JP2004509850A - 一酸化窒素吸入による治療効果の促進方法 - Google Patents
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Abstract
Description
技術分野
本発明は、肺生理学および心臓病学に関する。
【0002】
背景
一酸化窒素(NO)は、身体の多くの細胞により産生される反応性の高いフリーラジカル化合物である。NOは細胞質グアニル酸シクラーゼのヘム部分に結合し、グアニル酸シクラーゼを活性化し、また環状グアノシン3’,5’−一リン酸(cGMP)の細胞内濃度を上昇させることにより、血管拡張を誘導することで血管平滑筋を弛緩させる。
【0003】
吸入されたNOガスは、ヒトおよび動物の肺血管の選択的な血管拡張物質として作用する。したがってNOの吸入は、肺の高換気領域における血管拡張の促進に用いられている。急性呼吸促迫症候群(ARDS)では、肺組織に換気障害があると動脈血の酸素化が低下する。一酸化窒素の吸入は、ARDS患者における酸素化を改善することがある。これは、肺の高換気部分において血管を拡張し、血流を高換気領域に向かって再分布させる、すなわちほとんどNOの届かない低換気領域から血流を離すことで起こる。しかしARDS患者の30〜40%では、NOを吸入させても動脈の酸素化を改善することはできない(Bigatelloら、1994、Anesthesiology 80:761〜770;Dellingerら、1998、Crit. Care Med. 26:15〜23)。どのARDS患者がNO吸入に反応しないか、またはどの患者が一過的にのみ反応するかということを予測することは困難である。しかし、敗血症を併発している最大60%のARDS患者が、吸入されたNOに反応しないことが報告されている(Krafftら、1996、Chest 109:486〜493)。
【0004】
正常肺の脈管は、肺胞低酸素に反応して収縮する。ARDSなどの肺損傷のある患者では、低酸素性肺血管収縮(HPV)は、血流を低換気(低酸素状態)の肺または肺領域から離して、高換気(正常酸素状態)の肺領域へ再分布させることで、体動脈の酸素化のレベルを上げる。敗血症およびエンドトキシン血症はHPVを低下させ(Hutchinsonら、1985、J. Appl. Physiol. 58:1463〜1468)、動脈の酸素濃度を大きく低下させる。このような全身の酸素化レベルの低下は生命を脅かす恐れがある。一酸化窒素の吸入は、高換気肺領域で血流を上昇させることで、敗血症における動脈血の酸素化を改善すると考えられる。しかし実際にはNOの吸入がHPVを低下させるために、敗血症におけるNO吸入は無効な場合が多く、またときには有害な場合がある。これについては例えばガーラック(Gerlach)ら、1996、「急性肺損傷における一酸化窒素吸入のレベル低下(Low levels of inhaled nitric oxide in acute lung injury)」、p271〜283、「一酸化窒素と肺(Nitric Oxide and the Lung)」、(ZapolおよびBloch編)、Marcel Dekker Inc、New Yorkを参照されたい。
【0005】
内因性のNOは、酸素の存在下でL−アルギニンをL−シトルリンへ変換する一酸化窒素合成酵素によって産生される(Knowlesら、1994、Biochemistry 298:249〜258)。3種類の異なる形状の一酸化窒素合成酵素(NOS)の特徴が明らかにされている。神経細胞NOS (NOS1)および内皮NOS (NOS3)は構成的な酵素である。大量のNOを産生可能なNOS2として知られる誘導性NOSは、エンドトキシン(リポ多糖またはLPSとも呼ばれる)、およびサイトカインにより誘導される(Knowlesら、前掲)。さまざまな適用に対するNO吸入療法が有用であることが明らかにされているにもかかわらず、NO吸入に対する肺血管拡張の反応性の低下と、NOに関連したHPVの喪失は、急性呼吸器疾患の未だ大きな問題である。
【0006】
概要
発明者らは、肺のNO濃度の上昇が、敗血症におけるHPVの低下に必要であること、またこのようなHPVの低下を、活性酸素スカベンジャーまたはロイコトリエンブロッカーで改善できることを明らかにした。したがって発明者らは、NO吸入の血管拡張作用を維持して、肺損傷患者におけるNO吸入によるHPV低下作用を改善しながら、動脈血の酸素化を改善する方法を開発した。発明者らは、HPVの低下が単にNOによる血管拡張ではないことを確認している。発明者らはまた肺のNO、加えて他のリポ多糖誘導性薬剤濃度の上昇が、エンドトキシンで刺激したマウスにおけるNO吸入に対する肺血管拡張の反応性を低下させるのに必要なことも明らかにした。したがって発明者らは、NO吸入に対する肺血管拡張の反応性を維持する方法を開発した。
【0007】
一つの局面では、本発明は、哺乳類を対象にNO吸入に関連するHPV低下を緩和する方法、部分的に予防する方法、または、完全に予防する方法を特徴とする。一つの態様では、この方法は、治療的有効量のNOを吸入により哺乳類に投与する段階、および有効量の抗活性酸素(抗ROS)薬剤を同時に投与する段階を含む。抗ROS薬剤は例えば、N−アセチルシステイン、アロプリノール、アスコルビン酸(ビタミンC)、ビリルビン、コーヒー酸、カタラーゼ、PEG−カタラーゼ、セルロプラスム(ceruloplasm)、銅サリチル酸ジイソプロピル、デフェロキサミンメシレート、ジメチル尿素、エブセレン(2−フェニル−1,2−ベンズイソセレナゾル−3(2H)−オン;Pz51)、EUK−8、FeTMTPyP (5,10,15,20−テトラキス(N−メチル−4’−ピリジル)ポルフィナト鉄(III)塩化物)、FETPPS (5,10,15,20−テトラキス(4−スルホナトフェニル)ポルフィリナト鉄(III)塩化物)、グルココルチコイド、グルタチオン、MnTBAP (Mn(III)テトラキス(4−安息香酸)ポルフィリン塩化物)、MnTMPyP (Mn(III)テトラキス(1−メチル−4−ピリジル)五塩化ポルフィリン)、セレノメチオニン、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、ポリエチレングリコール結合SOD (PEG−SOD)、タクシフォリン(Taxifolin)(ジヒドロケルセチン;3,3’,4’,5,7−ペンタヒドロキシフラボン)、およびビタミンEである。N−アセチルシステインは好ましい抗ROS薬剤である。別の態様では、この方法は、治療的有効量を吸入により投与する段階、および有効量のロイコトリエンブロッカーを同時に投与する段階を含む。別の態様では、2種もしくはそれ以上の抗ROS薬剤、または1種の抗ROS薬剤と1種のロイコトリエンブロッカーとが、NO吸入とともに同時に投与される。
【0008】
別の局面では、本発明は、哺乳類を対象にNO吸入に対する肺血管拡張の反応性の喪失を緩和する方法、部分的に予防する方法、または完全に予防する方法を特徴とする。一つの態様では、この方法は、治療的有効量のNOの吸入により哺乳類に投与する段階、および有効量の抗ROS薬剤を同時に投与する段階を含む。別の態様では、この方法は、治療的有効量のNOを吸入により投与する段階、および有効量のロイコトリエンブロッカーを同時に投与する段階を含む。別の態様では、2種またはそれ以上の抗ROS薬剤、または1種の抗ROS薬剤と1種のロイコトリエンブロッカーとが、NO吸入とともに同時に投与される。
【0009】
特に明記した部分を除いて、本明細書で用いられるすべての科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般に理解される用語と同じ意味をもつ。矛盾が生じた場合は、定義を含め、本出願を優先する。本明細書で言及されたすべての出版物、特許、および他の文書は参照として組み入れられる。
【0010】
本発明を実施または検討するにあたって、本明細書に記載されたものと類似または等価の方法および材料が使用される場合があるが、好ましい方法および材料を以下に説明する。材料、方法、および実施例は、説明を目的とするだけであって制限する意図はない。本発明の他の特徴および利点は、詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになると思われる。
【0011】
詳細な説明
NO吸入
吸入によるNOの安全で有効な投与方法は当技術分野で周知である。これについては例えばザポル(Zapol)、米国特許第5,570,683号;ザポルら、米国特許第5,904,938号;フロステル(Frostell)ら、1991、Circulation 83:2038〜2047を参照されたい。吸入用NOは市販されている(INOmax(商標)、INO Therapeutics、Inc.、Clinton、NJ)。本発明では、NOの吸入は好ましくは確立された方法に準じる。
【0012】
吸入により投与するNOの適切な初期用量は20 ppmである。これについては例えばINOmax(商標)の添付文書(www.inotherapeutics.com)を参照されたい。しかし用量は、患者の年齢および条件、治療対象の疾患または障害、および施行する医師が関連すると考える他の因子に応じて、例えば0.1 ppm〜100 ppmの範囲で変動する場合がある。好ましくは最低有効量を吸入させる。最低有効量を経験的に得るためには、投与を20 ppmで開始した後に、血管拡張作用が失われるまで徐々に低下させてゆくとよい。20 ppmが不十分な吸入用量と考えられる場合は、NO用量を、血管拡張の有効性が認められるまで徐々に上昇させてゆくとよい。このような用量調節は当業者により日常的に行われている。本発明の利点は多くの場合、NOを単独で投与するのに必要な用量より低いNO用量で所望の治療転帰の達成が可能なことである。また、それ以外の場合、例えば敗血症による肺損傷がある場合に吸入NO反応を可能とすることができるほか、急性肺損傷の進行にかかわらず反応の維持が可能である。
【0013】
抗ROS薬剤
活性酸素(ROS)は、スーパーオキシドラジカル(O2・)、過酸化水素(H2O2)、およびヒドロキシルラジカル(OH・)を含む。本明細書で使用される「抗ROS薬剤」は、(1)活性酸素の産生を阻害する化合物、または(2)産生された活性酸素と速やかに反応することでこれを除去する化合物を意味する。本発明に有用な数多くの抗ROS薬剤が知られている。抗ROS薬剤の例には以下のような薬剤がある:N−アセチルシステイン(Mucosil(商標))、アロプリノール、アスコルビン酸(ビタミンC)、ビリルビン、コーヒー酸、カタラーゼ、PEG−カタラーゼ、カテキン、セルロプラスム(ceruloplasm)、銅サリチル酸ジイソプロピル、デフェロキサミンメシレート、ジメチル尿素、エブセレン、EUK−8、FeTMTPyP、FETPPS、グルココルチコイド、グルタチオン、MnTBAP、MnTMPyP、セレノメチオニン、スーパーオキシドジスムターゼ、PEG−スーパーオキシドジスムターゼ、タクシフォリン(Taxifolin)、およびビタミンE。本発明のいくつかの態様では、2種またはそれ以上の抗ROS薬剤が組み合わせて使用される。好ましい抗ROS薬剤はN−アセチルシステイン(MUCOSIL(商標)、Dey、Napa、CA)であり、これは例えば従来のネブライザーを使用するエアロゾルとしての吸入に適した無菌性溶液(10%または20%)として市販されている。
【0014】
数種の抗ROS薬剤は、NOとスーパーオキシドとの反応で産生される、毒性のある活性窒素である過酸化亜硝酸も除去する。活性窒素を除去することで、NO吸入に関連したHPV低下、およびNO吸入に対する肺血管拡張反応性の喪失を緩和したり、部分的に予防したり、または完全に予防したりすることができる。
