JP2004503496A - 血管拡張活性を有する有機ニトレートの強化方法及びそのための製剤 - Google Patents
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Abstract
血管拡張活性を有する有機ニトレートの強化方法であって、前記有機ニトレートの有効量を、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤の相乗作用性量と共に患者に投与する工程を含む方法。製剤及び相乗組成物もまた記載される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、患者に投与される有機ニトレートの血管拡張活性を強化するための方法及び製剤、とりわけ、ニトログリセリンの血管拡張活性を強化するための方法及び製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
百年以上に亘り、ニトログリセリン及び硝酸アミル等の有機ニトレートは、狭心症の疼痛を緩和し、心臓疾患を治療するために使用されてきた(Reeves, J. T., 1995, NIPS. 10, 141)。これらの化合物の有利な使用は、患者に投与されると脈管系(すなわち、動脈及び静脈)の膨張を誘発して血圧及び心臓にかかる予圧を低下させるという、これらの能力による。
【0003】
ニトログリセリン、もしくはグリセリントリニトレートは、患者に投与された際に、薬理学的に活性な代謝産物である酸化窒素(「NO」)に生理学的に変換される、有機ニトレートエステルである。NOは、例えば、脈管平滑筋中の可溶性グアニレートシクラーゼを活性化し、これが順次環状グアノシンモノホスフェート(cGMP)を増大させ、その結果血管緊張低下をもたらし、最終的には血管拡張及び血圧の低下をまねく。しかしながら、ニトログリセリン及び血管拡張活性を有する他の有機ニトレートの有効性は著しく減ぜられる。なぜなら有機ニトレートの受容者が、有機ニトレートの有利な効果に対する耐性を迅速に発達させるためである。
【0004】
ニトログリセリン及び他の有機ニトレートの脈管及び及び狭心症効果への耐性は、低用量において並びに高用量において発生しうる。結果として、有機ニトレートは、持続性療法の間にその有効性を喪失し、同様の効果を達成するためにはますます多量の有機ニトレートを投与しなければならない。ニトレート耐性が進行すると、ニトログリセリン及び他の有機ニトレートの有効性は更に制限され、用量を増加させても血管緊張低下または血管拡張に対する効果がほとんどなくなるか全くなくなる(例えば、Bogaert, M., 1991, J. Cardiovas. Pharmacol. 17(Suppl. 3), S313;及びUnger, P., et al., 1991, J. Cardiovasc. Pharmacol. 17(Suppl. 3), S300を参照のこと)。さらにまた、所定の状況においては、ニトレート耐性の患者に対する有機ニトレートの投与は、血管拡張ではなく血管収縮をもたらしうる(Caramori et al., 1998, JACC 32(7), 1969; Gupte et al., 1996, Am J. Physiol. H2447)。これは、有機ニトレートの投与が、改善しようとするまさにその症状を悪化させうることから、危険な副作用となりうる。さらにまた、耐性の発達にうち勝とうとして非常に高用量の有機ニトレートを注入すると、細胞毒性及び器官不全を起こしうる。
【0005】
有機ニトレート(例えばニトログリセリン)の耐性が発生する正確な機構は、依然知られていない。耐性の発生を説明する理論には、(1)ニトログリセリンを活性な酸化窒素に直接生体変換するために必要なスルフヒドリルプールが、過剰なニトログリセリン基質によって枯渇する(Boesgaard, S., et al., 1991, J. Pharmacol. Exp. Ther. 258, 851);(2)脈管グアニレートシクラーゼの賦活性が、ニトログリセリンによって減ぜられる(Henry P. J., et al., 1989, Br. J. Pharmacol. 98, 757);または(3)cGMP分解の速度は、ニトログリセリンに対する耐性の間のcGMPホスホジエステラーゼの増加によって増大する(Axelsson, K. L., et al., 1987, Drugs 33, 63);が含まれる。さらに、最近では、神経ホルモン活性化及び血漿(plasma)体積の増大が耐性発生の原因とされている。
【0006】
ニトレート耐性の発生を回避または軽減しようとする試みには、ビタミンE及びC等の抗酸化剤の使用が含まれる(Munzel et al., 1998, Am. J. Cardiol. 81(1A), 30A)。別の方法には、還元されたグルタチオンまたはシステインの投与及び、アンジオテンシンII変換酵素阻害薬またはアンジオテンシンIIレセプターアンタゴニストを用いた予備処理が含まれる。同様に、有機ニトレート投与に関連する血管収縮を抑制するために、トロンボキサンレセプターアンタゴニストを用いて、幾分の成果が上げられている(Gupte et al., 1996, Am. J. Physiol. H2447)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記に鑑みて、また、ニトレートが最も強力な療法と見なされるため、当業界においては、有機ニトレートに耐性を示さない患者に対して投与される有機ニトレートを強化(すなわちその有効性を増大)させる方法が求められている。同様に、当業者においては、有機ニトレートに対して既に耐性を示す患者に対して投与される有機ニトレートの効果を増大させる方法が求められている。
【0008】
したがって、本発明の目的は、特に、患者に投与される有機ニトレートの強化のための、方法、製剤、及び相乗組成物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、血管拡張活性を有する有機ニトレートの強化方法を提供するが、これは、前記有機ニトレートの有効量を、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤の相乗作用性量と共に患者に投与することによる。
【0010】
1つの実施態様においては、有機ニトレート、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト、及び還元剤は、患者に共投与される。別の実施態様においては、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤は、有機ニトレートより前に患者に投与される。更に別の実施態様においては、有機ニトレートはトロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤より前に患者に投与される。前記患者は、好ましくは哺乳類であり、血管拡張を必要とし、さらに有機ニトレートへの耐性を示してもよい。
【0011】
血管拡張活性を有する有機ニトレートには、ニトログリセリン、亜硝酸アミル、イソソルバイドジニトレート、イソソルバイドモノニトレート、エリスリチルテトラニトレート、ペンタエリスリトールトリニトレート、ペンタエリスリトールテトラニトレート、ナトリウムニトロプルシド、トロルニトレートホスフェート、クロニトレート、マンニトールヘキサニトレート、プロパチルニトレート、及びこれらの混合物が含まれる。前記有機ニトレートの有効量は、体重1kg当たり0.0001乃至120mgであり、30mg/kg以下であることが好ましく、0.5mg/kg以下であることがいっそう好ましい。
【0012】
1つの実施態様においては、還元剤は非−抗酸化還元剤である。前記の非−抗酸化還元剤には、GDP(グアノシンジホスフェート)、GTP(グアノシントリホスフェート)、NADPH(還元ニコチナミド−アデニンジヌクレオチドホスフェート)、NADH(還元ニコチナミド−アデニンジヌクレオチド)、FADH2(還元フラビン−アデニンジヌクレオチド)、FMNH2(還元フラビンモノヌクレオチド)、ピルビン酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、N−アセチルシステイン、還元グルタチオン、及びこれらのあらゆる混合物が含まれる。別の実施態様においては、還元剤はL−アスコルビン酸である。
【0013】
トロンボキサンレセプターアンタゴニストには、ONO−3708、Seratrodast、Rodigrel、Daltroban、Sulotroban、AH−23848、GR32191、ICI192605、SQ28668、SQ28913、SQ29548、及びこれらのあらゆる混合物が含まれる。2つの好ましいトロンボキサンレセプターアンタゴニストは、ONO−3708及びSeratrodastである。
【0014】
本発明による、相乗作用性量のトロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤によれば、前記有機ニトレート単独の場合に比べて、患者の冠動脈灌流圧は少なくとも15%低減される。更に好ましくは、前記相乗作用性量は少なくとも25%の低減を与えるが、冠動脈還流圧が少なくとも40%以上低減されることが好ましい。
【0015】
本発明はまた、有効量の有機ニトレート及び相乗作用性量のトロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤を含む、血管拡張を誘発する製剤を提供する。前記製剤のための相乗作用性量とは、有機ニトレート:トロンボキサンレセプターアンタゴニストの比が1:1乃至1:2000になり、有機ニトレート:還元剤の比が1:10乃至1:5×107となるものである。好ましくは、有機ニトレート:トロンボキサンレセプターアンタゴニストの比が1:1乃至1:1000になり、前記有機ニトレート:還元剤の比が1:10乃至1:5×105になるものであり、有機ニトレート:トロンボキサンレセプターアンタゴニストの比が1:1乃至1:100になり、前記有機ニトレート:還元剤の比として1:10乃至1:5×103になるものが更に好ましい。別の実施態様においては、該製剤は更に、生理学的に許容される担体を含む。
【0016】
有機ニトレートを強化するための相乗組成物もまた提供される。該相乗組成物には、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤が含まれる。該組成物は、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び前記還元剤を、1:1乃至1:5×107の範囲の比で含有し、1:1乃至1:5×105が好ましく、1:1乃至1:5×103が更に好ましい。別の実施態様においては、該組成物は更に生理学的に許容される担体を含む。
【0017】
本発明によれば、有機ニトレートにより血管拡張活性の改善が達成される。トロンボキサンレセプターアンタゴニストと還元剤とを組み合わせて使用することにより、冠動脈灌流圧の著しい低下が促進される。同様に、本発明は、より低い用量の有機ニトレートを使用して、著しく高い用量によってこれまで得られていた血管拡張のレベルを達成することを容易にする。これら及び他の利点は、以下の本発明の詳細な説明を読むことによって容易に明らかになるであろう。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、有機ニトレートの血管拡張活性を強化する方法が提供される。有利には、有機ニトレートの血管拡張活性は、該有機ニトレートをトロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤と組み合わせて投与することによって強化(即ち増大)される。有機ニトレートと、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤の組み合わせとの間の予期せぬ相乗作用が、有機ニトレートを低レベルで使用して、患者において十分な血管拡張を達成することを容易にする。
