JP2004500369A - 角膜血管新生を治療するための抗血管形成因子をコードする核酸を含むベクターの使用 - Google Patents
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Abstract
本発明は、角膜血管新生を予防、改善及び/または治療するための抗血管形成因子をコードする核酸を含むベクターの使用に関する。
Description
【0001】
本発明は、角膜血管新生を予防、改善及び/または治療するための抗血管形成因子をコードする核酸を含むベクターの使用に関する。本発明はまた、このようなベクターを有効に局所投与し得る医薬組成物及びデバイスに関する。
【0002】
角膜症は、外傷、薬物、感染または遺伝などが原因となる角膜疾患である。最も多い症例はヘルペス性角膜症または帯状疱疹性角膜症(眼角膜性神経麻痺性帯状疱疹)のようなウイルス感染による角膜症である。外傷性角膜症は、交通事故などでフロントガラスの破片のような小異物が眼内に飛入することによって発症し、薬物性角膜症は化学物質の飛沫が眼球にかかることによって発症する。
【0003】
上記のようなすべての角膜症ではしばしば血管新生が併発する。血管新生は角膜混濁の最大原因であり、失明に至ることもある。血管新生を併発した失明のおそれのある角膜症に罹患した患者の視力を回復するために現在使用できる唯一の治療方法は角膜移植である。角膜移植は有効な方法ではあるが、移植組織の不足が重大な制約になっている。例えばフランスでは年間3000体の移植組織が不足している。このような現状から、失明の恐れがある角膜症の新規な治療方法が要望されている。
【0004】
眼球は、角膜、房水で満たされた前房、虹彩及び水晶体を含む前眼部と、網膜、脈絡膜及び強膜後部を含む後眼部とから構成されている。角膜は眼の表面から奥に向かって、角膜上皮、ボウマン基底膜、角膜固有質及びデスメ膜を含み、デスメ膜が角膜内皮を支えている。透明な線維性エンベロープである角膜は血管及びリンパ管を全く含まない。角膜に供給される栄養は、房水及び輪部(強膜と角膜との連接部)の血管から拡散される代謝物質であり、また、角膜に供給されるO2の一部分は外部環境から直接取り込まれる。
【0005】
眼の血管網は眼動脈から個別の2つの血管系、即ち、網膜血管系とブドウ膜血管系とに分岐する。ブドウ膜血管系は、虹彩、毛様体及び脈絡膜の血管網を含む。この血管系統樹は、血流量の減少または酸素量の減少を特徴とする疾患状態では変化する。即ち、新生血管が、細静脈からの小血管回路から虚血ゾーン近傍において生じる。これらの細静脈の基底膜はタンパク質分解酵素の作用下で分断され、その結果として内皮細胞が泳動し得る。内皮細胞は形態変化を生じ、増殖し、次いでその液胞が拡大する。拡大した液胞は徐々に集密化して組織化され、真正の血管内腔を形成する。これらの新生血管では内皮細胞間の接合部の気密性が十分でなく、また、新生血管の基底膜が途切れているので、血管の透過性が高くなり、赤血球の管外遊出が生じる。
【0006】
従って、このような血管新生または血管形成が、視力低下を引き起こし、最悪の場合には失明を引き起こす多くの視力障害の原因である。幾つかのウイルス性角結膜炎、特にヘルペスウイルスによって引き起こされるウイルス性角結膜炎及び浮腫のような多くの病的状態では、角膜の表層で縁部血管の増殖が観察される。失明を引き起こし易い別の形態の血管新生は、翼状片の場合に見出される。翼状片は、血管をもつ結膜由来の膜が眼球周辺結膜から角膜表面に侵入し、場合によってはもっと奥の角膜固有質まで侵入したものである。また、翼状片が存在するときは角膜移植手術が極めて難しく、角膜血管新生が再発し易い。
【0007】
本発明の発明者らは角膜血管新生の特に有効な予防及び/または治療方法を開発することに成功した。本発明方法は、抗血管形成因子をコードするベクターを含む医薬組成物の点眼と角膜接触用ソフトレンズの装用との組合せから成る。接触用レンズの装用時期は、ベクター含有組成物の点眼よりも前、同時または後のいずれの時期でもよい。好ましくは接触用レンズの装用をベクター含有組成物の点眼と同時に行う。より好ましくはレンズを角膜に装用する前にベクター含有組成物を接触用レンズに予め含浸させておく。
【0008】
ベクターを含む医薬組成物は眼内使用に適応するいかなる形態でもよく、特に洗眼剤または眼科用軟膏の形態でよい。好ましくは医薬組成物が洗眼剤の形態である。
【0009】
血管新生に付随する眼病を予防及び治療する抗血管形成因子の効果を試験するために、出願人らは、角膜血管新生を生じている2つのラットを動物モデルとして使用した。抗血管形成因子をコードする核酸の導入は、種々の抗血管形成因子をコードする欠陥組換えアデノウイルスを利用し、このようなアデノウイルスを点眼することによってまたはアデノウイルス含有溶液を予め含浸させたソフトレンズを装用することによって行う。出願人らは予想外にも、ベクター含有溶液を予め含浸させた接触用レンズを使用し、抗血管形成因子をコードする核酸を含むベクターを角膜の処に導入するとこれまでに比類のない効率で角膜血管新生を予防及び治療し得ることを知見した。
【0010】
本発明の範囲内で使用し得る種々の抗血管形成因子としては特に、プラスミノーゲンuPAのアクチベーターのN末端フラグメント(ATF)(Appellaら,J.Biol.Chem.262,4437−4440(1987))、アンギオスタチン(M.O’Reillyら,Cell 79,1157−1164(1994))、特にアンギオスタチンK3(ヒトプラスミノーゲンのN末端1−333フラグメント)、エンドスタチン(M.O’Reillyら,Cell 88,277−285(1997))、プロラクチンの16kDaフラグメント(C.Clappら,Endocrinol.133,1292−1299(1993))または血小板4因子PF−4(S.K.Guptaら,P.N.A.S.USA 92,7799−7803(1995))が挙げられる。
【0011】
本発明の第一の目的は、角膜血管新生の予防、改善及び/または治療の目的でソフトレンズに含浸させ該レンズを角膜に装用することによって投与される医薬組成物を製造するための少なくとも1つの抗血管形成因子をコードする核酸を含むベクターの使用に関する。
【0012】
好ましくは、抗血管形成因子をコードする核酸は、プラスミノーゲンuPAのアクチベーターのN末端フラグメント(ATF)、アンギオスタチン、アンギオスタチンK3、エンドスタチン、プロラクチンの16kDaフラグメントまたは血小板因子4(PF−4)から選択されたポリペプチドをコードする核酸であるか、または、これらの因子の少なくとも2つをコードする核酸の組合せである。より好ましくは、抗血管形成因子が、プラスミノーゲンuPAのアクチベーターのN末端フラグメント(ATF)及びアンギオスタチンK3から選択される。
【0013】
特定実施態様によれば、抗血管形成因子は上記に挙げた因子の変異体である。本文中で全く同様に使用されたポリペプチドまたはタンパク質の“変異体”なる用語は、ポリペプチドまたはタンパク質に由来し該ポリペプチドまたは該タンパク質の抗血管形成機能を保持している誘導形態または突然変異形態のフラグメントを意味する。ポリペプチドまたはタンパク質の種々の変異体は自然状態でも存在し得る。これらの変異体は、タンパク質をコードする構造遺伝子のヌクレオチド配列の違いを特徴とする対立遺伝子型変異でもよく、または、分画スプライシングもしくは翻訳後修飾によって生じた変異でもよい。これらの変異体は、1つまたは複数のアミノ酸残基の置換、欠失、付加及び/または修飾によって得られてもよい。これらの修飾は、当業者に公知の任意の技術によって行われる。
【0014】
これらの変異体は特に、結合部位に対する親和性が強化された分子、in vivo発現を改善し得る配列、プロテアーゼ抵抗性が増加した分子、治療効果が増加した分子、副作用が減少した分子、または場合によっては新規な生物特性を獲得した分子である。
【0015】
本発明の範囲内で使用し得る別の変異体としては特に、1つまたは複数の残基が置換された分子、考察される結合部位との相互作用に全くもしくは殆ど関与しない領域または望ましくない活性を発現する領域を欠失させることによって得られた誘導体、または、天然型配列に対して追加された残基、例えば、分泌シグナル及び/または接合ペプチドを含む誘導体がある。
【0016】
本発明の範囲内で使用される抗血管形成因子をコードするDNA配列は、cDNAでもゲノムDNA(gDNA)でもよく、または、例えば1つもしくは複数のイントロンが挿入されたcDNAから成るハイブリッド構築物でもよい。これらはまた、動物またはヒトに由来の核酸でもよく、好ましくはヒトに由来の核酸である。また、合成または半合成の配列でもよい。cDNAまたはgDNAの使用が特に有利である。より詳細には、gDNAを使用するとヒト細胞内の発現が改善される。
【0017】
抗血管形成因子をコードする配列は、このような配列を角膜上皮細胞内で発現させ得るシグナルのコントロール下に配置されるのが有利である。異種の発現シグナル、即ち、抗血管形成因子の発現を担当する生来のシグナルとは異なるシグナルが好ましい。特に好ましい配列は別のタンパク質の発現を担当する配列または合成配列である。より特定的には、真核細胞遺伝子またはウイルス遺伝子のプロモーター配列である。例えば、感染対象細胞のゲノムに由来するプロモーター配列がある。また、使用するアデノウイルスも含めたウイルスのゲノムに由来のプロモーター配列がある。ウイルスプロモーターの例としては、E1A、MLP、CMV、LTR−RSVのようなプロモーターを挙げることができる。更に、活性化配列、調節配列、または組織特異的発現を行わせる配列を付加することによってこれらの発現配列を修飾してもよい。より詳細には、ベクターが実際に細胞に感染したときにだけDNA配列を発現して機能するような特異的活性または優越的活性を角膜細胞内で有し得る発現シグナルを使用するのが特に好ましい。
【0018】
1つまたは複数の抗血管形成因子をコードする核酸をベクターに導入する。本発明に使用された“ベクター”なる用語は、好ましくは眼組織、より特定的には角膜で宿主細胞に核酸を導入し得る任意の手段を意味する。ベクターなる用語は、in vivoまたはex vivoで細胞に核酸を導入するウイルスベクターまたは非ウイルスベクターを含意する。本発明で使用し得るベクターの種類としては、プラスミド、コスミドまたはウイルスによってキャプシド内包化されていないいずれかのDNA、ファージ、人工染色体、組換えウイルスなどがある。好ましいベクターはプラスミドまたは組換えウイルスである。
【0019】
プラスミド型ベクターとしては、一般的に複製起点を含んでいる当業者に公知のすべてのクローニングベクター及び/または発現ベクターを挙げることができる。また、例えば国際特許出願WO96/26270及びWO97/10343に記載されているように改良された複製起点及び/または選択マーカーを含むプラスミドが挙げられる。
【0020】
