JP2004509728A - 移植蝸牛電極列のための二重スタイレット挿入具 - Google Patents
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Abstract
Description
(技術分野)
本発明は、移植可能な装置に係り、特に、移植蝸牛の電極アセンブリに関する。
【0002】
(背景技術)
多くの異なった要因による聴覚障害には、一般に伝導性のものと感覚神経のものとの二つの型がある。これら二つの型のうち、伝導性の聴覚障害は、蝸牛内で毛細胞に到達する正常な機械的な音の通路が、例えば小骨の損傷により妨害されたときに生じる。この伝導性の聴覚障害は、従来の補聴システムの使用により助けられることが多い。この従来の補聴システムは音を増幅させ、音情報が蝸牛並びに毛細胞に到達するようにしたものである。
【0003】
しかしながら重度の難聴者の多くは、その難聴の原因が感覚神経性の聴覚障害によるものである。このタイプの聴覚障害は、音信号を神経インパルスに変換させる蝸牛内の毛細胞の欠損あるいは損傷によるものである。従って、これらの難聴者は、従来の補聴システムから適切な恩恵を得ることができない。なぜならば、音から正常に発生されるべき神経インパルスのための機構が損傷あるいは欠損しているからである。
【0004】
それを解決すべく、移植蝸牛システムが開発されてきた。このシステムは、蝸牛内の毛細胞をバイパスし、電気的刺激を直接に、聴神経線維に送るものであり、それにより、聴神経へ正常に伝達される自然な聴覚に似た聴覚を脳が認識できるようになる。米国特許4,532,930号(その内容は参照として、ここに組み込まれるものとする)には伝統的な移植蝸牛システムの一例が記載されている。
【0005】
移植蝸牛システムは、典型的に二つの主要な構成部材からなる。すなわち、一般に、処理ユニットと呼ばれている外側部材と、一般に刺激/受信ユニットと呼ばれている移植された内側部材とである。伝統的に、これら双方の構成部材は協働して移植患者に聴覚を与えるようになっている。
【0006】
外側部材は、伝統的に、言葉や周囲の音を検出するためのマイクロホンと、検出された音、特に言葉をコード化信号に変換する音声処理装置と、電池のような電源と、外部アンテナ送信コイルとからなっている。
【0007】
音声処理装置により出力されたコード化信号は、移植患者の側頭骨の窪み内に移植され、配置された刺激/受信ユニットへ経皮的に伝達される。この経皮的伝達は、刺激/受信ユニットを具備する移植アンテナ受信コイルと連通するよう配置された、外部アンテナ送信コイルとの間に設けられた誘導結合の使用を介して発生する。この伝達は、二つの基本的目的に役立つものである。つまり、第一に、コード化音信号を経皮的に伝達することであり、第二に、移植された刺激/受信ユニットに電力を提供することである。従来、この連結は、無線周波数(RF)の形態であったが、その他の形体の連結も提案されており、その成功の程度も様々である。
【0008】
移植された刺激/受信ユニットは、外部処理部材からのコード化信号および電力を受理するアンテナ受信コイルと、コード化信号を処理し、刺激信号を蝸牛内電極アセンブリへ出力する刺激装置とを一般に具備してなる。なお、この蝸牛内電極アセンブリは、電気的刺激を聴覚神経へ直接に与え、当初の検出音に相当する聴覚を生じさせる。
【0009】
移植蝸牛の外側部材は、伝統的に、患者の体に取り付けられるようになっている。例えば、患者の衣類のポケットや、ベルトポーチに、あるいは馬具内に置かれ、他方、マイクロホンは、耳の背後に装着されたクリップに、あるいは患者の衣類の折り襟に装着される。
【0010】
最近、主に技術進歩の結果、音声処理装置の寸法が小さくなり、その外側部材が被移植者の耳の背後に装着可能な小さなユニットに収容される程度のものとなっている。このユニットは、マイクロホン、電力ユニットおよび音声処理装置が、耳の背後に分離して装着することができる単一のユニットに全て収納されるようになっており、更に外部送信コイルが使用者の頭部の側方に配置され、音声処理装置からコード化音信号および電力が、移植された刺激ユニットへ伝達されるようになっている。
【0011】
入手可能な技術の改良と共に、音がヒトの聴覚システムにより自然に処理される仕方についての理解の分野における研究も盛んに行われている。蝸牛が周波数、強度の変化する音をどのようにして自然に処理するかについての理解の深まりにつれて、蝸牛の自然的特長を考慮に入れて、電気的刺激を聴覚神経へ伝達させるように改良された移植蝸牛システムの開発が要望されている。
【0012】
蝸牛が空間的(tonotopically)に図化されることが当業者の間で知られている。言い換えれば、蝸牛は領域別に分けることができる。各領域は特定の周波数の信号に応答し得るようになっている。この蝸牛の特徴が、電極列を備えた電極アセンブリを提供することにより開発され、この場合、各電極が所定の周波数領域の蝸牛刺激信号を適当な蝸牛領域へ伝達するよう配列、構成されている。各電極からの電流および電界が蝸牛の軸に設けられている線毛を刺激するようになっている。この場合、数個の電極を同時に活性化することもできる。
【0013】
