JP2004508035A - エンドグリン特異的ポリペプチド、その製造及び使用 - Google Patents

エンドグリン特異的ポリペプチド、その製造及び使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、ヒトのエンドグリン(CD105)蛋白質の細胞外領域に特異的に結合するポリペプチド、及びその製造及び使用に関する。

Description

【0001】
本発明は、ヒトのエンドグリン(CD105)蛋白質の細胞外領域に特異的に結合するポリペプチド、その製造及び使用に関する。
【0002】
脈管形成制御、すなわち脈管床の細胞又は構造の選択的識別は、医学における比較的新しいコンセプトである。それによって特定の、診断ないし治療に使用可能な成分が的確に脈管床へ運ばれるようになる。このアプローチはとりわけ、腫瘍の治療に応用されている(Thorpe & Burrows, Breast Cancer Res. Treat. 36, 237−251, 1995)。この場合、例えば細胞毒性成分と結合させることにより、腫瘍脈管床を的確に攻撃し、消滅させる。そのため腫瘍組織への酸素供給が中断され(低酸素)、また栄養素の供給が中断される。その結果、腫瘍が壊死する。このアプローチは遺伝子治療においても、例えば遺伝子治療的ベクター(例えばウイルス、リポソーム、DNA蛋白質錯体)の内皮細胞への的確な導入に使用されている(Wickham et al., J. Virol. 71, 8221−8229, 1997)。
【0003】
脈管形成制御の前提となるのは、脈管床内の特異的な構造を識別するリガンドである。その例は、内皮細胞上の特定の受容体又は他の表面分子と結合するペプチド又は蛋白質である。このような受容体は、例えばVEGF受容体又はανインテグリンである(Burrows & Thorpe, Pharmac. Ther. 64, 155−174, 1994)。さらに、脈管床内の特異的な構造を識別する抗体断片も使用できる。例えば、TGF−βファミリーに属するエンドグリン(CD105)は、増殖する腫瘍内皮細胞によって明らかに過度に発現されている(Miller et al., Int. J. Cancer 81, 568−572, 1994)。文献にはエンドグリンに対抗する抗体が記述されている。モノクローナル抗体(MAb)SN6はヒトの白血病細胞の細胞膜によるマウスの免疫化によって獲得された(Haruta & Seon, PNAS 83: 7898−7902, 1986)。MAb 44G4は、ヒトのpra−B−白血病細胞によるマウスの免疫化によって獲得された(Gougos & Letarte, J. Immunol. 141:1925−1933, 1988)。MAb TEC4とTEC11は、ヒトの臍帯内皮細胞(HUVEC)によるマウスの免疫化によって獲得された(WO 96/91653)。Mab K4−2C10, D4−2G10, Y4−2F1及びP3−2G8は、精製されたヒトのエンドグリンによるマウスの免疫化によって獲得された(WO 97/45450)。従って、既知のヒトのエンドグリンに対する抗体は全てマウスから導き出されものであり、通常、ヒトの治療に適用すると、ヒトの抗マウス抗体(HAMA)の形成をもたらし、この抗マウス抗体が治療用抗体を中和する。従って、マウス又は他の有機体から製造された抗体の治療目的の応用は著しく制限されている。
【0004】
従って本発明の目的は、特異的にCD105と結合する、また中和作用をもつHAMAを生じさせないポリペプチドを提供することである。
【0005】
本発明の更なる目的は、例えば細胞毒性物質、リポソーム又はウイルスを腫瘍内皮へ導入するのに適したポリペプチドを提供することである。
【0006】
意外にも、本発明では、アデノウイルスによるヒトの内皮細胞の感染を著しく改善するポリペプチドを分離することができた。
【0007】
従って本発明の対象は、ヒトのエンドグリン蛋白質(CD105)の細胞外領域に特異的に結合するポリペプチドである。このポリペプチドは1つ又は複数の、SEQ ID No. 1の配列を含んでいる。ヒトのエンドグリン蛋白質の細胞外領域は、アミノ酸1−559を含んでいる。本発明におけるヒトのエンドグリンとの特異的結合は、例えば、ポリペプチドが細胞懸濁液からエンドグリンを析出させることができ、又はELISAでエンドグリンを検出することができることを意味する。好ましくは、本発明に係るポリペプチドの特異的結合は、scFv C4の結合の阻止(=競合)によって確認される。すなわち、この結合を間接的に、同一の結合特性をもつ蛋白質の阻止を通じて提示するのである。本発明に係るポリペプチドは、ポリペプチドがscFv C4に比して1000倍のモル過剰のためscFvのエンドグリンとの結合がほぼ完全に阻止されるとき、エンドグリンと特異的に結合する。好ましくは、結合のほぼ完全な阻止が、既に100倍のモル過剰のとき生じる。更に好ましくは50倍のモル過剰のとき生じる。本発明に係るポリペプチドの結合の特異性を証明するための典型的な実験では、1μmolの濃度のscFvを使用し、1μmol〜1mmolの範囲のさまざまな濃度のポリペプチドを添加する。代替的に、標識されたポリペプチドを利用することもできる。
【0008】
更なる実施態様では、ポリペプチドは追加的に、1つ又は複数のSEQ ID No. 2の配列を含んでいる。
【0009】
本発明に係るポリペプチドの一実施態様においては、SEQ ID No .1の配列ないしSEQ ID No. 1と2の配列のそれぞれN末端及びC末端に、1〜3個のシステイン残基、好ましくは1個のシステイン残基が付加されている。この残基はポリペプチドの安定化に役立つ。好ましい実施態様においては、2つずつの配列の間に各1個のペプチドリンカーが挿入されている。このペプチドリンカーは、好ましくはアミノ酸が約12〜25個の長さを持つ。
【0010】