【0019】
本願中における患者とは、好ましくは生きているあらゆる生体を意味し、哺乳類が好ましい。哺乳類の代表例には、以下に限定されるものではないが、ウシ、イヌ、ネコ、ウマ、マウス、及びヒトが含まれる。別の好ましい実施態様においては、患者(例えば哺乳類)は血管拡張を必要としている。これは、前記患者が、心臓のまたは別の状態に罹患しており、血管拡張によって前記状態(例えば、狭心症による胸部疼痛)による望ましからぬ症状からの有利な解放、またはその緩和が得られるであろうことを意味する。別の実施態様においてはは、患者は血管拡張活性を有する有機ニトレートに対して、既に耐性を示している。
【0020】
本発明によれば、有機ニトレート、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト、および還元剤が患者に投与される一連の操作は変動性である。好ましい実施態様においては、有機ニトレート、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト、及び還元剤は、送達の容易性のために患者に共投与される。あるいはまた、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤が、有機ニトレートの前に患者に投与されるか、あるいはその逆の順序である。更に別の実施態様においては、有機ニトレート、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト、及び還元剤は、それぞれ順次投与されるか、または前記有機ニトレートが、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤のいずれかと共投与される。いかなる特定の製剤についても、投与の好ましい順序は本発明の以下の教示に従い、当業者によって容易に決定可能である。
【0021】
前記有機ニトレートは、血管拡張及び/または抗狭心症活性を有する、いかなる有機ニトレート(またはニトライト)であってよい。この文脈における血管拡張活性とは、該化合物が、患者において血管の直径を増大させ、これによって血流に対する抵抗を低減できることを意味する。当業者には明かであるように、血流に対する抵抗の減少は、心臓に液体を注入するために必要な圧力である、冠状動脈灌流圧(「CPP」)の減少を測定することによって概算可能である。
【0022】
血管拡張及び/または抗狭心症活性を有する有機ニトレート(またはニトライト)の例は、当業者には周知である。本発明によって使用される、血管拡張活性を有する好適な有機ニトレートの代表例には、以下に限定されるものではないが、ニトログリセリン、亜硝酸アミル、イソソルバイドジニトレート、イソソルバイドモノニトレート、エリスリチルテトラニトレート、ペンタエリスリトールトリニトレート、ペンタエリスリトールテトラニトレート、ナトリウムニトロプルシド、トロルニトレートホスフェート、クロニトレート、マンニトールヘキサニトレート、プロパチルニトレート、及びこれらの混合物が含まれる。好ましい有機ニトレートは、ニトログリセリンである。
【0023】
本発明によれば、血管拡張活性を有する有機ニトレートの有効量が患者に投与される。有効量とは、患者のCPPに減少を誘発するために充分な、有機ニトレートの量である。患者のCPPの変化は、Doppler−またはエコー−カルジオグラフィーなどの非侵襲性技術によってモニターすることができる。同様に、患者のCPPにおける変化は、血圧を測定すること(プレチスモグラフィ(plethsmography))によって間接的に確認可能である。しかしながら、有機ニトレートの投与に帰因する血管拡張による、患者のCPPの減少を確認するために、別の方法を利用することも可能である。
【0024】
CPPの減少を誘発するために必要とされる有機ニトレートの量は、患者毎に異なり、特定の有機ニトレートのED50(またはIC50)、投与の方法、患者の体重及び年齢、ニトレート耐性の有無を含む、様々な因子によって影響される。一般的に、有機ニトレートの有効量は、一日毎に体重1kg当たり0.0001乃至120mgであり、上限は30mg/kgであることが好ましく、上限は0.5mg/kgであることがより好ましい。例えば、ニトログリセリンの場合には、用量は、錠剤形態について0.3乃至0.6mg、軟膏について15乃至30mg、経皮パッチについて0.1乃至10mg/時、及び静脈内溶液について0.5乃至75μg/kg/分で変化可能である。上記パラメータは当業者によれば容易に確認可能である。
【0025】
前述のように、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤は、有機ニトレートを強化するために使用される。本発明によって使用される、トロンボキサンレセプターアンタゴニストには、あらゆる選択的トロンボキサンA2−レセプターアンタゴニストが含まれる。トロンボキサンレセプターアンタゴニストの例は、当業者には周知である。使用される代表例には、以下に限定されるものではないが、ONO−3708((9,11)、(11,12)−ジデオキサ−9アルファ,11アルファ−ジメチルメタノ−11,12−メタノ−13,14−ジヒドロ−13−アザ−14−オキソ−15−シクロペンチル−16,17,18,19,20−ペンタノール−15−エピ−TxA2)、Seratrodast((±)−ζ−(2,4,5−トリメチル−3,6−ジオキソ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル)ベンゼンヘプタン酸)、Rodigrel((E)−5−[[[3−ピリジニル[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチレン]アミノ]オキシ]ペンタン酸)、Daltroban(4−[2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル]アミノ]エチル]−ベンゼン酢酸)、Sulotroban(4−[2−(ベンゼンスルフアミド)エチル]フェノキシ酢酸)、AH−23848([1α(Z)−2β,5α]−(+)−7−[5−[[(1,1’−ビフェニル)−4−イル]−メトキシ]−2−(4−モルホリニル)−3−オキソ−シクロペンチル]−4−ヘプタノン酸)、GR32191([1R−[1α(Z),2β,3β,5α]]−(+)−7−[5−([1,1’−ビフェニル]−4−イルメトキシ)−3−ヒドロキシ−2−(1−ピペリジニル)シクロペンチル]−4−ヘプタン酸)、ICI192605−4((Z)−6−[(2,4,5−cis)2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)1,3−ジオキサン−5−イル]ヘキサン酸、SQ28668([1S−[1α,2β(5Z),3β(1E,3R,4S),4α]]−7−[3−(3−ヒドロキシ−4−フェニル−1−ペンテニル)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル]−5−ヘプテン酸)、SQ28913([S−[1α,2α(Z),3α,4α]]−7−[3−[(ヘキシルチオ)メチル]−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル]−5−ヘプテン酸)、SQ29548([1S−[1α,2α,(Z),3α(1E,3S*,4R*),4α]]−7−[3−(3−ヒドロキシ−4−フェニル−1−ペンテニル)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル]−5−ヘプテン酸)、及びこれらの混合物が含まれる。好ましいトロンボキサンレセプターアンタゴニストは、ONO−3708及びSeratrodastである。
【0026】
本発明の内容においては、還元剤は、別の化合物の原子価を減少させることができるあらゆる化合物であり、これ自体が電子を供与する結果として酸化される(すなわち、該化合物は電子供与体である)。好ましくは、該化合物は、患者にとって生理学的に許容され、これは該化合物が一般的に耐性(すなわち比較的に無毒性)であることを意味する。化合物の還元性能は、しばしばその酸化還元電位(Eσ)を測定することによって特徴付けられる。これは、フリーラジカルを捕捉すること、もしくはフリーラジカルスカベンジャーとして作用することによってフリーラジカルを中和する、「古典的」抗酸化剤とは対照的である。しかしながら、当業者には明かであるように、抗酸化剤として特徴付けられる化合物には、還元剤(すなわち電子供与体)としても機能するものがある。本発明によれば、相乗組成物の還元剤には、非−抗酸化還元剤及び還元特性を有する抗酸化剤が含まれる。非−抗酸化還元剤の例には、GDP、GTP、NADPH、NADH、FADH2、FMNH2、ピルビン酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、N−アセチルシステイン、還元グルタチオン、及びこれらの混合物が含まれる。還元特性を有する抗酸化剤の例は、L−アスコルビン酸である。2つのカテゴリーの組み合わせもまた使用可能である。好ましい実施態様においては、還元剤は、L−アスコルビン酸またはNADPHである。
【0027】
トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤は、有機ニトレートの血管拡張効果を強化するための相乗作用性量で投与される。本願の文脈における相乗作用性量は、有機ニトレートの血管拡張効果を増大させて、有機ニトレート単独の投与によって示されるCPPの減少と比べて少なくとも15%の減少を誘発するために充分な、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤の量を意味する。好ましくは、相乗作用性量は、CPPの少なくとも25%の減少を提供する量であり、少なくとも40%以上がより好ましい。本発明の1つの明瞭な利点は、単独で投与された場合には十分量の血管拡張を示さない低用量の有機ニトレートが、ここでトロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤と共に投与された場合には、効果的なレベルの血管拡張を提供できることである。したがって、有機ニトレートを著しく低下させたレベルで使用して、患者に充分な血管拡張を提供することが可能である。
【0028】
