JP2004507503A - 記憶を増強するためのトレオ−メチルフェニデートの使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、記憶を促進するため、例えば長期記憶および思い出す能力などの記憶機能を増大するための方法および薬剤を利用可能にする。

Description

【0001】
発明の背景
用語「記憶」は、多くの異なるプロセスを包括し、多くの異なる脳領域の機能を必要とする。全体的には、ヒト記憶は、叙述の回想(例えば、意識のある思い出に利用できる事実および現象に関する)ならびに非叙述の回想(例えば、時間および場所に関して保存されていない技術および操作の手順の記憶)を提供する。近年の研究は、記憶の種々の構成成分の多くに必要な情報を提供しており、関連する脳の領域を同定している。新規に獲得された経験は、最初は、種々の形態の破壊に影響を受けやすい。しかし、時間とともに、新しい経験は、破壊に対して抵抗性をもつようになる。この観察は、不安定な実用的な短期記憶がより安定な長期記憶に固められることを示すと解釈されている。
【0002】
行動の研究は、ヒトの心が、所定の鍵となる時間間隔で記憶を固定することを見出している。記憶固定の初期相は、我々が新しい考えまたは学習した経験に曝された後の最初の数分に起こる。次の相は、睡眠の間等の長期の時間にわたって起こる。学習した経験が我々に対して進行中の意味を有する場合、次の週等が記憶固定のさらなる期間として働く。事実上は、この相で、記憶は、短期貯蔵から長期貯蔵に移動する。
【0003】
さらに、種々の機構が、長期記憶の形成を説明するために提案されている。広範な観察は、長期記憶の形成に関与する進化的に保存された分子機構を示唆する。これらは、シナプス伝達物質の放出の増大、シナプスレセプターの数の増大、レセプターのKmの減少、シナプス前因子またはシナプス後因子のいずれかにおける新規記憶因子の合成、新規シナプス連絡の出芽、シナプス前膜における活性領域の増大等を含む。シナプス柔軟性、脳におけるニューロン連絡の強度における変化は、長期記憶貯蔵の基礎をなすと考えられている。
【0004】
「記憶固定(memory consolidation)」または長期記憶はまた、精神遅滞、アルツハイマー病およびうつ病を含む種々の神経性障害および精神障害において重大な役割を果たすと考えられている。実際、長期記憶の喪失または障害は、かかる疾患の有意な特徴であり、その影響に対する効果的な治療は現れていない。短期または「働いている」記憶は、一般に、かかる患者において有意には損傷しない。
【0005】
従って、本発明の目的は、長期記憶機能および/またはパフォーマンスを増強するための方法および組成物を提供することである。また、本発明の目的は、長期記憶機能および/またはパフォーマンスの下落を予防的(例えば、神経保護治療)に妨げるか、または緩徐にするための方法および組成物を提供することである。また、本発明の目的は、長期記憶機能および/またはパフォーマンスを保存するための方法および組成物を提供することである。
【0006】
発明の簡単な要旨
本発明の1つの局面は、メチルフェニデート化合物、またはその薬学的に許容されうる誘導体、塩、溶媒化合物、プロドラッグまたは代謝誘導体の製剤を、動物において長期記憶を増強するのに十分な量で動物に投与することを含む、動物における記憶強化を増強する方法を提供する。かかる態様において、製剤は、メチルフェニデート化合物のエリトロ−異性体と比較してメチルフェニデート化合物のL−トレオ(2S:2’S)立体異性体、D−トレオ(2R:2’R)立体異性体、またはそれらの組み合わせを少なくとも60%(w/w) 含む。所定の好ましい態様において、製剤は、一般式(I) :
【0007】
【化7】
Figure 2004507503
【0008】
式中、A は、炭素環、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリール環を表し、
U は、存在しないかまたは−C(=O)− 、−C(=S)− 、−P(=O)(OR)−、−S(O)− または−S(O)−を表し、
V は、各存在について独立して、存在しないかまたはNR、O またはS を表し、
Y は、NR 、O またはS を表し、
X の各存在は、独立して、C 、N 、S 、SeおよびO から選択された原子であり、
R は、各存在について独立して、H 、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはヘテロアラルキルを表し、
の各存在は、独立して、アリール、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6アシルオキシ、水酸基、C1〜C6アルカノイル、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、アミド、アミノ、C1〜C6アシルアミノ、C1〜C6アルキルアミノ、ニトロ、スルホン酸、またはスルフヒドリルを表し、
は、H 、C1〜C6アルキルおよびC1〜C6アルカノイルから選択されたものであり、
は、各存在について独立して、水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、水酸基、C1〜C6アルカノイル、ハロゲン、カルボキシル、C2〜C6アルカンオキシ、ニトロまたはスルフヒドリルを表すか、あるいは2つのRが一緒になって、オキソ基または2つの隣接するX 原子間の二重結合を表わし、
は、水素、低級アルキル、アシル、アミド、エステル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル、好ましくは水素または低級アルキルを表し、
m は、0 〜1 から選択された整数であり、
n は、0 〜7 の整数であり、
p は、3 、4 、5 および6 から選択された整数であり、ならびに
q は、0 〜16の整数である
で表されるメチルフェニデート化合物またはその薬学的に許容されうる誘導体、塩、溶媒化合物、プロドラッグもしくは代謝誘導体を少なくとも60%(w/w) 含む。
【0009】
本発明の他の局面は、メチルフェニデート化合物、またはその薬学的に許容されうる誘導体、塩、溶媒化合物、プロドラッグまたは代謝誘導体の製剤を、動物において長期記憶を増強するのに十分な量で動物に投与することを含む、動物における記憶強化を増強する方法を提供し、ここで該製剤は例えば、メチルフェニデート化合物のD−トレオ(2R:2’R)異性体、D−エリトロ(2R:2’S)異性体およびL−エリトロ(2S:2’R)異性体と比較してメチルフェニデート化合物のL−トレオ(2S:2’S)立体異性体を少なくとも60%(w/w) 含む。
【0010】
例えば、ある態様において、主題の方法は、
一般式(IA):
【0011】
【化8】
Figure 2004507503
【0012】
式中、A は、炭素環、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリール環を表し、
U は、存在しないかまたは−C(=O)− 、−C(=S)− 、−P(=O)(OR)−、−S(O)− または−S(O)−を表し、
V は、各存在について独立して、存在しないかまたはNR、O またはS を表し、
Y は、NR 、O またはS を表し、
X の各存在は、独立して、C 、N 、S 、SeおよびO から選択された原子であり、R は、各存在について独立して、H 、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはヘテロアラルキルを表し、
の各存在は、独立して、アリール、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6アシルオキシ、水酸基、C1〜C6アルカノイル、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、アミド、アミノ、C1〜C6アシルアミノ、C1〜C6アルキルアミノ、ニトロ、スルホン酸、またはスルフヒドリルを表し、
は、H 、C1〜C6アルキルおよびC1〜C6アルカノイルから選択されたものであり、
は、各存在について独立して、水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、水酸基、C1〜C6アルカノイル、ハロゲン、カルボキシル、C2〜C6アルカンオキシ、ニトロまたはスルフヒドリルを表すか、あるいは2つのRが一緒になって、オキソ基または2つの隣接するX 原子間の二重結合を表わし、
は、水素、低級アルキル、アシル、アミド、エステル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル、好ましくは水素または低級アルキルを表し、
m は、0 〜1 から選択された整数であり、
n は、0 〜7 の整数であり、
p は、3 、4 、5 および6 から選択された整数であり、ならびに
q は、0 〜16から選択された整数である、または
その薬学的に許容されうる誘導体、塩、溶媒化合物、プロドラッグもしくは代謝誘導体
で表されるメチルフェニデート化合物のL−トレオ(2S:2’S)立体異性体、またはその薬学的に許容されうる塩、プロドラッグもしくは代謝誘導体を用いて実行されうる。
【0013】
他の態様において、主題の方法は、一般式(II):
【0014】
【化9】
Figure 2004507503
【0015】
式中、U は、存在しないかまたは−C(=O)− 、−C(=S)− 、−P(=O)(OR)−、−S(O)− または−S(O)−を表し、
V は、各存在について独立して、存在しないかまたはNR、O またはS を表し、
R は、各存在について独立して、H 、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはヘテロアラルキルを表し、
は、H 、C1〜C6アルキルおよびC1〜C6アルカノイルから選択されたものであり、
は、水素、低級アルキル、アシル、アミド、エステル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル、好ましくは水素または低級アルキルを表し、
s は、0 〜2 の整数を表し、ならびに
Arは、置換もしくは非置換のアリール基またはヘテロアリール基を表す
で表されるメチルフェニデート化合物、またはその薬学的に許容されうる塩、プロドラッグもしくは代謝誘導体のL−トレオ(2S:2’S)立体異性体を利用する。
【0016】
所定の好ましい態様において、主題の方法は、一般式(III) :
【0017】
【化10】
Figure 2004507503
【0018】
式中、A は、炭素環、ヘテロ環、アリール環またはヘテロアリール環を表し、
U は、存在しないかまたは−C(=O)− 、−C(=S)− 、−P(=O)(OR)−、−S(O)− または−S(O)−を表し、
V は、各存在について独立して、存在しないかまたはNR、O またはS を表し、
Y は、NR 、O またはS を表し、
X の各存在は、独立して、C 、N 、S 、SeおよびO から選択された原子であり、
R は、各存在について独立して、H 、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはヘテロアラルキルを表し、
の各存在は、独立して、アリール、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6アシルオキシ、水酸基、C1〜C6アルカノイル、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、アミド、アミノ、C1〜C6アシルアミノ、C1〜C6アルキルアミノ、ニトロ、スルホン酸、またはスルフヒドリルを表し、
は、H 、C1〜C6アルキルおよびC1〜C6アルカノイルから選択されたものであり、
は、各存在について独立して、水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、水酸基、C1〜C6アルカノイル、ハロゲン、カルボキシル、C2〜C6アルカンオキシ、ニトロまたはスルフヒドリルを表すか、あるいは2つのRが一緒になって、オキソ基または2つの隣接するX 原子間の二重結合を表わし、
は、水素、低級アルキル、アシル、アミド、エステル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル、好ましくは水素または低級アルキルを表し、
m は、0 〜1 から選択された整数であり、
n は、0 〜7 の整数であり、
p は、3 、4 、5 および6 から選択された整数であり、ならびに
q は、0 〜16の整数であり、
L は、非毒性有機酸もしくは無機酸または四級化薬剤(quaternizing agent)、あるいはそれらの任意の組み合わせであり、ならびに
t は、1 〜6 の整数である
で表されるメチルフェニデート化合物のL−トレオ(2S:2’S)立体異性体の薬学的に許容されうる塩を使用しうる。
【0019】
他の好ましい態様において、主題の方法は、一般式(IV):
【0020】
【化11】
Figure 2004507503
【0021】
式中、U は、存在しないかまたは−C(=O)− 、−C(=S)− 、−P(=O)(OR)−、−S(O)− または−S(O)−を表し、
V は、各存在について独立して、存在しないかまたはNR、O またはS を表し、
R は、各存在について独立して、H 、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはヘテロアラルキルを表し、
は、H 、C1〜C6アルキルおよびC1〜C6アルカノイルから選択されたものであり、
は、水素、低級アルキル、アシル、アミド、エステル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル、好ましくは水素または低級アルキルを表し、
s は、0 〜2 の整数を表し、
Arは、置換もしくは非置換のアリールまたはヘテロアリール基を表し、ならびにL は、非毒性有機酸もしくは無機酸または四級化薬剤、あるいはそれらの任意の組み合わせである
で表されるメチルフェニデート化合物のL−トレオ(2S:2’S)立体異性体の薬学的に許容されうる塩、またはその薬学的に許容されうる塩、溶媒化合物もしくはプロドラッグを使用する。
【0022】
さらに他の好ましい態様において、この方法は、例えば、一般式(V) :
【0023】
【化12】
Figure 2004507503
【0024】
式中、Rは、各存在について独立して、存在しないかまたは水酸基もしくはO−グルクロニドを表し、
Z は、−CH− または−C(=O)− を表し、
T は、水素または−C(=O)−NHを表し、
G は、カルボン酸またはその薬学的に許容されうる塩、カルボン酸メチルエステル、カルボン酸エチルエステル、カルボン酸O−グルクロニド、またはアセチルアミノエタンスルホン酸である
で表されるものを使用する、L−トレオ(2S:2’S)メチルフェニデートの代謝物、またはその薬学的に許容されうる塩、溶媒化合物またはプロドラッグを用いて実行される。
【0025】
本発明の他の局面は、動物において長期記憶を増強するのに十分な量のメチルフェニデート化合物を含有してなる医薬調製物に関する。ある態様において、調製物は、メチルフェニデート化合物のエリトロ−異性体と比較してメチルフェニデート化合物のL−トレオ(2S:2’S)立体異性体、D−トレオ(2R:2’R)立体異性体、またはそれらの組み合わせを少なくとも60%(w/w) 含む。他の態様において、医薬調製物は、動物において長期記憶を増強するのに十分な量のメチルフェニデート化合物を含有し、ここで該調製物は、メチルフェニデート化合物のD−トレオ(2R:2’R)異性体、L−エリトロ(2S:2’R)異性体およびD−エリトロ(2R:2’S)異性体と比較してメチルフェニデート化合物のL−トレオ(2S:2’S)立体異性体を少なくとも60%(w/w) 含有する。
【0026】
キットは、例えば、本明細書に記載されるような、および好ましくは、患者(好ましくはヒト)において記憶を増強するための単回用量形態でまたは経皮的パッチとして提供されるメチルフェニデート化合物製剤、記憶を増強するための製剤の使用を(文書および/または絵で)説明する関連した説明書、ならびに任意に、起こりうる副作用および薬物−薬物または薬物−食物相互作用の警告を含む。
【0027】
本発明のさらに別の局面は、
a.1つ以上のメチルフェニデートの主題の調製物を製造すること、ならびに
b.記憶機能を増大するための調製物の使用の利点をヘルスケアプロバイダーに売りこむこと(marketing)
を含む、医薬ビジネスの実施方法に関する。
【0028】
ある態様において、主題のビジネス方法は、調製物を販売するための配給ネットワークを提供することを含みうる。それはまた、記憶機能を増大するための調製物の使用について患者または医師に説明資料を提供することを含みうる。
【0029】
さらに他の局面は、
a.適切な調製物および記憶機能を増大するためのメチルフェニデート化合物の用量を決定すること、
b.動物における効力および毒性に関して、(a) で同定した調製物の治療プロファイリングを実施すること、ならびに
c.許容されうる治療プロファイルを有するとして(b) で同定された調製物を販売するための配給ネットワークを提供すること
を含む、医薬ビジネスの実施方法に関する。
【0030】
例えば、主題のビジネス方法は、ヘルスケアプロバイダーに調製物を売りこむための販売群を提供することをさらに含みうる。
【0031】
本発明のさらに他の局面は、
a.適切な調製物および記憶機能を増大するために投与されるメチルフェニデートの用量を決定すること、ならびに
b.調製物のさらなる開発および販売に対する権利を第三者に認可すること
を含む、医薬ビジネスの実施方法に関する。
【0032】
発明を実施するための最良の形態
I.概観
本発明は、メチルフェニデートクラスの化合物(ひとまとめに「メチルフェニデート化合物」と言う)が、長期記憶機能および能力を増強するおよび/または回復するため、例えば、動物被験体における長期記憶(LTM) を改善するために使用されうることの発見に関する。より詳細には、本発明は、特にメチルフェニデートの立体異性体ならびに関連する化合物および代謝物が、治療的な使用に最も効率的であることの発見に関する。
【0033】
メチルフェニデートは、穏やかな中枢神経系刺激薬である。ヒトにおける作用の形態は十分理解されていないが、おそらく患者の刺激に影響する脳幹覚醒系の活性化を伴う。メチルフェニデートは、合衆国の子供に対して最も一般的に処方される向精神薬である。それは、注意欠陥障害(ADD) と診断された子供の治療に主として使用され、その記憶刺激活性に明らかに関連しない、これらの子供における顕著な鎮静効果を有する。メチルフェニデートは、メチルα−フェニル−2− ピペリジンアセテート、α−フェニル−2− ピペリジンアセテートメチルエステル、フェニル− ピペリジン−2− イル− 酢酸メチルエステルおよびメチルフェニジルアセテートと同じことを表わす。メチルフェニデートは、製品Ritalin TMおよびそのジェネリックな等価物として塩酸塩の形態で販売されている。化合物の包括的な記載は、例えば、Padmanabhan(1981, Analytical Profiles of Drug Substances v.10, Florey, Ed., Academic Press, New York) に見出されうる。ヒトへのメチルフェニデートの投与に関する用量および投与情報、禁忌、警告、ならびに警戒は、当該分野で入手可能である(例えば、Physician’s Desk Reference Registered TM, Medical Economics Co., Inc., Montvale, N.J., 51st ed., 1997; PDR Registered TM Generics TM, Medical Economics Co., Inc., Montvale, N.J., 2nd ed., 1996) 。さらに、用語「メチルフェニデート化合物」は、メチルフェニデートそれ自身のアナログを含むことを意図し、プロドラッグ型および代謝誘導体を含む。
