JP2004501322A - シールアセンブリ - Google Patents
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Abstract
Description
【開示内容の背景】
1.関連出願の相互参照
本出願は、4件の同時係続出願の恩恵を享受することを請求しており、該同時係続出願の内容は参照により本出願に組み込まれる。優先権主張の基になっている4件の出願とは次の通りである。2000年4月13日付出願のGB0013481.4、2000年5月4日付出願のGB0013480.9、2000年9月9日付出願のU.S.60/232,148、2000年10月18日付出願のU.S.60/241,497である。
【0002】
2.技術分野
本開示内容は、順次係合可能なシールを有する有利なシールアセンブリ(封止装置)もしくはシステムに関し、特にリップシール部材(lip seal members)が、バリヤ部材との間の相対運動により、例えば回転及び/又は往復動シャフトのような運動部材と順次係合するのを可能とする交換式封止装置もしくはシステムに関するものである。
【0003】
3.背景技術
流体取扱機械においては、封止装置又はシールカートリッジが一般に使用されており、これは、流体取扱機械のケース又は本体を貫通する回転又は往復動シャフトの周りを囲んで、同流体取扱機械のケース又は本体を封止している。この封止装置は、固定ハウジングもしくはパッキン押えに装着されたリップシールを含むのが一般的である。パッキン押えは、流体取扱機械のケース又は本体にボルト締めされている。リップシールは、固定ハウジングから半径方向に延びて、シャフトの回転又は往復動境界線に圧接され、即ち、同シャフトに固定されたシャフトスリーブに押し付けられる。このような封止装置は、例えば、ポンプケース中へのシャフト貫入部のところで用いられ、シャフト貫入により形成された接合部の周りの圧送プロセス流体の漏洩を防止している。
【0004】
運転中、リップシールは、磨耗のために有効寿命が限られている。有効寿命の末期には、固定リップシール及び回転もしくは往復動シャフト間の境界面に漏洩傾向が発現してくることになる。漏洩が確認されると、一般的に流体取扱機械の運転を終了させなければならず、また、リップシールを交換するために少なくとも部分的に封止装置を分解しなければならない。このような分解及び保守には時間が掛かると共に、費用が掛かることになる。その上、リップシールの交換のため、運転停止時間に相当な費用を要することになる。
【0005】
封止装置の特性を向上させ、所要の保守から保守までのサービス期間を長くするために、種々の提案がなされてきた。例えば、ドーブル(Doble)に付与された米国特許第2,836,441号に開示されたシャフト封止装置において、シャフトは、円錐表面を含んでおり、シールは、該シャフトに沿って軸方向に位置を変えることができ、封止装置が磨耗を受けるときに、これらシール及びシャフト間の良好な係合を実現している。ブラーチャ(Blachere)等に付与された米国特許第3,698,724号において、溝内に配置された一連の膨張式シールを含む封止装置が開示されている。個々の膨張式シールが破損すると、同シールは移動してシャフトとの係合から外され、残りのシールが所要の封止機能を果たすことになる。
【0006】
また、複数のシール部材を含み、該シール部材が、例えば個々のシール部材が擦り減るか破損するときに、シャフトと異なる個所でちょうどよい時点で接触状態にされる封止装置の開発に種々の努力が向けられてきた。例えば、マックユーウェン(McEwen)に付与された米国特許第3,727,923号は、ガータスプリングが第1位置から第2位置に位置変更され、第1位置において、ガータスプリングが第1シールを偏倚してシャフトと接触させ、第2位置において、軸方向に離間した第2シールを偏倚してシャフトと接触させる「二重生活(ダブルライフ)」の封止装置を提供している。このマックユーウェンの米国特許第3,727,923号は、所定レベルの磨耗後にガータスプリングを上述の第1位置から第2位置に自動的に移動させるシステムを提供している。
【0007】
また、この特許文献は、2つ以上のシール部材がシャフトに沿って軸方向に離間されており、個々のシール部材が適切な時点でシャフトと接触するように軸方向に位置調整される幾つかの封止システムについても記載している。ウォルター(Walter)等に付与された米国特許第3,773,336号には、予備のシール部材がシャフト(或いは関連のブッシング)にある凹部に最初位置決めされており、必要になるまで又は要望があるまでシャフトとの係合を避けている、封止システムが開示されている。予備のシール部材は、シールホルダ又はシャフト/ブッシングを軸方向に位置調整することにより、シャフトと接触状態になり得るようにされている。同様に、ウェントワース(Wentworth)に付与された米国特許第4,008,897号には、最初に環状チャンバに延入する、即ち、シャフトと係合していない予備シールリングが記載されている。シャフトとの係合を行うための予備シールリングの軸方向位置調整は、水力学的に加圧されるシステムを通じて行われている。
【0008】
また、マーノット(Marnot)への米国特許第5,820,132号、第6,098,990号及び第6,152,454号は、シャフトに形成された引込め領域の近くに予備シールが最初配置されている封止システムを記載している。この予備シールが、例えばねじジャッキ又は流体圧力の環状ジャッキを使用してシャフトとの係合状態となるように、軸方向へ位置調整されるときに、置換されたシールはシャフトに形成された引込め領域の近くに移動され、即ち、シャフトとの係合から外される。マーノットの特許は更に、漏洩検出器によりシステムの作動を監視し、予備シールをシャフトとの係合状態に移動させる(又は予備シールをシャフトとの係合状態に手動で移動させることができるオペレータに信号を送る)制御システムを企図している。
【0009】
今日までの種々の努力にもかかわらず、信頼性のある、効果的な封止機能を提供し、耐用作動期間を延ばし、しかも保守による不作動期間を最小にする封止システム構造に対する必要性が依然として存在する。更に、使用サイクルの過程を通じてシステムの作動及び機能の改善を実現する封止システム構造に対する必要性が依然として存在する。これらの必要性及びその他の必要性はここに開示された封止システムによって満たされる。
【0010】
【開示内容の概要】
本開示内容は、複数のシール部材を含み、各シール部材が、例えば往復動又は回転シャフトである運動部材に係合するためのシールリップを典型的に含む、封止装置を提供している。最初のシール部材が磨耗するか機能不良になった場合、開示された封止装置は、前に係合されていて磨耗するか機能不良になったシールリップに取って代わり及び/又は補完して別途のシール部材(単数又は複数)を順次配備につけることを容易にするものである。本開示内容の好適な実施例において、封止装置は、シール部材を順繰りに配備するための自動機構を含んでいる。開示された封止装置は、バックアップ用シール部材が必要なときに、回転しているか或いは往復動しているシャフトに当接配備されるだけであることを確実にし、それにより、バックアップ/交換/補充の封止が必要ではない時期の間、シールリップに作用する不必要な磨耗を防止している。
【0011】
本開示内容の第1の好適な側面によると、例えば、リップシール又はシールリングである複数のシール部材は、シャフトの軸心に沿って離間して配設されている。これらのシール部材は、固定のハウジング又はカートリッジに装着されていると共に、シャフトに向かって半径方向に延びている。当該シール部材は、第1のリップシールと、1つ以上のバックアップ用リップシールとを含んでいる。シャフトは、随意であるが、当該シャフトに固定されるシャフトスリーブを含んでいてもよい。例えば、バリヤスリーブであるバリヤ部材は、最初、シャフト(又はシャフトスリーブ)とバックアップ用リップシールとの間に介在している。必要なとき、例えば漏れが検出されたとき、バリヤスリーブは、バックアップ用リップシールを順次解放するために軸方向の外方へシフトされ、解放された各バックアップ用リップシールを回転もしくは往復動するシャフト(或いはシャフトスリーブ)に向かって或いは対してある半径方向長さで封止圧接させている。前に配備されたシール(単数又は複数)は、使用済みであるにもかかわらずシャフトに取り付けられたままであって、従って、ある限られた予備的封止効果をもたらし、かかる各使用済みシールにより惹起される圧力降下のため、この予備的封止効果は、より一層容易に、最後に解放されたシールの寿命を長くするのに役立つものである。
【0012】
本開示内容の別の好適な側面によると、例えばバリヤスリーブであるバリヤ部材を含む封止装置が提供されている。バリヤスリーブは、環状ピストンと相互に作用する、或いはこの環状ピストンを画成しており、当該環状ピストンは、その一端に加えられる液圧、例えばバリヤスリーブの一端に加えられる圧力により移動されるようになっている。このような圧力の付加によりバリヤスリーブは外方へ移動され、シャフトもしくはシャフトスリーブとの係合のため、バックアップ用シールリップを順次解放している。
【0013】
本開示内容の別の好適な側面によると、検知機構が設けられており、封止装置に対する漏れ、例えば1つ以上のリップシールに対する漏れを検知している。例えば漏洩検出器により自動的にリップシールからのプロセス流体の漏洩が検知されるときに、漏洩検出器からの信号に応答する自動装置が設けられていることが有利である。この自動装置は、バックアップ用リップシールをシャフト上にもしくはシャフトに当接して配備するのに概して効果的である。
【0014】
