JP2004364139A - 弾性表面波デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化および薄型化を図るのに適し、周波数調整を行うのに好適な弾性表面波デバイスを提供する。
【解決手段】弾性表面波共振子14と、前記弾性表面波共振子14のすだれ状電極が電気的に接続される外部電極20を備えたパッケージベース12と、前記パッケージベース12と前記弾性表面波共振子14との間に配設され、上面の周縁部が接合部材16を介して前記弾性表面波共振子14に接合された絶縁板18と、前記絶縁板18に設けられて前記すだれ状電極が接続され、前記弾性表面波共振子14の共振周波数を調整するコンデンサおよび/またはコイルとを有する構成とした。
【選択図】 図1
【解決手段】弾性表面波共振子14と、前記弾性表面波共振子14のすだれ状電極が電気的に接続される外部電極20を備えたパッケージベース12と、前記パッケージベース12と前記弾性表面波共振子14との間に配設され、上面の周縁部が接合部材16を介して前記弾性表面波共振子14に接合された絶縁板18と、前記絶縁板18に設けられて前記すだれ状電極が接続され、前記弾性表面波共振子14の共振周波数を調整するコンデンサおよび/またはコイルとを有する構成とした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は弾性表面波デバイスに係り、特に弾性表面波共振子の周波数調整を行うのに好適な弾性表面波デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
弾性表面波(surface acoustic wave:以下、SAWという)共振子は、圧電基板上にすだれ状電極(interdigital transducer:以下、IDTという)、反射器および前記IDTに接続する引き出し電極を、アルミニウム等の金属材料により形成している。このIDT等が酸化されると周波数特性が変化するため、表面波伝搬面を不活性ガス中または真空中に気密保持した状態でSAWデバイスを形成する必要がある。
【0003】
このSAWデバイスの形成は、次のように行われる。セラミック絶縁基板を複数積層させて箱型パッケージを形成し、このパッケージ内部にSAW共振子を接着剤により実装する。そして、このSAW共振子の引き出し電極と、パッケージに形成されたボンディングセカンド電極とをワイヤボンディングした後に、パッケージの上部へリッドをシーム溶接等により接合し、気密性を確保したSAWデバイスを形成している。
【0004】
また、箱型パッケージにSAW共振子を実装する方法として、フリップチップ実装方法がある。この方法は、SAW共振子のIDTが形成された面とパッケージとを対向させ、金バンプを用いて実装している。そして、パッケージの上部へリッドをシーム溶接等により接合し、気密性を確保したSAWデバイスを形成している。
【0005】
また、SAWデバイスに平面パッケージを使用した技術として特許文献1が挙げられる。この技術はSAW共振子のIDTと表面波伝搬路とを囲むようにシリコーンゴムからなる環状部材を配設し、SAW共振子のIDTが形成された面と平面パッケージとを対向させて実装している。このとき、SAW共振子を押圧すると、前記環状部材の接触面積が広くなり、気密機能を確保している。そして、IDTと平面パッケージとを半田により接合して、SAWデバイスを形成している。
【0006】
【特許文献1】特開平5−90883号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、SAWデバイスを形成するときは、SAW共振子の周波数調整をパッケージに実装する前後どちらかで行っている。パッケージに実装する前に行われる周波数調整は、封止によりパッケージに生じる応力がSAW共振子に影響し、周波数シフトを生じる問題点がある。
【0008】
また、パッケージに実装した後にドライエッチング等により周波数調整を行うと、正確な周波数調整を行うことができる。しかし、その後にパッケージの上部へリッドを接合すると、接合時に発生する応力、およびSAW共振子にかかる熱により周波数がシフトしてしまう問題点がある。この周波数シフトにより生じるSAW共振子の周波数のばらつきは約数ppm〜200ppmである。なお、SAW共振子自体の周波数のばらつきは約200〜1500ppmである。
