JP2004504365A - 核酸ベース(nab)ライブラリーの合成および抗ウイルス評価 - Google Patents
核酸ベース(nab)ライブラリーの合成および抗ウイルス評価 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004504365A JP2004504365A JP2002513928A JP2002513928A JP2004504365A JP 2004504365 A JP2004504365 A JP 2004504365A JP 2002513928 A JP2002513928 A JP 2002513928A JP 2002513928 A JP2002513928 A JP 2002513928A JP 2004504365 A JP2004504365 A JP 2004504365A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- optionally substituted
- compound
- library
- group
- alkyl
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
- 0 BC(C1*)OC(CC)C1OP(*)=* Chemical compound BC(C1*)OC(CC)C1OP(*)=* 0.000 description 3
Images
Landscapes
- Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
- Saccharide Compounds (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Abstract
本発明は、核酸間、およびタンパク質間に存在する相互作用、ならびにタンパク質と核酸との間に存在する相互作用のレパートリーを模倣する低分子ライブラリーを生成するための組成物および方法を提供する。ヌクレオシドアナログの設計ライブラリーは、競合的および非競合的ウイルス複製阻害剤として使用するためのものであるか、あるいは抗ウイルス薬剤発見における阻害剤のプロドラッグとして作用する。ファルマコアベースの化学的多様性の供給源としてのヌクレオシドアナログのコンビナトリアル合成を実施するために、容易なパラレル液相化学が開発された。
Description
【0001】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、種々の多様性属性を有する、集約的な核酸ベース(NABTM)ライブラリーの設計および合成に関する。より具体的には、これらのライブラリーは、それらの抗ウイルス活性について、および抗ウイルス的介入のための新規分子標的を迅速に同定するために、有用である。
【0002】
(2.背景)
安全かつ効果的な抗ウイルス薬の発見は、細菌因子および寄生生物因子に比較して、手ごわい挑戦を呈する1。実際に、ウイルス代謝プロセスは、宿主細胞プロセスに非常に類似するので、抗ウイルス介入に特異的に供され得るウイルス特異的分子標的は、ごく少数しか同定されていない。にもかかわらず、以下の3つのウイルスコード酵素が、ほとんどの「小分子型」抗ウイルス薬の標的であった:ポリメラーゼ、プロテアーゼ、および最近では、ノイラミニダーゼ。しかし、抗ウイルス薬に対する耐性が迅速に出現することが、主要な問題であり、そしてしばしば、苦肉の策として、扱いにくい「カクテル療法」を使用する必要がある。明らかに、種々の構造および固有の作用機構を有する抗ウイルス薬に対する臨床的必要性は、十分に満たされていない2。
【0003】
従来、抗ウイルス薬は、機構および構造の両方に基づく薬物設計アプローチを用いて設計されてきた。コンビナトリアル方法論は、強力な現代の薬物発見ツールとして出現し3、これは、以下の2つの工程からなる:(a)生物学的方法を用いて、分子標的を選択および検証する工程、および(b)構造および機構によって導かれる薬物設計アプローチを用いる工程であって、ここで、化合物のライブラリーを合成し、そしてこのライブラリーを、標的の生合成、構造および/または機能を妨害する能力について評価する、工程。標的の構造および/または機能が十分に利用可能でない場合、「治療標的検証のための多様性指向型有機合成(diversity oriented organic synthesis for therapeutic target validation)」4または「コンビナトリアル標的誘導型リガンド構築(combinatorial target−guided ligand assembly)」のようなコンビナトリアル方法が、使用されている5。
【0004】
ウイルス複製および関連タンパク質の分子生物学および生化学の理解が増加し、強力かつ特異的な抗ウイルス薬の開発が促進されてきた。過去20年間で、多くのヌクレオシドアナログが、効果的かつ特異的な抗ウイルス活性を有することが見出され、このクラスの多くの化合物が、ウイルス疾患の処置のために多くの臨床的成功および商業的成功を収めてきた。ヌクレオシドアナログの抗ウイルス薬作用のための主な機構は、ウイルス関連酵素の鎖終結因子または競合的インヒビター、あるいはその両方として作用することによるものであり;最近では、代替的なストラテジーは、それ自体がアロステリック部位で非競合的インヒビターとして作用する薬剤を開発している。
【0005】
抗ウイルス薬発見に適切であると思われるアプローチは、特定の分子標的に関係なく生物学的経路を調節するための構造的に多様な化合物の使用である。これは、標的の同時機能的検証、および標的の機能を調節するリード構造の発見を可能にする。本明細書において、本発明者らは、抗ウイルス薬発見についてのこの概念の適用を記載する。
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、核酸間およびタンパク質間に存在する相互作用のレパートリーを模倣する小分子ライブラリー、ならびにタンパク質と核酸との間に存在する相互作用のレパートリーを模倣する小分子ライブラリーを生成するための、組成物および方法を提供する。実際に、多くのタンパク質は、タンパク質のα−ヘリックスおよびβ−シートのトポロジーによって規定される、ヌクレオチド結合ドメインを含む。より詳細には、核酸ベース(NABTM)骨格を記載し、そこに、このような多様性属性が、タンパク質−タンパク質およびタンパク質−核酸の相互作用表面における「ホットスポット」を潜在的に標的化するように操作される。本発明の実施形態の実施例として、本明細書において、本発明者らは、細胞ベースのアッセイを使用する、単純ヘルペスウイルス(HSV−1)に対するNABT Mライブラリーの合成および抗ウイルス評価を報告する。
【0007】
本発明は、ヌクレオシドアナログのライブラリーを構築することによる、抗感染性因子治療における薬物発見を提供し、このライブラリーにおいて、種々の機能的エレメントおよび構造的エレメントが、適切なリンカーを介して核酸ベース(NABTM)骨格に連結されている。このファルマコアベース(pharmacore−based)の化学クラスは、競合的または非競合的ウイルス複製インヒビターとして作用するか、またはインヒビターのプロドラッグとして作用することが意図される。
【0008】
この系の利点は、多数ある。例えば、NABTM骨格に基づいて構築されたライブラリーに関連する、多くの新規の多様性の特徴が存在する:(a)この骨格は、水素結合性、疎水性、電荷移動性、静電性およびこのような他の非共有結合性の相互作用の可変性の空間的提示を作製するために使用され得る;(b)この骨格は、立体配置的に強固であり得るかまたは柔軟性であり得、個々の骨格を共に連結することによって、ライブラリーのメンバーに多様な分子トポロジーを作製し得る;実際、サークル、シュードノット(pseudoknot)、バルジ(bulge)およびステムループのような形状規定モチーフをライブラリーに組み込んで、レセプター上の「ホットスポット」を標的化し得る;(c)合成的観点から、このNABTMライブラリーは、核酸分野で十分に確立されている固相法または液相法を使用して構築され得る。
【0009】
このような相互作用の精巧な特異性は、リガンドおよびレセプターの局所的および全体的なコンフォメーション、ならびにその結合相互作用を容易にする水素結合性、疎水性、イオン性およびファンデルワールス性の相互作用のネットワークにより規定される、トポロジー関連分子認識に帰する6。
【0010】
化合物ライブラリーを生成するための適切な化合物の例を開示する。例えば、化合物ライブラリーは、下記式IまたはI’:
【0011】
【化7】
の2以上の化合物、およびその薬学的に受容可能な塩を含み、ここで、
L1およびL2は、独立して、Oもしくは連結基(例えば、アミド、エステル、ジエステル等のような)、または鎖メンバーまたはその鎖に対するペンダントのような基を有し、かつO、S、Se、NR1NR2、CR1CR2、OR、SRおよびSeRからなる群より選択される1以上の置換基で必要に応じて置換され得る、必要に応じて置換されたアルキレン(例えば、C1〜20アルキレン)、必要に応じて置換されたアルケニレン(例えば、C2〜20アルケニレン)またはアルキニレン(例えば、C2〜20アルキニレン)、あるいは酵素的に反応性の部分であり;
Qは、炭素、またはO、SもしくはNのようなヘテロ原子であり、
R1、R2、R3は、各々独立して、水素または水酸基、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または必要に応じて置換されたヘテロ芳香族基もしくはヘテロ脂環式基(これは、好ましくは、1〜3個の縮合されていない環もしくは縮合環を有し、かつ1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する)であり;
Bは、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン、必要に応じて置換されたシトシンまたは必要に応じて置換されたグアニン(好ましくは、その必要に応じた置換基は、アルキル、炭素環式アリール、またはヘテロ芳香族基もしくはヘテロ脂環式基(これは、好ましくは1〜3個の縮合されていない環もしくは縮合環を有し、かつ1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する)、あるいはその糖環に共有結合された複素環式構造である)であり;
n=1〜5である。
【0012】
別の好ましい実施形態では、この化合物ライブラリーは、下記式IIまたはII’:
【0013】
【化8】
の2以上の化合物、および薬学的に受容可能な塩から構成され、ここで、
XおよびYは、各々独立して、O、S、Se、NR1NR2、CR1CR2、OR、SRおよびSeRからなる群より選択されるか、あるいはXおよびYの一方または両方が、酵素的に反応性の部分であり;
Rは、水素、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または必要に応じて置換されたヘテロ芳香族基もしくはヘテロ脂環式基(これは、好ましくは、1〜3個の縮合されていない環もしくは縮合環を有し、かつ1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する)であり;
R1、R2、R3は、各々独立して、Rによって定義される基から選択され;
Bは、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン、必要に応じて置換されたシトシンまたは必要に応じて置換されたグアニン(好ましくは、その必要に応じた置換基は、アルキル、炭素環式アリール、またはヘテロ芳香族基もしくはヘテロ脂環式基(これは、好ましくは1〜3個の縮合されていない環もしくは縮合環を有し、かつ1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する)、あるいはその糖環に共有結合された複素環式構造である)である。
【0014】
別の好ましい実施形態では、化合物ライブラリーを構成する化合物の少なくとも1つが、C−2’エンド配座の少なくとも1つのフラノース環を有するか、またはC−3’エンド配座の少なくとも1つのフラノース環を有する。
【0015】
別の好ましい実施形態では、化合物ライブラリーを構成する化合物の少なくとも1つが、C−2’エンド配座の少なくとも1つのフラノース環、およびC−3’エンド配座の少なくとも1つのフラノース環を有する。
【0016】
別の好ましい実施形態では、化合物ライブラリーは、少なくとも約1〜50個のヌクレオシド残基、より好ましくは少なくとも約1〜10個のヌクレオシド残基、最も好ましくは少なくとも約1〜5個のヌクレオシド残基を有する化合物から構成される。
【0017】
他の好ましい実施形態では、化合物ライブラリーは、少なくとも約4個のヌクレオシド残基、または少なくとも約3個のヌクレオシド残基、または少なくとも約2個のヌクレオシド残基、または少なくとも約1個のヌクレオシド残基を有する化合物から構成される。
【0018】
別の好ましい実施形態では、化合物ライブラリーの少なくとも1つ、およびその薬学的に受容可能な塩は、下記式IIIまたはIII’:
【0019】
【化9】
から構成され、ここで、
XおよびYは、各々独立して、O、S、Se、NR1NR2、CR1CR2、OR、SRおよびSeRからなる群より選択されるか、あるいはXおよびYの一方または両方が、酵素的に反応性の部分であり;
Rは、水素、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または必要に応じて置換されたヘテロ芳香族基もしくはヘテロ脂環式基(これは、好ましくは、1〜3個の縮合されていない環もしくは縮合環を有し、かつ1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する)であり;
R1、R2、R3は、各々独立して、Rによって定義される基から選択され;
Bは、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン、必要に応じて置換されたシトシンまたは必要に応じて置換されたグアニン(好ましくは、その必要に応じた置換基は、アルキル、炭素環式アリール、またはヘテロ芳香族基もしくはヘテロ脂環式基(これは、好ましくは1〜3個の縮合されていない環もしくは縮合環を有し、かつ1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する)、あるいはその糖環に共有結合された複素環式構造である)である。
【0020】
好ましい一実施形態では、化合物ライブラリーは、開鎖形態の糖基を有する少なくとも1つの化合物から構成され、ここで、その化合物の鏡像異性体が富化された混合物が存在する。
【0021】
固相合成または液相合成を用いた化合物ライブラリーの構築方法が提供される。簡潔に述べると、攪拌が可能であり、かつ樹脂反応支持体物質を含有する反応容器に、1以上の試薬を添加する。上記試薬の反応中に上記反応容器を攪拌し、次に、上記反応容器を遠心分離して、そこから所望の反応物質を取り出す。ライブラリーはまた、自動液相合成を用いて構築され得る。
【0022】
好ましい一実施形態では、化合物ライブラリーは、核酸またはタンパク質に対する特異的な相互作用パートナーを同定するのに使用される。核酸は、例えば、RNAまたはDNAであり得る。タンパク質の例は、抗体、レセプターまたはリガンドである。
【0023】
ウイルスに感染した細胞または哺乳動物、例えば、ヘルペスウイルスに感染した細胞、サイトメガロウイルスに感染した細胞、または細菌に感染した細胞を処置するための組成物および方法が提供される。
【0024】
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、ウイルスキナーゼ、ウイルスポリメラーゼに特異的なインヒビターを同定するために、またはヘリカーゼ−プライマーゼ複合体とそれが結合するウイルス核酸との結合を崩壊させる特定の化合物を同定するために、有用である。これらの組成物は、真菌、ウイルスまたは細菌感染を患っているかまたはそれらに感受性の哺乳動物の処置において有用である。
【0025】
本発明に従うヒト疾患を引き起こす特に好ましいウイルス生物としては、ヘルペスウイルス、肝炎ウイルス、レトロウイルス、オルトミクソウイルス、パラミクソウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、パポバウイルス、および胃腸炎ウイルスが挙げられる(しかし、これらに限定されない)。
【0026】
重症のヒト疾患を引き起こす特に好ましい細菌は、グラム陽性生物:Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Enterococcus faecalis、E.faecium、Streptococcus pneumoniae、ならびにグラム陰性生物:Pseudomonas aeruginosa、Burkholdia cepacia、Xanthomonas maltophila、Escherichia coli、Enterobacter spp、Klebsiella pneumoniae、およびSalmonella sppである。
【0027】
本発明に従うヒト疾患を引き起こす特に好ましい原生動物生物としては、マラリア(例えば、Plasmodium falciparumおよびM.ovale)、トリパノソーマ症(睡眠病)(例えば、Trypanosoma cruizei)、リーシュマニア症(例えば、Leischmania donovani)、アメーバ症(例えば、Entamoeba histolytica)が挙げられる(しかし、これらに限定されない)。
【0028】
本発明に従うヒト疾患を引き起こす特に好ましい真菌としては、Candida ablicans、Histoplasma neoformans、Coccidioides immitis、およびPenicillium marneffeiが挙げられる(しかし、これらに限定されない)。
【0029】
処置方法は、感染疾患に感受性であるかまたは感染性疾患に罹患している哺乳動物に、治療有効量の化合物を投与する工程を包含する。化合物は、単独で投与され得るか、または薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて投与され得る。
【0030】
感染疾患を引き起こす因子(例えば、ウイルス(例えば、ヘルペスウイルスまたはサイトメガロウイルス)、細菌、真菌など)に感受性であるかまたはそれらに罹患している細胞あるいは哺乳動物を処置するために使用される組成物を構成する、好ましい化合物、およびその薬学的に受容可能な塩は、好ましくは、下記式IまたはI’:
【0031】
【化10】
であり、ここで、
L1およびL2は、独立して、Oもしくは連結基(例えば、アミド、エステル、ジエステル等のような)、または鎖メンバーまたはその鎖に対するペンダントのような基を有し、かつO、S、Se、NR1NR2、CR1CR2、OR、SRおよびSeRからなる群より選択される1以上の置換基で必要に応じて置換され得る、必要に応じて置換されたアルキレン(例えば、C1〜20アルキレン)、必要に応じて置換されたアルケニレン(例えば、C2〜20アルケニレン)またはアルキニレン(例えば、C2〜20アルキニレン)、あるいは酵素的に反応性の部分であり;
Qは、炭素、またはO、SもしくはNのようなヘテロ原子であり、
R1、R2、R3は、各々独立して、水素または水酸基、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または必要に応じて置換されたヘテロ芳香族基もしくはヘテロ脂環式基(これは、好ましくは、1〜3個の縮合されていない環もしくは縮合環を有し、かつ1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する)であり;
Bは、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン、必要に応じて置換されたシトシンまたは必要に応じて置換されたグアニン(好ましくは、その必要に応じた置換基は、アルキル、炭素環式アリール、またはヘテロ芳香族基もしくはヘテロ脂環式基(これは、好ましくは1〜3個の縮合されていない環もしくは縮合環を有し、かつ1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する)、あるいはその糖環に共有結合された複素環式構造である)であり; n=1〜5である。
【0032】
この化合物は、好ましくは、糖基から構成され、ここで、この糖基は、開鎖形態であり、そしてその化合物の鏡像異性体が富化された混合物が存在する。
【0033】
他の好ましい化合物としては、下記式IIまたはII’:
【0034】
【化11】
の化合物、およびその薬学的に受容可能な塩が挙げられ、ここで、
XおよびYは、各々独立して、O、S、Se、NR1NR2、CR1CR2、OR、SRおよびSeRからなる群より選択されるか、あるいはXおよびYの一方または両方が、酵素的に反応性の部分であり;
Rは、水素、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または必要に応じて置換されたヘテロ芳香族基もしくはヘテロ脂環式基(これは、好ましくは、1〜3個の縮合されていない環もしくは縮合環を有し、かつ1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する)であり;
R1、R2、R3は、各々独立して、Rによって定義される基から選択され;
Bは、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン、必要に応じて置換されたシトシンまたは必要に応じて置換されたグアニン(好ましくは、その必要に応じた置換基は、アルキル、炭素環式アリール、またはヘテロ芳香族基もしくはヘテロ脂環式基(これは、好ましくは1〜3個の縮合されていない環もしくは縮合環を有し、かつ1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する)、あるいはその糖環に共有結合された複素環式構造である)である。
【0035】
他の好ましい化合物としてはまた、下記式IIIまたはIII’:
【0036】
【化12】
の化合物、およびその薬学的に受容可能な塩が挙げられ、ここで、
XおよびYは、各々独立して、O、S、Se、NR1NR2、CR1CR2、OR、SRおよびSeRからなる群より選択されるか、あるいはXおよびYの一方または両方が、酵素的に反応性の部分であり;
Rは、水素、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または好ましくは1〜3個の縮合していない環もしくは縮合環、および1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する必要に応じて置換されたヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基であり、
R1、R2、R3は、Rで定義される基からそれぞれ独立して選択され、
Bは、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン、必要に応じて置換されたシトシン、または必要に応じて置換されたグアニンであり、ここで好ましくは、必要に応じた置換基は、アルキル、炭素環式アリール、または好ましくは1〜3個の縮合していない環もしくは縮合環、および1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有するヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基であるか、または糖環に共有結合する複素環構造である)、
を有する化合物、およびそれらの薬学的に受容可能な塩も挙げられる。
【0037】
本発明の方法は、好ましくは、感染性作用物質により引き起こされる疾患に対する治療または予防のために、特に被験体の組織または器官に生じ得る場合の感染の治療のために使用される。本発明の方法はまた、ウイルス血症または敗血症のような全身状態を治療するのに使用してもよい。本発明の方法はまた、好ましくは、ウイルス感染または細菌感染に関連した疾患および障害、ならびに感染性作用物質により引き起こされる任意の他の障害の治療のために使用される。本発明の方法はまた、好ましくは、感染症を引き起こす作用物質の生活環または生物学的経路を妨害する分子を同定するために使用される。
【0038】
本発明の他の局面を以下に開示する。
【0039】
(発明の詳細な説明)
本発明は、重要な多様性属性を有するライブラリーを提供する。このライブラリーは、図1に示すようなバックボーン、糖、および核酸塩基に改変を保有するジヌクレオチド、トリヌクレオチドおよびテトラヌクレオチドから構成される。
【0040】
本発明における多様性に寄与する重要な要素としては、例えば細胞ベースのアッセイで使用する場合に望ましい代謝安定性を化合物に提供するホスホロチオエートおよびホスホロアミデート(前者はまた、静電相互作用に潜在的に関与することができ、一方後者は、標的レセプターとの疎水性相互作用および水素結合性相互作用を容易にすることができる)のような、バックボーン改変;デオキシリボフラノシド環の2’−水素に代わっての2’−OMe基(2’−エンドから3’−エンドへとフラノース環パッカーを変換して、それにより個々のライブラリー成員の配座全体に影響を及ぼす「配座スイッチ」として作用する2’−置換基)での置換のような、優勢フラノース改変;例えば親複素環部分の置き換え、ならびに複素環上の置換の両方を包含してライブラリー成員にさらなる疎水性を提供し得る、核酸塩基改変;例えば3’から5’への種々の部分間の連結が挙げられるが、これらに限定されない。このようにして、多様性属性のレパートリーを、約400〜約1200の範囲の分子量範囲を有する代表的NAB(商標)ライブラリーに捕らえることができる。
【0041】
NAB(商標)骨格を中心に構築されたライブラリーと関連した多くの新規多様性の特徴が存在する:(a)その骨格を使用して、水素結合性相互作用、疎水性相互作用、電荷移動性相互作用、静電性相互作用、および他のこのような非共有結合性相互作用の多様な空間的提示を創出することができる;(b)その骨格は、配座的に硬質または柔軟であり、個々の骨格をともに連結させることで、多様な分子トポロジーからライブラリーの成員を作り上げることができ、実際に、サークル、シュードノット、バルジ、およびステムループのような形状を規定するモチーフを、レセプター上の「ホットスポット」を標的とするライブラリーに組込むことができる;(c)合成的視点から、核酸分野で十分に確立されている固相法または液相法を用いてNAB(商標)ライブラリーを構築することができる7。低分子型NAB(商標)ライブラリーの実例を図7に示す。それは多様性の複数要素を表している。