組換えウイルス型ベクターとしては、組換えアデノウイルス、組換えレトロウイルス、組換えヘルペスウイルス、組換えレンチウイルス、組換えアデノ関連ウイルス、またはSV40ウイルスが好ましい。複製に使用されるこの種の欠陥組換えウイルスの構築に関しては、これらのベクターの感染特性と共に多くの文献に記載されている(特に、S.Baeck & K.L.March(1998),Circul.Research vol.82,pp295−305;T.Shenk,B.N.Fields,D.M.Knipe,P.M.Howleyら(1996),Adenoviridae:the viruses and their replication(in virology),pp211−2148,EDS −Ravenspublishers/Philadelphia;P.Yeh & M.Perricaudet(1997),FASEB Vol.11,pp615−623参照)。
【0021】
本発明に使用するための特に好ましい組換えウイルスは欠陥組換えアデノウイルスである。
【0022】
アデノウイルスは、約36kb(キロ塩基)のサイズをもつ直鎖状の二重鎖DNAウイルスである。このウイルスには種々の血清型が存在しており、それらの構造及び特性には多少の違いがあるが、似通った遺伝子編成を有している。組換えアデノウイルスは主としてヒトまたは動物に由来し得る。ヒト由来の組換えアデノウイルスとしては、グループCに分類されるアデノウイルス、特にアデノウイルス2型(Ad2)、5型(Ad5)、7型(Ad7)または12型(Ad12)が好ましい。動物に由来する種々のアデノウイルスのうちでは、イヌ由来のアデノウイルス、特にアデノウイルスCAV2のすべての菌株〔マンハッタン株またはA26/61(例えばATCC VR−800)〕が好ましい。動物由来のその他のアデノウイルスは、特に国際特許出願WO94/26914に記載されている。該特許出願の記載内容は参照によって本発明に含まれるものとする。
【0023】
アデノウイルスのゲノムは特に、各末端の逆方向反復配列(IRS)、キャプシド内包化配列(Psi)、初期遺伝子及び後期遺伝子を含む。主要な初期遺伝子は領域E1、E2、E3及びE4に含まれている。これらの遺伝子のうちでは領域E1に含まれている遺伝子がウイルス伝播に特に必要である。主要な後期遺伝子は領域L1−L5に含まれている。アデノウイルスAd5のゲノムの配列は完全に解明されており、データベースでアクセスし得る(特にGenbank M73260参照)。また、その他のアデノウイルス(Ad2、Ad7、Ad12など)のゲノムについても、配列の一部または全部が解明されている。
【0024】
組換えベクターとして使用するための種々の治療用遺伝子を組み込んだアデノウイルスに由来の種々の構築物が作製されている。これらの構築物の各々では、アデノウイルスが感染細胞内で複製できないようにを修飾されている。すなわち、従来技術に記載の構築物はウイルス複製に必須の領域E1が欠失しており、欠失箇所に異種DNA配列が挿入されている(Levreroら,Gene 101(1991)195;Gosh−Choudhuryら,Gene 50(1986)161)。更に、ベクターの特性を改善するために、アデノウイルスのゲノムに別の欠失または修飾を加えることが提案されている。例えば突然変異体ts125には、DNAに結合する72kDaのタンパク質(DBP)を失活させ得る感熱性点突然変異が導入されている(Van der Vlietら,J.Virol.,1975,15(2)348−354)。別のベクターではウイルスの複製及び/または伝播に必須の別の領域、即ち領域E4が欠失している。領域E4は実際、後期遺伝子の発現の調節、後期核RNAの安定性、宿主細胞のタンパク質発現の減衰、ウイルスDNAの複製効率に関与する。従って領域E1とE4とが欠失したアデノウイルスベクターは転写バックグラウンドノイズを有しており、また、ウイルスゲノムの発現が極めて減少している。このようなベクターは例えば国際特許出願WO94/28152、WO95/02697、WO96/22378に記載されている。更に、IVa2遺伝子に修飾を含むベクターも記載されている(国際特許WO96/10088)。
【0025】
本発明の好ましい実施態様では、組換えアデノウイルスがグループCのヒトアデノウイルスである。より好ましくはアデノウイルスがアデノウイルスAd2またはAd5である。
【0026】
本発明の範囲内で使用される組換えアデノウイルスはそのゲノムの領域E1に欠失を生じているのが有利である。より詳細には、組換えアデノウイルスが領域E1a及びE1bに欠失を生じている。欠失は例えばヌクレオチド453−3328;386−3446または357−4020(Ad5のゲノムに基づく)をあげることができる。
【0027】
別の実施態様によれば、本発明の範囲内で使用される組換えアデノウイルスは更にそのゲノムの領域E4に欠失を生じている。より詳細には領域E4の欠失は読取り枠全体に関係している。より正確には例えば33466−35535または33093−35535が欠失している。領域E4の別の種類の欠失は国際特許出願WO95/02697及びWO96/22378に記載されている。これらの特許出願は参照によって本発明に含まれるものとする。
【0028】
抗血管形成因子をコードする核酸を含む発現カセットを組換えゲノムの種々の部位に挿入し得る。発現カセットは領域E1、E3またはE4の処に欠失配列に置換して挿入されてもよくまたは追加部分として挿入されてもよい。また、ウイルスの産生に必要なシス配列(IRS配列及びキャプシド内包化配列)以外の別の部位に挿入されてもよい。
【0029】
本発明に使用された核酸の“発現カセット”なる用語は、特定の制限部位でベクターに挿入できるDNAフラグメントを意味する。該DNAフラグメントは、RNAまたは有益なポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に加えて、この有益な配列の発現に必要な配列((1つまたは複数の)エンハンサー、(1つまたは複数の)プロモーター、ポリアデニル化配列、など)を含んでいる。DNAフラグメント及び制限部位は、該フラグメントが転写及び/または翻訳に適した読取り枠に確実に挿入されるように設計されている。
【0030】
組換えアデノウイルスは、キャプシド内包化系において、即ち、組換えアデノウイルスゲノムの1つまたは複数の欠損機能をトランス相補し得る細胞系において作製される。当業者に公知のキャプシド内包化系としては、例えば、アデノウイルスゲノムの一部が組み込まれた293細胞系がある。より正確には、293系は、左側のIRSとキャプシド内包化領域と領域E1a及びE1bから成る領域E1とタンパク質pIXをコードする領域とタンパク質pIVa2をコードする領域の一部とを含むアデノウイルス血清型5(Ad5)のゲノムの左端(約11−12%)を含むヒト腎胚細胞系である。この系は、領域E1に関する欠陥組換えアデノウイルス、即ち、領域E1の全部または一部を喪失した欠陥組換えアデノウイルスをトランス相補し、高い力価をもつウイルス株を産生し得る。この系はまた、感熱性変異E2を更に含むウイルス株を許容温度(32℃)で産生し得る。領域E1を相補し得る別の細胞系としては特に、ヒト肺癌細胞A549(国際特許94/28152)またはヒト網膜芽細胞(Hum.Gen.Ther.(1996)215)に基づく細胞系が記載されている。更に、アデノウイルスの複数の機能をトランス相補し得る系も記載されている。特に、領域E1及びE4を相補する系(Yehら,J.Virol.Vol.70(1996)pp559−565;Cancer Gen.Ther.2(1995)322;Krougliakら,Hum.Gen.Ther.6(1995)1575)並びに領域E1及びE2を相補する系(国際特許WO94/28152、WO95/02697、WO95/27071)がある。
【0031】
組換えアデノウイルスは通常、ウイルスDNAをキャプシド内包化系に導入し、次いで約2日または3日後に細胞を溶解(アデノウイルスサイクル速度は24−36時間)することによって作製する。この方法を実施するために、導入されるウイルスDNAは、細菌(国際特許96/25506)または酵母(国際特許WO95/03400)中で場合によって構築された完全組換えウイルスゲノムでよく、このDNAはこの細胞にトランスフェクトされる。また、キャプシド内包化系の感染に使用された組換えウイルスでもよい。ウイルスDNAはまた、キャプシド内包化細胞に導入された後に種々のフラグメント間の相同的組換えによって組換えウイルスゲノムが復元されるよう、各々が組換えウイルスゲノムの一部分と相同ゾーンとを含んでいるフラグメントの形態で導入されてもよい。
【0032】
細胞の溶解後、組換えウイルス粒子を塩化セシウム勾配遠心によって単離する。代替方法は国際特許出願WO98/00528に記載されている。該特許出願は参照によって本発明に含まれるものとする。
【0033】
本発明に好適に使用し得るベクターの例としては特に、参照によって本発明に含まれる国際特許出願WO98/49321に記載されたようなフラグメントATFをコードする遺伝子を含む欠陥組換えアデノウイルス(Ad.CMV.ATF)、国際特許出願WO98/49321に記載されたようなアンギオスタチンK3をコードする遺伝子を含む欠陥組換えアデノウイルス(Ad−K3)がある。
【0034】
本発明はまた、上記のようなベクターと、眼内投与剤、特に点眼剤の調製に使用できる生理的に許容されるビヒクルとから成る医薬組成物に関する。医薬組成物は主として、無菌等張性の生理的塩類溶液(リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムまたは塩化マグネシウムなど、あるいはそれらの混合物)の形態であるか、または、滅菌水もしくは生理的血清を適宜添加することによって点眼溶液を復元し得る乾燥組成物、特に凍結乾燥組成物の形態である。
【0035】
点眼または接触レンズの含浸に使用される用量は、種々のパラメーター、特に使用される投与方式、接触レンズの化学的特性、発現させる遺伝子、あるいは所望の発現期間に従って適宜増減される。一般的には、本発明の組換えウイルスを、104から1014pfu、好ましくは106から1010pfuの用量の形態に製剤化して投与する。pfu(“プラーク形成単位”)なる用語は、ウイルス溶液の感染能を示しており、適当な細胞培養物を感染させ、感染細胞プラークの数を測定することによって決定する。ウイルス溶液のpfu力価を決定する技術は文献に詳細に記載されている。
【0036】
更に、本発明の組成物はまた、化学的または生化学的な導入剤を含有し得る。“化学的または生化学的な導入剤”なる用語は、細胞内への核酸の侵入を促進する任意の化合物(即ち、組換えウイルス以外の化合物)を意味する。その例は、カチオン性脂質、ペプチド、ポリマー(ポリエチレンイミン、ポリリシン)、ナノ粒子のようなカチオン性の非ウイルス物質、または、非カチオン性リポソーム、非カチオン性ポリマーまたは非カチオン性ナノ粒子のような非カチオン性の非ウイルス物質である。
