JP2004510428A - ブドウ球菌由来のフォンビルブラント因子結合性タンパク質 - Google Patents

ブドウ球菌由来のフォンビルブラント因子結合性タンパク質 Download PDF

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Abstract

ブドウ球菌由来のフォンビルブラント因子結合タンパク質およびポリペプチドが開示されている。さらに、前記タンパク質およびペプチドをコードする組み換えDNA分子、ならびに、該DNA分子を含むプラスミド、ファージおよびファージミド、ならびに、該組み換えDNA分子またはプラスミド、ファージおよびファージミドを含む微生物および微生物が記載されている。さらに、フォンビルブラント結合タンパク質またはポリペプチドの製造方法、ブドウ球菌の表面付着の阻害方法、固定化タンパク質、抗体、イムノゲン、精製方法、および複合溶液中のフォンビルブラント因子の有無の判定方法も開示されている。

Description

【0001】
(発明の分野)
本発明は遺伝子工学の分野に関し、フォンビルブラント結合活性を有するタンパク質またはポリペプチドをコードする核酸配列を含む、組み換えDNA分子に関する。さらに本発明は、前記分子を含む微生物(ウィルスを含む)、および前記タンパク質またはポリペプチドの製造における該微生物の使用ならびにバイオテクノロジーにおけるそれらの使用を含む。
【0002】
(発明の背景)
ブドウ球菌
コアグラーゼ陽性ブドウ球菌のなかでも、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)は、心内膜炎、骨髄炎、敗血症、創傷感染などのヒトにおける広範な病気の原因となる病原種である(エスパーセン(Espersen)ら、1999年)。ブドウ球菌は、体表面への開口を取り巻く多数の汗腺や粘膜が存在する皮膚の部位において最も多く見つけられている。
【0003】
長い間、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)は非病原性であると考えられてきたが、ここ20年の間に、CNSは院内感染において最も頻繁に単離される病原体になってきている。これは主として、院内における免疫不全患者数の増大とともに、ヒト医薬において生物材料が使用されることが多くなったことや多耐性抗菌株が増加したことによるものである。スタフィロコッカス・ルグドネンシス(Staphylococcus lugdunensis)(フレニー(Freney)ら、1988年)はヒトの正常な皮膚微生物叢に属するCNSであるが、この種は心内膜炎、敗血症や様々な深部組織感染、血管プロテーゼ感染、骨髄炎、皮膚感染などの重篤な感染を引き起こすおそれがある(エスパーセン(Espersen)ら、1999年、ウォーサマン(Wasserman)ら、1999年)。
【0004】
ブドウ球菌が宿主内で疾病を引き出す能力は、一般に、宿主の状態と協力して宿主の成分を分解することのできる、付着分子、莢膜多糖類、毒素および酵素などの発現などのいくつかの毒性因子によるものである。宿主細胞および組織の特定の部位または構造において、プラズマ中および細胞外マトリックス(ECM)の成分にブドウ球菌が結合することが、感染開始の主要な段階の1つであると考えられている。この結合は、病原体の細胞外酵素と宿主のリガンドとの間の特異的相互作用によるものである。ある特定の細菌タンパク質とリガンドの間の相互作用は、感染の部位や、疾病の種類や段階などの様々な因子に応じて異なる。病原性ブドウ球菌の細胞外タンパク質の多くが、その結合特性において多機能であるため、それぞれの細胞外タンパク質の役割は、選ばれた単一の結合特性を検討することによって判定することができない。したがって、これらの細菌表面タンパク質を分子レベルで研究することが重要である。研究の1つの目的は、ブドウ球菌によって引き起こされる感染をたたくための新しい戦略を開発するために、個々の細菌/宿主相互作用の分子的機構を研究することであった。この戦略は、宿主成分と相互作用する細胞外タンパク質をコードする細菌遺伝子のクローニングとシーケンシング、および該遺伝子をE.coli内で発現させることにより、次なる研究のためにタンパク質の生産を容易にすることであった。生産された組み換えタンパク質について、細菌感染の阻害能および新しいバイオテクノロジーツールとしてのその利用可能性について研究されている(欧州特許163623号、欧州特許294349号、欧州特許506923号、WO84/03103)。
【0005】
フォンビルブラント因子
フォンビルブラント因子(vWF)は、大きな多機能糖タンパク質であり、その成熟型は4つの異なる種類の反復(A〜D)で配列された2050個のアミノ酸からなる。vWFは、特に高い剪断力条件下において、損傷した血管内の露出上皮化組織に対する血小板の付着および凝集を支持することによって止血の保守に不可欠な要素である。vWFは約500kDaの大きさの2量体、または20000kDaまでの様々な大きさの多量体として存在する。vWFは、内皮細胞と巨核球によってのみ合成される。内皮細胞は5〜10μg/mlの濃度でvWFのプラズマプール、ならびに、ヴァイベル−パラーデ小体におけるvWFの細胞内貯蔵供給源を生み出す。巨核球は、血小板のα−顆粒内に貯蔵されるvWFを担当する。最大のトロンボゲン形成能力を有するvWFの最も大きな多量体は、これらの異なる貯蔵小室内に存在しており、循環する多量体は一般的にそれより小さいものである。vWFは2つの別の血小板受容体であるGPIb−V−IX複合体内の糖タンパク質(GP)Ibと、GPIIb−IIIa(インテグリンαIIbβ3とも呼ぶ)を介して血小板の付着を媒介する。さらに、vWFは凝結因子VIIIの輸送と安定化を行う。vWFは内皮ビトロネクチン受容体(インテグリンαVβ3)、ならびに、コラーゲン類(I,IIIおよびVI型)、ヘパリン様グルコサミノグリカン類、およびスルファチドなどの様々な内皮下成分にも結合する。フィッシャー(Vischer)とデ・マールース(de Merloose)(1999年)、ヘルマン(Herrmann)ら(1997年)、ルッゲリ(Ruggeri)(1999年)。多機能vWFの量の減少は、最も一般的な遺伝子出血疾患であるフォンビルブラント病のいくつかのタイプおよびサブタイプの1つを引き起こす(モールケ(Mohlke)ら、1999年)。
【0006】
ハートライブ(Hartleib)ら(2000年)による以前の報告では、S.aureusの細胞上に存在するIgG結合タンパク質Aが、この細菌種におけるvWF結合タンパク質であるとクレームしている。本発明はタンパク質Aに関するものではない。
【0007】
(発明の概要)
本発明は、S.aureusに由来するvWb(von Willebrand factor binding protein)と呼ばれる新しいフォンビルブラント因子(vWF)結合タンパク質およびvWbl(von Willebrand factor biding protein from S.lugdunensis)、および前記タンパク質をコードするvWBLDNA分子、ならびにそれらの使用を開示している。
【0008】
以下に、本発明を同封の実施例および図面の裏付けのもとにより詳細に説明する。
【0009】
【図1】
vWbタンパク質の模式図と、組み換えvWfに対してS.aureusファージディスプレイライブラリをパニングした後に得られた様々なファージミドクローンから単離された対応遺伝子vWbに由来するインサートのアライメントを示した図である。S:シグナル配列(シグナルペプチダーゼ切断部位は、配列番号:3におけるアミノ酸35と36の間にある)。B:vWf結合部位(配列番号:4におけるアミノ酸368〜393)。括弧内の数字は、配列決定した32個のクローンのなかから個々のクローンが見つけられた回数を示している。
