JP2004510465A - 軽度の痔疾患の治療における肛門クッションを整復する装置 - Google Patents

軽度の痔疾患の治療における肛門クッションを整復する装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、痔を治療するための新しい装置および方法に関与する。本装置は、実質的に円筒形の形状を有し、少なくとも1つの部分で約5mmから約30mmの間の直径を有する。本装置は、少なくとも1つの変位した肛門クッションに対して位置決めされるように肛門管内に挿入され、変位した肛門クッションの整復を達成するのに十分な時間の間、そこに維持される。

Description

【0001】
(発明の分野)
本発明の分野は、主に痔疾患を治療するための医療装置および方法に関し、具体的には、痔疾患に関連して変位した肛門クッションを整復するための医療装置および方法に関する。
【0002】
(発明の背景)
直腸腺粘膜によって且つ/または変性した肛門扁平上皮によって覆われた血管が、拡張し塊として肛門管内に突出する状態は、一般に、痔と称される。痔は、50歳までに世界の人口の少なくとも半数に存在すると考えられ、人間に知られたもっとも古い病気の1つであると言われている。事実、最近では、痔は実際に人体構造の正常な特徴であると認識されている。痔は、現在では、粘膜に覆われた動静脈パッドまたはクッションであり、ちょうど櫛帯上の肛門管の腔内に通常突出するものであるとみなされている。年を取るにつれて、これらの肛門クッションの脈管叢を支持し固定する結合組織系が劣化し、痔が粘膜壁内に肛門管の腔へ下に徐々に降下する。高齢者では排便後に頻繁に発生することであるが、支持および固定が不十分な結合組織を備えた降下する痔が櫛帯を通りヒルトン線を越えるときに、動静脈叢が、内括約筋の狭窄する下端によって捕らえられることがある。これが起こる場合には、静脈血液は体循環内に逃げることができないため、叢の静脈は拡張する。脈管肛門クッションは、だんだん鬱血し、浮腫性になり、肥大性し、ついには、排便後容易にその正常な位置へ戻れなくなる。これが、痔疾患の基本的な病因である。
【0003】
一般に、痔には2種類あり、すなわち、内痔核および外痔核である。内痔核は、櫛状線のすぐ上の上部(内側)痔叢に端を発する。対照的に、外痔核は、下部(外側)痔叢の静脈瘤様腫脹であり、櫛状線の下にある。しかし、内側痔叢と外側痔叢との連通のため、大半の患者では内痔核と外痔核との両方を有する。従来、肛門管内に突出する痔は第1度と呼ばれる。排便にともなって脱出するが自然に整復するものは第2度と呼ばれる。手で整復する必要があるものは第3度と呼ばれる。整復できないものは第4度と呼ばれる。
【0004】
少なくとも1つの普通は3つの肛門クッションが、肛門管上の正常な静止位置から肛門管内に降下し正常な位置に引っ込まないときに、痔は「痔疾患」になる。肛門管を囲繞する括約筋によって静脈経路を結果として圧縮することによって、静脈血が体循環に戻るのを防止し、痔静脈の永続的な拡張を引き起こし、そのため症状が明白になり始める。痔疾患の一般的な症状として、たとえば、局所異物刺激感、疼痛および出血が挙げられる。突出する痔の二次細菌感染による表面麋爛、浮腫および慢性炎症も、症状の一般的な原因であり、これは、肛門管の変性した皮膚部分を、いずれの異物刺激原に対して、下部直腸の大便に対してでさえ、非常に敏感にさせる。
【0005】
痔疾患の様々な治療が過去5,000年の間に試みられ、現在までのところ、この状態を治療するために使用される多数の装置がある。多くの装置は、外側肛門外口から突出する痔を肛門管内に押し戻すように設計される。たとえば、Majlessiに付与された米国特許第5,924,423号、Boydに付与された米国特許第4,583,542号およびHudockに付与された米国特許第5,178,627号を参照されたい。装置および方法の大半は、効果がないか、あるいは、一時的に苦痛を軽減するだけであり、肛門クッションを肛門管上のその正常な解剖学的位置へ引っ込ませることには関与しない。他の方法は、侵襲的な治療または手術的な治療に関与するが、これは、手術が予想される苦痛緩和を実現しない可能性があり、望ましくない合併症を発生させる可能性があるため、様々な種類の医療処理が失敗したときのみ考慮される。
【0006】
(発明の開示)
上記問題に留意して、本発明者は、肛門管の構成要素、特に肛門クッションを正常な解剖学的関係を修復し、それによって痔疾患を効果的に治療し結果として症状が減少する局所用装置およびこれを使用する方法を発見した。具体的には、本発明は、実質的に円筒形の形状であり(たとえばロッドまたはチューブ)、実質的に滑らかな外側表面を有する装置に関与する。装置は、肛門管に挿入されて、高い括約筋張力を誘発し、装置と囲繞する括約筋との間に高い圧力を形成し、下方に変位した肛門クッション(単数または複数)を肛門管上のその正常な解剖学的位置へ押し戻すように設計される。装置は、患者の内括約筋の不随意狭窄行為を誘発し、患者の随意骨盤底筋の収縮の逆コンプレッサとして作用する(すなわち、外括約筋の収縮に対抗する)。装置に対して患者によって加えられた随意骨盤収縮は、挿入された逆コンプレッサと内括約筋との間の拡張した粘膜下組織のおよび上皮下組織の静脈経路を崩壊するのに効果的であり、降下した脈管肛門クッションは、櫛帯上の(すなわち肛門管上の)その正常な解剖学的静止位置へ押し上げられる。
【0007】