【0015】
抗ROS薬剤の投与量および投与経路は、使用される特定の薬剤によって変わる。さまざまな抗ROS薬剤の安全で有効な投与量および投与経路は当技術分野で周知である。これについては例えば「医師用添付文書集(Physician’s Desk Reference;PDR(登録商標))」、臨床薬理学2000(Clinical Pharmacology 2000)、Gold Standard Multimedia(http://cp.gsm.com/fromcpo.asp)、または業者の添付文書を参照されたい。
【0016】
好ましい抗ROS薬剤は、MUCOMYST(商標)、MUCOSIL−10(商標)、およびMUCOSIL−20(商標)として市販されているN−アセチルシステインである。N−アセチルシステインの適切な投与経路には、経口投与、直腸内投与、エアロゾルのネブライザーによる投与、および静脈内投与がある。超音波または従来のネブライザーを使用してN−アセチルシステインを投与することができる(N−アセチルシステインは、特定の材料、例えば鉄、銅、およびゴムと反応するので、N−アセチルシステインに接触するネブライザー装置のあらゆる部分はプラスチックまたはガラスで作製すべきである)。N−アセチルシステイン(MUCOSIL(商標))の例示的な投与方法には、以下の方法などがあるがこれらに限定されない:
【0017】
20時間の静脈内投与:
150 mg/kg (200 mlのD5Wに希釈)の15分間以上の静脈内投与に続いて、50 mg/kg (500 mlのD5Wに希釈)の4時間以上の静脈内投与、さらに100 mg/kg (1000 mlのD5Wに希釈)の16時間以上の静脈内投与。
【0018】
48時間の静脈内投与:
140 mg/kg (D5Wに1:5で希釈)の1時間以上の静脈内投与に続いて、最初の12回は70 mg/ml (D5Wに1:5に希釈)のローディング投与を4時間かけて行い、その後に総用量980 mg/kgを4時間毎に行う。48時間の投与の各用量は1時間以上かけて静脈内投与する。
【0019】
フェイスマスク、マウスピース、または気管切開による噴霧:
成人および青年:5〜10 mlの20%溶液、または10〜20 mlの10%溶液を6〜8 時間毎。
小児:3〜5 mlの20%溶液、または6〜10 mlの10%溶液を6〜8時間毎。
幼児:1〜2 mlの20%溶液、または2〜4 mlの10%溶液を6〜8時間毎。
【0020】
テントおよびcroupetteを使用した噴霧:
成人および小児:濃厚なミストをもたらす十分量の10%または20%溶液(最大300 mlが必要とされる場合がある)。
【0021】
小児に対する経口投与または経腸投与:
5〜30 mlの10%溶液の1日3〜6回投与(例えば10 mlの1日4回投与)。
【0022】
好ましくは、抗ROS薬剤の投与は、NO吸入の開始と同時に始める。抗ROS薬剤投与の期間は、使用される薬剤、およびNO吸入の期間によって変わる。
【0023】
ロイコトリエンブロッカー
ロイコトリエンは、白血球内に天然に存在する生物学的に活性のある化合物の一つのクラスである。ロイコトリエンは、ヒスタミンによるものと似たアレルギー反応および炎症反応を生じる。アラキドン酸は、5−リポキシゲナーゼ(5LO)および5LO−活性化タンパク質(FLAP)の作用によりロイコトリエンA4に変換される。ロイコトリエンA4は、速やかにロイコトリエンB4(LTB4)、およびロイコトリエンC4 (LTC4)に変換される。LTC4は次にロイコトリエンD4 (LTD4)およびE4 (LTE4)に変換される。LTC4、LTD4、およびLTE4は、システイルロイコトリエンとも呼ばれ、CysLT1受容体およびCysLT2受容体と相互作用する。本明細書で使用される「ロイコトリエンブロッカー」は、以下の化合物を意味する:(1)ロイコトリエン生合成経路の一段階を阻害する化合物;または(2)ロイコトリエン受容体の活性化を抑制する化合物。ロイコトリエンブロッカーの例には以下の化合物がある:モンテルカスト(montelukast)(SINGULAIR(登録商標);Merck;選択的な経口活性ロイコトリエン受容体拮抗剤)、ザフィルカスト(zafirlukast)(ACCOLATE(登録商標);AstraZeneca;選択的なペプチドロイコトリエン受容体拮抗剤)、ザイリュートン(zileuton)(ZYFLO(登録商標);Abbott;5LOの経口活性阻害剤)、プランクラスト(prankulast)、MK−571、MK−591、MK−886、BAYx1005、シナルカスト(Cinalukast)、ポビルカストエダミン(Pobilukast edamine)、MK−679、およびZD2138。本発明のいくつかの態様では、2種またはそれ以上のロイコトリエンブロッカーを組み合わせて使用する。好ましいロイコトリエンブロッカーは、選択的で経口活性のあるロイコトリエン受容体拮抗剤モンテルカスト(SINGULAIR(登録商標));ロイコトリエンD4(LTD4)およびロイコトリエンE4(LTD4)の選択的で競合性のある受容体拮抗薬ザフィルカスト(ACCOLATE(登録商標));および5LOの経口活性阻害剤ザイリュートン(ZYFLO(登録商標))である。
【0024】
ロイコトリエンブロッカーの投与量および投与経路は、使用される特定の薬剤によって変わる。さまざまなロイコトリエンブロッカーの安全で有効な投与用量および投与経路は当技術分野で周知である。これについては例えば、「医師用添付文書集(Physician’s Desk Reference)(PDR(登録商標))」、または業者の添付文書を参照されたい。例えば、ヒト成人におけるザフィルカスト(ACCOLATE(登録商標))の好ましい用量は、20 mg、1日2回の錠剤による経口投与である。別の例では、ヒト成人におけるモンテルカスト(SINGULAIR(登録商標))の好ましい用量は、10 mg、1日1回の錠剤による経口投与である。
【0025】
好ましくは、ロイコトリエンブロッカーの投与は、NO吸入の開始と同時に始める。ロイコトリエンブロッカーの投与期間は、使用される薬剤、およびNO吸入の期間によって変わる。
【0026】
肺損傷
本発明は一般に、NO吸入中に有利に使用することができるが、急性呼吸促迫症候群(ARDS)を含む急性肺損傷患者における酸素化の改善に特に有用である。急性肺損傷の例には以下のようなものがある:びまん性の肺感染(例えばウイルス、細菌、真菌);誤飲(例えば胃内容物、溺水時の水、新生児では胎便);毒物または刺激物(例えば塩素ガス、NO2煙、オゾン、高濃度の酸素)の吸入;麻薬の過剰使用による肺水腫(例えばヘロイン、メサドン、モルヒネ、デキストロプロポキシフェン);麻薬以外の薬物による作用(例えばニトロフラントイン);宿主抗原に対する免疫応答(例えばグッドパスチャー症候群、全身性エリテマトーデス);肺以外で開始された過程(例えばグラム陰性菌敗血症、出血性膵炎、羊水塞栓症、脂肪塞栓症)に対する全身反応と関連する、血圧低下による胸部以外の外傷による作用(「肺ショック」);ならびに肺挫傷、肺移植、心肺バイパス手術による肺損傷、および肺切除術後の肺水腫を含む外傷後肺損傷。
【0027】
HPVの低下
本発明の方法は、NO吸入に関連したHPV低下の緩和、部分的な予防、または完全な予防に有用である。既存のHPV低下の徴候には、患者が青くなることで明らかになることがある低血液酸素化(低酸素血症)、オキシメトリー飽和レベルの低下、精神状態の変化、神経の機能障害、呼吸困難、頻拍、および血圧低下などがある。既存のHPV低下の症状には息切れや胸痛などがある。HPVの障害または低下の診断は当技術分野の範囲に含まれる。
【0028】
HPVの障害または低下の発生にリスクのある患者には、敗血症の患者、および肺炎症が疑われる患者が含まれる。肺の炎症は、肺炎または急性呼吸促迫症候群などの状態から生じる場合がある。
【0029】
NO吸入に対する反応性の低下
本発明の方法は、NO吸入に対する肺血管拡張反応性の喪失の緩和、部分的な予防、または完全な予防に有用である。NOに対する肺血管拡張反応性が失われるということは、NOが酸素化を上昇できないこと、または肺動脈圧(PAP)を低下できないことを意味する。PAPを低下できないことを示す徴候には、心拍出量の減少、ならびに右心不全、ショック症状、水腫、および浮腫などがある。
【0030】
NO吸入に対する肺血管拡張反応性を失うリスクのある患者には、敗血症の患者、および肺炎症が疑われる患者が含まれる。肺の炎症は、肺炎または急性呼吸促迫症候群などの状態から生じる場合がある。
【0031】
実験に関する情報
実施例1:抗ROS薬剤とNOに対する肺血管反応性の低下
実験的な証拠は、活性酸素および活性窒素のスカベンジャーが、エンドトキシンで刺激したマウスでみられる、NO吸入に対する肺血管反応性の低下を予防することを示すことで得られた。このような実験はNOS2欠損マウスを対象に行われ、NO以外のエンドトキシン誘導性因子とともに長期NO吸入を行ったところ、続くNO吸入に反応して肺の脈管の拡張能力が低下した。NO吸入に対する反応性は、U46619で事前に萎縮させたマウスの単離潅流肺を対象に評価を行った。野生型マウスをエンドトキシンで刺激してから16時間後に肺を単離したところ、NO吸入に対する反応性が低下していた(図2A)。エンドトキシンを投与したNOS2欠損マウスでは、NO吸入に対する反応性の低下は認められなかった(図2B)。野生型マウスを20 ppmのNOに曝露させた16時間後に肺を単離したところ、NO吸入に対する反応性の低下は認められなかった。エンドトキシンを投与して、20 ppmのNOに16時間曝露させたNOS2欠損マウスでは、NO吸入に対する反応性の低下が認められた(図3)。エンドトキシンではなく生理食塩水を投与して、20 ppmのNOに16時間曝露させたNOS2欠損対照マウスでは、NO吸入に対する反応性の低下は認められなかった。エンドトキシンを投与した野生型マウスでは、N−アセチルシステイン(図5)、ジメチル尿素、EUK8、およびカタラーゼを含む、活性酸素および活性窒素のスカベンジャーは、NO吸入に対する反応性低下を予防した。N−アセチルシステインは、エンドトキシンで刺激した野生型マウスでNO吸入を延長しても、NO吸入に対する肺血管反応性の低下を予防した(図6)。
【0032】
図5に示す実験結果から、NO吸入に対する反応性が、エンドトキシンで刺激したN−アセチルシステインを投与した野生型マウスで維持されることがわかる。図6に示す実験結果から、N−アセチルシステインによる防御効果の元となる機構を、肺におけるエンドトキシン誘導性のNOS2発現の抑制に単純に関連づけられないことがわかった。
【0033】
方法および材料
以上の調査は、マサチューセッツ総合病院の「実験動物の取り扱いに関する小委員会(Subcommittee for Research Animal Care)」により承認された。表1に列挙して概説したように、計78匹の成体の雄マウス(20〜35 g)を対象とした。NOS2欠損マウス(MacMickingら、1995、Cell 81:641〜650)は、ネイサン(Carl Nathan)博士から供与された。同じバックグラウンドをもつマウス(親系列がSV129およびC57 Black/6のF1世代)を野生型マウスとして使用した(Hickeyら、1997、FASEB J. 11:955〜964)。
【0034】
単離、潅流、換気したマウス肺モデル