【0042】
本明細書中で使用する場合「ホットスポット」は、レセプター上の高親和性結合部位および低親和性結合部位を指す。
【0043】
本明細書で使用する場合、「シュードノット」は、分子の含入による形成される核酸ベースの骨格における三次元的空間配置を指し、ここで分子間の結合性相互作用を容易にする、水素結合性のネットワーク、疎水性のネットワーク、イオン性のネットワークおよびファンデルワールス相互作用のネットワークなどの分子相互作用が、「ノット状」構造を形成する骨格中のひねりを生じる。
【0044】
パラレルコンビナトリアル合成を実施するために開発された簡単かつ容易な液相化学についても記載しており、そこから3’−改変ヌクレオシドアナログ2を、高純度の個々の化合物として生成した。以下の実施例を参照されたい。
【0045】
本明細書で使用する場合、「ヌクレオシド」には、例えば、Kornberg and Baker,DNA Replication,第2版(Freeman,San Francisco,1992)に記載されるような、2’−デオキシおよび2’−ヒドロキシル型を含む、天然のヌクレオシドが包含される。核酸化学に関する優れた専門書に関しては、Sanger,W.、Principles of Nucleic Acids Structure.、Springer−Verlag:New York,1984を参照されたい。
【0046】
ヌクレオシドに関する「アナログ」には、例えばScheit,Nucleotide Analogs,John Wiley,New York,1980;Freier & Altmann,Nucl.Acid.Res.,1997,25(22),4429−4443,Toulme,J.J.,Nature Biotechnology 19:17−18(2001);Manoharan M.,Biochemica et Biophysica Acta 1489:117−139 (1999);Freier S.,M.,Nucleic Acid Research,25:4429−4443(1997),Uhlman,E.,Drug Discovery & Development,3;203−213(2000),Herdewin P.,Antisense & Nucleic Acid Drug Dev.,10:297−310(2000)に一般的に記載される改変塩基部分および/または修飾糖部分を有する、合成ヌクレオシド;2’−O,3−C’−連結[3.2.0]ビシクロアラビノヌクレオシド(例えば、N.K.Christiensen.ら,J.Am.Chem.Soc.,120:5458−5463(1998))が包含される。かかるアナログには、結合特性、例えば二重鎖安定性または三重鎖安定性、特異性等を強化するように設計した、合成ヌクレオシドが包含される。
【0047】
二重鎖形成または三重鎖形成に関する「安定性」という用語は一般に、アンチセンスオリゴヌクレオチドがその対象とする標的配列にいかにしっかりと結合するかを意味し、より詳細には、「安定性」は、生理学的条件下でに二重鎖または三重鎖形成の自由エネルギーを意味する。標準的な条件セット下での融解温度は、二重鎖安定性および/または三重鎖安定性の便利な尺度である。
【0048】
核酸ベース(NAB(商標))の骨格から構成される化合物ライブラリーは典型的に、核酸間、およびタンパク質間に存在する相互作用のレパートリー、ならびにタンパク質と核酸との間に存在する相互作用のレパートリーを模倣する、低分子ライブラリーを指す。例えば、多数のタンパク質は、タンパク質のα−ヘリックスおよびβ−シートのトポロジーにより規定される、ヌクレオチド結合ドメインを含有する。例えば、ポリメラーゼ、トポイソメラーゼ、p53タンパク質等。
【0049】
核酸相互作用を模倣することができる分子の例は、DNAとの特異的なワトソン−クリック様ハイブリダイゼーションまたはRNAとの特異的なハイブリダイゼーションが可能なサブユニットから構成されるポリマーである、DNA模倣体である。核酸は、塩基部分で、糖部分で、あるいはリン酸バックボーン部分で改変することができる。例示的DNA模倣体としては、例えばホスホロチオエートが挙げられる。
【0050】
本発明によれば、以下の物質および方法、ならびに実施例で詳述した化合物ライブラリーの生成により、生物体の、核酸とタンパク質との間の相互作用の同定、例えば感染症を引き起こす作用物質と、感染性作用物質の複製に関与する生物学的経路との間の相互作用の同定が可能となり、ウイルスチミジンキナーゼおよび逆転写酵素のようなウイルス特異的酵素;感染性作用物質が細胞または哺乳動物に感染させるレセプター−リガンド相互作用;疾患を引き起こす作用物質により哺乳動物を感染させる分子等を阻害する。上述の相互作用の同定に基づいて、疾患を引き起こす作用物質の病因の所望の機序を阻害する薬剤を設計することができる。
【0051】
本明細書中で使用する場合、生物学的経路には、例えば細胞合成ネットワーク、調節ネットワーク、恒常性ネットワークもしくは制御ネットワークによる既知または未知の任意の生物学的機序により互いに影響を与える、細胞構成成分の集合が含まれる。ある細胞構成成分が別の構成成分に与える影響は、特に、一方の細胞構成成分の他方の構成成分への合成的変換によるものか、2つの細胞構成成分の直接的な物理相互作用によるものか、中間的生物学的事象を介して媒介される2つの細胞構成成分の間接的相互作用によるものか、他の機序によるものであり得る。さらに、本発明で特に興味が持たれるある種の経路は、経路中およびかかる経路間の他の細胞構成成分に影響を与えるが続いてこれらの影響を受けない、特定細胞構成成分から始まると言われ得るもので、フィードバックループのないものは、階層的と言われる。生物学的経路におけるフィードバックループは、経路の細胞構成成分のサブセットであり、フィードバックループの各構成成分が、フィードバックループの他の構成成分に影響を与え、またそれにより影響を受ける。感染症を引き起こす作用物質は、かかる生物学的経路を妨害してもよく、あるいは宿主生物体において生存および複製するために生物学的経路を利用してもよい。例えば、HIVは、ある種のサイトカインのCD4+T細胞の産生を刺激する。
【0052】
本明細書中で理解されるように、生物学的経路の例は、当該技術分野で周知である。それらは、細胞構成成分が互いに影響を与える様々な生物学的機序に依存している。生物学的経路としては、例えば分子を破壊して、細胞エネルギーを提供するか、または細胞を構築して細胞エネルギー貯蔵を提供するか、あるいはタンパク質前駆物質または核酸前駆物質を合成する、周知の生化学的合成経路が挙げられる。合成経路の細胞構成成分としては、酵素および合成中間体が挙げられ、前駆物質分子の後続分子に対する影響は、直接的酵素媒介性変換によるものである。生物学的経路としては、シグナル伝達経路および制御経路が挙げられ、その多くの例も周知である。これらの経路の細胞構成成分として典型的に、一次シグナル伝達分子または中間シグナル伝達分子、ならびに通常これらの経路を特徴付けるシグナルカスケードまたは制御カスケードに関与したタンパク質が挙げられる。シグナル伝達経路では、レセプターに対するシグナル分子の結合は通常、中間シグナル伝達分子の量に直接的に影響を与え、経路タンパク質のリン酸化(または他の改変)の度合いに間接的に影響を与える。続いて、これらの影響の両方が、例えば細胞の転写状態に影響を及ぼすことで、シグナルにより開始される細胞過程の重要なエフェクターである細胞タンパク質の活性に影響を与える。細胞周期の時期および発生を制御するもののような制御経路も、同様である。ここで、複数の、多くの場合は進行中の細胞事象は、多くの場合フィードバック制御と一時的に協調して、染色体分離を伴う細胞分裂のような、調和した結果を達成する。この協調は、多くの場合、互いのリン酸化(または他の改変)の度合いに対するタンパク質の相互の影響により媒介される経路の機能の結果である。また、周知の制御経路は、変動する環境に対抗して細胞代謝産物の最適レベルを維持しようとする。理解された機序に従って作動する細胞経路のさらなる例は、当業者には既知である。感染症を引き起こす作用物質は、例えば生物学的経路等のある種の構成成分のダウンレギュレーションまたはアップレギュレーションのような任意数の様式で、生物学的経路に影響を与え得る。
【0053】
本明細書中で使用する場合、「感染性作用物質」または「感染症を引き起こす作用物質」という用語は、成長/増殖がヒトまたは動物で病因事象を引き起こす、生物体を指す。かかる作用物質の例は、細菌、真菌、原虫、およびウイルスである。
【0054】
化合物ライブラリーは、哺乳動物の免疫系の分子を模倣する、糖尿病のような自己免疫疾患またはウイルスにより引き起こされる自己免疫疾患に関与した分子間の相互作用を同定し、それにより自己免疫相互作用を阻害する薬剤を開発するのにも有用である。
【0055】
本発明によれば、好ましい化合物ライブラリーは、下記式IまたはI’:
【0056】
【化13】
(式中、L1およびL2は独立して、O、または例えば、アミド、エステル、ジエステル等のような連結基、またはこのような基を鎖のメンバーとしてかもしくは鎖に対してペンダントとして有し、かつO、S、Se、NR1NR2、CR1CR2、OR、SRおよびSeR、からなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基で必要に応じて置換され得る必要に応じて置換されたアルキレン(例えば、C1〜20アルキレン)、必要に応じて置換されたアルケニレン(例えば、C2〜20アルケニレン)もしくはアルキニレン(例えば、C2〜20アルキニレン)、または酵素的に反応性を有する部分であり;
Qは、炭素、またはO、SもしくはNのようなヘテロ原子であり、
R1、R2、R3はそれぞれ独立して、水素またはヒドロキシル基、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または好ましくは1〜3個の縮合していない環もしくは縮合環、および1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する必要に応じて置換されたヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基であり、
Bは、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン、必要に応じて置換されたシトシン、または必要に応じて置換されたグアニン(ここで好ましくは、必要に応じた置換基は、アルキル、炭素環式アリール、または好ましくは1〜3個の縮合していない環もしくは縮合環、および1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有するヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基、あるいは糖環に共有結合する複素環構造である)であり;
n=1〜5である)
を有する2つまたはそれ以上の化合物、およびそれらの薬学的に受容可能な塩を含む。
【0057】
核酸塩基骨格の糖基は、天然であってもよく、あるいは改変されても(例えば合成であっても)よく、また鎖状形態または環形態であり得る。糖基は、単糖、二糖、オリゴ糖、または多糖から構成されてもよく、そこで各単糖ユニットは、ポリヒドロキシ基またはポリヒドロキシ基およびアミノ基を含有する、3〜約8個の炭素、好ましくは3〜約6固の炭素を含む。非限定的な例としては、グリセロール、リボース、フルクトース、グルコース、グルコサミン、マンノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、スクロース、デンプン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、およびセルロースが挙げられる。ヒドロキシル基およびアミノ基は、遊離基として、あるいは例えば水素および/またはハロゲンを含有する保護基として、存在する。好ましい保護基としては、アセトニド、t−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。単糖の糖基は、L配置であってもまたはD配置であってもよく、環状単糖ユニットは、α配座もしくはβ配座の5員環または6員環を含有してもよい。二糖は、2つの同一の単糖ユニットまたは2つの異なる単糖ユニットから構成されてもよい。オリゴ糖は、2〜10個の単糖から構成されてもよく、ホモポリマー、ヘテロポリマーまたは環式多糖であってもよい。多糖は、ホモグリカンまたはヘテログリカンであってもよく、分枝高分子鎖または非分枝高分子鎖であり得る。二糖、オリゴ糖および多糖は、1→4結合、1→6結合、または1→4および1→6結合の混合物から構成されてもよい。糖部分は、炭水化物のヒドロキシル基またはアミノ基のいずれかを介して連結基に結合されてもよい。
【0058】
糖に対する好ましい改変としては、1〜6個の飽和炭素原子または不飽和炭素原子を含有する−O−低級アルキル基で置換されたか、または2〜6個の炭素原子を有する−O−アリール基もしくは−O−アリル基で置換された、2’−O−を含むがこれらに限定されない、リボース部分の2’位に対する改変が挙げられ、ここでかかる−O−アルキル基、−O−アリール基、もしくは−O−アリル基は、無置換であってもよく、または置換されてもよく(例えば、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルボアルコキシル、またはアミノ基により)、あるいは2’−O−基は、アミノ基またはハロゲン基で置換される。これらの置換基はいずれも、リボースの場合には天然の2’−ヒドロキシル基、またはデオキシリボースの場合には2’−H−を排除することを意図しない。
【0059】
ヘテロ脂肪族部分は、分枝、非分枝または環状であってもよく、モルホリノ、ピロリジニル等のような複素環が挙げられる。
【0060】
本明細書中で使用する場合の「複素環」という用語は、環式へテロ脂肪族基、好ましくは総合して3〜10個の環原子を指し、オキセタン、テトラフドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
本明細書中で使用する場合の「アリール」および「ヘテロアリール」という用語は、置換または無置換であり得る、3〜14個の炭素原子を有する安定な単環式または多環式、複素環式、多環式および多複素環式の不飽和部分を指す。置換基としては、上述の置換基のいずれかが挙げられる。有用なアリール環基の非限定的な例としては、フェニル、ハロフェニル、アルコキシフェニル、ジアルコキシフェニル、トリアルコキシフェニル、アルキレンジオキシフェニル、ナフチル、フェナントリル、アントリル、フェナントロ等が挙げられる。典型的なヘテロアリール環の例としては、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、フリル、イソチアゾリル、フラザニル、イソキサゾリル、チアゾリル等のような5員環の単環基;ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル等のような6員環の単環基;およびベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3−b]チエニル、チアントレニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチエニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、テトラヒドロキノリンシンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、フェノキサジニル等のような多環式のヘテロ環基が挙げられる(例えば、Katritzky,Handbook of Heterocyclic Chemistry参照)。アリール部分またはヘテロアリール部分は、ヒドロキシ、C1〜C8アルコキシ、C1〜C8の分枝もしくは直鎖の、アルキル、アシルオキシ、カルバモイル、アミノ、N−アシルアミノ、ニトロ、ハロ、トリハロメチル、シアノ、およびカルボキシルからなる群から選択される1〜5個の成員で置換されてもよい。したがって、アリール部分は、例えば、フェニル;クロロまたはフルオロのようなハロ、ヒドロキシ、C1〜C6アルキル、アシル、アシルオキシ、C1〜C6アルコキシ(例えば、メトキシまたはエトキシであり、特に2,3−、2,4−、2,5−、3,4−もしくは3,5−ジメトキシフェニルもしくはジエトキシフェニル、またはメチレンジオキシフェニル、あるいは3−メトキシ−5−エトキシフェニルのようなジアルコキシフェニル部分;またはトリアルコキシ(例えば、3,4,5−トリメトキシフェニルまたはトリエトキシフェニル)、3,5−ジメトキシ−4−クロロフェニル等のような三置換フェニルを含む)、アミノ、−−SO2NH2、−−SO2NH(脂肪族)、−−SO2N(脂肪族)2、−−O−脂肪族−−COOH、および−−O−−脂肪族−NH2(これは、1つまたは2つの、N−脂肪族またはN−アシル置換基を含有してもよい)を含む基から選択される1つまたはそれ以上の置換基を有する置換フェニルを包含する。
【0062】
本発明によれば、ライブラリーが、式IまたはI’で示される化合物の少なくとも約1つのタイプの鏡像異性的に濃縮された混合物から構成されることも好ましい。
【0063】
他の好ましい化合物ライブラリーは、下記式IIまたはII’:
【0064】
【化14】
(式中、
XおよびYはそれぞれ独立して、O、S、Se、NR1NR2、CR1CR2、OR、SRおよびSeRからなる群から選択されるか、あるいはXおよびYの一方または両方が、酵素的に反応性を有する部分であり;
Rは、水素、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または好ましくは1〜3個の縮合していない環もしくは縮合環、および1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する必要に応じて置換されたヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基であり;
R1、R2、R3はそれぞれ独立して、Rで定義される基から選択され;
Bは、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン、必要に応じて置換されたシトシン、または必要に応じて置換されたグアニン(ここで好ましくは、必要に応じた置換基は、アルキル、炭素環式アリール、または好ましくは1〜3個の縮合していない環もしくは縮合環、および1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有するヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基、あるいは糖環に共有結合する複素環構造である)である;
を有する2つまたはそれ以上の化合物、およびそれらの薬学的に受容可能な塩を含む。
【0065】
本発明によれば、化合物ライブラリーを含む好ましい化合物は、下記式IIIまたはIII’:
【0066】
【化15】
(式中、
XおよびYはそれぞれ独立して、O、S、Se、NR1NR2、CR1CR2、OR、SRおよびSeRからなる群から選択されるか、あるいはXおよびYの一方または両方が、酵素的に反応性を有する部分であり;
Rは、水素、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または好ましくは1〜3個の縮合していない環もしくは縮合環、および1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する必要に応じて置換されたヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基であり;
R1、R2、R3はそれぞれ独立して、Rで定義される基から選択され;
Bは、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン、必要に応じて置換されたシトシン、または必要に応じて置換されたグアニン(ここで好ましくは、必要に応じた置換基は、アルキル、炭素環式アリール、または好ましくは1〜3個の縮合していない環もしくは縮合環、および1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有するヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基、あるいは糖環に共有結合する複素環構造)である;
を有する少なくとも約1つの化合物、およびそれらの薬学的に受容可能な塩を包含する。
【0067】
本発明によれば、ライブラリーは、C−2’エンド配座の少なくとも約1つのフラノース環、またはC−3’エンド配座の少なくとも約1つのフラノース環を有する、少なくとも約1つの化合物から構成される。また、C−2’エンド配座の少なくとも約1つのフラノース環、およびC−3’エンド配座の少なくとも約1つのフラノース環を有する、化合物から構成されるライブラリーも好ましい。
【0068】
好ましくは、化合物ライブラリーは、少なくとも約1〜約50ヌクレオシド残基の長さを有する化合物から構成され、より好ましくは、化合物は、少なくとも約1〜10ヌクレオシド残基の長さを有し、最も好ましくは、化合物は、少なくとも約1〜5ヌクレオシド残基の長さを有する。
【0069】
本発明によれば、ライブラリーは、少なくとも約1ヌクレオシド残基、または少なくとも約2ヌクレオシド残基、または少なくとも約3ヌクレオシド残基、または少なくとも約4ヌクレオシド残基を有する、化合物から構成され得る。
【0070】
ライブラリーは、当業者に周知の技法を用いて構築することができる。例えば、ライブラリーは、固相合成または液相合成を用いて構築される。固相コンビナトリアルケミストリーの選択される概説に関しては、Houghten,R.A.;Pinilla,C.;Appel,J.R.;Blondelle,S.E.;Dooley,C.T.;Eichler,J.;Nefzi,A.;Ostresh,J.M.J.Med Chem.1999,42,3743−3778を参照されたい。液相コンビナトリアルケミストリーの選択される概説に関しては、(a)Baldino,C.M.J.Comb.Chem.2000,2,89−103、(b)Boger,D.L.;Goldberg,J.Multiple solution−phase;combinatorial chemistry,Combinatorial Chemistry:A Practical Approach,Vol.2;Fenniri,H.編;Oxford University Press: Oxford,1999、(c)Gayo,L.M.Biotechnol.Bioeng.1998,61,95−106を参照されたい。
【0071】
本発明によれば、容易なパラレル液相化学が、ファルマコアベースの化学的多様性の供給源としてヌクレオシドアナログのコンビナトリアル合成を実施するために開発されてきた。合成サイクルに適合される反応は、最終脱保護工程を除いて、ワンポット反応系中で高収率にて、室温で実施される。有機溶媒と水との間を分配させる効率的でかつ利便性の高い液/液抽出戦略を、多くの場合液相コンビナトリアルケミストリーの適用に関連した、中間体/生成物精製の難問を首尾よく対処するように適応させた。したがって、得られるライブラリーの成員は、90%を超える純度を有する別個の化合物として存在する。
【0072】
本明細書中で使用される場合、「ファーマコフォア(pharmacophore)ベースの多様性」は、すでに同定された分子またはファーマコフォアと類似した特性を有する分子の物理的特性および化学的特性に基づいて同一および/または密接に関連した多様性を表す化合物である。類似性の原則として、分子の任意の対に関して、活性の差が構造の差に関連することを要する。
【0073】
化合物ライブラリーで使用するのに適切な化合物の特性を決定するための様々な方法、例えば米国特許第6,240,374号(これは、その全体が参考として本明細書に援用される)を利用することができる。この参照文献は、以下の尺度:2次元尺度および3次元尺度を利用する。本明細書で使用する場合、「2次元尺度および3次元尺度」とは、分子の2次元および3次元の特徴に関する情報を具体的に取り入れる任意の用語を含む分子の表現を意味する。これらの尺度は、分子の幾何学的特徴を考慮し、またそのトポロジー、すなわち結合により結合された原子のネットワークから誘導可能な特性を反映する。
【0074】
本明細書中で使用される場合、「2次元フィンガープリント」は、データストリング中のビットがその分子中の所定の2〜7原子フラグメントの発生に対応して設定される2D分子尺度を意味する。典型的に、およそ900〜2400ビットのストリングを使用する。特定ビットは、多くの異なるフラグメントにより設定されてもよい。
【0075】
本明細書中で使用される場合、「コンビナトリアルスクリーニングライブラリー」とは、アッセイでスクリーニングするために使用されるべき分子のコンビナトリアル入手可能領域から選択される分子のサブセットを意味する。
【0076】
本明細書中で使用される場合、「分子構造的記述子(molecular structural descriptor)」または「記述子(descriptor)」とは、分子の活性を決定する物理的特性および化学的特性の定量的表現を意味する。用語「距離(metric)」は、分子構造的記述子と同義語であり、本出願全体にわたって交換可能に使用される。
【0077】
本明細書で使用する場合、「パターソンプロット」とは、いくつかの距離における分子間の距離をX軸にプロットし、同じ分子に関するいくつかの生物活性の絶対的な差をY軸にプロットする2次元散布図を意味する。
【0078】
本明細書中で使用される場合、「S字型プロット」とは、第2の分子も活性な分子対の割合をY軸にプロットし、2つ1組のTanimotoの類似性をX軸に一定間隔でプロットする2次元プロットを意味する。
【0079】
本明細書で使用する場合、「トポメリックアラインメント」は、アラインメント規則のセットに基づいた合致アラインメントを意味する。
【0080】
