JP2004505294A - 表面プラズモン・ポラリトン・バンドギャップ構造 - Google Patents
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- G02F2203/00—Function characteristic
- G02F2203/10—Function characteristic plasmon
Abstract
本発明は、表面プラズモン・ポラリトン・バンドギャップ(SPPBG)領域を使用して表面プラズモン・ポラリトン(SPP)の伝播を制御する方法と装置を提供する。SPPBG領域とは、SPPの電磁界が伸展する媒体の誘電特性の周期変調をSPPが経験するようなSPPの伝播をサポートする1つかそれ以上の界面領域のことである。バンドギャップの周波数範囲は変調の周期によって決定される。SPPBG領域では、そのバンドギャップ内の周波数を有するSPPの伝播が禁止される。SPPBG領域中に透過領域を形成することによって、本発明は超小型SPP導波管を提供する。本発明を利用して小型集積SPP/光回路を形成してもよい。また、本発明は電磁界局在化のSPP定在波をサポートするキャビティを提供する。この電磁界局在化は非常に高い界強度を提供でき、様々なセンサ応用で使用できる。本発明の装置は、SPPが二次元界面上を伝播し、伝播の平面中への閉じ込めだけを必要とするため、フォトニック素子に対して多数の利点を提供する。このため、本発明による装置の製造は非常に簡単になる。
Description
【0001】
発明の分野
本発明は、表面プラズモン・ポラリトン・バンドギャップ(SPPBG)領域を使用して表面プラズモン・ポラリトン(SPP)の伝播を制御する方法と装置を提供する。SPPBG領域とは、SPPの伝播をサポートする1個かそれ以上の界面領域(インターフェース)のことであり、この領域では、SPPはその電磁界が広がる媒体の誘電特性における周期的変調を経験する。バンドギャップの周波数範囲は変調周期によって決定される。SPPBG領域では、そのバンドギャップ内の周波数を有するSPPの伝播が禁止される。
【0002】
SPPBG領域中に透過(伝送)領域を形成することによって、本発明は超小型SPP導波管を提供する。本発明を利用して、小型集積SPP/光回路を形成することができる。また、本発明は、フィールドローカライゼーション(電磁界の局在化)のためのSPP定在波をサポートするキャビティを提供する。このフィールドローカライゼーションは非常に大きいフィールド強度を提供することができ、種々のセンサへの応用において使用できる。
【0003】
本発明の装置は、SPPが二次元界面上を伝播し、伝播の平面中への閉じ込めだけを必要とするため、フォトニック素子に対して多数の利点を提供する。このため、本発明による装置の製造は非常に簡単になる。
【0004】
発明の背景
表面プラズモン・ポラリトンは導体材料と誘電体材料との間の界面に沿って伝播する準二次元電磁(電磁)モードである。図1は、金属2と空気5との間の界面4に沿って伝播するSPPを示す。電磁界振幅6は、図1に例示されているように、界面4に対して垂直な方向の2つの隣接する媒体中で指数関数的に減衰する。
【0005】
通常、SPPは、レーザ・ビームからの電磁放射の伝播をSPPの伝播定数βに一致させることによって励起され、それによって電磁界はSPPにカップリングされる。図1は、ガラス基板3の上に蒸着された金属膜2のガラス−金属界面1または空気−金属界面4でのクレッチマン(Kretschmann)構成におけるSPP励起の概略を示す。ガラス基板3の裏面上のガラス・プリズム7を通る光の入射角θを調整して、β=(2π/λ)nsinθ、ただしnはガラスの屈折率、という一致条件を満足させる。正確な位相整合条件によってプラズモンがどの界面にカップリングされるかが決定されるが、金属膜3は通常電磁界振幅6の横方向範囲よりはるかに薄いので、SPPはまず誘電体層3及び/または5中を伝播し、その後金属−誘電体界面2及び/または4を伝播すると考えられる。
【0006】
このようなカップリングを行ういくつかの方法と装置は周知である。例えば、図1で例示されまた米国特許第4,565,422号に記載されているプリズムカップリング器や、米国特許第4,567,147号及び米国特許第4,765,705号に記載されている回折格子結合器がある。伝播するSPPは、同様の装置を使用することで再びフォトンに変換される。
【0007】
SPP伝播を管理することのできるいくつかの簡単な光学素子がスモリャニノフ(Smolyaninov)他によって示唆されている(「Phys.Rev.」B56、1997、1601)。こうした素子は、ホイヘンス−フレネル(Huygens−Fresnel)原理による表面欠陥上の回折及び屈折を利用している。
【0008】
表面プラズモン・ポラリトン・バンド構造の存在は、シェラー(Scherer)他「Journal of Lightwave Technology」17、1999、1928)、スモリャニノフ他(「Phys.Rev.」B59、1999、2454)、及びキトソン(Kitson)他(1996)(「Phys.Rev.Lett.」77、1996、2670)といった多数の論文で言及されている。こうしたバンド構造は、金属−誘電体界面に製作される周期構造から生じる。励起されたSPPが周期構造に沿って伝播すると、SPP伝播定数は周期的に変調され、最終的に「プラズモン・バンドギャップ」効果を生じる。
【0009】
二次元結晶におけるプラズモン・バンドギャップ構造はキトソン他によって報告されている(1996)。この論文は、この説明の図1に関連して説明されたプリズムを使用するテクスチャ付き界面上のフォトンのSPPへのカップリングを記述しており、このテクスチャは周期的な六角形パターンを描いている。入射レーザ・ビームの反射は界面上のフォトンのSPPへのカップリングの尺度であり、この論文の図3は結果として得られるカップリング領域の反射率を例示している。すなわち、図3は、1.91〜2.00eVの区間のエネルギーを有するフォトンについての例示であり、対応するSPPについてのプラズモン・バンドギャップを例示するSPPへのフォトンの不良カップリングが存在する。
【0010】
キトソン他のさらに別の論文(「J.Appl.Phys.」、84、1998、2399)は金属ミラーを使用するマイクロキャビティ(例えば、有機LED)における損失の低減に関する。この論文は金属ミラー中のマイクロキャビティ・モードからSPPモードへの非放射性カップリングによる損失を回避する方法を提案している。テクスチャ付きミラー表面を使用して、バンドギャップが導入され、バンドギャップ内のエネルギーを有するSPPへのカップリングを禁止する(このカップリングの禁止は、前の節の同じ著者による論文、キトソン他(1996)で詳細に説明されている)。バンドギャップをマイクロキャビティ・モードに同調することによってマイクロキャビティ・モードのカップリング損失が減少する。この論文は1個の金属ミラーの一次元テクスチャを伴うマイクロキャビティを説明している。
【0011】
フォトニックバンドギャップ(PBG)材料は、導波、光局在化、ベンドについての低損失、及び強い波長依存性を持つ光透過を提供するために使用されている。フォトニックバンドギャップ効果は、原子格子中の電子が経験する効果と同様の散乱の波長スケール周期構造による光の周期的散乱に依存し、すなわち、フォトン/電子エネルギーは、伝播状態が防止されるギャップによって分離されたエネルギーバンドに配置される。既存のPBGによる構造は三次元周期構造を利用するが、これは製作が困難であり、設計の柔軟性はきわめて小さい。また、既存の平面PBGによる導波管は、面外次元において高い光損失を有する。
【0012】
発明の概要
電磁放射を導波及び局在化する方法と装置を提供することが本発明の目的である。
【0013】
電磁放射を導波するほぼ二次元の構造を提供することが本発明の別の目的である。
【0014】
導波管、ベンド、スプリッタ、結合器、フィルタ、多重装置、多重分離装置、干渉計、共振器、センサ、同調可能フィルタ、増幅器、スイッチ、センサ等といった受動及び能動素子を備える小型低損失光集積回路を提供することが本発明のさらなる目的である。
【0015】
サイズが小さいため、周知の光回路より高速度で信号を処理することのできる小型低損失光集積回路を提供することが本発明のまたさらなる目的である。
【0016】
製作が容易で安価な小型低損失光集積回路を提供することが本発明のまたさらなる目的である。
【0017】
センサ応用で使用するため、局在化された高強度電磁界を提供することが本発明のまたさらなる目的である。
【0018】
本発明は、表面プラズモン・ポラリトン・バンドギャップ(SPPBG)構造における表面プラズモン・ポラリトン(SPP)の被制御伝播を提供する方法と装置を提供することによってこれらの目的を達成する。SPPBG構造中に周期的変調のない状態のチャネルを置くことによって、本発明はSPPBG構造における超小型導波管、すなわち、SPPのエネルギー/周波数依存導波を提供し、これを利用して小型光集積SPP/回路を形成することができる。
【0019】
すなわち、本発明は、対応するSPP界を導波及び/または局在化することによって、二次元システム中の光信号を処理することに基づいている。電磁界(SPP)を伝播させる界面への光信号のカップリングは、回折格子またはプリズム結合器を使用する導体薄膜中で、100%に近い変換効率でなされる。SPPはフォトンと非常に類似した波長を有し、バンドギャップ効果を使用する同じ信号処理の機会が利用できる。
【0020】
SPPの重要な特性として、電磁界の導体−誘電体に沿った伝播が制約されることがあり、そのためSPP素子は二次元システムとみなされる。しかし、SPPの同様に重要な特性として、電磁界はその二次元界面の上及び/または下の誘電体材料中に広がり、そのためSPPの伝播は誘電体材料の特性に依存する(金属層が薄ければ、界は層の両面で誘電体材料中に広がる)。従って、フォトンと比較して、SPPの散乱に関する特性は異なっている。SPPと相互作用する界面の散乱中心は、フォトンとして界面から離れて伝播する散乱電磁界に帰結するか、またはSPPとして界面に留まる。SPPのビームの散乱がSPPのビームに直接カップリングされないモードのカップリング電磁放射に帰結する場合、重大な損失をもたらすことになる。
【0021】
装置は、SPPを保持する導体−誘電体界面の付近に他の導体−誘電体界面を備えてもよい。そうした界面同士がSPPの電磁界の範囲よりも近づいている場合、SPPは他の界面でSPPモードにカップリングされることもある。金属膜のように、導体材料が非常に薄い場合、それ自体がSPPモードをサポートする2つの界面を提供できる。導体材料の薄層の1個の界面のSPPモードにカップリングされたSPPは、他の界面のSPPモードともカップリングされ得る。このモードの組み合わせは、図1Bに示されるように、両方の導体−誘電体界面上を伝播するか、またはそれに結び付けられる2つのカップリングモードを生成する。導体層2で高い電磁界振幅を有する対称モード8は両側の誘電体層3及び5に広がり、非対称モード9は導体層2で低い電磁界振幅を有し、誘電体層3及び5で高い振幅を有する。対称層8は図1Aの1個の界面上を伝播する通常のSPPモード6と同様である。しかし、非対称モード9は、長距離表面プラズモン・ポラリトン(LR−SPP)と呼ばれるものを示す(例えば、S.Glasberg、Appl.Phys.Lett.70、1210(1997)及びその参考文献参照)。LR−SPPは、導体層2での振幅が小さいため少ない減衰で伝播できる。本発明の用語法においては、SPPとは1個の界面上を伝播するSPPであることも、導体薄層の2つの界面上を伝播するLR−SPPであることもある。
【0022】
しかし、本発明の好適実施形態によって行われた実験が示すところによれば、SPPの散乱による損失にもかかわらず、SPPBG構造を使用してSPPの局在化を提供し、その結果数波長及びそれより長い距離にわたる導波も可能であるが、このことは特にLR−SPPをサポートする構造について当てはまる。
【0023】
第2の媒体に対して第1の界面を有する第1の媒体であって、前記界面は表面プラズモン・ポラリトンを導波するようになっており、少なくともほぼ平面であるものと、
複数の散乱中心であって、それぞれの散乱中心は、前記第1の界面に少なくともほぼ平行な平面中の断面が、前記平面における周辺エリアの複素誘電率と異なった複素誘電率を有するエリアである領域であるもの、とを備え、
前記第1の界面に対して少なくともほぼ垂直な前記散乱中心の突起は、前記第1の界面上に1個またはそれ以上の非透過部分と1個またはそれ以上の透過部分を画定するものであって、この画定は、前記非透過部分中に突出した散乱中心の所定の少なくとも周期的なパターンを形成し、それによって前記非透過部分を、前記第1の周波数を有するSPPの伝播を少なくともほぼ禁止するSPPBG(表面プラズモン・ポラリトン・バンドギャップ)領域と成し、かつ前記1個のまたはそれ以上の透過部分中に前記所定のパターンを形成しないことによって行われるものであり、さらに
前記複数の散乱中心は、前記第1の界面上で1個またはそれ以上の非透過部分によって少なくとも部分的に取り囲まれる少なくとも1個の透過部分を画定するように配置される。
【0024】
表面プラズモン・ポラリトンは、2つの材料間の界面上を電荷密度振動として伝播する電磁波である。電磁波が界面上を伝播するためには、界面は、その波の周波数においてAC導電性を有する第1の材料と、第2の材料との間になければならず、これら2つの材料はどちらもその波の周波数で電磁放射に対して透明である。これらの条件は、材料の周波数依存複素誘電率εで表される。
【0025】
材料の誘電特性は、印加される電磁界の周波数に強く依存する。材料が負または正の実数部分Re(ε)を伴う複素誘電率εを有する周波数範囲は、材料中の自由及び拘束電荷の特性といったいくつかの特性に依存する。通常、所与の温度、圧力等の各材料または材料組成について、それより上では材料の複素誘電率が正の実数部分Re(ε)>0を有し、それより下では材料の複素誘電率が負の実数部分Re(ε)<0を有するというような周波数が存在する。すなわち、第1及び第2の周波数範囲は通常一端でのみ拘束されている。
【0026】
従って、好適には、界面は、第1の周波数範囲で負の実数部分Re(ε1)<0を伴う第1の複素誘電率ε1を有する第1の媒体と、第2の周波数範囲で正の実数部分Re(ε2)>0を伴う第2の複素誘電率ε2を有する第2の媒体との間にある。第1及び第2両方の周波数範囲は第1の周波数を含む。第1の界面を形成する2つの材料は好適には導体材料と誘電体材料であり、導体材料は第1の媒体であり、誘電体材料は第2の媒体である。
【0027】
非透過部分は、第1の周波数を有する伝播SPPが、SPPの伝播を少なくともほぼ防止するSPPBGに遭遇する部分である。SPPBGがSPPの伝播を防止する周波数範囲は、突出散乱中心の少なくともほぼ周期的なパターンの空間周期に依存する。透過部分は、第1の周波数を有するSPPが自由に伝播できる部分である。しかし、透過部分が第1の周波数と異なった周波数を含まないバンドギャップを有するSPPBGを確立することがあるため、透過部分は必ずしもあらゆる周波数のSPPの伝播をサポートするわけではない。
【0028】
すなわち、透過部分は、非透過部分と異なる突出散乱中心のパターンを有するか、または突出散乱中心の周期パターンを少なくともほぼ有さないかの何れかである。従って、透過部分はまた、所定のパターンと異なった空間周期を有する突出散乱中心の少なくともほぼ周期的なパターンを備えることがある。それゆえに、第1の界面の透過部分は、所定のパターンと同様であるが、1個かそれ以上の異常、欠落または変位した散乱中心の結果から生じるような偏差を有する突出散乱中心を備え、その場合第1の界面の透過部分はSPPBGを確立しないことがある。
【0029】
所定の周波数範囲内の周波数を有するSPPは、第1の界面の非透過部分上を伝播できず、透過部分上を伝播しうる。従って、所定の周波数範囲内の周波数を有し、透過部分上を伝播するSPPは、透過部分と非透過部分との間の界面に入射すると少なくとも部分的に反射される。
【0030】
SPPBG効果を提供するためには、散乱中心は伝播するSPPから見て周期パターンを形成すべきであり、すなわち、このパターンは、SPPが伝播する第1の媒体の第1の界面に少なくともほぼ平行な範囲を有する。これは、全ての散乱中心がほぼ同じ平面中になければならないという意味に解釈されるべきではない。実際には、散乱中心は第1の界面から種々の距離にあり、そのため全体的なSPPBG効果に対する寄与の仕方も様々である。しかし、散乱中心が第1の界面上を伝播するSPPを散乱するようにするには、SPPは散乱中心の位置でゼロにならない界振幅を有するべきである。可視範囲の周波数を有するSPPの界振幅の空気への浸透深さは通常1000ナノメートル(1ナノメートル=10−9m=1nm)未満である。
【0031】
散乱中心の大多数は好適には、第1の界面に少なくともほぼ平行な範囲を有する少なくともほぼ平面の領域内に位置している。好適には、この少なくとも平面の領域は第1の界面から1000nm未満の距離に位置している。必要に応じて、少なくともほぼ平面の領域は、100nm未満または50または10nm未満といった、第1の界面から500nm未満の距離に位置している。
【0032】
全ての散乱中心といった、少なくとも散乱中心の大多数を含む少なくともほぼ平面の領域は、装置の個々の材料構造に応じて別の媒体に配置してもよい。好適実施形態では、少なくともほぼ平面の領域の少なくとも一部分は第1の媒体から構成される。別の好適実施形態では、少なくともほぼ平面の領域の少なくとも一部分は第2の媒体から構成される。
【0033】
第2の媒体は好適には、SiO2、空気、ポリマー、Al2O3(サファイア)、石英、及び石灰ガラスからなるグループから選択される1個かそれ以上の材料を含む。また、第1の媒体は好適には、Au、Cu、Ag、Al、Cr、Ti、Pt、Ni、Ge、Si、Pd、及び超伝導体からなるグループから選択される1個かそれ以上の材料を含んでもよい。好適実施形態では、第1の媒体は第2の媒体によって支持された導体薄膜を含む。
【0034】
また、少なくともほぼ平面の領域の少なくとも一部分は第2の媒体に隣接する第3の媒体から構成されることもある。装置の材料構造は通常堆積された材料の種々の層を含むので、装置はさらに第2及び第3の媒体の間に1個かそれ以上の層を含んでもよい。
【0035】
LR−SPPをサポートするため、第1の媒体は好適には第2の媒体によって支持される導体薄膜であるので、膜のどちらの側面でもSPPモード間のカップリングが可能である。好適には、膜は100nm未満の厚さを有する。しかし、膜が薄ければ薄いほど、膜中のLR−SPPの減衰は小さくなる。従って、好適には膜は、25nm、10nm、5nm、2nm、1nm、0.5nm、0.25nmまたは0.1nm未満といった、50nm未満の厚さを有する。また、LR−SPPの伝播を最適化するため、導体薄膜を間に挟んだ誘電体材料は好適には、誘電特性が同一であるなど、同様の誘電特性を有する。
【0036】
好適実施形態では、第2の媒体は第1の媒体によってサポートされるSPPモードにエネルギーをカップリングする利得媒体を含む。利得媒体は、例えば、電気的または光学的にポンピングされるものでよい。
【0037】
非透過部分を使用し、SPPが伝播できる第1の界面上の範囲を制限することによってSPPの伝播を制御することができる。この応用分野では、導波という用語は、非透過部分または同等物の使用によるSPPの伝播の何らかの制御を示す。従って、SPP導波管とは、第1の界面上の一点から別の点へのSPPの伝播を制御することによってSPPを導波する装置である。すなわち、SPP導波管とは、非透過部分を通るチャネルまたはガイドを形成するように部分的に非透過部分によって取り囲まれた透過部分である。また、SPPを導波する装置は、入射SPPを偏向させるミラーまたは回折格子であるか、または周波数に応じてSPPを偏向/透過するフィルタであってもよい。
【0038】
SPP定在波をサポートすることによって電磁界を局在化するように非透過部分によって取り囲まれた透過部分がSPPキャビティを形成してもよい。キャビティを取り囲む非透過部分の一部の所定のパターンの周期は、小さい透過率を有するように離調され、それによってキャビティからの出力結合器を提供してもよい。
【0039】
この装置は好適にはさらに、制御された形でフォトンをSPPにカップリングする1個かそれ以上の入力カップリング構造、及び/または制御された形でSPPをフォトンにカップリングする1個かそれ以上の出力カップリング構造を備える。
【0040】
ここでは、透過及び非透過部分を使用してSPPを導波できる装置を提供したので、SPPを処理する素子及び回路を形成することが可能である。
【0041】
すなわち、第2の態様では、本発明は、1個かそれ以上のSPPを受信する入力カップリング構造を備えるSPP受信部分と、1個かそれ以上の受信SPPの1個の少なくとも一部分を偏向させる、本発明の第1の態様によるSPP導波管とを備えるSPP素子を提供する。
【0042】
このSPP素子は好適にはさらに、導波されたSPPにおいて位相及び/または振幅変調を誘発する制御可能な複素屈折率を有する少なくとも1個の活性領域を備え、このSPP素子はさらに、その活性領域の複素屈折率を制御する手段を備えている。この活性領域は好適には、SPPの電磁界の範囲内の誘電体材料中にある。また、SPP素子のSPP導波管は少なくとも1個の活性領域を備える干渉計を形成してもよい。
【0043】
別の実施形態では、SPP素子は好適にはさらに、第1の周波数と異なる周波数を有するSPPの伝播を少なくともほぼ禁止するようになっているSPPBG領域であるさらに別の非透過部分を備え、SPPの波長フィルタを形成する。
