JP2004510181A - 低損失導波管及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

屈折率差の大きい導波管におけるコア/クラッド界面の平滑化及び/または導波管形状の変化を含む、散乱損失の低減方法。一例として、導波管のパターニング処理後、SOIベースのSi/SiO導波管に高温で酸化反応を与える。パターニング処理後に粗いシリコンコア表面を酸化させることにより、コア/クラッド界面が平滑化され、導波管におけるラフネス散乱が減少する。

Description

【0001】
(優先権情報)
本願は、2001年6月7日出願の米国特許出願第09/876,392号及び2000年7月10日出願の仮出願第60/217,167号の優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、光導波管(optical waveguides)の分野及び導波管製造方法に関する。
【0003】
(背景技術)
ラフネス(粗さ)散乱(roughness scattering)は、平面(プレーナ)導波管における伝送損失の主な原因の1つである。導波管のパターニング処理により発生する、コア/クラッド界面における粗さ(凹凸)が、このような散乱の一因である。平面導波管における散乱損失の低減方法は複数あり、導波管のパターニング処理後に高温で導波管をアニーリングして散乱損失を低減する方法が、以前、Japanese Journal of Applied Physics, Vol. 39, June 2000においてカシムラ他により報告された。この文献では、コアとクラッドとの屈折率差が小さい導波管(low index difference waveguide)に対する損失低減技術を報告している。GeOをドープしたシリカ(二酸化シリコン)の導波管は、コアとクラッドとの屈折率差が最大で0.02であり、上記の研究に使用された。
【0004】
ラフネス散乱は、コアとクラッドとの実屈折率差が0.1以上である、屈折率差の大きい導波管(high index difference waveguides)の場合に特に深刻である。0.1以上の実屈折率差は、コアにおける波長のほぼ2.5倍未満の導波管単一モードカットオフサイズ(cutoff dimension)に対応する。ところが、屈折率差の大きい導波管を、導波管パターニング後に平滑化処理して散乱損失を低減する従来技術は存在しない。
【0005】
SOIに基づくストリップSi/SiO導波管は、屈折率差の大きい導波管の例である。ストリップ導波管は、コアと、コアを取り囲み、屈折率がコアとは異なる1つ以上の物質を含むクラッドとを有する。SOI導波管では、高温での酸化が、粗い界面を平滑化して散乱損失を低減する1つの方法である。パターニング処理後に酸化によってシリコンの粗い表面を平滑にし、その後、酸化物を除去する方法が文献に紹介されている。ジュアン他(Juan et al., Journal of Vacuum Science Technology B, Vol. 14, No. 6, Nov./Dec. 1996)には、ミラーアプリケーションの場合のシリコン側壁の酸化による平滑が報告され、ヤハタ他(Yahata et al., Japanese Journal of Applied Physics, Vol. 37, July 1998)には、MOSアプリケーションの場合の平滑化が報告されている。しかしながら、シリコン導波管のコアを酸化によって平滑化し、ストリップ導波管の散乱損失を低減する文献は存在しない。
【0006】
Venhuizenに発行された米国特許第5,360,982号には、平滑なシリコン導波管表面を生成する、新しい導波管製造技術が記載されている。界面が平滑な導波管は、シリコン基板の局所的な酸化により形成される。この処理は、以下の点で本発明と異なる。すなわち、上記特許では、酸化により導波管を形成するのに対し、本発明では、パターニングによって導波管を形成した後に酸化ステップを組み込んでいる。
【0007】
(発明の開示)
本発明は、導波管のパターニング処理後、コア/クラッド界面を平滑化するか、導波管コアのサイズを変化させるかの少なくともいずれかの処理を導波管に施すことによる、低損失導波管の製造技術を提供する。本発明は、散乱損失の高い、屈折率差の大きい導波管システムに対して特に効果的である。例示的な実施形態による方法では、SOIベースのSi/SiO導波管のコア/クラッド界面を、導波管パターニング処理後に高温で酸化することによって平滑化する。