【0010】
【図2】
vWF結合ドメインを表しているファージミド粒子を用いた結合実験。結合したファージミド粒子の数をcfu/μlとして判定した。
【0011】
【図3】
vWF結合ドメインを表しているファージミド粒子を用いた阻害実験。結合したファージミド粒子の数をcfuml−1、kcfu(キロcfu)として判定した。ファージミド粒子は、様々な濃度のvWbに対する抗体(○)または非特異的抗体(□)の存在下においてvWfに対してパニングした。数値は2回の実験の平均±標準偏差である。
【0012】
【図4】
vWblのR部位における10個の反復単位(R1〜R10)のアライメント。R10は他の反復単位に比べて顕著に分散が大きかったので、他の反復単位間の高い類似性をより明確に示すために、別にアライメントを行っている。すべての反復間で完全に保存されているアミノ酸は星印で示し、反復間でよく保存されているアミノ酸は点で示した。数値は、配列番号:2に従うvWblにおけるアミノ酸位置を示す。
【0013】
【図5】
vWblの模式図と、rvWfに対するパニング後に得られたファージミドクローン由来のインサートのアライメント。vWbl上の様々な位置は、S(シグナル配列)、A(非反復部位)およびR(10個の反復単位を包含する)によって示されている。下側のvWbl(SlvW1−SlvW7)によって表されるインサートは、pHを低下させることによりファージミド粒子を溶離させたパニングから得たものである。上側のvWbl(SlvW8)は、ファージミド粒子が溶離しなかったパニング処理から得たものである。E.coliの代わりにTG1細胞をウェルに直接加えて感染させた。数値は配列番号:2によって定義されるvWblにおけるアミノ酸位置を示す。
【0014】
【図6】
組み換え構築物vWbl3rによる、固定化rvWfへのファージミド(SlvW5)粒子の結合の阻害。rvWfでコートしたマイクロタイターウェルを、vWbl3rまたはHSAを添加したPBS、あるいはPBSのみとともに個別に1時間インキュベートした。体積の10分の1(50μl)をSlvW5の50倍希釈ファージストックに置換した。1時間インキュベートした後、マイクロタイタープレートをPBSTで洗浄し、結合したファージミド粒子をpHを2.1に下げることにより溶離させた。アリコートを用いてE.coli細胞を感染させ、LAA平板にプレーティングした。結果はCFU/ml溶離液として示されている。各値は2つの別のウェルからの全4回の感染の平均であり、標準偏差が示されている。
【0015】
(配列リスト)
配列番号1:S.lugdunensis由来のvwbl遺伝子の完全なヌクレオチド配列。
【0016】
配列番号2:S.lugdunensis由来のコード化タンパク質vWblの推定アミノ酸配列。
【0017】
配列番号3:S.aureus由来のvwb遺伝子の完全なヌクレオチド配列。
【0018】
配列番号4:S.aureus由来のコード化タンパク質vWblの推定アミノ酸配列。
【0019】
配列番号5:vWFに結合するS.lugdunensisの24アミノ酸配列のマッピング。
【0020】
配列番号6:vWFに結合するS.aureusの26アミノ酸配列のマッピング。
【0021】
配列番号7〜16:S.lugdunensisのアミノ酸配列(配列番号:2)における67アミノ酸長反復単位(R1〜R10)。
【0022】
配列番号17:配列番号:4におけるアミノ酸36〜45に対応する精製された分泌vWbタンパク質のN末端配列。
(発明の詳細な説明)
本発明は、vWF結合活性を有するタンパク質またはポリペプチドをコオードするヌクレオチド配列からなる組み換えDNA分子に関する。これらのヌクレオチド配列の天然の起源は、それぞれS.aureusのNewman株およびS.lugdunensisの2342株であるが、本願で示したヌクレオチドおよび推定アミノ酸配列の知識を用いれば、それぞれの遺伝子または遺伝子の部分を、それぞれS.aureusおよびS.lugdunensisの株から単離することもできるし、合成によって作製することもできる。特に、vWF結合活性を担う各タンパク質の部分に対する推定アミノ酸配列の知識は、vWF結合を保持または阻害する合成ポリペプチドを作成するために用いることができる。これらのポリペプチドは、酵素、蛍光、発光、ビオチン(またはその誘導体)、放射能などの様々な化合物によって標識することができ、たとえば、ELISAまたはRIA技術などの診断試験において用いることができる。
【0023】
タンパク質がその主たる特性を保持している場合には、そのタンパク質のアミノ酸配列におけるアミノ酸残基にミスマッチが少ないであろうことは技術上周知である。ミスマッチは、1つまたは数個のアミノ酸が置きかわったもの、若しくは、アミノ酸残基の欠失あるいはタンパク質のトランケーションによるものである。このようなミスマッチは天然のタンパク質の遺伝的変異において頻繁に起こる。タンパク質中のアミノ酸残基の15%までが該タンパク質の主要な特性を保持したまま置換可能である。本発明に従う組み換えDNA分子の製造に際しては、適切なクローニング伝播体またはベクター、たとえば、プラスミド、ファージミドまたはファージDNAを、制限酵素の力を借りて切断した上で、該切断部位に所望のタンパク質またはポリペプチドをコードするDNA配列を挿入して組み換えDNA分子を作成する。この一般的な方法は当業者によって周知であり、DNA配列を切断しライゲーションするための様々な技術が文献に記載されている(たとえば、米国特許4,237,224号、アウスベル(Ausubel)ら(1991年)、サンブルーク(Sambrook)ら(1989年))。それでもなお、本願発明者の知識によれば、これらの技術を本目的のために用いていない。S.aureusのNewman株およびまたはS.lugdunensisの2342株をそれぞれ、所望のヌクレオチド配列の起源として用いる場合には、前記配列を単離し、各配列を下記の実験の部に記載するような方法で適切なベクターに導入することができ、あるいは、ヌクレオチド配列は提示されているので、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を用いて、完全なvwbおよび/またはwbl遺伝子またはそれらの断片を得る。
【0024】
用いることのできる宿主としては、培養中の大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ブドウ球菌種、連鎖球菌種、乳酸桿菌種の株などの細菌宿主、さらに培養中の酵母や他の真核細胞等を含みうる微生物(各タンパク質またはその活性断片を製造するために用いることができる)が挙げられる。最大限の発現を得るために、プロモータやリボゾーム結合部位などの調節要素をそれ自体公知の方法で変えてもよい。タンパク質またはその活性ペプチドは、細胞内または細胞外で製造することができる。様々な系において良好な分泌を得るために、様々なシグナルペプチドを用いることができる。精製および/または検出を容易にするために、タンパク質またはその断片は、アフィニティハンドルおよび/または酵素に融合させることもできる。これは遺伝子レベルおよびタンパク質レベルのいずれにおいても実施可能である。各タンパク質またはそのポリペプチドの特徴を改変するために、例えばin vitro突然変異誘発を用いて、あるいは結果として新しい特徴を有した融合タンパク質を与える他のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を融合することにより、遺伝子または遺伝子の一部を改変することができる。