痔疾患を治療するためのこの括約筋張力誘発装置は、肛門管の粘膜下組織脈管空間と囲繞する括約筋との間の解剖学的生理学的関係の現在の理解に基づいている。この関係の概要は、簡単に下記のように説明される。
【0008】
肛門括約筋は、薄い弾性のあるチューブとしてふるまう。その内側表面で、広く連通する脈管空間があり、これは、肛門管の壁にある正常な痔叢の一部であってもよく、または、肛門クッションの下方に変位した血液経路であってもよい。排便中に脈管肛門クッションが一時的に下方に変位することは、正常な生理的現象である。子供および若年成人では、変位した肛門クッションは、排便後すぐに櫛上のその正常な位置に戻り、肛門管は空で閉じたままである。一般に、血液は、これらの脈管空間から体循環内へ逃げ、肛門括約筋圧力が上がるときに肛門クッションは圧縮される。言い換えると、肛門クッションのサイズは、高括約筋圧力(張力)下で減少し、括約筋圧力が低下すると増大する。括約筋の滑らかな筋を伸ばすために剛性プローブ等の非圧縮性装置があるときのみ、括約筋の張力が高まることができる。括約筋の圧搾行為によって形成することができる張力または圧力は、挿入された装置によって維持される肛門内径に比例する。肛門管が空で患者が静止しているときには、括約筋張力はゼロに近づく。後者の状態下で、肛門クッションの脈管空間は、血液で満たされる傾向があり、クッションは、通常櫛帯上で、大きくなり、したがって肛門コンチネンスを維持する。しかし、痔疾患を患う患者では、下方に変位し拡大した肛門クッションが肛門管から引っ込むことができず、括約筋に対して非圧縮性物体として作用し、これは常に、不随意に高められた括約筋張力を発生させ、したがって、静脈経路をさらに狭窄する。鬱積した静脈経路が、今度は、痔のサイズを大きくし、これがさらに高い括約筋張力へ導く。このようにして痔疾患を患う患者で悪循環が出来上がり、痔のサイズが絶えず増大する。
【0009】
本発明の括約筋張力装置は、肛門管の壁にある鬱積した脈管経路から血液を出すように、張力誘発体と括約筋との間の圧力を増すために、肛門括約筋が圧搾するための非圧縮性プローブとして作用する適切な直径および長さを有するロッド様のまたは円筒形の剛性装置である。括約筋張力下で肛門外口から肛門管まで装置を挿入する行為で、下方に変位した肛門クッションは、櫛帯上のその正常な解剖学的位置へ押し上げられる。適切な時間の後、装置は取り外され、肛門管は空になり再び閉じられる。
【0010】
肛門クッションを櫛帯上のその正常な解剖学的位置へ戻し肛門管に異物(下方に変位して大きくなったクッション)がないようにすることによって、正常な血液循環が回復される。正常な血液循環が修復されたときのみ、自然な局所修復プロセスが痔で発生することができる。修復プロセスは、たとえば、浮腫性流体の吸収、溢出(もしあれば)の組織化、壊死細胞残滓(もしあれば)をきれいにすること、いずれの存在する露出した粘膜表面の再上皮形成、および、新しく形成された膠原線維の付着で瘢痕組織を形成することを含む。第1度、第2度および第3度の痔疾患を患う大半の患者において、肛門クッションはその正常な解剖学的位置にあるままであり、肛門管の静脈叢は、一定時間の間の安静を伴う治療後、崩壊したままである。この治療によって達成される痔疾患の症状除去は、普通、次の排便行為まで維持され、排便行為は、常に、この解剖学的生理学的関係の正常状態を再度破壊する。したがって、可能であれば、患者は、定期的な1日1回の便通を夜に予定し、その後就寝前に治療にしたがうことが好適である。このようにして、正常な肛門管の解剖学的構造が1日24時間の大半で維持され、一方、支持的瘢痕組織が痔に形成されている。痔疾患は、たとえば慢性下痢の患者では、頻繁な便通によって悪化すると知られている。
【0011】
装置が肛門クッションを肛門管上に効果的に動かすために、装置は十分に剛性でなければならず(すなわち、柔らかくなくまたは柔軟ではない)、櫛状線上の肛門クッションに到達するために十分に長くなければならず、逆圧縮用に十分な直径がなければならない。たとえば、装置は、約4cmから約10cmの間の長さであることが好ましく、直径は、肛門管の壁に接触する部分で約5mmから約30mmの間であることが好ましい。容易な挿入を促進するために、装置は、円錐形状の頂部または先端を有することが好ましい。
【0012】
好適な実施形態において、装置は底部または後端に停止部分を含み、これが肛門管内に挿入される程度を制御する。
【0013】
別の実施形態において、装置は、潤滑剤および/または薬剤を含む中空部分と、中空部分に連通する開口を備えた実質的に円錐形状である頂端と、やはり中空部分に連通する開口を備えた底端と、底端の開口を通って中空部分に挿入可能な注入器具と、を有する。このようにして、装置は注射器に類似して作動し、装置が肛門管内に挿入されているときに潤滑剤および/または薬剤は注入器具によって頂端の開口を通って肛門管内に注入される。
【0014】