当業者には明かであろうが、相乗作用性量を提供するための、有機ニトレートのトロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤に対する比は、可変である。一般的に、トロンボキサンレセプターアンタゴニストの量は、実質的に還元剤より少ない。本発明によれば、有機ニトレートのトロンボキサンレセプターアンタゴニストに対するモル比は、1:1乃至1:2000の範囲であり、1:1乃至1:1000が好ましく、1:1乃至1:100がより好ましい。有機ニトレートの還元剤に対するモル比は、1:10乃至1:5×107の範囲であり、1:10乃至1:5×105が好ましく、1:10乃至1:5×103がより好ましい。更に、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤の選択は、最適な強化を提供するために必要な2つの成分の比に影響するであろう。例えば、これらそれぞれのED50(またはIC50)によって特徴付けられるトロンボキサンレセプターアンタゴニストの有効性は、化合物毎に異なる。同様に、これらそれぞれの酸化還元電位によって特徴付けられる還元剤の有効性もまた、化合物毎に異なる。これらのパラメータは、本発明の以下の教示に従って、当業者によって容易に確認可能である。
【0029】
本発明はまた、患者における血管拡張を誘発するための製剤を提供するが、これは血管拡張活性を有する有機ニトレートの有効量、及びトロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤の相乗作用性量を含む。本発明の製剤は、当業界において既知の如何なる方法によって患者に投与されても良い。送達の経路には、以下に限定されるものではないが、経口、鼻腔内、舌下、肺内、結腸、経皮、静脈内、及びこれらの組み合わせが含まれる。患者への投与のための好適な、許容される投薬形態には、以下に限定されるものではないが、錠剤、カプセル、粉末、パッチ、溶液、懸濁液、即時及び持続性の放出が含まれる。好ましくは、本発明の製剤は、生理学的に許容される担体を含み、この中に有機ニトレートが分散される。例えば、液体製剤を調製する場合には、前記担体は緩衝食塩水であってよい。こうした投薬形態の製造及び投与の操作は、充分に当業者の技術常識の範囲内である。
【0030】
更に、本発明は、血管拡張活性を有する有機ニトレートを強化するための相乗組成物を提供する。前記相乗組成物は、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤を含む。前記トロンボキサンレセプターアンタゴニストの還元剤に対するモル比は、前記相乗組成物中において1:1乃至1:5×107の範囲であり、1:1乃至1:5×105の範囲であると好ましく、1:1乃至1:5×103の範囲であるとより好ましい。該相乗組成物は、上述の有機ニトレート含有製剤と同様の方法で投与及び製剤される。
【0031】
下記の非限定的実施例は、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤と組み合わせにより血管拡張を提供する、有機ニトレートの使用を詳説する。
【0032】
【実施例】
(比較例1)
体重310乃至400グラムのオスのSprague−Dawelyラットを断頭し、素速く心臓を切除した。 Gupte, S. A., Okada, T., Ochi., R., ”Coronary vasoconstriction in superoxide−pre−treated rat heart: increase by nitroglycerin and decrease by NO synthase inhibitors” Proc. Jpn. Acad. Ser. B. 71:1995, p. 274−278、及びOkada, T., ”Hypoxia−induced changes in prostanoids production and coronary flow in isolated rat heart”, J. Mol. Cell Cardiol. 23:939−948 (1991)を参照のために取り込むこととするが、これらに記載された操作に従ってランゲンドルフ灌流を成立させた。
【0033】
各心臓に、116 mMのNaCl, 25 mMのNaHCO3, 2.5 mMのCaCl2, 1.2 mMのMgSO4, 4.7 mMのKCl, 1.2 mMのKH2PO4, 及び5.5 mMのグルコース(pH 7.4)を含有する、調整クレープス‐ヘンゼライト溶液を、12mL/分の一定流速にて、再循環無しに逆行的に(retrogradely)灌流させた。灌流液は38℃に加温し、95%、2乃至5%のCO2ガス混合物で酸化して、全実験期間に亘って400mmHgより高いO2圧力を維持した。平均冠動脈灌流圧(「CPP」)における変化を、冠動脈内への灌流液の入り口に水トランスデューサーを設置することによって監視した。時間=0でのCPPをコントロール(Control)とみなし、100%とした。
【0034】
15乃至20分の安定化及び制御期間の後、環状動脈流を24mL/分に増加させてCPPを85乃至95mmHgに維持した。心臓に、10分間に亘り高流量を灌流させた。高流量での10分間の灌流の後、心臓は、試験化合物による灌流に向けて準備完了となった。
【0035】
ニトログリセリン(「NTG」)の血管拡張活性を確認するために、以下の濃度のNTGを投与した(n=4−7): 0.05μM; 0.1μM; 1.0μM; 2.0μM; 及び4.0μM(これらはそれぞれ、約0.681 μg/kg; 1.362 μg/kg; 13.62 μg/kg; 27.252 μg/kg; and 54.504 μg/kgの静脈内用量に相当する)。CPPの変化を監視し、図1に示し、表1にまとめた。
【0036】
図1及び表1に見られるように、0.05 μMのNTG(−−▼−−)、0.1 μMのNTG(−−■−−)、及び1.0 μMのNTG(−−+−−)は、冠状動脈灌流圧に対する影響が最小であった。実際、0.05 μMのNTG及び0.1 μMのNTGを用いた灌流では、全く血管拡張を与えなかった。2.0 μMのNTG(−−▲−−)及び4 μMのNTG (−−●−−)は、灌流圧を一時的に低下させた。しかしながら、2.0 μMのNTG及び4.0 μMのNTGの投与の後20分間のうちに、CPPは100%を越えるまでに増大した。
【0037】
(比較例2)
実施例1の操作に従い、トロンボキサンレセプターアンタゴニストと共に共投与されたニトログリセリンの血管拡張活性を確認した。ラットの心臓に高流量で10分間灌流した後、NTG及びONO−3708を共投与した(n=4−6)。10 μMのONO−3708(これは約162 μg/kgの静脈内用量に相当する)と様々な濃度のNTGとの共投与のCPPに対する効果を、図2に示し、表1にまとめた。トロンボキサンA2レセプター類似物であるU46619を用いて誘発される血管収縮を抑制するためのIC50に相当する濃度であることから、10 μMのONO−3708を使用した。
【0038】
図2は、ONO−3708とNTGとの共投与がCPPにわずかな減少を生じたことを示す。例えば、0.05 μMのNTG及び10 μMのONO−3708を投与した場合(−−■−−)、CPPは91%にまで低下した。前記NTG濃度を1.0 μMに増加させると(−−+−−)、CPPは92%になった。したがって、0.05 μM、0.1 μM、及び1.0 μMのNTGの投与は、実質的にONO−3708単独での投与(−−▼−−)に対して全く改善を示さなかった。しかしながら、ONO−3708と、2 μMのNTG(−−●−−)または4 μMのNTG(−−▽−−)との共投与は、2 μMまたは4 μMのNTGを単独で投与した場合(図1、−−▲−−及び−−●−−)に起こる血管緊縮を、確かに妨げた。
【0039】
(比較例3)
還元特性を有する抗酸化剤であるL−アスコルビン酸の、ニトログリセリンの血管拡張活性に対する効果を確認するために、実施例1に記載の操作を用いて、様々な濃度のNTGを、L−アスコルビン酸と共投与した。10 mMのL−アスコルビン酸という濃度を使用したが、これは約60 mg/kgの静脈用量に相当する。ラットの心臓に高流量で10分間灌流した後、NTG及びL−アスコルビン酸(「AA」)を共投与した(n=5)。L−アスコルビン酸と様々な濃度のNTGとの共投与のCPPに対する効果を、図3に示し、表1にまとめた。
【0040】
図3は、L−アスコルビン酸とNTGとの共投与が、CPPにわずかな減少をもたらしたことを示す。例えば、CPPは、 0.05 μMのNTGと10 mMのアスコルビン酸との投与(−−■−−) または0.1 μMのNTGと10 mMのL−アスコルビン酸との投与(−−+−−)の20分後に88%にまで低下したが、これはL−アスコルビン酸単独での投与(−−▼−−)に対して僅かな改善である。NTG濃度の2.0 μM (−−●−−)及び4.0 μM (−−○−−)への増加は、それぞれCPPを78%及び76%とする。したがって、L−アスコルビン酸及びNTGの共投与は、確かにいくらかの血管拡張をもたらし、NTGを単独で投与された際に見られた血管収縮を抑制した。
【0041】
(実施例4)
実施例1に従い、トロンボキサンレセプターアンタゴニストであるONO−3708及び還元剤であるL−アスコルビン酸と、共投与されたニトログリセリンの血管拡張活性を確認した。心臓に、10分間に亘り高流量を灌流させた後、NTGをONO−3708とL−アスコルビン酸との組み合わせと共投与した(n=6)。ONO−3708及びL−アスコルビン酸を様々な濃度のNTGと共投与することによる、CPPへの効果を、図4に示し、表1にまとめた。
【0042】
図4及び表1に見られるように、有機ニトレートであるNTGを、10 μMのONO−3708及び10 mMのL−アスコルビン酸を含有する相乗組成物(モル比1:1000)と組み合わせて投与することにより、NTGが大幅に強化される。CPPは、4μMのNTGを、L−アスコルビン酸及びONO−3708と組み合わせて投与した1分後に、52%まで迅速に低下し、240分後に47%で水平となった(−−●−−)。これを、4 μMのNTG単独での投与によってもたらされる、1分後のCPPの一時的な94%までの低下、3分後の84%までのゆるやかな低下、続く240分後のCPPの150%までの増加(−−●−−)と比較する。同様に、3つの成分の組み合わせ投与により、240分においてCPP86%を示す、4 μMのNTGのONO−3708との共投与 (図 2, −−▽−−) 及び、240分においてCPP76%を示す、4 μMのNTGのL−アスコルビン酸との共投与(図 3, −−○−−) に対して著しい改善がもたらされた。
【0043】
前記相乗組成物はまた、単独で投与されても血管拡張をもたらさず、ONO−3708またはL−アスコルビン酸と共投与された場合にCPPにわずかな減少をもたらすのみである、低容量のNTGの有効性を強化した。例えば、0.05 μMのNTGの、L−アスコルビン酸及びONO−3708との共投与により、投与の5分後にCPPは77%となり、240分後に74%となった(−−▼−−)。同様に、0.1 μMのNTGのL−アスコルビン酸及びONO−3708との共投与により、投与の5分後にCPPは60%となり、240分後には59%となった(−−■−−)。しかしながら、0.05 μMのNTG単独(図 1, −−▼−−)または0.1 μMのNTG単独(図1, −−■−−)のいずれかの投与は、最高で100%のCPPをもたらした。ONO−3708とL−アスコルビン酸との組み合わせもまた、0.05 μMのNTGまたは0.1 μMのNTGの、ONO−3708 (図2, −−■−−及び図 2, −−+−−)またはL−アスコルビン酸(図3, −−■−−及び図3, −−+−−)のいずれかとの共投与(最高で91%及び88%のCPP値をもたらした)に対して、著しい改善をもたらした。同様に、CPPのわずかな減少のみが、NTGなしでのONO−3708及びL−アスコルビン酸の共投与について観察された。
【0044】
【表1】
【0045】
(比較実験5)
