JP2004502210A - ロードを意識した最適化 - Google Patents

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Abstract

【課題】手数料を織り込んだ最適化を容易にするため、標準ポートフォリオ最適化に対する入力に対する修正を利用するプロセスを提供する。
【解決手段】先ず、入手することの出来る金融商品の集合の、フロントエンド又はバックエンドロードを有する投資信託など、各ロード金融商品を、調整後リターンを決定することにより、ロード部分とロードフリー部分としてモデル化し、調整後リターンは、ロードベアリング金融商品がポートフォリオ内に保有されると見積もられる期間及び手数料額に準拠して決定し、ポートフォリオ内のロード金融商品の比率に関係する変数は、2つの変数(1つはロードベアリング部分をあらわし、他は無手数料部分をあらわす)に分解し、2次プログラミング問題を回復し、次いで、2次プログラミング技術を用いて最適化を実行し、2つの変数を組み合わせることにより、ポートフォリオ内での各ロード金融商品の比率を計算する。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は概して財務分析サービスに関する。さらに詳細には、本発明は金融商品の最適化ポートフォリオがフロントまたはバックエンドロードを伴う母集団から生ずるプロセスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
N個の金融商品の集合から、無限数のポートフォリオが投資に対して使用可能である。本出願の目的のため、術語「金融商品」はある一定の指定条件のもとで期待できる未来収益をもたらすか、または受け取る権利(クレームまたは有価証券として表示される場合が多い)の法的表現としてはば広く定義される。例えば、国内または海外普通株、国内または海外債権、不動産、現金等価物、オープン型投資信託、為替取引資金(ETF)およびその他の証券または有価証券のポートフォリオなどが術語「金融商品」によって考察される。
【0003】
いずれにしても、既存のコンピュータ財務分析システム(ポートフォリオ最適化装置とも呼ばれる)は個人がこれらの必要性を満足するようにポートフォリオを選択するのを助力することが主旨である。代表的には、これらのシステムは平均−分散最適化理論を含む標準最適化技術に基づいて数学モデルを実行する。ポートフォリオ選択への平均−分散取り組みによれば、金融商品の最適ポートフォリオがリスクおよびリターンおよび効率的ポートフォリオ(効率的集合または有効フロンティアとも呼ばれる)の集合の様々な組合せのため投資家の好みを参照して特定される。図1で金融商品の特定集合から形成されるポートフォリオすべてを表すポートフォリオの実現可能な集合を説明する。アークACは各々が所定レベルの危険に対して最も高い期待リターンをもたらすポートフォリオの効率的集合を表す。代表的には、ポートフォリオの危険は収益についての標準偏差によって測定される。
【0004】
一般に、ポートフォリオ最適化のプロセスには投資家の効用関数の値を最大値にする金融商品のポートフォリオを決定するステップが含まれる。代表的には、ポートフォリオ最適化プロセスはユーザが2次効用関数によって合理的に近似された効用関数(即ち、平均−分散効用)を有するということ、即ち、人々は概してより多くの財産を有すること好みかつ財産の不安定さを嫌うということを前提にしている。この前提および所定リスク許容度に基づいて、有効な平均−分散 である最適化ポートフォリオがユーザにとって使用可能な金融商品の集合から算出される。
【0005】
N個の金融商品の集合から最適化ポートフォリオを決定する問題は一連のひとつまたは多数の2次プログラミング(QP)問題として表わされる。QPは線型相等を課される決定変数の2次関数を最適化(最小化または最大化)する技術である。ひとつの特定な形式のQP技術、「能動的集合」方法とも呼ばれる、はフィナンシャルエンジン社(FEI)(Financial Engine, Inc.(FEI))によって財務分析商品において使用されてきた。「能動的集合」方法(”active set” method )はギィル、マーリイ、およびライト、「実用最適化」、アカデミックプレス、1981年、第5章(Gill, Murray, and Wright, “Practical optimization”, Academic Press, 1981, Chapter 5)、その内容は本明細書により参照資料として取り入れられている、に記載されている他のしばしば使用される方法はクリチカルラインアルゴリズムであり、マルコビィッツ、「ポートフォリオ選択」、第2巻、ブラックウェル、ケンブリッジ、マサチューセッツ州、1991年 (Markowitz, Portfolio Selection, 2nd edition, Blackwell, Cambridge, MA, 1991)に記載されており、その内容は本明細書により参照資料として取り入れられている。それに加えて、最適化問題が適切に構成されている場合、それはシャープ、「ポートフォリオのためのアルゴリズム」、数学的プログラミングおよび金融プランニングの進歩、JAIプレス社、1987年 (Sharpe, “An Algorithm for Portfolio Improvement”, Advances in Mathematical Programming and Financial Planning, JAI press, Inc., 1987)の傾斜法を使用して解決される。
【0006】
ロードを包含すると最適化される関数の形式が著しく変化し、即ち、目的関数がもはや2次ではなくなるため、現行QP最適化プログラムは金融商品の購入のフロントエンドおよびバックエンドいずれかのロードの支払いを金融目的で買い取る能力を持っていない。簡単にいえば、従来技術の最適化QP技術を使用すると、投資家の現行ポートフォリオを再配分することにより投資家のための最適化ポートフォリオを容易にかつ効率的に決定することは不可能である。
【0007】
【発明の解決しようとする課題】
ロードを意識した最適化を容易にするため、標準ポートフォリオ最適化への入力に対する変形を使用するプロセスを説明する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
まず、ひと組の使用可能な金融商品の各ロード金融商品の所定保有期間、ロードベアリング金融商品における現行保有株、ロードベアリング金融商品からの期待された将来の拠出金または預金引き出しに関する情報、ロードベアリング金融商品の期待リターン、およびロードベアリング金融商品に関連したロードの量に基づいてロードベアリング金融商品の各々のため調整後リターンを決定することによりロード部分および非ロード部分として模範とされる。ひと組の使用可能な金融商品からひとつまたは多数の金融商品の推奨ポートフォリオが各ロードベアリング金融商品の調整後リターンおよびロードベアリングではない金融商品の期待リターンに基づいて作成される。
本発明の他の特徴が添付図面からかつ次の詳細説明から明らかになろう。
【0009】
【発明の実施の形態】
本明細書において説明されるロードを意識したポートフォリオ最適化技術は、ポートフォリオが選択される金融商品の母集団におけるひとつまたは多数の金融商品がひとつまたは多数のロードベアリング金融商品を含む、ポートフォリオを最適化する方法を含む。本発明のひとつの実施形態によれば、QT技術を使用する能力を保持しながら、ロードを意識した最適化問題を解決する機構が提供される。
【0010】
本発明の実施形態は従来技術の最適化方法に対して著しい変更を取り入れている。ある実施形態では、ロード金融商品の収益,が最適化の期間全体にわたってロード金融商品の実際の期待リターンを調整してロードの効果を明らかにすることにより最適化問題を解決するロード未支い金融商品の観点から説明される。例えば、最適化の期間が1年であり、かつ金融商品が5% ロードを有する場合には、金融商品の有効収益が年間予想収益から5%だけ低減することになる。同様に、最適化の期間が5年であり、かつ金融商品が5% ロードを有する場合には、有効年間リターンが年間予想収益から1%だけ低減することになる。
【0011】
本発明の実施形態を使用する投資家は以前に購入した金融商品を含むポートフォリオを 所有する場合が多い。このような投資家のための最適化ポートフォリオを決定することは、投資家の予め最適化してあるポートフォリオに保持された金融商品の相対量を再配分するよう助言することを含む場合が多い。投資家はある一定の金融商品全体または一部を売却するよう助言されるか、または投資家は投資家は保有するある一定の金融商品量を増加させるよう助言される。ロードに対する収益の調整は投資家がロード金融商品を売却するよう助言されるかまたは投資家の最適ポートフォリオ配分に到達させるためロード金融商品のより多くを購入するかどうかにドラスチック依存する。 以前に保有した金融商品のより多くの購入は購入に際して支払った仕込み手数料ならびに商品に対する今後の寄与に対して請求された手数料に対して調整後リターンの比率で分析される。保有金融商品の一部を売却する場合、金融商品残り部分が商品に対する今後の寄与に対して請求された手数料に対して調整後リターンの比率で分析される。
【0012】
