JP2004505278A - 乳管洗浄によって回収した乳管上皮細胞の細胞学的評価 - Google Patents
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Abstract
Description
本明細書において、本発明者らによる2000年7月28日付特許仮出願第60/221,864号「乳管上皮細胞の細胞学的評価」の恩典を主張する。
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
本発明の分野は、乳癌および乳房前癌の同定を目的とした、細胞学によるヒト乳管上皮細胞の評価である。
【0003】
2.背景技術の説明
乳癌は乳房内の単一の乳管の内面(ライニング)から発生すると考えられており、さらに、ヒト乳房にはこれら乳管が6〜9本存在すると考えられている。参考文献としてはSartorius, JAMA 224 (6): 823−827 (1973)がある。数十年間にわたって、医学会で乳癌の研究に携わる著名人らは、乳管から分泌される乳頭分泌物から得た細胞を細胞学的に分析することによって乳癌リスク患者の同定につながる貴重な情報が得られると考え、且つこのことを示してきた。事実、Papanicolaouは、乳頭分泌物に含まれる細胞を分析することによって、乳癌に対する「パップ」塗沫標本のこのような可能性を示すことに貢献した。参考文献としては、Papanicolaouら, 「ヒト乳腺の剥離細胞診と乳癌およびその他の乳房疾患の診断におけるその価値(Exfoliative Cytology of the Human Mammary Gland and Its Value in the Diagnosis of Cancer and Other Diseases of the Breast)」, Cancer (1958) March/April 377−409がある。また、他の参考文献として、Petrakis, 「乳頭吸引液の生理学的、生化学的、および細胞学的側面(Physiological, biochemical, and cytological aspects of nipple aspirate fluid)」, Breast Cancer Research and Treatment 1986; 8:7−19;petrakis, 「乳頭吸引液を用いた、良性乳房疾患および乳癌の疫学および自然歴の研究(Studies on the epidemiology and natural history of benign breast disease and breast cancer using nipple aspirate fluid)」, Cancer Epidemiology, Biomarkers and Prevention (Jan/Feb 1993) 2:3−10;petrakis, 「乳房疾患の疫学研究における乳頭吸引液(Nipple Aspirate Fluid in epidemiological studies of breast disease)」, Epidemiologic Reviews (1993). 15:188−195がある。より近年では乳頭液中のマーカーが検出されている。参考文献としては、Sauterら, 「乳頭吸引液:乳癌リスクの細胞マーカー同定のための有力な非侵襲的方法(Nipple aspirate fluid: a promising non−invasive method to identify cellular markers of breast cancer risk)」, British Journal of Cancer 76(4):494−501 (1997)がある。Imayamaら, (1996) Cancer 78: 1229−1234には、乳頭のブロットから取得した液体中のCEA検出について記載されている。
【0004】
乳頭吸引液およびそれに対応する細胞学には長い歴史があるにもかかわらず、乳癌または乳房前癌の診断を行うため、または、乳頭吸引液の細胞学的結果と同一乳房の組織試料の組織学的解釈もしくは病理学的解釈または同一乳房の細針吸引生検(FNA)の細胞学的解釈との相関値を決定するための、乳頭吸引液の細胞学の利用および妥当性については疑問が残されている。
【0005】
乳房内の病変の検出には、細針吸引によって乳房から取得された材料を細胞学的に分析する、乳房組織のランダムな細針吸引(FNA)が用いられている(Fabianら, J Cell Biochem Suppl 1997; 28−29:101−10)。FNAで得られた試料はAmer. J. Surg, 1997; 174:371−385に詳述されている統一的な体系で評価可能である。乳房に対して行われるFNAには以下のような複数の欠点がある。通常、標的病変部の位置特定には吸引針による複数回の穿刺が必要とされること;癌細胞を引き出す際に乳房内に軌跡がつくられ、これは軌跡上の血流に癌細胞が散布されるというリスクを伴うこと;針進入部に瘢痕が生じる可能性があること;穿刺は苦痛を伴う可能性があること;複数回の穿刺により検査後の一定の期間乳房に疼痛が生じる可能性があること;陽性の試料を含む病変部の位置を特定するには複数回の穿刺がしばしば必要とされることである。
【0006】
1970年代半ばに研究を開始したOtto Sartoriusはいくらかの分量の乳管液を取得した。Sartoriusは毛髪の太さのカテーテルを用いて乳管内に生理食塩水を注入し、カテーテルを除去し、且つ、乳房を圧搾または乳頭表面を吸引して乳頭表面から少量の液体を得ることによってこれを実現した。乳管の「洗浄」はLove & BarskyのSusan Loveも報告している((1996) Lancet 348: 997−999)。Loveはカテーテルを使用して乳管内に液体を注入し、食塩水約1.5 ml注入後にカテーテルを除去し、且つ、この結果生じた圧搾液を、乳房の圧搾と毛管を用いた乳頭表面からの洗浄液の採取とにより回収した。
【0007】
上述のような、最初に乳管に液体を注入してまたはしないで行われる、乳頭表面からの乳頭吸引を含めた乳管液取得のこれまでの試みと、液体注入後に乳管から液体注入カテーテルを除去した後に乳頭表面から滲出する液体を取得する初期の試みとでは、細胞学的分析に必要な細胞収率を十分に達成できないことが明らかになっている。これらの試料は、一貫性、均一性、および信頼性のある乳癌診断ツールであるとはみなされなかった。このようにして得られたこのような細胞学的診断結果は、他の診断(例えばFNA、生検による組織学的診断、乳腺腫瘤摘出術または乳房切除術、マンモグラフィなど)の補助的および支持的な位置付けに留まっており、単独で利用できる診断情報とはみなされていない。
【0008】
これまでの乳頭吸引液の細胞学的方法における欠点は主として、乳管洗浄を実施し且つ留置カテーテルで液を回収した場合の乳管洗浄と比較して乳頭吸引液では細胞収率がはるかに低いという事実に起因している。Petrakisは、数千名の女性を対象に行った20年間の研究において、平均細胞収率は乳房あたり細胞約100個であり、且つ、前述の技術のうち1つを用いた場合よりもしばしば低かったと報告している。約500名の女性を対象に、留置カテーテルを用いた乳管洗浄の前に乳頭吸引液を回収した最近の臨床試験では、乳頭吸引によって回収された乳管上皮細胞数の中央値は乳房あたり約120個であった。さらに、乳頭吸引によって回収した試料では、個々の細胞、および10個未満の細胞の凝集体または細胞群が得られる傾向があり、このような細胞群が回収される場合には凝集体あたりの細胞数は多くの場合5個未満である。同様に、カテーテルを使用して約1.5 mlの洗浄液を注入し、且つ乳頭表面で圧搾液を回収する前にカテーテルを除去するこれらの方法による細胞収率は、従来の乳頭吸引の細胞収率からあまり向上していない。
【0009】
これとは対照的に、洗浄手順中に注入される洗浄液の総量が乳管あたり2 mlを超え、多くの場合5 mlを超え、一般的に約10〜約50 mlにも達し、一部の場合では50 mlを超え、且つ、手順中カテーテルを乳管内に留置したまま細胞および洗浄液が回収されるような乳管洗浄の試料で得られる細胞収率は、多くの場合、乳管あたりの細胞数が500個を超え、一般的には1000〜10,000個またはそれ以上である。乳管内に液体を注入でき、且つ乳管内に留置したまま細胞の混入した液体を回収できる乳管洗浄用の乳管アクセスツールを使用して500名の女性を対象に行われたこの種の最初の試験では、乳管洗浄により回収された乳管上皮細胞数の平均値は約40,000個/乳管であり、中央値は約13,500個/乳管であった。
【0010】
