JP2004505728A

JP2004505728A - 改良された使い心地を有する水蒸気透過性で液体不透過性の使い捨て寝具用品用カバーシート

Info

Publication number: JP2004505728A
Application number: JP2002519016A
Authority: JP
Inventors: イタロ　コルザニ; エリザベタ　ルッソ; エンリコ　スピナ; ジョバンニ　カラーラ; ジウゼッペ　シリアーニ
Original assignee: Procter and Gamble Co
Current assignee: Procter and Gamble Co
Priority date: 2000-08-10
Filing date: 2001-08-07
Publication date: 2004-02-26
Also published as: WO2002013878A1; CA2417133A1; EP1180370A1; US20030121101A1; EP1311307A1; AU2001283192A1

Abstract

本発明は、水蒸気透過性及び液体不透過性であり、少なくとも水蒸気透過性繊維層及び液体不透過性であるが、好ましい熱可塑性組成物の水蒸気透過性フィルム層を含む寝具用品用使い捨てカバーシートに関する。例えば、マットレスカバーまたは枕カバーのような使い捨てカバーシートは、ユーザにさらによい使い心地を提供する。本発明の使い捨てカバーシートは、容易な廃棄性と使用中の高められた使い心地が組み合わされた水蒸気透過性及び液体不透過性が望ましい種々の用途を見出すことができる。

Description

【０００１】
（発明の分野）
本発明は、マットレス、枕等のような寝具用品の使い捨てカバーシートに関し、これは、水蒸気透過性及び液体不透過性であり、好ましくは水蒸気透過性基材に付与される熱可塑性組成物を含む向上した水蒸気透過性を有する、改良された液体不透過性成形構造体を含む。本発明のカバーシートにより、水蒸気透過性、液体不透過性、廃棄性及び使い心地が望ましい種々の用途を見つけ出すことができる。好ましくは、本発明のカバーシートは、マットレスカバーまたは枕カバーである。
【０００２】
（発明の背景）
寝具用品、特にベッドマットレスカバーのカバーシートは、当該技術分野において知られている。これら物品の主要な用途は、例えば、病院、ホテルまたはレンタルハウスのように異なる使用者によって使用されることが意図されている環境において、マットレス、特にベッドマットレスを、また枕、クッション、羽毛布団、布張り品をも、汚染物、例えば埃、液体または体液から保護することである。さらに、マットレスカバーは、保護カバーを備えたマットレスを提供するために家庭内で使用される。
さらに最近、マットレスカバーが、埃の中に、典型的には温度や栄養に関して好ましい環境条件を見出すことができるマットレス上や内部に生存するイエダニを制御する、アレルゲンバリアとして作用することも提案されている。
【０００３】
チリダニとしても知られているイエダニは、アレルギーを引き起こすだけでなく、喘息など他の症状の不都合な原因にもなっているハウスダストアレルゲンの原因であることが明らかにされて久しい。アレルゲンの制御手段の使用が、これらの状態を制御することにおいて有効であることも明らかにされている。アレルゲンの出現を防ぐために、ダニを封じ込める耐アレルゲン包装用品がベッドマットレス、枕、クッション、羽毛布団、布張り品のような寝具用品に長い間使用されてきた。
マットレスカバーは人体と直接または間接的に（即ち、更なる中間層、例えばベッドシートまたは枕カバーを介して）接触することになるので、このようなカバーは、外部作用剤に対する所望の保護をマットレスに付与するため、液体不透過性であることに加えて、快適という理由で水蒸気透過性であることが重要である。
【０００４】
チリダニに対するバリアとして使用されるとき、それらは、アレルゲンバリア機能も有する。
同時に液体不透過性及び通気性のある、すなわち、水蒸気透過性の種々の使い捨てマットレスの例がこの技術分野で知られている。
公知の使い捨てマットレスカバーは、異なる材料または構造体を含み、これらは、水蒸気透過性、好ましくは空気透過性を提供することに加えて、液体バリアをも提供することができる。このような構造体または材料は、単一層または一緒にラミネート化した多重層を含むことができる。一例としては、例えば、不織布層のような繊維性の層にラミネート化した熱可塑性の微小多孔性フィルムを含んでいる構造体である。
使い捨てマットレスカバーに適する特に好ましい材料は「モノリシックフィルム」としても知られている親水性の連続フィルムであり、そしてこれは材料中の開放孔または開口から水蒸気を流出させないが、水蒸気濃度がより高いフィルムの一方の側で水分を吸収することにより、そして水蒸気濃度がより低いフィルムの反対側で水分を放散または蒸発させることにより、フィルムを通してかなりの量の水蒸気を移動させる。
【０００５】
特許出願ＥＰ０９６３７６０及びＥＰ０９６４０２６において、水蒸気透過性及び液体不透過性の好ましい特徴を有する親水性の連続水蒸気透過性で液体不透過性の層を製造するための熱可塑性組成物が、開示されている。これらの開示された好ましい熱可塑性組成物はまた、所望の厚さを有する被覆を基材上に付与するよう容易に処理することもできるので、伝統的で複雑な押出装置の必要性が回避される。これは、熱可塑性ポリマーの粘度を低下させる適当な可塑剤または可塑剤のブレンドを前記組成物中に含有し、熱可塑性ポリマーの粘度を修正することにより達成される。これによって、これらの好ましい組成物を用いて水蒸気透過性で液体不透過性のフィルムまたは層を形成するために、低粘度の高温溶融組成物を基材上に直接被覆する、当該技術分野において既知の典型的な処理条件が利用可能となる。
水蒸気透過性で液体不透過性の構造体を含み、ＥＰ０９６３７６０またはＥＰ０９６４０２６のいずれかによる熱可塑性組成物の層を含む、好ましくは複合構造体を形成するために水蒸気透過基材、例えば、不織布層のような繊維層に適用する使い捨て水蒸気透過性で液体不透過性のマットレスカバーが特に好ましいのは、液体不透過性と組み合わされたよりよい水蒸気透過性を提供し、上述した組成物に関連した製造が容易になる利点があるからである。
【０００６】
使い捨てマットレスカバーに対する他の利点は、ヨーロッパ特許出願９９１２５３５．８号（１９９９年１２月９日出願）に説明されており、この場合、使用中、例えばマットレスがベッドマットレスか枕であって、例えば睡眠中のユーザの動きがマットレスカバーを動かすまたは外す可能性がある時に、カバーがずれる可能性を最小限にするために、例えばマットレスカバーがマットレス自体に対するある一定の加圧を典型的に受けたとき、使用中の使い捨てマットレスカバーとマットレス表面との間に増大した摩擦を確立する。この摩擦の確立は例えば、矩形のベッドマットレスカバーのコーナーに取り付けられた弾性バンドまたはストランドのような、カバーをマットレスに接続するための従来の手段と組み合わされたマットレスカバーで、マットレスの外面の一部、例えば、ベッドマットレスの上面をカバーしようとするときに重要である。