QP技術を使用する最適化問題を解決することができる優位性を再取得するには、本発明の実施形態は以前保有したロード金融商品に関連した変数を倍増する。ひと組の変数が金融商品の最適化ポートフォリオに到達するため売却されるロード金融商品の一部を説明し、かつ別の集合の変数が最適ポートフォリオに到達するため購入されるロード金融商品の一部を説明する。QP最適化が実行された後、2つの集合の変数が加えられ最適化(推奨)ポートフォリオに各種ロード金融商品の関連部分を発生させる。
【0013】
次の説明では、説明の目的で本発明の全体にわたる理解をもたらすため多数の特定詳細を述べる。ただし、本発明がこれらの特定詳細のあるものがなくても実施されうることが当業者にとって明らかになろう。その他の例では、周知の構造および装置がブロック図形式で示される。本発明は以下に説明する様々なステップを含む。本発明のステップは機械により実行可能な命令を含んでもよい。命令を使用して命令でプログラムされる汎用または特定目的プロセッサに本発明のステップを実行させることができる。あるいはまた、本発明のステップはステップを実行するハードウエア論理回路を含む特定のハードウエア構成要素によって、またはプログラムされたコンピュータ構成要素およびカスタムハードウエア構成要素のいずれかの組合せによって実行される。
【0014】
本発明は、コンピュータ(またはその他の電子装置)をプログラムするため使用して本発明によるプロセスを実行することができる、それに格納された命令を有する機械により読取り可能な媒体を含でもよいコンピュータプログラム製品として設けられてもよい。機械により読取り可能な媒体は、これに制限されないが、フロッピー(登録商標)デイスケット、CD−ROM、および磁気光学デイスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、磁気または光カード、またはその他の形式の媒体/電子式命令を格納するのに適当な機械により読取り可能な媒体を含んでもよい。また、本発明を、通信リンク(モデムまたはネットワーク接続)を介して搬送波またはその他の伝搬媒体で実施されたデータ信号を通して、プログラムが遠隔コンピュータ(例えば、サーバ)から要求コンピュータ(例えば、クライアント)へ伝達されることを特徴とする、コンピュータプログラム製品としてダウンロードしてもよい。
【0015】
本発明の実施形態を財務分析システムを参照して説明するが、本明細書において説明した方法および装置はその他の形式の資産配当アプリケーション、金融計画アプリケーション投資助言サービス、金融商品選択サービス、電子式パーソナルショッピングアイジェントなどの自動化金融商品スクリーニングツールなどに等しく適用可能である。さらに、どのような形式の金融商品も株や債券などのように特定されるが、ポートフォリオ最適化問題を本明細書においける金融商品を通して説明する。
【0016】
システム概要
本発明は図2に示しそれのようなクライアント−サーバを基本とする財務分析システム200内に含まれてもよい。図2に示した実施形態によれば、財務分析システム200には金融ステージングサーバ220、ブロードキャストサーバ215、コンテントサーバ217、AdviseServer(商標)210(AdviseServerはフィナンシャルエンジン社(Financial Engine, Inc.,)、本発明の権利者の商標である)、およびクライアント205が含まれる。
【0017】
金融ステージングサーバ220は金融コンテントの出版物のための主要ステージングおよび有効範囲として働く。この方法では、金融ステージングサーバ220はデータウエアハウスとして作用する。未処理ソースデータ、代表的には時系列データ、が修復されかつ金融ステージングサーバ220で分析する上で有益なデータに処理される。月毎を基本に、またはバッチ処理間隔がどのようなものでろうと、金融ステージングサーバ220は供給業者データから得られた未処理時系列データを供給業者の特定フォーマットから財務分析システム200全体にわたって使用可能な標準フォーマットに変換する。各種金融エンジンを供給業者から受取ったデータの有効性および特性保証のためのデータを発生するように実施してもよい。金融エンジンによって必要とされる分析データのどのような較正もブロードキャストサーバ215からの最終解析データを出版するのに先だって実行してもよい。
【0018】
ブロードキャストサーバ215はデータベースサーバである。このように、それはマイクロソフト(商標)SQL−サーバ(Microsoft(TM)SQL−Server)、オラクル(商標)(Oracle(TM))などのリレーショナルデータベースマネージングシステム(RDBMS)(Relational Database Management System)(RDBMS))の具体例を実行する。ブロードキャストサーバ215はすべての金融商品情報および解析データへの単一アクセス点を提供する。AdviceServer(商標)210などの助言サービスがデータを必要とする場合、それらがブロードキャストサーバデータベースからの情報を照会することがある。ブロードキャストサーバ215はコンテントサーバ217などのコンテントサーバも一般的なものにし、従って、AdviceServer(商標)210の遠隔実行はブロードキャストサーバ215で直接通信することを必要としない。AdviceServer(商標)210はクライアント205のためのサーバの主要プロバイダである。AdviceServer(商標)210も外部システム225などの外部システムとブロードキャストサーバ215またはコンテントサーバ217間のプロキシとして作用する。
【0019】
図示した実施形態によれば、ユーザはブラウザアプリケーション内でまたはユーザのパーソナルコンピュータ205上のスタンドアロン デスクトップ アプリケーションとして実行中のクライアントソフトウエアを使用して財務分析システム200からのフィードバックと相互作用しかつ受け取る。クライアントソフトウエアはHTTPサーバとして作用するAdviceServer(商標)210と通信する。
【0020】
模範的コンピュータシステム
本発明の様々な機能を使用する模範的財務分析システム200を簡単に説明してきたが、次に図3を参照して本発明の機能が実装される模範的クライアント105、またはサーバを表わすコンピュータシステム300を説明する。コンピュータシステム300は情報を通信するバスまたはその他の通信手段301、および情報を処理するバス301に結合されたプロセッサ302などの処理手段を含む。コンピュータシステム300はランダムアクセスメモリ(RAM)または情報およびプロセッサ302によって実行される命令を格納するためバス301に結合された別の動的記憶装置304(主記憶装置と呼ばれる)をさらに含む。主記憶装置304もプロセッサ302によって命令の実行中一時的な変数、またはその他の中間情報を格納するため使用してもよい。コンピュータシステム300もリードオンリーメモリ(ROM)および静的情報およびプロセッサ302のための命令を格納するためバス301へ結合された静的記憶装置306またはそのいずれかを含む。
【0021】
磁気デイスクまたは光デイスクなどのデータ記憶装置307およびその対応装置も情報および命令を格納するためコンピュータシステム300へ結合してもよい。コンピュータシステム300も情報をコンピュータユーザへ表示するため陰極線管(CRT)または液晶表示装置(LCD)などのバス301を介して表示装置321へ結合される。例えば、予想ポートフォリオ機能、最適ポートフォリオのための資産配分、短期および長期金融危険を示すチャート、様々な金融目標を達成する確率の表示、およびその他のデータ形式のグラフによる表現がユーザに対して表示装置321上に表わされる。代表的には、英数字およびその他のキーを含む英数字入力装置322がプロセッサ302への情報通信およびコマンド選択またはそのいずれかのためバス301へ結合される。別の形式のユーザ入力装置はプロセッサ302への指示情報およびコマンド選択を通信するためかつ表示装置321上のカーソル移動を制御するためのマウス、トラックボール、カーソル指示キーなどのカーソル制御323である。
【0022】
通信装置325も、例えば、AdviceServer(商標)210またはインターネットを介してのその他のサービスなどの遠隔サービスのためバス301へ結合される。通信デバイス325にはモデム、ネットワークインターフェースカード、またはイーサネット(登録商標)、トークンリング、またはその他の形式のネットワークへ結合するため使用されるそれら装置などのその他の周知のインターフェース装置が含まれていてもよい。いずれにしても、この方法では、コンピュータシステム300を、例えば、企業内ネットワークおよびインターネットまたはそのいずれかなどの通常のネットワークインフラストラクチャを介して多数のサーバに結合してよい。
【0023】
模範的解析モジュール
図4は本発明のひとつの実施形態による財務分析システム200の模範的解析モジュールを説明する簡単化ブロック図である。描写された実施形態によれば、次のモジュール、即ち、価格決定モジュール405、要因モジュール410、金融商品マップ化モジュール415、税金調整モジュール420、年金化モジュール425、シミュレーション処理モジュール430、ポートフォリオ最適化モジュール440、ユーザインターフェース(UI)モジュール445、およびプランモニタモジュール450が設けられる。本明細書において説明した機能性は以下に考察したより多くのまたはより少ないモジュールで実行され得ることが正当に評価されるべきである。それに加えて、モジュールおよび機能性がクライアント205などのクライアントシステム、および金融ステージングサーバ220、ブロードキャストサーバ215、またはAdviceServer(商標)210などのひとつまたは多数のサーバシステムの中の様々な構成において配置されてもよい。次に、模範的なモジュールの各々の機能性を簡単に説明する。