本発明は、少なくとも1つの肛門クッションが膨張し、肛門管上のその正常な解剖学的位置から変位し、少なくとも部分的に肛門管内に下降する痔疾患を治療するための新しい方法も必然的に伴う。本方法は、上述の装置の1つを肛門管内に挿入し、そのため少なくとも1つの肛門クッションを肛門管上へ押してその正常な解剖学的位置(すなわち肛門管上のその静止位置)内へ戻すステップを含む。装置は、内括約筋の不随意狭窄を誘発し、一方、随意外括約筋の収縮行為用の逆コンプレッサとして作用する。挿入は十分な時間の間、維持されなければならず、そのため、鬱血した粘膜下組織脈管経路内の血液が逃げるのに(たとえば、肛門管の壁にある鬱積した血液経路が崩壊する)十分なほど長く内括約筋および外括約筋が上げられ、膨張は結果として少なくとも1つの肛門クッションで減少する。通常、約5分から約60分の間が十分な時間であり、大半の患者には25分から35分の間が好ましい。装置は次いで肛門管から取り外され、治療は、数時間の安静を伴うことが好ましく、たとえば、一晩ベッドで睡眠を取る。ひとたび膨張が減少すると、肛門クッション(単数または複数)は通常、肛門管上のその比較的正常な解剖学的位置にあるが、痔の下方変位は次の排便行為または緊張の間に再度発生する可能性がある。より十分にまたは完璧に症状を取り除くために、毎日繰り返して治療する必要がある。
【0015】
別の実施形態において、本方法は、実質的に円筒形の形状および実質的に滑らかな表面を有する装置を肛門管内に挿入し、そのため、装置は、少なくとも1つの(好ましくは3つの)肛門クッションを肛門管上にその正常な解剖学的位置内へ押すことを含む。この実施形態の装置は、潤滑剤および/または薬剤を含む中空部分と、中空部分に連通する開口を備えた実質的に円錐形状である頂端と、中空部分に連通する開口を備えた底端と、底端の開口を通って中空部分に挿入可能な注入器具と、を有する。装置が肛門管内に挿入されているときに、潤滑剤および/または薬剤は注入器具によって頂端の開口を通って肛門管内に注入される。このようにして、潤滑剤/薬剤は、モルガニー陰窩を含む肛門管の壁に効果的に塗られる。挿入は十分の時間の間維持され、そのため、鬱血した粘膜下組織脈管経路内の血液が逃げるように内括約筋張力および外括約筋張力が上がり、結果として膨張は肛門クッションで減少する。その点で、装置は肛門管から取り外され、治療は、数時間の安静を伴うことが好ましく、たとえば、一晩ベッドで睡眠を取る。ひとたび膨張が減少すると、肛門クッション(単数または複数)は通常、肛門管上のその比較的正常な解剖学的位置にあるが、痔の下方変位は次の排便行為または緊張の間に再度発生する可能性がある。より十分にまたは完璧に症状を取り除くために、毎日繰り返して治療する必要がある。
【0016】
いずれの実施形態の装置は、潤滑剤および/または薬剤を含む軟膏剤が塗布されることが好ましい。たとえば、軟膏剤は、様々な日和見病原細菌に対する抗生物質を含んでもよく、痔疾患の病因に役割を演じることが多い局所感染を抑制する。
【0017】
これらの治療の方法は、各排便後且つ就寝前に利用されるときがもっとも効果的である。ユーザは、治療中に横になったリラックスした姿勢でいなければならない。
【0018】
適切に使用されると、本発明の装置および方法は、降下した肛門クッションを櫛帯上のその正常な解剖学的位置へ修復するのを補助することができ、肛門管の粘膜下組織および上皮下組織の血管の鬱血を減少することができる。
【0019】
(発明の詳細な説明)
本発明は、その装置と方法との両方において、痔疾患が進んだ段階へ移行する前に、第1度、第2度、第3度の痔疾患を治療するのに適切である。特に、本発明は、痔の状態、特に痔疾患の襲来に関連する変位した肛門クッションの問題に対処する。規定された方法のこの新しい装置を使用することによって、個人が非侵襲性で簡単な痛みのないやり方で、肛門管上に肛門クッションの正常な静止解剖学状態に修復するのを補助する。
【0020】
本発明はそのもっとも広い実施形態において、実質的に円筒形の形状および実質的に滑らかな表面を有する装置を企図し、これは、不随意内括約筋の狭窄を誘発することができ、随意外括約筋の収縮の逆コンプレッサとして作用することができ、肛門管内に突出する少なくとも1つの変位した肛門クッションを肛門管上のその正常な解剖学的位置へ押し戻すか動かすことができるやり方で、人間の肛門管に挿入するのに適切である。ユーザにとって最小な不快でもっとも効果的に作動するために、装置は、肛門管の壁に接触する部分で約5mmから約30mmの間の直径でなければならない。
【0021】
装置は、ロッドまたはチューブの形態であってもよく、少なくとも1つの(好ましくは3つすべての)変位した肛門クッションをちょうど肛門管上の正しい位置へ押し上げ保持することができるように十分に剛性でなければならない。たとえば、装置は、硬質プラスチック、ゴム、金属、強化紙または木等の、人間の患者にとって有害、有毒または悪影響を及ぼすものではない剛性の非圧縮性材料から作ることができる。
【0022】
装置の直径は、一般に、内括約筋の狭窄によっておよび最大骨盤筋収縮によって肛門管内で達成することができる圧力の値に影響を与えるため、その効果のために重要な特徴である。たとえば、Gibbonsらの「コンチネンスの維持における肛門クッションの役割(Role of Anal Cushions in Maintaining Continence)」、ランセット(The Lancet)、1986年4月19日、第1巻、886〜887ページ(特に887ページの図1)から取られた図3を参照されたい。装置のテスト中に、0.3cmから3cmの範囲の異なる直径のプローブが、人間の肛門管に挿入され従来の肛門括約筋張力が測定されたときに、達成された括約筋張力は、挿入されたプローブの直径に比例することがわかった。一般的にわかったことは、プローブの直径が大きくなればなるほど、括約筋張力が高くなるということであった。内括約筋張力は、理論的には、肛門管が空のときにはゼロに達する。