さらに、約2 mlを超える量の生理食塩水の注入(例えば、単一の乳管に対する全洗浄手順で最大50 mlまたはそれ以上の液体の注入)と、留置カテーテルの管腔を通した乳管液の回収との手法を用いる乳管洗浄によって回収した細胞は、細胞凝集塊または細胞集団がより多く、より大きいばかりではなく、細胞凝集塊または細胞集団あたりの細胞数も多い。典型的に、且つ以前は、乳頭吸引では(細胞集団が回収された場合には)細胞集団あたりの細胞数が5個未満の細胞集団または細胞凝集塊が得られ、一方、乳管洗浄では細胞集団または細胞凝集塊あたりの細胞数が10個以上の細胞集団または細胞凝集塊がかなりの数で得られた。細胞凝集塊または細胞集団の細胞学的解釈の利点は、細胞学者が細胞間の関係についてさらに別の望ましいコンテクスト(context)を入手できるという点である。このコンテクストは、細胞が元の組織の構造内に維持される分析方法である組織学的分析で得られるコンテクストと類似の利点を提供する。凝集塊あたりの細胞数が5個を超える、特に10個を超える細胞凝集塊を高頻度で回収できる可能性は、前述の乳管洗浄技術が完成する以前の乳管上皮細胞学ではみられなかった現象である。
【0011】
さらに、乳管洗浄により回収された細胞とFNAにより回収された細胞との別の差異についても言及すべきと考えられる。FNAにより回収された細胞は、アクセスした病変部周辺からの血液を含んでいる可能性があり、且つ、病変部から脱落したものではなくむしろ穿刺部位から回収された非脱落細胞であると一般的にみなし得るものであり、これに対して、乳管洗浄により回収された細胞(事実上、乳頭吸引、乳管洗浄回収、および乳管洗浄を含む方法により、乳房組織を破裂させることなく乳管液から回収された任意の細胞)は乳管液中へと脱落した細胞であり、この細胞は、乳管内に存在する病変を離れて乳管液に入った細胞であり、且つ、生検試料または組織切除の組織学的方法の場合およびそれより程度は低いものの病変部からではあるが、より破壊的な様式で回収するFNAの場合と異なり、病変自体の構造からではなく、その乳管液からの回収が可能な状態となった細胞である。
【0012】
したがって、単独で利用でき、且つ、組織破壊に基づく診断の必要性およびそれに伴う欠点がなく医学会に受容されうる乳癌および乳癌前癌の診断を達成するためには、新しく開発された乳管洗浄技術により入手可能となる新しい情報を利用、正当化、および最大化する一群の細胞学的基準を確立することが望ましい。
【0013】
発明の概要
本発明は、患者の乳管の乳管洗浄によって回収した乳管上皮細胞を含む乳管液試料を提供する段階;細胞の群化、細胞の形状、細胞のサイズ、核のサイズ、核の形状、核小体の有無、核−細胞質比、細胞質中の液胞、細胞質の形状、細胞質の境界、核大小不同の有無、有糸分裂像の有無、核膜の質、壊死性破片の存在、クロマチン分布、クロマチンの粗さ、および微小石灰化の有無からなる群より選択される1つ以上の指標について試料中の乳管上皮細胞を評価する段階;ならびに、観察された指標に基づいて試料を正常、異型性、または悪性に分類する段階によって、ヒト乳管から回収された上皮細胞を細胞学的に評価する方法を提供する。
【0014】
試料は、細胞凝集性の喪失、上皮細胞の疎な集団、細胞の増大、核の増大、核−細胞質比の上昇、一部の細胞における細胞質の増加、不規則な核膜、クロマチン凝集、過染色性クロマチン、クロマチンの不均一な散乱、核小体の増大、複数の核小体、試料中の細胞間における細胞サイズおよび核サイズの顕著なばらつき、壊死性破片、ならびに、滑らかな境界と同心層とを有する稠密物質または異栄養性および無定形性の稠密物質としてバックグラウンド物質中に現れる微小石灰化からなる群より選択される識別特徴のうち少なくともいくつかによって特徴付けられる場合、悪性として分類される。
【0015】
試料は、乳管上皮細胞の増大、乳管上皮細胞における著明な核の増加、正常乳管上皮細胞と比較してばらつきのある乳管上皮細胞のサイズおよび形状、一部の細胞における豊富な細胞質、一部の細胞における核−細胞質比の低下、粗いクロマチン、クロマチン分布の軽度の異常、正常細胞より大きい核小体、複数の核小体、より顕著な核小体、重なって見える核の群、ならびに、有糸分裂像からなる群より選択される識別特徴のうち少なくともいくつかによって特徴付けられる場合、著明な変化を伴う異型性として分類される。
【0016】
試料は、単一の乳管細胞、凝集性の多層細胞、細胞の複合群、単層細胞、正常細胞と比較して増加している細胞層の数、細胞の重なりの増加、細胞の核密集、細胞のわずかな増大、直径約12〜約16 μmの範囲での核サイズの軽度な増大、一部の細胞における軽度の核大小不同、ならびに、核小体の存在からなる群より選択される識別特徴のうち少なくともいくつかによって特徴付けられる場合、軽度の変化を伴う異型性として分類される。
【0017】
試料は、単一の細胞、単層シート、通常は厚さが1層または2層の細胞層である密着した細胞集団、直径が約8〜約12 μmである小さい核、集団内の細胞の配向に応じた高い核−細胞質比、単一細胞において細胞質が柱状形であること、単一細胞において細胞質の中に目立たない小さい液胞があること、単一細胞において細胞質の境界が目立たないこと、サイズが均一であり且つ形状が規則的な円形から楕円形である乳管上皮細胞の凝集性の群、均一且つ小さな細胞の単層シート、ならびに、小さく目立たない核小体を有する細胞の単層シートからなる群より選択される識別特徴のうち少なくともいくつかによって特徴付けられる場合、正常として分類される。
【0018】
試料は、試料中の上皮細胞が10個未満であることによって特徴付けられる場合、診断に不十分な細胞(insufficient cells to make a diagnosis;ICMD)として分類される。
【0019】
乳管液は、乳管アクセスツールを乳管内に設置し、ツールを通じて乳管内に液体を注入し、且つ、アクセスした乳管からツールを通じて、乳管上皮細胞を含む乳管液と混合された注入液の一部を回収することによって回収してもよい。この方法は、乳房の、1つを超える複数の乳管について繰り返してもよい。乳管液試料の提供は、乳房から試料を取得する段階または以前に取得された試料を受け取る段階を含んでいてもよい。液体は乳管の乳頭吸引によって取得してもよい。
【0020】
液体試料は乳管の管腔を洗浄し且つ管腔から液体および細胞を回収することによって得てもよい。このように得られる液体は、単一の乳管から回収してもよく、または複数の乳管から回収してもよい。
【0021】
単一の乳管に対する全洗浄手順において注入される液体は約2 ml〜約100 mlであってよい;回収される液体試料は、細胞材料と混合された洗浄液約2 ml〜約30 mlである。回収される細胞は、約500個を超える細胞を含んでいてもよい;回収される細胞は、単一の乳管に由来する約500個〜約40,000個の細胞を含んでいてもよい。回収される細胞は、10個以上の乳管上皮細胞を含む細胞の集団または凝集塊を1つ以上含んでいてもよい。
【0022】
ヒト乳管から回収した細胞を細胞学的に評価する方法は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、核酸、ポリヌクレオチド、mRNA、小さい有機分子、脂質、脂肪、糖タンパク質、糖ペプチド、炭水化物、オリゴ糖、染色体異常、マーカー分子を有する細胞全体、粒子、分泌された分子、細胞内分子、および、複数の分子の複合体からなる群より選択されるマーカーの存在を決定するために乳管液試料を調べる段階をさらに含んでいてもよい。
【0023】
本発明はさらに、ヒト乳管から回収された上皮細胞を細胞学的に評価するための、以下を含むシステムを提供する:ヒト乳房から乳管液を回収するためのツールまたは装置;細胞の群化、細胞の形状、細胞のサイズ、核のサイズ、核の形状、核小体の有無、核−細胞質比、細胞質中の液胞、細胞質の形状、細胞質の境界、核大小不同の有無、有糸分裂像の有無、核膜の質、壊死性破片の存在、クロマチン分布、クロマチンの粗さ、および微小石灰化の有無からなる群より選択される1つ以上の指標について試料中の乳管上皮細胞を評価するためのチャートまたは文書による指針;ならびに、観察された指標に基づいて試料を正常、異型性、または悪性に分類するためのアルゴリズム。
【0024】
ツールまたは装置は、乳管へのアクセスと液体および細胞の回収とを行うツール、ならびに、プローブ、麻酔を施すためのツール、アクセスされた乳管もしくは液体を出している乳管をマーキングするためのマーキングツール、または、回収された液体および細胞を受けるための回収用レセプタクルのうち1つ以上を含んでいてもよい。
【0025】
発明の好ましい態様の詳細な説明
以下に示す好ましい態様および実施例は説明を目的としたものであり、本発明を制限するものではない。
【0026】
図1に、本発明の1つの局面に基づいて乳管にアクセスし且つ乳管液を回収するためのツールまたは装置10の例を示す。ツール10は、乳管内で位置決めを行い且つ乳管内で液体を注入および回収するための、長い単一の管腔12を含む。ツール10はまた、管腔12と液体接触状態にある、液体注入および回収用のハブ14も含む。ハブ14は注入ポート24を有し、注入ポート24を通じてリザーバ26から液体がハブ14、管腔12、および最終的に乳管に導入される。ハブ14はまた、回収レセプタクル28に接続された回収ポート22も有する。リザーバ26およびレセプタクル28はそれぞれ、シリンジまたは他の周知の液体輸送容器を有する。管腔12を乳管内に導入するためまたは乳管開口部の位置を確認するためにプローブ30を使用してもよい。