【0034】
しかしながら、ラセミメチルフェニデートは、不眠症、動悸、頭痛、運動障害、嗜眠状態、頻脈、アンギナ、不整脈、腹痛、過敏症(皮膚発疹、じんま疹、熱、関節痛、剥脱性皮膚炎、壊死性脈管の組織病理学的知見を有する多形紅斑、および血小板減少性紫斑病を含む)、食欲不振、食欲抑制、被刺激性、注意「固着」、めまい感および不快気分、増加した攻撃性、ならびに妨げられた成長を含む多くの有害な副作用を有する。さらに、ラセミメチルフェニデートは、静脈内または吸入を介して投与された場合、多幸症効果を引きおこし、したがって、患者における物質乱用の可能性を保有する。
【0035】
本発明は、ヒトなどの動物における長期相乗作用を増大するおよび/または長期記憶を改善するために、特定の立体異性体、特に、トレオ−メチルフェニデート異性体および好ましくはL−トレオ異性体またはその薬学的に許容されうる誘導体、塩、溶媒化合物、包接化合物、プロドラッグもしくは代謝誘導体(本明細書では、ひとまとめに「メチルフェニデート化合物」と言う)が富化されているメチルフェニデート組成物の利用に基づく。ある態様において、メチルフェニデート混合物は、L−トレオ(2S:2’S)化合物およびD−トレオ(2R:2’R)化合物の両方に対して富化され得、例えば、メチルフェニデート化合物のエリトロ−異性体と比較して少なくとも60重量%のこれらの異性体、またはより好ましくは、少なくとも75、90、95もしくは99重量%ものこれらの異性体を含有する。
【0036】
ある好ましい態様において、医薬調製物は、L−トレオ(2S:2’S)またはD−トレオ(2R:2’R)などの単一のエナンチオマーについて富化されており、よりいっそう好ましくは、L−トレオ(2S:2’S)エナンチオマーについて富化されている。好ましい態様において、製剤に提供されるメチルフェニデート化合物は、メチルフェニデート化合物の他の異性体と比較して少なくとも60重量%のL−トレオ(2S:2’S)立体異性体であり、およびより好ましくは、メチルフェニデート化合物の他の立体異性体と比較しておよび特にD−トレオ異性体と比較して少なくとも75、90、95もしくは99重量%ものこれらの異性体を含有する。
【0037】
製剤は、記憶増強に影響を与えるのに必要なメチルフェニデート化合物の治療量を含み、好ましい態様において、ラセミメチルフェニデートの副作用の一部を少なくとも低減する他の異性体に対するトレオ立体異性体、例えばL−トレオ(2S:2’S)立体異性体の適切な比を有する。
【0038】
II. 定義
便宜上、明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲において使用した所定の用語をここに集める。
【0039】
本明細書で使用される場合、「L−トレオ−メチルフェニデート」は、以下の式:
【0040】
【化13】
Figure 2004507503
【0041】
を有する化合物を意味する。
【0042】
本明細書で使用される場合、「D−トレオ−メチルフェニデート」は、以下の式:
【0043】
【化14】
Figure 2004507503
【0044】
を有する化合物を意味する。
【0045】
用語「ED50」は、その最大応答または効果の50%を生じる薬物の用量を意味する。
【0046】
例えば、主題の治療方法に関するメチルフェニデート化合物の「有効量」は、所望の用量養生法の一部として適用される場合、臨床的に許容されうる標準により増強したLTM を引き起こす調製物における活性化剤の量を言う。
【0047】
用語「LD50」は、試験被験体の50%において致命的な薬物の用量を意味する。
【0048】
主題の方法により治療される「患者」または「被験体」は、ヒトまたは非ヒト動物のいずれかを意味しうる。
【0049】
用語「プロドラッグ」は、生理的な条件下で本発明の治療活性剤に変換される化合物を包含することが意図される。プロドラッグを製造する一般的な方法は、生理的な条件下で加水分解される選択された部分が所望の分子を現すことを含む。他の態様において、プロドラッグは、宿主動物の酵素活性により変換される。
【0050】
用語「治療指数」とは、LD50/ED50 として規定される薬物の治療指数を言う。
【0051】
「経皮的パッチ」により、皮膚、または口の内部に見出されるものなどの粘膜を含む任意の適切な外部表面を介する患者への薬物の送達を可能にするシステムが意味される。かかる送達システムは、一般に、柔軟裏材(backing) 、接着物および薬物保持マトリックス、接着物およびマトリックスを保護する裏材ならびに患者の皮膚の全体を保持する接着物を含有する。皮膚との接触において、薬物保持マトリックスは、皮膚に薬物を送達し、次いで、薬物は皮膚を介して患者のシステムに移る。
【0052】
本明細書において、用語「脂肪族基」は、直鎖、分枝鎖または環式脂肪族炭化水素基のことを言い、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基などの飽和および不飽和の脂肪族基を含む。
【0053】
用語「アルケニル」および「アルキニル」は、上記アルキルに関する長さおよび可能な置換における不飽和脂肪族基アナログを言うが、少なくとも1つの二重結合または三重結合をそれぞれ含む。
【0054】
本明細書で使用される用語「アルコキシル」または「アルコキシ」は、上記で規定されたアルキル基であって、それに付随する酸素遊離基を有するものを言う。代表的なアルコキシル基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、tert− ブトキシなどが挙げられる。「エーテル」は、酸素により共有結合された2つの炭化水素である。したがって、アルキルをエーテルにするアルキルの置換は、アルコキシルであるかまたはそれに類似し、例えば、−O− アルキル、−O− アルケニル、−O− アルキニル、−O−(CH −R 、式中、m およびRは上記のものである、の1つにより表されうる。
【0055】
用語「アルキル」は、飽和脂肪族基の遊離基のことを言い、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基を含む。好ましい態様において、直鎖または分枝鎖アルキルは、その骨格に30個またはそれより少ない炭素原子(例えば、直鎖に対してC〜C30 、分枝鎖に対してC〜C30 )、およびより好ましくは20個またはそれより少ない炭素原子を有する。同様に、好ましいシクロアルキルは、その環構造に3 〜10個の炭素原子を有し、およびより好ましくはその環構造に 5、6 または7 個の炭素原子を有する。
【0056】
さらに、本明細書、実施例および特許請求の範囲を通して使用される用語「アルキル」(または「低級アルキル」)は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含むことが意図され、後者は炭化水素骨格の1つ以上の炭素上の水素を交換する置換を有するアルキル部分を言う。かかる置換としては、例えば、ハロゲン、水酸基、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミルまたはアシルなど)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテートまたはチオホルメートなど)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィニネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルフォニル、ヘテロシクリル、アラルキルまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分が挙げられる。適切であれば、炭化水素鎖上で置換された部分がそれ自身置換されうることが、当業者に理解されるであろう。例えば、置換されたアルキルの置換としては、アミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホネートおよびホスフィネートを含む)、スルホニル(スルフェート、スルホンアミド、スルファモイルおよびスルホネートを含む)、およびシリル基、ならびにエーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボキシレート、およびエステルを含む)、−CF、−CN などの置換型および非置換型が挙げられる。置換されたアルキルの例を、以下に説明する。シクロアルキルは、さらにアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル置換アルキル、−CF、−CN などを用いて置換されうる。
【0057】
炭素の数が他に明記されない場合、本明細書で使用される「低級アルキル」は、上記で規定されたアルキル基であるが、その骨格構造に1〜10個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子を有するものを意味する。同様に、「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、類似する鎖長を有する。明細書を通じて、好ましいアルキル基は、低級アルキル基である。好ましい態様において、アルキルとして本明細書により示された置換基は、低級アルキルである。
【0058】
用語「アルキルチオ」は、上記で規定されたアルキル基であって、それに付随した硫黄遊離基を有するものを言う。好ましい態様において、「アルキルチオ」部分は、−S− アルキル、−S− アルケニル、−S− アルキニルおよび−S−(CH −R 、式中、m およびRは上記で規定されたものである、の1つにより表される。代表的なアルキルチオ基としては、メチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。
【0059】
用語「アミン」および「アミノ」は、当該分野で認識されており、非置換および置換アミンの両方を言い、例えば、一般式:
【0060】
【化15】
Figure 2004507503
【0061】
式中、R、R10 およびR’10は、それぞれ独立して水素、アルキル、アルケニル、−(CH −R を表すか、またはRおよびR10 はそれらが付着されるN 原子と一緒になって環構造に4〜8個の原子を有するヘテロ環を完成し;Rは、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環または多環を表し;ならびにm は0 または1〜8の範囲の整数である、により表されうる部分を言う。好ましい態様において、RまたはR10 の1つのみが、カルボニルであり得、例えば、R、R10 および窒素は共にイミドを形成しない。さらに一層好ましい態様において、RおよびR10 (および任意にR’10)は、それぞれ独立して水素、アルキル、アルケニル、または−(CH −R を表わす。したがって、本明細書で使用される用語「アルキルアミン」は、上記で規定されたアミン基であって、それに付随する置換または非置換アルキルを有するものを意味し、すなわち、RおよびR10 の少なくとも1つは、アルキル基である。
【0062】
用語「アミド」は、アミノ置換カルボニルとして当該分野で認識されており、一般式:
【0063】
【化16】
Figure 2004507503
【0064】
(式中、R 、R10は上記に規定されたとおりである)
により示されうる成分を含む。アミドの好ましい態様は、不安定でありうるイミドを含まない。
【0065】
本明細書中で使用される用語「アラルキル」は、アリール基(例えば、芳香族基、またはヘテロ芳香族環基である)で置換されたアルキル基をいう。
【0066】
本明細書中で使用される用語「アリール」は、0から4つのヘテロ原子、例えば、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなどを含みうる5−、6−、および7−員単環芳香族基を含む。環構造中にヘテロ原子を有するこれらのアリール基は、「アリールヘテロ環」、「ヘテロアリール」、または「ヘテロ芳香族環化合物」とも呼ばれうる。芳香環は、1つまたはそれより多くの環位置で上記の置換基、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族またはヘテロ芳香族環成分、−CF、−CN 等で置換されうる。用語「アリール」はまた、2つまたはそれより多くの炭素が2つの隣り合う環(環は「縮合環」である)に共通である2つまたはそれより多くの環式環を有する多環式環系を含む。ここで、少なくとも1つの環は、芳香族であり、例えば、他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテロシクリルでありうる。
【0067】
本明細書中で使用される用語「炭素環」または「環式アルキル」は、環の各原子が炭素である芳香環または非芳香環をいう。
【0068】
用語「カルボニル」は、当該分野で認識されており、一般式:
【0069】
【化17】
Figure 2004507503
【0070】
(式中、Xは結合であるか、または酸素もしくは硫黄を表し、R11 は水素、アルキル、アルケニル、−(CH −R または薬学的に許容されうる塩を表し、R’11は水素、アルキル、アルケニルまたは−(CH −R を表し、ここでmおよびRは上記に規定されたとおりである)により表されうるような成分を含む。Xが、酸素であり、R11 またはR’11が水素ではない場合、式は「エステル」を表す。Xが酸素であり、R11 が上記に規定されたとおりである場合、上記成分は、本明細書中でカルボキシル基と呼ばれ、特にR11 が水素である場合、式は「カルボン酸」を表す。Xが酸素であり、R’11は水素である場合、式は「ギ酸」を表す。一般に、上記式の酸素原子が硫黄により置換される場合、式は「チオカルボニル」基を表す。Xが硫黄であり、かつR11 またはR’11が水素でない場合、式は「チオエステル」を表す。Xが硫黄であり、かつR11 が水素である場合、式は「チオカルボン酸」を表す。Xが硫黄であり、かつR’11が水素である場合、式は「チオホルメート」を表す。他方で、Xが結合であり、R11 が水素でない場合、上記式は「ケトン」基を表す。Xが結合であり、かつR11 が水素である場合、上記式は「アルデヒド」基を表す。
【0071】
本明細書中で使用される用語「ヘテロ原子」は、炭素または水素以外の任意の元素の原子を意味する。好ましいヘテロ原子は、ホウ素、窒素、酸素、リン、硫黄およびセレンである。
【0072】
用語「ヘテロシクリル」または「ヘテロサイクリック基」は、3〜10員環構造をいい、より好ましくは3〜7員環をいい、その環構造は1つ〜4つのヘテロ原子を含む。ヘテロサイクルはまた多環でありうる。ヘテロシクリル基としては、例えば、チオフェン、チアンスレン(thianthrene )、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン(chromene)、キサンテン、フェノキサチン(phenoxathiin)、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルザジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、アゼチジノンおよびピロリジノン等のラクタム、サルタム、サルトン等が挙げられる。ヘテロシクリック環は、1つまたはそれより多くの位置で、上記のような置換基、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルフォニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族成分またはヘテロ芳香族環成分、−CF、−CN 等で置換されうる。
【0073】
用語「代謝物」は、患者等の生物学的環境への化合物の導入に際して生成される活性な誘導体をいう。
【0074】
本明細書中で使用される用語「ニトロ」は、−NOを意味する;用語 「ハロゲン」は、−F、−Cl 、−Br または−Iを示す;用語「スルフヒドリル」は、−SH を意味する;用語「ヒドロキシル」は、−OH を意味する;用語「スルホニル」は−SO− を意味する。
【0075】
用語「ポリシクリル」または「ポリサイクリック基」は、2つまたはより多くの炭素が2つの隣接する環(例えば、環が「融合環」である)に共通である、2つまたはそれより多くの環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテロシクリル)をいう。隣接しない原子を介して連結される環は「架橋」環と呼ばれる。多環の環の各々は、上記のような置換基、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族成分またはヘテロ芳香族環成分、−CF、−CN 等で置換されうる。
【0076】
本明細書中で使用される表現「保護基」は、所望されない化学変換から潜在的に反応性である官能基を保護する一時的な置換基を意味する。かかる保護基の例としては、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテル、ならびにそれぞれアルデヒドおよびケトンのアセタールおよびケタールが挙げられる。保護基化学の分野は総説されている(Greene, T.W.; Wuts, P.G.M. Protective Groups in Organic Synthesis, 第2版; Wiley: New York, 1991 )。
【0077】
本明細書中で使用される用語「置換」は、有機化合物の全ての許容されうる置換基を含むことを意図する。広範な局面では、許容されうる置換基としては、有機化合物の非環式および環式の、分枝および非分枝の、炭素環およびヘテロ環の、芳香族および非芳香族の置換基が挙げられる。例としての置換基としては、例えば、本明細書中に上記されるものが挙げられる。許容されうる置換基は、1つまたはそれより多くであり、適切な有機化合物に対して同一であるか異なりうる。本発明の目的のために、窒素等のヘテロ原子が水素置換基および/またはヘテロ原子の原子価を満たす本明細書中に記載される有機化合物の任意の許容されうる置換基を有しうる。本発明は、有機化合物の許容されうる置換基により任意の様式に限定されることを意図しない。
【0078】
「置換」または「で置換された」は、かかる置換が置換原子および置換基の許容される原子価に従い、置換が安定な化合物(例えば、再編成、環化、脱離等による変換を自発的に受けない)を生じるという暗黙の条件を含むことが理解される。
【0079】
用語「スルファモイル」は、当該分野で認識されており、一般式:
【0080】
【化18】
Figure 2004507503
【0081】
(式中、RおよびR10 は上記に規定されたとおりである)
により表されうる成分を含む。
【0082】
用語「スルフェート」は、当該分野で認識されており、一般式:
【0083】
【化19】
Figure 2004507503
【0084】
(式中、R41 は上記に規定されたとおりである)
により表されうる成分を含む。
【0085】
用語「スルホンアミド」は、当該分野で認識されており、一般式:
【0086】
【化20】
Figure 2004507503
【0087】
(式中、RおよびR’11は上記に規定されたとおりである)
により表されうる成分を含む。
【0088】
用語「スルホネート」は、当該分野で認識されており、一般式:
【0089】
【化21】
Figure 2004507503
【0090】
(式中、R41 は電子対、水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリールである)
により表されうる成分を含む。
【0091】
本明細書中で使用される用語「スルホキシド」または「スルフィニル」は、一般式:
【0092】
【化22】
Figure 2004507503
