JP2004507470A - 抗菌剤 - Google Patents

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Abstract

慣用的な医薬抗生物質の代替物として供することのできる抗菌剤を開示する。該抗菌剤は、標的とする病原菌を殺すが、ドナー細菌に有害ではない、接合的に伝染可能なプラスミドを含む。2つの型の致死的な伝染可能なプラスミドを開示する。一の型はレシピエント細胞において未制御(「ランナウェイ」)複製によりレシピエント細菌を殺し、ドナー細胞にて生じることを妨げる。もう一つ別の型はレシピエント細菌細胞に有害または致死的な産物を産生する遺伝子を発現することによりレシピエント細菌を殺し、遺伝子がドナー細胞にて発現されることを妨げる。

Description

【0001】
35U.S.C.§202(c)に従って、米国政府は本明細書において記載する本発明における権利を有し、これは国立衛生研究所からの基金で一部なされた(認可番号GM40314)。
本出願は米国特許出願番号09/651290(2000年8月30日提出)の優先権を主張し、その全体を出典明示により本発明の一部とする。
【0002】
(技術分野)
本発明は細菌学の分野に関する。特に、本発明は、標的とされるレシピエント細菌を殺すが、ドナー細菌に対して有害でない伝染性プラスミド(transmissible plasmid)を含む新規抗菌剤に関する。
【0003】
(背景技術)
様々な特許、特許出願および科学文献を本明細書全体にわたって括弧でくくって記載する。これらの出版物は、その全体を出典明示により本発明の一部とする。
慣用の医薬抗生物質(本明細書においては抗生物質と呼ぶ)の医学、獣医学および農業的目的に関する使用が増大するにつれ、病原菌の抗生物質耐性菌の出現が増大するという望ましくない結果が生じている。これは、細菌性病原体の薬剤耐性が現在、感染性疾患の治療における失敗の主な原因となっているので、重大な関心事になってきている。実際に、現在、従来は既存の抗生物質で容易に治療できた細菌性感染症で死ぬ人がいる。かかる感染症としては、たとえば、髄膜炎を引き起こすスタフィロコッカス・ニューモニエ;肺炎を引き起こすエンテロバクター種、心内膜炎を引き起こすエンテロコッカス種、および結核を引き起こすマイコバクテリウム・ツベルクローシスが挙げられる。
単一または多剤耐性菌の出現は、抗生物質の使用の結果である強力な選択圧に迅速に応答する遺伝子の代謝に起因する。ここ数十年にわたり、抗生物質がますます頻繁に使用されることが、細菌遺伝子プールにおいて発生する自発的変異と共同して作用して、ある種の菌株において抗生物質耐性を生じてきた。この遺伝子プールは、接合による染色体外要素(プラスミド)の伝達を包含するさまざまな手段によりこれと接触できる以前から感受性の株により継続的に利用されている。その結果、単一および多剤耐性遺伝子が様々な細菌プラスミドにおいて一般的に見いだされる。
【0004】
目下、現代の世界において抗生物質の多くの標準的適用の結果として発生する抗生物質耐性細菌変異体の選択を回避するための方法は知られていない。従って、抗菌治療の代替法を開発する必要性がある。
感染性細菌性疾患を治療するためのバクテリオファージの使用における関心は、20世紀初頭に起こり、ここ数年において復活している。たとえば、バクテリオファージは実験室動物および牧畜においてある種の病原性大腸菌の治療において有効であることが証明されており、抗生物質の使用にかわり得る代替物として提案されている(Smith & Huggins, J. Gen. Microbiol. 128:307−318, 1981; Smith & Huggins, J. Gen. Microbiol. 129: 2659−2675, 1983; Smith et al., J. Gen. Microbiol. 133: 1111−1126, 1986; Kuvda et al., Appl. Env. Microbiol. 65: 3767−3773, 1999)。しかしながら、バクテリオファージの抗菌剤としての使用にはある制限がある。第一に、ファージとその宿主細菌細胞間の関係は典型的には非常に特異的であり、従って、広範囲の宿主ファージ剤が一般的に利用できない。第二に、相互作用の特異性は通常ファージの宿主細胞に対する認識および結合地点で生じる。これはファージが特異的に結合する宿主細胞上の表面レセプターの発現により起こることが多い。このようなレセプターは通常単一の遺伝子によりエンコードされるので、表面レセプターを変更し、これによりファージによる検出を免れる宿主細菌細胞における変異が抗生物質耐性を獲得する変異の割合と同等以上の頻度で起こり得る。その結果、ファージが抗生物質と同じくらい一般的に用いられたならば、病原性細菌のファージに対する耐性は抗生物質耐性と同様の一般的な問題となり得る。
【0005】
病原性細菌を抑制するためのもう一つの方法が提案されており、これは、病原性細菌における抗生物質耐性遺伝子の発現を防止するために分子生物学的技術の使用することによる(米国特許第5976864号、Altmanら)。この方法において、標的とされる抗生物質耐性遺伝子について特異的な「外部ガイド配列(external guide sequence)」をエンコードする核酸構築物を病原性細菌細胞中に導入する。配列は発現され、抗生物質耐性遺伝子産物をエンコードするメッセンジャーRNA(mRNA)とハイブリッド形成し、かかるmRNAを酵素RNAse Pによる開裂に対して感受性にする。かかる系は、特定の抗生物質耐性遺伝子を標的とするので、有用性も制限される。該系はこれらの特定の遺伝子の発現に基づいた耐性の克服において有効であり、抗生物質の連続的使用は細菌に対して選択圧をかけて他の遺伝子を変異させ、もう一つのメカニズムにより抗生物質に対する耐性を生じさせる。
抗生物質の使用についての現在の代替物は制限され、抗生物質の使用それ自体と同じ欠点の多くを有することは前記載事項から明らかである。従って、範囲が柔軟であり、1回または少ない回数の変異によっては細菌により克服できない望ましくない細菌を抑制する方法に対する必要性が存在している。
【0006】
(発明の開示)
本発明は、柔軟な範囲を有する細菌、たとえば、病原性細菌に効率的に移される新規抗菌剤であって、これに対して標的細菌が耐性を発現するのが困難である新規抗菌剤を提供する。これらの抗菌剤は慣用の抗生物質の使用に対する有効な代替物を提供する。本発明は、これによりプラスミドエンコードされた情報が、自己破壊をエンコードするものでさえも、レシピエント細胞に移される際に発現される接合系の普遍的性質に存する。この性質は、クローンされた遺伝子の側面方向の広がりを制限するために、広範囲の宿主致死系を処理するために用いられた(Diaz et al., 1994, Mol. Microbiol. 13, 855−861)。
本発明の一の態様に従って、たとえば、次の特性:(a)ドナー細胞におけるプラスミドDNAの合成のための複製起点(複製起点での複製の開始は、プラスミド複製リプレッサーにより反対に制御される);(b)ドナー細胞から少なくとも一つのレシピエント細胞へ伝染性プラスミドを接合伝達させる開始部位を提供するための伝達起点;および(c)少なくとも1つの選択可能なマーカー遺伝子を有する少なくとも1つの伝染性プラスミドを有するドナー細胞、たとえば非病原性細菌細胞を含む抗菌剤が提供される。ドナー細胞はさらにレシピエント細胞へ伝染性プラスミドを接合伝達させる能力をドナー細胞に付与する1またはそれ以上の接合伝達遺伝子を含む。ドナー細胞はまた、プラスミド複製リプレッサーも産生する。いくつかの例において、レシピエント細胞はプラスミド複製リプレッサーを産生しない細菌である。好ましい例において、レシピエント細胞は病原性である。
【0007】
本発明のもう一つ別の態様に従って、次の特性:(a)ドナー細胞におけるプラスミドDNAを合成するための複製起点;(b)ドナー細胞から少なくとも一つのレシピエント細胞へ伝染性プラスミドを接合伝達させるための出発部位を提供する伝達起点;および(c)レシピエント細胞における発現に際して細胞を殺す産物を産生する少なくとも一つのキラー遺伝子を含む少なくとも一つの伝染性プラスミドを有するドナー細胞、たとえば、非病原性細菌細胞を含む抗菌剤が提供される。ドナー細胞はまた、伝染性プラスミドをレシピエント細胞へ接合的に伝達させる能力をドナー細胞に賦与する1またはそれ以上の伝達遺伝子を含み、キラー遺伝子の産物により影響を受けないように修飾される。いくつかの例において、レシピエント細胞はキラー遺伝子の産物により影響を受ける細菌である。好ましい例において、レシピエント細胞は病原性である。