しかし、マットレスカバーとマットレス間に増大した摩擦を付与することは、マットレスを全体的に包み込むように意図されているマットレスカバーにおいても有用である。実際、これら両方の場合において、この増大した摩擦は使用中におけるマットレスカバーとマットレス間の相対的な移動を防ぐかまたは少なくとも減少させるので、例えば、使用者がマットレスカバーをマットレスに適用するとき、最初に設置された正しい位置にマットレスカバーを保持するのを助ける。
【０００７】
上述した特許出願に開示された寝具用品が、特に保護という点で十分機能するとはいえ、この後示されるように本発明の寝具用品を構成する構成要素のあるパラメータを選択することによって、及び好ましくは、水蒸気透過性構造体の改良された接着剤特性を備えた熱可塑性親水性ポリマー組成物（Ｔｈｅｒｍｏｐｌａｓｔｉｃｈｙｄｒｏｐｈｉｌｉｃｐｏｌｉｍｅｒｉｃｃｏｍｐｏｓｉｔｉｏｎｓｗｉｔｈｉｍｐｒｏｖｅｄａｄｅｈｅｓｉｖｅｐｒｏｐｅｒｔｉｅｓｆｏｒｍｏｓｉｕｔｕｒｅｖａｐｏｕｙｐｅｒｍｉａｂｌｅｓｔｒｕｃｔｕｒｅ（本発明と同じ日に出願されたＰ＆ＧケースＣＭ２４０６Ｆ））と題されたヨーロッパ特許出願に開示されているように寝具用品に含まれる親水性連続層に、ある熱可塑性組成物を使用することによって、同様もしくはそれ以上の保護を提供しながら、従来技術の製品と比較してユーザの使い心地が著しく高められることが驚くべきことに見出された。
【０００８】
（発明の概要）
少なくとも水蒸気透過性接着材繊維層及び液体不透過性であるが、繊維層に適用される水蒸気透過性を含む、水蒸気透過性で液体不透過性の寝具用品用使い捨てカバーシートであって、カバーシートは次の特徴を有する。
−少なくとも４００ｇ／ｍ^２・２４ｈの水蒸気伝達速度（ＷＶＴＲ）
−少なくとも１ｃｍの静水ヘッド（ＨＨ）値
−少なくとも２．５のｇ／ｍ^２で表された基礎重量に対するマイクロメータで表された厚みの比Ｒ
以下に説明する方法によって水蒸気伝達速度、静水ヘッド、及び厚みが測定される。
【０００９】
（詳細な説明）
本発明によれば、少なくとも水蒸気透過性の繊維層と、液体不透過性ではあるが、向上した水分蒸気透過性を有する処理能力の高い水蒸気透過性フィルム層とを含む、水蒸気透過性で液体不透過性の寝具用品用使い捨てカバーシートが提供される。前記カバーシートは、特にマットレスカバーとして使用されるとき、ユーザの使い心地を著しく高める。
本明細書で使用するとき、用語「マットレス」とは、木綿、毛、羽毛、発泡ゴム、またはコイルスプリングの配列のような弾性材料で充填した布帛のケースを言い、そしてそれ故、この用語は特にベッドマットレスを含んでいるが、枕、クッション、掛け布団、羽毛布団、（ヘッドボードのような）ベッドの布張り部分またはソファ若しくはアームチェアの布張り部分も含む。
【００１０】
従って、たとえ、本発明がマットレスカバーの形態の寝具用品用使い捨てカバーシートについて説明する場合でも、決してその範囲をマットレスカバーに制限するという意味ではない。
マットレスに関して詳しく言及すると、一つのマットレスは、毎年、約４５キロ〜８０キロの汗及び約１５０グラムの皮膚片を「吸収」することが一般に知られている。
これに加えて、一般に多数のダニがマットレスの中に生存している。他の問題として、実際に、不意の汚れが避けられないということが挙げられる。通常、消費者は、上述した問題を承知しており、事実、ユーザの大部分は、たいてい木綿製の再使用可能なマットレスを使用する。しかし、これらのカバーは上述した問題を解決しない。
【００１１】
理想的なマットレスカバーは、汚れ、埃、アレルゲン及び微生物へのバリアを構成することによる優れた保護性；通気性がある、あるいは（汗ではない）水蒸気透過性であること、使用中の不快音を小さくすること、ユーザに柔らかい感触を与えることによる優れた使い心地；再使用及び高温の洗濯を避けるための使い捨てによる優れた使い易さ；といった多くの利益を提供する。
廃棄性は、軽量で低コストであるばかりでなく、容易な取付性、取り外し性及び廃棄性を含むことに留意すべきである。
従来技術に対して、本発明は、寝具用品用使い捨てカバーシート、特に優れた保護性、使用中の優れた使い心地及び使い易さを備えた使い捨てマットレスカバーを提供することによって上述した問題を解決する。
【００１２】
本発明の寝具用品用使い捨てカバーシートは、少なくとも１つの第１の水蒸気透過性層と、１つの第２の液体不透過性であるが前記第１の層に結合された熱可塑性組成物の水蒸気透過性フィルム層とを含む異なる層の薄層にあり、すなわち、この薄層は、複合構造体を形成する少なくとも２つの結合層から成る。
より多くの熱可塑性組成物のフィルム層が、１つ以上の他の水蒸気透過性の層と組み合わされて複合構造に使用され、層状の水蒸気透過性で液体不透過性複合構造をつくる場合、各フィルム層は、本発明による同じ特定の熱可塑性組成物または本発明による異なる特定の熱可塑性組成物からつくることができる。
上述した複合構造は、通常フィルム層である、熱可塑性組成物の少なくとも１つの構成成分を１つ以上の他の水蒸気透過層と組み合わて包含することができる。このような水蒸気透過性材料には、繊維、繊維性打ち延ばし綿、不織布、織布、紙、ミクロ孔質または多孔性膜ポリマー被膜のようなフィルム、穿孔または孔あきフィルム及び紙、巨視的に拡大されたフィルム、クロス等が含まれるが、これらに限定されない。
【００１３】
前記の他の構成成分は非吸収性、吸収性、液体含有性等であってもよい。
上述したカバーシートの複合構造体は、少なくともＳＴ４００ｇ／ｍ^２・２４ｈ、さらに好ましくは、少なくとも５００ｇ／ｍ^２・２４ｈ、もっとも好ましくは、少なくとも６００ｇ／ｍ^２・２４ｈの水蒸気伝達速度（ＷＶＴＲ）を有する。それらは、少なくとも１ｃｍ、好ましくは、少なくとも１０ｃｍの静水ヘッド（ＨＨ）、及び少なくとも２．５、好ましくは少なくとも３．５（ｇ／ｍ^２）で表された、基礎重量に対するマイクロメーターで表された厚みの比（Ｒ）を有する。
特に好ましい本発明の実施形態によれば、蒸気透過性で液体不透過性の使い捨てマットレスカバーは、水蒸気透過性の基材上に適用される熱可塑性組成物のフィルム層を含む複合構造体を含み、前記フィルム層は、使用の際にマットレスに直接接触する。水蒸気透過性基材は、好ましくは、繊維層、例えば、例として好ましくは高温溶融被覆といった公知の手段によって、連続層またはフィルムに適用される熱可塑性組成物上に不織布層を含む。
【００１４】
水蒸気透過性で液体不透過性の構造体を含み、続いてこの構造体が使用中にマットレスと直接接触するように意図されている、本発明による熱可塑性組成物の層を含む水蒸気透過性で液体不透過性の使い捨てマットレスカバーは、当該技術分野で知られており、その意図された用途に適している任意の形状及び配置を有することができる。
【００１５】