【0023】
静止時に、不随意内括約筋張力は、直径0.3cm幅のプローブで拡張されるときには、約7mmHg圧力になり、プローブが1cmに拡大されるときには約37mmHgになり、プローブが2cmのときには約44mmHg、プローブが直径3cmであるときには約132mmHgになる。
【0024】
しかし、装置の直径とは無関係に、患者の故意の骨盤筋収縮があると、静止時に内括約筋狭窄のみによって達成される張力の2倍を超える。不随意内括約筋狭窄と随意外括約筋圧搾とを組み合わせた効果は、平均して、肛門管が直径0.3cmで拡張されるときには44mmHg、1cmの拡張で125mmHg、2cmの拡張で228mmHg、3cmの拡張で385mmHgという高い肛門圧力を導くことができる(ランセットI、886〜887、1986のGibbonsの記事によって報告されたデータから推論)。健康な成人では、肛門クッションの細動脈と静脈経路との間に毛細血管はないため、細動脈血圧は幅広く変動し、患者の体位位置に依存して且つ細動脈平滑筋細胞に影響を与える可能性のある局部状態によって、心臓収縮拡張サイクルの間にこの領域で40から120mmHgの範囲であってもよい。静脈圧は、患者が立位にあるときにはこのレベルで約32mmHgである。横臥位では、肛門管の脈管叢の静脈圧は、大幅に変動し、おそらく、約7.5mmHgから32mmHgの間である。肛門管の壁の拡張した叢の静脈経路から血液を出すために、患者が直立位であるときには、括約筋によって32mmHgを超える圧力が生成されなければならない。しかし、崩壊した静脈経路を再び満たす可能性のある細動脈血の圧力を克服するためには、さらにより高い括約筋張力が必要であることがある。
【0025】
外径が12mmである装置は、合計して147mmHg(200g/cm)までの不随意括約筋圧力および随意括約筋圧力を剛性ロッドと内括約筋との間に誘発することができる。この圧力は、鬱積した粘膜下組織および上皮下の静脈経路内の血液を体循環に戻すのに適切である以上であり、再び満たすのを防止する。より大きな直径はより高い括約筋張力を生成するが、直径が2cmを超えるロッドを挿入することは、痔疾患のある肛門管には、望ましくないほど高い程度の不快を生じさせることがある。
【0026】
結果として、装置は、少なくとも肛門管に接触する部分または領域で、約5mmから約30mmの間(好ましくは約10mmから約25mm、もっとも好ましくは約12mmから約20mmの間)の外径を有するべきである。この直径範囲は、ユーザ側の合理的な快適さおよび安全を維持しながら、適切な括約筋張力を提供するのに十分でなければならない。加えて、装置は、先端によって導かれる長さを除外して、完全に挿入した後の肛門縁からの長さが、約4cmから約10cmの寸法であることが好ましく、好ましくは少なくとも約6cmである。適切な長さは肛門管の長さによって決定され、(肛門縁から櫛状線へ測定して)通常約3から4cm長である。基本的に、クッションを肛門管上へ効果的に押し上げるために、特に、随意圧搾行為が患者によって加えられるときには、装置は肛門管よりも長くなければならない。装置が肛門管よりも長くない場合には、骨盤筋および外括約筋が、治療中に装置を下方向に変位させる傾向を生じる可能性がある。
【0027】
上に述べたように、装置は、肛門管内へ容易に快適に挿入するように、略円筒形の形状および滑らかな表面を有することが好ましい。装置の先端または頂端は、閉じた肛門管内へ容易に挿入するように、逆さまにしたカップ、ドーム、ボールの半分、弾丸ヘッドまたはコーンのような略円錐形状であることが好ましい。後端または底端は、装置を肛門管に挿入する程度を制御するための停止部分を含むことが好ましく、これは装置の一部であってもよく、または装置に取り付けられてもよい。たとえば、停止部分は、停止手段、フランジ、フラップ等を具備してもよく、これは装置が奥へ進みすぎたり、全体として直腸内に滑り込むのを防止する。
【0028】
この実施形態の1種類が図1に示される。そこで、ロッド状またはチューブ状の装置は、実質的に円筒形の本体部分3と、先端または頂端4と、後端または底端6とを有する。任意の停止部分5が示される。
【0029】
好適な実施形態において、装置は、中空部分と、中空部分に連通する開口を備えた実質的に円錐形状である頂端と、中空部分に連通する開口を備えた底端と、底端の開口を通って中空部分に挿入可能な注入器具と、を有する。中空部分は、潤滑性軟膏剤、抗生物質または他の局所用薬剤、または、これらの混合物で完全にまたは部分的に満たされてもよい。たとえば、先端と注入器具の頂部との間に約0.5立方センチメートルを薬剤が満たすように、中空部分を満たすことが一般に最適な結果を達成するのに十分な量である。装置の外側表面は、潤滑剤で且つ任意に薬剤で、少なくとも部分的にコーティングされることが好ましい。装置を肛門管内に挿入した後に(好ましくは肛門縁を約1cm過ぎて)、注入器具はチューブの先端に向けて押され、装置が肛門管内にさらに進められる前に、肛門管内に内容物を注入する。このように、装置は注射器に類似して作動する。
【0030】