【0037】
好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は抗血管形成因子をコードする遺伝子を含む欠陥組換えベクターを含んでおり、点眼薬として製剤化されている。本発明の組成物は、104から1014pfu、好ましくは106から1010pfuを含んでいるのが有利である。接触レンズの含浸に使用される溶液の力価は1.106から1.1012pfu/ml、好ましくは1.108から1,1010pfu/mlの範囲である。
【0038】
本発明はまた、上記のような組成物を収容した容器と少なくとも1個の接触レンズとから成るキットに関する。また、角膜血管新生の予防、改善及び/または治療の目的でレンズに含浸させることによって投与する医薬を製造するためのこのようなキットの使用に関する。
【0039】
本発明の範囲内で使用される接触レンズは当業者に公知であり、好ましくは特に、Kunzlerら(Chemistry & Industry,651−655(1995));Kunzlerら(TRIP,Vol 4(2)52−59(1996));J.Singhら(J.M.S.Rev.Macromol.Chem.Phys.C32(3&4),521−534(1992));J.C.Wheelerら(Journal of Long−Term Effects of Medical Implants,6(3&4):207−217(1996))に記載されているような接触用ソフトレンズである。
【0040】
本発明の目的はまた、抗血管形成因子をコードする核酸を含む組換えベクターを医薬として許容される1種または複数の相溶性アジュバントに混合することを特徴とする、角膜血管新生の予防、改善及び/または治療に有用な医薬の製造方法を提供することである。
【0041】
本発明はまた、抗血管形成因子をコードする核酸を含む有効量の組換えベクターを接触レンズに含浸させることによって投与することを特徴とする、角膜血管新生を発症している哺乳動物、特にヒトの治療方法に関する。
【0042】
以下の実施例によって本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は本発明を非限定例にすぎないことは理解されよう。
【0043】
(図面の簡単な説明)
図1は、Ad.β−gal(2.107pfu)を含浸させたレンズに72時間接触させた成体ラットの角膜のパラフィン(5μm)封入切片で観察したβ−ガラクトシダーゼの発現の免疫組織化学的検出。ヘマラム染色。(A)表層擦過後に血管新生を生じた角膜、倍率265倍;(B)抗β−gal抗体によって検出された上皮細胞の核斑、倍率1310倍;(C)対照とした正常な無血管角膜、倍率525倍。(e:上皮;en:内皮;neovx:新生血管;s:固有質)。
【0044】
図2は、2週間前に成体ラットの角膜に設けた縫合線(黒い矢印)によって誘発された角膜血管新生(黒い三角)を示す写真。倍率24倍。
【0045】
図3は、アデノウイルス溶液(Ad.CMV.ATF,図(B)及び(D);AdK3,図(A)及び(C))を含浸させたレンズの予防的抗血管形成効果。倍率20倍。(A)及び(B)は、レンズに1週間接触させた角膜を表す。(C)及び(D)はレンズに2週間接触させた角膜を表す。
【0046】
材料及び方法
分子生物学の普遍的技術
プラスミドDNAの分取抽出、プラスミドDNAの塩化セシウム勾配遠心、アガロースゲルもしくはアクリルアミド電気泳動、電気溶出によるDNAフラグメントの精製、フェノールまたはフェノール−クロロホルムによるタンパク質の抽出、エタノールまたはイソプロパノールによる塩媒体中のDNA沈降、大腸菌の形質転換、などのような分子生物学で慣用の方法は当業者に公知であり、文献にも詳細に記載されている〔Maniatis T.ら,“Molecular Cloning,a Laboratory Manual”,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.,1982;Ausubel F.M.ら(eds),“Current Protocols in Molecular Biology”,John Wiley & Sons,New York,1987〕。
【0047】
結合のためには、アガロースゲルまたはアクリルアミドゲル電気泳動によってDNAフラグメントをサイズに従って分離し、フェノールまたはフェノール/クロロホルム混合物によって抽出し、エタノールで沈殿させ、次いで、製造業者の指示通りにT4ファージのDNAリガーゼ(Biolabs)の存在下でインキュベートする。
【0048】
5′粘着末端の埋め戻しは大腸菌のDNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント(Biolabs)を製造業者の指示通りに使用して行う。3′粘着末端の破壊は製造業者の指示通りに使用したT4ファージのDNAポリメラーゼ(Biolabs)の存在下で行う。5′粘着末端の破壊はヌクレアーゼS1による調節処理によって行う。
【0049】
合成オリゴデオキシヌクレオチドによってin vitroで誘発される突然変異は、Amershamによって販売されているキットを使用し、Taylorら〔Nucleic Acids Res.13(1985)8749−8764〕によって開発された方法に従って行う。
【0050】
いわゆるPCR〔Polymerase−catalyzed Chain Reaction,Saiki R.K.ら,Science 230(1985)1350−1354;Mullis K.B.& Faloona F.A.,Meth.Enzym.155(1987)335−350〕技術によるDNAフラグメントの酵素増幅は、“DNAサーマルサイクラー”(Perkin Elmer Cetus)を製造業者の指示通りに使用して行う。
【0051】
ヌクレオチド配列の検証は、Amershamによって販売されているキットを使用し、Sangerら〔Proc.Ntl.Acad.Sci.USA,74(1977)5463−5467〕によって開発された方法によって行う。
【0052】
ラットの角膜血管新生モデル
体重150gの30匹の雄の成体Wistarラットを15mgのケタミンと1.5mgのキシラジンとの腹腔内注射で麻酔する。全身麻酔に加えて、1滴の塩酸オキシブプロカイン(NovesineRTM)で角膜を局部麻酔する。断続縫合線モデル及び擦過モデルの2つのモデルを試験した。
【0053】
断続縫合線モデル:20匹のラットを使用してこの場合の角膜血管新生の誘発を観察する。手術用顕微鏡(Zeiss)を使用しながら、無菌条件下で動物の右眼の角膜中央に3つの断続縫合線を設ける(縫合糸ナイロン8−0、針50μm)。左眼は手術しないで対照とする。次いで、角膜の新生血管の発達を写真撮影する生物顕微鏡で角膜を追跡する。角膜血管新生を定量するために、二重盲検で眼球を等しい角膜を含む4つの四分円に分割し、四分円の各々の血管新生を0.5刻みの0から3までの段階で評価する。これに基づいて、眼球の各々を0から12までの段階で評価する(W.Streilenら,1996,Invest.Ophtamol.Vis.Sci.37:413−424)。
【0054】
擦過モデル:手術用顕微鏡(Zeiss)下で10匹のラットの右眼の角膜及び角膜輪部の上皮を小刀15°で10分間外科的に擦過し、次いで擦過によって剥離した上皮片をエタノール(EtOH)100°で除去する(A.HUANGら,1988,Ophtalmology 95,228−235)。露出した角膜はほぼ10日間で癒合し、血管新生が生じる。次いで、手術しない左眼を対照とし、断続縫合線モデルの場合と同様にして角膜血管新生を評価する。
【0055】
レンズの製造及び装用:ラット角膜の直径(3mm)よりも小さい直径の打抜き器で使い捨てソフトレンズを打抜く。次いでこのソフトレンズを、各レンズあたりそれぞれ4.5×105pfu(プラーク形成単位)、106pfu及び2×107pfuのアデノウイルスAdK3、Ad.CMV.ATFまたはAd.CMVβgalの溶液に周囲温度で1−2時間浸漬させる。各アデノウイルスの希釈ビヒクルとして用いた10%グリセロールを同様にして浸漬させて対照レンズを準備する。レンズをラットの右眼の角膜に配置し、慎重に瞼板縫合(絹糸6−0、針50μm)を行って再度眼を閉じる。手術しない左眼を対照とする。
【0056】
アデノウイルスによるトランスジーンの発現を検出するためには、(1)β−ガラクトシダーゼだけを検出するときは凍結切片の比色法による検出技術、または、(2)パラフィン切片に対する免疫組織化学的方法、を使用する。
【0057】
(1)誕生直後のWistarラットの右眼にAd.CMVβgalレンズを装用させる。このためには、動物を氷浴に沈めて意識を失わせ、45°に曲がったDowell鋏及びマイクロ外科手術用鉗子を使用し、やがて動物の目が開くときに開眼線となる線に平行に瞼を慎重に切開する。レンズを角膜に配置し、絹糸6.0によって再度眼を閉じる。
【0058】
(2)角膜血管新生が見られない12匹の成体ラット(1ロットあたり4匹)の右眼にAdK3、Ad.CMV.ATFまたはAd.CMVβgalのレンズを装用させ、血管新生が見られる3匹のラットにAd.CMVβgalレンズを装用させる。手術した眼を瞼板縫合によって再び閉じる。
【0059】
検出技術:β−ガラクトシダーゼを検出するために異なる3つの技術を使用する。レンズ装用の72時間後、頸部延長によって動物を殺し、瞼を開いてピンセットで眼球を摘出する。眼球全体または14μmの凍結切片または5μm厚のパラフィン切片のβ−ガラクトシダーゼを検出する。
【0060】
(i)眼球全体:0.5%のグルタルアルデヒド中で周囲温度で1時間定着させた後、眼球の各々(成体ラット及び誕生直後のラット)を2mMのMgCl2を含有するPBS 1X溶液に浸漬させ、次いで両眼ルーペ(Leica)で観察しながら残留筋組織を除去する。次いで眼球の各々を5mMのK3Fe(CN)6、5mMのK4Fe(CN)6、2mMのMgCl2、1mg/mlの5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−b−Dガラクトシド(X−gal)の検出溶液中で37℃で2時間インキュベートする。PBS 1xで複数回の洗浄を行った後、両眼ルーペで観察しながら眼球を写真撮影する。
【0061】
(ii)14μmの凍結切片:誕生直後のラットの眼球を直ちに0.5%グルタルアルデヒド中で周囲温度で1時間維持して定着させ、次いで15%ショ糖中で30分間低温保護する。眼球を次に、イソペンタン中で−30℃で凍結させると組織を−80℃で保存し得る封入用培地(Tissue Tek)を収容した固体プラスチックカップに入れる。眼球をクリオスタット(Leica)で14μmに切断する。次に検出用溶液を切片に直接載せ、湿潤室で37℃で2時間維持する。PBS 1xで10分間ずつ3回洗浄した後、切片を1%ニュートラルレッドで対比染色し、80°、95°、100°の順にアルコール度を漸増させた浴で脱水し、次いでユーキット(eukitt)中でスライドグラスとカバーグラスとに挟んでスライドを作製する。