実施例1の操作に従い、古典的な抗酸化剤の、NTGの血管拡張活性に対する効果を確認した。2つの抗酸化組成物、(a)TIRON 100、膜浸透性フリーラジカルスカベンジャー(活性成分−4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸);及び(b)スーパーオキサイドジスムターゼ(「SOD」)膜不浸透性フリーラジカルスカベンジャーを用いた。100 μMのTIRON 100及び80 U/mLのSODを単独で投与してコントロールとし、これらを別個に4 μMのNTGと共投与した。CPPの結果を以下の表2にまとめる。フリーラジカル捕捉性能に関して10 mMのL−アスコルビン酸と等価であることから、TIRON 100及びSODの濃度を選択した。これらの化合物のフリーラジカル捕捉性能は、フェロシトクロームからフェリックシトクロームへの還元によって検出されるように、プリン及びキサンチンオキシダーゼによって発生する全てのスーパーオキサイドアニオンを捕捉するために必要な濃度を測定することによって決定される(I. Fridovich, 1970, J. Biol. Chem., 245, 4053−4057)。
【0046】
【表2】
【0047】
表2に見られるように、いずれの抗酸化剤もNTGを全く強化しなかった。このデータは、L−アスコルビン酸によってもたらされる強化は、その還元特性に帰すると考えられ、フリーラジカルを捕捉するその性能のためではないことを示す。
【0048】
(実施例6)
実施例1の操作に従い、トロンボキサンレセプターアンタゴニストと組み合わせた非抗酸化還元剤の、NTGの血管拡張活性に対する効果を確認した。安定化期間の後20分間、24mL/分の環状動脈流で灌流した心臓のCPP(n=2)を100%と見なして、コントロール(A)とした。CPPの変化を、コントロールのCPPからパーセンテージとして算出した。安定化期間の後、別個のグループの心臓(n=2)に、10分間に亘り高流量を灌流させ、下記の薬剤を4時間に亘って投与した:(B) 4 μMのNTG、(C) 100 μMのNADPH(還元剤)、(D) 4 μMのNTG及び100 μMのNADPH、(E) 10 μMのONO−3708、及び(F) 4 μMのNTG、100 μMのNADPH、及び10 μMのONO−3708。100 μMのNADPH濃度が、約642 μg/kgの静脈内用量に相当する。CPPの変化を監視し、投与の3分後のCPP値を図5に示す。
【0049】
図5より、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト、ONO−3708、及び非−抗酸化還元剤であるNADPHの共投与が、NTGなどの有機ニトレートの血管拡張活性の強化に有効であることが容易に見て取れる。例えば、単独で投与された4 μMのNTG(B)によってCPPは87%となり、単独で投与されたNADPH(C)によってCPPは85%となった。単独で投与されたONO−3708(E)によってCPPは82%となった。しかしながら、NTGがNADPH及びONO−3708と共投与された場合(F)は、CPPは25%となった。このCPPの劇的な低下は、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤を使用する場合の、NTGなどの有機ニトレートの相乗的潜在性を示す。さらにまた、還元レベルは、実験の残部にわたって維持された。同様の結果が、亜二チオン酸ナトリウム(1 mM)及びピルビン酸ナトリウム(10 mM)を用いて得られた。
【0050】
(実施例7)
実施例6の操作に従って、トロンボキサンレセプターアンタゴニストSeratrodastをL−アスコルビン酸と共に共投与することによって、NTGの血管拡張活性に対する効果を確認した。下記の化合物を、上限4時間に亘り別個のグループの心臓に灌流させた(n=2):(A)化合物無し−−コントロール; (B) 4 μMのNTG、(C) 50 μMのSeratrodast、(D) 4 μMのNTG及び50 μMのSeratrodast、及び(E) 4 μMのNTG、50 μMのSeratrodast、及び10 mMのL−アスコルビン酸。50 μMのSeratrodast濃度は、トロンボキサンA2レセプター類似物である、U 46619で誘発される血管収縮を抑制するためのIC50である。この濃度は、約900μg/kgの静脈内用量に相当する。投与3分後のCPP値を図6に示す。
【0051】
図6に示されるように、トロンボキサンレセプターアンタゴニストであるSeratrodastは、L−アスコルビン酸と組み合わせられると、NTG等の有機ニトレートの血管拡張効果を相乗的に強化する。例えば、単独で投与された4 μMのNTG(B)によればCPPは85%となった。単独で投与されたSeratrodast(C)によればCPPは82%になった。単独で投与されたSeratrodast(D)によればCPPは77%になった。しかしながら、NTGをL−アスコルビン酸及びSeratrodastと共投与すると(E)、CPPは43%になった。これらの減少したCPP値は、実験の残部に亘って維持された。
【0052】
当業者には、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変性及び変形が可能であることが明かであろう。したがって、本発明は、添付のクレーム及びその等価物の範疇内である限りにおいては、この発明の変性及び変形を網羅することを企図する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、様々な濃度のニトログリセリン(「NTG」)の投与が冠状動脈灌流圧(「CPP」)に及ぼす効果を図示する線グラフである。
【図2】図2は、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト、ONO−3708と共に投与された様々な濃度のニトログリセリンの、冠状動脈灌流圧に及ぼす効果を図示する線グラフである。
【図3】図3は、還元剤としてのL−アスコルビン酸(「AA」)と共に投与された様々な濃度のニトログリセリンの、冠状動脈灌流圧に及ぼす効果を図示する線グラフである。
【図4】図4は、ONO−3708及びL−アスコルビン酸と共に投与された様々な濃度のニトログリセリンの、冠状動脈灌流圧に及ぼす効果を図示する線グラフである。
【図5】図5は、ニトログリセリン、ONO−3708、還元剤としてのNADPH、及び前記化合物の様々な組み合わせの投与が冠状動脈灌流圧に及ぼす効果を図示する棒グラフである。
【図6】図6は、ニトログリセリン、L−アスコルビン酸、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト、Seratrodast、及び前記化合物の様々な組み合わせの投与が冠状動脈灌流圧に及ぼす効果を図示する棒グラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、患者に投与される有機ニトレートの血管拡張活性を強化するための方法及び製剤、とりわけ、ニトログリセリンの血管拡張活性を強化するための方法及び製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
百年以上に亘り、ニトログリセリン及び硝酸アミル等の有機ニトレートは、狭心症の疼痛を緩和し、心臓疾患を治療するために使用されてきた(Reeves, J. T., 1995, NIPS. 10, 141)。これらの化合物の有利な使用は、患者に投与されると脈管系(すなわち、動脈及び静脈)の膨張を誘発して血圧及び心臓にかかる予圧を低下させるという、これらの能力による。
【0003】
ニトログリセリン、もしくはグリセリントリニトレートは、患者に投与された際に、薬理学的に活性な代謝産物である酸化窒素(「NO」)に生理学的に変換される、有機ニトレートエステルである。NOは、例えば、脈管平滑筋中の可溶性グアニレートシクラーゼを活性化し、これが順次環状グアノシンモノホスフェート(cGMP)を増大させ、その結果血管緊張低下をもたらし、最終的には血管拡張及び血圧の低下をまねく。しかしながら、ニトログリセリン及び血管拡張活性を有する他の有機ニトレートの有効性は著しく減ぜられる。なぜなら有機ニトレートの受容者が、有機ニトレートの有利な効果に対する耐性を迅速に発達させるためである。
【0004】
ニトログリセリン及び他の有機ニトレートの脈管及び及び狭心症効果への耐性は、低用量において並びに高用量において発生しうる。結果として、有機ニトレートは、持続性療法の間にその有効性を喪失し、同様の効果を達成するためにはますます多量の有機ニトレートを投与しなければならない。ニトレート耐性が進行すると、ニトログリセリン及び他の有機ニトレートの有効性は更に制限され、用量を増加させても血管緊張低下または血管拡張に対する効果がほとんどなくなるか全くなくなる(例えば、Bogaert, M., 1991, J. Cardiovas. Pharmacol. 17(Suppl. 3), S313;及びUnger, P., et al., 1991, J. Cardiovasc. Pharmacol. 17(Suppl. 3), S300を参照のこと)。さらにまた、所定の状況においては、ニトレート耐性の患者に対する有機ニトレートの投与は、血管拡張ではなく血管収縮をもたらしうる(Caramori et al., 1998, JACC 32(7), 1969; Gupte et al., 1996, Am J. Physiol. H2447)。これは、有機ニトレートの投与が、改善しようとするまさにその症状を悪化させうることから、危険な副作用となりうる。さらにまた、耐性の発達にうち勝とうとして非常に高用量の有機ニトレートを注入すると、細胞毒性及び器官不全を起こしうる。
【0005】
有機ニトレート(例えばニトログリセリン)の耐性が発生する正確な機構は、依然知られていない。耐性の発生を説明する理論には、(1)ニトログリセリンを活性な酸化窒素に直接生体変換するために必要なスルフヒドリルプールが、過剰なニトログリセリン基質によって枯渇する(Boesgaard, S., et al., 1991, J. Pharmacol. Exp. Ther. 258, 851);(2)脈管グアニレートシクラーゼの賦活性が、ニトログリセリンによって減ぜられる(Henry P. J., et al., 1989, Br. J. Pharmacol. 98, 757);または(3)cGMP分解の速度は、ニトログリセリンに対する耐性の間のcGMPホスホジエステラーゼの増加によって増大する(Axelsson, K. L., et al., 1987, Drugs 33, 63);が含まれる。さらに、最近では、神経ホルモン活性化及び血漿(plasma)体積の増大が耐性発生の原因とされている。
【0006】
ニトレート耐性の発生を回避または軽減しようとする試みには、ビタミンE及びC等の抗酸化剤の使用が含まれる(Munzel et al., 1998, Am. J. Cardiol. 81(1A), 30A)。別の方法には、還元されたグルタチオンまたはシステインの投与及び、アンジオテンシンII変換酵素阻害薬またはアンジオテンシンIIレセプターアンタゴニストを用いた予備処理が含まれる。同様に、有機ニトレート投与に関連する血管収縮を抑制するために、トロンボキサンレセプターアンタゴニストを用いて、幾分の成果が上げられている(Gupte et al., 1996, Am. J. Physiol. H2447)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記に鑑みて、また、ニトレートが最も強力な療法と見なされるため、当業界においては、有機ニトレートに耐性を示さない患者に対して投与される有機ニトレートを強化(すなわちその有効性を増大)させる方法が求められている。同様に、当業者においては、有機ニトレートに対して既に耐性を示す患者に対して投与される有機ニトレートの効果を増大させる方法が求められている。