【0044】
同様に、第3の態様では、本発明は、
フォトンをSPPにカップリングする入力構造と、
SPPをフォトンにカップリングする少なくとも1個の出力構造と、
請求項20〜23に記載の1個かそれ以上のSPP素子と、
SPPを入力構造から1個かそれ以上のSPP素子の1個に導波し、かつSPPを1個かそれ以上のSPP素子の1個から少なくとも1個の出力構造に導波する請求項2に記載の2つかそれ以上のSPPBG導波管と、
を備えるSPP回路を提供する。
【0045】
第4の態様によれば、本発明は第1と第2との媒体の間の少なくともほぼ平面の界面上を伝播する表面プラズモン・ポラリトン(SPP)の伝播を制御する方法を提供するが、前記方法は、
第1の媒体を提供するステップであって、この第1の媒体が、第1の周波数範囲内の負の実数部分、Re(ε1)<0を伴う第1の複素誘電率ε1を有し、かつ界面に当接する第1の表面を有する第1の材料層を備えるステップと、
第2の媒体を提供するステップであって、この第2の媒体が、界面に当接する少なくとも1個かそれ以上の部分で第2の周波数範囲内の正の実数部分、Re(ε2)>0を伴う第2の複素誘電率ε2を、界面に当接する少なくとも一部の部分で有するステップと、
界面でSPPを伝播させるステップであって、前記SPPが第1及び第2の周波数範囲に含まれる第1の周波数を有するステップと、
界面と周囲領域とを備える伝播層を画定するステップであって、その際SPPがある点に最も近い界面の部分上で伝播する時、その点がどれも、界面の電磁界の1%以上の強度を有するSPPの電磁界の影響下にあるステップと、
第1の周波数を含む第3の周波数範囲内の周波数を有するSPPに少なくともほぼアクセスできないSPPBG(表面プラズモン・ポラリトン・バンドギャップ)領域である界面の1個かそれ以上の非透過部分を提供することによって、SPPを界面の透過部分に閉じ込めるステップであって、前記SPPBG領域が、第1の界面に少なくともほぼ垂直に突出する時所定の少なくともほぼ周期的な散乱パターンを形成する伝播層中の複数の散乱中心によって画定され、各散乱中心が、界面に少なくともほぼ平行な平面中の断面が前記平面中の周囲範囲の複素誘電率と異なる1個かそれ以上の複素誘電率を有する範囲であるような領域であるステップとを含む。
【0046】
第3の周波数範囲内の周波数を有するSPPは透過部分上でだけ伝播できる。電磁波の周波数は通常、ある幅と中心周波数とを有する周波数分布によって特徴付けられるが、波の周波数とは通常中心周波数を指す。
【0047】
プラズモン波を導波するために必要なSPPBG構造は、散乱中心の二次元格子を形成することによって得られる。散乱中心は通常、界面中のSPP搬送媒体の複素誘電率の周期的な変化または局所的な幾何学的変形である。SPPは電磁波であるので、散乱中心は界面中、または界面に接触して形成される必要はない。界振幅が変化の位置でゼロにならない場合、複素誘電率の周期的な変化は散乱中心をSPPに提供するので、SPPの電磁界中のどこにでも位置しうる。
【0048】
図1に見られるように、SPP波は界面上を移動するよう閉じ込められるが、電磁界は界面に閉じ込められない。すなわち、SPPの電磁界振幅は界面に垂直な方向の隣接媒体中に延びる。その広がりはSPPモードと、ある方向での材料の誘電特性に依存する。このことが意味するように、SPPが伝播し、その際SPPの電磁界がゼロにならないような界面を取り囲む領域が存在する。界面が好適には平面であるとすれば、このゼロにならない界の領域は種々の厚さの伝播層を確立するだろう。
【0049】
ゼロにならないSPP界振幅を伴う点で複素誘電率の変化があると、何らかの散乱が生じる。すなわち、散乱中心が伝播するSPPから見えるようにするため、散乱中心は好適には、SPPが伝播する第1の界面に少なくともほぼ平行な平面中の複素誘電率の局所的な変化として伝播層中に存在する。平面を使用して散乱中心を画定すると、各中心とその対応する交差平面は伝播層中の任意の垂直位置に配置される。散乱中心に対応する平面は個々の散乱中心に固有であるので、パターンの範囲を説明するのに使用されたのと同じ平面ではない。
【0050】
伝播層の外側の位置から見ると、所定のパターンが界面に垂直に突出し、それによってSPPが所定のパターンに遭遇する非透過部分と、遭遇しない透過部分を形成する。界面上を伝播し、所定のパターンのSPPBG内の周波数を有するSPPにとって、第2の界面の非透過部分は禁止領域であり、SPPは透過部分に閉じ込められ、非透過部分の方向に伝播する場合少なくともほぼ完全な反射に遭遇する。
【0051】
しかし、散乱中心のパターンによるSPPBG効果の強さは散乱中心の位置でのSPP界振幅に依存する。高い界振幅に遭遇した散乱中心は強いSPPBG効果を生じ、低い界振幅に遭遇した散乱中心は弱いSPPBG効果を生じる。また、散乱中心のパターンによるSPPBG効果の強さは散乱中心の複素誘電率と周囲媒体の複素誘電率との対照にも依存する。
【0052】
散乱中心から大きな寄与を得るためには、散乱中心は好適には、SPPからの電磁界強度が、界面の電磁界強度の0.5%より大きい、また1%または2%より大きいといった、界面での電磁界強度の0.1%より大きく、さらに、より強いSPPBG効果を得るためには、界面での電磁界強度の25%または50%より大きいといった、5%または10%より大きい領域として画定される伝播層内にある。必要に応じて、散乱中心は界面に接触して配置されるか、または界面の幾何学的変形として形成される。
【0053】
本発明の第2の態様による好適な方法では、散乱中心は、第1及び/または第2の媒体中の界面に形成された構造である。
【0054】
SPPを伝播させるステップは好適にはさらに、界面の透過部分上でSPPを伝播させるステップを含む。また、SPPを界面の透過部分に閉じ込めるステップは好適にはさらに、SPPが界面の透過部分から界面の非透過部分に伝播する時はいつでも、界面の非透過部分上でSPPの少なくとも一部分を反射し、界面の透過部分上でSPPの反射された少なくとも一部分を伝播させるステップを含む。
【0055】
界面の第1の非透過部分は、透過及び非透過部分の配置に応じて、SPPBG導波管またはキャビティを画定しうる。SPPBG導波管は通常、1個の位置から他の位置に至り、位置間を伝播する光信号を転送及び/または処理するために使用される1個かそれ以上の接続された透過部分によって形成される。すなわち、SPPBG導波管は通常、フォトン/SPP−結合器またはSPP−素子に接続される透過部分によって形成される。SPPBGキャビティは通常孤立した透過部分であり、定在SPP波をサポートするという意味で閉じている。SPPBGキャビティは、省略された、または異常な散乱中心といった単一の偏差によって形成してもよい。例えば、センサ応用で使用する場合、フォトンをキャビティに連続してカップリングすることによって、SPP定在波の局在化された電磁界からきわめて高い強度を得ることができる。
【0056】
界面の透過部分がSPPの伝播をサポートするには、伝播層の対応する部分が、SPPBGを提供しない限り散乱中心を含んでもよい。すなわち、界面の透過部分を含む伝播層の部分は、所定のパターンと異なった散乱中心のパターンを含むか、または少なくともほぼ散乱中心がなくてもよい。
【0057】
本方法は光信号に関連して応用されるので、本方法はさらに、1個かそれ以上のフォトンを界面にカップリングすることによってSPPを形成するステップを含んでもよい。同様に、本方法はさらに、SPPの少なくとも一部分を1個かそれ以上のフォトンにカップリングするステップを含んでもよい。
【0058】
複数の電磁波が制御される信号処理に関連して本方法を利用するため、すなわち、本方法はさらに、界面上でSPPを伝播させるステップであって、前記第2のSPPが第2の周波数を有するステップを含んでもよい。
【0059】
第2のSPPは第1のSPPと異なった時間に提供してもよく(時分割)、かつ/または第2の周波数は第1の周波数と異なってもよい(波長分割)。
【0060】
第2の周波数が第1の周波数と異なっており、第3の周波数間隔の外にある場合、SPPを界面の透過部分に閉じ込めるステップはさらに、界面の非透過部分の1個の上で第2のSPPを伝播させるステップを含んでもよい。それによって、第1及び第2のSPPは界面上で追加及び/または分離することができる。このステップは、例えば信号の波長分割多重化(WDM)で使用する際、波長フィルタとして使用してもよい。
【0061】
また、SPPBGのバンドギャップを調整して第2のSPPの伝播を制御してもよい。すなわち、本方法はさらに、
第2の周波数を含むように第3の周波数範囲を変更するステップと、
第2のSPPが界面の透過部分から界面の非透過部分に伝播する時はいつでも、界面の非透過部分上で第2のSPPの少なくとも一部分を反射し、界面の透過部分上で第2のSPPの反射された部分を伝播するステップとを含んでもよい。
【0062】
好適実施形態では、SPPBGは第2のSPPを変調するように変調される。伝播領域は、材料の複素誘電率が所定のパターンを形成するような電気光学材料を含んでもよく、またバンドギャップは、例えば時分割多重化で使用する際電気的に調整してもよい。
【0063】
別の好適実施形態では、SPPBGはさらに、
エネルギーを第1の界面がサポートするSPPモードにカップリングするため、第2の媒体中に利得媒体を提供するステップであって、第1の界面に垂直に突出する時、前記利得媒体が第1の界面の透過部分を画定するステップと、
利得媒体を電気的または光学的にポンピングするステップと、
利得媒体からSPPを含むモードにエネルギーをカップリングすることによって導波されたSPPを増幅するステップと、
を提供することによって増幅または変調してもよい。
【0064】
第5の態様では、本発明は、第1の周波数を有し少なくともほぼ平面の界面上を伝播するSPP(表面プラズモン・ポラリトン)の伝播を制御する装置を製造する第1の方法を提供するが、前記方法は、
少なくともほぼ平面の表面を有する基板を提供するステップと、
基板表面の1個かそれ以上の部分に、基板表面の凹または凸の構造に関連する第1の層中に凹または凸の構造を形成するような、基板と基板表面によって保持される第1の材料層との間の界面の1個かそれ以上の非透過部分を画定するように、基板表面に対して凹または凸である構造の所定の少なくともほぼ周期的なパターンを形成するステップであって、第1の材料層が、第1の周波数を含む第1の周波数範囲で負の実数部分、Re(ε1)<0、を伴う複素誘電率ε1を有し、界面が第1の材料層の上部または下部の表面であるステップとを含み、
その際構造のパターンが、前記所定のパターンなしで界面上に1個かそれ以上の透過部分を画定するように形成され、前記透過部分は基板表面の1個かそれ以上の非透過部分によって少なくとも部分的に取り囲まれる。
【0065】
好適には、界面はSPPの伝播をサポートするようになっており、界面の1個かそれ以上の非透過部分は、界面上に1個かそれ以上のSPPBG(表面プラズモン・ポラリトン・バンドギャップ)領域を提供する。
【0066】
SPP導波管またはキャビティを形成するため、透過部分は、少なくとも部分的に透過部分を取り囲む非透過部分がSPPを閉じ込める界面の領域を確立する。好適実施形態では、第1の製造方法は、界面上の非透過部分中にSPP導波管を確立するため、非透過部分中に透過部分の1個かそれ以上のチャネルを画定するように構造のパターンを形成するステップを含む。別の好適実施形態では、第1の製造方法は、SPPキャビティを確立するため、界面上の非透過部分によって取り囲まれる透過部分を画定するように構造のパターンを形成するステップを含む。
【0067】
第6の態様では、本発明は、第1の周波数を有し少なくともほぼ平面の界面上を伝播するSPP(表面プラズモン・ポラリトン)の伝播を制御する装置を製造する第2の方法を提供するが、前記方法は、
第1の周波数を含む第1の周波数範囲で負の実数部分、Re(ε1)<0、を伴う複素誘電率ε1を有する第1の材料層を提供するステップであって、界面が第1の材料層の上部または下部の表面に関連する平面として画定されるステップと、
第1の層中に選択された領域の所定の、少なくともほぼ周期的なパターンを形成するように第1の層の選択された領域を除去するか、または選択された領域の複素誘電率を変更するステップであって、選択された領域がε1と異なる複素誘電率を有するステップとを含み、
その際選択された領域が、第1の層と第2の媒体との間の界面の1個かそれ以上の非透過部分と1個かそれ以上の透過部分とを画定し、前記透過部分が第1の層の1個かそれ以上の非透過部分によって少なくとも部分的に取り囲まれる。
【0068】
好適には、界面はSPPの伝播をサポートするようになっており、界面の1個かそれ以上の非透過部分は界面上に1個かそれ以上のSPPBG(表面プラズモン・ポラリトン・バンドギャップ)領域を提供する。
【0069】
SPP導波管またはキャビティを形成するため、透過部分は、少なくとも部分的に透過部分を取り囲む非透過部分がSPPを閉じ込める界面の領域を確立する。好適実施形態では、第1の製造方法は、界面上の非透過部分中にSPP導波管を確立するため、非透過部分中に透過部分の1個かそれ以上のチャネルを画定するように領域のパターンを形成するステップを含む。別の好適実施形態では、第1の製造方法は、SPPキャビティを確立するため、界面上の非透過部分によって取り囲まれる透過部分を画定するように領域のパターンを形成するステップを含む。
【0070】
第7の態様では、本発明は、第1の周波数を有し材料層と媒体との間の少なくともほぼ平面の界面上を伝播するSPP(表面プラズモン・ポラリトン)の伝播を制御する装置を製造する第3の方法を提供するが、前記方法は、
材料層に当接する表面を有する基板を提供するステップであって、基板が、第1の周波数を含む第2の周波数範囲で正の実数部分、Re(ε2)>0、を伴う複素誘電率ε2を有するステップと、
基板中の複数の領域の複素誘電率をε2と異なる複素誘電率に変更するステップであって、前記複数の領域が、界面に少なくともほぼ垂直に突出する時、界面の1個かそれ以上の非透過部分を画定する1個かそれ以上の所定の、少なくともほぼ周期的なパターンを形成するように配置されるステップと、
基板の表面上に材料層を提供するステップであって、前記材料層が、第1の周波数を含む第1の周波数範囲で負の実数部分、Re(ε1)<0、を伴う複素誘電率ε1を有しかつ上部及び下部の表面を有し、界面が材料層の上部または下部の表面に関連する平面として画定されるステップとを含み、
その際1個かそれ以上の所定のパターンが、所定のパターンなしで界面の1個かそれ以上の透過部分を画定し、前記透過部分が1個かそれ以上の非透過部分によって少なくとも部分的に取り囲まれる。
【0071】
好適には、界面はSPPの伝播をサポートするようになっており、界面の1個かそれ以上の非透過部分は界面上に1個かそれ以上のSPPBG(表面プラズモン・ポラリトン・バンドギャップ)領域を提供する。
【0072】
好適には、材料層との界面を形成する媒体は基板である。しかし、基板は異なった材料組成の1個かそれ以上の層を含んでもよい。
【0073】
SPP導波管またはキャビティを形成するため、透過部分は、少なくとも部分的に透過部分を取り囲む非透過部分がSPPを閉じ込める界面の領域を確立する。好適実施形態では、第1の製造方法は、界面上の非透過部分中にSPP導波管を確立するため、非透過部分中に透過部分の1個かそれ以上のチャネルを画定するように複数の領域を配置するステップを含む。別の好適実施形態では、第1の製造方法は、SPPキャビティを確立するため、界面上の非透過部分によって取り囲まれる透過部分を画定するように複数の領域を配置するステップを含む。
【0074】
本発明によるSPPBG領域を形成する全ての所定のパターンに共通の特徴は、バンドギャップの所定の周波数範囲を決定する所定のパターンの空間周期と構造(単位セルによって画定される二次元格子構造を意味する)である。SPPBGの所定の周波数範囲に含まれる周波数は、装置の材料構成中で導波されるSPPの周波数である。個々の装置について、空間周期Λと、所定の周波数範囲内の周波数を有するSPPの波長λSPPとの間の関係を発見できることが多い。好適には、所定のパターンの空間周期は、2.5〜250nmまたは250nm〜25μmといった2.5nm〜25μmの間隔内、好適には25〜250nmまたは250〜700nmの間隔内である。また、所定の周波数範囲は好適には、10〜1000nmまたは1〜100μmといった10nmないし100μmの間隔内、好適には100〜1000nmまたは1000〜3000nmの間隔内のλSPPに対応するSPP周波数を含む。
【0075】
多くの場合、所定の周波数範囲は、所定の波長範囲内で波長λphotonを有するフォトンのカップリングに起因するSPPの周波数を含むことは興味深い。λSPPとλph otonとの関係は、装置の材料構成に依存する。個々の装置について、フォトンが装置にカップリングされる時、フォトンの波長λphotonと結果として得られるSPPのλSPPとの間の関係を発見できることが多い。すなわち、所定の周波数範囲は好適には、装置にカップリングされるフォトンの波長λphotonに対応するSPP周波数を含み、前記フォトンは100〜20,000nmの間隔内の波長を有する。
【0076】
必要に応じて、所定の周波数範囲は、所定のパターンが紫外線フォトンのカップリングに起因するSPPと相互作用するように、100〜380nmの間隔内の波長λphoto nに対応するSPP周波数を含む。また、所定の周波数範囲は、所定のパターンが可視フォトンのカップリングに起因するSPPと相互作用するように、380〜780nmの間隔内の波長λphotonに対応するSPP周波数を含むこともある。好適には、所定の周波数範囲は、所定のパターンが赤外線フォトンのカップリングに起因するSPPと相互作用するように、780〜20,000nmの間隔内の波長λphotonに対応するSPP周波数を含む。好適には、結果として得られる装置が光通信産業で使用できるように、所定の周波数範囲は、1,100〜2,000nmの間隔内といった780〜3,000nmの間隔内の波長λphotonに対応するSPP周波数を含む。
【0077】
実施例
SPPは、金属−誘電体界面に沿って伝播し、例えば図1に示されるように隣接媒体中で指数関数的に減衰する振幅を有する電磁波として説明できる。SPP伝播定数βは、界面全体にわたる電磁界を整合させることから得られ、2つの媒体の対応する誘電率ε1及びε2によって決定される。すなわち、λが自由空間中の光の波長である時、β=(2π/λ)[ε1ε2/(ε1+ε2)]1/2である。その結果、SPPの伝播長は内部減衰(抵抗損)によって制限される。すなわち、LSPPが、SPP強度が開始値の1/eに減衰するまでの距離である時LSPP=(2lmβ)−1である。
【0078】
最も簡単な形態では、本発明は、SPPBG構造中に周囲範囲の周期的変調と異なる周期的変調を有するか、または周期的変調のない領域を形成することによってSPPBG構造中に形成されるSPP導波管である。その結果、SPPBG構造のエネルギー/周波数バンドギャップ中のエネルギー/周波数を有するSPPはこうした領域に閉じ込められる。SPPBGはSPP搬送媒体及び/または界面中に周期的に配置された散乱中心である。散乱中心は通常、SPP搬送媒体及び/または界面の複素誘電率の局所的な変化または局所的な幾何学的変形である。
【0079】
本発明の簡単な実施形態は図3A及び図3Bで示されるような直線または曲がり導波管である。この導波管は超小型信号導波用及び光チップ上の種々の素子または光回路の相互接続用に使用される。もう1個の簡単な実施形態は異常または欠落散乱中心といった少数または単一の偏差によって形成されるキャビティである。こうしたキャビティは、高度に定位された高強度界を生じるSPP定在波をサポートすることができ、これはセンサ応用で使用できる。
【0080】
図3Aまたは図3BのSPPBG導波管からの放射漏れによる損失は通常、一般にSPPの伝播を制限する種々の種類の減衰と比較して無視できるものである。SPPの伝播定数βは、界面全体にわたる電磁界を整合させることから得られ、隣接する媒体の対応する複素誘電率ε1及びε2によって決定される。すなわち、λが自由空間中のSPPカップリング光の波長である時、β=(2π/λ)[ε1ε2/(ε1+ε2)]1/2である。SPPの伝播長Lとは、SPP強度が開始値の1/eに減衰するまでの距離である。従って、SPPの伝播長Lは、内部減衰(抵抗損)によって制限される。すなわち、LSPP=(2lmβ)−1である。例えば、銀では、SPP伝播長は光波長0.6μmで〜25μm、及び10μmで〜500μmに達する。SPP伝播長は、界面平面からの放射減衰と非弾性SPP散乱のためさらに短縮されることもある。
【0081】
平滑断面を伴う周期構造を使用することによって、広い波長範囲内でSPP放射損、すなわち、界面平面からのSPPの放射による損失を大きく低減することができる。
【0082】
空気へのSPP電磁界の指数関数的減衰は通常可視波長範囲で1μm未満である。これが意味するように、SPP界は金属−誘電体界面に緊密に拘束されている。
【0083】
プラズモン波を導波するために必要なSPPBG構造はいくつかの方法で製作することができる。SPPBG構造は散乱中心の二次元格子を形成することによって得られる。散乱中心は通常、SPP搬送媒体及び/または界面の複素誘電率の局所的な変化または局所的な幾何学的変形である。
【0084】