本開示内容の別の好適な側面によると、その外側寄りの端部でO−リング式シールを支持するバリヤスリーブが設けられている。O−リング式シールは、通常、シャフトもしくはシャフトスリーブに直面している。シャフトもしくはシャフトスリーブは、通常、O−リング式シールとシャフトもしくはシャフトスリーブとの間に隙間を許容する凹部を含んでいる。開示された封止装置が全てのリップシールを配備した後、シールを適用できなくなると、流体取扱機械は運転停止することが可能となり、シャフトもしくはシャフトスリーブは係合から外れて運転停止位置に対し内方へ滑動することができる。この運転停止位置において、O−リング式シールは、シャフトもしくはシャフトスリーブにしっかりと当接して封止するものである。注目すべき点は、通常、シャフトスリーブがこの位置でシャフトにきつく締め付けられることである。従って、流体取扱機械はこの位置で作動できないが、流体取扱機械が他の機械に接続されると共に、封止装置の修理を行うために流体的に隔離されていなければ、封止装置は、後からのもっと都合の良いときに修理することができ、即ち、封止装置は遊休機械のところで固定流体シールを維持することになる。
【0015】
本開示内容による幾多のその他の利点及び特徴は、以下の詳細な説明及び実施例、特許請求の範囲、また添付図面から容易に明らかとなろう。
【0016】
本開示内容の要旨が属する技術分野の当業者が、本開示内容の封止装置をどのように構成し使用するのかについてより容易に理解するように、添付図面とその詳細説明とを参照するのがよい。
【0017】
【好適な実施例の詳細な説明】
開示された本発明は、種々の異なる形態で実施可能であり、図面にはその特定の実施例が示され、ここで詳細に説明されているが、この開示内容は、本発明の原理を例証するものと考えるべきであり、本発明を図示の特定実施例に限定することを意図するものではないと理解されたい。以下の実施例は、回転シャフトの適用例に関して記載されている。しかし、開示されている封止装置は、バルブステムや往復動ポンプのような線形運動シャフトについても同様に適用され得る。
【0018】
図1は、事前組立(プリアセンブル)した非作動状態で最初にシャフト24を取り囲む封止装置もしくはシールカートリッジ20を例示している。この封止装置20は、ハウジングもしくはパッキン押え28と、シャフトスリーブ30と、複数のリップシール34と、バリヤスリーブ36とを含んでいる。シャフト24は、ハウジング28に対して回転するようになっている。シャフトスリーブ30は、シャフト24と共に回転するようになっている。バリヤスリーブ36及びリップシール34は、ハウジング28に対して固定されている。シャフトスリーブ30は、シャフト24を取り巻いてしっかりと嵌合されていると共に、ねじ穴42にねじ込まれる複数の円周方向に離間した止めねじによりシャフト24に固定されている。O−リング48は、シャフト24及びシャフトスリーブ30間をシールするものである。
【0019】
バリヤスリーブ36は、バリヤシリンダ56に接続された環状ピストン52を含んでいる。バリヤシリンダ56は、プロセス流体や使用条件により左右されるが、316SS(ステンレスクラッド鋼)から構成することが可能であり、0.004〜0.010インチ(0.01016〜0.0254センチ)間の壁厚を有するような比較的に薄肉のチューブとすることができる。ピストン52は、外側にあるO−リング60によってパッキン押え28に対して封止されている。内側にあるO−リング64は、シャフトスリーブに押し付けられている。内側にあるO−リング64の機能については後から説明する。別のO−リング66はバリヤシリンダ56をパッキン押え28に対して封止している。
【0020】
リップシール34は、内側もしくは一次のシールリップ72と、中間のバックアップ用シールリップ74と、外側のバックアップ用シールリップ76とを含んでいる。中間及び外側のリップシール74,76は、シャフトスリーブ30の外側に、又はシャフトスリーブ30から離れて、即ち、シャフトスリーブ30と接触しない状態で保持されるべく、バリヤシリンダ56上に支持されている。内側のリップシール72は、シャフトスリーブ30の外周面と封止接触している。パッキン押え28は、入口ポート82を含んでおり、該入口ポート82は通路84を介して、環状ピストン52の後方で、環状チャンバ86(図3に示す)に連通している。
【0021】
図2は、シャフト上で最終組立の状態にある封止装置20を示している。パッキン押えを機械ケース(図示せず)に一旦取付けてパッキン押えのボルトを締め付ければ、シャフトスリーブ30は、図2に示すように、外方に延長させてシャフトに固定させることができ、使用可能な状態となる。
【0022】
シャフトスリーブ30は、図2の位置において、内側にあるO−リング64とシャフトスリーブ30との間に隙間を形成する環状の凹部92を含んでいる。この凹部92は、代表的には約0.025インチ(約0.0635センチ)の深さである。該凹部は、バリヤシリンダ56及びO−リング64間でシャフトスリーブ30との干渉がないことを保証するものである。さらに、この隙間は、シャフトスリーブ上への物質即ち堆積物の生成によるバリヤスリーブの運動の妨害を回避するのに役立っている。シャフトスリーブ30は、60〜70ロックウェルC硬度で6〜8マイクロインチ(15.24〜20.32マイクロセンチ)の表面仕上げを有する酸化クロム表面を備えて製作されるのが典型的である。
【0023】
本開示内容によると、ピストン52は、最も外側の作動リップシール、即ち一次リップシール72又は第1のバックアップ用リップシール74のどちらかにおいて、一旦漏洩が検出されたら、リップシールをシャフトスリーブ30に続けて加えるために作動されるのが有利である。この構成において、磨耗したリップシール(単数又は複数)は、初期の漸増抵抗をもたらして漏洩流のないように役立たせるのが有利である。図3及び図4は、ピストン52が作動されるときのバリヤスリーブ36の運動を例示している。
【0024】
図3に示すように、ピストン52を右方へ強制して環状チャンバ86の大きさを増すために、加圧流体即ち、ガスをポート82及び通路84から環状チャンバ86に導入させることができる。ピストン52が右方へ移動することにより、バリヤスリーブ36はバリヤシリンダ56を右方へ引っ張り、中間のリップシール74の内側から滑り出させるので、同バリヤシリンダ56は中間のリップシール74との接触もしくは係合から抜け出ることになる。従って、バリヤシリンダ56は、中間のリップシール74とシャフトシリンダ30との間にもはや介在しないことになる。中間のバックアップ用リップシール74は、弾性的に半径方向の内方に復帰して、シャフトスリーブ30の外周面に当接し、同外周面に対して封止係合を行っている。
【0025】
バリヤスリーブ36が唯1つのリップシール単位の増分で移動するのを確実にするため、好ましくは液体である制御された量の加圧流体を流体源Cにより噴射して、ピストン52をO−リング60によりもたらされる抵抗に抗して予め設定された量もしくは距離だけ移動させるのがよい。ピストン52の移動に対し抵抗を行う、例えば、一連のデテント即ち戻り止めのような他の装置もしくは構造配列も使用することができる。或いは、位置センサ又はその他の装置を使用して、バリヤスリーブの正確な移動を制御することができる。流体源Cは、制御された量の分配を可能とするように較正済みの既知の速動型(fast−acting)ソレノイド作動ゲートと考えてよい。ソレノイドは、近くで又は離れて、手動で又は自動的に(例えば漏洩検出器に基づいて)作動されるのが有利である。
【0026】
漏洩が中間のリップシール74を通して進展すれば、ピストン52をもう一度移動させ得ることになる。制御された量の加圧流体がポート82及び通路84を介して環状のチャンバ86内に導入され、ピストン52を移動させる。図4は、右方に完全にシフトされてスラストリング96に当接したバリヤスリーブ36を示しており、該スラストリングはパッキン押え28の溝97内に保持されている。この位置において、バリヤシリンダ56は、外側のバックアップ用リップシール76の直下から抜け出してしまっており、今度は、リップシール76がシャフトスリーブ30の外周面に封止圧接して同外周面に対し封止することになる。
【0027】
シャフトスリーブ30の外径及びバリヤスリーブ36の内径は、それらの間に約0.020インチ(0.010インチの径方向隙間)の差を有しており、この差は、取付け中、シャフト及び封止装置20の間に中央集中性及び同心性が維持されることを保証するものである。この中央集中性は、典型的な機械シールカートリッジで使用される集中化クリップ(centralizing clips)の作用に機能的に対応している。
【0028】
このバリヤシリンダ56は、0.007インチ(0.01778センチ)の径方向厚さを有するのが代表的である。従って、バックアップ用リップシール74,76は、バリヤシリンダ56の介在、例えば、約0.034インチ(約0.08636センチ)の増大内径の存在により、半径方向に引っ込められている(予負荷される)。バリヤシリンダ56がシフトされてこれらバックアップ用リップシールを配備につけるときに、プロセス流体圧力と同様に、この予負荷は、シャフトスリーブに対するバックアップ用リップシール(単数又は複数)の迅速な係合を総じて保証するものである。
【0029】
図5は、全てのリップシールが損傷した典型的な状況を示している。この状況においては、シャフトでの回転が止まり、即ち、流体取扱機械が運転停止している。シャフトスリーブ30は、内方に移動して、エラストマーであるO−リング64によるシャフトスリーブ30の環状表面102に対する封止が行われ、プロセス流体が大気へ漏れないように隔離することができる。流体取扱機械はこの封止された運転停止状態でアイドリングすることができる。その後、封止装置20は次の都合の良い時期に修理もしくは交換することができる。この手順は、流体取扱機械が冗長流体取扱機械と共に、修理を行うために個々の流体取扱機械を隔離する手段なしに、流体回路に設けられているときに、特に効果的である。この封止された運転停止状態は、次の流体回路の計画運転停止まで、さもなければ漏洩している流体取扱機械を運転することなく、流体回路を作動可能なままにしておくことを許容するものである。