【0093】
(式中、R44 は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アラルキル、またはアリールからなる群より選ばれる)
により表されうる成分をいう。
【0094】
本明細書中で使用される用語「スルホニル」は、一般式:
【0095】
【化23】
Figure 2004507503
【0096】
(式中、R44 は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールからなる群より選ばれる)
により表されうる成分をいう。
【0097】
類似性置換は、例えば、アミノアルケニル、アミノアルキニル、アミドアルケニル、アミドアルキニル、イミノアルケニル、イミノアルキニル、チオアルケニル、チオアルキニル、カルボニル置換アルケニルまたはカルボニル置換アルキニルを製造するために、アルケニル基およびアルキニル基に対してなされうる。
【0098】
本明細書中で使用される場合、例えば、アルキル、m、n等の各表現の規定は、それが任意の構造中で一度ならず生じる場合、同一の構造における他のその規定とは独立していることを意図する。
【0099】
上記の化合物の意図される等価物としては、それに対応するその他の化合物、および同一の一般的なその特性(例えば、長期記憶をもたらす能力)を有する化合物を含み、ここで化合物の有効性に有害には影響しない置換基の1つまたはそれより多くの単純なバリエーションが作製される。一般に、本発明の化合物は、容易に入手可能な出発物質、試薬、および従来の合成手順を用いて、例えば、下記のような一般的な反応スキームで説明される方法、またはその修正法により調製されうる。これらの反応において、それら自身公知である変種を使用することも可能にするが、ここでは言及されない。
【0100】
本発明の目的のために、化学元素は、Periodic Table of the Elements, CAC バージョン、Handbook of Chemistry and Physics, 67 版、1986−87 、内側のカバー(inside cover)に従って同定される。また、本発明の目的のために、用語「炭化水素」は、少なくとも1つの水素および1つの炭素原子を有する全ての許容されうる化合物を含むことが意図される。広範な局面では、許容されうる炭化水素としては、置換または非置換でありうる非環式および環式の、分枝および非分枝の、炭素環およびヘテロ環の、芳香族および非芳香族の有機化合物が挙げられる。
【0101】
III.本発明の例示的化合物
所定の態様では、メチルフェニデート化合物は、一般式(I):
【0102】
【化24】
Figure 2004507503
【0103】
(式中、Aは炭素環式、ヘテロ環式、アリール、またはヘテロアリール環を表す;
Uは存在しないか、または−C(=O)− 、−C(=S)− 、−P(=O )(OR)−、−S(O)− 、または−S(O)−を表す;
Vは、各存在について独立して、存在しないか、またはNR、O、もしくはSを表す;
Yは、NR 、O、またはS、好ましくはNR を表す;
Xの各存在は、独立して、C、N、S、Se、およびOから選ばれる原子である;
Rは、各存在について独立して、H、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、またはヘテロアラルキルを表す;
の各存在は、独立して、アリール、C1〜C6、アルキル、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6アシルオキシ、ヒドロキシル、C1〜C6アルカノイル、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、アミド、アミノ、C1〜C6アシルアミノ、C1〜C6アルキルアミノ、ニトロ、スルホン酸、またはスルフヒドリルを表す;
は、H、C1〜C6アルキル、およびC1〜C6アルカノイルから選ばれる;
は、各存在について独立して、水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、ヒドロキシル、C1〜C6アルカノイル、ハロゲン、カルボキシル、C2〜C6アルカンオキシ、ニトロ、またはスルフヒドリルを表すか、または2つのRは、一緒になって、2つの隣接するX原子の間のオキソ基または二重結合を表す;
は、水素、低級アルキル、アシル、アミド、エステル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアラルキル、好ましくは、水素または低級アルキルを表す;
mは、0および1から選ばれる整数である;ならびに
nは、0〜7の整数である;
pは3、4、5、および6から選ばれる整数である;ならびに
qは0〜16の整数である
により表されるか、あるいはその薬学的に許容されうる塩、プロドラッグまたは代謝誘導体である。
前記組成物は、2つの異性体形態の混合物を含みうる。
【0104】
しかし、所定の好ましい態様では、メチルフェニデート化合物は、例えば、一般式(IA):
【0105】
【化25】
Figure 2004507503
【0106】
(式中、A、U、V、Y、X、R、R、R、R、R、m、n、pおよびqは上記に規定された通りである)
により表される、L−トレオアイソマー、あるいはその薬学的に許容されうる塩、プロドラッグまたは代謝誘導体である。
【0107】
所定の態様では、主題の化合物は、一般式(II):
【0108】
【化26】
Figure 2004507503
【0109】
(式中、U、V、R、R、およびRは上記に規定されたとおりである;
sは、0〜2の整数を表す;および
Arは置換または非置換のアリールまたはヘテロアリール基を表す)
により表される構造を有するか、あるいはその薬学的に許容されうる塩またはプロドラッグでありうる。
【0110】
式IまたはIIの所定の態様では、Rは、HまたはC1〜C6アルキル、好ましくはHまたはC1〜C3アルキルを表す。
【0111】
式I またはIIの所定の態様では、Uは、−C(=O)− または−C(=S)− 、好ましくは−C(=O)− を表す。式I またはIIの所定の態様では、Vは、NH、SまたはO、好ましくはOを表す。式IまたはIIの所定の態様では、少なくとも1つのVが存在し、好ましくはUが存在する。
【0112】
式Iの所定の態様では、mは0である。
【0113】
式Iの所定の態様では、pは3〜5の整数であり、好ましくは4である。
【0114】
式Iの所定の態様では、Aは、アリール基またはヘテロアリール基、好ましくはフェニル基を表す。
【0115】
式Iの所定の態様では、Rは、各存在について独立して、全ての存在においてHまたはC1〜C3アルキル、好ましくはHを表す。
【0116】
式Iの所定の態様では、Rは、各存在について独立して、H、ハロゲン、C1〜C6アルキル、ヒドロキシル、ニトロ、またはカルボキシルを表す。
【0117】
上記に示したように、式IおよびIIの化合物の所定の態様は、アミノまたはアルキルアミノ等の塩基性の官能基を含み得、従って、遊離塩基形態でまたは薬学的に許容されうる有機酸および無機酸に由来する薬学的に許容されうる塩形態として利用されうる。
【0118】
主題の化合物IおよびIIの薬学的に許容されうる塩としては、例えば、非毒性有機酸または無機酸に由来する、化合物の従来の非毒性塩および/または四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、かかる従来の非毒性塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等の無機酸に由来するもの;および酢酸、2−アセトキシ安息香酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クロロ酢酸、クエン酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、イソチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パルミチン酸、フェニル酢酸、プロピオン酸、サリチル酸(salicyclic)、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、トルエンスルホン酸等の有機酸から調製される塩が挙げられる。
【0119】
あるいは、かかる塩基性窒素含有基は、低級アルキルハライド(例えば、メチル、エチル、プロピル、およびブチルクロライド、ブロミド、およびイオジド等);ジメチル、ジエチル、ジブチル、およびジアミルサルフェートのような硫酸ジアルキル、長鎖ハライド(例えば、デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルクロライド、ブロミドおよびイオジド)、アラルキルハライド(例えば、ベンジルおよびフェネチルブロミド)等の薬剤でクオーターナイズ(quaternize)されうる。水もしくは油溶性または分散性産物がそれにより得られうる。
【0120】
所定の態様では、かかる塩は、一般式III :
【0121】
【化27】
Figure 2004507503
【0122】
(式中、R、n、A、m、V、u、R、X、p、Rおよびqは上記に規定されたとおりである)
により表される構造を有する。
【0123】
Lは非毒性有機酸もしくは無機酸、またはクオーターナイジング(quaternizing)剤、あるいは任意のそれらの組み合わせである;および
tは、1〜6の整数である。
【0124】
所定の態様では、Lは、以下の無機酸:塩酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸、スルファミン酸および硫酸、または以下の有機酸:2−アセトキシ安息香酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クロロ酢酸、クエン酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、イソチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パルミチン酸、フェニル酢酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、およびトルエンスルホン酸から選ばれる。
【0125】
所定の態様では、これらの塩は、一般式IV:
【0126】
【化28】
Figure 2004507503
【0127】
(式中、U、V、R、R、R、Ar、sおよびLは上記に規定されたとおりである)
により表される構造を有する。
【0128】
主題のメチルフェニデート化合物はまた、プロドラッグとして提供されうる。
【0129】
本発明の化合物はさらに、フェニルピペリジン−2− イル− 酢酸、(4−ヒドロキシ− フェニル)− (ピペリジン−2− イル)− 酢酸メチルエステル、(4−ヒドロキシ− フェニル)− (ピペリジン−2− イル)− 酢酸、(6−オキソ− ピペリジン−2− イル)− フェニル− 酢酸メチルエステル、(6−オキソ− ピペリジン−2− イル)− フェニル− 酢酸、(4−ヒドロキシ− フェニル)− (6−オキソ− ピペリジン−2− イル)− 酢酸メチルエステル、2−[2−(4−ヒドロキシ− フェニル)−2−(6− オキソ− ピペリジン−2− イル)−アセチルアミノ]−エタンスルホン酸、(5−ヒドロキシ−6− オキソ− ピペリジン−2− イル)− フェニル− 酢酸、(1−カルボアミル− ピペリジン−2− イル)− フェニル− 酢酸メチルエステル、1−カルボアモイル− ピペリジン−2− イル)− フェニル− 酢酸、(5−ヒドロキシ−6− オキソ− ピペリジン−2− イル)− フェニル− 酢酸メチルエステル、(4− ヒドロキシ−6− オキソ− ピペリジン−2− イル)−フェニル− 酢酸メチルエステル、3,4,5−トリヒドロキシ−6−[2−( メトキシカルボニル− フェニル− メチル)−6−オキソ− ピペリジン−4− イルオキシ]−テトラヒドロピラン−2− カルボン酸、3,4,5−トリヒドロキシ−6− {4−[ メトキシカルボニル−(6−オキソ− ピペリジン−2− イル)−メチル]−フェノキシ}− テトラヒドロピラン−2− カルボン酸、6−[4−(カルボキシ− ピペリジン−2− イル− メチル]−フェノキシ]−3,4,5−トリヒドロキシ− テトラヒドロ− ピラン−2− カルボン酸、3,4,5−トリヒドロキシ−6−[6−( メトキシカルボニル− フェニル− メチル)−2−オキソ− ピペリジン−3− イルオキシ]−テトラヒドロピラン−2− カルボン酸、3,4,5−トリヒドロキシ−6−[2−(6− オキソ− ピペリジン−2− イル)−2−フェニル− アセトキシ]−テトラヒドロ− ピラン−2− カルボン酸、およびフェニル− ピペリジン−2− イル− 酢酸エチルエステルを含むがこれらに限定されない、主題のメチルフェニデート化合物の代謝物を含む。
【0130】
好ましい態様では、これらの代謝物は、以下の化合物:フェニル− ピペリジン−2− イル− 酢酸、(4− ヒドロキシ− フェニル)−( ピペリジン−2− イル)−酢酸メチルエステル、(4− ヒドロキシ− フェニル)−( ピペリジン−2− イル)−酢酸、(6− オキソ− ピペリジン−2− イル)−フェニル− 酢酸メチルエステル、および(6− オキソ− ピペリジン−2− イル)−フェニル− 酢酸から選ばれる。
【0131】
所定の態様では、選択された代謝物は、一般式V:
【0132】
【化29】
Figure 2004507503
【0133】
(式中、Rは、各々の存在について独立して、存在しないか、またはヒドロキシルもしくはO−グルクロニドを表す;
Zは、−CH− または−C(=O)− を表す;
Tは、水素または−C(=O)−NHを表す;
Gは、カルボン酸、またはその薬学的に許容されうる塩、カルボン酸メチルエステル、カルボン酸エチルエステル、カルボン酸O−グルクロニド、またはアセチルアミノエタンスルホン酸を表す)
により示される構造を有する。
【0134】
所定の態様では、前記方法は、医薬調製物と組み合わせて、1つまたはそれより多くの神経成長因子、神経生存因子、および神経屈性因子を投与することを含む。さらにまたは代替的に、主題の化合物は、コリン作動性アクチベーター、アドレナリン作動性アクチベーター、ドーパミン作動性アクチベーター、またはグルタミン作動性アクチベーターと組み合わせて投与されうる。主題の化合物と組み合わせて投与される薬剤は、単一医薬調製物として(例えば、両方の薬剤を含む丸薬または他の薬物として)主題の化合物とともに製剤化されてもよいし、別々の医薬調製物として投与されてもよい。
【0135】
別の局面では、本発明は、活性成分として、L−トレオ− メチルフェニデート(2S:2’S)、またはL−トレオ(2S:2’S)とL−エリトロ(2S:2’R)の両方、L−トレオ(2S:2’S)とD−エリトロ(2R:2’S)の両方または、L−トレオ(2S:2’S)とD−トレオ(2R:2’R)の両方、あるいはその誘導体の立体異性的に豊富な調製物を含む医薬調製物を提供する。主題のメチルフェニデート化合物は、動物におけるLTP を改善するのに十分な量で製剤化される。主題の調製物および方法は、ヒトおよび/または動物被検体に効果的なメチルフェニデート化合物を使用する治療でありうる。ヒトに加えて、本発明が適用可能である他の動物被検体は、ペットとしてまたは商業目的のためのいずれかで育てられる家畜(domestic animal )および家畜(livestock )の両方に及ぶ。例としては、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、雄ブタ、およびヤギである。
【0136】
本発明のさらに別の局面は、動物における学習欠陥および/または記憶欠陥の重篤度を低くするか、または発生を予防的に妨げ、従って、動物の学習能力および/または記憶容量を変化させるためのメチルフェニデートの立体異性的に純粋な調製物の使用に関する。結果として、本発明の化合物は、例えば、毒物曝露、脳損傷、加齢関連記憶障害、軽度の認知障害、癲癇、子供の精神遅滞、および疾患(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、AIDS、頭部外傷、ハンティングトン病、ピック病、クロイツフェルト−ヤコブ病、前交通動脈症候群、低酸素血症、心臓手術後、ダウン症候群および脳卒中)から生じる痴呆に起因する記憶障害を治療および/または予防するために有用でありうる。さらに、本発明の化合物は、正常な個体における記憶を増強するのに有用でありうる。
【0137】
本発明はまた、メチルフェニデート化合物とPKC および/またはPKA 経路を模倣するか刺激する薬剤との共同使用に関する。
【0138】
A.メチルフェニデート化合物の合成
以下にさらに詳細に記載されるように、主題の方法は、L−トレオ− メチルフェニデート(2S:2’S)、またはL−トレオ(2S:2’S)およびL−エリトロ(2S:2’R)両方、L−トレオ(2S:2’S)およびD−エリトロ(2R:2S’)両方のメチルフェニデート、またはL−トレオ(2S:2’S)およびD−トレオ(2R:2’R)両方のメチルフェニデート、あるいはその種々の異なる誘導体を用いて行われうることが意図される。特定のメチルフェニデート化合物の使用の適合性は、例えば、本明細書中に記載されるような薬物スクリーニングアッセイにより容易に決定されうる。
【0139】
主題のメチルフェニデート化合物、およびその誘導体は、公知の合成方法論を使用することにより容易に調製されうる。当該分野で周知であるように、これらのカップリング反応は、比較的温和な条件下で行われ、広範な「スペクテーター(spectator) 」機能性を耐容する。主題である方法に使用されうるさらなるメチルフェニデート化合物の同定を容易にするために、さらなる化合物が合成され、組み合わせ様式で試験されうる。
【0140】
メチルフェニデートを合成するためのメチルフェニデートのジアステレオマーを相互変換するための、およびメチルフェニデートのエナンチオマーを分離するための多数の方法が文献に記載されている(Hartmann、米国特許第2,507,631 号;Rometsch、米国特許第2,838,519 号;Rometsch、米国特許第2,957,880 号、Ciba Ltd. 、英国特許第788,226 号および同第878,167 号、Yakhontov ら、ソ連特許第466,229 号;Fox ら、国際特許出願公開第WO9735836 号;Langstonらの国際特許出願公開第WO9728124 号;Panizzon, 1994, Helv.Chim.Acta 27:1748−1756; Naitoら、1964, Chem.Pharm.Bull. 12:588−590; Deutschら、1996, J.Med.Chem. 39:1201−1209; Earle ら、1969, J.Chem.Soc. (C) 2093−2098 ); Faulconbridge らの国際特許出願公開第WO982592号; Patrick ら、1987, J. Pharmacol.Exp.Therapeut. 241:152−158 、Harrisらの国際特許出願公開第WO9727176 号; Zavareh の国際特許出願公開第WO9825902 号)。他の分離プロセスはPCT/GB97/00185およびPCT/GB97/00643に記載されている。かかる分離は、PCT/GB97/00281に記載されるラセミ化と組み合わせられうる。これらの刊行物の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0141】
ある態様では、主題のメチルフェニデート化合物は、米国特許第6,025,502 号に示される方法に従って合成されうる。手短には、式(VI):
【0142】
【化30】
Figure 2004507503
【0143】
を有する第1の化合物が、式(VII ):
【0144】
【化31】
Figure 2004507503
【0145】