好ましい実施態様においては、1つ又は複数のSEQ ID No. 1の配列を含むポリペプチドは、ヒトの抗体の1つ又は複数のアミノ酸領域を含んでおり、そのアミノ酸領域は抗体のフレームワーク領域1(FR−1)、FR−2、FR−3、FR−4、相補性を規定する領域1(CDR−1)及び/又はCDR−2から、好ましくは可変の重鎖(VH)のFR−1〜FR−4、CDR−1及び/又はCDR−2から選択されている。軽鎖(VL)、ないし重鎖のフレームワーク領域はわずかな配列可変性しかもたず、これらは抗体内で、立体構造を規定する骨格の機能をもつ。相補性を規定する領域は、軽鎖、ないし重鎖の可変領域内で非常に高い配列可変性を持つ。CDR(CDR−1、CDR−2、CDR−3)の構造は、抗体の結合特異性を規定する。好ましい実施態様においては、本発明のポリペプチドは少なくとも1つの、SEQ ID No. 1の配列の他にさらにFR−1〜FR−4、CDR−1及びCDR−2を持つ。これらの領域は、特に好ましくはVHの領域から選択される。
【0011】
更なる実施態様においては、1つ又は複数のSEQ ID No. 1及びSEQ ID No. 2の配列を含むポリペプチドは、ヒトの抗体の1つ又は複数のアミノ酸領域を含んでおり、このアミノ酸領域は抗体のフレームワーク領域1(FR−1)、FR−2、FR−3、FR−4、相補性を規定する領域1(CDR−1)及び/又はCDR−2から選択されている。好ましくは、SEQ ID No. 1のアミノ酸配列はVHのFR−1〜FR−4、CDR−1及び/又はCDR−2と、SEQ ID No. 2のアミノ酸配列はVLのFR−1〜FR−4、CDR−1及び/又はCDR−2と結合し、その際、SEQ ID No. 1ないしSEQ ID No. 2はVHないしVL内でCDR−3の位置を占める。
【0012】
本発明の意味における「ヒトの」という概念は、そのアミノ酸配列がヒトの重鎖(VH)、及び/又は軽鎖(VL)の可変の領域に対して高い相同性をもち、従ってヒトの体内では免疫原性が無いか、又は僅かしか無い抗体に関係付けられている。高い相同性は、アミノ酸残基の少なくとも80%、好ましくは90%、特に好ましくは95%、特別に好ましくは98%が相同であることを意味する。上記の相同度は好ましくはFR−1、FR−2、FR−3及び/又はFR−4に関するものであり、それに対してCDR−1及びCDR−2の領域は高い相同性を持たない。本発明に係るポリペプチドは免疫原性が低いため、特に治療への適用に対して、中和作用を持つ抗体が形成されないため、前述のマウス抗体に比べて著しい利点を持つ。
【0013】
相同性の測定は、例えば、インターネットでアクセスできる(例えばhttp://www.hgsc.bcm.tmc.edu/SearchLauncher/ で)ALIGNなどのプログラムによって実施することができる。好ましくは、アミノ酸配列の変異はいわゆる保存的変化、例えばアスパラギン酸のグルタミン酸への、又はロイシンのイソロイシンへの変化である。特異的結合は標準テスト、例えばELISAによって検出することができる。
【0014】
本発明の意味におけるポリペプチドは、さらなる実施態様において、FR−1、FR−2、FR−3、FR−4、CDR−1及び/又はCDR−2の他に更なる免疫グロブリンの成分を含む。この場合、これらの成分は天然のものでも、部分合成的なものでも、完全合成的なものでも良い。その例は、免疫グロブリンイソタイプの成分、これらの免疫グロブリンの部分、例えばコンスタントな鎖部分(CH及び/又はCL)又はその一部である。本発明に係るポリペプチドは、さらなる添加される成分に応じてFab、F(ab1)2、「シングルチェーンFv」(scFv)、Fv dAb又はFd断片を形成し得る。
【0015】
ポリペプチドの概念は、本発明に係る、9個又はそれ以上のアミノ酸のアミノ酸鎖に対して使用される。2つ又はそれ以上の同一の結合個所を有するポリペプチドは、高い機能的親和性(=結合力)を持ち、従って本発明に係るポリペプチドの好ましい実施態様である。エンドグリンに対する高い親和性をもつポリペプチドは、例えばDiabodie(=scFv−二量体)(Holliger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90, 6444−6448, 1993)の形で、単鎖多抗原拘束分子(Bruesselbach et al., Tumor Targetting 4, 115−123, 1999)として、タンデムscFvとして、又は免疫グロブリンの二量化領域ないし二量化ペプチド、及び他の蛋白質の領域と融合した状態で存在し得る(Plueckthun & Pack, Immunotechnology 3, 83−105, 1997)。
【0016】
本発明のポリペプチドの好ましい実施態様は、SEQ ID No. 3の配列を持つ1つ又は複数のアミノ酸領域を含むポリペプチドである。本発明の意味でのアミノ酸領域は、好ましくは約80〜約150個のアミノ酸、より好ましくは約100個〜約120個のアミノ酸の長さをもち、SEQ IDNo. 1の配列の他にヒトのVL領域の配列を含む。
【0017】
更なる実施態様においては、本発明のポリペプチドは、SEQ ID No. 4の配列を持つ1つ又は複数のアミノ酸領域を含む。
【0018】
特に好ましい実施態様においては、ポリペプチドはそれぞれ少なくとも1つの、SEQ ID No. 3のアミノ酸領域と、少なくとも1つの、SEQ ID No. 4のアミノ酸領域を含む。
【0019】
好ましくは、本発明に係るポリペプチド内のSEQ ID No. 3ないしSEQ ID No. 3とSEQ ID No. 4の1つ又は複数のアミノ酸領域の間に、又はSEQ ID No. 1ないしSEQ ID No. 1とSEQ ID No. 2の1つ又は複数のアミノ酸領域の間に、ペプチドリンカーが配置されている。このペプチドリンカーは好ましくは約12〜25個のアミノ酸の長さ、特に12〜16個のアミノ酸の長さを持つ。ペプチドリンカーは領域及び/又は配列の空間的な分離に役立ち、エンドグリンへの結合を容易にする。アミノ酸領域の分離には、特にSEQ ID No. 5の配列を持つペプチドリンカーが適している。
【0020】