【0027】
乳管から回収された乳管上皮細胞を評価するためのチャートまたは文書による指針40を図2に示す。
【0028】
本発明はまた、ヒト乳房に由来する乳管液試料が、試料採取した乳管内で正常、異型性、または悪性の状態を呈しているかを決定するために、試料を細胞学的に評価する方法を提供する。一般的に試料は乳管の洗浄によって回収されるが、約200個を超える乳管上皮細胞が得られる回収方法である限り、本発明がこの細胞回収方法に限定されることはない。または、乳管洗浄以外の手段によって回収された試料は、乳管あたり100個以上の乳管上皮細胞を含んでいてもよく、且つさらに、1つの凝集塊が10個以上の乳管上皮細胞を含む乳管上皮細胞凝集塊を1つ以上含んでいてもよい。したがって、例えば、十分な細胞および/または十分に大きい凝集塊が得られる他の乳頭吸引の技術によって、本発明により提供される細胞学的分析指針の用途に十分な乳管上皮細胞試料が得られる可能性もある。
【0029】
しかし、本発明の方法の1つの局面は、患者の乳房の少なくとも1つの乳管に由来する乳管上皮細胞を含む乳管液試料を提供する段階であって、留置乳管アクセスツールを用いる乳管洗浄技術によって乳管液試料が提供される段階を含む。乳管液試料を提供する段階は、乳房から試料を取得する段階または以前に取得された資料を受け取る段階を含んでいてもよい。例えば、研究室が患者または医師から乳管液試料を受け取ってもよく、且つ、研究室は試料の分析を行うという指示を受けてもよい。乳房からの液体の取得においては、例えば乳管の乳頭吸引または少なくとも1つの乳管の乳管洗浄によって液体試料が取得されてもよい。乳管洗浄によって液体が回収される場合、液体は単一の乳管から回収されてもよい。例えば、液体の分析を1つの乳管まで追跡できるように、乳管および回収チューブにマーキングが行われてもよい。
【0030】
乳管洗浄の手順により、乳管管腔の壁を裏打ちする乳管上皮細胞が乳管から洗い流される。洗浄液(lavage fluidまたはwash fluid)が乳管に注入され、且つ、乳管液と混合された洗浄液が回収される。単一の乳管の洗浄で注入される洗浄液の量は約2 ml〜約50 mlになると考えられ、患者の乳房のサイズ、アクセスする乳管のサイズ、および乳管洗浄手順の時間の長さによっては50 mlを超える場合もあると考えられる。注入された洗浄液は、特に注入液が生理食塩水または同様のものを含む場合には、いくぶん迅速に乳管壁内に拡散することが一般に知られている。単一の乳管の洗浄によって回収される洗浄液および細胞材料は通常2 mlを超え、多くの場合5 mlを超え、一般的に約6 ml〜約50 mlになると考えられる。最も一般的には、約10 ml〜約30 mlの液体および細胞が回収される。乳管洗浄については、米国特許出願第09/067,661号、米国特許出願第09/301,058号、国際特許出願第US99/09141号、米国特許出願第09/313,463号、米国特許出願第09/473,510号、および米国特許出願第09/506,477号を含む同時係属且つ共同所有の出願に記載されており、これらはすべて参照として本明細書に完全に組み入れられる。一部の場合において、最大量の細胞および/または液体を回収することを目的として、乳管管腔にアクセスするツールに吸引を用いてもよい。洗浄液を乳管に注入し且つ回収してもよい。最大量の細胞および/または液体を回収することを目的として、乳管管腔にアクセスするツールに吸引をかけてもよい。液体および細胞の収率を最大にすることを目的とした、乳房の圧搾またはその他の手技を洗浄手順に組み込んでもよい。
【0031】
乳管液の乳頭吸引は、真空圧の使用により実現される。乳頭吸引技術についても、同時係属且つ共同所有の出願であり参照として本明細書に完全に組み入れられる米国特許出願第09/438,219号に記載および特許請求されている。乳頭吸引液は、例えばGoodson WHおよびKing EB, 「乳房:良性疾患および悪性疾患の総合管理、第4章:乳頭の排出物および分泌物(Chapter 4: Discharges and Secretions of the Nipple, The Breast: Comprehensive Management of Benign and Malignant Diseases)」 (1998) 第2版、第2巻、BlandおよびKirby編, W.B. Saunders Co, ペンシルベニア州フィラデルフィア, pp. 51−74;Wrenschら, (1992) American Journal of Epidemiology. 135(2):130−41;ならびに、Sauterら (1997) British Journal of Cancer. 76(4):494−501に記載されているように回収してもよい。病変部の細胞は、例えばPetrakis (1993) Cancer Epidem. Biomarker Prev. 2:3−10;Petrakis (1986) Breast Cancer Res. Treat 8: 7−19;Wrenschら (1992) Am. J. Epidem. 135:130−141;Wrenschら (1990) Breast Cancer Res Treat 15: 39−21;ならびに、Wrenschら (1989) Cancer Res. 49: 2168−2174に記載されているように、例えば乳頭を吸引して乳頭吸引液を得ることによって、これらの細胞をいくつか含む乳管液を回収することによって回収してもよい。また、乳頭からの分泌液が自発的に乳頭表面に現れるときにこの分泌液を回収してもよい。他の乳管からの乳管液と混合していない液体を回収するため、医師は液体の徴候を注意深く探し、乳頭表面から出る液体を、他の開口部からの液体と混合する機会が生じるより前に、開口部付近で回収する。
【0032】
乳管上皮細胞は乳管の任意の部位に由来するものであってよく、この部位には例えば乳管管腔および/または終末乳管小葉単位(terminal ductal lobular unit;TDLU)が含まれる。TDLU由来の細胞は、TDLU由来でない他の乳管管腔上皮細胞でみられるものと同様の例えば過形成、異型性、上皮内癌、および浸潤癌を含む病期を有していてもよく、且つ、これらの取得源に由来する細胞と同様に正常、軽度の異型性、著明な異型性、および悪性などのカテゴリーを適応してもよい。
【0033】
乳管液は、乳管アクセスツールを乳管内に設置し、ツールを通じて乳管内に液体を注入し、且つ、アクセスした乳管からツールを通じて、乳管液と混合された注入液の一部を回収することによって回収してもよい。この手順は、乳房の1つを超える乳管について繰り返してもよく、且つ/または、乳房の複数の乳管について繰り返してもよい。乳房の乳管に対して連続的なアクセスまたは同時のアクセスのいずれを用いてもよい。乳管洗浄により、アクセスした乳管1つあたり通常は100個を超える乳管上皮細胞、多くの場合に約100〜約1000個の乳管上皮細胞、一般的には約1000〜10,000個の乳管上皮細胞、頻繁ではないが10,000個を超える乳管上皮細胞、および、一般的ではないが約15,000〜約20,000個の乳管上皮細胞である、十分な細胞試料が回収される。乳管洗浄または乳頭表面の乳頭吸引によって得られる試料が約100個の乳管上皮細胞である場合、本明細書に記載の細胞学的分析が本明細書に記載のパラメータおよび確実性の範囲内に収まるよう試料が分析用として十分であるためには、10個以上の乳管上皮細胞を含む細胞凝集塊を試料が少なくとも1つさらに含んでいる必要がある。
【0034】
乳管から回収(retrieveまたはcollect)された細胞は細胞学を用いて癌または前癌の指標について評価される。試料中の乳管上皮細胞は、細胞の群化、細胞の形状、細胞のサイズ、核のサイズ、核の形状、核小体の有無、核−細胞質比、細胞質中の液胞、細胞質の形状、細胞質の境界、核大小不同の有無、有糸分裂像の有無、核膜の質、壊死性破片の存在、クロマチン分布、クロマチンの粗さ、および微小石灰化の有無からなる群より選択される1つ以上の指標について評価される。試料は、上記の観察可能な指標のうち任意の1つ以上の指標の存在に基づいて、正常(または良性)、異型性(軽度のまたは著明な異型性を含む)、または悪性に分類される。下記の表1に、細胞を分類するための上記指標の適用についてさらに詳しく示す。
【0035】
【表1】
【0036】
悪性の試料は以下のうち少なくとも1つによって特徴付けられる:細胞凝集性の喪失、上皮細胞の疎な集団、細胞の増大、核の増大、核−細胞質比の上昇、一部の細胞における細胞質の増加、不規則な核膜、クロマチン凝集、過染色性クロマチン、クロマチンの不均一な散乱、核小体の増大、複数の核小体、試料中の細胞間における細胞サイズおよび核サイズの顕著なばらつき、壊死性破片、または、滑らかな境界と同心層とを有する稠密物質または異栄養性および無定形性の稠密物質としてバックグラウンド物質中に現れる微小石灰化。
