JP2004503261A - 分子マーカー - Google Patents

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Abstract

正常組織に対し、癌組織において示差的発現パターンを示す遺伝子配列に関する。かかる遺伝子配列の同定は、癌の分子マーカー、癌進行の早期指標、及び/又は癌が発生する性向または可能性の予測マーカーとしてのそれら遺伝子配列の使用を可能にする。特に、正常子宮頸部細胞に対し、子宮頸部細胞において、又は無症候性、早発性及び/又は遅発性子宮頸癌に伴って上方制御される発現パターンを示す遺伝子配列に関する。本発明の遺伝子配列は、無症候性、早発性又は遅発性子宮頸癌及び/又は子宮頸癌に関連する癌のマーカーを提供する。本発明のマーカーは、子宮頸癌又は関連する癌の治療又は予防用治療プロトコルの作成のための潜在的標的を提供し、かかるプロトコルは、マーカー発現の阻害又はマーカー発現産物の阻害を対象とする。さらに、子宮頸癌及び/又はその進行の有用な指標である分子マーカーの同定方法を対象とする。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
一般的に、本発明は、正常組織に対し、癌組織において示差的発現パターンを示す遺伝子配列に関する。示差的に発現した遺伝子配列の同定は、癌の分子マーカーとして、癌進行の早期指標として、および/または癌が発生する性向または可能性の予測マーカーとしてのそれら遺伝子配列の使用を可能にする。特に、本発明は、正常子宮頸部細胞に対し、子宮頸部細胞において、または無症候性(pre−onset)、早発性および/または遅発性子宮頸癌に伴ってアップレギュレートされる発現パターンを示す遺伝子配列に関する。本発明の遺伝子配列は、無症候性、早発性もしくは遅発性子宮頸癌および/または子宮頸癌に関連する癌のマーカーを提供する。さらに、本発明のマーカーは、子宮頸癌または関連する癌の治療または予防のための治療プロトコルを作成するための潜在的標的を提供する。このような治療プロトコルは、マーカーの発現を阻害することまたはマーカーの発現産物を阻害することを対象とする。さらに、本発明は、子宮頸癌および/またはその進行の有用な指標である分子マーカーを同定する方法を対象とする。
【0002】
【従来の技術】
本明細書において著者によって引用される刊行物の書誌詳細は、説明の最後に集められている。
【0003】
本明細書におけるどの先行技術への言及も、その先行技術がオーストラリアにおける共通の一般知識の一部を形成することを承認およびいかなる形態であれ示唆するものではなく、またそのように解釈すべきではない。
【0004】
子宮頸癌は、罹患率と死亡率の双方で世界中の女性に影響を及ぼす最も一般的な腫瘍であり、毎年約471,000の新たな症例が診断され、約200,000名の女性がこの疾患で死亡している。(Pisani、他、1993および1997)。1994年には、米国で15,000名と推定される女性が浸潤性子宮頸癌と診断され、スクリーニングに目覚ましい進歩があったにもかかわらずこの年には約4600名の女性がこの疾患で死亡した(Boring他、1994)。1995年には、米国における発生率は15,800症例と4800名の死亡に増加した。(Wingo、他、1995)。
【0005】
子宮頸癌は、子宮頸管内または子宮膣部上のどちらかの扁平円柱上皮接合部を起源とする。前駆病変は異形成またはin situの癌腫(頸部上皮内癌[CIN])であり、これは後に浸潤癌になることがある。このプロセスはかなり遅いことがある。胃形成病変の50%は治療することなく消失し、異形成病変の10%が、基底組織に浸潤する前の上皮内病変の最終段階に到達すると言われている。異形成の総数の2%のみが、この上皮内癌腫を超えて明らかな浸潤癌まで進行する(Ostor、1993;Duggan、1998)。しかしながら、縦断的研究により、治療を受けていないin situの子宮頸癌患者では、10−12年の間に30−70%が浸潤癌を発症することが分かった。約10%の患者に限って、1年未満で病変はin situから浸潤性へと進行することがある(Gustafsson、他、1989;Van Oortmarssen、他、1991)。
【0006】
細胞タイプに関しては、子宮頸癌は、扁平上皮癌、腺癌、腺扁平上皮癌および小細胞癌に分類することができる。細胞分類扁平上皮細胞(類表皮)癌が約80%を占めるが、腺扁平上皮癌および小細胞癌は比較的稀である。しかしながら、子宮頸部の悪性疾患の中でも、最近の報告では腺癌の割合が4.9−20%と増加したようである(Berek、他、1981;Goodman他、1989;Vizcaino、他、1998)。子宮頸部の腺癌が子宮頸部の扁平上皮細胞癌よりもかなり悪い予後を示すか否かをめぐる論争が依然として続いている(Steren他、1993)。腺扁平上皮細胞のタイプが転帰に及ぼす影響に関する矛盾する報告もある(Gallup他、1985;Yazigi他、1990)。ある報告は、見かけの扁平上皮腫瘍の約25%が、明らかなムチン産生を有して正常な扁平上皮細胞よりも激しく挙動し、腺腫性分化が負の予後をもたらすことが示唆されることを明らかにした(Bethwaite他、1992)。子宮頸部の知られている浸潤性扁平上皮癌患者の研究から、c−myc癌遺伝子の過剰発現が、早期子宮頸癌における悪い予後に伴うことが分かった(Strang他、1987)。
【0007】
米国では、600万人を超える女性がヒト乳頭腫ウイルス(HPV)に感染していると推定される。疫学的研究は、子宮頸部の前浸潤癌または浸潤癌の発生にとっての主要な危険因子は、HPV感染と関係があることを納得のいくように示している。諸研究(Brisson他、1994)から、16型および18型HPVによる急性感染は、高度CINの急速な発生に1から16.9倍の危険性をもたらしたことが示唆されている。これは、多産(high parity)、性交相手の数の増加、初交年齢が若いこと、社会経済的地位の低さおよび積極的喫煙歴などの他の知られている危険因子をはるかに上回っている(Schiffman他、1993;Brisson他、1994)。HPV DNAを同定するための分子技法は極めて感度がよく特異的であるが、それらのデータの適切な解釈が重要である。一部のHPV感染患者については、子宮頸部の前浸潤癌または浸潤癌の発生に関する危険が最小の増加にとどまるように見えるが、他の患者については、著しく危険であり、集中的なスクリーニン・プログラムおよび/または早期の介入の候補者であると思われる。しかしながら、患者のより詳細な評価に影響を与える唯一のパラメータとして陽性HPV DNA検査を用いることは、根拠がなく効果のない治療および/または余計な患者の不安につながることがある。逆に、現在の技術は、余りに感度が悪く、少量の発癌性である可能性のあるHPVタイプを検出することができず、大丈夫だという誤った感覚につながることがある。危険度の高いタイプの異常な子宮頸部細胞を有する患者(Bethesda分類)にとって現在推奨されることは、コルポスコピーおよび生検で徹底的に調べることであるのは明らかである。しかしながら、それらの試験は費用が高く、侵襲的なことがある。
【0008】
子宮頸部の発癌は、ヒト乳頭腫ウイルス(papillornavirus)(HPV)感染および身体の遺伝子変化などの他の因子が悪性の癌の発生に決定的役割を果たしている多段階プロセスとして認識されていた。細胞遺伝子異常および染色体構造異常または対立遺伝子欠失の蓄積は、最終的な腫瘍表現型の選択につながることがあり、最初の感染と腫瘍出現の間に長い時間がかかることと一致する(Herrington他、1995;Lazo、1999)。これらの遺伝子を同定することは癌診断に使用でき、女性を追跡群および治療群に層別化することにも役立つ。
【0009】
子宮頸癌の予後は、診断時の疾患の広がりにより著しく影響を受ける(Anton−Culver、他、1992)。予後に影響を及ぼす主要な因子には、腫瘍の病期、体積および悪性度、組織学的タイプ、リンパ転移、および血管侵襲がある(Werner−Wasik、他、1995)。しかしながら、子宮頸部異形成につながる分子経路は不明のところが多いままである。腫瘍(turnour)進行につながる分子事象の全体的視野を得るために、発明者他は、体系的方法として遺伝子ディファレンシャル・ディスプレイを用い、ヒト子宮頸癌および対応する正常組織における遺伝子発現を比較した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するための手段】
本発明につながる研究において、発明者他は、様々なステージのヒト子宮頸癌においてより高レベルに蓄積される対応RNAを有する、示差的に発現したDNA配列を同定した。早期臨床ステージの子宮頸癌におけるこれらいくつかの遺伝子の活性化は、癌の発症および/または進行に関与する経路にそれらの遺伝子が関与し、子宮頸癌のための診断用マーカーおよび治療的介入のための標的を提供することを示唆している。
【0011】
(発明の概要)
本明細書を通じ、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、単語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」または「含んでいる(comprising)」などの変形は、当然ながら、記載された要素もしくは整数または一群の要素もしくは整数の包含を意味するが、その他の要素もしくは整数または一群の要素もしくは整数の除外を意味しない。
【0012】
ヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、配列識別番号(配列番号)で呼ばれる。配列番号は、配列識別子配列番号1、配列番号2などと数的に対応する。配列一覧は特許請求の範囲の後に示す。
【0013】
発明者他は、扁平上皮細胞子宮頸癌の多段階発癌に関与する細胞遺伝子を同定するため、RT−PCR示差的ディスプレイ解析およびcDNAマイクロアレイを利用する。子宮頸癌生検と相当する正常頸部組織間の示差的遺伝子発現ディスプレイにより、cDNAクローンを同定してクローニングする。これらのcDNAクローンは、cDNAマイクロアレイを用いる様々なFIGOステージの扁平上皮細胞子宮頸癌生検中で一貫して過剰発現する。様々なFIGOステージの子宮頸癌生検を用いるノーザン・ブロット分析およびRNA−RNA in situハイブリド形成試験を用い、疾患進行におけるこれらの遺伝子の役割を評価する。GenBankデータベースにある配列と比較すると、2種類のクローンが、それぞれNADHデヒドロゲナーゼ4およびリボソーム蛋白質S12をコードすることが確認された。これら2種類の遺伝子の発現は、後期FIGOステージの子宮頸癌生検と一緒に採集した相当する正常組織で上昇する。リボソーム蛋白質S12の発現の増加も、早期FIGOステージの子宮頸癌患者から採集した組織病理学的に正常な組織の未成熟な基底上皮細胞中に見いだされる。これと比較すると、これら2種類の遺伝子のアップレギュレーションは、非悪性状態で外科手術のために入院した患者から採集された子宮頸部扁平上皮では検出されず、これら2種類の遺伝子の発現は、子宮頸癌患者からの隣接する組織病理学的に「正常な」子宮頸部扁平上皮組織中で変化したことを示唆している。リボソーム蛋白質S12およびNADHデヒドロゲナーゼ4遺伝子は、ヒト子宮頸癌の早期診断用マーカーを提供し、進行性疾患の分子マージン(molecular margin)を明らかにすると考えられる。