【0024】
「計量経済モデル」は「内生的変数」と呼ばれるある一定の変数のレベルを期待する手段を提供する、「外生的変数」かつ場合によっては内生的変数の以前に決定された値(遅れを伴う従属変数と呼ばれる場合もある)として既知のある一定のその他の変数のレベルに関する条件付統計的モデルである。価格決定モジュール405はひと組のコアアセットクラスの価格および収益を期待する等価経済的モデル(コア資産シナリオとも呼ばれる)である。価格決定モジュール405はコアアセットクラス収益の期待に基づいている現行レベルの期待および経済的要因の期待(状態変数としても既知の)を提供する。本発明のひとつの実施形態によれば、経済的要因は3つの外生的状態、即ち、価格インフレーション、実短期利率、および配当金増加により表わしてもよい。3つの外生的状態変数は、以下にさらに説明するように自己回帰時系列モデルに備えられ対応する観察された経済的変数の歴史的,時期に一致する。
【0025】
いずれにしても、結果として生ずるコアアセットクラスはポートフォリオシミュレーションの基礎であり、かつ理路整然としたかつ内部的にむらのない(例えば、裁定取引のない)集合の収益をもたらすようになっている。裁定取引が意味するものは世界のすべての状態で純益をもたらす投資および
正値を含まない採算がとれる取引機会をもたらす機会である。ある実施形態によれば、コアアセットクラスは短期US政府債権、長期US政府債権およびUSエクイテイを含む。コアアセットクラスを膨張させて人々が概してアクセスしなければならない考えられる投資の全範囲を網羅するため、以下にさらに説明するように付加的なアセットクラスは価格決定モジュール405に組込まれるかまたは付加的なアセットクラスが要因モジュール410に含まれかつコアアセットクラスに関して条件付けされる。
【0026】
価格決定モジュール405によって発生したコア資産シナリオに基づいて、要因モジュール410がスタイル分析などの両公開分析のため使用されるひと組の要因アセットクラスのための収益シナリオ(本明細書において以降「要因モデル資産シナリオとも称する」およびポートフォリオ収益のシミュレーションを提供する。要因ともと呼ばれる、要因モデルに表わされた付加的なアセットクラスが価格決定モジュール405によって発生したコアアセットクラス収益シナリオによって適切な状態に整えられる。ある実施形態によれば、これらの付加的要因は、主流の相互金融商品および明確に特定された拠出金方式において個別投資家にとって代表的に利用可能な投資の範囲に またがる方法で選択されるひと組のアセットクラスまたは指標に対応する。例えば、要因を次のキャッシュ、債権、エクイテイ、および海外エクイテイのグループに分割してもよい。エクイテイグループを2つの異なる広域分類、即ち、(1)値対増加および(2)マーケット投資にさらにブレークダウンしてもよい。成長株は基本的にそれらの基礎をなす帳簿価格(例えば、高い予約に対する価格比)に対して相対的に高価格の株式である。逆に、株式価値はそれらの基礎をなす帳簿価格に対して比較的低い価格を有する。マーケット投資に関しては、株式を大型、中間、および小型投資のグループに分割してもよい。模範的な集合の要因を下記の表1に一覧表にする。
【0027】
【表1】
Figure 2004502210
【0028】
この時、完全に異なる要因は特定の履行に依存して使用されることが重要である。表1に一覧表にした要因は主流の相互金融商品および明確に特定された拠出金方式において個別投資家にとって代表的に利用可能な投資範囲にまたがる目標を達成するひと組の要因の例として簡単に表示されている。ほかの要因も使用可能なことが当業者にとって明らかになろう。特に、ある一定のアセットクラス(例えば、派生証券)の価格決定に非線型に関連する有価証券の価格決定に対する基礎をなすアセットクラスの機能を表す要因を構成することが可能である。本発明の他の実施形態では、付加的要因が産業上の特定エクイテイ指標などの金融代替物のより広い範囲にまたがることに関連する。
【0029】
ある期間に基づいて、金融商品マップ化モジュール415は要因モデルへ金融商品収益をマップ化する。重要なことはと、金融商品収益には単一金融商品の固定配分を表す必要はない。最適化問題の文脈内で、いかなる資産収益もひとつまたは多数の金融商品を含む静的および動的方策から構成される。例えば、資産のひとつがそれ自身金融商品のグループ全体にわたって一定のリバランス運用を表す。また、アルゴリズムとして明確に表現される動的方策はポートフォリオ最適化の中に取り入れられる。例えば、ユーザの年令とともに減少するリスク許容度を特定するアルゴリズムが実行される。経路従属アルゴリズム(例えば、ポートフォリオインシュランス)を取り入れることも可能である。ある実施形態では、要因モデルへの金融商品収益のマップ化プロセスは要因に対する金融商品収益の公開へ分解するステップを含む。マップ化は、効果において、要因の収益に関する金融商品収益がいかに挙動するかを表示する。ある実施形態によれば、金融商品マップ化モジュール415はサーバ(例えば、金融ステージングサーバ220、ブロードキャストサーバ215、またはAdviceServer(商標)210)のひとつに配置される。別の実施形態では、金融商品マップ化モジュール415はクライアント205に配置されてもよい。
【0030】
本発明のひとつの実施形態では、「収益を基本とする様式の分析」と呼ばれる外部取り組みを使用して要因に対する金融商品の公開を決定する。その取り組みは、それが金融商品へ内部ソースからのみ利用可能な情報を根拠にしているため、,形式的と呼ばれる。さらに正確にいえば、この実施形態では、以下にさらに説明するように、要因に対する金融商品の代表的な公開が簡単に金融商品の現実された収益に基づいて設定される。収益を基本とする様式の分析に関するより詳細な背景については、シャープ、ウィリアムF、「ファンドの有効資産混合」, インベストメント マネージメント レビュー、1988年12月、59〜69ページ (Sharpe, William F. “Determining a Fund’s effective Asset Mix”, Investment Management Review, December 1988, pp. 59−69)およびシャープ、ウィリアムF、「資産配分:管理様式および実績管理」, 雑誌ポートフォリオ マネージメント、(1988年冬号)12月、第2巻、7〜19ページ (“Sharpe、[1992]”)を参照。
【0031】
要因に対する金融商品の公開の決定への他の取り組みには取締り機関のある情報分野を介して金融商品(例えば、ミューチュアルファンド)に保有された基礎をなす資産を監視するステップと、標準分類方式(例えば、SICコード)に基づいて公開を分類するステップと、金融商品(例えば、エクイテイ指標オプション、または不動産担保証券)の構造に関する分析に基づいて要因公開を識別するステップと、金融商品の資産管理からの標的物ベンチマークに基づいて公開情報を得るステップが含まれる。各々の方法において、プロセスの主要機能は金融商品の実績を最も良く説明している要因公開の集合を決定することである。
【0032】
税金調整モジュール420は金融商品の税金関係およびユーザの金融循環を考慮に入れる。例えば、税金調整モジュール420は課税対象となる収入および保存を調整し、ならびに年金および定義した配当プラン、および高品質プランにおける投資からの繰延扱いされた税金からの早期配当に関連した今後の税金義務の設定方法を提供する。さらに、課税対象となる投資手段(例えば、証券会計)で保有された金融商品に対する収益は蓄積および配当両方に対する期待税効果を考慮に入れる。例えば、配当金収入に属しうる収益の構成部分はユーザの収入税率で課税される必要があり、かつ資本利得に属しうる収益の構成部分は保有期間に依存して適正な資本利得税率で課税される必要がある。
【0033】
それに加えて、税金調整モジュール420は例えば、金融商品管理の能動的または受動的性質、回転資本率、および金融商品の範疇を含む金融商品のひとつまたは多数の特性に基づいて資本利得に対する配当金収入による金融商品全収益の今後の構成部分を期待する。これによって金融商品および投資家の金融循環に基づいて特定税効果を取り入れる精度よい計算が可能になる。最後に、税金調整モジュール420は課税対象会計(例えば、証券会計)および非課税対象会計(例えば、個人退職勘定(IRA))、または雇用者に後援された401(K)の中の最適資産配分を決定することにより税金の効率的な投資を容易にする。この方法で、税金調整モジュール420はその特定ユーザの収入税率、資本利得比率、および使用可能金融商品を参照して特定ユーザに対す租税効果を期待する。 最終的に、各使用可能金融商品に対する税金調整モジュール420は税金調整後リターンおよび税金調整配当を提供する。
【0034】
ポートフォリオ最適化モジュール440はユーザおよび使用可能で実行可能な投資セットによって規定されたひと組の制約下で金融商品の最終最大化セットを算出する。
【0035】
