JP2004509727A - 移植用蝸牛電極列 - Google Patents
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Abstract
この電極アッセンブリー(10)は、電極担持長尺部材(11)と、生体吸収性硬直用素子(15)と、この硬直用素子(15)を被覆する外側層(16)とからなる。担持部材(11)は弾性可撓性の第1の物質から作られ、複数の電極(12)を搭載し、は被移植者の蝸牛(30)内に挿入可能とする第1の形状と、上記蝸牛(30)の表面に適合するよう湾曲された第2の形状とを採ることができる。生体吸収性硬直用素子(15)は、長尺部材(11)を該第1の形状に変形させ得る形状を包含し、該第1の物質よりも比較的硬直な第2の物質からなり、該第2の物質は流体に曝されたとき、溶解ないし軟化し、それにより長尺部材(11)が上記の第2の形状に少なくとも近づき、若しくは上記の第2の形状を採ることを可能にする。硬直用素子(15)を囲繞する外側層(16)は、長尺部材(11)が上記の第2の形状に少なくとも近づき、若しくは上記の第2の形状を採ることを可能にするのに十分な弾性可撓性の物質から作られている。外側層(16)は第1の流量を以って流体を透過させると共に、少なくとも1つの流体侵入手段(21)が形成されている。該流体侵入手段(21)を透過する蝸牛液の透過流量は、上記外側層(16)を透過する蝸牛液の第1の流量よりも大きい。
Description
【0001】
(技術分野)
本発明は、移植可能な装置に係わり、特に、生体吸収性探り針を組み込んだ移植可能な蝸牛電極アッセンブリーに関する。
【0002】
(背景技術)
多くの異なった要因による聴覚障害は一般に伝導性のものと感覚神経のものの2つの型がある。これらの2つの型の内、伝導性聴覚障害は、蝸牛内で毛細胞に到達する正常な機械的な音の通路が、例えば小骨の損傷により妨害されたときに生じる。この伝導性聴覚障害は従来の補聴システムの使用により助けられることが多い。この従来の補聴システムは音を増幅させ、音情報が蝸牛殻並びに毛細胞に到達するようにしたものである。
【0003】
しかしながら重度の難聴者の多くは、その難聴の原因が感覚神経的聴覚障害によるものである。このタイプの聴覚障害は音信号を神経インパルスに変換させる蝸牛殻内の毛細胞の欠損あるいは損傷によるものである。従って、これらの難聴者は従来の補聴システムから適切な恩恵を得ることができない。なぜならば、音から正常に発生されるべき神経インパルスのための機構が損傷あるいは欠損しているからである。
【0004】
それを解決すべく、蝸牛移植システムが開発されてきた。このシステムは蝸牛内の毛細胞をバイパスし、電気的刺激を直接、聴神経線維に送るものであり、それにより、聴神経へ正常に伝達される自然な聴覚に似た聴覚を脳が認識できるようになる。米国特許4532930(その内容は参照として、ここに組み込まれるものとする)には伝統的な蝸牛移植システムの一例が記載されている。
【0005】
蝸牛移植システムは典型的に2つの主要な構成部材からなる。すなわち、一般にプロセッサーユニットと呼ばれている外部部材と、一般にスチミュレータ/レシーバーユニットと呼ばれている移植された内部部材である。伝統的に、これら双方の構成部材は共働して移植患者に聴覚を与えるようになっている。
【0006】
外部部材は伝統的に、言葉や周囲の音を検出するためのマイクロフォンと、検出された音、特に言葉をコード化信号に変換するスピーチプロセッサーと、バッテリーのような電源と、外部アンテナトランスミッターコイルとからなっている。
【0007】
スピーチプロセッサーにより出力されたコード化信号は、移植患者の側頭骨の窪み内に移植、配置されたスチミュレータ/レシーバーユニットへ経皮的に伝達される。この経皮的伝達は、スチミュレータ/レシーバーユニットを具備する移植アンテナレシーバーコイルと連通するよう配置された外部アンテナトランスミッターコイルとの間に設けられた誘導結合の使用を介して発生する。この伝達は、2つの基本的目的に役立つものである。つまり、第1に、コード化音信号を経皮的に伝達することであり、第2に、移植されたスチミュレータ/レシーバーユニットに電力を提供することである。従来、この連結は、無線周波数(RF)の形態であったが、その他の形体の連結も提案されており、その成功の程度も様々である。
【0008】
移植されたスチミュレータ/レシーバーユニットは、外部プロセッサー部材からのコード化信号および電力を受理するアンテナレシーバーコイルと、コード化信号を処理し、刺激信号を蝸牛内電極アッセンブリーへ出力するスチミュレータとを一般に具備してなる。なお、この蝸牛内電極アッセンブリーは、電気的刺激を聴覚神経へ直接、与え、当初の検出音に相当する聴覚を生じさせる。
【0009】
移植用蝸牛(蝸牛インプラント)の外部部材は、伝統的に、患者の体に取り付けられるようになっている。例えば、患者の衣類のポケットや、ベルトポーチに、あるいはハーネス内に置かれ、他方、マイクロホンは、耳の背後に装着されたクリップに、あるいは患者の衣類の折り襟に装着される。
【0010】
最近、主に技術進歩の結果、スピーチプロセッサーの寸法が小さくなり、その外部部材が被移植者の耳の背後に装着可能な小さなユニットに収容される程度のものとなっている。このユニットは、マイクロホン、電力ユニットおよびスピーチプロセッサーが、耳の背後に分離して装着することができる単一のユニットに全て収納されるされるようになっており、更に外部トランスミッターコイルが使用者の頭部の側方に配置され、スピーチプロセッサーからコード化音信号および電力が、移植されたスチミュレータユニットへ伝達されるようになっている。
【0011】
将来の継続的技術進歩により、使用者の頭部に全体的に移植することができ、操作のための外部装置を全く必要としない蝸牛移植システムも可能になるであろう。すなわち、マイクロホン並びに電源も同様に使用者に移植することができ、したがって、装置を操作するための外部連結も少なくとも或る期間、必要としなくなるであろう。
【0012】
入手可能な技術の改良と共に、音がヒトの聴覚システムにより自然に処理される仕方についての理解の分野における研究も盛んに行われている。蝸牛が周波数、強度の変化する音をどのようにして自然に処理するかについての理解の深まりにつれて、蝸牛の自然的特長を考慮に入れて、電気的刺激を聴覚神経へ伝達させるようにした改良された蝸牛インプラントシステムの開発が要望されている。
【0013】
蝸牛が音調高低的(tonotopically)に図化されることが当該分野で知られている。言い換えれば、蝸牛は領域別に分けることができる。各領域は特定の周波数の信号に応答し得るようになっている。この蝸牛の特徴が、電極列を備えた電極アッセンブリーを提供することにより開発され、この場合、各電極が所定の周波数領域の蝸牛刺激信号を適当な蝸牛領域へ伝達するよう配列、構成されている。各電極からの電流および電界が蝸牛の軸に設けられている線毛を刺激するようになっている。この場合、数個の電極を同時に活性化することもできる。
【0014】
これらの電極が効果的であるためには、これらの電極から流れる電流の大きさおよび対応する電界強度が、電極と蝸牛軸との間の距離の関数となることが見出された。もし、この距離が比較的大きいときは、閾値電流の大きさは、この距離が比較的小さいものよりも大きくしなければならない。更に、各電極からの電流が全方向に流れることがあり、隣接する電極に対応する電界が互いに重複し、それにより、電極相互干渉を生じさせることになる。閾値刺激の大きさを減少させ、かつ、電極相互干渉を無くすためには、電極列と蝸牛軸との間の距離をできるだけ小さくすることが望ましい。これは、電極列を形状的に蝸牛軸の形状にほぼ沿うように形成することにより最も良く、達成することができる。更に、聴覚神経への電気的刺激の伝達は、音波の特定のピッチに特に応答する聴覚神経に対し電極接点をできるだけ近づけることにより、最も効果的となる。
【0015】
この電極列の位置を蝸牛の内壁に近づけるためには、電極を蝸牛へ挿入したとき、又は挿入の直後において電極がその近い位置を直ちに採るよう電極を設計する必要がある。このことは、電極列が蝸牛軸の形状に合致するよう湾曲して形成されている必要があると同時に、電極列の挿入プロセスが蝸牛の感応構造に外傷を生じさせないように電極列が形成されている必要があり、これは非常に困難を伴う。このことから、電極列の挿入操作の間においては、電極列はほぼ直線的であることが望ましいことが見出された。
【0016】
蝸牛への挿入時においては、比較的直線的であり、挿入後は蝸牛の形状に合致した曲線形状となるような電極アッセンブリーを提供する手法が幾つか採用されている。一例として、予め湾曲的に形成した電極列を、挿入前においては、ほぼ直線的に保持させるようにしたプラチナワイヤーの探り針が知られている。プラチナ製探り針を挿入後、再び取り出したとき、電極列が当初の湾曲的形状に戻るようにしている。
【0017】
その他の提案として、バイメタルフィラメント(例えば、ニッケル/チタン)又は形状記憶合金(例えば、ニッケル/チタン合金)を、電極アッセンブリー内に配置させ、予め湾曲的に形成した電極列をほぼ室温では、ほぼ直線的形状に保持させるようにしている。体内に挿入し、体温に曝したとき、上記フィラメント又は合金が予め湾曲的とした当初の形状に湾曲するようになっている。
【0018】
更に他の配列として、長尺の部材を電極列の1側に配列させ、挿入時において、その寸法が変化するようにしたものが利用されている。例えば、この長尺の部材には、ヒドロゲル、例えばポリアクリル酸(PAA)又はポリビニルアルコール(PVA)など、挿入後、蝸牛液からの水分を吸収して膨張するものが含まれる。
【0019】
このような電極列構造を開発するに際し、電極列の挿入時又は交換時に蝸牛内の感応構造に潜在的損傷をできるだけ生じさせないように設計することが非常に重要である。上述の従来の構造のものはいずれも、その点に関し多くの欠点を有する。
【0020】
更に、予め湾曲させた電極列を、移植時に溶解又は軟化する生体吸収性材料からなる長尺部材又は囲繞用シースを同時に挿入させて直線的にすることも提案されている。このような生体吸収性材料を使用する場合の欠点は、外科的環境が一般に湿潤的であるため、電極列を正しく位置付ける前にポリマーが溶解したり、軟化してしまうということであり、これにより所定位置への配置、挿入が困難となる。
【0021】
本発明は、このような従来の電極アッセンブリーの欠点を解消するようにした電極アッセンブリーを提供することを意図している。
【0022】
文献、動作、物質、装置、部品など、本明細書に記載されているものは、全て本発明を例示するものであるに過ぎない。また、これら全てのものが、本願優先日より以前に存在していた本発明に関連する分野において、従来技術の一部を構成するもの、又は一般的知識の範疇のものであると捉えるべきではない。
【0023】
(発明の開示)
なお、本明細書中において、「からなる」あるいは、それに類する表現は記載されているもの以外のものを排除することを意図するものではない。
【0024】
本発明は、被移植者の体内への挿入開始前および少なくとも開始時において第1の形状をなし、挿入後に少なくとも第2の形状を採り得るようにした移植可能な組織刺激装置に関するものである。
【0025】
本発明の第1の形態に係わる移植可能な組織刺激装置は、以下の構成からなる。すなわち、
複数の電極を搭載した長尺部材であって、被移植者の体内に挿入可能とする第1の形状と、該電極を用いて予め選択された組織への刺激を与えるようにした少なくとも第2の形状とを採ることができ、かつ、弾性可撓性の第1の物質から作られている長尺部材と;