例えば適当な細胞内で組換え発現されるポリペプチドの製造と分離を容易にするために、ポリペプチドは、好ましい実施態様においては1つ又は複数の分泌信号を含んでいる。この分泌信号によって、本発明に係るポリペプチドは細胞から周辺質中へ分泌され、製造細胞線の培養媒体から直接獲得することができる。分泌信号としては特に、SEQ ID No. 6の配列をもつpelB分泌信号配列(Lei et al, J. Bacteriol. 169, 4379‐4383, 1987)が適している。
【0021】
更なる実施態様において、分泌信号配列は分離することができる。これは例えばエンドペプチダーゼによって識別され、分離されるペプチド配列の挿入によって、又は、例えばインテインの挿入によって行うことができる。分泌信号配列の分離は、ヒトの体内の分泌信号配列が免疫原性をもち、配列の分離によって本発明に係るアミノ酸配列の免疫原性が低減される場合に有利である。
【0022】
特に好ましいポリペプチドはSEQ ID No. 7の配列を含んでいる。pelB分泌信号配列はN末端に配置されており、またC末端の方向にSEQ ID No. 3のアミノ酸領域、SEQ ID No. 5のペプチドリンカー及びSEQ ID No. 4のアミノ酸領域が配置されている。このポリペプチドは更に追加的に、例えばNi2+アフィニティカラムによる抗体の精製を可能にするヘキサヒスチジル配列(6 × His−タグ)(Hochuli et al., Bio/Technol. 6, 1321−1325 1988; Hoffmann & Roeder, Nucl. Acids Res., 19, 6337−6338, 1991)及び、抗Myc抗体9E10(Munro & Pelham, Cell 46, 291−300, 1986)によって識別されるペプチドを含んでいる。
【0023】
本発明のもう一つの対象は、SEQ ID No. 1のアミノ酸配列の変異を含むポリペプチドである。SEQ ID No. 1の配列の変異は、2個のアミノ酸が欠落しており、1個のアミノ酸が欠落しており、1個のアミノ酸が変異しており、又は2個のアミノ酸が変異している配列である。ここで好ましくは一方の、更に好ましくは両方の変異がいわゆる「保存的な」変異である。「保存的な」変異とは、1個のアミノ酸が同じクラスの1個のアミノ酸に置換えられることをいう。さまざまなアミノ酸クラスは、極性のない脂肪族の側鎖を持つアミノ酸(Gly, Ala, Val, Leu, Ile及びPro)、極性のある、無電荷の側鎖を持つアミノ酸(Ser, Thr, Cys, Met, Asn及びGln)、芳香族の側鎖を持つアミノ酸(Phe, Tyr及びTrp)、正の電荷を帯びた側鎖を持つアミノ酸(Lys, Arg及びHis)及び負の電荷を帯びた側鎖をもつアミノ酸(Asp及びGlu)である。1つのクラス内では、例えばThrに対するSerあるいはAlaに対するGlyの様に、1個のアミノ酸が類似の位置的要求をもつ1個のアミノ酸と換えられる置換が特に好ましい。
【0024】
しかし更に好ましいのは、1個のアミノ酸だけが欠落し、又は変異している、SEQ ID No. 1のアミノ酸配列の変異である。好ましくは、SEQ ID No. 1の配列内のこの変異は保存的な変異である。
【0025】
本発明による変異している、及び/又は欠落しているポリペプチドは、エンドグリンの細胞外領域に特異的に結合することを特徴とする。この特異的結合はELISAで固定化されたエンドグリンに対して、又は本発明に係るペプチドによってエンドグリンを析出させることによって検出できる。
【0026】
本発明に係るポリペプチドはまた、少なくとも1個のペプチド及び/又は1個の蛋白質と融合した状態でも存在し得る。ペプチドとは、50個未満のアミノ酸の配列を、蛋白質とは、50個以上のアミノ酸の配列を指す。融合がされているというのは、ポリペプチドのアミノ酸がペプチド結合を通じてペプチド及び/又は蛋白質と結合しているときである。好ましくは、融合蛋白質は関連した形で翻訳され、mRNAによってコードされる。適当な蛋白質とペプチドは、例えば酵素、成長因子、ホルモン、サイトカイン、ケモカイン、ウイルス被覆蛋白質、及び/又は抗体である。サイトカイン又はケモカインとの融合は、例えば目標細胞に対して毒性を持つ物質の導入を可能にし、それによって例えば腫瘍内皮細胞を的確に殺すことが可能になる。ウイルス被覆蛋白質との融合は、表面にエンドグリンに対して特異的なポリペプチドをもつ組換えウイルスの製造を可能にし、それによってそれぞれの組換えウイルスの内皮細胞への導入を可能にする。有用な被覆蛋白質は、例えばアデノウイルス繊維蛋白質である。また、抗体との、好ましくはscFv断片との融合によっても、この抗体が特定のウイルスと特異的に結合するときは、類似の目標を達成することができる。さらにウイルス表面分子又は抗体によって識別されるペプチド又は蛋白質も適している。
【0027】
本発明に係るポリペプチドの好ましい実施態様では、蛋白質又はペプチドが受容体に特異的に結合する。特異的結合は例えば標識されたポリペプチドをもつ固定化された受容体において検出することができる。従来技術において既知の標識は、例えば放射能標識又は蛍光標識である。適当な受容体は例えば、免疫系の細胞上に存在する受容体、例えばCD3、CD4、CD8、CD28、Fcα−1受容体、Fcγ−1、2又は3受容体である。これらの細胞は相互作用によって内皮細胞へ導入され得る。
【0028】
本発明のもう一つの対象は、少なくとも1つの成分に結合しているポリペプチドである。結合とは、成分のポリペプチドへの共有結合又は非共有結合をいう。この場合ポリペプチドと成分は一緒には翻訳されず、mRNAによってコードされない。本発明に係るポリペプチドと成分との間の共有結合は、例えばホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒドによって行われ得る。非共有結合は、例えば、アデノウイルス繊維蛋白質のKnob領域に特異的に結合するペプチド又は蛋白質と融合している本発明に係るポリペプチドの培養によって得られる。好ましい成分はペプチド、蛋白質、酵素、成長因子、ホルモン、サイトカイン、ケモカイン、ウイルス被覆蛋白質、炭水化物、抗体、リピド、アイソトープ、リポソーム、ウイルス、ウイルスと類似した粒子、核酸、及び/又は細胞である。本発明に係るポリペプチドと結合する核酸は、「裸」で存在しても、また例えばポリリシンによって凝縮されていてもよい。