SPP搬送媒体及び/または界面の局所的な幾何学的変形は、所定の波長に適した距離と所定の充填率(くぼみ/隆起の直径に対するくぼみ/隆起の距離の比)を伴う小さなくぼみまたは隆起の形態でもよい。図2Aに示されるように、この変形は通常、ガラス基板10に小さな穴20または突起22を形成し、その後通常厚さ50nm未満の金属膜12で覆うことによって形成される。この構成の結果、金属膜12中の小さな突起21または24が得られ、それによって界面14及び/または16が変形する。また、図2Bに示されるように、金属膜12を伴う基板10から始めて金属膜のレジスト上に電子ビーム・リソグラフィを行い、リフトオフの後膜12上に小さな金属隆起34を残してもよい。隆起21及び24は界面14または16の何れかの側を伝播するSPPに対する散乱中心を形成する。層12の厚さに応じて、界面14上を伝播するSPPの電磁界振幅は界面16に伸展するので、隆起34は界面14上を伝播するSPPについてのSPPBGを確立することもある。金属膜12上の隆起21、24または34は金属膜からの電磁界の範囲(通常空気中で約300nm)より高い高さを有するべきではなく、さもないとSPPがフォトンとカップリングし結果として損失を生じる。重要なことであり、また当業者には容易に認識されることだが、1個かそれ以上の材料層を基板10と金属層12との間に堆積させてもよく、それでも同じSPPBG効果が得られることに注意されたい。一般に、金属層12の上の空間18は空気または、追加の金属層、ガラス、シリコン、空気等といった何らかの他の媒体でよい。
【0085】
また、界面の局所的な幾何学的変形は穴または修正領域の形態でもよい。図2Cでは、散乱中心の二次元パターンが、例えば電子ビーム・リソグラフィまたはレーザ・アブレーションを使用して金属被覆ガラス基板に書き込まれている。パターンは金属層12に穴26またはインデンテーション28として書き込まれることもある。インデンテーション28は界面16に当接するので、界面16上を伝播するSPPに対して明確にSPPBGを確立することができる。ここでも、層12の厚さに応じて、界面14上を伝播するSPPの電磁界振幅は界面16に伸展するので、散乱中心28が界面14上を伝播するSPPに対してSPPBGを確立することもある。ここでも、1個かそれ以上の材料層をパターン付き金属層の上に堆積させてもよい。周期的変形の別の例を図2Bの右側断面に示す。ここでは、変形は異なった複素誘電率を有する2つの材料10及び11の間の界面に周期的変形を提供することによって確立される。界面14または16上を左から右に移動するSPPから見ると、媒体10中の異なった複素誘電率のピーク36が、SPPの電磁界に対して周期的な散乱中心を形成する。
【0086】
SPP搬送媒体及び/または界面の複素誘電率の局所的な変化はSPPの電磁界振幅の範囲内にある媒体の複素誘電率変調の形態でもよい。すなわち、図2Dに例示されているように、散乱中心を、界面に当接しているかまたはしていない隣接媒体の1個に形成してもよい。基板10がガラス基板のように感光性である場合、紫外線放射の照射によって複素誘電率変調30及び32を形成してもよい。また、膜をドーピング(図示せず)することによって金属膜12中に複素誘電率変調を形成してもよい。図2Dに例示されているように、複素誘電率変調は、界面14または16の何れかの上をSPPが伝播できるSPP電磁界の範囲内にある限り、界面30に当接してもよく、また埋め込み領域32であってもよい。
【0087】
金属膜12、及びそこに形成された周期的変調は、例えば、金属膜の上部の構造を被覆するかまたは保護層を堆積させ、それによって図2A〜図2Dの金属膜12の上の空間18を少なくとも部分的に充填することによって保護してもよい。このため、誘電特性の変化によって共振周波数等がわずかに変化することがある。しかし、この保護によって構造の寿命は大幅に増大する。
【0088】
別の種類のSPPBG構造では、金属層の上の空間18は空気とは別の誘電体によって充填される。図2E及び図2Fに示されるこうした構造では、金属層は誘電体材料38及び39の2つの層の間に挟まれた金属薄膜13である。図2Eでは、SPPBG構造は、例えば、リソグラフィ及びエッチングまたはリフトオフ、パルスレーザ、走査型電子顕微鏡またはサブミクロンスケールでの加工に適した同様の技術を使用して、金属膜13に穴26を開けることによって形成される。図2Eでは、SPPBG構造は、上部誘電体39の表面を、回折格子結合器を製作するのと同様のSPPBG構造40に変調することによって形成される。しかし、回折格子結合器と対照的に、構造40は、導波管及び/または他の素子を画定する二次元周期構造を形成する。
【0089】
他の構造及び種類の散乱中心が得られることもあり、散乱中心は異なった材料からなる領域によって形成されることもある。現在の半導体/シリコン処理技術は、小規模構造を形成する場合多くの選択肢と高い自由度を提供するので、上記で示された例は制限的なものと解釈すべきではなく、むしろ、散乱中心を形成する代表的な方法の広範な組み合わせを提供するものである。
【0090】
本発明の実施形態は図2Aの散乱中心21によって例示される方法によって形成された。この実施形態は周知のシリコン処理技術によって得られ、リソグラフィ及びエッチングを使用して作成されたパターン付きガラス基板からなり、金属被覆上部表面を伴っていた。この実施形態の製作は、
電子ビーム・リソグラフィと、
プラズマ・エッチングと、
金属蒸着と、
の3つの製作ステップを含んでいた。
【0091】
以下、この実施形態の製作で使用された個々のステップを詳細に説明する。しかし、個々の製作ステップは各々単なる一例にすぎず、他の方法でも実行可能であることを理解されたい。
【0092】
電子ビーム・リソグラフィ
ガラス基板から始めて、レジストにパターンを描いて波長以下の寸法の基板を製作するため、電子ビーム・リソグラフィが使用される。処理ステップは従来のフォトリソグラフィと同様であるが、マスクを通じて紫外線でウェハを照射する代わりに、変換電界放射走査型電子顕微鏡(SEM)が使用され、感電子性レジストを露光させる。
【0093】
電子ビーム・パターン形成の前に、金属薄層(数nm)がガラス・ウェハ上に堆積される。この層は、電子ビーム書き込みの間基板の帯電を防止する十分な表面導電性を提供し、その後のプラズマ・エッチングに干渉しない。試料の清掃後、レジストの薄層がガラス片上にスピン塗布される。多くの要素を伴う構造のより高速な書き込みを可能にする高感度と、レジストの薄層をエッチング・マスクとして直接使用可能にする高ドライエッチング抵抗という2つの理由から、日本ゼオン株式会社(Nippon Zeon Co.Ltd.)製のポジ型レジストZEP520を使用した。レジストはZED N50現像液(n−酢酸アミル)を使用して現像され、その後試料は清掃され、残った現像液はZMD−Bリンス液(MIBK89%/IPA11%)を使用して除去される。
【0094】
電子後方散乱効果(近接効果)を避けるため100nm厚のZEP520と控えめな(10kV)加速電圧を使用して、40×40μmの範囲にわたって50nmまでの直径と150nmまでの規則的なピッチ(空間周期)の穴が製作された。図3Aは、レジスト中に書き込まれた穴を伴う基板の写真を示す。この写真は光学顕微鏡を通じて撮影されパターンが形成された範囲は130μm平方である。ここで論じられるSPPBG構造の場合、400nmのピッチまたは空間周期を伴う、直径150nmの穴の三角配列が100nmのレジスト中に製作された。導波管領域は、穴のないチャネルとして明瞭に見られる。
【0095】
プラズマ・エッチング
レジストの薄層中に小さな穴が画定されると、試料は反応性イオン・エッチング(RIE)マシンに装填された。ポンプがある望ましい圧力を保持する一方で、フレオン・ガス(CHF2)の制御された流れがチャンバ内に導入される。チャンバの向かい合う側面がRFアンテナの役目を果たし、プラズマを生成する。イオン化されたF原子は高反応性で、SiO2と(及びより小さい度合いではレジスト自体とも)反応する。エッチング率は10nm/分程度であった。通常穴は深さ40〜80nmであった。
【0096】
フレオン・プラズマ・エッチングの後、試料はチャンバから取り出され、アセトン、メタノール及び水で洗浄され試料は清掃された。残余物があれば、(例えば指の油脂といった)有機材料だけを侵食しガラスを侵食しない酸素プラズマ・エッチングによって除去された。図3Bは、プラズマ・エッチング及びレジスト除去の後の図3Aの清掃されたパターン形成済みガラス基板の細部の写真を示す。
【0097】
金属蒸着
50nm厚銀膜が、フォトンとプラズモンとの間の有効なカップリングを達成するため最適であることが実験的に発見された。金属の明確で均一な層を伴う清潔な試料を維持するため、電子ビーム蒸着が使用された。
【0098】
まず、ガラスと銀との間の良好な付着を達成するため、Tiのごく薄い層(数Å)を堆積させた。次に、望ましい量の銀を蒸着した。図4は、試料の微細部のSEM写真を示す。この写真では、穴は表面全体を覆っており非常に浅い(〜50nm)。
【0099】
本発明のSPPBG導波を調査するため、製作された実施形態での共振SPP励起の強度分布をニアフィールド・イメージングを使用して調査した。図5は、ガラス基板78の表面上に堆積した構造化金属膜72の空気−金属界面74に沿って伝播する共振励起SPP6によって形成される総電界強度分布のニアフィールド・イメージング(被覆されていない鋭利な光ファイバ先端8を伴う)の概略表示である。総電界強度分布には、SPPBG構造の散乱中心21上のSPPの散乱からの寄与9も含まれる。
【0100】
光ファイバの鋭利な先端8は電界強度の局所的な検出器とみなされる。平面からのSPP散乱(散乱中心21から散乱する放射9によって表される)が十分に小さければ、結果として得られる信号は主として総SPP強度80である。この状況は、膜−空気界面74での検出信号を数マイクロメートルの先端−界面距離で測定することによって確認できる。ファイバ先端を界面の局在化された電磁界に近づけると、局在化された電磁界はファイバ中のモードにカップリングしてファイバ中に光を発生し、ファイバは局在電磁界に対するプローブの役目を果たす。
【0101】
400nmの空間周期で(ガラス中に製造され50nm厚銀層で被覆された)図5のPBG構造中のSPP伝播のニアフィールド・イメージングをTi:サファイア同調可能レーザを使用して行い、これを図6に示す。SPPは、波長792nmのレーザ・ビームの入射角θを調整することによって共振励起された。膜−空気界面74に接触するファイバ・プローブで検出された光信号は、界面から数マイクロメートル離したファイバ・プローブが検出する信号の10倍より大きかった。これが示すように、検出された信号は総SPP電磁界強度80が支配的であり、図6に示されるニアフィールド光画像がPBG構造における総SPP強度分布であることを含意している。
【0102】
図6は、サイズ15×15μm2のニアフィールド光画像の疑似グレースケール(「白」は最大信号に対応し、「黒」は最小信号に対応する)表示を示す。この画像は、ナノ構造化50nm厚銀膜の表面を走査する非被覆光ファイバ・プローブと、図5により波長792nmで共振励起されたSPPによって得られた。黒い線は、周期400nmのPBG六角形構造を含む正方形中の(平坦な表面の)チャネルの境界を示す。この画像は、PBG構造のバンドギャップに対応する波長で励起されたSPPのSPPBG導波の効果を明瞭に実証しており、それはPBG周期の2倍の波長を中心とするはずである。構造パラメータ(膜の厚さ、表面断面の深さ、充填率)をさらに最適化することによって、観察された効果は改善される。
【0103】
実験的検証
この説明では、SPPBG構造中の線偏差に沿ったSPPBG効果とSPP導波の(ニアフィールド光学顕微鏡による)直接の観察を提示する。以下、内部である波長範囲に対するSPP伝播が抑圧されるように界面に周期的に配置された散乱中心からなる領域内の弾性SPP散乱を利用する。
【0104】
実験装置は、被覆されていない鋭利なファイバ先端によって散乱した放射をファイバ・モードに収集するよう使用される独立走査型ニアフィールド光学顕微鏡(SNOM)[4]と、通常のクレッチマン構成におけるSPP励起用の装置(図1)とからなる。SPPは、ガラス基板上に熱蒸着され、その上のある範囲を200nm幅、45nm高さの金散乱中心の400nm周期三角形格子で覆った45nm厚金膜に沿って、励起される(図7)。このナノパターンは、金膜上のレジスト層の電子ビーム・リソグラフィと、第2の金層の蒸着及びリフトオフを使用して形成された。製作された構造は、格子の既約ブリュアン・ゾーンの異なった幅と2つの主要な方向、すなわちΓK(図8A及び図8D)及びΓM(図8B及び図8C)の線偏差を含んでいた[1]。Ti:サファイア・レーザ(λ=780〜820nm、P〜50mW)からのp偏向(図1)光ビームは、浸漬油を伴ってガラス・プリズムの基部に取り付けられた試料に弱く焦点を合わせる(焦点距離≒500mm、スポットサイズ〜300μm)。SPP励起は、nがプリズムの屈折率である時、β〜(2π/λ)nsinθという位相整合条件によって決定される角度θで発生する反射光パワーの角度依存性の最小値として認識される[1]。この装置によって、800nmで最適SPP励起が得られるように入射角を調整する時、780〜820nmの範囲で有効なSPP励起が得られる。空気−金界面についてこの範囲内で評価されたSPP特性は、ε1=1、ε2≒−23+1.8i、λSPP=2π/Re(β)≒0.98λ、LS PP≒35μmである[1]。使用される構成では、SPP伝播長は放射減衰(基板中の共振再放射)及び界面平面からの非弾性SPP散乱によってさらに減衰する。SPP励起は明瞭な共振挙動を示し、入射角が共振から外れているか、またはファイバが試料界面から〜1μm離れていた場合、ファイバからの平均光信号は10倍以上小さかった。これが意味するように、剪断力フィードバックによって維持される先端−界面距離で検出される信号は(界面平面から散乱した界成分ではなく)主として膜−空気界面に沿った総SPP界強度分布に関連する[3]。最後に、注意されたいが、図7〜図11の全ての画像は、励起されたSPPが垂直方向上向きに伝播するような方向である。
【0105】
ほぼΓK方向に沿って伝播する励起されたSPPの周期構造(図8A)による明瞭な反射が、λ〜782nmで撮影されたニアフィールド光画像で観察された(図8B)。構造の前部で見られる非常に明るい干渉縞は、わずか〜2μm内側ではほぼゼロ信号であることと共に、入射SPPの高い反射率と強い減衰を示している。反射率と減衰は光波長の増大に伴って急速に減少し、λ〜815nmで構造の内部と外部のSPP強度分布の差は事実上消失する(図8D)。構造内部のSPP強度とその反射率のこうした強い波長依存性は、出願人の見解によれば、SPPBG効果の明白な証拠である。
【0106】
SPPBG効果が発生したならば、対応する波長でSPPBG構造中の線偏差に沿ったSPP導波の観察が予想される。しかし結局のところ、一連の六角形クラスタの除去(図7A)によって得られたΓK方向の線偏差(図8B)に沿ったSPP導波は、何の形跡も発見されなかった。これは驚くべきことかもしれないが、おそらく個別偏差によるSPP散乱の場合でさえ入念なシミュレーションが必要なため、二次元SPPBG構造については理論面ではほとんど知られていないことを念頭に置くべきであろう[5]。ほぼ同じ幅(3列の散乱中心を除去した)のΓM方向の線偏差は、〜5μmという短い距離のみではあるが、782nmでSPP導波をサポートすることが発見された(図9)。SPPBG構造はこの波長では入射SPPを効率的に反射するが、792nmでは劣っていることに注意されたい。従って、SPPBG効果は、ギャップが782nm近くを中心とする場合ΓM方向でも存在すると結論付けられる。構造の内部〜4μmについてのトポグラフィ及び光学的断面図[図9D]が示すところによれば、SPPBG導波モードは、幅がわずか≒1.39μmである導波管の内部に十分に閉じ込められている(図7B)。同時に、(2列の散乱中心が除去され幅≒1.04μmである)隣接する導波管は短い距離であっても導波モードをサポートしない。後者の導波管の幅は基本モードのカットオフ値以下であり、前者の幅はわずかにそれを越えていると思われる。このためモード伝播は波長の不規則性に非常に影響されやすくなるが、このことからこのモードで観察される伝播距離が短いことの理由が説明できる(図9B)。
【0107】
この推測は、ΓM方向に沿った線偏差を含むΓK方向のSPPBG構造によって得られる画像によって立証される(図10)。やはり3列の散乱中心が除去されたこの偏差で伝播する弱いモード(782nm)に気付くだろう(図7C)。さらに、2つのSPPBG構造の間の(ΓK方向の)幅広い(〜3.2μm)チャネル内で明瞭なSPPビームが伝播するのが見られる(図7D)。構造の内部〜4μmについてのトポグラフィ及び光学的断面図[図10D]は、狭いSPPBG導波管の(基本)モードと、幅広いチャネルの(おそらくは最初の2つの)モードの組み合わせとの両方の強度プロファイルを明瞭に示している。ここでも、線偏差中のSPP導波とSPPBG構造中のSPP反射は、波長が815nmに増大すると消失する(図5B及び図5C参照)。このように、顕著な損失なしに〜18μmにわたる幅広いSPPBGチャネルでモードの組み合わせが伝播することによって(図11)、SPP界を効率的に導波するSPPBG構造中の線偏差の能力が実証される。
【0108】
以上のことをまとめると、波長782nmのクレッチマン配置におけるニアフィールド顕微鏡法とSPP励起を使用して、(ΓK及びΓM方向を有する)400nm周期三角形格子構造による入射SPPの強い反射が、この構造内部のSPP伝播の抑圧と同時に直接観察された。波長が大きくなると、SPP反射と伝播の抑圧が両方とも急激に悪化することは、出願人の見解によれば、検討中の構造中にSPPBG効果があることの明白な証拠となる。また、SPPBG構造中の線偏差に沿った(782nmでの)SPP導波も直接実証された。SPPBG構造中の3.2μm幅、18μm長のチャネルでSPP界の制約されない伝播が観察された。構造パラメータをさらに研究し最適化することによって、観察された効果をさらに改善し、従来の二次元PBG構造用のものと同様のSPPBGによる素子を探求することが可能である。最後に、(最終的には光ファイバからの)放射をSPPにカップリングする専用回折格子を使用することで、フォトニクスの分野で集積SPPBG回路を実現する直接の道が開かれるだろう。
【0109】
上記で提供された実験的検証は、本発明による予備装置の結果である。本発明による装置は現在さらに研究されており、近い将来原理証明を提供するより良好な実験結果すら期待できる。
【0110】
以前に説明したように、SPPはSPPモードからの放射漏れと種々の種類の減衰による損失を受けるが、これらは全てSPPの伝播全般と、特にその波長解像度を制限する。
【0111】
SPPBG導波管においてSPPの損失を最小化し、それによってSPP伝播長と波長解像度を最適化するため、以下の節ではSPP損失を低減及び/または補償できる種々の構造が提案される。これは、減衰によって波長フィルタの鮮鋭度が制限される光フィルタ目的の場合特に重要である。
【0112】
以前に説明された構造では、金属層は一方の側面でガラス、及びもう一方の側面で空気と境界を接していた。一般に、金属層と境界を接する材料の屈折率が高いほど、より多くのSPP波が金属層に押し込まれ、それに応じて損失が増大する。
【0113】
図12は、非常に薄い金属膜13(通常2〜20nm)の両側に同様の(必ずしも同一ではない)屈折率の誘電体材料84及び85を有する代替SPPBG構造を示す。界は両側で誘電体に浸透するので、金属層の厚さを縮小すると、それに応じてSPP界の金属膜13に重なり合う部分が小さくなり、損失が低減される。こうして得られたSPPモードは、例えば、C−H.リヤオ(C−H.Liao)他、「任意多層構造中のLR−SPPの共振特性(Resonant properties of LR−SPP in an arbitrary multi−layer structure)」、Jpn.J.Appl.Phys.38、5938(1999)で長距離表面プラズモン・ポラリトン(LR−SPP)として説明されている。この配置を使用することで、伝播長を桁違いに改善する(減衰を低減する)ことができる。
【0114】
図12は、出っ張り34が下部84及び上部85の任意多層誘電体構造に組み込まれた金属薄膜13からなるLR−SPPBG構造を基板10が保持する構造を示す。多層中の誘電体は、例えば、スピン塗布されたポリマー、SiO2、Si3N4、水、屈折率整合液、空気、等でよいが、例えば、F.ピジョン(F.Pigeon)他、「Appl.Phys.」90、852(2001)、R.シャーボノー(R.Charbonneau)他、「Opt.Lett.」25、844(2000)、S.グラスバーグ他、「Appl.Phys.Lett.」70、1210(1997)、T.スターケンバーグ(T.Sterkenburgh)及びH.フランケ(H.Franke)、「Appl.Phys.」81、1011(1997)も参照されたい。図12に示される構造では、SPPBG効果を得るために必要な変調は、図2A〜図2Fに関連して説明された何れかの方法でも得られる。
【0115】
先行技術の構造またはSPPBG構造中を伝播する時SPPが受ける損失を補償するため、SPPBG構造中で利得を実現してもよい。2つの可能な構成を図13A及び図13Bで概説する。図13Aでは、通常量子井戸を含む半導体といった活性層を含む利得媒体42が金属膜13の上部の誘電体層39の間に配置される。活性層を間に挟む膜13と電極44との間に電源45を印加することによって活性層に電気的なバイアスがかけられる。膜13中を伝播し利得媒体42に達する大きな電磁界振幅を有するSPPが増幅され、損失を補償する。
【0116】
図13Bでは、利得媒体42は、例えばエルビウム・ドープ・ガラスでよいが、これは、励起波長に対して透明な上部誘電体層を選択すれば、光学的に励起86できる。図13A及び図13Bの両方で提案されている構造では、SPPBG導波管43は用紙の平面に対して垂直な方向に延びており、利得媒体42及び/または励起(図13Aの44/45及び図13Bの86)は導波管43のすぐ上の導波管の短い部分に沿った領域にだけ提供される。