該長尺部材を該第1の形状に変形させ得る形状を有する生体吸収性硬直用素子であって、該第1の物質よりも比較的硬直な第2の物質からなり、該第2の物質は流体に曝されたとき、溶解ないし軟化し、それにより該長尺部材が上記の第2の形状に少なくとも近づき、若しくは上記の第2の形状を採ることを可能にするものと;
該硬直用素子を囲繞する外側層であって、該長尺部材が上記の第2の形状に少なくとも近づき、若しくは上記の第2の形状を採ることを可能にするのに十分な弾性可撓性の物質から作られ、該外側層は第1の流量を以って流体を透過させると共に、該外側層を透過する上記第1の流量よりも大きい流量を以って流体を透過させる少なくとも1つの流体侵入手段を具備するものと、を具備してなることを特徴とする。
【0026】
本発明の好ましい態様において、該長尺部材の第2の形状は湾曲した形状のものである。より好ましくは、該長尺部材が第2の形状であるとき、その形状は螺旋形状である。
【0027】
他の態様において、該流体は塩水である。さらに他の態様において、該流体は被移植者の体液である。
【0028】
本発明の第2の形態に係わる移植蝸牛電極アッセンブリー装置は、以下の構成からなる。すなわち、
複数の電極を搭載した電極担持長尺部材であって、被移植者の蝸牛内に挿入可能とする第1の形状と、該長尺部材を該蝸牛の表面に合致させる少なくとも第2の形状とを採ることができ、かつ、弾性可撓性の第1の物質から作られている長尺部材と;
該長尺部材を該第1の形状に変形させ得る形状を有する生体吸収性硬直用素子であって、該第1の物質よりも比較的硬直な第2の物質からなり、該第2の物質は蝸牛液に曝されたとき、溶解ないし軟化し、それにより該長尺部材が上記の第2の形状に少なくとも近づき、若しくは上記の第2の形状を採ることを可能にするものと;
該硬直用素子を囲繞する外側層であって、該長尺部材が上記の第2の形状に少なくとも近づき、若しくは上記の第2の形状を採ることを可能にするのに十分な弾性可撓性の物質から作られ、該外側層は第1の流量を以って蝸牛液を透過させると共に、該外側層を透過する上記第1の流量よりも大きい流量を以って蝸牛液を透過させる少なくとも1つの流体侵入手段を具備するものと、を具備してなることを特徴とする。
【0029】
上記長尺部材は、記憶性プラスチックからなり、上記の第2の形状に予め形成されていることが好ましい。更に、上記長尺部材が被移植者へ最初に挿入される第1の端部を有することが好ましい。
【0030】
好ましい態様として、上記の第1の形状は実質的に直線状であり、更に好ましくは上記の第1の形状は直線である。
【0031】
好ましい態様として、上記長尺部材は生体適合性材料から形成され、一例として、その材料はシリコーン、例えばSilastic MDX4−4210であってもよい。その他の例として、上記長尺部材はポリウレタンから形成することもできる。
【0032】
更に他の態様として、上記長尺部材は、上記第1の端部から前方に延びた弾性可撓性の弾性可撓性の先端部材を有するものであってもよい。この先端部材は、先端部と、基端部とを有することが好ましい。この先端部材は、上記硬直用素子よりも硬直性が比較的に小さいものとすることができる。この先端部材は、上記長尺部材の本体と実質的に同一の材料、又は同一の硬直性の材料から形成させることができる。他の態様において、この先端部材は、上記長尺部材の少なくとも一部よりも硬直性が比較的に小さい材料からなるものであってもよい。更に他の態様において、この先端部材は、体内、例えば蝸牛への挿入時において、硬直性が変化するもの、好ましくは硬直性が減少する材料から作られたものであってもよい。
更に他の態様として、上記先端部材は、先端部から基端部への長手方向に沿う少なくとも一部において、その硬直性が変化し得るよう形成されていてもよい。更に他の一態様として、上記先端部材は、長手方向全体に亘って、又は一部のみにおいて、その硬直性が変化し得るよう形成されていてもよい。また、この硬直性は先端部から基端部へ漸次に増大するものであってもよい。更に他の一態様として、上記先端部材の硬直性は、その一部又は全体に亘って、先端部から基端部へ向けて漸次に増大するものであってもよい。また、この硬直性の増大は実質的に滑らかに、又は段階的に増大するものであってもよい。
【0033】
更に他の態様として、上記先端部材は、上記長尺部材の本体と同一の材料から形成させることができる。更に他の態様として、上記先端部材は、上記長尺部材の本体とは異なる材料から形成させることができる。上記先端部材は、先細先端を有する比較的硬直なコア部を有し、少なくともその先端部が該コア部の先端を越えて延出した比較的可撓性の材料により覆われ、それにより上記先端部材は可撓性が上記コアの先端から離れるにつれて漸次減少するようになっているものであってもよい。
【0034】
上記先端部材は、長尺部材の本体とは別体となっていて、その本体に装着されるようにしてもよい。例えば、上記先端部材は長尺部材の本体の第1の端部に接着させることができる。更に他の態様として、上記先端部材は、長尺部材の本体と一体的に形成することもできる。更に、上記先端部材は、シリコン材料から形成することもできる。更に他の態様として、上記先端部材は、エラストマー材料、例えばポリウレタンから形成してもよい。
【0035】
更に他の態様として、上記先端部材は、複数の金属粒子を内部に分散させたものでもよい。この金属粒子は上記先端部材内に実質的に均一に分散させてもよい。その他、この金属粒子は上記先端部材内に不均一に分散させてもよい。この金属粒子は長尺部材の先端部から基端部へ向けて密度が漸次に増大するよう分散させてもよい。この金属粒子の密度を変化させることにより、長尺部材の比硬直性を変化させることができる。
【0036】
この金属粒子は、好ましくは生体適合性のよい物質からなるものであることが好ましい。これら粒子は、球状又は実質的に球状であることが好ましい。なお、これら粒子は球状以外の形状であってもよい。一態様として、この金属粒子は粒径が約50ないし100μmのものでよい。
【0037】
上記先端部材の物理的特徴を潜在的に改質するのに加えて、又は、その代わりに、上記先端部材に金属粒子を添加することにより、上記先端部材が蛍光透視法又はX線技術により検出可能となる。これは、人体、例えば蝸牛内に電極列を挿入する間又は後において、先端部材の配置を外科医がモニターする際の他の手段を与えることになる。
【0038】
長尺部材が上記の第1の形状の場合、上記先端部材は実質的に直線状であること、より好ましくは、直線状であることが望ましい。
【0039】
更に他の一態様として、上記先端部材に潤滑性物質を塗布してもよい。この潤滑性物質は生体吸収性であっても、あるいは、そうでなくともよい。
【0040】
上記先端部材は生体吸収性物質からなるもの、あるいは、それを一部含むものであってもよい。この生体吸収性物質の存在は、体内、例えば蝸牛内に先端部材を挿入する際に、先端部材の可撓性を増大するので好ましい。この先端部材における生体吸収性物質の例としては、ポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)などが挙げられる。
【0041】
更に他の一態様として、上記先端部材はポリマーコーティングからなるもの、あるいは、それを一部含むものであってもよい。このポリマーコーティングは、湿気又は体内温度により柔軟になり、上記先端部材の弾性的可撓性を増大させる。
【0042】
この先端部材は、好ましくは、先端から基端までの長さが約0.3−4mm、より好ましくは、約1.0−3mmの範囲のものである。この先端部材の直径は、その全長の大部分において実質的に一定でもよいが、変化していてもよい。この先端部材は、その全長の大部分において円筒状、又は実質的に円筒状でもよいが、円筒状でなくてもよい。この先端部材の先端では、径が漸次減少し、丸みを有する先端を形成することが好ましい。この先端部材の最大径は約0.55mmとすることが好ましい。
【0043】
更に他の一態様として、上記先端部材は中実のものでよい。他の例として、上記先端部材はあるいは、それを一部含むものであってもよい。このポリマーコーティングは、キャビティを画定する外壁部を有するものであってもよい。一例として、このキャビティは、上記長尺部材本体の受理部より大きい径を有するものであってもよい。更に他の一態様として、上記キャビティは、上記先端部材の基端から先端へ向かって延びたものでもよい。また、上記キャビティは、上記先端部材の基端から離れるにつれて径が減少するようにしてもよい。このキャビティは、長尺部材本体の受理部先端と連通するものであってもよい。更に他の一態様として、硬直用手段は、本発明の各形態の装置又はアッセンブリー内に配置させた場合に、このキャビティ内に延びていてもよい。好ましい一例として、硬直用手段が上記先端部材のキャビティ内に延びている場合に、上記先端部材はこの硬直用手段との関連で移動可能になっていてもよい。
【0044】
一般に、上記先端部材は、複数の材料の組み合わせからなるもので、それらは特定の設計目的に応じて種々の部位にアレンジすることができる。この先端部材の外観形状、寸法は、特定の設計目的に応じて種々、選択することができる。
【0045】
好ましい一例として、硬直用素子における生体吸収性物質の例としては、ポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)などが挙げられる。その他、特定の用途に必要な特徴を具備するものであれば、他の任意の材料を使用することができる。
【0046】
上記外側層は更に別の層で被覆されていてもよい。他の態様として、この外側層を生体適合性材料から形成させてもよい。更に一態様として、上記外側層は上記長尺部材よりも弾性可撓性が比較的大きい材料から形成させてもよい。他の態様として、上記外側層は上記長尺部材と弾性可撓性が同等の材料から形成させてもよい。好ましい態様として、上記外側層は上記長尺部材と同じ材料から形成させてもよい。
【0047】
上記外側層は上記長尺部材に接着させても、或いは一体的に形成させてもよい。
【0048】
硬直用素子が、上記長尺部材内を延びて形成されているルーメン内に配置された長尺の擬似探り針からなるものであってもよい。一態様として、上記ルーメンは円筒状その他の適当な形状であってもよく、開口部を有し、上記アッセンブリーの流体侵入手段を提供するものであってもよい。
【0049】
上記開口部は、好ましくは上記長尺部材の第1の端部から遠位の上記ルーメン端部に設けられる。この態様において、上記開口部は、上記ルーメンの開口部を封止し得る閉塞手段により閉塞可能になっている。
【0050】
この閉塞手段は、上記ルーメン内に挿入可能で、封止部を形成し得る栓体であってもよい。この栓体は挿入時にルーメン内壁と密着する切頭円錐形をなす外壁面を有するものであってもよい。この態様において、上記栓体はシリコーン又はポリウレタンなどの弾性可撓性材料から形成することができる。その他、この栓体は任意の形状のものであってもよく、更にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの硬直なプラスチック、又はプラチナ、ステンレス鋼などの金属からなるものであってもよい。
【0051】
他の態様として、上記閉塞手段は、上記ルーメンの開口部を封止し得るキャップからなるものであってもよい。一例として、このキャップは、上記開口部を封止するようにした頭部と、それに続く裾部とを有するものでよく、上記裾部は、キャップを上記ルーメンに装着したとき、このルーメンの内壁面と嵌合する嵌合手段をその外壁面を有するものであってもよい。この態様において、上記ルーメンの内壁面は、上記裾部の外壁面に対し相補的な嵌合手段を有するものであってもよい。上記裾部の嵌合手段はネジ山を有し、これが上記ルーメンの円筒状内壁面に形成された対応するネジ山と歯合するものであってもよい。