【0029】
本発明に係るポリペプチドのリポソームとの結合は、本発明の特に好ましい実施態様である。リポソームにはさまざまな、治療上有効な物質を含ませることができるからである。適当なリポソームは例えばEP 0555333又はWO 00/74646によって既知である。好ましいリポソームは、コレステロールの他に陰イオンリン脂質を含んでいる陰イオンリポソームである。リポソーム中のコレステロールに対するリン脂質の比率は、約0.3と約1.2の間、好ましくは約0.4と約0.8の間である。本発明に係るポリペプチドのリポソームとの結合は、例えばN−カルボキシル−ホスファチジルエタノールアミン又はグルタリル−ホスファチジルエタノールアミンを介して行われる。
【0030】
リポソームは好ましくは少なくとも1つのアンチセンスRNA、少なくとも1つの化学療法薬剤、少なくとも1つの作用物質をコードする核酸又は少なくとも1つの活性物質を含む。リポソームが核酸を含む場合は、リポソームは、好ましい実施態様において、追加的にホスファチジルエタノールアミン(PEI)を含む。このPEIは、好ましくは、約500〜25,000Daの範囲で、更に好ましくは約5,000〜10,000Daの範囲の分子量をもつ低分子PEIである。アンチセンスRNAは例えば、細胞分裂に必要な遺伝子の翻訳を阻害し得る。化学療法薬剤は、例えばドキシルビシン、シクロホスファミド、5‐フルオロウラシル、シスプラチン又はタキソールなどの物質を含む。当業者によって、腫瘍治療に使用され、本発明の範囲に含まれている更なる化学療法薬剤が既知である。リポソームに含まれる核酸によってコードされる作用物質は、例えば細胞増殖の阻害物質であり得る。適当な蛋白質は当業者には既知であり、抗腫瘍遺伝子剤、例えばp53又はpRb、及び細胞サイクル阻害剤、例えばp21WAF,p16INK,p57INK2,p27KIP又はGADD45を含んでいる。更に核酸は細胞増殖抑制性又は細胞毒性の蛋白質、例えばペルフォリン、グランジム、IL−2,IL−4,IL−12又はオンコスタチンMをコードすることもできる。活性物質は、例えば、内皮細胞が関与している疾病の治療に適している、あらゆる薬学的に有効な物質であり得る。
【0031】
本発明に係るポリペプチドの好ましい実施態様においては、成分は特異的に受容体と結合する。特異的結合は例えば、標識されたポリペプチド及び/又は標識された成分を持つ固定化された受容体において検出することができる。従来技術において既知の標識は、例えば放射能標識又は蛍光標識である。適当な受容体は例えば、免疫系の細胞上に存在する、例えばCD3、CD4、CD8、CD28、Fcα−1受容体、Fcγ−1、2又は3受容体などの受容体である。これらの細胞は成分と細胞表面蛋白質の1つとの相互作用によって、また本発明に係るポリペプチドとエンドグリンとの相互作用によって、内皮細胞へ導入される。
【0032】
本発明のもう一つの対象は、本発明に係るポリペプチドをコードする核酸である。核酸の配列内に、例えば遺伝コードの劣化による小さい変化が存在し得ること、又は翻訳されなかった配列が、コードされたポリペプチドに変化を生じることなしに、核酸の5’及び/又は3’末端に付け加えられ得ることは既知である。それゆえ本発明は、前述の核酸のいわゆる「変異」も含んでいる。
【0033】
核酸の変異とは、厳密な条件の下でレファレンス配列とのハイブリダイゼーションを生じ、かつヒトのエンドグリンに特異的に結合する蛋白質をコードする核酸配列と相補的なすべての核酸配列をいう。
【0034】
「厳密なハイブリダイゼーション条件」とは、ハイブリダイゼーションを60℃で2.5×SSC緩衝液中で行い、続いて37℃で、より低濃度の緩衝液中で数段階の洗浄を行っても安定に留まっている条件をいう。
【0035】
真核細胞又は原核細胞内での上記の核酸の、トランスフェクション、形質転換又は感染による導入を、従ってポリペプチドの発現を可能にするために、核酸はプラスミドとして、ウイルス性又は非ウイルス性のベクターの一部として存在することができる。
【0036】
従って本発明のもう一つの対象はベクター、特に、本発明に係るポリペプチドをコードする核酸を含んでいる発現ベクターである。ウイルス性ベクターとしては、この場合特にバキュロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、アデノ関連性ウイルス及びヘルペスウイルスが適している。非ウイルス性ベクターとしては、特にウイロゾーム、リポソーム、陽イオンリピド、又はポリリシンコンジュゲートDNAが適している。
【0037】
本発明のもう一つの対象は、少なくとも1つの本発明に係る核酸及び/又は少なくとも1つの本発明に係るベクターを含む細胞である。この細胞は当業者に既知の、それぞれ使用される、調節可能な要素の活性化をもたらす条件の下で本発明に係るポリペプチドを発現する。このポリペプチドはその後、細胞から単離することができ、又は細胞から分泌される。発現された、本発明に係る化合物を製造し、続いて精製するためには、真核細胞又は原核細胞、特に細菌細胞、例えばE. Coli、酵母菌細胞、例えばS. cerevisiae, 昆虫細胞、例えばSpodoptera frugiperda細胞(Sf−9)又はTriochoplusia ni細胞又は哺乳類細胞、例えばCOS細胞又はHeLa細胞が適している。
【0038】
従って本発明のもう一つの対象は、本発明に係るポリペプチドの、少なくとも1つの本発明に係る核酸が細胞内で発現される、製造方法である。本発明に係るポリペプチドが分離可能な分泌信号配列を含んでいるときは、これをその後の工程で例えば適当なエンドペプチダーゼによる作用によって、又はインテインの場合はジチオトレイトール(DTT)を媒体に付加することによって、分離することができる。
【0039】
本発明に係るポリペプチドに成分を結合させるときは、この結合を培養によって、又は少なくとも1つの成分との化学反応によって行うことができる。このような結合は既に細胞内で、ただし好ましくはポリペプチドの精製の後、行うことができる。