【0062】
(iii)5μm厚のパラフィン切片:免疫組織化学によるβ−ガラクトシダーゼの検出方法は比色法による従来の検出方法よりもはるかに高感度の技術である。Davidson定着剤に48時間浸漬させた後、成体ラットの眼球を慎重に解剖し、水晶体を除去して、プラスチックカセットに入れ、オートマトンのバスケットに入れて、以下のサイクルで処理する:10%ホルモルで30分;70°のEtOHで1時間;80°のEtOHで1時間;100°のEtOHで1時間ずつ5回;キシレンで1時間30分ずつ2回;パラフィンで1時間ずつ4回。次に眼球をパラフィンに封入し、ミクロトーム(Leica)を使用して視神経に平行に5μmの切片を矢状裁断する。前処理したスライドグラス(DAKO)に切片を集める。
【0063】
切片の定着:抗β−ガラクトシダーゼ抗体(TEBU)による免疫組織化学的検出を有利に行うことができるように、スライドグラスを56℃のオーブンで48時間乾燥し、次いでキシレン浴に15分間ずつ2回浸漬し、100°のEtOH浴に10分間ずつ2回浸漬してパラフィンを除去する。次に切片を流水下に数分間維持して水を含ませる。
【0064】
ブロック及び透過:スライドグラスを0.01Mのクエン酸バッファ,pH6に入れ、先ず周囲温度で5分間維持し、次いでパワー8(750ワット)の電子レンジに入れて5分間ずつ2回加熱する。周囲温度に放冷した後、浸透圧を調節した水で切片を洗浄し、DAKOフレームを付ける。検出用複合体と競合しその結果として反応の判定を不可能にするような組織ペルオキシダーゼを除去するために、3%H2O2を10分間使用する。次に、スライドグラスをPBS 1x、2g/リットルのゼラチン、0.25%のトリトン及び3%のウシ血清アルブミン(BSA)を含有する混合物中で30分間インキュベートして、非特異的部位を飽和させる。
【0065】
標識:ウサギ抗β−ガラクトシダーゼ一次抗体を、PBS 1x、2g/リットルのゼラチン及び0.025%のトリトンの混合物中で1/1000に希釈する。周囲温度で1時間インキュベーション後、抗体の希釈に使用した混合物によって素早く洗浄し、次いで5分間ずつ更に4回洗浄する。ロバ体内で産生させたビオチニル化抗ウサギ第二抗体(DAKO)を、2g/リットルのゼラチンを加えたPBS 1xによって1/200に希釈し、30分間作用させる。次にスライドグラスを希釈媒体で先ず素早く1回、次いで5分間ずつ4回洗浄した後、同じ混合物で1/400に希釈したストレプトアビジン/ペルオキシダーゼ検出用複合体(DAKO)を加えて30分間維持する。5分間ずつ3回洗浄し、発色性基質ジアミノベンジジン(DAB)を加える。検出時間は2−20分の範囲である。浸透圧を調節した水にスライドグラスを浸漬させることによって反応を停止させる。次に、スライドグラスをヘマラムに1分間入れて対比染色し、浸透圧を調節した水で素早く洗浄し、次いでLiCO3中に数秒間維持して違いを生じさせる。スライドグラスを最終的に脱水し、次いでユーキット中でスライドグラスとカバーグラスとに挟んでスライドを作製するまでキシレン中で保存する。
【0066】
実施例1:欠陥組換えアデノウイルスAd.CMV.ATF、AdK3及びAd.CMVβgalの構築
Crouzetら(PNAS vol 94 p.1414,1997)によって記載された一般方法に従ってベクターを構築した。ベクターAd.CMV.ATF及びAdK3の構築に関しては国際特許出願WO98/49321に詳細に記載されている。該特許出願の記載内容は参照によって本発明に含まれるものとする。
【0067】
AdK3の場合には、1KbのトランスジーンがヒトプラスミノーゲンのN−末端フラグメント(残基333まで)に対応し、アンギオスタチン分子の最初の3つのクリングルドメインを含んでいる。
【0068】
Ad.CMV.ATFの場合には、0.5KbのトランスジーンがマウスuPAのN−末端フラグメント(アミノ酸1−135)をコードするcDNAであり、Ad.CMVβgalのトランスジーンは大腸菌lacZのリポーター遺伝子をコードする3.1KbのcDNAを含む。
【0069】
これらの構築物によるアデノウイルス分子の産生及び分泌をそれぞれノーザンブロット法及びウェスタンブロット法によって検証した。腫瘍成長、血管形成及び腫瘍形成のin vivo阻害試験と、bFGFによって刺激された細胞増殖のin vitro阻害試験とをAdK3及びAd.CMV.ATFに対して行った。また、Ad.CMVβgalのX−gal活性も試験した。
【0070】
使用した組換えアデノウイルス予製液の平均力価は、AdK3では4.5×108pfu/ml、Ad.CMV.ATFでは109pfu/ml、Ad.CMVβgalでは6.9×1010pfu/mlである。
【0071】
実施例2:ラットの角膜血管新生モデルで試験した抗血管形成因子をコードするベクターの効果
動物の右眼に装用させたレンズの効果を、(1)角膜との接触期間(1週間または2週間)、(2)抗血管形成因子をコードするベクターの有無、(3)角膜の血管新生の有無、の関数として評価する。
【0072】
角膜血管新生に対するアデノウイルスの“予防”医学効果を研究するためには3つの断続縫合線を設けた直後に角膜にレンズを装用させる。また、“治療”医学効果を研究するためには1週または2週前から角膜血管新生が生じている眼球にレンズを装用させる。
【0073】
1ロット10匹のラットを使用して各アデノウイルスを試験した。5匹では予防効果を試験し、5匹では治療効果を試験する。ビヒクルを含浸させたレンズを装用させた1ロット10匹のラットを対照とする。
【0074】
2つの角膜血管新生動物モデルの試験
3つの断続縫合線を設けることによって角膜の新血管を誘発した場合、手術した動物の100%が角膜血管新生を生じており、反対側の対照眼の角膜は無血管であるので、このような動物は極めて有効なモデルである。処理の第一週目から、血管が、輪部血管アーケードから角膜中心に引き込まれ、角膜の表層で増殖している。
【0075】
角膜血管新生の発達を示す各眼球の平均スコアは縫合線形成の2週後に7+/−2である。この時点で角膜血管新生が最大である。角膜の表層擦過による誘発モデルでは70%だけのラットが角膜血管新生の発達を示す。しかしながら、このモデルの血管新生は前述のモデルの場合よりも均一である。即ち、眼球の4つの四分円の全部に血管新生が生じている。これに反して、縫合線モデルでは血管新生が生じた四分円の数が一定でない。このように血管新生が生じた角膜の表面範囲の不均一性は、輪部に対する縫合線の位置、固有質内の縫合線の深さ及びそれらの大きさに緊密に左右される。擦過の2週後の各眼球の平均スコアは8+/−2である。
【0076】
パラフィンに封入し、過ヨウ素酸/シッフ塩基/ヘマトキシリン混合物で染色した角膜切片では、新血管が主として角膜上皮に出現しているが、固有質にも出現し、また、角膜内皮にも接触している。
【0077】
接触レンズに予め含浸させたアデノウイルスベクターの導入効率
顕微鏡結果:X−gal溶液と共にインキュベーションした後、2×107pfu/μlのアデノウイルスβ−ガラクトシダーゼを含浸させたレンズに接触させたすべての眼球の眼球切片は、誕生直後のラットでは角膜全体に広く散在する斑点、成体ラットでは角膜の広い領域に散在する斑点の形態に青く染色されていた。対照眼球では青い染色は全く観察されない。
【0078】
顕微鏡結果:正常な角膜の凍結切片のβ−ガラクトシダーゼを比色法で検出するとき、標識は主として角膜上皮細胞の核に存在する。
【0079】
パラフィンに封入した血管新生角膜切片では免疫組織化学によって得られる標識が主として角膜内皮細胞の核に見出されるが、角膜上皮細胞及び毛様体上皮細胞の核にも見出される。角膜固有質のケラチノサイト及び固有質内の病的内皮細胞も標識されている(図1)。lacZトランスジーンには核局在性シグナルが付加されているが、幾つかの細胞は検出技術にかかわりなく細胞質に標識を有している。
【0080】
マウスATFまたはヒトアンギオスタチンをコードするアデノウイルスを用いても等しい結果が得られる。このような結果は、パラフィンに封入したラット眼球の切片に対する特異的免疫組織化学反応によって証明された。
【0081】
アデノウイルスAd.CMV.ATF及びAdK3を予め含浸させたレンズによる抗血管形成効果
ビヒクルを含浸させたレンズを血管新生のない角膜に配置したとき、有意な血管形成作用は全く観察されない。
【0082】
Ad.CMVβgalを2×107pfu/μlの濃度で含浸させたレンズによって角膜の炎症現象及び血管新生は全く誘発されない。
【0083】
同様に、Ad.CMV.ATF(106pfu/μl)及びAdK3(4.5×105pfu/μl)のレンズは角膜の炎症反応も血管新生も輪部血管形成の消滅も全く誘発しない。
【0084】
3つの断続縫合線を設けた直後に角膜に装用させたAd.CMV.ATF含浸レンズは、これらの3つの縫合線の形成によって予想された血管新生の発達を第一週から防止する。この効果は2週後にも持続している。AdK3含浸レンズによっても角膜接触の1週後には同じ抗血管形成効果が観察される(図3)。
【図面の簡単な説明】
【図1】Ad.β−gal(2.107pfu)を含浸させたレンズに72時間接触させた成体ラットの角膜のパラフィン(5μm)封入切片で観察したβ−ガラクトシダーゼの発現の免疫組織化学的検出結果を示す。
【図2】2週間前に成体ラットの角膜に設けた縫合線(黒い矢印)によって誘発された角膜血管新生(黒い三角)を示す写真を示す。
【図3】アデノウイルス溶液(Ad.CMV.ATF,図(B)及び(D);AdK3,図(A)及び(C))を含浸させたレンズの予防的抗血管形成効果についての試験結果を示す。
本発明は、角膜血管新生を予防、改善及び/または治療するための抗血管形成因子をコードする核酸を含むベクターの使用に関する。本発明はまた、このようなベクターを有効に局所投与し得る医薬組成物及びデバイスに関する。
【0002】
角膜症は、外傷、薬物、感染または遺伝などが原因となる角膜疾患である。最も多い症例はヘルペス性角膜症または帯状疱疹性角膜症(眼角膜性神経麻痺性帯状疱疹)のようなウイルス感染による角膜症である。外傷性角膜症は、交通事故などでフロントガラスの破片のような小異物が眼内に飛入することによって発症し、薬物性角膜症は化学物質の飛沫が眼球にかかることによって発症する。
【0003】
上記のようなすべての角膜症ではしばしば血管新生が併発する。血管新生は角膜混濁の最大原因であり、失明に至ることもある。血管新生を併発した失明のおそれのある角膜症に罹患した患者の視力を回復するために現在使用できる唯一の治療方法は角膜移植である。角膜移植は有効な方法ではあるが、移植組織の不足が重大な制約になっている。例えばフランスでは年間3000体の移植組織が不足している。このような現状から、失明の恐れがある角膜症の新規な治療方法が要望されている。