【0008】
本発明は、導波管パターニング処理後に、導波管コア表面を平滑化する新しい導波管製造方法を提供する。本発明は、既に製造された導波管に対して導波管コアのサイズを減少する処理を行い、コアの実屈折率、実屈折率差、及び散乱損失を低減することにより平面導波管における散乱損失を低減する方法を提供する。これは、散乱損失が、コアとクラッドとのあいだの実屈折率差の強力な関数であることによる。
【0009】
本発明により、導波管パターニング処理(例えば、フォトリソグラフィ及びエッチング)の結果生じる、Si/SiO導波管の粗いシリコンコア表面は、高温での酸化により平滑化される。シリコンコアと反応し、高温でSi/SiO導波管における表面にSiOを形成するために種々の酸化体が使用できる。
【0010】
上記の導波管コアの平滑化は、導波管のパターニング後、空気または真空以外の気体環境において100℃以上の高温でコア材料をアニーリングすることにより、粗い表面のエネルギを最小化する傾向の拡散処理(diffusive process)において達成できる。
【0011】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明の例示的な実施形態は、Si/SiO導波管のコア/クラッド界面における粗さを低減する酸化平滑化技術を提供する。図1は、導波管が形成される初期のSOIプラットフォーム100の斜視ブロック図である。上面シリコン層102が導波管のコアになり、SiO104がアンダークラッド層になる。シリコン基板106は機械的な支持のために設けられている。
【0012】
図2は、層102のフォトリソグラフィ及びエッチングを含む通常のパターニング処理後の導波管コア108を含むプラットフォームの斜視ブロック図である。コア108の側壁の粗さ110は、導波管パターニング処理に起因し、この粗さが導波管における散乱損失の原因になる。続いて、コア108を、酸化剤、例えばOまたはHO気体に対して高温でさらす。この結果、コア表面が酸化剤と反応し、図3に示すようにSiOのコーティング層112が形成される。ここで、粗い表面110の凸部分は凹部分より速く酸化するため、上記反応によりコアの粗さが減少することになる。
【0013】
反応速度は反応温度が上がると速くなる。反応温度が低すぎると、反応速度が遅すぎて十分な酸化が行えない。一方、反応温度が高すぎると、反応速度が速いために、形成されたSiOの厚さを適切に制御できない可能性がある。分単位から時間単位でSiOをnmからμmに成長させるためには、一般的な温度範囲は600から1200℃である。酸化時間は、所望のSiO厚さが形成され、所望の導波管コアサイズが得られるように慎重に選択すべきである。反応速度が温度に依存するため、この時間の選択も酸化温度に依存する。
【0014】
図4は、SiO層112を除去した後のプラットフォームの斜視ブロック図であり、平滑化後のシリコンコア表面114が示されている。あるいは、このSiO層を除去しないという選択も可能である。これは、SiO層が図3の導波管コアに対するクラッド層として作用できるからである。
【0015】
本発明の方法を用いて、他の形状の導波管コア表面、例えばリッジ導波管(ridge waveguides)を平滑化することもできる。本発明に技術により、表面粗さを生成するパターニング処理によりコアが形成されるいかなるSOI導波管も平滑化できる。
【0016】
シリコンと反応させてSiOを形成するために別の酸化体を使用することができる。反応速度は、使用される酸化体の特定種に依存するため、酸化の温度及び時間は選択された酸化体に応じて選択すべきである。
【0017】
本発明を実証するために実験を行った。SOIウェーハの厚さ0.34μmのシリコン層を厚さ1μmのSiO層の上面に配置して、これをパターニングし、ストリップ導波管のコアを得た。導波管コアのパターニングには、フォトリソグラフィ及び反応イオンエッチングを使用した。導波管コアの側壁は、パターニング処理に起因する粗さを示した。導波管に、以下のステップ、すなわち1000℃でOガスを用いて20分間の乾燥酸化ステップ、1000℃でHO及びOを用いて43分間の湿式酸化ステップ、及び1000℃でOガスを用いて20分間の乾燥酸化ステップを含む酸化反応を行った。
【0018】
SiOの大部分は、その高速反応により上記湿式酸化ステップの間に形成された。よって、このステップは実験における重要なステップである。反応後、導波管のサイズは、幅が約0.5μmで、高さが0.3μm未満であった。この単一モード導波管は、0.8dB/cm未満の散乱損失を示した。これに対し、酸化による平滑化を行わない対応サイズの導波管は、30dB/cm以上の散乱損失を示した。