本発明は、対象に前記抗菌剤の一つを投与することを含む、対象を細菌感染症について治療する方法も提供する。投与様式は、抗菌剤のドナー細胞が望ましくないレシピエント細胞に対して接合的に近接するように選択され、従ってドナー細胞の伝染性プラスミドはドナーから望ましくないレシピエント細胞に接合的に移される。いくつかの例において、移されたプラスミドは、制御されていない複製を受ける。他の例において、望ましくないレシピエント細胞に対して有害または致命的である遺伝子産物を産生するために少なくとも一つのキラー遺伝子が発現される。
【0008】
本発明はまた、細菌感染症について患者を治療するための医薬製剤も提供する。これらの製剤は、患者に対して所定の投与経路について処方された前記抗菌剤の一つを含む。
本発明はさらに、農業、獣医学、環境および食品保存用途において本発明の抗菌剤を使用する方法も提供する。これらの方法において、本発明の抗菌剤は、(1)細菌性植物疾患または腐敗を軽減または防止するために植物表面に、(2)野菜、肉または魚の収穫後腐敗を軽減または防止するために食品の表面に、(3)生物負荷(bio−burden)を軽減するために動物の飼料に適用される。他の類似の用途も提供される。
本発明の他の特徴は、以下の図面、詳細な記載および実施例を参照することにより理解されるであろう。
【0009】
(図面の簡単な記載)
図1は、レシピエント細胞におけるランナウェイ(runaway)複製に関与するプラスミドの接合伝達により細菌を殺すプロセスを示す概略図である。
図2Aは、ヘルパープラスミドおよび伝染性ランナウェイ複製プラスミドを用いた、非自己伝染性ランナウェイ複製プラスミド系の概略図である。
図2Bは、自己伝染性ランナウェイ複製プラスミド系の概略図である。
図3は、ドナーにおける抗致死産物により中和されるが、その染色体の一部として抗致死産物がないレシピエントにおいて中和されない、致死産物をエンコードするプラスミドの接合伝達により細菌を殺す「トロイの木馬」様プロセスを示す概略図である(上)。下の図は、1またはそれ以上の致死産物をエンコードする合成により組み立てられたオペロンを含む接合的に伝達されたプラスミドにより細菌を殺すプロセスの一般的なシナリオを表わす。オペロンの発現は、ドナーにおいて抑制されるが、レシピエントにおいては抑制されない。致死遺伝子産物は、天然または人工のペプチドまたはRNAのいずれかである。
【0010】
(発明の詳説)
本発明は、「キラー」プラスミドを、キラープラスミドに対して耐性となるように処理されたドナー細胞から、そうではない標的細菌細胞へ伝達させる非常に有効な細菌接合系を利用する新規抗細菌戦略を提供する。
本発明の一の態様において、「キラープラスミド」はレシピエント細胞においてランナウェイ複製を受け、最終的に細胞を殺すものである。ランナウェイプラスミド複製が細胞を殺すメカニズムの根元的な原理の概略を以下に記載する。
プラスミドは一般に細菌集団において安定に維持される分配可能なDNA分子である。プラスミドは細菌の内部で染色体外で複製し、様々なメカニズムにより一つの細胞から別の細胞へ、そのDNAを伝達させることができる。染色体外複製(ori)および伝達(tra)を制御するDNA配列は、プラスミド伝達を制御しないか、または逆である。複製および伝達は両方ともプラスミドおよび宿主エンコードされた機能の両方を利用する複雑な分子プロセスである。
細菌接合は一つの細菌から別のものへの遺伝子情報の一方向的、水平的伝達である。伝達される遺伝子物質はプラスミドであるか、または染色体の一部である。接合プラスミドを有する細菌細胞は、ドナーとレシピエント細胞のカップリング、および遺伝子情報の伝達に関与する表面構造(性繊毛)を含む。接合は、細胞間の接触を含み、遺伝子特性の伝達は多くのプラスミドにより媒介され得る。
【0011】
すべての天然の伝達メカニズムの中で、接合が最も有効である。たとえば、イー・コリのFプラスミド、エンテロコッカス・フェカリスのpCF10プラスミドおよびバチルス・スリンジエンシスのpXO16プラスミドは、対合を確立するために異なるメカニズムを利用し、接合凝集物の大きさは異なり、グラム陰性(F)ならびにグラム陽性(pCF10およびpXO16)細菌内で異なる宿主域を有する。そのプラスミドの大きさも異なる。すなわち、それぞれ54、100および200kbである。しかしながら、顕著なことには、これらの接合システムは共通して非常に重要な特性を有する:これらは液体培地において接合伝達を維持することができ、100%に近い伝達効率に非常に短期間で到達する(Dunny et al., 1982, J. Bacteriol. 151, 855−859; Andrup, et al., 1998, Plasmid 40, 30−43; Andrup L, and Andersen, K. 1999, Microbiology 145, 2001−2009; およびJansen et al., 1996, Curr. Microbiol. 33, 228−236)。かくして、接合プロセスにより周りのヌクレアーゼに対してプラスミドDNAを防御でき、プラスミドDNAのレシピエント細胞中への非常に有効な送達が可能になる。
【0012】
接合機能は、プラスミドによりエンコードされる。多くの接合プラスミド(およびトランスポゾン)が知られており、これらは一つの種内(狭い宿主域)および多くの種間(広い宿主域)で関連する遺伝子を伝達させることができる。伝染性プラスミドは、ストレプトコッカス、スタフィロコッカス、バシラス、クロストリジウムおよびノカルジアを包含するが、これらに限定されない多くのグラム陽性属において報告されている。接合の初期は、一般にグラム陰性菌とグラム陽性菌において異なる。グラム陰性菌からの接合プラスミドにおける伝達遺伝子のいくつかの役割は、繊毛により媒介された細胞間の接触、接合孔および関連する形態学的機能の形成を提供することである。繊毛はグラム陽性菌の接合の開始には関与しないようである。エンテロコッカスにおいてもっとも良く理解されている特性は、フェロモンの関与である。フェロモンは、潜在的レシピエント細胞により産生される7〜8アミノ酸の疎水性ポリペプチドである。フェロモンは接合プラスミドを含む潜在的ドナー細胞の注意を招く。PAD1はもっとも良く研究されたフェロモン誘発性プラスミドの一つであり、これは最初に単離されたエンテロコッカス・フェカリスに加えて50の異なる細菌宿主において複製できる(Clewell D.B. 1999. Sex pheromone systems in Enterococci, In: Cell−Cell Signaling in Bacteria, Ed. G.M. Dunny, S.C. Winans; ASM, Washington D.C. pp47−65)。さらに、接合は嫌気性菌および好気性菌と同程度の広範囲の属間で起こりえる。
【0013】
天然に存在するプラスミドは、特徴的濃度(本明細書においては、特定プラスミドの「コピー数」と呼ぶ)で宿主細胞内に存在する。本発明にとって非常に重要なことは、プラスミドコピー数は反対に制御されるという事実である(Helinski et al., 1996 in Escherichia coli and Salmonella Cellular and Molecular Biology, Vol. 2 (ed. F. Neidhardt, et al., 2295−2324, ASM Press, Washington D.C.)。かくして、負制御の要素を破壊する変異は、プラスミドコピー数の増加によりそれ自身を表す過剰複製表現系を生じる(「コピーアップ」表現型)。コピーアップ変異の極端な場合において、プラスミド複製はコピー制御メカニズムの損失ために完全に未制御である。これは、「ランナウェイプラスミド複製」または単に「ランナウェイ複製」と呼ばれる。
