JP2004510748A - プールヒト免疫グロブリン及び制酸剤の経口投与による若年性関節リウマチの処置 - Google Patents
プールヒト免疫グロブリン及び制酸剤の経口投与による若年性関節リウマチの処置 Download PDFInfo
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Abstract
Description
(発明の分野)
本発明は若年性関節リウマチの処置に関する。より具体的には、本発明はプール(pooled)ヒト免疫グロブリンを場合によっては制酸剤と組み合わせて含んでなる医薬用組成物を経口投与することによる若年性関節リウマチの処置に関する。
【0002】
(発明の背景)
若年性関節リウマチ(JRA)は17歳以下の1000人に1人の子供を襲い、糖尿病、嚢胞性繊維症及び多くのその他の慢性症状よりも一般的である。Emery、Adolesc.Med.9(1):45−48(1998)。JRAは5から15歳の年齢で最も一般的である。JRAは特定の骨及び可動性関節(滑膜)の間の空間を区画する結合組織膜の慢性炎症により特徴づけられる。
【0003】
JRAの臨床的な兆候にはスパイク様高熱(high spiking)、日常的な発熱、発疹、関節炎、脾腫及び体重減少などがある。JRAは男性及び女性に同等の頻度で発生する。
【0004】
若年性関節リウマチの免疫学的関連性、臨床過程、及び機能上の結果は成人発症の関節リウマチとは全く異なっている。「小児リウマチ性疾患」、Primer on the Rheumatic Diseases、第11編(1997)(出展明示により本明細書の一部とする)。
【0005】
若年性関節リウマチは子供に最も一般的であり、少なくとも5つの異なる疾患の形態を含む。若年性関節リウマチの1つの形態であるRf陽性多関節性(すなわち、4個以上の関節が関与する)若年性関節リウマチは成人の関節リウマチに対していくつかの類似点を有する。しかしながら、若年性関節リウマチの全ケースの約40%のみが多関節性であり、これらのうちの約5から10%のみがリウマトイド因子(Rf)陽性である。従って、若年性関節リウマチの患者の2から4%のみがRf陽性多関節性若年性関節リウマチを患う。JRAの別の形態はRf陰性多関節性若年性関節リウマチである。JRAの第3の形態は抗核抗体陽性である。JRAの第4の形態はHLA B27陽性であり、第5の形態は全身性JRAである。JRAの発症は緩徐または非常に急速であり得る。急速な発症JRAをスティル病と称する。
【0006】
スティル病(全身発症JRAとしても公知である)は主要な兆候として、関節炎に加えて発熱、発疹、白血球増加症、リンパ節症、胸膜心膜炎、咽頭炎及び肝脾肥大症が一般的である全身性の特徴を有する若年性関節リウマチの亜集団である。スティル病の典型的な徴候には極度な疲労、104°Fまで上昇し急速に正常レベルに戻る発熱の起伏、典型的にはかゆくない、わずかにサーモンピンクの皮膚の発疹などがある。リンパ腺の腫脹、脾臓及び肝臓の肥大、咽頭炎、関節痛及び多くの関節に関与する腫脹(多関節性関節炎)もまた一般的である。スティル病はJRAの全ケースの10から20%を占める。米国では25000から50000人の子供がスティル病を患い、成人では極めて稀である。
【0007】
若年性関節炎の別の型には狼瘡、皮膚筋炎、血管炎及び強皮症及び脊椎関節症などがある。
【0008】
若年性関節リウマチの有効な処置には一般的に薬物療法、運動、安静及び適切な関節保護治療の組み合わせが一般に用いられている。特定の患者の治療は疾患及び関与する関節の重篤度に依存する。アスピリンは痛みに、及び炎症を低減するために広く用いられている。中程度から進行したケースには、アスピリンに加えて、非ステロイド抗炎症剤、コルチコステロイド、金塩、抗マラリア剤及び全身性免疫抑制剤が広く用いられている。しかしながら、ステロイド及び免疫抑制剤の使用は、毒性並びに潜在的致死症状、例えば感染症及び悪性腫瘍に対する敏感性の双方に関して有意な危険性及び副作用を有する。従って、前記した処置に随伴される潜在的致死副作用を伴わない若年性関節リウマチを処置する方法が希求される。
【0009】