を有する第2の化合物とロジウム触媒の存在下で組み合わされ、反応中間体が形成され、その後反応中間体から窒素保護基(すなわち、式(VII) のR)が除去される。触媒は、ジロジウム(II)テトラキス[ メチル2−オキソピロリジン−5(R)−カルボン酸塩] (本明細書中「Rh[5R−MBPY] 」)触媒である。
【0146】
式(VII )の各々のXは、好ましくは炭素であるが、式(VII )に示される窒素原子よりも多くの窒素原子を含むヘテロサイクリック環もまた使用されうる。式(VII )を有する非アリール化合物は、本発明の方法に好ましい。窒素保護基は、幅広い種々の窒素保護基(例えば、ブトキシカルボニル(「Boc 」)基、9−フルオレニルメトキシカルボニル(「Fmoc」)基等)のいずれかでありうる。窒素保護基を除去する方法は当該分野で周知である。例としては、Boc 基が酸不安定性であり、トリフルオロ酢酸での処理により除去されうること、およびFmoc基が塩基不安定性であり、ピペリジンでの処理により除去されうることが知られている。適切な第2化合物としては、例えば、N−Boc−ピペリジン、N−Boc−ピロリジン、およびN−Boc−ピリジンが挙げられる。
【0147】
第1および第2の化合物を、ロジウム触媒の存在下で合わせることにより、D−エナンチオマーに対するL−エナンチオマーの比が1.00より大きく、好ましくは約1.25または1.5 よりも大きく、エリトロ−ジアステレオマーに対するトレオ−ジアステレオマーの比が、1.00よりも大きく、好ましくは約2、5、または10よりも大きい反応中間体の形成を導く。
【0148】
この中間体からの窒素−保護(すなわち、Z)基の除去は、上記のエナンチオマーおよびジアステレオマーの比を有するメチルフェニデート誘導体を生じる。窒素保護基がBoc 基である場合、例えば、それは酸性環境(例えば、0℃でHCl−酸性化メタノール)下で反応中間体を維持することにより除去されうる。
【0149】
本発明の化合物、置換基の種々の代表的なクラスを有するメチルフェニデートアナログの特定のライブラリーは、コンビナトリアルケミストリーおよび他のパラレル合成スキーム(例えば、PCT WO94/08051参照)に従う。結果は、関連する化合物の大きなライブラリー(例えば、上記に示される化合物の変化に富んだライブラリー)が、潜在的なメチルフェニデートアナログを同定するため、ならびにリード化合物の特異性、毒性、および/または細胞障害性動力学的プロフィールを洗練するためにハイスループットアッセイにおいて迅速にスクリーニングされうる。
【0150】
説明のために単純に述べると、本発明の目的のためのコンビナトリアルライブラリーは、所望の特性のために共にスクリーニングされうる化学的に関連する化合物の混合物である。単一の反応における多くの関連する化合物の調製物は、実行が必要であるスクリーニングプロセスの数を大いに減らし、単純化する。適切な物理特性についてのスクリーニングは、従来の方法により行われうる。
【0151】
ライブラリーにおける多様性は、種々の異なるレベルでつくられうる。例えば、コンビナトリアル反応に用いられる基質アリール基は、コアであるアリール成分(例えば、環構造に関する多様性)に関して多様であり得、および/または他の置換基に関して異なりうる。
【0152】
主題のメチルフェニデート化合物等の小有機分子のコンビナトリアルライブラリーを生じるための種々の技術は、文献において利用可能である。例えば、Blondelle ら、(1995) Trends Anal.Chem. 14:83; Affymax 米国特許第5,359,115 号および同第5,362,899 号;Ellman 米国特許第5,288,514 号;Still ら、PCT 公開WO 94/08051 ;ArQule 米国特許第5,736,412 号および同第5,712,171 号;Chenら、(1994) JACS 116:2661: Kerrら、(1993) JACS 115:252; PCT公開WO92/10092、WO93/09668およびWO91/07087;およびLernerら、PCT 公開WO93/20242)。従って、約100 〜1,000,000 以上のオーダーの主題のメチルフェニデート化合物のディバーソーマー(diversomers )の種々のライブラリーが合成され、特定の活性または特性についてスクリーニングされうる。
【0153】
例示的な態様では、候補メチルフェニデート化合物ディバーソーマーのライブラリーは、Still ら、PCT 公開WO94/08051に記載される技術に適合するスキーム(例えば、加水分解性または光分解性基によりポリマービーズに連結され、任意に候補レギュレーターの位置の1つにまたは合成中間体の置換基に配置される)を利用して、合成されうる。Still らの技術によれば、ライブラリーは、ビーズのセット上に合成され、各ビーズはそのビーズ上の特定のディバーソーマーを同定するタグのセットを含む。次いで、ビーズライブラリーは、メチルフェニデート化合物が要求される細胞とともに「プレート」されうる。ディバーソーマーは、例えば、加水分解によりビーズから放出されうる。
【0154】
上記および関連する経路における多くのバリエーションは、メチルフェニデート化合物として試験されうる化合物の広範に多様なライブラリーの合成を可能にする。
【0155】
B.薬剤を試験するための動物モデルの作製
出願人は、脳弓媒介記憶固定を研究するための動物モデルを以前に記載している。例えば、Taubenfield ら、前出を参照。脳弓病変動物は、薬物スクリーニング、例えば、記憶固定を増大する主題の組成物の投与量を同定するために使用されうる。病変哺乳動物は、記憶固定を中断する脳弓または関連する脳構造(例えば、鼻周囲皮質、扁桃体、内側中隔核、青斑(locus caeruleus )、海馬、乳頭体)の病変を有しうる。哺乳動物における病変は、機械的または化学的な破壊により生じうる。例えば、脳弓病変は、外科切除、電解、神経毒性および他の化学的切除技術、または脳弓における活性を一時的に停止するために可逆的不活化 (例えば、麻酔薬(例えば、テトロドトキシンまたはリドカイン)の注入による)により引き起こされうる。
【0156】
さらに例証するため、定位離解によって采(fimbrio) −脳弓(齧歯類)および脳弓(哺乳類)病変を作製しうる。特に、脳弓構造のニューロンを、例えば離断または吸引(aspiration)(吸引(suction) )離解によって軸索切除する。脳弓の完全な離断により、アドレナリン作用性機能、コリン作用性機能およびGABA作用性機能ならびに電気的活性が破壊され、海馬形成において形態学的再構築が誘導される。通常、主題の方法に用いられる脳弓離断によって海馬周囲(parahippocampal) 領域は新皮質から分離されない。このような態様では、海馬形成によるプロセッシングとは独立した、海馬周辺領域により行なわれうる機能は、脳弓離断によって破壊されず、したがって、より完全な海馬系障害後に見られる完全な記憶消失を生じることは期待されえない。
【0157】
一態様において、動物はラットでありうる。簡単には、動物を、例えばケタミン−キシラジン混合物の腹腔内注射により麻酔し、Kopf定位手術器具に配置する。頭皮を矢状方向に切開し、ブレグマから後方に2.0mm、側方に3.0mmにわたって頭蓋切開(craniotomy)を行なう。例えば20ゲージの先端を有する吸引装置を、定位手術器具のフレーム(コップ・インストゥルメンツ(Kopf Instruments)社)に配置し、動物の脳内の正しい定位位置に吸引先端を配置することにより采−脳弓を吸引する。帯状束の皮質から吸引することによって片側だけが吸引された病変部を作製し、采脳弓を片側だけ完全に離断し、(任意に)海馬の背側先端および重なった帯状束皮質を除去して海馬標的の部分的脱神経を行なう。また、Gageら、(1983) Brain Res. 268:27および Gage ら、(1986) Neuroscience 19:241を参照のこと。
【0158】
別の例示的な態様では、動物はサルでありうる。動物を、例えばイソフルラン(1.5〜2.0%)で麻酔しうる。マンニトール(0.25g/kg、iv)で前処理した後、Kordowerら (1990) J. Comp. Neurol., 298:443 に記載のようにして左脳弓の片側離断を行いうる。簡単には、外科用ドリルを用いて矢上面近傍(parasagittal)の骨弁をつくり、前頭の上矢状静脈洞を露出させる。硬膜を後退させ、自動保持(self−retaining)レトラクタを用いて半球間裂を露出させる。脳梁を縦方向に切開する。モンロー孔のレベルで、脳弓は、2〜3mm幅の白い線維束として容易に明視化される。脳弓は、最初にボール・ディセクタを用いて離断することができる。次いで、脳弓の切断端を吸引し、完全な病変を確保する。
【0159】
さらに他の例示的な態様では、脳弓病変は、興奮毒性的に、または他の化学的手段により作り出すことができ、脳弓ニューロン、もしくは脳弓ニューロンにより神経支配される海馬の細胞を阻害または離解することができる。ある特定の好ましい態様では、脳弓コリン作用性ニューロンおよびアドレナリン作用性ニューロン等の特定のニューロン型を選択的に破壊することにより脳弓病変を作製する。
【0160】
例えば、コリン作用性ニューロンによる海馬での求心性(afferant)脳弓シグナルは、アトロピン遮断により切断されうる。コリン作用性ニューロンを離解するための別の手段は、例えば脳弓および海馬内への室内注射による192IgG−サポニン(192IgG−sap)の使用である。6−OHDAおよびイボテン酸等の薬剤を用い、離解処置(regimen) の一部として脳弓ドーパミンニューロンを選択的に破壊することができる。
【0161】
好ましい態様では、動物は、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、サル、類人猿、ラット、ウサギ等の非ヒト哺乳動物である。ある特定の好ましし態様では、動物は非ヒト霊長類である。別の好ましい態様では、動物は齧歯類である。
【0162】
認知機能に関するテスト、特に学習および記憶テストは多様であり、これらは、本発明に記載の病変動物および正常動物を用いて行なうことができる。学習および/または記憶テストには、例えば、阻害性回避テスト、コンテクスチュアル恐怖条件付け(contextual fear conditioning)テスト、サンプルに対する視覚的遅延不一致テスト、サンプルに対する空間的遅延不一致テスト、視覚的識別テスト、バーネス(Barnes)の環状迷路テスト、モリス(Morris)の水上迷路(water maze)テストおよび放射状アーム(radial arm)テストが含まれる。
【0163】
例示的な受動回避テストでは、スライド式のドアによって暗室と隔てられうるリット(lit) 室からなる装置を用いる。訓練時、動物をしばらくの間リット室に入れ、ドアは開けておく。動物は、少し遅れて(潜伏時間、これを記録する)暗室に移動する。暗室に入ったらドアを閉め、足にショックを加える。このテストを繰り返して潜伏時間を記録することにより、種々の時間間隔、例えば24または48時間間隔後にこの経験の記憶力(retention) を測定する。このプロトコルは、受動回避手順(概説は、Rush (1988) Behav Neural Biol 50:255を参照のこと)の多くの改良法の1つとする。
【0164】
例示的な迷路テストの態様は、水上迷路での作動記憶テストである。通常、該方法では、循環水層からなる装置を用いる。水槽内の水は、粉末ミルクの添加により濁らせている。水槽の底面にすえた移動式スタンドにより支持された透明なプレキシグラスの台を水面直下に沈める。通常、泳いでいるラットは台の位置を認識できないが、なんらかの記憶障害を持っていない限り、先の経験と訓練により思い出しうる。台の位置を確認するのに要した時間を測定し、これを潜伏時間とよぶ。実験中は、天井の照明等の方向確認の手がかりをすべて変更せずに維持した。一般に記憶に対してなんらかの障害をもつラットほど長い潜伏時間が観察される。
【0165】
別の記憶テストには、ホワイトノイズまたは定常音での処理後に、軽い空気吹きつけて被験体のまばたきを刺激することを含む、まばたき条件付けテストが含まれる。
【0166】
使用可能なさらに別の記憶テストは、恐怖条件付け、例えば、「キュード(cued)」および「コンテクスチュアル」恐怖条件付けテストである。一態様では、硬直モニターで一連の刺激(音、ショック)を管理した後、動物のショック誘導性硬直からの回復を評価する潜伏時間を記録する。
【0167】
病変動物の別の記憶テストは、試験用柵の底面の四隅に配置された(4個の)開放穴を含む回転式ホールボード(holeboard) 装置を用いる、ホールボードテストである。穴の中に首を突っ込むと、報酬の入った「餌入り」穴から毎回、餌の報酬が得られるようにマウスを訓練する。露出したどの穴にも餌の報酬(例えば、Froot Loop)があるが、穴は、スクリーンの下に配置することによって接近不可能となっている。スクリーンにより該報酬のにおいが穴から発散可能であるが、餌(reinforcer)への接近は不可能になっている。1個の穴に餌が入っている場合は、報酬はスクリーンの上面に配置され、接近可能である。装置全体はターンテーブル上に載せてあるため、容易に回転させて近位(例えば、嗅覚的)手がかりへの依存を排除しうる。開始チューブを装置の中央に配置する。被験体をチューブから開放し、餌の入った(正しい)穴を探させる。
【0168】
上記のように、脳弓病変動物の一使用法は、メチルフェニデート化合物の記憶強化(consolidation) を増強または阻害する能力について、および副作用と毒性について試験することである。一般に、主題の方法では、海馬への脳弓媒介性シグナル伝達の少なくとも部分的な破壊(動物の記憶強化および学習による行動に影響する破壊である)を起こすように操作された動物を用いる。脳弓病変の無い哺乳動物に学習による行動をもたらすような学習または記憶処置によって動物を条件付けする。記憶強化に対する効果を評価するため、メチルフェニデート化合物を動物に投与する。試験薬剤の無い場合に対する学習による行動の増加は、投与したコンビネーション(combination) が記憶強化を増強することを示す。
【0169】
本発明の方法では、学習期間の終了から例えば少なくとも12〜24時間、14〜22時間、16〜20時間および/または18〜19時間後の学習による行動の記憶力を測定することにより、該薬剤が記憶強化を促進するか否かを調べることができる。特定の態様では、学習した行動の記憶力は学習期間の終了から24時間後に測定することができる。
【0170】
本明細書中で使用される「対照哺乳動物」は、未処置の病変哺乳動物(すなわち、薬剤を投与していない、または評価対象と同じコンビネーションでない病変動物)、訓練された対照哺乳動物(すなわち、なんら病変のない、学習による行動を示すように訓練を受けた哺乳動物)および/または非訓練対照動物(すなわち、病変はあるかまたは無く、学習による行動を示すように訓練を受けていない哺乳動物)でありうる。
【0171】
C.メチルフェニデート化合物の医薬調製物
別の局面において、本発明は、主題の化合物を含有する医薬調製物を提供する。主題の方法に使用されるメチルフェニデート化合物は、水、緩衝化生理食塩水、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコール等)等の生物学的に許容されうる非発熱性および/または滅菌された媒体、またはそれらの適当な混合物とともに投与するために常套的に製剤化されうる。選択した媒体中における活性成分の最適濃度は、薬剤化学者に周知の手順にしたがって経験的に決定されうる。本明細書で使用する「生物学的に許容されうる媒体」には、医薬調製物の所望の投与経路に適切でありうる任意の全ての溶媒、分散媒等が含まれる。薬学的活性物質のためのかかる媒体の使用は当該技術分野において公知である。任意の従来の媒体または薬剤がメチルフェニデート化合物の活性と不適合である場合以外は、当該化合物の本発明の医薬調製物におけるそれらの使用が想定される。適切なビヒクルおよび他のタンパク質を含有するその製剤が、例えば、書物 Remington’s Pharmaceutical Sciences (Remington’s Pharmaceutical Sciences. Mack Publishing Company, Easton, Pa., USA 1985)に記載されている。これらのビヒクルには注射用「沈殿製剤」が含まれる。
【0172】
また、本発明の医薬製剤には、例えば、獣医学的用途、例えば、家畜または室内で飼う動物、例えばイヌの処置に適切なメチルフェニデート化合物の医薬用調製物、獣医学用組成物が含まれる。
【0173】
導入方法はまた、再利用性(rechargeable)または生分解性デバイスにより提供される。近年、薬物の制御送達のために種々の低速放出性ポリマーデバイスが開発され、インビボで試験されている。特定の標的部位でメチルフェニデート化合物を持続的に放出するための体内挿入体を作製するため、生分解性および非分解性ポリマーを含む様々な生体適合性ポリマー(ヒドロゲルを含む)を使用することができる。
【0174】
本発明の調製物は、経口、非経口、局所または直腸経由で投与しうる。これらは、もちろん各投与経路に適切な形態で投与される。例えば、これらは、錠剤またはカプセルの形態で、注射、吸入、点眼液、軟膏、座薬、制御放出貼付剤等により投与され、注射、注入または吸入により;ローションまたは軟膏により局所に;および座薬により直腸経由で投与される。経口および局所投与が好ましい。
【0175】
本明細書で使用する「非経口投与」および「非経口的に投与された」という用語は、腸溶性および局所投与以外の、通常は注射による投与様式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、鞘内、被膜内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、気管経由(transtracheal) 、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊椎内、胸骨内への注射および注入が含まれるが、これらに限定されない。
【0176】
本明細書で使用する「全身投与」、「全身に投与された」、「末梢投与」および「末梢に投与された」という用語は、患者の系に侵入することで代謝および他の同様のプロセスを受けるような、中枢神経系への直接的投与以外の、化合物、薬物または他の物質の投与、例えば皮下投与を意味する。
【0177】
これらの化合物は、口内および舌下を含む、経口、鼻腔内、例えばスプレーとして、直腸経由、膣内、非経口、槽内および局所に、粉末、軟膏または液滴として、任意の適切な投与経路により治療のためにヒトおよび他の動物に投与しうる。
【0178】
選択した投与経路に関係なく、適当な水和形態で使用しうる本発明の化合物、および/または本発明の医薬組成物は、以下に記載するような薬学的に許容されうる投薬形態で、または当業者に公知の従来法により製剤化されうる。
【0179】
本発明の医薬組成物における活性成分の実際の投薬レベルは、特定の患者、組成および投与様式に対する所望の治療応答を達成するのに有効な活性成分量を得るために変更しうる。
【0180】
選択した投薬レベルは、使用した本発明の特定の化合物またはそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、用いた特定の化合物の排泄速度、処置期間、用いた特定のメチルフェニデート化合物と組み合わせて用いる他の薬物、化合物および/または物質、処置対象の患者の年齢、性別、体重、状態、一般的な健康状態、これまでの投薬履歴、ならびに医療分野で周知の要因等の種々の要因に依存する。
【0181】
当業者である医師または獣医は、必要とされる医薬組成物の有効量を容易に決定および製剤化することができる。例えば、医師または獣医は、医薬組成物に使用する本発明の化合物の投薬量を、所望の治療効果を達成するのに必要なレベルよりも低いレベルで開始し、所望の効果が達成されるまで投薬量を徐々に増加させうる。