【0014】
ランナウェイプラスミド複製は宿主細胞に対して致命的である。これは、プラスミドはそのコピー数を制御する複製(Rep)タンパク質をエンコードするが、他のすべての複製タンパク質は染色体遺伝子によりエンコードされるためである。これらの染色体によりエンコードされるタンパク質は集まってレプリソームと呼ばれる複合体を構成する。典型的な細菌細胞は、少数の固定数のレプリソームを有する。染色体およびプラスミドはいずれもDNA合成について同じレプリソームを必要とするので、過剰のプラスミドは細胞内のレプリソームのすべてを占有するトラップのような働きをする。この結果、染色体は複製できなくなり、最終的に細胞の死に至る。
レシピエント細胞を殺す手段としてのランナウェイ複製プラスミドの使用は、慣例の抗菌法よりもすぐれた多くの利点を有する。一つの顕著な利点は、全複製機構が標的とされるので、レプリソームサブアセンブリの発現または活性を向上させることにより死を回避するために複数の変異が必要とされることである。たとえば、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素(10の異なるサブユニットからなる)の量または活性を単に増加させるために10の遺伝子における変異が必要であり、このポリメラーゼはレプリソームサブアセンブリの一つである。かくして、プラスミドの過剰複製により殺されることに対する耐性を細菌が獲得するチャンスは、ほとんどまたは全くない。対照的に、慣例の抗生物質は、典型的には細胞の生存に必須であるたった一つの酵素活性だけを抑制する。単一標的法および一つの遺伝子についての比較的高い自然変異頻度(10−6ないし10−8)のために、必然的にかかる薬剤に対する耐性が短期間に獲得される。
【0015】
ランナウェイ複製変異は宿主細胞に対して致命的であるので、かかるプラスミドを維持するドナー細胞は一般的に、プラスミドの複製が、たとえば、野生型Repタンパク質を宿主細胞に提供することにより制御されるように処理される。いくつかの例において、これは、Rep遺伝子をもう一つのプラスミド上に提供することにより達成される。他の例において、rep遺伝子は、標準的ホモローガス組み換え技術を用いてドナー細胞の細菌染色体中に組み入れることにより提供される。
いくつかの例において、本発明の抗菌法は:
(1)単独またはヘルパープラスミドともに、ドナー細胞からレシピエント細胞への接合伝達を行うために必要な遺伝子を含むプラスミド(ここにおいて、該プラスミドの複製は、可逆性メカニズムにより、たとえば、不活化(たとえば、変異により)できる遺伝子の産物による制御により制御、たとえば抑制されて、プラスミド複製に対する制御を解除する)(本明細書において「ランナウェイ複製プラスミド」と呼ぶ);
(2)接合伝達遺伝子の供給源(たとえば、ランナウェイ複製プラスミドに関して、または別の「ヘルパー」プラスミドに関して);および
(3)プラスミドにより殺されないために、複製抑制期においてランナウェイ複製プラスミドを維持するためのドナー細胞
を含む。
【0016】
多くのプラスミドがよく特徴づけられており、本発明の例において用いることができる、ランナウェイ変異体を生じるための変異誘発の対象としての働きをする。かかる変異プラスミドは、ドナーからレシピエント細胞への接合伝達に必要とされるすべての成分を含むか、または含むように容易に修飾することができるが、その複製リプレッサー(Rep)機能がない。広範囲および狭い範囲の両方のかかる変異体の例は当該分野においては公知である(Haugan et al., Plasmid 33: 27−39, 1995; Molin et al., J. Bacteriol. 143: 1046−1048, 1980; Toukdarian & Helinski, Gene 223: 205−211, 1998)。このタイプの特に好ましいプラスミドは、実施例1および2において詳細に記載する、プラスミドP6Kの変異体である。他の例としては、これらに限定されないが、RK2、pCU1、p15A、pIP501、pAMβ1およびpCRG1600が挙げられる。
変異体の使用の代替法として、すべての必要な特性を有するプラスミドを生じるために、その特性がよく理解された接合プラスミドのさまざまな成分を使用することが好ましいこともある。かかるランナウェイ複製プラスミドまたはヘルパープラスミドは、(1)そこからプラスミドの複製が始まる配列およびRepタンパク質により反対に調節される配列である複製起点(たとえば、本明細書において記載するoriV);(2)そこから接合プラスミド伝達が始まる配列である伝達起点(たとえば、本発明において記載するoriT);(3)接合をおこなう伝達(tra)遺伝子;および(4)スクリーン可能/選択可能なマーカー遺伝子を含んでもよい。ランナウェイ複製プラスミドを含むドナー細胞は、oriVでの複製の機能リプレッサー(Rep)を含むように操作され、これにより、これは依然としてドナー中にありながら、ランナウェイ複製プラスミドの複製を制御する。
【0017】
非自己伝染性プラスミド系および自己伝染性プラスミド系が意図される。これらの例を図2Aおよび2Bにおいて概略的に示す。本明細書において図示し、以下に記載する系は、本発明の系の例として提供されたものであって、本発明の方法および組成物を実施するために集められる成分または成分の供給源を制限するものではない。たとえば、特定の機能を提供する特定の遺伝子または遺伝子要素が指定される場合(たとえば、複製のoriV起点、伝達のoriT起点)、等しい機能または機能の組み合わせを提供する他の遺伝子または遺伝子要素も用いることができると考えられる。
非自己伝染系(たとえば、図2Aにおいて示すようなもの)のいくつかの例において、ランナウェイ複製プラスミドはoriT、oriVおよび選択可能なマーカー遺伝子を含む。いくつかの例において、ヘルパープラスミドは追加のtra遺伝子を、それ自身の複製起点および選択マーカーと共に含む。かくして、ヘルパープラスミドはランナウェイ複製プラスミドの接合的伝達を可能にするが、oriTがないためにそれ自身はドナー細胞に限定される。他の例において、tra遺伝子はドナー細胞の染色対中に組み入れられる。ランナウェイ複製プラスミドはレシピエント細胞をドナー細胞に変換するために必要なtra遺伝子がないので、接合の周期は、もとのレシピエント細胞で終わる。これはそのランナウェイ複製プラスミドをそれが死ぬ前に第二のレシピエントに伝達させることができない。
自己伝染系のいくつかの例において(たとえば、図2Bにおいて示すようなもの)、ランナウェイ複製プラスミドはoriT、oriVおよび選択可能なマーカー遺伝子を含む。これは接合伝達に必要なさらなるtra遺伝子も含む。かくして、前記の非自己伝染性プラスミドと異なり、このプラスミドが一旦もとのドナーから第一のレシピエントに伝達されると、これは第一のレシピエント細胞がランナウェイ複製により殺される前にそれ自身を再び次のレシピエントに伝達することができる。このタイプのプラスミドは、非自己伝染性タイプよりもレシピエント細胞の中で非常に速く伝達できる可能性を有し、その結果、これらの細胞がさらに速く、より広範囲に殺される。
【0018】
自己伝染または自己非伝達系のいずれかにおいて、ドナー細胞は一般にプラスミド複製を制御する手段を含む。いくつかの例において、制御はプラスミド複製のリプレッサーをエンコードする遺伝子を含む。たとえば、Repタンパク質はoriVで始まるプラスミド複製を抑制する。いくつかの例において、Rep−エンコーディング遺伝子がヘルパープラスミド上に提供される。他の例において、Rep−エンコーディング遺伝子は、ドナー細胞染色体DNA中に組み入れられる。Rep−エンコーディング遺伝子を含むプラスミドDNAは、任意の一般に公知の技術(たとえば、形質転換)により細菌細胞中に導入することができる。Rep−エンコーディング遺伝子は、標準的方法に従って部位特異性組み換えにより宿主ゲノム中に組み入れることができる(Li−Ch Huang, E. Wood and M. Cox; J. Bacteriol. 179: 6076−6083, 1997)。