若年性関節リウマチが一例である自己免疫疾患の処置のための1つの研究法は、疾患に関与する特定の(複数の)自己抗原に対する自己免疫疾患を患う患者の寛容化(tolerization)である。Winerら、Science 259:1321−1324(1993)(出展明示により本明細書の一部とする)では、多発性硬化症の患者に2つの多発性硬化症自己抗原を含有するウシミエリンタンパク質を経口投与した。Trenthamら、Science 261:1727−1730(1993)(出展明示により本明細書の一部とする)では、関節リウマチの患者に推定自己抗原であるコラーゲンを経口投与した。寛容化の1つの欠点は寛容を誘導すべき正確な自己抗原の同定である。寛容化の別の欠点は自己免疫疾患の発症を誘導する可能性である。(Blanasら、Int Rev.Immunol,18(3):217−228(1999)参照。)
現在用いられている不成功及び不都合な様相を鑑み、若年性自己免疫性関節リウマチを処置するための有効な方法及び組成物を開発する必要性が引き続き存在している。
【0010】
(発明の要約)
本発明は、患者の関節リウマチ症状に臨床上観察可能な改善を提供するのに十分な量のプールヒト免疫グロブリンを経口投与することにより若年性関節リウマチの患者を処置するための方法及び組成物を指示する。本発明はまた制酸剤と組み合わせたプールヒト免疫グロブリンの経口投与をも企図する。本発明はプールヒト免疫グロブリンの若年性関節リウマチの患者への経口投与の結果、患者の関節リウマチの症状に著明な臨床上の改善が得られる驚くべき発見に基づいている。本発明はまた、若年性関節リウマチの患者を処置するために経口投与されたプールヒト免疫グロブリンに起因する毒性の影響はないという発見にも基づいている。
【0011】
(発明の詳細な説明)
本発明は若年性関節リウマチの患者を処置する方法に関する。これはプールヒト免疫グロブリンを場合によっては制酸剤と組み合わせて経口投与することにより達成される。プールヒト免疫グロブリンは、患者の関節リウマチ症状に随伴される徴候において臨床上観察可能な改善を提供するのに十分な量で提供される。免疫グロブリンはヒトの胃の酸性環境に導入されると不活性化され得る。かかる不活性化を緩和し、及び/または治療効果を増大させるために、本発明の方法及び組成物において用いられるプールヒト免疫グロブリンは、場合によって制酸剤と組み合わせて経口投与される。本発明はまたプールヒト免疫グロブリンを含んでなる医薬用組成物をも企図する。
【0012】
特定のメカニズムに縛られることは望まないが、酸ブロッカーが消化管の酸性特性を中和し、それにより胃の消化から免疫グロブリンを遮蔽することができる。また別に、酸ブロッカー及び免疫グロブリンは、炎症メディエーターまたは免疫媒介炎症を抑制することにより関節炎の徴候を協働的に改善することができる。
【0013】
本発明の好ましい態様はプールヒト免疫グロブリン及び医薬適合性の担体を含んでなる医薬用組成物を提供する。本発明の別の好ましい態様はプールヒト免疫グロブリン、制酸剤及び医薬適合性の担体を含んでなる医薬用組成物を提供する。さらに別の好ましい実施形態では、組成物はサンドグロブリン(登録商標)、シメチジン及び医薬適合性の担体を含んでなる。
【0014】
本明細書で用いる「医薬適合性の担体」にはいずれかの及び全ての溶媒、分散媒質、コーティング剤、抗細菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤等が含まれる。医薬的に活性な物質のためのかかる媒質及び作用物質の使用は技術分野で公知である。いずれかの慣用される媒質または作用物質が活性成分と不適合である場合を除いて、治療用組成物におけるその使用が企図される。
【0015】
本明細書で用いる「プールヒト免疫グロブリン」とは数千人のヒトドナーの血漿から得られたポリクローナル抗体を含有する免疫グロブリン組成物を意味する。ポリクローナル抗体はIgG、IgA、IgM等、またはそのフラグメントなどを含む。好ましいポリクローナル抗体はIgGである。好ましい免疫グロブリン組成物は少なくとも約90%のIgGポリクローナル抗体及び微量のその他のポリクローナル抗体、例えばIgA及びIgMを含有する。本発明に従って有用なプールヒト免疫グロブリン組成物の実例は、限定はされないがサンドグロブリン(登録商標)、ガンマガード(登録商標)、ガミムネ(登録商標)及びガンマー(登録商標)などを含む。本発明に従っていずれかのプールヒト免疫グロブリンを使用することができる。