【0040】
本発明に係るポリペプチドは、診断ツールとして使用することができる。従って本発明のもう一つの対象は、生体外及び/又は生体内でエンドグリン及び/又はエンドグリンを発現する細胞若しくは細胞成分を検出するために少なくとも1つのポリペプチドを使用することである。
【0041】
検出は直接、検出可能な成分の融合又は結合によって(例えば酵素又は放射性同位元素によって)、又は間接的に、本発明に係るポリペプチドを識別する、標識された成分によって行うことができる。好ましく使用される検出方法はELISA,RIA,免疫蛍光法、免疫析出法又は免疫シンチレーション法である。
【0042】
エンドグリンに対して調製される、本発明に係るポリペプチドは更に、的確にエンドグリンを発現している細胞(例えば腫瘍内皮細胞)を識別し、結合させるためのリガンドとして使うことができる。従って本発明のもう一つの対象は、少なくとも1つの、本発明に係るポリペプチドを、エンドグリンを発現している細胞への結合に使用することである。
【0043】
それによって、結合又は融合による第二のリガンドとの結合によって、少なくとも1つのペプチド、少なくとも1つの蛋白質又は少なくとも1つの成分をエンドグリンを発現している細胞へ導入することができる。この第二のリガンドは、抗体分子又は抗体断片、細胞受容体のためのリガンド、細胞上の受容体を識別するペプチドであり得る。
【0044】
好ましい用途においては、本発明に係るポリペプチドはエンドグリンを発現している細胞に細胞障害効果を生じる。この効果は例えば細胞毒性をもつT細胞の導入、サイトカイン又は酵素、例えば「プロドラッグ変換酵素(prodrug converting enzymes)」との融合又は結合によって生じる。
【0045】
本発明に係るポリペプチドのもう一つの使用法では、エンドグリンを発現している細胞との結合がウイルス、ウイルスに類似した粒子、リポソーム、及び/又は核酸による細胞の感染、トランスダクションあるいはトランスフェクションをもたらす。
【0046】
本発明のもう一つの対象は、少なくとも1つのポリペプチド、少なくとも1つの核酸及び/又は少なくとも1つの前述のようなベクターを、内皮細胞が関与している疾患の治療に使用することである。好ましい実施態様においては、本発明に係るポリペプチド、核酸及び/又はベクターが、エンドグリンを発現している細胞の過増殖によって特徴付けられる疾患の治療に使用される。内皮細胞の過増殖は、例えば腫瘍組織の血管新生の際に観察される。従って腫瘍疾患の治療は本発明に係るポリペプチド、核酸及び/又はベクターの特に好ましい用途である。
【0047】
本発明のもう一つの対象は、少なくとも1つのポリペプチド、少なくとも1つの核酸及び/又は少なくとも1つの前述のようなベクターを、また場合によっては適当な助剤及び添加剤を含む薬剤又は診断用薬である。適当な助剤及び添加剤は、例えば本発明に係る薬剤又は診断用薬の保存性の改善をもたらし、また適合性の改善又は使用可能性を向上し、当業者に既知である。
【0048】
以下の図と以下の例は、本発明を詳しく説明するためのものに過ぎず、本発明を制限するものではない。
【0049】
【実施例】
実施例1:一次内皮細胞上のエンドグリンの検出
図1に示す、発現プラスミドpHEN2(MRC蛋白質工学センター、英国ケンブリッジ)内に存在した、ファージ・ディスプレイによって分離されたポリペプチドscFv C4(Kontermann & Duebel 2000, 抗体工学、シュプリンガー出版社)は、イソプロピル‐β‐D‐ガラクトピラノシド(IPTG)の添加によってTG1細菌の周辺質抽出物からの蛋白質発現を誘発させた後、固定化された金属親和性クロマトグラフィーによって精製した。そのために、100μg/mlのアンピシリンと0.1%のグルコースを混合したLB培地1リットル当たり10mlのscFv C4の一晩培養した液を添加し、37℃で振った。OD600が0.8に達したとき、IPTG最終濃度1mMで添加し、細菌を室温で3時間振った。細菌を遠心分離し、ペレットを抽出緩衝液(30mMトリス−HCl pH8,1mM EDTA,20%ショ糖)で再懸濁させた。氷上で15分間インキュベーションを行った後、MgCl2を最終濃度5mMで添加し、その液を再度遠心分離した。上澄みをIMACロード緩衝液に対して透析した(50mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.5,500mM NaCl,20mMイミダゾール)。透析液を、カラム用緩衝液によって平衡状態にされた、Ni−NTAをロードしたカラム(Qiagen)にロードし、洗浄緩衝液(50mM リン酸ナトリウム緩衝液 pH7.5,500mM NaCl,35mMイミダゾール)で洗浄し、結合された抗体断片を溶緩衝液(50mMリン酸ナトリウム緩衝液 pH7.5,500mM NaCl,100mMイミダゾール)で溶出した。
【0050】
精製されたポリペプチドをエンドグリンの検出に使用した。その際、結合したポリペプチドscFv C4の検出は間接的に、ヘキサヒスチジル配列又はMycエピトープに対して調製されたモノクローナル抗体を用いて行った。精製されたエンドグリンへの結合の検出は、ELISAを用いて行った。そのために、ポリスチレンマイクロ滴定プレートをヒトのエンドグリン(PBS中の濃度10μg/ml)でコーティングし、4℃で一晩放置した。PBS中で洗浄した後、空いていた結合個所をPBS,2%脱脂粉乳によるインキュベートによって飽和(ブロッキング)させた。抗エンドグリン抗体を、PBS,2%脱脂粉乳中で50μg/ml〜5ng/mlの濃度に調節し、それぞれ100μl/ウェルをマイクロ滴定プレートへ供給し、1時間、室温で培養した。その後、プレートを5分間、PBSで洗浄した。結合した抗体の検出は、scFv C4のC末端のMyc−タグを識別する、ペルオキシダーゼで標識された第二抗体によって行った。第二抗体を、PBS中で1μg/mlの濃度に調節し、それぞれ100μlずつ、マイクロ滴定板の各ウェルに供給した。室温で1時間培養した後、再び5分間PBSで洗浄した。結合した抗体は、ペルオキシダーゼ基質 テトラメチルベンジジン/H2O2の変換によって検出された。50μlの1M硫酸を添加した後、色の急変を、光度計を用いて波長450nmで測定した。