【0037】
著明な異型性は以下のうち少なくとも1つによって特徴付けられる:乳管上皮細胞の増大、乳管上皮細胞における著明な核の増加、正常乳管上皮細胞と比較してばらつきのある乳管上皮細胞のサイズおよび形状、一部の細胞における豊富な細胞質、一部の細胞における核−細胞質比の低下、粗いクロマチン、クロマチン分布の軽度の異常、正常細胞より大きい核小体、複数の核小体、より顕著な核小体、重なって見える核の群、ならびに、有糸分裂像。
【0038】
軽度の異型性は以下のうち少なくともいくつかによって特徴付けられる:単一の乳管細胞、凝集性の多層細胞、細胞の複合群、単層細胞、正常細胞と比較して増大している細胞層の数、細胞の重なりの増加、細胞の核密集、細胞のわずかな増大、直径約12〜約16 μmの範囲での核サイズの軽度な増大、一部の細胞における軽度の核大小不同、ならびに、核小体の存在。
【0039】
正常なまたは良性の状態は以下のうち少なくとも1つによって特徴付けられる:単一の細胞、単層シート、通常は厚さが1層または2層の細胞層である密着した細胞集団、直径が約8〜約12 μmである小さい核、集団内の細胞の配向に応じた高い核−細胞質比、単一細胞において細胞質が柱状形であること、単一細胞において細胞質の中に目立たない小さい液胞があること、単一細胞において細胞質の境界が目立たないこと、サイズが均一であり且つ形状が規則的な円形から楕円形である乳管上皮細胞の凝集性の群、均一且つ小さな細胞の単層シート、ならびに、小さく目立たない核小体を有する細胞の単層シート。
【0040】
診断に不十分な細胞(insufficient cells to make a diagnosis;ICMD)は、試料中の上皮細胞が10個未満であることによって特徴付けられる。
【0041】
乳管液(たとえば洗浄)または乳房の乳頭吸引によって回収された細胞に対して行うことのできる、これまでに確立された細胞学的アッセイ法には、例えば、Kingら, J. Nat’l Cancer Inst (1983) 71:1115−21;Wrenschら, (1992) Am. J. Epidem. 135: 130−141;Papanicolaouら, (1958) Cancer, 11:377−409;ならびに、Goodson WHおよびKing EB, 「乳房:良性疾患および悪性疾患の総合管理、第4章:乳頭の排出物および分泌物(Chapter 4: Discharges and Secretions of the Nipple, THE BREAST: COMPREHENSIVE MANAGEMENT OF BENIGN AND MALIGNANT DISEASES)」 (1998) 第2版、第2巻、BlandおよびKirby編, W.B. Saunders Co, ペンシルベニア州フィラデルフィア, pp. 51−74に記載のアッセイ法が含まれる。例えば、GoodsonおよびKingの文献(p 60)に記載されているように、異型過形成は、細胞の異常、クロマチンの粗さの増加、ならびに、より多くの単一細胞および細胞群への傾向を有する状態として現れる。上皮内癌についてはPapanicolaouらが細胞の異常を報告しており、このような細胞の異常とは、例えば、乳管細胞を含む乳頭分泌物に由来する液体において細胞学的に診断される核の異常である。Sartoriusら (1977) J. Natl Cancer Inst 59: 1073−1080;および、Kingら, (1983) JNCI 71(6) 1115−1121に記載のように、異常細胞の細胞学的研究も実施可能である。異型性および上皮内癌は、Pageら, (1998) Mod Pathol 11(2): 120−8に記載のように、病理学的に広く特徴付けられている。乳管液は、液の一部をスライドにのせ、標準的な細胞学的染料で染色し、且つ光学顕微鏡で評価することによって、細胞学的な技術により分析可能である。発表されている方法を用いて、個々の細胞および細胞の集団における異型性の増殖パターンについて細胞を調べることが可能であり、こうした発表物としては、Mouriquand J, (1993) S Karger Pub, 「触診不能な乳房病変の診断:超音波画像制御下の細針吸引:細胞学の診断的および予後判定的意味(Diagnosis of Non−Palpable Breast Lesions: Ultrasonographically Controlled Fine−Needle Aspiration: Diagnostic and Prognostic Implications of Cytology)」 (ISBN 3805557477);Kline TSおよびIK, Pub Igaku−Shoin Medical 「乳房:臨床吸引生検の指針(Breast: Guides to Clinical Aspiration Biopsy)」 (ISBN 0896401596);Masood, American Society of Clinical Pathology: Nov. 199S, 「乳房の細胞病理学(Cytopathology of the Breast) ISBN 0891893806;ならびに、Feldman PS, American Society of Clinical Pathology, Nov. 1984, 「細針吸引の細胞学およびその臨床応用:乳房および肺(Fine Needle Aspiration Cytology and Its Clinical Applications: Breast and Lung)」 ISBN 0891891846が含まれる。
【0042】
細胞学的分析について論じており、且つ、乳管液由来の乳管上皮細胞の分析の指針となるその他の参考文献としては、Silvermanら, 「FNA生検による乳房の異型過形成、上皮内癌、および浸潤癌の区別は可能か:細胞形態学的基準と診断における限界(Can FNA biopsy separate atypical hyperplasia, carcinoma in situ, and invasive carcinoma of the breast?: Cytomorphologic criteria and limitations in diagnosis)」 Diagnostic Cytopathology. 9(6):713−28, 1993;Masoodら, 「乳房の異型過形成と上皮内癌との免疫組織化学的識別(Immunohistochemical differentiation of atypical hyperplasia vs. carcinoma in situ of the breast)」 Cancer Detection & Prevention. 16(4):225−35, 1992;Masoodら, 「マンモグラフィガイド下の細針吸引における増殖性乳房疾患と比増殖性乳房疾患との細胞学的識別(Cytologic differentiation between proliferative and nonproliferative breast disease in mammographically guided fine−needle aspirates)」 Diagnostic Cytopathology. 7(6):581−90,1991;Masood S., 「不顕性乳房病変と吸引生検:新たな課題(Occult breast lesions and aspiration biopsy: a new challenge)」 Diagnostic Cytopathology. 9(6):613−4,1993;Masood S., 「乳癌に於ける予後因子:細胞学的標本の使用(Prognostic factors in breast cancer: use of cytologic preparations)」 Diagnostic Cytopathology. 13(5):388−95, 1995;NovakおよびMasood, 「乳房病変の細針吸引生検における核溝:有意性はあるか(Nuclear grooves in fineneedle aspiration biopsies of breast lesions: do they have any significance?)」 Diagnostic Cytopathology. 18(5):333−7, 1998;Sidawyら, 「細針吸引による増殖性乳房病変の分類における観察者間のばらつき:パパニコロー細胞病理学協会の研究結果(Interobserver variability in the classification of proliferative breast lesions by fine−needle aspiration: results of the Papanicolaou Society of Cytopathology Study)」 Diagnostic Cytopathology. 18(2): 150−65, 1998;Masoodら, 「細胞学におけるオートメーション:パパニコロー細胞病理学協会・新技術タスクフォースによる調査(Automation in cytology: a survey conducted by the New Technology Task Force, Papanicolaou Society of Cytopathology)」 Diagnostic Cytopathology. 18(1):47−55, 1998;ならびに、FrykbergおよびMasood Copeland EM 3d. Bland KI., 「乳房の乳管上皮内癌(Ductal caucinoma in situ of the breast)」 Surgery, Gynecology & Obstetrics 177(4):425−40,1993がある。