この実施形態の1種類が図2に示される。ロッド状またはチューブ状の装置は、実質的に円筒形の本体部分3と、先端または頂端4と、後端または底端6とを有する。本体部分3は、中空部分14を含み、その中に注入器具10があり、任意のハンドル15を備えたコントローラシャフト9によって上方へまたは下方へ手でまたは機械で動かすことができる。コントローラシャフト9は、後端6の開口12を通って摺動可能に嵌合する。潤滑剤および/または薬剤は、中空部分14内部に置かれてもよく、たとえば、領域13で先端4に向けて注入器具10上である。注入器具10は、先端4で開口11を通って中空部分から上方へ、潤滑剤および/または薬剤を押すことができる。任意の停止部分5が示される。
【0031】
痔の治療の方法は、そのもっとも広い実施形態において、下記のように実施される。上述の装置の1つは、少なくとも1つの(好ましくは3つすべての)変位した肛門クッションに接触するように、肛門外口をゆっくり穏やかに通って患者の肛門管内に患者(または患者の介護人)によって手で挿入される。肛門クッション(単数または複数)が、通常静止する付近で櫛状線より上で肛門管から上方へ押されるまで、装置は進められる。好ましくは、装置が後端に停止部分を含む場合には、たとえば停止部分が肛門縁に到達したとき等、停止部分が前進をやめるようにユーザに知らせるまで、装置は肛門外口を通って挿入されるべきである。肛門管は通常3から4cm長の寸法であるため、合計長さが6cmの装置がこの目的を達成するのに適切である。この装置は、適切な括約筋張力を誘発し維持するのに十分長い挿入した位置に維持され、痔の鬱積した静脈経路を崩壊するようにしながら、肛門クッションを櫛帯上のその正常な解剖学的位置に保つ。治療は通常、装置を取り除く前に挿入が5から60分の間維持されるときに効果的である(好ましくは25から35分の間、大半の患者には平均30分である)。
【0032】
別の好適な実施形態において、装置は、注射器のような特徴を有し、中空内部を含み、中空内部は一定量の薬剤および/または潤滑剤を含み、それを、たとえば上述のように、注入器具を経由して装置の頂端を通って肛門管内へ注入することができる。たとえば、そのような装置の1種類が図2に示される。この装置を使用する方法は、一般に、下記のように進行する。装置が肛門管内に挿入されているときに(肛門縁を約1cm過ぎることが好ましい)、注入器具は中空内部を通って装置の先端に向けて押され、装置が肛門管内にさらに進められる前に、肛門管内に内容物を注入する。
【0033】
上で述べたように、先端と注入器具の頂部との間に約0.5立方センチメートルを薬剤が満たすように、中空部分を満たすことが一般に、最適な結果を達成するのに十分な量である。潤滑剤および/または薬剤が肛門管内に注入された後に、少なくとも1つの変位した肛門クッションに接触するまで装置は肛門管内をさらに進められ、肛門クッション(単数または複数)は、通常静止する付近で櫛状線より上で肛門管から上方へ押される。好ましくは、装置が後端に停止部分を含む場合には、たとえば停止部分が肛門縁に到達したとき等、停止部分が前進をやめるようにユーザに知らせるまで、装置は肛門外口を通って挿入されるべきである。肛門管は通常3から4cm長の寸法であるため、合計長さが6cmの装置がこの目的を達成するのに適切である。内括約筋張力が高められるように十分な時間の間、挿入が維持され、粘膜下組織血管の鬱血は減少し、肛門クッション(単数または複数)の腫脹は結果として縮小する。その点で、装置を取り外すことができる。肛門クッション(単数または複数)は、少なくとも一時的には、肛門管上の比較的正常な解剖学的位置にあるべきである。これを達成する時間は人によって異なり、炎症および他の症状の重度による。しかし、治療は通常、挿入が約5から約60分の間持続したときに効果的である(好ましくは25から35分の間、大半の患者には平均30分である)。
【0034】
このように、潤滑剤/薬剤が、モルガニー陰窩を含む肛門管の壁を効果的に塗布する。この実施形態は、通常異物の挿入と並んで、肛門縁における皮膚の皺という内部障壁のため普通は困難な作業であるが、注入された潤滑剤/薬剤を肛門管(モルガニー陰窩を含む)の内側表面上に薄く塗る効果的な方法を提供するため、有利である。
【0035】
この実施形態では、潤滑剤および/または薬剤は、腸内容物内に通常見られる様々な細菌等の日和見感染性微生物に対する局所的に活性な抗生物質を含むことが好ましい。細菌感染は、モルガニー陰窩で開始することが多く、持続性慢性炎症反応を引き起こす可能性がある。非常に軽い慢性炎症でさえ、櫛帯の軟組織を非常に敏感にし、そのため、下部直腸内のいずれの量の大便もこれらの患者を刺激する異物として作用するため、患者は、常に腸内を空にしたいと感じる可能性がある。潤滑性軟膏剤内の抗生物質は、ひとたび肛門管内に注入されると、襞の間に押し出され、治療中に患者の随意骨盤筋収縮中に変性した扁平上皮および直腸粘膜によって形成された洞内に入ることができる。直腸座薬は、陰窩内に深く座す部位および肛門管の襞、たとえばモルガニー陰窩にまたは櫛状線の乳頭突起の間に、薬剤を送出するには適切ではないため、この方法は、他の現在利用可能な薬剤を含む直腸座薬の使用に対して有利であることに注意されたい。
【0036】
治療方法のすべての実施形態では、挿入の間中、差し迫った腸運動を抑えるつもりのように、患者ができるだけ骨盤底筋を収縮して、肛門管に挿入された装置を圧搾することが好適である。これによって、括約筋張力をさらに高める。
【0037】
治療の最後に、装置は緩徐に且つ慎重に取り外される。挿入の間中、患者は静止したままでいなければならず、水平位が好ましいが、時折じっと立っていることも選択肢の1つである。この治療方法は、患者が歩いたり、座ったり、突然動いたりするときには、使用するのが適切ではない。