【0016】
本明細書で用いる「制酸剤」とは、H2−ブロッカーもしくは酸ブロッカーまたは消化管の酸性含量を中和及び/または著明に低減するその他の酸中和剤を意味する。本発明の教示に従って有用である好ましい制酸剤はシメチジンである。
【0017】
本明細書で用いる「臨床上観察可能な改善」とは、限定はされないが、(複数の)関節圧痛、(複数の)関節腫脹、及びこわばりの評価など、患者の関節リウマチ症状に随伴される徴候の著明な主観的改善及び/または客観的改善を意味する。徴候の著明な主観的改善とは患者の自己評価またはこわばり、関節圧痛、腫脹等の医師の評価を意味する。例えば、関節炎の関節のたとえ1つででも腫脹または圧痛の観察可能な差異が重要である。以前から患っている関節の腫脹または圧痛の不在が最も重要である。徴候の著明な客観的改善は骨嚢胞の治癒により特徴づけられ、X線撮影法により確認され、赤血球沈降速度(ESR)が正常レベルに相対して減少する(すなわち、本発明に従って、約20mm/時間未満のESRが正常であると考えられる)。
【0018】
本明細書で用いる「処置」には若年性関節リウマチの発症(すなわち臨床症状発現)の後の臨床徴候を改善、抑制、軽減または排除するためのいずれかの方法が含まれる。
【0019】
本明細書で用いる「経口」には経口、腸内または胃内投与が含まれる。
【0020】
本明細書で用いる「組み合わせて」とは制酸剤の経口投与の前、実質的に同時または後を意味する。もちろん、最初に投与した物質の適切な効果が消滅してしまうほどの時間間隔で免疫グロブリン組成物を制酸剤の投与に先行または後続させることはできない。従って、通常免疫グロブリン組成物を治療上有効な時間内で投与すべきである。本明細書で用いる「治療上有効な時間」とは制酸剤または免疫グロブリンが患者の体内で依然活性である時間枠を意味する。
【0021】
好ましい実施形態では、Cohnら、J.Am.Chem.Soc.68:459−475(1946)(出展明示により本明細書の一部とする)の方法に従って、数千人のボランティアの血漿の冷アルコール(例えばエタノール)分画によりプールヒト免疫グロブリンを製造する。
【0022】
別の好ましい実施形態では、プールヒト免疫グロブリンをノバルティス・ファーマシューティカルズから購入し、これは静注用免疫グロブリン(ヒト)サンドグロブリン(登録商標)の名の下で販売されている。サンドグロブリン(登録商標)はドナー集団において定期的に生じる全てのIgG抗体を濃縮形態で含有する、滅菌され、高度に精製された多価抗体生成物である。この免疫グロブリン調製物は16000人以上のボランティアドナーの血漿からの冷アルコール分画により製造される。微量のペプシンの存在下、酸pHで処置することにより静注用に適したサンドグロブリン(登録商標)(IGIV)が作製される。調製物は少なくとも96%のIgGを、pHが6.6±0.2である中性非緩衝希釈剤と共に含有する。たいていの免疫グロブリンは単量体(7S)IgGであり;残りは二量体IgG及び少量の重合体IgG、微量のIgA及びIgM、並びに免疫グロブリンフラグメントから成る。Romer J、Spath PJ:「免疫グロブリン調製物の分子組成及び関連するその補体活性」、Nydegger UE(編):Immunohemotherapy:A Guide to Immunoglobulin Prophylaxis and Therapy、ロンドン、アカデミック・プレス、1981年、123頁。IgGサブクラスの分布は正常な血清のものに対応する。最終的な凍結乾燥容器単位を、タンパク質1、3または6gとスクロース1.67g及び、タンパク質のグラムあたり20mg未満のNaClと共に含有するように調製する。凍結乾燥した調製物には保存剤が全く含まれず、滅菌水と共に元に戻すことができる。
【0023】