【0117】
代替構造では、損失は構造全体にわたってコヒーレントなポンピングを行い連続してエネルギーをSPPモードに供給することによって補償される。局所的な励起によってSPPを励起部分から離れた方向に伝播させる代わりに、SPPは励起され、伝播する際の励起放射によってコヒーレントにポンピングされる。図14は、ポンピング放射86に対して透明な材料層11の上に金属層12が蒸着された構造を示す。
【0118】
上記で示されたSPP伝播における損失を低減または補償する例を都合よくカップリングし、損失を低減しかつ補償するか、また装置中で正味の利得が提供されるようにしてもよい。また、こうした例を記載した他の全てのSPPBG構造、例えば、図2A〜図2Fに関連して記載したものとカップリングしてもよい。
【0119】
SPPの伝播特性を操作する可能性によって、SPPBG導波管を使用して設計及び製作できる多数のSPP素子への道が開かれるが、その幾つかを図15、図16、及び図17に関連して以下に説明する。図面中、SPPBGを形成する個々の散乱中心は例示的なものにすぎず、種々の方法で形成可能である。
【0120】
図15は、本発明によるSPPBG導波管及び/またはキャビティに基づいた同調可能フィルタを示す。GaAs、LiNbO3、LiTaO3、KDP、ADPといった電気光学層46がSPPBG構造を伴う金属薄膜13と、電源45に接続された電極44との間に挟まれる。回折格子結合器構造が上部誘電体層39の上部表面に形成され、入射広帯域フォトン87をSPPにカップリングする入力結合器56と、SPPを出射濾波フォトン88にカップリングする出力結合器57とを提供する。入力結合器56と出力結合器57は波長選択SPPBG構造と相互接続される。電気光学層46の屈折率は電圧を印加することによって変化し、それによってSPPBG構造の透過波長が変化する。それによって、構造にカップリングされるフォトンの波長を電気的に制御できるので、例えばDWDMに応用可能な同調可能帯域通過フィルタが得られる。対応する設計はP.J.カジェンスキ(「長距離表面プラズモンを使用する同調可能光フィルタ(Tunable optical filter using long−range surface plasmons)」、「Opt.Eng.」36、1537(1997))で提案されているが、これは金属膜の平面でのSPP伝播をまったく制御できないものであった。SPPBG導波管47によって提供される効率的な導波は、機能性を大きく向上させるものである。
【0121】
図16は、周期構造51のSPPBG領域によって画定されるY接合部を示す。波長λ1とλ2とを含むSPP界が導波管セクション52の方向に伝播すると、接合部で分割され、セクション50と54とを伝播するSPP界が得られる。分割比はセクション52のSPP界と各セクション50及び54とのモード整合によって決定される。この整合は、例えば、導波管セクションの幅と接合部の角度によって決定される。
【0122】
入射SPPの波長、λ1及びλ2、は、回折格子結合器56によってSPPにカップリングされるフォトン信号に起源を有しうる。結果として得られるSPPは、56と同様の回折格子結合器で再びフォトンにカップリングしてもよい。すなわち、2つのビームλ1及びλ2は明確な比をもって2つの成分に分割される。
【0123】
SPPBGは極めて波長の影響を受けやすいことが予想されるが、この特徴をSPP導波と共に利用して、通信システムで使用される波長分割多重(WDM)構造といった種々の素子を製作することができる。
【0124】
すなわち、入射SPPλ1及びλ2が異なった波長を有する場合、図16に示されるスプリッタを、高精度波長スプリッタ、すなわち「スーパープリズム」として使用してもよい。導波管領域50及び54に当接する領域中の周期構造51のSPPBGを制御することによって、波長領域50中にSPPを閉じ込めるSPPBGは、λ2がバンドギャップの外にあるように同調してもよい。同様に、導波管領域54を画定するSPPBGは、λ1がバンドギャップの外にあるように同調してもよい。例えば、製造中に周期構造51の周期を制御することによってSPPBGを制御してもよい。また、電気光学材料を使用してSPPBGを制御し、それによって材料の複素誘電率を電気的に制御してもよい。
【0125】
図17は、SPPBGによる光学素子である三方向スプリッタを示す。このスプリッタは、挿入図によって拡大して示される中央SPPBGエリア59に向かって伝播するSPPモードに入射光信号60をカップリングする入力金属格子62を有している。SPPBG導波管領域61は入射SPPを受信し、そのパワーを、導波管領域63、65及び67中を伝播するSPPと共に3つの部分に分割する。各導波管領域63、65及び67はそれぞれ、SPPを光信号64、68及び70にカップリングする3つの出力金属回折格子66の方向に導波する。出力光信号はSPPBG構造中で処理された後、光伝送ネットワーク中で使用できる。
【0126】
図16に関連して説明されたY結合器の場合と同様、各導波管63、65及び67を画定するSPPBG領域は、入射SPPを3つの波長チャネルに分割するように同調してもよい。
【0127】
図16及び図17に関連して説明されたY接合部と三方向スプリッタは、SPPの波長依存導波の例である。波長依存導波へのもう1個のアプローチは、ベンド、反射器(ミラー、ビーム・スプリッタ)といったフィルタである。ベンドの場合、バンドギャップ外の波長を有するSPPはSPPBG領域に進んで種々の減衰効果によって吸収され、バンドギャップ内の波長を有するSPPだけが導波される。反射器の場合、反射器を形成するSPPBG領域のバンドギャップ内の波長を有するSPPは反射されるが、バンドギャップ外の波長を有するSPPは透過し、さらに反射器の裏面に導波される。反射器は導波管内の、導波管を画定する周期構造とは異なった周期性を有する周期構造の領域として形成すればよい。それによって、反射器のバンドギャップは導波管のバンドギャップとは異なったものになるので、2つのバンドギャップの重なり合う波長の範囲内の波長を有するSPPは反射され、他のSPPは反射器を透過する。
【0128】
SPPBG導波管は導体膜による周期パターンによって簡単に形成できるので、導波管及び素子を同じ処理ステップで同じ基板上に簡単に形成できる。このため従来の光学素子より緊密な実装のより小型の素子が可能になる。より緊密な実装とより小型の導波管及び素子というこの特徴のため、より小型でひいては高速の集積回路が可能になる。すなわち、SPP導波管の実現によって信号処理の新しい可能性が提供される。
【0129】
図16及び図17に関連して説明されたような結合器、ベンド及び反射器は、光学チップ上の超小型信号導波及び相互接続のために使用してもよい。強い波長依存プラズモン導波は、通信システムにおける波長分割多重(WDM)のために使用してもよい。プラズモン処理ユニットの後、例えば、図17のような回折格子を使用することによって、プラズモンをフォトンに変換し、信号の長距離伝送が行われる。この変換は非常に有効な処理である。WDMシステムにおける100GHzの通常のチャネル分割によって、LR−SPPを使用して数GHzのSPP線幅が達成できる(例えば、グラスバーグ他、「Appl.Phys.Lett.」70,1210(1997)またはJ.C.クウェイル(J.C.Quail)他、「Opt.Lett.」8、377(1983)を参照されたい)。
【0130】
上記で言及された素子を使用して、マッハ−ツェンダー干渉計または他の種類の干渉計を形成してもよく、これは干渉効果を使用する直接信号処理のためSPPのルーティングで使用してもよい。このことは例えば、通信システムにおける時分割多重(TDM)の場合特に重要であり、センサ応用の場合、例えば電気光学材料または非線形効果を使用することによって干渉計上のSPPパス長を制御すればよい。
【0131】
周期SPPBG構造中で散乱中心を省略、変形、変位または導入することによって二次元結晶中に偏差を形成できる。こうした偏差は、波長以下の規模で定位されたSPPBGキャビティまたは偏差状態を生じうる。プラズモン結晶中の偏差状態におけるSPPの定位によって、局所的な界強度は数桁向上できる。理論的には、光をSPPBG偏差状態に連続カップリングすることで界強度は104倍まで向上しうる。これによってSPPによるセンサの感度は大きく向上しうる。通常、このような強い界は、単一分子(蛍光)検出器または材料の量が非常に制限されていることの多い生物学/医学システムといった超高感度適用業務で使用可能である。SPPの性質により、センサは、センサの表面のような界面にピークを有する高強度領域への容易なアクセスを提供する。
【0132】
また、本発明はSPPBG構造におけるSPPの能動制御を提供する。図15に関連して説明された同調可能フィルタは、フィルタを電気的に同調できるという点で外部能動制御を伴う装置である。能動制御を提供するいくつかの他の実施形態を以下説明する。
【0133】
SPPの伝播速度は金属層を保持する誘電体層の屈折率に依存するので、光学的または電気的に屈折率を変調することによって位相シフトを容易に誘発できる。このことは、例えば、SPPBG構造を応用して、ゲーティング、サンプリング、スイッチング、再生等のために使用可能な干渉計を製造する道を開く。
【0134】
別の実施形態では、金属薄層の少なくとも一部分を圧電基板上に保持し、それによってSPPBG構造の寸法と特性を電気的に制御できるようにする。同様に、大きな熱膨張係数を有する基板上に金属層を堆積させ、温度を制御することでSPPBG構造の寸法と特性を制御してもよいが、これは比較的低速の処理である。
【0135】
前の段落で説明された実施形態のスキームを逆転させると、SPPBG導波管は、材料特性、電気、圧力及び温度を感知するセンサとしても使用できる。SPPはすでに化学物質の分析用に使用されている。本発明によって提供されるSPP制御によってこうした応用が大きく改善されると予想される。
【0136】
参考文献
[1]H.リーサー(H.Raether)、「表面プラズモン(Surface Plasmons)」(スプリンガー、ベルリン(Springer,Berlin)、1988)
【0137】
[2]S.C.キトソン、W.L.バーンズ(W.L.Barnes)及びJ.R.サムブルズ(J.R.Sambles)、「Appl.Phys.Lett.」77、2670(1997)
【0138】
[3]S.I.ボジェヴォルヌィ(S.I.Bozhevolnyi)及びF.A.プドニン(F.A.Pudonin)、「Appl.Phys.Lett.」78、2823(1997);S.I.ボジェヴォルヌイ及びV.コエリョ(V.Coello)、「Appl.Phys.」B58、10899(1998)
【0139】
[4]DME−デュアルスコープ(TM)、ハーレブ、デンマーク(Herlev,Denmark)
【0140】
[5]A.V.シチェグロフ(A.V.Shchegrov)、I.V.ノヴィコフ(I.V.Novikov)、及びA.A.マラドゥジン(A.A.Maradudin)、「Appl.Phys.Lett.」78、4269(1997)
【図面の簡単な説明】
【図1】
先行技術による、金属−ガラス界面にカップリングされ、その上で伝播するSPPの断面図。
【図2】
A〜Fは、本発明による装置中の周期パターン散乱中心の、種々の種類及び位置の断面図。
【図3】
AおよびBは、製造の異なった段階での本発明によるSPPBG導波管装置の実施形態を示す写真であり、RIEエッチングの前のレジストへの電子ビーム書き込みパターンを示す。
【図4】
図3Bのエッチング穴を伴うガラス−空気界面の走査型電子顕微鏡(S電磁)画像。
【図5】
共振励起SPPと、SPPBG構造の散乱中心上のSPPの散乱によって形成される全電界強度分布のニアフィールド・イメージングの断面図。
【図6】
図3Aまたは図3Bの導波管中を伝播するSPPの全電界強度振幅を示すニアフィールド画像。
【図7】
A〜Dは、45nm厚金膜上のレジスト・マスク層中に形成される線偏差を伴う400nm周期三角形格子の種々の領域の走査型電子顕微鏡画像。
【図8】
A〜Dは、Aのトポグラフィ画像と、λ〜B:782、C:792及びD:815nmで得られたニアフィールド光画像(10.5×10.5μm2)とのグレースケールを示す。ΓK方向を有する線偏差を伴う周期構造は図7Aに示されるレジスト構造に対応する。トポグラフィ画像の深度は90nmである。光画像のコントラスト、すなわち最大及び最小検出光信号の相対差は〜98%である。
【図9】
A〜Dは、Aのトポグラフィ画像と、λ〜B:782及びC:792nmで得られたニアフィールド光画像(15×15μm2)とのグレースケールを、対応する光画像上に付した直線に沿った断面図Dと共に示す。ΓM方向を有する2つの線偏差を伴う周期構造は図7Bに示されるレジスト構造に対応する。トポグラフィ画像の深度は150nmである。光画像のコントラストは〜97%である。
【図10】
A〜Dは、Aのトポグラフィ画像と、λ〜B:782及びC:815nmで得られたニアフィールド光画像(13×13μm2)とのグレースケールを、対応する光画像上に付した直線に沿った断面図Dと共に示す。ΓM方向を有する2つの線偏差を伴う周期構造は図7cに示されるレジスト構造に対応し、ΓK方向の幅広い偏差は図7dに示されている。トポグラフィ画像の深度は170nmである。光画像のコントラストは〜98%である。
【図11】
A〜Cは、図10に示される画像と同じ界面範囲からのAのトポグラフィ画像と、λ〜B:782及びC:815nmで得られたニアフィールド光画像(7×17.5μm2)とのグレースケールを示す。トポグラフィ画像の深度は105nmである。光画像のコントラストは(b)95%及び(c)90%である。
【図12】
誘電体多層を有するLR−SPP構造の断面図。
【図13】
誘電体材料が界面上を伝播するSPPを増幅する利得媒体を含む本発明による実施形態の断面図。
【図14】
誘電体材料が界面上を伝播するSPPを増幅する利得媒体を含む本発明による実施形態の断面図。
【図15】
界面上を伝播するSPPのコヒーレント分散ポンピングを可能にする本発明による実施形態の断面図。
【図16】
本発明のSPPBG素子の実施形態によるY結合器の例示。
【図17】
本発明のSPPBG素子の実施形態による3方向スプリッタの例示。
発明の分野
本発明は、表面プラズモン・ポラリトン・バンドギャップ(SPPBG)領域を使用して表面プラズモン・ポラリトン(SPP)の伝播を制御する方法と装置を提供する。SPPBG領域とは、SPPの伝播をサポートする1個かそれ以上の界面領域(インターフェース)のことであり、この領域では、SPPはその電磁界が広がる媒体の誘電特性における周期的変調を経験する。バンドギャップの周波数範囲は変調周期によって決定される。SPPBG領域では、そのバンドギャップ内の周波数を有するSPPの伝播が禁止される。
【0002】
SPPBG領域中に透過(伝送)領域を形成することによって、本発明は超小型SPP導波管を提供する。本発明を利用して、小型集積SPP/光回路を形成することができる。また、本発明は、フィールドローカライゼーション(電磁界の局在化)のためのSPP定在波をサポートするキャビティを提供する。このフィールドローカライゼーションは非常に大きいフィールド強度を提供することができ、種々のセンサへの応用において使用できる。
【0003】
本発明の装置は、SPPが二次元界面上を伝播し、伝播の平面中への閉じ込めだけを必要とするため、フォトニック素子に対して多数の利点を提供する。このため、本発明による装置の製造は非常に簡単になる。
【0004】
発明の背景
表面プラズモン・ポラリトンは導体材料と誘電体材料との間の界面に沿って伝播する準二次元電磁(電磁)モードである。図1は、金属2と空気5との間の界面4に沿って伝播するSPPを示す。電磁界振幅6は、図1に例示されているように、界面4に対して垂直な方向の2つの隣接する媒体中で指数関数的に減衰する。
【0005】
通常、SPPは、レーザ・ビームからの電磁放射の伝播をSPPの伝播定数βに一致させることによって励起され、それによって電磁界はSPPにカップリングされる。図1は、ガラス基板3の上に蒸着された金属膜2のガラス−金属界面1または空気−金属界面4でのクレッチマン(Kretschmann)構成におけるSPP励起の概略を示す。ガラス基板3の裏面上のガラス・プリズム7を通る光の入射角θを調整して、β=(2π/λ)nsinθ、ただしnはガラスの屈折率、という一致条件を満足させる。正確な位相整合条件によってプラズモンがどの界面にカップリングされるかが決定されるが、金属膜3は通常電磁界振幅6の横方向範囲よりはるかに薄いので、SPPはまず誘電体層3及び/または5中を伝播し、その後金属−誘電体界面2及び/または4を伝播すると考えられる。
【0006】
このようなカップリングを行ういくつかの方法と装置は周知である。例えば、図1で例示されまた米国特許第4,565,422号に記載されているプリズムカップリング器や、米国特許第4,567,147号及び米国特許第4,765,705号に記載されている回折格子結合器がある。伝播するSPPは、同様の装置を使用することで再びフォトンに変換される。
【0007】
SPP伝播を管理することのできるいくつかの簡単な光学素子がスモリャニノフ(Smolyaninov)他によって示唆されている(「Phys.Rev.」B56、1997、1601)。こうした素子は、ホイヘンス−フレネル(Huygens−Fresnel)原理による表面欠陥上の回折及び屈折を利用している。
【0008】
表面プラズモン・ポラリトン・バンド構造の存在は、シェラー(Scherer)他「Journal of Lightwave Technology」17、1999、1928)、スモリャニノフ他(「Phys.Rev.」B59、1999、2454)、及びキトソン(Kitson)他(1996)(「Phys.Rev.Lett.」77、1996、2670)といった多数の論文で言及されている。こうしたバンド構造は、金属−誘電体界面に製作される周期構造から生じる。励起されたSPPが周期構造に沿って伝播すると、SPP伝播定数は周期的に変調され、最終的に「プラズモン・バンドギャップ」効果を生じる。
【0009】
二次元結晶におけるプラズモン・バンドギャップ構造はキトソン他によって報告されている(1996)。この論文は、この説明の図1に関連して説明されたプリズムを使用するテクスチャ付き界面上のフォトンのSPPへのカップリングを記述しており、このテクスチャは周期的な六角形パターンを描いている。入射レーザ・ビームの反射は界面上のフォトンのSPPへのカップリングの尺度であり、この論文の図3は結果として得られるカップリング領域の反射率を例示している。すなわち、図3は、1.91〜2.00eVの区間のエネルギーを有するフォトンについての例示であり、対応するSPPについてのプラズモン・バンドギャップを例示するSPPへのフォトンの不良カップリングが存在する。
【0010】
キトソン他のさらに別の論文(「J.Appl.Phys.」、84、1998、2399)は金属ミラーを使用するマイクロキャビティ(例えば、有機LED)における損失の低減に関する。この論文は金属ミラー中のマイクロキャビティ・モードからSPPモードへの非放射性カップリングによる損失を回避する方法を提案している。テクスチャ付きミラー表面を使用して、バンドギャップが導入され、バンドギャップ内のエネルギーを有するSPPへのカップリングを禁止する(このカップリングの禁止は、前の節の同じ著者による論文、キトソン他(1996)で詳細に説明されている)。バンドギャップをマイクロキャビティ・モードに同調することによってマイクロキャビティ・モードのカップリング損失が減少する。この論文は1個の金属ミラーの一次元テクスチャを伴うマイクロキャビティを説明している。
【0011】
フォトニックバンドギャップ(PBG)材料は、導波、光局在化、ベンドについての低損失、及び強い波長依存性を持つ光透過を提供するために使用されている。フォトニックバンドギャップ効果は、原子格子中の電子が経験する効果と同様の散乱の波長スケール周期構造による光の周期的散乱に依存し、すなわち、フォトン/電子エネルギーは、伝播状態が防止されるギャップによって分離されたエネルギーバンドに配置される。既存のPBGによる構造は三次元周期構造を利用するが、これは製作が困難であり、設計の柔軟性はきわめて小さい。また、既存の平面PBGによる導波管は、面外次元において高い光損失を有する。
【0012】
発明の概要
電磁放射を導波及び局在化する方法と装置を提供することが本発明の目的である。
【0013】
電磁放射を導波するほぼ二次元の構造を提供することが本発明の別の目的である。
【0014】
導波管、ベンド、スプリッタ、結合器、フィルタ、多重装置、多重分離装置、干渉計、共振器、センサ、同調可能フィルタ、増幅器、スイッチ、センサ等といった受動及び能動素子を備える小型低損失光集積回路を提供することが本発明のさらなる目的である。
【0015】
サイズが小さいため、周知の光回路より高速度で信号を処理することのできる小型低損失光集積回路を提供することが本発明のまたさらなる目的である。
【0016】
製作が容易で安価な小型低損失光集積回路を提供することが本発明のまたさらなる目的である。
【0017】
センサ応用で使用するため、局在化された高強度電磁界を提供することが本発明のまたさらなる目的である。
【0018】
本発明は、表面プラズモン・ポラリトン・バンドギャップ(SPPBG)構造における表面プラズモン・ポラリトン(SPP)の被制御伝播を提供する方法と装置を提供することによってこれらの目的を達成する。SPPBG構造中に周期的変調のない状態のチャネルを置くことによって、本発明はSPPBG構造における超小型導波管、すなわち、SPPのエネルギー/周波数依存導波を提供し、これを利用して小型光集積SPP/回路を形成することができる。