【0038】
治療を実行する前に、装置の先端または頂部は、容易で痛みのない挿入のために潤滑性軟膏剤が大量に塗布されることが好ましい。軟膏剤は、ペテロラタム、カカオバター、KYゼリー、または他の非刺激性植物油等のいずれの公知の潤滑剤を含んでもよい。軟膏剤は、所望により、抗菌性抗生物質(たとえばポリミキシンB、バシトラシンおよびネオマイシンの1つまたはそれ以上等)、抗真菌剤、コルチコステロイドおよび局所麻酔薬を含んでもよい。
【0039】
治療を行い肛門管から装置を取り外した後に、可能であれば、さらに数時間の間、患者は快適な位置(好ましくは水平位)にいるべきである。これによって、内括約筋は弛緩する時間を有することができ、肛門管の崩壊した静脈経路に血液を再び満たすことなく肛門管張力の低下を導く。したがって、患者が自分の便通を夜間に予定することがもっとも都合がよい。この後者の場合、患者は、便通、温浴および一連の治療の後、一晩ベッドで休息することができる。
【0040】
この痔治療の効果を最大限にするために、各排便後および就寝前に、患者が肛門周囲領域を穏やかに洗ってきれいにすることが好適である。これは、温湯が満たされたバスタブに約30分間横になることによって最良に達成することができる。治療前に、肛門縁から突出するいずれの痔は、指を使用して元に戻すことができる。肛門周囲領域を乾かした後に、本発明の治療が開始される。
【0041】
本発明の主な目標の1つは、肛門管の様々な構成要素の正常な静止解剖学的関係を修復するのを補助することであり、すなわち、鬱積した静脈叢を崩壊し、粘膜性浮腫を減らし、特に肛門クッションを常に外向きに下方に回転させる排便行為の後に、肛門クッションを肛門櫛上の正常な解剖学的位置へ修復する。閉じて空の肛門管の櫛上の適所に肛門クッションが保持される間に発生する自然回復過程(たとえば、浮腫性流体および炎症性滲出液の吸収、局所的痔疾の組織化、新しく形成された膠原線維を備えた瘢痕組織の形成)は、痔疾患の出現および永続に導いた重要な事象の悪循環を断ち切るのに好都合であるため、この新しい治療装置および方法は有利である。
【0042】
本発明の理解を助けるために、人間の肛門管の解剖学における関連要素および痔疾患の病原論における本質的要素を、下記に簡単に考察する。
【0043】
肛門管は、直腸の端から外側皮膚肛門外口まで、すなわち、肛門直腸線から肛門縁までの3から4cm長の通路である。(たとえば、Philip Thorek、手術における解剖学(Anatomy in Surgery)第3版、スプリンガー・バーラグ(Springer−Verlag)、ニューヨーク(New York)、1985、特に491ページを参照されたい。)通常、肛門管は、そのまわりの括約筋の一定の張力およびその上部開口での脈管肛門クッションの並置のため、便が通過するとき以外、閉じており空である。下から肛門鏡を通して見ると、下記の4つの重要な表面ランドマークを、肛門管に認識することができる。すなわち、
1)肛門縁とも称される肛門皮膚線が、扁平上皮を皺内に入れる肛門皮膚の皺眉筋の付随意行為のため、通常、並置の状態にある。
2)ヒルトン線は、肛門縁とより上部の櫛状線との間の中途にあり、上部に位置する内括約筋と下部に位置する外括約筋との間に存在する鋭い非筋間隔の印をつける。
3)歯状線とも称される櫛状線が、腺直腸粘膜が変性した扁平上皮に出会う接合部を表す。この線は、モルガニー柱上に連続する肛門乳頭によってもたらされる櫛状配列を呈する。肛門乳頭の基部は、肛門弁として知られている不規則な皺によって接続され、垂直柱の間に小さなポケットを形成する。小さなポケットは、モルガニー陰窩として知られている。
ヒルトン線と櫛状線との間の狭いゾーンは、「櫛」と呼ばれ、変性した扁平上皮によって覆われ、痛みに対して高度に敏感であり、全直腸病の約85%に関わる。
4)櫛状線の約1.5cm上にある肛門直腸移行部は、肛門管が空であるときには、はっきりとは画定されない。これは、直腸が後部に向けて90度回転して肛門管の上部部分になる虚線を表す。
【0044】
肛門管の上皮裏層の下に、毛細血管を介在せずに動脈を静脈に接続する血管から構成される脈管組織の叢が豊富にある。これらの脈管叢は、櫛上の肛門管の上部部分における腺粘膜下(粘膜下組織内)にもっとも顕著である。この場所で、これらの脈管叢および覆っている粘膜が、肛門管の壁から腔内に突出する3つのクッションを形成する。これらの3つの肛門クッションは、「痔パッド」と称されることもあり、円周上およそ3時、7時および11時の位置に戦略的に位置する。肛門クッションは、その表面分泌機能によって粘膜を並置に保持する傾向がある。脈管クッション自体は、容易に拡張可能である。それらは通常、高い括約筋圧力によって圧縮されるが、肛門圧力が落ちるときには膨張して肛門管を閉じたままにする。肛門クッションは、肛門管を閉じたままにするために重要な役割を演じる。この重要な機能は、大きくなって脱出した肛門クッションを切除する外科的痔核切除術が、正常な括約筋圧力および正常な肛門超音波検査法の存在中でさえ、肛門汚損によって複雑になるという事実によって、例証することができる。肛門コンチネンスの維持および痔疾患の病因に肛門クッションが演じる役割は、痔疾患を治療する多くの医者によって適切な注目を受けていない。(PA Haas、TA Fox、Jr.およびGP Haas、「結腸および直腸の痔疾患の病原論(The Pathogenesis of Hemorrhoids.Diseases of the Colon and Rectum)」、27:442〜450、1984、CP Gibbons、EA Trowbridge、JJ BannisterおよびNW Read、「コンチネンスの維持における肛門クッションの役割(Role of Anal Cushions in Maintaining Continence)」、ランセットI:886〜888、1986を参照されたい。)