【0025】
したがって、本発明はvWF結合特性を有するタンパク質またはポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む組み換えDNA分子からなる。さらに、本発明は、そのようなヌクレオチド配列を含む、例えば、ファージミド、プラスミドおよびファージなどのベクター、およびそのようなベクターが導入された有機体、特に細菌、例えばE.coli株やブドウ球菌種からなる。あるいは、そのようなヌクレオチド配列は微生物の天然のゲノムに統合してもよい。
【0026】
本願は、vWbおよびWblの各タンパク質あるいはその断片のvWF結合活性を有するタンパク質またはポリペプチドを製造する方法にも関する。本方法に従えば、上記微生物は適切な培地中で培養され、得られた産物を、例えばイオン交換クロマトグラフィー、あるいは不溶性担体に結合したvWFを用いたアフィニティクロマトグラフィーなどの何らかの分離方法によって単離する。
【0027】
本発明は、vWF結合タンパク質またはその一部を、例えばM13のようなバクテリオファージやその誘導体などの適切なウィルス粒子上で発現させ提示する方法も含む。
【0028】
vwbまたはwblまたはその一部を含むベクター、特にプラスミドには、いわゆる融合タンパク質を発現するために、別の産物をコードするヌクレオチド配列を各ヌクレオチド配列に融合することに利用できる、容易に切開可能な制限部位を設けると有益である。融合タンパク質は、そのvWfへの結合能力を利用した方法によって単離してから、系内の他の成分を所望により融合タンパク質から分離してもよい。この技術はタンパク質Aの系に関してWO84/03103に詳細に記載されており、本願においても同様の方法で適用することができる。融合戦略は、vWbおよびVblの各タンパク質(またはその一部)の活性を該タンパク質を一緒に融合するか、他のタンパク質と融合するかによって、改変、増大または変更するために用いることができる。
【0029】
本発明は、vWFをアフィニティ精製するために用いることもできる。各組み換えrvWF結合タンパク質またはその一部を発現させて精製することができ、単離されたタンパク質またはポリペプチドは不溶性担体に結合させることが出来る。固定化されたvWF結合タンパク質は血清などの溶液からvWFを検出しアフィニティ精製するために用いることができる。本発明は、ブドウ球菌感染に対するワクチン接種のためのイムノゲンとして細菌の細胞外成分を用いることに関するバイオテクノロジーの分野にも適用できる(欧州特許163623号、欧州特許294349号、欧州特許506923号)。全細菌を用いた免疫付与は、所与の抗原性決定基に対する抗体のレベルが低くなった高度なポリクローナル免疫反応を常に誘因する。したがって、免疫付与治療に本発明に従うタンパク質、ポリペプチドまたはDNAを用いることが好ましい。とりわけ、免疫付与治療は、いわゆる受動および能動免疫として行われる。本発明のタンパク質またはDNAを用いた受動免疫には、適切な宿主動物、好ましくは哺乳動物、例えば健常な血液ドナーにおいて、前記タンパク質または投与されたDNAによってコードされるタンパク質に対する抗体を発生させ、回収し、前記抗体を患者に投与することが含まれる。受動免疫のための抗体を発生させる他の方法としては、細胞培養において特異的抗体を産生させることが含まれる。好ましい実施形態の1つとして、例えば体内への異物の移植を伴う手術などの外科治療前の患者への受動免疫があげられる。本発明のタンパク質またはDNAを用いた能動免疫には、前記タンパク質またはDNAを、好ましくは薬学的に適切な免疫刺激剤とともに患者に投与することが伴う。そのような薬剤の例としては、コレラ毒素および/またはその誘導体、E.coli毒素などの易熱性毒素、および類似の薬剤が含まれるが、これらに限定されることはない。本発明に従う組成物は、免疫付与治療の当業者によって周知の従来の薬学的に受容可能なアジュバントをさらに含んでいてもよい。好ましくは、本発明のDNAまたはその断片を用いた免疫付与治療において、前記DNAは前記DNAを適切なプラスミド担体に組み込まむように筋肉内投与することが好ましい。適切な免疫刺激剤をコードするさらに別の遺伝子を同一のプラスミド内に好適に組み込むことができる。
【0030】
前記免疫付与治療は、上述の投与経路に限定されないが、普通は経口、経鼻、皮下および筋肉内のいずれか1つに適合させることができる。
【0031】
フォンビルブラント因子疾患の治療の1つの方法としては、この因子を、例えばプラズマまたは組み換え技術によって生産された因子(rvWF)を用いて患者に投与することがある。フィッシャー(1999年)を参照のこと。開示された発明の1つの用途は、血清などの複合溶液からvWFをアフィニティ精製することがあり、これによりこの因子の精製が容易になる。さらに、本発明は血液やプラズマなどの複合溶液内のvWF/rvWFの濃度を決定するために用いることもできる。
【0032】
特に、本発明はS.aureusおよびS.lugdunensisからなる群より選択されるブドウ球菌由来のフォンビルブラント因子結合タンパク質またはポリペプチドに向けられている。
【0033】
一実施形態において、タンパク質またはペプチドは、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:5〜17、およびそれらの一部からなる抗原決定基からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有している。抗原決定基は、少なくとも5個、通常は少なくとも7個、例えば少なくとも9個のアミノ酸残基からなる開示されたアミノ酸配列の1つの一部を含む。
【0034】
本発明は、本発明に従うタンパク質またはポリペプチドをコードする核酸配列を含む組み換えDNA分子にも向けられている。
【0035】
一実施形態において、組み換えDNA分子は、配列番号:1、配列番号:3と、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:5〜17、およびそれらの一部からなる抗原決定基からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質およびペプチドをコードするヌクレオチド配列とからなる群より選ばれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。
【0036】
本発明はさらに、本発明に従うDNA分子を含むプラスミド、ファージまたはファージミド、および本発明に従う少なくとも1つの組み換えDNA分子を含む微生物、あるいは本発明に従う少なくとも1つのプラスミド、ファージまたはファージミドにも向けられている。
【0037】
本発明の他の態様は、フォンビルブラント因子結合タンパク質またはそのポリペプチドの製造方法であって、
−本発明に従う少なくとも1つの組み換えDNA分子を微生物中に導入する工程と、
−前記微生物を適切な培地中で培養する工程と、
−上記のように作成されたタンパク質をクロマトグラフィ精製によって単離する工程とを含む方法にも向けられている。
【0038】
本発明の他の態様は、ファンビルブラント因子結合タンパク質またはそのポリペプチドの製造方法であって、本発明に従う少なくとも1つの組み換えタンパク質をファージ粒子上で発現させて、フォンビルブラント因子結合活性を示すファージ粒子を生産する工程からなる方法と、表面へのブドウ球菌の付着を阻止する方法であって、本発明に従うタンパク質、または本発明に従う抗体を、前記ブドウ球菌、好ましくはS.lugdunensisおよび/またはS.aureusを含む培地に加えることを含む方法とを含む。
【0039】