【0051】
一次ヒト臍帯内皮細胞(HUVEC)のエンドグリンを、変性しない条件下での免疫沈降法によって検出した。そのために、[35S]‐メチオニンで標識された内皮細胞を細胞溶解緩衝液(10mMトリス−HCl pH7.5、150mM NaCl,1%デゾキシコリン酸ナトリウム、1% Nonidet P40)を用いて30分間、4℃で溶解した。40000rpmで20分間、超遠心分離した後、上澄みにscFv C4 5μg、陰性の対照scFv 5μg又はマウス抗エンドグリン抗体SN6h(REF)5μlを混合し、1時間、4℃で培養した。続いて抗Myc抗体9E10(Munro & Pelham, Cell 46, 291−300, 1986)を用い、その後蛋白質A−セファロースを用いて、それぞれ30分間、4℃で培養した。これらの錯体を数回、細胞溶解緩衝液で洗浄し、最後に20μlのSDE−PAGEロード緩衝液中に再懸濁させた。SDSポリアクリルアミドゲル中で分離した後、ゲルを30分間、30%メタノールと10%酢酸中で固定させ、それから増幅液を混合した(Amersham−Buchler)。ゲルを乾燥させ、X線フィルムを用いてX線を照射した。
【0052】
ポリペプチドscFv C4は特異的に、マウスの抗エンドグリン抗体SN6hと同一のバンドを析出するのに対し、陰性の対照抗体ではこのバンドを検出できないことがわかった。従って、scFv C4を用いて、一次内皮細胞の抽出物中のエンドグリンを特異的に検出することができた。
【0053】
更なる実験において、細胞上のエンドグリンの検出を免疫蛍光法によって行った。そのために、さまざまな内皮細胞(HUVEC,HMVEC,HDMEC,HMEC)及び非内皮細胞(A549, HEK293)を濃度5‐25μg/mlのscFv C4ないし、陰性及び陽性の対照抗体を用いて、30分間、4℃で培養した。その後、組換えポリペプチドを、抗Myc抗体9E10を用いて30分間、4℃で培養した。最後にすべての調合液をCy3で標識された抗マウス抗体を用いて培養した。結合したポリペプチドの検出は、蛍光顕微鏡又はフロー・サイトメトリーを用いて行った。
この実験では、エンドグリンを発現している内皮細胞の特異的な蛍光を検出することができたが、エンドグリン陰性の細胞は何らの反応も示さなかった。その際、薄膜蛋白質に対して予想されたような、細胞の典型的な表面発色が生じた。
【0054】
実施例2:アデノウイルスによる内皮細胞の的確なトランスダクションのための二重特異性単鎖多抗原拘束分子
エンドグリン及び抗原型5のアデノウイルスの繊維蛋白質のKnob領域に対抗している、二重特異性単鎖多抗原拘束分子の構成(ここでは特許出願DE198 16 141及びEP 0 952 218も引用する)は、DNAレベルでは以下である。このために、scFv断片S11を使用した(Watkins et al., Gene Ther. 4: 1004−1012, 1996)。scFv S11は繊維蛋白質のKnob領域と結合し、この結合によって野生型感染を中和する。ポリメラーゼ連鎖反応によって、scFv S11のVL断片に、5’末端側でBstEII制限エンドヌクレアーゼ・インターフェース及び5個のアミノ酸の長さの結合ペプチドに対して、また3’末端側で中間の結合ペプチド及びAscI制限エンドヌクレアーゼ・インターフェースに対してコードする配列が付加された。同じ方法で、scFv S11のVH断片に、5’末端側で中間の結合ペプチドの7個のアミノ酸及びAscI制限エンドヌクレアーゼ・インターフェースに対して、また3’末端側でSacI制限エンドヌクレアーゼ・インターフェース及び5個のアミノ酸の長さの結合ペプチドに対してコードする配列が付加された。これらの断片をプラスミドpAB1−scFv C4内へクローニングした。その結果得られる二重特異性単鎖多抗原拘束分子(EDG−Ad)は、VHC4−ペプチドA−VLS11−ペプチドM−VHS11−ペプチドB−VLC4の構造をもつ。ペプチドAとBはそれぞれ配列GGGGSを、ペプチドMは配列GGGGSGGRASGGGGGSを持つ。このモノマー分子は分子量約58kDaで、エンドグリンとKnob領域に対する結合箇所を1つずつ持っている。二重特異性単鎖多抗原拘束分子からは、例1に記述したように、誘発された細菌の周辺質が精製によって除去された。結合の研究により、この分子は完全に機能することが分った。この分子はELISAでKnob領域を識別し、また免疫蛍光法でエンドグリンを発現しているHUVECを識別した。
【0055】
アデノウイルスのトランスダクションを検査するために、2x10のHUVEC又は3.5x10のA549細胞を、ウイルスによって感染させる2日前に96ウェルプレートに塗布した。lac−遺伝子をCMVプロモーターの管理下で発現するAdCMVLacZを、二重特異性単鎖多抗原拘束分子EDG−Adを用いて1時間、37℃で培養し、続いて1時間、細胞へ供給した。対照試料として、EDG−Adによって培養されていないウイルスを使用した。β−ガラクトシダーゼの発現は、X−Gal染色を用いて行った。そのために細胞を、PBS洗浄過程の後、0.1%のグルタルアルデヒドで固定し、もう一度PBSで洗浄し、その後、0.8mg/mlのX−Gal, 3 mMのK3Fe(CN)6, 及び3 mM のK4Fe(CN)6によって、PBS中で37℃で培養した。
【0056】