【0043】
本発明は、ヒト乳房から回収した乳管上皮細胞を細胞学的に評価する方法に加えて、このような評価を行うためのシステムまたはキットを提供する。システムは、ヒト乳房から乳管液を回収するためのツールまたは装置を含む。このツールは、例えば乳頭吸引カップ、乳管アクセスと液体および細胞の回収とを行うためのツール、プローブ、乳管アクセス用の麻酔を施すためのツール、ならびに/または、アクセスされた乳管もしくは液体を出している乳管をマーキングするためのマーキングツールなど、乳管または乳頭から乳管液を回収するのに有用な品目を含んでいてもよい。システムは、麻酔薬などの試薬、乳管洗浄手順用の洗浄液、乳管開口部を拡大するための拡張プローブ、乳頭表面の準備を行うための脱角質化試薬、ならびに、乳管アクセスおよび/または乳管からの液体回収を促進するのに有用なその他の品目をさらに有していてもよい。
【0044】
システムはまた、細胞の群化、細胞の形状、細胞のサイズ、核のサイズ、核の形状、核小体の有無、核−細胞質比、細胞質中の液胞、細胞質の形状、細胞質の境界、核大小不同の有無、有糸分裂像の有無、核膜の質、壊死性破片の存在、クロマチン分布、クロマチンの粗さ、および微小石灰化の有無からなる群より選択される1つ以上の指標について試料中の乳管上皮細胞を評価するためのチャートまたは文書による指針を含んでいてもよい。システムはまた、これらの指標に付随することを目的として、観察された指標に基づいて試料を正常、(軽度のまたは著明な)異型性、または悪性に分類するためのアルゴリズムを提供してもよい。アルゴリズムは、決定の最後に診断を示すフローチャートまたは決定チャートであってもよい。もう1つの選択肢としてもしくは追加的に、アルゴリズムは、試料からのデータを処理して診断を生成できるコンピュータプログラムであってもよい。
【0045】
いかなる場合も、アルゴリズムは、細胞凝集性の喪失、上皮細胞の疎な集団、細胞の増大、核の増大、核−細胞質比の上昇、一部の細胞における細胞質の増加、不規則な核膜、クロマチン凝集、過染色性クロマチン、クロマチンの不均一な散乱、核小体の増大、複数の核小体、試料中の細胞間における細胞サイズおよび核サイズの顕著なばらつき、壊死性破片、ならびに、滑らかな境界と同心層とを有する稠密物質または異栄養性および無定形性の稠密物質としてバックグラウンド物質中に現れる微小石灰化のうち少なくともいくつかによって試料が特徴付けられる場合に、試料を悪性として分類する能力を有する。
【0046】
アルゴリズムは、乳管上皮細胞の増大、乳管上皮細胞における著明な核の増加、正常乳管上皮細胞と比較してばらつきのある乳管上皮細胞のサイズおよび形状、一部の細胞における豊富な細胞質、一部の細胞における核−細胞質比の低下、粗いクロマチン、クロマチン分布の軽度の異常、正常細胞より大きい核小体、複数の核小体、より顕著な核小体、重なって見える核の群、ならびに、有糸分裂像のうち少なくともいくつかによって試料が特徴付けられる場合に、著明な変化を伴う異型性として試料を分類する能力を有する。
【0047】
アルゴリズムは、単一の乳管細胞、凝集性の多層細胞、細胞の複合群、単層細胞、正常細胞と比較して増加している細胞層の数、細胞の重なりの増加、細胞の核密集、細胞のわずかな増大、直径約12〜約16 μmの範囲での核サイズの軽度な増大、一部の細胞における軽度の核大小不同、ならびに、核小体の存在のうち少なくともいくつかによって試料が特徴付けられる場合に、軽度の変化を伴う異型性として試料を分類する能力を有する。
【0048】
アルゴリズムは、単一の細胞、単層シート、通常は厚さが1層または2層の細胞層である密着した細胞集団、直径が約8〜約12 μmである小さい核、集団内の細胞の配向に応じた高い核−細胞質比、単一細胞において細胞質が柱状形であること、単一細胞において細胞質の中に目立たない小さい液胞があること、単一細胞において細胞質の境界が目立たないこと、サイズが均一であり且つ形状が規則的な円形から楕円形である乳管上皮細胞の凝集性の群、均一且つ小さな細胞の単層シート、ならびに、小さく目立たない核小体を有する細胞の単層シートのうち少なくともいくつかによって試料が特徴付けられる場合に、試料を正常として分類する能力を有する。
【0049】
アルゴリズムは、試料に含まれる上皮細胞が10個未満である場合に、診断に不十分な細胞(insufficient cells to make a diagnosis;ICMD)として試料を分類する能力を有する。十分な試料とは、例えば、少なくとも1つの態様においては、約100個の乳管上皮細胞を含み、且つ、凝集塊あたりの乳管上皮細胞数が10個以上である凝集塊を1つ以上提供する試料である。
【0050】
細胞学的評価の方法およびアルゴリズムのいずれについても、以下が当てはまる:1)乳管洗浄試料中の上皮細胞数は、なし〜数千までの範囲を取りうる。試料が十分であるとみなされるためには少なくとも10個の上皮細胞が必要である。良性の乳管細胞は、単独の細胞、単層シート、または、通常は厚さが1層または2層の細胞層である密着した集団もしくは凝集塊として存在することがある。良性の細胞は、小さい核(直径約8〜約12 μm)を有する小さい細胞である。核−細胞質比は集団内の細胞の配向に応じて高くなっていることがある。単一の良性の乳管細胞はしばしば周囲のリンパ球または組織球と同様の外観を呈し、同定が困難であることが多い。乳管細胞は、その核の特徴、細胞質の柱状形状、または細胞質中の目立たない小さい液胞の存在により識別してもよい。滑らかで目立たない細胞質の境界も乳管細胞の識別に役立つことがある。良性の乳管細胞は、細胞群として現れる場合、認識がより容易となる。凝集性の細胞群は、疎な集団と対照的に、上皮由来であることをより強く示唆する。良性の細胞群は、通常、厚さが1層または2層の細胞層であり、且つ、均一なサイズの細胞で構成される。細胞核もまたサイズが均一であり、且つ、形状は規則的な円形から楕円形である。細胞学的所見に加えて同定されてもよいマーカーによって、細胞学的解釈を確認するおよび/または良性カテゴリー内の任意の注目すべきサブカテゴリーに情報を追加することによって、診断を補助してもよい。
【0051】
2)軽度の変化を伴う異型性上皮細胞を含む細胞学的カテゴリーには、過形成を含む増殖状態から取得された乳管細胞が含まれる。細胞は、単独の細胞、多層の且つ複雑な凝集性の細胞群、および、単層シートとして存在することがある。細胞群は細胞層の増加を示すことがあり、これは細胞群を通じて焦点を合わせることによって認識される。乳管細胞群ではまた、核の密集を伴って重なりが増加していることがある。細胞はわずかに増大していることがあり、且つ、核のサイズが軽度に増大し直径が約12〜約16 μmになっていることがある。細胞郡内の細胞の一部に軽度の核大小不同がみとめられることがある。核小体が存在する場合が多い。乳管液中に発見されるマーカーによって、異型細胞もしくは軽度の変化を伴う異型細胞の同定を補助してもよく、または、このような細胞学的同定を確認してもよい。
【0052】
3)異型細胞には、著明な変化を伴う細胞も含まれ得る。より著明な変化は、異型過形成および低悪性度の乳管上皮内癌(DCIS)に伴ってみられることが多いが、乳頭腫およびその他の増殖状態でもみられることがある。核のサイズおよび形状の増大およびばらつきがより著明な、増大した乳管上皮細胞が存在する場合がある。単一の細胞は増大し、細胞質が豊富である場合があり、核−細胞質比が実際に小さくなることがある。クロマチンは粗くみえることがあり、分布に軽度の異常がみられることもある。核小体は、大きい場合、複数存在する場合、および、より顕著である場合がある。核の群は重なって見えることがある。有糸分裂象がみとめられる場合がある。乳管液中に発見されるマーカーによって、著明な変化を伴う異型細胞の同定を補助してもよく、または、このような細胞学的同定を確認してもよい。
【0053】