【0182】
一般に、本発明の化合物の1日あたりの投薬量は、治療効果を生じるのに有効な最低投薬量である化合物の量である。かかる有効投薬量は、一般に、上述の要因に依存する。一般に、静脈内、脳室内および皮下での患者に対する本発明の化合物の投薬量は、1日あたり体重1キログラムにつき約0.0001〜約100mgである。
【0183】
所望により、活性化合物の1日あたりの有効量を、1日の間で、2、3、4、5、6またはそれ以上の分割投薬量に分け、適当な間隔をあけて別々に投与しうる。
【0184】
「処置」という用語は、予防、治療および治癒をも包含する。
【0185】
本処置を受ける患者はそれが必要な任意の動物であり、霊長類、特にヒト、およびウマ、ウシ、ブタおよびヒツジならびに家禽および愛玩動物等の他の哺乳動物が含まれる。
【0186】
本発明の化合物は、そのままで、または薬学的に許容され得る担体との混合物で投与することができ、また、ペニシリン、セファロスポリン、アミノグリコシドおよびグリコペプチド等の他の抗菌剤と組み合わせて投与することができる。このような併用療法には、次の分が投与された時に最初に投与された分の治療効果が完全には消失しないような方法での活性化合物の逐次投与、同時投与および個別投与が含まれる。
【0187】
本発明の化合物を単独で投与することは可能であるが、該化合物を医薬製剤(組成物)として投与することが好ましい。本発明のメチルフェニデート化合物は、ヒト用医薬品または獣医科用医薬品における使用のための任意の従来法により、投与のために製剤化されうる。
【0188】
したがって、本発明の別の局面は、薬学的に許容され得る担体(添加剤)および/または希釈剤の1種以上とともに製剤化された治療有効量の上述の化合物を1種以上含有する薬学的に許容され得る組成物を提供する。以下に詳細に記載するように、本発明の医薬組成物は、以下の:(1)経口投与、例えば水薬(水溶性もしくは非水溶性の溶液もしくは懸濁液)、錠剤、ボーラス、粉末、顆粒、舌に塗布するためのペースト;(2)例えば滅菌された溶液もしくは懸濁液として、例えば皮下注射、筋肉内注射もしくは静脈内注射による非経口投与;(3)局所投与、例えば皮膚に適用するクリーム、軟膏もしくはスプレー;または(4)例えば膣座薬、クリームもしくは泡沫として膣内もしくは直腸内に適合するものを含む、固形または液状形態での投与のために特別に、配合されうる。しかしながら、ある特定の態様では、主題の化合物は単に滅菌水に溶解または懸濁しうる。
【0189】
本明細書で使用する「薬学的に許容され得る担体」という用語は、ある器官もしくは身体の部分から別の器官もしくは身体の部分への主題の調節因子の移送または輸送に関与する、液体または固体のフィルター、希釈剤、賦形剤、溶剤もしくはカプセル化材料等の薬学的に許容され得る材料、組成物またはビヒクルを意味する。各担体は、製剤内の他の成分と適合性であり、かつ患者に対して有害でないという意味において「許容され得る」ものでなければならない。薬学的に許容され得る担体として役立ち得る材料の例には、(1)乳糖、グルコースおよびスクロース等の糖類;(2)コーンスターチおよびイモ澱粉等の澱粉;(3)ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよびセルロースアセテート等のセルロースおよびその誘導体;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)ココアバターおよび座薬用ワックス等の賦形剤;(9)ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油および大豆油等の油;(10)プロピレングリコール等のグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール等のポリオール;(12)オレイン酸エチルおよびラウリル酸エチル等のエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム等の緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱物質非含有水;(17)等張生理食塩水;(18)リンゲル溶液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝溶液;ならびに(21)医薬製剤に用いられる他の非毒性適合性物質がある。
【0190】
上述のように、本発明のメチルフェニデート化合物のある特定の態様は、アミノもしくはアルキルアミノ等の塩基性官能基を含み得、したがって、薬学的に許容され得る酸で薬学的に許容され得る塩を形成することができる。この点における「薬学的に許容され得る塩」という用語は、本発明の化合物の比較的非毒性の無機酸および有機酸の酸付加塩をいう。これらの塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製の際にインサイチュで調製することができるか、または遊離塩基形態の本発明の精製化合物を適当な有機酸もしくは無機酸と別途反応させて、塩を単離することにより形成することができる。代表的な塩には、以下:2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、3−ヒドロキシ−2−ナフトエート(naphthoate)、3−フェニルプロピオン酸塩、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アムソネート(amusonate) 、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ベシレート(besylate)、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カルシウムエデテート(edetate) 、カンフル化物、カンフルスルホン酸塩、カムシレート(camsylate) 、炭酸塩、クエン酸塩、クラブラリレエート(clavulariate)、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコン酸塩(digluconate) 、ドデシル硫酸塩、エデテート、エディシレート(edisylate) 、エストレート(estolate)、エシレート(esylate) 、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルセプテート(gluceptate)、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコリルアルサニレート(glycollylarsanilate) 、ヘミ硫酸塩、ヘプタノエート、ヘキサフルオロリン酸塩、ヘキサノエート、ヘキシルレソルシネート、ヒドラブアミン(hydrabamine) 、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、ヒドロキシナフトエート、ヨウ化物、イソチオネート、乳酸塩、ラクトビオネート(lactobionate)、ラウリン酸塩、ラウリルスルホン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデレート(mandelate) 、メシレート(mesylate)、メタンスルホン酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、ムケート(mucate)、ナフチレート、ナプシレート(napsylate) 、ニコチン酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミン(N−methylglucamine) アンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモエート(pamoate) 、パントテン酸塩、ペクチネート、過硫酸塩、リン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバレート(pivalate)、ポリガラクツロネート(polygalacturonate) 、プロピオン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホサリクレート(sulfosaliculate) 、スラメート(suramate)、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート(teoclate)、チオシアン酸塩、トシレート、トリエチオジド(triethiodide)、ウンデカン酸塩、および吉草酸塩等が挙げられるが、これらに限定されない(例えば、Berge ら(1977) ”Pharmaceutical Salts”, J. Pharm. Sci. 66:1−19 参照のこと)。
【0191】
ある特定の態様では、主題の化合物の薬学的に許容され得る塩としては、例えば非毒性の有機酸または無機酸由来の該化合物の従来の非毒性の塩または第四級アンモニウム塩が挙げられる。特に好適なものは弱酸の塩である。例えば、かかる従来の非毒性の塩としては、塩酸塩、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、桂皮酸、グルコン酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等の無機酸由来のもの;および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸等の有機酸から調製される塩が挙げられる。
【0192】
ある特定の態様では、主題の化合物は、例えば、硫酸、ハロゲン化水素酸、または芳香族スルホン酸の有機エステルとの第四級アンモニウム塩として提供される。かかるエステルには、塩化メチルおよび臭化メチル、塩化エチル、塩化プロ丸剤、塩化ブチル、塩化イソブチル、塩化ベンジルおよび臭化物、臭化フェネチル、塩化ナフチルメチル、硫酸ジメチル、ベンゼンスルホン酸メチル、トルエンスルホン酸エチル、エチレンクロロヒドリン、プロピレンクロロビドリン(chlorobydrin)、臭化アリル、臭化メチルアリルならびに臭化クロチル(crotyl)がある。
【0193】
別の場合では、本発明の化合物は、1個以上の酸性官能基を含み得、したがって、薬学的に許容され得る塩基で薬学的に許容され得る塩を形成することができる。この場合における「薬学的に許容され得る塩」という用語は、本発明の化合物の比較的非毒性の無機酸および有機酸の塩基付加塩をいう。これらの塩もまた、本発明の化合物の最終的な単離および精製の際にインサイチュで調製することができ、または遊離酸形態の精製した該化合物を、適切な塩基(例えば、薬学的に許容され得る金属カチオンの水酸化物、炭酸塩もしくは重炭酸塩)、アンモニアまたは薬学的に許容され得る有機系の第一級、第二級もしくは第三級アミンと別途反応させることにより調製することができる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩およびアルミニウム塩等が挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン等が挙げられる(例えば、前出Berge らを参照のこと)。
【0194】
ラルリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム等の湿潤剤、乳化剤および潤滑剤、ならびに着色剤、離型剤、被覆剤、甘味料、香味料や香料、保存剤および抗酸化剤もまた該組成物中に存在しうる。
【0195】
薬学的に許容され得る抗酸化剤の例としては、(1)アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等の水溶性抗酸化剤;(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロ丸剤、α−トコフェロール等の油溶性抗酸化剤;ならびに(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等の金属キレート化剤が挙げられる。
【0196】
本発明の製剤としては、経口投与、鼻腔内投与、局所投与(口内および舌下を含む)、直腸投与、膣内投与および/または非経口投与に適したものが挙げられる。該製剤は、単位投薬形態で従来のようにして提供され得、薬学の分野で周知の任意の方法により調製されうる。単一の投薬形態を作製するために担体材料と組み合わせうる活性成分の量は、処置対象の宿主、特定の投与様式に依存して変化する。単独の投薬形態を作製するために担体材料と組み合わせうる活性成分の量は、一般に、治療効果を生じる化合物の量である。一般に、100パーセントのうち、この量は、約1パーセント〜約99パーセントの活性成分、好ましくは約5パーセント〜約70パーセント、最も好ましくは約10パーセント〜約30パーセントの範囲である。
【0197】
これらの製剤または組成物の調製方法には、本発明の化合物を、担体および、任意に1種以上の補助的な成分と合わせる(bring into association)工程が含まれる。一般に、該製剤は、本発明の化合物を液状担体もしくは微細に細分された固体担体またはその両者と均一かつ充分に合わせ、次いで必要により製品に成型することにより調製される。
【0198】
経口投与に好適な本発明の製剤は、カプセル、カシェ剤、丸剤、錠剤、トローチ剤(香料基材、通常スクロースおよびアカシアまたはトラガカントを用いる)、粉末、顆粒の形態、または水溶性もしくは非水溶性の液体中で溶液もしくは懸濁液としての形態、または水中油もしくは油中水の液体エマルジョンとしての形態、またはエリクシルもしくはシロップとしての形態、または芳香剤(ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシア等の不活性基材を用いる)としての形態および/またはマウスウォシュ等の形態であり得、各々、所定量の本発明の化合物を活性成分として含有する。本発明の化合物はまた、ボーラス、舐剤またはペーストとして投与されうる。
【0199】
経口投与のための本発明の固形投薬形態(カプセル、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤、顆粒等)では、活性成分は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムおよび/または以下(1)デンプン、乳糖、スクロース、グルコース、マンニトールおよび/または珪酸等の充填剤および増量剤;(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシア等の結合剤;(3)グリセロール等の湿潤剤;(4)寒天−寒天、炭酸カルシウム、イモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種の珪酸塩および炭酸ナトリウム等の崩壊剤;(5)パラフィン等の溶解遅延剤;(6)第四級アンモニウム化合物等の吸収促進剤;(7)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール等の展着剤;(8)カオリンおよびベントナイトクレイ等の吸着剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物等の潤滑剤;ならびに(10)着色剤の任意のもの等の1種以上の薬学的に許容され得る担体と混合される。カプセル、錠剤および丸剤の場合、該医薬組成物は緩衝化剤も含有しうる。類似のタイプの固形組成物もまた、乳糖または乳糖や高分子ポリエチレングリコール等の賦形剤を用いた軟質ゼラチンおよび硬質ゼラチンカプセルにおいて充填剤として使用されうる。
【0200】
錠剤は、任意に1種以上の補助的な成分とともに、圧縮または成型により作製されうる。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンもしくはヒドロキシプロ丸剤メチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムもしくは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤を用いて調製されうる。成型錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を適当な機械内で成型することにより作製されうる。
【0201】
錠剤および糖衣錠、カプセル、丸剤および顆粒等の本発明の医薬組成物の他の固形投薬形態は、腸溶性皮膜および医薬製剤化技術分野で周知の他の皮膜等の皮膜および外皮を用い、任意に印をつけられるか(score )、または調製されうる。また、それらは内部の活性成分の低速放出もしくは徐放を提供するように、例えば所望の放出プロファイルを提供するために種々の割合でヒドロキシプロ丸剤メチルセルロース、他のポリマーマトリクス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを用いて製剤化されうる。それらは、例えば、細菌保持フィルターを介する濾過によって、または滅菌水もしくはいくつかの他の滅菌注射用媒体に使用直前に溶解されうる滅菌固形組成物の形態で滅菌剤を混合することにより滅菌されうる。これらの組成物はまた、任意に不透明化剤を含有し得、(1種以上の)活性成分のみ、または優先的に胃腸管の特定の部分に任意に遅延様式で放出する組成物でありうる。使用され得る埋め込み型(embedding) 組成物の例としては、ポリマー性物質およびワックスが挙げられる。活性成分はまた、適切であれば、上述の賦形剤の1種以上を含むマイクロカプセル形態でありうる。
【0202】
本発明の化合物の経口投与のための液状投薬形態としては、薬学的に許容され得るエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリクシルが挙げられる。活性成分に加え、液状投薬形態は、当該技術分野で通常使用される、例えば水もしくはエチルアルコール、イソプロ丸剤アルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に綿実油、塊茎植物油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルならびにそれらの混合物等の他の溶媒、可溶化剤および乳化剤等の不活性希釈剤を含みうる。
【0203】
不活性希釈剤に加え、経口用組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、香味料、着色剤、香料ならびに保存剤等の助剤を含みうる。
【0204】
懸濁液は、活性化合物に加え、例えば、エトキシルイソステアリルアルコール、ポリエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微晶質セルロース、メタ水酸化(metahydroxide) アルミニウム、ベントナイト、寒天−寒天およびトラガカントならびにそれらの混合物等の懸濁剤を含みうる。
【0205】
直腸または膣内投与のための本発明の医薬組成物の製剤は、本発明の化合物の1種以上を、例えばココアバター、ポリエチレングリコール、座薬用ワックスもしくはサリチル酸塩を含有する適当な非刺激性の賦形剤もしくは担体の1種以上と混合することにより調製され得、かつ室温で固体であるが体温では液体であり、したがって直腸もしくは膣腔で溶解し、活性メチルフェニデート化合物を放出する座薬として提供されうる。
【0206】
また、膣への投与に好適な本発明の製剤としては、当該技術分野で公知であるような担体を適当に含有する膣坐剤、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡沫またはスプレー製剤が挙げられる。
【0207】