【0019】
すなわち、本発明は、対応するSPP界を導波及び/または局在化することによって、二次元システム中の光信号を処理することに基づいている。電磁界(SPP)を伝播させる界面への光信号のカップリングは、回折格子またはプリズム結合器を使用する導体薄膜中で、100%に近い変換効率でなされる。SPPはフォトンと非常に類似した波長を有し、バンドギャップ効果を使用する同じ信号処理の機会が利用できる。
【0020】
SPPの重要な特性として、電磁界の導体−誘電体に沿った伝播が制約されることがあり、そのためSPP素子は二次元システムとみなされる。しかし、SPPの同様に重要な特性として、電磁界はその二次元界面の上及び/または下の誘電体材料中に広がり、そのためSPPの伝播は誘電体材料の特性に依存する(金属層が薄ければ、界は層の両面で誘電体材料中に広がる)。従って、フォトンと比較して、SPPの散乱に関する特性は異なっている。SPPと相互作用する界面の散乱中心は、フォトンとして界面から離れて伝播する散乱電磁界に帰結するか、またはSPPとして界面に留まる。SPPのビームの散乱がSPPのビームに直接カップリングされないモードのカップリング電磁放射に帰結する場合、重大な損失をもたらすことになる。
【0021】
装置は、SPPを保持する導体−誘電体界面の付近に他の導体−誘電体界面を備えてもよい。そうした界面同士がSPPの電磁界の範囲よりも近づいている場合、SPPは他の界面でSPPモードにカップリングされることもある。金属膜のように、導体材料が非常に薄い場合、それ自体がSPPモードをサポートする2つの界面を提供できる。導体材料の薄層の1個の界面のSPPモードにカップリングされたSPPは、他の界面のSPPモードともカップリングされ得る。このモードの組み合わせは、図1Bに示されるように、両方の導体−誘電体界面上を伝播するか、またはそれに結び付けられる2つのカップリングモードを生成する。導体層2で高い電磁界振幅を有する対称モード8は両側の誘電体層3及び5に広がり、非対称モード9は導体層2で低い電磁界振幅を有し、誘電体層3及び5で高い振幅を有する。対称層8は図1Aの1個の界面上を伝播する通常のSPPモード6と同様である。しかし、非対称モード9は、長距離表面プラズモン・ポラリトン(LR−SPP)と呼ばれるものを示す(例えば、S.Glasberg、Appl.Phys.Lett.70、1210(1997)及びその参考文献参照)。LR−SPPは、導体層2での振幅が小さいため少ない減衰で伝播できる。本発明の用語法においては、SPPとは1個の界面上を伝播するSPPであることも、導体薄層の2つの界面上を伝播するLR−SPPであることもある。
【0022】
しかし、本発明の好適実施形態によって行われた実験が示すところによれば、SPPの散乱による損失にもかかわらず、SPPBG構造を使用してSPPの局在化を提供し、その結果数波長及びそれより長い距離にわたる導波も可能であるが、このことは特にLR−SPPをサポートする構造について当てはまる。
【0023】
第2の媒体に対して第1の界面を有する第1の媒体であって、前記界面は表面プラズモン・ポラリトンを導波するようになっており、少なくともほぼ平面であるものと、
複数の散乱中心であって、それぞれの散乱中心は、前記第1の界面に少なくともほぼ平行な平面中の断面が、前記平面における周辺エリアの複素誘電率と異なった複素誘電率を有するエリアである領域であるもの、とを備え、
前記第1の界面に対して少なくともほぼ垂直な前記散乱中心の突起は、前記第1の界面上に1個またはそれ以上の非透過部分と1個またはそれ以上の透過部分を画定するものであって、この画定は、前記非透過部分中に突出した散乱中心の所定の少なくとも周期的なパターンを形成し、それによって前記非透過部分を、前記第1の周波数を有するSPPの伝播を少なくともほぼ禁止するSPPBG(表面プラズモン・ポラリトン・バンドギャップ)領域と成し、かつ前記1個のまたはそれ以上の透過部分中に前記所定のパターンを形成しないことによって行われるものであり、さらに
前記複数の散乱中心は、前記第1の界面上で1個またはそれ以上の非透過部分によって少なくとも部分的に取り囲まれる少なくとも1個の透過部分を画定するように配置される。
【0024】
表面プラズモン・ポラリトンは、2つの材料間の界面上を電荷密度振動として伝播する電磁波である。電磁波が界面上を伝播するためには、界面は、その波の周波数においてAC導電性を有する第1の材料と、第2の材料との間になければならず、これら2つの材料はどちらもその波の周波数で電磁放射に対して透明である。これらの条件は、材料の周波数依存複素誘電率εで表される。
【0025】
材料の誘電特性は、印加される電磁界の周波数に強く依存する。材料が負または正の実数部分Re(ε)を伴う複素誘電率εを有する周波数範囲は、材料中の自由及び拘束電荷の特性といったいくつかの特性に依存する。通常、所与の温度、圧力等の各材料または材料組成について、それより上では材料の複素誘電率が正の実数部分Re(ε)>0を有し、それより下では材料の複素誘電率が負の実数部分Re(ε)<0を有するというような周波数が存在する。すなわち、第1及び第2の周波数範囲は通常一端でのみ拘束されている。
【0026】
従って、好適には、界面は、第1の周波数範囲で負の実数部分Re(ε1)<0を伴う第1の複素誘電率ε1を有する第1の媒体と、第2の周波数範囲で正の実数部分Re(ε2)>0を伴う第2の複素誘電率ε2を有する第2の媒体との間にある。第1及び第2両方の周波数範囲は第1の周波数を含む。第1の界面を形成する2つの材料は好適には導体材料と誘電体材料であり、導体材料は第1の媒体であり、誘電体材料は第2の媒体である。
【0027】
非透過部分は、第1の周波数を有する伝播SPPが、SPPの伝播を少なくともほぼ防止するSPPBGに遭遇する部分である。SPPBGがSPPの伝播を防止する周波数範囲は、突出散乱中心の少なくともほぼ周期的なパターンの空間周期に依存する。透過部分は、第1の周波数を有するSPPが自由に伝播できる部分である。しかし、透過部分が第1の周波数と異なった周波数を含まないバンドギャップを有するSPPBGを確立することがあるため、透過部分は必ずしもあらゆる周波数のSPPの伝播をサポートするわけではない。
【0028】
すなわち、透過部分は、非透過部分と異なる突出散乱中心のパターンを有するか、または突出散乱中心の周期パターンを少なくともほぼ有さないかの何れかである。従って、透過部分はまた、所定のパターンと異なった空間周期を有する突出散乱中心の少なくともほぼ周期的なパターンを備えることがある。それゆえに、第1の界面の透過部分は、所定のパターンと同様であるが、1個かそれ以上の異常、欠落または変位した散乱中心の結果から生じるような偏差を有する突出散乱中心を備え、その場合第1の界面の透過部分はSPPBGを確立しないことがある。
【0029】
所定の周波数範囲内の周波数を有するSPPは、第1の界面の非透過部分上を伝播できず、透過部分上を伝播しうる。従って、所定の周波数範囲内の周波数を有し、透過部分上を伝播するSPPは、透過部分と非透過部分との間の界面に入射すると少なくとも部分的に反射される。
【0030】
SPPBG効果を提供するためには、散乱中心は伝播するSPPから見て周期パターンを形成すべきであり、すなわち、このパターンは、SPPが伝播する第1の媒体の第1の界面に少なくともほぼ平行な範囲を有する。これは、全ての散乱中心がほぼ同じ平面中になければならないという意味に解釈されるべきではない。実際には、散乱中心は第1の界面から種々の距離にあり、そのため全体的なSPPBG効果に対する寄与の仕方も様々である。しかし、散乱中心が第1の界面上を伝播するSPPを散乱するようにするには、SPPは散乱中心の位置でゼロにならない界振幅を有するべきである。可視範囲の周波数を有するSPPの界振幅の空気への浸透深さは通常1000ナノメートル(1ナノメートル=10−9m=1nm)未満である。
【0031】
散乱中心の大多数は好適には、第1の界面に少なくともほぼ平行な範囲を有する少なくともほぼ平面の領域内に位置している。好適には、この少なくとも平面の領域は第1の界面から1000nm未満の距離に位置している。必要に応じて、少なくともほぼ平面の領域は、100nm未満または50または10nm未満といった、第1の界面から500nm未満の距離に位置している。
【0032】
全ての散乱中心といった、少なくとも散乱中心の大多数を含む少なくともほぼ平面の領域は、装置の個々の材料構造に応じて別の媒体に配置してもよい。好適実施形態では、少なくともほぼ平面の領域の少なくとも一部分は第1の媒体から構成される。別の好適実施形態では、少なくともほぼ平面の領域の少なくとも一部分は第2の媒体から構成される。
【0033】
第2の媒体は好適には、SiO2、空気、ポリマー、Al2O3(サファイア)、石英、及び石灰ガラスからなるグループから選択される1個かそれ以上の材料を含む。また、第1の媒体は好適には、Au、Cu、Ag、Al、Cr、Ti、Pt、Ni、Ge、Si、Pd、及び超伝導体からなるグループから選択される1個かそれ以上の材料を含んでもよい。好適実施形態では、第1の媒体は第2の媒体によって支持された導体薄膜を含む。
【0034】
また、少なくともほぼ平面の領域の少なくとも一部分は第2の媒体に隣接する第3の媒体から構成されることもある。装置の材料構造は通常堆積された材料の種々の層を含むので、装置はさらに第2及び第3の媒体の間に1個かそれ以上の層を含んでもよい。
【0035】
LR−SPPをサポートするため、第1の媒体は好適には第2の媒体によって支持される導体薄膜であるので、膜のどちらの側面でもSPPモード間のカップリングが可能である。好適には、膜は100nm未満の厚さを有する。しかし、膜が薄ければ薄いほど、膜中のLR−SPPの減衰は小さくなる。従って、好適には膜は、25nm、10nm、5nm、2nm、1nm、0.5nm、0.25nmまたは0.1nm未満といった、50nm未満の厚さを有する。また、LR−SPPの伝播を最適化するため、導体薄膜を間に挟んだ誘電体材料は好適には、誘電特性が同一であるなど、同様の誘電特性を有する。
【0036】
好適実施形態では、第2の媒体は第1の媒体によってサポートされるSPPモードにエネルギーをカップリングする利得媒体を含む。利得媒体は、例えば、電気的または光学的にポンピングされるものでよい。
【0037】
非透過部分を使用し、SPPが伝播できる第1の界面上の範囲を制限することによってSPPの伝播を制御することができる。この応用分野では、導波という用語は、非透過部分または同等物の使用によるSPPの伝播の何らかの制御を示す。従って、SPP導波管とは、第1の界面上の一点から別の点へのSPPの伝播を制御することによってSPPを導波する装置である。すなわち、SPP導波管とは、非透過部分を通るチャネルまたはガイドを形成するように部分的に非透過部分によって取り囲まれた透過部分である。また、SPPを導波する装置は、入射SPPを偏向させるミラーまたは回折格子であるか、または周波数に応じてSPPを偏向/透過するフィルタであってもよい。
【0038】
SPP定在波をサポートすることによって電磁界を局在化するように非透過部分によって取り囲まれた透過部分がSPPキャビティを形成してもよい。キャビティを取り囲む非透過部分の一部の所定のパターンの周期は、小さい透過率を有するように離調され、それによってキャビティからの出力結合器を提供してもよい。
【0039】
この装置は好適にはさらに、制御された形でフォトンをSPPにカップリングする1個かそれ以上の入力カップリング構造、及び/または制御された形でSPPをフォトンにカップリングする1個かそれ以上の出力カップリング構造を備える。
【0040】
ここでは、透過及び非透過部分を使用してSPPを導波できる装置を提供したので、SPPを処理する素子及び回路を形成することが可能である。
【0041】
すなわち、第2の態様では、本発明は、1個かそれ以上のSPPを受信する入力カップリング構造を備えるSPP受信部分と、1個かそれ以上の受信SPPの1個の少なくとも一部分を偏向させる、本発明の第1の態様によるSPP導波管とを備えるSPP素子を提供する。
【0042】
このSPP素子は好適にはさらに、導波されたSPPにおいて位相及び/または振幅変調を誘発する制御可能な複素屈折率を有する少なくとも1個の活性領域を備え、このSPP素子はさらに、その活性領域の複素屈折率を制御する手段を備えている。この活性領域は好適には、SPPの電磁界の範囲内の誘電体材料中にある。また、SPP素子のSPP導波管は少なくとも1個の活性領域を備える干渉計を形成してもよい。
【0043】
別の実施形態では、SPP素子は好適にはさらに、第1の周波数と異なる周波数を有するSPPの伝播を少なくともほぼ禁止するようになっているSPPBG領域であるさらに別の非透過部分を備え、SPPの波長フィルタを形成する。
【0044】
同様に、第3の態様では、本発明は、
フォトンをSPPにカップリングする入力構造と、
SPPをフォトンにカップリングする少なくとも1個の出力構造と、
請求項20〜23に記載の1個かそれ以上のSPP素子と、
SPPを入力構造から1個かそれ以上のSPP素子の1個に導波し、かつSPPを1個かそれ以上のSPP素子の1個から少なくとも1個の出力構造に導波する請求項2に記載の2つかそれ以上のSPPBG導波管と、
を備えるSPP回路を提供する。
【0045】
第4の態様によれば、本発明は第1と第2との媒体の間の少なくともほぼ平面の界面上を伝播する表面プラズモン・ポラリトン(SPP)の伝播を制御する方法を提供するが、前記方法は、
第1の媒体を提供するステップであって、この第1の媒体が、第1の周波数範囲内の負の実数部分、Re(ε1)<0を伴う第1の複素誘電率ε1を有し、かつ界面に当接する第1の表面を有する第1の材料層を備えるステップと、
第2の媒体を提供するステップであって、この第2の媒体が、界面に当接する少なくとも1個かそれ以上の部分で第2の周波数範囲内の正の実数部分、Re(ε2)>0を伴う第2の複素誘電率ε2を、界面に当接する少なくとも一部の部分で有するステップと、
界面でSPPを伝播させるステップであって、前記SPPが第1及び第2の周波数範囲に含まれる第1の周波数を有するステップと、
界面と周囲領域とを備える伝播層を画定するステップであって、その際SPPがある点に最も近い界面の部分上で伝播する時、その点がどれも、界面の電磁界の1%以上の強度を有するSPPの電磁界の影響下にあるステップと、
第1の周波数を含む第3の周波数範囲内の周波数を有するSPPに少なくともほぼアクセスできないSPPBG(表面プラズモン・ポラリトン・バンドギャップ)領域である界面の1個かそれ以上の非透過部分を提供することによって、SPPを界面の透過部分に閉じ込めるステップであって、前記SPPBG領域が、第1の界面に少なくともほぼ垂直に突出する時所定の少なくともほぼ周期的な散乱パターンを形成する伝播層中の複数の散乱中心によって画定され、各散乱中心が、界面に少なくともほぼ平行な平面中の断面が前記平面中の周囲範囲の複素誘電率と異なる1個かそれ以上の複素誘電率を有する範囲であるような領域であるステップとを含む。
【0046】
第3の周波数範囲内の周波数を有するSPPは透過部分上でだけ伝播できる。電磁波の周波数は通常、ある幅と中心周波数とを有する周波数分布によって特徴付けられるが、波の周波数とは通常中心周波数を指す。
【0047】
プラズモン波を導波するために必要なSPPBG構造は、散乱中心の二次元格子を形成することによって得られる。散乱中心は通常、界面中のSPP搬送媒体の複素誘電率の周期的な変化または局所的な幾何学的変形である。SPPは電磁波であるので、散乱中心は界面中、または界面に接触して形成される必要はない。界振幅が変化の位置でゼロにならない場合、複素誘電率の周期的な変化は散乱中心をSPPに提供するので、SPPの電磁界中のどこにでも位置しうる。
【0048】
図1に見られるように、SPP波は界面上を移動するよう閉じ込められるが、電磁界は界面に閉じ込められない。すなわち、SPPの電磁界振幅は界面に垂直な方向の隣接媒体中に延びる。その広がりはSPPモードと、ある方向での材料の誘電特性に依存する。このことが意味するように、SPPが伝播し、その際SPPの電磁界がゼロにならないような界面を取り囲む領域が存在する。界面が好適には平面であるとすれば、このゼロにならない界の領域は種々の厚さの伝播層を確立するだろう。
【0049】
ゼロにならないSPP界振幅を伴う点で複素誘電率の変化があると、何らかの散乱が生じる。すなわち、散乱中心が伝播するSPPから見えるようにするため、散乱中心は好適には、SPPが伝播する第1の界面に少なくともほぼ平行な平面中の複素誘電率の局所的な変化として伝播層中に存在する。平面を使用して散乱中心を画定すると、各中心とその対応する交差平面は伝播層中の任意の垂直位置に配置される。散乱中心に対応する平面は個々の散乱中心に固有であるので、パターンの範囲を説明するのに使用されたのと同じ平面ではない。
【0050】
伝播層の外側の位置から見ると、所定のパターンが界面に垂直に突出し、それによってSPPが所定のパターンに遭遇する非透過部分と、遭遇しない透過部分を形成する。界面上を伝播し、所定のパターンのSPPBG内の周波数を有するSPPにとって、第2の界面の非透過部分は禁止領域であり、SPPは透過部分に閉じ込められ、非透過部分の方向に伝播する場合少なくともほぼ完全な反射に遭遇する。
【0051】
しかし、散乱中心のパターンによるSPPBG効果の強さは散乱中心の位置でのSPP界振幅に依存する。高い界振幅に遭遇した散乱中心は強いSPPBG効果を生じ、低い界振幅に遭遇した散乱中心は弱いSPPBG効果を生じる。また、散乱中心のパターンによるSPPBG効果の強さは散乱中心の複素誘電率と周囲媒体の複素誘電率との対照にも依存する。
【0052】
散乱中心から大きな寄与を得るためには、散乱中心は好適には、SPPからの電磁界強度が、界面の電磁界強度の0.5%より大きい、また1%または2%より大きいといった、界面での電磁界強度の0.1%より大きく、さらに、より強いSPPBG効果を得るためには、界面での電磁界強度の25%または50%より大きいといった、5%または10%より大きい領域として画定される伝播層内にある。必要に応じて、散乱中心は界面に接触して配置されるか、または界面の幾何学的変形として形成される。
【0053】
本発明の第2の態様による好適な方法では、散乱中心は、第1及び/または第2の媒体中の界面に形成された構造である。
【0054】
SPPを伝播させるステップは好適にはさらに、界面の透過部分上でSPPを伝播させるステップを含む。また、SPPを界面の透過部分に閉じ込めるステップは好適にはさらに、SPPが界面の透過部分から界面の非透過部分に伝播する時はいつでも、界面の非透過部分上でSPPの少なくとも一部分を反射し、界面の透過部分上でSPPの反射された少なくとも一部分を伝播させるステップを含む。
【0055】
界面の第1の非透過部分は、透過及び非透過部分の配置に応じて、SPPBG導波管またはキャビティを画定しうる。SPPBG導波管は通常、1個の位置から他の位置に至り、位置間を伝播する光信号を転送及び/または処理するために使用される1個かそれ以上の接続された透過部分によって形成される。すなわち、SPPBG導波管は通常、フォトン/SPP−結合器またはSPP−素子に接続される透過部分によって形成される。SPPBGキャビティは通常孤立した透過部分であり、定在SPP波をサポートするという意味で閉じている。SPPBGキャビティは、省略された、または異常な散乱中心といった単一の偏差によって形成してもよい。例えば、センサ応用で使用する場合、フォトンをキャビティに連続してカップリングすることによって、SPP定在波の局在化された電磁界からきわめて高い強度を得ることができる。
【0056】
界面の透過部分がSPPの伝播をサポートするには、伝播層の対応する部分が、SPPBGを提供しない限り散乱中心を含んでもよい。すなわち、界面の透過部分を含む伝播層の部分は、所定のパターンと異なった散乱中心のパターンを含むか、または少なくともほぼ散乱中心がなくてもよい。
【0057】
本方法は光信号に関連して応用されるので、本方法はさらに、1個かそれ以上のフォトンを界面にカップリングすることによってSPPを形成するステップを含んでもよい。同様に、本方法はさらに、SPPの少なくとも一部分を1個かそれ以上のフォトンにカップリングするステップを含んでもよい。
【0058】
複数の電磁波が制御される信号処理に関連して本方法を利用するため、すなわち、本方法はさらに、界面上でSPPを伝播させるステップであって、前記第2のSPPが第2の周波数を有するステップを含んでもよい。
【0059】
第2のSPPは第1のSPPと異なった時間に提供してもよく(時分割)、かつ/または第2の周波数は第1の周波数と異なってもよい(波長分割)。
【0060】
第2の周波数が第1の周波数と異なっており、第3の周波数間隔の外にある場合、SPPを界面の透過部分に閉じ込めるステップはさらに、界面の非透過部分の1個の上で第2のSPPを伝播させるステップを含んでもよい。それによって、第1及び第2のSPPは界面上で追加及び/または分離することができる。このステップは、例えば信号の波長分割多重化(WDM)で使用する際、波長フィルタとして使用してもよい。
【0061】
また、SPPBGのバンドギャップを調整して第2のSPPの伝播を制御してもよい。すなわち、本方法はさらに、
第2の周波数を含むように第3の周波数範囲を変更するステップと、
第2のSPPが界面の透過部分から界面の非透過部分に伝播する時はいつでも、界面の非透過部分上で第2のSPPの少なくとも一部分を反射し、界面の透過部分上で第2のSPPの反射された部分を伝播するステップとを含んでもよい。
【0062】