本発明のさらに別の態様は、本発明に従う固定化タンパク質またはペプチドに向けられている。タンパク質またはペプチドは、ガラスまたはプラスチック表面、ペプチド、タンパク質または炭水化物、たとえばセファデックスやデキストランなど、および本発明のタンパク質またはペプチドに特異的に結合する抗原に連結してもよい。これらの抗体は、ブドウ球菌感染を検出するために用いることができる。
【0040】
本発明のさらに別の態様は、本発明に従うタンパク質またはペプチドを含むイムノゲンに向けられている。イムノゲンはワクチンにおいて好適に用いることができる。
【0041】
本発明のさらなる態様は、本発明の固定化タンパク質を用いたクロマトグラフィーを含む複合溶液からフォンビルブラント因子を精製する方法と、本発明に従うタンパク質またはペプチドを用いる工程を含む複合溶液内にフォンビルブラント因子が存在するかを判定する方法とを含む。
【0042】
実施例
出発物質
菌株、ファージ、クローニングベクター
使用したS.aureus株:Newman、8325−4,Wood46,O5,L141,U2,12,73。使用したS.lugdunensis株:G5−87,G2−89,G16−89,G6−87,G58−88,G66−88,G3A,SÅ,2342,49/90,49/91,A251は、Åsa Ljungh(スウェーデン、ルント)より得た。使用したE.coli株:TGl,DH5−α,BL21(DE3),pLysS。
【0043】
E.coliTG1株は、ライブラリの構築とファージストックの作成のための宿主として用いた。E.coliファージR408(Promega、米国ウィスコンシン州マジソン)はヘルパーファージとして用いた。
【0044】
ファージミドベクターpG8SAETは、ファージミドライブラリを構築するために用いた(ヤコブソン(Jacobsson)とフリクベルグ(Frykberg)、1999年)。
【0045】
実施例において使用したすべての菌株およびプラスミドまたはファージミド構築物は、Swedish University of Agricultural Sciences内、Department of Microbiology(スウェーデン、アップサラ)において入手可能なものである。
【0046】
緩衝液と培地
E.coliは、ルリア・ベルターニ・ブロス(LB)またはLA平板(1.5%寒天を含むLB)(サンブルークら、1989年)中、37℃で培養した。アンピシリンは最終濃度が50μg/mlとなるように適時E.coli成長培地に添加した。ブドウ球菌は、血液寒天平板(最終濃度5%のウシ血液を含む)上またはトリプトンソーヤブロス(TSB、Oxoid社、英国、ハンツ、ベイシンストーク)中において37℃で培養した。PBS:0.05Mリン酸ナトリウム、pH7.1,0.9% NaCl。PBS−T:PBSにTWEEN20を最終濃度0.05%で加えたもの。
【0047】
ブドウ球菌からのDNAの調製
ブドウ球菌の株をTSB中で一晩培養した。翌朝、細胞を回収し染色体DNAを調製した。
【0048】
タンパク質および他の試薬
ヒトフィブリノーゲンは、(IMCO社、スウェーデン、ストックホルム)より得た。ヒト血清アルブミン(HSA)、フィブロネクチン、ヒトIgGおよびカゼインは、米国セントルイスSigmaより入手した。トロンボスポンジンおよびヒトビクロネクチンおよびヒト組み換えファンビルブラント因子は、ÅsaLjung(スウェーデン、ルント)より入手した。DNAプローブは、ランダムプライミング法(マルチプライムDNA標識システム;Amersham社、英国、アマシャム)により32P−ATPで標識した。ヒトvWFに対する抗体は、Kordia(オランダ、ライデン)より得た。vWbタンパク質に対するニワトリ抗体は、ImmunsystemAB(Uppsala,スウェーデン、アップサラ)によって開発した。様々な実験においてニワトリ抗vWb抗体を使用する前に、該抗体をrvWbカラムによってアフィニティ精製した。ウェスタンブロット技術においては、ニトロセルロース(NC)フィルタ(ECL;Amersham Pharmacia BiotechまたはSchleicher&Schull、ドイツ、ダッセル)を用いて、ハイブリダイゼーション実験におけるDNAまたはタンパク質を結合させた。
【0049】
天然またはドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によってタンパク質試料を分析するために、ファルマシアLKBバイオテクノロジー社(スウェーデン国アップサラ)から得たPHASTシステムを業者の推奨に従って用いた。
【0050】
使用したオリゴヌクレオチドは、Life Technologies AB(Taby、スウェーデン)によって合成された。マイクロタイタープレート(MaxiSorp,Nunc、デンマーク、コペンハーゲン)をパニング実験において使用した。プラスミドDNAは、Qiagen Miniprepキット(Qiagen GmbH、ドイツ、ヒルデン)を用いて調製し、インサートの配列はヤコブソン(Jacobsson)およびフライクバーグ(Frykberg)(1995年、1998年)に記載されているようにして決定した。得られた配列は、PC−遺伝子プログラム(Intelligenetics,米国カリフォルニア州マウンテンビュー)を用いて解析した。あるいは、得られた配列を解析するためにNTIベクターコンピュータソフトウェア(Informax社、米国、メリーランド州ノースベセスダ)を用いた。
【0051】
常套的方法
分子生物学において常套的に用いられる方法、たとえばエンドヌクレアーゼによるDNAの制限、DNA断片のライゲーション、プラスミド精製などについては、これらの方法が一般的に用いられるマニュアルに書かれているため本文中では記載しない(サンブルークら、1989年、アウスベルら、1991年)。ライゲーション反応は、Ready−To−GoT4DNAリガーゼ(Pharmacia,スウェーデン、アップサラ)を用いて実施した。PCR反応はMiniCycler(MJ Research社、米国、マサチューセッツ州ウォータタウン)上で実施した。DNAシーケンシング反応は、ThermoSequenase染料ターミネータサイクルシーケンシングキット(Amersham Pharmacia Biotech)を用いて実施し、試料はABI377DNAシーケンサー(PerkinElmer、米国、カリフォルニア州フォスターシティ)を用いて製造業者の指示に従って解析した。
【0052】
実施例1:S.aureusショットガンファージディスプレイライブラリの構築
S.aureusショットガンファージディスプレイライブラリは、JacobsonおよびFrykberg(1996年、1998年)に記載の原理で構築した。すなわち、S.aureusのNewman株の染色体DNAを調製し、様々な時間で超音波処理することにより断片化した。超音波処理されたDNAをアガロースゲル上で分析し、0.5〜5kbの範囲のDNA断片をT4DNAポリメラーゼで処理することによって平滑末端化した。次にこれらのDNA断片を、Ready−To−GoDNAリガーゼキット(Amersham Pharmacia Biotech)を用いてpG8SAETファージミド中に挿入した。ライゲーション材料をE.coliTG1にエレクトロポーレーションしたところ、1×10のアンピシリン耐性形質転換体が得られた。エレクトロポーレーション後の細菌の一晩培養物の一部(4ml)を感染多重度20で20分間、ヘルパーファージR408(1012プラーク形成単位/ml)に感染させ、アンピシリンを添加したLA平板上に注いだ0.5%軟寒天(LAA平板)と混合した。37℃で一晩インキュベートした後、LB中で激しく撹拌することによりファージ粒子を軟寒天から遊離させた。懸濁液を15分間遠心分離し(15,000×g)、滅菌濾過(0.45μm)した。ファージディスプレイライブラリの力価は、1.5×10コロニー形成単位(cfu)/mlであった。