さらに別の好ましい実施形態では、プールヒト免疫グロブリンをバクスター ヘルスケア コーポレーションから購入し、これは静注用免疫グロブリン(ヒト)ガンマガード(登録商標)の名の下で販売されている。ガンマガード(登録商標)はヒト血漿の多くのプールから誘導された高度に精製された免疫グロブリンG(IgG)の滅菌、凍結乾燥調製物である。ガンマガード(登録商標)は冷エタノール分画により製造される。ガンマガード(登録商標)は少なくとも約90%のIgG並びに微量のIgA及びIgMを含有する。5%に再構築されたガンマガード(登録商標)は生理学的濃度の塩化ナトリウム(およそ8.5mg/ml)を含有し、pH6.8±0.4である。IgGサブクラスの分布は正常血漿のものに類似している。ガンマガード(登録商標)は2.5、5または10gの単回使用用のボトルで凍結乾燥されて供給される。ガンマガード(登録商標)の各々のボトルには再構築用に適量の滅菌水が供給される。
【0024】
さらに別の好ましい実施形態では、プールヒト免疫グロブリンをバイエル コーポレーションから購入し、これはガミムネ(登録商標)の名の下で販売されている。ガミムネ(登録商標)は高度に精製されたヒトタンパク質の滅菌溶液である。ガミムネ(登録商標)は0.16から0.24Mのグリシン中9から11%のタンパク質を含有する。少なくとも約90%のタンパク質がIgG単量体である。ガミムネ(登録商標)はまた微量のIgA及びIgMをも含有する。IgGサブクラスの分布は正常なヒト血清で見出されるものに類似している。ガミムネ(登録商標)はガンマガード(登録商標)及びサンドグロブリン(登録商標)と同様、数千人のボランティアから得られたヒト血漿のプールの冷エタノール分画により作製される。
【0025】
さらに好ましい実施形態では、プールヒト免疫グロブリンをセンテオン、L.L.C.から購入し、これは静注用免疫グロブリン(ヒト)ガンマー(登録商標)の名の下で販売されている。ガンマー(登録商標)は免疫グロブリン、主に免疫グロブリンG(IgG)の滅菌溶液であり、16.5±15%のタンパク質を含有する。ガンマー(登録商標)は少なくとも1000人のドナープールされた血漿の冷アルコール分画により調製される。ガンマー(登録商標)のpHは6.8±0.4である。ガンマー(登録商標)はまたおよそ0.45%の塩化ナトリウム、チメロサールを0.01%の濃度で、及び0.3Mグリシンを含有する。前記したプールヒト免疫グロブリン調製物は、本発明に従って有用なプールヒト主に免疫グロブリンG調製物のクラスの単なる例示である。
【0026】
処置された患者に導入された免疫グロブリンの有効性を増強し、臨床上観察可能な改善を提供するために、制酸剤をプール免疫グロブリンと組み合わせて投与する。好ましい実施形態では、免疫グロブリン組成物及び制酸剤を単一の医薬用組成物で同時に投与する。別の好ましい実施形態では、制酸剤の投与後の治療上有効な時間に免疫グロブリン組成物を投与する。好ましくは、制酸剤は水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウム、例えば市販により入手可能なマアロックス(登録商標)、ミランタ(登録商標)またはタガメット(登録商標)である。最も好ましくは、制酸剤はH2ブロッカー、例えばシメチジンまたはラニチジンである。
【0027】
免疫グロブリンと組み合わせて投与される制酸剤の投与量は使用する特定のH2ブロッカーに依存する。制酸剤がミランタ(登録商標)である場合、15mlから30mlの間であるのが好ましい。最も好ましくは、ミランタ(登録商標)の投与量は15mlである。シメチジンH2ブロッカーを使用する場合、好ましい投与量は1日あたり400から800mgの間である。
【0028】
患者に投与されるプールヒト免疫グロブリンの投与量は患者の関節炎の症状の重篤度及びその他の臨床因子に依存して変化し得る。投与量はできるだけ少量であるが、依然臨床上観察可能な結果が提供されるのが好ましい。最も好ましい投与量は患者の関節炎の症状の緩和という観点で最大の効果を有する投与量である。免疫グロブリン組成物の投与量は1日あたり100mgほどの少量から1日あたり10gほどの多量までの範囲でよい。1日あたりプールヒト免疫グロブリン300mgの投与量は関節リウマチの患者の症状に著明な改善を招き、有害な副作用を全くまたはほとんど引き起こさないことが見出された。従って、1日あたり300mgが好ましい投与量である。本発明はまた3mg/kgから約100mg/kgの範囲の投与量をも企図する。
【0029】