好適実施形態では、SPPBGは第2のSPPを変調するように変調される。伝播領域は、材料の複素誘電率が所定のパターンを形成するような電気光学材料を含んでもよく、またバンドギャップは、例えば時分割多重化で使用する際電気的に調整してもよい。
【0063】
別の好適実施形態では、SPPBGはさらに、
エネルギーを第1の界面がサポートするSPPモードにカップリングするため、第2の媒体中に利得媒体を提供するステップであって、第1の界面に垂直に突出する時、前記利得媒体が第1の界面の透過部分を画定するステップと、
利得媒体を電気的または光学的にポンピングするステップと、
利得媒体からSPPを含むモードにエネルギーをカップリングすることによって導波されたSPPを増幅するステップと、
を提供することによって増幅または変調してもよい。
【0064】
第5の態様では、本発明は、第1の周波数を有し少なくともほぼ平面の界面上を伝播するSPP(表面プラズモン・ポラリトン)の伝播を制御する装置を製造する第1の方法を提供するが、前記方法は、
少なくともほぼ平面の表面を有する基板を提供するステップと、
基板表面の1個かそれ以上の部分に、基板表面の凹または凸の構造に関連する第1の層中に凹または凸の構造を形成するような、基板と基板表面によって保持される第1の材料層との間の界面の1個かそれ以上の非透過部分を画定するように、基板表面に対して凹または凸である構造の所定の少なくともほぼ周期的なパターンを形成するステップであって、第1の材料層が、第1の周波数を含む第1の周波数範囲で負の実数部分、Re(ε1)<0、を伴う複素誘電率ε1を有し、界面が第1の材料層の上部または下部の表面であるステップとを含み、
その際構造のパターンが、前記所定のパターンなしで界面上に1個かそれ以上の透過部分を画定するように形成され、前記透過部分は基板表面の1個かそれ以上の非透過部分によって少なくとも部分的に取り囲まれる。
【0065】
好適には、界面はSPPの伝播をサポートするようになっており、界面の1個かそれ以上の非透過部分は、界面上に1個かそれ以上のSPPBG(表面プラズモン・ポラリトン・バンドギャップ)領域を提供する。
【0066】
SPP導波管またはキャビティを形成するため、透過部分は、少なくとも部分的に透過部分を取り囲む非透過部分がSPPを閉じ込める界面の領域を確立する。好適実施形態では、第1の製造方法は、界面上の非透過部分中にSPP導波管を確立するため、非透過部分中に透過部分の1個かそれ以上のチャネルを画定するように構造のパターンを形成するステップを含む。別の好適実施形態では、第1の製造方法は、SPPキャビティを確立するため、界面上の非透過部分によって取り囲まれる透過部分を画定するように構造のパターンを形成するステップを含む。
【0067】
第6の態様では、本発明は、第1の周波数を有し少なくともほぼ平面の界面上を伝播するSPP(表面プラズモン・ポラリトン)の伝播を制御する装置を製造する第2の方法を提供するが、前記方法は、
第1の周波数を含む第1の周波数範囲で負の実数部分、Re(ε1)<0、を伴う複素誘電率ε1を有する第1の材料層を提供するステップであって、界面が第1の材料層の上部または下部の表面に関連する平面として画定されるステップと、
第1の層中に選択された領域の所定の、少なくともほぼ周期的なパターンを形成するように第1の層の選択された領域を除去するか、または選択された領域の複素誘電率を変更するステップであって、選択された領域がε1と異なる複素誘電率を有するステップとを含み、
その際選択された領域が、第1の層と第2の媒体との間の界面の1個かそれ以上の非透過部分と1個かそれ以上の透過部分とを画定し、前記透過部分が第1の層の1個かそれ以上の非透過部分によって少なくとも部分的に取り囲まれる。
【0068】
好適には、界面はSPPの伝播をサポートするようになっており、界面の1個かそれ以上の非透過部分は界面上に1個かそれ以上のSPPBG(表面プラズモン・ポラリトン・バンドギャップ)領域を提供する。
【0069】
SPP導波管またはキャビティを形成するため、透過部分は、少なくとも部分的に透過部分を取り囲む非透過部分がSPPを閉じ込める界面の領域を確立する。好適実施形態では、第1の製造方法は、界面上の非透過部分中にSPP導波管を確立するため、非透過部分中に透過部分の1個かそれ以上のチャネルを画定するように領域のパターンを形成するステップを含む。別の好適実施形態では、第1の製造方法は、SPPキャビティを確立するため、界面上の非透過部分によって取り囲まれる透過部分を画定するように領域のパターンを形成するステップを含む。
【0070】
第7の態様では、本発明は、第1の周波数を有し材料層と媒体との間の少なくともほぼ平面の界面上を伝播するSPP(表面プラズモン・ポラリトン)の伝播を制御する装置を製造する第3の方法を提供するが、前記方法は、
材料層に当接する表面を有する基板を提供するステップであって、基板が、第1の周波数を含む第2の周波数範囲で正の実数部分、Re(ε2)>0、を伴う複素誘電率ε2を有するステップと、
基板中の複数の領域の複素誘電率をε2と異なる複素誘電率に変更するステップであって、前記複数の領域が、界面に少なくともほぼ垂直に突出する時、界面の1個かそれ以上の非透過部分を画定する1個かそれ以上の所定の、少なくともほぼ周期的なパターンを形成するように配置されるステップと、
基板の表面上に材料層を提供するステップであって、前記材料層が、第1の周波数を含む第1の周波数範囲で負の実数部分、Re(ε1)<0、を伴う複素誘電率ε1を有しかつ上部及び下部の表面を有し、界面が材料層の上部または下部の表面に関連する平面として画定されるステップとを含み、
その際1個かそれ以上の所定のパターンが、所定のパターンなしで界面の1個かそれ以上の透過部分を画定し、前記透過部分が1個かそれ以上の非透過部分によって少なくとも部分的に取り囲まれる。
【0071】
好適には、界面はSPPの伝播をサポートするようになっており、界面の1個かそれ以上の非透過部分は界面上に1個かそれ以上のSPPBG(表面プラズモン・ポラリトン・バンドギャップ)領域を提供する。
【0072】
好適には、材料層との界面を形成する媒体は基板である。しかし、基板は異なった材料組成の1個かそれ以上の層を含んでもよい。
【0073】
SPP導波管またはキャビティを形成するため、透過部分は、少なくとも部分的に透過部分を取り囲む非透過部分がSPPを閉じ込める界面の領域を確立する。好適実施形態では、第1の製造方法は、界面上の非透過部分中にSPP導波管を確立するため、非透過部分中に透過部分の1個かそれ以上のチャネルを画定するように複数の領域を配置するステップを含む。別の好適実施形態では、第1の製造方法は、SPPキャビティを確立するため、界面上の非透過部分によって取り囲まれる透過部分を画定するように複数の領域を配置するステップを含む。
【0074】
本発明によるSPPBG領域を形成する全ての所定のパターンに共通の特徴は、バンドギャップの所定の周波数範囲を決定する所定のパターンの空間周期と構造(単位セルによって画定される二次元格子構造を意味する)である。SPPBGの所定の周波数範囲に含まれる周波数は、装置の材料構成中で導波されるSPPの周波数である。個々の装置について、空間周期Λと、所定の周波数範囲内の周波数を有するSPPの波長λSPPとの間の関係を発見できることが多い。好適には、所定のパターンの空間周期は、2.5〜250nmまたは250nm〜25μmといった2.5nm〜25μmの間隔内、好適には25〜250nmまたは250〜700nmの間隔内である。また、所定の周波数範囲は好適には、10〜1000nmまたは1〜100μmといった10nmないし100μmの間隔内、好適には100〜1000nmまたは1000〜3000nmの間隔内のλSPPに対応するSPP周波数を含む。
【0075】
多くの場合、所定の周波数範囲は、所定の波長範囲内で波長λphotonを有するフォトンのカップリングに起因するSPPの周波数を含むことは興味深い。λSPPとλph otonとの関係は、装置の材料構成に依存する。個々の装置について、フォトンが装置にカップリングされる時、フォトンの波長λphotonと結果として得られるSPPのλSPPとの間の関係を発見できることが多い。すなわち、所定の周波数範囲は好適には、装置にカップリングされるフォトンの波長λphotonに対応するSPP周波数を含み、前記フォトンは100〜20,000nmの間隔内の波長を有する。
【0076】
必要に応じて、所定の周波数範囲は、所定のパターンが紫外線フォトンのカップリングに起因するSPPと相互作用するように、100〜380nmの間隔内の波長λphoto nに対応するSPP周波数を含む。また、所定の周波数範囲は、所定のパターンが可視フォトンのカップリングに起因するSPPと相互作用するように、380〜780nmの間隔内の波長λphotonに対応するSPP周波数を含むこともある。好適には、所定の周波数範囲は、所定のパターンが赤外線フォトンのカップリングに起因するSPPと相互作用するように、780〜20,000nmの間隔内の波長λphotonに対応するSPP周波数を含む。好適には、結果として得られる装置が光通信産業で使用できるように、所定の周波数範囲は、1,100〜2,000nmの間隔内といった780〜3,000nmの間隔内の波長λphotonに対応するSPP周波数を含む。
【0077】
実施例
SPPは、金属−誘電体界面に沿って伝播し、例えば図1に示されるように隣接媒体中で指数関数的に減衰する振幅を有する電磁波として説明できる。SPP伝播定数βは、界面全体にわたる電磁界を整合させることから得られ、2つの媒体の対応する誘電率ε1及びε2によって決定される。すなわち、λが自由空間中の光の波長である時、β=(2π/λ)[ε1ε2/(ε1+ε2)]1/2である。その結果、SPPの伝播長は内部減衰(抵抗損)によって制限される。すなわち、LSPPが、SPP強度が開始値の1/eに減衰するまでの距離である時LSPP=(2lmβ)−1である。
【0078】
最も簡単な形態では、本発明は、SPPBG構造中に周囲範囲の周期的変調と異なる周期的変調を有するか、または周期的変調のない領域を形成することによってSPPBG構造中に形成されるSPP導波管である。その結果、SPPBG構造のエネルギー/周波数バンドギャップ中のエネルギー/周波数を有するSPPはこうした領域に閉じ込められる。SPPBGはSPP搬送媒体及び/または界面中に周期的に配置された散乱中心である。散乱中心は通常、SPP搬送媒体及び/または界面の複素誘電率の局所的な変化または局所的な幾何学的変形である。
【0079】
本発明の簡単な実施形態は図3A及び図3Bで示されるような直線または曲がり導波管である。この導波管は超小型信号導波用及び光チップ上の種々の素子または光回路の相互接続用に使用される。もう1個の簡単な実施形態は異常または欠落散乱中心といった少数または単一の偏差によって形成されるキャビティである。こうしたキャビティは、高度に定位された高強度界を生じるSPP定在波をサポートすることができ、これはセンサ応用で使用できる。
【0080】
図3Aまたは図3BのSPPBG導波管からの放射漏れによる損失は通常、一般にSPPの伝播を制限する種々の種類の減衰と比較して無視できるものである。SPPの伝播定数βは、界面全体にわたる電磁界を整合させることから得られ、隣接する媒体の対応する複素誘電率ε1及びε2によって決定される。すなわち、λが自由空間中のSPPカップリング光の波長である時、β=(2π/λ)[ε1ε2/(ε1+ε2)]1/2である。SPPの伝播長Lとは、SPP強度が開始値の1/eに減衰するまでの距離である。従って、SPPの伝播長Lは、内部減衰(抵抗損)によって制限される。すなわち、LSPP=(2lmβ)−1である。例えば、銀では、SPP伝播長は光波長0.6μmで〜25μm、及び10μmで〜500μmに達する。SPP伝播長は、界面平面からの放射減衰と非弾性SPP散乱のためさらに短縮されることもある。
【0081】
平滑断面を伴う周期構造を使用することによって、広い波長範囲内でSPP放射損、すなわち、界面平面からのSPPの放射による損失を大きく低減することができる。
【0082】
空気へのSPP電磁界の指数関数的減衰は通常可視波長範囲で1μm未満である。これが意味するように、SPP界は金属−誘電体界面に緊密に拘束されている。
【0083】
プラズモン波を導波するために必要なSPPBG構造はいくつかの方法で製作することができる。SPPBG構造は散乱中心の二次元格子を形成することによって得られる。散乱中心は通常、SPP搬送媒体及び/または界面の複素誘電率の局所的な変化または局所的な幾何学的変形である。
【0084】
SPP搬送媒体及び/または界面の局所的な幾何学的変形は、所定の波長に適した距離と所定の充填率(くぼみ/隆起の直径に対するくぼみ/隆起の距離の比)を伴う小さなくぼみまたは隆起の形態でもよい。図2Aに示されるように、この変形は通常、ガラス基板10に小さな穴20または突起22を形成し、その後通常厚さ50nm未満の金属膜12で覆うことによって形成される。この構成の結果、金属膜12中の小さな突起21または24が得られ、それによって界面14及び/または16が変形する。また、図2Bに示されるように、金属膜12を伴う基板10から始めて金属膜のレジスト上に電子ビーム・リソグラフィを行い、リフトオフの後膜12上に小さな金属隆起34を残してもよい。隆起21及び24は界面14または16の何れかの側を伝播するSPPに対する散乱中心を形成する。層12の厚さに応じて、界面14上を伝播するSPPの電磁界振幅は界面16に伸展するので、隆起34は界面14上を伝播するSPPについてのSPPBGを確立することもある。金属膜12上の隆起21、24または34は金属膜からの電磁界の範囲(通常空気中で約300nm)より高い高さを有するべきではなく、さもないとSPPがフォトンとカップリングし結果として損失を生じる。重要なことであり、また当業者には容易に認識されることだが、1個かそれ以上の材料層を基板10と金属層12との間に堆積させてもよく、それでも同じSPPBG効果が得られることに注意されたい。一般に、金属層12の上の空間18は空気または、追加の金属層、ガラス、シリコン、空気等といった何らかの他の媒体でよい。
【0085】
また、界面の局所的な幾何学的変形は穴または修正領域の形態でもよい。図2Cでは、散乱中心の二次元パターンが、例えば電子ビーム・リソグラフィまたはレーザ・アブレーションを使用して金属被覆ガラス基板に書き込まれている。パターンは金属層12に穴26またはインデンテーション28として書き込まれることもある。インデンテーション28は界面16に当接するので、界面16上を伝播するSPPに対して明確にSPPBGを確立することができる。ここでも、層12の厚さに応じて、界面14上を伝播するSPPの電磁界振幅は界面16に伸展するので、散乱中心28が界面14上を伝播するSPPに対してSPPBGを確立することもある。ここでも、1個かそれ以上の材料層をパターン付き金属層の上に堆積させてもよい。周期的変形の別の例を図2Bの右側断面に示す。ここでは、変形は異なった複素誘電率を有する2つの材料10及び11の間の界面に周期的変形を提供することによって確立される。界面14または16上を左から右に移動するSPPから見ると、媒体10中の異なった複素誘電率のピーク36が、SPPの電磁界に対して周期的な散乱中心を形成する。
【0086】
SPP搬送媒体及び/または界面の複素誘電率の局所的な変化はSPPの電磁界振幅の範囲内にある媒体の複素誘電率変調の形態でもよい。すなわち、図2Dに例示されているように、散乱中心を、界面に当接しているかまたはしていない隣接媒体の1個に形成してもよい。基板10がガラス基板のように感光性である場合、紫外線放射の照射によって複素誘電率変調30及び32を形成してもよい。また、膜をドーピング(図示せず)することによって金属膜12中に複素誘電率変調を形成してもよい。図2Dに例示されているように、複素誘電率変調は、界面14または16の何れかの上をSPPが伝播できるSPP電磁界の範囲内にある限り、界面30に当接してもよく、また埋め込み領域32であってもよい。
【0087】
金属膜12、及びそこに形成された周期的変調は、例えば、金属膜の上部の構造を被覆するかまたは保護層を堆積させ、それによって図2A〜図2Dの金属膜12の上の空間18を少なくとも部分的に充填することによって保護してもよい。このため、誘電特性の変化によって共振周波数等がわずかに変化することがある。しかし、この保護によって構造の寿命は大幅に増大する。
【0088】
別の種類のSPPBG構造では、金属層の上の空間18は空気とは別の誘電体によって充填される。図2E及び図2Fに示されるこうした構造では、金属層は誘電体材料38及び39の2つの層の間に挟まれた金属薄膜13である。図2Eでは、SPPBG構造は、例えば、リソグラフィ及びエッチングまたはリフトオフ、パルスレーザ、走査型電子顕微鏡またはサブミクロンスケールでの加工に適した同様の技術を使用して、金属膜13に穴26を開けることによって形成される。図2Eでは、SPPBG構造は、上部誘電体39の表面を、回折格子結合器を製作するのと同様のSPPBG構造40に変調することによって形成される。しかし、回折格子結合器と対照的に、構造40は、導波管及び/または他の素子を画定する二次元周期構造を形成する。
【0089】
他の構造及び種類の散乱中心が得られることもあり、散乱中心は異なった材料からなる領域によって形成されることもある。現在の半導体/シリコン処理技術は、小規模構造を形成する場合多くの選択肢と高い自由度を提供するので、上記で示された例は制限的なものと解釈すべきではなく、むしろ、散乱中心を形成する代表的な方法の広範な組み合わせを提供するものである。
【0090】
本発明の実施形態は図2Aの散乱中心21によって例示される方法によって形成された。この実施形態は周知のシリコン処理技術によって得られ、リソグラフィ及びエッチングを使用して作成されたパターン付きガラス基板からなり、金属被覆上部表面を伴っていた。この実施形態の製作は、
電子ビーム・リソグラフィと、
プラズマ・エッチングと、
金属蒸着と、
の3つの製作ステップを含んでいた。
【0091】
以下、この実施形態の製作で使用された個々のステップを詳細に説明する。しかし、個々の製作ステップは各々単なる一例にすぎず、他の方法でも実行可能であることを理解されたい。
【0092】
電子ビーム・リソグラフィ
ガラス基板から始めて、レジストにパターンを描いて波長以下の寸法の基板を製作するため、電子ビーム・リソグラフィが使用される。処理ステップは従来のフォトリソグラフィと同様であるが、マスクを通じて紫外線でウェハを照射する代わりに、変換電界放射走査型電子顕微鏡(SEM)が使用され、感電子性レジストを露光させる。
【0093】
電子ビーム・パターン形成の前に、金属薄層(数nm)がガラス・ウェハ上に堆積される。この層は、電子ビーム書き込みの間基板の帯電を防止する十分な表面導電性を提供し、その後のプラズマ・エッチングに干渉しない。試料の清掃後、レジストの薄層がガラス片上にスピン塗布される。多くの要素を伴う構造のより高速な書き込みを可能にする高感度と、レジストの薄層をエッチング・マスクとして直接使用可能にする高ドライエッチング抵抗という2つの理由から、日本ゼオン株式会社(Nippon Zeon Co.Ltd.)製のポジ型レジストZEP520を使用した。レジストはZED N50現像液(n−酢酸アミル)を使用して現像され、その後試料は清掃され、残った現像液はZMD−Bリンス液(MIBK89%/IPA11%)を使用して除去される。
【0094】
電子後方散乱効果(近接効果)を避けるため100nm厚のZEP520と控えめな(10kV)加速電圧を使用して、40×40μmの範囲にわたって50nmまでの直径と150nmまでの規則的なピッチ(空間周期)の穴が製作された。図3Aは、レジスト中に書き込まれた穴を伴う基板の写真を示す。この写真は光学顕微鏡を通じて撮影されパターンが形成された範囲は130μm平方である。ここで論じられるSPPBG構造の場合、400nmのピッチまたは空間周期を伴う、直径150nmの穴の三角配列が100nmのレジスト中に製作された。導波管領域は、穴のないチャネルとして明瞭に見られる。
【0095】
プラズマ・エッチング
レジストの薄層中に小さな穴が画定されると、試料は反応性イオン・エッチング(RIE)マシンに装填された。ポンプがある望ましい圧力を保持する一方で、フレオン・ガス(CHF2)の制御された流れがチャンバ内に導入される。チャンバの向かい合う側面がRFアンテナの役目を果たし、プラズマを生成する。イオン化されたF原子は高反応性で、SiO2と(及びより小さい度合いではレジスト自体とも)反応する。エッチング率は10nm/分程度であった。通常穴は深さ40〜80nmであった。
【0096】
フレオン・プラズマ・エッチングの後、試料はチャンバから取り出され、アセトン、メタノール及び水で洗浄され試料は清掃された。残余物があれば、(例えば指の油脂といった)有機材料だけを侵食しガラスを侵食しない酸素プラズマ・エッチングによって除去された。図3Bは、プラズマ・エッチング及びレジスト除去の後の図3Aの清掃されたパターン形成済みガラス基板の細部の写真を示す。
【0097】
金属蒸着
50nm厚銀膜が、フォトンとプラズモンとの間の有効なカップリングを達成するため最適であることが実験的に発見された。金属の明確で均一な層を伴う清潔な試料を維持するため、電子ビーム蒸着が使用された。
【0098】
まず、ガラスと銀との間の良好な付着を達成するため、Tiのごく薄い層(数Å)を堆積させた。次に、望ましい量の銀を蒸着した。図4は、試料の微細部のSEM写真を示す。この写真では、穴は表面全体を覆っており非常に浅い(〜50nm)。
【0099】
本発明のSPPBG導波を調査するため、製作された実施形態での共振SPP励起の強度分布をニアフィールド・イメージングを使用して調査した。図5は、ガラス基板78の表面上に堆積した構造化金属膜72の空気−金属界面74に沿って伝播する共振励起SPP6によって形成される総電界強度分布のニアフィールド・イメージング(被覆されていない鋭利な光ファイバ先端8を伴う)の概略表示である。総電界強度分布には、SPPBG構造の散乱中心21上のSPPの散乱からの寄与9も含まれる。