【0053】
実施例2:S.aureusファージディスプレイプラスミドライブラリのvWFに対するパニング
マイクロタイターウェル(Maxisorp,Nunc、デンマーク、コペンハーゲン)を、190μlコーティングバッファ(0.05MNaHCo、pH9.5)と混合した10μlvWF(1mg/ml)でコートし、室温(RT)で撹拌しながら1時間インキュベートした。ウェルをリン酸緩衝生理食塩水、0.05%Tween20(PBS−T)で3回洗浄した。200μlのファージミドライブラリをvWFでコートしたウェルに、最終濃度100μg/mlのカゼインとともに添加した。パニングは、室温にて撹拌しながら4時間行った。PBS−Tでよく洗浄した後、結合したファージを200μlの溶離バッファ(0.05Mクエン酸ナトリウム、0.15MNaCl、pH2.0)を用いて室温で2分間溶離させた。溶離液を25μlの2Mトリスバッファ、pH8.7で中和した。様々な体積(0.001〜50μl)の溶離液を25μlの静止期E.coliTG1にLBとともに添加して最終体積を200μlに調節した。20〜30分間感染させ続けた後に懸濁液をLAA平板上に広げ、感染した細菌の数をcfu/μl溶離液として求めた。平板は37℃で一晩インキュベートした。コロニーを計数し、150個のコロニーを2枚の同一のレプリカ平板に移植し、残りのコロニーは最終体積0.5mlになるようにLB培地中に再懸濁して集めた。この懸濁液を、10μlヘルパーファージR408[1012プラーク形成単位(pfu/ml)]に感染させ、富化ファージストックを作成した。この感染細菌をLAA平板上に注がれた5mlの0.5%軟寒天と混合し、37℃で一晩インキュベートした。その後、軟寒天を掻き取り、5mlのLBを添加して、混合物をボルテックス混合し37℃で3時間激しく撹拌した。次にこのファージミドを15分間の遠心分離(15,000×g)により回収し、上清を滅菌濾過(0.45μm)した。富化ファージストックは次の再パニングに用いるが、再パニングは2時間実施することを除いては上述のパニングと同様にして実施させた。E−tagを発現しているクローンの富化およびvWFに対する3回のパニングから得られたcfuの増加を表1に示した。
【0054】
Figure 2004510428
実施例3:S.aureusファージディスプレイライブラリに由来するファージミドクローンのスクリーニングおよびシーケンシング
各回のパニングの後、150個のコロニーを2枚のレプリカ平板に同一のパターンで採取し、NCフィルタ(Schleicher&Schuell、ドイツ、ダッセル)に移植した後、抗E−tag抗体(Amersham Pharmacia Biotec)を用いてファージミド発現タグ(E−tag)の発現をスクリーンニングした。陽性のクローンからファージミドDNAを調製し、インサートのDNA配列を決定した。得られた配列のアライメントを行ったところ、互いに部分的に重なり合うことが分かった。驚くべきことに、シーケンシングを行ったインサートのどれもが、タンパク質Aと呼ばれる以前に報告されたS.aureusvWF結合タンパク質と相同性を有しなかった(Hartliebら、2000年)。様々なファージミドクローンから得られた重複インサートの代表例が図1に示されている。さらに、インサートのアライメントによって、結合活性は、26アミノ酸長配列(TSPTTYTETTTQVPMPTVERQTQQQI、配列番号:6、配列番号:4におけるアミノ酸368〜393、配列番号:3のヌクレオチド1102〜1179に相当)にマッピングされることが判明した。オープンリーティングフレームを有するインサートを有したNvWb32(図1中)と呼ばれる1つのファージミドクローンを次の研究を行うために選んだ。
【0055】
実施例4:NvWb32のファージミド粒子の活性
NvWb32のファージミドストックを以下のようにして調製した。ファージミドを保有するE.coliTG1細胞500μlに、10μlのヘルパーファージR408(1012pfu/ml)を感染させた。LAA平板上の軟寒天中で増殖させた後、ファージミド粒子を上述のようにして回収した。得られたファージストック(2×1010cfu/ml)をファージミド粒子の結合特異性を解析するための実験および阻害実験においても使用した。結合特異性実験において、200μlの希釈ファージストック(1×10cfu/ml)を未処理のマイクロタイターウェル(プラスチック)、および2μgのフィブリノーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、フォンビルブラント因子、IgG、HSAまたはカゼインのいずれかでコートしたマイクロタイターウェルに対してパニングした。室温で2時間パニングを行った後、ウェルをPBS−Tでよく洗浄し、結合したファージミドを溶離させて、上述のように溶離液のcfu/μlを決定するためにE.coliに感染させた。この実験の結果は図2に示されており、NvWb32がvWFに結合する際に特異性を有することが示されている。
【0056】
実施例5:組み換えvWbに対する抗体を用いたvWFへのNvWb32結合の阻害
ファージストックNvWb32を希釈し(5×10cfu/ml)、90μlを、組み換えvWbに対して非特異的もしくは特異的な様々な濃度のニワトリ抗体10μlと混合した(後述)。室温で1時間インキュベートした後、試料をvWFでコートしたマイクロタイターウェルに移植し(1μg/ウェル)、さらに2時間インキュベートした。ウェルをPBS−Tでよく洗浄し、結合したファージミドを溶離して、上述のように溶離液のcfu/μlを決定するためにE.coliに感染させた。図3に示したように、この実験の結果は、組み換えvWbに対して起こされた抗体がvWbのvWFに対する結合を効率的に阻害することを明確に示している。
【0057】
実施例6:S.aureus由来のvWF結合タンパク質をコードする完全な新奇遺伝子(vwb)のクローニング
S.aureusのゲノムは公開されており、TIGR微生物データベース(http:///www.tigr.org/tdb/mdb/mdbinprogress.html)のようなDNAデータベース上で入手可能である。vWbタンパク質をコードする完全な遺伝子(vwbと呼ぶ)を得るために、実施例において示された重複インサートのDNA配列のDNAインサートを用いて、TIGRのS.aureusゲノムデータベースにおける相同配列を検索した。コンピュータ検索の結果、クローンの重複インサートは、1551ヌクレオチドのオープンリーディングフレーム内に含まれることが分かった(図1)。したがって、S.aureusのNewman株から完全なvwb遺伝子を単離するために、次の2つのプライマーを設計した。P1:5’−GAATTCTCATATGATTCATGAAGAAGCC−3’(下流)、P2:5’−GAATTCGCCATGCATTAATTATTTGCC−3’(上流)。これらのプライマーをPwoDNAポリメラーゼ(Roche Molecular Biochemicals、ドイツ、マンハイム)を用いたPCR実験において、鋳型としてNewman株由来の染色体DNAとともに用いた。得られたPCR産物をT4ポリヌクレオチドキナーゼで処理して平滑末端を作り、次にベクターpUC18のSmaI部位にライゲーションした。ライゲーションの一部を次のブルー/ホワイトスクリーニングのために、E.coliDH5−α中にエレクトロポーレーションした。8個のホワイトコロニーを単離してプラスミドを調製し、それぞれのインサートを制限酵素分析、PCRおよびDNAシーケンシングによって解析した。完全な遺伝子を含む1つのクローンをさらに特徴付けした。完全なvwb遺伝子のヌクレオチド配列およびコードされたvWbタンパク質の推定アミノ酸配列をそれぞれ配列番号:3および配列番号:4に示した。