【0019】
実験中、シリコンを消費してSiO層を形成するために導波管の厚さが減少した。厚さの減少の結果、コアの実屈折率、ひいてはコアとクラッドとの実屈折率差が減少した。コアとクラッドの実屈折率差が減少すると、さらに、散乱損失も減少する。これは、散乱損失が、コアとクラッドとの実屈折率差の強力な関数であるためである。
【0020】
既に製造されたSi/SiO導波管のコアに酸化反応を施してコア/クラッド界面の粗さを減少させる本発明の例示的な実施形態を示したが、水素ガスを含む気体環境において既に製造されたSi/SiO導波管のコアを高温でアニーリングすることによってもコア/クラッド界面を平滑化でき、粗度さらには損失を低減することもできる。シリコンコア材料が、粗いコア表面のエネルギを最小化する傾向の拡散処理を受けることにより、粗いコア/クラッド界面が平滑化される。
【0021】
また、既に製造された導波管のコアに酸化反応を施してコア/クラッド界面の粗さを減少させる本発明の例示的な実施形態を示したが、既に製造された導波管コアに湿式化学エッチングを行ってもコア/クラッド界面を平滑化でき、粗さ及び損失が低減できる。異方性と等方性いずれのエッチング剤も使用できる。異方性エッチング剤を用いて単結晶コア材料を平滑化する場合、コア表面の一部または全面が結晶面になることができ、この結果、原子的に平滑な表面が得られる。単結晶シリコンコアに対する異方性エッチング剤の例には、KOH(水酸化カリウム)及びTMAH(水酸化テトラメチルアメン)がある。等方性エッチング剤を用いる場合、エッチング処理によってコア表面の粗さが低減し、粗い表面のエネルギが最小化する。
【0022】
本発明をいくつかの好ましい実施形態に関して示し説明したが、その形状及び詳細に対する種々の変更、省略及び追加が,本発明の範囲を逸脱せずに可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】導波管が形成される初期のSOIプラットフォーム100の斜視ブロック図である。
【図2】一般的なパターニング処理後の導波管コア108を含む、図1のプラットフォームの斜視ブロック図である。
【図3】図2のプラットフォームの斜視ブロック図であり、コアの表面が酸化剤と反応してSiOのコーティング層が形成されている。
【図4】SiO層除去後の図3のプラットフォームの斜視ブロック図であり、平滑化後のシリコンコア表面が示されている。

Claims (47)

  1. シリコンをコアとして有する低損失導波管の製造方法であって、
    コア/クラッド界面に粗さを有する平坦ストリップ導波管を配し、
    前記コア/クラッド界面の二乗平均(RMS)粗さを低減する1つ以上の反応を前記導波管に行い、
    これにより前記導波管における散乱損失を低減する方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、前記導波管のコアはサイズが減少する方法。
  3. 請求項1に記載の方法において、前記導波管の実屈折率が減少する方法。
  4. 請求項1に記載の方法において、前記反応の1つにより、前記コアとは化学組成物の異なる反応生成物が生成される方法。
  5. 請求項4に記載の方法において、前記反応生成物が前記反応後に除去される方法。
  6. 請求項4に記載の方法において、前記反応生成物が前記反応後に前記コアと前記クラッドの間に残される方法。
  7. 請求項4に記載の方法において、前記反応生成物の屈折率は、前記コアの屈折率から前記クラッドの屈折率に変化する方法。
  8. 請求項4に記載の方法において、前記反応生成物は、前記コアの屈折率から前記クラッドの屈折率までの段階的な屈折率プロファイルを有する方法。
  9. 請求項1に記載の方法において、前記反応の1つは湿式化学反応を含む方法。
  10. 請求項9に記載の方法において、前記湿式化学反応は、水溶液中にOHイオンを有する1つ以上の異方性エッチング剤を用いて発生する方法。
  11. 請求項9に記載の方法において、前記湿式化学反応は、1つ以上の等方性エッチング剤を用いて発生する方法。
  12. 請求項1に記載の方法において、前記反応の1つは、100℃以上の高温における熱反応を含む方法。
  13. 請求項1に記載の方法において、前記反応の1つは、酸化反応を含む方法。
  14. 請求項13に記載の方法において、前記酸化反応は、その化学組成物中に酸素を含む反応体種を含む方法。