分子多様性を有する化合物ライブラリーを設計する際に、当業者に既知の任意の方法を使用してもよい。好ましい方法としては、構造活性相関(SAR)が挙げられ、例えば、Clark−Lewis et al., 「Structure−Activity Relationships of Interleukin−8 Determined Using Chemically Synthesized Analogs」, J. Biol. Chem. 266(34): 23128−23134 (1991)、および米国特許第6,240,374号に記載される方法を参照のこと。簡潔に述べると、後者の方法には、任意の確かな分子構造記述子が「近隣特性(neighborhood property)」を有さなくてはならないということが必要である。すなわち、記述子は、類似の構造(記述子によって規定されるような)が実質的に類似した生物特性を有するように、それが化学的領域を測定するという類似性の原則の制約に応じなくてはならない。あるいは、少し異なった言い方をすれば、いくつかの生物学的特性を有する任意の所定の分子の記述子空間のいくつかの半径内に、その半径内に見出される他の分子も同じ生物特性を有するという高い蓋然性が存在すべきである。記述子が近隣特性を有さない場合、それは類似性の原則に応じず、確かではあり得ない。
【0081】
本発明に従って、任意の所定の距離が従順であるか否かを定量的に解析するために、近隣原則は、好ましくは、抗ウイルス的介入のための新規分子標的を同定する際の使用についてのパターンを決定するために使用される。生物学的活性の絶対値もまた、構造的距離を有する依存変数を、独立変数としてみなしてきた。これは、伝統的なQSAR(定量的構造活性相関)に関する場合であり、それはまた本発明において化合物を同定するのに使用する好ましい方法である。
【0082】
構造の小さな違いが、活性の小さな違いに関連するはずであるが、その逆が必ずしも真であるとは限らない、すなわち活性の大きな違いが、構造の大きな違いに必ずしも関連するわけではないということに留意しなくてはならない。したがって、生物学的差異および構造的(距離)差異の両方の尺度での差異を使用することが重要である。したがって、各分子に対する距離により割り当てられる値を考察するのではなく、分子の各対に関する距離値の絶対的差異が独立変数であり、分子の各対に関する生物学的活性の絶対的差異が依存変数である。絶対値は、それが差であって、その徴候ではないため使用され、それが重要である。したがって、同定したライブラリーのメンバーは、コンビナトリアルライブラリーを構築するのに使用される。
【0083】
ライブラリーのメンバーは、パラレル液相化学を用いて別個の化合物として合成される(図6)。重要な前駆体であるチオホスホトリエステル6は、反応物を段階的に添加することにより、高収率で、室温にてワンポット反応系中で市販の3’−ホスホルアミダイト4から合成される。1H−テトラゾールの存在下でのCH3CN中でのアルコール3および3’−ホスホロアミダイト4の反応により、TLC分析で示される場合の定量的収率で、ホスファイトトリエステル5が得られる。5を単離する必要なく、3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン(3H−BD)9を反応混合物に添加して、5を酸化的に硫化して、チオホスホトリエステル6を得る。液/液抽出による予備精製後、対応する保護基を除去するためにNH4OH(28%、55℃、4時間)およびDowex樹脂で順次処理することで、粗製トリエステル6を最終生成物であるホスホロチオエート2に定量的に変換する。
【0084】
コンビナトリアルライブラリーの合成にパラレル液相化学を適用する際のチャレンジの1つは、多くの場合液相化学に関連した時間のかかる他の精製手法(例えば、クロマトグラフィ)を排除するための利便性の高くて効率のよい単離/精製技法を開発することである。この問題は、有機溶媒と水との間で分配させる便利な2段階液/液抽出戦略を設計することで克服される(図6)。抽出戦略は、所望のホスホロチオエート生成物2が親水性(水溶性)であるが、その中間前駆体のチオホスホトリエステル6が疎水性(有機溶媒可溶性)であり、また化合物6は定量的に化合物2に変換することができるという事象に基づいている。第1の液/液抽出を、チオホスホトリエステル6が形成された後に適用した。酢酸エチル(EtOAc)と2%NaHCO3水溶液との間で分配させることで、有機可溶物6をEtOAc中に保持する一方で、水溶性副生成物(例えば、硫化副生成物である1−ベンゾチオール−2−オキサ−3−オンスルホキシド、ジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド)およびすべてのこれまでの反応からの他の過剰な試薬(例えば、1H−テトラゾール)が繰り返しの水性の洗浄により除去される。第2の抽出を、化合物2が形成された後に適用する。CHCl3とH2Oとの間で分配させることで、親水性ホスホロチオエート2がH2Oに保持される一方で、生成物混合物中のCHCl3可溶性成分、すなわちアンモニアによる脱保護反応から生成したものか、あるいはこれまでの反応から6とともに繰り越されてきたもののいずれかは、繰り返しのCHCl3洗浄により除去される。第2の抽出後、HPLC分析10(C−18、逆相、λ260)により、所望の生成物2が90%を超える純度で水層中に生じていることが示される(図4)。
【0085】
化合物7の5’−末端にあるジメトキシトリチル基を除去するのに2つのアプローチを使用する。従来のアプローチには、1〜2時間、80%酢酸で処理することが包含される11。最近の報告は、Dowex樹脂(強酸型、Dowex500 WX 8−200、Aldrich)が脱トリチル化に効率的に使用することができる(10分)ことを示している12。両方のアプローチを使用することができるが、好ましい方法は、Dowex樹脂捕獲手法の使用である。パラレルライブラリー合成でDowex樹脂捕獲手法を使用する利点は、以下である:(a)操作の容易さと利便性;(b)脱トリチル化の時間の低減(酢酸1〜2時間に対してDowex樹脂10分);(c)酢酸に対するヌクレオシドの長期の曝露により引き起こされる脱プリン化(depurization)を最小化すること;(d)刺激性の酢酸の蒸発の廃止。アンモニア処理後に、化合物7を含有する得られた混合物を、脱トリチル化用のDowex H+のショートカラムに通して、生成物12を得る13。
【0086】
最終脱塩工程(C−18カートリッジ、Gilson)を用いて、無機塩を除去し、こうして得られた生成物2は、95%を超える純度を有する。NMRおよびMSによる分析により、ライブラリーメンバーの構造が確認された。選択したメンバーのスペクトル分析により、検出可能な塩基修飾は合成中に出現しなかったことが明らかとなった。代表的なライブラリーメンバーの化学構造を図5に表し、それらの対応するスペクトル分析を図4および表6に示す。
【0087】
官能性疎水性基を有するヌクレオシドの5’末端を束縛する好ましい方法は、パラレル固相および液相のコンビナトリアルケミストリーを用いてホスホロチオエートリンカーにより達成される。5’−修飾ヌクレオチドアナログ1(図2)の「薬剤様」属性は、肝炎ウイルスおよびヘルペスウイルスの複製に対してライブラリーメンバーをスクリーニングすることにより評価され、多数の「ヒット」が、細胞ベースのアッセイで同定される。かかる細胞ベースのアッセイは、当該分野で周知であり、例えばプラーク減少アッセイ等が挙げられる。ヌクレオシドの3’末端が様々な官能性疎水性基を保有する一般構造2のライブラリー(図2)を構築する。
【0088】
ライブラリーは、自動液相合成を用いて構築することもできる。
【0089】
ライブラリーのメンバーは、合成オリゴヌクレオチドから構成されてもよい。好ましい合成オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つ、好ましくは1つより多い修飾を含む。修飾としては、例えば、ヌクレオチド間連結、塩基または糖の部分、キャップされた末端、およびキメラまたはハイブリッドのオリゴヌクレオチドの修飾が挙げられる。
【0090】
合成オリゴヌクレオチドとしては、ヌクレオチド間連結により結合されたデオキシリボヌクレオチドおよび/またはリボヌクレオチドのモノマーの化学的合成ポリマーが挙げられる。オリゴヌクレオチドは、完全なデオキシリボヌクレオチド、完全なリボヌクレオチド、あるいはハイブリッドオリゴヌクレオチドおよび逆位ハイブリッドオリゴヌクレオチドを含むデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの組合せから構築されてもよい。ハイブリッドオリゴヌクレオチドは、リボヌクレオチドの隣接領域間に介在したデオキシリボヌクレオチドのコア領域を含有する。逆位ハイブリッドは、デオキシリボヌクレオチドの隣接領域間に介在したリボヌクレオチドのコア領域を含有する。
【0091】
本発明の合成オリゴヌクレオチドは、1つのモノヌクレオチドペントース環の5’基と、隣接したモノヌクレオチドの3’基との間の標準的なホスホジエステルのヌクレオチド間連結により結合されてもよい。かかる連結はまた、5’から5’へ、3’から3’へ、2’から5’へ、および2’から2’へ、あるいはそれらの任意の組合せを含む種々の結合部位を用いて確立することができる。ホスホジエステル結合のほかに、モノヌクレオチドはまた、アルキルホスホネート、ホスホロチオエート、ホルホロジチオエート、アルキルホスホノチオエート、ホスホルアミデート、カルバメート、カーボネート、ホスフェートトリエステル、アセトアミデート、またはカルボキシメチルエステル連結、あるいはそれらの任意の組合せにより結合されてもよい。好ましくは、本発明のオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結からなり、より好ましくはオリゴヌクレオチド中の連結すべてが、ホスホロチオエートヌクレオチド間連結である。
【0092】
本発明のオリゴヌクレオチドは、すべてのモノヌクレオチドが同じ型のヌクレオチド間連結により、あるいはキメラオリゴヌクレオチドまたは逆位キメラオリゴヌクレオチドを含む異なるヌクレオチド間連結の組合せにより結合されるように構築されてもよい。キメラオリゴヌクレオチドは、メチルホスホネートまたはホスホルアミデートの隣接領域間に介在したホスホロチオエートコア領域を有する。逆位キメラオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート隣接領域間に介在した非イオン性コア領域(例えば、アルキルホスホネートおよび/またはホルホルアミデートおよび/またはホルホトリエステルヌクレオチド間連結)を有する。
【0093】
本発明の合成オリゴヌクレオチドは、アデニン、シトシン、グアニン、イノシン、チミジンまたはウラシルのモノヌクレオチドから構築されてもよい。好ましいオリゴヌクレオチドは、モノヌクレオチドの塩基部分および/または糖部分に対する修飾を含有するモノヌクレオチドから構築される。塩基または糖に対する修飾としては、アルキル、炭素環式アリール、1〜3個の独立環または融合環を有し、かつ1〜3個のN、OまたはS原子を有するヘテロ芳香族基またはヘテロ脂環式基、あるいは複素環構造の共有結合置換基が挙げられる。
【0094】
アルキル基は、好ましくは、1〜約18個の炭素原子、より好ましくは1〜約12個の炭素原子、最も好ましくは1〜約6個の炭素原子を含有する。アルキル基の具体例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デジル等が挙げられる。
【0095】
アラルキル基としては、6つまたはそれ以上の炭素原子を有する炭素環式アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、フェナンチル、アントラニル等)により置換された上述のアルキル基が挙げられる。
【0096】
シクロアルキル基としては、好ましくは、3〜約8個の環炭素原子を有し、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、1,4−メチレンシクロヘキサン、アダマンチル、シクロペンチルメチル、シクロへキシルメチル、1または2−シクロへキシルエチル、および1、2または3−シクロへキシルプロピル等である。
【0097】
例示的なヘテロ芳香族基およびヘテロ脂環式基としては、ピリジル、ピラジニル、ピリミジル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾチアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリノ、およびピロリジニルが挙げられる。
【0098】
足場に対する様々な修飾の良好な分類に関して、Kaztritzky, A. R.; Kiely, J. S.; Hebert, N.; Chassaing, C. Definition of templates within combinatorial libraries. J. Comb. Chem. 2000, 2, 2−5を参照のこと。
【0099】
他の修飾としては、オリゴヌクレオチド分子の内部であるか、またはその末端にある修飾が挙げられ、コレステリル、コレステロール、または2つのアミノ基間の様々な数の炭素残基を有するジアミン化合物のようなヌクレオシド間リン酸連結での分子への付加、および切断するか、あるいは反対側の鎖に、または関連ウイルスゲノムに結合する酵素もしくは他のタンパク質に架橋する末端リボース、デオキシリボースおよびリン酸修飾が挙げられる。非ヌクレオシドリンカーを含むさらなるリンカーとしては、様々な長さのポリエチレングリコール(例えば、トリエチレングリコール、モノエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール)(Ma et al. (1993) Nucleic Acids Res. 21: 2585−2589; Benseler et al. (1993) J. Am. Chem. Soc. 115: 8483−8484)、ヘキシルアミン、およびスチルベン(Letsinger et al, (1995) J. Am. Chem. Soc. 117: 7323−7328)、あるいは塩基欠如(abasic)リンカーまたは市販の非対称リンカーおよび対称リンカーを含む任意の他の市販のリンカー(CloneTech, Palo Alto, California)(例えば、Glen Research Product Catalog, Sterling, VA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
さらに、オリゴヌクレオチドの3’末端にてリボースでキャップされたオリゴヌクレオチドを、NaIO4酸化/還元的アミノ化に供してもよい。アミノ化としては、以下の部分:スペルミン、スペルミジン、トリス(2−アミノエチル)アミン(TAEA)、DOPE、長鎖アルキルアミン、クラウンエーテル、補酵素A、NAD、糖、ペプチド、デンドリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
オリゴヌクレオチドはまた、その3’末端および/または5’末端にて嵩高い置換基でキャップされてもよく、あるいはヌクレオチド1つ当たり一方または両方の隣接酸素で置換されてもよい。かかる修飾は、ヌクレオチド間連結のいくつかまたはすべてにて、ならびにオリゴヌクレオチドの一端または両端にて、および/または分子の内部であり得る(Agrawal et al. (1992) Trends Biotechnol. 10: 152−158に概説されている)。キャップされた種のいくつかの非限定的な例としては、3’−O−メチル、5’−O−メチル、2’−O−メチル、およびそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0102】
本発明の合成オリゴヌクレオチドは、当該分野で認識される方法により調製することができる。例えば、ヌクレオチドは、ホスホルアミダイト、H−ホスホナート化学、またはメチルホスホルアミダイト化学のような当該技術分野で認識される技法を用いて共有結合することができ(例えば、Goodchild (1990) Bioconjugate Chem. 2: 165−187; Uhlmann et al. (1990) Chem. Rev. 90: 543−584; Caruthers et al. (1987) Meth. Enzymol. 154: 287−313; 米国特許第5,149,798号を参照のこと)、それは、手動で、あるいは自動合成機により実施し、続いてプロセスすることができる(Agrawal et al., (1992) Trends Biotechnol. 10: 152−158に概説されている)。ホスホロチオエート連結を有するオリゴヌクレオチドは、ホスホルアミダイト(例えば、Agrawal et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 85: 7079−7083を参照のこと)、またはH−ホスホナート化学(例えば、Froehler (1986) Tetrahedron Lett. 27: 5575−5578を参照のこと)のような当該分野で周知の方法を用いて調製することができる。Bergot et al.(J. Chromatog. (1992) 559: 35−42)に記載される合成方法もまた、使用することができる。他の型の修飾ヌクレオチド間連結を有するオリゴヌクレオチドは、既知の方法に従って調製することができる(例えば、Goodchild (1990) Bioconjugate Chem. 2:165−187; Agrawal et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 85: 7079−7083; Uhlmann et al. (1990) Chem. Rev. 90: 534−583; およびAgrawal et al. (1992) Trends Biotechnol. 10: 152−158を参照のこと)。
【0103】
別の局面では、本発明は、薬学的組成物を提供する。薬学的組成物は、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の化合物ライブラリーのクラスの物理的混合物である。
【0104】
本明細書中で使用される場合、「ライブラリーのクラス」とは、上述のそれらの化学的特性または物理的特性に基づいた多様性のカテゴリーの範疇にある生成ライブラリーをいう。異なるライブラリーのクラス中の異なる化合物は、足場の配列、修飾、および/または長さに依存して標的分子に関して異なる特異性を有し得る。いくつかの実施形態では、この薬学的処方物はまた、生理学的または薬学的に受容可能なキャリアを包含する。特定の実施形態では、治療的量の脂質キャリアを包含する。
【0105】
本明細書中で使用される場合、「抗真菌的有効量」または「抗ウイルス的有効量」、あるいは「抗細菌性ウイルス的有効量」という用語は、「治療的有効量」または「有効量」と交換可能に使用され、無毒性であるが、任意の医療処置に伴う正当な有益性/危険性の比での所望の局所または全身性の効果と効能を提供するのに十分な、薬物または薬理学的活性剤の量を意味する。
【0106】
本明細書中で使用される場合、「薬学的に受容可能な」成分は、正当な有益性/危険性の比に相応する不都合な有害な副作用(例えば、毒性、刺激、およびアレルギー応答)なく、ヒトおよび/または動物で使用するのに適切なものである。
【0107】
本発明のライブラリーのクラスは、治療的に活性な化合物として使用するのに、特に単純ヘルペスウイルス(HSV)の制御または防止に使用するのに適している。in vitroアッセイ(実施例5を参照のこと)は、HSVプラーク形成の有意な抑制を示す。
【0108】
本発明のこの局面では、ウイルス複製を阻害するために、ライブラリーのクラスを含有する、治療上有効量の薬学的組成物を細胞に投与する。同様の局面では、本発明のライブラリーのクラスを、治療的な量の、少なくとも1種のライブラリーのクラス、いくつかの実施形態では少なくとも2種のライブラリーのクラスを含有する薬学的組成物を、感染動物または細胞に投与する工程を包含する、ウイルスに感染したヒトまたは他の哺乳動物の治療に使用することができる。
【0109】
本発明のライブラリーのクラスの投与を含む方法すべてにおいて、少なくとも1種、好ましくは2種以上の同一のまたは異なるライブラリーのクラスを、別個の薬学的組成物の形態での単回処置エピソードとして同時にあるいは順次、投与してもよい。
【0110】
より具体的には、本発明は、HSVのようなウイルスに関連した疾患にかかりやすい哺乳動物の処置方法(予防的処置)か、またはそれを患っている哺乳動物の処置方法を含む。本発明の方法は、治療的有効量の本発明の1つ以上の化合物を、ウイルス感染した細胞、例えば哺乳動物細胞、特にヒト細胞に投与することを含む。
【0111】
本発明の化合物の投与は、経口、局所(経皮、バッカルまたは舌下を含む)、鼻および非経口(腹腔内、皮下、静脈内、皮内、または筋内注射を含む)を含む様々な適切な経路によりなされてもよいが、経口または非経口投与が一般に好ましい。好ましい投与方法および投薬量は、例えばレシピエントの状態および年齢により様々であり得ることも明白である。
【0112】
本発明の化合物は、別の抗ウイルス剤、または抗癌剤のような他の薬学的に活性な医薬と併用して治療に使用してもよい。さらに、本発明の1つ以上の化合物を単独に投与してもよい一方で、それらはまた、便利な賦形剤、すなわち非経口、経口もしくは他の所望の経路に適切であり、活性な化合物と有害に反応せず、かつそれらのレシピエントに有害でない、薬学的に受容可能な有機キャリアまたは無機キャリアと混合した薬学的組成物の一部として存在してもよい。適切な薬学的に受容可能なキャリアとしては、水、塩溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリド、石油エーテル脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的調製物は、滅菌することができ、所望の場合には、活性化合物と有害に反応しない補助剤、例えば潤滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝液、着色剤、風味および/または芳香族物質などと混合することができる。
【0113】
非経口用途では、溶液、好ましくは油性溶液または水溶液、ならびに懸濁液、乳化液、または坐剤を含む移植物が特に適している。アンプルは、便利な単位投薬である。
【0114】
経腸用途について、タルクおよび/または炭水化物キャリア結合剤等を有する錠剤、糖衣剤またはカプセルが特に適しており、キャリアは、好ましくは、ラクトースおよび/またはコーンスターチおよび/またはポテトスターチである。甘味媒質を使用したシロップ剤、エリキシル剤等を使用することができる。活性成分が例えばマイクロカプセル化、マルチプルコーティング等により差次的分解性コーティングで保護された徐放性組成物を処方することができる。
【0115】
本発明の治療用化合物はまた、リポソームに組込んでもよい。組込みは、既知のリポソーム調製手法(例えば超音波処理および押出)に従って実施することができる。リポソーム調製の適切な従来法はまた、例えばA.D. Bangham et al., J. Mol. Biol., 23:238−252 (1965)、F. Olson et al., Biochim. Biophys. Acta, 557: 9−23 (1979)、F. Szoka et al., Proc. Nat. Acad. Sci., 75:4194−4198 (1978)、S. Kim et al., Biochem. Biophys. Acta, 728: 339−348 (1983)、およびMayer et al., Biochim. Biophys. Acta, 858: 161−168 (1986)に開示されている。
【0116】
所定の療法で使用される活性化合物の正確な好ましい量は、利用される特定化合物、処方される特定組成物、適用様式、投与の特定部位等に従って変化する。投与の所定のプロトコルについての最適投与の割合を、従来の投与量決定試験を用いて、当業者によって容易に確定され得る。
【0117】
本明細書中に記載した文書はすべて、参考として本明細書中に援用される。
【0118】
以下の実施例により、本発明をさらに説明する。これらの実施例は、本発明の理解を助長するために提供するものであり、本発明を限定するものと解釈されない。
【0119】
(実施例)
(物質および方法)
(一般的方法)
1H、13C、31PNMRスペクトルを、500MHzのNMRスペクトロメータ(Bruker)上で収集した。MSを、ネガティブモードでエレクトロスプレーにより行った。HPLC分析を、Radial−Pak液体クロマトグラフィーカートリッジ(内径8mm、8NVC18)を用い、フォトダイオードアレイUV検出器996、オートサンプラー717およびMilleniumを備えたWaters 600システムで行った。C−18カートリッジ(100mg)を、Gilsonから購入し、脱塩を、Gilson固相抽出システム(Gilson solid−phase extraction system)(Gilson、ASPEC XL)で行った。QIAシュレッダースピンカラム(QIAshredder spin column)を、Qiagenから購入した。N保護ヌクレオシドホスホルアミダイト4a〜hを、CruaChem(Aston, PA)から購入した。Dowex樹脂(強酸型、Dowex500WX8−200)を、使用前に洗浄した。他のすべての試薬を、市販の供給源より得、精製することなく使用した。
【0120】
(ライブラリーアセンブリの一般的手順(スキーム1を参照のこと))
ライブラリーアセンブリの一般的手順を図6に例示する。30μmolの濃度の各アルコール3、および、20μmolの濃度のヌクレオシドアミダイト各4を、CH3CN中1H−テトラゾールの溶液(1ml、100μmol)を入れた一連のコニカルマイクロチューブ(2mL、Ultident Scientific製)に、アルゴン下で順次添加した。混合物は、室温で5分間、プラットフォームシェーカーで振盪した。次いで、CH3CN中の3H−BD(40μmol)をSpeed Vacで蒸発させた。次いで、酢酸エチル(EtOAc)1ml、次いで、2%炭酸ナトリウム水溶液(0.5ml)を添加した。相の徹底的な混合の後、中間体であるチオホスフェートトリエステル6を含む有機層を分離し、蒸発させて乾固させた。次いで、NH4OH水溶液(28%、1ml)を各マイクロチューブ中の残渣に添加した。しっかりと蓋をしたチューブを、55℃で4時間加熱した。アンモニア性水溶液をSpeed Vacで濃縮して乾固させた。内容物を水(0.5ml)に溶かし、次いで、Dowex H+(50mg)を含有したスピンカラム(QIAシュレッダー)に添加した。10分間振盪した後、カラムをレセプタクルバイアル中に配置し、遠心分離した。
【0121】
流出液(flow−through)を集め、水で1mlに希釈し、クロロホルム(2×0.4ml)で抽出した。次いで、水層をC−18カートリッジに通した。次いで、カートリッジを水で洗浄し、生成物2をCH3CN/H2O(10/90を2ml、50/50を2ml)で溶出させた。対応する溶出物を集め、Speed Vac.で乾固するまで蒸発させ、生成物2を高純度(>95%、λ260でのC−18HPLC分析)の白色固体として得た。A260単位をベースとして定量化を達成したところ、生成物1の収率は、4から出発して75%〜90%の範囲であることがわかった。