【0100】
光ファイバの鋭利な先端8は電界強度の局所的な検出器とみなされる。平面からのSPP散乱(散乱中心21から散乱する放射9によって表される)が十分に小さければ、結果として得られる信号は主として総SPP強度80である。この状況は、膜−空気界面74での検出信号を数マイクロメートルの先端−界面距離で測定することによって確認できる。ファイバ先端を界面の局在化された電磁界に近づけると、局在化された電磁界はファイバ中のモードにカップリングしてファイバ中に光を発生し、ファイバは局在電磁界に対するプローブの役目を果たす。
【0101】
400nmの空間周期で(ガラス中に製造され50nm厚銀層で被覆された)図5のPBG構造中のSPP伝播のニアフィールド・イメージングをTi:サファイア同調可能レーザを使用して行い、これを図6に示す。SPPは、波長792nmのレーザ・ビームの入射角θを調整することによって共振励起された。膜−空気界面74に接触するファイバ・プローブで検出された光信号は、界面から数マイクロメートル離したファイバ・プローブが検出する信号の10倍より大きかった。これが示すように、検出された信号は総SPP電磁界強度80が支配的であり、図6に示されるニアフィールド光画像がPBG構造における総SPP強度分布であることを含意している。
【0102】
図6は、サイズ15×15μm2のニアフィールド光画像の疑似グレースケール(「白」は最大信号に対応し、「黒」は最小信号に対応する)表示を示す。この画像は、ナノ構造化50nm厚銀膜の表面を走査する非被覆光ファイバ・プローブと、図5により波長792nmで共振励起されたSPPによって得られた。黒い線は、周期400nmのPBG六角形構造を含む正方形中の(平坦な表面の)チャネルの境界を示す。この画像は、PBG構造のバンドギャップに対応する波長で励起されたSPPのSPPBG導波の効果を明瞭に実証しており、それはPBG周期の2倍の波長を中心とするはずである。構造パラメータ(膜の厚さ、表面断面の深さ、充填率)をさらに最適化することによって、観察された効果は改善される。
【0103】
実験的検証
この説明では、SPPBG構造中の線偏差に沿ったSPPBG効果とSPP導波の(ニアフィールド光学顕微鏡による)直接の観察を提示する。以下、内部である波長範囲に対するSPP伝播が抑圧されるように界面に周期的に配置された散乱中心からなる領域内の弾性SPP散乱を利用する。
【0104】
実験装置は、被覆されていない鋭利なファイバ先端によって散乱した放射をファイバ・モードに収集するよう使用される独立走査型ニアフィールド光学顕微鏡(SNOM)[4]と、通常のクレッチマン構成におけるSPP励起用の装置(図1)とからなる。SPPは、ガラス基板上に熱蒸着され、その上のある範囲を200nm幅、45nm高さの金散乱中心の400nm周期三角形格子で覆った45nm厚金膜に沿って、励起される(図7)。このナノパターンは、金膜上のレジスト層の電子ビーム・リソグラフィと、第2の金層の蒸着及びリフトオフを使用して形成された。製作された構造は、格子の既約ブリュアン・ゾーンの異なった幅と2つの主要な方向、すなわちΓK(図8A及び図8D)及びΓM(図8B及び図8C)の線偏差を含んでいた[1]。Ti:サファイア・レーザ(λ=780〜820nm、P〜50mW)からのp偏向(図1)光ビームは、浸漬油を伴ってガラス・プリズムの基部に取り付けられた試料に弱く焦点を合わせる(焦点距離≒500mm、スポットサイズ〜300μm)。SPP励起は、nがプリズムの屈折率である時、β〜(2π/λ)nsinθという位相整合条件によって決定される角度θで発生する反射光パワーの角度依存性の最小値として認識される[1]。この装置によって、800nmで最適SPP励起が得られるように入射角を調整する時、780〜820nmの範囲で有効なSPP励起が得られる。空気−金界面についてこの範囲内で評価されたSPP特性は、ε1=1、ε2≒−23+1.8i、λSPP=2π/Re(β)≒0.98λ、LS PP≒35μmである[1]。使用される構成では、SPP伝播長は放射減衰(基板中の共振再放射)及び界面平面からの非弾性SPP散乱によってさらに減衰する。SPP励起は明瞭な共振挙動を示し、入射角が共振から外れているか、またはファイバが試料界面から〜1μm離れていた場合、ファイバからの平均光信号は10倍以上小さかった。これが意味するように、剪断力フィードバックによって維持される先端−界面距離で検出される信号は(界面平面から散乱した界成分ではなく)主として膜−空気界面に沿った総SPP界強度分布に関連する[3]。最後に、注意されたいが、図7〜図11の全ての画像は、励起されたSPPが垂直方向上向きに伝播するような方向である。
【0105】
ほぼΓK方向に沿って伝播する励起されたSPPの周期構造(図8A)による明瞭な反射が、λ〜782nmで撮影されたニアフィールド光画像で観察された(図8B)。構造の前部で見られる非常に明るい干渉縞は、わずか〜2μm内側ではほぼゼロ信号であることと共に、入射SPPの高い反射率と強い減衰を示している。反射率と減衰は光波長の増大に伴って急速に減少し、λ〜815nmで構造の内部と外部のSPP強度分布の差は事実上消失する(図8D)。構造内部のSPP強度とその反射率のこうした強い波長依存性は、出願人の見解によれば、SPPBG効果の明白な証拠である。
【0106】
SPPBG効果が発生したならば、対応する波長でSPPBG構造中の線偏差に沿ったSPP導波の観察が予想される。しかし結局のところ、一連の六角形クラスタの除去(図7A)によって得られたΓK方向の線偏差(図8B)に沿ったSPP導波は、何の形跡も発見されなかった。これは驚くべきことかもしれないが、おそらく個別偏差によるSPP散乱の場合でさえ入念なシミュレーションが必要なため、二次元SPPBG構造については理論面ではほとんど知られていないことを念頭に置くべきであろう[5]。ほぼ同じ幅(3列の散乱中心を除去した)のΓM方向の線偏差は、〜5μmという短い距離のみではあるが、782nmでSPP導波をサポートすることが発見された(図9)。SPPBG構造はこの波長では入射SPPを効率的に反射するが、792nmでは劣っていることに注意されたい。従って、SPPBG効果は、ギャップが782nm近くを中心とする場合ΓM方向でも存在すると結論付けられる。構造の内部〜4μmについてのトポグラフィ及び光学的断面図[図9D]が示すところによれば、SPPBG導波モードは、幅がわずか≒1.39μmである導波管の内部に十分に閉じ込められている(図7B)。同時に、(2列の散乱中心が除去され幅≒1.04μmである)隣接する導波管は短い距離であっても導波モードをサポートしない。後者の導波管の幅は基本モードのカットオフ値以下であり、前者の幅はわずかにそれを越えていると思われる。このためモード伝播は波長の不規則性に非常に影響されやすくなるが、このことからこのモードで観察される伝播距離が短いことの理由が説明できる(図9B)。
【0107】
この推測は、ΓM方向に沿った線偏差を含むΓK方向のSPPBG構造によって得られる画像によって立証される(図10)。やはり3列の散乱中心が除去されたこの偏差で伝播する弱いモード(782nm)に気付くだろう(図7C)。さらに、2つのSPPBG構造の間の(ΓK方向の)幅広い(〜3.2μm)チャネル内で明瞭なSPPビームが伝播するのが見られる(図7D)。構造の内部〜4μmについてのトポグラフィ及び光学的断面図[図10D]は、狭いSPPBG導波管の(基本)モードと、幅広いチャネルの(おそらくは最初の2つの)モードの組み合わせとの両方の強度プロファイルを明瞭に示している。ここでも、線偏差中のSPP導波とSPPBG構造中のSPP反射は、波長が815nmに増大すると消失する(図5B及び図5C参照)。このように、顕著な損失なしに〜18μmにわたる幅広いSPPBGチャネルでモードの組み合わせが伝播することによって(図11)、SPP界を効率的に導波するSPPBG構造中の線偏差の能力が実証される。
【0108】
以上のことをまとめると、波長782nmのクレッチマン配置におけるニアフィールド顕微鏡法とSPP励起を使用して、(ΓK及びΓM方向を有する)400nm周期三角形格子構造による入射SPPの強い反射が、この構造内部のSPP伝播の抑圧と同時に直接観察された。波長が大きくなると、SPP反射と伝播の抑圧が両方とも急激に悪化することは、出願人の見解によれば、検討中の構造中にSPPBG効果があることの明白な証拠となる。また、SPPBG構造中の線偏差に沿った(782nmでの)SPP導波も直接実証された。SPPBG構造中の3.2μm幅、18μm長のチャネルでSPP界の制約されない伝播が観察された。構造パラメータをさらに研究し最適化することによって、観察された効果をさらに改善し、従来の二次元PBG構造用のものと同様のSPPBGによる素子を探求することが可能である。最後に、(最終的には光ファイバからの)放射をSPPにカップリングする専用回折格子を使用することで、フォトニクスの分野で集積SPPBG回路を実現する直接の道が開かれるだろう。
【0109】
上記で提供された実験的検証は、本発明による予備装置の結果である。本発明による装置は現在さらに研究されており、近い将来原理証明を提供するより良好な実験結果すら期待できる。
【0110】
以前に説明したように、SPPはSPPモードからの放射漏れと種々の種類の減衰による損失を受けるが、これらは全てSPPの伝播全般と、特にその波長解像度を制限する。
【0111】
SPPBG導波管においてSPPの損失を最小化し、それによってSPP伝播長と波長解像度を最適化するため、以下の節ではSPP損失を低減及び/または補償できる種々の構造が提案される。これは、減衰によって波長フィルタの鮮鋭度が制限される光フィルタ目的の場合特に重要である。
【0112】
以前に説明された構造では、金属層は一方の側面でガラス、及びもう一方の側面で空気と境界を接していた。一般に、金属層と境界を接する材料の屈折率が高いほど、より多くのSPP波が金属層に押し込まれ、それに応じて損失が増大する。
【0113】
図12は、非常に薄い金属膜13(通常2〜20nm)の両側に同様の(必ずしも同一ではない)屈折率の誘電体材料84及び85を有する代替SPPBG構造を示す。界は両側で誘電体に浸透するので、金属層の厚さを縮小すると、それに応じてSPP界の金属膜13に重なり合う部分が小さくなり、損失が低減される。こうして得られたSPPモードは、例えば、C−H.リヤオ(C−H.Liao)他、「任意多層構造中のLR−SPPの共振特性(Resonant properties of LR−SPP in an arbitrary multi−layer structure)」、Jpn.J.Appl.Phys.38、5938(1999)で長距離表面プラズモン・ポラリトン(LR−SPP)として説明されている。この配置を使用することで、伝播長を桁違いに改善する(減衰を低減する)ことができる。
【0114】
図12は、出っ張り34が下部84及び上部85の任意多層誘電体構造に組み込まれた金属薄膜13からなるLR−SPPBG構造を基板10が保持する構造を示す。多層中の誘電体は、例えば、スピン塗布されたポリマー、SiO2、Si3N4、水、屈折率整合液、空気、等でよいが、例えば、F.ピジョン(F.Pigeon)他、「Appl.Phys.」90、852(2001)、R.シャーボノー(R.Charbonneau)他、「Opt.Lett.」25、844(2000)、S.グラスバーグ他、「Appl.Phys.Lett.」70、1210(1997)、T.スターケンバーグ(T.Sterkenburgh)及びH.フランケ(H.Franke)、「Appl.Phys.」81、1011(1997)も参照されたい。図12に示される構造では、SPPBG効果を得るために必要な変調は、図2A〜図2Fに関連して説明された何れかの方法でも得られる。
【0115】
先行技術の構造またはSPPBG構造中を伝播する時SPPが受ける損失を補償するため、SPPBG構造中で利得を実現してもよい。2つの可能な構成を図13A及び図13Bで概説する。図13Aでは、通常量子井戸を含む半導体といった活性層を含む利得媒体42が金属膜13の上部の誘電体層39の間に配置される。活性層を間に挟む膜13と電極44との間に電源45を印加することによって活性層に電気的なバイアスがかけられる。膜13中を伝播し利得媒体42に達する大きな電磁界振幅を有するSPPが増幅され、損失を補償する。
【0116】
図13Bでは、利得媒体42は、例えばエルビウム・ドープ・ガラスでよいが、これは、励起波長に対して透明な上部誘電体層を選択すれば、光学的に励起86できる。図13A及び図13Bの両方で提案されている構造では、SPPBG導波管43は用紙の平面に対して垂直な方向に延びており、利得媒体42及び/または励起(図13Aの44/45及び図13Bの86)は導波管43のすぐ上の導波管の短い部分に沿った領域にだけ提供される。
【0117】
代替構造では、損失は構造全体にわたってコヒーレントなポンピングを行い連続してエネルギーをSPPモードに供給することによって補償される。局所的な励起によってSPPを励起部分から離れた方向に伝播させる代わりに、SPPは励起され、伝播する際の励起放射によってコヒーレントにポンピングされる。図14は、ポンピング放射86に対して透明な材料層11の上に金属層12が蒸着された構造を示す。
【0118】
上記で示されたSPP伝播における損失を低減または補償する例を都合よくカップリングし、損失を低減しかつ補償するか、また装置中で正味の利得が提供されるようにしてもよい。また、こうした例を記載した他の全てのSPPBG構造、例えば、図2A〜図2Fに関連して記載したものとカップリングしてもよい。
【0119】
SPPの伝播特性を操作する可能性によって、SPPBG導波管を使用して設計及び製作できる多数のSPP素子への道が開かれるが、その幾つかを図15、図16、及び図17に関連して以下に説明する。図面中、SPPBGを形成する個々の散乱中心は例示的なものにすぎず、種々の方法で形成可能である。
【0120】
図15は、本発明によるSPPBG導波管及び/またはキャビティに基づいた同調可能フィルタを示す。GaAs、LiNbO3、LiTaO3、KDP、ADPといった電気光学層46がSPPBG構造を伴う金属薄膜13と、電源45に接続された電極44との間に挟まれる。回折格子結合器構造が上部誘電体層39の上部表面に形成され、入射広帯域フォトン87をSPPにカップリングする入力結合器56と、SPPを出射濾波フォトン88にカップリングする出力結合器57とを提供する。入力結合器56と出力結合器57は波長選択SPPBG構造と相互接続される。電気光学層46の屈折率は電圧を印加することによって変化し、それによってSPPBG構造の透過波長が変化する。それによって、構造にカップリングされるフォトンの波長を電気的に制御できるので、例えばDWDMに応用可能な同調可能帯域通過フィルタが得られる。対応する設計はP.J.カジェンスキ(「長距離表面プラズモンを使用する同調可能光フィルタ(Tunable optical filter using long−range surface plasmons)」、「Opt.Eng.」36、1537(1997))で提案されているが、これは金属膜の平面でのSPP伝播をまったく制御できないものであった。SPPBG導波管47によって提供される効率的な導波は、機能性を大きく向上させるものである。
【0121】
図16は、周期構造51のSPPBG領域によって画定されるY接合部を示す。波長λ1とλ2とを含むSPP界が導波管セクション52の方向に伝播すると、接合部で分割され、セクション50と54とを伝播するSPP界が得られる。分割比はセクション52のSPP界と各セクション50及び54とのモード整合によって決定される。この整合は、例えば、導波管セクションの幅と接合部の角度によって決定される。
【0122】
入射SPPの波長、λ1及びλ2、は、回折格子結合器56によってSPPにカップリングされるフォトン信号に起源を有しうる。結果として得られるSPPは、56と同様の回折格子結合器で再びフォトンにカップリングしてもよい。すなわち、2つのビームλ1及びλ2は明確な比をもって2つの成分に分割される。
【0123】
SPPBGは極めて波長の影響を受けやすいことが予想されるが、この特徴をSPP導波と共に利用して、通信システムで使用される波長分割多重(WDM)構造といった種々の素子を製作することができる。
【0124】
すなわち、入射SPPλ1及びλ2が異なった波長を有する場合、図16に示されるスプリッタを、高精度波長スプリッタ、すなわち「スーパープリズム」として使用してもよい。導波管領域50及び54に当接する領域中の周期構造51のSPPBGを制御することによって、波長領域50中にSPPを閉じ込めるSPPBGは、λ2がバンドギャップの外にあるように同調してもよい。同様に、導波管領域54を画定するSPPBGは、λ1がバンドギャップの外にあるように同調してもよい。例えば、製造中に周期構造51の周期を制御することによってSPPBGを制御してもよい。また、電気光学材料を使用してSPPBGを制御し、それによって材料の複素誘電率を電気的に制御してもよい。
【0125】
図17は、SPPBGによる光学素子である三方向スプリッタを示す。このスプリッタは、挿入図によって拡大して示される中央SPPBGエリア59に向かって伝播するSPPモードに入射光信号60をカップリングする入力金属格子62を有している。SPPBG導波管領域61は入射SPPを受信し、そのパワーを、導波管領域63、65及び67中を伝播するSPPと共に3つの部分に分割する。各導波管領域63、65及び67はそれぞれ、SPPを光信号64、68及び70にカップリングする3つの出力金属回折格子66の方向に導波する。出力光信号はSPPBG構造中で処理された後、光伝送ネットワーク中で使用できる。
【0126】
図16に関連して説明されたY結合器の場合と同様、各導波管63、65及び67を画定するSPPBG領域は、入射SPPを3つの波長チャネルに分割するように同調してもよい。
【0127】
図16及び図17に関連して説明されたY接合部と三方向スプリッタは、SPPの波長依存導波の例である。波長依存導波へのもう1個のアプローチは、ベンド、反射器(ミラー、ビーム・スプリッタ)といったフィルタである。ベンドの場合、バンドギャップ外の波長を有するSPPはSPPBG領域に進んで種々の減衰効果によって吸収され、バンドギャップ内の波長を有するSPPだけが導波される。反射器の場合、反射器を形成するSPPBG領域のバンドギャップ内の波長を有するSPPは反射されるが、バンドギャップ外の波長を有するSPPは透過し、さらに反射器の裏面に導波される。反射器は導波管内の、導波管を画定する周期構造とは異なった周期性を有する周期構造の領域として形成すればよい。それによって、反射器のバンドギャップは導波管のバンドギャップとは異なったものになるので、2つのバンドギャップの重なり合う波長の範囲内の波長を有するSPPは反射され、他のSPPは反射器を透過する。
【0128】
SPPBG導波管は導体膜による周期パターンによって簡単に形成できるので、導波管及び素子を同じ処理ステップで同じ基板上に簡単に形成できる。このため従来の光学素子より緊密な実装のより小型の素子が可能になる。より緊密な実装とより小型の導波管及び素子というこの特徴のため、より小型でひいては高速の集積回路が可能になる。すなわち、SPP導波管の実現によって信号処理の新しい可能性が提供される。
【0129】
図16及び図17に関連して説明されたような結合器、ベンド及び反射器は、光学チップ上の超小型信号導波及び相互接続のために使用してもよい。強い波長依存プラズモン導波は、通信システムにおける波長分割多重(WDM)のために使用してもよい。プラズモン処理ユニットの後、例えば、図17のような回折格子を使用することによって、プラズモンをフォトンに変換し、信号の長距離伝送が行われる。この変換は非常に有効な処理である。WDMシステムにおける100GHzの通常のチャネル分割によって、LR−SPPを使用して数GHzのSPP線幅が達成できる(例えば、グラスバーグ他、「Appl.Phys.Lett.」70,1210(1997)またはJ.C.クウェイル(J.C.Quail)他、「Opt.Lett.」8、377(1983)を参照されたい)。
【0130】
上記で言及された素子を使用して、マッハ−ツェンダー干渉計または他の種類の干渉計を形成してもよく、これは干渉効果を使用する直接信号処理のためSPPのルーティングで使用してもよい。このことは例えば、通信システムにおける時分割多重(TDM)の場合特に重要であり、センサ応用の場合、例えば電気光学材料または非線形効果を使用することによって干渉計上のSPPパス長を制御すればよい。
【0131】
周期SPPBG構造中で散乱中心を省略、変形、変位または導入することによって二次元結晶中に偏差を形成できる。こうした偏差は、波長以下の規模で定位されたSPPBGキャビティまたは偏差状態を生じうる。プラズモン結晶中の偏差状態におけるSPPの定位によって、局所的な界強度は数桁向上できる。理論的には、光をSPPBG偏差状態に連続カップリングすることで界強度は104倍まで向上しうる。これによってSPPによるセンサの感度は大きく向上しうる。通常、このような強い界は、単一分子(蛍光)検出器または材料の量が非常に制限されていることの多い生物学/医学システムといった超高感度適用業務で使用可能である。SPPの性質により、センサは、センサの表面のような界面にピークを有する高強度領域への容易なアクセスを提供する。
【0132】
また、本発明はSPPBG構造におけるSPPの能動制御を提供する。図15に関連して説明された同調可能フィルタは、フィルタを電気的に同調できるという点で外部能動制御を伴う装置である。能動制御を提供するいくつかの他の実施形態を以下説明する。