【0004】
眼球は、角膜、房水で満たされた前房、虹彩及び水晶体を含む前眼部と、網膜、脈絡膜及び強膜後部を含む後眼部とから構成されている。角膜は眼の表面から奥に向かって、角膜上皮、ボウマン基底膜、角膜固有質及びデスメ膜を含み、デスメ膜が角膜内皮を支えている。透明な線維性エンベロープである角膜は血管及びリンパ管を全く含まない。角膜に供給される栄養は、房水及び輪部(強膜と角膜との連接部)の血管から拡散される代謝物質であり、また、角膜に供給されるO2の一部分は外部環境から直接取り込まれる。
【0005】
眼の血管網は眼動脈から個別の2つの血管系、即ち、網膜血管系とブドウ膜血管系とに分岐する。ブドウ膜血管系は、虹彩、毛様体及び脈絡膜の血管網を含む。この血管系統樹は、血流量の減少または酸素量の減少を特徴とする疾患状態では変化する。即ち、新生血管が、細静脈からの小血管回路から虚血ゾーン近傍において生じる。これらの細静脈の基底膜はタンパク質分解酵素の作用下で分断され、その結果として内皮細胞が泳動し得る。内皮細胞は形態変化を生じ、増殖し、次いでその液胞が拡大する。拡大した液胞は徐々に集密化して組織化され、真正の血管内腔を形成する。これらの新生血管では内皮細胞間の接合部の気密性が十分でなく、また、新生血管の基底膜が途切れているので、血管の透過性が高くなり、赤血球の管外遊出が生じる。
【0006】
従って、このような血管新生または血管形成が、視力低下を引き起こし、最悪の場合には失明を引き起こす多くの視力障害の原因である。幾つかのウイルス性角結膜炎、特にヘルペスウイルスによって引き起こされるウイルス性角結膜炎及び浮腫のような多くの病的状態では、角膜の表層で縁部血管の増殖が観察される。失明を引き起こし易い別の形態の血管新生は、翼状片の場合に見出される。翼状片は、血管をもつ結膜由来の膜が眼球周辺結膜から角膜表面に侵入し、場合によってはもっと奥の角膜固有質まで侵入したものである。また、翼状片が存在するときは角膜移植手術が極めて難しく、角膜血管新生が再発し易い。
【0007】
本発明の発明者らは角膜血管新生の特に有効な予防及び/または治療方法を開発することに成功した。本発明方法は、抗血管形成因子をコードするベクターを含む医薬組成物の点眼と角膜接触用ソフトレンズの装用との組合せから成る。接触用レンズの装用時期は、ベクター含有組成物の点眼よりも前、同時または後のいずれの時期でもよい。好ましくは接触用レンズの装用をベクター含有組成物の点眼と同時に行う。より好ましくはレンズを角膜に装用する前にベクター含有組成物を接触用レンズに予め含浸させておく。
【0008】
ベクターを含む医薬組成物は眼内使用に適応するいかなる形態でもよく、特に洗眼剤または眼科用軟膏の形態でよい。好ましくは医薬組成物が洗眼剤の形態である。
【0009】
血管新生に付随する眼病を予防及び治療する抗血管形成因子の効果を試験するために、出願人らは、角膜血管新生を生じている2つのラットを動物モデルとして使用した。抗血管形成因子をコードする核酸の導入は、種々の抗血管形成因子をコードする欠陥組換えアデノウイルスを利用し、このようなアデノウイルスを点眼することによってまたはアデノウイルス含有溶液を予め含浸させたソフトレンズを装用することによって行う。出願人らは予想外にも、ベクター含有溶液を予め含浸させた接触用レンズを使用し、抗血管形成因子をコードする核酸を含むベクターを角膜の処に導入するとこれまでに比類のない効率で角膜血管新生を予防及び治療し得ることを知見した。
【0010】
本発明の範囲内で使用し得る種々の抗血管形成因子としては特に、プラスミノーゲンuPAのアクチベーターのN末端フラグメント(ATF)(Appellaら,J.Biol.Chem.262,4437−4440(1987))、アンギオスタチン(M.O’Reillyら,Cell 79,1157−1164(1994))、特にアンギオスタチンK3(ヒトプラスミノーゲンのN末端1−333フラグメント)、エンドスタチン(M.O’Reillyら,Cell 88,277−285(1997))、プロラクチンの16kDaフラグメント(C.Clappら,Endocrinol.133,1292−1299(1993))または血小板4因子PF−4(S.K.Guptaら,P.N.A.S.USA 92,7799−7803(1995))が挙げられる。
【0011】
本発明の第一の目的は、角膜血管新生の予防、改善及び/または治療の目的でソフトレンズに含浸させ該レンズを角膜に装用することによって投与される医薬組成物を製造するための少なくとも1つの抗血管形成因子をコードする核酸を含むベクターの使用に関する。
【0012】
好ましくは、抗血管形成因子をコードする核酸は、プラスミノーゲンuPAのアクチベーターのN末端フラグメント(ATF)、アンギオスタチン、アンギオスタチンK3、エンドスタチン、プロラクチンの16kDaフラグメントまたは血小板因子4(PF−4)から選択されたポリペプチドをコードする核酸であるか、または、これらの因子の少なくとも2つをコードする核酸の組合せである。より好ましくは、抗血管形成因子が、プラスミノーゲンuPAのアクチベーターのN末端フラグメント(ATF)及びアンギオスタチンK3から選択される。
【0013】
特定実施態様によれば、抗血管形成因子は上記に挙げた因子の変異体である。本文中で全く同様に使用されたポリペプチドまたはタンパク質の“変異体”なる用語は、ポリペプチドまたはタンパク質に由来し該ポリペプチドまたは該タンパク質の抗血管形成機能を保持している誘導形態または突然変異形態のフラグメントを意味する。ポリペプチドまたはタンパク質の種々の変異体は自然状態でも存在し得る。これらの変異体は、タンパク質をコードする構造遺伝子のヌクレオチド配列の違いを特徴とする対立遺伝子型変異でもよく、または、分画スプライシングもしくは翻訳後修飾によって生じた変異でもよい。これらの変異体は、1つまたは複数のアミノ酸残基の置換、欠失、付加及び/または修飾によって得られてもよい。これらの修飾は、当業者に公知の任意の技術によって行われる。
【0014】
これらの変異体は特に、結合部位に対する親和性が強化された分子、in vivo発現を改善し得る配列、プロテアーゼ抵抗性が増加した分子、治療効果が増加した分子、副作用が減少した分子、または場合によっては新規な生物特性を獲得した分子である。
【0015】
本発明の範囲内で使用し得る別の変異体としては特に、1つまたは複数の残基が置換された分子、考察される結合部位との相互作用に全くもしくは殆ど関与しない領域または望ましくない活性を発現する領域を欠失させることによって得られた誘導体、または、天然型配列に対して追加された残基、例えば、分泌シグナル及び/または接合ペプチドを含む誘導体がある。
【0016】
本発明の範囲内で使用される抗血管形成因子をコードするDNA配列は、cDNAでもゲノムDNA(gDNA)でもよく、または、例えば1つもしくは複数のイントロンが挿入されたcDNAから成るハイブリッド構築物でもよい。これらはまた、動物またはヒトに由来の核酸でもよく、好ましくはヒトに由来の核酸である。また、合成または半合成の配列でもよい。cDNAまたはgDNAの使用が特に有利である。より詳細には、gDNAを使用するとヒト細胞内の発現が改善される。
【0017】
抗血管形成因子をコードする配列は、このような配列を角膜上皮細胞内で発現させ得るシグナルのコントロール下に配置されるのが有利である。異種の発現シグナル、即ち、抗血管形成因子の発現を担当する生来のシグナルとは異なるシグナルが好ましい。特に好ましい配列は別のタンパク質の発現を担当する配列または合成配列である。より特定的には、真核細胞遺伝子またはウイルス遺伝子のプロモーター配列である。例えば、感染対象細胞のゲノムに由来するプロモーター配列がある。また、使用するアデノウイルスも含めたウイルスのゲノムに由来のプロモーター配列がある。ウイルスプロモーターの例としては、E1A、MLP、CMV、LTR−RSVのようなプロモーターを挙げることができる。更に、活性化配列、調節配列、または組織特異的発現を行わせる配列を付加することによってこれらの発現配列を修飾してもよい。より詳細には、ベクターが実際に細胞に感染したときにだけDNA配列を発現して機能するような特異的活性または優越的活性を角膜細胞内で有し得る発現シグナルを使用するのが特に好ましい。
【0018】
1つまたは複数の抗血管形成因子をコードする核酸をベクターに導入する。本発明に使用された“ベクター”なる用語は、好ましくは眼組織、より特定的には角膜で宿主細胞に核酸を導入し得る任意の手段を意味する。ベクターなる用語は、in vivoまたはex vivoで細胞に核酸を導入するウイルスベクターまたは非ウイルスベクターを含意する。本発明で使用し得るベクターの種類としては、プラスミド、コスミドまたはウイルスによってキャプシド内包化されていないいずれかのDNA、ファージ、人工染色体、組換えウイルスなどがある。好ましいベクターはプラスミドまたは組換えウイルスである。
【0019】
プラスミド型ベクターとしては、一般的に複製起点を含んでいる当業者に公知のすべてのクローニングベクター及び/または発現ベクターを挙げることができる。また、例えば国際特許出願WO96/26270及びWO97/10343に記載されているように改良された複製起点及び/または選択マーカーを含むプラスミドが挙げられる。
【0020】
組換えウイルス型ベクターとしては、組換えアデノウイルス、組換えレトロウイルス、組換えヘルペスウイルス、組換えレンチウイルス、組換えアデノ関連ウイルス、またはSV40ウイルスが好ましい。複製に使用されるこの種の欠陥組換えウイルスの構築に関しては、これらのベクターの感染特性と共に多くの文献に記載されている(特に、S.Baeck & K.L.March(1998),Circul.Research vol.82,pp295−305;T.Shenk,B.N.Fields,D.M.Knipe,P.M.Howleyら(1996),Adenoviridae:the viruses and their replication(in virology),pp211−2148,EDS −Ravenspublishers/Philadelphia;P.Yeh & M.Perricaudet(1997),FASEB Vol.11,pp615−623参照)。
【0021】
本発明に使用するための特に好ましい組換えウイルスは欠陥組換えアデノウイルスである。
【0022】
アデノウイルスは、約36kb(キロ塩基)のサイズをもつ直鎖状の二重鎖DNAウイルスである。このウイルスには種々の血清型が存在しており、それらの構造及び特性には多少の違いがあるが、似通った遺伝子編成を有している。組換えアデノウイルスは主としてヒトまたは動物に由来し得る。ヒト由来の組換えアデノウイルスとしては、グループCに分類されるアデノウイルス、特にアデノウイルス2型(Ad2)、5型(Ad5)、7型(Ad7)または12型(Ad12)が好ましい。動物に由来する種々のアデノウイルスのうちでは、イヌ由来のアデノウイルス、特にアデノウイルスCAV2のすべての菌株〔マンハッタン株またはA26/61(例えばATCC VR−800)〕が好ましい。動物由来のその他のアデノウイルスは、特に国際特許出願WO94/26914に記載されている。該特許出願の記載内容は参照によって本発明に含まれるものとする。