本発明の化合物の局所または経皮投与のための投薬形態としては、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、貼付剤および吸入剤が挙げられる。活性化合物は、薬学的に許容され得る担体および必要とされうる任意の保存剤、緩衝剤もしくは推進剤とともに滅菌条件下で混合され得る。
【0208】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の活性化合物に加え、動物性油脂および植物性油脂、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、珪酸、タルクならびに酸化亜鉛、またはそれらの混合物等の賦形剤を含みうる。
【0209】
粉末およびスプレーは、本発明の化合物に加え、乳糖、タルク、珪酸、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウムおよびポリアミド粉末またはこれらの物質の混合物等の賦形剤を含み得る。スプレーは、クロロフルオロ炭化水素ならびにブタンおよびプロパン等の揮発性の非置換炭化水素等の慣用の推進剤をさらに含みうる。
【0210】
ある特定の好ましい態様では、主題の化合物は、経皮貼付剤の一部として製剤化されうる。経皮貼付剤は、本発明の化合物を身体に制御送達するという付加的な利点を有する。かかる投薬形態は、メチルフェニデート化合物を適切な媒体に溶解または分散させることにより作製されうる。吸収促進剤はまた、皮膚を横切るメチルフェニデート化合物のフラックスを増加させるために使用されうる。かかるフラックス速度は、速度制御膜を設けるか、またはポリマーマトリクスもしくはゲル内に化合物を分散させるかのいずれかにより制御され得る。
【0211】
メチルフェニデートの「遊離塩基形態」は、メチルフェニデートが貼付剤内に組み込まれ得る形態に関する。メチルフェニデートは、例えば、貼付剤の薬物保持マトリクスの構成要素と複合体を形成し得、したがって、貼付剤により実際に保持されるとメチルフェニデートは必ずしも遊離塩基の形態でなくてもよいことは理解されよう。
【0212】
貼付剤は、好ましくは、薬物不透過性裏材層を含有する。経皮または薬物添加貼付剤に使用されうる薬物不透過性裏材層の好適な例としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニリアルコール、塩化ポリビニル、塩化ポリビニリデン、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、酢酸セルロース、エチルセルロースのフィルムもしくはシート、その金属蒸着フィルムもしくはシート、ラバーシートもしくフィルム、合成樹脂発泡シートもしくはフィルム、不織布、布地、編物の布地、紙およびホイルが挙げられる。好ましい薬物不透過性弾性裏材材料は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene tereplithalate) (PET)、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、可塑化ポリ塩化ビニル、織布および不織布より選択される。特に好ましくは不織ポリエチレンテレフタレート(PET)である。他の裏材は当業者にとって容易に明らかである。
【0213】
本発明の好ましい接着剤における「ブロック共重合体」という用語は、2種以上の化学的に非類似のポリマー構造が末端で互いに連結してなる巨大分子をいう(Block Copolymers: Overview and Critical Survey, Noshay and McGrath, 1977)。これらの非類似のポリマー構造、セクションまたはセグメントは、ブロック共重合体の「ブロック」を表す。ブロックは、一般に、A−B構造、A−B−A構造または多ブロック−(A−B)n−系(ここで、AおよびBは、ブロック共重合体の化学的に異なるポリマーセグメントである)で配列され得る。
【0214】
ブロック共重合体はA−B−A構造であり、特にAおよびBの一方がアクリル系ポリマー単位であることが一般に好ましい。また、本発明がA−B−Cブロック共重合体等の3種以上の異なるブロックを有するブロック共重合体を用いて適用可能であることは理解されよう。しかしながら、便宜上、以下のブロック共重合体に関する記載は、AサブユニットおよびBサブユニットしかないと仮定するが、特に記載のない限り、かかる記載は2つを超える異なるサブユニットを有するブロック共重合体をも包含することは明らかである。
【0215】
ブロック共重合体の性質は、主としてAブロックおよびBブロックの性質によって決定されることは理解されよう。ブロック共重合体は、通常「硬質」セグメントおよび「軟質」セグメントの両方を有する。「硬質」セグメントは、室温より高いガラス転移温度(Tg)および/または融点(Tm)を有するポリマーであり、「軟質」セグメントは、室温より低いTg(およびおそらくTm)を有するポリマーである。異なるセグメントは、ブロック共重合体に異なる性質を付与すると考えられる。理論に拘束されるものではないが、異なるブロック共重合体単位の硬質セグメントの結合は、ブロック共重合体内に物理的な架橋をもたらし、それによりブロック共重合体の結合特性を向上すると考えられる。ブロック共重合体の硬質セグメントがかかる物理的に緊密な結合を形成することが特に好ましい。
【0216】
本発明に有用なブロック共重合体は、好ましくはアクリル系ブロック共重合体である。アクリル系ブロック共重合体において、ブロック共重合体のブロックの少なくとも1つは、アクリル酸ポリマーまたはアクリル酸誘導体のポリマーである。該ポリマーは、たった1種類の繰り返しモノマー種から構成されうる。しかしながら、モノマー種の混合物が、各ブロックを形成するために使用され得、その結果、ブロックは本質的に共重合体でありうることは理解されよう。異なるモノマーの組み合わせの使用は、得られるブロック共重合体の種々の性質に影響しうる。特に、使用されるモノマーの比率または性質の違いは、接着性、粘着性および凝集性等の特性が修正されることを可能にするため、ブロック共重合体の軟質セグメントが、1種を超えるモノマー種で構成されることは一般に有利である。
【0217】
アクリル酸アルキルおよびメタクリル酸アルキルを重合してブロック共重合体の軟質部分を形成することが好ましい。アクリル酸アルキルおよびメタクリル酸アルキルは、粘着性および接着性の特性を付与すると考えられる。好適なアクリル酸アルキルおよびメタクリル酸アルキルとしては、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシルおよびメタクリル酸トリデシルが挙げられるが、他の適当なアクリレートおよびメタクリレートは、当業者にとって容易に明らかであろう。アクリル系ブロック共重合体は少なくとも50重量%のアクリル酸アルキルまたはメタクリル酸アルキルの(共)重合体を含有することが好ましい。
【0218】
軟質セグメントの成分における変化は、ブロック共重合体の全体の特性に影響を及ぼすが、本質的な特徴は軟質セグメントの架橋を維持したままである。例えば、ジアセトンアクリルアミドならびにブチルアクリレートおよび/または2−エチルヘキシルアクリレート(ほぼ等しい割合で)のいずれかから本質的になる軟質セグメントは十分に作用し、約3:4:4の重量比がよい結果を提供する。ジアセトンアクリルアミド、または他の極性モノマー(例えば、ヒドロキシエチルメタクリレートまたは酢酸ビニル)が、軟質セグメントのモノマー混合物の50% w/w以下で存在することが好ましい。例えば、このことが接着性の減少を導き得る。アクリレート成分は一般的により自由に変化され得、2−エチルヘキシルアクリレートおよびブチルアクリレートを共に用いても個々に用いてもよい結果が観察される。
【0219】
上記のように、種々のモノマー比は、一般的にほぼ等しいことが好ましい。接着剤では、軟質セグメントの50%以下が極性成分であり、約85% w/wまで、しかし好ましくは約50〜70% w/wが無極性部分で形成されることが好ましい。上記例においては、約72%(4+4)無極性(a polar )対約18%(3)極性である。
【0220】
一般的に、使用される任意の無極性モノマーが接着剤に酸性度を付与しないことが特に好ましい。本発明の接着剤は、好ましくは、本質的に中性であり、このことはメチルフェニデートの任意の不必要な変質を防止する。
【0221】
どの程度その環境と化学的に相互作用しそうかを考慮に入れる必要なく、接着剤の任意の所定の製剤の幅広い使用を可能にするため、活性官能基、特に活性水素を含有するものを限定することが、一般的に好ましい。従って、反対の必要性がない場合、一般的に化学的に不活性な接着剤が好ましい。
【0222】
上記で議論したように、ブロック共重合体の硬質部分としての使用に適切な重合体は、室温より上のガラス転移温度を有する。硬質セグメント重合体形成における使用に適切なモノマーとしては、スチレン、(x−)メチルスチレン、メチルメタクリレートおよびビニルピロリドンが挙げられるが、他の適切なモノマーは、当業者にとって容易に理解されよう。スチレンおよびポリメチルメタクリレートは、ブロック共重合体の硬質セグメントの形成における使用に適切であることが見出されている。ブロック共重合体の硬質部分が、ブロック共重合体全体の3 〜30% w/w、特に好ましくは5 〜15% w/wを構成することが好ましい。
【0223】
ブロック共重合体は、さらに軟質部分がある程度の化学架橋を含むことに特徴付けられる。このような架橋は、任意の適切な架橋剤によってもたらされ得る。架橋剤は、重合中での軟質セグメントへの組み込みに適切なモノマーの形態であることが特に好ましい。好ましくは、架橋剤は、モノマー分子あたり2つ以上のビニル基などのラジカル重合可能な基(少なくとも1つが初期重合の間は変化しないままの傾向のある)を有し、それによって得られるブロック共重合体の架橋を可能にする。
【0224】
本発明での使用に適切な架橋剤としては、ジビニルベンゼン、メチレンビス−アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ(meth))アクリレート、エチレングリコールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、またはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが挙げられるが、他の適切な架橋剤は、当業者にとって容易に理解されよう。好ましい架橋剤は、テトラエチレングリコールジメタクリレートである。架橋剤が、ブロック共重合体の約0.01〜0.6 重量%を構成することが好ましく、0.1 〜0.4 重量%が特に好ましい。
【0225】
モノマー成分からブロック共重合体を作製する方法は、周知である。本発明のブロック共重合体部分は、任意の適切な方法(例えば、段階成長、アニオン性、カチオン性およびフリーラジカル法(Block Copolymers、前出))によって作製され得る。フリーラジカル方法は、溶媒およびモノマーが精製される必要がないので、他の方法(例えば、アニオン性重合)よりも一般的に好ましい。
【0226】
適切な重合開始剤としては、1分子あたり1つより多いペルオキシド部分を有する、重合ペルオキシドが挙げられる。反応条件の適切な選択は、一旦、適切な開始剤が選択されると、十分当業者の技術範囲内である。
【0227】
開始剤は、好ましくはブロック共重合体の0.005 〜0.1 重量%、特に好ましくは0.01〜0.05重量%で使用されるが、選択された量もまた、十分当業者の技術範囲内であることは理解されよう。特に、この量が混合物の即時のゲル化の原因となるほど多くはないか、または重合を遅らせ、かつ過剰に残余モノマーを残すほど低くはないことが好ましい。残余モノマーの好ましいレベルは、2000ppm 未満である。
【0228】
開始剤の量が、開始剤自身およびモノマーの性質などの理由に依存して実質的に変わることも理解されよう。
【0229】
ブロック共重合体は、接着剤であり、好ましくは圧力感受性接着剤である。圧力感受性接着剤は、手の圧力で表面に塗布され得、熱、水または溶媒による活性化を必要としない。このように、これらは、本発明に従う使用に特に適切である。
【0230】
ブロック共重合体は、接着性付与剤を用いずに使用され得、その結果特に有利である。しかし、ブロック共重合体がまた、接着性付与剤と組み合わせて使用されて、必要とされるかまたは所望されるべき改善された粘着性を提供し得ることは理解されよう。適切な接着性付与剤は、周知であり、当業者にとって容易に理解されよう。
【0231】
理論に束縛されることなく、硬質部分間の一般的な疎水性相互作用、すなわち物理的架橋と組み合わせられた共重合体の軟質セグメント間の化学的架橋の組み合わせは、「マトリクス様」構造を生じると考えられる。硬質セグメントの物理的架橋のみを有する共重合体は、このようなマトリクスを形成しにくい。ブロック共重合体の架橋の両形態の組み合わせが良好な内部強度(凝集力(cohesion))およびまた高い薬物貯蔵能力を提供すると考えられる。
【0232】
より詳細には、硬質セグメントは結合して「島(island)」すなわち節を形成し、軟質セグメントがこれらの節からおよび節間で広がると考えられる。
【0233】
島の間の「海(sea )」には、明確な物理的構造があり、ここでは、軟質セグメントは架橋され、その結果軟質セグメントの広範な混合の必要性はない。これは、全ブロック共重合体のより大きな凝集性を生じるが、同時に、軟質セグメント長を短くし得、島間に大きな、またはより大きな距離をさらに有し、それにより、良好な薬物貯蔵能力を可能にする。
【0234】
ブロック共重合体は、好ましくは、溶媒が除去される際に架橋し、その結果、架橋がコーティング後に生じるようにあわせられ得、これは好ましい方法である。
【0235】
従って、ブロック共重合体が、表面上に容易にコーティングされ得るだけではなく、完全な溶液もまたコーティング前の期間に貯蔵され得る。従って、貼付剤の製造プロセスにおいて、このプロセスは、好ましくは溶液中で各軟質セグメントのモノマー成分を重合し、次いで硬質セグメントの成分を各得られた溶液に添加し、得られた混合物を重合し、次いで任意の溶媒または溶媒系の除去によって(例えばエバポレーションによって)架橋する工程を含む。この溶液が任意の長さの時間、貯蔵される場合、重合体が沈殿しないようにすることが必要であり得、これは公知の手段によって(例えば、薬剤の懸濁または振盪によって)達成され得る。溶媒が蒸発されるまで実質的に架橋を受けない重合体の型を選択することもまた必要であり得る。
【0236】
一般的に、接着剤は、例えば、接着剤材料に組み込まれることが所望される任意の薬物との所望でない反応/相互作用を回避するために、活性水素を有する最小の数の官能基を有することが好ましい。これは、単に好ましい限定であり、任意の接着剤が当業者によって個々の必要性に合うように調製され得ることは理解されよう。
【0237】
ハートセグメントの形成における使用に適切なモノマーとしては、スチレン、a−メチルスチレン、メチルメタクリレートおよびビニルピロリドンが挙げられ、硬質セグメントの好ましい割合は、5 〜15% w/wである。特に、このような系に30%を超える薬物を装填可能であるので、WO99/02141の化合物の使用が有利である。
【0238】
従って、本発明の貼付剤において、必要とされる薬物の量を計算して患者の体重に従って所定の薬物を装填する適切な貼付剤サイズを決定することが一般的に可能であり、これは、当業者によって容易に計算され得る。
【0239】
特定の実施形態において、少量の可塑剤(例えば、ミリスチン酸イソプロピル(IPM))が混合され得る。これは、メチルフェニデートの可溶化を助け、皮膚上で接着剤をざらざらさせない利点を有する。2 〜25重量%のレベルが、一般的に有用であり、3 〜20重量%のレベルがより好ましく、5 〜15%、特に約10%のレベルが最も好ましい。他の可塑剤もまた使用され得、適切な可塑剤は、当業者にとって容易に理解されよう。特に、この実施形態において、WO99/02141の接着剤を使用することが好ましい。約30%メチルフェニデートのレベルが、本発明の貼付剤において安定であり、好ましいレベルは15〜25%の間、好ましくは20% である。
【0240】
可塑剤は、一般的に、接着剤重合体に導入された油状物質の形態をとる。このような油状物質の導入の効果は、接着剤の物理的構造を柔らかくすることであるが、同時に、接着剤と皮膚との間の界面で作用し、それによっていくぶん接着剤を弱めて剥離を減少するのを助ける。
【0241】
遊離塩基油が、親水性溶媒(特に水)および有機溶媒の存在下でメチルフェニデート塩酸塩または任意の他の適切な塩を適切な塩基で塩基性化することによって得られ得る。例えば、ほぼ等しい割合の水および酢酸エチルは、塩基性化剤としてアンモニアを利用して、十分に作用する。次いで、水が除去され得、調製物がさらに水または他の水溶性調製物で洗浄され、その後、調製物は、例えば、酢酸エチルを除去した後にエーテルを用いて適切に抽出され得る。この調製物を、特に完了後、不活性雰囲気下に保つことが好ましい。
【0242】
本発明の貼付剤は、一旦所定の用量を終了することが所望される場合、いつでも患者から取り去され得ることが理解されようが、このことは、部分的に放出された貼付剤の潜在的な薬物乱用の機会を提供する点で不利益を有し得る。メチルフェニデートの乱用は、非常に望ましくない。
【0243】
特定の実施形態において、24時間で送達可能な大部分のメチルフェニデートを適用後約8時間までに送達するように作製された貼付剤を使用することが有利であり得、その結果、貼付剤を所定の位置にとどめることができつつ、薬物のレベルがかなり減少する。薬物送達プロフィールが一次速度論を有し、その結果、大部分の薬物がほとんど一日で送達され、患者が貼付剤を取り去り忘れた場合でさえ、薬物は一日が終了するまでに枯渇に近づき、薬物の量は速やかに下がることが利点である。
【0244】
本発明の貼付剤は、経皮貼付剤の製造の分野で公知の適切な様式で構築され得ることが理解されよう。貼付剤は、単純に接着剤、薬物および裏材を含み得るか、または貼付剤の側の外への薬物のしみ出しを予防するために縁飾りを有するなど、より複雑であり得る。貼付剤はまた、例えば、多層であり得る。
【0245】
眼用製剤、眼軟膏、散剤、溶液などはまた、本発明の範囲内であることが意図される。
【0246】
非経口投与に適切な本発明の医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容され得る滅菌等張水溶液または非水溶性溶液、分散液、懸濁液またはエマルジョン、あるいは滅菌された注射可能な溶液または分散剤へ使用直前に再構成され得る滅菌粉末と組み合わせて1つ以上の本発明の化合物を含む。この溶液または分散剤は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、溶質 (製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にし得る)または懸濁剤または濃化剤を含み得る。
【0247】
本発明の医薬組成物に使用され得る適切な水溶性担体および非水溶性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)およびそれらの適切な混合物、植物油(例えば、オリーブ油)、ならびに注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)が挙げられる。適切な流動性は、例えば、コーティング材料(例えば、レシチン)の使用によって、分散液の場合は、必要とされる粒子のサイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。
【0248】
これらの組成物はまた、アジュバント(例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤)を含み得る。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸など)の含有によって確実にされ得る。等張剤(例えば、糖類、塩化ナトリウムなど)を組成物に含むことがまた、所望され得る。さらに、注射可能な薬学的形態の長時間吸収性は、吸収を遅らせる薬剤 (例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)の含有によって引き起こされ得る。
