じ感度で、同一の重み付け係数を有するセンサの音響アンテナの為の受信した圧力領域をマイクで表現する励振関数は、次のような式で表される。
【0075】
【数17】
【0076】
空間フーリエ変換を行うと、そこからアンテナの空間スペクトルΩ(u/λ)を控除することが可能である。
【0077】
【数18】
【0078】
アンテナを、長方形の窓で一部を切り取った空間サンプラーと考えると、この式による表現の別の解釈をすることができる。その結果、励振関数は、次のように表すことができる。
【0079】
【数19】
【0080】
Lはアンテナの「有効な」長さに対応するものであるが、それは物理的長さLp=(N−1)dとは異なっている。
【0081】
つぎに、アンテナの空間スペクトルは、畳み込みの積の形で次のように書き表すことができる。
【0082】
【数20】
【0083】
初項から導かれるのは、(連続アンテナの空間スペクトルに対応する)基数のサイン(正弦)である。
【0084】
【数21】
【0085】
第二項については、次のように表現される。
【0086】
【数22】
【0087】
等距離dの一連のインパルスを物理空間においてフーリエ変換すると、空間周波数領域においてこれまた等距離λ/dの一連のインパルスが導かれる。
【0088】
方程式(15)を方程式(16)で畳み込むことにより、アンテナの方向線図Ω(u)を得ることが可能になる。
【0089】
【数23】
【0090】
極座標の線図は、間隔λ/dだけずれた基数のサインの合計に対応している。u=0に集中する最初の極大値は巾λ/Lのアンテナの主要なローブに対応する。関数TF{rectL(x)}の線図の外観から、以下の結論を導き出せる。
・アンテナは、その長さLが長くなる程、指向性が高くなる。
・定義により、空間周波数の「可視の部分」と呼ばれる全範囲は−1≦u≦1によって区分される。センサ間の距離が波長に対して余りに大きくなりすぎる場合は、第二のローブが可視的な面に現れる。それが空間エイリアシングである。この現象は、シャノンの定理が尊重されない場合には、時間─周波数領域のスペクトルの畳み込みと全く同様のものである。
・dが十分に小さければ、離散アンテナの指向性線図は連続アンテナのそれにとても近い。
【0091】
(幾何学的連続性に関わるものであることに着目して)正規化された式(12)によって与えられた関数を直接計算すると、次の式に近い位相のずれが導かれる。
【0092】
【数24】
【0093】
この式はd<<λ/2の場合に連続アンテナについて得られたものと非常に近い。
【0094】
アンテナの離散化の結果、連続アンテナの指向性線図は周期化され、そして、空間エイリアシングが存在することから、高周波での制限が課されることになる。
【0095】
指向性係数
マイクの方向的特性を説明する為に、一つの方法として指向性係数を定義するという方法があるが、その指向性係数とは、空間のあらゆる方向から来る可能性のある波の全体に対して、(目指す方向の)基準軸に対して直交し、マイクの全面に向かう波を優遇する為にマイクが有する特性を特徴づけるものである。指向性係数は、軸の中に到着する波についてマイクの出力で生じる電圧の二乗と、4πの立体角でやってくる、同一の有効圧力と同一の周波数の波が発生させる電圧の二乗の平均との比として、表される。従って、それは、自由領域における効率性の二乗と拡散領域における効率との比としても表すことができる。拡散領域は、平均の単位体積当たりのエネルギがすべての部位で同一の値を取り、音響の強度が全ての方向において同一である領域の状態に対応している。
【0096】
遠くの領域/近くの領域
長さはL、x=0に中心を置いた、横座標軸xにそって配置された線形アンテナか、あるいは方向OSが横座標軸と角度ψをなすような座標(x0,y0)の点Sかである。点Sに置かれた音源が生み出す音響領域に設置されたアンテナが受信する信号は、アンテナの基本受信器R(x,y)のそれぞれが捉える信号の全体に対応している。アンテナの出力で捉えられ、音源S(x0,y0)の存在に関連づけられた電気信号s(x0,y0)は、以下の式で表される。
【0097】
【数25】
【0098】
但しKはxとは無関係な変数であり、i(x)は各基本受信器が受信した圧力領域である。
【0099】
音源S(x0,y0)をアンテナの各基本受信器R(x,y)から隔てる距離ρは以下のように表される。
【0100】
【数26】
【0101】
音源がアンテナの大きさ
【数27】
に関して、起点から十分に離れたところにある場合は、最後の式は、主要な項のみを保持しつつ、二項級数の形で展開することができる。
【0102】
【数28】
【0103】
音源が遠い領域(ρ0>>L)にある場合には、方程式(19)の分母にある振幅項は項ρ0で置き換えることができる。すなわち、
【0104】
【数29】
【0105】
u=cosψとすると、線形アンテナの指向性線図の軸に対して正規化された式は次の通り、
【0106】
【数30】
【0107】