【0014】
したがって、本発明の一態様は、哺乳動物からの正常または異常組織と関係する分子マーカーを検出する方法を提供し、前記方法は、前記異常組織および非異常個体からの対応する組織から全RNAを単離すること、逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を用いて相補DNA分子を作製すること、および非異常組織に対し、相補DNA分子の有無または相対的有無が異常組織から検出できるように前記DNA分子を分離手段にかけることを含み、1つのタイプの組織における相補DNA分子の有無がもう1つのタイプの組織に対し、正常または異常組織に関係する分子マーカーを示している。
【0015】
本発明のもう1つの態様は、癌性状態と非癌性状態を区別することができる分子マーカーを同定する方法を提供し、前記方法は、ある個体からの癌組織および別の個体からの相当する非癌組織から全RNAを単離すること、RT−PCRを用いて相補DNA分子を作製することならびに前記癌組織および非癌組織からの前記DNA分子をゲル電気泳動により比較することを含み、癌または非癌組織における特定のDNA種の有無が、他の非癌または癌組織に対し、前記癌の分子マーカーを示している。
【0016】
本発明のさらにもう1つの態様は、相当する正常子宮頸部上皮細胞に対し、子宮頸癌細胞において示差的に発現したヌクレオチドの配列を含む遺伝子配列を提供する。
【0017】
本明細書を通じて使用する配列識別子の概要を以下に示す。
【表1】
Figure 2004503261
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明は、癌性組織と対応するすなわち「相当する(matched)」正常組織との間で示差的に発現した遺伝子配列を同定するための技法の使用法について一部述べられている。正常細胞に対して癌細胞中で示差的に発現した、すなわちアップレギュレートまたはダウンレギュレートされた遺伝子配列の同定は、有用な診断補佐を提供する。
【0019】
したがって、本発明の一態様は、哺乳動物からの正常または異常組織と関係する分子マーカーを検出する方法を提供し、前記方法は、前記異常組織および非異常個体からの対応する組織から全RNAを単離すること、逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を用いて相補DNA分子を作製すること、および非異常組織に対し、相補DNA分子の有無または相対的有無が異常組織から検出できるように前記DNA分子を分離手段にかけることを含み、1つのタイプの組織における相補DNA分子の有無がもう1つのタイプの組織に対し、正常または異常組織に関係する分子マーカーを示している。
【0020】
用語「分子マーカー」は最も広範な意味で使用され、遺伝子配列、遺伝子座、遺伝子、テロメラーゼ、プロモーターならびにコーディングまたは非コーディング領域が含まれる。分子マーカーは遺伝子であることが好ましい。本発明の好ましい分子マーカーは、正常または異常組織のどちらかで発現するが両方では発現しない遺伝子であることがより好ましい。用語「発現した」には、実質的な発現または実質的な非発現が含まれ、さらに類似または同一組織のある形態の組織と別の形態と間の示差的発現が含まれる。
【0021】
本明細書における「正常」または「異常」組織という指示は、最も広範な意味で使用されるが、非癌性組織(正常組織)および癌性または前癌性組織(異常組織)が含まれることが最も好ましい。異常組織タイプには、その異常な組織の存在に伴う疾患状態を有する個体に一般的に存在する組織が含まれるが、同一または類似の状態に苦しんでいない個体には一般的に存在しない。
【0022】
本発明は、ヒト、霊長類、家畜(例えば、ヒツジ、ウシ、ブタ、ウマ、ロバ、ヤギ)、ペット(例えば、イヌ、ネコ)、実験動物(例えば、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター)および捕獲野生動物などのすべての哺乳動物にまで及ぶ。哺乳動物はヒトであることが最も好ましい。本明細書における「個体」という指示には、ヒトまたは他の哺乳動物が含まれる。
【0023】
用語「全RNA」は、細胞または個体中のすべてのRNAが存在することを意味しないが、mRNAを含むいかなる調製物も含まれる。
【0024】
「対応する組織」は、対応する組織サンプルを意味する。例えば、生検サンプルは、一般的に個体の癌組織から入手し、対応する(すなわち相当する)組織サンプルは、個体中の同一または類似の癌組織を含まない解剖学的に等価な領域から入手する。
【0025】
用語「分離手段」は最も広範な意味で使用され、DNA分子をサイズ、電荷、長さ、複雑性または上記の一部もしくはすべての組合せに基づいて分離することができるいかなる手段も含まれる。分離は電気泳動またはクロマトグラフィ手段によることが好ましく、分離は電気泳動手段によることが最も好ましい。分離が、異常組織に対し正常組織における相補DNA分子の有無の視覚的記録を提供することが好都合である。したがって、一般的に、相補DNA、調製物は、異常組織に対して正常組織における分子の有無の比較を可能にする方法で電気泳動またはクロマトグラフィ手段によって分離する。ゲル電気泳動は特に有用な分離手段の1つであり、相補DNA調製物は平行なレーンを流される。
【0026】
本発明は、異常および正常組織について相補DNAを調製することにより実施することが最も好都合であるが、正常組織における予想DNAのデータベースを作成してもよい。次いで、特定の種類の相補DNAの有無を、異常組織から分離したDNAを「正常対照」と比較することにより確認することができる。
【0027】
特に好ましい実施形態では、癌性状態と非癌性状態を区別することができる分子マーカーを同定する方法を提供し、前記方法は、ある個体からの癌組織および別の個体からの対応する非癌組織から全RNAを単離すること、RT−PCRを用いて相補DNA分子を作製することならびに前記癌組織および非癌組織からの前記DNA分子をゲル電気泳動により比較することを含み、他の非癌または癌組織に対し、癌または非癌組織における特定のDNA種の有無が、前記癌の分子マーカーを示している。
【0028】
最も好ましい実施形態では、癌は子宮頸癌または関連する癌である。しかしながら、本発明は、いかなる癌または腫瘍についても分子マーカーを検出するための本方法の使用法にまで及ぶ。本明細書における「癌」または「腫瘍」という指示には、すべての肉腫および癌腫という指示が含まれる。
【0029】
癌のほんの一部では、発現中に多数の遺伝子が変化し、それによって異常な表現型となる。変化した発現パターンは、新生物の発生または進行を容易にし、続いて腫瘍の侵襲的挙動をもたらすことがある。一方、遺伝子発現の一部の変化は腫瘍形成という結果になることがある。前者は、癌につながる分子機構に関する重要な情報を提供するが、後者は、このプロセスの中に存在する具体的ステップのためのマーカーとしての機能を果たすことがある。
【0030】
本発明によれば、示差的ディスプレイ技法を用い、様々なステージで採集した癌生検から増幅したcDNAフラグメントのフィンガープリントを、相当する正常組織からのcDNAと一緒に同一ゲルに表示し、子宮頸癌生検と正常組織の間で特異的な診断上の変化を明確にした。cDNAフラグメント(表1)は、プライマーによってRT−PCR示差的ディスプレイからクローニングした。逆ノーザン・ブロット分析に基づき、癌生検では28種類のクローンの発現が著しく増加し、その純増加倍率は1.7から4.3までに及ぶことを確認した(図3)。増幅された遺伝子の中で、同定されたクローンのうち11種類は、エネルギー消費(G32C3BおよびG32C4B);シグナル濾出(transudation) (G30CIおよびG31C6A);転写調節(G32C2B);翻訳(G30CAおよびG30CC);生合成(G32C7、およびG31C5E);および細胞代謝(G30CDおよびG32C6)に関係していると思われる(表1)。
【0031】
28種類のクローンのうち11種類、すなわちG30CE、G30CK、G31C4C、G31C5B、G31C5C、G31C5D、G31C5G、G32C2A、G32C3C、G32C4DおよびG32C5Aは、GeneBankまたはESTデータベースで報告されているどの遺伝子配列にも一致しないことから、新規な遺伝子配列のようである(表1)。
【0032】
ノーザン・ブロット分析は、本明細書で「G30CA」、「G30CC」、「G31C5G」、「G32C4B」、および「G32C7」と呼ぶ7種類の特定の遺伝子が子宮頸癌の発生早期に関与していることを示した(図6−8)。
【0033】
特に興味深いことに、これらの遺伝子のうち2種類、すなわちG32C4BおよびG30CCは、それぞれNADHデヒドロゲナーゼ4遺伝子およびリボソーム蛋白質S12をコードする遺伝であることが確認された。子宮頸部の早期浸潤性細胞病変から得られた癌生検におけるこれら2種類の遺伝子の過剰発現は、これら2種類の遺伝子が、ヒト子宮頸部新生組織形成の病因に関与していることを示す(図6)。最も重要なことには、癌病変の他に、隣接する組織学的に正常と推定される子宮頸部組織でG32C4BおよびG30CCの発現が検出されることが観察された。したがって、NADHデヒドロゲナーゼ4遺伝子およびリボソーム蛋白質S12遺伝子は、ヒト子宮頸癌の早期診断マーカーとして重要な価値を提供し、進行する疾患の分子マージンを明らかにすることができる(図9および10)。
【0034】
したがって、本発明のもう1つの態様は、相当する正常子宮頸部上皮細胞に対して子宮頸癌細胞で示差的に発現したヌクレオチドの配列を含む遺伝子配列を提供する(表2)。
【0035】
本発明は、これらの配列ならびにその誘導体にまで及ぶ。誘導体とは、表1に引用した配列に対し、単一または複数のアミノ酸置換、付加および/または欠失を含む遺伝子配列である。
【0036】
本発明は、示差的に発現したヌクレオチド配列を検出することにより実施するのが最も好都合であるが、本発明は、翻訳産物および特に示差的に発現したヌクレオチド配列によってコードされるペプチド、ポリペプチドおよび蛋白質にも及ぶ。特定の翻訳産物の有無によって測定される示差的発現は、正常または異常組織の分子マーカーをスクリーニングする有用な方法でもある。したがって、本発明はさらに、正常または異常組織に伴って示差的に発現した分子マーカーに対する抗体にまで及ぶ。抗体および特にモノクローナル抗体は、示差的に発現した産物の存在をスクリーニングするためのイムノアッセイで特に有用であり、免疫療法でも有用である可能性がある。
【0037】