【0058】
vwb遺伝子は、推定シグナル配列を有するがグラム陽性細菌における表面タンパク質に典型的な細胞壁アンカー配列を有しない517個のアミノ酸からなるタンパク質をコードする。これによりタンパク質を細菌から取り出して、vWbを培養上清から精製することができる。
【0059】
実施例7:組み換えvWbの使用
vwb遺伝子の一部を、製造業者の指示に従ってImpactT7発現システム(New England Biolabs、米国、マサチューセッツ州)を用いて、E.coli中で組み換えvWb(rvWb)として発現させた。vwb遺伝子の中央部分をAmersham Pharmacia Biotech製のTaqDNAポリメラーゼを用いて増幅するために、PCRプライマーP3(下流プライマー:5’−TTAATACCATGGCTAACCCTGAATTGAAAGACTT−3’)およびP4(上流プライマー:5’−ATTATTATGCGTGTGATTTGAA−3’)を用いた。PCR産物をNcoIで切断し、pTYB4ベクターにライゲーションした後、E.coliBL21(DE3)pLys(S)中にエレクトロポーレーションした。発現したrvWbは、ニワトリにおける抗体を作成するため、およびrvWbをHiTrapカラム(Amersham Pharmacia Biotech)に連結するために用いた。当該カラムを用いて、特異的な抗vWb抗体をニワトリ血清からアフィニティ精製し、様々な実験に用いた。
【0060】
実施例8:複合溶液からvWFを精製するために組み換えvWbを用いることができる
固定化rvWbを含むHiTrapカラムを用いてヒト血清からvWfをアフィニティ精製した。ヒト血清(15ml)を(予めPBSで洗浄しておいた)カラムに通し、カラムを10培体積のPBSと5倍体積のPBS−Tでよく洗浄し、0.1Mグリシンバッファを用いてpHを3.0に下げることにより結合した物質を溶離させた。溶離液を後述のようにTCA沈殿させた。ヒトvWFは、抗vWF抗体および二次HRP標識抗体を用いたウェスタンブロット内で検出した。結合した抗体は、4−クロロ−1−プロパノールを基質として検出した。この結果、組み換えvWbは血清などの複合溶液からvWFをアフィニティ精製するために用いることができることが明確に示された。
【0061】
実施例9:野生型vWbの精製
ブドウ球菌の細胞外付着タンパク質(Eap)に対する遺伝子が欠失した、S.aureusのNewman株の同遺伝子型変異株であるS.aureusのNewmanΔEap株を用いて、vWbの精製を行った。S.aureusΔEap株の培養物(100mlのTSB成長培地を含む)を対数増殖期に集菌した。遠心分離後、上清を滅菌濾過し、ニワトリ抗vWb抗体が固定化されたHiTrapカラムに通した。10倍容積のPBS−Tおよび5培容積のPBSでカラムを洗浄した後、0.1Mグリシンバッファを用いてpHを3.0に下げることにより結合した物質を溶離させた。溶離液は以下のようにしてトリクロロ酢酸(TCA)沈殿させた。1mlの溶離液に50μlの100%TCAを加え、試料を氷上で30分間維持し、微量遠心機中、14,000rpm、4℃で15分間遠心分離した。上清を捨て、ペレットを冷アセトンで洗浄し上述のようにして再度遠心分離した。上清を再度捨て、ペレットを乾燥させてpH7.4のPBS10μlに再懸濁した。精製された分泌vWbタンパク質のN末端配列は、エドマンN末端シーケンシングによって決定した。結果として得られた配列は、配列番号:2のアミノ酸36〜45に対応するVVSGEKNPYV(配列番号:17)であった。
【0062】
実施例10:vWbのSDS−PAGEおよびウェスタンブロット分析
等量のタンパク質溶液を2×サンプルバッファ(1×サンプルバッファ=62.5mM Tris−HCl、pH6.8、10%グリセロール、2%SDS、5%β−メルカプト−エタノール、および0.01%ブロモフェノールブルー)と混合し、この混合物を5分間煮沸し、これを微量遠心機中、14,000回転で5分間遠心分離することにより、ゲル電気泳動用のタンパク質試料を調製した。上清をPhast Gel勾配8〜25%または4〜15%ゲルおよびPhast Gel SDSバッファストリップを用いたPhastシステム(Amersham Pharmacia Biotech)を用いて、SDS−PAGEにより分析した。タンパク質を拡散ブロットによりニトロセルロース膜にブロットした。vWbの有無は、抗vWb抗体および二次HRP標識抗体または125I標識vWFのいずれかによって検出した。vWFを125Iで標識するために、IODO−BEADSヨウ素化試薬キット(Pierce、米国、イリノイ州ロックフォード)を用いた。結合した抗体は、4−クロロ−1−ナフトールで検出し、結合した125I標識vWFはKodak BioMax MSフィルム(Kodak、米国、ニューヨーク州ロチェスター)で検出した。この結果、vWbがS.aureusの培養上清において検出されること、およびvWFがvWbに結合することが明確に示された。
【0063】
実施例11:S.aureusの菌株におけるvwbの有無
様々のS.aureus菌株(8325−4、Wood46、O25、L141、U2、12、73)から得た染色体DNAを、Qiagen社製DNeasy Tissueキットを用いて調製した。Newman株およびS.epidermidis19株からのDNAも正の対照および負の対照として本実験において使用した。DNAをEcoRIで切断し、0.7%アガロースゲル上で分離、Vaccu Geneブロッティングシステム(Amersham Pharmacia Biotech)を用いてニトロセルロース膜にブロットした。UV固定後、フィルタを完全なvwb遺伝子をスパニングする32P標識プローブによって65℃で一晩プローブ処理した。適切に洗浄した後、フィルタをKodak BioMax MRフィルム上に−70℃で24時間載置してからフィルムを現像した。この結果、調べたすべてのS.aureus株にvwb遺伝子が存在することが分かった。
【0064】
実施例12:スタフィロコッカス・ルグドネンシス(Staphyloccus lugdunensis)ショットガンファージディスプレイライブラリの構築
S.lugdunensis2343株の遺伝子ライブラリは、JacobsonおよびFrykberg(1996年、1998年)に記載の原理で構築した。すなわち、2343株の染色体DNAを調製し、超音波処理により断片化した。超音波処理されたDNA調製物をアガロースゲル上で分析し、0.5〜5kbの範囲のDNA断片をT4DNAポリメラーゼで処理することによって平滑末端化した。次にこれらのDNA断片を、Ready−To−GoDNAリガーゼキット(Amersham Pharmacia Biotech)を用いてpG8SAETファージミド中にライゲーションした。ライゲーション材料をE.coliTG1細胞にエレクトロポーレーションしたところ、2×10のアンピシリン耐性形質転換体が得られた。エレクトロポーレーション後の細菌の一晩培養物の一部(4ml)を感染多重度20で20分間、ヘルパーファージR408(1012プラーク形成単位/ml)に感染させ、アンピシリンを添加したLA平板上に注いだ0.5%軟寒天(LAA平板)と混合した。37℃で一晩インキュベートした後、LB中で激しく撹拌することによりファージ粒子を軟寒天から遊離させた。懸濁液を15分間遠心分離し(15,000×g)、滅菌濾過(0.45μm)した。ファージディスプレイライブラリの力価は、1×1010コロニー形成単位(cfu)/mlであった。