【0249】
いくつかの場合において、薬物の効果を長くするために、皮下注射または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅くすることが所望される。これは、水溶性に乏しい結晶性物質または無定形物質の液体懸濁液の使用によって達成され得る。次いで、薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、次いで結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口投与された薬物形態の遅延吸収は、薬物を油ビヒクルに溶解または懸濁することによって達成される。
【0250】
注射可能な蓄積形態は、生分解性重合体(例えば、ポリラクチド−ポリグリコリド)中に当該化合物のマイクロカプセルマトリクスを形成することによって作製される。薬物対重合体の比、および使用される特定の重合体の特性に依存して、薬物放出速度は、制御され得る。他の生分解性重合体の例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。蓄積注射可能な製剤はまた、薬物を身体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルジョン中に閉じ込めることによって調製される。
【0251】
本発明の化合物が医薬としてヒトおよび動物に投与される場合、それ自体を、または薬学的に許容され得る担体と組み合わせた、例えば0.1 〜99.5%(より好ましくは、0.5 〜90%)の活性成分を含む活性成分医薬組成物として与えられ得る。
【0252】
本発明の活性化合物の動物餌への添加は、好ましくは活性化合物を有効量で含有する適切な餌プレミックスを調製して全食料にこのプレミックスを混ぜることによって達成される。
【0253】
あるいは、活性成分を含有する中間濃縮物または餌補助食が、餌にブレンドされ得る。このような餌プレミックスおよび全食料が調製されて、投与される方法は、参考図書に記載される(例えば、「Applied Animal Nutrition」、W.H. Freedman and Co. 、San Francisco 、U.S.A.、1969または「Livestock Feeds and Feeding 」 O and B books、Corvallis 、Ore.、U.S.A.、1977)。
【0254】
IV.本発明の化合物の例示的使用
種々の実施形態において、本発明は、1つ以上の当該メチルフェニデート化合物を利用する処置様式および予防様式を意図する。これらの薬剤は、生物における学習欠陥および/または記憶欠陥の発生を変更(増加または減少)し、生物の学習能力および/または記憶容量を変更するのに有用であり得る。他の実施形態において、本発明の調製物は、正常な記憶機能を向上するように単純に使用され得る。
【0255】
特定の実施形態において、当該方法を使用して、例えば、手続き記憶(procedural memory )とは反対の減少宣言記憶(declarative memory)が症状である発育障害を有するまたは発育障害の危険のあると診断されている患者を処置し得る。当該方法はまた、改善された宣言記憶が所望される正常な個体を処置するために使用され得る。
【0256】
本発明に従って処置され得る記憶障害は、多数の原因:機能的機構 (不安、憂鬱)、生理的老化(年齢関連記憶欠陥、中等度認識欠陥など)、薬物、または解剖学的損傷(痴呆)を有し得る。このような調製物が有用であり得る適応症としては、学習障害、例えば毒物暴露に起因する記憶欠陥、脳損傷、老化、精神分裂病、てんかん、小児における精神遅滞、ダウン症候群およびアルツハイマー病を含む老年痴呆が挙げられる。当該方法は、前交通動脈症候群および他の脳卒中症候群を処置するために使用され得る。当該方法はまた、虚血または低酸素の結果(例えば、血流または血液容量の減少(心臓バイパス手術または心拍出量の減少もしくは減損に関連する疾患を含む)あるいは低酸素条件への暴露の結果であり得る)の記憶欠陥を処置する(重篤度を減少する)ためにまたは予防として使用され得る。
【0257】
特定の実施形態において、注意欠陥障害(ADD)、注意欠陥過活動性障害(ADHD)、およびAIDS関連痴呆が当該化合物を用いる処置に好反応を示すが、特定の実施形態においては、患者の記憶損失は、これらの症状の1つに関連しない。
【0258】
注意欠陥障害(ADD)は、発育上不適切な程度の不注意、異常活動および衝動性に特徴のある発育障害である。症状は、神経学的に基づいて、早期小児期に現れ、ほとんどの場合自然に慢性化する。症状は、著しい神経学的欠陥、感覚欠陥、言語および運動欠陥、精神遅滞、または精神病に起因しない。
【0259】
多動を伴うADDおよび伴わないADDは、別個かつ特有の小児障害である。これらは、同一の注意障害のサブタイプではない。ADD/−Hを有する小児は、より頻繁に鬱病、学習障害、または「怠惰」として記載されるが、ADD/+Hを有する小児はより頻繁に行為または行動障害として分類されることが示されている。
【0260】
ADHDの特徴は、ほとんどの個体について早期小児期において現れることが示されている。この障害は、しばしば7歳齢の前に発症して少なくとも6ヶ月持続する慢性行動によって記録される。現時点では、ADHDの4つのサブタイプが定義されている。これらは、以下:
1.ADHD−不注意型
2.ADHD−活動過多/衝動的型
3.ADHD−混合型
4.ADHD−他に明記されない、はいくつかの特徴を示すが完全診断に達するのに不十分な数の症状を示す個体によって定義される。
を含む。しかし、これらの症状は、毎日の生活を妨害する。
【0261】
ADHDを診断するためのAmerican Psychiatric Association Diagnostic and Statistical Manual(DSM−IV)基準は、以下を含む。以下:
A.(1)または(2)のいずれか
(1).不注意の次の症状のうち6つ(以上)が、発育レベルに不適応かつ相反する程度で少なくとも6ヶ月間持続している:
不注意
(a )しばしば、学業、作業、もしくは他の活動においてこと細かに緻密な注意を払わないか、または軽率な間違いをする
(b)しばしば、課題または遊び活動において注意を持続することに困難性を有する
(c)しばしば、直接話される際に聞いているように思われない
(d)しばしば、指示をやり遂げず、学業、雑用または職場における義務を終えない(反対の行動または指示の理解の失敗に起因しない)
(e)しばしば、課題および活動を計画することに困難性を有する
(f)しばしば、精神的努力を維持することを必要とする課題 (例えば、学業もしくは宿題)に従事することを避けるか、嫌うか、またはしたがらない
(g)しばしば、課題または活動に必要なもの(例えば、おもちゃ、学校の宿題、鉛筆、本、もしくは道具)を置き忘れる
(h)しばしば、外部刺激によって簡単に気を散らす
(i)しばしば、日々の活動を忘れやすい
(2)過活動性−衝動性の次の症状のうち6つ(以上)が、発育レベルに不適応かつ相反する程度で少なくとも6ヶ月間持続している
過活動性
(a)しばしば、いらだって手または足をいじりまわすか、または座席で身もだえする
(b)しばしば、教室または座りつづけることが期待される他の状況で座席を立つ
(c)しばしば、不適切な状況下で過度に駆け回るか、またはよじ登る(思春期または成人においては、不安の主観的な気持に制限され得る)
(d)しばしば、余暇活動で静かに遊ぶまたは従事するのに困難性を有する
(e)しばしば、「絶えず活動している(on the go )」かまたは、しばしばまるで「モーターで駆動する」ように行動する
(f)しばしば、過度に話す
衝動性
(g)しばしば、質問が完全にされる前に答えを衝動的に言う
(h)しばしば、順番を待つのに困難性を有する
(i)しばしば、他人をさえぎるかまたは邪魔をする(例えば、会話もしくはゲームにくちばしをはさむ)。
B.欠陥の原因となるいくつかの過活動性−衝動性または不注意症状が、7歳齢の前に現れた。
C.症状に由来するいくつかの欠陥は、2つ以上の設定(例えば、学校(または職場)および家)において現れる。
D.社会的、学問的、または職業上の働きにおいて臨床的に重要な欠陥の明らかな証拠がなければならない。
E.症状が、広汎発達障害、精神分裂病、または他の精神病の進行中はもっぱら生じず、別の精神障害(例えば、気分障害、不安障害、解離性障害、または人格障害)が十分に説明されない。
【0262】
技術水準は、ADHDの処置のためのラセミ体メチルフェニデート (Ritalin )の使用に到達しているが、本発明者の知る限りでは、メチルフェニデートはADHDの注意要素を処置しているのみであり得、移動障害要素に有効ではないことは認識されない。従って、本発明の1つの局面は、メチルフェニデート(またはその代謝誘導体のアナログ)とドーパミン再摂取インヒビターの組み合わせに関する。多様な構造の種々のドーパミントランスポーターインヒビター(ドーパミン摂取インヒビターとも呼ばれる;本明細書においては、活性成分としていわれる)は公知である。例えば、S. Berger 、米国特許第5,217,987 号;J. Boja ら、Molec. Pharmacol. 47,779−786(1995);C. Xu ら、Biochem. Pharmacol. 49,339−50(1995) ;B. Madras ら、Eur. J. Pharmacol. 267,167−73(1994) ;F. Carrollら、J. Med. Chem. 37,2865−73(1994);A. Eshleman ら、Molec. Pharmacol. 45,312−16(1994) ;R. Heikkila およびL. Manzino, Eur. J. Pharmacol. 103、241−8(1984) を参照のこと。ドーパミントランスポーターインヒビターは、一般的に、立体特異的様式でドーパミントランスポータータンパク質に結合するリガンドである。このような化合物の例は、以下である:
(1)ブプリオン(buprion )、ノミフェンシン、およびアミネプチン(amineptin )などの三環式抗鬱剤;
(2)1,4−二置換型ピペラジン、またはピペラジンアナログ(例えば、1−[ 2−[ ビス(4−フルオロフェニル)メトキシ] エチル] −4−(3−フェニルプロピル)ピペラジン二塩酸塩(すなわちGBR12909)、1−[ 2−[ ビス(フェニル)メトキシ] エチル] −4−(3−フェニルプロピル)ピペラジン二塩酸塩(すなわちGBR12934)、およびGBR13069);
(3)トロパンアナログ、または(二置換型フェニル)トロパン−2β−カルボン酸メチルエステル(例えば、3[ β] −(4−フルオロフェニル)トロパン−2[ β] −カルボン酸メチルエステル(すなわちWIN35,428 )および3[ β] −(4−ヨードフェニル)トロパン−2[ β] −カルボン酸イソプロピルエステル(RTI−121 ));
(4)置換型ピペリジン(piperidine)、またはピペリジンアナログ(例えば、N−[ 1−(2−ベンゾ[ b] −チオフェニル)シクロヘキシル] ピペリジン、インダトラリン(indatraline )、および4−[ 2−[ ビス(4−フルオロフェニル)メトキシ] エチル] −1−(3−フェニルプロピル)ピペリジン(すなわちO−526 ));
(5)キノキサリン誘導体、またはキノキサリンアナログ(例えば、7−トリフルオロメチル−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)ピロロ[ 1,2−[ α]]−キノキサリン(すなわちCGS12066b ));ならびに
(6)ドーパミン再摂取のインヒビターである他の化合物(例えば、マチンドール、ベンズトロピン、ブプロピオン、フェンシクリジン、メチルフェニデートなど)。
【0263】
従って、本発明の特定の実施形態は、ADHDの注意要素を処置するのに十分な量のメチルフェニデート(またはそのアナログもしくは代謝産物)、および移動障害要素を処置するのに十分な量のドーパミン再摂取インヒビターを患者(ヒトまたは他の動物)に同時投与する(例えば、同時にまたは異なる時間で)工程を含むADHD(成人または小児)の処置方法に関する。特定の実施形態において、メチルフェニデートおよびドーパミン再摂取インヒビターは、同時に投与される。特定の実施形態において、メチルフェニデートおよびドーパミン再摂取インヒビターは、単一組成物の一部として投与される。特定の実施形態において、単一組成物は、経口投与用または経皮投与用である。
【0264】
さらに別の局面において、本発明は、メチルフェニデート(またはそのアナログもしくは代謝産物)、ドーパミン再摂取インヒビター、および薬学的に許容され得る賦形剤を2つの薬物の同時投与用の組成物中に組み合わせる工程を含む薬学的調製物を調製する方法に関する。
【0265】
さらに別の局面において、本発明は、メチルフェニデート(またはそのアナログもしくは代謝産物)およびドーパミン再摂取インヒビターの調製物あるいはそれぞれの別個の製剤を含むキットを製造し、ADHDの処置においてこの調製物またはキットを使用する利益をヘルスケア提供者に売買することによって薬学的ビジネスを行う方法に関する。
【0266】
また別の局面において、本発明は、組み合わせ調製物およびキットを販売するための流通ネットワークを提供して、ADHDの処置にこのような調製物を使用するための指示材料を患者および医師に提供することによって薬学的ビジネスを行う方法を提供する。
【0267】
まださらなる局面において、本発明は、ADHDの処置における同時投与対象のメチルフェニデート(またはそのアナログもしくは代謝産物)、ドーパミン再摂取インヒビターの適切な製剤および用量を決定し、動物における有効性および毒性について同定された製剤の処置プロファイリングを行い、許容され得る処置プロファイルを有するような調製物を販売するための流通ネットワークを提供することによって薬学的ビジネスを行う方法に関する。特定の実施形態において、本方法は、ヘルスケア提供者に調製物を販売するための販売集団を提供するさらなる工程をさらに含む。
【0268】
まだ別の局面において、本発明は、ADHDの処置における同時投与対象のメチルフェニデート(またはそのアナログもしくは代謝産物)、ドーパミン再摂取インヒビターの適切な製剤および用量を決定し、第三者に製剤のさらなる開発および販売の権利を許可することによって薬学的ビジネスを行う方法を提供する。
【0269】
特定の実施形態において、本発明は、健忘症の処置を意図する。健忘症は、宣言記憶における特異的な欠陥として記載される。記憶の忠実なコード化は、情報の記載、暗唱、および維持を必要とする。始めの2つの要素は、海馬および側頭葉構造に関連することが理解されよう。維持または貯蔵は、異型様式(heteromodal )関連領域に関連することが理解されよう。健忘症は、貯蔵記憶の損失または新しい記憶の形成不能として体験され得る。貯蔵記憶の損失は、逆向性健忘症として公知である。新しい記憶の形成不能は、前向性健忘症として公知である。
【0270】
記憶問題の病訴は、一般的である。乏しい集中、乏しい覚醒および乏しい注意は全て、ある程度まで記憶プロセスを妨害し得る。従って、記憶問題の当該病訴は、真性健忘症とは区別されなければならない。これは、通常、より全体の評価においては枕もとで特定の神経心理学試験を介してなされる。視覚的記憶および文字的記憶における欠陥は、このような試験を介して分離され得る。健忘症において、定義によって、論理などの他の精神的能力の保存が存在する。上記の記憶の神経生物学的理論は、健忘症が相対的に病理生物学的変化をほとんど有さないことを予測し得る。臨床的に、健忘症の問題は、しばしば、そうでない健康なヒトにおける突然の病気の結果として現れる。
【0271】
当該方法によって処置され得る健忘症の例示的な形態としては、短持続期間の健忘症、アルコール性の一次視覚喪失、ヴェルニッケ−コルサコフ(早期)、部分的複雑発作、一過性全健忘、トリアゾラムなどの薬物(Halcion )に関連する健忘症、および脳底動脈片頭痛が挙げられる。当該方法をまた使用して、強打後などまたは単純ヘルペス脳炎の結果としてのより長い持続期間の健忘症を処置し得る。
【0272】
例示
本発明は、ここで一般的に記載され、単に本発明の特定の局面および実施形態の例示目的のためのみに含まれ、かつ本発明を限定することは意図されない以下の実施例を参考にしてより容易に理解される。
【0273】
背景情報および目的
阻害回避(IA)課題は、研究者に首尾一貫しかつ長期に続く記憶の測定を与え得る十分に研究された行動パラダイムである。パラダイムは、1つのトレーニング試験および1つの記憶力試験からなる。試験品を、トレーニングの前または後のいずれかでラットに投与し得る。試験化合物投与の結果改善された記憶は、記憶力試験において潜伏時間が増加した証拠である。以下の実験の目的は、ラットにおけるIA記憶へのメチルフェニデートの影響を研究することであった。
【0274】
実施例1:用量応答試験
この実験において、ラットにIA課題でのトレーニングの30分前に3つの異なる用量のメチルフェニデートを注射した。図1からわかり得るように、5mg/kgの用量は記憶力を改善したが、10および15mg/kg の用量では効果はなかった。
【0275】
この結果を裏付けるために、第二の実験を行った。ラットに、5 mg/kg のメチルフェニデートを注射し、IA課題でトレーニングした。図2からわかり得るように、この用量のメチルフェニデートは、課題の記憶力を有意に改善した。非対t検定は、この向上が統計的に有意である (p<0.03)ことを示した。
【0276】
実験2:効果の時間推移
この実験において、薬物投与の時間を、最適なトレーニング前薬物投与時間を決定するために変更した。この実験は、トレーニング1時間前にラットに投与する場合、メチルフェニデート(5 mg/kg )が最も有効であることを示した。
【0277】
実験3:長期間記憶力
この実験を、実験2で観察された記憶力の向上が長期持続するかどうかを決定するために行った。ラットに、最初の記憶力試験1週間後に第二の記憶力試験を行った。さらなるトレーニングをしないかまたは、薬物を中間期間に動物へ投与しなかった。結果は、メチルフェニデートを注射したラットの動作が、最初のトレーニングセッション1週間後にさらに有意に向上する(t(54)=2.358 、p<0.0220)ことを示した。
【0278】
実験4:病変ラットへの効果
上記実験の知見は、本化合物の最も有効な用量および投与時間を同定するのに重要である。さらに、結果は、メチルフェニデートが正常なラットにおいて記憶を改善し、この改善が長期間維持することを示す。次の実験において、本発明者らは、健忘症ラットの行動がメチルフェニデートの投与によって改善され得るかどうかを研究した。この実験において、対照ラットおよび脳弓の損傷ラットに、生理食塩水またはメチルフェニデート(5 mg/kg )のいずれかの注射を与え、1時間後、IA課題を試験した。
【0279】
図3に示すように、メチルフェニデートは、劇的に正常ラットの行動を向上させ、さらに、脳弓損傷ラットの行動の改善が明らかであった。一方向ANOVAは、4群の行動の間に有意な差(F(3,36) =4.497 、p <0.009 )があることを示した。Student−Newman−Keuls事後(post hoc)試験は、メチルフェニデートを受けた正常ラットの行動が全ての他の実験群と比較して有意に向上する(p<0.05)ことを初めて示した。さらに、メチルフェニデートを受けた脳弓動物の行動は、正常生理食塩水注射動物とは有意には異ならなかった。これらの結果は、メチルフェニデートが正常ラットにおいて記憶を向上し得、脳損傷健忘症ラットにおいて有益な効果を有することを示す。
【0280】