【0122】
設計ライブラリーの「薬剤様」属性および化学的多様性
核酸ベースの(NABTM)骨格(図1)に基づいて構築されるライブラリーの薬学的関連性および化学的多様性は、以下のような複数の要因によって認識され得る:(a)P1およびP2要素を含むヌクレオシドファルマコフォアは、これら特有の「空間形状(shape−in−space)」特性および水素結合特性により、最初の標的(核酸またはタンパク質)の認識要素を提供し得る;(b)P4要素(R基、図1および図2ならびに表1)は、多様な疎水性要素を組み入れるきっかけを提供するさらなる官能的変異体として機能することができ、特異的な「薬剤」−標的の相互作用を容易にする;(c)ホスホロチオエートリンカー(図2)の負に荷電した要素は、ヌクレオチドアナログと標的とのイオン性相互作用を提供し得る一方で、化合物に水溶性を付与し得る;(d)重要なことに、2’−置換基(P3要素、図1および図2)は、構造変異体としてフラノース骨格を有意に異なる立体配座パッカー(pucker)(例えば、C2’−エンドパッカー 対 C3’−エンドパッカー、図3)に「固定(lock)」し、これにより、フラノース骨格に結合した官能基(例えば、P2およびP4)の局所的および/または全体的な突出(projection)における全体的な変化を可能とする。
【0123】
アルコール構成単位(building block)
表1に示すアルコールを、官能的変異体R基を組み入れるための構成単位として用いた(図2)。ライブラリー構築用のアルコールの選択は、空間形状の可変的な空間的表示と、電荷移動と、ファンデルワールス相互作用とによる分子多様性に対するアルコールの寄与度に基づいた。このような官能的多様性は、(1)ヌクレオシドアナログと標的レセプターとの間の高い親和性の結合を促進する疎水性相互作用を提供するため、および/または(2)ヌクレオシドアナログの細胞間および/または細胞内送達を補助するためのリガンドとそのレセプターとの間の特異的相互作用を調べるために意図された。
【0124】
パラレル液相化学を用いたライブラリーの構築
3’−修飾ヌクレオシドアナログの所望のライブラリー(ライブラリー2の一般構造を図2に示す)を生成するための戦略は、ライブラリー1(その一般構造を図2に示す)の5’−修飾ヌクレオシドアナログのライブラリーの構築に用いた方法と同様であった。ライブラリーの成員を、図6に示すパラレル液相化学を用いて、別個の化合物として合成した。鍵(key)となる前駆体であるチオホスホトリエステル6は、市販の3’ホスホルアミダイト4から、反応物を段階的に添加することにより、室温でワンポット反応系で収率よく合成することができた。1H−テトラゾール存在下での、CH3CN中のアルコール3と3’ホスホルアミダイトとの反応により、TLC分析により示されたようにホスホスファイト(phosphosphite)トリエステル5が定量的な収率で得られた。5を単離する必要なく、3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン(3H−BD)を反応混合物に添加して5を酸化的に硫化し、チオホスホトリエステル6を生成した。続いて、液/液抽出により予備精製した後、粗製トリエステル6をNH4OH(28%、55℃、4時間)と、Dowex樹脂とで順次処理して、対応する保護基を除去することにより、最終生成物であるホスホロチオエート2に定量的に変換した。
【0125】
液相化学にしばしば関係する、他の時間のかかる精製手順(例えば、クロマトグラフィー)を省くため、有機溶媒と水との間に分配させる、簡便な2段階液/液抽出戦略(図6)を設計した。抽出戦略は、所望のホスホロチオエート生成物2は親水性であるが、その中間前駆体であるチオホスホトリエステル6は疎水性(有機溶媒に可溶)であり、そしてまた化合物6は定量的に化合物2に変換され得るという特有の性質に基づいた。第1の液/液抽出は、チオホスホトリエステル6が形成された後に施した。EtOAcと2%NaHCO3水溶液との間に分配させることにより、有機溶媒に可溶な6はEtOAcに保持される一方、水溶性の副生物、例えば、1−ベンゾチオール−2−オキサ−3−オンのような硫化副生物、ジイソプロピルアンモニウムテトラゾリドのようなスルホキシドおよび1H−テトラゾールのようなすべての先の反応に由来する他の過剰な試薬は、繰返し水で洗浄することにより除去された。
【0126】
第2の抽出は、化合物2が形成された後に施した。CHCl3とH2Oとの間に分配させることにより、親水性ホスホロチオエート2はH2O中に保持される一方、生成混合物中のCHCl3に可溶な成分(アンモニアによる脱保護反応から生成された成分または先の反応から6とともに持ち越された成分のいずれか)は、CHCl3での洗浄を繰り返すことにより除去されたことが予想される。第2の抽出の後、HPLC分析(C−18、逆相、λ260)により、所望の生成物2が水層中に90%を超える高い純度で存在していることが示された(図4)。
【0127】
化合物7の5’−末端のジメトキシトリチル基を除去するために2つのアプローチが使用され得る。従来のアプローチは、80%酢酸中での1〜2時間の処理を含む。最近の報告では、Dowex樹脂(強酸型、Dowex500WX−8−200、Aldrich)が脱トリチル化(10分)に有効において使用され得ることが示された。
【0128】
両方のアプローチを用いることができるが、パラレルライブラリー合成においてDowex樹脂捕獲を用いることの利点は、以下の通りである:(a)操作の容易さおよび簡便さ;(b)脱トリチル化に要する時間の削減(酢酸の1〜2時間に対し、Dowexでは10分);(c)ヌクレオシドを酢酸に長時間曝露することに起因する脱プリン化の最少化;(d)刺激臭のある酢酸を蒸発させなくて済むこと。アンモニア処理の後、続いて、化合物7を含む残留混合物を脱トリチル化のためにDowex H+のショートカラムに通し、生成物2を得た。
【0129】
最後の脱塩工程(C−18カートリッジ、Gilson)を用いて、無機塩を除去し、このようにして得られた生成物2は95%を超える高い純度であった。NMRおよびMSによる分析で、ライブラリー成員の構造を確認した。選択した成員のスペクトル分析から、上記合成の間は、検出可能な塩基修飾は起こらないことが明らかとなった。代表的なライブラリー成員の化学構造を図5に示し、その対応するスペクトル分析を図4および表6に示す。
【0130】
ES−MS分析(ネガティブモード)
サンプル中の分析物の存在を確認するため、まず、各サンプルについてスキャンスペクトルを得た。次いで、分析物に関するMS/MSスペクトルを取得し、サンプルについての構造的な情報を得た。サンプルは、20mMのトリエチルアミンを含むイソプロパノール/H2O(lit)に溶解させた。
【0131】
ライブラリー1〜4の構築
ライブラリー合成(5〜15μmolスケール)を、標準自動DNA合成プロトコル(DMT−off)を用いて行った。酸化的硫化は、3H−1,2−ベンゾジチオール(henzodithiole)−3−オン−1,1−ジオキシド13を用いて達成された。合成の後、N2を用いてCPGを乾燥し、そしてこれを5mL遠心管に移した。水酸化アンモニウム水溶液(28%、4mL)を添加し、その混合物を55℃で3〜6時間加熱した。得られた懸濁液を冷却し、遠心分離した。溶液を、Speed Vacで蒸発させた。得られた生成物をそれぞれ、水(3〜5mL)に溶解させ、酢酸エチル(2×1mL)で抽出した。水層を蒸発させて過剰な酢酸エチルを除去し、残渣を超純水中に溶解し、0.2μmフィルタで濾過した。凍結乾燥して、白色の泡状体として生成物を得た。
【0132】
ライブラリー5の構築
必要とされるジヌクレオチドH−ホスホネートを、標準H−ホスホネート化学を用いて固体支持体上に構築した。洗浄した後、乾燥したCPGを5mL遠心管に移し、アミンのCCl4溶液(10%、3〜4mL)を加えた14。混合物を、20〜30分間振とうした。洗浄した後、CPGを28%NH4OH水溶液で処理した(55℃、3〜6時間)。懸濁液を冷却し、遠心分離させた。この溶液を真空内で蒸発させて乾固させ、残渣をH2O(5mL)に溶解させ、酢酸エチル(2mL)で抽出した。水層を蒸発させ、残渣を純水中に溶解し、濾過した。
【0133】
ライブラリーの分析
タイルライブラリーの逆相HPLC分析を、Radial−Pak(登録商標)液体クロマトグラフィーカートリッジ[8mm I.D.、8NVC18]を用い、フォトダイオードアレイUV検出器996と、オートサンプラー717と、Millenium(登録商標)2000ソフトウェアとを備えたWaters600システムを用いて行った。移動相:緩衝液A:0.1M NH4OAc;緩衝液B:20%A/80%CH3CN、v/v:勾配:100%A、0〜3分;40%A、40分;100%B、49分;100%B。生成物の純度は85〜95%の範囲であった。収率はA260単位で65〜90%と推定された。
【0134】
代表的ライブラリー成員のスペクトル特性
スペクトルの取得の前に、代表的なライブラリー成員(ライブラリーサイズの10%)を、イオン交換カラム(DEAE−5PW樹脂、緩衝液A:H2O、緩衝液B:0.5M NaCl)によりさらに精製し、次いで、脱塩(C18カラム、緩衝液A:H2O、緩衝液B:20%CH3CN水溶液)して、逆相HPLCにより純度95%〜99%と決定された個々のライブラリー成員を得た。
【0135】
選択したライブラリー成員の31P NMR分析から、ホスホロチオエート結合およびホスホルアミデート結合にそれぞれ特徴的な、δ58〜59ppmおよび13〜14ppmにおける明確なシグナルが明らかとなった。タイル(tile)31P NMRスペクトルにおける他のピークは、所望の生成物のピークに対応する全範囲の3%未満を構成した。さらに、選択したライブラリー成員のES−MSは、特定された構造に対応する予想される分子量と一致した。
【0136】
HSV−1に対する抗ウイルスアッセイ
ベロ(Vero)細胞(アフリカミドリザル腎細胞)(ATCC)を、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で、96ウェルプレートにおいて、MOI 0.005でHSV−1に感染させた。プレートを37℃で3時間維持した。化合物を25μMの濃度で添加し、続いて、プレートを37℃で24時間インキュベートした。培地を除去し、細胞を10%ホーマル生理食塩水で10分間固定した。細胞を0.1%クリスタルバイオレットで染色し、室温で30分間インキュベートし、次いで、蒸留水で洗浄した。ウイルスのプラークを数え、抗ウイルス効果を、未処理対照と比較したプラーク数の減少割合として推定した。アシクロビルを陽性対照として用いた(EC90、6μM)。
【0137】
(実施例1)
(ライブラリーの合成)
(ライブラリー1)
市販のデオキシリボヌクレオシドおよび2’−OMeリボヌクレオシドホスホルアミダイト構成単位を、対応する制御孔ガラス(controlled−pore−glass)(CPG)に結合させたヌクレオシドとともに用いて、64個の成員から構成されるジヌクレオチドホスホロチオエートライブラリー1(表1)を、固体支持体上に構築した。構築は、パラレル合成モード(DMT−off、10〜15μmolスケール)で行った。構築の後、各固体支持体を水酸化アンモニウム水溶液(28%、55℃)で処理し、核塩基の保護基、およびアリッド(arid)リン酸エステルの保護基を除去し、支持体から生成物を取り外した。生成物を精製し、実験項に記載したように評価した。
【0138】
【表1】
(実施例2)
(ライブラリー2)
8つの市販のモノマーとヌクレオシドを結合したCPGとを用いることにより、潜在的に512個のトリヌクレオチドホスホロチオエートがRp、Spジアステレオマーの混合物として構築され得る。本発明者らは、ホスホルアミダイト化学を用いて、代表的な64個の成員から構成されるライブラリー(表2)を調製した。作業(work−up)および抽出の後、生成物が、逆相HPLCで決定した場合に85〜95%の純度で得られた。
【0139】
【表2】
(実施例3)
(ライブラリー3)
4096個の成員から構成されるテトラヌクレオチドライブラリー(8×8×8×8アレイを表わす)が構築可能であったので、テトラヌクレオチドのパラレル構築は、特別な課題を課した。パラレル合成で受け入れ可能なライブラリーを得るため、3つのヌクレオチド位置を固定し、4番目の位置を変性させた。これにより、64個のトリヌクレオチドはそれぞれ、まずパラレル合成によりCPG上に構築され、CPGに結合したトリヌクレオチドはそれぞれ、等モルのdA、dC、dG、およびTヌクレオシドホスホルアミダイトの混合物と反応した(スキーム1)。このようにして、256個の成員から構成されるライブラリーを構築した(表3)。
【0140】
【化16】
【0141】
【表3】
(実施例4)
(ライブラリー4)
24の成員から構成される代表的な塩基修飾ライブラリーを、対応する市販のホスホルアミダイトモノマーを用いて、ジホスホロチオエート、トリホスホロチオエート、テトラホスホロチオエート(表4)として構築した。
【0142】
【表4】
(実施例5)
(ライブラリー5)
ホスホルアミデートジヌクレオチドライブラリー(表5)において、さらなる多様性要素をそのバックボーンに組み込んだ。192個の成員から構成されるジヌクレオチドホスホルアミダイトライブラリーを、H−ホスホネート化学12を一連のアミンとともに用いるパラレル合成により構築した。必要とされるジヌクレオシドH−ホスホネート(5’−DMT−off)を、対応する市販のH−ホスホネートおよびCPG結合ヌクレオシドを、活性剤としての1−アダマンタンカルボニルクロライドとともに用いて、CPG上に構築した。CPG結合ヌクレオシドH−ホスホネートは、報告されている手法14によりホスホルアミデートに変換した。
【0143】
【表5】
【0144】
【化17】
(実施例5)
(抗ウイルス性評価)
種々のクラスのNABライブラリーを調製し、評価した。その結果から、これらのライブラリーが、薬剤の発見に対して生物学的に意味のある化学的多様性を表すことが証明された。
【0145】
ライブラリー1〜5を、HSV−1に対する抗ウイルスアッセイにおいて評価した。多数の化合物が、アシクロビル(6μMのEC90)と比較した場合に、25μMの用量で、HSV−1誘発性プラークの30〜60%の阻害を誘発した。
【0146】
(実施例6)
(NABTM化合物に関する可能な新規HSV−1タンパク質標的の特徴)
SDS−PAGEおよびウェスタンブロットによる、NABTM化合物に関する抗ウイルス活性の予備的スクリーニングの結果から、これらの化合物が固有のウイルスタンパク質の1つと直接的あるいは間接的のいずれかで相互作用することが証明された。このタンパク質は以下のような特徴を有する:分子量約90kDa;このタンパク質は、感染後6時間程度で感染後の初期段階中に現れるので、最初期(IE)または初期(E)タンパク質であり、重要な調節タンパク質または構造タンパク質の1つである可能性が最も高い;このタンパク質は、感染後6時間〜24時間の間、NABTM化合物により完全に阻害され、その後、これは再度現れる;このタンパク質は、クマシーブルーおよび銀染色の両方により染色され、ツニカマイシン(tunicamycin)処理により決定されたように、グリコシル化タンパク質である可能性が最も高い。このタンパク質の性質および動態、その生産、および、ウイルスの増殖サイクル中のその役割または機能は、パルス追跡実験(pulse chase experiment)、35S−メチオニンを用いたウイルスラベリング(virus labeling)、エンドH/F消化により決定される。
【0147】
以下の具体的な参照もまた、本明細書中に参考として援用され、全体的に丸括弧内または角括弧内にある対応する番号により、上記考察および実施例において示されている。
【0148】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、NAB(商標)骨格を中心に構築した化学ライブラリーの一般構造を示す。2つのタイプの機能的変異体P2およびP4をフラノース骨格P1に結合して、水素結合、親油性、「空間形状」、および電気特性のような、多様な標的認識要素を提供する。P3要素は、フラノース骨格をある配座に拘束するための構造的改変体として作用し、それにより機能的要素に関して三次元突出の全体的な変化が可能となる。
【図2】
図2は、それぞれヌクレオシドの5’ 末端または3’末端に結合した官能性R基を有するライブラリー1および2の一般構造を示す。R、BおよびZの記載に関しては、図6および7を参照されたい。
【図3】
図3は、2’置換に起因するフラノースパッカーのエネルギー的に好適な配座を示す。フラノースパッカーの変化は、フラノース骨格に結合した官能基に関する三次元空間において劇的に異なる突出を引き起こす。
【図4】
図4は、ライブラリー2の代表的成員の化学的構造を示す。2’−デオキシヌクレオチドアナログをパネルAに列挙し、2’−O−メチルヌクレオチドアナログをパネルBに列挙する。
【図5】
図5は、ライブラリー2の代表的成員のHPLC(C18、260nmにて、パネルA)、および31P NMR(D2O中、パネルB)プロフィールを示す。化学物質は、ホスホロチオエートのジアステレオマー混合物として示される。生成物の純度は、一般に95%を越える。
【図6】
図6は、種々の多様性を有するライブラリー種の生成の模式図である。(i)CH3CH中、1H−テトラゾール、(ii)CH3CN中、3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン−1,1−ジオキシド、(iii)2%NaHCO3とEtOAcとの間で分配、(iv)28%NH4OH、(v)Dowex H+、(vi)CHCl3とH2Oとの間で分配。
【図7】
図7は、多様性要素を表す単純なNABライブラリーの一般構造を示す。
【図8】
図8は、表6を示す。
【図9】
図9は、表6の続きを示す。
【図10】
図10は、表7を示す。
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、種々の多様性属性を有する、集約的な核酸ベース(NABTM)ライブラリーの設計および合成に関する。より具体的には、これらのライブラリーは、それらの抗ウイルス活性について、および抗ウイルス的介入のための新規分子標的を迅速に同定するために、有用である。
【0002】
(2.背景)
安全かつ効果的な抗ウイルス薬の発見は、細菌因子および寄生生物因子に比較して、手ごわい挑戦を呈する1。実際に、ウイルス代謝プロセスは、宿主細胞プロセスに非常に類似するので、抗ウイルス介入に特異的に供され得るウイルス特異的分子標的は、ごく少数しか同定されていない。にもかかわらず、以下の3つのウイルスコード酵素が、ほとんどの「小分子型」抗ウイルス薬の標的であった:ポリメラーゼ、プロテアーゼ、および最近では、ノイラミニダーゼ。しかし、抗ウイルス薬に対する耐性が迅速に出現することが、主要な問題であり、そしてしばしば、苦肉の策として、扱いにくい「カクテル療法」を使用する必要がある。明らかに、種々の構造および固有の作用機構を有する抗ウイルス薬に対する臨床的必要性は、十分に満たされていない2。
【0003】
従来、抗ウイルス薬は、機構および構造の両方に基づく薬物設計アプローチを用いて設計されてきた。コンビナトリアル方法論は、強力な現代の薬物発見ツールとして出現し3、これは、以下の2つの工程からなる:(a)生物学的方法を用いて、分子標的を選択および検証する工程、および(b)構造および機構によって導かれる薬物設計アプローチを用いる工程であって、ここで、化合物のライブラリーを合成し、そしてこのライブラリーを、標的の生合成、構造および/または機能を妨害する能力について評価する、工程。標的の構造および/または機能が十分に利用可能でない場合、「治療標的検証のための多様性指向型有機合成(diversity oriented organic synthesis for therapeutic target validation)」4または「コンビナトリアル標的誘導型リガンド構築(combinatorial target−guided ligand assembly)」のようなコンビナトリアル方法が、使用されている5。
【0004】
ウイルス複製および関連タンパク質の分子生物学および生化学の理解が増加し、強力かつ特異的な抗ウイルス薬の開発が促進されてきた。過去20年間で、多くのヌクレオシドアナログが、効果的かつ特異的な抗ウイルス活性を有することが見出され、このクラスの多くの化合物が、ウイルス疾患の処置のために多くの臨床的成功および商業的成功を収めてきた。ヌクレオシドアナログの抗ウイルス薬作用のための主な機構は、ウイルス関連酵素の鎖終結因子または競合的インヒビター、あるいはその両方として作用することによるものであり;最近では、代替的なストラテジーは、それ自体がアロステリック部位で非競合的インヒビターとして作用する薬剤を開発している。
【0005】
抗ウイルス薬発見に適切であると思われるアプローチは、特定の分子標的に関係なく生物学的経路を調節するための構造的に多様な化合物の使用である。これは、標的の同時機能的検証、および標的の機能を調節するリード構造の発見を可能にする。本明細書において、本発明者らは、抗ウイルス薬発見についてのこの概念の適用を記載する。
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、核酸間およびタンパク質間に存在する相互作用のレパートリーを模倣する小分子ライブラリー、ならびにタンパク質と核酸との間に存在する相互作用のレパートリーを模倣する小分子ライブラリーを生成するための、組成物および方法を提供する。実際に、多くのタンパク質は、タンパク質のα−ヘリックスおよびβ−シートのトポロジーによって規定される、ヌクレオチド結合ドメインを含む。より詳細には、核酸ベース(NABTM)骨格を記載し、そこに、このような多様性属性が、タンパク質−タンパク質およびタンパク質−核酸の相互作用表面における「ホットスポット」を潜在的に標的化するように操作される。本発明の実施形態の実施例として、本明細書において、本発明者らは、細胞ベースのアッセイを使用する、単純ヘルペスウイルス(HSV−1)に対するNABT Mライブラリーの合成および抗ウイルス評価を報告する。
【0007】
本発明は、ヌクレオシドアナログのライブラリーを構築することによる、抗感染性因子治療における薬物発見を提供し、このライブラリーにおいて、種々の機能的エレメントおよび構造的エレメントが、適切なリンカーを介して核酸ベース(NABTM)骨格に連結されている。このファルマコアベース(pharmacore−based)の化学クラスは、競合的または非競合的ウイルス複製インヒビターとして作用するか、またはインヒビターのプロドラッグとして作用することが意図される。
【0008】
この系の利点は、多数ある。例えば、NABTM骨格に基づいて構築されたライブラリーに関連する、多くの新規の多様性の特徴が存在する:(a)この骨格は、水素結合性、疎水性、電荷移動性、静電性およびこのような他の非共有結合性の相互作用の可変性の空間的提示を作製するために使用され得る;(b)この骨格は、立体配置的に強固であり得るかまたは柔軟性であり得、個々の骨格を共に連結することによって、ライブラリーのメンバーに多様な分子トポロジーを作製し得る;実際、サークル、シュードノット(pseudoknot)、バルジ(bulge)およびステムループのような形状規定モチーフをライブラリーに組み込んで、レセプター上の「ホットスポット」を標的化し得る;(c)合成的観点から、このNABTMライブラリーは、核酸分野で十分に確立されている固相法または液相法を使用して構築され得る。
【0009】
このような相互作用の精巧な特異性は、リガンドおよびレセプターの局所的および全体的なコンフォメーション、ならびにその結合相互作用を容易にする水素結合性、疎水性、イオン性およびファンデルワールス性の相互作用のネットワークにより規定される、トポロジー関連分子認識に帰する6。
【0010】
化合物ライブラリーを生成するための適切な化合物の例を開示する。例えば、化合物ライブラリーは、下記式IまたはI’:
【0011】
【化7】
の2以上の化合物、およびその薬学的に受容可能な塩を含み、ここで、
L1およびL2は、独立して、Oもしくは連結基(例えば、アミド、エステル、ジエステル等のような)、または鎖メンバーまたはその鎖に対するペンダントのような基を有し、かつO、S、Se、NR1NR2、CR1CR2、OR、SRおよびSeRからなる群より選択される1以上の置換基で必要に応じて置換され得る、必要に応じて置換されたアルキレン(例えば、C1〜20アルキレン)、必要に応じて置換されたアルケニレン(例えば、C2〜20アルケニレン)またはアルキニレン(例えば、C2〜20アルキニレン)、あるいは酵素的に反応性の部分であり;
Qは、炭素、またはO、SもしくはNのようなヘテロ原子であり、
R1、R2、R3は、各々独立して、水素または水酸基、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または必要に応じて置換されたヘテロ芳香族基もしくはヘテロ脂環式基(これは、好ましくは、1〜3個の縮合されていない環もしくは縮合環を有し、かつ1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する)であり;
Bは、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン、必要に応じて置換されたシトシンまたは必要に応じて置換されたグアニン(好ましくは、その必要に応じた置換基は、アルキル、炭素環式アリール、またはヘテロ芳香族基もしくはヘテロ脂環式基(これは、好ましくは1〜3個の縮合されていない環もしくは縮合環を有し、かつ1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する)、あるいはその糖環に共有結合された複素環式構造である)であり;
n=1〜5である。
【0012】
別の好ましい実施形態では、この化合物ライブラリーは、下記式IIまたはII’:
【0013】
【化8】
の2以上の化合物、および薬学的に受容可能な塩から構成され、ここで、
XおよびYは、各々独立して、O、S、Se、NR1NR2、CR1CR2、OR、SRおよびSeRからなる群より選択されるか、あるいはXおよびYの一方または両方が、酵素的に反応性の部分であり;
Rは、水素、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または必要に応じて置換されたヘテロ芳香族基もしくはヘテロ脂環式基(これは、好ましくは、1〜3個の縮合されていない環もしくは縮合環を有し、かつ1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する)であり;