【0052】
他の態様として、上記硬直用素子は、上記長尺部材を少なくとも部分的に被覆する鞘からなるものでもよい。この態様において、上記鞘は上記長尺部材を完全に包み込むようなものであることが好ましい。この態様において、上記鞘を受理するための環状溝が長尺部材に形成されていてもよい。この環状溝は、長尺部材の第1の端部の最も遠位の端部に環状開口部を有するものであってもよい。この環状溝の環状開口部は、適当な形状の栓体又はキャップにより閉塞可能にすることができる。
【0053】
他の態様において、上記ルーメン又は溝の開口部は上記長尺部材に接着された封止層により閉塞可能にすることができる。この封止層は、上記長尺部材内に上記硬直用素子を配置した後に上記開口部を閉塞するのに用いられるシリコーン材料の層から形成することもできる。他の態様として、この長尺部材は、上記ルーメン又は溝の開口部上に延出した外側層の延長部により、又は上記開口部にシリコーン又は他の封止材料の液滴により上記閉塞手段が提供されるよう形成することができる。
【0054】
後者の場合、上記閉塞手段は、鋏などの刃で封止層又は外側層延長部を切り取ることにより除去可能になっていて、それにより開口部が形成され、上記ルーメン又は溝へ流体が流入可能となるようにすることが好ましい。
【0055】
更に他の態様として、流体流入手段として複数の開口部を上記外側層に形成することができる。一例として、それら開口部は上記外側層の長手方向に沿って設けることができる。更に一例として、上記開口部を上記外側層の長手方向に沿って等間隔に離間させることができる。好ましい態様において、上記開口部は上記外側層に形成された複数のスリットからなるものとすることができる。更なる態様として、これらスリットを長尺部材の横面に形成し、この長尺部材が湾曲し始めたときに、これらスリットが少なくとも部分的に開口し、流体が上記長尺部材内に流入可能となるようにしてもよい。
【0056】
これらスリットは、その流体侵入流量が全て同一又は実質的に同一となるようにして設けることができる。他の例として、少なくとも1つのスリットが、他のスリットと異なる流体侵入流量が上記外側層を介して得られるように形成することができる。更に他の態様として、各スリットが他のものと異なる流体侵入流量が上記外側層を介して得られるように形成することができる。
【0057】
他の態様として、上記長尺部材の第1の端部に対し最も遠位のスリットが、該第1の端部により近い隣接するスリットよりも、大きい流体侵入流量を可能にするもの、あるいは、その逆のものであってもよい。それにより、このスリットの下の硬直用素子の生体吸収性材料が硬直用素子の他の部位のものよりも早期に溶解ないし軟化し始め、それにより該長尺部材がこの最も遠位のスリットの位置あるいは最も近位のスリットの位置にて、又はその近傍にて第1の形状から第2の形状に最初に変化し得るようしてもよい。
【0058】
各スリットにより提供される流体侵入流量は、該装置の長手方向沿いに該第1の端部に向かって、該第1の端部により近いスリットが、隣接する遠位のスリットよりも少ない流体侵入流量を与えるようになっていてもよい。これにより生体吸収性材料が、該第1の端部から遠位の端部から、該第1の端部により近い端部に向かって、あるいはその逆に、溶解ないし軟化し始める。第1の形状が直線で第2の形状が湾曲である場合、長尺部材は該第1の端部から遠い部位から湾曲し始め、硬直用素子が溶解ないし軟化するに従って、該第1の端部に向かってさらに湾曲し続ける。あるいはその逆の順で湾曲する。
【0059】
一態様として、上記スリット又は他の流体侵入手段は、生体吸収性材料で封止可能になっていてもよい。この生体吸収性材料は、流体、例えば蝸牛液に曝したとき、溶解ないし軟化し、流体が上記長尺部材内に侵入することを可能にする。この態様において、上記スリット又は他の流体侵入手段は、同一若しくは異なる量の生体吸収性材料および/又は同一若しくは異なる厚みの生体吸収性材料で封止するようにしてもよい。生体吸収性材料の厚みおよび/又は量の変化は、装置の硬直用素子の最終的溶解速度を変化させる手段を与えるものである。
【0060】
他の態様として、上記流体侵入手段が複数のシリコーンの領域からなり、その領域の厚みが外側層の他部よりも薄いものとすることができる。これらの領域の厚みを薄くすることにより、上記流体侵入手段を通過する流体の速度が外側層の他部よりも速くなる。この流体侵入領域の厚みは、用途に応じて要求される硬直用素子の所望の溶解/軟化速度に適合するよう変化させることができる。必要に応じて、異なる領域に異なる厚みを持たせることができる。例えば、上記長尺部材の第1の端部に対し最も遠位の領域が、この第1の端部により近い領域のものよりも薄い厚みのものとすることができる。
【0061】
更なる態様として、上記長尺部材の外側層の少なくとも1部に潤滑性材料が被覆されていてもよい。一例として、上記長尺部材の実質的部分又は全体に潤滑性材料層が被覆されていてもよい。
【0062】
この態様において、この潤滑性材料は、ポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)から選択することができる。その他の類似の材料を使用し得ることも当然可能である。
【0063】
本発明の更なる形態において、上記の組織刺激装置又は移植用蝸牛電極アッセンブリー装置を被移植者に移植する方法が提供されている。
【0064】
この形態において、上記方法は、移植部位にアクセスする工程と、ついで、上記装置を挿入する工程とを含む。この挿入の前に、本装置は直線状又は実質的に直線状であることが好ましい。挿入したときは、本装置は中間の形状(本明細書で定義されているように)を採ることができる。完全な挿入の前又は後において、本装置は上記第2の形状を採ることが好ましい。
【0065】
移植がなされたとき、電極が刺激手段から刺激信号を受理することができる。この刺激手段は電気的リードを介して上記長尺部材に電気的に接続されていることが好ましい。このリードには、上記長尺部材に装着された電極列の各電極から延びた1以上の配線が含まれる。
【0066】
一例として、このリードは上記長尺部材から上記刺激手段又は少なくともそのハウジングへ延出していてもよい。更に一例として、このリードは電気的コネクターとは連続的になっておらず、少なくとも上記刺激手段のハウジングの外部にあって、上記電極から上記刺激手段へ延びた配線を接続させる必要がある。この配置の1つの利点は、本装置を移植しようとする外科医が、電極から延びた配線と上記刺激手段との間の電気的接続を行う必要がなくなるということである。
【0067】
上記刺激手段は、被移植者に移植可能なハウジング内に配置されていることが好ましい。この刺激手段のためのハウジングは、乳様突起の後方の耳の背後の骨の窪みに移植可能であることが好ましい。
【0068】
移植可能な場合、このハウジングは上記刺激手段のほかに、レシーバー手段を収容していることが好ましい。このレシーバー手段は制御手段からの信号を受理するようになっていることが好ましい。この制御手段は被移植者の体の外に装着し、信号が被移植者を介して経皮的に伝達されるようになっていることが好ましい。
【0069】
信号は制御手段からレシーバー手段へ、又はその逆の経路で伝達される。このレシーバー手段は、体外に装着された対応するトランスミッターコイルからの無線周波数(RF)信号を受理するレシーバーコイルを具備していてもよい。この無線周波数信号は周波数変調(FM)信号を含むものでもよい。レシーバーコイルとして記載したが、これは信号を受理側のトランスミッターコイルへ伝達するものであることが好ましい。
【0070】
このトランスミッターコイルは、レシーバーコイルの移植部位に隣接して保持させることが好ましい。この場合、その保持はコイルとの関連で中央部又はその他の位置に装着した磁石を利用してなされる。
【0071】
外部コントローラ(制御装置)は、マイクロホンにより出力された信号を受理する言語プロセッサーを具備するものであってもよい。使用時において、このマイクロホンは被移植者の耳介に装着されることが好ましい。しかし、被移植者の衣服の折り襟などに装着することも考えられる。この言語プロセッサーは、マイクロホンにより検出された音を、与えられたアルゴリズム、例えば蝸牛インプラントシステムのためにすでに開発されているアルゴリズムに従って一連の電気的刺激にコード化するものである。このコード化されたシーケンスは、移植されているステミュレータ/レシーバー手段へ上記トランスミッターおよびレシーバーコイルを用いて転送される。このステミュレータ/レシーバー手段はFM信号を復調し、電気パルスをアルゴリズムに従って適当な電極へ割り当てる。この場合、アルゴリズムは、選択されたスピーチコード化ストラテジーに合致させたものである。
【0072】
外部コントローラは更に電源を含む。この電源は1以上の充電可能なバッテリーを具備してなるものでよい。上記トランスミッターおよびレシーバーコイルは電力を経皮誘導を介して、移植されているステミュレータ/レシーバー手段および電極列へ提供するのに使用される。
【0073】
この移植システムは外部部材に依存するものであるが、別の態様として、マイクロホン、言語プロセッサーおよび電源を含めて制御手段を移植可能にすることもできる。この態様において、この制御手段は密封されたハウジング又は刺激手段のために用いられるハウジング内に収容させることができる。
【0074】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明の移植用蝸牛電極アッセンブリーの一例が図1、3および4に参照符号10で示されている。
【0075】
この図示の電極アッセンブリー10は好ましくは、ステミュレータ/レシーバーハウジングへ向けて延出した電気的リードを有している。なお、本発明においては、各電極は接続された1又はそれ以上の配線(図示しない)を有し、この配線は各電極からリード線を介して上記ステミュレータ/レシーバーへ延出しているものと理解されたい。ここに記載したステミュレータ/レシーバーは当業者にとって公知であり、このような公知の任意のステミュレータ/レシーバーを本発明において使用することができる。
【0076】
このアッセンブリー10は、複数の電極12を装着した電極担持長尺部材11を具備している。説明の便宜上、図1,2および5に示す電極12は必ずしも実際のスケール通りにはなっていない。図示の長尺部材11は記憶性を有する弾性可撓性シリコーンから成形されたもので、図4に示す蝸牛の鼓室階の内壁面に適合する湾曲形状に予備成形されている。長尺部材11はリード線から遠位に第1の端部13を有し、これがアッセンブリー10の挿入時に被移植者へ最初に導入される。
【0077】
図5に示すように、長尺部材11は第1の端部13に一体的に形成された先端部材29を有していてもよい。この先端部材29は長尺部材11と同様のシリコーンから作られ、図示の実施態様においては、この先端部材29の材料の弾性的可撓性は長尺部材11の材料の弾性的可撓性と同等となっている。
【0078】
この先端部材29の変形例が図6a−6dに示されている。図6aに示すように先端部材70は中実のもので、比較的硬直な材料からなる内部コア71と、比較的柔軟な材料からなる外層72とからなっている。このコア71は先端21に向う領域73において径がテイパー状となっている。このテイパー部73は先端21から離れるに従って硬直性が漸次増大するようにさせている。外層72は長尺部材11の本体の残部と同一の材料若しくは異なる材料から形成させることができる。