【0030】
図6は、本開示内容による別の実施例を例示している。封止装置120は、この説明及び/又は図面に記載した点を除いて、上述した第1の代表的実施例、即ち、封止装置20と同一である。この封止装置120は、事前組立の非作動状態で描かれている。この代替の代表的実施例において、バリヤスリーブ136は、第1実施例の外側のO−リング60を含むが、内側のO−リングを含んでいない。代わりのパッキン押え128は、シャフトスリーブ30が図10に示すように引込み位置にあるときに、同シャフトスリーブ30の外面132に当接し封止することができる内側のO−リング130を含んでいる。このパッキン押え128は、その環状壁143を貫いて螺着された1つ以上のねじ式ストッパピン142と、ストッパリング144とを含んでいる。
【0031】
図7は、シャフトスリーブ30がシャフト(図示せず)に固定されるべく外側(右方)に延びた、組立作動状態にある封止装置120を示している。O−リング130は、覆われておらず、伸張している。
【0032】
図8は、ストッパピン142に接触するまで外方(右側)にシフトされたバリヤスリーブ136を示している。ストッパピン142の位置は、中間のリップシール74の直下から退出されているバリヤシリンダ156の位置に対応している。即ち、バリヤシリンダ156は、中間のリップシール74とシャフトスリーブ30との間にもはや介在していないことになる。中間のリップシール74は、自動的に伸張しており、即ち、その先行装着状態から装着状態に弾性的に戻り、シャフトスリーブ30に圧接するか或いは封止係合するようになっている。ストッパピン142は、所要のときまで、バリヤスリーブ136が外側のリップシール76のような更なるリップスリーブを露出するのを防止するものである。
【0033】
その後、漏洩が進むと、図9に示すように、ストッパピン142を壁体143から緩めることにより取り外すことができる。それから、バリヤスリーブ136を図9に示す位置にシフトし、該位置においてバリヤスリーブ136をストッパリング144に接触させることが可能となる。この位置は、バリヤシリンダ156が外側のリップシール76の直下から既に抜け出してしまっている位置に対応している。一旦バリヤシリンダ156が外側のリップシール76とシャフトスリーブ30との間にもはや介在しなくなると、リップシール76は自動的に伸張し、即ち、その先行装着状態から装着状態に弾性的に戻り、シャフトスリーブ30の外表面に圧接するか或いは封止係合することになる。
【0034】
その後、漏洩が再度進展してくると、流体取扱機械は停止され、図10に示すように、シャフトスリーブ30は、シャフト(図示せず)から解放されて、環状表面132がO−リング130に当接封止されるまで、左方に引っ込められる。次いで、シャフトスリーブ30はシャフトにしっかりと固定されることが可能となる。この封止された運転停止状態では、シャフトの運転を許容しないが、封止装置120は、都合良く修理したり、交換したり、或いは適切な保守を受けることができるまで、シャフトをシールすることになる。
【0035】
図11は、本開示内容による更なる代表的実施例を例示している。封止装置220は、この説明及び/又は図面に記載する点を除いて、上述した第1の代表的封止装置20と同一である。この封止装置220は、パッキン押え舌状部252によりパッキン押え250内に保持された3つのリップシール232,234,236からなるシール群226を含んでおり、該シール群226により保持されたO−リング254は、シール群226に対して封止している。このシール群226の外方にあるのは、内側及び外側のO−リング264,266を保持するO−リング溝262である。O−リング264,266は、パッキン押え250の内側面272と、前述したようなバリヤスリーブ136のバリヤシリンダ156の外側面とに当接して封止するようになっている。これらシール群226、O−リング溝262及びバリヤスリーブ136は、組立中に、一体として右側からパッキン押え中に有利に負荷することができる。
【0036】
シャフトスリーブ30は、パッキン押え250に一時的に保持されると共に、シャフトスリーブのねじ穴42に係合する複数のボルト286が貫通するヨーク284により位置合せされている。ヨーク284は、ねじ穴294を使用してパッキン押え250の環状壁体292に取付けられている。図12は、ヨーク284が既に取り除かれると共に前述したようなストッパピン142のためにねじ穴294が用いられている状態の封止装置220を示している。
【0037】
図13は、本開示内容による更なる代替実施例を例示している。封止装置300は、事前組立した非作動状態でシャフト24を囲み装着されている。この封止装置300は、以下の説明及び/又は図面に記載する点を除いて、前に述べた封止装置の諸実施例と同一である。従って、封止装置300は、前述したような3つのリップシール232,234,236を有するシール群226を含んでいる。シール群226は、ロックリング330によりパッキン押え328内に保持されている。
【0038】
バリヤスリーブ336は、バリヤシリンダ56に接続されたピストン352を含んでいる。このピストン352は、O−リング354によりパッキン押え328に対して封止されている。ピストン352は、前述したように、ポート82及び通路84からの加圧流体もしくはガスに応動するようになっている。第1のリップシール232及び第2のリップシール234の間にあるのは環状の通路382であり、この通路382は、半径方向の通路372とねじポート374に接続されている。環状の通路382、半径方向の通路372及びねじポート374は、リップシール間に、フラッシングもしくは洗浄、冷却、潤滑、及び/又はバリヤもしくは遮断用の流体を導入するのに使用することができる。
【0039】
図14は、シャフトスリーブ301を外方にシフトされてシャフト24に固定された作動状態にある封止装置300を示している。図15は、第2のリップシール234を解放してシャフトスリーブ301に対して封止するバリヤシリンダ56の運動を図解している。従って、バリヤシリンダ56は、第2のリップシール234とシャフトスリーブ301との間にもはや介在しておらず、該第2のリップシール234は、先行装着状態、即ち、バリヤシリンダ56と相互作用する状態からシャフトスリーブ301に封止係合する装着状態に弾性的に戻っている。図16は、第3のリップシール236を解放してシャフトスリーブ301に対し封止する、即ち、先行装着状態から装着状態に弾性的に変換するバリヤシリンダ56の更なる運動を図解している。
【0040】
図17は、全てのリップシールが損傷してシャフトスリーブがシャフトから解放された後の封止装置300の状態を示している。シャフトスリーブは、緩めた後、内側に引っ込められて、バリヤシリンダ56をシャフトスリーブ301により支持されたO−リング303に対し封止する。この状態において、流体取扱機械は運転停止され、封止装置300の修理を待つことになる。
【0041】
図18は、本開示内容の更なる代替実施例を例示しており、この実施例において、封止装置400は、事前組立された非作動状態で示されており、シャフト24に固定されたシャフトスリーブ401を取り囲んでいる。この更なる代表的実施例の封止装置400は、以下の説明及び/又は図面に記載する点を除いて、前に述べた諸実施例と同様である。封止装置400は、4つのリップシール428,430,432,434を有するシール群426を保持したパッキン押え420を含んでいる。この実施例の封止装置400は、環状の通路440が第2及び第3のリップシール430,432間に配置されている点を除いて、図6〜図9の実施例と同様である。環状の通路440は、半径方向の通路442及びポート444に接続されていると共に、第2及び第3のリップシール430,432間にフラッシングもしくは洗浄、冷却、潤滑、及び/又はバリヤもしくは遮断用の流体を導入するのに使用される。同様に、環状の通路450、半径方向の通路452及びポート454が、第3及び第4のリップシール432,434間に設けられていて、かかるリップシール間にフラッシングもしくは洗浄、冷却、潤滑、及び/又はバリヤもしくは遮断用の流体を導入するのに使用される。
【0042】
図19は、第1のリップシール428のみをシャフトスリーブ401に対し封止して、組立作動状態にある封止装置400を例示している。図20は、前述したように、ポート82、通路84及びチャンバ86からの加圧流体もしくはガスの圧力下にあるバリヤスリーブ136の漸進的運動を図解している。図20に示すように、バリヤスリーブ136は、第2のリップシール430及びシャフトスリーブ401の間にもはや介在しておらず、そのため、第2のリップシール430は、先行装着状態(図19に示す)から装着状態に弾性的に戻るのを許容される。従って、第2のリップシール430は解放されてシャフトスリーブ401に対し封止することになる。
【0043】
図21は、前述したようにポート82から通路84を介してチャンバ86に流入する加圧流体もしくはガスの圧力下にあるバリヤスリーブ136の更なる漸進的運動を図解している。バリヤスリーブ136は、第3のリップシール432及びシャフトスリーブ401の間にもはや介在しておらず、従って、第3のリップシール432は解放されてシャフトスリーブ401に対し封止することになる。図22は、4つのリップシールがバリヤスリーブ136との相互作用から自由になって先行装着状態からシャフトスリーブ401に封止係合する装着状態に弾性的に変わるのが許容されるときの、バリヤスリーブ136の更なる運動を図解している。