マウスの腹腔にペントバルビタールナトリウム(200 mg/kg 体重)を注射して殺し、37℃の水ジャケット付きのチャンバー(Isolated Perfused Lung Size 1 Type 839;Hugo−Sachs Elektronik、March−Hugstettcn、Germany)内に置いた。気管を単離して挿管し、従量式換気装置(モデル687;Harvard Apparatus、South Natick、MA)を、呼吸回数が85回/分の換気速度、および終末呼気圧を2 cm H2Oに設定して、肺を21% O2、6% CO2、および73% N2で換気した。1回換気量を調節することで、最大吸気圧を各実験で10 cm H2Oとした。肺を正中胸骨切開で露出し、結紮糸を大動脈肺動脈流出路の周囲に配した。10 IUのヘパリンを右心室に注入後、肺動脈にステンレス製のカニューレ(内径 1 mm)を右心室経由で挿入した。肺静脈流出液は、僧帽弁をはさんで左心室の頂部を通して左心房に至るように配置したステンレス製カニューレ(内径 1 mm)から排出させた。左心房圧は2 mmHgに維持した。肺を、非再循環システムを用いて37℃で一定流量(50 ml kg 体重−1 分−1;Ismatec Reglo−Analogue roller pump;Laboratoriumstechnik GmbH、Wertheim−Mondfeld、Germany)で潅流した。潅流液には、1.26 mM CaCl2、5.33 mM KCl、0.44 mM KH2PO4、0.50 mM MgCl2、0.41 mM MgSO4、138.0 mM NaCl、4.0 mM NaHCO3、0.3 mM Na2HPO4、および5.6 mM グルコースを含むハンクス液(Hanks’ Balanced Salt Solution)(GibcoBRL、Grand Island、NY)を使用した。ウシ血清アルブミン、およびデキストラン(5%)(いずれもSigma Chemical Co.、St. Louis、MOから入手)を潅流液に添加して、単離、潅流、換気したラット肺における肺水腫を予防した。これはホルツマン(Holzmann)ら、1996、Am. J. Physiol. 271:L981〜L986に実質的に記載された手順に準じた。インドメタシン(30 mM)(Sigma Chemical Co.)、およびL−NAME (1 mM)(Sigma Chemical Co.)を潅流液に添加して、内因性プロスタグランジン合成およびNO合成をそれぞれ抑制した。また炭酸水素ナトリウムを添加して、潅流液のpHを7.34〜7.43に調節した。
【0035】
肺に止血または無気肺の徴候がなく、外見が均一に白い場合、また当初の10分間のベースライン潅流期間の後半5分間に潅流圧が10 mmHg未満で安定している場合は、両肺を本研究の対象とした。以上2つの基準を用いて、各群の約15%の肺調製物を試験前に廃棄した。
【0036】
肺動脈圧(PAP)および左心房圧は、生理食塩水を満たした膜圧トランスデューサー(Argon、Athens、TX)を、それぞれ流入用カニューレおよび流出用カニューレの側方ポートに接続して測定した。気道内圧(Paw)は、Yピースの直下にある吸気枝管に接続した差圧トランスデューサー(モデルMP−45−32−871;Validyne Engineering Corp.、Northridge、CA)で測定した。圧力トランスデューサーを医用増幅器(Hewlett Packard 7754B、Andover、MA)に接続し、データ収集システム(DI−220;Dataq Instruments、Akron、OH)を備えたアナログ−デジタルインターフェイスを用いてパーソナルコンピュータ上で150 Hzにおけるデータを記録した。このシステムは各実験を行う前に較正を行った。
【0037】
NOの吸入に関しては、NOガス(800 ppmまたは80 ppmのNOが窒素(Airco、Murray Hill、NJ)に含まれるもの)を、酸素、二酸化炭素、および窒素と混合して(Oxygen Blender;Bird Corporation、Palm Springs、CA)、最終濃度をO2(21%)、CO2(6%)、および所望のNO濃度とした。NOおよびNOの高次の酸化状態(NOx;CLD 700 AL;Eco Physics、Dumten、Switzerland)、酸素(Hudson Ventronics Ddivision、Temecula、CA)、および二酸化炭素(Datex CO2 monitor;Puritan−Bennett Corpration、Los Angeles、CA)の濃度は連続的にモニタリングした。
【0038】
リポ多糖刺激後におけるNO吸入に対する肺血管の反応性
野生型マウスおよびNOS2欠損マウスの腹腔に、生理食塩水に溶解した50 mg/kg(体重)の大腸菌0111:B4リポ多糖(LPS;Difco Laboratories、Detroit、MI)を注射し、16時間後に単離肺の潅流を行った。この時点を選択した理由は、ラットを対象とした過去の実験で用いられていたからである(Hoizmannら、1996、Am. J. Physiol. 271:L981〜L986)。対照には、未処置の野生型マウスおよびNOS2欠損マウスを使用した。
【0039】
最初の10分間のベースライン潅流期間後に、肺血管の収縮を、トロンボキサンA2類似体U−46619 (Cayman Chemicals、Ann Arbor、MI)の持続注入により誘導した。注入速度は、5 mmHgまたは6 mmHgでPAPが安定に上昇するように調節した。次に肺を0.4 ppm、4 ppm、および40 ppmのNOで連続的に換気(各5分)することで、吸入NOに対する用量反応曲線を作成した。NO換気の各期間の後に、PAPは、NOによる上昇前のベースラインに戻った。PAPが、NO吸入の終了から5分後の時点でNO処置前の値の±10%の範囲にない場合には、U−46619の注入を再調整した。吸入NOに対する血管拡張反応(ΔPAP)は、U−46619で誘導されるPAPの上昇率(%)(NO処置前のPAP−初期ベースラインにおけるPAP)としての、吸入されたNOにより生じるPAPの変化(NO吸入から5分後のPAP−NO処置前のPAP)として測定した。
【0040】
NO曝露が吸入NOに対する肺血管反応性に及ぼす影響
4群のマウスを対象に、20 ppmのNOを16時間かけて呼吸させた。野生型マウスの1群とNOS2欠損マウスの1群の腹腔内に50 mg/kgのリポ多糖を、NO曝露の直前に注射した。他の野生型マウス群およびNOS2欠損マウス群にはリポ多糖を注射せずにNOに曝露させた。NOに曝露させてから16時間後に肺を単離し、上述の手順で潅流を行った。肺血管の収縮は、U46619を注射することで誘導し、0.4 ppm、4 ppm、および40 ppmのNOに対する血管拡張作用を測定した。
【0041】
周囲圧力下におけるNO曝露中は、マウスを40−1アクリル製チャンバー内で飼育した。NOおよびNOxの濃度は、ソーダ石灰22を使用して、新鮮なNOガス(窒素中に10,000 ppmのNOを含む;Airco、Murry Hill、NJ)、空気、および酸素を早い流速で、文献に記載された手順にしたがって慎重に制御した(Steudelら、1998、101:2468〜2477)。
【0042】
他の2つのNOS2欠損マウス群には、リポ多糖(50 mg/kg)を腹腔内投与した後に、それぞれ0.2 ppmおよび2 ppmのNOに曝露させた。16時間後に、0.4 ppm、4 ppm、および40 ppmの吸入NOにより生じる肺血管拡張の程度を測定する、単離肺を対象とした潅流実験を行った。
【0043】
肺の湿重量と乾燥重量の比
各実験の終了時に、肺門部を除く両方の肺を摘出して重量を測定した(湿重量)。次に、文献に記載された手順(Hoizmannら、前掲)にしたがって肺をマイクロ波加熱炉内で60分間かけて乾燥させ、再び重量を測定した(乾燥重量)。肺の湿重量と乾燥重量の比を、湿重量を乾燥重量で割ることで算出した。
【0044】
統計解析
すべてのデータは平均±標準誤差(SE)で表す。群間の比較は二元配置分散分析で行った。分散分析で有意差が検出されたら、計画された比較検討に対する事後的な最小有意差検定を用いた(Statistica for Windows;StatSoft、Inc.、Tulsa、OK)。統計学的有意差は、P値<0.05で推定した。
【0045】
結果
U46619を注入すると一定の潅流フローにおいてPAPの安定な上昇がみられた。これは、実験終了時点でU46619注入終了後に可逆的であった。5 mmHgまたは6 mmHg のPAPの上昇に必要なU46619の用量は、リポ多糖を事前に投与した野生型マウスとNOS2欠損マウス間で、また非投与の野生型マウスとNOS2欠損マウス間で差は認められなかった。
【0046】
リポ多糖を腹腔内に注入したマウスでは、野生型マウスとNOS2欠損マウスの両方において同程度の起毛、下痢、および嗜眠が認められた。リポ多糖注入から16時間後における死亡率は約15%であり、二系統のマウス間に差は認められなかった。
【0047】
NO吸入に対する肺血管反応
NOの吸入は、すべての群で用量依存的にPAPを低下させた。図1は、未処置の野生型マウスから単離した潅流肺の肺動脈圧(PAP;潅流圧に等しい)、および左心房圧(LAP)を測定した代表的な実験で得られた動脈圧曲線である。安定なトロンボキサンA2類似体U46619を注入すると、PAPは5 ppmまたは6 ppm上昇した。NOガスの濃度を変えて(0.4 ppm、4.0 ppm、および40 ppm)、肺を各5分間換気した。NOによる換気の終了後に、PAPはNO処置前のレベルまで戻った。この結果から、低濃度のNOガスで換気を行うことで、マウスの単離潅流肺では、肺動脈圧を測定すること、安定な肺血管収縮を誘導すること、また肺血管収縮を緩和することが可能であることがわかる。
【0048】
リポ多糖刺激を受けた野生型マウスの単離潅流肺では、PAPは、それぞれ0.4 ppmおよび4 ppmの吸入NOに反応して、未処置マウスと比べて79%および45%未満低下した(P<0.001;図2A)。40 ppmのNOに対する肺血管拡張反応は群間で差がなかった。未処置のNOS2欠損マウスにおける吸入NOに対する反応は、未処置の野生型マウスにおける反応と差はなかった。これとは対照的に、リポ多糖で刺激したNOS2欠損マウスから回収した肺では、リポ多糖を投与した野生型マウスの肺と比べて、吸入NOに対する大きな血管拡張が認められた(各NO用量においてP<0.001;図2B)。また、リポ多糖を投与したNOS2欠損マウスにおけるNO誘導性の血管拡張は、未処置のNOS2欠損マウスまたは野生型マウスと比べて促進された(各NO用量それぞれにおいてP<0.05;図2B)。
【0049】
図2Aのデータから、エンドトキシン刺激が、野生型マウスのもつ、0.4 ppmおよび40 ppmのNOの換気に反応した肺血管拡張能力を低下させることがわかる(*P<0.001)。図2Bに記載されたデータからは、エンドトキシン刺激が、吸入NOに対する肺血管拡張反応を低下させなかったことがわかる。むしろエンドトキシンは、NOS2欠損マウスの肺の脈管が有する、0.4 ppm、4 ppm、および40 ppmのNOの換気に反応した拡張能力を増強した(†P<0.05)。吸入NOに対するこのような肺血管拡張反応は、エンドトキシンで刺激したNOS2欠損マウスの方が、エンドトキシンで刺激した野生型マウスより大きかった(‡P<0.001)。
【0050】
NO吸入曝露後におけるNOに対する肺血管反応