【0008】
したがって、本発明の目的は、特に、患者に投与される有機ニトレートの強化のための、方法、製剤、及び相乗組成物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、血管拡張活性を有する有機ニトレートの強化方法を提供するが、これは、前記有機ニトレートの有効量を、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤の相乗作用性量と共に患者に投与することによる。
【0010】
1つの実施態様においては、有機ニトレート、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト、及び還元剤は、患者に共投与される。別の実施態様においては、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤は、有機ニトレートより前に患者に投与される。更に別の実施態様においては、有機ニトレートはトロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤より前に患者に投与される。前記患者は、好ましくは哺乳類であり、血管拡張を必要とし、さらに有機ニトレートへの耐性を示してもよい。
【0011】
血管拡張活性を有する有機ニトレートには、ニトログリセリン、亜硝酸アミル、イソソルバイドジニトレート、イソソルバイドモノニトレート、エリスリチルテトラニトレート、ペンタエリスリトールトリニトレート、ペンタエリスリトールテトラニトレート、ナトリウムニトロプルシド、トロルニトレートホスフェート、クロニトレート、マンニトールヘキサニトレート、プロパチルニトレート、及びこれらの混合物が含まれる。前記有機ニトレートの有効量は、体重1kg当たり0.0001乃至120mgであり、30mg/kg以下であることが好ましく、0.5mg/kg以下であることがいっそう好ましい。
【0012】
1つの実施態様においては、還元剤は非−抗酸化還元剤である。前記の非−抗酸化還元剤には、GDP(グアノシンジホスフェート)、GTP(グアノシントリホスフェート)、NADPH(還元ニコチナミド−アデニンジヌクレオチドホスフェート)、NADH(還元ニコチナミド−アデニンジヌクレオチド)、FADH2(還元フラビン−アデニンジヌクレオチド)、FMNH2(還元フラビンモノヌクレオチド)、ピルビン酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、N−アセチルシステイン、還元グルタチオン、及びこれらのあらゆる混合物が含まれる。別の実施態様においては、還元剤はL−アスコルビン酸である。
【0013】
トロンボキサンレセプターアンタゴニストには、ONO−3708、Seratrodast、Rodigrel、Daltroban、Sulotroban、AH−23848、GR32191、ICI192605、SQ28668、SQ28913、SQ29548、及びこれらのあらゆる混合物が含まれる。2つの好ましいトロンボキサンレセプターアンタゴニストは、ONO−3708及びSeratrodastである。
【0014】
本発明による、相乗作用性量のトロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤によれば、前記有機ニトレート単独の場合に比べて、患者の冠動脈灌流圧は少なくとも15%低減される。更に好ましくは、前記相乗作用性量は少なくとも25%の低減を与えるが、冠動脈還流圧が少なくとも40%以上低減されることが好ましい。
【0015】
本発明はまた、有効量の有機ニトレート及び相乗作用性量のトロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤を含む、血管拡張を誘発する製剤を提供する。前記製剤のための相乗作用性量とは、有機ニトレート:トロンボキサンレセプターアンタゴニストの比が1:1乃至1:2000になり、有機ニトレート:還元剤の比が1:10乃至1:5×107となるものである。好ましくは、有機ニトレート:トロンボキサンレセプターアンタゴニストの比が1:1乃至1:1000になり、前記有機ニトレート:還元剤の比が1:10乃至1:5×105になるものであり、有機ニトレート:トロンボキサンレセプターアンタゴニストの比が1:1乃至1:100になり、前記有機ニトレート:還元剤の比として1:10乃至1:5×103になるものが更に好ましい。別の実施態様においては、該製剤は更に、生理学的に許容される担体を含む。
【0016】
有機ニトレートを強化するための相乗組成物もまた提供される。該相乗組成物には、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤が含まれる。該組成物は、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び前記還元剤を、1:1乃至1:5×107の範囲の比で含有し、1:1乃至1:5×105が好ましく、1:1乃至1:5×103が更に好ましい。別の実施態様においては、該組成物は更に生理学的に許容される担体を含む。
【0017】
本発明によれば、有機ニトレートにより血管拡張活性の改善が達成される。トロンボキサンレセプターアンタゴニストと還元剤とを組み合わせて使用することにより、冠動脈灌流圧の著しい低下が促進される。同様に、本発明は、より低い用量の有機ニトレートを使用して、著しく高い用量によってこれまで得られていた血管拡張のレベルを達成することを容易にする。これら及び他の利点は、以下の本発明の詳細な説明を読むことによって容易に明らかになるであろう。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、有機ニトレートの血管拡張活性を強化する方法が提供される。有利には、有機ニトレートの血管拡張活性は、該有機ニトレートをトロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤と組み合わせて投与することによって強化(即ち増大)される。有機ニトレートと、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤の組み合わせとの間の予期せぬ相乗作用が、有機ニトレートを低レベルで使用して、患者において十分な血管拡張を達成することを容易にする。
【0019】
本願中における患者とは、好ましくは生きているあらゆる生体を意味し、哺乳類が好ましい。哺乳類の代表例には、以下に限定されるものではないが、ウシ、イヌ、ネコ、ウマ、マウス、及びヒトが含まれる。別の好ましい実施態様においては、患者(例えば哺乳類)は血管拡張を必要としている。これは、前記患者が、心臓のまたは別の状態に罹患しており、血管拡張によって前記状態(例えば、狭心症による胸部疼痛)による望ましからぬ症状からの有利な解放、またはその緩和が得られるであろうことを意味する。別の実施態様においてはは、患者は血管拡張活性を有する有機ニトレートに対して、既に耐性を示している。
【0020】
本発明によれば、有機ニトレート、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト、および還元剤が患者に投与される一連の操作は変動性である。好ましい実施態様においては、有機ニトレート、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト、及び還元剤は、送達の容易性のために患者に共投与される。あるいはまた、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤が、有機ニトレートの前に患者に投与されるか、あるいはその逆の順序である。更に別の実施態様においては、有機ニトレート、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト、及び還元剤は、それぞれ順次投与されるか、または前記有機ニトレートが、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤のいずれかと共投与される。いかなる特定の製剤についても、投与の好ましい順序は本発明の以下の教示に従い、当業者によって容易に決定可能である。
【0021】
前記有機ニトレートは、血管拡張及び/または抗狭心症活性を有する、いかなる有機ニトレート(またはニトライト)であってよい。この文脈における血管拡張活性とは、該化合物が、患者において血管の直径を増大させ、これによって血流に対する抵抗を低減できることを意味する。当業者には明かであるように、血流に対する抵抗の減少は、心臓に液体を注入するために必要な圧力である、冠状動脈灌流圧(「CPP」)の減少を測定することによって概算可能である。
【0022】
血管拡張及び/または抗狭心症活性を有する有機ニトレート(またはニトライト)の例は、当業者には周知である。本発明によって使用される、血管拡張活性を有する好適な有機ニトレートの代表例には、以下に限定されるものではないが、ニトログリセリン、亜硝酸アミル、イソソルバイドジニトレート、イソソルバイドモノニトレート、エリスリチルテトラニトレート、ペンタエリスリトールトリニトレート、ペンタエリスリトールテトラニトレート、ナトリウムニトロプルシド、トロルニトレートホスフェート、クロニトレート、マンニトールヘキサニトレート、プロパチルニトレート、及びこれらの混合物が含まれる。好ましい有機ニトレートは、ニトログリセリンである。
【0023】
本発明によれば、血管拡張活性を有する有機ニトレートの有効量が患者に投与される。有効量とは、患者のCPPに減少を誘発するために充分な、有機ニトレートの量である。患者のCPPの変化は、Doppler−またはエコー−カルジオグラフィーなどの非侵襲性技術によってモニターすることができる。同様に、患者のCPPにおける変化は、血圧を測定すること(プレチスモグラフィ(plethsmography))によって間接的に確認可能である。しかしながら、有機ニトレートの投与に帰因する血管拡張による、患者のCPPの減少を確認するために、別の方法を利用することも可能である。
【0024】
CPPの減少を誘発するために必要とされる有機ニトレートの量は、患者毎に異なり、特定の有機ニトレートのED50(またはIC50)、投与の方法、患者の体重及び年齢、ニトレート耐性の有無を含む、様々な因子によって影響される。一般的に、有機ニトレートの有効量は、一日毎に体重1kg当たり0.0001乃至120mgであり、上限は30mg/kgであることが好ましく、上限は0.5mg/kgであることがより好ましい。例えば、ニトログリセリンの場合には、用量は、錠剤形態について0.3乃至0.6mg、軟膏について15乃至30mg、経皮パッチについて0.1乃至10mg/時、及び静脈内溶液について0.5乃至75μg/kg/分で変化可能である。上記パラメータは当業者によれば容易に確認可能である。
【0025】