ある実施形態では、計算は金融商品の平均−分散最適化に基づいている。ユーザによる制約アセットクラスおよび特定の金融商品保有またはそのいずれかに関する債権を含んでもよい。さらに、ユーザは最適化に取り入れる、住宅を購入しまたは子供に大学を卒業させるなどの中間目標を指定できる。いずれにしても、最適化は今後の拠出金および最適資産配分に関する期待引き出しのインパクトを明確に考慮に入れている。それに加えて、最適化中使用された要因共分散マトリクスが投資時間展望全体にわたって要因モジュール410によって発生した要因に対する期待リターンの予想に基づいて算出される。結果として、ポートフォリオ最適化モジュール440が中間拠出金および取り消しからの展望インパクトを含めて、異なる投資展望のインパクトを明確に考慮に入れている。
【0036】
シミュレーション処理モジュール430は未処理シミュレート収益シナリオをUIモジュール445を介してユーザに表示する統計に処理する付加的分析を提供する。本発明のひとつの実施形態では、これらの分析はある一定の目標または必要な期待時間を達成してある一定の確率である一定のレベルの資産に到達する確率などの統計を発生させる。シミュレーション処理モジュール430は比較的小さなサンプルにおける誤差をサンプリング することにより誘導された効果に対するシミュレートシナリオを調整する方法も取り入れる。シミュレーション処理モジュール430はポートフォリオ最適化モジュール440によって発生したポートフォリオシナリオとリアルタイムで相互作用する能力をユーザに提供する。
【0037】
年金化モジュール425は投資展望の期間の終了時にユーザの資産価値を表す意味のある方法を提供する。単にユーザに全見積り資産価値を表示するのでなく、ユーザへ情報を伝えるひとつの標準的方法は見積り資産価値を退職収入数値に変換することである。退職時の見積り資産価値は退職の期間により見積り資産価値を分割することにより退職の期間全体にわたって配当される。より複雑な技術は退職中見積り資産価値がどのくらい多く成長するかを決定することを含み、かつさらに、インフレーションの効果を考察する。ただし、いずれにしても、これらの取り組みは前もって知られている退職期間の長さを誤って仮定している。
【0038】
従って、ユーザの退職の持続時間に対する、確定される生存の実際の標準のより重要な代表値である退職収入数値をユーザに提供することが望ましい。ある実施形態によれば、この退職収入数値は保険会社から購入された実年金によって保証される、またはインフレーション指標財務省有価証券を含む取引方策を介して合成的にもたらされるインフレーション調整収入を表す。この方法では、退職期間の長さに係りなくユーザは明確な年間実収入を保証されるため、死亡の危険が図表から取り出される。退職収入数値を決定するには、保険会社によって使用された年金化の標準的方法が使用される。それに加えて、所定の年令、危険プロファイル、および性別についての個人に対する死亡確率は保険産業で使用された保険統計表に基づいている。より詳細な情報については、ボウワー、ニュートン L.Jr.,他、「保険統計数学」, 保険統計協会、1986年、52〜59ページ、および保険計理士協会グループ年金評価テーブルタスクフォース 「1994年グループ年金死亡率統計表および1994年グループ年金リザーブテーブル」、保険計理士協会雑誌、11,7巻、1994年、865〜913ページ(Bowers, Newton L. Jr., et al “Actuarial Mathematics”, The Society of Actuaries, Itasca, Illinois, 1986, pp. 52−59 and Society of Actuaries group Annuity Valuation Table Task Force, “1994, group Annuity Mortality Table and 1994 group Annuity Reserving Table” transaction of the Society of actuaries, XI, VII, 1994, pp. 865−913)を参照。インフレーション調整年金価値の値の算出には各種満期の実債権の適切な値を期待することが含まれる。価格決定モジュール405は投資展望でポートフォリオの暗示された実年金価値を算出するため使用された実債権の価格を発生する。
【0039】
次に、プランモニタモジュール450において、推奨ポートフォリオの特性を含む各種所定条件の発生についてユーザを警戒させる機構が設けられる。ポートフォリオ最適化モジュール440に依存するデータは一定に絶え間なく変化するため、例えば、ユーザに断定的な行為をとらせる必要がある場合ユーザが時期を得た方法で知らされるように、ある周期を基本として推奨ポートフォリオの特性を再評価することが重要である。ある実施形態によれば、プランモニタモジュール450は要因モジュール410に配置される。この方法では、プランモニタモジュール450はユーザポートフォリオおよびポートフォリオデータへの一定のアクセスを有する。
【0040】
ある実施形態では、2つの基本的な状態がプランモニタモジュール450にユーザへの通報または警戒を引き起こさせる。ユーザへの警戒を引き起こさせる第1の状態はその特定目標を達成する望ましい確率の所定許容差範囲外に当たる目標を達成する現行の確率である。代表的には、目標はある一定の退職収入または子供に大学を卒業させるためのある一定量の金銭などの金融上の目標である。それに加えて、たとえ金融上の目標を達成する現行確率が所定許容差範囲内であるとしても、プランモニタモジュール450は現行推奨ポートフォリオの効用の尺度が所定許容差レベル以下に落下した場合ユーザに警報を伝える。作成されるべき警報を引き起こす様々なその他の状態が考察される。例えば、現行推奨ポートフォリオの金融商品の性質がポートフォリオの危険がユーザのリスク許容度範囲外になるように変化してしまう場合、
ユーザがポートフォリオをリバランスしなければならないという表示をユーザは受け取ることができる。
【0041】
UIモジュール445は財務分析システム200と相互作用しかつ財務分析システム200からのフィードバックを受け取る手段をユーザにそれぞれ提供するためのデータ入力および出力用機構を提供する。本発明のひとつの実施形態により使用されるUIのさらに詳細な説明は、米国特許番号第5、918、217号に「財務分析システムに用いるユーザインターフェース」(U.S. Patent No. 5,918,217 ENTITLED “USER INTERFACE FOR FINANCIAL ADVISORY SYSTEM”)と題して開示されており、その内容は本明細書により参照資料として取り入れられている。
【0042】
年金モジュールおよび社会的有価証券モジュールなどのその他のモジュールは財務分析システム200に含まれる。年金モジュールは年金給付金および収入を期待するため設けられる。社会的有価証券モジュールは個人が退職の際に受け取る期待社会的有価証券収入の期待を提供する。期待は社会保障庁(SSA)によって使用された計算および給付金の現行レベルにおける低減のための配当確率に基づいている。
【0043】
ポートフォリオ最適化
ユーザの効用関数の値を最大値にするポートフォリオ最適化はひと組の金融商品を決定するプロセスである。ある実施形態によれば、ポートフォリオ最適化処理はユーザが2次の効用関数(即ち、平均−分散効用)によって合理的に近似された効用関数を有する、即ち、人々は概してより多くの財産を好みかつ財産の不安定さを嫌うということを前提にしている。この前提および所定リスク許容度に基づいて、ポートフォリオ最適化モジュール440はユーザにとって使用可能な金融商品の集合から平均−分散効率的ポートフォリオを算出する。上記に説明したように、ユーザによって定義された制約も最適化プロセスにより考慮に入れられる。例えば、ユーザは特定金融商品に配分されたユーザのポートフォリオのある一定の比率を有する要望を表示することができる。この実施例では、ポートフォリオ最適化モジュール440は、推奨ポートフォリオが全体としてユーザの制約を受け入れかつリスク許容度のユーザのレベルに対して最適になるように非制約金融商品間の配分を決定する。
【0044】
従来技術の平均−分散ポートフォリオ最適化は伝統的に問題を単一期間最適化として取扱いかつ最適化におけるパラメータとして最適化(期待リターンおよびリターンの共分散)すべき金融商品の単一期間特性のみを使用する。重要なことには、本明細書において説明した実施形態では、ロード金融商品のポートフォリオ最適化問題が、それが異なる投資展望のインパクトおよび中間配当および預金引き出しのインパクトを明確に考慮に入れるような方法で構成されている。さらに、問題はそれがQP法で解決されるが、しかし最適化のパラメータはそれらの単一期間の相手方から全く異質である多数の期間特性を有するように設定されている
【0045】
次に、図5を参照して、本発明のひとつの実施形態によるポートフォリオ最適化の方法を説明する。ステップ505で、最適化で考察される金融商品の集合に関する情報が受け取られる。特に、ユーザがそれらの現行ポートフォリオにおけるこれらの金融商品のいずれかを保有している場合、持株分のドル高が受け取られる。ステップ510で、期待された預金引き出しに関する情報が受け取られる。この情報にはドル高および期待預金の)引き出しのタイミングが含まれる。ステップ520で、今後の拠出金に関する情報が受け取られる。ある実施形態によれば、この情報はユーザの総リターンの比率として表現された貯蓄率の形式であり、あるいはまた、一定または可変ドル値がユーザにより指定される。
【0046】
ステップ530で、該当する投資時間展望に関する情報が受け取られる。退職プランに対して設計された政策では、例えば、時間展望がユーザの所望退職年令を表す。
【0047】