分子状のNOが、NO吸入に対する反応性低下の発現に果す役割を調べるために、発明者らは、リポ多糖を投与したNOS2欠損マウスおよび野生型マウス、ならびに未処置のNOS2欠損マウスおよび野生型マウスを対象に、20 ppmのNOを添加した空気を16時間にわたって呼吸させた。過去のNO吸入曝露は、未処置の野生型マウスもしくはNOS2欠損マウスから回収した潅流肺、またはリポ多糖を事前に投与した野生型マウスを対象に、後に吸入させたNOに対する反応性を変えなかった。これとは対照的に、NO吸入に対する肺血管拡張反応は、空気中のNOに16時間曝露させたリポ多糖を事前に投与したNOS2欠損マウスでは、NOに曝露させなかったリポ多糖を事前に投与したNOS2欠損マウスと比べて低下した。20 ppmのNO(空気中)に16時間曝露させたNOS2欠損マウスから単離した潅流肺では、NO吸入に対する後の血管拡張反応性は、リポ多糖の事前投与後に、0.4 ppmのNO (ΔPAP−24±4% 対 −42±4%;P<0.05)、および4 ppmのNO (ΔPAP−39±5% 対 −58±4%;P<0.01)では低下したが、40 ppmのNOでは低下は認められなかった(ΔPAP−55±3% 対 −62±5%;P=有意ではない;図3)(未処置対照に対して)。過去にNO吸入曝露を受けなかったマウスと同様に、NOで誘導した血管拡張は、リポ多糖を事前に投与した野生型マウスでは、20 ppmのNOを16時間呼吸させてから肺の潅流実験を行った未処置の野生型マウスと比べて低下した(図3)。
【0051】
長期のNO曝露後に、エンドトキシンで刺激したNOS2欠損マウスでは、短期のNO吸入に対する反応性が、リポ多糖の投与を受けなかったNOS2欠損マウスと比べて低かった(*P<0.05)。同様に長期のNO曝露後に、リポ多糖を事前に投与した野生型マウスにおける短期NO吸入に対する反応性は、リポ多糖の投与を受けなかった野生型マウスと比べて低かった(*P<0.05)。以上の結果は、20 ppmのNOの長期呼吸が、未処置の野生型マウスまたはNOS2欠損マウスにおける後のNO換気に対する肺血管拡張反応を低下させないことを示している。これとは対照的に、20 ppm NOを長期にわたって呼吸させると、後のNO換気に対する肺血管拡張反応が、エンドトキシンで刺激したNOS2欠損マウスで大きく低下した(図2Bのデータと比較されたい)。
【0052】
低濃度のNOの16時間に及ぶ吸入が、肺潅流中の短期NO吸入に対する血管反応性を損なう可能性があるか否かを判定するために、リポ多糖を投与したNOS2欠損マウスを、0.2 ppmおよび2 ppmのNO吸入に曝露させた。リポ多糖の投与後に0.2 ppmのNOを16時間にわたって呼吸させると、NOS2欠損マウスにおける短期吸入NOに対する後の低反応性は認められなかった。しかし、2 ppmのNOを16時間かけて呼吸させると、0.4 ppmのNO吸入に対する血管拡張反応は、対照マウスでみられる反応と比べて低下した(P<0.05;図4)。
【0053】
肺の湿重量と乾燥重量の比
潅流後に肺の湿重量と乾燥重量の比が変化しないことから、肺水腫でないことを確認した。リポ多糖を事前に投与した野生型マウス(湿重量−乾燥重量:4.3±0.2)とNOS2欠損マウス(4.8±0.1)との間に差は認められず、未処置の野生型マウス(4.6±0.1)と未処置のNOS2欠損マウス(4.6±0.1)との間でも差は認められなかった。NO吸入に16時間曝露させても、肺の湿重量と乾燥重量の比は、非曝露マウスと比べて、リポ多糖を事前に投与した野生型マウス(4.9±0.1)と、NOS2欠損マウス(5.1±0.2)との間で変わらず、未処置の野生型マウス(4.5±0.3)と未処置のNOS2欠損マウス(4.8±0.1)との間でも変わらなかった。肺の湿重量と乾燥重量の比は、吸入NOに対する血管拡張反応と相関しなかった。
【0054】
N−アセチルシステインの作用
発明者らは、N−アセチルシステイン(NAC)による活性酸素の除去が、エンドトキシンで刺激したマウスにおけるNO吸入に対する肺の血管拡張反応の低下を予防するか否かを調べた。野生型マウスにエンドトキシン(大腸菌011:B4−LPS、50 mg/kg)を腹腔内投与した直後、また3.5時間後に生理食塩水またはNAC (150 mg/kg)を腹腔内投与した(n=5)。NACを投与した、エンドトキシンで刺激した別のマウスには、20 ppmのNOを16時間呼吸させた。
【0055】
エンドトキシンで刺激して16時間後にマウスの肺を単離し、潅流し、換気を行った。生理食塩水のみを投与して、室内の空気を呼吸させたマウスから単離した肺を対照として使用した(n=10)。肺血管収縮をU46619で誘導し、0.4 ppm、4.0 ppm、および40 ppmのNOの吸入による拡張反応を測定した。0.4 ppm、4.0 ppm および40 ppmのNOに反応した血管拡張は、エンドトキシン刺激マウスでは、それぞれ対照マウスで得られた値と比べて32±13%、43±10%、および53±8%であった(対照に対してp<0.001)(図6)。これとは対照的に、NACを投与したエンドトキシン刺激マウスにおける、NO吸入に対する血管拡張反応は、対照マウスの反応と変わらなかった(それぞれ75±14%、103±15%、および91±7%、(LPSに対してp<0.001)(図6)。NO吸入に対する反応性も、20 ppm NOに曝露させた、エンドトキシンで刺激されたNAC投与マウスでは維持されていた。これはNACが、エンドトキシン誘導性の肺NO濃度の上昇を防いだことにより、短期NO吸入に対する反応性を維持しなかったことを意味していた。以上の結果から、活性酸素のスカベンジャーとしてのNACが、NO吸入に対する反応性のエンドトキシン誘導性の低下の予防に有効であることが明らかとなった。
【0056】
実施例2:HPVと活性酸素のスカベンジャー
活性酸素のスカベンジャーが、エンドトキシン刺激マウスでHPVの低下を予防することを示す実験的な証拠が得られた。エンドトキシン誘導性のHPV低下においてNOS2が果す役割を調べるために、発明者らは、野生型マウスとNOS2を先天的に欠くマウスを対象に、左主気管支閉鎖(LMBO)後に、肺血流の再分布能力の比較を行った。この実験を実施するにあたって発明者らは、マウスのLMBOモデルを開発した。このモデルを用いることで発明者らは、エンドトキシンが完全なマウスのHPVに及ぼす影響を評価することができた。
【0057】
図7に示した結果から、左肺血流と全肺血流の比(QLPA/QPA比)の負の変化によって示されるように、肺血流を低酸素状態の左肺から離すような再分布をLMBOが生じたことがわかる。エンドトキシン刺激は、野生型マウスにおいてLMBO後に肺血流分布を著しく低下させた(*P<0.05、エンドトキシン 対 対照)が、NOS2欠損マウスではこれは認められなかった(P<0.01、野生型マウスに対して)。L−NILを最初に投与しておくと、LMBO誘導性の肺血流再分布の低下が妨げられた(#P<0.01、L−NIL非投与のエンドトキシン刺激マウスに対して)。40 ppmのNOを長期吸入させた後に、エンドトキシンを事前に投与したNOS2欠損マウスでは、エンドトキシンで刺激された野生型マウスと同様のHPV喪失が認められた(§P<0.05 NO 対 NOなし)。40 ppmのNOを22時間呼吸させた生理食塩水で刺激したNOS2欠損マウスおよび野生型マウスでは、NO吸入終了してから1時間後に測定したところ、LMBO後に肺血流を再分布する能力は保持されていた。以上の結果から、エンドトキシン誘導性のNOS2発現による、またはNO吸入による肺のNO濃度の上昇が、エンドトキシン刺激後におけるHPVの低下に必要であることがわかる。しかし、肺を高濃度のNOに長期曝露するだけでは、HPVを低下させるのに十分ではない(NO吸入を終了してから1時間後に測定)。
【0058】
発明者らは、LMBOに反応した左肺血管抵抗の増分変化ΔiLPV (HPVの尺度の一つ)を調べる実験を行った。HPVは、エンドトキシンで刺激した野生型マウスで低下した(図8)。HPVは、N−アセチルシステインを500 mg/kg投与したエンドトキシン刺激マウスでは変わらなかったが、150 mg/kgを投与した場合(エンドトキシンと同時に腹腔内投与)は変わった。HPVは、スーパーオキシド、過酸化水素、過酸化亜硝酸のすべてのスカベンジャーであるEUK−8を投与したエンドトキシン刺激マウスでは全く変わらなかった。
【0059】
上記の実験から発明者らは、NOS2の欠損が、エンドトキシン誘導性のHPV低下からマウスを予防することを発見した。発明者らはまた、活性酸素のスカベンジャーが、エンドトキシンで刺激した野生型マウスのHPVの低下を予防することを理解した(図8)。
【0060】
以上の結論を支持する6つの証拠
(1)野生型マウスでLMBOは肺血管耐性(PVR)を左肺で強化するが、エンドトキシン刺激から22時間後にはLMBO誘導性の左肺血管収縮は低下した;(2)NOに曝露させなかったエンドトキシン刺激NOS2欠損マウスでは、LMBO誘導性の左肺血管収縮は低下しなかった(図7);(3)40 ppmのNOに22時間曝露させたエンドトキシン刺激NOS2欠損マウスでは、LMBO誘導性の左肺血管収縮が低下した(図7);(4)長期のNO吸入だけではマウスのHPVは低下しなかった(図);(5)N−アセチルシステインまたはEUK−8はエンドトキシン刺激野生型マウスのHPV低下を防いだ(図8);および(6)HPVは、N−アセチルシステインを投与して20 ppmのNOに22時間曝露させたエンドトキシンで刺激した野生型マウスでは低下しなかった。
【0061】
方法および材料
マサチューセッツ総合病院の「実験動物の取り扱いに関する小委員会(Subcommittee for Research Animal Care)」の施設内承認を受けた後、発明者らは、SV129/B6F1野生型マウス(SV129マウスとC57BL/6マウスのF1世代の仔)、およびSV129野生型マウス(The Jackson Laboratory、Bar Harbor、Maine、USA)、ならびにSV129とC57BL/6の雑種のバックグラウンドをもつNOS2欠損マウス(MacMickingら、1995、Cell 81:641〜650)(C. Nathan、Cornell University、New York、NYより供与)を対象に調査を行った。追加調査として、C57BL/6のバックグラウンドに10世代にわたって戻し交配したNOS2欠損マウス(18)(C57BL/6−Nos2tm1Lau、N10−戻し交配世代;The Jackson Laboratory)、および野生型のC57BL/6を調べた。
【0062】
動物の月齢、体重、性別をマッチさせた実験群を使用した。2〜5月齢で18〜30 gの雌雄マウスを対象とした。
【0063】
グループ1:対照
SV129/B6F1野生型マウス(n=5)、SV129野生型マウス(n=7)、およびNOS2欠損マウス(n=7)の腹腔内に0.2 mLの生理食塩水を注射し、22時間後に調べた。
【0064】
グループ2:エンドトキシン投与
SV129/B6F1野生型マウス(n=5)、SV129 野生型マウス(n=6)、およびNOS2欠損マウス(n=6)を、10 mg/kgの大腸菌011B4エンドトキシン(0.2 mLの生理食塩水に溶解したもの)を腹腔内に注射した22 時間後に調べた。またC57BL/6野生型マウス(n=7)、およびC57BL/6−Nos2tm1Lauマウス(n=5)を、0.2 mLの生理食塩水に溶解した10 mg/kgのエンドトキシンを腹腔内に注射して刺激した22 時間後に調べた。
【0065】
グループ3:エンドトキシン投与+L−NIL