【0079】
図6bに示すように先端部材40は長尺部材11の第1の端部13と一体的に形成された中実のものからなる。
【0080】
更に図6cに示すように先端部材50は長尺部材11とは別に形成された中実部51からなり、後で長尺部材11に接合させたものである。
【0081】
更に図6dに示すように先端部材60はシリコーンエラストマーからなるもので、内部に実質的に球状のプラチナ粒子61が分散されている。この粒子61は直径が約50ないし100ミクロンのものである。なお、図6dに示すこの粒子61の大きさは実際のスケール通りには示されていない。
【0082】
図6dにおいて、粒子61は先端部材60内に実質的に均等に分散されているように描かれている。他の例として、この粒子は上記先端部材内に不均一に分散させてもよい。例えば、この粒子を先端部材60の先端部21から基端部へ向けて密度が漸次に増大するよう分散させてもよい。このプラチナ粒子61の密度を変化させることにより、先端部材60の比硬直性を変化させることができる。
【0083】
上記先端部材の物理的特徴を潜在的に改質するのに加えて、又は、その代わりに、上記先端部材に金属粒子61を添加することにより、上記先端部材60が蛍光透視法又はX線技術により検出可能となる。これは、被移植者の蝸牛内に電極列10を挿入する間又は後において、先端部材60の配置を外科医がモニターする際の他の手段を与えることになる。
【0084】
実質的に円筒状のルーメン14の内部には、探り針型素子15が配置されている。この探り針型素子15は従来の探り針とは以下の点で異なる。すなわち、生体吸収性ポリアクリル酸(PAA)からなり、このPAAは液に曝されたとき溶解ないし軟化し、長尺部材11が予備成形の湾曲形状に復元するようになっている。なお、この生体吸収性探り針は他の適当な生体吸収性材料から形成することも可能である。この探り針型素子15は直線形状をなし、長尺部材11を構成するシリコーンよりも硬直性が大きい。従って、この探り針型素子15は所定位置にあるとき、シリコーン長尺部材11を図1、3に示すような直線状に変形させる。
【0085】
この探り針型素子15の上には、それを囲繞し、保護するシリコーン材料からなる一体的外側層16が被覆されている。特に、この外側層16は、鼓室階30への挿入の際に蝸牛液などの流体に本アッセンブリーを曝すことによる溶解又は軟化から探り針型素子15を少なくとも或る時間、保護する役割を果たす。
【0086】
図1に示すように、ルーメン14には、第1の端部13から遠位の端部18に開口部17を有する。図1に示す態様において、開口部17は栓体19により閉塞されるようになっている。すなわち、この栓体19はルーメン14の開口部17を封止し得るようになっている。図1では切頭円錐形の栓体が描かれているが、他の形態の栓体であってもよい。例えば、図2に示すように、この開口部17はシリコーンの固まりで封止することもできる。
【0087】
図1に示す栓体19の変形例として、ルーメン14の開口部17を、長尺部材11に接着された封止層により閉塞させることもできる。この封止層は、ルーメン14内に探り針型素子15を配置した後、開口部17を閉塞するのに使用されるシリコーン材料の層から形成することもできる。他の変形例として、ルーメン14の開口部17上に延びた外側層16の延長部により上記閉塞がなされるよう上記長尺部材を製作することもできる。
【0088】
後者の場合、上記閉塞手段は、好ましくは、鋏などの刃で封止層又は外側層延長部を切り取ることにより除去可能になっていて、それにより開口部が形成され、上記ルーメン14へ流体が流入可能となるようにしてもよい。
【0089】
電極列の更に他の態様が、図2に20として全体的に図示されている。この例において、複数の横方向スリット21が外側層16に形成されている。これらスリットは、外側層16を介しての探り針型素子15への流体の侵入を防止することなく、遅らすようなものであることが好ましい。
【0090】
図示の態様において、各スリット21は上記ルーメン14への流体侵入流量が全て実質的に同一となるようにして設けられている。しかし、スリットの形状は、上記ルーメン14への異なる流体侵入流量が上記外側層16を介して得られるように形成することもできる。例えば、上記長尺部材の第1の端部13に対し最も遠位のスリット21が、該第1の端部13により近い隣接するスリットよりも、大きい流体侵入流量が上記外側層16を介して得られるようにすることもできる。この場合、このスリットの下の探り針型素子15の生体吸収性材料が探り針型素子15の他の部位のものよりも早期に溶解ないし軟化し始め、それにより長尺部材11がこの最も遠位のスリット21の位置あるいは最も近位のスリットの位置にて、直線形状から湾曲形状に最初に変化することになる。図示の態様において、各スリット21は或る量の生体吸収性材料で満たされるようにしてもよい。この場合、異なる量又は厚みの生体吸収性材料で満たされるようにして、それにより探り針型素子15の溶解位置又は速度を制御する手段を与えるようにしてもよい。
【0091】
各スリット21により提供される流体侵入速度は、長尺部材の長手方向に沿って第1の端部13に向けて、そのスリットのパターンに従い、より先端のスリット13と比較して、第1の端部13に対し次に近いスリット21が比較的小さい流体侵入速度を与えることになる。このパターンの結果、探り針型素子15の生体吸収性材料は第1の端部13に対し遠位の端から第1の端部13により近い端部に向けて順次、溶解ないし軟化することになる。このようなことから、上記長尺部材11は第1の端部13に対し遠位の端から湾曲し始め、第1の端部13に向けて探り針型素子15が溶解ないし軟化するにつれ、さらに湾曲形状を採ることになる。なお、この湾曲形状への変化は上記と逆であってもよい。
【0092】
スリット21に代わるものとして、上記長尺部材11の外側層16に、蝸牛液などの体液の侵入をより容易に許容する1又はそれ以上の領域を設けてもよい。これらの領域は、その厚みが外側層16の他部よりも薄い外側層16の領域とすることができる。これらの領域の厚みを薄くすることより、その領域を通過する流体の速度が外側層16の他部よりも速くなる。この流体侵入領域の厚みは、用途に応じて要求される探り針型素子15の所望の溶解速度に適合するよう変化させることができる。また、必要に応じ、異なる領域が異なる厚みを有するようにしてもよい。例えば、上記長尺部材11の第1の端部13に対し最も遠位の領域が、この第1の端部13により近い領域のものよりも薄い厚みのものとすることができる。あるいは、その逆であってもよい。このような領域はピンホールのマトリックス(行列)又は他の同様の構造体で形成し、スリットよりむしろ、流体の侵入速度を選択した割合にすることもできる。
【0093】
使用時において、実質的に直線状のアッセンブリー10又は20は、最初に図3に示すように鼓室階30への入口に配置される。この時点で、図示の態様の場合、栓体19又は封止部材9が除去され、又はスリット21上の被覆が剥離され、蝸牛液などの体液をルーメン14内に侵入させる。このルーメン14内への体液の導入により探り針型素子15の溶解又は軟化が開始される。
【0094】
この溶解又は軟化をさせつつ、上記アッセンブリー10を鼓室階30内へ注意深く前進させる。探り針型素子15の溶解又は軟化によりアッセンブリー10は次第に湾曲した形状を採り始める。アッセンブリー10を更に前進させると、好ましくは図4に示すような位置に配置され、その場合、電極12は蝸牛内の蝸牛軸に対面した状態になり、従って、これらは渦状神経節に可及的に接近して配置されることになる。
【0095】
探り針の溶解の開始および好ましくはその速度を制御することにより、外科医にとって、移植用蝸牛電極アッセンブリー10の移植操作の制御が非常に容易となる。この制御の容易性のため、蝸牛内の感覚組織への外傷の可能性を最小限にさせ、最初の試みで上記アッセンブリー10を適切に配置させる確率を高めることができる。
【0096】
以上、本発明の好ましい例として蝸牛インプラントとの関連で説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、他の移植可能な電極、例えばペースメーカーで使用される電極などの場合など、広範な適用が可能である。
【0097】
当業者に明らかなように、本発明をその趣旨および範囲から逸脱することなく、記載した態様に対し種々変更し得ることができる。従って、本明細書に開示された実施態様は、単に説明のためであり、本発明を制限するものでないことに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の電極アッセンブリーの一例を示す概略断面図。
【図2】
本発明の電極アッセンブリーの他の例を示す概略断面図。
【図3】
図1に示す電極アッセンブリーを鼓室階に挿入しつつある状態を示す模式図。
【図4】
図1に示す電極アッセンブリーを鼓室階に配備した状態を示す模式図。
【図5】
本発明の電極アッセンブリーの他の例を示す概略断面図。
【図6】
図6a−6dはそれぞれ、図5の電極アッセンブリーの先端構造の変形例を示す図。
(技術分野)
本発明は、移植可能な装置に係わり、特に、生体吸収性探り針を組み込んだ移植可能な蝸牛電極アッセンブリーに関する。
【0002】
(背景技術)
多くの異なった要因による聴覚障害は一般に伝導性のものと感覚神経のものの2つの型がある。これらの2つの型の内、伝導性聴覚障害は、蝸牛内で毛細胞に到達する正常な機械的な音の通路が、例えば小骨の損傷により妨害されたときに生じる。この伝導性聴覚障害は従来の補聴システムの使用により助けられることが多い。この従来の補聴システムは音を増幅させ、音情報が蝸牛殻並びに毛細胞に到達するようにしたものである。
【0003】
しかしながら重度の難聴者の多くは、その難聴の原因が感覚神経的聴覚障害によるものである。このタイプの聴覚障害は音信号を神経インパルスに変換させる蝸牛殻内の毛細胞の欠損あるいは損傷によるものである。従って、これらの難聴者は従来の補聴システムから適切な恩恵を得ることができない。なぜならば、音から正常に発生されるべき神経インパルスのための機構が損傷あるいは欠損しているからである。
【0004】
それを解決すべく、蝸牛移植システムが開発されてきた。このシステムは蝸牛内の毛細胞をバイパスし、電気的刺激を直接、聴神経線維に送るものであり、それにより、聴神経へ正常に伝達される自然な聴覚に似た聴覚を脳が認識できるようになる。米国特許4532930(その内容は参照として、ここに組み込まれるものとする)には伝統的な蝸牛移植システムの一例が記載されている。
【0005】
蝸牛移植システムは典型的に2つの主要な構成部材からなる。すなわち、一般にプロセッサーユニットと呼ばれている外部部材と、一般にスチミュレータ/レシーバーユニットと呼ばれている移植された内部部材である。伝統的に、これら双方の構成部材は共働して移植患者に聴覚を与えるようになっている。
【0006】
外部部材は伝統的に、言葉や周囲の音を検出するためのマイクロフォンと、検出された音、特に言葉をコード化信号に変換するスピーチプロセッサーと、バッテリーのような電源と、外部アンテナトランスミッターコイルとからなっている。
【0007】