【0044】
図19、図20及び図21の順次運動に示すように、リップシール430,432,434は、バリヤスリーブ136の運動を通じて順次解放され、シャフトスリーブ401に封止係合している。各追加のリップシールがバリヤスリーブ136により解放されるときに、第1のリップシール428及び前に解放された任意のリップシール(単数又は複数)は装着状態に留まっており、そのため、かかるリップシールは、封止装置400の封止機能性に絶えず貢献することができる。この点に関し、前に解放されたリップシール(単数又は複数)は、最も遅く破損したシールに伝わる漏洩圧力に対する上流側の前置抵抗体として機能し、作動しているシールの途中に圧力降下をもたらすものである。従って、本発明の封止装置の顕著な特徴は、全ての条件が同じとして、逐次配備された各リップシールの磨耗寿命が前に解放されたシールの磨耗寿命よりも長くなることが期待し得ることである。磨耗したリップシールは、封止装置400からの漏洩を防止するのに効果がないかも知れないが、このような磨耗リップシールは、封止装置400の有効寿命にわたるシャフトスリーブ401とのその相互作用を通じて封止機能性に貢献し続けることになる。
【0045】
図23は、封止装置500がシャフト24を囲んでいる本開示内容による更なる代表的実施例を示している。この追加の代表的実施例は、パッキン押え520が4つのリップシール528,530,532,534を保持している点を除いて、図11及び図12に例示した実施例と同様である。第1及び第2のリップシール528,530は一次リップシールであり、第3及び第4のリップシール532,534はバックアップ用リップシールである。環状の通路540は、半径方向の通路542及びポート544と流体連通しており、第1及び第2のリップシール528,530の間に配置されている。この環状の通路540、半径方向の通路542及びポート544は、フラッシングもしくは洗浄液をリップシール528,530間に流したり、或いは冷却、潤滑及び/又は遮断流体をリップシール528,530間に噴射したりするのに使用可能である。
【0046】
環状の通路560は、半径方向の通路562及びポート564と流体連通しており、第2及び第3のリップシール530,532の間に配置されている。この環状の通路560、半径方向の通路562及びポート564は、フラッシングもしくは洗浄液をリップシール530,532の間に流したり、或いは冷却、潤滑及び/又は遮断流体をリップシール530,532間に噴射したりするのに使用可能である。また、半径方向の通路552及びポート554と流体連通して、第3及び第4のリップシール532,534の間にも環状の通路550が配置されている。この環状の通路550、半径方向の通路552及びポート554は、フラッシングもしくは洗浄液をリップシール532,534の間に流したり、或いは冷却、潤滑及び/又は遮断流体をリップシール532,534間に噴射したりするのに使用可能である。
【0047】
図24は、先行装着状態から、即ち、バリヤスリーブ136が第3のリップシール532及びシャフトスリーブ30の間に介在する状態からの1つのリップシールの解放分に対応する所定距離だけ右方に漸増的に移動し、それにより第3のリップシール532を解放してシャフトスリーブ30に対し当接封止する、バリヤスリーブ136を示している。図25は、第4のリップシール534を解放してシャフトスリーブ30に対し封止する追加の所定距離だけ右方に漸増的に移動したバリヤスリーブ136を示している。
【0048】
図26は、本開示内容による更なる代替実施例を例示しており、この実施例において、封止装置600は、図11及び図12に示された実施例の変形を表している。この代替実施例において、符号603及び604で総括的に指示された通路及びポートは、第1及び第2のリップシールの間、並びに第2及び第3のリップシールの間に配置されている。該通路及びポートは、例えば、図13の実施例に関して説明したような方法で設定され、配置されるのが典型的である。
【0049】
図27は、本開示内容による更なる代替実施例を例示している。封止装置700は、シャフト24に固定されたシャフトスリーブ701を取り囲むパッキン押え718を含んでいる。該封止装置700は、事前組立の非作動状態で描かれている。この実施例によると、手動で作動可能の外部突出体もしくはリング720がバリヤスリーブ726に接続されている。このバリヤスリーブ726が含むバリヤシリンダ728は、先行装着されたバックアップ用リップシール732,734の直下から退出して、該リップシールを、回転している又は往復動しているシャフトスリーブ701と封止係合する配備につけることができる。バックアップ用リップシール732,734の間に設けられた環状の通路740は、半径方向の通路742及びポート744と流体連通している。環状の通路740、半径方向の通路742及びポート744は、リップシール間に、フラッシングもしくは洗浄、冷却、潤滑、及び/又はバリヤもしくは遮断用の流体を噴射するのに使用することができる。
【0050】
図28は、シャフトスリーブ701に組立状態で設けられた封止装置700を例示している。バリヤスリーブ726は、完全に引っ込められている、即ち、リップシール732,734及びシャフトスリーブ701の間に介在しないように抜き出されている。シャフトスリーブ701は、完全に伸張されてシャフト24に固定されている。図29は、バリヤシリンダ728を第2及び第3のリップシール732,734の直下に配置もしくは介在させて該リップシール732,734を先行装着すると共に、同リップシール732,734を回転しているシャフトスリーブ701との係合から引き離して、シャフトスリーブ701に対し作動可能の封止装置700を例示している。
【0051】
図30は、最初のバックアップ用リップシール、即ち、第2のリップシール732を配備につけるため、ある増分距離だけ外方にシフトされたバリヤシリンダ728を例示している。図31は、次のバックアップ用リップシール、即ち、第3のリップシール732を配備につけるため、次の増分距離だけ外方にシフトされたバリヤシリンダ728を例示している。図32は、封止装置700の端面図を示している。
【0052】
図33〜図35は、本開示内容の更なる実施例を示している。図33を参照すると、シャフト810は、ハウジング、ケーシング、パッキン押え又はその他の固定構造820の貫通開口814内で回転又は往復動すべく作動するようになっている。図33〜図35の典型的実施例において、シャフト810は、エンジン、トランスミッション、トランスアクスル又はギアボックスのような自動車用装置における回転シャフトでよい。このような設計の場合、構造820は、かかる自動車用装置のケースもしくはケーシングであり得る。
【0053】
一次リップシールアセンブリ824は、この構造820によって保持されている。この一次リップシールアセンブリ824は、内側及び外側の保持リング832,834により保持された可撓性のリップシール828を含んでいる。該リップシール828は、ほぼL形の輪郭を有しており、その内径は、シャフト810の外径Dよりも小さい(弛緩状態において)ように選択されている。このリップシールアセンブリ824は、構造820により固定的に保持されており、ピン、締結具、圧力嵌め等(図示せず)のような通常の手段により、それら間の相対回転を防止している。
【0054】
実質的に同一の要素828,832,834を有する二次シールアセンブリ854は、バリヤスリーブ858を備えている。このバリヤスリーブ858は、装置の作動状態に対して適当に選択されたプラスチック材料から構成されるのが好ましい。バリヤスリーブ858は、中央の筒体866と、端部フランジ868とを備えている。中央の筒体866は、脆弱帯もしくは破壊帯872の1つ以上の軸方向の線を含んでいる。破壊帯872は、不連続の貫通切れ目により、又は減肉部を形成する細長いノッチにより、又は穿孔線により、又は別の既知の方法により形成することができる。
【0055】
図33及び図34に示すように、二次シールアセンブリ854は、バリヤスリーブ858に装着されている。対応するリップシール828は、シャフトの外径Dよりも小さい弛緩状態の内径Sと、中央の筒体866の外径Uとを有している。対応するリップシール828は、若干であるが弾性的に広がっており、即ち、先行装着状態に置かれており、バリヤスリーブ858の中央の筒体866上に嵌合している。中央の筒体866は、リップシール828の広がりを支援するため、面取りされた先導縁866aを有している。中央の筒体866は、運転隙間を設けるため、シャフト810の外径Dよりも大きな内径Tを有している。
【0056】
図35に更に示すように、バリヤスリーブ858を有する二次リップシールアセンブリ854は、シャフト810と構造820との間に挿入され、一次リップシールアセンブリ824に当接するようになっている。シャフト810上で二次リップシールアセンブリ854及びバリヤスリーブ858を滑動させるために、シャフト810の自由端876は、組立の段階で利用可能となっている。バリヤスリーブ858の中央の筒体866は、シャフト810自体が構造820のシャフト貫通開口814内で中心に位置決めされていれば、リップシールアセンブリ854により、特にこのアセンブリ854のリップシール828の弾性的な把持により、自動的に中心に位置決めされることになる。
【0057】
中央の筒体866の介在により、二次リップシールアセンブリ854のリップシール828がシャフト810に接触もしくは封止係合することが防止される。二次リップシールアセンブリ854は、一次リップシールアセンブリ824について述べたのと同じ方法で、構造820の貫通開口814内に保持されている。バリヤスリーブ858は、締結具又はクリップ(図示せず)のような通常の手段により所定位置に保持される。或いは、バリヤスリーブ858は、単にリップシール828による摩擦把持によって所定位置に保持してもよい。