ステップ540で、ユーザのリスク許容度Tauに関する情報が受け取られる。
【0048】
ステップ550で、入手可能な金融商品の集合のひとつまたは多数の金融商品に関連したフロントエンドおよびバックエンドロードまたはそのいずれかを考慮に入れながら、平均−分散効率的ポートフォリオが決定されるある実施形態によれば、2次関数の値を最大値にするポートフォリオ比率を決定することにより時間Tで実際のドルで測定したような財産の期待効用がほぼ最大になる。この問題はQP法で解決される。
【0049】
まず、初期ポートフォリオが最適化問題を解決する開始点として認識される。代表的には、初期ポートフォリオは投資家によって指定されかつ入手可能な金融商品および投資家によって現行保有されている金融商品またはそのいずれかから成る。例えば、投資家が投資家の401(K)を最適化している場合、初期ポートフォリオがプランに現行保有されている金融商品になる。金融商品の初期集合は投資家が最適化ポートフォリオの一部として投資する金融商品すべてである。例えば、401(K)投資家が投資家の401(K)の中から選択する20の金融商品を有する場合、20のその集合が場合によっては投資家の401(K)のポートフォリオに配分される金融商品すべてを表す。金融商品の集合内の各ロード金融商品が、最適化期間全体にわたって債権を金融目的で買い取るようにロード金額によって調整された期待リターンを有する等価仮想ロード未支い金融商品としてかつ各ロード金融商品に対する今後の拠出金および預金の)引き出しを考慮に入れてモジュール化される。代表的には、仮想等価ロード未支い金融商品の調整後リターンは次のように発生する。所定保有期間はT時間間隔に分割され、時間間隔は1からTの整数によって明示される。間隔は通常、1年の期間に相当し、かつTは数年で測定したような保有期間の継続時間を表す。Rtがtth時間間隔でロード金融商品の単純リターンを表わすとすると、この期間の総リターンは定義によって(1+Rt)に等しい。調整された単純リターンΓt、その仮想ロードフリー等価物の単純リターンは、式
【0050】
【数1】
Figure 2004502210
によって与えられる。
【0051】
そして、 調整された単純リターンは(1+Γt)に等しい。式(1)において、変数γは調整値と呼ばれ、保有期間中リターン(R1、R2、...Rγ)の固定シナリオを与える。保有期間のすべての時間間隔全体にわたって同一であるということを前提にしている。ただし、調整値は代表的には、ひとつのシナリオから次のシナリオへ変化する。調整値を決定する式はロード金融商品の期末財産を等価ロードフリー金融商品の期末財産と等しく扱うことにより導かれる。この式は調整値に対して近似的に(数値的にまたは解析的に)解ける。調整値はロード、初期投資財産、拠出金および預金の)引き出し、保有期間、および保有期間中金融商品の無作為リターンのシナリオに依存する。従って、調整値はロード金融商品に関するリターンの無作為シナリオの集合に関する確率変数である。
【0052】
調整値γの近似表示を使用して、仮想等価ロードフリー金融商品のリターンΓtの統計的重要性が得られる。調整後リターンの期待値は平均−分散ポートフォリオ最適化のため使用される。確率変数Xの期待値はE[Γt]によって示される。ここで、期待値がロード金融商品の確率論的リターンを生成する無作為プロセスに関して計算される。E[Γt]の表現は式(1)から得られる。
【0053】
【数2】
Figure 2004502210
E[Γ]に対する近似値はモンテカルロシミュレーションを使用して計算される。
【0054】
2つの金融商品間リターンの共分散は平均−分散ポートフォリオ最適化にも使用される。2つの確率変数XおよびYの共分散cov[X、Y]はそれらの期待値のthe金融商品を差し引いたそれらの金融商品の期待値に等しい。ロード有りの2つの金融商品の共分散を考える。金融商品はAおよびBと明示され、RA,tおよびRB, によって表わされた未調整リターンを有する。対応する仮想ロード未支い金融商品のリターンはΓA,t、ΓB,tによってそれぞれ表わされ、式(1)によってそれらの調整値γおよびγによって定義される。未調整リターンの関数の共分散に関する 2つの調整後リターンの共分散が次の式により設定される。
【0055】
【数3】
Figure 2004502210
ここで、この共分の散基礎をなす期待はロード金融商品の確率論的リターンを生ずる無作為プロセスの両方に関するものである。共分散の近似値はモンテカルロシミュレーションを使用して数値的に計算される。
【0056】
好ましい実施形態では、それが保有期間によって分割された付加手数料パラメータと同じ大きさのものであるため、調整値γの大きさは1より小さく、代表的には数パーセント以下である。この場合、形式(1−γ)のいずれかの項が丁度値1によって十分近似される。この近似は統計的重要性に対する式を簡単化する。特に、調整後リターンの期待値に対する式(2)は
【0057】
【数4】
Figure 2004502210
に低下させる。
同様に、調整後リターンの共分散に対する式(3)は
【0058】
【数5】
Figure 2004502210
に低下させる。
【0059】
それ故、調整後リターンの共分散は未調整リターンの共分散にほぼ等しく、かつ後者は前者のため使用される。さらに、平均−分散最適化に関するロードの主要なインパクトが調整値によって期待リターンへもたらされることは明らかである。これらの近似はモンテカルロシミュレーションによって確認される。
【0060】
調整後リターンの調整値および統計的重要性を計算するプロセスをフロントエンドロードがパラメータλによって与えられた場合について次の式によって説明する。参照符合C1を間隔tthの始めの拠出金(預金の)引き出しは負の拠出金)とし、Wを金融商品における初期財産とし、かつΔWを保有期間の始めの初期財産に対するいずれかの変化とする。ロードλ付金融商品の期末財産は等価ロードフリー金融商品の期末財産と等しく扱って次の式を得る。
【0061】
【数6】
Figure 2004502210
ここで、X=max(χ、0)である。また(t、T)、時間tからTまでの間隔すべて全体にわたるロード金融商品の総リターンは式
【0062】
【数7】
Figure 2004502210
によって与えられる。
【0063】
ロードは財産の始まりの正の利潤および拠出金に際してのみ支払らわれるが、預金の)引き出しに際しては支払らわれないとが式(6)の左辺から観察される。
【0064】
説明を続ける。式(6)を使用することによりλの関数としてYの2項マクローリン級数展開の係数を評価することにより、ロードの一次関数として調整値に対する近似解析的表現が得られる。ロードがゼロに等しく設定される場合、式(6)を満足する調整値がゼロであることに留意されたい。式(6)に関する陰関数微分法の技術を使用してロードλに関する調整値γの導関数に対する式が得られる。この式はロードがゼロの場合の導関数の値をもたらす。これらの値を2項マクローリン級数に対する式に代入すると、調整値に対する次の近似が与えられる。
【0065】
【数8】
Figure 2004502210
この近似では2次およびより高次の累乗が無視される。実際のロードが10%より非常に小さいため、無視された項の大きさが1%より非常に小さい。
【0066】
調整後リターンの期待値はポートフォリオ最適化問題の特定の考察対象のものである。実例となる実施例の場合は、式(4)によって与えられた簡単化表現は有効であり、期待された調整後リターンは調整値の期待値を引いた期待された未調整リターンに等しい。期待調整値に対する値は数値的に計算されるが、ある実施形態では、リターンRtの分散が十分小さく、その結果、リターンRtの十分挙動した関数の期待値がE[Rt]の期待値eで評価された関数によって十分に近似される。この場合、式(4)および(8)は次の解析的式にまで簡単化する。
【0067】
【数9】
Figure 2004502210
【0068】
再び、これらの近似値がモンテカルロ技術(Monte Carlo techniques)を使用する試験によって確認される。等価ロードフリー金融商品のリターンの期待値がフロントエンドロード金融商品保有期間、初期財産、および今後および現行の拠出金および預金引き出しに対する収益の期待値、ならびにロードに依存することが式(9)から理解される。
【0069】
好ましい実施形態では、多数のロード(またはフリー)金融商品が一定の相対的財産比率でポートフォリオに組合される。ターゲットミックスと呼ばれるこれらの比率は商品を周期的に売却かつ購入してターゲットミックスの財産比率を達成することにより始めから終わりまでほぼ維持される。このような方策はコンスタントミックスと呼ばれ、その収益の分散によって測定されるようなポートフォリオの危険が始めから終わりまでほぼ一定している特性を有する。コンスタントミックス特性の調整後リターンを計算するプロセスでは、初期財産、財産の利潤、および拠出金が、次の式によって示されるように、全ポートフォリオ資産、拠出金、初期ミックス、およびターゲットミックスの関数として書き表わされる。
【0070】
【数10】
Figure 2004502210
【0071】