【0009】
また、パッケージはSAW共振子を内部に実装する箱型のため、圧電デバイスのサイズが大きくなり小型化できない問題点があった。また、箱型パッケージはセラミック絶縁基板を複数積層させる構造のため、コストが高くなる問題点があった。
また、特許文献1に記載された技術は、SAW共振子の表面波伝搬面を平面パッケージに環状部材を介して接合するため、接合による応力の影響を受けて周波数シフトを生じ、高精度なSAWデバイスを得ることができない。
【0010】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、SAW共振子をパッケージに実装した後に、SAW共振子の周波数調整を容易かつ正確に行え、周波数シフトのない弾性表面波デバイスを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の弾性表面波デバイスは、弾性表面波共振子と、前記弾性表面波共振子のすだれ状電極が電気的に接続される外部電極を備えたパッケージベースと、前記パッケージベースと前記弾性表面波共振子との間に配設され、上面の周縁部が接合部材を介して前記弾性表面波共振子に接合された絶縁板と、前記絶縁板に設けられて前記すだれ状電極が接続され、前記弾性表面波共振子の共振周波数を調整するコンデンサおよび/またはコイルと、を有することを特徴としている。
【0012】
パッケージベースと弾性表面波共振子の線熱膨張係数が異なっているが、パッケージベースと弾性表面波共振子の間に絶縁板および接合部材を配設する構成なので応力を緩和することができる。これにより、応力の影響による弾性表面波共振子の周波数シフトをなくすことがきる。また、絶縁板に設けられたコンデンサまたはコイルにより弾性表面波共振子の周波数調整を行うことができる。
【0013】
また、前記コンデンサまたはコイルは、キャパシタンスまたはインダクタンスを変化させる切断部を有する構成とできる。コンデンサに設けられた切断部を切断するとコンデンサのキャパシタンスを変化させることができる。また、コイルに設けられた切断部を切断するとコイルのインダクタンスを変化させることができる。キャパシタンスまたはインダクタンスを変化させることにより、弾性表面波共振子の周波数調整を行うことができる。
【0014】
また、前記絶縁板は下面の周縁部が第2の接合部材を介して前記パッケージベースに接合してある構成とできる。これにより、弾性表面波デバイスの内部を気密封止することができる。
また、前記絶縁板は前記パッケージベースと同じ材質により形成してあり、前記パッケージベースと一体化してある構成とできる。これにより、弾性表面波デバイスを薄型化することができる。
【0015】
また、前記弾性表面波共振子は透明な圧電材料からなり、前記コンデンサの少なくとも一方の電極または前記コイルは前記絶縁板の上面に形成してある構成とできる。弾性表面波共振子が透明なのでレーザ光を透過させることができる。このレーザ光は前記切断部を切断するときに用いられる。これにより、絶縁基板の上面に形成されたコンデンサまたはコイルの前記切断部を、弾性表面波共振子の上側からレーザ光を透過させて切断することができる。そして、弾性表面波共振子の周波数調整を行うことができる。
【0016】
また、前記コンデンサの少なくとも一方の電極または前記コイルは前記絶縁板の下面に形成してあり、前記切断部を露出させる開口が設けられている構成とできる。これにより、パッケージベースの下面から電極を切断して、弾性表面波共振子の周波数調整を行うことができる。
また、前記接合部材は半田、金錫合金、または導電性接着剤のいずれかである構成とできる。この接合部材により弾性表面波デバイスの気密封止を行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る弾性表面波デバイスについて説明する。なお、以下に記載するものは本発明の実施形態の一態様にすぎず、本発明はこれに限定されるものでない。