【0058】
図35aは、封止係合して配備された二次リップシールアセンブリ854を示している。即ち、中央の筒体866は既に介在から除去されており、リップシール828は、先行装着状態からシャフト810に封止係合する装着状態に変換されてしまっている。例えば、一次リップシールアセンブリ824からの漏洩が検出されると、バリヤスリーブ858は、抜き出すことができ、即ち、シャフト810に関して軸方向に移動させることができ、そのため、二次リップシールアセンブリ854のリップシール828から離れることになる。従って、リップシール828は、弾性的な復帰力の下で変形してシャフト810に封止方式で接触することになる。
【0059】
図35aに示された構成に関連する更なる有利な特性として、リップシールアセンブリ824,854の双方が配備され、即ち、シャフト810に向かい弾性的に拡張されている。一次リップシールアセンブリ824がシャフト810で独立型のシ−ルを確立するのに効果的でないという事実にもかかわらず、一次リップシールアセンブリは、それでもなお、漏洩を妨げるのにある程度は依然として有効であり、この有効性により、配備された二次リップシールアセンブリ854の実効性が強化されることになる。例えば、一次リップシールアセンブリ824により圧力降下が生じて、二次リップシールアセンブリ854の耐漏性に寄与することになる。圧力降下の度合は、一次リップシールアセンブリ824とシャフト810との間の有効流れ隙間を含む幾つかの要因により左右される。
【0060】
図35aに記載された位置にあるバリヤスリーブ858は、その後、シャフト810から除去されて処分されるべく1つ以上の破壊帯872に沿って壊すことができる。この破壊/除去の可能性は、接続された或いは隣接の装置870(概略的に示す)がシャフト810の自由端を越えるバリヤスリーブ858の滑動を妨げている場合に、特に重要である。
【0061】
バリヤスリーブ858と共に選択的に配備可能な二次リップシールアセンブリ854を使用すると、二次リップシール828を配備するために装置870をシャフト810から切り離す必要がなくなる点で、シールの交換を簡略化する利点がある。バリヤスリーブ858は、限られたスペースにおいて使用するために、軸方向へ比較的にコンパクトであることが好ましい。
【0062】
二次リップシールアセンブリ854及びバリヤスリーブ858の使用は、封止装置の寿命を延ばす手段として最初の設備製造業者により取付けられたときに特に効果的である。例えば、シールが50,000マイル(80,465,000メートル)か、或いはそのような数だけ持続すると予想されれば、二重リップシール824,854の総寿命は、封止装置の寿命を100,000マイル(160,930,000メートル)かそれ以上に有利に延ばすことになろう。また、二次リップシールアセンブリ854は、既存の一次リップシールアセンブリ824に追加するために効果的な後付け部品となり得る。
【0063】
本開示内容による更なる代表的実施例は図36〜図42に概略的に示されている。図36を参照すると、封止装置900は、2つの主要部品、即ち、内側スリーブ904及び外側スリーブ906から構成されたバリヤスリーブ902を含んでいる。内側スリーブ904は、例えば厚さが0.010インチの比較的に薄い部材を提供する深絞り法によって製造することができる。この内側スリーブ904は、溶接、焼嵌め又はその他の慣用手段により外側スリーブ906に総じて結合もしくは固定されている。内側スリーブ904は、その比較的に薄い厚さにもかかわらず、ここに記載したように機能するに足る十分な構造健全性を確保するように、例えば、316ステンレス鋼等の強くて丈夫な材料から形成するのが有利である。
【0064】
封止装置900は、複数の弾性シール部材930を含んでいる。図36に記載された各シール部材は、リップシールであり、初期には、バリヤスリーブ902がかかるリップシール930とピストンロッド940との間に介在するように位置決めされている。従って、各弾性リップシール930は、初期には先行装着状態にあり、即ち、各リップシール930は、同弾性リップシール930を僅かに伸張させるような方法で、内側スリーブ904の内方に位置決めされている。この僅かな半径方向の予負荷は、一旦リップシール930が保持する内側スリーブ904の外方にある(即ち、内側スリーブ904と無関係である)供用位置にあれば、封止要素がピストンロッド940のシャフト上で崩れることを許容している。内側スリーブ904の内径とピストンロッド940のシャフトとの間にある隙間928は、小さいのが典型的であり、例えば、0.008インチ程度である。
【0065】
図36〜図42の代表的実施例には、固定ハウジングに対して回転運動可能となっているピストンロッド940と共に使用する封止装置900が記載されているが、開示されたこの封止装置900はそのような用途に限定されない。むしろ封止装置900は、ピストンポンプ、コンプレッサ(封止すべきそのシャフトはピストンロッドでよい)、水圧ポンプ、空圧ラム、アクチュエータ等に見られる線形運動シャフトに適用し得る。
【0066】
図36に更に示すように、カートリッジ908は、ユニット910上に取付けられており、エラストマー912(例えば、O−リング)により封止されると共に、ねじ914により所定位置に保持されている。スリーブ902は、ボール918及びばね922を含む移動止め機構により設置され、位置決めされている。エラストマー部材920(例えば、O−リング)は移動止め機構を封止し、ねじ924は移動止め機構を所定位置に保持する。図36に示した位置において、ばね922は、ボール918を一方向に片寄らせてV字形のノッチもしくは切欠き916aに入れるようになっている。ボール918が切欠き916a内に位置決めされると、どのリップシール930も封止位置にはなく、即ち、各リップシールは、先行装着状態にあり、いずれもピストンロッド940とは封止係合しないことになる。
【0067】
図37を参照すると、バリヤスリーブ902は、ピストンロッド940に対して軸方向に移動されるようになっている。ボール918は、バリヤスリーブ902の軸方向移動を容易にするため上向きに移動してから、ばね922の片寄せ力の下に下向きに移動して切欠き916bに入ることで、配置されることになる。図37に記載された位置において、バリヤスリーブ902の内側スリーブ904は、リップシール930aを解放しており、同リップシール930aはピストンロッド940のシャフトとの封止係合状態に弾性的に移動されている。切欠き916bにおけるボール918の位置決めは、ピストンロッド940との封止係合状態へのリップシール930aの解放に合致している(残りのリップシール930aはバリヤスリーブ902により封止係合から外れるように保持されている)。
【0068】
図38は、例えば、リップシール930aが破損してプロセス流体がリップシール930aを通り漏れつつあるときのバリヤスリーブ902の更なる移動を図解している。バリヤスリーブ902は、リップシール930bが解放されてピストンロッド940に弾性的に係合するような位置に移動される。この位置において、ボール918は切欠き916c内に配置されており、リップシールは解放されてピストンロッド940のシャフトを封止している。注目すべきは、使用されておらず保持のため保存されつつあり、即ち、バリヤスリーブ902をリップシール930及びピストンロッド940の間に介在させた、封止要素930は、弾性O−リング920が常に封止位置にあるので、プロセス漏れによっても(それらが自身で封止するので)、或いは雰囲気によっても汚染され得ないことである。
【0069】
図38〜図42は、各封止要素即ち、リップシール930が機能しなくなるときのバリヤスリーブ902の順次移動を示している。特に注目すべきことは、各封止要素930が機能しなくなるときに、ピストンロッド940との封止係合状態になる次の順次封止要素930が、前に受けていたのと同じ圧力又は量に遭遇しないことである。この有利な結果は、破損してしまった各封止要素が限られた封止能力であるが依然として封止に役立っており、1つの破損シールから次のシールへと、或いはその逆に、圧力降下を生じさせるという事実に起因している。
【0070】
また、ねじ924は、カートリッジ908の周りに切り込まれたどの切欠き916とも干渉しないように位置決めされており、弾性O−リング920は、バリヤスリーブ902が所望の位置に配置されているときに、常に封止を行っていることに注目すべきである。O−リング920の封止は、ボール918が切欠き916内に落ちるときに、O−リング920がカートリッジ908上の非切欠き面に係合すべく、適切に寸法決めすることにより実現される。バリヤスリーブ902は、ピストンロッド940のシャフトの中心線に対して直角であるカートリッジ908の外径に対して直角に移動するものである。これらの構造的関係に基づいて、内側スリーブ904の内径とピストンロッド940のシャフトとの間の隙間は非常に小さいが、バリヤスリーブ902の位置に関係なく、2つの部材間の接触は決して起きないことになる。注目すべきは、バリヤスリーブ902は、ピストンロッド940が供用されて封止装置900により封止されているときでも、任意の時点で、ピストンロッド940に対して移動し得ることである。
【0071】