  15. 請求項13に記載の方法において、前記酸化反応は600℃以上の高温で発生する方法。
  16. 請求項13に記載の方法において、前記反応生成物が前記反応後に除去される方法。
  17. 請求項13に記載の方法において、前記反応生成物が前記反応後に前記コアと前記クラッドとの間に残される方法。
  18. 請求項13に記載の方法において、前記クラッドは空気または真空の領域を含む方法。
  19. 請求項13に記載の方法において、前記クラッドは前記反応前は空気または真空の領域を含み、前記反応後は空気または真空の領域を含まない方法。
  20. 請求項13に記載の方法において、前記クラッドは、シリコンを化学組成物中に含む材料の領域を含む方法。
  21. 請求項1に記載の方法において、前記反応の1つは、100℃以上の高温での空気以外の環境におけるアニーリングを含む方法。
  22. 請求項1に記載の方法において、前記ストリップ導波管は前記クラッドに取り囲まれた前記コアを有し、前記クラッドは、前記コアと屈折率が異なる1つ以上の物質を含む方法。
  23. 請求項22に記載の方法において、前記クラッドは二酸化シリコンの領域を含む方法。
  24. 請求項22に記載の方法において、前記クラッドは空気または真空の領域を含む方法。
  25. 請求項22に記載の方法において、前記クラッドは前記反応前は空気または真空の領域を含み、前記反応後は空気または真空の領域を含まない方法。
  26. 請求項1に記載の方法において、前記クラッドは、シリコンを化学組成物中に含む材料の領域を含む方法。
  27. 低損失で屈折率差の大きい導波管の製造方法であって、
    コア/クラッド界面に粗さを有する平坦導波管を配し、
    前記コア/クラッド界面の二乗平均(RMS)粗さを低減する1つ以上の処理を前記導波管に行い、
    これにより前記導波管における散乱損失を低減する方法。
  28. 請求項27に記載の方法において、前記屈折率差の大きい導波管の前記コアと前記クラッドの実屈折率の差は0.1以上である方法。
  29. 請求項27に記載の方法において、前記屈折率差の大きい導波管の単一モードカットオフサイズは前記コアにおける波長の2.5倍未満である方法。
  30. 請求項27に記載の方法において、前記導波管のコアはサイズが減少する方法。
  31. 請求項27に記載の方法において、前記導波管の実屈折率が減少する方法。
  32. 請求項27に記載の方法において、前記処理の1つは、前記コアと化学組成物の異なる反応生成物を生成する反応である方法。
  33. 請求項32に記載の方法において、前記反応生成物は前記反応後に除去される方法。
  34. 請求項32に記載の方法において、前記反応生成物が前記反応後に前記コアと前記クラッドの間に残される方法。
  35. 請求項32に記載の方法において、前記反応生成物の屈折率は、前記コアの屈折率から前記クラッドの屈折率に変化する方法。
  36. 請求項32に記載の方法において、前記反応生成物は、前記コアの屈折率から前記クラッドの屈折率までの段階的な屈折率プロファイルを有する方法。
  37. 請求項27に記載の方法において、前記処理の1つは、湿式化学反応を含む方法。
  38. 請求項27に記載の方法において、前記処理の1つは、100℃以上の高温における熱反応を含む方法。
  39. 請求項27に記載の方法において、前記処理の1つは、酸化反応を含む方法。
  40. 請求項39に記載の方法において、前記酸化反応は、その化学組成物中に酸素を含む反応体種を含む方法。
  41. 請求項39に記載の方法において、前記酸化反応は600℃以上の高温で発生する方法。
  42. 請求項27に記載の方法において、前記処理の1つは、100℃以上の高温での空気以外の環境におけるアニーリングを含む方法。
  43. 請求項27に記載の方法において、前記コアはその化学組成物中にシリコンを含む方法。
  44. 請求項27に記載の方法において、前記クラッドは、前記コアを取り囲み、前記コアより低い実屈折率を有する領域である方法。
  45. 請求項44に記載の方法において、前記クラッドは二酸化シリコンの領域を含む方法。
  46. 請求項44に記載の方法において、前記クラッドは空気または真空の領域を含む方法。
  47. 請求項44に記載の方法において、前記クラッドは前記処理前に空気または真空の領域を含み、前記処理後は空気または真空の領域を含まない方法。
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