これらの電極が効果的であるためには、これらの電極から流れる電流の大きさおよび対応する電界強度が、電極と蝸牛軸との間の距離の関数となることが見出された。もし、この距離が比較的大きいときは、閾値電流の大きさは、この距離が比較的小さいものよりも大きくしなければならない。更に、各電極からの電流が全方向に流れることがあり、隣接する電極に対応する電界が互いに重複し、それにより、電極相互干渉を生じさせることになる。閾値刺激の大きさを減少させ、かつ、電極相互干渉を無くすためには、電極列と蝸牛軸との間の距離をできるだけ小さくすることが望ましい。これは、電極列を形状的に蝸牛軸の形状にほぼ沿うように形成することにより最も良く、達成することができる。更に、聴覚神経への電気的刺激の伝達は、音波の特定のピッチに特に応答する聴覚神経に対し電極接点をできるだけ近づけることにより、最も効果的となる。
【0014】
この電極列の位置を蝸牛の内壁に近づけるためには、電極を蝸牛へ挿入したとき、又は挿入の直後において電極がその近い位置を直ちに採るよう電極を設計する必要がある。このことは、電極列が蝸牛軸の形状に合致するよう湾曲して形成されている必要があると同時に、電極列の挿入プロセスが蝸牛の感応構造に外傷を生じさせないように電極列が形成されている必要があり、これは非常に困難を伴う。このことから、電極列の挿入操作の間においては、電極列はほぼ直線的であることが望ましいことが見出された。
【0015】
蝸牛への挿入時においては、比較的直線的であり、挿入後は蝸牛の形状に合致した曲線形状となるような電極アセンブリを提供する手法が幾つか採用されている。一例として、予め湾曲的に形成した電極列を、挿入前においては、ほぼ直線的に保持させるようにしたプラチナワイヤーのスタイレットが知られている。プラチナ製のスタイレットを挿入後、再び取り出したとき、電極列が当初の湾曲的形状に戻るようにしている。このような構成は有益であることが証明されているが、外科医が適当な速度、配向で電極列を挿入しない場合、又は電極列の挿入の間、適当な終点でスタイレットを引き抜かない場合は、蝸牛の壁面への貫通の虞れがある。
【0016】
その他の提案として、バイメタルフィラメント(例えば、ニッケル/チタン)又は形状記憶合金(例えば、ニッケル/チタン合金)を、電極アセンブリ内に配置させ、予め湾曲的に形成した電極列をほぼ室温では、ほぼ直線的形状に保持させるようにしている。体内に挿入し、体温に曝したとき、上記フィラメント又は合金が予め湾曲的とした当初の形状に湾曲するようになっている。
【0017】
更に他の配列として、長尺の部材を電極列の一側に配列させ、挿入時において、その寸法が変化するようにしたものが利用されている。例えば、この長尺の部材には、ハイドロゲル、例えばポリアクリル酸(PAA)又はポリビニルアルコール(PVA)など、挿入後、蝸牛液からの水分を吸収して膨張するものが含まれる。
【0018】
このような電極列構造を開発するに際し、電極列の挿入時又は交換時に蝸牛内の感応構造に潜在的損傷をできるだけ生じさせないように設計することが非常に重要である。例えばプラチナスタイレットを使用する場合、蝸牛壁面への貫通の問題が約20%の割合で生じるという研究報告もある。上述の従来の構造のものはいずれも、その点に関し多くの欠点を有する。
【0019】
本発明は、このような従来の電極アセンブリの欠点を解消するようにした電極アセンブリを提供することを意図している。
【0020】
文献、動作、物質、装置、部品など、本明細書に記載されているものは、全て本発明を例示するものであるに過ぎない。また、これら全てのものが、本願優先日より以前に存在していた本発明に関連する分野において、従来技術の一部を構成するもの、又は一般的知識の範疇のものであると捉えるべきではない。
【0021】
(発明の開示)
本明細書中において、「からなる」あるいはそれに類する表現は記載されているもの以外のものを排除することを意図するものではない。
【0022】
本発明の第一の形態に係わる移植可能な組織刺激装置は、以下の構成からなる。
【0023】
すなわち、複数の電極を搭載した長尺部材であって、被移植者の体内に挿入可能とする第一の形状と、前記電極を用いて予め選択された組織刺激を与えるようにした第二の形状と、前記第一の形状と前記第二の形状との間の少なくとも一つの中間形状とを採ることができ、かつ、弾性可撓性の第一の物質から作られている長尺部材と、
前記第一の物質よりも比較的硬直な材料からなる硬直用素子と、
前記長尺部材を少なくとも部分的に囲繞し前記第一の物質よりも比較的硬直な材料からなる硬直用シースと、を具備してなり、
前記硬直用素子および前記硬直用シースが、協働して前記長尺部材を上記第一の形状に変形させることができ、前記硬直用素子もしくは前記硬直用シースのいずれかを取り除いたとき又は休止させたとき、前記長尺部材が上記の少なくとも一つの中間形状を採ることを特徴とする。
【0024】
本発明の好ましい態様において、前記長尺部材の第二の形状は湾曲した形状のものである。より好ましくは、前記長尺部材が第二の形状であるとき、その形状は螺旋形状である。
【0025】
本発明の第二の形態に係わる移植蝸牛電極アセンブリ装置は、以下の構成からなる。
【0026】
すなわち、複数の電極を搭載した電極担持長尺部材であって、被移植者の蝸牛内に挿入可能とする第一の形状と、前記蝸牛の表面に適合するよう湾曲された第二の形状と、前記第一の形状と前記第二の形状との間の少なくとも一つの中間形状とを採ることができ、かつ、弾性可撓性の第一の物質から作られている電極担持長尺部材と、