図43は、本開示内容に従う更なる代替実施例を描いており、封止装置1000が含むカートリッジ1002内には、3つの封止要素1004、即ち、リップシール1004a,1004b,1004cが設けられている。図43に示すように、バリヤスリーブ1006は、3つのリップシール1004の全てがシャフト1008と封止係合する位置まで移動させられている。移動止め機構は、ボール1010がばね1014により切欠き1012内に一方向に片寄せられるようにカートリッジ1002及びバリヤスリーブ1006により画成されている。O−リング1016は、バリヤスリーブ1006に対してカートリッジ1002を封止している。注目すべきは、バリヤスリーブ1006は、シャフト1008が供用されて封止装置1000により封止されているときでも、任意の時点で、シャフト1008に対して移動し得ることである。
【0072】
図44は、本開示内容に従う更なる代替実施例を描いており、封止アセンブリ1100はポンプ1150に設けられている。5つの封止要素1102がカートリッジ1104に装着されており、ポンプシャフト1154に装着されたスリーブ1152を封止している。図44に示すように、3つの封止要素1102a,1102b,1102cが既にバリヤスリーブ1106により解放されており、スリーブ1152に封止係合している。バリヤスリーブ1106は、残りの封止要素1102d、1102e及びポンプ1150のスリーブ1152の間に介在したままである。移動止め機構は、前に述べた実施例に関して記載した移動止め機構と構造的に同様であり、カートリッジ1104とバリヤスリーブ1106との間に形成されている。
【0073】
図45は、本開示内容による更なる実施例を描いており、封止アセンブリ1200は、ガス系統において使用され、即ち、封止すべきプロセス流体がガスであるカートリッジ1202を含んでいる。封止要素はセグメント化されたガスパッキンリング1204である。パッキンリング1204は、総じて3つのセグメントによって形成されており、スプリングガータ1206によって一緒に保持されている。スプリングガータ1206はまた、コンプレッサシャフト或いは封止すべき同様のシャフトのピストンロッド1250にぴったり当接してガスパッキンリング1204を保持する機能を有するものである。パッキンリング1204は、鋳鉄、炭素、或いは炭素及びテフロン(登録商標)の化合物のような材料から形成するのが典型的である。これらのパッキンリングは、一方が他方の上になって(或いは並んで)配置されるのが典型的であり、封止すべきガスの圧力は、使用されるべきパッキンリングの数を一般に決定するものである。
【0074】
図45に記載したように、パッキンリング1204の全てが内側バリヤスリーブ1208の内方に保持され、保存されている。従って、パッキンリング1204は、ガータスプリング1206によってピストンロッド1250に向かい片寄せられた先行装着状態にある。図46を参照すると、バリヤスリーブ1208はピストンロッド1250に対し移動されており、パッキンリング1204aがガータスプリング1206aの片寄せ力の下にピストンロッド1250に封止係合するのを可能としている。移動止め機構1212は、ピストンロッド1250に対する所望位置に、即ち、パッキンリング1204aをピストンロッド1250に封止係合させると共に、残りのパッキンリングがバリヤスリーブ1208の介在によりピストンロッド1250と相互作用するのを防止して、バリヤスリーブ1208を一時的に固定している。
【0075】
従って、残りのパッキンリング1204b,1204c,1204d,1204fは、若干伸張した、即ち予負荷した状態で内側バリヤスリーブ1208の内方に保持されている。一旦内側バリヤスリーブ1208から解放されると、関連のスプリングガータ1206は、バリヤスリーブ1208の外方の供用位置において、ピストンロッド1250のシャフト上へ及びその周りにパッキンリングを負荷もしくは片寄せている。封止O−リング1210は、ここで前に述べた実施例に関して説明したO−リングに匹敵する封止機能を提供するものである。
【0076】
図47〜図51は、一連の封止要素の各々、即ち、パッキンリング1204が漏れ始めて次のパッキンリングが作動状態に入るときのバリヤスリーブ1208の移動を順序通りに示している。図51において、全ての封止要素がピストンロッド1250のシャフトと接触している。注目すべきことは、バリヤスリーブ1208は、ピストンロッド1250が供用されていて封止装置1200により封止されているときでも、任意の時点で、ピストンロッド1250のシャフトに対して移動し得ることである。
【0077】
図52〜図53を参照すると、本開示内容による更なる代表的実施例の好適な側面が示されている。先ず、図52a及び図52bを参照すると、フランジ1304から4本の指状部1302が延びるパッキン押え1300の正面図及び側面図が記載されている。図53a及び図53bを参照すると、好適なスリーブ1350の正面図及び側面図が記載されている。スリーブ1350は、スリーブ本体1354に形成された4つの離間開口1352を含んでいる。従って、指状部1302は、嵌め込み関係で離間開口1352を通過することにより、スリーブ1350との滑動支承関係をもたらすように構成されている。こうして、スリーブ1350は、そこからバリヤスリーブ1404を延ばした状態で、嵌め込み関係でパッキン押え1300の指状部1302上を滑動することが許容されることになる。
【0078】
図54を見ると、本開示内容による代表的なリップシール用カートリッジ1400が記載されている。このリップシール用カートリッジ1400は、当該技術で既知のように、ポンプのパッキン箱内に設置されるものである。リップシール1402aは、シャフト1452に固定されたスリーブ1450と封止係合している。残りのリップシール1402b,1402c,1402dは、内側バリヤスリーブ1404の内部に保持され、即ち、バリヤスリーブ1404は、残りのリップシールをスリーブ1450から離間された先行装着状態に維持するようにそれらの間に介在している。
【0079】
図55〜図57を参照すると、バリヤスリーブ1404は、リップシール1402b,1402c,1402dがそれらの先行装着状態から順繰りに解放されてスリーブ1450に封止係合するように、一連の移動を行っている。一連のリップシール1402の各々は、最後のリップシール1402dが配備につけられるまで(図57)、先行するリップシールが破損するときに、バリヤスリーブ1404により解放されるようになっている。リップシール用カートリッジ1400のこの設計は、バリヤスリーブ1404の軸方向移動のために限られたスペースしかない適用例において、前述したように入れ子式の嵌め込み関係により実現されるスペース節約に照らして、特に有利である。
【0080】
図57を更に参照すると、バリヤスリーブ1404は、完全に伸張した配置で描かれており、ストッパリング1410に当接している。バリヤスリーブ1404は、それが内部で作動するパッキン箱/ポンプアセンブリと関連する最初の障害物1454を十分に越えている。指状部1302の外側切断面とスリーブ本体1354の内径との間の隙間は、0.002インチほどの小ささでよい。バリヤスリーブ1404の外径とパッキン押え1300のフランジ1304の内径との間の隙間は、0.002インチほどの小ささでよい。これらの狭い隙間は、バリヤスリーブ1404とスリーブ1450との間に所要の隙間を維持しながら、バリヤスリーブ1404が指状部1302の長さに沿って軸方向に自由に滑動するのを可能にするものである。実際に、かかる隙間は、バリヤスリーブ1404の軸方向位置に関係なく、バリヤスリーブ1404及びフランジ1304間に接触がなされないことを保証するものである。領域1302aにおける指状部1302の外側切断面には、バリヤスリーブ1404をリップシール1402に対して正しく位置決めするために、位置決めばね荷重ボールを受ける溝を切ることが可能である。
【0081】
図58を参照すると、スリーブ1450の端部に設けられた弾性ビード1460が記載されている。図58に示すように、バリヤスリーブ1404が左方に十分に前進移動すると、バリヤスリーブ1404は弾性ビード1460に当たり封止される。この動作方針は、リップシール用カートリッジ1400が使用されていないときに望ましいかも知れない。従って、弾性ビード1460は、このような非動作形態において、リップシール用カートリッジを効果的に封止するものである。
【0082】
図59〜図63を参照すると、本開示内容による更なる封止装置の実施例が記載されている。封止装置1500は、パッキン押え1516と、バリヤスリーブ1504及びバリヤフランジ1502により画成されたバリヤ部材とを含んでいる。バリヤスリーブ1504は、ポンプ等のパッキン箱内に配置されるようにしたフック付きシャフトスリーブ1550と軸方向に整列している。フック付きシャフトスリーブは、種々の形式のポンプにおいて多く見られ、回転駆動のためポンプのインペラーを用いるのが普通である。弾性リップシール1506a,1506b,1506c,1506dがカートリッジ1520内に装着され、シャフトスリーブ1550に向かって延びている。図59に示した位置において、弾性リップシール1506aはシャフトスリーブ1550に封止係合しているが、リップシール1506b,1506c,1506dとシャフトスリーブ1550との間にはバリヤスリーブ1504が介在している。O−リング1508は、バリヤスリーブ1504及びパッキン押え1516の間に位置決めされており、それらの間を封止している。
【0083】