但しinは、|Ω(k,0)|=1を満たす圧力領域に対応している。
【0108】
積分下の指数の初項は空間フーリエ積分を表している。これは、遠くの領域でのアンテナの指向性線図と関連づけられる。第二項は、音源が近くの領域にある場合のアンテナの方向的作用を考慮するのに必要である。この矯正の為の項のおかげで、波の前の部分の湾曲を考慮に入れることができる。したがって、キルヒホッフ・フレネルの回折理論との類比により、上記の式の初項は、(x/ρ0での一次の近似である)フラウンホーファーの区域の類比である。更に、制限されたアンテナのサイズは、無限の長さのアンテナを覆う完全に無反響の仮想スクリーンの効果と解釈することもでき、キルヒホッフの二つの仮説は結果的に尊重されることになる。それゆえこの場合、結果に大きな類似性が観察されることも驚くにはあたらない。この際、M.ブリュノーの著作「音響理論入門」、メーヌ大学、ル・マン、1983年、370頁を参照して、回折の形象は、開放関数の二倍のフーリエ変換となることを確認することになる回折理論に倣うと、アンテナの指向性の形象は、励振関数の空間フーリエ変換であるということになる。このフーリエ変換は、アンテナが直線の場合は、一次元的なものであり、アンテナが平面なら二重のものになり、アンテナが三次元なら三重のものになる。アンテナの出力の一般式は、次の通りである。
【0109】
【数31】
【0110】
式(23)の積分下の指数の第二項は、(x/ρ0での一次の近似である)フレネル区域を特徴づけるものである。振動するピストンの放射と全く同様に、(音響圧力の)励振関数がu=0につき、アンテナに沿って一定のままなら、フレネル積分の力は、コルニュの螺旋を援用して表現することができる。但し、M.ブリュノーの著作「音響理論入門」、メーヌ大学、ル・マン、1983年、301頁を参照。
【0111】
アンテナの開きLに対して、距離ρ0が十分に大きければ、式(23)は、位相の二乗項は積分に余り影響しないことを示している。遠くの領域だけの場合を考慮に入れることが予想できる最小距離ρ0は、その上また、u=0の時、このコルニュの螺旋を用いて得られる。B.スタインベルグの著作「口径及びアレイのシステム設計の原理」、ワイリー−インター サイエンスパブリケーション、ジョン・ワイリー&サンズ、ニューヨーク、1976年、参照。この著作は、ρ0=L2/2λについて、第二級の項が欠けると1dBを下回るエラーが生じることを示している。遠くの領域を近くの領域から隔てる為に意図的にとり上げられた値は、その場合、以下のようにして与えられる。
ρ0>L2/2λ (25)
【0112】
重要なことは、遠くの領域と近くの領域との間の限度はアンテナのサイズに直接関係しており、その長さの二乗とともに大きくなる。
【0113】
例えとして、長さL=40cmのアンテナで、ρ0=3mであれば、条件(25)はf<6300Hzを前提にする。その結果、本発明による方法を実施する為にとり上げられる音声の周波数帯域を考慮に入れると、そのような距離に位置する話者は、40cmのアンテナの方向的作用に関しては、遠くの領域にいるものと見なされることになる。それゆえ、そのようなアンテナの指向性線図は、空間フーリエ積分により理性的に求められる。
【0114】
仮説(25)の下では、正規化された方程式で得られる遠くの領域のアンテナの複素指向性関数Ω(u/λ)は、アンテナに沿って均質な励振Iの場合には、つぎのようになる。
【0115】
【数32】
【0116】
超指向性のアンテナ
超指向性のアンテナとは、センサ間の音響行程に関係する遅れに対応する位相を上回るセンサの位相において再設定が行われるアンテナのことである。このような方法は、アンテナを不可視の領域に向させるに戻るが、それは、主要なローブの極大値がもはや−1≦u≦1の間隔の外にあるからである。
【0117】
センサの間の間隔が一定の「エンドファイア」のアンテナについては、各センサに生じる遅れは、次のような形で表される。
【0118】
【数33】
【0119】
但し、ηは「オーバーステアリング」の量を決定する正の定数である。この手続は、音速cを下回る伝播速度c/(1+η)に対応する遅れを再び生じさせることになる。このような照準は、より高い相対的水準の二次的ローブを犠牲に、主要なローブを更に狭くすることができることを明確にする。更に、オーバーステアリングでも、次のようなより厳格なdについての条件を導く、より低い周波数で、エイリアシングのローブを生じさせることがある。
【0120】
【数34】
【0121】
有効なエネルギの一部は、可視的な部分にある為、感度が低くなり、非干渉性ノイズの減少は劣化することになる。結局、実際には、理論上の最適性能の実現は、そのような合成が(センサの差異などの)システムのちょっとした不完全さに大いに影響される為である。振幅や信号の位相における誤差は、センサ相互では相関関係がないのが一般的であり、非干渉性ノイズと同様に、経路の形成に影響する。それゆえ、非干渉性ノイズの減少の評価は、そのような合成の実現可能性を占う上での良い指標となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、本発明による方法の第一の実施法を示すフローチャートである。