イムノアッセイおよび免疫療法におけるモノクローナル抗体の使用が特に好ましいのは、多量に産生できることおよび生成物の均一性のためである。不死の細胞株および免疫原性調製物に対して免疫化したリンパ球の融合により作製されるモノクローナル抗体産生用のハイブリドーマ細胞株の調製は、当業者によく知られている技法によって行うことができる。(例えば、DouillardおよびHoffman、KohlerおよびMilstein、1975;1976を参照)。
【0038】
本発明のもう1つの態様は、対象からの生体サンプル中の正常または異常組織に関係する分子マーカーを検出する方法を企図し、前記方法は、前記生体サンプルを前記分子マーカーに特異的な抗体またはその誘導体もしくはホモログと、抗体−分子マーカー複合体が形成するのに十分な時間および条件下で接触させること、次いで前記複合体を検出することを含む。
【0039】
分子マーカーの存在は、ウエスタン・ブロット法およびELISAなどによる多くの方法で実現することができる。米国特許番号4,016,043、4,424,279および4,018,653を参照することにより分かるように、様々なイムノアッセイ技法が利用可能である。言うまでもなく、それらには、非競合タイプの単一部位と二部位すなわち「サンドイッチ」アッセイの両方、ならびに従来の競合結合アッセイが含まれる。これらのアッセイには標識抗体の標的への直接結合も含まれる。
【0040】
サンドイッチ・アッセイは、最も有用で最も一般的なアッセイの1つであり、本発明で使用することが好ましい。サンドイッチ・アッセイ技法の多くの変形形態が存在し、すべては本発明に包含されることを意図している。手短に言えば、典型的なフォワード・アッセイでは、固体上に非標識抗体を固定し、試験すべきサンプルを結合分子に接触させる。適当なインキュベーション時間の後、抗体−抗原複合体が形成するのに十分な時間、検出可能なシグナルを生み出すことができるレポーター分子で標識された抗原に特異的な第二の抗体を加え、抗体−抗原−標識抗体の別の複合体が形成するのに十分な時間を計算に入れてインキュベートする。未反応材料をすべて洗い流し、レポーター分子により生成されるシグナルを観察することにより抗原の存在を判断する。結果は、定性的で目に見えるシグナルの単純な観察によるもの、または既知量の分子マーカーを含有する対照アンプル(ample)と比較することによって定量することができる。フォワード・アッセイの変形形態には、サンプルと標識抗体を結合抗体へ同時に加える同時アッセイが含まれる。これらの技法は当業者によく知られており、まったく明らかなようにいかなる小さな変形形態も含まれる。本発明によれば、サンプルとは、分子マーカーを含有する可能性のあるサンプルであり、細胞抽出物、組織生検あるいは血清、唾液、粘膜分泌物、リンパ液、組織液および気道液が含まれる。したがって、サンプルは一般的に体液を含む生体サンプルであるが、細胞培養液などからの発酵液および上清にも及ぶ。
【0041】
典型的なフォワード・サンドイッチ・アッセイでは、分子マーカーまたはその抗原部分に対する特異性を有する第一の抗体は、固体表面と共有結合または受動的に結合する。固体表面は通常ガラスまたはポリマーであり、最も一般的に使用されるポリマーはセルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたはポリプロピレンである。固体支持体は、チューブ、ビーズ、マイクロプレートのディスクの形態、またはイムノアッセイを行うのに適当なその他の表面であってもよい。結合プロセスは当技術分野ではよく知られており、一般的には架橋共有結合または物理的吸着からなり、試験サンプルの調製に際してポリマー−抗体複合体を洗浄する。次いで試験すべきサンプルの部分標本を固相複合体に加え、抗体中に存在するどのサブユニットも結合できるのに十分な時間(例えば、2−40分または都合がよければ一夜)、適当な条件(例えば、25℃から32℃までなどの室温から40℃まで)の下でインキュベートする。インキュベーション時間に続いて、抗体サブユニット固相を洗浄して乾燥し、分子マーカーの一部に特異的な第二の抗体と共にインキュベートする。第二の抗体はレポーター分子と結びつき、これを第二の抗体が分子マーカーと結合していることを示すために使用する。
【0042】
代替方法は、生体サンプル中の標的分子を固定し、次いで固定された標的を、レポーター分子で標識されている、または標識されていない特異的な抗体に曝露するものである。標的の量およびレポーター分子シグナルの強度に応じ、抗体による直接標識によって結合標的を検出できることがある。
【0043】
あるいは、第一の抗体に特異的な第二の標識抗体を、標的−第一抗体複合体に曝露し、標的−第一抗体−第二抗体の三成分複合体を形成させる。レポーター分子により放出されるシグナルによって複合体を検出する。
【0044】
本明細書で用いる「レポーター分子」は、その化学的性質により、抗原結合抗体の検出を可能にする分析的に特定可能なシグナルを提供する分子を意味する。検出は定性的または定量的のどちらであってもよい。このタイプのアッセイで最も一般的に使用されるレポーター分子は、酵素、フルオロフォア、または分子(すなわち放射性同位体)および化学発光分子を含む放射性核種のいずれかである。
【0045】
酵素免疫測定法の場合には、一般的にグルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸塩を用い、第二の抗体に酵素を結合させる。しかしながら、よく知られているように、様々に異なる結合技法が存在し、当業者にとって容易に利用することができる。一般的に使用される酵素には、例えばホースラディシュ・ペルオキシダーゼ、ブドウ糖酸化酵素、−ガラクトシダーゼおよびアルカリ・ホスファターゼが含まれる。特異的酵素と共に使用される基質は、一般的に、対応する酵素による加水分解により、検出可能な変色を生み出すために選択される。好適な酵素の例には、アルカリ・ホスファターゼおよびペルオキシダーゼが含まれる。上述の色素生産性基質ではなく、蛍光生成物を与える蛍光発生基質を用いることも可能である。いかなる場合でも、第一抗体−分子マーカー複合体に酵素標識抗体を加えて結合させ、過剰の試薬を洗い流す。次いで、適当な基質を含有する溶液を抗体−抗原−抗体の複合体に加える。基質は、第二の抗体と結びついている酵素と反応し、定性的な目で見えるシグナルを与え、これをさらに通常は分光光度法で定量し、サンプル中に存在した分子マーカーの量の指標を得ることができる。また、「レポーター分子」は、ラテックス・ビーズ上の赤血球などの細胞凝集または凝集の阻害などの使用法にも及ぶ。
【0046】
あるいは、フルオレセイン(fluorecein)およびローダミンなどの蛍光化合物を、結合能力を変化させることなく抗体と化学的に結合させることができる。特定波長の光の照射により活性化されると、蛍光色素標識抗体は光エネルギーを吸収し、分子に興奮性の状態を誘導し、光学顕微鏡により視覚的に検出可能な特徴的色で光を発する。EIAの場合には、蛍光標識抗体を第一抗体−分子マーカー複合体と結合させる。結合していない試薬を洗い流した後、残った三成分複合体を適当な波長の光に曝露し、観察される蛍光は、当該分子マーカーの存在を示す。免疫蛍光(immunofluorescene)およびEIA技法は共に、当技術分野では十分に確立されており、本方法にとっても特に好ましい。しかしながら、放射性核種、化学発光分子または生物発光分子などの他のレポーター分子を用いることもできる。
【0047】
発明の本態様による抗体は免疫療法で用いられ、翻訳産物に関係する異常組織にとっての拮抗薬としての機能を果たすことができるが、それに限定されるものではない。例えば、翻訳産物が子宮頸癌組織などの異常組織の形成を容易にする蛋白質である場合には、翻訳産物を対照とする抗体の投与は、異常組織の発生に関係する機能を妨げる際に有用であろう。
【0048】
したがって、本発明のもう1つの態様は、異常組織を有する個体を治療する方法を企図し、前記方法は、前記異常組織の発生に関係する分子マーカーを対象とする免疫相互作用(immuno−interactive)分子を、分子マーカーの機能が損なわれて異常組織発生を容易にする能力を低下させるのに十分な時間および十分な条件の下で投与することを含む。
【0049】
異常組織が子宮頸癌組織であることが好ましい。
【0050】
分子マーカーがペプチド、ポリペプチドまたは蛋白質であることが好ましい。
【0051】
あるいは、発明の本態様は、遺伝子分子を投与し分子マーカーの発現を低下させることによっても実施することができる。適当な遺伝子分子の例には、例えばアンチセンス分子、リボザイムまたはコサプレッションのためのセンス分子が含まれる。
【0052】
以下の非限定的実施例により、本発明をさらに説明する。
【0053】
【実施例】
実施例1
組織採集およびRNA単離
生検は、子宮頸部の扁平上皮癌患者から採集した。組織病理学的評価ならびにRNA分析のため、ティッシュラー(tischler)鉗子によるパンチ生検を腫瘍病変から採取した。組織病理学的分析の場合には、10%緩衝ホルマリン中で組織を固定し、パラフィン・ブロックに加工した。マルチプル・ステップ(multiple step)切片を作成し、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。指示があれば、ジアスターゼ消化およびムチカルミン染色を含む、および含まないPASを行った。RNA分析のために採集した組織は、液体窒素中で素早く冷凍した。可能な限り、腫瘍領域からずっと離れた正常子宮頸部組織を対照として採取した。癌のステージングは、International Federation of Obstertrics and Gynacology (FIGO) [FIGO News、1987]による勧告に従って行った。同一患者における遺伝子発現を評価する際の繰り返しを避けるため、異なる患者は異なる試験に組み入れた。全体で、様々な疾患ステージにある38名の子宮頸癌患者および5名の非子宮頸癌患者について検討した。すべての実験について、製造者のマニュアルに従ってTRIzol Reagent (Gibco、BRL、Life Technologies、Grand Island、NY)を用い、全細胞RNAを単離し、実験で用いる前は−80℃で保存した。
【0054】
実施例2
RT−PCR示差的ディスプレイ
正常生検および子宮頸癌生検から全RNAを単離し、サンプルをRNase非含有DNase I (Promega、Madison、WI)で処理し、可能性のある染色体DNA汚染物を除去した。正常生検および癌生検からの各々の全RNA約1μgを逆転写に用いた。
【0055】