R1、R2、R3は、各々独立して、Rによって定義される基から選択され;
Bは、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン、必要に応じて置換されたシトシンまたは必要に応じて置換されたグアニン(好ましくは、その必要に応じた置換基は、アルキル、炭素環式アリール、またはヘテロ芳香族基もしくはヘテロ脂環式基(これは、好ましくは1〜3個の縮合されていない環もしくは縮合環を有し、かつ1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する)、あるいはその糖環に共有結合された複素環式構造である)である。
【0014】
別の好ましい実施形態では、化合物ライブラリーを構成する化合物の少なくとも1つが、C−2’エンド配座の少なくとも1つのフラノース環を有するか、またはC−3’エンド配座の少なくとも1つのフラノース環を有する。
【0015】
別の好ましい実施形態では、化合物ライブラリーを構成する化合物の少なくとも1つが、C−2’エンド配座の少なくとも1つのフラノース環、およびC−3’エンド配座の少なくとも1つのフラノース環を有する。
【0016】
別の好ましい実施形態では、化合物ライブラリーは、少なくとも約1〜50個のヌクレオシド残基、より好ましくは少なくとも約1〜10個のヌクレオシド残基、最も好ましくは少なくとも約1〜5個のヌクレオシド残基を有する化合物から構成される。
【0017】
他の好ましい実施形態では、化合物ライブラリーは、少なくとも約4個のヌクレオシド残基、または少なくとも約3個のヌクレオシド残基、または少なくとも約2個のヌクレオシド残基、または少なくとも約1個のヌクレオシド残基を有する化合物から構成される。
【0018】
別の好ましい実施形態では、化合物ライブラリーの少なくとも1つ、およびその薬学的に受容可能な塩は、下記式IIIまたはIII’:
【0019】
【化9】
から構成され、ここで、
XおよびYは、各々独立して、O、S、Se、NR1NR2、CR1CR2、OR、SRおよびSeRからなる群より選択されるか、あるいはXおよびYの一方または両方が、酵素的に反応性の部分であり;
Rは、水素、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または必要に応じて置換されたヘテロ芳香族基もしくはヘテロ脂環式基(これは、好ましくは、1〜3個の縮合されていない環もしくは縮合環を有し、かつ1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する)であり;
R1、R2、R3は、各々独立して、Rによって定義される基から選択され;
Bは、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン、必要に応じて置換されたシトシンまたは必要に応じて置換されたグアニン(好ましくは、その必要に応じた置換基は、アルキル、炭素環式アリール、またはヘテロ芳香族基もしくはヘテロ脂環式基(これは、好ましくは1〜3個の縮合されていない環もしくは縮合環を有し、かつ1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する)、あるいはその糖環に共有結合された複素環式構造である)である。
【0020】
好ましい一実施形態では、化合物ライブラリーは、開鎖形態の糖基を有する少なくとも1つの化合物から構成され、ここで、その化合物の鏡像異性体が富化された混合物が存在する。
【0021】
固相合成または液相合成を用いた化合物ライブラリーの構築方法が提供される。簡潔に述べると、攪拌が可能であり、かつ樹脂反応支持体物質を含有する反応容器に、1以上の試薬を添加する。上記試薬の反応中に上記反応容器を攪拌し、次に、上記反応容器を遠心分離して、そこから所望の反応物質を取り出す。ライブラリーはまた、自動液相合成を用いて構築され得る。
【0022】
好ましい一実施形態では、化合物ライブラリーは、核酸またはタンパク質に対する特異的な相互作用パートナーを同定するのに使用される。核酸は、例えば、RNAまたはDNAであり得る。タンパク質の例は、抗体、レセプターまたはリガンドである。
【0023】
ウイルスに感染した細胞または哺乳動物、例えば、ヘルペスウイルスに感染した細胞、サイトメガロウイルスに感染した細胞、または細菌に感染した細胞を処置するための組成物および方法が提供される。
【0024】
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、ウイルスキナーゼ、ウイルスポリメラーゼに特異的なインヒビターを同定するために、またはヘリカーゼ−プライマーゼ複合体とそれが結合するウイルス核酸との結合を崩壊させる特定の化合物を同定するために、有用である。これらの組成物は、真菌、ウイルスまたは細菌感染を患っているかまたはそれらに感受性の哺乳動物の処置において有用である。
【0025】
本発明に従うヒト疾患を引き起こす特に好ましいウイルス生物としては、ヘルペスウイルス、肝炎ウイルス、レトロウイルス、オルトミクソウイルス、パラミクソウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、パポバウイルス、および胃腸炎ウイルスが挙げられる(しかし、これらに限定されない)。
【0026】
重症のヒト疾患を引き起こす特に好ましい細菌は、グラム陽性生物:Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Enterococcus faecalis、E.faecium、Streptococcus pneumoniae、ならびにグラム陰性生物:Pseudomonas aeruginosa、Burkholdia cepacia、Xanthomonas maltophila、Escherichia coli、Enterobacter spp、Klebsiella pneumoniae、およびSalmonella sppである。
【0027】
本発明に従うヒト疾患を引き起こす特に好ましい原生動物生物としては、マラリア(例えば、Plasmodium falciparumおよびM.ovale)、トリパノソーマ症(睡眠病)(例えば、Trypanosoma cruizei)、リーシュマニア症(例えば、Leischmania donovani)、アメーバ症(例えば、Entamoeba histolytica)が挙げられる(しかし、これらに限定されない)。
【0028】
本発明に従うヒト疾患を引き起こす特に好ましい真菌としては、Candida ablicans、Histoplasma neoformans、Coccidioides immitis、およびPenicillium marneffeiが挙げられる(しかし、これらに限定されない)。
【0029】
処置方法は、感染疾患に感受性であるかまたは感染性疾患に罹患している哺乳動物に、治療有効量の化合物を投与する工程を包含する。化合物は、単独で投与され得るか、または薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて投与され得る。
【0030】
感染疾患を引き起こす因子(例えば、ウイルス(例えば、ヘルペスウイルスまたはサイトメガロウイルス)、細菌、真菌など)に感受性であるかまたはそれらに罹患している細胞あるいは哺乳動物を処置するために使用される組成物を構成する、好ましい化合物、およびその薬学的に受容可能な塩は、好ましくは、下記式IまたはI’:
【0031】
【化10】
であり、ここで、
L1およびL2は、独立して、Oもしくは連結基(例えば、アミド、エステル、ジエステル等のような)、または鎖メンバーまたはその鎖に対するペンダントのような基を有し、かつO、S、Se、NR1NR2、CR1CR2、OR、SRおよびSeRからなる群より選択される1以上の置換基で必要に応じて置換され得る、必要に応じて置換されたアルキレン(例えば、C1〜20アルキレン)、必要に応じて置換されたアルケニレン(例えば、C2〜20アルケニレン)またはアルキニレン(例えば、C2〜20アルキニレン)、あるいは酵素的に反応性の部分であり;
Qは、炭素、またはO、SもしくはNのようなヘテロ原子であり、
R1、R2、R3は、各々独立して、水素または水酸基、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または必要に応じて置換されたヘテロ芳香族基もしくはヘテロ脂環式基(これは、好ましくは、1〜3個の縮合されていない環もしくは縮合環を有し、かつ1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する)であり;
Bは、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン、必要に応じて置換されたシトシンまたは必要に応じて置換されたグアニン(好ましくは、その必要に応じた置換基は、アルキル、炭素環式アリール、またはヘテロ芳香族基もしくはヘテロ脂環式基(これは、好ましくは1〜3個の縮合されていない環もしくは縮合環を有し、かつ1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する)、あるいはその糖環に共有結合された複素環式構造である)であり; n=1〜5である。
【0032】
この化合物は、好ましくは、糖基から構成され、ここで、この糖基は、開鎖形態であり、そしてその化合物の鏡像異性体が富化された混合物が存在する。
【0033】
他の好ましい化合物としては、下記式IIまたはII’:
【0034】
【化11】
の化合物、およびその薬学的に受容可能な塩が挙げられ、ここで、
XおよびYは、各々独立して、O、S、Se、NR1NR2、CR1CR2、OR、SRおよびSeRからなる群より選択されるか、あるいはXおよびYの一方または両方が、酵素的に反応性の部分であり;
Rは、水素、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または必要に応じて置換されたヘテロ芳香族基もしくはヘテロ脂環式基(これは、好ましくは、1〜3個の縮合されていない環もしくは縮合環を有し、かつ1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する)であり;
R1、R2、R3は、各々独立して、Rによって定義される基から選択され;
Bは、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン、必要に応じて置換されたシトシンまたは必要に応じて置換されたグアニン(好ましくは、その必要に応じた置換基は、アルキル、炭素環式アリール、またはヘテロ芳香族基もしくはヘテロ脂環式基(これは、好ましくは1〜3個の縮合されていない環もしくは縮合環を有し、かつ1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する)、あるいはその糖環に共有結合された複素環式構造である)である。
【0035】
他の好ましい化合物としてはまた、下記式IIIまたはIII’:
【0036】
【化12】
の化合物、およびその薬学的に受容可能な塩が挙げられ、ここで、
XおよびYは、各々独立して、O、S、Se、NR1NR2、CR1CR2、OR、SRおよびSeRからなる群より選択されるか、あるいはXおよびYの一方または両方が、酵素的に反応性の部分であり;
Rは、水素、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または好ましくは1〜3個の縮合していない環もしくは縮合環、および1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する必要に応じて置換されたヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基であり、
R1、R2、R3は、Rで定義される基からそれぞれ独立して選択され、
Bは、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン、必要に応じて置換されたシトシン、または必要に応じて置換されたグアニンであり、ここで好ましくは、必要に応じた置換基は、アルキル、炭素環式アリール、または好ましくは1〜3個の縮合していない環もしくは縮合環、および1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有するヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基であるか、または糖環に共有結合する複素環構造である)、
を有する化合物、およびそれらの薬学的に受容可能な塩も挙げられる。
【0037】
本発明の方法は、好ましくは、感染性作用物質により引き起こされる疾患に対する治療または予防のために、特に被験体の組織または器官に生じ得る場合の感染の治療のために使用される。本発明の方法はまた、ウイルス血症または敗血症のような全身状態を治療するのに使用してもよい。本発明の方法はまた、好ましくは、ウイルス感染または細菌感染に関連した疾患および障害、ならびに感染性作用物質により引き起こされる任意の他の障害の治療のために使用される。本発明の方法はまた、好ましくは、感染症を引き起こす作用物質の生活環または生物学的経路を妨害する分子を同定するために使用される。
【0038】
本発明の他の局面を以下に開示する。
【0039】
(発明の詳細な説明)
本発明は、重要な多様性属性を有するライブラリーを提供する。このライブラリーは、図1に示すようなバックボーン、糖、および核酸塩基に改変を保有するジヌクレオチド、トリヌクレオチドおよびテトラヌクレオチドから構成される。
【0040】
本発明における多様性に寄与する重要な要素としては、例えば細胞ベースのアッセイで使用する場合に望ましい代謝安定性を化合物に提供するホスホロチオエートおよびホスホロアミデート(前者はまた、静電相互作用に潜在的に関与することができ、一方後者は、標的レセプターとの疎水性相互作用および水素結合性相互作用を容易にすることができる)のような、バックボーン改変;デオキシリボフラノシド環の2’−水素に代わっての2’−OMe基(2’−エンドから3’−エンドへとフラノース環パッカーを変換して、それにより個々のライブラリー成員の配座全体に影響を及ぼす「配座スイッチ」として作用する2’−置換基)での置換のような、優勢フラノース改変;例えば親複素環部分の置き換え、ならびに複素環上の置換の両方を包含してライブラリー成員にさらなる疎水性を提供し得る、核酸塩基改変;例えば3’から5’への種々の部分間の連結が挙げられるが、これらに限定されない。このようにして、多様性属性のレパートリーを、約400〜約1200の範囲の分子量範囲を有する代表的NAB(商標)ライブラリーに捕らえることができる。
【0041】
NAB(商標)骨格を中心に構築されたライブラリーと関連した多くの新規多様性の特徴が存在する:(a)その骨格を使用して、水素結合性相互作用、疎水性相互作用、電荷移動性相互作用、静電性相互作用、および他のこのような非共有結合性相互作用の多様な空間的提示を創出することができる;(b)その骨格は、配座的に硬質または柔軟であり、個々の骨格をともに連結させることで、多様な分子トポロジーからライブラリーの成員を作り上げることができ、実際に、サークル、シュードノット、バルジ、およびステムループのような形状を規定するモチーフを、レセプター上の「ホットスポット」を標的とするライブラリーに組込むことができる;(c)合成的視点から、核酸分野で十分に確立されている固相法または液相法を用いてNAB(商標)ライブラリーを構築することができる7。低分子型NAB(商標)ライブラリーの実例を図7に示す。それは多様性の複数要素を表している。
【0042】
本明細書中で使用する場合「ホットスポット」は、レセプター上の高親和性結合部位および低親和性結合部位を指す。
【0043】
本明細書で使用する場合、「シュードノット」は、分子の含入による形成される核酸ベースの骨格における三次元的空間配置を指し、ここで分子間の結合性相互作用を容易にする、水素結合性のネットワーク、疎水性のネットワーク、イオン性のネットワークおよびファンデルワールス相互作用のネットワークなどの分子相互作用が、「ノット状」構造を形成する骨格中のひねりを生じる。
【0044】
パラレルコンビナトリアル合成を実施するために開発された簡単かつ容易な液相化学についても記載しており、そこから3’−改変ヌクレオシドアナログ2を、高純度の個々の化合物として生成した。以下の実施例を参照されたい。
【0045】
本明細書で使用する場合、「ヌクレオシド」には、例えば、Kornberg and Baker,DNA Replication,第2版(Freeman,San Francisco,1992)に記載されるような、2’−デオキシおよび2’−ヒドロキシル型を含む、天然のヌクレオシドが包含される。核酸化学に関する優れた専門書に関しては、Sanger,W.、Principles of Nucleic Acids Structure.、Springer−Verlag:New York,1984を参照されたい。
【0046】
ヌクレオシドに関する「アナログ」には、例えばScheit,Nucleotide Analogs,John Wiley,New York,1980;Freier & Altmann,Nucl.Acid.Res.,1997,25(22),4429−4443,Toulme,J.J.,Nature Biotechnology 19:17−18(2001);Manoharan M.,Biochemica et Biophysica Acta 1489:117−139 (1999);Freier S.,M.,Nucleic Acid Research,25:4429−4443(1997),Uhlman,E.,Drug Discovery & Development,3;203−213(2000),Herdewin P.,Antisense & Nucleic Acid Drug Dev.,10:297−310(2000)に一般的に記載される改変塩基部分および/または修飾糖部分を有する、合成ヌクレオシド;2’−O,3−C’−連結[3.2.0]ビシクロアラビノヌクレオシド(例えば、N.K.Christiensen.ら,J.Am.Chem.Soc.,120:5458−5463(1998))が包含される。かかるアナログには、結合特性、例えば二重鎖安定性または三重鎖安定性、特異性等を強化するように設計した、合成ヌクレオシドが包含される。
【0047】
二重鎖形成または三重鎖形成に関する「安定性」という用語は一般に、アンチセンスオリゴヌクレオチドがその対象とする標的配列にいかにしっかりと結合するかを意味し、より詳細には、「安定性」は、生理学的条件下でに二重鎖または三重鎖形成の自由エネルギーを意味する。標準的な条件セット下での融解温度は、二重鎖安定性および/または三重鎖安定性の便利な尺度である。
【0048】
核酸ベース(NAB(商標))の骨格から構成される化合物ライブラリーは典型的に、核酸間、およびタンパク質間に存在する相互作用のレパートリー、ならびにタンパク質と核酸との間に存在する相互作用のレパートリーを模倣する、低分子ライブラリーを指す。例えば、多数のタンパク質は、タンパク質のα−ヘリックスおよびβ−シートのトポロジーにより規定される、ヌクレオチド結合ドメインを含有する。例えば、ポリメラーゼ、トポイソメラーゼ、p53タンパク質等。
【0049】
核酸相互作用を模倣することができる分子の例は、DNAとの特異的なワトソン−クリック様ハイブリダイゼーションまたはRNAとの特異的なハイブリダイゼーションが可能なサブユニットから構成されるポリマーである、DNA模倣体である。核酸は、塩基部分で、糖部分で、あるいはリン酸バックボーン部分で改変することができる。例示的DNA模倣体としては、例えばホスホロチオエートが挙げられる。
【0050】
本発明によれば、以下の物質および方法、ならびに実施例で詳述した化合物ライブラリーの生成により、生物体の、核酸とタンパク質との間の相互作用の同定、例えば感染症を引き起こす作用物質と、感染性作用物質の複製に関与する生物学的経路との間の相互作用の同定が可能となり、ウイルスチミジンキナーゼおよび逆転写酵素のようなウイルス特異的酵素;感染性作用物質が細胞または哺乳動物に感染させるレセプター−リガンド相互作用;疾患を引き起こす作用物質により哺乳動物を感染させる分子等を阻害する。上述の相互作用の同定に基づいて、疾患を引き起こす作用物質の病因の所望の機序を阻害する薬剤を設計することができる。
【0051】
本明細書中で使用する場合、生物学的経路には、例えば細胞合成ネットワーク、調節ネットワーク、恒常性ネットワークもしくは制御ネットワークによる既知または未知の任意の生物学的機序により互いに影響を与える、細胞構成成分の集合が含まれる。ある細胞構成成分が別の構成成分に与える影響は、特に、一方の細胞構成成分の他方の構成成分への合成的変換によるものか、2つの細胞構成成分の直接的な物理相互作用によるものか、中間的生物学的事象を介して媒介される2つの細胞構成成分の間接的相互作用によるものか、他の機序によるものであり得る。さらに、本発明で特に興味が持たれるある種の経路は、経路中およびかかる経路間の他の細胞構成成分に影響を与えるが続いてこれらの影響を受けない、特定細胞構成成分から始まると言われ得るもので、フィードバックループのないものは、階層的と言われる。生物学的経路におけるフィードバックループは、経路の細胞構成成分のサブセットであり、フィードバックループの各構成成分が、フィードバックループの他の構成成分に影響を与え、またそれにより影響を受ける。感染症を引き起こす作用物質は、かかる生物学的経路を妨害してもよく、あるいは宿主生物体において生存および複製するために生物学的経路を利用してもよい。例えば、HIVは、ある種のサイトカインのCD4+T細胞の産生を刺激する。
【0052】
本明細書中で理解されるように、生物学的経路の例は、当該技術分野で周知である。それらは、細胞構成成分が互いに影響を与える様々な生物学的機序に依存している。生物学的経路としては、例えば分子を破壊して、細胞エネルギーを提供するか、または細胞を構築して細胞エネルギー貯蔵を提供するか、あるいはタンパク質前駆物質または核酸前駆物質を合成する、周知の生化学的合成経路が挙げられる。合成経路の細胞構成成分としては、酵素および合成中間体が挙げられ、前駆物質分子の後続分子に対する影響は、直接的酵素媒介性変換によるものである。生物学的経路としては、シグナル伝達経路および制御経路が挙げられ、その多くの例も周知である。これらの経路の細胞構成成分として典型的に、一次シグナル伝達分子または中間シグナル伝達分子、ならびに通常これらの経路を特徴付けるシグナルカスケードまたは制御カスケードに関与したタンパク質が挙げられる。シグナル伝達経路では、レセプターに対するシグナル分子の結合は通常、中間シグナル伝達分子の量に直接的に影響を与え、経路タンパク質のリン酸化(または他の改変)の度合いに間接的に影響を与える。続いて、これらの影響の両方が、例えば細胞の転写状態に影響を及ぼすことで、シグナルにより開始される細胞過程の重要なエフェクターである細胞タンパク質の活性に影響を与える。細胞周期の時期および発生を制御するもののような制御経路も、同様である。ここで、複数の、多くの場合は進行中の細胞事象は、多くの場合フィードバック制御と一時的に協調して、染色体分離を伴う細胞分裂のような、調和した結果を達成する。この協調は、多くの場合、互いのリン酸化(または他の改変)の度合いに対するタンパク質の相互の影響により媒介される経路の機能の結果である。また、周知の制御経路は、変動する環境に対抗して細胞代謝産物の最適レベルを維持しようとする。理解された機序に従って作動する細胞経路のさらなる例は、当業者には既知である。感染症を引き起こす作用物質は、例えば生物学的経路等のある種の構成成分のダウンレギュレーションまたはアップレギュレーションのような任意数の様式で、生物学的経路に影響を与え得る。
【0053】
本明細書中で使用する場合、「感染性作用物質」または「感染症を引き起こす作用物質」という用語は、成長/増殖がヒトまたは動物で病因事象を引き起こす、生物体を指す。かかる作用物質の例は、細菌、真菌、原虫、およびウイルスである。
【0054】
化合物ライブラリーは、哺乳動物の免疫系の分子を模倣する、糖尿病のような自己免疫疾患またはウイルスにより引き起こされる自己免疫疾患に関与した分子間の相互作用を同定し、それにより自己免疫相互作用を阻害する薬剤を開発するのにも有用である。
【0055】
本発明によれば、好ましい化合物ライブラリーは、下記式IまたはI’:
【0056】
【化13】
(式中、L1およびL2は独立して、O、または例えば、アミド、エステル、ジエステル等のような連結基、またはこのような基を鎖のメンバーとしてかもしくは鎖に対してペンダントとして有し、かつO、S、Se、NR1NR2、CR1CR2、OR、SRおよびSeR、からなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基で必要に応じて置換され得る必要に応じて置換されたアルキレン(例えば、C1〜20アルキレン)、必要に応じて置換されたアルケニレン(例えば、C2〜20アルケニレン)もしくはアルキニレン(例えば、C2〜20アルキニレン)、または酵素的に反応性を有する部分であり;
Qは、炭素、またはO、SもしくはNのようなヘテロ原子であり、
R1、R2、R3はそれぞれ独立して、水素またはヒドロキシル基、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または好ましくは1〜3個の縮合していない環もしくは縮合環、および1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する必要に応じて置換されたヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基であり、
Bは、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン、必要に応じて置換されたシトシン、または必要に応じて置換されたグアニン(ここで好ましくは、必要に応じた置換基は、アルキル、炭素環式アリール、または好ましくは1〜3個の縮合していない環もしくは縮合環、および1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有するヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基、あるいは糖環に共有結合する複素環構造である)であり;
n=1〜5である)
を有する2つまたはそれ以上の化合物、およびそれらの薬学的に受容可能な塩を含む。
【0057】