これらの実験の結果、アデノウイルス単独の場合は、使用したウイルス滴定(8x10pfu)では非常に弱いトランスダクションしか示さないことが分った。しかしEDG−Adとの複合によって、トランスダクションが著しく強まった。このEDG−Adによって媒介されたトランスダクションの増大は、目標細胞上のエンドグリンの存在に依存していた。例えば、エンドグリン陰性の細胞(例えばA549)では、トランスダクションは強まらなかった。またEDG−Adによって媒介されたHUVECのトランスダクションは、scFv C4による前培養によって阻害された。これと反対に、野生型トランスダクションを一次受容体(Coxackie−アデノウイルス受容体CAR)への結合によって全面的に阻害する、溶解可能なKnob領域は、EDG−Adによって媒介されたトランスダクションには何らの影響も及ぼさなかった。また、アデノウイルスのペントンベースの二次受容体(ανインテグリン)との相互作用を阻害し、それによってやはり野生型トランスダクションを阻止するRGDペプチドによる前培養も、EDG−Adによって媒介されるトランスダクションには影響を及ぼさなかった。従って、EDG−Adによって媒介される、エンドグリンを発現しいている細胞のトランスダクションは、アデノウイルス受容体の存在とは無関係である。EDG−Adによって媒介されるトランスダクションはむしろ直接ないし間接に、エンドグリンを通じて行われるのである。これらの結果は、エンドグリン及びウイルス被覆蛋白質に対する二重特異性分子によって、エンドグリンを発現している内皮細胞へウイルスを的確に導入することが可能であることを証明している。
【0057】
実施例3:細胞毒性Tリンパ球による内皮細胞の的確な細胞溶解のための二重特異性単鎖多抗原拘束分子
エンドグリン及びT細胞共受容体CD3のε鎖に対する、二重特異性単鎖多抗原拘束分子の構成(ここでは特許出願DE 198 16 141及びEP 0 952 218も引用する)は、DNAレベルで次のように行われた。このために、T細胞共受容体CD3のε鎖に結合するscFv CD3v9を使用した。scFv CD3v9は、モノクローナル抗体UCHT1(Zhu & Carter, J. Immunol. 155: 1903−1910, 1995)のヒト化された抗体断片である。ポリメラーゼ連鎖反応によって、scFv CD3のVL断片に、5’末端側でBstEII制限エンドヌクレアーゼ インターフェース及び5個のアミノ酸の長さの結合ペプチドを、また3’末端側で8個のアミノ酸の長さの中間の結合ペプチド及びAscI制限エンドヌクレアーゼ インターフェースをコードする配列が付加された。同じ方法で、scFv CD3のVH断片に、5’末端側で中間の結合ペプチドの7個のアミノ酸及びAscI制限エンドヌクレアーゼインターフェースを、また3’末端側でSacI制限エンドヌクレアーゼインターフェース及び5個のアミノ酸の長さの結合ペプチドをコードする配列が付加された。これらの断片をプラスミドpAB1−scFv C4内へクローニングした。その結果得られる二重特異性単鎖多抗原拘束分子(EDG−CD3)は、VHC4−ペプチドA−VLCD3−ペプチドM−VHCD3−ペプチドB−VLC4の構造をもつ。ペプチドAとBはそれぞれ配列GGGGSを、ペプチドMは配列GGGGSGGRASGGGGGSをもつ。このモノマー分子は、エンドグリンとCD3に対する結合箇所を1つずつもっている。二重特異性単鎖多抗原拘束分子からは、実施例1に記述したように、誘発された細菌の周辺質が精製によって除去された。結合の研究により、この分子は完全に機能することが分った。この分子は、免疫蛍光法でエンドグリンを発現しているHUVEC及びCD3を発現しているJurkat細胞を識別した。
【0058】
EDG−CD3によって媒介された、細胞毒性Tリンパ球による内皮細胞の細胞溶解を分析するために、エウロピウムで標識されたHUVECと分離され、植物性血球凝集素とIL−2によって活性化されたヒトTリンパ球を使用した。これらの細胞をHUVEC(目標細胞)のTリンパ球(エフェクター)に対する比を1:3、1:10、1:30及び1:100にして、さまざまな濃度のEDG−CD3(10μg/mlないし1ng/ml)を用いて培養した。恒温器内で4時間培養を行った後、内皮細胞の細胞溶解を時間分解蛍光法によって測定した。得られた結果から、HUVECの細胞溶解はEDG−C3に依存することが分った。この細胞溶解は、EDG−CD3濃度が1−10μg/ml、エフェクター‐目標細胞比が100のとき、最も著しかった。エンドグリン陰性の対照細胞による実験でも、またEDGとβ−ガラクトシダーゼ(EDG−Gal)に対する二重特異性単鎖多抗原拘束分子を使用したときも、内皮細胞の溶解は生じなかった。これらの実験結果は、EDG−CD3はエンドグリンを発現している内皮細胞へT細胞を導入し、それによって細胞溶解を生じさせることができることを証明している。
【配列表】
Figure 2004508035
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【図面の簡単な説明】
【図1】
scFv断片の形の、本発明に係る抗エンドグリンポリペプチドC4の、DNA配列及びそれから導き出された蛋白質配列。信号配列、結合しているペプチド及び精製と検出のためのC末端の配列に下線を引いてある。個々の核酸領域は次の意味を持つ:
ヌクレオチド1−42    5’無翻訳領域
ヌクレオチド43−106   pelB信号配列をコードするDNA
(Lei et al., J. Bacteriol. 169, 4379−4383, 1987)
ヌクレオチド107−465  ヒトVH領域をコードするDNA
(半合成的にKeimbahn V−Genと合成CDR3−FR4領域で構成されている)
(Griffiths et al., EMBO J.13, 3245−3260, 1994)
ヌクレオチド466−505  人工ペプチド配列をコードするDNA
(Huston et al., 1988)
ヌクレオチド506−828  ヒトVL領域をコードするDNA
(半合成的にKeimbahn V−Genと合成CDR3−FR4領域で構成されている)
(Griffiths et al., EMBO J.13, 3245−3260, 1994)
ヌクレオチド829−837  人工ペプチド配列をコードするDNA
ヌクレオチド838−855  ヘキサヒスチジル配列をコードするDNA
(Hochuli et al., Bio/Technol. 6, 1321−1325, 1988)
ヌクレオチド856−864  人工ペプチド配列をコードするDNA
ヌクレオチド865−897  抗Myc抗体9E10のエピトープをコードするDNA
(Munro & Pelham, Cell 46, 291−300, 1986)
ヌクレオチド898−906  人工ペプチド配列をコードするDNA