【0045】
若い人では、肛門クッションの粘膜下組織血管は、結合組織線維、すなわち、膠原線維および弾性線維によってよく支持されている。膠原線維は、肛門粘膜および血管を、内括約筋に且つ末端直腸の長手方向に滑らかな筋被覆に、しっかり固定する。30歳くらいで、結合組織線維が衰え始め、静脈が拡張する。より高齢者の群では、結合組織を固定するシステムが退化し、線維が脱出する。
【0046】
直腸が拡張し大便が通過することによって通常誘発される内括約筋の弛緩を伴う排便行為中に、常に肛門クッションおよび櫛は外向きに下方に回転する。子供および健康な若年成人では、肛門クッションおよび櫛は、排便後その正常な位置に回転して戻る。(MRB KeighleyおよびNS Williams、「肛門、直腸および結腸の手術(Anus,Rectum and Colon)」、第2版、W.B.ソーンダース(W.B.Saunders)、ロンドン(London)、1999、354ページを参照されたい)。しかし、高齢者群において、クッションおよび櫛は、排便後その正常な位置へ自然にまたはすぐには戻らない。あるいは、内括約筋の張力が低下して、鬱積した叢の静脈血が体循環へ戻る就寝後のみにそうなる。
【0047】
これらの下方に突出する鬱血して肥大した肛門クッションは、本特許では一般に、「痔」と称され、これは、高齢者群では定期健康診断でよく発見されるものであり、大部分は症状がない。結果として、「痔」の出現は、正常な加齢現象であるとみなされる。大半の患者には治療は指示されない。大きくなった肛門クッションが症状を発するときのみ、「痔疾患」という用語が適用されるべきであり、その点で医療を必要とする。痔疾患の進行に寄与する多くの要因の中に、用便習慣の誤りがあり、たとえば、患者が1日に少なくとも1回の便通にこだわること、排便に対する最初の欲求を無視すること、直腸または肛門管から大便の最後の部分を通過させようとするのにこだわること、または、緊張を長引かせることになる他の事情である。排便中の長引く緊張は、特に、直腸内に適切な刺激として作用する十分にかさの多い便がなく括約筋が弛緩していないときには、脈管肛門クッションを内括約筋の下部縁外に保ち、これが今度は狭窄し鬱血させる。結果として、随意括約筋狭窄または不随意括約筋狭窄の悪循環が、鬱血した肛門クッションの拡大を増進し、刺激する異物感覚が肛門管の上部部分に定着する。結局、脱出する塊が、櫛の変性した扁平上皮およびその下にある血管によって覆われる過敏帯を含む。肛門管内のこの下方に突出する塊の鬱血、肥大および表面麋爛は、一般に「内痔核」と称され、局部感染、疼痛、出血および血栓症を導く可能性がある。脈管肛門クッションと櫛帯との混乱した解剖学的関係は、直腸流体の漏れすなわち汚損を引き起こすことが多い。モルガニー陰窩で開始する細菌感染も、「痔疾患」の病因に重要な役割を演じることができる。
【0048】
大便の通過は、特に、長引く緊張を伴う固い大便の通過は、脈管粘膜下組織に剪断効果を与える。したがって、一般的な方策として、患者は、自分の用便習慣の誤りを正すことによって且つ嵩を形成する食餌を摂ることによって、排便中の長引く緊張を避けなければならない。下痢を起こしやすい飲食物も避けるべきである。
【0049】
当然ながら、痔に悩む人はまず医者に相談して、第1度、第2度または第3度の軽度痔疾患の診断を確認すべきである。上に述べたように、痔疾患の進んだ段階では、侵襲性の治療が必要になることもある。患者は、肛門管の組織の正常な老化プロセスおよび痔疾患の病因に熟知していることが好ましい。本装置および方法を使用して軽度の痔疾患を治療する目的の1つは、肛門管の正常な解剖学的状態を修復して、正常な老化プロセスの合併症が発生するのを防止し、且つ/または、軽度の合併症が侵襲性の治療を必要とするような進んだ段階に移行するのを防止することであると、患者は知るべきである。
【0050】
本発明は、好適な実施形態で上に説明してきたが、例示のためのみである。本発明の精神から逸脱することなく、開示された実施形態に対して数多くの修正を行うことができる。したがって、当業者によって理解されるように、本発明が好適な実施形態の詳細によって限定されないことが意図される。
【0051】
ここに引用されたすべての参考文献は、特許および雑誌記事を含めて、その全体を参照してここに組み込まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の装置の1つの実施形態を示す図である。
【図2】
本発明の装置の別の実施形態を示す図である。
【図3】
16人の健康な男性(年齢20から76歳、平均36歳)に対して肛門括約筋張力と肛門括約筋張力誘発体として作用する肛門プローブの直径との間の関係を示すグラフである。各点は、16測定(0.4cm、1cmおよび2cm直径点)、9測定(2.5cm直径点)または7測定(3.0直径点)の平均±SEMを表す。

Claims (25)