【0023】
アデノウイルスのゲノムは特に、各末端の逆方向反復配列(IRS)、キャプシド内包化配列(Psi)、初期遺伝子及び後期遺伝子を含む。主要な初期遺伝子は領域E1、E2、E3及びE4に含まれている。これらの遺伝子のうちでは領域E1に含まれている遺伝子がウイルス伝播に特に必要である。主要な後期遺伝子は領域L1−L5に含まれている。アデノウイルスAd5のゲノムの配列は完全に解明されており、データベースでアクセスし得る(特にGenbank M73260参照)。また、その他のアデノウイルス(Ad2、Ad7、Ad12など)のゲノムについても、配列の一部または全部が解明されている。
【0024】
組換えベクターとして使用するための種々の治療用遺伝子を組み込んだアデノウイルスに由来の種々の構築物が作製されている。これらの構築物の各々では、アデノウイルスが感染細胞内で複製できないようにを修飾されている。すなわち、従来技術に記載の構築物はウイルス複製に必須の領域E1が欠失しており、欠失箇所に異種DNA配列が挿入されている(Levreroら,Gene 101(1991)195;Gosh−Choudhuryら,Gene 50(1986)161)。更に、ベクターの特性を改善するために、アデノウイルスのゲノムに別の欠失または修飾を加えることが提案されている。例えば突然変異体ts125には、DNAに結合する72kDaのタンパク質(DBP)を失活させ得る感熱性点突然変異が導入されている(Van der Vlietら,J.Virol.,1975,15(2)348−354)。別のベクターではウイルスの複製及び/または伝播に必須の別の領域、即ち領域E4が欠失している。領域E4は実際、後期遺伝子の発現の調節、後期核RNAの安定性、宿主細胞のタンパク質発現の減衰、ウイルスDNAの複製効率に関与する。従って領域E1とE4とが欠失したアデノウイルスベクターは転写バックグラウンドノイズを有しており、また、ウイルスゲノムの発現が極めて減少している。このようなベクターは例えば国際特許出願WO94/28152、WO95/02697、WO96/22378に記載されている。更に、IVa2遺伝子に修飾を含むベクターも記載されている(国際特許WO96/10088)。
【0025】
本発明の好ましい実施態様では、組換えアデノウイルスがグループCのヒトアデノウイルスである。より好ましくはアデノウイルスがアデノウイルスAd2またはAd5である。
【0026】
本発明の範囲内で使用される組換えアデノウイルスはそのゲノムの領域E1に欠失を生じているのが有利である。より詳細には、組換えアデノウイルスが領域E1a及びE1bに欠失を生じている。欠失は例えばヌクレオチド453−3328;386−3446または357−4020(Ad5のゲノムに基づく)をあげることができる。
【0027】
別の実施態様によれば、本発明の範囲内で使用される組換えアデノウイルスは更にそのゲノムの領域E4に欠失を生じている。より詳細には領域E4の欠失は読取り枠全体に関係している。より正確には例えば33466−35535または33093−35535が欠失している。領域E4の別の種類の欠失は国際特許出願WO95/02697及びWO96/22378に記載されている。これらの特許出願は参照によって本発明に含まれるものとする。
【0028】
抗血管形成因子をコードする核酸を含む発現カセットを組換えゲノムの種々の部位に挿入し得る。発現カセットは領域E1、E3またはE4の処に欠失配列に置換して挿入されてもよくまたは追加部分として挿入されてもよい。また、ウイルスの産生に必要なシス配列(IRS配列及びキャプシド内包化配列)以外の別の部位に挿入されてもよい。
【0029】
本発明に使用された核酸の“発現カセット”なる用語は、特定の制限部位でベクターに挿入できるDNAフラグメントを意味する。該DNAフラグメントは、RNAまたは有益なポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に加えて、この有益な配列の発現に必要な配列((1つまたは複数の)エンハンサー、(1つまたは複数の)プロモーター、ポリアデニル化配列、など)を含んでいる。DNAフラグメント及び制限部位は、該フラグメントが転写及び/または翻訳に適した読取り枠に確実に挿入されるように設計されている。
【0030】
組換えアデノウイルスは、キャプシド内包化系において、即ち、組換えアデノウイルスゲノムの1つまたは複数の欠損機能をトランス相補し得る細胞系において作製される。当業者に公知のキャプシド内包化系としては、例えば、アデノウイルスゲノムの一部が組み込まれた293細胞系がある。より正確には、293系は、左側のIRSとキャプシド内包化領域と領域E1a及びE1bから成る領域E1とタンパク質pIXをコードする領域とタンパク質pIVa2をコードする領域の一部とを含むアデノウイルス血清型5(Ad5)のゲノムの左端(約11−12%)を含むヒト腎胚細胞系である。この系は、領域E1に関する欠陥組換えアデノウイルス、即ち、領域E1の全部または一部を喪失した欠陥組換えアデノウイルスをトランス相補し、高い力価をもつウイルス株を産生し得る。この系はまた、感熱性変異E2を更に含むウイルス株を許容温度(32℃)で産生し得る。領域E1を相補し得る別の細胞系としては特に、ヒト肺癌細胞A549(国際特許94/28152)またはヒト網膜芽細胞(Hum.Gen.Ther.(1996)215)に基づく細胞系が記載されている。更に、アデノウイルスの複数の機能をトランス相補し得る系も記載されている。特に、領域E1及びE4を相補する系(Yehら,J.Virol.Vol.70(1996)pp559−565;Cancer Gen.Ther.2(1995)322;Krougliakら,Hum.Gen.Ther.6(1995)1575)並びに領域E1及びE2を相補する系(国際特許WO94/28152、WO95/02697、WO95/27071)がある。
【0031】
組換えアデノウイルスは通常、ウイルスDNAをキャプシド内包化系に導入し、次いで約2日または3日後に細胞を溶解(アデノウイルスサイクル速度は24−36時間)することによって作製する。この方法を実施するために、導入されるウイルスDNAは、細菌(国際特許96/25506)または酵母(国際特許WO95/03400)中で場合によって構築された完全組換えウイルスゲノムでよく、このDNAはこの細胞にトランスフェクトされる。また、キャプシド内包化系の感染に使用された組換えウイルスでもよい。ウイルスDNAはまた、キャプシド内包化細胞に導入された後に種々のフラグメント間の相同的組換えによって組換えウイルスゲノムが復元されるよう、各々が組換えウイルスゲノムの一部分と相同ゾーンとを含んでいるフラグメントの形態で導入されてもよい。
【0032】
細胞の溶解後、組換えウイルス粒子を塩化セシウム勾配遠心によって単離する。代替方法は国際特許出願WO98/00528に記載されている。該特許出願は参照によって本発明に含まれるものとする。
【0033】
本発明に好適に使用し得るベクターの例としては特に、参照によって本発明に含まれる国際特許出願WO98/49321に記載されたようなフラグメントATFをコードする遺伝子を含む欠陥組換えアデノウイルス(Ad.CMV.ATF)、国際特許出願WO98/49321に記載されたようなアンギオスタチンK3をコードする遺伝子を含む欠陥組換えアデノウイルス(Ad−K3)がある。
【0034】
本発明はまた、上記のようなベクターと、眼内投与剤、特に点眼剤の調製に使用できる生理的に許容されるビヒクルとから成る医薬組成物に関する。医薬組成物は主として、無菌等張性の生理的塩類溶液(リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムまたは塩化マグネシウムなど、あるいはそれらの混合物)の形態であるか、または、滅菌水もしくは生理的血清を適宜添加することによって点眼溶液を復元し得る乾燥組成物、特に凍結乾燥組成物の形態である。
【0035】
点眼または接触レンズの含浸に使用される用量は、種々のパラメーター、特に使用される投与方式、接触レンズの化学的特性、発現させる遺伝子、あるいは所望の発現期間に従って適宜増減される。一般的には、本発明の組換えウイルスを、104から1014pfu、好ましくは106から1010pfuの用量の形態に製剤化して投与する。pfu(“プラーク形成単位”)なる用語は、ウイルス溶液の感染能を示しており、適当な細胞培養物を感染させ、感染細胞プラークの数を測定することによって決定する。ウイルス溶液のpfu力価を決定する技術は文献に詳細に記載されている。
【0036】
更に、本発明の組成物はまた、化学的または生化学的な導入剤を含有し得る。“化学的または生化学的な導入剤”なる用語は、細胞内への核酸の侵入を促進する任意の化合物(即ち、組換えウイルス以外の化合物)を意味する。その例は、カチオン性脂質、ペプチド、ポリマー(ポリエチレンイミン、ポリリシン)、ナノ粒子のようなカチオン性の非ウイルス物質、または、非カチオン性リポソーム、非カチオン性ポリマーまたは非カチオン性ナノ粒子のような非カチオン性の非ウイルス物質である。
【0037】
好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は抗血管形成因子をコードする遺伝子を含む欠陥組換えベクターを含んでおり、点眼薬として製剤化されている。本発明の組成物は、104から1014pfu、好ましくは106から1010pfuを含んでいるのが有利である。接触レンズの含浸に使用される溶液の力価は1.106から1.1012pfu/ml、好ましくは1.108から1,1010pfu/mlの範囲である。
【0038】
本発明はまた、上記のような組成物を収容した容器と少なくとも1個の接触レンズとから成るキットに関する。また、角膜血管新生の予防、改善及び/または治療の目的でレンズに含浸させることによって投与する医薬を製造するためのこのようなキットの使用に関する。
【0039】
本発明の範囲内で使用される接触レンズは当業者に公知であり、好ましくは特に、Kunzlerら(Chemistry & Industry,651−655(1995));Kunzlerら(TRIP,Vol 4(2)52−59(1996));J.Singhら(J.M.S.Rev.Macromol.Chem.Phys.C32(3&4),521−534(1992));J.C.Wheelerら(Journal of Long−Term Effects of Medical Implants,6(3&4):207−217(1996))に記載されているような接触用ソフトレンズである。
【0040】