これらを反対に制御する多くの細菌oriVおよびRepタンパク質が特徴づけられている。これらのそれぞれは、本発明における使用を意図される。本発明における使用に適当なoriV/Rep系の例としては、これらに限定されないが:RK2、R6K、rts1、p15A、RSF1010、FおよびP1が挙げられる。様々な複製系を本発明において用いることができる(たとえば、米国特許第5851808号参照)。本発明は、前記の系に限定されない。
【0019】
oriVの選択は、該系にランナウェイ複製プラスミドの潜在的なレシピエントの範囲を付与する。ほとんどの場合において、ランナウェイ複製プラスミドの特定のレシピエントを標的とすることが好ましい。このような例は、これらに限定されないが、腸内細菌、腸球菌、ブドウ球菌および非胞子形成グラム陽性病原菌、たとえば、ノカルジアおよびマイコバクテリア種に対抗する接合ランナウェイプラスミドの使用を包含する。かかるoriVが得られる選択的宿主域プラスミドの例は、これらに限定されないが、P1およびFを包含する。
様々なレシピエントに影響を及ぼすのが望ましい場合において、広範囲のoriVが用いられる。oriVを得ることができる広範囲の(「乱混雑」)プラスミドの例としては、これらに限定されないが:R6K、RK2、p15AおよびRSF1010が挙げられる。
「範囲」(または「宿主域」)なる用語は、一般に、特定のプラスミド(天然または組み換え)が複製できる異なる細菌種の数および多様性の両方のパラメータを意味する。これらの2つのパラメータのうち、当業者は生物の多様性をが一般的により宿主域を限定すると考える。たとえば、プラスミドが一つの群、たとえば、腸内菌科の多くの種において複製するならば、これは狭い宿主域のものとみなすことができる。比較として、プラスミドが数種のみにおいて複製するが、これらの種が系統発生論的に多様な群から得られるならば、該プラスミドは広範囲宿主のものであると見なすことができる。前記のように、両タイプのプラスミド(またはその成分)は、本発明において有用である。
【0020】
接合伝達(tra)遺伝子は、多くの接合細菌プラスミドにおいて特徴づけられている。接合伝達および栄養複製を受けやすい宿主の範囲を付与する遺伝子モジュール間の互換性は、グラム陽性およびグラム陰性種を包含する。本発明における使用に好適な特徴づけられたtra遺伝子の例は、(A)F(Firth, N., Ippen−Ihler, K. and Skurray, R. A. 1996, Structure and function of F factor and mechanism of conjugation. In: Escherichia coli and Salmonella, Neidhard et al., eds., ASM Press, Washington D.C.); (2)R6K(Nunez et al., Mol. Microbiol. 24: 1157−1168, 1997);および(3)Ti(Ferrand et al., J. Bacteriol. 178: 4233−4247, 1996)である。本発明に関して有用であるさらなるtra遺伝子としては、これらに限定されないが、米国特許第6180406号および第6251674号に記載されているものが挙げられる。
本発明のもう一つの態様に従って、細菌接合系が再び用いられ、今回は標的細菌細胞に様々な「キラー遺伝子」を有効に送達するためである。様々なキラー遺伝子の細菌細胞への送達は、細菌のバクテリオファージでの感染に際して自然に起こる。バクテリオファージは自身の複製周期を維持するために多くの異なるメカニズムを利用し、その結果、一般に宿主細菌細胞が溶解する。実際、発明の背景においてすでに記載したように、バクテリオファージは抗生物質の代替物として提案され、用いられている。この目的についてのバクテリオファージの使用に対する重大な欠点の一つは、これらは非常に宿主特異性であることが多く、特異的レセプターを有する細胞表面にのみ結合することである。その結果、細菌はレセプターにおいて迅速に耐性変異を起こし、これによりファージによる認識を免れる。本発明は1またはそれ以上のキラー遺伝子(たとえば、ファージまたは他の供給源からの)を接合プラスミド上におくことにより、該欠点を回避する。前記の接合ランナウェイ複製プラスミドのようなキラー遺伝子を含む接合プラスミドは、その後、レシピエント細胞に効率的に分散され、これらをその後、短期間に殺す。さらなる致死システムとしては、これらに限定されないが、米国特許第6277608号に記載されているものが挙げられる。
【0021】
バクテリオファージは様々なメカニズムにより宿主細胞を殺し、その多くはファージゲノムにおける遺伝子の別個の組によりエンコードされる。たとえば、バクテリオファージMS2は細菌溶解タンパク質をエンコードする遺伝子を含む(Coleman et al., J. Bacteriol. 153: 1098−1100, 1983)。ファージT4Dは細菌宿主細胞においてシトシン含有DNAを分解するタンパク質をエンコードする遺伝子を含む(Kutter and Wilberg, J. Mol. Biol. 38: 395−411, 1968)。他のT4ファージはシトシン含有DNAの転写を妨害する遺伝子産物をエンコードする(Drivdahl and Kutter, J. Bacteriol. 172: 2716−2727, 1990)。さらに他のT4遺伝子産物は、細菌ヌクレオチドの破壊の原因となる(Bouet et al., Gene 141: 9−16, 1994)。5000を越える特徴づけられたバクテリオファージはキラー遺伝子の莫大な保有体を提供する(Ackermann 2001. Arch. Vir., 146, 843−857)。かかるキラー遺伝子は、標的レシピエント細胞への有効な分布のために、前記のような接合プラスミド中に挿入することができる。
加えて、他の種類のキラー遺伝子も同様に用いることができる。これらは、天然に存在する遺伝子または合成遺伝子を包含する。本発明における使用に好適な天然に存在する遺伝子の非制限的な例は、Gerdesら(EMBO J. 5: 2023−2029, 1986)により記載されているhok遺伝子産物である。本発明のこの態様において用いることができる人工の核酸分子の例としては:(1)米国特許第5830860号において記載されているグラム陰性菌の細菌活性およびエンドトキシン中和活性を有するペプチドをエンコードする配列;(2)重要な細菌細胞標的に対する結合親和性を有するRNA分子をエンコードする配列(Chen and Gold, Biochemistry 33: 8746−8756, 1994);および(3)米国特許第5475096号および米国特許第5270163号に記載されているような標的分子に対する非常に特異的な結合を有する核酸分子のインビトロ発生のためのSELEX法により生じるオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0022】
これらの系において、ドナー細胞の死を防止するための工程を用いることができる。たとえば、ドナー細胞の死は、その発現がドナー細胞においてのみ作られるリプレッサーにより防止される合成プロモーター−オペロン系を用いることにより防止できる(図3下)。他の例において、トキシンはドナーにおいて作られるが、レシピエント細菌においては作られないアンチトキシンにより中和できる(図3上)。
好ましい例において、プラスミドはスクリーン可能または選択可能なマーカー遺伝子を含む。組み換え細菌の伝統的な分子生物学的操作において、選択可能なマーカー遺伝子は、抗生物質耐性遺伝子である。本発明は抗生物質耐性がさらに広がることを回避するためにデザインされるので、別の選択可能なマーカー系が発明における使用に好ましい。従って、抗生物質耐性マーカーは実験室の試験において用いることができるが、好ましい選択可能なマーカーは栄養マーカー、すなわち、相補遺伝子(たとえば、trp、leu、pro)を有するプラスミドを含む栄養要求性株(たとえば、Trp、Leu、Pro)である。
【0023】