プライマーとして一塩基に固定された(one−base anchored)オリゴ−dT P21を用いることにより第一鎖cDNAを合成し、[α−33P]dATPの存在下、個別にP30、P31、P32プライマーとの3種類の組合せを用いることによりパラレルPCRで増幅させた。PCRサイクル・パラメータは下記のとおりとした。94℃で30秒間40サイクル、40℃で2分間および72℃で30秒間と、続いて72℃で10分間。次いで、7M尿素を含有する5.7% w/v変性ポリアクリルアミド・ゲル上でサイズ・マーカーと一緒にPCR産物を分離した。シークエンシング・ゲルを実行して、150bpから1000bpまでの大きさのcDNAフラグメントを分割した。示差的に発現したバンドをゲルから切り取り、HO100μl中でゲル片を15分間煮沸することによりcDNAフラグメントを溶離し、次いで前述と同一の条件を用いるPCR再増幅のためのテンプレートとして用いた。再増幅したPCR産物の一部を2% w/vアガロース・ゲル上で分析し、再増幅の効率をチェックし、cDNAフラグメントのサイズを確認した。逆転写およびPCRに用いたすべてのPCRプライマーは、Gibco BRL (Life Technologies、Grand Island、NY)から入手した。使用するプライマーは、P21 3′−GTTTTTTTTTTTCGAA−5′(配列番号1); P30 5′−AAGCTTGGTGACA−3′(配列番号2); P31 5′−AAGCTTAGTCAAG−3′(配列番号3);P32 5′−AAGCTTCCACAGC−3′(配列番号3)とした。AmpliTaq DNAポリメラーゼは、Perkin−Elmer Corp. (Norwalk、CT)から購入した。[α−33P]dATP (2000Ci/mmole)は、New England Nuclear (Boston、MA.)から入手した。7M尿素を含有する変性ポリアクリルアミド・ゲル(5.7% w/v)は、Gel−Mix 6 (Gibco BRL、Life Technologies、Grand Island、NY)を用いて作成した。
【0056】
実施例2
cDNAクローニングおよびシークエンシング
再増幅したcDNAフラグメントは、Invitrogen (San Diego、CA)によるTAクローニング・システムを用いるpCR2.1ベクターまたはGenHunter (GenHunter Corp. Nashville、TN)によるpCR−TRAP Vector中にクローニングした。DNAシークエンシングは、Sequenase Kit Version 2.0 (United States Biochemical、Cleveland、OH)を用いるか、ABI Prism 377 DNA Sequencer (Prekin−Elmer Corp.、 Norwalk、CT)を用いる自動シークエンシングのどちらかで行った。得られたヌクレオチド配列は、BLASTサーチ(National Cetre for Biotechnology Information)により分析した。
【0057】
実施例3
cDNAマイクロアレイ作製およびハイブリッド形成
100μlのPCR反応でcDNAを増幅し、PCR産物5μlを2% w/vアガロース・ゲル上で分析した後、残りのPCR産物をイソプロパノール沈殿により精製し、3X SSC 15μlに再懸濁し、ポリ−L−リジン(Sigma Microsystems Inc.、Woburn、MA)上にプリントした。G3PDH、β−アクチン、β−2−ミクログロブリン、α−チューブリン、サイクロフィリンおよびユビキチンを含むハウスキーピング遺伝子も、正規化のための内部対照としてスポットした。各スライドを湯気が出ている100℃の水浴上で2−3秒間水分補給し、100℃の加熱ブロック上で5秒間乾燥し、Stratalinker (Stratagene、LaJolla、CA)を用いて550mJの紫外線照射で架橋させた。次いで、スライドを0.2% w/v SDS中で10分間洗浄し、蒸留水中で5回洗った後に100℃の蒸留水中で5分間変性させ、95% v/vエタノール中で5分間乾燥させ、80℃のオーブン中で5分間空気乾燥した。
【0058】
様々な疾患ステージにある10名の子宮頸癌患者の腫瘍生検および相当する隣接正常組織から単離した全RNAから逆転写されたcDNAを用い、比較ハイブリッド形成を行った。全RNAをcDNAに逆転写し、Cy3 (腫瘍cDNAの場合)およびCy5 (正常cDNA)蛍光色素で標識し、3DNA(登録商標) Expression Array Detection Kitプロトコルの注意(Genisphere Inc.、Montvale、NJ)に従ってスライド上にハイブリッド形成させた。癌および正常組織からの標識cDNAは、10種類の別々のハイブリッド形成で単一のガラス・スライド上へ同時にハイブリッド形成させた。加湿マイクロアレイ・ハイブリッド形成カセットを用い、ハイブリッド形成インキュベーション(TeleChem International Inc.、Sunnyvale、CA)中にすべてのスライドを収容した。ハイブリッド形成したマイクロアレイは、GMS 418レーザー・スキャナ(Genetic Microsystems Inc、Woburn、MA)を用いて走査した。Cy3およびCy5について別々のイメージを得た。次いで、Imagene 3.0定量ソフトウエア(BioDiscovery Inc.、Los Angeles、CA)でシグナルおよびバックグラウンド・シグナルを定量した。発生したシグナル値を分析し、ClusterおよびTreeviewプログラム(M.Eisen、University of California、Berkeley; http://rana.lbl.gov/)を用いて可視化した。
【0059】
シグナルは、限局された各スポット内の平均ピクセル輝度として測定し、バックグラウンドは、特定の四角な場所内で限局されたスポットの直径から外側の平均ピクセル輝度を用いて測定した。蛍光のある小さな染みまたは他の汚れで汚染されたスポット、またはバックグラウンド値がスポットのシグナルより大きな場合には欠測と見なした。Cy3とCy5チャンネルの双方からのシグナル強度は、各アレイ上の内部対照のシグナル強度が1.0のCy3/Cy5比を有するように各チャンネルの全シグナル強度の比を取ることによって算出される単一の倍率をかけることによって正規化した。正常対照と比較してシグナルに2.5倍以上の差を有するスポットが、示差的に発現したと見なされるであろう。
【0060】
実施例4
逆ノーザン・ブロット
各クローンからの遺伝子フラグメント2μg、ならびに様々な量のα−アクチン(0.5、1、2、または4μg)を、スロット・ブロット(slot−blot)装置を用いてHybond−Nナイロン・トランスファー・メンブラン(Amersham、Piscataway、NJ)上にブロットし、α−アクチンは内部対照として用いた。1.5M NaCl、0.5M NaOHによる室温おける5分間の変性、および1.5M NaCl、1M Tris−HCl pH 7.4による室温おける5分間の中和の後、80℃で2時間のインキュベーションによりDNAを膜に固定した。6名の患者、またはそれらに相当する正常生検のどちらかよりプールした腫瘍生検から単離した全RNA 30μgによる逆転写によって32P標識cDNAプローブを調製した。反応は、1000 U SuperScriptTM (登録商標) II逆転写酵素(Gibco BRL、Life Technologies、Grand Island、NY)の存在下に42℃で1時間、5μMオリゴ(dT)16プライマー(Prekin−Elmer Corp. Norwalk、CT)、10mM DTT、0.1mM dGTP/dTTPミックス、60μCi [α−33P]dATPおよび[α−33P]dCTP (3000Ci/mmol、NEN、Boston、MA)と共にインキュベートすることにより行った。次いで、70μlの反応体積で3N NaOH 9μlによる65℃における30分間のインキュベーションによりRNAを加水分解し、続いて1M Tris−HCl (pH 7.4) 30μl、2N HCl 9μlおよびHO 22μlを加えて中和した。取り込まれなかったヌクレオチドは、NucTrapプローブPurification Columns (Stratagene、LaJolla、CA)によって除去した。ハイブリッド形成は、切断(sheared)サケ精子DNA (Sigma、MO)の存在下に4×10cpm/mlの正常または癌のどちらかのcDNAプローブを用いて40℃で行った。純増加倍率は、α−アクチンによる正規化後の正常組織のRNAから得られたレベルに対する癌性組織のRNA由来のプローブによって得られた遺伝子発現の比として算出した。
【0061】
実施例5
ノーザン・ブロット分析
癌生検またはそれらに隣接する組織病理学的に正常な組織から単離した全RNA 20μgをノーザン・ブロット分析に用いた。電気泳動の後、RNAをHybond−Nナイロン・トランスファー・メンブラン(Amersham、Piscataway、NJ)に移し、ハイ・プライム(high prime) DNA標識キット(Boehringer Mannheim GmbH、Mannheim、Germany)を用いてランダムな6個のヌクレオチドのプライマーを含む(hexa−nucleotide−primed)32P標識cDNAクローンで探索した。取り込まれなかったヌクレオチドは、NucTrapプローブPurification Columns (Stratagene、LaJolla、CA)によって除去した。ハイブリッド形成および洗浄は前述のように行った(Soong、他、1992)。ハウスキーピング遺伝子G3PDH cDNAプローブ(Clontech Laboratories Inc.、Palo Alto、CA)とのハイブリッド形成を用いてRNAの負荷を定量した。ハイブリッド形成および洗浄後、膜を曝露した。分析のために、各バンドの放射性を、BioRad、Richmond、CAを用いるデンシトメーター・スキャニングにより定量した。
【0062】
実施例6
PhosphorImager分析
ハイブリッド形成および洗浄後、膜を曝露した。分析のために、各バンドの放射性を、BioRad FX PhosphorImager (BioRad、Richmond、CA)を用いるデンシトメーター・スキャニングにより定量した。
【0063】
実施例7
RNA−RNA in situハイブリッド形成
RNA−RNA in situハイブリッド形成は、DIG RNA標識Kit (Boehringer Mannheim GmbH、Mannheim、Germany)を用い、DIG (ジゴキシゲニン)標識cRNAプローブによって行った。遺伝子フラグメント挿入物が反対方向である2種類のサブクローンを選択し、センスおよびアンチセンス・プローブをさらに作製した。標識反応は、DIG RNA標識Kitを用い、製造者のプロトコルに従って行った。BamH1部位におけるテンプレートDNAの直線化の後、DIG−UTPの存在下でT7 RNAポリメラーゼ75Uを用い、DIG標識転写物を合成した。
【0064】