SV129/B6F1野生型マウス(n=5)の腹腔内に、0.2 mLの生理食塩水に溶解した10 mg/kgの大腸菌011B4エンドトキシンを注射した。エンドトキシン刺激から3時間後に、L−NIL (5 mg/kg)をマウスの腹腔内に投与した。調査は、エンドトキシン刺激から22時間後に行った。事前(22時間前)にエンドトキシンで刺激した(n=5)、または刺激しなかった(n=4)別のSV129/B6F1マウスを対象に、LMBO中に投与したL−NIL(5 mg/kg)の静脈内ボーラス投与に対する急性反応を調べた。発明者らは、腹腔内に投与するL−NILの用量を5 mg/kgとした。これは同等の用量が、げっ歯類の炎症モデルにおけるNOS2活性をインビボで有効に抑制することがわかっていたからである(Schwartzら、1997、J. Clin. Invest. 100:439〜448)。
【0066】
グループ4:4 ppmまたは40 ppmのNOの長期曝露
生理食塩水を投与したSV129野生型マウス(n=5)、およびNOS2欠損マウス(n=5)に、空気中40 ppmのNOを22時間呼吸させ、NO吸入終了から1時間後に調べた。SV129野生型マウス(n=5)、およびNOS2欠損マウス(n=5)を対象に、エンドトキシン(10 mg/kg)を腹腔内投与して刺激した後に、空気中40 ppmのNOを22時間呼吸させ、NO吸入終了から1時間後に調べた。別のNOS2欠損マウス(n=4)は、エンドトキシン(10 mg/kg)を腹腔内投与して刺激した後に空気中4 ppmのNOを22時間呼吸させ、NO吸入終了から1時間後に調べた。
【0067】
グループ5:PaO2およびPvO2の連続測定
PaO2の評価は、LMBOの前後に、SV129/B6F1野生型マウス(n=3)、およびNOS2欠損マウス(n=3)を対象に、エンドトキシン(10 mg/kg)を腹腔内投与して刺激した22時間後に連続的に行った。PvO2の評価は、LMBO前またはLMBO中に、SV129/B6F1野生型マウス(n=4)およびNOS2欠損マウス(n=4)を対象に、エンドトキシン(10 mg/kg)を腹腔内投与して刺激した22時間後に連続的に行った。生理食塩水を投与したSV129野生型マウスでは、PaO2 (n=4)およびPvO2 (n=4)をLMBO前またはLMBO中に対照条件下で、事前のエンドトキシン刺激を行わずに調べた。
【0068】
グループ6:静脈内アンギオテンシンIIの用量上昇に対する肺血管反応
エンドトキシンを投与したSV129/B6F1野生型マウス(n=5)、または生理食塩水を投与した同マウス(n=3)を刺激から22時間後に調べた。
【0069】
実験材料の調製
マウスは、ケタミンを腹腔内に注射して麻酔した(0.1 mg/g 体重)。気管切開術および動脈カテーテル法は文献の手順にしたがって行った(Steudelら、1997、Circ. Res、81:34〜41)。2 Frenchのフォガーティ(Fogarty)動脈塞栓形成用カテーテル(Baxter Healthcare Corp.、Irvine、California、USA)を接続した特注の気管内チューブ(22G Angiocath;Becton Dickinson Healthcare Systems、Sandy、Utah、USA)を気管内に挿入した。フォガーティカテーテルのバルーンチップは当初は気管内に残した。従量式の換気を、110〜120回/分の呼吸速度、FiO2=1.0、最大吸気圧=13 cm H2O、および呼気終末陽圧=2〜3 cm H2Oで開始した。右傍胸骨の開胸を行い、小血管用の超音波フロー プローブ(1RB;Transonic Instruments、Ithaca、NY)を右肺動脈の周囲に配置し、マイクロマニピュレーター(X−tra Hand;TechniTool、Plymouth、PA)を用いて所定の位置に固定した。4−0絹縫合糸を、左主肺動脈周囲に巻いて一過的に血管を閉鎖させた。肺動脈用カテーテル(PE10)を直接穿刺して主肺動脈内に挿入した。別の実験では、胸部下行動脈フロー プローブを文献の手順で配置した(Steudelら、前掲)。
【0070】
一部の調査では、右中間葉に至る肺静脈に、PE10チューブに接続してマイクロクリップで固定した30Gの針で穴を開けて左心房圧(PLA)の評価を行った。大動脈内の酸素分圧(PaO2)を測定する際には、可動性のポーラログラフ クラーク型PO2電極(LICOX A3−Revoxode、1.5 Fr.;GMS−Gesellschaft fuer medizinische Sondentechnik、Kiel、Germany)を頚動脈経由で大動脈弓に進めた。肺動脈中の酸素分圧(PvO2)を測定する際には、右心室流出路に穴をあけ、酸素電極を肺動脈に進めた。電極は、各実験の前後に大気圧の空気中で、試験用プローブバレルを用いて較正した。麻酔は、腹腔内にケタミン(0.1 mg/g 体重)、およびキシラジン(0.01 mg/g 体重)を、筋肉を弛緩させるための腹腔内パンクロニウム(0.002 mg/g 体重)とともに注射することで維持した。
【0071】
血流および血圧の測定
平均体動脈圧(PSA)、平均肺動脈圧(PPA)、および一部の試験ではPLAを、医用増幅器(Hewlett Packard 8805C、Palo Alto、CA;Siemens Sirecust 960、Danvers、MA)を用いて連続的にモニタリングした。胸部下行動脈流(QLTAF)、および右肺動脈流(QRPA)の平均は、フローメーター(T106;Transonic Instruments)に接続した小血流用プローブで測定した。一部の実験では、左心室の拡張終期圧を1.4 Fr.のミラー(Millar)カテーテルで測定した。このカテーテルは右頚動脈を介して左心室に進めた。測定したすべてのシグナルは、アナログ−デジタル変換器に転送し、コンピュータスクリーン上に表示させ、またパソコン上でデータ収集システム(DI 220;Dataq Instruments、Akron、OH)を用いて640 Hzで記録した。すべてのモニタリング装置は、各実験前に較正を行った。
【0072】
左右の肺動脈流の差の測定
QRPAおよび左肺動脈流(QLPA)の総肺動脈流(QPA)に対する寄与を評価するために、左肺動脈(QLPA)を一過的に(90秒)閉鎖した。短期の左肺動脈閉鎖中におけるQRPAはQPA(心拍出量)とみなし、QLTAFとよく相関した(r2=0.88;y=0.95x+0.38;n=9)。QLPAは、左肺動脈閉鎖中のQRPA (QPA)と、開存性左肺動脈のQRPAとの差として算出した(QLPA=QPA−QRPA)。個々の流量の絶対値を記録し、左右肺に至る流量分布の比率(QRPA/QPAおよびQLPA/QPA)を算出した。
【0073】
QPAは、左肺動脈(QLPA)の一過性の閉鎖中にQRPAを測定して評価した。これは胸部下行動脈の測定時に血流が上肢および頭部へ失われるからである。また別のフロー プローブを加えるとエラーを生じる恐れが大きくなる。というのは、マウスの大きさが小さく、マウスに対する外科的損傷およびストレスが大きくなるためである。
【0074】
一側性の肺胞低酸素
局所的(左肺)肺胞低酸素を誘導するために、フォガーティ(Fogarty)カテーテルを左主気管支に進め、直視下でバルーンチップを膨張させることで左主気管支を可逆的に閉鎖した(LMBO)。左肺の完全な萎縮が約1分以内に視認され、右肺の一過性の過膨張により確認された。PPA、PSA、およびQRPAはLMBO中に連続的に測定した。一部の実験では、萎縮した左肺を、窒素中に5% CO2 を含む気体で再膨張させ、最大気道内圧を30 cm H2Oとした。QLPAは、LMBOの前と5分後に測定した。
【0075】
アンギオテンシンIIの注入
無菌性の生理食塩水に溶解したアンギオテンシンIIを増量しながら(0.05、0.5、および5.0 ng/g 体重/分)、注入ポンプ(ポンプ11;Harvard Apparatus Co.、South Natick、MA)を用いて中心静脈カテーテルを介して注入した。PLA、PPA、PSA、およびQLTAFを連続的に測定した。
【0076】
追加的なNOの呼吸
マウスは特注のチャンバー内で飼育した(Steudelら、前掲)。このチャンバー内で、吸入酸素分圧(FiO2)を0.21として、40 ppmのNOを吸気用混合ガスに添加して、22時間自然に呼吸させた。曝露後にマウスをチャンバーから出し、麻酔誘導中は空気を呼吸させた。血行動態測定値は、チャンバーから出してから60分後に得た。測定中のマウスは、NOを追加することなく、FiO2を1.0として機械的に換気させた。
【0077】
肺血流測定値の検証
生理食塩水を投与した野生型マウス(n=5)については、発明者らは、蛍光標識微粒子の静脈内投与を用いて得られた肺血流分布の比率の同時測定値(Glennyら、1993、J. Appl. Physiol. 74:2585〜2597)を、本明細書に記載された超音波フロー プローブで得られた値と比較した。LMBO前に、50,000個の着色微粒子(15−μm NuFlow Spheres;Interactive Medical Technologies Ltd.、West Los Angeles、CA)を、凝集を防ぐための0.05% Tween−80界面活性剤を含む0.2 mLの生理食塩水に懸濁し、ボルテックスミキサーで混合後すぐに頚静脈カニューレを介して30秒以上かけて注入した。注入完了後、カテーテルを0.1 mLの生理食塩水で洗浄した。LMBOの5分後に、微粒子の注入を、異なる色の微粒子を用いて行った。マウスを殺し、肺を摘出して個別に秤量した。組織試料は、フローサイトメトリー分析で全ての微粒子カウントを調べた。左右の肺に至る肺血流の比率は、両方の肺における総球体数に対する、左右の肺に至る総球体数として算出した。
【0078】
また、生理食塩水を投与した別の野生型マウス(n=6)を対象に、肺血流のLMBO誘導性の再分布が左肺血管抵抗の上昇を反映していることを確認するために、発明者らは、下大静脈の一過性の閉鎖中にQLPAを直接測定し、左肺動脈圧と血流の関係の傾きと切片を算出した。
【0079】
肺の湿重量と乾燥重量の比
ペントバルビタール(0.1 mg/gの腹腔内投与)で安楽死させた後に、肺門部を除く両肺を摘出し、水分を拭きとり、直ちに秤量した。その後、組織をマイクロ波加熱炉内で文献(20)に記載された方法で60分間かけて乾燥させ、再び秤量した。肺の湿重量と乾燥重量の比を算出した。
【0080】
統計解析
肺血流の変化を、ベースラインの血流に対する減少率(%)で表す。群間の差は二元配置ANOVAで検出した。ANOVAで有意差が検出された場合は、事後的なフィッシャー検定を行った(Statistica for Windows;StatSoft Inc.、Tulsa、OK)。0.05未満のP値は有意差を意味する。すべてのデータは平均±SEMで表す。
【0081】
結果
一側性の肺胞低酸素が肺血流に及ぼす作用
インビボにおけるHPVを評価するために、発明者らは、肺血流の測定値の差が、左肺の一側性肺胞低酸素の前と間に得られるマウスモデルを開発した(図9A〜9C)。右主気管支を閉鎖すると、重度の低酸素となり、また血行動態が不安定化するので、発明者らは、左主気管支を閉鎖する(LMBO)こととした。これは一側性肺萎縮の安定なモデルとなる。肺血流の差は、右肺動脈の周囲に配置した超音波フロー プローブを用いて開胸中に測定し、また左右肺間における流量分布は、左肺動脈を一過的に閉鎖することで評価した(図9A〜9C)。
【0082】
図9A〜9Cは、LMBO前(図9A)、LMBO開始時(図9B)、およびLMBO開始から5分後(図9C)に、一過的に左肺動脈(LPA)を適宜閉鎖して測定した肺および全身の血行動態の代表的な動脈圧曲線である。左肺動脈流を一過的に閉鎖しても、全身性の血行動態作用は何ら生じなかった(図9A)。肺全体の萎縮はLMBOの約1分後にみられた。生理食塩水を投与した野生型マウスを対象に、右肺動脈を介した平均流量(QRPA)、平均肺動脈圧(PPA)、平均体動脈圧の平均(PSA)、および平均気道内圧(PALV)のベースラインとLMBO後におけるオンライン記録を示す。左右の肺動脈間の血流分布を評価するために、左肺動脈を一過的に閉鎖した。この時点ではQRPA=QPAとなる(図9Aおよび図9Cを参照)。QPAとQRPAとの差はQLPAに等しい。測定値は、ベースラインとLMBO開始から5分後に得た。矢印は、閉鎖(90秒間)、および左肺動脈の解放を意味する。以上の代表的な動脈圧曲線は、マウスの肺血流分布をインビボで測定できることを意味している。