スピーチプロセッサーにより出力されたコード化信号は、移植患者の側頭骨の窪み内に移植、配置されたスチミュレータ/レシーバーユニットへ経皮的に伝達される。この経皮的伝達は、スチミュレータ/レシーバーユニットを具備する移植アンテナレシーバーコイルと連通するよう配置された外部アンテナトランスミッターコイルとの間に設けられた誘導結合の使用を介して発生する。この伝達は、2つの基本的目的に役立つものである。つまり、第1に、コード化音信号を経皮的に伝達することであり、第2に、移植されたスチミュレータ/レシーバーユニットに電力を提供することである。従来、この連結は、無線周波数(RF)の形態であったが、その他の形体の連結も提案されており、その成功の程度も様々である。
【0008】
移植されたスチミュレータ/レシーバーユニットは、外部プロセッサー部材からのコード化信号および電力を受理するアンテナレシーバーコイルと、コード化信号を処理し、刺激信号を蝸牛内電極アッセンブリーへ出力するスチミュレータとを一般に具備してなる。なお、この蝸牛内電極アッセンブリーは、電気的刺激を聴覚神経へ直接、与え、当初の検出音に相当する聴覚を生じさせる。
【0009】
移植用蝸牛(蝸牛インプラント)の外部部材は、伝統的に、患者の体に取り付けられるようになっている。例えば、患者の衣類のポケットや、ベルトポーチに、あるいはハーネス内に置かれ、他方、マイクロホンは、耳の背後に装着されたクリップに、あるいは患者の衣類の折り襟に装着される。
【0010】
最近、主に技術進歩の結果、スピーチプロセッサーの寸法が小さくなり、その外部部材が被移植者の耳の背後に装着可能な小さなユニットに収容される程度のものとなっている。このユニットは、マイクロホン、電力ユニットおよびスピーチプロセッサーが、耳の背後に分離して装着することができる単一のユニットに全て収納されるされるようになっており、更に外部トランスミッターコイルが使用者の頭部の側方に配置され、スピーチプロセッサーからコード化音信号および電力が、移植されたスチミュレータユニットへ伝達されるようになっている。
【0011】
将来の継続的技術進歩により、使用者の頭部に全体的に移植することができ、操作のための外部装置を全く必要としない蝸牛移植システムも可能になるであろう。すなわち、マイクロホン並びに電源も同様に使用者に移植することができ、したがって、装置を操作するための外部連結も少なくとも或る期間、必要としなくなるであろう。
【0012】
入手可能な技術の改良と共に、音がヒトの聴覚システムにより自然に処理される仕方についての理解の分野における研究も盛んに行われている。蝸牛が周波数、強度の変化する音をどのようにして自然に処理するかについての理解の深まりにつれて、蝸牛の自然的特長を考慮に入れて、電気的刺激を聴覚神経へ伝達させるようにした改良された蝸牛インプラントシステムの開発が要望されている。
【0013】
蝸牛が音調高低的(tonotopically)に図化されることが当該分野で知られている。言い換えれば、蝸牛は領域別に分けることができる。各領域は特定の周波数の信号に応答し得るようになっている。この蝸牛の特徴が、電極列を備えた電極アッセンブリーを提供することにより開発され、この場合、各電極が所定の周波数領域の蝸牛刺激信号を適当な蝸牛領域へ伝達するよう配列、構成されている。各電極からの電流および電界が蝸牛の軸に設けられている線毛を刺激するようになっている。この場合、数個の電極を同時に活性化することもできる。
【0014】
これらの電極が効果的であるためには、これらの電極から流れる電流の大きさおよび対応する電界強度が、電極と蝸牛軸との間の距離の関数となることが見出された。もし、この距離が比較的大きいときは、閾値電流の大きさは、この距離が比較的小さいものよりも大きくしなければならない。更に、各電極からの電流が全方向に流れることがあり、隣接する電極に対応する電界が互いに重複し、それにより、電極相互干渉を生じさせることになる。閾値刺激の大きさを減少させ、かつ、電極相互干渉を無くすためには、電極列と蝸牛軸との間の距離をできるだけ小さくすることが望ましい。これは、電極列を形状的に蝸牛軸の形状にほぼ沿うように形成することにより最も良く、達成することができる。更に、聴覚神経への電気的刺激の伝達は、音波の特定のピッチに特に応答する聴覚神経に対し電極接点をできるだけ近づけることにより、最も効果的となる。
【0015】
この電極列の位置を蝸牛の内壁に近づけるためには、電極を蝸牛へ挿入したとき、又は挿入の直後において電極がその近い位置を直ちに採るよう電極を設計する必要がある。このことは、電極列が蝸牛軸の形状に合致するよう湾曲して形成されている必要があると同時に、電極列の挿入プロセスが蝸牛の感応構造に外傷を生じさせないように電極列が形成されている必要があり、これは非常に困難を伴う。このことから、電極列の挿入操作の間においては、電極列はほぼ直線的であることが望ましいことが見出された。
【0016】
蝸牛への挿入時においては、比較的直線的であり、挿入後は蝸牛の形状に合致した曲線形状となるような電極アッセンブリーを提供する手法が幾つか採用されている。一例として、予め湾曲的に形成した電極列を、挿入前においては、ほぼ直線的に保持させるようにしたプラチナワイヤーの探り針が知られている。プラチナ製探り針を挿入後、再び取り出したとき、電極列が当初の湾曲的形状に戻るようにしている。
【0017】
その他の提案として、バイメタルフィラメント(例えば、ニッケル/チタン)又は形状記憶合金(例えば、ニッケル/チタン合金)を、電極アッセンブリー内に配置させ、予め湾曲的に形成した電極列をほぼ室温では、ほぼ直線的形状に保持させるようにしている。体内に挿入し、体温に曝したとき、上記フィラメント又は合金が予め湾曲的とした当初の形状に湾曲するようになっている。
【0018】
更に他の配列として、長尺の部材を電極列の1側に配列させ、挿入時において、その寸法が変化するようにしたものが利用されている。例えば、この長尺の部材には、ヒドロゲル、例えばポリアクリル酸(PAA)又はポリビニルアルコール(PVA)など、挿入後、蝸牛液からの水分を吸収して膨張するものが含まれる。
【0019】
このような電極列構造を開発するに際し、電極列の挿入時又は交換時に蝸牛内の感応構造に潜在的損傷をできるだけ生じさせないように設計することが非常に重要である。上述の従来の構造のものはいずれも、その点に関し多くの欠点を有する。
【0020】
更に、予め湾曲させた電極列を、移植時に溶解又は軟化する生体吸収性材料からなる長尺部材又は囲繞用シースを同時に挿入させて直線的にすることも提案されている。このような生体吸収性材料を使用する場合の欠点は、外科的環境が一般に湿潤的であるため、電極列を正しく位置付ける前にポリマーが溶解したり、軟化してしまうということであり、これにより所定位置への配置、挿入が困難となる。
【0021】
本発明は、このような従来の電極アッセンブリーの欠点を解消するようにした電極アッセンブリーを提供することを意図している。
【0022】
文献、動作、物質、装置、部品など、本明細書に記載されているものは、全て本発明を例示するものであるに過ぎない。また、これら全てのものが、本願優先日より以前に存在していた本発明に関連する分野において、従来技術の一部を構成するもの、又は一般的知識の範疇のものであると捉えるべきではない。
【0023】
(発明の開示)
なお、本明細書中において、「からなる」あるいは、それに類する表現は記載されているもの以外のものを排除することを意図するものではない。
【0024】
本発明は、被移植者の体内への挿入開始前および少なくとも開始時において第1の形状をなし、挿入後に少なくとも第2の形状を採り得るようにした移植可能な組織刺激装置に関するものである。
【0025】
本発明の第1の形態に係わる移植可能な組織刺激装置は、以下の構成からなる。すなわち、
複数の電極を搭載した長尺部材であって、被移植者の体内に挿入可能とする第1の形状と、該電極を用いて予め選択された組織への刺激を与えるようにした少なくとも第2の形状とを採ることができ、かつ、弾性可撓性の第1の物質から作られている長尺部材と;
該長尺部材を該第1の形状に変形させ得る形状を有する生体吸収性硬直用素子であって、該第1の物質よりも比較的硬直な第2の物質からなり、該第2の物質は流体に曝されたとき、溶解ないし軟化し、それにより該長尺部材が上記の第2の形状に少なくとも近づき、若しくは上記の第2の形状を採ることを可能にするものと;
該硬直用素子を囲繞する外側層であって、該長尺部材が上記の第2の形状に少なくとも近づき、若しくは上記の第2の形状を採ることを可能にするのに十分な弾性可撓性の物質から作られ、該外側層は第1の流量を以って流体を透過させると共に、該外側層を透過する上記第1の流量よりも大きい流量を以って流体を透過させる少なくとも1つの流体侵入手段を具備するものと、を具備してなることを特徴とする。
【0026】
本発明の好ましい態様において、該長尺部材の第2の形状は湾曲した形状のものである。より好ましくは、該長尺部材が第2の形状であるとき、その形状は螺旋形状である。
【0027】
他の態様において、該流体は塩水である。さらに他の態様において、該流体は被移植者の体液である。
【0028】
本発明の第2の形態に係わる移植蝸牛電極アッセンブリー装置は、以下の構成からなる。すなわち、
複数の電極を搭載した電極担持長尺部材であって、被移植者の蝸牛内に挿入可能とする第1の形状と、該長尺部材を該蝸牛の表面に合致させる少なくとも第2の形状とを採ることができ、かつ、弾性可撓性の第1の物質から作られている長尺部材と;
該長尺部材を該第1の形状に変形させ得る形状を有する生体吸収性硬直用素子であって、該第1の物質よりも比較的硬直な第2の物質からなり、該第2の物質は蝸牛液に曝されたとき、溶解ないし軟化し、それにより該長尺部材が上記の第2の形状に少なくとも近づき、若しくは上記の第2の形状を採ることを可能にするものと;
該硬直用素子を囲繞する外側層であって、該長尺部材が上記の第2の形状に少なくとも近づき、若しくは上記の第2の形状を採ることを可能にするのに十分な弾性可撓性の物質から作られ、該外側層は第1の流量を以って蝸牛液を透過させると共に、該外側層を透過する上記第1の流量よりも大きい流量を以って蝸牛液を透過させる少なくとも1つの流体侵入手段を具備するものと、を具備してなることを特徴とする。
【0029】
上記長尺部材は、記憶性プラスチックからなり、上記の第2の形状に予め形成されていることが好ましい。更に、上記長尺部材が被移植者へ最初に挿入される第1の端部を有することが好ましい。
【0030】
好ましい態様として、上記の第1の形状は実質的に直線状であり、更に好ましくは上記の第1の形状は直線である。
【0031】
好ましい態様として、上記長尺部材は生体適合性材料から形成され、一例として、その材料はシリコーン、例えばSilastic MDX4−4210であってもよい。その他の例として、上記長尺部材はポリウレタンから形成することもできる。
【0032】
更に他の態様として、上記長尺部材は、上記第1の端部から前方に延びた弾性可撓性の弾性可撓性の先端部材を有するものであってもよい。この先端部材は、先端部と、基端部とを有することが好ましい。この先端部材は、上記硬直用素子よりも硬直性が比較的に小さいものとすることができる。この先端部材は、上記長尺部材の本体と実質的に同一の材料、又は同一の硬直性の材料から形成させることができる。他の態様において、この先端部材は、上記長尺部材の少なくとも一部よりも硬直性が比較的に小さい材料からなるものであってもよい。更に他の態様において、この先端部材は、体内、例えば蝸牛への挿入時において、硬直性が変化するもの、好ましくは硬直性が減少する材料から作られたものであってもよい。