前述のように、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤は、有機ニトレートを強化するために使用される。本発明によって使用される、トロンボキサンレセプターアンタゴニストには、あらゆる選択的トロンボキサンA2−レセプターアンタゴニストが含まれる。トロンボキサンレセプターアンタゴニストの例は、当業者には周知である。使用される代表例には、以下に限定されるものではないが、ONO−3708((9,11)、(11,12)−ジデオキサ−9アルファ,11アルファ−ジメチルメタノ−11,12−メタノ−13,14−ジヒドロ−13−アザ−14−オキソ−15−シクロペンチル−16,17,18,19,20−ペンタノール−15−エピ−TxA2)、Seratrodast((±)−ζ−(2,4,5−トリメチル−3,6−ジオキソ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル)ベンゼンヘプタン酸)、Rodigrel((E)−5−[[[3−ピリジニル[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチレン]アミノ]オキシ]ペンタン酸)、Daltroban(4−[2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル]アミノ]エチル]−ベンゼン酢酸)、Sulotroban(4−[2−(ベンゼンスルフアミド)エチル]フェノキシ酢酸)、AH−23848([1α(Z)−2β,5α]−(+)−7−[5−[[(1,1’−ビフェニル)−4−イル]−メトキシ]−2−(4−モルホリニル)−3−オキソ−シクロペンチル]−4−ヘプタノン酸)、GR32191([1R−[1α(Z),2β,3β,5α]]−(+)−7−[5−([1,1’−ビフェニル]−4−イルメトキシ)−3−ヒドロキシ−2−(1−ピペリジニル)シクロペンチル]−4−ヘプタン酸)、ICI192605−4((Z)−6−[(2,4,5−cis)2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)1,3−ジオキサン−5−イル]ヘキサン酸、SQ28668([1S−[1α,2β(5Z),3β(1E,3R,4S),4α]]−7−[3−(3−ヒドロキシ−4−フェニル−1−ペンテニル)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル]−5−ヘプテン酸)、SQ28913([S−[1α,2α(Z),3α,4α]]−7−[3−[(ヘキシルチオ)メチル]−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル]−5−ヘプテン酸)、SQ29548([1S−[1α,2α,(Z),3α(1E,3S*,4R*),4α]]−7−[3−(3−ヒドロキシ−4−フェニル−1−ペンテニル)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル]−5−ヘプテン酸)、及びこれらの混合物が含まれる。好ましいトロンボキサンレセプターアンタゴニストは、ONO−3708及びSeratrodastである。
【0026】
本発明の内容においては、還元剤は、別の化合物の原子価を減少させることができるあらゆる化合物であり、これ自体が電子を供与する結果として酸化される(すなわち、該化合物は電子供与体である)。好ましくは、該化合物は、患者にとって生理学的に許容され、これは該化合物が一般的に耐性(すなわち比較的に無毒性)であることを意味する。化合物の還元性能は、しばしばその酸化還元電位(Eσ)を測定することによって特徴付けられる。これは、フリーラジカルを捕捉すること、もしくはフリーラジカルスカベンジャーとして作用することによってフリーラジカルを中和する、「古典的」抗酸化剤とは対照的である。しかしながら、当業者には明かであるように、抗酸化剤として特徴付けられる化合物には、還元剤(すなわち電子供与体)としても機能するものがある。本発明によれば、相乗組成物の還元剤には、非−抗酸化還元剤及び還元特性を有する抗酸化剤が含まれる。非−抗酸化還元剤の例には、GDP、GTP、NADPH、NADH、FADH2、FMNH2、ピルビン酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、N−アセチルシステイン、還元グルタチオン、及びこれらの混合物が含まれる。還元特性を有する抗酸化剤の例は、L−アスコルビン酸である。2つのカテゴリーの組み合わせもまた使用可能である。好ましい実施態様においては、還元剤は、L−アスコルビン酸またはNADPHである。
【0027】
トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤は、有機ニトレートの血管拡張効果を強化するための相乗作用性量で投与される。本願の文脈における相乗作用性量は、有機ニトレートの血管拡張効果を増大させて、有機ニトレート単独の投与によって示されるCPPの減少と比べて少なくとも15%の減少を誘発するために充分な、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤の量を意味する。好ましくは、相乗作用性量は、CPPの少なくとも25%の減少を提供する量であり、少なくとも40%以上がより好ましい。本発明の1つの明瞭な利点は、単独で投与された場合には十分量の血管拡張を示さない低用量の有機ニトレートが、ここでトロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤と共に投与された場合には、効果的なレベルの血管拡張を提供できることである。したがって、有機ニトレートを著しく低下させたレベルで使用して、患者に充分な血管拡張を提供することが可能である。
【0028】
当業者には明かであろうが、相乗作用性量を提供するための、有機ニトレートのトロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤に対する比は、可変である。一般的に、トロンボキサンレセプターアンタゴニストの量は、実質的に還元剤より少ない。本発明によれば、有機ニトレートのトロンボキサンレセプターアンタゴニストに対するモル比は、1:1乃至1:2000の範囲であり、1:1乃至1:1000が好ましく、1:1乃至1:100がより好ましい。有機ニトレートの還元剤に対するモル比は、1:10乃至1:5×107の範囲であり、1:10乃至1:5×105が好ましく、1:10乃至1:5×103がより好ましい。更に、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤の選択は、最適な強化を提供するために必要な2つの成分の比に影響するであろう。例えば、これらそれぞれのED50(またはIC50)によって特徴付けられるトロンボキサンレセプターアンタゴニストの有効性は、化合物毎に異なる。同様に、これらそれぞれの酸化還元電位によって特徴付けられる還元剤の有効性もまた、化合物毎に異なる。これらのパラメータは、本発明の以下の教示に従って、当業者によって容易に確認可能である。
【0029】
本発明はまた、患者における血管拡張を誘発するための製剤を提供するが、これは血管拡張活性を有する有機ニトレートの有効量、及びトロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤の相乗作用性量を含む。本発明の製剤は、当業界において既知の如何なる方法によって患者に投与されても良い。送達の経路には、以下に限定されるものではないが、経口、鼻腔内、舌下、肺内、結腸、経皮、静脈内、及びこれらの組み合わせが含まれる。患者への投与のための好適な、許容される投薬形態には、以下に限定されるものではないが、錠剤、カプセル、粉末、パッチ、溶液、懸濁液、即時及び持続性の放出が含まれる。好ましくは、本発明の製剤は、生理学的に許容される担体を含み、この中に有機ニトレートが分散される。例えば、液体製剤を調製する場合には、前記担体は緩衝食塩水であってよい。こうした投薬形態の製造及び投与の操作は、充分に当業者の技術常識の範囲内である。
【0030】
更に、本発明は、血管拡張活性を有する有機ニトレートを強化するための相乗組成物を提供する。前記相乗組成物は、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤を含む。前記トロンボキサンレセプターアンタゴニストの還元剤に対するモル比は、前記相乗組成物中において1:1乃至1:5×107の範囲であり、1:1乃至1:5×105の範囲であると好ましく、1:1乃至1:5×103の範囲であるとより好ましい。該相乗組成物は、上述の有機ニトレート含有製剤と同様の方法で投与及び製剤される。
【0031】
下記の非限定的実施例は、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤と組み合わせにより血管拡張を提供する、有機ニトレートの使用を詳説する。
【0032】
【実施例】
(比較例1)
体重310乃至400グラムのオスのSprague−Dawelyラットを断頭し、素速く心臓を切除した。 Gupte, S. A., Okada, T., Ochi., R., ”Coronary vasoconstriction in superoxide−pre−treated rat heart: increase by nitroglycerin and decrease by NO synthase inhibitors” Proc. Jpn. Acad. Ser. B. 71:1995, p. 274−278、及びOkada, T., ”Hypoxia−induced changes in prostanoids production and coronary flow in isolated rat heart”, J. Mol. Cell Cardiol. 23:939−948 (1991)を参照のために取り込むこととするが、これらに記載された操作に従ってランゲンドルフ灌流を成立させた。
【0033】
各心臓に、116 mMのNaCl, 25 mMのNaHCO3, 2.5 mMのCaCl2, 1.2 mMのMgSO4, 4.7 mMのKCl, 1.2 mMのKH2PO4, 及び5.5 mMのグルコース(pH 7.4)を含有する、調整クレープス‐ヘンゼライト溶液を、12mL/分の一定流速にて、再循環無しに逆行的に(retrogradely)灌流させた。灌流液は38℃に加温し、95%、2乃至5%のCO2ガス混合物で酸化して、全実験期間に亘って400mmHgより高いO2圧力を維持した。平均冠動脈灌流圧(「CPP」)における変化を、冠動脈内への灌流液の入り口に水トランスデューサーを設置することによって監視した。時間=0でのCPPをコントロール(Control)とみなし、100%とした。
【0034】
15乃至20分の安定化及び制御期間の後、環状動脈流を24mL/分に増加させてCPPを85乃至95mmHgに維持した。心臓に、10分間に亘り高流量を灌流させた。高流量での10分間の灌流の後、心臓は、試験化合物による灌流に向けて準備完了となった。
【0035】
ニトログリセリン(「NTG」)の血管拡張活性を確認するために、以下の濃度のNTGを投与した(n=4−7): 0.05μM; 0.1μM; 1.0μM; 2.0μM; 及び4.0μM(これらはそれぞれ、約0.681 μg/kg; 1.362 μg/kg; 13.62 μg/kg; 27.252 μg/kg; and 54.504 μg/kgの静脈内用量に相当する)。CPPの変化を監視し、図1に示し、表1にまとめた。
【0036】