前記第一の物質よりも比較的硬直な材料からなる硬直用素子と、
前記長尺部材を少なくとも部分的に囲繞し前記第一の物質よりも比較的硬直な材料からなる硬直用シースと、を具備してなり、
前記硬直用素子および前記硬直用シースが、協働して前記長尺部材を上記第一の形状に変形させることができ、前記硬直用素子もしくは前記硬直用シースのいずれかを取り除いたとき又は休止させたとき、前記長尺部材が上記の少なくとも一つの中間形状を採ることを特徴とする。
【0027】
上記長尺部材は、記憶性プラスチックからなり、上記第二の形状に予め形成されていることが好ましい。更に、上記長尺部材が被移植者へ最初に挿入される第一の端部を有することが好ましい。
【0028】
好ましい態様において、上記第一の形状は実質的に直線状であり、より好ましくは、上記第一の形状は直線である。
【0029】
好ましい態様において、上記長尺部材は、適当な生体適合性材料から形成される。一例として、その材料として、シリコン、例えば可撓性シリコンエラストマーであるシラスティック(Silastic)を用いることができる。Silastic MDX 4−4210は、長尺部材の形成に使用される適当なシリコンの一例である。他の例として、この長尺部材をポリウレタンから形成することができる。
【0030】
更に他の態様として、上記長尺部材は、上記第一の端部から前方に延びた弾性可撓性の先端部材を有するものであってもよい。この先端部材は、先端部と、基端部とを有することが好ましい。この先端部材は、上記硬直用素子よりも硬直性が比較的に小さいものとすることができる。この先端部材は、上記長尺部材の本体と実質的に同一の材料、又は同一の硬直性の材料から形成させることができる。他の態様において、この先端部材は、上記長尺部材の少なくとも一部よりも硬直性が比較的に小さい材料からなるものであってもよい。更に他の態様において、この先端部材は、体内、例えば蝸牛への挿入時において、硬直性が変化するもの、好ましくは硬直性が減少する材料から作られたものであってもよい。更に他の態様として、上記先端部材は、先端部から基端部への長手方向に沿う少なくとも一部において、その硬直性が変化し得るよう形成されていてもよい。更に他の一態様として、上記先端部材は、長手方向全体に亘って、又は一部のみにおいて、その硬直性が変化し得るよう形成されていてもよい。また、この硬直性は先端部から基端部へ漸次に増大するものであってもよい。更に他の一態様として、上記先端部材の硬直性は、その一部又は全体に亘って、先端部から基端部へ向けて漸次に増大するものであってもよい。また、この硬直性の増大は実質的に滑らかに、又は段階的に増大するものであってもよい。
【0031】
更に他の態様として、上記先端部材は、上記長尺部材の本体と同一の材料から形成させることができる。更に他の態様として、上記先端部材は、上記長尺部材の本体とは異なる材料から形成させることができる。上記先端部材は、先細先端を有する比較的硬直なコア部を有し、少なくともその先端部が前記コア部の先端を越えて延出した比較的可撓性の材料により覆われ、それにより上記先端部材は可撓性が上記コアの先端から離れるにつれて漸次減少するようになっているものであってもよい。
【0032】
上記先端部材は、長尺部材の本体とは別体となっていて、その本体に装着されるようにしてもよい。例えば、上記先端部材は長尺部材の本体の第一の端部に接着させることができる。更に他の態様として、上記先端部材は、長尺部材の本体と一体的に形成することもできる。更に、上記先端部材は、シリコン材料から形成することもできる。更に他の態様として、上記先端部材は、エラストマー材料、例えばポリウレタンから形成してもよい。
【0033】
更に他の態様として、上記先端部材は、複数の金属粒子を内部に分散させたものでもよい。この金属粒子は上記先端部材内に実質的に均一に分散させてもよい。その他、この金属粒子は上記先端部材内に不均一に分散させてもよい。この金属粒子は長尺部材の先端部から基端部へ向けて密度が漸次に増大するよう分散させてもよい。この金属粒子の密度を変化させることにより、長尺部材の比硬直性を変化させることができる。
【0034】
この金属粒子は、好ましくは生体適合性のよい物質からなるものであることが好ましい。これら粒子は、全く又は実質的に球状であることが好ましい。なお、これら粒子は球状以外の形状であってもよい。一態様として、この金属粒子は粒径が約50μmないし100μmのものでよい。
【0035】
上記先端部材の物理的特徴を潜在的に改質するのに加えて、又は、その代わりに、上記先端部材に金属粒子を添加することにより、上記先端部材が蛍光透視法又はX線技術により検出可能となる。これは、人体、例えば蝸牛内に電極列を挿入する間又は後において、先端部材の配置を外科医がモニターする際の他の手段を与えることになる。
【0036】
長尺部材が上記第一の形状の場合、上記先端部材は実質的に直線状であること、より好ましくは、全く直線状であることが望ましい。
【0037】
更に他の一態様として、上記先端部材に潤滑性物質を塗布してもよい。この潤滑性物質は生体吸収性であっても、あるいは、そうでなくともよい。
【0038】