図59〜図63の代表的実施例を更に参照すると、一連の案内ピン1510はバリヤフランジ1502及びパッキン押え1516に形成された整列開口を通って延び、バリヤスリーブ1504の軸方向移動を案内すると共に、パッキン押え1516に対するバリヤスリーブ1504の移動及び/又は位置決めの限界を定めている。従って、案内ピン1510は、ここに記載したように、リップシール1506に対するバリヤスリーブ1504の移動及び/又は位置決めの限界を定めるものである。封止装置1500の好適な実施例においては、3本の案内ピン1510が互いに対して120度のところに位置付けられて使用されている。各案内ピン1510には一連の溝1512が形成されており、また、各案内ピン1510には弾性のある又はばねで偏倚されるクリップ1514が設けられており、該クリップ1514が適当な溝1512と協働して、バリヤスリーブ1504の相対位置を固定している。図59に示すように、クリップ1514は、溝1512cにクリップ止めされて、リップシール1506b,1505c,1506dとシャフトスリーブ1550との間に介在したバリヤスリーブ1504の位置調整を確定している。
【0084】
バリヤフランジ1502に形成された開口は、そこを貫いて延びる案内ピン1510に対し約0.001インチの隙間をもたらすのが好ましく、パッキン押え1516に形成された開口は、関連の案内ピン1510に対して約0.001インチの締り嵌めをもたらすのが好ましい。開口を形成するに際し、また、干渉のない簡易な移動を実現するために、バリヤフランジ1502及びパッキン押え1516は一緒に位置決めされると共に、クランプされるのが好ましい。その後、開口がドリルで通常形成され、リーマで直線状に仕上げられる。別の製作手段もまた考えられるので、本開示内容は前述した製作手段に限定されるべきではない。
【0085】
図59を更に参照すると、割り心出しリング1518は、最初にバリヤスリーブ1504とシャフトスリーブ1550との間に位置決めされている。この割り心出しリング1518は、シャフトスリーブ1550に形成された減少直径の切欠き領域1552内で滑動するようになっている。割り心出しリング1518の細長部分の外径は、通常、バリヤスリーブ1504の内径よりも0.001インチほど小さい。割り心出しリングの内径は、通常、切欠き領域1552におけるシャフトスリーブ1550の外径よりも0.001インチほど大きい。これらの比較的に精密な公差は、封止装置1500がポンプのパッキン箱に装入されると共に、パッキン押えボルト(図示せず)が締め付けられるときに、バリヤスリーブ1504が、同バリヤスリーブ1504とシャフトスリーブ1550との間に約0.010インチの所望の隙間を有利に維持することを保証するものである。図60に示すように、一旦パッキン押えボルトが締め付けられれば、割り心出しリング1518は除去してもよく、封止装置は作動可能な状態になる。
【0086】
図61は、パッキン押え1516内に配備されたリップシール用カートリッジを示している。ねじ穴1554は、シャフトシール1550の装着を容易にするものである。図62及び図63は、バリヤフランジ1502内に弾性O−リング1530を配置せしめた封止装置1500を示している。特に図63を参照すると、一旦最後のリップシール1506dが破損してポンプの運転が停止すれば、バリヤスリーブ1504が完全に外方に移動され、弾性O−リング1530がシャフトスリーブ1550の切欠き領域1552近くに形成された肩部1556に当接して封止することになる。弾性O−リング1530及びシャフトスリーブ1550間の封止関係、即ち、静止状態にあるシャフトスリーブ1550との関係は、プロセス流体を隔離する利点がある。
【0087】
本開示内容は好適な実施例に関する詳細な説明を含んでいるが、冒頭の特許請求の範囲により明らかにされた本発明並びにその当然の均等物の精神及び範囲から逸脱することなく、ここに開示された封止装置の構成、配列及び作動に種々の修正及び変更をなし得ることは言うまでもない。例えば、シールリップ間に洗浄もしくはフラッシング、冷却、潤滑及び/又は遮断もしくはバリヤの流体を噴射するためのポート、半径方向の通路及び環状の通路のいずれについても、貫流液体回路を提供するために対応の出口半径方向通路及びポートを設けることができる。その他の変更は、ここに記載された詳細な説明及び図面から当業者に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】
事前組立した非作動状態でシャフトを囲む封止装置の概略断面図である。
【図2】
シャフトスリーブが外方にシフトされてシャフトに固定されている、図1の封止装置及びシャフトの概略断面図である。
【図3】
バリヤスリーブが部分的に外方にシフトして示されている、図2の封止装置及びシャフトの概略断面図である。
【図4】
バリヤスリーブが完全に外方にシフトして示されている、図2の封止装置及びシャフトの概略断面図である。
【図5】
シャフトスリーブがシャフトとの係合から外れてバリヤスリーブに当接し内方に配置された、封止運転停止状態にある、図4の封止装置及びシャフトの概略断面図である。
【図6】
事前組立した非作動状態にある本開示内容による代替封止装置の概略断面図である。
【図7】
シャフトスリーブが外方にシフトして作動位置にある、図6の封止装置の概略断面図である。
【図8】
バリヤスリーブが第1の増分距離だけ外方にシフトされた、図6の封止装置の概略断面図である。
【図9】
バリヤスリーブが第2の増分距離だけ外方にシフトされた、図8の封止装置の概略断面図である。
【図10】
シャフトスリーブが引き出されバリヤスリーブに当接して内方に配置された、封止運転停止状態にある、図9の封止装置の概略断面図である。
【図11】
事前組立の非作動状態にある、本開示内容に従う更なる代替封止装置の概略断面図である。
【図12】
作動状態にある図11の封止装置の概略断面図である。
【図13】
事前組立した非作動状態でシャフトを囲む、本開示内容の更に別の代替封止装置の概略断面図である。
【図14】
シャフトスリーブが外方にシフトされてシャフトに固定されている、図13の封止装置及びシャフトの概略断面図である。
【図15】
バリヤスリーブが部分的に外方にシフトして示されている、図14の封止装置及びシャフトの概略断面図である。
【図16】
バリヤスリーブが完全に外方にシフトして示されている、図14の封止装置及びシャフトの概略断面図である。
【図17】
シャフトスリーブがシャフトとの係合から外れてバリヤスリーブに当接し内方に位置決めされた、封止運転停止状態にある、図16の封止装置及びシャフトの概略断面図である。
【図18】
事前組立した非作動状態でシャフトを囲む、本開示内容の更に別の代替封止装置の概略断面図である。
【図19】
シャフトスリーブが外方にシフトされてシャフトに固定されている、図18の封止装置の概略断面図である。
【図20】
バリヤスリーブが第1の増分距離だけ外方にシフトされた、図19の封止装置の概略断面図である。
【図21】
バリヤスリーブが第2の増分距離だけ外方にシフトされた、図20の封止装置の概略断面図である。
【図22】
バリヤスリーブが第3の増分距離だけ外方にシフトされた、図21の封止装置の概略断面図である。
【図23】
作動状態でシャフトを囲む、本開示内容による更なる代替封止装置の概略断面図である。
【図24】
バリヤスリーブが第1の増分距離だけ外方にシフトされた、図23の封止装置の概略断面図である。
【図25】
バリヤスリーブが第2の増分距離だけ外方にシフトされた、図24の封止装置の概略断面図である。
【図26】
バリヤスリーブを外方限界まで完全にシフトさせて作動状態で示された、シャフトを囲む、本開示内容による更なる代替封止装置の概略断面図である。
【図27】
事前組立した非作動状態でシャフトを囲む、本開示内容による更なる代替封止装置の概略断面図である。
【図28】
バリヤスリーブが完全に外方にシフトして示されていると共に、シャフトスリーブが外方にシフトされてシャフトに固定されている、組立の初期段階にある図27の封止装置の概略断面図である。
【図29】
バリヤスリーブが完全に内方に引っ込められて示されている、作動状態にある図28の封止装置の概略断面図である。
【図30】
バリヤスリーブが第1の増分距離だけ外方にシフトされた、図29の封止装置の概略断面図である。
【図31】
バリヤスリーブが第2の増分距離だけ外方にシフトされた、図30の封止装置の概略断面図である。
【図32】
図31の封止装置の左端面図である。
【図33】
本開示内容による更なる代替封止装置の概略断面図である。
【図34】
図33の封止装置の概略断面図である。
【図35】
図33の封止装置の更なる概略断面図である。
【図35a】
図33の封止装置の更なる概略断面図である。
【図36】
本開示内容による更なる代替封止装置の概略断面図である。
【図37】
図36の封止装置の更なる概略断面図である。
【図38】
図36の封止装置の更なる概略断面図である。
【図39】
図36の封止装置の更なる概略断面図である。
【図40】
図36の封止装置の更なる概略断面図である。
【図41】
図36の封止装置の更なる概略断面図である。
【図42】
図36の封止装置の更なる概略断面図である。
【図43】
本開示内容による更なる代替封止装置の概略断面図である。
【図44】
本開示内容による更なる代替封止装置の概略断面図である。
【図45】
本開示内容による更なる代替封止装置の概略断面図である。
【図46】
図45の封止装置の更なる概略断面図である。
【図47】
図45の封止装置の更なる概略断面図である。
【図48】
図45の封止装置の更なる概略断面図である。
【図49】
図45の封止装置の更なる概略断面図である。
【図50】
図45の封止装置の更なる概略断面図である。
【図51】
図45の封止装置の更なる概略断面図である。
【図52a】
本開示内容による更なる代替封止装置のある局面の概略断面図である。
【図52b】
本開示内容による更なる代替封止装置のある局面の概略断面図である。
【図53a】
本開示内容による更なる代替封止装置のある局面の概略断面図である。
【図53b】
本開示内容による更なる代替封止装置のある局面の概略断面図である。
【図54】
図52〜図53に記載されている局面を組み入れた封止装置の概略断面図である。
【図55】