4)悪性の上皮細胞には高悪性度乳癌由来の乳管細胞が含まれ、これらの細胞は共通の悪性の特徴を示す。細胞凝集性が失われるため、より多くの単一細胞が存在する。通常の密集した細胞群(凝集塊)とあわせて、上皮細胞の疎な集団が存在する。細胞および核の増大が顕著である場合がある。一部の場合において、核−細胞質比が高くなっていることがある。しかし、悪性度の高い一部の標本はしばしば癌細胞部に多くの細胞質を有しており、この結果、核−細胞質比の低下またはばらつきが生じることがある。核膜は不規則である場合が多く、クロマチンは凝集し、過染色性となり、且つ不均一に散乱する。核小体は多くの場合大きく且つ顕著であり、多核であることもある。細胞および核のサイズの面で、細胞間に顕著なばらつきがみとめられることがある。これらの変化はしばしば壊死性破片のバックグラウンドを伴う。バックグラウンド物質中に微小石灰化がみとめられることがある。これらは、滑らかな境界と同心層とを有する稠密物質として現れることがあり、もしくは、異栄養性、無定形性の性質を示すことがある。乳管液中に発見されるマーカーによって、悪性細胞の同定または悪性指標の局面の同定を補助してもよく、または、このような細胞学的同定を確認してもよい。マーカーはまた、悪性度決定の一助としてもよく、または、詳細な診断もしくは/および治療の選択肢を示すうえで補助となりうる他の有用な情報の提供の一助としてもよい。
【0054】
乳管液分析に関係する他の細胞学的な基準およびプロセスは、Barretら, Acta Cytol 1976; 20:174−180;Goodsonら, 「乳房:良性疾患および悪性疾患の総合管理、乳頭の排出物および分泌物(Discharges and Secretions of the Nipple, THE BREAST: COMPREHENSIVE MANAGEMENT OF BENIGN AND MALIGNANT DISEASES)」, Second Edition, Vol. 1, Chapter 4, page 1;Kingら, Cytometry 1984; 5: 124−130;Kingら, A.J.C.P. 1975; 64: 739−748;Kingら, A.J.C.P. 1975; 64: 728−738;Kingら, 「異常乳腺上皮細胞の細胞病理学、癌の予防と検出、パートII、検出、第2巻、特定部位の癌検出(Cytopathology of Abnormal Mammary Duct Epithelium, Prevention and Detection of Cancer, PartII, Detection, vol 2 Cancer detection in specific sites)」, 1976;Kingら, J Natl Cancer Inst, 1983; 71: 1115−1121;Kjellgrenら, Acta Cytol 1964; 8: 216−217;Masoodら, The Breast Journal 1999; 5:1−2;Papanicolaouら, Cancer 1958; 377−409;Petrakisら, Cancer Epidemiology, Biomarkers and Prevention 1993; 2:3−10;Ringroseら, Acta Cytol 1966; 10:373−375;Sartoriusら, NCI 1977; 59:1073−1080;Sauterら, British J. Cancer 1997; 76(4):494−501;Wrenschら, Amer J. Epid. 1992; 135: 130−141に記載されている。
【0055】
上述の細胞学的な分析および評価に加えて、例えばタンパク質マーカー、核酸マーカー、粒子、複合体、または、細胞内もしくは細胞表面上にあるまたは細胞によって分泌される生化学マーカーもしくは分子マーカーなど他のマーカーについて、または、新形成の証拠を提供する任意のマーカーについて、乳管上皮細胞を分析してもよい。乳管液を回収した後、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、核酸、ポリヌクレオチド、mRNA、小さい有機分子、脂質、脂肪、糖タンパク質、糖ペプチド、炭水化物、オリゴ糖、染色体異常、マーカー分子を有する細胞全体、粒子、分泌された分子、細胞内分子、および、複数の分子の複合体を含むマーカーの存在を決定するために、乳管液試料を調べてもよい。
【0056】
例示的なマーカーは、Masood S. 「進行乳癌の再発の予測。従来および現代の病理学的マーカーおよび分子マーカー(Prediction of recurrence for advanced breast cancer. Traditional and contemporary pathologic and molecular markers)」 Surgical Oncology Clinics of North America. 4(4):601−32,1995;Lopez−Guerreroら (1999) J Hematother 8(1):53−61;MarjumdarおよびDiamandis (1999) Br J Cancer 79(9−10): 1594−602;Balleineら (1999) Br J Cancer 79 (9−10): 1564−71;Houstonら (1999) Br J Cancer 79(7−8):1220−6;Nikolic−Vukosavljevicら (1998) Tumori 84(6):691−4;Maguireら (1998) Int J Biol Markers 13(3):139−44;Steamsら (1998) Breast Cancer Res Treat 52(1−3):239−59;Eiriksdottirら (1998) Eur J Cancer 34(13):2076−81;ならびに、米国特許第5,169,774号に記載されている。既知の乳癌マーカーの多くは、容易に入手可能な乳癌に関する医学書に記載されている。さらに、例えば、Fabianら 1993 J. Cellular Biochemistry 17G:153−16およびFabianら 1994 Breast Cancer Res Treat 30(3):263−74のように、免疫組織化学法と細針吸引生検の画像分析による異数性検査とによりエストロゲン受容体(ER)、上皮増殖因子受容体(EGFR)、p53変異体、HER−2 neuに注目するなど、同じ試料において複数のマーカーを同定および分析してもよい。これらの文献に記載の方法は、乳管液の内容物、特に乳頭吸引および/または乳管洗浄技術によって回収された乳管上皮細胞の分析に類似の方法で実施することができる。
【0057】
また、Markら (1999) Cancer Genet Cytogenet 108:26−31;LundlinおよびMertens (1998) Breast Cancer Res Treat 51:1−15;Newsham (1998) Am J Pathol 153:5−9;Larsonら (1998) Am J Pathol 152:1591−8;Adelaideら (1998) Genes Chromosomes Cancer 22:186−99;Fejzoら (1998) Gene Chromosome Cancer 22:105−113;Dietrichら (1998) Hum Pathol 12: 1379−82;Cavalliら (1997) Hereditas 126:261−8;Adeyinkaら (1997) Cancer Genet Cytogenet 97:119−21;AfifyおよびMark (1997) Cancer Genet Cytogenet 97:101−5;BrennerおよびAldaz (1997) Prog Clin Biol Res 396: 63−82;Markら (1997) Ann din Lab Sci 27:47−56;ならびに、Fabianら 1993 J. Cellular Biochemistry 17G:153−16に記載されているように、乳管上皮細胞における染色体異常も情報を提供しうるものであり、且つ癌または前癌を同定するマーカーとして機能しうるものである。
【0058】
Springer, G.F.ら, Daoら編, 「乳癌管理における腫瘍マーカーとその意味(Tumor Markers and Their Significance in the Management of Breast Cancer)」, pp.47−70, New York; A.R. Liss, 1986に記載されているように、他の乳癌マーカーも検出可能である。Porter−JordanおよびLippman, 「乳癌の生物学的マーカーの概要(Overview of the biological markers of breast cancer)」, Hematology/Oncology Clinics of North America vol. 8 (1):73−100, 1994に記載のマーカーも含めた本明細書に記載のいくつかのマーカー、ならびに/または、本明細書で引用した乳癌および乳房前癌のマーカーに関する文献または書籍に加えて、例示的な癌マーカーを以下に示す。これらのマーカーおよび他のマーカーを使用して、乳管内容物(液体および細胞を含む)の分析も含め乳管の状態の分析を行ってもよい。抗体またはその他の結合相手、標識、染色、パターン分析(細胞および細胞構成成分に関する分析)、および、一般的にその他任意の化学的または視覚的同定技術を含め、マーカーを同定するための標準的なアッセイ手順を使用することができる。