上記先端部材は生体吸収性物質からなるもの、あるいは、それを一部含むものであってもよい。この生体吸収性物質の存在は、体内、例えば蝸牛内に先端部材を挿入する際に、先端部材の可撓性を増大するので好ましい。この先端部材における生体吸収性物質の例としては、ポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)などが挙げられる。
【0039】
更に他の一態様として、上記先端部材はポリマーコーティングからなるもの、あるいは、それを一部含むものであってもよい。このポリマーコーティングは、湿気又は体内温度により柔軟になり、上記先端部材の弾性的可撓性を増大させる。
【0040】
この先端部材は、好ましくは、先端から基端までの長さが約0.3から4mm、より好ましくは、約1.0から3mmの範囲のものである。この先端部材の直径は、その全長の大部分において実質的に一定でもよいが、変化していてもよい。この先端部材は、その全長の大部分において円筒状、又は実質的に円筒状でもよいが、円筒状でなくてもよい。この先端部材の先端では、径が漸次減少し、丸みを有する先端を形成することが好ましい。この先端部材の最大径は約0.55mmとすることが好ましい。
【0041】
更に他の一態様として、上記先端部材は中実のものでよい。他の例として、上記先端部材はあるいは、それを一部含むものであってもよい。このポリマーコーティングは、キャビティを画定する外壁部を有するものであってもよい。一例として、このキャビティは、上記長尺部材本体の受理部より大きい径を有するものであってもよい。更に他の一態様として、上記キャビティは、上記先端部材の基端から先端へ向かって延びたものでもよい。また、上記キャビティは、上記先端部材の基端から離れるにつれて径が減少するようにしてもよい。このキャビティは、長尺部材本体の受理部先端と連通するものであってもよい。更に他の一態様として、硬直用手段は、本発明の各形態の装置又はアセンブリ内に配置させた場合に、このキャビティ内に延びていてもよい。好ましい一例として、硬直用手段が上記先端部材のキャビティ内に延びている場合に、上記先端部材はこの硬直用手段との関連で移動可能になっていてもよい。
【0042】
一般に、上記先端部材は、複数の材料の組み合わせからなるもので、それらは特定の設計目的に応じて種々の部位にアレンジすることができる。この先端部材の外観形状、寸法は、特定の設計目的に応じて種々、選択することができる。
【0043】
1つの態様として、上記硬直用素子は、液体に曝したとき、溶解ないし軟化する生体吸収性材料から形成することができる。すなわち、この硬直用素子は、塩溶液、被移植者の体液、例えば蝸牛液に曝したとき、溶解ないし軟化するようにする。
【0044】
更に他の一態様として、硬直用素子に用いられる生体吸収性物質は、ポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)から選択することができる。その他、類似の材料も当然、使用し得る。
【0045】
更に他の一態様として、上記硬直用素子は、非生体吸収性材料から形成することができる。この例において、上記硬直用素子は、金属製スタイレット又は他の適当な硬直用材料のスタイレットからなるものであってもよく、このスタイレットは、長尺部材のルーメンを介して延出される。他の一態様として、スタイレットを生体適合性材料、例えば金属、合金又は強直性プラスチックから形成することができる。好ましい例として、この金属製スタイレットをプラチナから形成することができる。
【0046】
更に他の一態様として、上記硬直用素子は、形状記憶合金又は感熱性材料から形成することができる。例えば、硬直用素子を、ニッケル/チタン合金、又は異なる2種の金属の積層体からなるバイメタル素子から形成することができる。すなわち、これらは室温では直線状、又は実質的に直線状であり、体温に曝したとき他の形状に湾曲するものである。
【0047】
一例において、スタイレットのためのルーメンは円筒状であってもよく、更に、その中に開口部を有するものであってもよい。金属製スタイレットが使用される場合、スタイレットをその開口部から延出させ、装置の挿入の間、又は後に、スタイレットを操作したり、ルーメンから取り出すようにする。上記硬直用素子が生体吸収性材料から形成される場合、上記開口部は液体導入手段として作用し、装置を被移植者に挿入した際、体液がルーメンに導入されるようにする。
【0048】
上記硬直用素子が、金属製、合金製又はプラスチック製スタイレットである場合、硬直用シースを、液体との接触により溶解ないし軟化する生体吸収性材料から形成することができる。すなわち、硬直用シースが塩溶液、被移植者の体液、例えば蝸牛液に曝したとき、溶解ないし軟化するようにする。
【0049】
更に他の一態様として、この硬直用シースの生体吸収性物質は、ポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)から選択することができる。その他の適当な材料も当然、使用し得る。
【0050】
上記装置には、上記硬直用シースを被覆する追加の層を含むものであってもよい。この追加の層は、それを通過する第一の液体導入流量を有し、少なくとも一つの液体導入手段が形成されている。この液体導入手段を介して導入される流量は、上記追加の層を介して通過する第一の液体導入流量よりも大きいものとする。
【0051】