図1及び表1に見られるように、0.05 μMのNTG(−−▼−−)、0.1 μMのNTG(−−■−−)、及び1.0 μMのNTG(−−+−−)は、冠状動脈灌流圧に対する影響が最小であった。実際、0.05 μMのNTG及び0.1 μMのNTGを用いた灌流では、全く血管拡張を与えなかった。2.0 μMのNTG(−−▲−−)及び4 μMのNTG (−−●−−)は、灌流圧を一時的に低下させた。しかしながら、2.0 μMのNTG及び4.0 μMのNTGの投与の後20分間のうちに、CPPは100%を越えるまでに増大した。
【0037】
(比較例2)
実施例1の操作に従い、トロンボキサンレセプターアンタゴニストと共に共投与されたニトログリセリンの血管拡張活性を確認した。ラットの心臓に高流量で10分間灌流した後、NTG及びONO−3708を共投与した(n=4−6)。10 μMのONO−3708(これは約162 μg/kgの静脈内用量に相当する)と様々な濃度のNTGとの共投与のCPPに対する効果を、図2に示し、表1にまとめた。トロンボキサンA2レセプター類似物であるU46619を用いて誘発される血管収縮を抑制するためのIC50に相当する濃度であることから、10 μMのONO−3708を使用した。
【0038】
図2は、ONO−3708とNTGとの共投与がCPPにわずかな減少を生じたことを示す。例えば、0.05 μMのNTG及び10 μMのONO−3708を投与した場合(−−■−−)、CPPは91%にまで低下した。前記NTG濃度を1.0 μMに増加させると(−−+−−)、CPPは92%になった。したがって、0.05 μM、0.1 μM、及び1.0 μMのNTGの投与は、実質的にONO−3708単独での投与(−−▼−−)に対して全く改善を示さなかった。しかしながら、ONO−3708と、2 μMのNTG(−−●−−)または4 μMのNTG(−−▽−−)との共投与は、2 μMまたは4 μMのNTGを単独で投与した場合(図1、−−▲−−及び−−●−−)に起こる血管緊縮を、確かに妨げた。
【0039】
(比較例3)
還元特性を有する抗酸化剤であるL−アスコルビン酸の、ニトログリセリンの血管拡張活性に対する効果を確認するために、実施例1に記載の操作を用いて、様々な濃度のNTGを、L−アスコルビン酸と共投与した。10 mMのL−アスコルビン酸という濃度を使用したが、これは約60 mg/kgの静脈用量に相当する。ラットの心臓に高流量で10分間灌流した後、NTG及びL−アスコルビン酸(「AA」)を共投与した(n=5)。L−アスコルビン酸と様々な濃度のNTGとの共投与のCPPに対する効果を、図3に示し、表1にまとめた。
【0040】
図3は、L−アスコルビン酸とNTGとの共投与が、CPPにわずかな減少をもたらしたことを示す。例えば、CPPは、 0.05 μMのNTGと10 mMのアスコルビン酸との投与(−−■−−) または0.1 μMのNTGと10 mMのL−アスコルビン酸との投与(−−+−−)の20分後に88%にまで低下したが、これはL−アスコルビン酸単独での投与(−−▼−−)に対して僅かな改善である。NTG濃度の2.0 μM (−−●−−)及び4.0 μM (−−○−−)への増加は、それぞれCPPを78%及び76%とする。したがって、L−アスコルビン酸及びNTGの共投与は、確かにいくらかの血管拡張をもたらし、NTGを単独で投与された際に見られた血管収縮を抑制した。
【0041】
(実施例4)
実施例1に従い、トロンボキサンレセプターアンタゴニストであるONO−3708及び還元剤であるL−アスコルビン酸と、共投与されたニトログリセリンの血管拡張活性を確認した。心臓に、10分間に亘り高流量を灌流させた後、NTGをONO−3708とL−アスコルビン酸との組み合わせと共投与した(n=6)。ONO−3708及びL−アスコルビン酸を様々な濃度のNTGと共投与することによる、CPPへの効果を、図4に示し、表1にまとめた。
【0042】
図4及び表1に見られるように、有機ニトレートであるNTGを、10 μMのONO−3708及び10 mMのL−アスコルビン酸を含有する相乗組成物(モル比1:1000)と組み合わせて投与することにより、NTGが大幅に強化される。CPPは、4μMのNTGを、L−アスコルビン酸及びONO−3708と組み合わせて投与した1分後に、52%まで迅速に低下し、240分後に47%で水平となった(−−●−−)。これを、4 μMのNTG単独での投与によってもたらされる、1分後のCPPの一時的な94%までの低下、3分後の84%までのゆるやかな低下、続く240分後のCPPの150%までの増加(−−●−−)と比較する。同様に、3つの成分の組み合わせ投与により、240分においてCPP86%を示す、4 μMのNTGのONO−3708との共投与 (図 2, −−▽−−) 及び、240分においてCPP76%を示す、4 μMのNTGのL−アスコルビン酸との共投与(図 3, −−○−−) に対して著しい改善がもたらされた。
【0043】
前記相乗組成物はまた、単独で投与されても血管拡張をもたらさず、ONO−3708またはL−アスコルビン酸と共投与された場合にCPPにわずかな減少をもたらすのみである、低容量のNTGの有効性を強化した。例えば、0.05 μMのNTGの、L−アスコルビン酸及びONO−3708との共投与により、投与の5分後にCPPは77%となり、240分後に74%となった(−−▼−−)。同様に、0.1 μMのNTGのL−アスコルビン酸及びONO−3708との共投与により、投与の5分後にCPPは60%となり、240分後には59%となった(−−■−−)。しかしながら、0.05 μMのNTG単独(図 1, −−▼−−)または0.1 μMのNTG単独(図1, −−■−−)のいずれかの投与は、最高で100%のCPPをもたらした。ONO−3708とL−アスコルビン酸との組み合わせもまた、0.05 μMのNTGまたは0.1 μMのNTGの、ONO−3708 (図2, −−■−−及び図 2, −−+−−)またはL−アスコルビン酸(図3, −−■−−及び図3, −−+−−)のいずれかとの共投与(最高で91%及び88%のCPP値をもたらした)に対して、著しい改善をもたらした。同様に、CPPのわずかな減少のみが、NTGなしでのONO−3708及びL−アスコルビン酸の共投与について観察された。
【0044】
【表1】
【0045】
(比較実験5)
実施例1の操作に従い、古典的な抗酸化剤の、NTGの血管拡張活性に対する効果を確認した。2つの抗酸化組成物、(a)TIRON 100、膜浸透性フリーラジカルスカベンジャー(活性成分−4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸);及び(b)スーパーオキサイドジスムターゼ(「SOD」)膜不浸透性フリーラジカルスカベンジャーを用いた。100 μMのTIRON 100及び80 U/mLのSODを単独で投与してコントロールとし、これらを別個に4 μMのNTGと共投与した。CPPの結果を以下の表2にまとめる。フリーラジカル捕捉性能に関して10 mMのL−アスコルビン酸と等価であることから、TIRON 100及びSODの濃度を選択した。これらの化合物のフリーラジカル捕捉性能は、フェロシトクロームからフェリックシトクロームへの還元によって検出されるように、プリン及びキサンチンオキシダーゼによって発生する全てのスーパーオキサイドアニオンを捕捉するために必要な濃度を測定することによって決定される(I. Fridovich, 1970, J. Biol. Chem., 245, 4053−4057)。
【0046】
【表2】
【0047】
表2に見られるように、いずれの抗酸化剤もNTGを全く強化しなかった。このデータは、L−アスコルビン酸によってもたらされる強化は、その還元特性に帰すると考えられ、フリーラジカルを捕捉するその性能のためではないことを示す。
【0048】
(実施例6)
実施例1の操作に従い、トロンボキサンレセプターアンタゴニストと組み合わせた非抗酸化還元剤の、NTGの血管拡張活性に対する効果を確認した。安定化期間の後20分間、24mL/分の環状動脈流で灌流した心臓のCPP(n=2)を100%と見なして、コントロール(A)とした。CPPの変化を、コントロールのCPPからパーセンテージとして算出した。安定化期間の後、別個のグループの心臓(n=2)に、10分間に亘り高流量を灌流させ、下記の薬剤を4時間に亘って投与した:(B) 4 μMのNTG、(C) 100 μMのNADPH(還元剤)、(D) 4 μMのNTG及び100 μMのNADPH、(E) 10 μMのONO−3708、及び(F) 4 μMのNTG、100 μMのNADPH、及び10 μMのONO−3708。100 μMのNADPH濃度が、約642 μg/kgの静脈内用量に相当する。CPPの変化を監視し、投与の3分後のCPP値を図5に示す。
【0049】
図5より、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト、ONO−3708、及び非−抗酸化還元剤であるNADPHの共投与が、NTGなどの有機ニトレートの血管拡張活性の強化に有効であることが容易に見て取れる。例えば、単独で投与された4 μMのNTG(B)によってCPPは87%となり、単独で投与されたNADPH(C)によってCPPは85%となった。単独で投与されたONO−3708(E)によってCPPは82%となった。しかしながら、NTGがNADPH及びONO−3708と共投与された場合(F)は、CPPは25%となった。このCPPの劇的な低下は、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤を使用する場合の、NTGなどの有機ニトレートの相乗的潜在性を示す。さらにまた、還元レベルは、実験の残部にわたって維持された。同様の結果が、亜二チオン酸ナトリウム(1 mM)及びピルビン酸ナトリウム(10 mM)を用いて得られた。
【0050】
(実施例7)
実施例6の操作に従って、トロンボキサンレセプターアンタゴニストSeratrodastをL−アスコルビン酸と共に共投与することによって、NTGの血管拡張活性に対する効果を確認した。下記の化合物を、上限4時間に亘り別個のグループの心臓に灌流させた(n=2):(A)化合物無し−−コントロール; (B) 4 μMのNTG、(C) 50 μMのSeratrodast、(D) 4 μMのNTG及び50 μMのSeratrodast、及び(E) 4 μMのNTG、50 μMのSeratrodast、及び10 mMのL−アスコルビン酸。50 μMのSeratrodast濃度は、トロンボキサンA2レセプター類似物である、U 46619で誘発される血管収縮を抑制するためのIC50である。この濃度は、約900μg/kgの静脈内用量に相当する。投与3分後のCPP値を図6に示す。
【0051】
図6に示されるように、トロンボキサンレセプターアンタゴニストであるSeratrodastは、L−アスコルビン酸と組み合わせられると、NTG等の有機ニトレートの血管拡張効果を相乗的に強化する。例えば、単独で投与された4 μMのNTG(B)によればCPPは85%となった。単独で投与されたSeratrodast(C)によればCPPは82%になった。単独で投与されたSeratrodast(D)によればCPPは77%になった。しかしながら、NTGをL−アスコルビン酸及びSeratrodastと共投与すると(E)、CPPは43%になった。これらの減少したCPP値は、実験の残部に亘って維持された。
【0052】
当業者には、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変性及び変形が可能であることが明かであろう。したがって、本発明は、添付のクレーム及びその等価物の範疇内である限りにおいては、この発明の変性及び変形を網羅することを企図する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、様々な濃度のニトログリセリン(「NTG」)の投与が冠状動脈灌流圧(「CPP」)に及ぼす効果を図示する線グラフである。