癌生検およびそれらに相当する正常組織を様々な癌ステージの患者から採集した。生検を厚さ10μmの凍結切片に切り、顕微鏡用スライド上に直接マウントした。組織切片は、50℃で2分間、室温で30分間インキュベートし、続いて4% v/vパラホルムアルデヒドを含有するPBSと共に室温で7分間、次いでPBSと共に3分間インキュベートし、続いて2X SSCで各5分間2回洗浄することにより固定した。予備ハイブリッド形成(Pre−hybridization)は、5% w/v脱脂粉乳、4X SSPE、50% v/v脱イオン化したホルムアミド、ニシン精子DNA 30μg、1% w/v SDSおよびDEPC処理HOを含有するブロック溶液中、37℃で1時間インキュベートすることにより行った。次いで、DIG標識アンチセンスcRNAプローブまたはセンスcRNAプローブ200ng/mlを、ハイブリッド形成緩衝液(16.6% w/v硫酸デキストラン、5% w/v脱脂粉乳、4X SSPE、50% v/v脱イオン化したホルムアミド、1% w/v SDSおよびDEPC処理HO)中37℃で一夜、組織切片と共にインキュベートした。続いて、スライドを室温で5分間、2X SSCで2回洗浄した。組織切片を室温で2時間、100mM Tris−HCl pH 7.5ならびに1% w/v BSAおよび0.5% w/vα−アルカリホスファターゼ結合抗DIG抗体(BM、MannLein、Germany)を含有する150mM NaCl緩衝液と共にインキュベートした。着色のため、組織切片スライドを暗所中室温で一夜、0.1M Tris−HCl pH 9.5、0.1M NaCl、0.05M MgCl、3.4% NBT、1.8% BCIP、2.4%レバミゾールに浸した。スライドを室温で5分間、10mM Tris−HCl pH 8および1mM EDTA中でインキュベートすることにより呈色反応を停止させ、室温で5分間HOに浸した。ヘマトキシリン(BDH Laboratory Supplies、Dorset、England)中2−5秒間のカウンター染色の後、組織切片スライドを室温でHOで洗浄し、Kaiser’sグリセロール・ゼラチン溶液(Merk KgaA、Darmstadt、Germany)中、カバーグラス(coverslps)を用いてマウントした。
【0065】
ヘマトキシリンおよびエオシン染色の場合には、組織切片をヘマトキシリン(フィルタ処理したヘマトキシリンは1ml酢酸v/vを含有する)に4分間浸し、HOで洗浄し、続いて0.5% v/v酸アルコール(75% v/vアルコール中の0.5% v/v HCl)に2秒間浸し、続いてHOで洗浄した。次いで、組織切片をエオシン溶液(1% v/vエオシン原液:70%アルコール=1:3)に3分間浸し、流水によって洗浄した。Olympus BX 60顕微鏡(Olympus Optical Co. Ltd)でスライドを見た。
【0066】
実施例8
ヒト子宮頸癌生検からの示差的に発現したcDNAフラグメントの同定
様々なFIGOステージの子宮頸部扁平上皮細胞癌患者より得た6つの生検から単離された全RNAを用い、cDNAを逆転写した。対応する隣接の組織病理学的に正常な上皮組織から単離されたRNAを同様に増幅させ、腫瘍特異的変化を同定するためにそれらの遺伝子発現プロフィールを比較した(図1)。特定のタイプの腫瘍生検から「偽陽性の」示差的に発現したcDNAフラグメントを単離することを避けるため、様々なFIGOステージの子宮頸癌生検を利用した(Liang他、1994)。発明者他は、発癌にとって重要な真の示差的に発現したバンドは、全部ではないがほとんどの子宮頸癌サンプルでは、隣接する正常サンプルに比べて一般的にアップレギュレートまたはダウンレギュレートし、それらのバンドは示差的ディスプレイ分析によって再現性よく生成するにちがいないと仮定した。再現性を保証するため、RT反応を含むすべてのPCR反応を3回づつ行い、各PCR産物を、異なる実行時間に変性したポリアクリルアミド・ゲル中の異なる電気泳動分離に振り向けた。癌生検または相当する組織病理学的に正常な組織からの6つの独立したmRNAのサンプルからの増幅されたPCR産物のパターンは、用いた各々のプライマー・セットの同一バンド形成パターンと類似していることが分かった(図1)。
【0067】
一般的に、癌生検から生成したPCRバンドの大半は、それらの対応する正常対応物より大きな強度を示すことが観察された(図1)。試験した3種類のプライマー・セットP21−P30、P21−P31またはP21−P32について、癌生検および対応し相当する正常対照組織のmRNAから生成したcDNAバンド間で、18本のバンドがはっきりと異なっていることが明らかとなった(図1)。これら18本のバンドのうち14本は癌生検中でアップレギュレートされ、4本のバンド(G31N1、G31N2、G31N3およびG32CN)はダウンレギュレートされることが分かった(図1)。これら18本のバンドのうち17本はアクリルアミド・ゲルから首尾よく抽出され、再増幅させてpCR−TRAPまたはpCR2.1ベクター中のどちらかに個別にクローニングした。全部で44種類のクローンが同定された。G31N1およびG31N2からの遺伝子フラグメントは、同一配列を有していることから同一遺伝子と見なした。続いて、すべてのクローン化cDNAフラグメントの塩基配列決定を行い、それらの大きさが長さ176から425bpであることが分かった(図1)。塩基配列決定により、すべてのクローンがそれぞれの5′および3′末端に予想通りのプライマー配列を有していることが確認された。また、発明者他は、逆ノーザン・ブロット分析のための示差的ディスプレイに用いた6名の患者からのRNAサンプルをプールすることによって入手したプールRNAサンプルを用いた。これは、発現がアップレギュレートされ示差的ディスプレイ試験によって検出されるクローンを確認することであった(図1)。この分析で得られた結果は、cDNAマイクロアレイ分析により得られた結果(図2)と極めて類似していた。
【0068】
これら44種類の単離クローンの発現がヒト子宮頸癌で増幅していることを確認するため、逆ノーザン・ブロット分析を行った。単離された44種類のcDNAクローンのうち、28種類のクローンの発現が癌生検中で著しく増加していることが確認され、純増加倍率は1.7から4.3にまで及んだ(図2および3)。これら28種類のクローンの配列を表2に列挙する。示差的ディスプレイ試験から、クローンG31N1、G31N3およびG32Nの発現は、癌組織に比べて正常組織でより大きいことが観察された(図1)。しかしながら、この観察は、逆ノーザン・ブロット分析では確認されなかった(図2)ことから、発明者他はこれら3種類のクローンを偽陽性と見なした。
【0069】
実施例9
様々なFIGOステージにおけるcDNAクローンの遺伝子発現のプロフィール
ヒト子宮頸癌の病因における44種類のcDNAクローンの潜在的役割を研究するため、cDNAマイクロアレイを用い、10検体の子宮頸癌生検におけるこれら44種類のクローンの遺伝子発現プロフィールをそれらの対応する隣接の正常組織と比較した。cDNAマイクロアレイは、44種類のcDNAクローンから生成したDNAをコーティングしたガラス製スライド上に2つずつプリントすることによって作製した。試験した10対の組織生検の中で、3対がステージ1Bの癌患者から得られ、ステージ2Aおよび2Bの癌患者からはそれぞれ2対、ステージ3Bの癌患者からは3対を得た。
【0070】
cDNA分析から得られた結果は、10名すべての子宮頸癌患者における44種類のクローンのうち25種類の発現がアップレギュレートされていることを示した(図2)。
【0071】
発明者他は、診断用マーカーとして用いられる可能性のある遺伝子については、そのRNAは豊富であると推論した。マイクロアレイ分析によってアップレギュレートされていることが確認された25種類のクローンのうち22種類は、4種類の子宮頸癌細胞株、HeLa、CaSKi、SiHaおよびHT−3から単離されたRNAを用いるノーザン・ブロット分析用のプローブとして用いた。これらのクローンのうち9種類は、強力なハイブリッド形成シグナルを示した。次いで、様々なFIGOステージのヒト子宮頸部扁平上皮細胞癌生検から精製されたRNAおよび隣接する正常上皮のRNAの続くノーザン・ブロット分析用のプローブとして選択した。これらのクローンのうち2種類、すなわちG30CCおよびG32C4Bが、早期FIGOステージの子宮頸癌生検中で発現のレベルが上昇を示したことが観察された(図5)。隣接する組織病理学的に正常な上皮と比較すると、クローンG30CCの発現はステージ2Aの癌組織では約5倍までアップレギュレートされ、一方G32C4Bもステージ1Bの癌組織では同様の大きさでアップレギュレートされていた。これら2種類のクローンの発現は、後期FIGOステージの患者から採集した隣接する組織病理学的に正常な上皮でも明らかに上昇していた(図5)。後期子宮頸癌組織にはFIGOステージが2Bおよび3Bの患者が含まれ、それらの患者では、癌腫が子宮頸部を超えて広がり、明らかに子宮の近くまで関与していた(FIGO News、1987)。
【0072】
クローンG32C4BおよびG30CCの正体を研究するため、発明者他は、HeLaヒト子宮頸癌細胞株に由来するcDNAライブラリーをスクリーニングすることによる対応する完全長cDNA遺伝子の単離用のプローブとしてこれらのクローンを用いた。ClonCapture cDNA Selection Kitを用い、プローブとしてG32C4BまたはG30CCを用い、HeLa cDNAライブラリーから代表的な陽性クローンを単離した。得られたcDNAの塩基配列を決定し、それぞれ既知のNADHデヒドロゲナーゼ・サブユニット4遺伝子およびリボソーム蛋白質S12 mRNAと相同であることを見いだした。
【0073】
実施例10
配列分析
BLASTN配列検索(全米バイオテクノロジー情報センター)により、44種類のクローン化cDNAフラグメントのうち28種類が、Genebankですでに報告された遺伝子または発現した配列タグ(EST)のどちらかと相同であることが決定された(表1)。G30CC、G30CD、G30CI、G30CJ、G31C5H、G32C3B、G32C4BおよびG32C7のcDNA配列は、報告された遺伝子配列のコーディング領域内に位置し、クローンG31C4BおよびG32C2Cの配列は、報告された相同配列に関して逆方向であることが分かった。クローンG30CBおよびG31C6Bの配列も、2種類の単離ESTクローンについて報告された配列に関して逆方向であることが分かった。28種類のクローンのうち11種類、すなわちG30CE、G30CK、G31C4C、G31C5B、G31C5C、G31C5D、G31C5G、G32C2A、G32C3C、G32C4DおよびG32C5Aは、GeneBankまたはESTデータベースで報告されているどの遺伝子配列にも一致しないことから、新規な遺伝子配列のようである(表1)。
【0074】
クローンG32C4BおよびG30CCの配列を相同性検索のためにGeneBankにブラストした(blasted)ところ、検索結果は、クローンG32C4Bが100%の同一性で既知のNADHデヒドロゲナーゼ・サブユニット4遺伝子と相同であることを示した(表1)。一方、クローンG30CCは、99%の同一性でリボソーム蛋白質S12 mRNAと相同であった(表1)。
【0075】
クローンG32C4BおよびG30CCの正体をさらに研究するため、発明者他は、ヒトHela細胞株に由来するcDNAライブラリーをスクリーニングすることによる対応する完全長cDNA遺伝子の単離用プローブとしてクローンG32C4BおよびG30CCを用いた。プローブとしてG32C4BまたはG30CCのどちらかを用い、Hela cDNAライブラリーからClonCapture cDNA Selection Kitを用いて得られた代表的な陽性クローンの塩基配列を決定し、それぞれNADHデヒドロゲナーゼ・サブユニット4遺伝子およびリボソーム蛋白質S12 mRNAと相同であることを再度見いだした。次いで得られた完全長cDNAクローンをノーザン・ブロット分析用のプローブとして用い、結果は、G32C4BまたはG30CCについて得られた結果と類似していた(図4および6)。