この液体導入手段は、上記追加の層に設けられた一又はそれ以上の開口部からなる。これら開口部は閉塞可能となっている。これら開口部は上記追加の層に設けられたスリットであってもよい。これらスリットは上記追加の層を介して流れる液体導入流量と同一又は実質的に同一の流量を可能にするよう形成させることができる。一例として、少なくとも一つのスリットが他のスリットと比較して異なる液体導入流量を以って上記追加の層を介して流れるようにすることができる。
【0052】
上記硬直用素子が、金属製又は生体吸収性材料製スタイレットである場合、硬直用シースは一例として、形状記憶合金又は熱感応性材料から形成することができ、例えば、硬直用シースをニッケル/チタン合金又は異なる2種の金属の積層体からなるバイメタルフィラメントから形成することができる。これらは室温では直線状、又は実質的に直線状であり、体温に曝したとき他の形状に湾曲するものである。
【0053】
上記硬直用素子および硬直用シースが装置内に配置されている間において、それらは上記第一の形状、すなわち、上述のように直線形状を維持することが好ましい。物理的手段又はその他の手段により、硬直用シースが取り除かれたとき、または柔らかくされたとき、残留する硬直用素子は長尺部材を第一の形状に保持させるのに十分な力を有しないようにすることが好ましい。すなわち、上記長尺部材は硬直用シースの除去と同時に中間形状を採り、少なくともある程度湾曲するようにすることが好ましい。
【0054】
上記長尺部材をこのような中間形状を採るようにする目的は、蝸牛の壁面に対し損傷の虞れをできるだけ少なくして上記長尺部材を蝸牛内に挿入させるためである。この中間形状の好ましい形状は、挿入時の直線形状よりもより湾曲した形状を上記長尺部材が採ることである。先の直線状配列に対しより湾曲した形状を与えることにより、蝸牛への挿入の際、上記長尺部材は内耳蝸牛の階段用構造の軌跡に従うよう案内される。これにより、上記長尺部材を螺旋形状の蝸牛内に深く、注意深く挿入する場合、この中間湾曲形状は、蝸牛の壁面に対し過度の外傷を生じさせることなく、上記長尺部材を蝸牛内に深く挿入させることをより確実に可能にさせる。
【0055】
硬直用素子を後に除去したとき、上記長尺部材は蝸牛内の最終位置におけるインプラントの好ましい十分に湾曲した第二の形状を自由に採ることができる。
【0056】
本発明は、移植蝸牛電極アセンブリを蝸牛へ挿入する間において、インプラントが湾曲する速度を少なくとも部分的に制御し得る手段を外科医に提供することができる。このような制御の改善は電極アセンブリの挿入の際に発生する可能性のある蝸牛の外傷を減少し得るものと考えられる。従って、本発明は更に、上記電極アセンブリを蝸牛へより深く、より好ましい状態に挿入するプロセスにおいて、その形状を変化させることにより、上記電極アセンブリの蝸牛への挿入プロセスを助ける手段を提供する。
【0057】
更に他の一態様として、上記長尺部材の外面の少なくとも一部に潤滑性物質を塗布してもよい。一例として、上記長尺部材の外面の実質的な部分又は全面に潤滑性物質を塗布する。
【0058】
この態様において、上記潤滑性物質はポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)から選択することができる。その他の類似の物質の使用も当然考えられる。
【0059】
本発明の更なる形態において、上記組織刺激装置又は移植蝸牛電極アセンブリ装置を被移植者に移植する方法が提供されている。
【0060】
この形態において、上記方法は、移植部位にアクセスする工程と、ついで、上記装置を挿入する工程とを含む。この挿入の前に、本装置は直線状又は実質的に直線状であることが好ましい。挿入したときは、本装置は中間の形状(本明細書で定義されているように)を採ることができる。完全な挿入の前又は後において、本装置は上記第二の形状を採ることが好ましい。
【0061】
移植がなされたとき、電極が刺激手段から刺激信号を受理することができる。この刺激手段は電気的リードを介して上記長尺部材に電気的に接続されていることが好ましい。このリードには、上記長尺部材に装着された電極列の各電極から延びた一以上の配線が含まれる。
【0062】
一例として、このリードは上記長尺部材から上記刺激手段又は少なくともそのハウジングへ延出していてもよい。更に一例として、このリードは電気的コネクターとは連続的になっておらず、少なくとも上記刺激手段のハウジングの外部にあって、上記電極から上記刺激手段へ延びた配線を接続させる必要がある。この配置の一つの利点は、本装置を移植しようとする外科医が、電極から延びた配線と上記刺激手段との間の電気的接続を行う必要がなくなるということである。
【0063】
上記刺激手段は、被移植者に移植可能なハウジング内に配置されていることが好ましい。この刺激手段のためのハウジングは、乳様突起の後方の耳の背後の骨の窪みに移植可能であることが好ましい。
【0064】
移植可能な場合、このハウジングは上記刺激手段のほかに、受信手段を収容していることが好ましい。この受信手段は制御手段からの信号を受理するようになっていることが好ましい。この制御手段は被移植者の体の外に装着し、信号が被移植者を介して経皮的に伝達されるようになっていることが好ましい。
【0065】