核酸塩基骨格の糖基は、天然であってもよく、あるいは改変されても(例えば合成であっても)よく、また鎖状形態または環形態であり得る。糖基は、単糖、二糖、オリゴ糖、または多糖から構成されてもよく、そこで各単糖ユニットは、ポリヒドロキシ基またはポリヒドロキシ基およびアミノ基を含有する、3〜約8個の炭素、好ましくは3〜約6固の炭素を含む。非限定的な例としては、グリセロール、リボース、フルクトース、グルコース、グルコサミン、マンノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、スクロース、デンプン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、およびセルロースが挙げられる。ヒドロキシル基およびアミノ基は、遊離基として、あるいは例えば水素および/またはハロゲンを含有する保護基として、存在する。好ましい保護基としては、アセトニド、t−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。単糖の糖基は、L配置であってもまたはD配置であってもよく、環状単糖ユニットは、α配座もしくはβ配座の5員環または6員環を含有してもよい。二糖は、2つの同一の単糖ユニットまたは2つの異なる単糖ユニットから構成されてもよい。オリゴ糖は、2〜10個の単糖から構成されてもよく、ホモポリマー、ヘテロポリマーまたは環式多糖であってもよい。多糖は、ホモグリカンまたはヘテログリカンであってもよく、分枝高分子鎖または非分枝高分子鎖であり得る。二糖、オリゴ糖および多糖は、1→4結合、1→6結合、または1→4および1→6結合の混合物から構成されてもよい。糖部分は、炭水化物のヒドロキシル基またはアミノ基のいずれかを介して連結基に結合されてもよい。
【0058】
糖に対する好ましい改変としては、1〜6個の飽和炭素原子または不飽和炭素原子を含有する−O−低級アルキル基で置換されたか、または2〜6個の炭素原子を有する−O−アリール基もしくは−O−アリル基で置換された、2’−O−を含むがこれらに限定されない、リボース部分の2’位に対する改変が挙げられ、ここでかかる−O−アルキル基、−O−アリール基、もしくは−O−アリル基は、無置換であってもよく、または置換されてもよく(例えば、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルボアルコキシル、またはアミノ基により)、あるいは2’−O−基は、アミノ基またはハロゲン基で置換される。これらの置換基はいずれも、リボースの場合には天然の2’−ヒドロキシル基、またはデオキシリボースの場合には2’−H−を排除することを意図しない。
【0059】
ヘテロ脂肪族部分は、分枝、非分枝または環状であってもよく、モルホリノ、ピロリジニル等のような複素環が挙げられる。
【0060】
本明細書中で使用する場合の「複素環」という用語は、環式へテロ脂肪族基、好ましくは総合して3〜10個の環原子を指し、オキセタン、テトラフドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
本明細書中で使用する場合の「アリール」および「ヘテロアリール」という用語は、置換または無置換であり得る、3〜14個の炭素原子を有する安定な単環式または多環式、複素環式、多環式および多複素環式の不飽和部分を指す。置換基としては、上述の置換基のいずれかが挙げられる。有用なアリール環基の非限定的な例としては、フェニル、ハロフェニル、アルコキシフェニル、ジアルコキシフェニル、トリアルコキシフェニル、アルキレンジオキシフェニル、ナフチル、フェナントリル、アントリル、フェナントロ等が挙げられる。典型的なヘテロアリール環の例としては、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、フリル、イソチアゾリル、フラザニル、イソキサゾリル、チアゾリル等のような5員環の単環基;ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル等のような6員環の単環基;およびベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3−b]チエニル、チアントレニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチエニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、テトラヒドロキノリンシンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、フェノキサジニル等のような多環式のヘテロ環基が挙げられる(例えば、Katritzky,Handbook of Heterocyclic Chemistry参照)。アリール部分またはヘテロアリール部分は、ヒドロキシ、C1〜C8アルコキシ、C1〜C8の分枝もしくは直鎖の、アルキル、アシルオキシ、カルバモイル、アミノ、N−アシルアミノ、ニトロ、ハロ、トリハロメチル、シアノ、およびカルボキシルからなる群から選択される1〜5個の成員で置換されてもよい。したがって、アリール部分は、例えば、フェニル;クロロまたはフルオロのようなハロ、ヒドロキシ、C1〜C6アルキル、アシル、アシルオキシ、C1〜C6アルコキシ(例えば、メトキシまたはエトキシであり、特に2,3−、2,4−、2,5−、3,4−もしくは3,5−ジメトキシフェニルもしくはジエトキシフェニル、またはメチレンジオキシフェニル、あるいは3−メトキシ−5−エトキシフェニルのようなジアルコキシフェニル部分;またはトリアルコキシ(例えば、3,4,5−トリメトキシフェニルまたはトリエトキシフェニル)、3,5−ジメトキシ−4−クロロフェニル等のような三置換フェニルを含む)、アミノ、−−SO2NH2、−−SO2NH(脂肪族)、−−SO2N(脂肪族)2、−−O−脂肪族−−COOH、および−−O−−脂肪族−NH2(これは、1つまたは2つの、N−脂肪族またはN−アシル置換基を含有してもよい)を含む基から選択される1つまたはそれ以上の置換基を有する置換フェニルを包含する。
【0062】
本発明によれば、ライブラリーが、式IまたはI’で示される化合物の少なくとも約1つのタイプの鏡像異性的に濃縮された混合物から構成されることも好ましい。
【0063】
他の好ましい化合物ライブラリーは、下記式IIまたはII’:
【0064】
【化14】
(式中、
XおよびYはそれぞれ独立して、O、S、Se、NR1NR2、CR1CR2、OR、SRおよびSeRからなる群から選択されるか、あるいはXおよびYの一方または両方が、酵素的に反応性を有する部分であり;
Rは、水素、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または好ましくは1〜3個の縮合していない環もしくは縮合環、および1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する必要に応じて置換されたヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基であり;
R1、R2、R3はそれぞれ独立して、Rで定義される基から選択され;
Bは、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン、必要に応じて置換されたシトシン、または必要に応じて置換されたグアニン(ここで好ましくは、必要に応じた置換基は、アルキル、炭素環式アリール、または好ましくは1〜3個の縮合していない環もしくは縮合環、および1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有するヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基、あるいは糖環に共有結合する複素環構造である)である;
を有する2つまたはそれ以上の化合物、およびそれらの薬学的に受容可能な塩を含む。
【0065】
本発明によれば、化合物ライブラリーを含む好ましい化合物は、下記式IIIまたはIII’:
【0066】
【化15】
(式中、
XおよびYはそれぞれ独立して、O、S、Se、NR1NR2、CR1CR2、OR、SRおよびSeRからなる群から選択されるか、あるいはXおよびYの一方または両方が、酵素的に反応性を有する部分であり;
Rは、水素、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または好ましくは1〜3個の縮合していない環もしくは縮合環、および1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有する必要に応じて置換されたヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基であり;
R1、R2、R3はそれぞれ独立して、Rで定義される基から選択され;
Bは、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン、必要に応じて置換されたシトシン、または必要に応じて置換されたグアニン(ここで好ましくは、必要に応じた置換基は、アルキル、炭素環式アリール、または好ましくは1〜3個の縮合していない環もしくは縮合環、および1〜3個のN原子、O原子もしくはS原子を有するヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基、あるいは糖環に共有結合する複素環構造)である;
を有する少なくとも約1つの化合物、およびそれらの薬学的に受容可能な塩を包含する。
【0067】
本発明によれば、ライブラリーは、C−2’エンド配座の少なくとも約1つのフラノース環、またはC−3’エンド配座の少なくとも約1つのフラノース環を有する、少なくとも約1つの化合物から構成される。また、C−2’エンド配座の少なくとも約1つのフラノース環、およびC−3’エンド配座の少なくとも約1つのフラノース環を有する、化合物から構成されるライブラリーも好ましい。
【0068】
好ましくは、化合物ライブラリーは、少なくとも約1〜約50ヌクレオシド残基の長さを有する化合物から構成され、より好ましくは、化合物は、少なくとも約1〜10ヌクレオシド残基の長さを有し、最も好ましくは、化合物は、少なくとも約1〜5ヌクレオシド残基の長さを有する。
【0069】
本発明によれば、ライブラリーは、少なくとも約1ヌクレオシド残基、または少なくとも約2ヌクレオシド残基、または少なくとも約3ヌクレオシド残基、または少なくとも約4ヌクレオシド残基を有する、化合物から構成され得る。
【0070】
ライブラリーは、当業者に周知の技法を用いて構築することができる。例えば、ライブラリーは、固相合成または液相合成を用いて構築される。固相コンビナトリアルケミストリーの選択される概説に関しては、Houghten,R.A.;Pinilla,C.;Appel,J.R.;Blondelle,S.E.;Dooley,C.T.;Eichler,J.;Nefzi,A.;Ostresh,J.M.J.Med Chem.1999,42,3743−3778を参照されたい。液相コンビナトリアルケミストリーの選択される概説に関しては、(a)Baldino,C.M.J.Comb.Chem.2000,2,89−103、(b)Boger,D.L.;Goldberg,J.Multiple solution−phase;combinatorial chemistry,Combinatorial Chemistry:A Practical Approach,Vol.2;Fenniri,H.編;Oxford University Press: Oxford,1999、(c)Gayo,L.M.Biotechnol.Bioeng.1998,61,95−106を参照されたい。
【0071】
本発明によれば、容易なパラレル液相化学が、ファルマコアベースの化学的多様性の供給源としてヌクレオシドアナログのコンビナトリアル合成を実施するために開発されてきた。合成サイクルに適合される反応は、最終脱保護工程を除いて、ワンポット反応系中で高収率にて、室温で実施される。有機溶媒と水との間を分配させる効率的でかつ利便性の高い液/液抽出戦略を、多くの場合液相コンビナトリアルケミストリーの適用に関連した、中間体/生成物精製の難問を首尾よく対処するように適応させた。したがって、得られるライブラリーの成員は、90%を超える純度を有する別個の化合物として存在する。
【0072】
本明細書中で使用される場合、「ファーマコフォア(pharmacophore)ベースの多様性」は、すでに同定された分子またはファーマコフォアと類似した特性を有する分子の物理的特性および化学的特性に基づいて同一および/または密接に関連した多様性を表す化合物である。類似性の原則として、分子の任意の対に関して、活性の差が構造の差に関連することを要する。
【0073】
化合物ライブラリーで使用するのに適切な化合物の特性を決定するための様々な方法、例えば米国特許第6,240,374号(これは、その全体が参考として本明細書に援用される)を利用することができる。この参照文献は、以下の尺度:2次元尺度および3次元尺度を利用する。本明細書で使用する場合、「2次元尺度および3次元尺度」とは、分子の2次元および3次元の特徴に関する情報を具体的に取り入れる任意の用語を含む分子の表現を意味する。これらの尺度は、分子の幾何学的特徴を考慮し、またそのトポロジー、すなわち結合により結合された原子のネットワークから誘導可能な特性を反映する。
【0074】
本明細書中で使用される場合、「2次元フィンガープリント」は、データストリング中のビットがその分子中の所定の2〜7原子フラグメントの発生に対応して設定される2D分子尺度を意味する。典型的に、およそ900〜2400ビットのストリングを使用する。特定ビットは、多くの異なるフラグメントにより設定されてもよい。
【0075】
本明細書中で使用される場合、「コンビナトリアルスクリーニングライブラリー」とは、アッセイでスクリーニングするために使用されるべき分子のコンビナトリアル入手可能領域から選択される分子のサブセットを意味する。
【0076】
本明細書中で使用される場合、「分子構造的記述子(molecular structural descriptor)」または「記述子(descriptor)」とは、分子の活性を決定する物理的特性および化学的特性の定量的表現を意味する。用語「距離(metric)」は、分子構造的記述子と同義語であり、本出願全体にわたって交換可能に使用される。
【0077】
本明細書で使用する場合、「パターソンプロット」とは、いくつかの距離における分子間の距離をX軸にプロットし、同じ分子に関するいくつかの生物活性の絶対的な差をY軸にプロットする2次元散布図を意味する。
【0078】
本明細書中で使用される場合、「S字型プロット」とは、第2の分子も活性な分子対の割合をY軸にプロットし、2つ1組のTanimotoの類似性をX軸に一定間隔でプロットする2次元プロットを意味する。
【0079】
本明細書で使用する場合、「トポメリックアラインメント」は、アラインメント規則のセットに基づいた合致アラインメントを意味する。
【0080】
分子多様性を有する化合物ライブラリーを設計する際に、当業者に既知の任意の方法を使用してもよい。好ましい方法としては、構造活性相関(SAR)が挙げられ、例えば、Clark−Lewis et al., 「Structure−Activity Relationships of Interleukin−8 Determined Using Chemically Synthesized Analogs」, J. Biol. Chem. 266(34): 23128−23134 (1991)、および米国特許第6,240,374号に記載される方法を参照のこと。簡潔に述べると、後者の方法には、任意の確かな分子構造記述子が「近隣特性(neighborhood property)」を有さなくてはならないということが必要である。すなわち、記述子は、類似の構造(記述子によって規定されるような)が実質的に類似した生物特性を有するように、それが化学的領域を測定するという類似性の原則の制約に応じなくてはならない。あるいは、少し異なった言い方をすれば、いくつかの生物学的特性を有する任意の所定の分子の記述子空間のいくつかの半径内に、その半径内に見出される他の分子も同じ生物特性を有するという高い蓋然性が存在すべきである。記述子が近隣特性を有さない場合、それは類似性の原則に応じず、確かではあり得ない。
【0081】
本発明に従って、任意の所定の距離が従順であるか否かを定量的に解析するために、近隣原則は、好ましくは、抗ウイルス的介入のための新規分子標的を同定する際の使用についてのパターンを決定するために使用される。生物学的活性の絶対値もまた、構造的距離を有する依存変数を、独立変数としてみなしてきた。これは、伝統的なQSAR(定量的構造活性相関)に関する場合であり、それはまた本発明において化合物を同定するのに使用する好ましい方法である。
【0082】
構造の小さな違いが、活性の小さな違いに関連するはずであるが、その逆が必ずしも真であるとは限らない、すなわち活性の大きな違いが、構造の大きな違いに必ずしも関連するわけではないということに留意しなくてはならない。したがって、生物学的差異および構造的(距離)差異の両方の尺度での差異を使用することが重要である。したがって、各分子に対する距離により割り当てられる値を考察するのではなく、分子の各対に関する距離値の絶対的差異が独立変数であり、分子の各対に関する生物学的活性の絶対的差異が依存変数である。絶対値は、それが差であって、その徴候ではないため使用され、それが重要である。したがって、同定したライブラリーのメンバーは、コンビナトリアルライブラリーを構築するのに使用される。
【0083】
ライブラリーのメンバーは、パラレル液相化学を用いて別個の化合物として合成される(図6)。重要な前駆体であるチオホスホトリエステル6は、反応物を段階的に添加することにより、高収率で、室温にてワンポット反応系中で市販の3’−ホスホルアミダイト4から合成される。1H−テトラゾールの存在下でのCH3CN中でのアルコール3および3’−ホスホロアミダイト4の反応により、TLC分析で示される場合の定量的収率で、ホスファイトトリエステル5が得られる。5を単離する必要なく、3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン(3H−BD)9を反応混合物に添加して、5を酸化的に硫化して、チオホスホトリエステル6を得る。液/液抽出による予備精製後、対応する保護基を除去するためにNH4OH(28%、55℃、4時間)およびDowex樹脂で順次処理することで、粗製トリエステル6を最終生成物であるホスホロチオエート2に定量的に変換する。
【0084】
コンビナトリアルライブラリーの合成にパラレル液相化学を適用する際のチャレンジの1つは、多くの場合液相化学に関連した時間のかかる他の精製手法(例えば、クロマトグラフィ)を排除するための利便性の高くて効率のよい単離/精製技法を開発することである。この問題は、有機溶媒と水との間で分配させる便利な2段階液/液抽出戦略を設計することで克服される(図6)。抽出戦略は、所望のホスホロチオエート生成物2が親水性(水溶性)であるが、その中間前駆体のチオホスホトリエステル6が疎水性(有機溶媒可溶性)であり、また化合物6は定量的に化合物2に変換することができるという事象に基づいている。第1の液/液抽出を、チオホスホトリエステル6が形成された後に適用した。酢酸エチル(EtOAc)と2%NaHCO3水溶液との間で分配させることで、有機可溶物6をEtOAc中に保持する一方で、水溶性副生成物(例えば、硫化副生成物である1−ベンゾチオール−2−オキサ−3−オンスルホキシド、ジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド)およびすべてのこれまでの反応からの他の過剰な試薬(例えば、1H−テトラゾール)が繰り返しの水性の洗浄により除去される。第2の抽出を、化合物2が形成された後に適用する。CHCl3とH2Oとの間で分配させることで、親水性ホスホロチオエート2がH2Oに保持される一方で、生成物混合物中のCHCl3可溶性成分、すなわちアンモニアによる脱保護反応から生成したものか、あるいはこれまでの反応から6とともに繰り越されてきたもののいずれかは、繰り返しのCHCl3洗浄により除去される。第2の抽出後、HPLC分析10(C−18、逆相、λ260)により、所望の生成物2が90%を超える純度で水層中に生じていることが示される(図4)。
【0085】
化合物7の5’−末端にあるジメトキシトリチル基を除去するのに2つのアプローチを使用する。従来のアプローチには、1〜2時間、80%酢酸で処理することが包含される11。最近の報告は、Dowex樹脂(強酸型、Dowex500 WX 8−200、Aldrich)が脱トリチル化に効率的に使用することができる(10分)ことを示している12。両方のアプローチを使用することができるが、好ましい方法は、Dowex樹脂捕獲手法の使用である。パラレルライブラリー合成でDowex樹脂捕獲手法を使用する利点は、以下である:(a)操作の容易さと利便性;(b)脱トリチル化の時間の低減(酢酸1〜2時間に対してDowex樹脂10分);(c)酢酸に対するヌクレオシドの長期の曝露により引き起こされる脱プリン化(depurization)を最小化すること;(d)刺激性の酢酸の蒸発の廃止。アンモニア処理後に、化合物7を含有する得られた混合物を、脱トリチル化用のDowex H+のショートカラムに通して、生成物12を得る13。
【0086】
最終脱塩工程(C−18カートリッジ、Gilson)を用いて、無機塩を除去し、こうして得られた生成物2は、95%を超える純度を有する。NMRおよびMSによる分析により、ライブラリーメンバーの構造が確認された。選択したメンバーのスペクトル分析により、検出可能な塩基修飾は合成中に出現しなかったことが明らかとなった。代表的なライブラリーメンバーの化学構造を図5に表し、それらの対応するスペクトル分析を図4および表6に示す。
【0087】
官能性疎水性基を有するヌクレオシドの5’末端を束縛する好ましい方法は、パラレル固相および液相のコンビナトリアルケミストリーを用いてホスホロチオエートリンカーにより達成される。5’−修飾ヌクレオチドアナログ1(図2)の「薬剤様」属性は、肝炎ウイルスおよびヘルペスウイルスの複製に対してライブラリーメンバーをスクリーニングすることにより評価され、多数の「ヒット」が、細胞ベースのアッセイで同定される。かかる細胞ベースのアッセイは、当該分野で周知であり、例えばプラーク減少アッセイ等が挙げられる。ヌクレオシドの3’末端が様々な官能性疎水性基を保有する一般構造2のライブラリー(図2)を構築する。
【0088】
ライブラリーは、自動液相合成を用いて構築することもできる。
【0089】
ライブラリーのメンバーは、合成オリゴヌクレオチドから構成されてもよい。好ましい合成オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つ、好ましくは1つより多い修飾を含む。修飾としては、例えば、ヌクレオチド間連結、塩基または糖の部分、キャップされた末端、およびキメラまたはハイブリッドのオリゴヌクレオチドの修飾が挙げられる。
【0090】
合成オリゴヌクレオチドとしては、ヌクレオチド間連結により結合されたデオキシリボヌクレオチドおよび/またはリボヌクレオチドのモノマーの化学的合成ポリマーが挙げられる。オリゴヌクレオチドは、完全なデオキシリボヌクレオチド、完全なリボヌクレオチド、あるいはハイブリッドオリゴヌクレオチドおよび逆位ハイブリッドオリゴヌクレオチドを含むデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの組合せから構築されてもよい。ハイブリッドオリゴヌクレオチドは、リボヌクレオチドの隣接領域間に介在したデオキシリボヌクレオチドのコア領域を含有する。逆位ハイブリッドは、デオキシリボヌクレオチドの隣接領域間に介在したリボヌクレオチドのコア領域を含有する。
【0091】
本発明の合成オリゴヌクレオチドは、1つのモノヌクレオチドペントース環の5’基と、隣接したモノヌクレオチドの3’基との間の標準的なホスホジエステルのヌクレオチド間連結により結合されてもよい。かかる連結はまた、5’から5’へ、3’から3’へ、2’から5’へ、および2’から2’へ、あるいはそれらの任意の組合せを含む種々の結合部位を用いて確立することができる。ホスホジエステル結合のほかに、モノヌクレオチドはまた、アルキルホスホネート、ホスホロチオエート、ホルホロジチオエート、アルキルホスホノチオエート、ホスホルアミデート、カルバメート、カーボネート、ホスフェートトリエステル、アセトアミデート、またはカルボキシメチルエステル連結、あるいはそれらの任意の組合せにより結合されてもよい。好ましくは、本発明のオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結からなり、より好ましくはオリゴヌクレオチド中の連結すべてが、ホスホロチオエートヌクレオチド間連結である。
【0092】
本発明のオリゴヌクレオチドは、すべてのモノヌクレオチドが同じ型のヌクレオチド間連結により、あるいはキメラオリゴヌクレオチドまたは逆位キメラオリゴヌクレオチドを含む異なるヌクレオチド間連結の組合せにより結合されるように構築されてもよい。キメラオリゴヌクレオチドは、メチルホスホネートまたはホスホルアミデートの隣接領域間に介在したホスホロチオエートコア領域を有する。逆位キメラオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート隣接領域間に介在した非イオン性コア領域(例えば、アルキルホスホネートおよび/またはホルホルアミデートおよび/またはホルホトリエステルヌクレオチド間連結)を有する。
【0093】
本発明の合成オリゴヌクレオチドは、アデニン、シトシン、グアニン、イノシン、チミジンまたはウラシルのモノヌクレオチドから構築されてもよい。好ましいオリゴヌクレオチドは、モノヌクレオチドの塩基部分および/または糖部分に対する修飾を含有するモノヌクレオチドから構築される。塩基または糖に対する修飾としては、アルキル、炭素環式アリール、1〜3個の独立環または融合環を有し、かつ1〜3個のN、OまたはS原子を有するヘテロ芳香族基またはヘテロ脂環式基、あるいは複素環構造の共有結合置換基が挙げられる。
【0094】
アルキル基は、好ましくは、1〜約18個の炭素原子、より好ましくは1〜約12個の炭素原子、最も好ましくは1〜約6個の炭素原子を含有する。アルキル基の具体例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デジル等が挙げられる。
【0095】
アラルキル基としては、6つまたはそれ以上の炭素原子を有する炭素環式アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、フェナンチル、アントラニル等)により置換された上述のアルキル基が挙げられる。
【0096】