  1. 3つの肛門クッションのうちの少なくとも1つが膨張し肛門管上のその正常な解剖学的位置から変位し少なくとも部分的に前記肛門管内に降下している痔疾患を治療するための方法であって、
    (a)実質的に円筒形の形状および実質的に滑らかな表面を有する装置を前記肛門管内に挿入し、そのため、前記装置は不随意内括約筋狭窄を誘発し、随意外括約筋収縮用に逆コンプレッサを提供して前記肛門管内の総括約筋張力を高め、前記少なくとも1つの肛門クッションを前記肛門管上のその正常な解剖学的位置へ押すステップであって、
    前記装置は、前記肛門管の壁に接触する部分で約5mmから約30mmの間の直径を有するステップと、
    (b)前記肛門管の前記壁内の鬱積した血液経路が崩壊するように十分な時間の間、前記装置の挿入を維持するステップと、
    (c)前記装置を前記肛門管から取り外すステップと、
    を含む方法。
  2. 前記装置は、前記肛門管の前記壁に接触する前記部分で約10mmから約25mmの間の直径を有する請求項1に記載の方法。
  3. 前記装置は、前記肛門管の前記壁に接触する前記部分で約12mmから約20mmの間の直径を有する請求項1に記載の方法。
  4. 前記装置は円錐形ヘッドを有する請求項1に記載の方法。
  5. 前記肛門管に挿入される前記装置の部分は、約4cmから約10cmの間の長さである請求項1に記載の方法。
  6. 前記肛門管に挿入される前記装置の前記部分は、約6cmの長さである請求項5に記載の方法。
  7. 前記装置の挿入は、約5分から約1時間の間維持される請求項1に記載の方法。
  8. 前記装置の挿入は、約25分から約35分の間維持される請求項1に記載の方法。
  9. 前記装置は、停止部分をさらに含む請求項1に記載の方法。
  10. 前記停止部分は、停止手段、フランジ、フラップ、またはその組み合わせから形成される請求項9に記載の方法。
  11. 前記装置は、ステップ(a)の前に、潤滑剤および/または薬剤が塗布される請求項1に記載の方法。
  12. 前記潤滑剤は、ワセリン、KYゼリー、カカオバター、植物油およびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項11に記載の方法。
  13. 前記薬剤は、抗生物質、コルチコステロイド、麻酔薬、抗真菌組成物およびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項11に記載の方法。
  14. 3つの肛門クッションのうちの少なくとも1つが膨張し肛門管上のその正常な解剖学的位置から変位し少なくとも部分的に前記肛門管内に降下している痔疾患を治療するための方法であって、
    (a)実質的に円筒形の形状および実質的に滑らかな表面を有する装置を前記肛門管内に挿入し、そのため、前記装置は不随意内括約筋狭窄を誘発し、随意外括約筋収縮用に逆コンプレッサを提供して前記肛門管内の総括約筋張力を高め、前記少なくとも1つの肛門クッションを前記肛門管上のその正常な解剖学的位置へ押すステップであって、
    前記装置は、潤滑剤および/または薬剤を含む中空部分と、前記中空部分に連通する開口を備えた実質的に円錐形状である頂端と、前記中空部分に連通する開口を備えた底端と、前記底端の前記開口を通って前記中空部分に挿入可能な注入器具と、を有し、
    前記装置は、前記肛門管の壁に接触する部分で約5mmから約30mmの間の直径を有し、
    前記装置が前記肛門管内に挿入されているときに前記潤滑剤および/または薬剤が前記注入器具によって前記頂端の前記開口を通って前記肛門管内に注入されるステップと、
    (b)前記肛門管の前記壁内の鬱積した血液経路が崩壊するように十分な時間の間、前記装置の挿入を維持するステップと、
    (c)前記装置を前記肛門管から取り外すステップと、
    を含む方法。
  15. 前記潤滑剤は、ワセリン、カカオバター、植物油およびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項14に記載の方法。
  16. 前記薬剤は、抗生物質、コルチコステロイド、麻酔薬、抗真菌組成物およびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項14に記載の方法。
  17. 前記装置は、前記肛門管の前記壁に接触する前記部分で約10mmから約25mmの間の直径を有する請求項14に記載の方法。
  18. 前記装置は、前記肛門管の前記壁に接触する前記部分で約12mmから約20mmの間の直径を有する請求項14に記載の方法。
  19. 前記装置は円錐形ヘッドを有する請求項14に記載の方法。
  20. 前記肛門管に挿入される前記装置の部分は、約4cmから約10cmの間の長さである請求項14に記載の方法。
  21. 前記肛門管に挿入される前記装置の前記部分は、約6cmの長さである請求項20に記載の方法。
  22. 前記装置の挿入は、約5分から約1時間の間維持される請求項14に記載の方法。
  23. 前記装置の挿入は、約25分から約35分の間維持される請求項14に記載の方法。
  24. 前記装置は、停止部分をさらに含む請求項14に記載の方法。
  25. 前記停止部分は、停止手段、フランジ、フラップ、またはその組み合わせから形成される請求項24に記載の方法。
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