【0059】
乳癌研究を行っている研究者らによって現在研究されている例示的なマーカーとしては、例えば、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異抗原(PSA)、Erb B2抗原、肉眼嚢胞病液体タンパク質−15(gross cystic disease fluid protein;GCDFP−15)、および乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)が含まれる。CEAに関する参考文献としては、Imayamaら, Cancer 1996, 78(6): 1229−34;Inajiら, Cancer 1987,60(12):3008−13;Mori, Int Conger Seer 1989, 807:211−8;Inajiら, An To Kagaku Ryoho 1991,18(2):313−7;Yayoiら, Gan To Kagaku Ryoho 1994,21 Suppl 2:133−9;Moriら, Jpn J Clin Oncol 1989,19(4):373−9;Foretovaら, Proc Annu Meet Am Soc clin Oncol 1995,14:A101;ならびに、Nishiguchi,ら Rinsho Byori 1992,40(1):67−72がある。PSAに関する参考文献としては、ForetovaおよびGarber, Lancet 1996,347(9015):1631;Sauterら, Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention. 5(12):967−70,1996;SauterおよびDaly (1996) Proc Annu Meet Am Assoc Cancer Res 37:A1458;ならびに、ForetovaおよびGarber (1996) Proc Annu Meet Am Assoc Cancer Res 37:A1446がある。Erb B2に関する参考文献としては、Motomura (1995) Breast Cancer Res and Treat 33:89−92;および、Inajiら (1993) Tumour Biol 14: 271−8がある。GCDFP−15に関する参考文献としては、Petrakisら (1994) Proc Annu Meet Am Assoc Cancer Res 35:A1698がある。LDHに関する参考文献としては、Mannelloら (1995) Cancer 76:152−4;および、Kawamoto (1994) Cancer 73:1836−41がある。
【0060】
一般的に、マーカーは例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、核酸、ポリヌクレオチド、mRNA、小さい有機分子、脂質、脂肪、糖タンパク質、糖ペプチド、炭水化物、オリゴ糖、染色体異常、マーカー分子を有する細胞全体、粒子、分泌された分子、細胞内分子、および、複数の分子の複合体であってもよい。これらのマーカーは、マーカーからRNA、DNA、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドを検出することによって検出してもよい。マーカーはまた、以上と同時にまたは選択的に、酵素、受容体、タンパク質因子、または1つ以上の分子の複合体であってもよい。
【0061】
異なるカテゴリーのマーカーは、カテゴリーに応じて、且つ、おそらくは細胞内のマーカーの位置にも応じて(例えば、細胞表面タンパク質は細胞質タンパク質または各タンパク質とは異なる方法で検出される)、異なる方法で試験される。典型的には、結合、着色、沈殿、アフィニティカラム選別、インサイチュー結合、液相結合核酸プローブ標識、タンパク質プローブ標識、ポリペプチドプローブ標識、ペプチドプローブ標識、および/または、これらの処理の組合せもしくは変法のうち1つ以上を含むアッセイ法を使用することができる。このようなアッセイ法を一般的に実施するための標準的な手順(例えば、ELISA、RNAまたはDNAプローブハイブリダイゼーション、およびその他の結合アッセイ法または検出アッセイ法)はSambrookら,「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」第2版、(Cold Spring Harbor Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー, 1989)に記載されている。
【0062】
一般的に、マーカーは次のように非排他的に分類され、且つ、しばしば重複するカテゴリーに分類される:1.タンパク質の発現または過剰発現を利用して検出されるまたは検出可能なマーカー(検出は例えば免疫組織化学的方法またはインサイチューハイブリダイゼーションによって行われてもよい);2.mRNAの発現または過剰発現を利用して検出されるまたは検出可能なマーカー(検出は例えば差分表示技術によって行われてもよい);3.翻訳後のタンパク質の変化を利用して検出されるまたは検出可能なマーカーであって、タンパク質の変化としては例えば例えばタンパク質のリン酸化、ユビキチン化、ファルネシル化、メチル化、または検出可能なその他のタンパク質修飾があり、このようなマーカーとしては例えば翻訳後修飾に特異的な抗体がある;4.マーカーはまた、例えば遺伝子のメチル化など遺伝子の変化に基づいて検出されてもよく、このようなメチル化としては例えばWidschwendterら, J Natl Cancer Inst. 2000 92(10):826−32に記載されているレチノイン酸受容体β−2遺伝子(RARβ−2)のメチル化がある。
【0063】
本明細書中で引用した発表物および特許出願はすべて、個々の刊行物または特許出願が参照として組み入れられるものとして明確に且つ個々に示されたが如く、参照として本明細書に完全に組み入れられる。上記の本発明は、理解を明確にする目的で例証および例示によってある程度詳細に説明されたものであるが、当業者には、添付の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく本発明に特定の変更および改変を行いうることが、本発明の開示に照らして容易に理解されるものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく乳管アクセス用のツールを示した図である。
【図2】本発明に基づくチャートを示した図である。
Claims (25)
- ヒト乳管から回収された上皮細胞を細胞学的に評価する方法であって、
乳管洗浄によって回収された、患者の乳房の乳管に由来する乳管上皮細胞を含む乳管液試料を提供する段階;
細胞の群化、細胞の形状、細胞のサイズ、核のサイズ、核の形状、核小体の有無、核−細胞質比、細胞質中の液胞、細胞質の形状、細胞質の境界、核大小不同(anisonucleosis)の有無、有糸分裂像の有無、核膜の質、壊死性破片の存在、クロマチン分布、クロマチンの粗さ、および微小石灰化の有無からなる群より選択される1つ以上の観察指標について該試料中の該乳管上皮細胞を評価する段階;ならびに、
観察された該指標に基づいて該試料を正常、異型性、または悪性に分類する段階
を含む方法。 - 細胞凝集性(cohesiveness)の喪失、上皮細胞の疎な集団(cluster)、細胞の増大、核の増大、核−細胞質比の上昇、一部の細胞における細胞質の増加、不規則な核膜、クロマチン凝集、過染色性(hyperchromatic)クロマチン、クロマチンの不均一な散乱、核小体の増大、複数の核小体、試料中の細胞間における細胞サイズおよび核サイズの顕著なばらつき、壊死性破片、ならびに、滑らかな境界と同心層とを有する稠密物質または異栄養性および無定形性の稠密物質としてバックグラウンド物質中に現れる微小石灰化からなる群より選択される識別特徴のうち少なくともいくつかによって試料が特徴付けられる場合に、該試料が悪性として分類される、請求項1に記載の方法。
- 乳管上皮細胞の増大、乳管上皮細胞における著明な核の増加、正常乳管上皮細胞と比較してばらつきのある乳管上皮細胞のサイズおよび形状、一部の細胞における豊富な細胞質、一部の細胞における核−細胞質比の低下、粗いクロマチン、クロマチン分布の軽度の異常、正常細胞より大きい核小体、複数の核小体、より顕著な核小体、重なって見える核の群、ならびに、有糸分裂像からなる群より選択される識別特徴のうち少なくともいくつかによって試料が特徴付けられる場合に、著明な変化を伴う異型性として該試料が分類される、請求項1に記載の方法。