信号は制御手段から受信手段へ、又はその逆の経路で伝達される。この受信手段は、体外に装着された対応する送信コイルからの無線周波数(RF)信号を受理する受信コイルを具備していてもよい。この無線周波数信号は周波数変調(FM)信号を含むものでもよい。受信コイルとして記載したが、これは信号を受理側の送信コイルへ伝達するものであることが好ましい。
【0066】
この送信コイルは、受信コイルの移植部位に隣接して保持させることが好ましい。この場合、その保持はコイルとの関連で中央部又はその他の位置に装着した磁石を利用してなされる。
【0067】
外部制御装置は、マイクロホンにより出力された信号を受理する音声処理装置を具備するものであってもよい。使用時において、このマイクロホンは被移植者の耳介に装着されることが好ましい。しかし、被移植者の衣服の折り襟などに装着することも考えられる。この音声処理装置は、マイクロホンにより検出された音を、与えられたアルゴリズム、例えば移植蝸牛システムのためにすでに開発されているアルゴリズムに従って一連の電気的刺激にコード化するものである。このコード化されたシーケンスは、移植されている刺激/受信手段へ上記送信および受信コイルを用いて転送される。この刺激/受信手段はFM信号を復調し、電気パルスをアルゴリズムに従って適当な電極へ割り当てる。この場合、アルゴリズムは、選択されたスピーチコード化ストラテジーに合致させたものである。
【0068】
外部制御装置は更に電源を含む。この電源は一以上の充電可能な電池を具備してなるものでよい。上記送信および受信コイルは電力を経皮誘導を介して、移植されている刺激/受信手段および電極列へ提供するのに使用される。
【0069】
この移植システムは外側部材に依存するものであるが、別の態様として、マイクロホン、音声処理装置および電源を含めて制御手段を移植可能にすることもできる。この態様において、この制御手段は密封されたハウジング又は刺激手段のために用いられるハウジング内に収容させることができる。
【0070】
(発明を実施するための最良の形態)
ほんの一例としての本発明の好ましい実施形態につき、図面に基づいて説明する。本発明の移植蝸牛電極アセンブリの一形態が参照符号10で図に示されている。
【0071】
この図示の電極アセンブリ10は、刺激/受信装置のハウジングへ向けて延出した電気的リード線を有している。なお、本発明において、各電極は接続された一又はそれ以上の配線(図示しない)を有し、この配線は各電極からリード線を介して上記刺激/受信装置へ延出しているものと理解されたい。
【0072】
このアセンブリ10は、複数の電極12を装着した電極担持長尺部材11を具備している。説明の便宜上、図1に示す電極12は必ずしも実際のスケール通りにはなっていない。
【0073】
図示の長尺部材11は、記憶性を有する弾性可撓性シリコンから成形されたもので、蝸牛の鼓室階への挿入に適する湾曲形状に予備成形されている。長尺部材11は第一の端部13を有し、これがアセンブリ10の挿入時に蝸牛へ最初に導入される。
【0074】
図4に示すように、長尺部材11は第一の端部13に一体的に形成された先端部材29を有していてもよい。この先端部材29は、長尺部材11と同様のシリコンから作られ、図示の実施態様においては、この先端部材29の材料の弾性的可撓性は長尺部材11の材料の弾性的可撓性と同等となっている。
【0075】
この先端部材29の変形例が図5aから図5dに示されている。図5aに示すように、先端部材70は中実のもので、比較的硬直な材料からなる内部コア71と、比較的柔軟な材料からなる外層72とからなっている。このコア71は先端部21に向う領域73において径がテーパ状となっている。このテーパ部73は、先端部21から離れるに従って硬直性が漸次増大するようにさせている。外層72は長尺部材11の本体の残部と同一の材料若しくは異なる材料から形成させることができる。
【0076】
図5bに示すように、先端部材40は、長尺部材11の第一の端部13と一体的に形成された中実のものからなる。
【0077】
更に図5cに示すように、先端部材50は、長尺部材11とは別に形成された中実部51からなり、後で長尺部材11に接合させたものである。
【0078】
更に図5dに示すように、先端部材60は、シリコンエラストマー材料からなるもので、内部に実質的に球状のプラチナ粒子61が分散されている。この粒子61は直径が約50μmないし100μmのものである。なお、図5dに示すこの粒子61の大きさは、実際のスケール通りには示されていない。
【0079】
図5dにおいて、粒子61は、先端部材60内に実質的に均等に分散されているように描かれている。他の例として、この粒子は、上記先端部材内に不均一に分散させてもよい。例えば、この粒子を先端部材60の前記先端部21から基端部へ向けて密度が漸次に増大するよう分散させてもよい。このプラチナ粒子61の密度を変化させることにより、先端部材60の比硬直性を変化させることができる。
【0080】
上記先端部材の物理的特徴を潜在的に改質するのに加えて、又は、その代わりに、上記先端部材に金属粒子61を添加することにより、上記先端部材60が蛍光透視法又はX線技術により検出可能となる。これは、被移植者の蝸牛内に電極列10を挿入する間又は電極列10を挿入後において、先端部材60の配置を外科医がモニターする際の他の手段を与えることになる。
【0081】