選択された用量を漸増的に投与することができるが、単回投与で投与することもできる。さらに、免疫グロブリンの用量を1日のうちのいつ投与してもよいが、就寝時に投与するのが好ましい。例えば患者の痛み、こわばり等の患者の自己評価により患者の関節炎の症状を決定できる。患者の関節炎の症状を決定するための別の方法は、医師が患者の関節の柔軟性、腫脹及び嚢胞成長を試験することである。
【0030】
投与の平易さ及び投与量の均一性のためにプールヒト免疫グロブリンを投与単位形態で処方するのがとりわけ有利である。本明細書で用いる投与単位形態とは処置されるべき関節リウマチの対象への単回投与に適した物理的に分離された単位を意味し、各々の単位は、望ましい治療効果を生み出すために制酸剤を伴う、または伴わない、予備決定された量のプールヒト免疫グロブリンを望ましい医薬用担体に随伴して含有する。本発明の新規投与単位形態に関する明細は(a)プールヒト免疫グロブリンの独特な特性、制酸剤及び達成されるべき特定の治療効果、並びに(b)本明細書にて詳細に開示される若年性関節リウマチの処置のためのかかるプールヒト免疫グロブリンを調剤する技術に固有の制限により指示され、直接これらに依存する。
【0031】
本明細書にて前記したような投与単位形態で適当な医薬適合性の担体と共に、有効量で便利で有効な投与のために、制酸剤を伴うまたは伴わないプールヒト免疫グロブリンを調剤する。例えば単位投与形態は約100mgから約10gの範囲の量のプールヒト免疫グロブリン及び、所望により、約400から800mgの範囲の量の制酸剤を含有することができる。
【0032】
制酸剤と組み合わせた免疫グロブリンの投与からの臨床上観察可能な結果はわずか2週間で観察できる。しかしながら、測定可能な利益を得るために、6週まで行うことができる。一度臨床上の改善が観察されると、処置の最初の数週間に用いた初期投与レベルを減少させることができる。最初の数週間の後に、90%までの用量レベルの低減を行うことができる。
【0033】
本発明に従って経口処置方方法を用いて、全身発現、少関節及び多関節型並びにその他の非常に関連性のある自己免疫疾患、例えば狼瘡、皮膚筋炎、血管炎及び硬皮症及び脊椎関節症を含む若年性関節リウマチを処置することができる。例えば本発明による脊椎関節症の処置には若年性関節リウマチと同一用量及び同一処置プロトコルを用いることができる。
【0034】
本発明による患者の処置の証明は以下の非限定的な実施例に従って提示される。
【0035】
(実施例1)
Open−Label Studyを実施して経口ガンマグロブリンの安全性及び有効性を評価した。重篤で間断のない若年性関節リウマチを呈し、慣用される治療に反応しない6歳及び10歳半の2人の患者が試験に選ばれた。患者は処方されていた医療計画を中止し、これを凍結乾燥ガンマグロブリン300mg(滅菌水に溶解している)の1日1回、6週間の投与と置き換えた。経口ガンマグロブリンの投与の結果として毒性の証拠はなかった。驚くべきことに、双方の患者は以下に詳細に記載するような著明な改善を示した。
【0036】
患者1
10歳半の男児は6歳の時に、スパイク型高熱、間欠性発疹、多関節性関節炎、疲労、体重減少、及びESR 117mm/時を特徴とする全身型発症JRAが進行していた。患者は種々の薬物療法及び薬物療法の組み合わせを4年間受けた。これにはパルス・メドロール 250mg/日、期間延長した経口プレドニゾロン 20mg/日、メソトレキセート 22.5mg/週、シクロスポリン 50mg/日、イブプロフェン 1200mg/日、インドメタシン 25mg/日及びエンブレル15mg 週2回が含まれる。疾患の活性の十分な調節は達成されなかった。最適な治療にもかかわらず、患者は発熱の再発及び弱まることのない多関節性関節炎を経験した。10歳のとき、患者は効果の欠如のためにメソトレキセートを中止した。患者はまたエンブレル(登録商標)を投与されたが、エンブレルに対しても同様に非反応性であった。このとき患者はガンマグロブリン300mgを就寝時に1日1回経口投与された。3から4週以内に患者は快適さを経験し;患者の発熱及び関節炎が鎮まった。経口ガンマグロブリンの投与の6週後、少年は彼の理学療法士の診察を受けた。特に、患者は松葉杖または歩行器なしに歩くことができ、治療の3か月後には患者は走ったり、ジャンプしたりすることができた;彼は疾患の発症以来、補助なしに歩行することができなかった。経口ガンマグロブリンの投与を受ける前のESRが100mm/時より大であったのに比較して、このときの患者のESRは20mm/時であった。治療の6か月後、患者は緩解期にある。経口ガンマグロブリンの投与の後、X線を撮り、複数の大きな骨嚢胞の完全な治癒が示された。患者はいずれの副作用もなく、経口ガンマグロブリン300mgの投与を毎日続ける。