【0083】
図10A〜10Cは、マウスの肺血流分布を測定する方法の検証に用いた実験的アプローチを示す。図10Aは、蛍光微粒子(直径15 μm)の静脈内注入により、また超音波フロー プローブを用いたQRPAの同時測定により評価された左肺または右肺に至る肺血流率(%)に相関があることを示す。後者の方法では、左右の肺動脈間で異なる血流分布を、左肺動脈を一過的に閉鎖することで評価した。値は、LMBOの前後における左右の肺に至る流量比として表す(生理食塩水を投与した野生型マウス;n=4)。2つの方法がよく一致することに注意されたい(r2=0.967)。図10Bは、生理食塩水を投与した野生型マウス(n=6)を対象に、LMBOの前(ベースライン)と、LMBO開始から5分後における左肺の流量と圧力の関係を調べた実験の結果を示す。LMBOにより誘導される左肺血管抵抗の増分の上昇を意味する傾きに有意な上昇がみられることに注意されたい。以上の調査では、左肺動脈流(QLPA)は、超音波フロー プローブを用いて直接測定し、その傾きは、下大静脈を一過的に閉鎖して得たQPAを差引くことで得た(P<0.05、傾きはベースラインに対して異なる)。図10Cは、生理食塩水を投与した野生型マウス(n=3)を対象に、萎縮した左肺の再拡張中における左肺全体の肺血管抵抗(TLPVR)の変化を示す。左肺は、最大吸気圧が30 cm H2Oになるまで5% CO2(窒素中)を連続注入して膨張させた。値は、個々の信頼区間を95%とした、全データ点の線形回帰として表す。以上の結果から、LMBO後の肺血流の再分布は低酸素には関連づけられるが、左肺の萎縮には関連づけられないことがわかった。
【0084】
LMBO前には、血行動態パラメータは、野生型マウスとNOS2欠損マウスとで変わらなかった。LMBO開始の5分後に、QLPA/QPAは、生理食塩水を投与した野生型マウスで46±5%低下し、また生理食塩水を投与したNOS2欠損マウスで50±7%低下した(図7)。左肺動脈周囲のフロー プローブを用いてQLPAを直接測定した追加実験では、発明者らは、LMBO誘導性の肺血流の再分布が、左肺血管抵抗の102±18 mmHg・分・g・mL−1から210±38 mmHg・分・g・mL−1への上昇を反映しているという結果を得た(図10B)。LMBO誘導性の肺血流再分布は、萎縮した肺を直接観察しながら5% CO2(窒素中)で正常肺容積まで再び膨張させても、左肺の血管抵抗(LPVR)が変化しなかったことから、左肺の萎縮に関連する機械的因子に関連づけることはできなかった(n=3、図10C)。
【0085】
エンドトキシン血症が一側性の肺胞低酸素で肺および全身の血行動態に及ぼす影響
10 mg/kgの大腸菌エンドトキシンを腹腔内に注入して刺激した後、マウスには起毛および下痢を伴う嗜眠がみられた。約50%のマウスが、エンドトキシン刺激から1週間以内に死亡し、野生型マウスとNOS2欠損マウスとの間に死亡率の差は認められなかった(データは示していない)。LMBO前には、生理食塩水を投与したマウスとエンドトキシンを投与したマウス間で血行動態パラメータに差は認められなかった(図12)が、QPAは、エンドトキシンを投与した野生型マウスの方が、NOS2欠損マウスより高くなる傾向がみられた(230±35 対 120±32 μL・分−1・g−1 体重)が、この差は有意差とはならなかった。すべての試験対象のエンドトキシンで刺激した野生型マウスおよびNOS2欠損マウスのQPAを比較したところ、2つの遺伝子型間に有意差がないことが確認された(野生型マウス のQPA=180±20 μL/分/g;NOS2欠損マウスのQPA=140±15 μl/分/g;それぞれn=21およびn=15)。QPAの差は、肺血流再分布に影響を及ぼすことがあるので、発明者らは、QLPA/QPAの変化がQPAの変化に依存するか否かを検討した。線形回帰分析の結果、LMBO中はQPAとQLPA/QPAの間に相関がないことがわかった(全マウス、および全てのエンドトキシン投与マウスについてr2=0.03)(P<0.001;図7)。LMBO後にQLPA/QPAは、生理食塩水を投与した野生型マウスで46±5%低下し、またエンドトキシンを投与した野生型マウスで18±5%低下した。これとは対照的に、LMBOはQLPA/QPAを、生理食塩水を投与したNOS2欠損マウスで50±7%低下させ、エンドトキシンを投与したNOS2欠損マウスで51±6%低下させた(図7)。エンドトキシンに対する反応性は、SV129、SV129B6F1、もしくはC57BL/6野生型系列間で差は認められず、SV129/B6F1雑種バックグラウンドをもつNOS2欠損マウスと、10世代にわたってC57BL/6のバックグラウンドと戻し交配したNOS2欠損マウスとの間にも差は認められなかった(データは示していない)。
【0086】
一側性の肺胞低酸素中にエンドトキシンを血症がPaO2およびPvO2に及ぼす影響
野生型マウスおよびNOS2欠損マウスでエンドトキシン刺激後にみられるLMBO誘導性の肺血流再分布にみられる差が、動脈酸素化におけるLMBO誘導性の変化の差を反映したものであるか否かを判定するために、LMBO前およびLMBO中PaO2を連続的に測定した。エンドトキシンを投与した別の野生型マウスおよびNOS2欠損マウスでは、LMBOがPvO2に及ぼす影響も評価した。FiO2 1.0で呼吸させ、生理食塩水を投与した野生型マウス(n=4)では、5分間のLMBOにより、PaO2は432±7 mmHgから225±13 mmHgに低下した。PaO2は、エンドトキシンを投与した野生型マウスで342±23 mmHgであり、エンドトキシンを投与したNOS2欠損マウスでは347±33 mmHgであった。LMBOの5分後に、PaO2は、エンドトキシンを投与した野生型マウスの方(145±9 mmHg)が、エンドトキシンを投与したNOS2欠損マウスと比べて大きく低下した(230±18 mmHg;P<0.05;図11)。
【0087】
PvO2には、エンドトキシンを投与した野生型マウスと、エンドトキシンを投与したNOS2欠損マウスとの間で差は認められなかった(LMBO前:それぞれ39±5 mmHgおよび44±8 mmHg;LMBO後:それぞれ34±4 mmHgおよび43±7 mmHg;両群についてn=3)。
【0088】
NOS2活性の長期薬理的阻害
NOS2の長期の薬理的阻害がHPVを維持するか否かを判定するために、野生型マウス(n=5)の腹腔内に10 mg/kgのエンドトキシンを注射し、その3時間後に、NOS2活性の選択的阻害剤であるL−NIL (5 mg/kg)を腹腔内投与した。この用量のL−NILは、野生型マウスで、エンドトキシン刺激から7時間後の時点で肺のcGMP量の上昇を十分防いでいた(データは示していない)。肺血流の調査をエンドトキシン刺激の22時間後に行った。L−NILを投与した、エンドトキシンに曝露させたマウスでは、発明者らは、LMBO前の全身と肺の血行動態に、生理食塩水を投与した野生型マウス、またはエンドトキシンを投与した野生型マウスとの間に差がないことを確認した。QLPA/QPAの低下は、L−NILを投与したエンドトキシンで刺激した野生型マウスの方が、エンドトキシンのみの投与を受けた野生型マウスと比較して大きかった(それぞれ53±10% 対 18±5%;P<0.01;図7)。
【0089】
NOS2のL−NILによる短期薬理的阻害
NOS2酵素活性の短期阻害が、LMBO中にHPVを増強するか否かを判定するために、肺血流の調査を、生理食塩水を投与した野生型マウスとエンドトキシンを投与した野生型マウスを対象に、L−NIL(5 mg/kg)をLMBO後に腹腔内投与して行った。生理食塩水を投与した野生型マウス(n=5)では、短期L−NIL投与は、LMBO中にQLPA/QPAをさらに低下させることはなかった(L−NIL 投与前=49±3%、L−NIL投与後=56±3%)。他のすべての血行動態パラメータは、L−NIL注射後に変化しなかった。エンドトキシンを投与してから22時間後の野生型マウス(n=4)では、短期L−NILの投与は、LMBO中にQLPA/QPAをさらに低下させることはなかった(L−NIL投与前=22±11%の低下、L−NIL投与後=24±18%の低下)。
【0090】
4 ppmまたは40 ppmのNOの長期吸入
別のNOS2産物ではなく、肺のNO量の増加が、エンドトキシン誘導性のHPVの低下に寄与するか否かを知るために、生理食塩水を投与した野生型マウスおよびNOS2欠損マウス、ならびにエンドトキシンを投与した野生型マウスおよびNOS2欠損マウスを対象に、40 ppmのNO(空気中)を22時間にわたって呼吸させた。血行動態の調査を1時間後に行い、吸入されたNOによる潜在的な血管拡張作用が散逸するのに十分な時間をおいた。40 ppmのNOを22時間呼吸させても、生理食塩水を投与したマウスのHPVとNOS2欠損マウスのHPVは低下しなかった。LMBO後におけるQLPA/QPAの低下は、22時間に及ぶ40 ppmのNOの呼吸後において、生理食塩水を投与した野生型マウスでは51±10%であり、生理食塩水を投与したNOS2欠損マウスでは50±11%であった(図7)。心拍数にわずかな差がみられたことを除いて、LMBO前の血行動態に他の差は、40 ppmのNOを22時間かけて長期吸入曝露させた、エンドトキシンを投与したマウスと、生理食塩水を投与したマウスとの間に認められなかった(図12)。長期にわたる40 ppm NOの吸入後に、エンドトキシンを投与したNOS2欠損マウスにおけるHPVの減弱は、追加的なNOを呼吸させなかったエンドトキシンを投与したNOS2欠損マウスと比べて顕著であった(QLPA/QPAの低下はそれぞれ20±7% 対 50±1%;P<0.05;図7)。これとは対照的に、長期NO吸入は、野生型マウスのエンドトキシン誘導性のHPV低下には影響しなかった(QLPA/QPAの低下:40 ppm NOを22時間呼吸させたエンドトキシンを投与させた野生型マウスで19±10%、これに対し、NO曝露のないエンドトキシンを投与した野生型マウスでは18±5%;図7)。これとは対照的に、4 ppmのNOを22 時間呼吸させても、エンドトキシンを投与したNOS2欠損マウスでHPVは低下しなかった(QLPA/QPAの低下:62±2%;n=4)。
【0091】
アンギオテンシンIIに対する肺血管反応性
エンドトキシンがHPVに及ぼす影響を、肺血管収縮機能に及ぼすエンドトキシンの非特異的な作用に関連づけられるか否かを判定するために、発明者らは、生理食塩水を投与した野生型マウス、およびエンドトキシンで刺激後22時間における野生型マウスを対象に、アンギオテンシンIIの静脈内用量の上昇に対する肺血管収縮反応を測定した。アンギオテンシンII (5.0 μg/kg/分)を投与すると、PVRは、生理食塩水を投与した野生型マウス(エンドトキシン非投与)ではベースラインにおける74±24 mmHg・分・g・mL−1から184±25 mmHg・分・g・mL−1に上昇し(P<0.01)、またエンドトキシンで刺激した野生型マウスでは55±11 mmHg・分・g・mL−1から174±40 mmHg・分・g・mL−1に上昇した(P<0.001)。任意のアンギオテンシンII注入用量レベルにおいて、エンドトキシンを投与したマウスと生理食塩水を投与したマウスとの間にPVRの差は認められなかった。ベースラインにおけるPLAは、生理食塩水を投与した野生型マウス(6±1 mmHg)と、エンドトキシンを投与した野生型マウス(5±1 mmHg)との間で差はなく、またPLAは、いずれの群でもアンギオテンシンII注入に反応した変化は認められなかった。