任意の前記キラープラスミドのドナー細菌株は、ヒトを含む温血動物および植物に関連する数千の自由生活細菌のうちの一つであり得る。好ましくは、身体の非無菌部分(たとえば、皮膚、消化管、泌尿生殖領域、口、鼻腔、喉および上部気道、耳および目)にコロニーを作る非病原性細菌をドナー細胞として利用することができ、本発明の方法は、身体のこれら部分の細菌感染症と戦うために用いられる。もう一つの例において、これらのプラスミドの安全なドナーが、全身性感染症と闘うために開発される。特に好ましいドナー細菌種の例としては、これらに限定されないが:(1)エシェリキア・コリの非病原性株(イー・コリF18およびイー・コリNissle1917株)、(2)ラクトバシラスの様々な種(たとえば、エル・カゼイ、エル・プランタルム、エル・パラカゼイ、エル・アシドフィルス、エル・フェルメンタム、エル・ゼアエおよびエル・ガセリ)、(3)他の非病原性または原生物皮膚−またはGIコロニー化細菌、たとえば、ラクトコッカス、ビフィドバクテリア、ユーバクテリア、および(4)死ぬ運命にあるが、依然としてプラスミドを伝達させることができる無核様体細胞である細菌性ミニ細胞(たとえば、Adler et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 57; 321−326, 1970; Frazer and Curtiss III, Current Topics in Microbiology and Immunology 69: 1−84, 1975;米国特許第4968619号(Curtiss III)参照)が挙げられる。
【0024】
いくつかの例において、標的レシピエント細胞は、身体全体にわたって、特に皮膚または消化管、泌尿生殖領域、口、鼻腔、喉および上部気道、目および耳において分散されている病原菌である。ターゲティングおよび根絶について特に興味深いのは、シュードモナス・アエルギノーザ、エシェリキア・コリ、スタフィロコッカス・ニューモニエおよび他の種、エンテロバクター種、エンテロコッカス種およびマイコバクテリウム・ツベルクローシスの病原菌株である。本発明は、治療、農業、またはこれらに限定されないが、米国特許第6271359号、第6261842号、第6221582号、第6153381号、第6106854号および第5627275号に記載されているものを含む他の設定のいずれにおいても、広範囲の標的生物(たとえば、病原性生物)について有用である。他のものも本発明において議論するが、さらに他のものは当業者には容易に明らかになるであろう。
前記載事項から、多くの種類のキラープラスミド(たとえば、ランナウェイ複製プラスミド、致死ファージ遺伝子を有するプラスミドなど)が本発明における使用に好適であることは明らかである。この点に関して、当業者は、一つのドナー細菌株が1またはそれ以上の種類のキラープラスミド(たとえば、ランナウェイまたはトキシン産生プラスミド)を有することを理解するであろう。他の例において、ドナー細胞は、図3(下)に示すように複数の致死機能を発現するキラープラスミドを有してもよいし、あるいはそれぞれが他のプラスミドと独立して致死機能を発現する複数のキラープラスミドを有してもよい。かくして、かかる複数のプラスミド系は、異なるレシピエント細胞を標的とする複数のプラスミドエンコード機能を含むことができる。さらに、それぞれが1またはそれ以上のキラープラスミドを含む2以上のドナー細菌株を類似した多標的効果を得るために組み合わせることができる。
【0025】
本発明の系は、ヒトの治療および様々な獣医学、栽培学、園芸および食品加工用途において有用である。ヒトおよび獣医学的用途に関して、また、防御のために標的とされる細胞集団または組織によって、本発明の細菌の次の投与様式が意図される:局所、経口、鼻、肺/気管支(たとえば、吸入器による)、目、直腸、泌尿生殖、皮下、腹膜組織内および静脈内。細菌は好ましくは医薬製剤として、治療される患者について選択された投与様式に好適な送達ビヒクル中で提供される。本明細書において用いられる「患者」または「対象」なる用語は、ヒトまたは動物を意味する(動物は特定のドナー株の臨床的有効性のモデルとして特に有用である)。
たとえば、細菌を胃腸管または鼻腔に送達するために、好ましい投与様式は、経口摂取または鼻エアゾル、または給餌(単独または対象の飼料または食物中に組み入れる)による。この点に関して、原生物細菌、たとえば、ラクトバシラス・アシドフィルスが細菌細胞と固体支持体、たとえば、マンニトールの凍結混合物を含むゲルカプセルとして販売されている。ゲルカプセルを液体と共に摂取すると、凍結乾燥細胞が再水和され、生存可能なコロニー生成性細菌になる。したがって、同じようにして、本発明のドナー細菌細胞を、ゲルカプセル中粉末、凍結乾燥製剤として、または食物または飲料中に散在させたバルクとして供給することができる。再水和された生存可能な細菌細胞は、次いで上部および下部胃腸系全体にわたって生息およびまたはコロニー形成し、その後、標的病原菌と接触する。
【0026】
局所投与について、細菌は、皮膚表面患部上に塗布される軟膏またはクリームとして処方することができる。軟膏またはクリーム処方は、他の標準的処方、たとえば座剤と共に、直腸または膣送達についても好適である。適当な局所、膣または直腸投与用処方は、薬剤師には周知である。
本発明は、様々な細菌感染症または細菌に関連する望ましくない状態を治療するための局所または粘膜投与に特に有用である。これらの用途のいくつかの代表例としては、(1)ヘモフィルス種により引き起こされる結膜炎、およびシュードモナス・アエルギノーザにより引き起こされる角膜潰瘍;(2)シュードモナス・アエルギノーザにより引き起こされる外耳炎;(3)多くのグラム陽性球菌およびグラム陰性桿菌により引き起こされる慢性副鼻腔炎および気管支の一般的な汚染;(4)シュードモナス・アエルギノーザに関連する嚢胞性線維症;(5)ヘリコバクター/ピロリ(潰瘍)、エシェリキア・コリ、サルモネラ・チフィムリウム、カンピロバクターおよびシゲラ種により引き起こされる腸炎;(6)外科手術および外科手術以外の開放創(多くの種に対する予防的手段として);(7)火傷(シュードモナス・アエルギノーザまたは他のグラム陰性病原菌を除去するため);(8)プロピオノバクター・アクネスにより引き起こされる挫創;(9)メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス(MSRA)により引き起こされる鼻および皮膚感染症;(10)主にグラム陽性嫌気性菌により引き起こされる体臭(すなわち、脱臭剤における使用);(11)ガードネレラ・バジナリスおよび他の嫌気性菌に関連する細菌性膣炎;および(12)様々な生物により引き起こされる歯肉炎および/または虫歯の治療が挙げられる。
【0027】
他の例において、本発明の抗菌剤は、望ましくない細菌の除去または弱化のために表面を処置することにおいて有用である。たとえば、手術、カテーテル挿入などの侵襲性処置において用いることができる表面は、該表面上の細菌汚染物質による患者の感染を予防するために治療することができる。本発明の方法および組成物は、多くの表面、対象、物質など(たとえば、医療器具または応急処置器具、保育および台所用品および表面)をその上の細菌汚染を抑制するために処置するために用いることができると考えられる。
ドナー細菌を含む医薬製剤は、投与を容易にし、用量を均一にするために単位投与形態において処方される。単位投与形態は、本明細書において用いられる場合、治療を受ける患者に適当な医薬製剤の物理的に独立した単位を意味する。各用量は、所望の抗菌効果を生じるために計算された量のドナー細菌を選択された医薬担体と組み合わせて含む。適当な用量単位を決定する手順は当業者には一般的である。
投与単位は、患者の体重に比例して増加または減少できる。標的細胞集団または組織における病原菌の根絶を達成するための適当な濃度は、当該分野で公知のように、用量濃度曲線計算により決定できる。
【0028】
本発明のドナー細菌の他の使用法も意図される。これらは、さまざまな農業、園芸、環境および食品加工用途を包含する。たとえば、農業および園芸において、植物の病気を最小限に抑えるために標的にするためにさまざまな植物病原菌を標的にすることができる。ターゲティングに好適な植物病原体の一例は、火傷病の原因物質であるエルウィニア・アミロボーラである。切り花のしおれを軽減または防止するために、同様の方法を用いることができる。