例えば、前記マットレスが標準的なベッドマットレスから成っている場合、前記マットレスカバーは、ＦＲ２７４７８９９に記載されているように、コーナーに弾性のひもを備えているかまたは代替的に、一体的に伸縮自在のコーナーを備えた、実質的に矩形のフラットシートであることができる。この矩形のシートは典型的に、ベッドマットレスの少なくとも上部表面、そして好ましくは、前記で言及した後者の実施形態におけるように、それらの側面も完全に覆うために好適な寸法を有しており、そしてその際前記の弾性のひもまたは伸縮自在のコーナーは当該技術分野で知られている方法で、前記マットレスに好適な取りはずし可能な連結を提供する。マットレスを完全に包み込むために、前記マットレスカバーが好適な形状及び大きさを有する代替的な形態も可能である。この後者の構成は、液体不透過性及び水蒸気透過性に加えて、マットレスカバーが埃、ダニ、及び関連するアレルゲンに対して全体的なバリアも提供しなければならない場合に好適である。
【００１６】
好ましくは、本明細書の図面に示すように、使い捨てカバーは、本発明によってつくられた矩形のブランケットを含む。特に、水蒸気透過性で液体不透過性の使い捨てブランケットは、水蒸気透過性繊維層であるトップシート１と、液体透過性であるが２つの層の複合構造を形成するために前記トップシート１に被せられた、本発明による熱可塑性組成物の水蒸気透過性フィルム層であるバックシート２とから形成される。バックシート２は、マットレス４の上部に面し、直接接触するように意図されており、トップシート１は、ユーザに面するようになっている。
本発明の熱可塑性組成物は、ある程度の残留粘着性をバックシート２に付与することができる。続いて、この粘着性により、使用中にマットレスカバーとマットレス４との間の相対的な動きを防止するか、または少なくとも低減し、最初にユーザによって設定された正しい位置にマットレスカバーを保持することを補助する。いかなる場合でも、及び所望であれば、本発明における熱可塑性組成物を好適に選択するか、または公知の手段、例えば、タルカムパウダーによって残留する粘着性を相殺するかによって、マットレスカバーが残留粘着性を有さないようにすることができる。
【００１７】
使用者がマットレスの上の適切な位置にマットレスカバーを置くのを補助し、また安定した方法でマットレスカバーをマットレスに固定するために、図面に示すように４つの接着手段３が提供される。接着手段３は、例えば、市販の生理用ナプキンのパンティ固定接着貼付剤の製造において使用されるような、使用する前に接着材を保護するために剥離ライナによって覆われた従来の感圧接着剤の１つ以上の細片であり得る。
図３に示すように、マットレスカバーは、マットレス４の上面をほぼまたは完全に覆うために好適な寸法であるが、接着手段３は、マットレス４の側縁に取り付けられることが好ましい。
【００１８】
特定のマットレスの種類、形状及び寸法、並びに該マットレスカバーの意図された用途によって、本発明によるマットレスカバーの他のいかなる好適な形状または配置も可能である。
好ましくは、マットレスカバーまたは枕カバーとして使用されるとき、本発明の水蒸気透過性で液体不透過性の寝具用品用使い捨てカバーシートは、１５．０ｍ^２〜０．３ｍ^２、好ましくは、８．０ｍ^２〜０．５ｍ^２の範囲の表面積を有する。特にマットレスカバーの場合、最も好ましくは前記表面積が、４．０ｍ^２〜１．０ｍ^２である。
【００１９】
熱可塑性組成物
本発明の好ましい実施形態によれば、水蒸気透過性で液体不透過性構造体をつくる熱可塑性ポリマー組成物は、溶融した、半溶融した、若しくは塑性状態、及び／又は室温で安定状態にて、所望な程度の接着性または粘着性を備えた熱可塑性ポリマー親水性組成物を提供するために、少なくとも熱可塑性親水性ポリマー、または熱可塑性親水性ポリマー混合物、及び好適な互換性のある親水性粘着性樹脂、または好適な互換性のある親水性粘着性樹脂のブレンドを含む。
下記の説明において使用される、用語「接着性」及び「粘着性」は、同義語とみなす。
本明細書において使用される用語「通気性のある」及び「通気性」は、「蒸気透過可能」若しくは「水蒸気透過可能」、及び「蒸気透過性」または「水蒸気透過性」に対応するように意図されている。「蒸気（ｍｏｉｓｕｔｕｒｅｖａｐｏｕｒ）」と「水蒸気（ｗａｔｅｒｖａｐｏｕｒ）」とはまた同意義であるとみなす。
【００２０】
本発明による組成物において好適な熱可塑性ポリマーは、ポリウレタン、ポリエーテルアミドブロックコポリマー、ポリエチレンアクリル酸及びポリエチレンメタクリル酸コポリマー、ポリエチレンオキシド及びそのコポリマー、エチレンアクリルエステル及びエチレンメタクリルエステルコポリマー、ポリラクチド及びコポリマー、ポリアミド、ポリエステル及びコポリエステル、ポリエステルブロックコポリマー、スルホン化ポリエステル、ポリエーテルエステルブロックコポリマー、ポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリル酸誘導体、イオノマー、２８重量％超過のビニルアセテートを有するポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルアルコール及びそのコポリマー、ポリビニルエーテル及びそれらのコポリマー、ポリ２エチルオキサゾリン及びその誘導体、ポリビニルピロリドン及びそのコポリマー、熱可塑性セルロース誘導体、ポリカプロラクトン及びコポリマー、ポリグリコライド、ポリグリコ−ル酸及びコポリマー、ポリ乳酸及びコポリマー、ポリウレタン及びそれらの混合物を含む。
【００２１】
特に好ましい熱可塑性親水性のポリマーは、熱可塑性ポリエーテルアミドブロックコポリマー（例えば、Ｐｅｂａｘ（登録商標））、熱可塑性ポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー、熱可塑性ポリエステルブロックコポリマー（例えば、Ｈｙｔｒｅｌ（登録商標））、熱可塑性ポリウレタン、典型的には不反応性ポリウレタン（例えば、Ｅｓｔａｎｅ（登録商標）またはそれらの混合物である。
本発明の好ましい実施形態によれば、熱可塑性親水性ポリマー組成物から成る親水性粘着付与樹脂は、高い極性を有しなければならず、前記極性は、好適な極性パラメータによって測定され表される。
代替的には、親水性の粘着付与樹脂のブレンドが、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物から成るとき、前記ブレンドは、少なくとも５０重量％の粘着付与樹脂または前記高極性を持つ樹脂を含まなければならない。好ましくは、前記混合物の各親水性粘着付与樹脂は、前記高極性を有する。
【００２２】
好適な試験方法によって測定された、物質に関する極性、例えばその親水性またはその溶解度（典型的には水中におけるもの）の指標を与えるために有用な公知のパラメータから好適な極性パラメータを選択することができる。例えば、本発明の局面において、物質の極性を測定するための好適な公知の極性パラメータは、釣り合い時の水吸収性、ヒルデブランド（Ｈｉｌｄｅｂｒａｎｄ）溶解度パラメータ、若しくは水との接触角、または二重接触角を有し、これらのパラメータは、物理化学で周知であり、科学技術の文献で見いだされることができる公知の方法によって測定可能である。