ここで、Wpは全ポートフォリオの始めの財産を表し、Wiはith金融商品の始めの財産であり、かつXciはith金融商品におけるポートフォリオ資産の始めの部分である。同様に、Xiはith金融商品の目標財産部分である。始めの部分と目標部分の合計は1に等しい。ith金融商品の始めの財産の利潤がΔWiである。初期拠出金または預金引き出しは最初の期間の始めに行われるため、全体としてポートフォリオに対する財産の増分は一般的な考えの喪失がなければゼロにとられる。最後に、Ci,tはith期間の始めでのith金融商品に対する拠出金(または預金引き出し)である。ひとつの近似として、この数量は目標部分の金融商品および全体としてポートフォリオに対する拠出金にとられ、Cp,iによって表わされる。この近似では周期的リバランス中金融商品間の財産の移転のため生ずるなんらかの増加する拠出金および預金引き出しは無視される。
【0072】
式(10)の式の使用をコンスタントミックスポートフォリオにおけるフロントエンドロードith金融商品に対する期待調整後リターンを計算することにより例証する。ith金融商品における収益、期待リターン、およびith金融商品のロードはそれぞれ
Ri,t、ei、=E[Ri,t]、およびλi
によって表わされる。対応する仮想ロードフリー金融商品の調整後リターンはΓi,tによって表わされ、かつ調整値を有する式(1)によって与えられる。式(9)において式(10)を使用しかつ項を再整理すると、調整後リターンの期待値に対する次の集合の式が得られる。
【0073】
【数11】
Figure 2004502210
ここで、パラメータδ及びPは次式により与えられる。
【0074】
【数12】
Figure 2004502210
【0075】
パラメータδ及びPは、それぞれ減額パラメータ及び違約金パラメータと呼ばれる。これらのパラメータは、手数料額、初期ポートフォリオ資産、将来及び現在のポートフォリオ出資及び回収、予想非調整利益、及び保有期間の関数である。減額パラメータδと目標構成xとの積は、出資を通じて現在進行中の手数料支払いによる期待リターンの損失をあらわす。違約金パラメータPと目標構成に対する初期構成‖x−x0,i‖を超える何らかの増し分との積は、初期構成から目標構成への財産の初期再精算による期待リターンにおける損失をあらわす。
【0076】
バックエンドロード付き金融商品についての調整後リターンの予想値に関する公式もまた、減額及び違約金パラメータについては違う式を用いるけれども、式(11)により与えられる。フロントエンド及びバックエンドロードの何れかが金融商品の保有量から現金を引き出すので、金融商品の調整後リターンが、非調整利益より大きくなることはない。したがって、減額パラメータは常に負でないことになる。この結果は、フロントエンドロードについて、式(12)の第1のものにより確かめられる。同様に、すべてのものが等しいと、手数料付き金融商品の追加購入はいずれも、製品における現在保有の上に利点を有することはない。したがって、違約金パラメータは常に負でないことになる。この結果は、フロントエンドロードについて、式(12)の第2のものにより確かめられる。
【0077】
式(12)から、ロード額λが0であるとき、δ及びPの双方が0に等しいこと、及び調整済み期待リターンが非調整期待リターンeに等しいことが分かる。したがって、ロード有り及び無し双方の製品を含む金融商品は、ロードフリー製品についてのロードを0に等しいとすれば、同一公式で取り扱うことが出来る。同様の所見は共分散項についても保たれる。
【0078】
ロードフリー金融商品のポートフォリオ各々についての期待リターン及びこのポートフォリオのメンバー間の共分散項が与えられると、ユーザの予想効用をほぼ最大にするには平均分散最適化を実行すればよいことは良く知られている。この問題は、2次プログラミング問題を生じる結果となる。その解は、多数の既知2次プログラミング技術のうち任意の1つを用いて追跡することが出来る。典型的な定常構成、ポートフォリオ最適化プログラムは、次のベクトルマトリクス型を有する。
【0079】
【数13】
Figure 2004502210
【0080】
式(13)において、上付き文字γは、ベクトル転置を意味する。パラメータτは規定リスク許容度パラメータ、xは目標構成のベクトル,eは期待リターンのベクトル、iは1のベクトル、lは目標構成の下限界のベクトル、uは上限界のベクトルである。ベクトルはすべて、ポートフォリオ用に考えている金融商品の数をNとするとき、N次元行ベクトルである。各ベクトルのi番目要素は、i番目金融商品に相当する。(N×N)共分散マトリクスCは、i番目とj番目との間の利益の共分散を、そのi番列でj番行にある要素として有する。1番目の式において、目的関数Φ(x)は、実現可能目標構成ベクトルxすべての集合から最適目標構成x*を計算することにより最大になる。この目的関数は、目標構成及びポートフォリオの期待リターン(eγx、xで線型)とポートフォリオの利益の分散(xγCx、xで2次)との組合せの2次関数である。2番目の式、実現可能性制約、は目標構成の要素の和が1に等しいことを要求する。この式は、予算制約と呼ばれる。限界により、投資家は自分のポートフォリオに保有することを望む金融商品の最小量及び最大量を明確にすることが出来る。投資家はまた、同じ明示量に対する上限界と下限界を設定することにより、保有する明示量を規定することが出来る。下限界についての一般的な値はゼロ、つまり空売り無しの制約である。上限界及び下限界は、お互いに関し、及び予算制約に関し、実現可能であると仮定する。
【0081】
典型的ポートフォリオ最適化の普通の一般化の1つは、ポートフォリオが、M個の口座を持ち、各口座に関する予算制約を持つことが出来るようにすることである。式(13)は、第2式を次の形のM個の式で置き換えることによりこの一般化のため修正された。
【0082】
【数14】
Figure 2004502210
【0083】
式(14)において、ベクトルijは、j番目口座にある金融商品に相当する要素については1を、その他にはゼロを有するN次元行ベクトルである。口座比率fjの値は与えられており、j番目口座に再配分されるべきポートフォリオ全財産の量をあらわす。口座比率の和は、一般的に1に等しい。単一の口座しかないとき、式(14)は、式(13)で示した以前の単式会計構成に戻ることに言及しておく。多数口座に伴う一般的ポートフォリオ最適化問題は、次の特性を有する。目的関数は、N個の決定変数(xの要素)の2次関数である。決定変数に対しては単純な上限界及び下限界がある(ベクトルl及びu)。実現可能な決定変数の集合の上には、正確にM個の等式(予算)制約がある。
【0084】
ロード金融商品に関するポートフォリオ最適化問題は、式(13)の目的関数Φ(x)とは本質的に異なる目的関数を有する。形式的に、この修正は期待リターンベクトルeを置き換えることにより、及びそれらのロード調整済み統計モーメントによる共分散マトリクスCにより得られる。共分散マトリクスに関しては除外して期待リターンに関してだけ手数料調整を含む好適実施例においては、定常構成ポートフォリオ最適化に関する目的関数は、次の形である、
【0085】
【数15】
Figure 2004502210
【0086】
式(15)において、N次元行ベクトルδ及びpは、それぞれ減額及び違約金ベクトルと呼ばれる。一般的に、これらベクトルは手数料額、保有期間、初期ポートフォリオ資産、ならびに現在及び将来のポートフォリオ出資及び回収に左右される。さらに、これらベクトルの要素は、負ではない。ブロック615の1実施例においては、これらベクトルの要素は、式(12)で与えられるフロントエンドロードに関する公式を用いて計算される。違約金項のため、目的関数は最早目標構成xの2次関数ではなく、また、x0、初期構成値のN次元行ベクトル、によって異なるなることに言及しておく。
【0087】
ロード金融商品に関するポートフォリオ最適化問題は、式(15)で示される形の非2次目的関数、式(14)で示されるの形の1つ以上の予算制約、及び式(13)の最後で示される目標構成に対する上限界と下限界を有する。2次プログラミングを回復させるため、決定変数に変更を行うことが出来る。1つの変更は、ポートフォリオの熟練者が見慣れたもので、次の式で定義される「買い」及び「売り」変数を導入することである。
【0088】
【数16】
Figure 2004502210
【0089】
式(16)において、「買い」変数bは、目標構成の部分で、任意の現在保有に加えて購入したものをあらわす。同様に、「売り」変数sは、目標構成の部分で、任意の現在保有から売却したものをあらわす。ベクトルb及びsの、以下の3つの特性は、式16及びベクトルxに対する上限界及び下限界に相当する。
【0090】
【数17】
Figure 2004502210
【0091】
最初の2つの特性は、b及びsの実現可能値に関する単純な限界である。下限界は、b及びsの要素を負でない値に制限することに注意。第3の特性は、相補性条件である。負でないとの制約と一緒に、この相補性条件は、bのj番目要素とsのうち少なくとも1つが0であることを要求する。この制約の経済的意味は、ポートフォリオの同一場所に関する同時の売却と購入を禁じるものである。式(16)の最後の特性は、x0、b、及びsであらわした決定変数の元のベクトルxについての公式である。
【0092】
【数18】
Figure 2004502210
【0093】
式(18)と、買い−売りベクトルの実現可能な対を用いて、目標構成ベクトルの実現可能値を構築することが出来る。詳細に言うと、b* 及びs* がプログラムに関するb及びsにおける最適実現可能ベクトルであるとすると、最適ポートフォリオ構成x* を計算することが出来る。
【0094】