獣医学または牧畜において、本発明のキラープラスミド系は、生物負荷を軽減するため、またはある種の病原性生物(たとえば、サルモネラ)を除去するために、動物の飼料(ニワトリ、ウシ)中に組み入れることができる。他の例において、望ましくない細菌または病原菌を除去するために肉または他の食物に関して本発明を用いることができる(たとえば、肉に対してイー・コリO157:H7、「魚臭さ」の一因であるプロテウス種を魚介類に対して使用)。
環境的有用性は、たとえば、殺虫剤を送達または条件付きで発現するためにバチルス・スリンジエンシスおよびその接合プラスミドの一つを操作することを含む(たとえば、マラリアまたは西ナイルウイルスを伝播する蚊を抑制するため)。かかる用途、ならびに前記の農業および園芸用途において、キラープラスミドおよびドナー細菌の溶液、エアゾル、またはゲルカプセルとしての処方が含まれる。
【0029】
本発明の好ましい例において、DNAまたは遺伝子修飾された生物を環境において用いることに関連する潜在的危険性を最小限に押さえるために、本発明のプラスミドおよびドナー細胞においてある特性が用いられる。たとえば、環境的に感受性の状況においては、非自己伝染性プラスミドを用いるのが好ましい。そのかわりに、接合機構によりプラスミドを伝達させることができるが、自己伝染性でない。すでに記載したように、これは、宿主染色体中に、その生成物が接合機構のアセンブリに必要であるすべてのtra遺伝子を組み入れることにより、いくつかの例においてこれを達成することができる。かかる例において、キラープラスミドは伝達起点(oriT)のみを有するように形成される。この特性は、レシピエントが死ぬ前またはさらには死んだ後にキラープラスミドをさらに伝達させるのを防止する。
もう一つのバイオセーフティー(biosafety)特性は、所定の宿主域を有する接合系を利用することを含む。前記のように、ある要素は数個の関連する細菌(狭い宿主域)においてのみ機能することが知られており、他のものは多くの関連しない細胞において機能することが知られている(広い宿主域または乱混雑)(del Solar et al., Mol. Microbiol. 32: 661−666, 1996; Zatyka and Thomas, FEMS Microbiol. Rev. 21: 291−319, 1998)。さらに、これらの接合系の多くは、グラム陽性またはグラム陰性菌のいずれかにおいて機能できるが、一般に両方においては機能できない(del Solar, 1996、前出;Zatyka and Thomas, 1998、前出)。
【0030】
すでに詳細に記載したように、抗生物質耐性の偶然の増殖は、抗生物質耐性マーカーの使用を回避することにより本発明において最小限に押さえられる。好ましい別の方法において、アミノ酸(すなわち、セリン)の合成の原因となる遺伝子を変異させることができ、ドナー細胞においてこのアミノ酸についての必要条件が生じる。かかる変異細菌は、これらがその生成物が成長に必要であるser遺伝子を有するプラスミドを含むとすると、セリンを含まない培地上で繁殖するであろう。かくして、本発明はser遺伝子または多くの他の栄養遺伝子マーカーの一つを含むプラスミドの有利な使用を意図する。これらのマーカーはドナー細胞におけるキラープラスミドの選択および維持を許容する。
もう一つのバイオセーフティー法は、キラープラスミドの宿主域を調節するための制限修飾系の使用を含む。接合およびプラスミドの確立は、プラスミドが制限系および複製を回避できる分類学的に関連した種間でより頻繁に起こることが予想される。タイプII制限エンドヌクレアーゼは二本鎖DNAの特定の認識配列内または配列の近くで二本鎖を切断する。同源修飾酵素は同じ配列をメチル化でき、これを開裂から保護することができる。制限修飾系(RM)は、細菌および古細菌において偏在するが、真核生物においては存在しない。RM系のいくつかはプラスミドエンコードされ、一方、他のものは細菌染色体上にある(Roberts and Macelis, Nucl. Acids Res. 24: 223−235, 1998)。制限酵素は外来DNA、たとえば、ウイルスまたはプラスミドDNAを、このDNAが適当な修飾酵素により修飾されていない場合に開裂させる。このようにして、細胞は外来DNAの侵入から保護される。かくして、1またはそれ以上のメチラーゼを産生するドナー細胞を用いることにより、1またはそれ以上の制限酵素による開裂を回避することができる。部位指向性変異誘発を用いて、特定の制限部位がないか、またはプラスミドDNAをそれぞれエンドヌクレアーゼから保護するかまたはエンドヌクレアーゼの攻撃を受けやすくする新しい部位を含むかのいずれかであるプラスミドDNAを産生するために用いることができる。広い宿主域のプラスミド(たとえば、RP4)は、単に狭い宿主域のプラスミド上に典型的に存在する制限開裂部位の多くを有さないことにより、制限系を回避できる(Willkins et al., 1996, J. Mol. Biol 258, 447−456)。
【0031】
本発明の好ましい例は、環境的に安全な細菌をドナーとして利用する。たとえば、弱毒化した細胞内グラム陽性およびグラム陰性菌によるDNAワクチンの送達が報告されている(Dietrich et al., 2001 Vaccine 19, 2506−2512; Grillot−Courvalin et al., 1999 Current Opinion in Biotech. 10, 477−481)。加えて、ドナー株は、体の非無菌部分(たとえば、皮膚、胃腸管、泌尿生殖器、口、鼻腔、喉および上部気道系)をコロニー化する数千の無害な細菌の一つであり得る。好ましいドナー細菌種の例はすでに記載した。
もう一つの方法において、非分割、非成長ドナーを生きている細胞の代わりに利用する。前記のように、ミニ細胞およびマキシ細胞は代謝的に活性であるが、非生存細菌細胞であるよく研究されたモデル系である。ミニ細胞は染色体DNAがなく、DNA複製なしで細胞分裂を受ける特別の変異細胞により生じる。細胞が多コピー型プラスミドを含むならば、ミニ細胞の多くはプラスミドを含むであろう。ミニ細胞は分裂しないし、成長もしない。しかしながら、接合プラスミドを有するミニ細胞は接合複製でき、プラスミドDNAを生きているレシピエント細胞に移すことができる(Adler et al., 1970、前出;Frazer and Curtiss, 1975、前出;米国特許第4968619号、前出)。
【0032】
マキシ細胞は、重要なDNA修復経路(recA、uvrAおよびphr)において変異を有するイー・コリの菌株から得ることができる。マキシ細胞は非常に多くのDNA修復機能がないので、これらは少量のUVに曝露されると死ぬ。重要なことに、UV照射を受けていないプラスミド分子(たとえば、pBR322)は複製し続ける。転写および翻訳(プラスミド指向性)はかかる条件下で有効に生じ得(Sancar et al., J. Bacteriol. 137: 692−693, 1979)、照射前に作られたタンパク質は接合を維持するために十分でなければならない。このことは、次の2つの観察:i)ストレプトマイシンで殺される細胞は活性なドナーを保持すること、およびii)接合プラスミドの伝達は新たな遺伝子発現を防止する抗生物質の存在下で起こり得ること(Heineman and Ankenbauer, 1993, J. Bacteriol. 175, 583−588; Cooper and Heineman, 2000. Plasmid 43, 171−175)により支持される。従って、UV処理されたマキシ細胞は、プラスミドDNAを生レシピエントに移すことができる。recAおよびuvrA遺伝子の細菌間での保存によりイー・コリ以外のドナー菌株が得られることに注意すべきである。
【0033】
基本的細胞機能(たとえば、米国特許第4968619号(前掲)に記載されているような細胞壁、タンパク質合成、RNA合成)をエンコードする遺伝子中に感温性変異を含むので、機能できない修飾された微生物の任意のものも本発明における使用を意図される。多くの方法について、キラープラスミドの条件付きの複製を使用できる。本発明に従って産生されたこのようなプラスミドはドナーにおいて複製できるが、レシピエント細菌においては複製できない。これは単に、前者の細胞において複製開始タンパク質(たとえば、Rep)が産生されるが、後者の細胞においては産生されないためである。もう一つのプラスミドは、前記rep遺伝子において感温性変異を含むので、37℃より低い温度でのみ複製できる。従って、その複製は皮膚上に塗布された細菌において起こるが、かかる細菌が体の内部に侵入した場合には起こらない。