本発明のこの好ましい実施形態によれば、粘着付与樹脂の極性を測定する特に好適な極性パラメータは、本明細書で説明した平衡接触角測定方法によって測定された親水性粘着付与樹脂の水との平衡接触角である。水との平衡接触角は、共通の接合面で物質と水滴との間の相互作用によって物質の親水性の測定値を与える。
【００２３】
本発明によれば、本明細書で説明した平衡接触角度測定試験で測定するとき、８６°以下、好ましくは、８４°以下、さらに好ましくは、８２°以下の水との平衡接触角を有する場合、親水性粘着付与樹脂は必要とされる高い極性を有する。
代替的には、適合性を有する親水性付与樹脂のブレンドが、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物から成る場合には、前記ブレンドは、本明細書で説明した平衡接触角度で測定されるとき、８６°以下、好ましくは、８４°以下、さらに好ましくは８２°以下の水との平衡接触角を有する少なくとも５０重量％の粘着性樹脂を含む必要がある。
しかしながら、好ましくは、このようなブレンドの適合性のある各親水性粘着付与樹脂は、上述したような水との好ましい平衡接触角によって表され、必要とされる高極性を有すべきである。
【００２４】
本発明による熱可塑性親水性ポリマーまたは熱可塑性親水性ポリマーの混合物と適合性のある、必要とされる高極性を有する、好適な適合性のある親水性粘着付与樹脂、または親水性粘着付与樹脂のブレンドは、各極性パラメータの値、すなわち、上述するような水との平衡接触角を測定することによって、及び本明細書で説明した試験方法によって利用可能な粘着付与樹脂から当業者が選択することができる。例えば、好適な樹脂は、ハーキュレス社（ＨｅｒｃｕｌｅｓＩｎｃ．）によって生産された粘着性樹脂及びコードＲｅｓＡ−２６９０、ＲｅｓＡ−２６９１、ＲｅｓＡ−２６８２、ＲｅｓＡ−２６８３、ＲｅｓＡ−２６９８である。
【００２５】
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物に含まれる高い極性を有する選択された好ましい親水性粘着付与樹脂または親水性粘着付与樹脂のブレンドは、そのような親水性粘付与樹脂が純粋な熱可塑性ポリマーに３０重量％の水準で加えられ、２つの構成成分の熱可塑性親水性組成物を形成するとき、親水性粘着付与樹脂及び親水性ポリマーによって構成された熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成された５０μｍの厚さの連続フィルムの水蒸気伝達速度（ＷＶＴＲ）は、粘着付与樹脂を含まない純粋な親水性ポリマーから作られた５０μｍの厚さの連続フィルムの少なくとも４０％、好ましくは少なくとも５０％、さらに好ましくは、少なくとも６０％のＷＶＴＲの値を有する値であり、ＷＶＴＲ値は、変更されたＡＳＴＭ　Ｅ９６「直立カップ」法によって測定される。３０重量％は、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物の粘着付与樹脂の典型的な平均付加水準に対応する。
【００２６】
好ましくは、本発明による熱可塑性親水性ポリマー組成物は、粘着付与樹脂のブレンドを含み、さらに好ましくは、ブレンドの各樹脂は、上述した条件を満たす極性パラメータによって選択され、このブレンドは、室温で液体である少なくとも親水性粘着付与樹脂を含み、なぜならば、これは、熱可塑性親水性ポリマー組成物の処理性において有利であるからである。しかしながら、好ましくは、このようなブレンドの粘着付与樹脂の全体が室温で液体であるわけではない。
本明細書で使用する「室温で粘着付与樹脂液体」という用語は、２５℃より低いの軟化点を有する粘着付与樹脂を意味し、前記軟化点は、環球法（ＲｉｎｇａｎｄＢａｌｌＭｅｔｈｏｄ）ＡＳＴＭ　Ｅ２８６７によって評価される。逆に、室温で固体の粘着付与樹脂は、２５℃より高い軟化点を有する樹脂である。この局面において、２５℃の温度が、「室温」に対応する温度であると考えられる。
【００２７】
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物に含まれる上述した熱可塑性親水性ポリマーの熱可塑性親水性ポリマーまたはその混合物は、フィルム、または層形成の典型的な公知の処理、例えば、高い動力のねじ押出機を含む押出処理である処理条件において溶融状態で高い粘度である。例えば、これらは、ＤＳＣ（示差走査熱量計）ピークに相当する、または１つより多くのピークを示しているポリマー混合物の場合にはＤＳＣの最大ピークに相当するものとして同定される温度であるＤＳＣ融点より２０℃高い温度で、そして１ラジアン（ｒａｄ）／秒の振動数で５０００ポアズより高い粘度を有することができる。
したがって、熱可塑性親水性ポリマー（１または複数）と、それに適合性のある親水性の粘着付与樹脂（１または複数）を含む本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物は、処理条件における溶融状態で高い粘度を有することができる。
【００２８】
本発明の好ましい実施形態及び特許出願ＥＰ０９６３７６０またはＥＰ０９６４０２６に開示されている内容によれば、本発明の熱可塑性ポリマー親水性組成物の粘度は、熱可塑性親水性ポリマー組成物に好適な可塑剤または可塑剤のブレンドを含むことによって調整されることが好ましく、この可塑剤はまた熱可塑性親水性ポリマー（１または複数）及び親水性粘着付与樹脂（１または複数）と適合性があり、これは、処理条件における溶融状態の熱可塑性親水性ポリマー組成物の粘度を低下させる。
したがって、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物の粘度は、組成物がどのように処理されるかに依存して可塑剤を好適に選択することによって調整することができる。例えば、フィルム押出技術は、当該技術分野において既知であるように、処理条件下で高い粘度を有する組成物を好適に利用され得る。代替的には、上述した特許出願ＥＰ０９６３７６０及びＥＰ０９６４０２６で説明されるような好適な高温溶融被覆でこの組成物を処理するのが好ましい。これは、処理条件での熱可塑性親水性ポリマー組成物の粘度が所望のさらに低いレベルに調整されなければならないことを意味する。
【００２９】
このような場合、本発明の代替的な実施形態における熱可塑性親水性ポリマー組成物は、それらが好ましくは以下の複素粘性係数（η^＊）を有するように好適な可塑剤または可塑剤のブレンドを含む。
１ラジアン／秒の振動数、２１０℃以下の温度において、５０ポアズ＜η^＊＜４０００ポアズ、好ましくは１００ポアズ＜η^＊＜２０００ポアズ、より好ましくは１００ポアズ＜η^＊＜１０００ポアズであり、１０００ラジアン／秒の振動数、２１０℃以下の処理温度（Ｔ）において、η^＊＜２０００ポアズ、好ましくはη^＊＜１０００ポアズ、より好ましくはη^＊＜５００ポアズであり、η^＊は熱可塑性親水性ポリマー組成物の複素粘性係数を示す。好ましくは、温度Ｔは２００℃以下、さらに好ましくは１８０℃以下、最も好ましくは２００℃〜５０℃である。