【0076】
実施例11
様々なFIGOステージのヒト子宮頸癌におけるクローン化cDNAフラグメントの発現
ヒト子宮頸癌の病因における新たに単離されたcDNAの潜在的役割を研究するため、発明者他は、28種類の単離クローンのうち9種類を用い、様々な病的ステージのヒト子宮頸癌生検から精製したmRNAを探索した。発明者他による最も初期の研究では、これら9種類のクローンから、ヒト子宮頸癌細胞株から精製されたRNAとの強力なハイブリッド形成シグナルが得られることが分かっている。
【0077】
FIGOステージ1B、2A、2Bおよび3Bの子宮頸癌生検からのmRNAを相当する正常組織生検と一緒に単離した。クローンG32C4Bが、試験したステージ1Bのヒト子宮頸癌サンプルのすべてで強く発現することが観察された(図7)。G32C4Bの発現レベルは、対応し相当する正常生検の発現レベルの5倍を超えた(図7)。興味深いことに、クローンG32C4Bの全遺伝子発現は、疾患が進行するにつれて相当する正常組織に比べて減少するように見えた(図7)。G32C4Bの発現はステージ2Aの子宮頸癌では顕著に減少し(図7)、ステージ2Bおよび3Bのヒト子宮頸癌標本におけるその発現は、相当する正常の発現と同様であった(図7)。これらの結果は、クローンG32C4Bの発現が疾患の早期発生時に最高になったことを示唆している。
【0078】
ステージ1Bの子宮頸癌におけるクローンG30CCの発現は、相当する正常生検の発現の約3倍であった(図7)。この差は、相当する正常生検に比べ、ステージ2Aの子宮頸癌では約5倍まで増加した(図7)。しかしながら、G30CCの発現レベルはステージ2Aの子宮頸癌で最高になるようであり、疾患の後期ステージにある患者から得た子宮頸癌組織の相当する正常生検の発現レベルと類似の発現レベルまで低下した(図7)。
【0079】
同様に、クローンG30CA、G32C7およびG31C5Gの発現は、早期ステージの疾患を有する患者から得られた子宮頸癌組織では対応する正常組織に比べて比較的高かった(図8および9)。しかしながら、疾患の後期ステージから得られた子宮頸癌組織を研究した場合、それらの発現レベルは対応し相当する正常組織の発現レベルと類似していた(図8および9)。
【0080】
クローンG30CIだけは、様々なステージで得られたヒト子宮頸癌生検と僅かにハイブリッド形成した(図9)。クローンG30CIは、癌および正常組織生検中でいかなる発現も検出できなかった。
【0081】
実施例12
RNA−RNA in situハイブリッド形成
発明者他のノーザン・ブロット分析から得られた結果は、後期臨床ステージの子宮頸癌生検と一緒に採集した相当する正常組織中ではG32C4BおよびG30CCの発現も上昇したことを示した。後期FIGOステージおよび関連する細胞タイプに対し、相当する正常生検中のG32C4BおよびG30CC増幅の可能性のある意義を探るため、発明者他は、RNA−RNA in situハイブリッド形成試験を行った。
【0082】
G32C4BおよびG30CCプローブは、材料および方法に記載したアンチセンスとセンスの両方向で合成し、in situハイブリッド形成試験に用いた。組織学的同定は、切片のH&E染色後に得られた切片で行った。様々なFIGOステージの子宮頸癌生検をそられに相当する正常組織と一緒に検討した。各々のFIGOステージについて2名の患者について検討し、1名の代表的患者の結果を示した。
【0083】
FIGOステージ1B、2A、2Bおよび3Bの扁平上皮癌の細胞質では、G32C4BおよびG30CCに関する強いハイブリッド形成シグナルを一貫して検出することができた(図10および11)。それに比較して、試験した様々なステージの子宮頸癌生検のすべてについて隣接する線維筋間質細胞では、弱いハイブリッド形成シグナルが検出できたに過ぎなかった(図10および11)。ステージ1Bの子宮頸癌患者から得られた相当する隣接組織の正常扁平上皮細胞では、G32C4Bアンチセンス・プローブとのハイブリッド形成シグナルは検出できなかった(図10)。一方、傍上皮細胞層ではG32C4Bプローブとのハイブリッド形成シグナルは検出できなかったが、ステージ2Aの子宮頸癌患者から得られた相当する隣接組織中の基底および未成熟上皮細胞層内では、かすかに陽性のハイブリッド形成シグナルを検出することができた(図10)。同様に、G30CCアンチセンス・プローブは、FIGOステージが1Bと2Aの双方の子宮頸癌患者から得られた相当する正常組織中の傍上皮細胞層とハイブリッド形成せず、陽性のハイブリッド形成シグナルは基底未成熟上皮細胞層内で検出された(図11)。さらに注目すべきことに、FIGOステージが2Bおよび3Bの子宮頸癌患者から得られた相当する正常組織をG32C4BおよびG30CCアンチセンス・プローブについて検討した場合に、組織学的に正常な上皮細胞層で強いハイブリッド形成シグナルを得ることができた(図10および11)。ハイブリッド形成シグナルは、基底未成熟上皮細胞で最も強かった(図10および11)。
【0084】
実施例13
子宮頸癌組織の隣接する正常組織におけるNADHデヒドロゲナーゼ・サブユニット4遺伝子およびリボソーム蛋白質S12の遺伝子発現のレベル
発明者他のノーザン・ブロット分析から得られた結果は、後期臨床ステージの子宮頸癌生検と一緒に採集した隣接正常上皮においてNADHデヒドロゲナーゼ4およびリボソーム蛋白質S12遺伝子の発現も上昇したことを示した。癌が進行するにつれて、癌の隣接生検ならびに関連する細胞タイプにおいてNADHデヒドロゲナーゼ4遺伝子およびリボソーム蛋白質S12遺伝子が徐々にアップレギュレートされる可能性を確認するため、発明者他は、RNA−RNA in situハイブリッド形成試験を行った。様々なFIGOステージの扁平上皮細胞子宮頸癌生検を、それらの対応する隣接正常組織と併せてin situハイブリッド形成に用いた。子宮頸部の扁平上皮細胞癌患者合計14名および対応する隣接正常組織について検討し、代表的な結果を図12に示した。
【0085】
リボソーム蛋白質S12遺伝子のアップレギュレートされた発現は、早期ステージの子宮頸癌患者(ステージ1Bの患者8名およびステージ2Aの患者6名)の隣接する組織病理学的に正常な上皮10検体のうち10検体の基底未成熟上皮細胞層(BL)内で検出された(図12B)。これらすべての組織切片において上部層上皮細胞(PL)ではハイブリッド形成シグナルを見いだすことはできなかった。全体として、早期ステージの子宮頸癌患者(10名の患者のうち2名)の隣接する組織病理学的に正常な組織では、NADHデヒドロゲナーゼ4遺伝子について基底未成熟上皮細胞層内で弱いハイブリッド形成シグナルを検出することができたに過ぎなかった(図12B)。予想通り、NADHデヒドロゲナーゼ4遺伝子およびリボソーム蛋白質S12遺伝子は、すべてのステージの子宮頸癌組織と強くハイブリッド形成した(図12D)。それに比較して、後期ステージの子宮頸癌患者の隣接する組織病理学的に正常な組織を試験した場合、NADHデヒドロゲナーゼ4遺伝子およびリボソーム蛋白質S12遺伝子に関する強いハイブリッド形成シグナルは、おそらく組織学的に正常な上皮細胞層のすべてで得られた(試験した患者4名中4名)(図12C)。ハイブリッド形成シグナルは、基底未成熟上皮細胞で最も強かった(図12C)。陰性対照は、NADHデヒドロゲナーゼ4遺伝子およびリボソーム蛋白質S12遺伝子が、悪性でない状態で外科手術のために入院した患者から得られた正常上皮細胞とはハイブリッド形成しないことを示した(図12A)。
【0086】
実施例14
分子マーカーの臨床上の意義
CIN病変は持続性のHPVによって誘発される。危険度の高いHPV感染の検出は、子宮頸癌を診断するのに有用なマーカーとして考えられてきた。しかしながら、危険度の高いHPVタイプにより誘発される感染が、子宮頸部病変の臨床徴候のない健康で正常な女性の約10%に見いだされる(Kjaer他、1997)。最も危険度の高いHPV感染は、通常数ヶ月間続くに過ぎない(Ho他、1998)。最大の発病率は40歳以上の女性に見られる。しかしながら、HPV感染の最大発生率は20代にあり、HPV感染の時点から癌発生の時点までの長い潜伏期間が存在する(Lazo、1999)。したがって、HPVをベースとするスクリーニング・プログラムは、多くの女性の過剰検査をもたらすだけでなく、症例の割合を特定できないであろう。
【0087】
一方、悪性度の低いCIN病変の大部分は自然に退縮し、存続するか悪性度の高い子宮頸部過形成まで進行することは極めてわずかに過ぎない。Ostor (1993)は、おおよその可能性としてCIN 1の退縮が60%、存続が30%、CIN 3への進行が10%、浸潤までの進行が1%であると報告した。対応するCIN 2についての概算は、それぞれ40%、40%、20%および5%である。CIN 3についての可能性は、退縮するが33%、浸潤まで進行するが12%を超える。その後の検討は、平均するとCIN 1の11%がより悪性度の高い異形成まで進行し、残りは退縮または存続するのどちらかであることを示した(Duggan、1998)。
【0088】
子宮頸部病変の治療は、病変が浸潤性であるか否かの組織学的判断に全体的に左右される。この区別は、特に小さな生検標本および掻爬材料においては評価するのが極めて困難なことがある。したがって、子宮頸部の新生細胞の浸潤能力を判定する感度が良く客観的な診断手順にはかなりの価値があるであろう。あるいは、進行する危険度が低いにもかかわらず、現在のところ悪性度の高いCIN病変はすべて、浸潤癌の発生を確実に避けるために外科的切除(円錐切除術)により取り除かれているのは、我々が、退縮または存続している病変を、進行する可能性の高い病変と区別できる基準が存在しないためである。すなわち、進行マーカーがないことは、病変が自然に治癒すると思われる女性にかなりの数の過剰治療をもたらしている。形態それ自体はどの病変が進行または退縮するのかを予測しないため、今後の取り組みは、個々の患者で予後を判断するための形態以外の因子を探すべきである。
【0089】
さらに、残留性、再発性および持続性疾患は、CINを完全に摘出した患者におけるよりも、子宮膣部および子宮頸管部ならびに切除の深部でCINを不完全に摘出した患者に最も一般的であった(Zaitoun他、2000)。一報告から、子宮頸部の推定潜在腺癌(ACIS)のための筋膜外(extrafascial)子宮切除術にもかかわらず、残留病巣が残存し、その後も浸潤性腺癌として存在することが示唆された(Krivak他、2000)。長期の追跡で、残留疾患を有するCIN患者は、持続性疾患の危険性が増加し、したがって、定期的に追跡しなければならない。ACISは、子宮頸部の細胞診およびコルポスコピーによって確実には診断されないため、保存療法を受ける患者は、通常パパニコロー・スミアと組み合わせて子宮頸内掻爬(ECC)を受けていた。逆に、ECCが陽性なのは腺病変を有する患者の43%に過ぎない(Poynor他、1995)。したがって、ECCと組み合わせたPapスミアは、子宮頸部腺癌の再発を検出するのには依然として不十分である。