本明細書において用いられる場合、「ドナー細胞」なる用語は分裂および非分裂細菌細胞(ミニ細胞およびマキシ細胞)、ならびに条件付き非機能的細胞を含む前記細胞のいずれかを意味する。
【0034】
次の実施例は本発明をさらに詳細に記載するためのものである。これらは本発明を例示することを意図するものであって、制限するものではない。特に明記しない限り、一般的クローニング、微生物、生化学および分子生物学的方法、たとえば、Sambrookら、Molecular Cloning, Cold Spring Harbor Laboratory (1989)(“Sambrookら”)またはAusubelら(編)Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (2001)(“Ausubelら”)において記載されているものを使用する。
【0035】
(実施例)
実施例1
プラスミドR6Kからのプラスミドのランナウェイ複製の調製
プラスミドR6Kは狭い宿主域であると考えられるエシェリキア・コリ接合プラスミドである。γoriと呼ばれるそのoriVを含むR6K誘導体の複製は、一般的にプラスミドのpir遺伝子によりエンコードされるRepタンパク質πを必要とする。πタンパク質は複製において二機能的である;すなわち、低い細胞レベルで複製のアクチベーターとして作用し、高レベルで複製のインヒビターとして作用する。R6K複製およびπタンパク質によるその制御についての論評については、Filutowicz & Rakowski (1998) Gene 223, 195−204参照。
部位指向性変異誘発を用いて、本発明者らはpir遺伝子内に次の三種の変異を得た:
(1)二重アミノ酸置換:pro106leu、phe107ser(残基のナンバリングはStalkerら(1982)(J. Mol. Biol. 161:33−43に従う)
(2)コドン106および107の欠失;および
(3)コドン105、106および107の欠失。
γoriを3つの配置において変異したpir遺伝子と組み合わせた。一つの配置において、変異遺伝子はγoriを含むプラスミドと異なるプラスミド上に含まれ、かくしてtransにおいてπタンパク質が提供される。もう一つの配置において、変異遺伝子は宿主染色体中に組み入れられ、かくしてtransにおいてさらにπタンパク質が提供される。第三の配置において、変異pir遺伝子はγoriを有する同じプラスミド上に含まれ、かくしてcisにおいてその機能が提供される。
【0036】
実施例2
cisにおいて変異したpirおよびoriを含むプラスミドで形質転換された細菌細胞は殺される
エシェリキア・コリ細胞を(1)transにおいて変異pir遺伝子およびγoriを含むプラスミド;または(2)cisにおいて変異pir遺伝子およびγoriを含むプラスミドのいずれかで形質転換した。
transにおいて変異pirおよびγoriを含む形質転換された細胞は、γoriプラスミドのコピー数が野生型pir対照と比較して20ないし25倍に増加した。cisにおいて変異pirおよびγoriで形質転換された細胞は、γoriのランナウェイ複製により殺された。oriに対して変異pirがcisであるが、transでない場合のランナウェイ表現系の出現は、ほとんど互いに起こる発生期πタンパク質の起点活性化および翻訳の向上した効果により引き起こされると考えられる。
【0037】
実施例3
プラスミドRK2からのランナウェイ複製プラスミドの調製
プラスミドRK2は、29(およびおそらくはもっと多数)のグラム陰性種において複製できる乱混雑したプラスミドである(Guiney and Lanka, 1989, p27−54. In C. M. Thomas (ed) Promiscous plasmids in gram−negative bacteria. London, Ltd London United Kingdom)。プラスミドRK2は完全ヌクレオチド配列が公知の60kb自己伝染性プラスミドである(Pansegrau et al., 1994, J. Mol. Biol. 239, 623−663)。trfA遺伝子以外のその遺伝子のすべてがなく、TrfAと呼ばれるプラスミドのRepタンパク質、および栄養複製oriVの起点をエンコードする、この大きなプラスミドから得られる最小の複製が得られる。RK2複製およびそのTrfAタンパク質による制御の論評については、Helinskiら、1996(In Escherichia coli and Salmonella Cellular and Molecular Biology, Vol. 2(ed. F. Neidhardt, et al., 2295−2324, ASM Press, Washington D.C.)を参照。プラスミドRK2(trfA)のrep遺伝子における特定の変異の組み合わせは、最小の自己複製プラスミド誘導体にランナウェイ複製を付与する(Haugan et al., 1995, Plasmide 33, 27−39; Toukdarian and Helinski, 1998, Gene 223, 205−211)。かかるプラスミドは形質転換またはエレクトロポーレーションにより野生型イー・コリ株中に導入された場合に致死効果を惹起する。本発明者らの研究所は、細菌宿主を条件付きで殺すことができるプラスミドも構築した。これは、trfAの超活性型(trfA264 267)の発現を支配する誘発可能なプロモーターを使用することにより達成され;インデューサーの不在下で、プラスミドコピー数は低い(無害)が、インデューサーの存在下ではランナウェイ複製が起こり、宿主を殺す。ランナウェイプラスミドは、構造的および条件的のいずれも、trfA遺伝子の野生型対立遺伝子(複製リプレッサーを提供する)も存在する特別に構築された株において維持することができ、これにより相補により過剰複製(致死)を抑制する。この実施例および前記実施例は望ましくない細菌を殺すためのR6K誘導体の使用(前記実施例6)だけでなく、他のプラスミド、たとえば、RK2の特別に構築された誘導体も例示する。
【0038】
本発明はすでに記載され、例示された具体例に限定されず、請求の範囲から逸脱することなく変更および修正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】レシピエント細胞におけるランナウェイ複製に関与するプラスミドの接合伝達により細菌を殺すプロセスを示す概略図である。
【図2A】ヘルパープラスミドおよび伝染性ランナウェイ複製プラスミドを用いた、非自己伝染性ランナウェイ複製プラスミド系の概略図である。
【図2B】自己伝染性ランナウェイ複製プラスミド系の概略図である。
【図3】ドナーにおける抗致死産物により中和されるが、その染色体の一部として抗致死産物がないレシピエントにおいて中和されない、致死産物をエンコードするプラスミドの接合伝達により細菌を殺す「トロイの木馬」様プロセスを示す概略図である(上)。下の図は、1またはそれ以上の致死産物をエンコードする合成により組み立てられたオペロンを含む接合的に伝達されたプラスミドにより細菌を殺すプロセスの一般的なシナリオを表す。

Claims (38)

  1. a)起点での複製の開始がプラスミド複製リプレッサーにより負に制御されている、ドナー細胞においてプラスミドを合成するための複製起点と;
    b)ドナー細胞から少なくとも1つのレシピエント細胞までの伝染性プラスミドの接合伝達を創始する伝達起点と;所望により、
    c)少なくとも1つの選択マーカー遺伝子と
    を含む、少なくとも1つの伝染性プラスミドを有するドナー細胞を含む抗菌剤であって、
    ドナー細胞がさらに、伝染性プラスミドをレシピエント細胞に接合的に伝達させる能力をドナー細胞に付与する1またはそれ以上の伝達遺伝子を含み、ドナー細胞がプラスミド複製リプレッサーを産生し、さらに少なくとも1つのレシピエント細胞がプラスミド複製リプレッサーを産性しない病原菌である、ところの抗菌剤。