【００３０】
本発明の好ましい本実施形態によれば、上述の複素粘性率を有する熱可塑性親水性ポリマー組成物により、必要な厚みを有する層における低粘度の高温溶融組成物を基材上に被覆するための当該技術分野において既知の典型的な被覆条件及び装置を用いて、基材にフィルムまたは層を被覆できる一方、親水性で連続的な、水蒸気透過性で液体不透過性の層またはフィルムを与えるという、好ましい熱可塑性親水性ポリマーの有益な特性も維持できる。
このような粘度を有する熱可塑性親水性ポリマー組成物は、非常に薄いフィルムまたは層を提供することもできる。
本発明の好適な実施形態による熱可塑性親水性ポリマー組成物に含まれる好適な適合性のある可塑剤は、クエン酸エステル、酒石酸エステル、グリセロール及びそのエステル、スクロースエステル、アジペート塩、セバケート、ソルビトール、エボキシダイズ植物性オイル、ポリマライズト植物性オイル、多価アルコール、フタレート、液体ポリエステル、グリセロール、ｐ−トルエンスルホンアミド及び誘導体、グリコール、及びポリグリコール、及びその誘導体、ソルビタンエステル、ホスフェート、モノカルボキシル脂肪酸（Ｃ８〜Ｃ２２）及びその誘導体及びそれらの混合物を含む。
【００３１】
特に好ましい本発明の実施形態によれば、特に好ましい可塑剤は、本発明者らのＰＣＴ国際公開ＷＯ９９／６４５０５に開示される酸、エステル、アミド、アルコール、ポリアルコール、またはこれらの混合物のような親水性可塑剤である。
前記特に好ましい親水性の可塑剤は、同じ組成物を含むが、可塑剤（１つまたは複数）を含まない、熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成された対応するフィルムまたは層と比較するとき、特に高い極性を有し、前記可塑剤または可塑剤のブレンドを含む本発明の好ましい熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成された、結果として生じた層またはフィルムの水蒸気透過性を損なわず、むしろそれ以上の利点を提供する。
もちろん、特に好ましい親水性可塑剤、または親水性可塑剤のブレンドは、所望の厚さを有する薄い層にある基材に前記熱可塑性組成物を被覆することによって処理を可能にするために、本発明の好ましい実施形態による熱可塑性組成物の粘度を好適な値に調整することができる。
【００３２】
本発明の好ましい本実施形態による好適な好ましい可塑剤は、酸、エステル、アミド、アルコール、ポリアルコール、またはこれらの混合物を含み、特に好ましい親水性可塑剤は、クエン酸エステル、酒石酸エステル、グリセロール及びそのエステル、ソルビトール、グリコレート、並びにこれらの混合物である。
上述したうちの一つのような好適な極性パラメータも、本発明の熱可塑性ポリマー親水性組成物の他の構成成分を選択するために使用することができる。特に好ましい熱可塑性親水性ポリマー及び任意に好ましい適合性のある親水性可塑剤は、適合性のある親水性粘着付与樹脂に関してすでに説明したものと同じ原理により、好適な極性パラメータによって、本発明の熱可塑性ポリマー親水性組成物のために選択することができる。同じ極性のパラメータは、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物の異なる構成成分を選択するために使用することができ、または当業者によって決定することができるように、代替的に、異なる構成成分の異なる極性パラメータを使用することができる。
【００３３】
好ましくは、本発明の熱可塑性親水性ポリマーは、熱可塑性親水性ポリマーまたは熱可塑性親水性ポリマーの混合物の、１０重量％〜９９重量％、好ましくは、２０重量％〜７０重量％、さらに好ましくは、３０重量％〜５０重量％の熱可塑性極性親水性組成物、好適な適合性のある親水性粘着付与樹脂または親水性粘着付与樹脂のブレンドの、１重量％〜９０重量％、好ましくは１０重量％〜７０重量％、さらに好ましくは２０重量％〜５０重量％の熱可塑性親水性組成物を含む。
さらに好ましくは、本発明の熱可塑性親水性ポリマーは、好適な適合性のある可塑剤または好適な適合性のある可塑剤のブレンドの、０重量％〜９５重量％、好ましくは１０重量％〜７０重量％、さらに好ましくは２０重量％〜５０重量％の熱可塑性親水性ポリマーを含む。
【００３４】
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物は、さらに、そのような熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成されたフィルムまたは層の、光及び酸素による老化に対する抵抗、見た目の美しさのような他の特徴と同様に、組成物の処理性及び機械的特性をさらに向上させるために追加的な任意の構成成分を含む。
本発明による熱可塑性親水性ポリマー組成物は、少なくとも熱可塑性親水性ポリマーまたはポリマーの混合物、及び好適な適合性のある親水性粘着付与樹脂または適合性のある親水性粘着付与樹脂のブレンド、並びに可塑剤または可塑剤のブレンドのような、上述したいずれの更なる追加的な構成成分を提供し、構成成分を加熱し、それらを例えば、公知の好適なミキサで混合して次の処理ステップのために溶融状態の熱可塑性ポリマー組成物を形成する、これら工程を通常含むいずれの公知の製法で製造することができる。
【００３５】
本発明によれば、水蒸気透過性で液体不透過性の層は本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成することができ、例えば、前記熱可塑性親水性ポリマー組成物を基材に重ねることによって形成することができる。本発明の熱可塑性組成物から形成されるフイルムまたは層は、少なくとも４０μｍの前記層またはフィルムの厚さで、好ましくは少なくとも４００ｇ／ｍ^２・２４ｈ、さらに好ましくは、少なくとも５００ｇ／ｍ^２・２４ｈ、より好ましくは少なくとも６００ｇ／ｍ^２・２４ｈ、最も好ましくは少なくとも１０００ｇ／ｍ^２・２４ｈの蒸気伝達速度を有し、前記水蒸気伝達率は、改変されたＡＳＴＭＥ９６「直立カップ」法によって測定される。より好ましくは、上述したフィルムまたは層は、上記の好ましいＷＶＴＲ水準を有し、この熱可塑性親水性ポリマー組成物は、本発明によると、少なくとも３０重量％の親水性粘着付与樹脂または親水性粘着付与樹脂のブレンドを含む。
【００３６】
他の特性
本発明によれば、水蒸気透過性で液体不透過性の層は、本発明の熱可塑性組成物を基材上に被覆することによって該熱可塑性組成物から形成することができる。
本発明によって熱可塑性組成物からフィルム層を製造する工程は、前記組成物を提供する工程と、前記組成物を加熱して流動可能にする工程と、及び前記組成物を溶融状態で基材上に被覆し、所望の厚さを有する層とする工程とを含む。本発明によれば、熱可塑性組成物及び前記熱可塑性組成物が被覆された基材を含む水蒸気透過性で水不透過性複合材が形成され、そこで前記基材はまた水蒸気透過性である。
【００３７】