買い及び売り変数を用いて2次プログラミングを回復するには2つの方法がある。これらの方法の両方で、式(15)の目的関数にあらわれる違約金項pγ‖x−x0‖は、式(pγ、b)で置き換えられる。加えて、b及びsは式(17)を満足することを要求される。第1の方法を使うと、目的関数におけるxの残りの存在、予算制約、上限界、及び下限界は、式(18)の右辺により置き換えられる。これは、単一限界を持つ2N個の決定変数、M個の線型等式制約(予算制約)、及び2N個の線型不等式制約(x上の単一境界)を持つプログラムを生じる結果となる。目的関数は、b及びsの2次関数である。第2の方法を使うと、xに関する代入はなく、3つのベクトルx、b、及びsはすべて式(18)により連結された決定変数のベクトルとして取り扱われる。これは、単一境界を持つ3N個の決定変数、及び(M+N)個の等化制約を持つプログラムを生じる結果となる。この場合、目的関数は、x、b、及びsの2次関数である。違約金ベクトルpは負ではないので、相補性条件は明確に強制する必要がないことを示すことが出来る。これは、分離可能プログラミングの領域からの結果である。この領域は、H.P.Williams著「Model Building in Mathematical Prpgraming」(数学プログラムにおけるモデル構築)、4版、1999年、ニューヨーク州ニューヨーク市、John Wiley & Sons社、に記述されており、ここに参照として組み込む。このように、両方法が2次プログラミングを回復する。
【0095】
好適実施例において、2次プログラミングは、決定変数の、趣を異にする明白とは言えない変更から回復された。決定変数のベクトルxは、次の式により定義される決定変数の2つのベクトルv、「免疫」変数及びw、「違約金」変数によって置き換えられる。
【0096】
【数19】
Figure 2004502210
【0097】
ベクトルmin[x,y](max[x、y])は、xiとyi、即ちベクトルxとyのi番目要素、の最小(最大)値に等しい。vは、下限界より上であることと手数料違約金項に対し免疫であることの両条件を満たす目標構成xの量を表し、wは、下限界より上で違約金項に従属する目標構成xの量を表すことに注意。ベクトルv及びwに関する次の3つの特性は、式(16)及びベクトルxに対するの最大及び最小限界に相当する。
【0098】
【数20】
Figure 2004502210
【0099】
最初の2つの特性は、v及びwの実現可能値に対する単純限界である。下限界は、v及びwを負でない値に制限することに注意。第3の特性は、相補性条件である。ここでも、この制約の経済的意味は、ポートフォリオの同一場所に関する同時の売却と購入を禁じるものである。式(20)の最後の特性は、l、v及びwであらわした決定変数xの元のベクトルについての公式である。
【0100】
【数21】
Figure 2004502210
【0101】
式(21)及び免疫−違約金ベクトルの対を用いて、目標構成ベクトルの実現可能値を構築することが出来る。詳細に言うと、v* 及びw* がプログラムに関するv及びwにおける最適実現可能ベクトルであるとすると、最適ポートフォリオ構成x* を計算することが出来る。
【0102】
免疫及び違約金変数は、手数料織り込みポートフォリオ最適化のための2次プログラミングを回復するため使用される。式(15)の目的関数にあらわれる違約金項pγ‖x−x0‖は、式(19)の2番目を用いてwの項で書かれる。式(21)で与えられるベクトルxについての表現を非違約金項に代入すると、v及びwの関数としての目的関数についての表現を生じる。
【0103】
【数22】
Figure 2004502210
【0104】
目的関数は、ベクトルv及びwの要素により与えられる2N個の決定変数の2次関数であることに気付く。項Φ0は、最適化に関しては定数なので、無視することが出来る。同様に、xは式(14)で与えられる多重口座予算制約から消去することが出来る。
【0105】
【数23】
Figure 2004502210
【0106】
さらに、式(22)により与えられるv及びwの限界が満足されると、xの限界は自動的に満足されることが分かる。ここでもまた、違約金ベクトルpは負ではないので、相補性条件は明確に強制する必要がないことを示すことが出来る。したがって式(22)及び(23)は、式(22)からの限界と共に、単純限界を有する2N個の決定関数とM個の線型等式制約で2次プログラミングを構成する。
【0107】
免疫−違約金決定関数に関しては2N個全部を使う必要はないことが分かる。i番目金融商品にロードがないときは、この製品に対応する違約金変数wiは、常にゼロに等しく設定し、問題から削除することが出来る。また、i番目金融商品がロードを有し、その下限界がその初期構成より大きいか等しいときは(li≧x0、i)、この製品に対応する免疫変数viは、常にゼロに等しいので、問題から削除することが出来る。これは、現在ポートフォリオに保有されていないが、購入を考慮している金融商品に関する場合である。同様に、i番目金融商品がロードを有し、その上限界がその初期構成より小さいか等しいときは(ui≧x0、i)、この製品に対応する免疫変数wiは、常にゼロに等しいので、問題から削除することが出来る。後者の2つの結果は、式(20)における単純限界の直接の結末である。
【0108】
免疫−違約金変数の使用には、買い−売り変数の使用より、2つの利点がある。第1の利点は、免疫−違約金構成は常に次元の小さくなることである。即ち、買い−売り構成のいずれよりも、制約の数が少ないか又は変数の数が少ないかのいずれかである。記憶量と計算時間は、変数と制約の数が増すにつれて大きくなるので、免疫−違約金変数の方が好ましい。
【0109】
2つの問題が同一形式であるときは、それらの解を計算するのに、同一コンピュータソフトウエアコードを使用することが出来る。2つの問題の次元、パラメータ値が違っており、したがって解が違っていても、それらは同じ型式であることが分かる。違いは、コンピュータソフトウエアコードの入力のための値と出力引数に違う値を記述することにより、扱うことが出来ることが分かる。定常項のない式(22)の目的関数は、式(13)のロードフリー目的関数と同じ型式のものである。さらに、式(23)で与えられる予算制約は、式(14)で与えられるロードフリー式に関する多重口座予算制約と同じ型式のものである。免疫−違約金2次プログラミングの2番目の利点は、それがロードフリーポートフォリオ最適化と正確に同じ型式を有するので、ロードフリーポートフォリオ最適化のため現在使われているのと同じ標準ソフトウエアコードを用いて実行することが出来ることである。
【0110】
免疫−違約金決定変数と類似の特性と利点を持つ決定変数の別の変形が存在することに言及しておく。ベクトルvとwの対が下限界lの項で定義されているので、明らかな等価物は、変数の対を上限界uの項で定義することである。上述の変形技術は、予算制約に加えて線型等式及び不等式制約を有するポートフォリオ最適化問題に対しても適用されることにもまた言及しておく。追加の制約はいずれも、予算制約と同じ精神で扱われる。
【0111】
好適実施例において、ポートフォリオに対する出資は、口座が異なると異なる。例えば、保有期間の間、ユーザのIRA口座には毎年2,000ドルの出資をしており、その人のSEP−IRA口座には毎年10,000ドルの出資をしていることがある。1つの口座から構成される定常構成ポートフォリオに関しては、式(10)を使って初期財産、財産の増し分、及びi番目金融商品に対する出資をモデル化する。各種出資率を有する多重口座に関しては、式(10)を、3番目の式の右辺にあるCp、tを(Kj, t/fj)で置き換えることにより、修正することが出来る。ここで、jはi番目金融商品を含む口座、fjはj番目口座の割合、Kj, tはt番目時間間隔の始まりにおけるj番目口座に対する出資をあらわす。このときロード金融商品に関する違約金及び減額の項は、式(9)とこれら修正式を用いて続く。
【0112】
代替実施例
前述の明細書においては、本発明の特定実施例を参照して本発明を記述した。しかし、これに対し、本発明の幅広い精神と範囲を逸脱することなく各種修正及び変更をおこなうことが出来るのは明らかである。明細書及び図面は、したがって、限定的感覚ではなく解説的なものと見なされるものである。
【0113】
例えば、ここに開示した実施例は、主として、入手可能な金融商品の集合の中の金融商品1つ以上がフロントエンドロードを伴う場合の、ポートフォリオ最適化の実行に関するけれども、本発明は、バックエンドロードを伴う金融商品1つ以上を含むポートフォリオ最適化、又はフロントエンドロードを有する金融商品1つ以上及びバックエンドロードを有する金融商品1つ以上を含む金融商品の集合を含む最適化、に対し同じく適用することが出来ることは理解される筈である。加えて、一定の実施例においては、ここで与えた教訓を、1つ以上のロード金融商品を含むポートフォリオの再精算に使用することが出来る。この場合、新規金融商品は何も入手可能にならないで、ポートフォリオ内に保有される各製品の相対割合のみが変更される。さらに、本発明の実施例を、ここでは金融商品に関して論じたが、本発明は金融商品の特殊型に限定されるものではない。本発明の実施例は、手数料又は手数料等価物を賦課する金融商品の任意の型に適用することが出来る。
【0114】
著作権表示
本明細書に含まれる資料は著作権保護されている。それは米国特許商標庁の特許ファイルまたは記録において表示されているため、著作権所有者は如何なる者による特許開示のファクシミリ再生に対しては異議はないが、その他の点ではいかなるものも著作権に対する全ての権利を保有する。
【0115】