シクロアルキル基としては、好ましくは、3〜約8個の環炭素原子を有し、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、1,4−メチレンシクロヘキサン、アダマンチル、シクロペンチルメチル、シクロへキシルメチル、1または2−シクロへキシルエチル、および1、2または3−シクロへキシルプロピル等である。
【0097】
例示的なヘテロ芳香族基およびヘテロ脂環式基としては、ピリジル、ピラジニル、ピリミジル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾチアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリノ、およびピロリジニルが挙げられる。
【0098】
足場に対する様々な修飾の良好な分類に関して、Kaztritzky, A. R.; Kiely, J. S.; Hebert, N.; Chassaing, C. Definition of templates within combinatorial libraries. J. Comb. Chem. 2000, 2, 2−5を参照のこと。
【0099】
他の修飾としては、オリゴヌクレオチド分子の内部であるか、またはその末端にある修飾が挙げられ、コレステリル、コレステロール、または2つのアミノ基間の様々な数の炭素残基を有するジアミン化合物のようなヌクレオシド間リン酸連結での分子への付加、および切断するか、あるいは反対側の鎖に、または関連ウイルスゲノムに結合する酵素もしくは他のタンパク質に架橋する末端リボース、デオキシリボースおよびリン酸修飾が挙げられる。非ヌクレオシドリンカーを含むさらなるリンカーとしては、様々な長さのポリエチレングリコール(例えば、トリエチレングリコール、モノエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール)(Ma et al. (1993) Nucleic Acids Res. 21: 2585−2589; Benseler et al. (1993) J. Am. Chem. Soc. 115: 8483−8484)、ヘキシルアミン、およびスチルベン(Letsinger et al, (1995) J. Am. Chem. Soc. 117: 7323−7328)、あるいは塩基欠如(abasic)リンカーまたは市販の非対称リンカーおよび対称リンカーを含む任意の他の市販のリンカー(CloneTech, Palo Alto, California)(例えば、Glen Research Product Catalog, Sterling, VA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
さらに、オリゴヌクレオチドの3’末端にてリボースでキャップされたオリゴヌクレオチドを、NaIO4酸化/還元的アミノ化に供してもよい。アミノ化としては、以下の部分:スペルミン、スペルミジン、トリス(2−アミノエチル)アミン(TAEA)、DOPE、長鎖アルキルアミン、クラウンエーテル、補酵素A、NAD、糖、ペプチド、デンドリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
オリゴヌクレオチドはまた、その3’末端および/または5’末端にて嵩高い置換基でキャップされてもよく、あるいはヌクレオチド1つ当たり一方または両方の隣接酸素で置換されてもよい。かかる修飾は、ヌクレオチド間連結のいくつかまたはすべてにて、ならびにオリゴヌクレオチドの一端または両端にて、および/または分子の内部であり得る(Agrawal et al. (1992) Trends Biotechnol. 10: 152−158に概説されている)。キャップされた種のいくつかの非限定的な例としては、3’−O−メチル、5’−O−メチル、2’−O−メチル、およびそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0102】
本発明の合成オリゴヌクレオチドは、当該分野で認識される方法により調製することができる。例えば、ヌクレオチドは、ホスホルアミダイト、H−ホスホナート化学、またはメチルホスホルアミダイト化学のような当該技術分野で認識される技法を用いて共有結合することができ(例えば、Goodchild (1990) Bioconjugate Chem. 2: 165−187; Uhlmann et al. (1990) Chem. Rev. 90: 543−584; Caruthers et al. (1987) Meth. Enzymol. 154: 287−313; 米国特許第5,149,798号を参照のこと)、それは、手動で、あるいは自動合成機により実施し、続いてプロセスすることができる(Agrawal et al., (1992) Trends Biotechnol. 10: 152−158に概説されている)。ホスホロチオエート連結を有するオリゴヌクレオチドは、ホスホルアミダイト(例えば、Agrawal et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 85: 7079−7083を参照のこと)、またはH−ホスホナート化学(例えば、Froehler (1986) Tetrahedron Lett. 27: 5575−5578を参照のこと)のような当該分野で周知の方法を用いて調製することができる。Bergot et al.(J. Chromatog. (1992) 559: 35−42)に記載される合成方法もまた、使用することができる。他の型の修飾ヌクレオチド間連結を有するオリゴヌクレオチドは、既知の方法に従って調製することができる(例えば、Goodchild (1990) Bioconjugate Chem. 2:165−187; Agrawal et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 85: 7079−7083; Uhlmann et al. (1990) Chem. Rev. 90: 534−583; およびAgrawal et al. (1992) Trends Biotechnol. 10: 152−158を参照のこと)。
【0103】
別の局面では、本発明は、薬学的組成物を提供する。薬学的組成物は、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の化合物ライブラリーのクラスの物理的混合物である。
【0104】
本明細書中で使用される場合、「ライブラリーのクラス」とは、上述のそれらの化学的特性または物理的特性に基づいた多様性のカテゴリーの範疇にある生成ライブラリーをいう。異なるライブラリーのクラス中の異なる化合物は、足場の配列、修飾、および/または長さに依存して標的分子に関して異なる特異性を有し得る。いくつかの実施形態では、この薬学的処方物はまた、生理学的または薬学的に受容可能なキャリアを包含する。特定の実施形態では、治療的量の脂質キャリアを包含する。
【0105】
本明細書中で使用される場合、「抗真菌的有効量」または「抗ウイルス的有効量」、あるいは「抗細菌性ウイルス的有効量」という用語は、「治療的有効量」または「有効量」と交換可能に使用され、無毒性であるが、任意の医療処置に伴う正当な有益性/危険性の比での所望の局所または全身性の効果と効能を提供するのに十分な、薬物または薬理学的活性剤の量を意味する。
【0106】
本明細書中で使用される場合、「薬学的に受容可能な」成分は、正当な有益性/危険性の比に相応する不都合な有害な副作用(例えば、毒性、刺激、およびアレルギー応答)なく、ヒトおよび/または動物で使用するのに適切なものである。
【0107】
本発明のライブラリーのクラスは、治療的に活性な化合物として使用するのに、特に単純ヘルペスウイルス(HSV)の制御または防止に使用するのに適している。in vitroアッセイ(実施例5を参照のこと)は、HSVプラーク形成の有意な抑制を示す。
【0108】
本発明のこの局面では、ウイルス複製を阻害するために、ライブラリーのクラスを含有する、治療上有効量の薬学的組成物を細胞に投与する。同様の局面では、本発明のライブラリーのクラスを、治療的な量の、少なくとも1種のライブラリーのクラス、いくつかの実施形態では少なくとも2種のライブラリーのクラスを含有する薬学的組成物を、感染動物または細胞に投与する工程を包含する、ウイルスに感染したヒトまたは他の哺乳動物の治療に使用することができる。
【0109】
本発明のライブラリーのクラスの投与を含む方法すべてにおいて、少なくとも1種、好ましくは2種以上の同一のまたは異なるライブラリーのクラスを、別個の薬学的組成物の形態での単回処置エピソードとして同時にあるいは順次、投与してもよい。
【0110】
より具体的には、本発明は、HSVのようなウイルスに関連した疾患にかかりやすい哺乳動物の処置方法(予防的処置)か、またはそれを患っている哺乳動物の処置方法を含む。本発明の方法は、治療的有効量の本発明の1つ以上の化合物を、ウイルス感染した細胞、例えば哺乳動物細胞、特にヒト細胞に投与することを含む。
【0111】
本発明の化合物の投与は、経口、局所(経皮、バッカルまたは舌下を含む)、鼻および非経口(腹腔内、皮下、静脈内、皮内、または筋内注射を含む)を含む様々な適切な経路によりなされてもよいが、経口または非経口投与が一般に好ましい。好ましい投与方法および投薬量は、例えばレシピエントの状態および年齢により様々であり得ることも明白である。
【0112】
本発明の化合物は、別の抗ウイルス剤、または抗癌剤のような他の薬学的に活性な医薬と併用して治療に使用してもよい。さらに、本発明の1つ以上の化合物を単独に投与してもよい一方で、それらはまた、便利な賦形剤、すなわち非経口、経口もしくは他の所望の経路に適切であり、活性な化合物と有害に反応せず、かつそれらのレシピエントに有害でない、薬学的に受容可能な有機キャリアまたは無機キャリアと混合した薬学的組成物の一部として存在してもよい。適切な薬学的に受容可能なキャリアとしては、水、塩溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリド、石油エーテル脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的調製物は、滅菌することができ、所望の場合には、活性化合物と有害に反応しない補助剤、例えば潤滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝液、着色剤、風味および/または芳香族物質などと混合することができる。
【0113】
非経口用途では、溶液、好ましくは油性溶液または水溶液、ならびに懸濁液、乳化液、または坐剤を含む移植物が特に適している。アンプルは、便利な単位投薬である。
【0114】
経腸用途について、タルクおよび/または炭水化物キャリア結合剤等を有する錠剤、糖衣剤またはカプセルが特に適しており、キャリアは、好ましくは、ラクトースおよび/またはコーンスターチおよび/またはポテトスターチである。甘味媒質を使用したシロップ剤、エリキシル剤等を使用することができる。活性成分が例えばマイクロカプセル化、マルチプルコーティング等により差次的分解性コーティングで保護された徐放性組成物を処方することができる。
【0115】
本発明の治療用化合物はまた、リポソームに組込んでもよい。組込みは、既知のリポソーム調製手法(例えば超音波処理および押出)に従って実施することができる。リポソーム調製の適切な従来法はまた、例えばA.D. Bangham et al., J. Mol. Biol., 23:238−252 (1965)、F. Olson et al., Biochim. Biophys. Acta, 557: 9−23 (1979)、F. Szoka et al., Proc. Nat. Acad. Sci., 75:4194−4198 (1978)、S. Kim et al., Biochem. Biophys. Acta, 728: 339−348 (1983)、およびMayer et al., Biochim. Biophys. Acta, 858: 161−168 (1986)に開示されている。
【0116】
所定の療法で使用される活性化合物の正確な好ましい量は、利用される特定化合物、処方される特定組成物、適用様式、投与の特定部位等に従って変化する。投与の所定のプロトコルについての最適投与の割合を、従来の投与量決定試験を用いて、当業者によって容易に確定され得る。
【0117】
本明細書中に記載した文書はすべて、参考として本明細書中に援用される。
【0118】
以下の実施例により、本発明をさらに説明する。これらの実施例は、本発明の理解を助長するために提供するものであり、本発明を限定するものと解釈されない。
【0119】
(実施例)
(物質および方法)
(一般的方法)
1H、13C、31PNMRスペクトルを、500MHzのNMRスペクトロメータ(Bruker)上で収集した。MSを、ネガティブモードでエレクトロスプレーにより行った。HPLC分析を、Radial−Pak液体クロマトグラフィーカートリッジ(内径8mm、8NVC18)を用い、フォトダイオードアレイUV検出器996、オートサンプラー717およびMilleniumを備えたWaters 600システムで行った。C−18カートリッジ(100mg)を、Gilsonから購入し、脱塩を、Gilson固相抽出システム(Gilson solid−phase extraction system)(Gilson、ASPEC XL)で行った。QIAシュレッダースピンカラム(QIAshredder spin column)を、Qiagenから購入した。N保護ヌクレオシドホスホルアミダイト4a〜hを、CruaChem(Aston, PA)から購入した。Dowex樹脂(強酸型、Dowex500WX8−200)を、使用前に洗浄した。他のすべての試薬を、市販の供給源より得、精製することなく使用した。
【0120】
(ライブラリーアセンブリの一般的手順(スキーム1を参照のこと))
ライブラリーアセンブリの一般的手順を図6に例示する。30μmolの濃度の各アルコール3、および、20μmolの濃度のヌクレオシドアミダイト各4を、CH3CN中1H−テトラゾールの溶液(1ml、100μmol)を入れた一連のコニカルマイクロチューブ(2mL、Ultident Scientific製)に、アルゴン下で順次添加した。混合物は、室温で5分間、プラットフォームシェーカーで振盪した。次いで、CH3CN中の3H−BD(40μmol)をSpeed Vacで蒸発させた。次いで、酢酸エチル(EtOAc)1ml、次いで、2%炭酸ナトリウム水溶液(0.5ml)を添加した。相の徹底的な混合の後、中間体であるチオホスフェートトリエステル6を含む有機層を分離し、蒸発させて乾固させた。次いで、NH4OH水溶液(28%、1ml)を各マイクロチューブ中の残渣に添加した。しっかりと蓋をしたチューブを、55℃で4時間加熱した。アンモニア性水溶液をSpeed Vacで濃縮して乾固させた。内容物を水(0.5ml)に溶かし、次いで、Dowex H+(50mg)を含有したスピンカラム(QIAシュレッダー)に添加した。10分間振盪した後、カラムをレセプタクルバイアル中に配置し、遠心分離した。
【0121】
流出液(flow−through)を集め、水で1mlに希釈し、クロロホルム(2×0.4ml)で抽出した。次いで、水層をC−18カートリッジに通した。次いで、カートリッジを水で洗浄し、生成物2をCH3CN/H2O(10/90を2ml、50/50を2ml)で溶出させた。対応する溶出物を集め、Speed Vac.で乾固するまで蒸発させ、生成物2を高純度(>95%、λ260でのC−18HPLC分析)の白色固体として得た。A260単位をベースとして定量化を達成したところ、生成物1の収率は、4から出発して75%〜90%の範囲であることがわかった。
【0122】
設計ライブラリーの「薬剤様」属性および化学的多様性
核酸ベースの(NABTM)骨格(図1)に基づいて構築されるライブラリーの薬学的関連性および化学的多様性は、以下のような複数の要因によって認識され得る:(a)P1およびP2要素を含むヌクレオシドファルマコフォアは、これら特有の「空間形状(shape−in−space)」特性および水素結合特性により、最初の標的(核酸またはタンパク質)の認識要素を提供し得る;(b)P4要素(R基、図1および図2ならびに表1)は、多様な疎水性要素を組み入れるきっかけを提供するさらなる官能的変異体として機能することができ、特異的な「薬剤」−標的の相互作用を容易にする;(c)ホスホロチオエートリンカー(図2)の負に荷電した要素は、ヌクレオチドアナログと標的とのイオン性相互作用を提供し得る一方で、化合物に水溶性を付与し得る;(d)重要なことに、2’−置換基(P3要素、図1および図2)は、構造変異体としてフラノース骨格を有意に異なる立体配座パッカー(pucker)(例えば、C2’−エンドパッカー 対 C3’−エンドパッカー、図3)に「固定(lock)」し、これにより、フラノース骨格に結合した官能基(例えば、P2およびP4)の局所的および/または全体的な突出(projection)における全体的な変化を可能とする。
【0123】
アルコール構成単位(building block)
表1に示すアルコールを、官能的変異体R基を組み入れるための構成単位として用いた(図2)。ライブラリー構築用のアルコールの選択は、空間形状の可変的な空間的表示と、電荷移動と、ファンデルワールス相互作用とによる分子多様性に対するアルコールの寄与度に基づいた。このような官能的多様性は、(1)ヌクレオシドアナログと標的レセプターとの間の高い親和性の結合を促進する疎水性相互作用を提供するため、および/または(2)ヌクレオシドアナログの細胞間および/または細胞内送達を補助するためのリガンドとそのレセプターとの間の特異的相互作用を調べるために意図された。
【0124】
パラレル液相化学を用いたライブラリーの構築
3’−修飾ヌクレオシドアナログの所望のライブラリー(ライブラリー2の一般構造を図2に示す)を生成するための戦略は、ライブラリー1(その一般構造を図2に示す)の5’−修飾ヌクレオシドアナログのライブラリーの構築に用いた方法と同様であった。ライブラリーの成員を、図6に示すパラレル液相化学を用いて、別個の化合物として合成した。鍵(key)となる前駆体であるチオホスホトリエステル6は、市販の3’ホスホルアミダイト4から、反応物を段階的に添加することにより、室温でワンポット反応系で収率よく合成することができた。1H−テトラゾール存在下での、CH3CN中のアルコール3と3’ホスホルアミダイトとの反応により、TLC分析により示されたようにホスホスファイト(phosphosphite)トリエステル5が定量的な収率で得られた。5を単離する必要なく、3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン(3H−BD)を反応混合物に添加して5を酸化的に硫化し、チオホスホトリエステル6を生成した。続いて、液/液抽出により予備精製した後、粗製トリエステル6をNH4OH(28%、55℃、4時間)と、Dowex樹脂とで順次処理して、対応する保護基を除去することにより、最終生成物であるホスホロチオエート2に定量的に変換した。
【0125】
液相化学にしばしば関係する、他の時間のかかる精製手順(例えば、クロマトグラフィー)を省くため、有機溶媒と水との間に分配させる、簡便な2段階液/液抽出戦略(図6)を設計した。抽出戦略は、所望のホスホロチオエート生成物2は親水性であるが、その中間前駆体であるチオホスホトリエステル6は疎水性(有機溶媒に可溶)であり、そしてまた化合物6は定量的に化合物2に変換され得るという特有の性質に基づいた。第1の液/液抽出は、チオホスホトリエステル6が形成された後に施した。EtOAcと2%NaHCO3水溶液との間に分配させることにより、有機溶媒に可溶な6はEtOAcに保持される一方、水溶性の副生物、例えば、1−ベンゾチオール−2−オキサ−3−オンのような硫化副生物、ジイソプロピルアンモニウムテトラゾリドのようなスルホキシドおよび1H−テトラゾールのようなすべての先の反応に由来する他の過剰な試薬は、繰返し水で洗浄することにより除去された。
【0126】
第2の抽出は、化合物2が形成された後に施した。CHCl3とH2Oとの間に分配させることにより、親水性ホスホロチオエート2はH2O中に保持される一方、生成混合物中のCHCl3に可溶な成分(アンモニアによる脱保護反応から生成された成分または先の反応から6とともに持ち越された成分のいずれか)は、CHCl3での洗浄を繰り返すことにより除去されたことが予想される。第2の抽出の後、HPLC分析(C−18、逆相、λ260)により、所望の生成物2が水層中に90%を超える高い純度で存在していることが示された(図4)。
【0127】
化合物7の5’−末端のジメトキシトリチル基を除去するために2つのアプローチが使用され得る。従来のアプローチは、80%酢酸中での1〜2時間の処理を含む。最近の報告では、Dowex樹脂(強酸型、Dowex500WX−8−200、Aldrich)が脱トリチル化(10分)に有効において使用され得ることが示された。
【0128】
両方のアプローチを用いることができるが、パラレルライブラリー合成においてDowex樹脂捕獲を用いることの利点は、以下の通りである:(a)操作の容易さおよび簡便さ;(b)脱トリチル化に要する時間の削減(酢酸の1〜2時間に対し、Dowexでは10分);(c)ヌクレオシドを酢酸に長時間曝露することに起因する脱プリン化の最少化;(d)刺激臭のある酢酸を蒸発させなくて済むこと。アンモニア処理の後、続いて、化合物7を含む残留混合物を脱トリチル化のためにDowex H+のショートカラムに通し、生成物2を得た。
【0129】
最後の脱塩工程(C−18カートリッジ、Gilson)を用いて、無機塩を除去し、このようにして得られた生成物2は95%を超える高い純度であった。NMRおよびMSによる分析で、ライブラリー成員の構造を確認した。選択した成員のスペクトル分析から、上記合成の間は、検出可能な塩基修飾は起こらないことが明らかとなった。代表的なライブラリー成員の化学構造を図5に示し、その対応するスペクトル分析を図4および表6に示す。
【0130】
ES−MS分析(ネガティブモード)
サンプル中の分析物の存在を確認するため、まず、各サンプルについてスキャンスペクトルを得た。次いで、分析物に関するMS/MSスペクトルを取得し、サンプルについての構造的な情報を得た。サンプルは、20mMのトリエチルアミンを含むイソプロパノール/H2O(lit)に溶解させた。
【0131】
ライブラリー1〜4の構築
ライブラリー合成(5〜15μmolスケール)を、標準自動DNA合成プロトコル(DMT−off)を用いて行った。酸化的硫化は、3H−1,2−ベンゾジチオール(henzodithiole)−3−オン−1,1−ジオキシド13を用いて達成された。合成の後、N2を用いてCPGを乾燥し、そしてこれを5mL遠心管に移した。水酸化アンモニウム水溶液(28%、4mL)を添加し、その混合物を55℃で3〜6時間加熱した。得られた懸濁液を冷却し、遠心分離した。溶液を、Speed Vacで蒸発させた。得られた生成物をそれぞれ、水(3〜5mL)に溶解させ、酢酸エチル(2×1mL)で抽出した。水層を蒸発させて過剰な酢酸エチルを除去し、残渣を超純水中に溶解し、0.2μmフィルタで濾過した。凍結乾燥して、白色の泡状体として生成物を得た。
【0132】
ライブラリー5の構築
必要とされるジヌクレオチドH−ホスホネートを、標準H−ホスホネート化学を用いて固体支持体上に構築した。洗浄した後、乾燥したCPGを5mL遠心管に移し、アミンのCCl4溶液(10%、3〜4mL)を加えた14。混合物を、20〜30分間振とうした。洗浄した後、CPGを28%NH4OH水溶液で処理した(55℃、3〜6時間)。懸濁液を冷却し、遠心分離させた。この溶液を真空内で蒸発させて乾固させ、残渣をH2O(5mL)に溶解させ、酢酸エチル(2mL)で抽出した。水層を蒸発させ、残渣を純水中に溶解し、濾過した。
【0133】
ライブラリーの分析
タイルライブラリーの逆相HPLC分析を、Radial−Pak(登録商標)液体クロマトグラフィーカートリッジ[8mm I.D.、8NVC18]を用い、フォトダイオードアレイUV検出器996と、オートサンプラー717と、Millenium(登録商標)2000ソフトウェアとを備えたWaters600システムを用いて行った。移動相:緩衝液A:0.1M NH4OAc;緩衝液B:20%A/80%CH3CN、v/v:勾配:100%A、0〜3分;40%A、40分;100%B、49分;100%B。生成物の純度は85〜95%の範囲であった。収率はA260単位で65〜90%と推定された。
【0134】
代表的ライブラリー成員のスペクトル特性
スペクトルの取得の前に、代表的なライブラリー成員(ライブラリーサイズの10%)を、イオン交換カラム(DEAE−5PW樹脂、緩衝液A:H2O、緩衝液B:0.5M NaCl)によりさらに精製し、次いで、脱塩(C18カラム、緩衝液A:H2O、緩衝液B:20%CH3CN水溶液)して、逆相HPLCにより純度95%〜99%と決定された個々のライブラリー成員を得た。
【0135】
選択したライブラリー成員の31P NMR分析から、ホスホロチオエート結合およびホスホルアミデート結合にそれぞれ特徴的な、δ58〜59ppmおよび13〜14ppmにおける明確なシグナルが明らかとなった。タイル(tile)31P NMRスペクトルにおける他のピークは、所望の生成物のピークに対応する全範囲の3%未満を構成した。さらに、選択したライブラリー成員のES−MSは、特定された構造に対応する予想される分子量と一致した。
【0136】
HSV−1に対する抗ウイルスアッセイ
ベロ(Vero)細胞(アフリカミドリザル腎細胞)(ATCC)を、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で、96ウェルプレートにおいて、MOI 0.005でHSV−1に感染させた。プレートを37℃で3時間維持した。化合物を25μMの濃度で添加し、続いて、プレートを37℃で24時間インキュベートした。培地を除去し、細胞を10%ホーマル生理食塩水で10分間固定した。細胞を0.1%クリスタルバイオレットで染色し、室温で30分間インキュベートし、次いで、蒸留水で洗浄した。ウイルスのプラークを数え、抗ウイルス効果を、未処理対照と比較したプラーク数の減少割合として推定した。アシクロビルを陽性対照として用いた(EC90、6μM)。
【0137】
(実施例1)
(ライブラリーの合成)
(ライブラリー1)
市販のデオキシリボヌクレオシドおよび2’−OMeリボヌクレオシドホスホルアミダイト構成単位を、対応する制御孔ガラス(controlled−pore−glass)(CPG)に結合させたヌクレオシドとともに用いて、64個の成員から構成されるジヌクレオチドホスホロチオエートライブラリー1(表1)を、固体支持体上に構築した。構築は、パラレル合成モード(DMT−off、10〜15μmolスケール)で行った。構築の後、各固体支持体を水酸化アンモニウム水溶液(28%、55℃)で処理し、核塩基の保護基、およびアリッド(arid)リン酸エステルの保護基を除去し、支持体から生成物を取り外した。生成物を精製し、実験項に記載したように評価した。