本発明の目的はまた、抗血管形成因子をコードする核酸を含む組換えベクターを医薬として許容される1種または複数の相溶性アジュバントに混合することを特徴とする、角膜血管新生の予防、改善及び/または治療に有用な医薬の製造方法を提供することである。
【0041】
本発明はまた、抗血管形成因子をコードする核酸を含む有効量の組換えベクターを接触レンズに含浸させることによって投与することを特徴とする、角膜血管新生を発症している哺乳動物、特にヒトの治療方法に関する。
【0042】
以下の実施例によって本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は本発明を非限定例にすぎないことは理解されよう。
【0043】
(図面の簡単な説明)
図1は、Ad.β−gal(2.107pfu)を含浸させたレンズに72時間接触させた成体ラットの角膜のパラフィン(5μm)封入切片で観察したβ−ガラクトシダーゼの発現の免疫組織化学的検出。ヘマラム染色。(A)表層擦過後に血管新生を生じた角膜、倍率265倍;(B)抗β−gal抗体によって検出された上皮細胞の核斑、倍率1310倍;(C)対照とした正常な無血管角膜、倍率525倍。(e:上皮;en:内皮;neovx:新生血管;s:固有質)。
【0044】
図2は、2週間前に成体ラットの角膜に設けた縫合線(黒い矢印)によって誘発された角膜血管新生(黒い三角)を示す写真。倍率24倍。
【0045】
図3は、アデノウイルス溶液(Ad.CMV.ATF,図(B)及び(D);AdK3,図(A)及び(C))を含浸させたレンズの予防的抗血管形成効果。倍率20倍。(A)及び(B)は、レンズに1週間接触させた角膜を表す。(C)及び(D)はレンズに2週間接触させた角膜を表す。
【0046】
材料及び方法
分子生物学の普遍的技術
プラスミドDNAの分取抽出、プラスミドDNAの塩化セシウム勾配遠心、アガロースゲルもしくはアクリルアミド電気泳動、電気溶出によるDNAフラグメントの精製、フェノールまたはフェノール−クロロホルムによるタンパク質の抽出、エタノールまたはイソプロパノールによる塩媒体中のDNA沈降、大腸菌の形質転換、などのような分子生物学で慣用の方法は当業者に公知であり、文献にも詳細に記載されている〔Maniatis T.ら,“Molecular Cloning,a Laboratory Manual”,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.,1982;Ausubel F.M.ら(eds),“Current Protocols in Molecular Biology”,John Wiley & Sons,New York,1987〕。
【0047】
結合のためには、アガロースゲルまたはアクリルアミドゲル電気泳動によってDNAフラグメントをサイズに従って分離し、フェノールまたはフェノール/クロロホルム混合物によって抽出し、エタノールで沈殿させ、次いで、製造業者の指示通りにT4ファージのDNAリガーゼ(Biolabs)の存在下でインキュベートする。
【0048】
5′粘着末端の埋め戻しは大腸菌のDNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント(Biolabs)を製造業者の指示通りに使用して行う。3′粘着末端の破壊は製造業者の指示通りに使用したT4ファージのDNAポリメラーゼ(Biolabs)の存在下で行う。5′粘着末端の破壊はヌクレアーゼS1による調節処理によって行う。
【0049】
合成オリゴデオキシヌクレオチドによってin vitroで誘発される突然変異は、Amershamによって販売されているキットを使用し、Taylorら〔Nucleic Acids Res.13(1985)8749−8764〕によって開発された方法に従って行う。
【0050】
いわゆるPCR〔Polymerase−catalyzed Chain Reaction,Saiki R.K.ら,Science 230(1985)1350−1354;Mullis K.B.& Faloona F.A.,Meth.Enzym.155(1987)335−350〕技術によるDNAフラグメントの酵素増幅は、“DNAサーマルサイクラー”(Perkin Elmer Cetus)を製造業者の指示通りに使用して行う。
【0051】
ヌクレオチド配列の検証は、Amershamによって販売されているキットを使用し、Sangerら〔Proc.Ntl.Acad.Sci.USA,74(1977)5463−5467〕によって開発された方法によって行う。
【0052】
ラットの角膜血管新生モデル
体重150gの30匹の雄の成体Wistarラットを15mgのケタミンと1.5mgのキシラジンとの腹腔内注射で麻酔する。全身麻酔に加えて、1滴の塩酸オキシブプロカイン(NovesineRTM)で角膜を局部麻酔する。断続縫合線モデル及び擦過モデルの2つのモデルを試験した。
【0053】
断続縫合線モデル:20匹のラットを使用してこの場合の角膜血管新生の誘発を観察する。手術用顕微鏡(Zeiss)を使用しながら、無菌条件下で動物の右眼の角膜中央に3つの断続縫合線を設ける(縫合糸ナイロン8−0、針50μm)。左眼は手術しないで対照とする。次いで、角膜の新生血管の発達を写真撮影する生物顕微鏡で角膜を追跡する。角膜血管新生を定量するために、二重盲検で眼球を等しい角膜を含む4つの四分円に分割し、四分円の各々の血管新生を0.5刻みの0から3までの段階で評価する。これに基づいて、眼球の各々を0から12までの段階で評価する(W.Streilenら,1996,Invest.Ophtamol.Vis.Sci.37:413−424)。
【0054】
擦過モデル:手術用顕微鏡(Zeiss)下で10匹のラットの右眼の角膜及び角膜輪部の上皮を小刀15°で10分間外科的に擦過し、次いで擦過によって剥離した上皮片をエタノール(EtOH)100°で除去する(A.HUANGら,1988,Ophtalmology 95,228−235)。露出した角膜はほぼ10日間で癒合し、血管新生が生じる。次いで、手術しない左眼を対照とし、断続縫合線モデルの場合と同様にして角膜血管新生を評価する。
【0055】
レンズの製造及び装用:ラット角膜の直径(3mm)よりも小さい直径の打抜き器で使い捨てソフトレンズを打抜く。次いでこのソフトレンズを、各レンズあたりそれぞれ4.5×105pfu(プラーク形成単位)、106pfu及び2×107pfuのアデノウイルスAdK3、Ad.CMV.ATFまたはAd.CMVβgalの溶液に周囲温度で1−2時間浸漬させる。各アデノウイルスの希釈ビヒクルとして用いた10%グリセロールを同様にして浸漬させて対照レンズを準備する。レンズをラットの右眼の角膜に配置し、慎重に瞼板縫合(絹糸6−0、針50μm)を行って再度眼を閉じる。手術しない左眼を対照とする。
【0056】
アデノウイルスによるトランスジーンの発現を検出するためには、(1)β−ガラクトシダーゼだけを検出するときは凍結切片の比色法による検出技術、または、(2)パラフィン切片に対する免疫組織化学的方法、を使用する。
【0057】
(1)誕生直後のWistarラットの右眼にAd.CMVβgalレンズを装用させる。このためには、動物を氷浴に沈めて意識を失わせ、45°に曲がったDowell鋏及びマイクロ外科手術用鉗子を使用し、やがて動物の目が開くときに開眼線となる線に平行に瞼を慎重に切開する。レンズを角膜に配置し、絹糸6.0によって再度眼を閉じる。
【0058】
(2)角膜血管新生が見られない12匹の成体ラット(1ロットあたり4匹)の右眼にAdK3、Ad.CMV.ATFまたはAd.CMVβgalのレンズを装用させ、血管新生が見られる3匹のラットにAd.CMVβgalレンズを装用させる。手術した眼を瞼板縫合によって再び閉じる。
【0059】
検出技術:β−ガラクトシダーゼを検出するために異なる3つの技術を使用する。レンズ装用の72時間後、頸部延長によって動物を殺し、瞼を開いてピンセットで眼球を摘出する。眼球全体または14μmの凍結切片または5μm厚のパラフィン切片のβ−ガラクトシダーゼを検出する。
【0060】
(i)眼球全体:0.5%のグルタルアルデヒド中で周囲温度で1時間定着させた後、眼球の各々(成体ラット及び誕生直後のラット)を2mMのMgCl2を含有するPBS 1X溶液に浸漬させ、次いで両眼ルーペ(Leica)で観察しながら残留筋組織を除去する。次いで眼球の各々を5mMのK3Fe(CN)6、5mMのK4Fe(CN)6、2mMのMgCl2、1mg/mlの5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−b−Dガラクトシド(X−gal)の検出溶液中で37℃で2時間インキュベートする。PBS 1xで複数回の洗浄を行った後、両眼ルーペで観察しながら眼球を写真撮影する。
【0061】
(ii)14μmの凍結切片:誕生直後のラットの眼球を直ちに0.5%グルタルアルデヒド中で周囲温度で1時間維持して定着させ、次いで15%ショ糖中で30分間低温保護する。眼球を次に、イソペンタン中で−30℃で凍結させると組織を−80℃で保存し得る封入用培地(Tissue Tek)を収容した固体プラスチックカップに入れる。眼球をクリオスタット(Leica)で14μmに切断する。次に検出用溶液を切片に直接載せ、湿潤室で37℃で2時間維持する。PBS 1xで10分間ずつ3回洗浄した後、切片を1%ニュートラルレッドで対比染色し、80°、95°、100°の順にアルコール度を漸増させた浴で脱水し、次いでユーキット(eukitt)中でスライドグラスとカバーグラスとに挟んでスライドを作製する。
【0062】
(iii)5μm厚のパラフィン切片:免疫組織化学によるβ−ガラクトシダーゼの検出方法は比色法による従来の検出方法よりもはるかに高感度の技術である。Davidson定着剤に48時間浸漬させた後、成体ラットの眼球を慎重に解剖し、水晶体を除去して、プラスチックカセットに入れ、オートマトンのバスケットに入れて、以下のサイクルで処理する:10%ホルモルで30分;70°のEtOHで1時間;80°のEtOHで1時間;100°のEtOHで1時間ずつ5回;キシレンで1時間30分ずつ2回;パラフィンで1時間ずつ4回。次に眼球をパラフィンに封入し、ミクロトーム(Leica)を使用して視神経に平行に5μmの切片を矢状裁断する。前処理したスライドグラス(DAKO)に切片を集める。
【0063】
切片の定着:抗β−ガラクトシダーゼ抗体(TEBU)による免疫組織化学的検出を有利に行うことができるように、スライドグラスを56℃のオーブンで48時間乾燥し、次いでキシレン浴に15分間ずつ2回浸漬し、100°のEtOH浴に10分間ずつ2回浸漬してパラフィンを除去する。次に切片を流水下に数分間維持して水を含ませる。
【0064】