Claims (31)

  1. ヒトのエンドグリン(CD105)蛋白質の細胞外領域に特異的に結合するポリペプチドにおいて、前記ポリペプチドが1つまたは複数の、SEQ ID No. 1の配列を含むことを特徴とするポリペプチド。
  2. 前記ポリペプチドが1つまたは複数の、SEQ ID No. 2の配列を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリペプチド。
  3. 前記ポリペプチドがヒト抗体の1つまたは複数のアミノ酸領域を含み、これらのアミノ酸領域が抗体のフレームワーク領域1(FR−1)、FR−2、 FR−3、 FR−4、相補性を規定する領域1(CDR−1)及びCDR−2から選択されていることを特徴とする請求項1に記載のポリペプチド。
  4. 前記ポリペプチドがSEQ ID No. 3の1つまたは複数のアミノ酸領域を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリペプチド。
  5. 前記ポリペプチドがSEQ ID No. 4の1つまたは複数のアミノ酸領域を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリペプチド。
  6. それぞれ前記アミノ酸領域の間にペプチドリンカーが配置されていることを特徴とする請求項3〜5に記載のポリペプチド。
  7. 前記ペプチドリンカーがSEQ ID No. 5の配列を含むことを特徴とする請求項6に記載のポリペプチド。
  8. 前記ポリペプチドが1つまたは複数の分泌信号配列を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリペプチド。
  9. 前記分泌信号配列がSEQ ID No. 6の配列であることを特徴とする請求項8に記載のポリペプチド。
  10. 前記ポリペプチドがSEQ ID No. 7の1つまたは複数のアミノ酸領域を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のポリペプチド。
  11. 前記ポリペプチドがSEQ ID No. 1の変異を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のポリペプチド。
  12. 前記ポリペプチドが少なくとも1つのペプチドまたは蛋白質と融合していることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチド。
  13. 前記蛋白質またはペプチドが、酵素、成長因子、ホルモン、サイトカイン、ケモカイン、ウイルス被覆蛋白質及び/又は抗体であることを特徴とする請求項12に記載のポリペプチド。
  14. 前記蛋白質またはペプチドが、特異的に1つの受容体に結合できることを特徴とする請求項12または13に記載のポリペプチド。
  15. 前記ポリペプチドが少なくとも1つの成分に結合していることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のポリペプチド。
  16. 前記成分が、ペプチド、蛋白質、酵素、成長因子、ホルモン、サイトカイン、ケモカイン、ウイルス被覆蛋白質、炭水化物、抗体、脂質、同位体、リポソーム、ウイルス、ウイルスに類似した粒子、核酸、及び/又は細胞であることを特徴とする請求項15に記載のポリペプチド。
  17. 前記成分が、特異的に1つの受容体に結合できることを特徴とする請求項15または16に記載のポリペプチド。
  18. 前記リポソームが少なくとも1つのアンチセンスRNA、少なくとも1つの、作用物質をコードする核酸、または少なくとも1つの活性物質を含むことを特徴とする請求項17に記載のポリペプチド。
  19. 前記活性物質が化学療法用薬であることを特徴とする請求項18に記載のポリペプチド。
  20. 請求項1〜14に記載のポリペプチドをコードすることを特徴とする核酸。
  21. 請求項20に記載の少なくとも1つの核酸を含むことを特徴とするベクター。
  22. 請求項20に記載の少なくとも1つの核酸及び/又は請求項21に記載の少なくとも1つのベクターを含むことを特徴とする細胞。
  23. 請求項1〜14のポリペプチドの製造方法において、少なくとも1つの、請求項20に記載の核酸が細胞内で発現されることを特徴とするポリペプチドの製造方法。
  24. 少なくとも1つの成分がポリペプチドに結合される工程を含むことを特徴とする請求項23に記載の方法
  25. 請求項1〜19に記載の少なくとも1つのポリペプチドの、生体内及び/又は生体外での、エンドグリン及び/又はエンドグリンを発現している細胞若しくは細胞が存在する部分の検出への使用。
  26. 前記検出がELISA、RLA、免疫蛍光法、免疫懸濁法又は免疫シンチレーションによって実施されることを特徴とする請求項25に記載の使用。
  27. エンドグリンを発現している細胞に結合させるための請求項1〜19のいずれかに記載の少なくとも1つのポリペプチドの使用において、前記ポリペプチドの前記結合がエンドグリンを発現している細胞に細胞毒性作用を及ぼすことを特徴とする使用。
  28. 請求項1〜19のいずれかに記載の少なくとも1つのポリペプチドの、エンドグリンを発現している細胞の感染、トランスダクションないしトランスフェクションへの使用。
  29. 請求項1〜19のいずれかに記載の少なくとも1つのポリペプチド、請求項20に記載の核酸及び/又は請求項21に記載の少なくとも1つのベクターの、エンドグリンを発現している細胞の過増殖によって特徴付けられる疾患の診断及び/又は治療のための薬剤製造の使用。
  30. 前記疾患が腫瘍疾患であることを特徴とする、請求項29に記載の使用。
  31. 請求項1〜19に記載の少なくとも1つのポリペプチド、請求項20に記載の核酸及び/又は請求項21に記載の少なくとも1つのベクター及び場合によっては適当な助剤および添加剤を含む薬剤または診断用薬。
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