実質的に円筒状のルーメン14の内部には、実質的に直線状のプラチナ製スタイレット15が配置されている。このスタイレット15は、それ単独ではシリコン長尺部材11を直線状に保持させるのには十分でない。
【0082】
スタイレット15がプラチナ製であると記載したが、これを蝸牛液に曝されたとき溶解ないし軟化する生体吸収性ポリアクリル酸(PAA)からなる生体吸収性スタイレットとすることもできる。なお、その場合、長尺キャリア部材11に適当な変更を加える。同様に、実質的に円筒状のルーメンが描かれているが、ルーメン14は実際には、その機能を発揮し得るものであれば如何なる形状でもよい。再度、本発明のこのPAAスタイレットは、シリコン長尺部材11を図1に示すように直線状に保持させるのには十分でない。なお、この生体吸収性スタイレットは、他の適当な生体吸収性材料から形成することも可能である。形状記憶合金又は感熱性材料からなるスタイレットをスタイレット15として利用することも可能である。
【0083】
長尺部材11を覆うようにして生体吸収性材料からなる硬直用シース16が設けられている。この硬直用シース16の生体吸収性材料は蝸牛液に曝されたとき溶解するPAAからなっている。他の適当な生体吸収性材料も当然、使用することができ、そのような材料は液体に曝されたときに必ずしも溶解するものである必要はない。つまり、硬直用シース16が液体に曝されたときに軟化するが溶解しない材料からなっていても本発明は正しく機能することができる。
【0084】
長尺部材11は、湾曲形状に予備成形して作られているが、アセンブリ10は、一般にスタイレット15およびシース16を所定位置に配置させて状態で外科医に送られる。スタイレット15およびシース16の組合せは、長尺部材11を図1に示すような直線状に保持させるのに十分なものである。
【0085】
アセンブリ10を蝸牛30の鼓室階へ挿入したとき、蝸牛液による硬直用シース16の溶解ないし軟化が開始される。PAAが軟化し、溶解したとき、スタイレット15の硬直性は長尺部材11を直線状に保持するのには不十分なため、長尺部材11が再び湾曲し始める(図2参照)。しかし、長尺部材11内にスタイレット15が設けられているため、長尺部材11はその予備成形の螺旋状湾曲形状を採ることは妨げられることになる。
【0086】
長尺部材11が湾曲しているから、外科医は長尺部材11による蝸牛30細かな組織の破裂の虞れを少なくした状態で、アセンブリ10を蝸牛の鼓室階31へ更に挿入し続けることができる。この更なる挿入プロセスの間において、外科医は、末端部18のルーメン14の開口部17を介してプラチナスタイレット15を同時に引き抜くことができる。スタイレット15が引き抜かれると、長尺部材11は自由となり、図3に示す螺旋形になり、電極が蝸牛30内の蝸牛軸に対向し、従って、電極が螺旋形の神経節に可及的に接近して配置されることになる。
【0087】
なお、1つの様式として、外科医はスタイレット15を最初に引き抜き、シース16に頼って電極列を中間位置に維持させることも可能である。
【0088】
硬直用スタイレット15と、硬直用シース16との組み合わせにより、外科医にとって、移植蝸牛電極アセンブリ10の移植操作のコントロールが非常に容易にとなる。このコントロールの容易性のため、蝸牛内の感覚組織への外傷の可能性を最小限にさせ、最初の試みで上記アセンブリ10を適切に配置させる確率を高めることができる。
【0089】
以上、本発明の好ましい例として移植蝸牛との関連で説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、他の移植可能な電極、例えばペースメーカーで使用される電極などの場合など、広範な適用が可能である。
【0090】
当業者に明らかなように、本発明をその趣旨および範囲から逸脱することなく、記載した態様に対し種々変更し得ることができる。従って、本明細書に開示された実施態様は、単に説明のためであり、本発明を制限するものでないことに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の電極アセンブリの一例を示すもので、その第一の形状を示す概略断面図。
【図2】
図1に示す電極アセンブリの中間形状を示す概略側面図。
【図3】
蝸牛内への挿入後の電極アセンブリの第二の形状を示す概略一部断面側面図。
【図4】
本発明の電極アセンブリの他の例を示す概略断面図。
【図5】
図5aから図5dはそれぞれ、図4の電極アセンブリの先端構造の変形例を示す図。
Claims (27)
- 移植可能な組織刺激装置であって、
複数の電極を搭載した長尺部材であって、被移植者の体内に挿入可能となる第一の形状と、前記電極を用いて予め選択された組織刺激を与える第二の形状と、前記第一の形状と前記第二の形状との間の少なくとも一つの中間形状とをなすことができ、かつ、弾性可撓性の第一の物質から作られている長尺部材と、
前記第一の物質よりも比較的硬直な材料からなる硬直用素子と、
前記長尺部材を少なくとも部分的に囲繞し前記第一の物質よりも比較的硬直な材料からなる硬直用シースと、を具備してなり、
前記硬直用素子および前記硬直用シースが、協働して前記長尺部材を上記第一の形状に変形させることができ、前記硬直用素子もしくは前記硬直用シースのいずれかを取り除いたとき又は休止させたとき、前記長尺部材が上記の少なくとも一つの中間形状をなすことを特徴とする移植可能な組織刺激装置。 - 移植蝸牛電極アセンブリ装置であって、