ブロック及び透過:スライドグラスを0.01Mのクエン酸バッファ,pH6に入れ、先ず周囲温度で5分間維持し、次いでパワー8(750ワット)の電子レンジに入れて5分間ずつ2回加熱する。周囲温度に放冷した後、浸透圧を調節した水で切片を洗浄し、DAKOフレームを付ける。検出用複合体と競合しその結果として反応の判定を不可能にするような組織ペルオキシダーゼを除去するために、3%H2O2を10分間使用する。次に、スライドグラスをPBS 1x、2g/リットルのゼラチン、0.25%のトリトン及び3%のウシ血清アルブミン(BSA)を含有する混合物中で30分間インキュベートして、非特異的部位を飽和させる。
【0065】
標識:ウサギ抗β−ガラクトシダーゼ一次抗体を、PBS 1x、2g/リットルのゼラチン及び0.025%のトリトンの混合物中で1/1000に希釈する。周囲温度で1時間インキュベーション後、抗体の希釈に使用した混合物によって素早く洗浄し、次いで5分間ずつ更に4回洗浄する。ロバ体内で産生させたビオチニル化抗ウサギ第二抗体(DAKO)を、2g/リットルのゼラチンを加えたPBS 1xによって1/200に希釈し、30分間作用させる。次にスライドグラスを希釈媒体で先ず素早く1回、次いで5分間ずつ4回洗浄した後、同じ混合物で1/400に希釈したストレプトアビジン/ペルオキシダーゼ検出用複合体(DAKO)を加えて30分間維持する。5分間ずつ3回洗浄し、発色性基質ジアミノベンジジン(DAB)を加える。検出時間は2−20分の範囲である。浸透圧を調節した水にスライドグラスを浸漬させることによって反応を停止させる。次に、スライドグラスをヘマラムに1分間入れて対比染色し、浸透圧を調節した水で素早く洗浄し、次いでLiCO3中に数秒間維持して違いを生じさせる。スライドグラスを最終的に脱水し、次いでユーキット中でスライドグラスとカバーグラスとに挟んでスライドを作製するまでキシレン中で保存する。
【0066】
実施例1:欠陥組換えアデノウイルスAd.CMV.ATF、AdK3及びAd.CMVβgalの構築
Crouzetら(PNAS vol 94 p.1414,1997)によって記載された一般方法に従ってベクターを構築した。ベクターAd.CMV.ATF及びAdK3の構築に関しては国際特許出願WO98/49321に詳細に記載されている。該特許出願の記載内容は参照によって本発明に含まれるものとする。
【0067】
AdK3の場合には、1KbのトランスジーンがヒトプラスミノーゲンのN−末端フラグメント(残基333まで)に対応し、アンギオスタチン分子の最初の3つのクリングルドメインを含んでいる。
【0068】
Ad.CMV.ATFの場合には、0.5KbのトランスジーンがマウスuPAのN−末端フラグメント(アミノ酸1−135)をコードするcDNAであり、Ad.CMVβgalのトランスジーンは大腸菌lacZのリポーター遺伝子をコードする3.1KbのcDNAを含む。
【0069】
これらの構築物によるアデノウイルス分子の産生及び分泌をそれぞれノーザンブロット法及びウェスタンブロット法によって検証した。腫瘍成長、血管形成及び腫瘍形成のin vivo阻害試験と、bFGFによって刺激された細胞増殖のin vitro阻害試験とをAdK3及びAd.CMV.ATFに対して行った。また、Ad.CMVβgalのX−gal活性も試験した。
【0070】
使用した組換えアデノウイルス予製液の平均力価は、AdK3では4.5×108pfu/ml、Ad.CMV.ATFでは109pfu/ml、Ad.CMVβgalでは6.9×1010pfu/mlである。
【0071】
実施例2:ラットの角膜血管新生モデルで試験した抗血管形成因子をコードするベクターの効果
動物の右眼に装用させたレンズの効果を、(1)角膜との接触期間(1週間または2週間)、(2)抗血管形成因子をコードするベクターの有無、(3)角膜の血管新生の有無、の関数として評価する。
【0072】
角膜血管新生に対するアデノウイルスの“予防”医学効果を研究するためには3つの断続縫合線を設けた直後に角膜にレンズを装用させる。また、“治療”医学効果を研究するためには1週または2週前から角膜血管新生が生じている眼球にレンズを装用させる。
【0073】
1ロット10匹のラットを使用して各アデノウイルスを試験した。5匹では予防効果を試験し、5匹では治療効果を試験する。ビヒクルを含浸させたレンズを装用させた1ロット10匹のラットを対照とする。
【0074】
2つの角膜血管新生動物モデルの試験
3つの断続縫合線を設けることによって角膜の新血管を誘発した場合、手術した動物の100%が角膜血管新生を生じており、反対側の対照眼の角膜は無血管であるので、このような動物は極めて有効なモデルである。処理の第一週目から、血管が、輪部血管アーケードから角膜中心に引き込まれ、角膜の表層で増殖している。
【0075】
角膜血管新生の発達を示す各眼球の平均スコアは縫合線形成の2週後に7+/−2である。この時点で角膜血管新生が最大である。角膜の表層擦過による誘発モデルでは70%だけのラットが角膜血管新生の発達を示す。しかしながら、このモデルの血管新生は前述のモデルの場合よりも均一である。即ち、眼球の4つの四分円の全部に血管新生が生じている。これに反して、縫合線モデルでは血管新生が生じた四分円の数が一定でない。このように血管新生が生じた角膜の表面範囲の不均一性は、輪部に対する縫合線の位置、固有質内の縫合線の深さ及びそれらの大きさに緊密に左右される。擦過の2週後の各眼球の平均スコアは8+/−2である。
【0076】
パラフィンに封入し、過ヨウ素酸/シッフ塩基/ヘマトキシリン混合物で染色した角膜切片では、新血管が主として角膜上皮に出現しているが、固有質にも出現し、また、角膜内皮にも接触している。
【0077】
接触レンズに予め含浸させたアデノウイルスベクターの導入効率
顕微鏡結果:X−gal溶液と共にインキュベーションした後、2×107pfu/μlのアデノウイルスβ−ガラクトシダーゼを含浸させたレンズに接触させたすべての眼球の眼球切片は、誕生直後のラットでは角膜全体に広く散在する斑点、成体ラットでは角膜の広い領域に散在する斑点の形態に青く染色されていた。対照眼球では青い染色は全く観察されない。
【0078】
顕微鏡結果:正常な角膜の凍結切片のβ−ガラクトシダーゼを比色法で検出するとき、標識は主として角膜上皮細胞の核に存在する。
【0079】
パラフィンに封入した血管新生角膜切片では免疫組織化学によって得られる標識が主として角膜内皮細胞の核に見出されるが、角膜上皮細胞及び毛様体上皮細胞の核にも見出される。角膜固有質のケラチノサイト及び固有質内の病的内皮細胞も標識されている(図1)。lacZトランスジーンには核局在性シグナルが付加されているが、幾つかの細胞は検出技術にかかわりなく細胞質に標識を有している。
【0080】
マウスATFまたはヒトアンギオスタチンをコードするアデノウイルスを用いても等しい結果が得られる。このような結果は、パラフィンに封入したラット眼球の切片に対する特異的免疫組織化学反応によって証明された。
【0081】
アデノウイルスAd.CMV.ATF及びAdK3を予め含浸させたレンズによる抗血管形成効果
ビヒクルを含浸させたレンズを血管新生のない角膜に配置したとき、有意な血管形成作用は全く観察されない。
【0082】
Ad.CMVβgalを2×107pfu/μlの濃度で含浸させたレンズによって角膜の炎症現象及び血管新生は全く誘発されない。
【0083】
同様に、Ad.CMV.ATF(106pfu/μl)及びAdK3(4.5×105pfu/μl)のレンズは角膜の炎症反応も血管新生も輪部血管形成の消滅も全く誘発しない。
【0084】
3つの断続縫合線を設けた直後に角膜に装用させたAd.CMV.ATF含浸レンズは、これらの3つの縫合線の形成によって予想された血管新生の発達を第一週から防止する。この効果は2週後にも持続している。AdK3含浸レンズによっても角膜接触の1週後には同じ抗血管形成効果が観察される(図3)。
【図面の簡単な説明】
【図1】Ad.β−gal(2.107pfu)を含浸させたレンズに72時間接触させた成体ラットの角膜のパラフィン(5μm)封入切片で観察したβ−ガラクトシダーゼの発現の免疫組織化学的検出結果を示す。
【図2】2週間前に成体ラットの角膜に設けた縫合線(黒い矢印)によって誘発された角膜血管新生(黒い三角)を示す写真を示す。
【図3】アデノウイルス溶液(Ad.CMV.ATF,図(B)及び(D);AdK3,図(A)及び(C))を含浸させたレンズの予防的抗血管形成効果についての試験結果を示す。
Claims (12)
- 角膜血管新生の予防、改善及び/または治療の目的でソフトレンズに含浸させ前記レンズを角膜に装用することによって投与される医薬組成物を製造するための抗血管形成因子をコードする核酸を含むベクターの使用。
- 抗血管形成因子をコードする核酸が、プラスミノーゲンuPAのアクチベーターのN末端フラグメント(ATF)、アンギオスタチン、エンドスタチン、プロラクチンの16kDaフラグメント、血小板因子4(PF−4)から選択されたポリペプチドをコードする核酸、または、これらの因子の少なくとも2つをコードする核酸の組合せであることを特徴とする請求項1に記載の使用。
- 抗血管形成因子が、プラスミノーゲンuPAのアクチベーターのN末端フラグメント(ATF)及びアンギオスタチンK3から選択されることを特徴とする請求項2に記載の使用。
- ベクターが、プラスミド、コスミドまたはウイルスによってキャプシド内包化されていないいずれかのDNAであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
- ベクターが、組換えウイルス、好ましくは、アデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、ヘルペスウイルスまたはアデノ関連ウイルスに由来の組換えウイルスであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
- 組換えウイルスが欠陥組換えアデノウイルスであることを特徴とする請求項5に記載の使用。
- 1.106から1.1012pfu/ml、好ましくは1.108から1.1010pfu/mlを含んでおり点眼によって投与される医薬組成物を製造するための請求項5または6に記載の使用。
- 抗血管形成因子をコードする核酸を含む組換えベクターと医薬として許容される1種または複数の相溶性アジュバントとを混合することを特徴とする、角膜血管新生の予防、改善及び/または治療に有用な医薬の製造方法。
- 抗血管形成因子をコードする少なくとも1つの核酸を含む欠陥組換えベクターから成り、眼内投与剤として製剤化されることを特徴とする医薬組成物。
- 1.106から1.1012pfu/ml、好ましくは1.108から1.1010pfu/mlを含むことを特徴とする請求項9に記載の医薬組成物。
- 請求項9または10に記載の組成物を収容した容器とソフトレンズとから成るキット。
- 角膜血管新生の予防、改善及び/または治療を目的としてレンズに含浸させることによって投与される医薬を製造するための請求項11に記載のキットの使用。
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