更に他の態様として、上記先端部材は、先端部から基端部への長手方向に沿う少なくとも一部において、その硬直性が変化し得るよう形成されていてもよい。更に他の一態様として、上記先端部材は、長手方向全体に亘って、又は一部のみにおいて、その硬直性が変化し得るよう形成されていてもよい。また、この硬直性は先端部から基端部へ漸次に増大するものであってもよい。更に他の一態様として、上記先端部材の硬直性は、その一部又は全体に亘って、先端部から基端部へ向けて漸次に増大するものであってもよい。また、この硬直性の増大は実質的に滑らかに、又は段階的に増大するものであってもよい。
【0033】
更に他の態様として、上記先端部材は、上記長尺部材の本体と同一の材料から形成させることができる。更に他の態様として、上記先端部材は、上記長尺部材の本体とは異なる材料から形成させることができる。上記先端部材は、先細先端を有する比較的硬直なコア部を有し、少なくともその先端部が該コア部の先端を越えて延出した比較的可撓性の材料により覆われ、それにより上記先端部材は可撓性が上記コアの先端から離れるにつれて漸次減少するようになっているものであってもよい。
【0034】
上記先端部材は、長尺部材の本体とは別体となっていて、その本体に装着されるようにしてもよい。例えば、上記先端部材は長尺部材の本体の第1の端部に接着させることができる。更に他の態様として、上記先端部材は、長尺部材の本体と一体的に形成することもできる。更に、上記先端部材は、シリコン材料から形成することもできる。更に他の態様として、上記先端部材は、エラストマー材料、例えばポリウレタンから形成してもよい。
【0035】
更に他の態様として、上記先端部材は、複数の金属粒子を内部に分散させたものでもよい。この金属粒子は上記先端部材内に実質的に均一に分散させてもよい。その他、この金属粒子は上記先端部材内に不均一に分散させてもよい。この金属粒子は長尺部材の先端部から基端部へ向けて密度が漸次に増大するよう分散させてもよい。この金属粒子の密度を変化させることにより、長尺部材の比硬直性を変化させることができる。
【0036】
この金属粒子は、好ましくは生体適合性のよい物質からなるものであることが好ましい。これら粒子は、球状又は実質的に球状であることが好ましい。なお、これら粒子は球状以外の形状であってもよい。一態様として、この金属粒子は粒径が約50ないし100μmのものでよい。
【0037】
上記先端部材の物理的特徴を潜在的に改質するのに加えて、又は、その代わりに、上記先端部材に金属粒子を添加することにより、上記先端部材が蛍光透視法又はX線技術により検出可能となる。これは、人体、例えば蝸牛内に電極列を挿入する間又は後において、先端部材の配置を外科医がモニターする際の他の手段を与えることになる。
【0038】
長尺部材が上記の第1の形状の場合、上記先端部材は実質的に直線状であること、より好ましくは、直線状であることが望ましい。
【0039】
更に他の一態様として、上記先端部材に潤滑性物質を塗布してもよい。この潤滑性物質は生体吸収性であっても、あるいは、そうでなくともよい。
【0040】
上記先端部材は生体吸収性物質からなるもの、あるいは、それを一部含むものであってもよい。この生体吸収性物質の存在は、体内、例えば蝸牛内に先端部材を挿入する際に、先端部材の可撓性を増大するので好ましい。この先端部材における生体吸収性物質の例としては、ポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)などが挙げられる。
【0041】
更に他の一態様として、上記先端部材はポリマーコーティングからなるもの、あるいは、それを一部含むものであってもよい。このポリマーコーティングは、湿気又は体内温度により柔軟になり、上記先端部材の弾性的可撓性を増大させる。
【0042】
この先端部材は、好ましくは、先端から基端までの長さが約0.3−4mm、より好ましくは、約1.0−3mmの範囲のものである。この先端部材の直径は、その全長の大部分において実質的に一定でもよいが、変化していてもよい。この先端部材は、その全長の大部分において円筒状、又は実質的に円筒状でもよいが、円筒状でなくてもよい。この先端部材の先端では、径が漸次減少し、丸みを有する先端を形成することが好ましい。この先端部材の最大径は約0.55mmとすることが好ましい。
【0043】
更に他の一態様として、上記先端部材は中実のものでよい。他の例として、上記先端部材はあるいは、それを一部含むものであってもよい。このポリマーコーティングは、キャビティを画定する外壁部を有するものであってもよい。一例として、このキャビティは、上記長尺部材本体の受理部より大きい径を有するものであってもよい。更に他の一態様として、上記キャビティは、上記先端部材の基端から先端へ向かって延びたものでもよい。また、上記キャビティは、上記先端部材の基端から離れるにつれて径が減少するようにしてもよい。このキャビティは、長尺部材本体の受理部先端と連通するものであってもよい。更に他の一態様として、硬直用手段は、本発明の各形態の装置又はアッセンブリー内に配置させた場合に、このキャビティ内に延びていてもよい。好ましい一例として、硬直用手段が上記先端部材のキャビティ内に延びている場合に、上記先端部材はこの硬直用手段との関連で移動可能になっていてもよい。
【0044】
一般に、上記先端部材は、複数の材料の組み合わせからなるもので、それらは特定の設計目的に応じて種々の部位にアレンジすることができる。この先端部材の外観形状、寸法は、特定の設計目的に応じて種々、選択することができる。
【0045】
好ましい一例として、硬直用素子における生体吸収性物質の例としては、ポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)などが挙げられる。その他、特定の用途に必要な特徴を具備するものであれば、他の任意の材料を使用することができる。
【0046】
上記外側層は更に別の層で被覆されていてもよい。他の態様として、この外側層を生体適合性材料から形成させてもよい。更に一態様として、上記外側層は上記長尺部材よりも弾性可撓性が比較的大きい材料から形成させてもよい。他の態様として、上記外側層は上記長尺部材と弾性可撓性が同等の材料から形成させてもよい。好ましい態様として、上記外側層は上記長尺部材と同じ材料から形成させてもよい。
【0047】
上記外側層は上記長尺部材に接着させても、或いは一体的に形成させてもよい。
【0048】
硬直用素子が、上記長尺部材内を延びて形成されているルーメン内に配置された長尺の擬似探り針からなるものであってもよい。一態様として、上記ルーメンは円筒状その他の適当な形状であってもよく、開口部を有し、上記アッセンブリーの流体侵入手段を提供するものであってもよい。
【0049】
上記開口部は、好ましくは上記長尺部材の第1の端部から遠位の上記ルーメン端部に設けられる。この態様において、上記開口部は、上記ルーメンの開口部を封止し得る閉塞手段により閉塞可能になっている。
【0050】
この閉塞手段は、上記ルーメン内に挿入可能で、封止部を形成し得る栓体であってもよい。この栓体は挿入時にルーメン内壁と密着する切頭円錐形をなす外壁面を有するものであってもよい。この態様において、上記栓体はシリコーン又はポリウレタンなどの弾性可撓性材料から形成することができる。その他、この栓体は任意の形状のものであってもよく、更にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの硬直なプラスチック、又はプラチナ、ステンレス鋼などの金属からなるものであってもよい。
【0051】
他の態様として、上記閉塞手段は、上記ルーメンの開口部を封止し得るキャップからなるものであってもよい。一例として、このキャップは、上記開口部を封止するようにした頭部と、それに続く裾部とを有するものでよく、上記裾部は、キャップを上記ルーメンに装着したとき、このルーメンの内壁面と嵌合する嵌合手段をその外壁面を有するものであってもよい。この態様において、上記ルーメンの内壁面は、上記裾部の外壁面に対し相補的な嵌合手段を有するものであってもよい。上記裾部の嵌合手段はネジ山を有し、これが上記ルーメンの円筒状内壁面に形成された対応するネジ山と歯合するものであってもよい。
【0052】
他の態様として、上記硬直用素子は、上記長尺部材を少なくとも部分的に被覆する鞘からなるものでもよい。この態様において、上記鞘は上記長尺部材を完全に包み込むようなものであることが好ましい。この態様において、上記鞘を受理するための環状溝が長尺部材に形成されていてもよい。この環状溝は、長尺部材の第1の端部の最も遠位の端部に環状開口部を有するものであってもよい。この環状溝の環状開口部は、適当な形状の栓体又はキャップにより閉塞可能にすることができる。
【0053】
他の態様において、上記ルーメン又は溝の開口部は上記長尺部材に接着された封止層により閉塞可能にすることができる。この封止層は、上記長尺部材内に上記硬直用素子を配置した後に上記開口部を閉塞するのに用いられるシリコーン材料の層から形成することもできる。他の態様として、この長尺部材は、上記ルーメン又は溝の開口部上に延出した外側層の延長部により、又は上記開口部にシリコーン又は他の封止材料の液滴により上記閉塞手段が提供されるよう形成することができる。
【0054】
後者の場合、上記閉塞手段は、鋏などの刃で封止層又は外側層延長部を切り取ることにより除去可能になっていて、それにより開口部が形成され、上記ルーメン又は溝へ流体が流入可能となるようにすることが好ましい。
【0055】
更に他の態様として、流体流入手段として複数の開口部を上記外側層に形成することができる。一例として、それら開口部は上記外側層の長手方向に沿って設けることができる。更に一例として、上記開口部を上記外側層の長手方向に沿って等間隔に離間させることができる。好ましい態様において、上記開口部は上記外側層に形成された複数のスリットからなるものとすることができる。更なる態様として、これらスリットを長尺部材の横面に形成し、この長尺部材が湾曲し始めたときに、これらスリットが少なくとも部分的に開口し、流体が上記長尺部材内に流入可能となるようにしてもよい。
【0056】
これらスリットは、その流体侵入流量が全て同一又は実質的に同一となるようにして設けることができる。他の例として、少なくとも1つのスリットが、他のスリットと異なる流体侵入流量が上記外側層を介して得られるように形成することができる。更に他の態様として、各スリットが他のものと異なる流体侵入流量が上記外側層を介して得られるように形成することができる。
【0057】
他の態様として、上記長尺部材の第1の端部に対し最も遠位のスリットが、該第1の端部により近い隣接するスリットよりも、大きい流体侵入流量を可能にするもの、あるいは、その逆のものであってもよい。それにより、このスリットの下の硬直用素子の生体吸収性材料が硬直用素子の他の部位のものよりも早期に溶解ないし軟化し始め、それにより該長尺部材がこの最も遠位のスリットの位置あるいは最も近位のスリットの位置にて、又はその近傍にて第1の形状から第2の形状に最初に変化し得るようしてもよい。
【0058】
各スリットにより提供される流体侵入流量は、該装置の長手方向沿いに該第1の端部に向かって、該第1の端部により近いスリットが、隣接する遠位のスリットよりも少ない流体侵入流量を与えるようになっていてもよい。これにより生体吸収性材料が、該第1の端部から遠位の端部から、該第1の端部により近い端部に向かって、あるいはその逆に、溶解ないし軟化し始める。第1の形状が直線で第2の形状が湾曲である場合、長尺部材は該第1の端部から遠い部位から湾曲し始め、硬直用素子が溶解ないし軟化するに従って、該第1の端部に向かってさらに湾曲し続ける。あるいはその逆の順で湾曲する。
【0059】