  2. 伝達遺伝子がドナー細胞中のヘルパープラスミド上に含まれ、従って伝染性プラスミドがドナー細胞からレシピエント細胞へ伝染可能であるが、さらにレシピエント細胞からもう一つ別のレシピエント細胞へ自己伝染可能でない、請求項1記載の抗菌剤。
  3. 伝達遺伝子が伝染性プラスミド上に含まれ、従って伝染性プラスミドがドナー細胞からレシピエント細胞へ自己伝染可能であり、さらにレシピエント細胞からもう一つ別のレシピエント細胞へ自己伝染可能であるところの、請求項1記載の抗菌剤。
  4. 伝染性プラスミドが、非機能的複製リプレッサーを産生するように変異した複製リプレッサーをエンコードする遺伝子を含有する天然に存在する伝染性プラスミドの誘導体を含むところの、請求項1記載の抗菌剤。
  5. 天然に存在する伝染性プラスミドが、RK2、R6K、pCU1、p15A、pIP501、pAM1およびpCRG1600からなる群から選択されるところの、請求項4記載の抗菌剤。
  6. 天然に存在するプラスミドがR6Kであり、R6K pir遺伝子における変異が、そのエンコードされた蛋白がアミノ酸105、106または107で少なくとも1つのアミノ酸欠失または置換を含むようなものであるところの、請求項5記載の抗菌剤。
  7. ドナー細胞が、分裂細菌、マキシ細胞、ミニ細胞および条件付き非機能性細菌からなる群から選択されるところの、請求項1記載の抗菌剤。
  8. ドナー細胞が、エシェリキア・コリ、ラクトバシラス種、ラクトコッカス、ビフィドバクテリア、ユーバクテリア、および細菌性ミニ細胞からなる群から選択される細菌の非病原性菌株であるところの、請求項7記載の抗菌剤。
  9. レシピエント細胞が、カンピロバクター種、エンテロバクター種、エンテロコッカス種、エシェリキア・コリ、ガードネレラ・バジナリス、ヘモフィルス種、ヘリコバクター・ピロリ、マイコバクテリウム・ツベルクローシス、プロピオノバクター・アクネス、シュードモナス・アエルギノーザおよび他のシュードモナス種、サルモネラ・チフィムリウム、シゲラ種およびスタフィロコッカス種からなる群から選択されるところの、請求項1記載の抗菌剤。
  10. 複製起点が、R6K、RK2、rts1、p15AおよびRSF1010からなる群から選択されるプラスミドから由来するところの、請求項1記載の抗菌剤。
  11. 複製起点が、FおよびP1からなる群から選択されるところの、請求項1記載の抗菌剤。
  12. 選択可能なマーカー遺伝子が、伝染性プラスミドを含有する細胞に対して栄養選択利点を付与するところの、請求項1記載の抗菌剤。
  13. 伝達遺伝子が、F、R6KおよびTiからなる群から選択されるプラスミドから由来するところの、請求項1記載の抗菌剤。
  14. 対象における標的集団の細菌を減少または除去するための医薬製剤であって、所定の経路にて対象に投与するために処方される請求項1記載の抗菌剤を含む医薬製剤。
  15. 所定の投与経路が:局所、経口、鼻、肺、眼、耳、直腸、泌尿生殖器、皮下、腹膜組織内および静脈内からなる群から選択されるところの、請求項14記載の医薬製剤。
  16. 対象における標的集団の細菌を減少または除去するための方法であって、該対象に請求項1記載の抗菌剤を、抗菌剤のドナー細胞が標的細菌細胞に接合的近接になり、ドナー細胞の伝染性プラスミドがドナー細胞から標的細菌細胞へ伝達されるような方法で投与し、これにより伝染性プラスミドが未制御複製を開始し、これにより標的細菌細胞を殺すことを含む方法。
  17. 対象がヒトまたは動物であるところの、請求項16記載の方法。
  18. 対象が植物であるところの、請求項16記載の方法。
  19. 対象が食物または飼料であるところの、請求項16記載の方法。
  20. a)ドナー細胞におけるプラスミドの合成のための複製起点と;
    b)ドナー細胞から少なくとも1つのレシピエント細胞までの伝染性プラスミドの接合伝達を創始する伝達起点と;
    c)細菌細胞における発現により細胞を殺す産物を産生する少なくとも1つのキラー遺伝子と;所望により
    d)少なくとも1つの選択可能なマーカー遺伝子と
    を含む少なくとも1つの伝染性プラスミドを有するドナー細胞を含む抗菌剤であって、
    ドナー細胞がさらに、伝染性プラスミドをレシピエント細胞に接合的に伝達させる能力をドナー細胞に付与する1またはそれ以上の伝達遺伝子を含み、キラー遺伝子の産物により影響を受けなくなるようにドナー細胞を修飾し、さらに少なくとも1つのレシピエント細胞がキラー遺伝子の産物により影響を受けないように修飾されていない、抗菌剤。
  21. 伝達遺伝子がドナー細胞内のヘルパープラスミド上に含まれ、従って伝染性プラスミドがドナー細胞からレシピエント細胞へ伝染可能であるが、さらにレシピエント細胞からもう一つ別のレシピエント細胞へ自己伝染可能でないところの、請求項20記載の抗菌剤。
  22. 伝達遺伝子が伝染性プラスミド上に含まれ、従って伝染性プラスミドがドナー細胞からレシピエント細胞へ、さらにはレシピエント細胞からもう一つ別のレシピエント細胞へ自己伝染可能であるところの、請求項20記載の抗菌剤。
  23. 発現され、これにより細菌細胞に対して有害または致命的な遺伝子産物を産生することによりキラー遺伝子が細胞を殺し、ドナー細胞がキラー遺伝子の発現を抑制するように修飾され、これにより有害または致命的な遺伝子産物の産生が回避されるところの、請求項20記載の抗菌剤。
  24. キラー遺伝子がバクテリオファージから得られるところの、請求項20記載の抗菌剤。
  25. バクテリオファージがT−シリーズファージ、P1、p22およびλからなる群から選択されるところの、請求項24記載の抗菌剤。
  26. ドナー細胞が、分裂菌、マキシ細胞、ミニ細胞および条件付き非機能的細菌からなる群から選択されるところの、請求項20記載の抗菌剤。
  27. ドナー細胞が、エシェリキア・コリ、ラクトバシラス種、ラクトコッカス、ビフィドバクテリア、ユーバクテリア、および細菌性ミニ細胞からなる群から選択される非病原性菌株であるところの、請求項26記載の抗菌剤。
  28. レシピエント細胞が、カンピロバクター種、エンテロバクター種、エンテロコッカス種、エシェリキア・コリ、ガードネレラ・バジナリス、ヘモフィルス種、ヘリコバクター・ピロリ、マイコバクテリウム・ツベルクローシス、プロピオノバクター・アクネス、シュードモナス・アエルギノーザおよび他のシュードモナス種、サルモネラ・チフィムリウム、シゲラ種およびスタフィロコッカス種からなる群から選択される細菌の病原性菌株であるところの、請求項20記載の抗菌剤。
  29. 複製起点が、R6K、RK2、rts1、p15AおよびRSF1010からなる群から選択されるプラスミドから由来するところの、請求項20記載の抗菌剤。
  30. 複製起点がFおよびP1からなる群から選択されるところの、請求項20記載の抗菌剤。
  31. 選択可能なマーカー遺伝子が伝染性プラスミドを含有する細胞に関して栄養選択利点を付与するところの、請求項20記載の抗菌剤。
  32. 伝達遺伝子が、F、R6KおよびTiからなる群から選択されるプラスミドから由来するところの、請求項20記載の抗菌剤。
  33. 対象における標的集団の細菌を減少または除去するための医薬製剤であって、対象に所定の経路にて投与するために処方された請求項20記載の抗菌剤を含む医薬製剤。
  34. 所定の投与経路が:局所、経口、鼻、肺、眼、耳、直腸、泌尿生殖器、皮下、腹膜組織内および静脈内であるところの、請求項33記載の医薬製剤。
  35. 対象における標的集団の細菌を減少または除去する方法であって、抗菌剤のドナー細胞が標的細菌細胞に接合的近接になり、ドナー細胞の伝染性プラスミドがドナー細胞から標的細菌細胞へ伝達されるように請求項20の抗菌剤を対象に投与し、少なくとも一つのキラー遺伝子が発現されると、これにより標的細菌細胞を殺す産物が産生される方法。
  36. 対象がヒトまたは動物であるところの、請求項35記載の方法。
  37. 対象が植物であるところの、請求項35記載の方法。
  38. 対象が植物または飼料であるところの、請求項35記載の方法。
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