【0065】
実施例13:S.lugdunensisファージディスプレイプラスミドライブラリのvWFに対するパニング
マイクロタイターウェル(Maxisorp,Nunc、デンマーク、コペンハーゲン)を、190μlコーティングバッファ(50mMNaHCo、pH9.7)中、最終濃度25μg/mlのヒトvWF200μlで4℃で一晩コーティングした。次に、ウェルをPBS−Tでよく洗浄した後、1mg/mlカゼインを添加したPBS−T200μlによって、室温で1時間ブロックした。PBS−Tで洗浄した後、0.1mg/mlのカゼインを添加したS.lugdunensisのファージミドライブラリ200μlを加え、ウェルを室温で4時間インキュベートした。溶離前に、ウェルをPBS−Tでよく洗浄し、200μlバッファ溶液(50mlクエン酸ナトリウム;150mMNaCl、pH2.0)で溶離した。溶離液を25μlの2MトリスHCL、pH8.7で中和した。その後、20μlのE.coliTG1の一晩培養物を、100μlまでのLBブロスを加えた溶離ファージミド粒子50μlに感染させた。37℃で20分間インキュベートした後、細胞をLAA平板上に広げた。37℃で一晩インキュベートした後、コロニーをLBブロスに再懸濁し、プールした。プールした細胞をヘルパーファージR408に室温で20分間感染させ、試料を5mlのLB軟寒天(0.5%寒天)と混合し、LA平板上に注いだ。一晩インキュベートした後、ファージミド粒子を抽出し、上述のようなもう一巡のパニングに供した。E−tagを発現しているクローンの富化およびvWFに対する2回のパニングから得られたcfuの増加を表2に示した。
【0066】
(表2)
Figure 2004510428
実施例14:vWF結合を発現しているS.lugdunensisに由来するファージミドクローンSlvW5の特異性
SlvW5のファージミドストック(図5)に、様々なタンパク質およびプラスチックに対するパニングを行った。結合特異性実験において、100mlのファージストック(1.3×10cfu/ml)を未処理のマイクロタイターウェル(プラスチック)、および30μg/mlのフィブリノーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、フォンビルブラント因子、IgG、HSAまたはカゼインのいずれかでコートしたマイクロタイターウェルに対してパニングした。室温で2時間パニングを行った後、ウェルをPBS−Tでよく洗浄し、結合したファージミドを溶離して、上述のように溶離液のcfu/μlを決定するためにE.coliに感染させた。この実験の結果は表3に示されており、SlvW5がvWFに結合する際に特異性を有することが示されている。
【0067】
(表3)ファージストック(SlvW5)を固定化リガンドに対してパニ
ングした結果
【表1】
Figure 2004510428
a アンピシリンを添加したLA平板上でのE.coliTG1細胞の感染後のコロニー形成単位(CFU)として求めた。
b 数値は平均±標準偏差(3つの別個のマイクロタイターウェルからの6試料)
c 非コーティングウェル
実施例15:S.lugdunensisファージディスプレイライブラリに由来するファージミドクローンのスクリーニングおよびシーケンシング
多数のvWF結合性クローン(図5)をさらなる研究のために選び、インサートのDNA配列を決定した。配列分析から、vWF結合性をコードする異なる重複インサートが判明した。ヌクレオチド配列をさらに分析したところ、すべてのインサートはオープンリーディングフレーム(ORF)を含んでいることが分かった。BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)プログラムを用いたコンピュータ検索で配列の相同性を解析したところ、S.lugdunensis由来のインサートはタンパク質Aとも、S.aureusのvWbあるいはデータベース中の他のどの配列とも相同性がないことが分かった。さらに、様々なクローンのインサートを比較することにより、vWF結合活性は、24アミノ酸長配列(WQYTGQTTTEDGITTHIYQRIQSE、配列番号:5)に相当する配列[図5、配列番号:1中のヌクレオチド1346〜1369]にマッピングされた。
【0068】
実施例16:S.lugdunensis由来のvWF結合タンパク質をコードする遺伝子のクローニングとシーケンシング
推定vWf結合タンパク質をコードする完全な遺伝子を単離するために、2342株の染色体DNAに対するサザンブロット分析を行った。ファージミドクローンSlvW2(配列番号:2中のアミノ酸1392〜1460)をPCR手順中で標識し、プローブとして用いた。次に4kbまでのEcoRI断片をpUC18の対応部位にライゲーションした。配列解析の結果、染色体断片は遺伝子の3’末端を含むが5’末端を欠失していることが分かった。したがって、遺伝子の残りの部分を単離するめに、EcoRIインサートの5’末端から得た断片からなるプローブを用いて、追加のサザンブロット実験を行った。サザンブロット実験からの結果に基づいて、3.2kbまでのHincII断片をpUC18のSmaI部位にライゲーションし、インサートの配列を決定した。EcoRI断片およびHincII断片のアライメントの結果、TTGコドン(ヌクレオチド22〜24、配列番号:1)で始まる6180ヌクレオチドの推定ORFが判明した。このORFの前には、開始コドンの上流の10〜17ヌクレオチドに位置する典型的なリボゾーム結合配列が存在する。vwblと呼ぶ遺伝子は、配列番号:2の2060個のアミノ酸からなるvWbl(von Willebrand−binding protein of S.lugdunensis)と呼ぶ推定タンパク質をコードする。vWblは推定シグナル配列を有し、最も可能性の高い切断部位は、アミノ酸位置47と48(配列番号:2)の間に位置する。提案されたシグナル配列に基づくと、成熟vWblは2013個のアミノ酸からなり、推定分子量は266kDaである。シグナル配列に続いて、1255個のアミノ酸からなる「A」と呼ぶ領域(図5を参照)が存在する。A領域は他のタンパク質と明確な類似性を有しないが、vWblの1134〜1136位に位置する(配列番号:2)Arg−Gly−Asp(RGD)という興味深いモチーフを有しており、このモチーフは、いくつかの病原体の細胞表面タンパク質中だけでなく哺乳動物における多くのインテグリン結合タンパク質においても見つけられている。A領域には、R1〜R10と呼ぶ10個の単位からなる反復領域が続き、該各単位は67個のアミノ酸からなる(配列番号:7〜16)。10の反復単位のアライメントを行ったところ、これらの間に高い類似性が見られた(図4)。vWblのC末端部分は、グラム陽性細菌の細胞表面結合タンパク質において認められるいくつかの特徴的な特性を有している。
【0069】
実施例17:24個のアミノ酸がvWblにおける「最小」vWf結合領域を構成する
パニング実験から得られた様々なファージイミドインサートのアライメントを行うことにより、vWf結合領域をマッピングした。これは図5に模式的に示されている。ほとんどの反復単位のあいだで高い類似性が認められた(図4)にも関わらず、異なる3つのパニング実験で得られたインサートは、R2単位(図5中のSlvW1−SlvW7)のC末端から構成されていた。アライメントに基づくと、vWblにおける「最小」vWf結合領域は、ファージミドクローンSlvW1およびSlvW5から、1413〜1436位(配列番号:2)の範囲の24個のアミノ酸からなることが分かった。しかしながら、追加パニング実験においては、パニング手順を変更した。ファージミド粒子を低pHで溶離する代わりに、E.coliTG1細胞をウェルに直接添加し、結合したファージミド粒子に感染させた後、細菌をLAA平板上で分子した。この結果、R2単位を含むクローンだけでなく、R5およびR6単位(図5中のSlvW8)の部分を含むファージミド粒子が単離された。