一態様として、上記スリット又は他の流体侵入手段は、生体吸収性材料で封止可能になっていてもよい。この生体吸収性材料は、流体、例えば蝸牛液に曝したとき、溶解ないし軟化し、流体が上記長尺部材内に侵入することを可能にする。この態様において、上記スリット又は他の流体侵入手段は、同一若しくは異なる量の生体吸収性材料および/又は同一若しくは異なる厚みの生体吸収性材料で封止するようにしてもよい。生体吸収性材料の厚みおよび/又は量の変化は、装置の硬直用素子の最終的溶解速度を変化させる手段を与えるものである。
【0060】
他の態様として、上記流体侵入手段が複数のシリコーンの領域からなり、その領域の厚みが外側層の他部よりも薄いものとすることができる。これらの領域の厚みを薄くすることにより、上記流体侵入手段を通過する流体の速度が外側層の他部よりも速くなる。この流体侵入領域の厚みは、用途に応じて要求される硬直用素子の所望の溶解/軟化速度に適合するよう変化させることができる。必要に応じて、異なる領域に異なる厚みを持たせることができる。例えば、上記長尺部材の第1の端部に対し最も遠位の領域が、この第1の端部により近い領域のものよりも薄い厚みのものとすることができる。
【0061】
更なる態様として、上記長尺部材の外側層の少なくとも1部に潤滑性材料が被覆されていてもよい。一例として、上記長尺部材の実質的部分又は全体に潤滑性材料層が被覆されていてもよい。
【0062】
この態様において、この潤滑性材料は、ポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)から選択することができる。その他の類似の材料を使用し得ることも当然可能である。
【0063】
本発明の更なる形態において、上記の組織刺激装置又は移植用蝸牛電極アッセンブリー装置を被移植者に移植する方法が提供されている。
【0064】
この形態において、上記方法は、移植部位にアクセスする工程と、ついで、上記装置を挿入する工程とを含む。この挿入の前に、本装置は直線状又は実質的に直線状であることが好ましい。挿入したときは、本装置は中間の形状(本明細書で定義されているように)を採ることができる。完全な挿入の前又は後において、本装置は上記第2の形状を採ることが好ましい。
【0065】
移植がなされたとき、電極が刺激手段から刺激信号を受理することができる。この刺激手段は電気的リードを介して上記長尺部材に電気的に接続されていることが好ましい。このリードには、上記長尺部材に装着された電極列の各電極から延びた1以上の配線が含まれる。
【0066】
一例として、このリードは上記長尺部材から上記刺激手段又は少なくともそのハウジングへ延出していてもよい。更に一例として、このリードは電気的コネクターとは連続的になっておらず、少なくとも上記刺激手段のハウジングの外部にあって、上記電極から上記刺激手段へ延びた配線を接続させる必要がある。この配置の1つの利点は、本装置を移植しようとする外科医が、電極から延びた配線と上記刺激手段との間の電気的接続を行う必要がなくなるということである。
【0067】
上記刺激手段は、被移植者に移植可能なハウジング内に配置されていることが好ましい。この刺激手段のためのハウジングは、乳様突起の後方の耳の背後の骨の窪みに移植可能であることが好ましい。
【0068】
移植可能な場合、このハウジングは上記刺激手段のほかに、レシーバー手段を収容していることが好ましい。このレシーバー手段は制御手段からの信号を受理するようになっていることが好ましい。この制御手段は被移植者の体の外に装着し、信号が被移植者を介して経皮的に伝達されるようになっていることが好ましい。
【0069】
信号は制御手段からレシーバー手段へ、又はその逆の経路で伝達される。このレシーバー手段は、体外に装着された対応するトランスミッターコイルからの無線周波数(RF)信号を受理するレシーバーコイルを具備していてもよい。この無線周波数信号は周波数変調(FM)信号を含むものでもよい。レシーバーコイルとして記載したが、これは信号を受理側のトランスミッターコイルへ伝達するものであることが好ましい。
【0070】
このトランスミッターコイルは、レシーバーコイルの移植部位に隣接して保持させることが好ましい。この場合、その保持はコイルとの関連で中央部又はその他の位置に装着した磁石を利用してなされる。
【0071】
外部コントローラ(制御装置)は、マイクロホンにより出力された信号を受理する言語プロセッサーを具備するものであってもよい。使用時において、このマイクロホンは被移植者の耳介に装着されることが好ましい。しかし、被移植者の衣服の折り襟などに装着することも考えられる。この言語プロセッサーは、マイクロホンにより検出された音を、与えられたアルゴリズム、例えば蝸牛インプラントシステムのためにすでに開発されているアルゴリズムに従って一連の電気的刺激にコード化するものである。このコード化されたシーケンスは、移植されているステミュレータ/レシーバー手段へ上記トランスミッターおよびレシーバーコイルを用いて転送される。このステミュレータ/レシーバー手段はFM信号を復調し、電気パルスをアルゴリズムに従って適当な電極へ割り当てる。この場合、アルゴリズムは、選択されたスピーチコード化ストラテジーに合致させたものである。
【0072】
外部コントローラは更に電源を含む。この電源は1以上の充電可能なバッテリーを具備してなるものでよい。上記トランスミッターおよびレシーバーコイルは電力を経皮誘導を介して、移植されているステミュレータ/レシーバー手段および電極列へ提供するのに使用される。
【0073】
この移植システムは外部部材に依存するものであるが、別の態様として、マイクロホン、言語プロセッサーおよび電源を含めて制御手段を移植可能にすることもできる。この態様において、この制御手段は密封されたハウジング又は刺激手段のために用いられるハウジング内に収容させることができる。
【0074】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明の移植用蝸牛電極アッセンブリーの一例が図1、3および4に参照符号10で示されている。
【0075】
この図示の電極アッセンブリー10は好ましくは、ステミュレータ/レシーバーハウジングへ向けて延出した電気的リードを有している。なお、本発明においては、各電極は接続された1又はそれ以上の配線(図示しない)を有し、この配線は各電極からリード線を介して上記ステミュレータ/レシーバーへ延出しているものと理解されたい。ここに記載したステミュレータ/レシーバーは当業者にとって公知であり、このような公知の任意のステミュレータ/レシーバーを本発明において使用することができる。
【0076】
このアッセンブリー10は、複数の電極12を装着した電極担持長尺部材11を具備している。説明の便宜上、図1,2および5に示す電極12は必ずしも実際のスケール通りにはなっていない。図示の長尺部材11は記憶性を有する弾性可撓性シリコーンから成形されたもので、図4に示す蝸牛の鼓室階の内壁面に適合する湾曲形状に予備成形されている。長尺部材11はリード線から遠位に第1の端部13を有し、これがアッセンブリー10の挿入時に被移植者へ最初に導入される。
【0077】
図5に示すように、長尺部材11は第1の端部13に一体的に形成された先端部材29を有していてもよい。この先端部材29は長尺部材11と同様のシリコーンから作られ、図示の実施態様においては、この先端部材29の材料の弾性的可撓性は長尺部材11の材料の弾性的可撓性と同等となっている。
【0078】
この先端部材29の変形例が図6a−6dに示されている。図6aに示すように先端部材70は中実のもので、比較的硬直な材料からなる内部コア71と、比較的柔軟な材料からなる外層72とからなっている。このコア71は先端21に向う領域73において径がテイパー状となっている。このテイパー部73は先端21から離れるに従って硬直性が漸次増大するようにさせている。外層72は長尺部材11の本体の残部と同一の材料若しくは異なる材料から形成させることができる。
【0079】
図6bに示すように先端部材40は長尺部材11の第1の端部13と一体的に形成された中実のものからなる。
【0080】
更に図6cに示すように先端部材50は長尺部材11とは別に形成された中実部51からなり、後で長尺部材11に接合させたものである。
【0081】
更に図6dに示すように先端部材60はシリコーンエラストマーからなるもので、内部に実質的に球状のプラチナ粒子61が分散されている。この粒子61は直径が約50ないし100ミクロンのものである。なお、図6dに示すこの粒子61の大きさは実際のスケール通りには示されていない。
【0082】
図6dにおいて、粒子61は先端部材60内に実質的に均等に分散されているように描かれている。他の例として、この粒子は上記先端部材内に不均一に分散させてもよい。例えば、この粒子を先端部材60の先端部21から基端部へ向けて密度が漸次に増大するよう分散させてもよい。このプラチナ粒子61の密度を変化させることにより、先端部材60の比硬直性を変化させることができる。
【0083】
上記先端部材の物理的特徴を潜在的に改質するのに加えて、又は、その代わりに、上記先端部材に金属粒子61を添加することにより、上記先端部材60が蛍光透視法又はX線技術により検出可能となる。これは、被移植者の蝸牛内に電極列10を挿入する間又は後において、先端部材60の配置を外科医がモニターする際の他の手段を与えることになる。
【0084】
実質的に円筒状のルーメン14の内部には、探り針型素子15が配置されている。この探り針型素子15は従来の探り針とは以下の点で異なる。すなわち、生体吸収性ポリアクリル酸(PAA)からなり、このPAAは液に曝されたとき溶解ないし軟化し、長尺部材11が予備成形の湾曲形状に復元するようになっている。なお、この生体吸収性探り針は他の適当な生体吸収性材料から形成することも可能である。この探り針型素子15は直線形状をなし、長尺部材11を構成するシリコーンよりも硬直性が大きい。従って、この探り針型素子15は所定位置にあるとき、シリコーン長尺部材11を図1、3に示すような直線状に変形させる。
【0085】
この探り針型素子15の上には、それを囲繞し、保護するシリコーン材料からなる一体的外側層16が被覆されている。特に、この外側層16は、鼓室階30への挿入の際に蝸牛液などの流体に本アッセンブリーを曝すことによる溶解又は軟化から探り針型素子15を少なくとも或る時間、保護する役割を果たす。
【0086】
図1に示すように、ルーメン14には、第1の端部13から遠位の端部18に開口部17を有する。図1に示す態様において、開口部17は栓体19により閉塞されるようになっている。すなわち、この栓体19はルーメン14の開口部17を封止し得るようになっている。図1では切頭円錐形の栓体が描かれているが、他の形態の栓体であってもよい。例えば、図2に示すように、この開口部17はシリコーンの固まりで封止することもできる。
【0087】
図1に示す栓体19の変形例として、ルーメン14の開口部17を、長尺部材11に接着された封止層により閉塞させることもできる。この封止層は、ルーメン14内に探り針型素子15を配置した後、開口部17を閉塞するのに使用されるシリコーン材料の層から形成することもできる。他の変形例として、ルーメン14の開口部17上に延びた外側層16の延長部により上記閉塞がなされるよう上記長尺部材を製作することもできる。
【0088】
後者の場合、上記閉塞手段は、好ましくは、鋏などの刃で封止層又は外側層延長部を切り取ることにより除去可能になっていて、それにより開口部が形成され、上記ルーメン14へ流体が流入可能となるようにしてもよい。
【0089】