【0133】
SPPの伝播速度は金属層を保持する誘電体層の屈折率に依存するので、光学的または電気的に屈折率を変調することによって位相シフトを容易に誘発できる。このことは、例えば、SPPBG構造を応用して、ゲーティング、サンプリング、スイッチング、再生等のために使用可能な干渉計を製造する道を開く。
【0134】
別の実施形態では、金属薄層の少なくとも一部分を圧電基板上に保持し、それによってSPPBG構造の寸法と特性を電気的に制御できるようにする。同様に、大きな熱膨張係数を有する基板上に金属層を堆積させ、温度を制御することでSPPBG構造の寸法と特性を制御してもよいが、これは比較的低速の処理である。
【0135】
前の段落で説明された実施形態のスキームを逆転させると、SPPBG導波管は、材料特性、電気、圧力及び温度を感知するセンサとしても使用できる。SPPはすでに化学物質の分析用に使用されている。本発明によって提供されるSPP制御によってこうした応用が大きく改善されると予想される。
【0136】
参考文献
[1]H.リーサー(H.Raether)、「表面プラズモン(Surface Plasmons)」(スプリンガー、ベルリン(Springer,Berlin)、1988)
【0137】
[2]S.C.キトソン、W.L.バーンズ(W.L.Barnes)及びJ.R.サムブルズ(J.R.Sambles)、「Appl.Phys.Lett.」77、2670(1997)
【0138】
[3]S.I.ボジェヴォルヌィ(S.I.Bozhevolnyi)及びF.A.プドニン(F.A.Pudonin)、「Appl.Phys.Lett.」78、2823(1997);S.I.ボジェヴォルヌイ及びV.コエリョ(V.Coello)、「Appl.Phys.」B58、10899(1998)
【0139】
[4]DME−デュアルスコープ(TM)、ハーレブ、デンマーク(Herlev,Denmark)
【0140】
[5]A.V.シチェグロフ(A.V.Shchegrov)、I.V.ノヴィコフ(I.V.Novikov)、及びA.A.マラドゥジン(A.A.Maradudin)、「Appl.Phys.Lett.」78、4269(1997)
【図面の簡単な説明】
【図1】
先行技術による、金属−ガラス界面にカップリングされ、その上で伝播するSPPの断面図。
【図2】
A〜Fは、本発明による装置中の周期パターン散乱中心の、種々の種類及び位置の断面図。
【図3】
AおよびBは、製造の異なった段階での本発明によるSPPBG導波管装置の実施形態を示す写真であり、RIEエッチングの前のレジストへの電子ビーム書き込みパターンを示す。
【図4】
図3Bのエッチング穴を伴うガラス−空気界面の走査型電子顕微鏡(S電磁)画像。
【図5】
共振励起SPPと、SPPBG構造の散乱中心上のSPPの散乱によって形成される全電界強度分布のニアフィールド・イメージングの断面図。
【図6】
図3Aまたは図3Bの導波管中を伝播するSPPの全電界強度振幅を示すニアフィールド画像。
【図7】
A〜Dは、45nm厚金膜上のレジスト・マスク層中に形成される線偏差を伴う400nm周期三角形格子の種々の領域の走査型電子顕微鏡画像。
【図8】
A〜Dは、Aのトポグラフィ画像と、λ〜B:782、C:792及びD:815nmで得られたニアフィールド光画像(10.5×10.5μm2)とのグレースケールを示す。ΓK方向を有する線偏差を伴う周期構造は図7Aに示されるレジスト構造に対応する。トポグラフィ画像の深度は90nmである。光画像のコントラスト、すなわち最大及び最小検出光信号の相対差は〜98%である。
【図9】
A〜Dは、Aのトポグラフィ画像と、λ〜B:782及びC:792nmで得られたニアフィールド光画像(15×15μm2)とのグレースケールを、対応する光画像上に付した直線に沿った断面図Dと共に示す。ΓM方向を有する2つの線偏差を伴う周期構造は図7Bに示されるレジスト構造に対応する。トポグラフィ画像の深度は150nmである。光画像のコントラストは〜97%である。
【図10】
A〜Dは、Aのトポグラフィ画像と、λ〜B:782及びC:815nmで得られたニアフィールド光画像(13×13μm2)とのグレースケールを、対応する光画像上に付した直線に沿った断面図Dと共に示す。ΓM方向を有する2つの線偏差を伴う周期構造は図7cに示されるレジスト構造に対応し、ΓK方向の幅広い偏差は図7dに示されている。トポグラフィ画像の深度は170nmである。光画像のコントラストは〜98%である。
【図11】
A〜Cは、図10に示される画像と同じ界面範囲からのAのトポグラフィ画像と、λ〜B:782及びC:815nmで得られたニアフィールド光画像(7×17.5μm2)とのグレースケールを示す。トポグラフィ画像の深度は105nmである。光画像のコントラストは(b)95%及び(c)90%である。
【図12】
誘電体多層を有するLR−SPP構造の断面図。
【図13】
誘電体材料が界面上を伝播するSPPを増幅する利得媒体を含む本発明による実施形態の断面図。
【図14】
誘電体材料が界面上を伝播するSPPを増幅する利得媒体を含む本発明による実施形態の断面図。
【図15】
界面上を伝播するSPPのコヒーレント分散ポンピングを可能にする本発明による実施形態の断面図。
【図16】
本発明のSPPBG素子の実施形態によるY結合器の例示。
【図17】
本発明のSPPBG素子の実施形態による3方向スプリッタの例示。
Claims (48)
- 第1の周波数を有する表面プラズモン・ポラリトン(SPP)を導波する装置であって、前記導波管装置は、
第2の媒体に対して第1の界面を有する第1の媒体であって、前記界面は表面プラズモン・ポラリトンを導波するようになっており、少なくともほぼ平面であるものと、
複数の散乱中心であって、それぞれの散乱中心は、前記第1の界面に少なくともほぼ平行な平面中の断面が、前記平面における周辺エリアの複素誘電率と異なった複素誘電率を有するエリアである領域であるもの、とを備え、
前記第1の界面に対して少なくともほぼ垂直な前記散乱中心の突起は、前記第1の界面上に1個またはそれ以上の非透過部分と1個またはそれ以上の透過部分を画定するものであって、この画定は、前記非透過部分中に突出した散乱中心の所定の少なくとも周期的なパターンを形成し、それによって前記非透過部分を、前記第1の周波数を有するSPPの伝播を少なくともほぼ禁止するSPPBG(表面プラズモン・ポラリトン・バンドギャップ)領域と成し、かつ前記1個のまたはそれ以上の透過部分中に前記所定のパターンを形成しないことによって行われるものであり、さらに
前記複数の散乱中心は、前記第1の界面上で1個またはそれ以上の非透過部分によって少なくとも部分的に取り囲まれる少なくとも1個の透過部分を画定するように配置されていることを特徴とする、装置。 - 前記少なくとも1個の透過部分が前記1個かそれ以上の非透過部分中にSPP導波管を形成する、請求項1に記載の装置。
- 前記少なくとも1個の透過部分が、前記第1の界面上の1個かそれ以上の非透過部分によって取り囲まれ、SPP定在波をサポートするように適合されているSPPキャビティを形成する、請求項1に記載の装置。
- 前記第1の媒体が第1の周波数範囲において、負の実数部分、Re(ε1)<0、を伴う第1の複素誘電率ε1を有し、前記装置はさらに、前記第1の媒体の前記第1の界面に当接し、第2の周波数範囲において、正の実数部分、Re(ε2)>0を伴う第2の複素誘電率を有する第2の媒体を備え、前記第1と第2の周波数範囲の両方が前記第1の周波数を含む、請求項1乃至3の何れか1項に記載の装置。
- 前記散乱中心の大多数は、前記第1の媒体を含む領域内に配置され、かつ前記第1の界面に少なくともほぼ平行である、請求項1乃至4の何れか1項に記載の装置。
- 前記散乱中心の大多数は、前記第2の媒体を含む領域内に配置され、かつ前記第1の界面に少なくともほぼ平行である、請求項1乃至5の何れか1項に記載の装置。
- 前記散乱中心の大多数は、前記第1の界面に配置される、請求項1乃至6の何れか1項に記載の装置。
- 前記散乱中心の大多数は、前記第2の媒体に隣接する第3の媒体を含む領域内に配置され、かつ前記第1の界面に少なくともほぼ平行である、請求項1乃至7の何れか1項に記載の装置。
- 前記第2の媒体が、SiO2、空気、ポリマー、スピン塗布されたポリマー、Al2O3(サファイア)、石英、石灰ガラス、Si3N4、水、屈折率整合液からなるグループから選択される1個かそれ以上の誘電体材料を含む、請求項1乃至8の何れか1項に記載の装置。
- 前記第1の媒体が、Au、Cu、Ag、Al、Cr、Ti、Pt、Ni、Ge、Si、Pd、超伝導体からなるグループから選択される1個かそれ以上の材料を含む、請求項1乃至9の何れか1項に記載の装置。
- 前記第1の媒体が前記第2の媒体によって支持される導体薄膜を含む、請求項1乃至10の何れか1項に記載の装置。
- 前記第2の媒体が、前記第1の媒体によってサポートされるSPPモードにエネルギーをカップリングする利得媒体を含み、前記利得媒体が電気的または光学的にポンピングされるようになっている、請求項1乃至11の何れか1項に記載の装置。
- 前記第2の媒体が、ポンピング目的での前記第1の媒体の照射を可能にするように、波長λの電磁放射に対して少なくともほぼ透明である、請求項1乃至12の何れか1項に記載の装置。
- 前記少なくともほぼ周期的なパターンの周期が、例えば2.5〜250nmまたは250nm〜25μmである2.5nm〜25μmの間隔内、好適には25〜250nmまたは250〜700nmの間隔内である、請求項1乃至13の何れか1項に記載の装置。
- 前記少なくともほぼ周期的なパターンの前記周期が、前記SPPBG領域が、10〜1000nmまたは1〜100μmといった10nmないし100μmの間隔内、好適には100〜1000nmまたは1000〜3000nmの間隔内のSPP波長に対応する周波数範囲内の周波数を有するSPPの伝播を少なくともほぼ防止するように調整される、請求項1乃至14の何れか1項に記載の装置。
- 前記複数の散乱中心が、前記第1の界面の前記1個かそれ以上の透過部分上に突出する散乱中心がないように配置される、請求項1乃至15の何れか1項に記載の装置。
- 前記複数の散乱中心が、前記非透過部分の前記所定のパターンと異なったパターンを形成するため、前記散乱中心が前記第1の界面の前記1個かそれ以上の透過部分上に突出するように配置される、請求項1乃至15の何れか1項に記載の装置。
- 前記装置がさらに、制御された方法でフォトンをSPPにカップリングする1個かそれ以上の入力カップリング構造を備える、請求項1乃至17の何れか1項に記載の装置。
- 前記装置がさらに、制御された方法でSPPをフォトンにカップリングする1個かそれ以上の出力カップリング構造を備える、請求項1乃至18の何れか1項に記載の装置。
- SPP素子であって、フォトンをSPPにカップリングする入力カップリング構造を備えるSPP受信部分と、請求項2に記載の1個かそれ以上のSPP導波管とを備えるSPP素子。
- さらに、導波されたSPP中に位相及び/または振幅変調を誘発する制御可能複素屈折率を有する少なくとも1個の活性領域を備え、前記SPP素子がさらに、前記活性領域の前記複素屈折率を制御する手段を備える、請求項20に記載のSPP素子。
- 前記1個かそれ以上のSPP導波装置が、少なくとも1個の活性領域を含む干渉計を形成する、請求項20に記載のSPP素子。
- さらに、前記第1の周波数と異なる周波数を有するSPPの伝播を少なくともほぼ防止するようになっているSPPBG領域であるさらなる非透過部分を備え、さらなる非透過部分が波長フィルタを形成する、請求項20に記載の素子。
- SPP信号を処理するSPP回路であって、前記回路が、
フォトンをSPPにカップリングする入力構造と、
SPPをフォトンにカップリングする少なくとも1個の出力構造と、
請求項20〜請求項23の何れか1項に記載の1個かそれ以上のSPP素子と、
SPPを前記入力構造から前記1個かそれ以上のSPP素子の1個に導波し、かつSPPを前記1個かそれ以上のSPP素子の1個から前記少なくとも1個の出力構造に導波する請求項2に記載の2つかそれ以上のSPPBG導波管とを備えるSPP回路。 - 第1と第2との媒体の間の少なくともほぼ平面の界面上を伝播する表面プラズモン・ポラリトン(SPP)の伝播を制御する方法であって、前記方法が、
前記第1の媒体を提供するステップであって、前記第1の媒体が、第1の周波数範囲内の負の実数部分、Re(ε1)<0を伴う第1の複素誘電率ε1を有し、かつ前記界面に当接する第1の表面を有する第1の材料層を備えるステップと、
前記第2の媒体を提供するステップであって、前記第2の媒体が、前記界面に当接する少なくとも1個かそれ以上の部分で第2の周波数範囲内の正の実数部分、Re(ε2)>0を伴う第2の複素誘電率ε2を、前記界面に当接する少なくとも一部の部分で有するステップと、
前記界面でSPPを伝播させるステップであって、前記SPPが第1及び第2の周波数範囲に含まれる第1の周波数を有するステップと、
前記界面と周囲領域とを備える伝播層を画定するステップであって、その際前記SPPがある点に最も近い前記界面の部分上で伝播する時、その点がどれも、前記界面の電磁界の1%以上の強度を有する前記SPPの電磁界の影響下にあるステップと、
前記第1の周波数を含む第3の周波数範囲内の周波数を有するSPPに少なくともほぼアクセスできないSPPBG(表面プラズモン・ポラリトン・バンドギャップ)領域である前記界面の1個かそれ以上の非透過部分を提供することによって、前記SPPを前記界面の透過部分に閉じ込めるステップであって、前記SPPBG領域が、前記第1の界面に少なくともほぼ垂直に突出する時所定の少なくともほぼ周期的な散乱パターンを形成する前記伝播層中の複数の散乱中心によって画定され、各散乱中心が、前記界面に少なくともほぼ平行な平面中の断面が前記平面中の周囲範囲の複素誘電率と異なる1個かそれ以上の複素誘電率を有する範囲であるような領域であるステップとを含む方法。 - 前記SPPを前記界面の前記透過部分に閉じ込めるステップがさらに、
前記界面の前記透過部分上で前記SPPを伝播させるステップと、
前記SPPが前記界面の前記透過部分から前記界面の非透過部分に伝播する時はいつでも、前記界面の前記非透過部分上で前記SPPの少なくとも一部分を反射し、前記界面の前記透過部分上で前記SPPの反射された部分を伝播させるステップとを含む、請求項25に記載の方法。 - 前記界面の前記透過部分が前記所定のパターンと異なる突出散乱中心のパターンを備える、請求項25または請求項26に記載の方法。
- 前記界面の前記透過部分が突出した散乱中心を少なくともほぼ欠いている、請求項25または請求項26に記載の方法。
- 前記散乱中心が、前記第1及び/または第2の媒体中の前記界面に形成される構造である、請求項25または請求項26に記載の方法。
- さらに、1個かそれ以上のフォトンを前記界面にカップリングすることによって前記SPPを形成するステップを含む、請求項25乃至29の何れか1項に記載の方法。
- さらに、前記SPPの少なくとも一部分を1個かそれ以上のフォトンにカップリングするステップを含む、請求項25乃至30の何れか1項に記載の方法。
- さらに、前記界面上で第2のSPPを伝播させるステップであって、前記第2のSPPが前記第3の周波数間隔外の第2の周波数を有するステップを含む、請求項25乃至31の何れか1項に記載の方法。
- 前記SPPを前記界面の前記透過部分に閉じ込める前記ステップがさらに、前記界面の前記1個かそれ以上の非透過部分の1個の上で前記第2のSPPを伝播させるステップを含む、請求項32に記載の方法。
- さらに、
エネルギーを前記第1の界面によってサポートされるSPPモードにカップリングするため、前記第2の媒体中に利得媒体を提供するステップであって、前記第1の界面に垂直に突出する場合、前記利得媒体が前記第1の界面の透過部分を画定するステップと、
前記利得媒体を電気的または光学的にポンピングするステップと、
前記利得媒体から前記SPPを含むモードにエネルギーをカップリングすることによって、導波された前記SPPを増幅するステップとを含む、請求項25乃至33の何れか1項に記載の方法。 - 第1の周波数を有し少なくともほぼ平面の界面上を伝播するSPP(表面プラズモン・ポラリトン)の伝播を制御する装置を製造する方法であって、前記方法が、
少なくともほぼ平面の表面を有する基板を提供するステップと、
前記基板表面の1個かそれ以上の部分に、前記基板表面の凹または凸の構造に関連する第1の層中に凹または凸の構造を形成するような、前記基板と前記基板表面によって保持される第1の材料層との間の界面の1個かそれ以上の非透過部分を画定するように、前記基板表面に対して凹または凸である構造の所定の少なくともほぼ周期的なパターンを形成するステップであって、前記第1の材料層が、前記第1の周波数を含む第1の周波数範囲で負の実数部分、Re(ε1)<0、を伴う複素誘電率ε1を有し、前記界面が前記第1の材料層の上部または下部の表面であるステップとを含み、
その際構造の前記パターンが、前記所定のパターン無しで前記界面上に1個かそれ以上の透過部分を画定するように形成され、前記透過部分が前記基板表面の1個かそれ以上の非透過部分によって少なくとも部分的に取り囲まれる方法。 - 前記界面がSPPの伝播をサポートするようになっており、前記界面の前記1個かそれ以上の非透過部分が前記界面上に1個かそれ以上のSPPBG(表面プラズモン・ポラリトン・バンドギャップ)領域を提供する、請求項35に記載の方法。
- 構造の前記パターンが、前記界面上の前記非透過部分中にSPP導波管を形成する1個かそれ以上の透過部分を画定するように形成される、請求項35または請求項36に記載の方法。
- 構造の前記パターンが、前記界面上の前記非透過部分中にSPPキャビティを形成する1個かそれ以上の透過部分を画定するように形成される、請求項35または請求項36に記載の方法。
- 第1の周波数を有し少なくともほぼ平面の界面上を伝播するSPP(表面プラズモン・ポラリトン)の伝播を制御する装置を製造する方法であって、前記方法が、
前記第1の周波数を含む第1の周波数範囲で負の実数部分、Re(ε1)<0、を伴う複素誘電率ε1を有する第1の材料層を提供するステップであって、前記界面が前記第1の材料層の上部または下部の表面に関連する平面として画定されるステップと、
前記第1の層中に選択された領域の所定の、少なくともほぼ周期的なパターンを形成するように前記第1の層の選択された領域を除去するか、または選択された領域の前記複素誘電率を変更するステップであって、前記選択された領域がε1と異なる複素誘電率を有するステップとを含み、
その際選択された領域が、前記第1の層と第2の媒体との間の界面の1個かそれ以上の非透過部分と1個かそれ以上の透過部分とを画定し、前記透過部分が前記第1の層の前記1個かそれ以上の非透過部分によって少なくとも部分的に取り囲まれる方法。 - 前記界面が表面プラズモン・ポラリトンの伝播をサポートするようになっており、前記界面の前記1個かそれ以上の非透過部分が前記界面中に1個かそれ以上の表面プラズモン・ポラリトン・バンドギャップ(SPPBG)領域を提供する、請求項39に記載の方法。
- 領域の前記パターンが、前記界面上の前記非透過部分中にSPP導波管を形成する1個かそれ以上の透過部分を画定するように形成される、請求項39または請求項40に記載の方法。
- 領域の前記パターンが、前記界面上の前記非透過部分中にSPPキャビティを形成する1個かそれ以上の透過部分を画定するように形成される、請求項39または請求項40に記載の方法。
- 第1の周波数を有し材料層と媒体との間の少なくともほぼ平面の界面上を伝播するSPP(表面プラズモン・ポラリトン)の伝播を制御する装置を製造する方法であって、前記方法が、
前記材料層に当接する表面を有する基板を提供するステップであって、前記基板が、前記第1の周波数を含む第2の周波数範囲で正の実数部分、Re(ε2)>0、を伴う複素誘電率ε2を有するステップと、
前記基板中の複数の領域の複素誘電率をε2と異なる複素誘電率に変更するステップであって、前記複数の領域が、前記界面に少なくともほぼ垂直に突出する時、前記界面の1個かそれ以上の非透過部分を画定する1個かそれ以上の所定の、少なくともほぼ周期的なパターンを形成するように配置されるステップと、
前記基板の表面上に前記材料層を提供するステップであって、前記材料層が前記第1の周波数を含む上部及び下部の表面を有する第1の周波数範囲で負の実数部分、Re(ε1)<0、を伴う複素誘電率ε1を有し、前記界面が前記材料層の上部または下部の表面に関連する平面として画定されるステップとを含み、
その際前記1個かそれ以上の所定のパターンが、前記所定のパターンなしで前記界面の1個かそれ以上の透過部分を画定し、前記透過部分が前記1個かそれ以上の非透過部分によって少なくとも部分的に取り囲まれる方法。 - 前記材料層との前記界面を形成する前記媒体が前記基板である、請求項43に記載の方法。
- 前記界面がSPPの伝播をサポートするようになっており、前記界面の前記1個かそれ以上の非透過部分が前記界面中に1個かそれ以上のSPPBG(表面プラズモン・ポラリトン・バンドギャップ)領域を提供する、請求項43または請求項44に記載の方法。
- 前記基板が1個かそれ以上の材料層を備える、請求項43乃至45の何れか1項に記載の方法。
- 前記複数の領域が、前記界面上の前記非透過部分中にSPP導波管を形成する1個かそれ以上の透過部分を画定するように配置される、請求項43乃至46の何れか1項に記載の方法。
- 前記複数の領域が、前記界面上の前記非透過部分中にSPPキャビティを形成する1個かそれ以上の透過部分を画定するように配置される、請求項43乃至46の何れか1項に記載の方法。
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