このような実施形態は、水蒸気透過性で液体不透過性の複合構造を提供し、本発明の熱可塑性組成物から形成されたフィルム層は、液体バリアの必要な性能を提供しながら、基材にしっかりと結合され、したがって可能なかぎり薄い層を有利に提供することができる。このような方法で、このような実施形態は、蒸気透過性で液体不透過性の複合構造を提供し、本発明の熱可塑性組成物から形成されたフィルム層の複合材料の性能への寄与は、主に液体バリアの提供にある。残存性能の物理的規準は提供された基材によって好ましくもたらされるので、基材は好ましくは支持体層としても作用する。しかしながら、本発明の熱可塑性組成物は、厚目のフィルム層における場合においても高い通気性（高ＷＶＴＲ）を提供するので、フィルム層は、どの用途においてもできるだけ薄くある必要はないということに留意すべきである。好適な基材に適用され、本発明の複合構造体を形成する熱可塑性組成物のフィルム層の典型的な厚さは、２μｍ〜２００μｍの範囲である。
本発明によるフィルム層の組成物との組み合わせによって複合構造体を形成する上述した様式は、優れた保護、優れた使い心地及び使い易さをもたらす寝具用品用使い捨てカバーシートを提供することができると理解されるべきである。
【００３８】
特に、適合性のある親水性粘着付与樹脂または親水性粘着付与樹脂のブレンドを加えることによって、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物に付与される好ましい接着性または粘着性は、事実上、主として、溶融、半溶融またはプラスティク状態で基材、例えば、疎水性合成繊維を含有する不織布層のような繊維基材にフィルムまたは層の接着性を増大させる一方、同時にフィルムまたは層、従って好ましくは層構造体全体の高通気性を維持する。これはまた、結果的に生じる複合構造体のさらなる一体性をも提供し、したがって、熱可塑性親水性ポリマー組成物の非常に薄い層で、例えば、使用中の層の剥がれに対する抵抗性がより増し、例えば、親水性粘着付与樹脂または本発明による親水性粘着付与樹脂のブレンドを含まない同様の組成物から形成された同じ厚さの層と比較した場合、前記組成物の改良された接着性及び結果として生じた複合構造体のさらに良好な抵抗性は、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成された層の水蒸気伝達性能への非常に限られた、または全く損なわれない効果を組み合わせる。
【００３９】
さらに、本発明の親水性粘着付与樹脂または親水性粘着付与樹脂のブレンドを含まない同様の組成物から形成された同じ厚さの層と比較するとき、本発明による好ましい親水性粘着付与樹脂はまた、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成された層の水蒸気伝達速度を増大する。
本発明における水蒸気透過性で液体不透過性構造体をつくるための熱可塑性親水性ポリマー成分は、典型的には溶融、半溶融またはプラスチック状態で所望の接着性または粘着性を備えるようにこれまで説明してきた。これは、好適な基材、例えば、疎水性繊維を含む好ましい不織布のような非常に低い極性を有する基材に、層またはフィルムのように直接形成された熱可塑性親水性ポリマー組成物を持つ、例えば、さらに安定した水蒸気透過性で液体不透過性層の複合構造体を形成するために、本発明の好ましい実施形態において望ましく、前記基材への増大した接着性は、結果として生じる層またはフィルムの水蒸気透過性を損なうことがない。
【００４０】
しかしながら、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物はまた、感圧接着性能を有するために、すなわち、熱可塑性ポリマー組成物がどのような温度でも粘着性を残すように配合されることもできる。
基材または支持層は、好ましくは少なくとも４００ｇ／ｍ^２・２４ｈ、さらに好ましくは少なくとも５００ｇ／ｍ^２・２４ｈ、及び最も好ましくは少なくとも６００ｇ／ｍ^２・２４ｈの水蒸気透過性を有する、水蒸気が透過できるいずれの有用な層であってよい。
本明細書の使用に好ましい支持体層には、織布及び不織布層、最も好ましくは疎水性の不織布のような疎水性の繊維性の層が挙げられる。非制限的な例として、ドイツのＢＢＡ不織布グループ、コロビン（Ｃｏｒｏｖｉｎ）によってコードＭＤ３０００として市販されている２５ｇ／ｍ^２のＳＭＳ（スパンボンドメルトブロウンスパンボンド（Ｓｐｕｎｂｏｎｄｅｄ−Ｍｅｌｔｂｌｏｗｎ−Ｓｐｕｎｂｏｎｄｅｄ））の疎水性１００％ポリプロピレン不織布、またはイタリアのテクノフィブラ（Ｔｅｃｎｏｆｉｂｒａ）によってコードＴＪＥＴ　Ｃ５００のとして市販されている５０ｇ／ｍ^２のスパンレースの不織布がよく機能する。
【００４１】
本発明による構造体でさらなる層として本明細書の使用に好適な基材は、二次元の平面状ミクロ及びマクロ孔フィルム；巨視的に伸長されたフィルム；開口形成フィルム；不織布及び織布層もまた挙げられる。本明細書の使用に好適な巨視的に伸張されたフィルムには、例えば、米国特許第４，６３７，８１９号及び米国特許第４，５９１，５２３号中に記載されているようなフィルムが挙げられる。
本発明による好ましい実施形態の構造体は、それらが、所望の厚さを持つフィルム層として支持基材の上に適用され得る熱可塑性組成物において、複合組成物を提供することができるという理由で特に有利である。熱可塑性組成物を所望の厚さで提供するために、低粘度高温溶融を直接被覆するための当該技術分野で知られている典型的な被覆条件や装置を、容易に使用することができる。
【００４２】
支持体層として作用する基材上に前記熱可塑性組成物を被覆することにより複合ラミネートを形成する可能な方法は、ＰＣＴ国際公開第９６／２５９０２号中に記載されている。
少なくとも被覆温度で、層形態の前記熱可塑性組成物は、好ましい複合体を形成するために、接着剤特性を好ましくは支持基材上で示すので前記熱可塑性組成物と前記基材間の永久的な結合を達成するために更なる接着剤は必要ではない。
本発明の好ましい実施形態による熱可塑性親水性組成物を好適な基材に被覆することによって形成された水蒸気透過性で液体不透過性複合構造体は、本発明による水蒸気透過性で液体不透過性の使い捨てマットレスカバーを構成する構造体として特定の有効性を見出す。
【００４３】
（実施例）
商標名ペバックス（Ｐｅｂａｘ）２５３３ＳＮの名称で市販され、フランスのアトフィナ（ａｔｏｆｉｎａ）社から入手可能なポリエーテルアミドブロックコポリマーを、アルドリッチ（Ａｌｄｒｉｃｈ）社から入手可能なトリブチルシチレート（可塑剤）、ハーキュレス社（Ｈｅｒｃｕｌｅｓ）社から入手可能なＲｅｓＡ−２６９１（粘着剤樹脂）及びチバガイギー（ＣｉｂａＧｅｉｇｙ）社から入手可能なＩｒｇａｎｏｘ　１０１０と配合する。
重量パーセントでの最終処方は次の組成を有している：
【００４４】
【表１】

【００４５】