電極列の更に他の態様が、図2に20として全体的に図示されている。この例において、複数の横方向スリット21が外側層16に形成されている。これらスリットは、外側層16を介しての探り針型素子15への流体の侵入を防止することなく、遅らすようなものであることが好ましい。
【0090】
図示の態様において、各スリット21は上記ルーメン14への流体侵入流量が全て実質的に同一となるようにして設けられている。しかし、スリットの形状は、上記ルーメン14への異なる流体侵入流量が上記外側層16を介して得られるように形成することもできる。例えば、上記長尺部材の第1の端部13に対し最も遠位のスリット21が、該第1の端部13により近い隣接するスリットよりも、大きい流体侵入流量が上記外側層16を介して得られるようにすることもできる。この場合、このスリットの下の探り針型素子15の生体吸収性材料が探り針型素子15の他の部位のものよりも早期に溶解ないし軟化し始め、それにより長尺部材11がこの最も遠位のスリット21の位置あるいは最も近位のスリットの位置にて、直線形状から湾曲形状に最初に変化することになる。図示の態様において、各スリット21は或る量の生体吸収性材料で満たされるようにしてもよい。この場合、異なる量又は厚みの生体吸収性材料で満たされるようにして、それにより探り針型素子15の溶解位置又は速度を制御する手段を与えるようにしてもよい。
【0091】
各スリット21により提供される流体侵入速度は、長尺部材の長手方向に沿って第1の端部13に向けて、そのスリットのパターンに従い、より先端のスリット13と比較して、第1の端部13に対し次に近いスリット21が比較的小さい流体侵入速度を与えることになる。このパターンの結果、探り針型素子15の生体吸収性材料は第1の端部13に対し遠位の端から第1の端部13により近い端部に向けて順次、溶解ないし軟化することになる。このようなことから、上記長尺部材11は第1の端部13に対し遠位の端から湾曲し始め、第1の端部13に向けて探り針型素子15が溶解ないし軟化するにつれ、さらに湾曲形状を採ることになる。なお、この湾曲形状への変化は上記と逆であってもよい。
【0092】
スリット21に代わるものとして、上記長尺部材11の外側層16に、蝸牛液などの体液の侵入をより容易に許容する1又はそれ以上の領域を設けてもよい。これらの領域は、その厚みが外側層16の他部よりも薄い外側層16の領域とすることができる。これらの領域の厚みを薄くすることより、その領域を通過する流体の速度が外側層16の他部よりも速くなる。この流体侵入領域の厚みは、用途に応じて要求される探り針型素子15の所望の溶解速度に適合するよう変化させることができる。また、必要に応じ、異なる領域が異なる厚みを有するようにしてもよい。例えば、上記長尺部材11の第1の端部13に対し最も遠位の領域が、この第1の端部13により近い領域のものよりも薄い厚みのものとすることができる。あるいは、その逆であってもよい。このような領域はピンホールのマトリックス(行列)又は他の同様の構造体で形成し、スリットよりむしろ、流体の侵入速度を選択した割合にすることもできる。
【0093】
使用時において、実質的に直線状のアッセンブリー10又は20は、最初に図3に示すように鼓室階30への入口に配置される。この時点で、図示の態様の場合、栓体19又は封止部材9が除去され、又はスリット21上の被覆が剥離され、蝸牛液などの体液をルーメン14内に侵入させる。このルーメン14内への体液の導入により探り針型素子15の溶解又は軟化が開始される。
【0094】
この溶解又は軟化をさせつつ、上記アッセンブリー10を鼓室階30内へ注意深く前進させる。探り針型素子15の溶解又は軟化によりアッセンブリー10は次第に湾曲した形状を採り始める。アッセンブリー10を更に前進させると、好ましくは図4に示すような位置に配置され、その場合、電極12は蝸牛内の蝸牛軸に対面した状態になり、従って、これらは渦状神経節に可及的に接近して配置されることになる。
【0095】
探り針の溶解の開始および好ましくはその速度を制御することにより、外科医にとって、移植用蝸牛電極アッセンブリー10の移植操作の制御が非常に容易となる。この制御の容易性のため、蝸牛内の感覚組織への外傷の可能性を最小限にさせ、最初の試みで上記アッセンブリー10を適切に配置させる確率を高めることができる。
【0096】
以上、本発明の好ましい例として蝸牛インプラントとの関連で説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、他の移植可能な電極、例えばペースメーカーで使用される電極などの場合など、広範な適用が可能である。
【0097】
当業者に明らかなように、本発明をその趣旨および範囲から逸脱することなく、記載した態様に対し種々変更し得ることができる。従って、本明細書に開示された実施態様は、単に説明のためであり、本発明を制限するものでないことに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の電極アッセンブリーの一例を示す概略断面図。
【図2】
本発明の電極アッセンブリーの他の例を示す概略断面図。
【図3】
図1に示す電極アッセンブリーを鼓室階に挿入しつつある状態を示す模式図。
【図4】
図1に示す電極アッセンブリーを鼓室階に配備した状態を示す模式図。
【図5】
本発明の電極アッセンブリーの他の例を示す概略断面図。
【図6】
図6a−6dはそれぞれ、図5の電極アッセンブリーの先端構造の変形例を示す図。
Claims (27)
- 複数の電極を搭載した長尺部材であって、被移植者の体内に挿入可能とする第1の形状と、該電極を用いて予め選択された組織への刺激を与えるようにした少なくとも第2の形状とを採ることができ、かつ、弾性可撓性の第1の物質から作られている長尺部材と;
該長尺部材を該第1の形状に変形させ得る形状を有する生体吸収性硬直用素子であって、該第1の物質よりも比較的硬直な第2の物質からなり、該第2の物質は流体に曝されたとき、溶解ないし軟化し、それにより該長尺部材が上記の第2の形状に少なくとも近づき、若しくは上記の第2の形状を採ることを可能にするものと;
該硬直用素子を囲繞する外側層であって、該長尺部材が上記の第2の形状に少なくとも近づき、若しくは上記の第2の形状を採ることを可能にするのに十分な弾性可撓性の物質から作られ、該外側層は第1の流量を以って流体を透過させると共に、該外側層を透過する上記第1の流量よりも大きい流量を以って流体を透過させる少なくとも1つの流体侵入手段を具備するものと;
を具備してなることを特徴とする移植可能な組織刺激装置。 - 該長尺部材の第2の形状が湾曲である請求項1記載の装置。
- 該長尺部材が第2の形状であるとき、その形状は螺旋形状である請求項2記載の装置。
- 該流体が被移植者の体液である請求項1記載の装置。
- 複数の電極を搭載した電極担持長尺部材であって、被移植者の蝸牛内に挿入可能とする第1の形状と、該長尺部材を該蝸牛の表面に合致させる少なくとも第2の形状とを採ることができ、かつ、弾性可撓性の第1の物質から作られている長尺部材と;
該長尺部材を該第1の形状に変形させ得る形状を有する生体吸収性硬直用素子であって、該第1の物質よりも比較的硬直な第2の物質からなり、該第2の物質は蝸牛液に曝されたとき、溶解ないし軟化し、それにより該長尺部材が上記の第2の形状に少なくとも近づき、若しくは上記の第2の形状を採ることを可能にするものと;
該硬直用素子を囲繞する外側層であって、該長尺部材が上記の第2の形状に少なくとも近づき、若しくは上記の第2の形状を採ることを可能にするのに十分な弾性可撓性の物質から作られ、該外側層は第1の流量を以って蝸牛液を透過させると共に、該外側層を透過する上記第1の流量よりも大きい流量を以って蝸牛液を透過させる少なくとも1つの流体侵入手段を具備するものと;
を具備してなることを特徴とする移植用蝸牛電極アッセンブリー。 - 該長尺部材が、記憶性プラスチックから上記の第2の形状を採るべく予備成形されたものである請求項5記載の移植用蝸牛電極アッセンブリー。
- 該長尺部材が、被移植者に最初に挿入される第1の端部を有する請求項5記載の移植用蝸牛電極アッセンブリー。
- 該第1の形状が少なくとも実質的に直線状である請求項5記載の移植用蝸牛電極アッセンブリー。
- 該長尺部材が生体適合性材料から形成されている請求項5記載の移植用蝸牛電極アッセンブリー。
- 該硬直用素子の生体吸収性物質が、ポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)から選択されるものである請求項5記載の移植用蝸牛電極アッセンブリー。
- 該外側層が、更に別の層で被覆されており、該別の層が潤滑性又は非潤滑性物質からなるものである請求項5記載の移植用蝸牛電極アッセンブリー。
- 該外側層が生体適合性材料から形成されている請求項11記載の移植用蝸牛電極アッセンブリー。
- 該硬直用素子が、該長尺部材内を延びて形成されているルーメン内に配置可能になっている請求項7記載の移植用蝸牛電極アッセンブリー。
- 該ルーメンが、該長尺部材の第1の端部から遠位の該ルーメン端部に少なくとも1個の開口部を有し、該開口部が閉塞手段により閉塞可能になっている請求項13記載の移植用蝸牛電極アッセンブリー。
- 該閉塞手段が、栓又はキャップからなる請求項14記載の移植用蝸牛電極アッセンブリー。
- 該硬直用素子が、該長尺部材を少なくとも部分的に被覆する鞘からなっている請求項5記載の移植用蝸牛電極アッセンブリー。
- 該長尺部材に該鞘を受理するための環状溝が形成されている請求項16記載の移植用蝸牛電極アッセンブリー。
- 該開口部が該長尺部材に接着された封止層により閉塞可能になっている請求項14記載の移植用蝸牛電極アッセンブリー。
- 該外側層に設けられた流体侵入手段がスリットの形状をなしている請求項7記載の移植用蝸牛電極アッセンブリー。
- 該スリットはその流体侵入流量が、該外側層を透過する流量と同一又は実質的に同一となるようにして設けられている請求項19記載の移植用蝸牛電極アッセンブリー。
- 少なくとも1つの該スリットは、該外側層を透過する流体侵入流量が他のスリットと異なる請求項19記載の移植用蝸牛電極アッセンブリー。
- 該長尺部材の第1の端部の最も遠位のスリットが、該第1の端部により近い隣接するスリットよりも、該外側層を透過する大きい流体侵入流量を可能にするものであり、該スリットの下の硬直用素子の生体吸収性材料が硬直用素子の他の部位のものよりも早期に溶解ないし軟化し始め、それにより該長尺部材がこの最も遠位のスリットの位置で、又はその近傍にて第1の形状から第2の形状に最初に変化し得るようになっている請求項21記載の移植用蝸牛電極アッセンブリー。
- 各スリットにより提供される流体侵入流量は、該装置の長手方向沿いに該第1の端部に向かって、該第1の端部により近いスリットが、隣接する遠位のスリットよりも少ない流体侵入流量を与えるようになっている請求項22記載の移植用蝸牛電極アッセンブリー。
- 該スリットが、生体吸収性材料で封止可能になっている請求項19記載の移植用蝸牛電極アッセンブリー。
- 該外側層に複数の流体侵入手段が設けられ、該流体侵入手段の夫々に該外側層の他部よりも厚みの薄いシリコーンの領域が形成されている請求項5記載の移植用蝸牛電極アッセンブリー。
- 弾性可撓性先端部材が該長尺部材の第1の端部から前方に向けて延出している請求項7記載の移植用蝸牛電極アッセンブリー。
- 該先端部材内部に複数の金属粒子が分散されている請求項26記載の移植用蝸牛電極アッセンブリー。
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