本発明が実施例を通して説明されるが、実施例は、同様の参照番号が同様の要素を指している添付図面の形状で制限を目的としているものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】ひと組の金融商品から形成される実現可能な集合のポートフォリオを示す図である。
【図2】本発明のひとつの実施形態による財務分析システムを示す図である。
【図3】本発明のひとつの実施形態が実装されるコンピュータシステムの実施例の図である。
【図4】本発明のひとつの実施形態による財務分析システムの模範的な分析モジュールを説明する簡単化ブロック図である。
【図5】本発明のひとつの実施形態によるポートフォリオ最適化を説明するフロー線図である。

Claims (19)

  1. 金融商品1つ以上に関する推奨ポートフォリオを選択する方法であって、
    金融商品の集合のロードベアリング金融商品毎に関し、所定の保有期間と、ロードベアリング金融商品における現在保有高と、ロードベアリング金融商品に対する将来の出資又は回収の予想に関する情報と、各ロードベアリング金融商品の期待リターンと、各ロードベアリング金融商品に関わる手数料額とに準拠して、調整後リターンを決定するステップと、
    金融商品の集合から各種の比率で、各ロードベアリング金融商品の調整後リターンとロードベアリングのない各金融商品の期待リターンとに準拠して、金融商品1つ以上に関する推奨ポートフォリオを作成するステップとからなる方法。
  2. ユーザのリスク許容度を示すリスクのレベル1つ以上をユーザが指定し、推奨ポートフォリオを作成する前記ステップが、更にユーザのリスク許容度に準拠している請求項1の方法。
  3. ポートフォリオを作成する前記ステップが、更に金融商品の集合に関する利益の共分散に準拠している請求項1の方法。
  4. 効用関数がポートフォリオの期待リターンと利益の分散との線型結合により適切に近似される場合に、前記ポートフォリオを作成するステップが、ポートフォリオからの効用の期待値を最大にするロードベアリング金融商品とロードフリー金融商品との比率を決めるため2次プログラミング技術を使うステップを含む請求項3の方法。
  5. リスクのレベルが、市場状態の変化に対応する金融商品又はポートフォリオの金銭価値における予想変動率の指標に一致する請求項2の方法。
  6. 金融商品1つ以上のポートフォリオを再配分する方法であって、
    ポートフォリオがロード金融商品を含むか否かを決定するステップと、
    ポートフォリオに現在含まれているロード金融商品の相対量に関する比率を、第1項がポートフォリオに現在含まれているロード金融商品部分の比率をあらわす既知値であり、第2項が推奨ポートフォリオを作るためポートフォリオから売却されるロード金融商品部分の比率をあらわす変数であり、第3項が推奨ポートフォリオを作るためポートフォリオと入手することの出来る金融商品の集合とから購入されるロードベアリング金融商品部分の比率をあらわす変数である3つの項に分解するステップと、
    入手することの出来る金融商品の集合の各ロード金融商品とポートフォリオ内に含まれる各ロード金融商品とに関する調整後リターンを、所定の期間と、各ロードベアリング金融商品の期待リターンと、各ロードベアリング金融商品に関連する手数料額とに準拠して、決定するステップと、
    入手することの出来る金融商品と、ポートフォリオ内のロードベアリング金融商品1つ以上とから、所定の時間と、各ロードベアリング金融商品における現在保有高と、各ロードベアリング金融商品に対する将来の出資又は回収の予想に関する情報と、ロードベアリングでない各金融商品の期待リターンとに準拠して、金融商品1つ以上の推奨ポートフォリオを作成するステップとからなる方法。
  7. 推奨ポートフォリオに保有することを提案されたロード金融商品の相対量に関する比率が、第1項は推奨ポートフォリオに獲得することを推奨されるロード金融商品の最小/最大部分をあらわす指定の下限界/上限界比率であるロード金融商品部分の既知部分であり、第2項は下限界/上限界比率より上/下であり初期ロード額に対し免疫であるロード金融商品の部分をあらわす変数であり、第3項は下限界/上限界比率より下/上であり初期ロード額を条件とするロード金融商品の部分をあらわす変数である、3つの項に分解される請求項6の方法。
  8. 推奨ポートフォリオに関連する第1項が、ロード金融商品のユーザ指定の最小又は最大許容部分に準拠する請求項7の方法。
  9. 効用関数がポートフォリオの期待リターンと利益の分散との線型結合により適切に近似される場合に、新ポートフォリオを作成する前記ステップが、ポートフォリオからの効用の期待値を最大にするロードベアリング金融商品とロードフリー金融商品との比率を決めるため2次プログラミング技術を使うステップを含む請求項6の方法。
  10. 新ポートフォリオを作成する前記ステップが、更に金融商品の集合に関する利益の共分散に準拠している請求項9の方法。
  11. ユーザのリスク許容度を示すリスクのレベル1つ以上をユーザが指定し、前記推奨ポートフォリオを作成するステップが、更にユーザのリスク許容度に準拠している請求項9の方法。
  12. 金融商品1つ以上のポートフォリオを再配分する方法であって、
    金融商品1つ以上の各ロード金融商品を、少なくともロード部分とロード無し部分との項でモデル化するステップと、
    各ロード金融商品について、各ロード金融商品の期待リターンと、所定の保有期間と、各ロード金融商品おける現在保有高と、各ロード金融商品への将来の出資又は回収の予想に関する情報と、各ロード金融商品に関連する手数料額とに準拠して、調整後リターンを計算するステップと、
    調整後リターンと、期待リターンとに準拠して、ポートフォリオを再配分するステップとからなる方法。
  13. 金融商品選択の方法であって、
    金融商品の集合のロード金融商品について、ロード金融商品に適用される手数料を計上するためロード金融商品の運用成績を説明する複数の調整後リターンを計算するステップと、
    最適のポートフォリオにある他の金融商品の各ロード金融商品を、少なくとも、その運用成績が複数の期待リターンの結合期待リターンの項で説明されたロード部分と、その運用成績が複数の調整後リターンの結合調整後リターンの項で説明されたロード無し部分との項で、モデル化するステップと、
    金融商品のポートフォリオ1つ以上を金融商品の集合から各種の比率で、手数料の掛からない金融商品の集合の複数の期待リターンと、無手数料部分の期待リターンと、金融商品のグループのロード金融商品の調整後リターンと、ロード部分の調整後リターンとに基づいて、作成するステップとからなる方法。
  14. ユーザのリスク許容度を示すリスクのレベル1つ以上をユーザが指定し、推奨ポートフォリオを作成する前記ステップが、更にユーザのリスク許容度に準拠している請求項13の方法。
  15. 金融商品のポートフォリオ1つ以上を作成する前記ステップが、金融商品と、ロード金融商品のロード部分と、ロード金融商品のロード無し部分との組合せを、所定のレベルのリスクに関して最高期待リターンを有する各種の比率で決定するため、2次プログラミング技術を使うステップをさらに含む請求項14の方法。
  16. 金融商品のポートフォリオ1つ以上を作成する前記ステップが、さらに金融商品の集合に関する共分散情報に準拠する請求項13の方法。
  17. 各ロード金融商品をモデル化する前記ステップが、他の金融商品のロードベアリング金融商品少なくとも1つを、そのうち1つは金融商品の各々が最適ポートフォリオに拠出すべき最大又は最小部分をあらわす3つの項の和としてあらわすステップをさらに含む請求項13の方法。
  18. 一連の命令をあらわすデータをその上に記憶した機械読取可能媒体であって、その命令をプロセッサが実行したとき、プロセッサが、
    入手することの出来る金融商品の集合の各ロードベアリング金融商品について、所定の保有期間と、ロードベアリング金融商品おける現在保有高と、ロードベアリング金融商品に対する将来の出資又は回収の予想に関する情報と、各ロードベアリング金融商品の期待リターンと、各ロードベアリング金融商品に関連する手数料額とに準拠して、調整後リターンを決定し、
    金融商品1つ以上に関する推奨ポートフォリオを、入手することの出来る金融商品の集合から各種の比率で、各ロードベアリング金融商品の調整後リターンとロードベアリングのない各金融商品の期待リターンとに準拠して、作成する、
    媒体。
  19. プロセッサと、
    実行されたときプロセッサに
    金融商品の集合のロード金融商品について、ロード金融商品に対し適用される手数料を計上するためロード金融商品の運用成績を説明する複数の調整後リターンを計算し、
    最適ポートフォリオの中の他の金融商品の各ロード金融商品を、少なくとも、その運用成績が複数の期待リターンの結合期待リターンの項で説明されたロード部分と、その運用成績が複数の調整後リターンの結合調整後リターンの項で説明されたロード無し部分との項であらわし、
    金融商品のポートフォリオ1つ以上を金融商品の集合から各種の比率で、手数料の掛からない金融商品の集合の複数の期待リターンと、無手数料部分の期待リターンと、金融商品のグループのロード金融商品の調整後リターンと、ロード部分の調整後リターンとに準拠して、作成させる、
    命令を含むコンピュータ読取可能媒体と、
    を含むコンピュータシステム。
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