【0138】
【表1】
(実施例2)
(ライブラリー2)
8つの市販のモノマーとヌクレオシドを結合したCPGとを用いることにより、潜在的に512個のトリヌクレオチドホスホロチオエートがRp、Spジアステレオマーの混合物として構築され得る。本発明者らは、ホスホルアミダイト化学を用いて、代表的な64個の成員から構成されるライブラリー(表2)を調製した。作業(work−up)および抽出の後、生成物が、逆相HPLCで決定した場合に85〜95%の純度で得られた。
【0139】
【表2】
(実施例3)
(ライブラリー3)
4096個の成員から構成されるテトラヌクレオチドライブラリー(8×8×8×8アレイを表わす)が構築可能であったので、テトラヌクレオチドのパラレル構築は、特別な課題を課した。パラレル合成で受け入れ可能なライブラリーを得るため、3つのヌクレオチド位置を固定し、4番目の位置を変性させた。これにより、64個のトリヌクレオチドはそれぞれ、まずパラレル合成によりCPG上に構築され、CPGに結合したトリヌクレオチドはそれぞれ、等モルのdA、dC、dG、およびTヌクレオシドホスホルアミダイトの混合物と反応した(スキーム1)。このようにして、256個の成員から構成されるライブラリーを構築した(表3)。
【0140】
【化16】
【0141】
【表3】
(実施例4)
(ライブラリー4)
24の成員から構成される代表的な塩基修飾ライブラリーを、対応する市販のホスホルアミダイトモノマーを用いて、ジホスホロチオエート、トリホスホロチオエート、テトラホスホロチオエート(表4)として構築した。
【0142】
【表4】
(実施例5)
(ライブラリー5)
ホスホルアミデートジヌクレオチドライブラリー(表5)において、さらなる多様性要素をそのバックボーンに組み込んだ。192個の成員から構成されるジヌクレオチドホスホルアミダイトライブラリーを、H−ホスホネート化学12を一連のアミンとともに用いるパラレル合成により構築した。必要とされるジヌクレオシドH−ホスホネート(5’−DMT−off)を、対応する市販のH−ホスホネートおよびCPG結合ヌクレオシドを、活性剤としての1−アダマンタンカルボニルクロライドとともに用いて、CPG上に構築した。CPG結合ヌクレオシドH−ホスホネートは、報告されている手法14によりホスホルアミデートに変換した。
【0143】
【表5】
【0144】
【化17】
(実施例5)
(抗ウイルス性評価)
種々のクラスのNABライブラリーを調製し、評価した。その結果から、これらのライブラリーが、薬剤の発見に対して生物学的に意味のある化学的多様性を表すことが証明された。
【0145】
ライブラリー1〜5を、HSV−1に対する抗ウイルスアッセイにおいて評価した。多数の化合物が、アシクロビル(6μMのEC90)と比較した場合に、25μMの用量で、HSV−1誘発性プラークの30〜60%の阻害を誘発した。
【0146】
(実施例6)
(NABTM化合物に関する可能な新規HSV−1タンパク質標的の特徴)
SDS−PAGEおよびウェスタンブロットによる、NABTM化合物に関する抗ウイルス活性の予備的スクリーニングの結果から、これらの化合物が固有のウイルスタンパク質の1つと直接的あるいは間接的のいずれかで相互作用することが証明された。このタンパク質は以下のような特徴を有する:分子量約90kDa;このタンパク質は、感染後6時間程度で感染後の初期段階中に現れるので、最初期(IE)または初期(E)タンパク質であり、重要な調節タンパク質または構造タンパク質の1つである可能性が最も高い;このタンパク質は、感染後6時間〜24時間の間、NABTM化合物により完全に阻害され、その後、これは再度現れる;このタンパク質は、クマシーブルーおよび銀染色の両方により染色され、ツニカマイシン(tunicamycin)処理により決定されたように、グリコシル化タンパク質である可能性が最も高い。このタンパク質の性質および動態、その生産、および、ウイルスの増殖サイクル中のその役割または機能は、パルス追跡実験(pulse chase experiment)、35S−メチオニンを用いたウイルスラベリング(virus labeling)、エンドH/F消化により決定される。
【0147】
以下の具体的な参照もまた、本明細書中に参考として援用され、全体的に丸括弧内または角括弧内にある対応する番号により、上記考察および実施例において示されている。
【0148】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、NAB(商標)骨格を中心に構築した化学ライブラリーの一般構造を示す。2つのタイプの機能的変異体P2およびP4をフラノース骨格P1に結合して、水素結合、親油性、「空間形状」、および電気特性のような、多様な標的認識要素を提供する。P3要素は、フラノース骨格をある配座に拘束するための構造的改変体として作用し、それにより機能的要素に関して三次元突出の全体的な変化が可能となる。
【図2】
図2は、それぞれヌクレオシドの5’ 末端または3’末端に結合した官能性R基を有するライブラリー1および2の一般構造を示す。R、BおよびZの記載に関しては、図6および7を参照されたい。
【図3】
図3は、2’置換に起因するフラノースパッカーのエネルギー的に好適な配座を示す。フラノースパッカーの変化は、フラノース骨格に結合した官能基に関する三次元空間において劇的に異なる突出を引き起こす。
【図4】
図4は、ライブラリー2の代表的成員の化学的構造を示す。2’−デオキシヌクレオチドアナログをパネルAに列挙し、2’−O−メチルヌクレオチドアナログをパネルBに列挙する。
【図5】
図5は、ライブラリー2の代表的成員のHPLC(C18、260nmにて、パネルA)、および31P NMR(D2O中、パネルB)プロフィールを示す。化学物質は、ホスホロチオエートのジアステレオマー混合物として示される。生成物の純度は、一般に95%を越える。
【図6】
図6は、種々の多様性を有するライブラリー種の生成の模式図である。(i)CH3CH中、1H−テトラゾール、(ii)CH3CN中、3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン−1,1−ジオキシド、(iii)2%NaHCO3とEtOAcとの間で分配、(iv)28%NH4OH、(v)Dowex H+、(vi)CHCl3とH2Oとの間で分配。
【図7】
図7は、多様性要素を表す単純なNABライブラリーの一般構造を示す。
【図8】
図8は、表6を示す。
【図9】
図9は、表6の続きを示す。
【図10】
図10は、表7を示す。
Claims (43)
- 化合物ライブラリーであって、2つ以上の下記式IまたはI’:
Qが、炭素、またはO、SもしくはNのようなヘテロ原子であり;
R1、R2、R3はそれぞれ独立して、水素または水酸基、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または好ましくは1〜3個の独立環もしくは縮合環、および1〜3個のN、OもしくはS原子を有する必要に応じて置換されたヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基であり;
Bが、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン、必要に応じて置換されたシトシン、または必要に応じて置換されたグアニンであり、ここで好ましくは、必要に応じた置換基は、アルキル、炭素環式アリール、または好ましくは1〜3個の独立環もしくは縮合環、および1〜3個のN、OもしくはS原子を有するヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基であるか、あるいは糖環に共有結合する複素環構造であり;
n=1〜5である、
化合物ライブラリー。 - 少なくとも1つの化合物が、開鎖形態の糖基を有する、請求項1に記載のライブラリー。
- 化合物の鏡像異性体に富んだ混合物が存在する、請求項1に記載のライブラリー。
- 化合物ライブラリーであって、2つ以上の以下の下記式IIまたはII’:
Rが、水素、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または好ましくは1〜3個の独立環もしくは縮合環、および1〜3個のN、OもしくはS原子を有する必要に応じて置換されたヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基であり;
R1、R2、R3がそれぞれ独立して、Rで定義される基から選択され;
Bが、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン、必要に応じて置換されたシトシン、または必要に応じて置換されたグアニンであり、ここで好ましくは、必要に応じた置換基は、アルキル、炭素環式アリール、または好ましくは1〜3個の独立環もしくは縮合環、および1〜3個のN、OもしくはS原子を有するヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基であるか、あるいは糖環に共有結合する複素環構造である、
化合物ライブラリー。 - 化合物ライブラリーであって、少なくとも1つの化合物が、下記式IIIまたはIII’:
Rが、水素、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または好ましくは1〜3個の独立環もしくは縮合環、および1〜3個のN、OもしくはS原子を有する必要に応じて置換されたヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基であり;
R1、R2、R3がそれぞれ独立して、Rで定義される基から選択され;
Bが、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン、必要に応じて置換されたシトシン、または必要に応じて置換されたグアニンであり、ここで好ましくは、必要に応じた置換基は、アルキル、炭素環式アリール、または好ましくは1〜3個の独立環もしくは縮合環、および1〜3個のN、OもしくはS原子を有するヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基であるか、または糖環に共有結合する複素環構造である、
請求項1に記載のライブラリー。 - 前記化合物が、C−2’エンド配座の少なくとも1つのフラノース環を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のライブラリー。
- 前記化合物が、C−3’エンド配座の少なくとも1つのフラノース環を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のライブラリー。
- 前記化合物が、C−2’エンド配座の少なくとも1つのフラノース環およびC−3’エンド配座の少なくとも1つのフラノース環を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のライブラリー。
- 前記化合物が、1〜50個のヌクレオシド残基を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のライブラリー。
- 前記化合物が、1〜10個のヌクレオシド残基を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のライブラリー。
- 前記化合物が、1〜5個のヌクレオシド残基を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のライブラリー。
- 前記化合物は、4個のヌクレオシド残基を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のライブラリー。
- 前記化合物は、3個のヌクレオシド残基を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のライブラリー。
- 前記化合物は、2個のヌクレオシド残基を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のライブラリー。
- 前記化合物は、1個のヌクレオシド残基を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のライブラリー。
- 前記ライブラリーは、固相合成を用いて構築された、請求項1〜15のいずれか1項に記載のライブラリー。
- 前記ライブラリーは、液相合成を用いて構築された、請求項1〜15のいずれか1項に記載のライブラリー。
- 前記ライブラリーが、以下:
攪拌が可能であり、かつ樹脂反応支持体物質を含有する反応容器に、1つまたはそれ以上の試薬を添加する工程;
該試薬の反応中に該反応容器を攪拌する工程;
該反応容器を遠心分離して、そこから所望の反応物質を取り出す工程、
を含むプロセスにより得られる、請求項1〜15のいずれか1項に記載のライブラリー。 - 前記ライブラリーが、自動液相合成を用いて構築された、請求項18に記載のライブラリー。
- 核酸に特異的な相互作用パートナーを見つけ出すための、請求項1〜15のいずれか1項に記載のライブラリーの使用。
- タンパク質に特異的な相互作用パートナーを見つけ出すための、請求項1〜15のいずれか1項に記載のライブラリーの使用。
- 前記核酸が、RNAまたはDNAである、請求項20に記載の使用。
- 前記タンパク質が、抗体、レセプターまたはリガンドである、請求項21に記載の使用。
- 化合物であって、下記式IまたはI’:
Qが、炭素、またはO、SもしくはNのようなヘテロ原子であり;
R1、R2、R3がそれぞれ独立して、水素または水酸基、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または好ましくは1〜3個の独立環もしくは縮合環、および1〜3個のN、OもしくはS原子を有する必要に応じて置換されたヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基であり;
Bが、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン、必要に応じて置換されたシトシン、または必要に応じて置換されたグアニンであり、ここで好ましくは、必要に応じた置換基が、アルキル、炭素環式アリール、または好ましくは1〜3個の独立環もしくは縮合環、および1〜3個のN、OもしくはS原子を有するヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基であるか、あるいは糖環に共有結合する複素環構造であり;
n=1〜5である、
化合物。 - 糖基が、開鎖形態である、請求項24に記載の化合物。
- 化合物の鏡像異性的に濃縮された混合物が存在する、請求項24に記載の化合物。
- 化合物であって、下記式IIまたはII’:
Rが、水素、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または好ましくは1〜3個の独立環もしくは縮合環、および1〜3個のN、OもしくはS原子を有する必要に応じて置換されたヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基であり;
R1、R2、R3がそれぞれ独立して、Rで定義される基から選択され;
Bが、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン;必要に応じて置換されたシトシン、または必要に応じて置換されたグアニンであり、ここで好ましくは、必要に応じた置換基が、アルキル、炭素環式アリール、または好ましくは1〜3個の独立環もしくは縮合環、および1〜3個のN、OもしくはS原子を有するヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基であるか、あるいは糖環に共有結合する複素環構造である、
化合物。 - 化合物であって、下記式IIIまたはIII’:
Rが、水素、あるいは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアラルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルケニル、必要に応じて置換された炭素環式アリール、必要に応じて置換されたモノヌクレオチド、必要に応じて置換されたポリヌクレオチド、または好ましくは1〜3個の独立環もしくは縮合環、および1〜3個のN、OもしくはS原子を有する必要に応じて置換されたヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基であり、
R1、R2、R3がそれぞれ独立して、Rで定義される基から選択され、
Bが、必要に応じて置換されたアデニン、必要に応じて置換されたチミジン、必要に応じて置換されたシトシン、または必要に応じて置換されたグアニンであり、ここで好ましくは、必要に応じた置換基が、アルキル、炭素環式アリール、または好ましくは1〜3個の独立環もしくは縮合環、および1〜3個のN、OもしくはS原子を有するヘテロ芳香族もしくはヘテロ脂環式基であるか、あるいは糖環に共有結合する複素環構造である、
化合物。 - ウイルス感染した細胞の治療方法であって、抗ウイルス的に有効な量の請求項24〜28のいずれか1項に記載の化合物を、該細胞に投与する工程を含む方法。
- 前記細胞は、ヘルペスウイルスに感染している、請求項29に記載の方法。
- 前記細胞は、サイトメガロウイルスに感染している、請求項29に記載の方法。
- 細菌に感染した細胞の治療方法であって、抗細菌的に有効な量の請求項24〜28のいずれか1項に記載の化合物を、該細胞に投与する工程を含む方法。
- ウイルス感染を患っているか、またはウイルス感染にかかりやすい哺乳動物の治療方法であって、抗ウイルス的に有効な量の請求項24〜28のいずれか1項に記載の化合物を、該哺乳動物に投与する工程を含む方法。
- 前記哺乳動物は、ヘルペス感染を患っている、請求項33に記載の方法。
- 前記哺乳動物は、サイトメガロウイルス感染を患っている、請求項33に記載の方法。
- 細菌感染を患っているか、または細菌感染にかかりやすい哺乳動物の治療方法であって、抗細菌的に有効な量の請求項24〜28のいずれか1項に記載の化合物を、該哺乳動物に投与する工程を含む方法。
- 請求項24〜28のいずれか1項に記載の化合物、および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物。
- 化合物ライブラリーの合成方法であって、以下:
攪拌が可能であり、かつ樹脂反応支持体物質を含有する反応容器に、1つ以上の試薬を添加する工程;
該試薬の反応中に該反応容器を攪拌する工程;
該反応容器を遠心分離して、そこから所望の反応物質を取り出す工程
を包含する方法。 - ウイルスキナーゼに特異的な阻害剤を見つけ出すための、請求項1〜15のいずれか1項に記載のライブラリー、または請求項24〜28のいずれか1項に記載の化合物の使用。
- ウイルスポリメラーゼに特異的な阻害剤を見つけ出すための、請求項1〜15のいずれか1項に記載のライブラリー、または請求項24〜28のいずれか1項に記載の化合物の使用。
- ヘリカーゼ−プライマーゼ複合体と、それが結合するウイルス核酸との間の結合を崩壊させる特異的化合物を見つけ出すための、請求項1〜15のいずれか1項に記載のライブラリー、または請求項24〜28のいずれか1項に記載の化合物の使用。
- 真菌感染を患っているか、または真菌感染にかかりやすい哺乳動物の治療方法であって、抗真菌的に有効な量の請求項24〜28のいずれか1項に記載の化合物を、該哺乳動物に投与する工程を含む方法。
- 3’−修飾ヌクレオチドアナログおよび5’−修飾ヌクレオチドアナログの所望のライブラリーの生成方法であって、以下:
パラレル液相化学を用いた所望のライブラリーを合成する工程;および
該ライブラリーに二段階液/液抽出を行う工程
を包含する方法であり、ここで
第1の液/液抽出が、酢酸エチルと少なくとも2%のNaHCO3水溶液との間で分配されることで、疎水性化合物を除去するために適用され、
第2の抽出は、CHCl3とH2Oとの間で分配させることで適用され、ここでは親水化合物が、H2O中に保持され、CHCl3可溶性化合物が、繰り返しのCHCl3洗浄により除去される、方法。
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
PCT/IB2001/002217 WO2002008446A2 (en) | 2000-07-13 | 2001-07-13 | Synthesis and antiviral evaluation of nucleic acid based (nab) libraries |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004504365A true JP2004504365A (ja) | 2004-02-12 |
JP2004504365A5 JP2004504365A5 (ja) | 2005-02-24 |
Family
ID=31503893
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002513928A Withdrawn JP2004504365A (ja) | 2001-07-13 | 2001-07-13 | 核酸ベース(nab)ライブラリーの合成および抗ウイルス評価 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004504365A (ja) |
-
2001
- 2001-07-13 JP JP2002513928A patent/JP2004504365A/ja not_active Withdrawn
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2972344B2 (ja) | 新規ホスホルアミデートおよびホスホロチオアミデートオリゴマー化合物 | |
US6147200A (en) | 2'-O-acetamido modified monomers and oligomers | |
JP6038860B2 (ja) | リン原子修飾核酸の合成方法 | |
US6693187B1 (en) | Phosphinoamidite carboxlates and analogs thereof in the synthesis of oligonucleotides having reduced internucleotide charge | |
JP4980059B2 (ja) | 抗ウイルスヌクレオシド類似体およびウイルス感染特にhiv感染の処置方法 | |
US6737520B2 (en) | Oligonucleotides having A-DNA form and B-DNA form conformational geometry | |
JP2002540118A (ja) | キシロ−lna類似体 | |
JP2002517404A (ja) | オリゴヌクレオチド合成のためのアクチベーター | |
Masjost et al. | Structure‐based design, synthesis, and in vitro evaluation of bisubstrate inhibitors for catechol O‐methyltransferase (COMT) | |
US7846436B2 (en) | Oligonucleotides and related compounds | |
WO1996039413A1 (en) | Methods and compounds for the synthesis of oligonucleotides and the oligonucleotides thereby produced | |
US6649750B1 (en) | Process for the preparation of oligonucleotide compounds | |
US20020127598A1 (en) | Solution-phase combinatorial library synthesis and pharmaceutically active compounds produced thereby | |
JP2020502072A (ja) | 新規二環式ヌクレオシドおよびそれから調製されたオリゴマー | |
JP2009057388A (ja) | 求核試薬および一酸化炭素を用いるパラジウム触媒ヌクレオシド修飾方法 | |
US20030138797A1 (en) | Nucleic acid-based compounds | |
Iyer et al. | O-and S-Methyl Phosphotriester Oligonucleotides: Facile Synthesis Using N-Pent-4-enoyl Nucleoside Phosphoramidites | |
EP1309525A2 (en) | Synthesis and antiviral evaluation of nucleic acid based (nab) libraries | |
Seio et al. | Synthesis and properties of oligothymidylates incorporating an artificial bend motif | |
JP2004504365A (ja) | 核酸ベース(nab)ライブラリーの合成および抗ウイルス評価 | |
KR100565388B1 (ko) | 뉴클레오시드 | |
Zlatev et al. | Phosphoramidate dinucleosides as hepatitis C virus polymerase inhibitors | |
US20020051991A1 (en) | Rapid generation of diverse nucleoside and nucleotide libraries | |
Dong | DNA complexes containing novel aromatic residues | |
Wichai | Synthesis and investigation of PNA: DNA complexes containing novel aromatic residues |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20081007 |