最初に、第1の実施形態について説明する。図1ないし図3に第1の実施形態に係る弾性表面波(SAW)デバイスの説明図を示す。図1はSAWデバイスの断面図、図2は前記SAWデバイスを分解した斜視図、図3はSAW共振子に形成されたすだれ状電極(IDT)等と、絶縁板上に形成された電極との位置関係を説明する図である。なお、図2に記載した電極は形状を略して記載している。
【0018】
第1の実施形態に係る弾性表面波(SAW)デバイス10は、パッケージベース12と弾性表面波(SAW)共振子14との間に接合部材16を介して絶縁板18を接合してなる構造である。パッケージベース12の下面には外部電極20が形成され、上面にはパッケージ側マウント電極22が形成されている。この外部電極20とパッケージ側マウント電極22とはパッケージベース12に設けたスルーホールを介して導通している。
【0019】
パッケージベース12の上側に、接合部材16を介して樹脂製の絶縁板18が接合されている。この絶縁板18には上下面を電気的に接続する導通電極24が設けられている。また、絶縁板18の両面には電極26が形成され、この電極26は導通電極24と導通するよう形成されている。図5(a)に記載の形状のコンデンサを使用する場合は、図1の導通電極24を形成する必要があるが、コンデンサの形状によっては、形成する必要がない場合もある。そして、電極26は導通部材28を介してパッケージ側マウント電極22と導通している。
【0020】
この絶縁板18の上側に接合部材16を介してSAW共振子14が接合している。このSAW共振子14は透明な圧電材料、例えば水晶等からなり、圧電基板30上にIDT32、反射器34および引き出し電極36が形成されている。また、SAW共振子14は、IDT32および反射器34が形成された表面波伝搬面を絶縁板18側に向けて接合している。また、引き出し電極36は導通部材28を介して絶縁板18に形成された電極26と導通している。
【0021】
絶縁板18上に形成される電極26はコンデンサである。この電極26は絶縁板18の両面に銅などの金属箔により形成され、絶縁板18の上面と下面との電極26が対になりコンデンサを構成している。このコンデンサはSAW共振子14の共振周波数を調整するために設けられている。また、電極26には、レーザ光を照射することにより電極26を切断してコンデンサのキャパシタンスを調整する切断部38が設けられている。なお、図3には、電極26のそれぞれに1箇所の切断部38を設けているが、複数の切断部38を設ける構成にできる。この切断部38は、SAW共振子14のIDT32、反射器34および引き出し電極36と、上から見て重ならない位置に配置されるよう構成されている(図3(c)参照)。
【0022】
次に、第1の実施形態に係るSAWデバイスの製造方法を説明する。図4に製造方法のフローを示す。まず、圧電ウエハ上にIDT32、反射器34および引き出し電極36をスパッタ等の成膜により形成する(ステップ110)。このとき、引き出し電極36が導通部材28と接合する箇所をクロムメッキおよび金メッキを施して形成してもよい。また、樹脂製の絶縁板18上に銅箔からなる電極26を形成する(ステップ120)。前記樹脂にはポリイミドフィルムまたはポリエステルフィルムを用いればよい。また、絶縁板18のかわりにセラミック絶縁基板を用いることもできる。このとき、前記セラミック絶縁基板に形成される電極26はタングステンメタライズされ、このタングステン上にニッケルメッキおよび金メッキが施される。また、パッケージベース12はセラミック絶縁基板からなる。このパッケージベース12に形成される外部電極20およびパッケージ側マウント電極22は、厚膜印刷によりタングステン層が成膜された後、前記タングステン層の上部にニッケルメッキおよび金メッキを施すことにより形成される(ステップ130)。そして、前記圧電ウエハ、絶縁板およびパッケージベースを接合部材および導通部材を介して接合する(ステップ140)。この接合部材16は半田、金−錫、金−パラジウムまたは樹脂接着剤からなり、導通部材28は半田、金−錫、金−パラジウムまたは導電性接着剤からなる。
【0023】
次に、接合した前記圧電ウエハ、絶縁板およびパッケージベースをダイシングまたはブレーキングにより切断して、SAWデバイス10を形成する(ステップ150)。このSAWデバイス10は接合部材16により気密封止されている。また、SAWデバイス10を周波数調整するには、SAW共振子14の側からレーザ光を照射して電極26の切断部38を切断し、コンデンサのキャパシタンスを調整する(ステップ160)。