【図2】図2は、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト、ONO−3708と共に投与された様々な濃度のニトログリセリンの、冠状動脈灌流圧に及ぼす効果を図示する線グラフである。
【図3】図3は、還元剤としてのL−アスコルビン酸(「AA」)と共に投与された様々な濃度のニトログリセリンの、冠状動脈灌流圧に及ぼす効果を図示する線グラフである。
【図4】図4は、ONO−3708及びL−アスコルビン酸と共に投与された様々な濃度のニトログリセリンの、冠状動脈灌流圧に及ぼす効果を図示する線グラフである。
【図5】図5は、ニトログリセリン、ONO−3708、還元剤としてのNADPH、及び前記化合物の様々な組み合わせの投与が冠状動脈灌流圧に及ぼす効果を図示する棒グラフである。
【図6】図6は、ニトログリセリン、L−アスコルビン酸、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト、Seratrodast、及び前記化合物の様々な組み合わせの投与が冠状動脈灌流圧に及ぼす効果を図示する棒グラフである。
Claims (45)
- 血管拡張活性を有する有機ニトレートの強化方法であって、前記有機ニトレートの有効量を、トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤の相乗作用性量と共に患者に投与する工程を含む方法。
- 前記有機ニトレート、前記トロンボキサンレセプターアンタゴニスト、及び還元剤が、前記患者に共投与されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び前記還元剤が、前記有機ニトレートの投与よりも前に前記患者に投与されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記有機ニトレートが、前記トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び前記還元剤の投与の前に、前記患者に投与されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 血管拡張活性を有する前記有機ニトレートが、ニトログリセリン、亜硝酸アミル、イソソルバイドジニトレート、イソソルバイドモノニトレート、エリスリチルテトラニトレート、ペンタエリスリトールトリニトレート、ペンタエリスリトールテトラニトレート、ナトリウムニトロプルシド、トロルニトレートホスフェート、クロニトレート、マンニトールヘキサニトレート、プロパチルニトレート、及びこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 血管拡張活性を有する前記有機ニトレートが、ニトログリセリンであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記還元剤が、非−抗酸化還元剤であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記非−抗酸化還元剤が、GDP、GTP、NADPH、NADH、FADH2、FMNH2、ピルビン酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、N−アセチルシステイン、還元グルタチオン、及びこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
- 前記還元剤が、L−アスコルビン酸であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記トロンボキサンレセプターアンタゴニストが、ONO−3708、Seratrodast、Rodigrel、Daltroban、Sulotroban、AH23848、GR32191、ICI192605、SQ28668、SQ28913、SQ29548、及びこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記トロンボキサンレセプターアンタゴニストが、ONO−3708であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記トロンボキサンレセプターアンタゴニストが、Seratrodastであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記相乗作用性量が、前記有機ニトレート単独の投与に比べて、冠動脈灌流圧の少なくとも15%の低減を前記患者に提供することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記相乗作用性量が、冠動脈灌流圧を少なくとも25%減少させることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
- 前記相乗作用性量が、冠動脈灌流圧を少なくとも40%減少させることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
- 前記患者が、哺乳類であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記哺乳類が、血管拡張を必要としていることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
- 前記哺乳類が、前記有機ニトレートに対して耐性を示すことを特徴とする、請求項17に記載の方法。
- 前記有機ニトレートの有効量が、体重1kg当たり0.0001乃至120mgであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記有効量が、0.0001乃至30mg/kgであることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
- 前記有効量が、0.0001乃至0.5mg/kgであることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
- (i)血管拡張活性を有する有機ニトレートの有効量;及び
(ii)トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤の相乗作用性有効量;
を含む、血管拡張誘発製剤。 - 前記有機ニトレートは、ニトログリセリン、亜硝酸アミル、イソソルバイドジニトレート、イソソルバイドモノニトレート、エリスリチルテトラニトレート、ペンタエリスリトールトリニトレート、ペンタエリスリトールテトラニトレート、ナトリウムニトロプルシド、トロルニトレートホスフェート、クロニトレート、マンニトールヘキサニトレート、プロパチルニトレート、及びこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項22に記載の製剤。
- 前記有機ニトレートが、ニトログリセリンであることを特徴とする、請求項22に記載の製剤。
- 前記還元剤が、非−抗酸化還元剤であることを特徴とする、請求項22に記載の製剤。
- 前記非−抗酸化還元剤が、GDP、GTP、NADPH、NADH、FADH2、FMNH2、ピルビン酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、N−アセチルシステイン、還元グルタチオン、及びこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項25に記載の製剤。
- 前記還元剤が、L−アスコルビン酸であることを特徴とする、請求項22に記載の製剤。
- 前記トロンボキサンレセプターアンタゴニストが、ONO−3708、Seratrodast、Rodigrel、Daltroban、Sulotroban、AH23848、GR32191、ICI192605、SQ28668、SQ28913、SQ29548、及びこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項22に記載の製剤。
- 前記トロンボキサンレセプターアンタゴニストが、ONO−3708であることを特徴とする、請求項22に記載の製剤。
- 前記トロンボキサンレセプターアンタゴニストが、Seratrodastであることを特徴とする、請求項22に記載の製剤。
- 前記相乗作用性量が、有機ニトレート:トロンボキサンレセプターアンタゴニストの比が1:1乃至1:2000になり、有機ニトレート:還元剤の比が1:10乃至1:5×107となるものであることを特徴とする、請求項22に記載の製剤。
- 前記有機ニトレート:トロンボキサンレセプターアンタゴニストの比が1:1乃至1:1000になり、前記有機ニトレート:還元剤の比が1:10乃至1:5×105になるものであることを特徴とする、請求項31に記載の製剤。
- 前記有機ニトレート:トロンボキサンレセプターアンタゴニストの比が1:1乃至1:100になり、前記有機ニトレート:還元剤の比が1:10乃至1:5×103になることを特徴とする、請求項32に記載の製剤。
- 生理学的に許容される担体を更に含むことを特徴とする、請求項22に記載の製剤。
- トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び還元剤を含む、血管拡張活性を有する有機ニトレートに相乗作用を与えるための相乗組成物。
- 前記還元剤が、非−抗酸化還元剤であることを特徴とする、請求項35に記載の組成物。
- 前記非−抗酸化還元剤が、GDP、GTP、NADPH、NADH、FADH2、FMNH2、ピルビン酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、N−アセチルシステイン、還元グルタチオン、及びこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項36に記載の組成物。
- 前記還元剤が、L−アスコルビン酸であることを特徴とする、請求項35に記載の組成物。
- 前記トロンボキサンレセプターアンタゴニストが、ONO−3708、Seratrodast、Rodigrel、Daltroban、Sulotroban、AH23848、GR32191、ICI192605、SQ28668、SQ28913、SQ29548、及びこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項35に記載の組成物。
- 前記トロンボキサンレセプターアンタゴニストが、ONO−3708であることを特徴とする、請求項35に記載の組成物。
- 前記トロンボキサンレセプターアンタゴニストが、Seratrodastであることを特徴とする、請求項35に記載の組成物。
- 前記トロンボキサンレセプターアンタゴニスト及び前記還元剤が、1:1乃至1:5×107の範囲の比で存在することを特徴とする、請求項35に記載の組成物。
- 前記比が、1:1乃至1:5×105の範囲であることを特徴とする、請求項42に記載の組成物。
- 前記比が、1:1乃至1:5×103の範囲であることを特徴とする、請求項43に記載の組成物。
- 生理学的に許容される担体を更に含むことを特徴とする、請求項35に記載の組成物。
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