複数の電極を搭載した電極担持長尺部材であって、被移植者の蝸牛内に挿入可能となる第一の形状と、前記蝸牛の表面に適合するよう湾曲される第二の形状と、前記第一の形状と前記第二の形状との間の少なくとも一つの中間形状とをなすことができ、かつ、弾性可撓性の第一の物質から作られている電極担持長尺部材と、
前記第一の物質よりも比較的硬直な材料からなる硬直用素子と、
前記長尺部材を少なくとも部分的に囲繞し前記第一の物質よりも比較的硬直な材料からなる硬直用シースと、を具備してなり、
前記硬直用素子および前記硬直用シースが、協働して前記長尺部材を上記第一の形状に変形させることができ、前記硬直用素子もしくは前記硬直用シースのいずれかを取り除いたとき又は休止させたとき、前記長尺部材が上記の少なくとも一つの中間形状をなすことを特徴とする移植蝸牛電極アセンブリ装置。 - 前記長尺部材の前記第二の形状が湾曲されていることを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
- 前記長尺部材が前記第二の形状をなすとき、その形状は螺旋形状であることを特徴とする請求項3記載の装置。
- 前記長尺部材が記憶性を伴うプラスチックからなり、上記第二の又は中間形状に予備形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
- 前記長尺部材が、前記被移植者へ最初に挿入される第一の端部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
- 前記第一の形状が、少なくとも実質的に直線状であることを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
- 前記長尺部材が、生体適合性材料から形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
- 前記生体適合性材料が、シリコンおよびポリウレタンからなる群から選択されることを特徴とする請求項8記載の装置。
- 前記硬直用素子が、液体に曝されたとき、軟化、溶解する生体吸収性材料から形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
- 前記硬直用素子が、塩溶液又は被移植者の体液に曝されたとき、軟化、溶解することを特徴とする請求項10記載の装置。
- 前記硬直用素子の生体吸収性材料が、ポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)からなる群から選択されることを特徴とする請求項11記載の装置。
- 前記硬直用素子が、非生体吸収性材料から形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
- 前記硬直用素子が、前記長尺部材のルーメンを介して延出するスタイレットであることを特徴とする請求項13記載の装置。
- 前記スタイレットが、金属、合金および硬直性プラスチックからなる群から選択される生体適合性材料から形成されていることを特徴とする請求項14記載の装置。
- 前記スタイレットが白金から形成されていることを特徴とする請求項15記載の装置。
- 前記硬直用素子が、形状記憶材料から形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
- 前記硬直用シースが、液体に曝されたとき、軟化、溶解する生体吸収性材料から形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
- 前記硬直用シースの生体吸収性材料が、ポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)からなる群から選択されることを特徴とする請求項18記載の装置。
- 追加の層が前記硬直用シースを囲繞していることを特徴とする請求項19記載の装置。
- 前記追加の層は、それを貫通する第一の液体導入流量を有すると共に、少なくとも一つの液体導入手段が前記追加の層に形成され、前記液体導入手段を介して導入される流量が、前記追加の層を介して侵入する前記第一の液体導入流量よりも大きな流量であることを特徴とする請求項20記載の装置。
- 前記液体導入手段が、上記追加の層に設けられた一又はそれ以上の開口部からなることを特徴とする請求項21記載の装置。
- 前記長尺部材の外面の少なくとも一部に、潤滑性材料が塗布されることを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
- 前記長尺部材の外面の大部分又は全体に、潤滑性材料が塗布されることを特徴とする請求項23記載の装置。
- 前記潤滑性材料が、ポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)からなる群から選択されることを特徴とする請求項23記載の装置。
- 前記長尺部材の前記第一の端部から前方に向けて、弾性可撓性の先端部材が延びていることを特徴とする請求項6記載の装置。
- 前記先端部材は、その内部に分散された複数の金属粒子を有することを特徴とする請求項26記載の装置。
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