実施例5:dおよびl−トレオメチルフェニデートの阻害回避への影響
l−トレオメチルフェニデートの種々の用量を、阻害回避課題のトレーニング1時間前にラットに投与した。課題の記憶力を、24時間後、試験した。図4からわかり得るように、5mg/kgの用量が、この課題における行動の向上に有効であることが明らかであった。この実験を、5mg/kgの標的用量で引き続き繰り返した。図5に示すように、5mg/kgのl−トレオメチルフェニデートは、有意に阻害回避課題の行動を向上した(t (59)=2.686 、p<0.0094)。
【0281】
阻害回避課題によって試験することで記憶強化へのd−トレオメチルフェニデートの影響をまた、評価した。d−トレオの種々の用量を、阻害回避課題のトレーニング1時間前にラットに投与した。この実験からの結果を、図6に示し、2.5mg/kgが明らかに記憶の改善に有効であることを示す。この実験を引き続き繰り返し、結果は、2.5mg/kgのd−トレオメチルフェニデートの用量が有意な記憶向上効果を有する(t(85) =2.403 、p<0.0184)ことを示した。これらの結果を、図7に示す。
【0282】
実施例6.dおよびl−トレオメチルフェニデートの活動レベルへの影響
活動レベルにおけるl−トレオメチルフェニデートの影響を研究するため、ラットに、5mg/kgのl−トレオメチルフェニデートを注射し、1時間後、活動モニタリングをした。l−トレオメチルフェニデートの投与は、生理食塩水注射対照と比較して活動レベルの大きな増加を生じなかった(図8を参照のこと)。総移動距離、移動回数または固定活動回数の測定において生理食塩水およびl−トレオ注射動物間で有意な差はなかった。移動時間(F(1,70) =728 、p<0.0033)、後ろ向きの回数 (F(1,70) =74.26 、p<0.0001)、および休憩時間(F(1,70) =730.6 、p<0.0032)について少しではあるが統計的に有意な主な影響があった。総合的には、l−トレオメチルフェニデートの投与は、重篤な運動過活動性を生じないようである。
【0283】
d−トレオメチルフェニデートの運動過活動性への影響を、ラットを生理食塩水または2.5mg/kgのd−トレオメチルフェニデートで注射して、1時間後に活動モニタリング課題で試験することで研究した。この実験からの結果(図9に示す)は、l−トレオと同様にd−トレオメチルフェニデートが多大な過活動性を生じなかったことを示す。有意な主な効果は、総移動距離、移動回数または固定活動の回数について観察されなかった。有意な主な効果は、移動時間(F(1,70) =1304、p<0.0001)、後ろ向きの回数(F(1,70) =19.60 、p<0.0234)、および休憩時間(F(1,70) =1322、p<0.0001)について観察された。
【0284】
等価物
当業者は、わずかな慣用的な実験を用いて、本明細書中に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を理解するかまたは確かめることが可能である。このような等価物は、上記の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、記憶増加の指標である受動的回避試験での潜在性に関するメチルフェニデートの種々の用量の有効性を表わす。
【図2】
図2は、受動的回避試験での潜在性に関するメチルフェニデートの効果を証明する。
【図3】
図3は、正常動物および脳弓病変動物におけるメチルフェニデートの効果を描写する。
【図4】
図4は、阻害回避におけるd−トレオメチルフェニデートおよびl−トレオメチルフェニデートの効果を示す。
【図5】
図5は、阻害回避におけるd−トレオメチルフェニデートおよびl−トレオメチルフェニデートの効果を示す。
【図6】
図6は、阻害回避におけるd−トレオメチルフェニデートおよびl−トレオメチルフェニデートの効果を示す。
【図7】
図7は、阻害回避におけるd−トレオメチルフェニデートおよびl−トレオメチルフェニデートの効果を示す。
【図8】
図8は、活性レベルにおけるd−トレオメチルフェニデートおよびl−トレオメチルフェニデートの効果を示す。
【図9】
図9は、活性レベルにおけるd−トレオメチルフェニデートおよびl−トレオメチルフェニデートの効果を示す。

Claims (23)

  1. メチルフェニデート化合物、またはその薬学的に許容されうる誘導体、塩、溶媒化合物、プロドラッグまたは代謝誘導体の製剤を、動物において長期記憶を増強するのに十分な量で動物に投与することを含む、動物における記憶固定を増強する方法であって、該製剤はメチルフェニデート化合物のエリトロ−異性体と比較してメチルフェニデート化合物のL−トレオ(2S:2’S)立体異性体、D−トレオ(2R:2’R)立体異性体、またはそれらの組み合わせを少なくとも60%(w/w) 含んでなる、方法。
  2. 製剤が、少なくとも60%(w/w) の一般式:
    Figure 2004507503
    式中、A は、炭素環、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリール環を表し、
    U は、存在しないかまたは−C(=O)− 、−C(=S)− 、−P(=O)(OR)−、−S(O)− もしくは−S(O)−を表し、
    V は、各存在について独立して、存在しないかまたはNR、O またはS を表し、
    Y は、NR 、O またはS を表し、
    X の各存在は、独立して、C 、N 、S 、SeおよびO から選択された原子であり、
    R は、各存在について独立して、H 、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはヘテロアラルキルを表し、
    の各存在は、独立して、アリール、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6アシルオキシ、水酸基、C1〜C6アルカノイル、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、アミド、アミノ、C1〜C6アシルアミノ、C1〜C6アルキルアミノ、ニトロ、スルホン酸、またはスルフヒドリルを表し、
    は、H 、C1〜C6アルキルおよびC1〜C6アルカノイルから選択されたものであり、
    は、各存在について独立して、水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、水酸基、C1〜C6アルカノイル、ハロゲン、カルボキシル、C2〜C6アルカンオキシ、ニトロまたはスルフヒドリルを表すか、あるいは2つのRが一緒になって、オキソ基または2つの隣接するX 原子間の二重結合を表わし、
    は、水素、低級アルキル、アシル、アミド、エステル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル、好ましくは水素または低級アルキルを表し、
    m は、0 〜1 から選択された整数であり、
    n は、0 〜7 の整数であり、
    p は、3 、4 、5 および6 から選択された整数であり、ならびに
    q は、0 〜16の整数である、
    により表されるメチルフェニデート化合物またはその薬学的に許容されうる誘導体、塩、溶媒化合物、プロドラッグもしくは代謝誘導体を含む、請求項1記載の方法。
  3. メチルフェニデート化合物、またはその薬学的に許容されうる誘導体、塩、溶媒化合物、プロドラッグまたは代謝誘導体の製剤を、動物において長期記憶を増強するのに十分な量で動物に投与することを含む、動物における記憶固定を増強する方法であって、該製剤はメチルフェニデート化合物のD−トレオ(2R:2’R)異性体、D−エリトロ(2R:2’S)異性体およびL−エリトロ(2S:2’R)異性体と比較してメチルフェニデート化合物のL−トレオ(2S:2’S)立体異性体を少なくとも60%(w/w) 含んでなる、方法。
  4. メチルフェニデート化合物のL−トレオ(2S:2’S)立体異性体が、一般式(IA):
    Figure 2004507503
    式中、A は、炭素環、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリール環を表し、
    U は、存在しないかまたは−C(=O)− 、−C(=S)− 、−P(=O)(OR)−、−S(O)− もしくは−S(O)−を表し、
    V は、各存在について独立して、存在しないかまたはNR、O またはS を表し、
    Y は、NR 、O またはS を表し、
    X の各存在は、独立して、C 、N 、S 、SeおよびO から選択された原子であり、R は、各存在について独立して、H 、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはヘテロアラルキルを表し、
    の各存在は、独立して、アリール、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6アシルオキシ、水酸基、C1〜C6アルカノイル、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、アミド、アミノ、C1〜C6アシルアミノ、C1〜C6アルキルアミノ、ニトロ、スルホン酸、またはスルフヒドリルを表し、
    は、H 、C1〜C6アルキルおよびC1〜C6アルカノイルから選択されたものであり、
    は、各存在について独立して、水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、水酸基、C1〜C6アルカノイル、ハロゲン、カルボキシル、C2〜C6アルカンオキシ、ニトロまたはスルフヒドリルを表すか、あるいは2つのRは一緒になって、オキソ基または2つの隣接するX 原子間の二重結合を表わし、
    は、水素、低級アルキル、アシル、アミド、エステル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル、好ましくは水素または低級アルキルを表し、
    m は、0 〜1 から選択された整数であり、
    n は、0 〜7 の整数であり、
    p は、3 、4 、5 および6 から選択された整数であり、ならびに
    q は、0 〜16から選択された整数である、または
    その薬学的に許容されうる誘導体、塩、溶媒化合物、プロドラッグもしくは代謝誘導体
    で表される化合物、またはその薬学的に許容されうる塩、プロドラッグもしくは代謝誘導体である請求項3記載の方法。
  5. メチルフェニデート化合物のL−トレオ(2S:2’S)立体異性体が、一般式(II):
    Figure 2004507503
    式中、U は、存在しないかまたは−C(=O)− 、−C(=S)− 、−P(=O)(OR)−、−S(O)− または−S(O)−を表し、
    V は、各存在について独立して、存在しないかまたはNR、O またはS を表し、
    R は、各存在について独立して、H 、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはヘテロアラルキルを表し、
    は、H 、C1〜C6アルキルおよびC1〜C6アルカノイルから選択されたものであり、
    は、水素、低級アルキル、アシル、アミド、エステル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル、好ましくは水素または低級アルキルを表し、
    s は、0 〜2 の整数を表し、ならびに
    Arは、置換もしくは非置換のアリールまたはヘテロアリール基を表す
    で表されるか、またはその薬学的に許容されうる塩、プロドラッグもしくは代謝誘導体である請求項3記載の方法。
  6. メチルフェニデート化合物のL−トレオ(2S:2’S)立体異性体の薬学的に許容されうる塩が、一般式(III) :
    Figure 2004507503
    式中、A は、炭素環、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリール環を表し、
    U は、存在しないかまたは−C(=O)− 、−C(=S)− 、−P(=O)(OR)−、−S(O)− または−S(O)−を表し、
    V は、各存在について独立して、存在しないかまたはNR、O またはS を表し、
    Y は、NR 、O またはS を表し、
    X の各存在は、独立して、C 、N 、S 、SeおよびO から選択された原子であり、
    R は、各存在について独立して、H 、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはヘテロアラルキルを表し、
    の各存在は、独立して、アリール、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6アシルオキシ、水酸基、C1〜C6アルカノイル、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、アミド、アミノ、C1〜C6アシルアミノ、C1〜C6アルキルアミノ、ニトロ、スルホン酸、またはスルフヒドリルを表し、
    は、H 、C1〜C6アルキルおよびC1〜C6アルカノイルから選択されたものであり、
    は、各存在について独立して、水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、水酸基、C1〜C6アルカノイル、ハロゲン、カルボキシル、C2〜C6アルカンオキシ、ニトロまたはスルフヒドリルを表すか、あるいは2つのRが一緒になって、オキソ基または2つの隣接するX 原子間の二重結合を表わし、
    は、水素、低級アルキル、アシル、アミド、エステル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル、好ましくは水素または低級アルキルを表し、
    m は、0 〜1 から選択された整数であり、
    n は、0 〜7 の整数であり、
    p は、3 、4 、5 および6 から選択された整数であり、ならびに
    q は、0 〜16の整数であり、
    L は、非毒性有機酸もしくは無機酸または四級化薬剤、あるいはそれらの任意の組み合わせであり、ならびに
    t は、1 〜6 の整数である
    で表される化合物である請求項3記載の方法。
  7. メチルフェニデート化合物のL−トレオ(2S:2’S)立体異性体の薬学的に許容されうる塩が、一般式(IV):
    Figure 2004507503
    式中、U は、存在しないかまたは−C(=O)− 、−C(=S)− 、−P(=O)(OR)−、−S(O)− または−S(O)−を表し、
    V は、各存在について独立して、存在しないかまたはNR、O またはS を表し、
    R は、各存在について独立して、H 、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはヘテロアラルキルを表し、
    は、H 、C1〜C6アルキルおよびC1〜C6アルカノイルから選択されたものであり、
    は、水素、低級アルキル、アシル、アミド、エステル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル、好ましくは水素または低級アルキルを表し、
    s は、0 〜2 の整数を表し、
    Arは、置換もしくは非置換のアリールまたはヘテロアリール基を表し、ならびにL は、非毒性有機酸もしくは無機酸または四級化薬剤、あるいはそれらの任意の組み合わせである
    で表される化合物、またはその薬学的に許容されうる塩、溶媒化合物もしくはプロドラッグである請求項3記載の方法。
  8. メチルフェニデート化合物のL−トレオ(2S:2’S)立体異性体の代謝物が、一般式(V) :
    Figure 2004507503
    式中、Rは、各存在について独立して、存在しないかまたは水酸基もしくはO−グルクロニドを表し、
    Z は、−CH− または−C(=O)− を表し、
    T は、水素または−C(=O)−NHを表し、
    G は、カルボン酸またはその薬学的に許容されうる塩、カルボン酸メチルエステル、カルボン酸エチルエステル、カルボン酸O−グルクロニド、またはアセチルアミノエタンスルホン酸である
    で表される化合物、またはその薬学的に許容されうる塩、溶媒化合物もしくはプロドラッグである請求項3記載の方法。
  9. がH またはC1〜C6アルキルを表す請求項4〜8いずれか記載の方法。
  10. U が−C(=O)− または−C(=S)− を表す請求項4〜8いずれか記載の方法。
  11. V の少なくとも1つの存在がある請求項4〜8いずれか記載の方法。
  12. V が一方については存在せず、他方ではV がNH、S またはO を表す請求項11記載の方法。
  13. A がアリール基またはヘテロアリール基を表す請求項4または6記載の方法。
  14. メチルフェニデート化合物のエリトロ−異性体と比較してメチルフェニデート化合物のL−トレオ(2S:2’S)立体異性体、D−トレオ(2R:2’R)立体異性体、またはそれらの組み合わせを少なくとも60%(w/w) 含む、動物において長期記憶を増強するのに十分な量のメチルフェニデート化合物を含有してなる医薬調製物。
  15. メチルフェニデート化合物のD−トレオ(2R:2’R)異性体、L−エリトロ(2S:2’R)異性体およびD−エリトロ(2R:2’S)異性体と比較してメチルフェニデート化合物のL−トレオ(2S:2’S)立体異性体を少なくとも60%(w/w) 含む、動物において長期記憶を増強するのに十分な量のメチルフェニデート化合物を含有してなる医薬調製物。
  16. a.請求項14および15の調製物を製造すること、ならびに
    b.記憶機能を増大するための調製物の使用の利点をヘルスケアプロバイダーに売りこむこと
    を含む、医薬ビジネスの実施方法。
  17. a.請求項14および15の調製物を販売するための配給ネットワークを提供すること、ならびに
    b.記憶機能を増大するための調製物の使用について患者または医師に説明資料を提供すること
    を含む、医薬ビジネスの実施方法。
  18. a.適切な調製物および記憶機能を増大するためのメチルフェニデート化合物の用量を決定すること、
    b.動物における効力および毒性に関して、(a) で同定した調製物の治療プロファイリングを実施すること、ならびに
    c.許容されうる治療プロファイルを有するとして(b) で同定された調製物を販売するための配給ネットワークを提供すること
    を含む、医薬ビジネスの実施方法。
  19. ヘルスケアプロバイダーに調製物を売りこむための販売群を提供することをさらに含む、請求項18記載の方法。
  20. a.適切な調製物および記憶機能を増大するために投与されるメチルフェニデートの用量を決定すること、ならびに
    b.調製物のさらなる開発および販売に関する権利を第三者に認可すること
    を含む、医薬ビジネスの実施方法。
  21. a.メチルフェニデート化合物のエリトロ−異性体と比較してメチルフェニデート化合物のL−トレオ(2S:2’S)立体異性体、D−トレオ(2R:2’R)立体異性体、またはそれらの組み合わせを少なくとも60%(w/w) 含む、動物において長期記憶を増強するのに十分な量でメチルフェニデート化合物を含有してなる医薬調製物、ならびに
    b.患者における記憶を増強するための調製物の使用を文書および/または絵で説明した説明書
    を含むキット。
  22. メチルフェニデート化合物が、単回用量形態により提供される請求項21記載のキット。
  23. メチルフェニデート化合物が、経皮的パッチの形態で提供される請求項21記載のキット。
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