図52〜図53に記載されている局面を組み入れた封止装置の概略断面図である。
【図56】
図52〜図53に記載されている局面を組み入れた封止装置の概略断面図である。
【図57】
図52〜図53に記載されている局面を組み入れた封止装置の概略断面図である。
【図58】
図52〜図53に記載されている局面を組み入れた封止装置の概略断面図である。
【図59】
本開示内容による更なる代替封止装置の概略断面図である。
【図60】
図59の封止装置の更なる概略断面図である。
【図61】
図59の封止装置の更なる概略断面図である。
【図62】
図59の封止装置の更なる概略断面図である。
【図63】
図59の封止装置の更なる概略断面図である。
Claims (33)
- ハウジング内のシャフトを封止するためのシールアセンブリであって、
a)前記シャフトに向かい半径方向に偏倚されると共に、前記ハウジングに対して装着される複数の弾性シール部材を備え、該弾性シール部材のうちの少なくとも1つは、前記シャフトと接触しない先行装着状態と、前記シャフトに封止接触する装着状態とをとるように配置されており、
b)前記シャフトと軸方向に整列すると共に、前記シャフトと先行装着状態にある前記少なくとも1つの弾性シール部材との間に介在する隙間スペースを画成するものであって、前記シャフトに対して移動可能に装着されたバリヤ部材を備え、
前記少なくとも1つの弾性シール部材は、前記シャフトに対する前記バリヤ部材の移動に応じて前記先行装着状態から前記装着状態に配備され、前記移動により前記少なくとも1つの弾性シール部材と前記シャフトとの間の封止係合が行われる、
シールアセンブリ。 - 前記シャフトは、これに固着された同心のスリーブを含んでいる、請求項1に記載のシールアセンブリ。
- 前記バリヤ部材は、前記シャフトを囲んで同心に装着されたバリヤスリーブを備えている、請求項1に記載のシールアセンブリ。
- 前記複数の弾性シール部材がリップシールである、請求項1に記載のシールアセンブリ。
- 前記シャフトが回転している、請求項1に記載のシールアセンブリ。
- 前記バリヤ部材は、前記シャフトに対して軸方向の移動が可能に装着されている、請求項1に記載のシールアセンブリ。
- 前記複数の弾性シール部材は、先行装着状態及び装着状態をとるように構成された第1及び第2の弾性シール部材を含み、該第1及び第2の弾性シール部材は、前記シャフトに対する前記バリヤ部材の軸方向移動に応じて前記先行装着状態から前記装着状態に順繰りに配備にされる、請求項6に記載のシールアセンブリ。
- 前記第1及び第2の弾性シール部材の前記順繰りの配備によって、前記第1及び第2の弾性シール部材と前記シャフトとの間の封止係合が順繰りに行われる、請求項7に記載のシールアセンブリ。
- 前記第2の弾性シール部材は、前記第1の弾性シール部材の破損に応答して前記シャフトとの封止係合の配備について前記シャフトとの封止係合を維持し、前記第1の弾性シール部材は、前記破損にもかかわらず前記シャフトに対して部分的な封止を行って前記シャフトとの封止係合を維持している、請求項7に記載のシールアセンブリ。
- 漏洩検出器と漏洩制御機構とを更に含み、前記漏洩制御機構は、前記複数の弾性シール部材に対する漏洩を検知する前記漏洩検出器に応答して前記順繰りの配備を自動的に行うようになっている、請求項7に記載のシールアセンブリ。
- 前記第1及び第2の弾性シール部材間に、少なくとも部分的に配置された流体路を更に備えている、請求項7に記載のシールアセンブリ。
- 前記流体路は、洗浄流体、冷却流体、潤滑流体、バリヤ流体及びそれらの組合せからなるグループから選択された流体を供給するように構成されて寸法決めされている、請求項11に記載のシールアセンブリ。
- 前記シャフトに対する前記バリヤ部材の軸方向移動を制限する制御機構を更に備えている、請求項7に記載のシールアセンブリ。
- 前記制御機構は、前記バリヤ部材の軸方向移動について少なくとも1つの所定増分を規定している、請求項13に記載のシールアセンブリ。
- 前記少なくとも1つの所定増分は、前記先行装着状態から前記装着状態への前記少なくとも1つの弾性シール部材の配備に対応している、請求項14に記載のシールアセンブリ。
- 前記少なくとも1つの所定増分は、移動止め機構により規定されている、請求項14に記載のシールアセンブリ。
- 先行装着状態から装着状態へ配備されるように構成された少なくとも1つの追加の弾性シール部材を更に備え、該少なくとも1つの追加の弾性シール部材は、前記第1及び第2の弾性シール部材と共に順繰りに前記シャフトに対する前記バリヤ部材の軸方向移動に応じて前記先行装着状態から前記装着状態に配備されている、請求項7に記載のシールアセンブリ。
- 前記シャフトに対する前記バリヤ部材の移動を行うための機構を更に備えている、請求項1に記載のシールアセンブリ。
- 前記機構は、モータ、流体駆動のピストン及びそれらの組合せからなるグループから選択されている、請求項18に記載のシールアセンブリ。
- 前記シャフトに対する前記バリヤ部材の軸方向移動についての少なくとも1つの所定増分を規定する制御機構を更に備え、前記機構による前記シャフトに対する前記バリヤ部材の前記移動は前記制御機構により限界が定められている、請求項18に記載のシールアセンブリ。
- 前記バリヤスリーブは、その軸線に沿って少なくとも1つの切込み線を含んでいる、請求項1に記載のシールアセンブリ。
- a)少なくとも一部が固定ハウジング内に装着された可動シャフトを含む機械ユニットと、
b)前記シャフトを封止するため前記固定ハウジング内に装着されたシールアセンブリとの組合せであり、該シールアセンブリは、
i) 前記固定ハウジングに対して装着される複数の弾性シール部材を備え、該弾性シール部材のうちの少なくとも1つは、前記シャフトと接触しない先行装着状態と、前記シャフトに封止接触する装着状態とをとるように配置されており、
ii)前記シャフトと前記少なくとも1つの弾性シール部材との間に介在して前記シャフトと軸方向に整列するバリヤ領域を画成すると共に、前記シャフトに対して移動可能に装着されたバリヤ部材を備え、
前記少なくとも1つの弾性シール部材は、前記シャフトに対する前記バリヤ部材の移動に応じて前記先行装着状態及び前記装着状態間に並進して配備され、前記移動により前記少なくとも1つの弾性シール部材と前記シャフトとの間の封止係合が行われる、
組合せ。 - 前記機械ユニットは、ポンプ、弁、レギュレータ、モータ及びコンプレッサからなるグループから選択されている、請求項18に記載の組合せ。
- 前記複数の弾性シール部材は、先行装着状態及び装着状態をとるように配置された第1及び第2の弾性シール部材を含み、該第1及び第2の弾性シール部材は、前記シャフトに対する前記バリヤ部材の軸方向移動に応じて前記先行装着状態及び前記装着状態間に変わることにより、前記シャフトを封止すべく順繰りに配備されている、請求項18に記載の組合せ。
- 前記バリヤ部材は、前記シャフトに対して軸方向に移動可能に装着されている、請求項18に記載の組合せ。
- ハウジング内のシャフトを封止するため、前記ハウジングに対して装着された第1及び第2の弾性シール部材を含むシールアセンブリにおいて、
前記シャフトと軸方向に整列するバリヤ領域を画成すると共に、前記シャフトに対して軸方向に移動可能に装着されており、前記バリヤ領域は、前記シャフトと前記第1及び第2の弾性シール部材との間に介在しているバリヤ部材を備え、
前記第1及び第2の弾性シール部材は、前記シャフトに対する前記バリヤ部材の並進に応じて前記シャフトに順繰りに封止係合する、
ように改良したシールアセンブリ。 - 前記シャフトに対する前記バリヤ部材の軸方向移動を行うためのモータを更に備えている、請求項26に記載のシールアセンブリ。
- 前記モータは、前記バリヤ部材の軸方向移動について少なくとも1つの所定増分を規定する制御機構を含んでいる、請求項27に記載のシールアセンブリ。
- 固定ハウジング内に装着されたシャフトを相手にして封止を行う方法であって、
a)前記固定ハウジングに対して装着された第1及び第2の弾性シール部材と、前記シャフトに軸方向に整列するバリヤ領域を画成すると共に、前記シャフトに対して軸方向移動が可能に装着されるバリヤ部材とを含み、前記バリヤ領域は前記シャフトと少なくとも前記第2の弾性シール部材との間に介在しているシールアセンブリを用意し、
b)前記第2の弾性シール部材を前記バリヤ部材の介在から解放するのに十分な距離だけ前記バリヤ部材を前記シャフトに対して軸方向に移動させて、前記第2の弾性シール部材を前記バリヤ部材の移動に応じて前記シャフトとの封止係合状態に弾性的に移動させる、
方法。 - 前記バリヤ部材は、前記シャフトと前記第1及び第2の弾性シール部材との間に介在しており、更に、
c)前記第1及び第2の弾性シール部材を前記バリヤ部材の介在から順繰りに解放するのに十分な距離だけ前記バリヤ部材を前記シャフトに対して軸方向に移動させて、前記第1及び第2の弾性シール部材を前記バリヤ部材の移動に応じて前記シャフトとの封止係合状態に順繰りに弾性的に移動させる、
ことを含む、請求項29に記載の方法。 - 前記バリヤ部材は、該バリヤ部材のピストン状の運動を行わせるチャンバに加圧流体を案内することにより、前記シャフトに対して軸方向に移動される、請求項29に記載の方法。
- 漏洩検出器及び漏洩制御機構を更に備え、該漏洩制御機構は、前記シールアセンブリに対する漏洩を検知する前記漏洩検出器に応答して前記バリヤ部材の前記軸方向移動を自動的に行うようにしている、請求項29に記載の方法。
- 前記シャフトは、前記固定ハウジングに対して移動しており、前記シャフトに対する前記バリヤ部材の前記移動は、前記シャフトの移動を中断することなく行われる、請求項29に記載の方法。
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