【0092】
肺の湿重量と乾燥重量の比
肺の湿重量/乾燥重量の比は、エンドトキシンで刺激した野生型マウス(湿重量/乾燥重量:5.0±0.5)とNOS2欠損マウス(4.6±0.2)間で差はなく、生理食塩水を投与した野生型マウス(4.6±0.1)と生理食塩水を投与したNOS2欠損マウス(4.5±0.1)間でも差はなかった。4 ppmまたは40 ppmのNOを22時間呼吸させても、肺の湿重量と乾燥重量の比に変化は認められなかった。
【0093】
実験の概要および解釈
敗血症におけるHPV低下にNOおよびNOS2が果す役割を調べるために、発明者らは、LMBOにより生じる一側性の肺胞低酸素に反応した肺血流再分布を評価するマウスのインビボモデルを開発した。エンドトキシンに曝露しなかったマウスでは、LMBOは左肺のPVRを2倍にすることで、左肺血流を右肺に50%を迂回させ、PaO2を若干低下させた。開胸時に超音波フロー プローブで測定されたマウスの肺血流分布の変化は、蛍光微粒子の静脈内注入で得られた測定値と強く相関しており(図10A参照)、大型動物モデルを対象に研究を行っている研究者によって報告された値と同等であった(Dominoら、1984、Anesthesiology 60:562〜566;Spragueら、1992、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:8711〜8715)。
【0094】
エンドトキシンで刺激してから22時間後の野生型マウスでは、発明者らは、肺の局所的な低酸素に応じて肺血流を再分布する能力が大きく低下しており、体動脈の酸素化の顕著な悪化に至ることを認めた。このようなマウスにおけるエンドトキシン誘導性の肺血流再分布の低下は、生菌(Fischerら、1997、Am. J. Respir. Grit. Care Med. 156:833〜839)またはエンドトキシン(Hutchisonら、1985、J. Appl. Physiol. 58:1463〜1468)による静脈内刺激後の覚醒状態のヒツジで観察された結果と同等である。
【0095】
エンドトキシン誘導性のHPV低下は、血管運動性の収縮装置の非特異的な機能不全に起因するのではないようであった。というのは、発明者らは、アンギオテンシンIIのもつ、肺の脈管系の収縮能力に、エンドトキシンで刺激したマウスと生理食塩水を投与したマウスとの間で差がないことを確認したからである。また、エンドトキシンがマウス肺の脈管系に及ぼす有害な作用は、エンドトキシンの投与から14日後におけるHPVの回復と可逆的であった(データは示していない)。
【0096】
エンドトキシンで刺激してから22時間後のNOS2欠損マウスでは、LMBO中にHPVは低下せず、体動脈の酸素化は維持されていた。同様にHPVは、エンドトキシン刺激の3時間後に、NOS2酵素活性の特異的阻害剤であるL−NILを投与した野生型マウスで維持されていた。以上の結果から、NOS2酵素活性が、エンドトキシン誘導性のHPV低下の誘導に極めて重要なことがわかる。
【0097】
LMBO直後のL−NILの短期投与はHPVを回復しなかったので、エンドトキシン刺激から22時間後の野生型マウスにおけるHPVの低下が、肺NO量が過剰であることと結びつく可能性は低い。以上の結果から、エンドトキシン誘導性の肺のNOS2発現が、HPVの低下に必要であるが、NOS2活性の継続は、エンドトキシン刺激から22時間後に測定されるHPVの低下に必要でないことがわかる。
【0098】
特定の条件では、NOS2は、NOのほかにスーパーオキシドを産生する(28)。発明者らは、NOS2により産生されるNOが、エンドトキシンで刺激したNOS2欠損マウスに肺のNO量を吸入補充することでエンドトキシン誘導性のHPV低下に寄与するか否かを調べた。NOS2欠損マウスをエンドトキシンで刺激し、さまざまな濃度のNOを含む曝露用チャンバー内で22時間飼育した。LMBOに反応した肺血流再分布は、チャンバーから出してから1時間後に測定した。この時点までには、肺のNO量が上昇することはないと予測される。40 ppmのNOを呼吸させたエンドトキシンで刺激したNOS2欠損マウスではHPVは低下していた(図7を参照)。これとは対照的に、4 ppmのNOを22 時間呼吸させても、エンドトキシンを投与したNOS2欠損マウスでHPVは低下しなかった。以上のデータは、著しく上昇した肺のNO量(NOS2により内因的に産生されたNO、または吸入により供給されたNO)が、HPVの低下に必要であることを示唆している。マウスを対象に発明者らが得た結果をヒトに外挿するのであれば、発明者らの研究の重要な臨床上の意味は、高濃度の吸入NOの、肺に炎症を有する患者への投与が、HPVを減弱させて、動脈の酸素化の逆説的な低下に至らせる可能性があるということである。また以上の結果は、急性呼吸不全患者を治療する際に、吸入NOの可能な限り低い有効濃度を使用している現在の医療状況を示唆している(Zapol、1993、Intensive Care Med. 19:433〜434)。
【0099】
生理食塩水を投与した野生型マウスおよびNOS2欠損マウスでは、40 ppmのNOを22 時間吸入させても、マウスを曝露チャンバーから出して1時間後に調べてもHPVは低下しなかった(図7を参照)。この結果は、肺のNO量の持続的な上昇のみでは、持続的なHPV低下を十分誘導できないことを示唆している。また、40 ppmのNOを22時間呼吸させても、エンドトキシンで刺激した野生型マウスのHPVは、それ以上低下しなかった。したがって、吸入されたNO、およびエンドトキシン誘導性の肺のNOの産生は、HPV低下に付加的に作用しないと考えられる。発明者らの得た結果は、エンドトキシン刺激後におけるHPVの持続的な低下には、肺のNO量の上昇、および付加的なエンドトキシン誘導性の炎症性産物の増加の両方が必要であることを示唆している。
【0100】
実施例3:ロイコトリエンブロッカーおよびHPVの低下
ロイコトリエン合成の阻害物質、およびロイコトリエン受容体活性化の阻害物質が、エンドトキシンで刺激したマウスにおけるHPV低下を防ぐことを示す実験的証拠が得られている。発明者らは、5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)が存在する場合に、アラキドン酸からロイコトリエンA4への変換を触媒する5LOを欠くエンドトキシンで刺激したマウスでHPVが維持されることを確認している。発明者らは、野生型マウスでは、FLAP阻害物質MK886、またはCysT1受容体ブロッカーMK571を投与したエンドトキシンで刺激したマウスではHPVが維持されることを確認している。このような実験で発明者らは、片肺低酸素のインビボマウスモデルを用いた。
【0101】
野生型マウス(SV129B6/F1)、および5LO欠損マウスを麻酔し、開胸して調べた。左肺動脈流(QLPA)、ならびに肺動脈圧(PPA)および体動脈圧(PSA)を連続的に測定した。左肺循環における圧力と流量の関係は、下大静脈を一過的に閉鎖することで得た。
【0102】
左主気管支閉鎖(LMBO)後における左肺の血管抵抗(P/Q関係の傾き、LPVR)の上昇率としてHPVを評価した。LMBOにより、LPVRは5LO欠損マウスで99±13%、また野生型マウスで100±11%上昇した。データを図13にまとめる。以上の結果から、システイニルロイコトリエンの合成または受容体活性化を阻害すると、エンドトキシン誘導性のHPV低下を予防できることがわかった。
【0103】
他の態様
本発明のいくつかの態様を記載した。しかしながら、本発明の精神および範囲から解離することなく、さまざまな修正がなされることは言うまでもない。例えば本発明は、本明細書に記載された抗ROS薬剤以外の抗ROS薬剤およびロイコトリエンブロッカーを用いて実施されることがある。したがって他の態様は、特許請求の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】未処置の野生型マウスの単離潅流肺の肺動脈圧(PAP;潅流圧に等しい)、および左心房圧(LAP)を測定した代表的な実験で得られた動脈圧曲線。安定なトロンボキサンA2類似体U46619を潅流すると、PAPが5 mmHgまたは6 mmHg上昇した。NOガスの各用量(0.4 ppm、4.0 ppm、および40 ppm)を各5分間投与した。投与後にPAPは以前のNO濃度に戻った。
【図2A】リポ多糖を前投与した野生型マウス(●)、および未処置の野生型マウス(○)におけるNO吸入の用量反応曲線。NO吸入に対する反応は、リポ多糖を前投与した野生型マウスでは、未処置の野生型マウスに対して低かった(*P<0.001)。データは平均±SEで表す。ΔPAP=肺動脈圧の変化をU46619誘導性の上昇に対するパーセントで表した値。
【図2B】リポ多糖を前投与したNOS2欠損マウス(■)、および未処置のNOS2欠損マウス(□)におけるNO吸入の用量反応曲線。NO吸入に対する反応は、リポ多糖を投与したNOS2欠損マウスの方が、未処置のNOS2欠損マウスに対して大きく(†P<0.05)、またリポ多糖を前投与した野生型マウスに対して大きかった(‡P<0.001)。データは平均±SEで表す。ΔPAP=肺動脈血の変化をU46619誘導性の上昇に対するパーセントで表した値。
【図3】リポ多糖を前投与した野生型マウス(wt/LPS)、および未処置の野生型マウス(wt/対照)に由来する単離潅流肺における、短期NO吸入による血管拡張、また外気中で事前に20 ppmのNOに16時間曝露させた、リポ多糖を前投与したNOS2欠損マウス(ko/LPS)、および未処置のNOS2欠損マウス(ko/対照)に由来する単離潅流肺における、短期NO吸入による血管拡張に関するデータをまとめたグラフ。長期NO曝露後に、リポ多糖を前投与したNOS2欠損マウスは、短期NO吸入に対する反応性が、リポ多糖投与を受けなかったNOS2欠損マウスと比べて低かった(*P<0.05)。同様に、長期NO曝露後に、リポ多糖を前投与した野生型マウスの短期NO吸入に対する反応性は、リポ多糖の投与を行わなかった野生型マウスと比べて低かった(*P<0.05)。データは平均±SEで表す。
【図4】リポ多糖刺激後における16時間に及ぶ0 ppm、0.2 ppm、2.0 ppm、および20 ppmのNOの呼吸が、NOS2欠損マウスから回収した単離潅流肺において、0.4 ppm NOガスの短期吸入に反応した、その後の血管拡張に及ぼす作用を調べた実験で得られたデータをまとめたヒストグラム。2 ppmおよび20 ppmのNOガス曝露により、NOに対する肺血管拡張反応は低下した。データは平均±SEで表す。16時間の0 ppm NO曝露に対して、*P<0.05;**P<0.001。
【図5】リポ多糖で刺激したマウス(●)および対照マウス(○)におけるNO吸入、またリポ多糖と同時に、および3.5時間後に再びN−アセチルシステイン(150 mg/kg)を腹腔内投与した、リポ多糖で刺激したマウス(▲)における、NO吸入に対する肺血管拡張反応を調べた実験で得られたデータをまとめたグラフ。NO吸入に対する反応は、リポ多糖を投与したマウスでは、対照マウスと比較して弱かった(*P<0.001)。N−アセチルシステイン(150 mg/kg)の2回の投与では、NO吸入に対する血管反応性の多糖誘導性の減弱は完全に予防された。血管拡張率(%)は、U46619誘導性の上昇に対する割合(%)で表した肺動脈圧の変化である。データは平均±SEで表す。