【0090】
子宮頸癌が診断されると、臨床的ステージングが行われる。早期ステージの腫瘍は、錐体生検または簡単な子宮切除術で管理することができる。それより高いステージの腫瘍は、外科的に、または放射線療法で治療することができる。進行した転移性疾患は、放射線療法および同時化学療法に反応することがある。これらの治療の後、再発の検出に蛋白質マーカーが必要である(Canavan他、2000)。
【0091】
最近の子宮頸癌が極めて不十分な予後であるのは、主に、生存期間を増加させるような有効な体系的治療法が存在しないためである(Piamsomboon他、1996)。再発子宮頸癌の5年生存率は5%に過ぎない(Burke他、1989)。しかしながら、ステージI−IIAの子宮頸癌に対する根治的な子宮切除術後、女性の10%−15%が再発する。これらの再発の60%は、骨盤だけに位置する(Lanciano、1996)。再発までの平均時間は21.7ヶ月であり、患者の大部分は腺癌、リンパ節転移、および複雑な外科的余地を有する。よくあるフォローアップであるPapスミアは、疾患状態については不完全な指標のようであった(Tay他、1997)。
【0092】
したがって、癌患者の診断における主要な問題は、早期の検出、生物学的挙動の正確な予測および予後の正確な評価のための特異的腫瘍マーカーを欠くことである。発明者他による結果は、NADHデヒドロゲナーゼ4およびリボソーム蛋白質S12遺伝子が、ヒト子宮頸癌にとっての早期診断用マーカーとして、および進行性疾患の分子マージンを明確にする意義深い価値をもたらすことを示した。さらに、子宮頸部の局在性癌患者の術後フォローアップ中のNADH 4またはリボソーム蛋白質S12の測定は、治癒的療法が依然として選択可能である場合に、再発性疾患の早期検出につながるであろう。
【0093】
当業者が認識しているように、本明細書に記載の発明は、具体的に記載した以外の変形形態および修正形態が可能である。当然のことながら、本発明にはそのようなすべての変形形態および修正形態が含まれる。また、本発明には、本明細書で言及または指示されるすべてのステップ、特徴、組成物および化合物が個別または集合的に含まれ、前記ステップまたは特徴のいずれか2個以上のいかなる組合せも、およびすべての組合せも含まれる。
【0094】
【表2】
Figure 2004503261
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【0095】
【表3】
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【0096】
【参考文献】
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【図面の簡単な説明】
【図1】
正常およびヒト扁平上皮細胞癌生検のcDNAフラグメントの示差的に発現した分析を示す写真表示である。6検体の子宮頸部癌生検およびそれらに相当する正常組織から抽出した全RNA1μgを、P21 (3′−GTTTTTTTTTTTCGAA−5′[配列番号1])プライマーを用いて逆転写し、続いて[α−33P]dATP の存在下でP21プライマーとP30 (5′−AAGCTTGGTGACA−3′[配列番号2]); P31(5′−AAGCTTAGTCAAG−3′[配列番号3]); またはP32 (5′−AAGCTTCCACAGC−3′[配列番号4])とのプライマー対を用いることにより、パラレルPCRで増幅させた。ゲル電気泳動後、示差的発現遺伝子フラグメントをオートラジオグラフィにより示した。
【図2】
様々なFIGOステージのヒト子宮頸部扁平上皮癌生検における示差的ディスプレイにより単離された44種のcDNAクローンのうち40種の発現のcDNAマイクロアレイ分析を示す図である。データは行列形式で示され、各行は単一cDNAクローンから得られた結果を示し、各列は実験サンプルを示す。列1−10は、生検および相当する正常上皮を採取した10名の子宮頸部扁平上皮細胞癌患者を示す。疾患のステージを各患者について示す。各サンプルについて、癌生検における各クローンの転写物の存在度と隣接する病理組織学的に正常な上皮細胞で検出された同一クローンの転写物の存在度との比を、対応する細胞の色により行列中に示す。緑色の正方形は、対照より少ない転写物レベルを示し、赤色の正方形は対照の転写物レベルを超える転写物レベルを示すが、黒色の正方形は対照と同じ転写物レベルを示す。用いた対照はβ−2−ミクログロブリン、α−チューブリン、サイクロフィリン、β−アクチン、ユビキチンおよびG3PDHである。灰色の正方形は、行列中の特定な細胞について技術的に不十分なデータまたは欠測値を示す。
【図3】
逆ノーザン・ブロットの定量分析を示す写真表示である。逆ノーザン・ブロットのハイブリッド形成反応性は、PhosphorImagerによって検出した。癌生検に由来するcDNAプローブによるハイブリッド形成反応性を対応する正常組織に由来するcDNAプローブによるハイブリッド形成反応性を比較した増加倍率(fold increase)を示した。癌組織では28種類のクローンが顕著にアップレギュレートされることが分かった。
【図4】
G32C4Bの完全長cDNAをスクリーニングするcDNAライブラリーを示す写真表示である。ClonCapture cDNA Selection Kitを用い、ビオチン化G32C4Bプローブを含むHela cDNAライブラリーから53種類の陽性クローンが得られた(A)。G32C4Bプローブによって捕捉された長い挿入物を含む7種類の陽性cDNAクローンを配列決定し、全体にわたってNADHデヒドロゲナーゼ・サブユニット4遺伝子と相同(98%以上一致)であることが判明した。
【図5】
様々なFIGOステージのヒト子宮頸部扁平上皮細胞癌におけるクローンG30CCおよび G32C4Bのノーザン・ブロット分析を示す写真表示である。様々なFIGOステージの癌生検およびそれらの対応する隣接正常上皮から得られた全RNA20mgをノーザン・ブロット・ハイブリッド形成に用いた。G3PDHを内部対照として用い、RNAの量を正規化した。
【図6】
G30CCの完全長cDNAをスクリーニングするcDNAライブラリーを示す写真表示である。ClonCapture cDNA Selection Kitを用い、ビオチン化G30CC プローブを含むHela cDNAライブラリーから122種類の陽性クローンが得られた(A)。G30CCプローブによって捕捉された長い挿入物を含む7種類の陽性cDNAクローンを配列決定し、全体にわたってリボソーム蛋白質S12 mRNAと相同(98%以上一致)であることが判明した。
【図7】
ヒト子宮頸部生検おけるクローンG32C4BおよびクローンG30CC発現のノーザン・ブロット分析を示す写真表示である。様々なFIGOステージのヒト子宮頸癌生検およびそれらの隣接正常組織から得られた全RNA20mgをノーザン・ブロット・ハイブリッド形成に用いた。G3PDHを内部対照として用い、RNAの量を正規化した。遺伝子発現における純増加倍率(net fold increase)は、膜の曝露およびBioRad FX PhosphorImager (Biorad、Richmond、CA)を用いるデンシトメーター・スキャニング(densitometric scanning)による定量後に決定した。
【図8】
ヒト子宮頸部生検おけるクローンG30CAおよびクローンG32C7発現のノーザン・ブロット分析を示す写真表示である。様々なFIGOステージのヒト子宮頸癌生検およびそれらの隣接正常組織から得られた全RNA20mgをノーザン・ブロット・ハイブリッド形成に用いた。G3PDHを内部対照として用い、RNAの量を正規化した。遺伝子発現における純増加倍率は、膜の曝露およびBioRad FX PhosphorImager (Biorad、Richmond、CA)を用いるデンシトメーター・スキャニングによる定量後に決定した。
【図9】
ヒト子宮頸部生検おけるクローンG31C5G、クローンG31CIおよびクローンG32C2B発現のノーザン・ブロット分析を示す写真表示である。様々なFIGOステージのヒト子宮頸癌生検およびそれらの隣接正常組織から得られた全RNA20mgをノーザン・ブロット・ハイブリッド形成に用いた。G3PDHを内部対照として用い、RNAの量を正規化した。遺伝子発現における純増加倍率は、膜の曝露およびBioRad FX PhosphorImager (Biorad、Richmond、CA)を用いるデンシトメーター・スキャニングによる定量後に決定した。
【図10】
G32C4BについてのRNA−RNA in situハイブリッド形成を示す写真表示である。様々なFIGOステージ(1B、2A、2Bおよび3B)のヒト子宮頸癌生検ならびに隣接正常組織から、厚さ10μmの組織切片を調製した。得られた組織切片は、クローンG32C4Bに由来するDIG標識アンチセンスまたはセンス・プローブのどちらかとハイブリッド形成させた。組織学的同定にはヘマトキシリンおよびエオシン染色を用いた。示す倍率は600Xとした。
【図11】
G30CCについてのRNA−RNA in situハイブリッド形成を示す写真表示である。様々なFIGOステージ(1B、2A、2Bおよび3B)のヒト子宮頸癌生検ならびに隣接正常組織から、厚さ10μmの組織切片を調製した。得られた組織切片は、クローンG30CCに由来するDIG標識アンチセンスまたはセンス・プローブのどちらかとハイブリッド形成させた。組織学的同定にはヘマトキシリンおよびエオシン染色を用いた。示す倍率は600Xとした。
【図12】
正常子宮頸部扁平上皮、早期または後期FIGoおよび扁平上皮細胞癌生検から採集された子宮頸部扁平上皮細胞癌隣接上皮によるクローンG30CCおよびG32C4BについてのRNA−RNA in situハイブリッド形成試験を示す写真表示である。得られた10μmの組織切片は、クローンG30CCまたはG32C4Bに由来するDIG標識アンチセンスまたはセンス・プローブとハイブリッド形成させた。組織学的同定にはヘマトキシリンおよびエオシン染色を用いた。4種類の異なる子宮頸部組織生検に対するクローンG30CCおよびG32C4Bから得られた代表的な結果を示す。(A)非悪性患者から採集した正常子宮頸部扁平上皮;(B)早期ステージの子宮頸部扁平上皮細胞癌患者から得られた隣接する組織病理学的に正常な組織;(C)後期ステージの子宮頸部扁平上皮細胞癌から得られた隣接する組織病理学的に正常な組織;および(D)扁平上皮細胞生検切片。図中のスケール・バーは80μmを表す。(BL、基底層上皮細胞;PL、上部層上皮細胞;ST、間質細胞;SCC、扁平上皮細胞癌。)

Claims (55)

  1. 哺乳動物由来の正常または異常組織と関係する分子マーカーを検出する方法であって、
    前記異常組織および非異常個体からの対応する組織から全RNAを単離すること、
    逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を用いて相補DNA分子を作製すること、および
    前記DNA分子を分離手段にかけて、相補DNA分子の有無または相対的有無を、非異常組織と比較して異常組織から検出できるようにすることを含むものであり、
    1つのタイプの組織における、もう1つのタイプの組織と比較した上での相補DNA分子の有無が、正常または異常組織に関係する分子マーカーを示すものである方法。
  2. 哺乳動物がヒトである、請求項1に記載の方法。
  3. 異常組織が子宮頸癌組織である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 分離手段がゲル電気泳動である、請求項1に記載の方法。
  5. 示差的に発現した遺伝子配列がG30CAである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  6. 示差的に発現した遺伝子配列がG30CBである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  7. 示差的に発現した遺伝子配列がG30CCである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  8. 示差的に発現した遺伝子配列がG30CDである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  9. 示差的に発現した遺伝子配列がG30CEである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  10. 示差的に発現した遺伝子配列がG30CHである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  11. 示差的に発現した遺伝子配列がG30CIである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  12. 示差的に発現した遺伝子配列がG30CKである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  13. 示差的に発現した遺伝子配列がG31C4Bである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  14. 示差的に発現した遺伝子配列がG31C4Cである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  15. 示差的に発現した遺伝子配列がG31C5Bである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  16. 示差的に発現した遺伝子配列がG31C5Cである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  17. 示差的に発現した遺伝子配列がG31C5Dである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  18. 示差的に発現した遺伝子配列がG31C5Eである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  19. 示差的に発現した遺伝子配列がG31C5Gである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  20. 示差的に発現した遺伝子配列がG31C6Aである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  21. 示差的に発現した遺伝子配列がG31C6Bである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  22. 示差的に発現した遺伝子配列がG32C2Aである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  23. 示差的に発現した遺伝子配列がG32C2Bである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  24. 示差的に発現した遺伝子配列がG32C2Cである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  25. 示差的に発現した遺伝子配列がG32C3Aである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  26. 示差的に発現した遺伝子配列がG32C3Bである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  27. 示差的に発現した遺伝子配列がG32C3Cである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  28. 示差的に発現した遺伝子配列がG32C4Bである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  29. 示差的に発現した遺伝子配列がG32C4Dである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  30. 示差的に発現した遺伝子配列がG32C5Aである、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  31. 示差的に発現した遺伝子配列がG32C6である、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  32. 示差的に発現した遺伝子配列がG32C7である、請求項1または2または3または4に記載の方法。
  33. 分子マーカーが遺伝子である、請求項1または5に記載の方法。
  34. 遺伝子がNADHデヒドロゲナーゼをコードする、請求項34に記載の遺伝子。
  35. 遺伝子がリボソーム蛋白質S12をコードする、請求項34に記載の遺伝子。
  36. RT−PCRで用いるプライマーが、配列番号1に記載のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも75%の類似性を有する配列または低ストリンジェントな条件下で配列番号1とハイブリッド形成することができる配列を含む、請求項1に記載の方法。
  37. RT−PCRで用いるプライマーが配列番号1に記載の通りである、請求項36に記載の方法。
  38. RT−PCRで用いるプライマーが、配列番号2に記載のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも75%の類似性を有する配列または低ストリンジェントな条件下で配列番号2とハイブリッド形成することができる配列を含む、請求項1に記載の方法。
  39. RT−PCRで用いるプライマーが配列番号2に記載の通りである、請求項38に記載の方法。
  40. RT−PCRで用いるプライマーが、配列番号3に記載のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも75%の類似性を有する配列または低ストリンジェントな条件下で配列番号3とハイブリッド形成することができる配列を含む、請求項1に記載の方法。
  41. RT−PCRで用いるプライマーが配列番号3に記載の通りである、請求項40に記載の方法。
  42. RT−PCRで用いるプライマーが、配列番号4に記載のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも75%の類似性を有する配列または低ストリンジェントな条件下で配列番号4とハイブリッド形成することができる配列を含む、請求項1に記載の方法。
  43. RT−PCRで用いるプライマーが配列番号4に記載の通りである、請求項42に記載の方法。
  44. 哺乳動物において相当する正常な子宮頸部上皮細胞に対して子宮頸癌細胞で示差的に発現したヌクレオチド配列を含む単離遺伝子配列。
  45. 哺乳動物がヒトである、請求項44に記載の単離遺伝子配列。
  46. G30CA、G30CB、G30CC、G30CD、G30CE、G30CH、G30CI、G30CK、G31C4B、G31C4C、G31C5B、G31C5C、G31C5D、G31C5E、G31C5G、G31C6A、G31C6B、G32C2A、G32C2B、G32C2C、G32C3A、G32C3B、G32C3C、G32C4B、G32C4D、G32C5A、G32C6、およびG32C7から選択される、請求項45に記載の単離遺伝子配列。
  47. 正常組織と子宮頸癌組織を区別する際の、G30CA、G30CB、G30CC、G30CD、G30CE、G30CH、G30CI、G30CK、G31C4B、G31C4C、G31C5B、G31C5C、G31C5D、G31C5E、G31C5G、G31C6A、G31C6B、G32C2A、G32C2B、G32C2C、G32C3A、G32C3B、G32C3C、G32C4B、G32C4D、G32C5A、G32C6、およびG32C7から選択される遺伝子配列の使用。
  48. 配列番号1に記載のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも75%の類似性を有する配列または低ストリンジェントな条件下で配列番号1とハイブリッド形成することができる配列を含む単離プライマー。
  49. RT−PCRで用いるプライマーが配列番号1に記載の通りである、請求項48に記載の単離プライマー。
  50. 配列番号2に記載のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも75%の類似性を有する配列または低ストリンジェントな条件下で配列番号2とハイブリッド形成することができる配列を含む単離プライマー。
  51. RT−PCRで用いるプライマーが配列番号2に記載の通りである、請求項50に記載の単離プライマー。
  52. 配列番号3に記載のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも75%の類似性を有する配列または低ストリンジェントな条件下で配列番号3とハイブリッド形成することができる配列を含む単離プライマー。
  53. RT−PCRで用いるプライマーが配列番号3に記載の通りである、請求項52に記載の単離プライマー。
  54. 配列番号4に記載のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも75%の類似性を有する配列または低ストリンジェントな条件下で配列番号4とハイブリッド形成することができる配列を含む単離プライマー。
  55. RT−PCRで用いるプライマーが配列番号4に記載の通りである、請求項54に記載の単離プライマー。
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