【図2】
図2は、極座標での座標系である。
【図3】
図3は、本発明による方法の第二の実施法を示すフローチャートである。
【図4】
図4は、本発明による方法の実施の為に音響システムとともに動作するエコー減少装置の個別的実施例の概略図である。
【図5】
図5は、本発明による方法の実施一覧である。
Claims (8)
- アンテナ(10)を形成するマルチ・センサ録音装置、そして音再生装置(13)とともに利用し、センサ(11m)の出力信号に複素重み付けw(f)を受けさせる音響減少方法であり、但し、前記重み付けw(f)は、低周波数で、指向性係数Fd(f)に近い領域における制限付き極大化(3)により計算されるものであり、次のように表され、
CH(f)w(f)=s(f) (3)
前記方法は、前記重み付けw(f)が更に、音響チャネルの複素伝達関数を自然な位置での測定により決定される第二の制約を満たす(2)ように計算されることを特徴とし、該音響チャネルは音再生装置のスピーカの入力と録音装置を構成するセンサの出力によって画定され、この第二の制約の式は次の通りであり、
MH(f)w(f)=0 (4)
式(1)から(4)において、
Hは、周波数fで計算される、偏角ψ及びθが規定する方向でアンテナの中心からの距離がrのところに位置する点音源とそのアンテナの各センサとの間の自由領域での伝達関数の複素値を成分とする伝播ベクトルであり、
Dr(f)は、距離rのところにあるアンテナの空間分離特性を特徴づける指向性マトリックスであり、
W(f,ψ,θ)は、空間重み付けであり、スピーカの方向からくる波を更に大きく減衰させて、スピーカとの直接のカップリングの減少を可能にし、
w(f)は、周波数fでのセンサの出力信号の複素重み付けベクトルであり、
C(f)は、「制約の」マトリックスであり、理論的な伝播ベクトルは、自由領域タイプの伝播モデルに基づいて計算されるか、あるいは、自由領域を条件として測定され、
s(f)は、与えられた方向において望まれている複素ゲインであり、
M(f)は、カップリング制約のマトリックスであり、その中に含まれる複素伝達関数は、音響チャネルから自然な位置で測定され、それらの音響チャネルを画定するのは、音再生装置のスピーカの入力と録音装置を構成するセンサの出力であり、そして、
0はゼロ・ベクトルである、ことを特徴とする音響減少方法。 - 制約(4)を加えるまえに、カップリング音響チャネルのインパルス応答の少なくとも一部について、時間的重み付けを加え、それによって、複素重み付けベクトルwの決定において、直接及び/または半直接のカップリングに対応するこれらの部分の影響を優遇する、請求項1から3のいずれか一つに記載の音響減少方法。
- カップリング音響チャネルの特性の測定は、音再生装置(13)の、最長のシーケンスをスピーカの入力に適用する手段で実現され、その音再生装置は、録音装置(8)を始動させる際に前記録音装置(8)の近くに位置する、請求項1から3のいずれか一つに記載の音響減少方法。
- ・アンテナ(10)を形成するマルチ・センサの録音装置(8)と、
・各周波数fにおける第一の制約の式が以下のようになっている、第一の制約の計算手段(21)、
CH(f)w(f)=s(f) (3)
・各周波数fにおける第二の制約の式が以下のようになっている、第二の制約の計算手段(14−21)、
MH(f)w(f)=0 (4)
・以下の方程式の計算手段(22)、
w(f)は、周波数fによるセンサの出力信号の複素重み付けベクトルであり、
C(f)は、所謂「制約の」マトリックスであり、その中に理論的な伝播ベクトルを含み、それは自由領域タイプの伝播モデルに基づいて計算されるか、あるいは、自由領域を条件として測定され、
s(f)は、与えられた方向において望まれている複素ゲインであり、
M(f)は、カップリング制約のマトリックスであり、その中に含まれる複素伝達関数は、音響チャネルから自然な位置で測定され、それらの音響チャネルの区分を画定するのは、音再生装置のスピーカの入力と録音装置を構成するセンサの出力であり、
0はゼロ・ベクトルであり、
Hは、周波数fで計算される、偏角ψ及びθが規定する方向でアンテナの中心からの距離がrのところに位置する点音源とそのアンテナの各センサとの間の自由領域での伝達関数の複素値を成分とする伝播ベクトルであり、
Dr(f)は、距離rのところにあるアンテナの空間分離特性を特徴づける指向性マトリックスであり、
W(f,ψ,θ)は、スピーカの方向からくる波を更に大きく減衰させて、スピーカとの直接のカップリングの減少を可能にする空間重み付けである、請求項1から5のいずれか一つの方法を実施する為の、音再生装置(13)と動作することを目的とした、音響減少装置(6)。
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