このブレンドは、２０ｇ／ｍ^２の基礎重量を有するフィルムを得るために溶融押出される。このフィルムは、ドイツのコロバン（Ｃｏｒｏｖｉｎ）ＢＢＡ不織布グループ（ＮｏｎｗｏｖｅｎｓＧｒｏｕｐ）から商品名ＭＤ３０００として市販されているＳＭＳ（ＳｐｕｎｂｏｎｄＭｅｌｔｂｌｏｗｎＳｕｐｕｎｂｏｎｄ構造）の疎水性１００％のポリプロピレン不織布２５ｇ／ｍ^２（支持層）によって構成された基材に直接被せられる。
この複合材は、厚さ２３０μｍ、５．１に等しい比Ｒ、８４６ｇ／ｍ^２・２４ｈのＷＶＴＲ、１７ｃｍのＨＨ値を有する。
【００４６】
この複合物構造体は、本明細書の図示されるようにマットレスカバー、例えば、ベッドマットレスカバーを製造するために使用される。それは、ベッドマットレスの少なくとも上面を完全にカバーする好適な寸法を有する平坦な矩形の形状を有し、熱可塑性組成物のフィルム層２は、使用に当たってマットレス４に面し、直接接触するようになっている。特に寸法は、図３に示すように、ベッドマットレスの上面を完全に、またはほぼ完全に、及びその側面を部分的に覆うように、巾１．６４ｍ、長さ１．９６ｍとする。マットレスカバーの４つのコーナーは、使用前に接着剤を保護するリリースライナ５を外した後、４つの接着剤細片３によってベッドマットレスのコーナーに固着される。接着材は、例えば、生理用ナプキンのパンティ固定接着剤を製造する際に、通常使用される従来の感圧接着剤である。
【００４７】
比較の結果
上述した使い捨て可能なマットレスカバーは、内部試験においてイタリアのＷ．Ｌ．ゴア（Ｇｏｒｅ）＆アソシアチ（Ａｓｓｏｃｉａｔｉ）Ｓ．ｒ．Ｌによって製造された全体を包む、再利用可能なマットレスカバーで、ダブルベッドのマットレスの場合、８．６ｍ^２の全表面積を有するインターベント（Ｉｎｔｅｒｖｅｎｔ）（登録商標）と比較された。。その厚さは２５０μｍであり、基礎重量は１３０ｇ／ｍ^２、比Ｒは１．９２、ＷＶＴＲは２３４５ｇ／ｍ^２・２４ｈ、及びＨＨは３００ｃｍより大である。
一方が柔軟性の評価であり、他方が不快音の評価である２つの内部試験が実行された。各試験は、インターベント（Ｉｎｔｅｒｖｅｎｔ）（登録商標）と本発明のマットレスカバーとの直接比較である。この試験は以下の方法により実行された。
【００４８】
（切断された）インターベント（Ｉｎｔｅｒｖｅｎｔ）（登録商標）のＡ４の寸法（２１０×２９７ｍｍ）のシートと、例に図示したような本発明のマットレスカバーの同じ寸法のシートについて、感的及び質的な直接比較を行うよう、２０人（Ｐ＆Ｇの雇用者）が指示された。
各人に、始めは片方ずつ、次いで一度に両方のシート（試料）に触れるように指示したが、２つの試料の異なる外観による影響を避けるために、それらを触ることはできるけれど見ることができないように、シートを２つの箱に隠した。
このシートは、３人がそれらを試験した後、新しいものと交換された。
各試験の最後に、どちらが好ましいか、またはどちらも好ましくない場合はその旨の評価を下した。
不快音と柔軟性の、２つの別個の試験が各々２０人によって実施された。
次の結果が得られた。
【００４９】
【表２】

【００５０】
本発明の製品はより不快音がなく、より柔軟性があるとことは上述したデータから明らかであり、本発明による製品の他の特性と組み合わされると使い心地がさらに向上する。
【００５１】
試験方法
本発明によれば、複素粘性係数η^＊は、レオメトリックス社（ＲｈｅｏｍｅｔｒｉｃｓＣｏ．）から入手可能なレオメータＲＤＡＩＩを使用して測定される。水蒸気透過性は、改変されたＡＳＴＭ　Ｅ９６「直立カップ」法によって、２５℃の水蒸気伝達速度（ＷＶＴＭ）及び５５％の相対湿度として測定される。標準ＡＳＴＭ　Ｅ９６「直立カップ」法に対する唯一の変更は、カップ内の試料と水表面との間の空隙の高さにおける変更であり、その高さは標準の試験方法に記載されているように１９ｍｍ±２．５ｍｍの代わりに３ｍｍ±０．５ｍｍとする。
樹脂の軟化点は、環球法ＡＳＴＭ　Ｅ２８６７によって測定される。厚さまたは厚みは、ＳＣＡＮＰ７：５５法によって測定される。静水ヘッド値（ＨＨ）は、ＤＩＮ５３８８６法によって測定され、ｃｍ（センチメートル）で報告される。
【００５２】
平衡接触角測定試験
以下に説明する試験方法は、本発明によって熱可塑性親水性ポリマー組成物に含まれることを目的とする粘着付与樹脂の水との平衡接触角を測定することを意図している。この技術分野で知られているように、接触角は、固体が液体によって濡れる、または濡れない現象の測定値である。平衡接触角は、表面が平衡のときに、物質の表面に、平衡におかれている液体の水滴に関して測定される。水滴の基線と水滴の境界の接線との間の角度が測定される。
【００５３】
装置
気候的に制御された実験室は、２５℃及び５５％の相対湿度に維持された。
水滴形状分析システムＤＳＡ１０は、ウインドウズ（Ｗｉｎｄｏｗｓ）’９５ＮＴ用のＶｉｄｅｏ測定システムＤＳＡ１及びＤＳＡソフトウエアバージョン１．５を備えている。
（３０ｍｍの長さ及び０．５ｍｍの直径を有する）Ｇ１０６０の１ｍｌの注射器Ｇ１０６１針を持つ投与ユニットＧ１０２３
顕微鏡ガラススライド１０ｍｍ×３０ｍｍ
条件炉
システムＤＳＡ　１０、及びＧ１０２３、Ｇ１０６０，Ｇ１０６１などのＤＳＡソフトウエアを持つ付属品ＤＳＡ　１、は、クルス社（ＫｒｕｓｓＧｍｂＨ）（ハンブルグ（Ｈａｍｂｕｒｇ）Ｄ２２４５３）よって販売されている。
次に説明するような試料及びコンタクト角度測定の準備が、気候的に制御された実験室で実行された。
【００５４】
試料の調製
水との平衡接触角の測定用の試料である樹脂の準備は次のステップを含む。
１．好適な有機溶媒で１０重量％の樹脂の溶液を準備する。高希釈液は、非常に低い粘度を持つ溶液をもたらす。本発明の局面で使用すべき粘着付与樹脂を溶解する好適な溶液が選択され、これは、迅速に蒸発する。したがって、好適な溶剤が１００℃以下で、好ましくは、８０℃以下での大気圧で沸点を有しなければならない。本試験法によってテトラヒドロフランが特に好適な溶剤として選択された。
２．（メタノールで前もって十分に清浄にされ乾燥された）清浄な顕微鏡のガラススライドを完全に溶液に浸ける。
３．溶液からスライドをゆっくり取りだし、それを約１０秒間垂直に維持し、両面に均一な被覆をつくる。この溶液は、ほとんど直ぐに蒸発し、ガラス面に均一な厚さで円滑な表面を有する非常に薄い樹脂の連続層が残される。目視検査でこれらの特性を有さない試料は、廃棄されなければならない。
【００５５】
４．表面に接触することなく約１０分間試料を空気で乾燥させる。
５．４０℃の温度及び８５％の相対湿度で、少なくとも１２時間、試料を調整炉に配置する。
６．調整炉から試料を取り出し、気候実験室でそれを２５℃の室温になるまで、約２０分間冷却させる。
７．平衡接触角を測定する。接触角が実際に実施されるガラススライドの側面のいずれかに関係なく、スライドの選択された側で樹脂被覆が工程（３）で説明したように均一で円滑な表面を有する。
【００５６】
接触角測定
接触角測定は、ドロップ形状分析システムＤＳＡ　１０によって実施され、これは、ＤＳＡソフトウエアを持つビデオ測定システムＤＳＡ　１及びＧ１０６０注射器及びＧ１０６１の針を持つ投与ユニットＧ１０２３を備えている。
ＨＰＬＣ（高性能液体クロマトグラフィ）に使用される液体は、蒸留水である。