【0070】
実施例18:ファージミドクローンSlvW5はvWfに特異的に結合し、結合は領域R1〜R3を含む組み換えタンパク質によって阻害される
vWfに対するvWblの結合性を調べるために、SlvW5に由来するファージストックを作成した。ファージストックを7種の宿主タンパク質および非コートマイクロタイターウェルに対して個別にパニングした。この検定に用いたタンパク質は、vWf、Fg、フィブロネクチン、IgG、ビトロネクチン、HSAおよびトロンボスポンジンであった。このアッセイにおいて、vWfには他のタンパク質に比べて約1000倍以上のファージミド粒子が結合した(表3)。阻害アッセイにおいては、A領域のC末端と反復単位R1〜R3(配列番号:2の1247〜1503位)からなる、vWblr3と呼ばれる精製組み換えタンパク質とともに、上記と同じファージストックを使用した。vWblr3は、ファージストックの添加前にvWfでコートしたマイクロタイタープレート中でインキュベートした。図6に示したように、ファージ結合は、対照の約95%阻害された。
【0071】
実施例19:S.lugdunensisの臨床分離株は、vwblまたはvwblのような遺伝子を有する
S.lugdunensisの臨床分離株のあいだでのvwbl遺伝子の分布を調べるために、染色体DNAを2342株および同一種の他の11の株(G5−87,G2−89,G16−89,G6−87,G58−88,G66−88,G3A,SÅ,49/90,49/91,A251)から精製し、サザンブロット分析に用いた。DNA調製物をEcoRIで消化し、R1〜R10をカバーする精製PCR産物によるサザンブロットで検証した。すべての株はこのプローブと反応した断片を有することが分かった。さらに、各DNA試料において、反復領域のすぐ上流および下流の配列に基づいたプライマーを用いてPCRを行った。断片は10〜12個の株で増幅された。興味深いことに、PCR産物の大きさはまちまちで、vwblにおける多数の反復単位がS.lugdunensisの株の間で異なっていることが分かった。したがって、10の株は得られたPCR断片の大きさによって4つの群に分けることができた。
【0072】
文献
【0073】
【外1】
Figure 2004510428
【外2】
Figure 2004510428

【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、vWbタンパク質の模式図と、組み換えvWfに対してS.aureusファージディスプレイライブラリをパニングした後に得られた様々なファージミドクローンから単離された対応遺伝子vWbに由来するインサートのアライメントを示した図である。
【図2】
図2は、vWF結合ドメインを表しているファージミド粒子を用いた結合実験を示す。
【図3】
図3は、vWF結合ドメインを表しているファージミド粒子を用いた阻害実験を示す。
【図4】
図4はvWblのR部位における10個の反復単位(R1〜R10)のアライメントを示す。
【図5】
図5はvWblの模式図と、rvWfに対するパニング後に得られたファージミドクローン由来のインサートのアライメントを示す。
【図6】
図6は、組み換え構築物vWbl3rによる、固定化rvWfへのファージミド(SlvW5)粒子の結合の阻害を示す。

Claims (16)

  1. ブドウ球菌に由来するフォンビルブラント因子結合タンパク質またはポリペプチド。
  2. ブドウ球菌が、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)およびスタフィロコッカス・ルグドネンシス(Stapylococcus Lugdunensis)からなる群より選ばれることを特徴とする請求項1に記載のタンパク質またはペプチド。
  3. 配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:5〜17、ならびにそれらの部分からなる抗原決定基からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有する請求項2に記載のタンパク質またはペプチド。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のタンパク質またはポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む組み換えDNA分子。
  5. 配列番号:1、配列番号:3と、配列番号:2、配列番号:4、および配列番号:5〜17、ならびにそれらの部分からなる抗原決定基からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質およびペプチドをコードするヌクレオチド配列と、からなる群より選択される少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む、請求項3に記載の組み換えDNA分子。
  6. 請求項4または5に記載のDNA分子を含むプラスミド、ファージ、またはファージミド。
  7. 請求項4または5に記載の少なくとも1つの組み換えDNA分子、または請求項6に記載の少なくとも1つのプラスミド、ファージまたはファージミドを含む微生物。
  8. フォンビルブラント因子結合タンパク質またはそのポリペプチドの製造方法であって、
    −微生物中に請求項4または5に記載の少なくとも1つの組み換えDNA分子を導入する工程と、
    −前記微生物を適切な培地中で培養する工程と、
    −上記のように産生されたタンパク質をクロマトグラフィによる精製によって単離する工程とを含む方法。
  9. フォンビルブラント因子結合タンパク質またはそのポリペプチドの製造方法であって、
    −請求項1または2に記載の少なくとも1つの組み換えタンパク質をファージ粒子上で発現させて、フォンビルブラント因子結合活性を示すファージ粒子を生産する工程を含む方法。
  10. 表面へのブドウ球菌の付着を阻害する方法であって、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタンパク質または請求項13に記載の抗体を、前記ブドウ球菌を含む培地中に添加することを含む方法。
  11. ブドウ球菌は、スタフィロコッカス・ルグドネンシスおよびスタフィロコッカス・アウレウスから選べることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 固定化された、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタンパク質またはペプチド。
  13. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のタンパク質またはペプチドに特異的に結合する抗体。
  14. 請求項1〜3および12のいずれか1項に記載のタンパク質またはペプチドを含むイムノゲン。
  15. 請求項12に記載の固定化タンパク質を用いたクロマトグラフィーを含む、複合溶液からのフォンビルブラント因子の精製方法。
  16. 請求項1〜3および12のいずれか1項に記載のタンパク質またはペプチドを用いる工程を含む、複合溶液中のフォンビルブラント因子の有無の判定方法。
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