【0037】
患者2
6歳の少女は1歳半のときに多関節発症JRAが進行した。4年後、彼女は複数の薬物療法の処置を受け、彼女の現在の治療にはプレドニゾン、メソトレキセート、シクロスポリン、及びエンブレル(登録商標)が含まれる。この積極的な治療にもかかわらず、患者は治療に抵抗し、芳しい臨床応答を示さなかった。患者は2階の寝室まで運んでもらわなければならず、助けなしに階段を降りることができなかった。患者の痛みは非常に重篤で、彼女は寝返りのときの重篤な痛みのために眠ることができなかった。
【0038】
彼女は6歳のときに就寝時の経口ガンマグロブリン 300mg投与を開始した。治療の1週間以内に患者は母親に良くなり始めたようだと告げた。治療の2週間後、彼女は4年間で初めて夜中眠り始めた。患者は経口ガンマグロブリンが彼女の改善の原因であり、夜の薬物療法を懇願した。治療の3週後、患者のくるぶしの腫脹の劇的な改善が患者の母親により観察され、少女は4年間で初めて、助けなしに階段を昇降できた。
【0039】
子供はあまり痛まずにうまく歩行でき、彼女の遊びはより活発になった。患者の医師は彼女を評価し、たった3週で少なくとも50%の臨床改善を証明した。患者は別の臨床試験に入るように計画されていたので、経口ガンマグロブリンを中止した。経口ガンマグロブリンの中止後、2週に再度彼女を試験し、同一の医師が関節炎の20%の再燃を証明した。患者は経口ガンマグロブリンからなんら副作用を経験しなかった。
Claims (18)
- 患者の若年性関節リウマチを処置する方法であって、該患者の関節リウマチの臨床上観察可能な改善を提供するのに十分な量のプールヒト免疫グロブリンを含んでなる免疫グロブリン組成物を該患者に経口投与することからなる方法。
- さらに制酸剤を含んでなる請求項1に記載の方法。
- 該免疫グロブリン組成物がプールヒトポリクローナルIgG抗体を含んでなる請求項1に記載の方法。
- 該免疫グロブリン組成物がサンドグロブリン(登録商標)、ガンマガード(登録商標)またはガミムネ(登録商標)からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
- 該制酸剤が水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シメチジンまたはラニチジンからなる群から選択される請求項2に記載の方法。
- 該患者に投与される免疫グロブリン組成物の量が1日あたり100mgから10gである請求項1に記載の方法。
- 該患者に投与される免疫グロブリン組成物の量が1日あたり約300mgである請求項5に記載の方法。
- 該患者に投与される制酸剤の量が1日あたり200mgから800mgである請求項2に記載の方法。
- 該患者に投与される制酸剤の量が1日あたり約400mgである請求項8に記載の方法。
- 該免疫グロブリン組成物が単位投与形態で投与される請求項1に記載の方法。
- 該制酸剤が単位投与形態で投与される請求項2に記載の方法。
- 該免疫グロブリン組成物が粉末形態である請求項1に記載の方法。
- 該免疫グロブリン組成物が医薬適合性の担体中に分散されている請求項1に記載の方法。
- 該免疫グロブリン組成物及び該制酸剤が該患者に同時に投与される請求項2に記載の方法。
- 該制酸剤の投与の後、治療上有効な時間に該免疫グロブリン組成物を投与する請求項2に記載の方法。
- プールヒト免疫グロブリン、制酸剤及び医薬適合性の担体を含んでなる医薬用組成物。
- 該プールヒト免疫グロブリンがサンドグロブリン(登録商標)である請求項1に記載の医薬用組成物。
- 該制酸剤がシメチジンである請求項16に記載の医薬用組成物。
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