平衡接触角の測定は、上に列挙した各付属品を含むＤＳＡ　システムを備える標準的な使用上の指示によって実行される。
測定は、大気及び室内の条件、すなわち、２５℃及び５５％の相対湿度で実施される。この試料は、ＤＳＡ　システムの試料段階における使用上の指示に従って配置される。
測定される試料の表面は水平にされる。
【００５７】
水滴が、Ｇ１０６１の針を持つ注射器Ｇ１０６０によって試料の表面に配置される。水滴の容積は、水滴の直径が１〜２ｍｍの範囲になるように、注射器のマイクロメータの配分ねじによって慎重に制御されなければならない。接触角は、この範囲内で、水滴の寸法とは独立している。
平衡接触角の測定は、ビデオ測定システムＤＳＡ　１及びＤＳＡソフトウエアを持つドロップ形状分析システムＤＳＡ　１０によって自動的に実行される。ビデオ測定システムは、試料の表面に配置された水滴の一連の動きを記録し、この測定は、実際に第１のフレームで実施され、そこでは、水滴は平衡接触角を有するために試料の表面に静止している。
各試料において、５つから７つの異なる測定が表面の異なる点で実施される。得られた最高値と最低値は破棄され、残った値が平均化されて、検査で各試料について決定されるべき代表的な平衡接触角の値を確実にする。
【００５８】
前述した試料の準備手順によってガラススライドに形成された非常に薄い樹脂層の場合には、室温で固体の樹脂だけではなく、室温で液体の樹脂の場合にも、水との平衡接触角の有効で信頼性のある測定を提供し、この説明で予め成された定義によって室温で「固体」及び「液体」であることが意図されるべきである。後者の場合において、事実、ガラススライドは、有効な支持体を持つ非常に薄い試料の樹脂層を提供し、樹脂に対して高密度の水によって生じる不利な効果を回避する。換言すれば、ガラス基材によって支持された非常に薄い樹脂層と、水滴が試料表面に配置された後、平衡接触角の自動的な測定に必要とされる非常に短い時間（数秒）との組み合わせ効果は、水滴の重量下、水平で平坦な樹脂面の起こり得るいかなる変形を防ぎ、したがって、正しい平衡接触角の測定を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明による使い捨てマットレスの概略平面図である。
【図２】線Ａ−Ａに沿って切断された図１の使い捨てマットレスカバーの断面図である。
【図３】マットレスに適用されたマットレスカバーを示す図である。

Claims

少なくとも水蒸気透過性繊維層と、液体不透過性であるが前記繊維層に貼り付けられる熱可塑性組成物の水蒸気透過性フィルム層とを含む、水蒸気透過性で液体不透過性の使い捨て寝具用品用カバーシートであって、
前記カバーシートは、少なくとも４００ｇ／ｍ^２・２４ｈの水蒸気伝達速度（ＷＶＴＲ）と、少なくとも１ｃｍの静水ヘッド（ＨＨ）値と、少なくとも２．５のｇ／ｍ^２で表された基礎重量に対するマイクロメータで表された厚みの比Ｒとを有し、
前記水蒸気伝達速度、前記静水ヘッド及び前記厚みは、本明細書に記載の試験方法によって測定されることを特徴とする水蒸気透過性で液体不透過性の使い捨て寝具用品用カバーシート。
前記熱可塑性組成物は、熱可塑性親水性ポリマー又は熱可塑性親水性ポリマーの混合物と、適合性のある親水性粘着付与樹脂または代替的に適合性のある親水性粘着付与樹脂のブレンドのいずれかとを含み、
前記熱可塑性親水性ポリマーまたは代替的に前記混合物の前記熱可塑性親水性ポリマーの各々は、ポリウレタン、ポリエーテルアミドブロックコポリマー、ポリエチレンアクリル酸、及びポリエチレンメタクリル酸コポリマー、ポリエチレンオキシド及びそのコポリマー、エチレンアクリルエステル及びエチレンメタクリルエステルコポリマー、ポリラクチド及びコポリマー、ポリアミド、ポリエステル及びコポリエステル、ポリエステルブロックコポリマー、スルホン化ポリエステル、ポリエーテルエステルブロックコポリマー、ポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリル酸及び誘導体、イオノマー、２８重量％より大きい含有量のビニルアセテートを有するポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルアルコール及びそのコポリマー、ポリビニルエーテル及びそのコポリマー、ポリ２−エチルオキサゾリン及び誘導体、ポリビニルピロリドン及びそのコポリマー、熱可塑性セルロース誘導体、ポリカプロラクトン及びコポリマー、ポリグリコライド、ポリグリコール酸及びコポリマー、ポリ乳酸及びコポリマー、ポリ尿素、又はそれらの混合物から成る群から選択され、
前記適合性のある親水性粘着付与樹脂は、本明細書に記載の平衡接触角測定試験により測定する際、８６°以下、好ましくは８４°以下、さらに好ましくは８２°以下の水との平衡接触角を有し、
前記適合性のある親水性粘着付与樹脂のブレンドは、本明細書に記載の平衡接触角測定試験により測定する際、８６°以下、好ましくは８４°以下、さらに好ましくは８２°以下の水との平衡接触角を有する適合性のある親水性粘着付与樹脂を少なくとも５０重量％含むことを特徴とする請求項１に記載の水蒸気透過性で液体不透過性の使い捨て寝具用品用カバーシート。
前記熱可塑性組成物は、好適な適合性のある可塑剤又は好適な適合性のある可塑剤のブレンドをさらに含み、前記好適な適合性のある可塑剤または代替的に前記好適な適合性のある可塑剤のブレンドの各可塑剤は、クエン酸エステル、酒石酸エステル、グルセロール及びそのエステル、スクロースエステル、アジペート、セバケート、ソルビトール、エポキシ化植物油、重合植物油、ポリオール、フタレート、液体ポリエステル、グリコール及びｐ−トルエンスルホンアミド及び誘導体、グリコール酸エステル及びポリグリコールとそれらの誘導体、ソルビタンエステル、ホスフェート、モノカルボキシル脂肪酸（Ｃ_８〜_２２）及びそれらの誘導体、並びにそれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする請求項２に記載の水蒸気透過性で液体不透過性の使い捨て寝具用品用カバーシート。
前記水蒸気伝達速度（ＷＶＴＲ）が少なくとも５００ｇ／ｍ^２・２４ｈ、好ましくは、少なくとも６００ｇ／ｍ^２・２４ｈであることを特徴とする請求項１〜３のいずれか一項に記載の水蒸気透過性で液体不透過性の使い捨て寝具用品用カバーシート。
前記静水ヘッド（ＨＨ）値は、少なくとも１０ｃｍ、及び／又は、前記比Ｒが少なくとも３．５であることを特徴とする請求項１〜４のいずれか一項に記載の水蒸気透過性で液体不透過性の使い捨て寝具用品用カバーシート。
前記カバーシートは、１５．０ｍ^２〜０．３ｍ^２、好ましくは８．０ｍ^２〜０．５ｍ^２の矩形の形状及び表面積を有する使い捨てマットカバー及び使い捨て枕カバーであることを特徴とする請求項１〜５のいずれか一項に記載の水蒸気透過性で液体不透過性の使い捨て寝具用品用カバーシート。
４．０ｍ^２〜１．０ｍ^２の表面積を有する請求項６に記載の使い捨てマットレスカバー。
ストリップ３の形態で、少なくとも４つの接着手段を有する請求項７に記載の使い捨てマットレスカバー。