【図6】事前にN−アセチルシステインまたは生理食塩水を同時に腹腔内に注入した、リポ多糖(LPS)で刺激したマウス、および室内空気、または室内空気+20 ppm NOガスを16時間にわたって呼吸させたリポ多糖で刺激したマウスを対象に、NO吸入に対する肺血管拡張反応を調べた実験で得られたデータをまとめたグラフ。リポ多糖で刺激したマウスにおける、NOに対する肺血管拡張反応に及ぼすN−アセチルシステイン(150 mg/kg)による防御効果は、長期NO吸入中は維持されていた(*両群におけるLPS+生理食塩水に対してP<0.05)。
【図7】生理食塩水(対照、白いバー;n=7)、エンドトキシン(エンドトキシン、黒いバー;n=6)、またはエンドトキシン+L−NIL (5 mg/kg)(エンドトキシン+L−NIL (選択的なNOS2インヒビター)、縞模様のバー;n=5)の腹腔内投与を、エンドトキシン刺激の3時間後に行った、野生型マウス(+/+)およびNOS2欠損マウス(−/−)における、左主気管支閉鎖(LMBO)の5分後における、左肺に至る血流の変化の比率(QLPA/QPA)を調べた実験で得られたデータをまとめたヒストグラム(*P<0.05、エンドトキシン刺激マウス 対 対照マウス;P<0.01、野生型マウス 対 NOS2欠損マウス;#P<0.01 エンドトキシン+L−NIL刺激マウス 対 エンドトキシン単独刺激マウス)。測定値は、空気または40 ppm NO(空気中)の22時間にわたる呼吸を終了してから1時間後に得た(§P<0.05 NO 対 NOなし)。エンドトキシン刺激により、LMBO後における肺血流の再分布が、野生型マウスでは顕著に低下したが、NOS2欠損マウスでは同様の低下は認められなかった。40 ppmのNOの長期吸入後に、NO吸入を終了してから1時間後に測定したところ、エンドトキシンを投与したNOS2欠損マウスとエンドトキシンを投与した野生型マウスとで、HPVの喪失は同程度であった。40 ppm NOを22時間呼吸させた、生理食塩水を投与したNOS2欠損マウスと野生型マウスでは、LMBO後における肺血流再分布能力が、NO吸入終了から1時間後の測定時点で維持されていた。
【図8】LMBOに対する、左肺血管抵抗の増分変化ΔiLPV(低酸素肺血管収縮(HPV)の尺度の一つ)を測定した実験で得られた結果をまとめたヒストグラム。HPVは、エンドトキシンで刺激した野生型マウスでは低下していた(ETX;#P<0.05、生理食塩水で刺激したマウスに対して)。HPVは、500 mg/kgのN−アセチルシステイン(NAC;エンドトキシンと同時)を腹腔内投与したマウスでは維持されていた(‡P<0.05、未処置のエンドトキシン刺激マウスに対して)が、150 mg/kgのN−アセチルシステインを投与したマウスでは維持されていなかった(*P<0.05、生理食塩水で刺激したマウスに対して)。HPVは、スーパーオキシド、過酸化水素、および過酸化亜硝酸のスカベンジャーであるEUK−8を投与した、エンドトキシンで刺激したマウスでは完全に維持されていた(‡P<0.05、未処置のエンドトキシン刺激マウスに対して)。
【図9Aから9C】一過性の左肺動脈(LPA)閉鎖を適宜行ったときの、LMBOの前後における肺および全身の血行動態測定の代表的な動脈圧曲線。LMBOで誘導される一側性の肺胞低酸素が、LMBO前およびLMBO中(bおよびc)に、中心血行動態に及ぼす作用を示す。肺胞全体の虚脱は、LMBOを開始してから約1分後にみられた。生理食塩水を投与した野生型マウスのベースライン時、およびLMBO後における、右肺動脈(QRPA)経由の平均流量、平均肺動脈圧(PPA)、平均体動脈圧(PSA)、および平均気道内圧(PALV)の連続記録を示す。左右の肺動脈間における血流分布を評価するために左肺動脈を一過的に閉鎖した(この時点でQRPA=QPAとなる(aおよびcを参照))。QPAからQRPAを引いた値はQLPAに等しい。測定値は、ベースライン時とLMBO開始から5分後に得た。矢印は、左肺動脈の閉鎖(90秒)および解放を意味する。
【図10A】蛍光微粒子(直径15 μm)の静脈内注入により評価した、また超音波フロー プローブを用いたQRPAの同時測定により評価した、左右の肺に至る肺血流率(%)に相関があることを示すグラフ。値は、LMBOの前後における、左右の肺に至る流量の比率として表す(生理食塩水を投与した野生型マウス;n=4)。2つの方法がよく一致することに注意されたい(r2=0.967)。
【図10B】生理食塩水を投与した野生型マウス(n=6)を対象に、LMBOの前(ベースライン)、およびLMBOの5分後における左肺の流量と圧力の関係を調べた実験結果を示すグラフ。左肺動脈流(QLPA)を超音波フロー プローブで測定し、その傾きを、下大静脈を一過的に閉鎖したときのQPAを差引くことで得た(P<0.05、傾きはベースラインと異なる)。
【図10C】生理食塩水を投与した野生型マウス(n=3)を対象に、萎縮した左肺の再拡張中における左肺全体の肺血管抵抗(TLPVR)の変化を示すグラフ。値は、個々の信頼区間を95%とした、全データ点の線形回帰として表す。
【図11】LMBOで誘導される局所的な低酸素が、エンドトキシンを投与した野生型マウス(太い線)、およびエンドトキシンを投与したNOS2欠損マウス(細い線)の体動脈の酸素分圧(PaO2)に及ぼす作用を示すグラフ。エンドトキシンは、試験の22時間前に、10 mg/kgの大腸菌エンドトキシンを腹腔内に注射して投与した。PaO2の連続記録は、大動脈弓に配置したクラーク型酸素電極を用いて得た。データは、野生型マウス(n=5)およびNOS2欠損マウス(n=3)を対象に行った独立した実験の平均である。
【図12】血行動態測定で得られたデータの表。血行動態測定は、血行動態実験の22時間前に生理食塩水を投与(対照)、もしくはエンドトキシンを投与(エンドトキシン)した野生型マウス(NOS2 +/+)およびNOS2欠損マウス(NOS2 −/−)、または、40 ppm(空気中)のNOの吸入を22時間にわたって適宜行った(NO吸入終了の1時間後に測定)野生型マウスおよびNOS2欠損マウスを対象に、LMBOの前(ベースライン)、および左肺低酸素(LMBO)の5分後に行った。HR=心拍数(分−1)、PSA=平均体動脈圧(mmHg)、PPA=平均肺動脈圧(mmHg)、QPA=左肺動脈閉鎖中に右肺動脈を経由する流量(μl×分−1×g−1 体重)、QRPA=右肺動脈を経由する流量(μl×分−1×g−1 体重)、QLPA=左肺動脈を経由する流量(μl×分−1×g−1 体重)、QLPA/QPA=一過性の左肺動脈閉鎖中における、左肺動脈経由流量と右肺動脈経由流量の比。LMBO前のベースラインにおけるすべての値をANOVAにより群間で比較した。LMBOが各パラメータに及ぼす影響は、事後的な比較を伴うANOVAにより各群を対象に分析した(AP<0.05、BP<0.01、CP<0.001、ベースラインに対して)。
【図13】生理食塩水で刺激した野生型マウス(n=7)、生理食塩水で刺激した5−LO欠損マウス(n=7)、エンドトキシンで刺激した野生型マウス(n=8)、エンドトキシンで刺激した5−LO欠損マウス(n=9)、5−LO活性化タンパク質阻害剤MK866を投与したエンドトキシンで刺激した野生型マウス(n=8)、およびcysLT1受容体拮抗剤MK571を投与したエンドトキシンで刺激した野生型マウス(n=7)を対象に、左肺の肺血管抵抗(左PVR)におけるLMBO誘導性の上昇を調べた実験で得られたデータをまとめたヒストグラム。*生理食塩水で刺激した野生型マウスに対してP<0.01;#エンドトキシンで刺激した野生型マウスに対してP<0.01。
Claims (14)
- 治療的有効量の一酸化窒素を吸入により哺乳類に投与する段階と、有効量の抗ROS薬剤を同時に投与する段階とを含む、哺乳類における、一酸化窒素吸入に関連した低酸素性肺血管収縮の低下を緩和する方法、部分的に予防する方法、または完全に予防する方法。
- 抗ROS薬剤が、N−アセチルシステイン、アロプリノール、アスコルビン酸(ビタミンC)、ビリルビン、コーヒー酸、カタラーゼ、PEG−カタラーゼ、カテキン、セルロプラスム(ceruloplasm)、銅サリチル酸ジイソプロピル、デフェロキサミンメシレート、ジメチル尿素、エブセレン、EUK−8、FeTMTPyP、FETPPS、グルココルチコイド、グルタチオン、MnTBAP、MnTMPyP、セレノメチオニン、スーパーオキシドジスムターゼ、PEG−スーパーオキシドジスムターゼ、タクシフォリン(Taxifolin)、およびビタミンEからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
- 抗ROS薬剤がN−アセチルシステインである、請求項2記載の方法。
- 有効量のロイコトリエンブロッカーを同時に投与する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
- 治療的有効量の一酸化窒素を吸入により哺乳類に投与する段階と、有効量のロイコトリエンブロッカーを同時に投与する段階とを含む、哺乳類における一酸化窒素吸入に関連した低酸素性肺血管収縮の低下を緩和する方法、部分的に予防する方法、または完全に予防する方法。
- ロイコトリエンブロッカーが、モンテルカスト、ザフィルカスト、ザイリュートン、プランクラスト(prankulast)、MK−571、MK−591、MK−886、BAYx1005、シナルカスト(cinalukast)、ポビルカストエダミン(pobilukast edamine)、MK−679、およびZD2138からなる群より選択される、請求項5記載の方法。
- ロイコトリエンブロッカーが、モンテルカスト、ザフィルカスト、およびザイリュートンからなる群より選択される、請求項6記載の方法。
- 治療的有効量の一酸化窒素を吸入により哺乳類に投与する段階と、有効量の抗ROS薬剤を同時に投与する段階とを含む、哺乳類における一酸化窒素の吸入に対して肺血管の拡張反応性が喪失するのを緩和する方法、部分的に予防する方法、または完全に予防する方法。
- 抗ROS薬剤が、N−アセチルシステイン、アロプリノール、アスコルビン酸(ビタミンC)、ビリルビン、コーヒー酸、カタラーゼ、PEG−カタラーゼ、カテキン、セルロプラスム、銅サリチル酸ジイソプロピル、デフェロキサミンメシレート、ジメチル尿素、エブセレン、EUK−8、FeTMTPyP、FETPPS、グルココルチコイド、グルタチオン、MnTBAP、MnTMPyP、セレノメチオニン、スーパーオキシドジスムターゼ、PEG−スーパーオキシドジスムターゼ、タクシフォリン、およびビタミンEからなる群より選択される、請求項8記載の方法。
- 抗ROS薬剤がN−アセチルシステインである、請求項9記載の方法。
- 有効量のロイコトリエンブロッカーを同時に投与する段階をさらに含む、請求項8記載の方法。
- 治療的有効量の一酸化窒素を吸入により哺乳類に投与する段階と、有効量のロイコトリエンブロッカーを同時に投与する段階とを含む、哺乳類における一酸化窒素の吸入に対して肺血管の拡張反応性が喪失するのを緩和する方法、部分的に予防する方法、または完全に予防する方法。
- ロイコトリエンブロッカーが、モンテルカスト、ザフィルカスト、ザイリュートン、プランクラスト、MK−571、MK−591、MK−886、BAYx1005、シナルカスト、ポビルカストエダミン、MK−679、およびZD2138からなる群より選択される、請求項12記載の方法。
- ロイコトリエンブロッカーが、モンテルカスト、ザフィルカスト、およびザイリュートンからなる群より選択される、請求項13記載の方法。
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