- 単一の乳管細胞、凝集性の多層細胞、細胞の複合群、単層細胞、正常細胞と比較して増加している細胞層の数、細胞の重なりの増加、細胞の核密集、細胞のわずかな増大、直径約12〜約16 μmの範囲での核サイズの軽度な増大、一部の細胞における軽度の核大小不同、ならびに、核小体の存在からなる群より選択される識別特徴のうち少なくともいくつかによって試料が特徴付けられる場合に、軽度の変化を伴う異型性として該試料が分類される、請求項1に記載の方法。
- 単一の細胞、単層シート、通常は厚さが1層または2層の細胞層である密着した細胞集団、直径が約8〜約12 μmである小さい核、集団内の細胞の配向に応じた高い核−細胞質比、単一細胞において細胞質が柱状形であること、単一細胞において細胞質の中に目立たない小さい液胞があること、単一細胞において細胞質の境界が目立たないこと、サイズが均一であり且つ形状が規則的な円形から楕円形である乳管上皮細胞の凝集性の群、均一且つ小さな細胞の単層シート、ならびに、小さく目立たない核小体を有する細胞の単層シートからなる群より選択される識別特徴のうち少なくともいくつかによって試料が特徴付けられる場合に、該試料が正常として分類される、請求項1に記載の方法。
- 試料中の細胞が10個未満であることによって該試料が特徴付けられる場合に、診断に不十分な細胞(insufficient cells to make a diagnosis;ICMD)として該試料が分類される、請求項1に記載の方法。
- 乳管アクセスツールを乳管内に設置し、該ツールを通じて乳管内に液体を注入し、且つ、乳管液と混合された該注入液の一部を該アクセスした乳管から該ツールを通じて回収することによって乳管液が回収される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
- 乳房の複数の乳管について方法が繰り返される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
- 乳管液試料を提供する段階が、乳房から試料を取得する段階を含む、請求項1に記載の方法。
- 乳管液試料を提供する段階が、以前に取得された試料を受け取る段階を含む、請求項1に記載の方法。
- 単一の乳管に対する全洗浄手順において注入される液体が約2 ml〜約100 mlである、請求項1に記載の方法。
- 回収される液体試料が、細胞材料と混合された洗浄液約2 ml〜約30 mlである、請求項1に記載の方法。
- 回収される細胞が、約500個を超える細胞を含む、請求項1に記載の方法。
- 回収される細胞が、単一の乳管に由来する約500個〜約40,000個の細胞を含む、請求項1に記載の方法。
- 回収される細胞が、10個以上の乳管上皮細胞を含む細胞の集団を1つ以上含む、請求項1に記載の方法。
- タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、核酸、ポリヌクレオチド、mRNA、小さい有機分子、脂質、脂肪、糖タンパク質、グリコペプチド、炭水化物、オリゴ糖、染色体異常、マーカー分子を有する細胞全体、粒子、分泌された分子、細胞内分子、および、複数の分子の複合体からなる群より選択されるマーカーの存在を決定するために乳管液試料を調べる段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
- ヒト乳管から回収された上皮細胞を細胞学的に評価するためのシステムであって、
乳管にアクセスし、且つ乳管内にある間にヒト乳房から乳管液を回収するためのツールまたは装置;
細胞の群化、細胞の形状、細胞のサイズ、核のサイズ、核の形状、核小体の有無、核−細胞質比、細胞質中の液胞、細胞質の形状、細胞質の境界、核大小不同の有無、有糸分裂像の有無、核膜の質、壊死性破片の存在、クロマチン分布、クロマチンの粗さ、および微小石灰化の有無からなる群より選択される1つ以上の観察指標について該試料中の乳管上皮細胞を評価するためのチャートまたは文書による指針;ならびに、
観察された該指標に基づいて該試料を正常、異型性、または悪性に分類するためのアルゴリズム
を含むシステム。 - 乳管にアクセスするためのツールまたは装置が、乳管へのアクセスと液体および細胞の回収とを行うツール、ならびに、プローブ、麻酔を施すためのツール、アクセスされた乳管もしくは液体を出している乳管をマーキングするためのマーキングツール、または、回収された液体および細胞を回収するための回収用レセプタクルのうち1つ以上を含む、請求項17に記載のシステム。
- 細胞凝集性の喪失、上皮細胞の疎な集団、細胞の増大、核の増大、核−細胞質比の上昇、一部の細胞における細胞質の増加、不規則な核膜、クロマチン凝集、過染色性クロマチン、クロマチンの不均一な散乱、核小体の増大、複数の核小体、試料中の細胞間における細胞サイズおよび核サイズの顕著なばらつき、壊死性破片、ならびに、滑らかな境界と同心層とを有する稠密物質または異栄養性および無定形性の稠密物質としてバックグラウンド物質中に現れる微小石灰化からなる群より選択される識別特徴のうち少なくともいくつかによって試料が特徴付けられる場合に、アルゴリズムが該試料を悪性として分類する、請求項17に記載のシステム。
- 乳管上皮細胞の増大、乳管上皮細胞における著明な核の増加、正常乳管上皮細胞と比較してばらつきのある乳管上皮細胞のサイズおよび形状、一部の細胞における豊富な細胞質、一部の細胞における核−細胞質比の低下、粗いクロマチン、クロマチン分布の軽度の異常、正常細胞より大きい核小体、複数の核小体、より顕著な核小体、重なって見える核の群、ならびに、有糸分裂像からなる群より選択される識別特徴のうち少なくともいくつかによって試料が特徴付けられる場合に、著明な変化を伴う異型性としてアルゴリズムが該試料を分類する、請求項17に記載のシステム。
- 単一の乳管細胞、凝集性の多層細胞、細胞の複合群、単層細胞、正常細胞と比較して増加している細胞層の数、細胞の重なりの増加、細胞の核密集、細胞のわずかな増大、直径約12〜約16 μmの範囲での核サイズの軽度な増大、一部の細胞における軽度の核大小不同、ならびに、核小体の存在からなる群より選択される識別特徴のうち少なくともいくつかによって試料が特徴付けられる場合に、軽度の変化を伴う異型性としてアルゴリズムが該試料を分類する、請求項17に記載のシステム。
- 単一の細胞、単層シート、通常は厚さが1層または2層の細胞層である密着した細胞集団、直径が約8〜約12 μmである小さい核、集団内の細胞の配向に応じた高い核−細胞質比、単一細胞において細胞質が柱状形であること、単一細胞において細胞質の中に目立たない小さい液胞があること、単一細胞において細胞質の境界が目立たないこと、サイズが均一であり且つ形状が規則的な円形から楕円形である乳管上皮細胞の凝集性の群、均一且つ小さな細胞の単層シート、ならびに、小さく目立たない核小体を有する細胞の単層シートからなる群より選択される識別特徴のうち少なくともいくつかによって試料が特徴付けられる場合に、アルゴリズムが該試料を正常として分類する、請求項17に記載のシステム。
- 試料に含まれる上皮細胞が10個未満である場合に、診断に不十分な細胞(insufficient cells to make a diagnosis;ICMD)としてアルゴリズムが該試料を分類する、請求項17に記載のシステム。
- ヒト乳管から回収された上皮細胞を細胞学的に評価する方法であって、
患者の乳房の乳管に由来する乳管上皮細胞を少なくとも500個含む乳管液試料を提供する段階;
細胞の群化、細胞の形状、細胞のサイズ、核のサイズ、核の形状、核小体の有無、核−細胞質比、細胞質中の液胞、細胞質の形状、細胞質の境界、核大小不同の有無、有糸分裂像の有無、核膜の質、壊死性破片の存在、クロマチン分布、クロマチンの粗さ、および微小石灰化の有無からなる群より選択される1つ以上の観察指標について該試料中の該乳管上皮細胞を評価する段階;ならびに、
観察された該指標に基づいて該試料を正常、異型性、または悪性に分類する段階
を含む方法。 - ヒト乳管から回収された上皮細胞を細胞学的に評価する方法であって、
患者の乳房の乳管に由来する乳管上皮細胞の少なくとも100個と、該乳管に由来する細胞を少なくとも10個含む細胞凝集塊の少なくとも1つとを含む乳管液試料を提供する段階;
細胞の群化、細胞の形状、細胞のサイズ、核のサイズ、核の形状、核小体の有無、核−細胞質比、細胞質中の液胞、細胞質の形状、細胞質の境界、核大小不同の有無、有糸分裂像の有無、核膜の質、壊死性破片の存在、クロマチン分布、クロマチンの粗さ、および微小石灰化の有無からなる群より選択される1つ以上の観察指標について該試料中の該乳管上皮細胞を評価する段階;ならびに、
観察された該指標に基づいて該試料を正常、異型性、または悪性に分類する段階
を含む方法。
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