JP2004506859A - 自動車で使用される流体のための多層プラスチック管 - Google Patents

Abstract

本発明は、燃料のような自動車用流体を輸送するためのプラスチック管（１０）に関する。このプラスチック管（１０）は、内側から外側へ順番に、ポリアミドの内側層（１１）と、ポリエチレンと無水マレイン酸とのコポリマから形成された結合層（１２）と、高密度ポリエチレン（ＨＤＰＥ）層（１３）と、ゴム弾性を有したポリエステル−エーテルコポリマの層とからなる多層構造を有している。

Description

【０００１】
本発明は、自動車において、流体、主として燃料、を輸送するプラスチック材料から形成された多層管を提供する。
【０００２】
自動車の金属製配管をプラスチック材料製配管で置き換えることは、重量を減少させ、燃料消費の低減、それによる、大気汚染の低減につながるという明白な理由で、当たり前のことになっている。
【０００３】
現在、流通している熱可塑性材料は広範な特性を提供しているが、燃料を輸送するために要求される特性を全て有している材料はない。例えば、ある材料は、優れた防壁特性を有しているが、機械的特性又は耐火特性は劣っている。あるいはまた、機械的には申し分ないが、燃料内で溶解する又は燃料透過性を有する傾向があり、それによりさらに大気汚染を引き起こすものもある。さらに、自動車で使用するために導管が施されなければならない成形工程に適合しないものもある。
【０００４】
その上、自動車における汚染及び安全性に関して、今後達成されるべき厳重な目標を設定し且つ特に燃料管分野での熱心な研究活動を促す一連の規制が導入された。
【０００５】
したがって、現在の趨勢は、各材料のプラスの特性を積み重ねて、現在施行されている又はすぐに施行されることになる規格を満足することができる許容可能な妥協点を得るために、熱可塑性材料からなる多層管を作成することである。このような技術的要求には、経済的な要求、すなわち、最良のコストでこの妥協点を得ることが加えられる。
【０００６】
この観点において、本発明は、内側から外側へ、
ポリアミドの層と、
ポリエチレン及び無水マレイン酸のコポリマの層と、
高密度ポリエチレン（ＨＤＰＥ）の層と、
ポリエステル−エーテルを基材とするエラストマ材料の層と、
を備える熱可塑性材料から形成された多層管を提供する。
【０００７】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の多層管を階段状断面で示している図１を参照した特定の実施形態に関する以下の説明及び添付図面からより明確となる。
【０００８】
参照番号１０が付された多層管は、この管の内側から外側に、それぞれ参照番号１１、１２、１３、１４を付された４つの連続する層を備えている。
【０００９】
ポリアミドから形成された内側層１１は、炭化水素と優れた適合性を呈し（化学的反応又は溶解が起きず）、さらに、燃料中に含まれる化合物に対する優れた防壁を構成し、また、管に対する機械的補強材を形成している。ＰＡ６（ナイロン６又はポリアミド６）が選択されることが好ましい。
【００１０】
ポリエチレンと無水マレイン酸とのコポリマの層１２は、主として、ポリアミドが第３の層１３を形成する高密度ポリエチレン（ＨＤＰＥ）の層と親密に接合できるようにする接合特性のために使用されている。
【００１１】
第３の層１３は、管の強度を補強すると同時に燃料中に含まれるアルコールに対する有効な防壁となる特性を管１０に与える。
【００１２】
最後に、最終層、すなわち、外側層１４は、ゴム状弾性を有したポリエステル−エーテルコポリマによって構成されている。この層は、管１０がときとして接触し得る流体（オイル、様々な塩を含んだ水（特に冬）など）から管１０を保護すると共に、衝撃に対する保護を与え、また、管が受け得る曲げ応力及び曲げ疲労応力に十分に耐える。これは、この層のエラストマとしての性質によって達成される。さらに、この最終層は、切断及び磨耗にも耐性を有している。
【００１３】
これらの特性の総和により、比較的薄い壁を有する多層管を形成することが可能となる。すなわち、厚さの合計は、管の直径に依存して、０．６ミリメートル（ｍｍ）から１．５ｍｍの範囲になり、この厚さが以下のように個々の層に分配される。すなわち、合計厚さは、内側層１１が０．２ｍｍから０．５ｍｍ、結合層１２が０．１ｍｍ、ＨＤＰＥ層１３が０．２ｍｍから０．５ｍｍ、最後に、外側層１４が０．１ｍｍから０．４ｍｍとなるように分配される。
【００１４】
外側層１４として可能な１つの材料は、商品名ＡＲＮＩＴＥＬ（供給業者ＤＭの登録商標）で流通している。
【００１５】
こうして、ＥＵＲＯ２０００の規則を最小限の材料重量で満足する多層管が得られる。
【００１６】
さらに、使用されている材料は、比較的安価であり、それにより、低コストで管を製造することを可能とさせている。
【００１７】
最後に、材料は、４つの層１１、１２、１３、１４を同時押し出し成形することによって、又は３つの内側層１１、１２、１３を同時押し出し成形し、その後で同時押し出し成形した層上にエラストマコーティングを付与することによって、製造されることに適合するようになる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の多層管を階段状断面で示している。

Claims (3)

1. 燃料のような自動車用流体を輸送するためのプラスチック管であって、内側から外側に順番に、
   ポリアミドから形成された内側層（１１）と、
   ポリエチレンと無水マレイン酸とのコポリマから形成された結合層（１２）と、
   高密度ポリエチレン（ＨＤＰＥ）の層（１３）と、
   ゴム状弾性を有したポリエステル−エーテルコポリマの外側層（１４）と、
   を備える多層構造を有したことを特徴とするプラスチック管。
2. 前記プラスチック管の合計壁厚が、０．６ｍｍから１．５ｍｍの範囲であり、該合計壁厚は、
   前記内側層（１１）が０．２ｍｍから０．５ｍｍの範囲にあり、
   前記結合層（１２）が０．１ｍｍであり、
   前記高密度ポリエチレンの層（１３）が０．２ｍｍから０．５ｍｍの範囲にあり、
   前記外側層（１４）が０．１ｍｍから０．４ｍｍの範囲にあるように分配される、請求項１に記載のプラスチック管。
3. 前記内側層（１１）を構成するポリアミドがＰＡ６であり、前記外側層（１４）を構成するポリエステル−エーテルが登録商標ＡＲＮＩＴＥＬで流通している製品である、請求項１又は請求項２に記載のプラスチック管。