【0024】
コンデンサのキャパシタンスは、例えばSAW共振子を2×1.8×0.3mm、パッケージベースを2×1.8×0.4mm、絶縁板を2×1.8×0.1mm、電極面積を1.6×1.2mmの大きさにすると、0.0768Fになる。そして、312MHzで振動するSAW共振子14は、コンデンサの電極26をレーザ光により切断してキャパシタンスを調整すると、1pFあたり5.6ppmの周波数が変化する。
【0025】
また、上記の実施形態では、絶縁板18に設けられる電極26を両側に設ける構成として説明したが、片面のみに電極26を設ける構成としてもよい。また、SAW共振子14の共振周波数の調整はコイルを用いて行うこともできる。また、SAW共振子14の共振周波数の調整を、コンデンサおよびコイルの両方を用いて行うこともできる。図5に絶縁板18上に形成される電極構成の例を説明する図を示す。図5(a)は片面のみにコンデンサを構成する電極26aを示し、同図(b)はコイルを構成する電極26bを示している。絶縁板18の片面のみでコンデンサを形成する場合は、切断部38aを有する櫛型の電極を向かい合わせて形成することができる。また、コイルを用いてSAW共振子14の周波数を調整する場合は、コイルの巻き数に応じてインダクタンスが変化するので、コイルの巻き数を調整する切断部38bを設ければよい。
【0026】
コイルのインダクタンスは、例えばSAW共振子14を2×1.8×0.3mm、パッケージベース12を2×1.8×0.4mm、絶縁板18を2×1.8×0.1mm、電極26の面積を幅0.1×長さ16.8×厚さ0.02mmとし、絶縁板18の片面に電極26を形成すると20.6nHとなり、絶縁板18の両面に電極26を形成すると41.2nHとなる。そして、312MHzで振動するSAW共振子14は、コイルの電極26をレーザ光により切断してインダクタスを調整すると、1nHあたり12.4ppmの周波数が変化する。
【0027】
このような第1の実施形態によれば、SAWデバイス10はパッケージベース12とSAW共振子14との間に接合部材16を介して絶縁板18を接合させてなる構成である。このSAWデバイス10を形成するときに、パッケージベース12、絶縁板18およびSAW共振子14の導通と、接合部材16による気密封止とを同時に行うことができる。また、パッケージベース12はセラミック製であり、SAW共振子14は圧電材料なので、それぞれの線熱膨張係数が異なり応力を発生させるが、樹脂製の絶縁板18が間に挿入されているので応力を緩和することができる。そして、絶縁板18および接合部材16の厚みを変えることにより応力も軽減させることができる。このような構成により、応力の影響による周波数シフトのないSAWデバイス10を形成することができる。
【0028】
また、SAW共振子14の周波数調整は、SAWデバイス10を形成した後にコンデンサおよび/またはコイルの電極26を切断してキャパシタンスおよび/またはインダクタンスを変化させることにより行われる。このため、周波数調整を容易かつ正確に行うことができ、調整後に応力等の影響を受けないので、周波数のばらつきは0〜50ppmの非常に低い値を得ることができる。
【0029】
また、SAWデバイス10の表面および側面を、スパッタリング、蒸着またはスプレーコートにより金属膜を成膜する、若しくは導通性のある樹脂被膜を形成する。そして、パッケージベース12の下面に前記金属膜、若しくは前記樹脂被膜と導通する外部電極を形成し、この外部電極を接地させると、SAWデバイス10のノイズを軽減することができる。
【0030】
次に、第2の実施形態について説明する。図6に第2の実施形態に係るSAWデバイスの断面図を示す。第2の実施形態では、第1の実施形態に係るSAWデバイスとパッケージベースの形状が異なるのみで、他の部分の構成は同一である。このため、図面に記載する番号を第1の実施形態と同一にしている。また、第1の実施形態と構成が同じ個所は説明を略する。
【0031】
図6(a)は絶縁板18に形成された電極26の切断部と対向する位置のパッケージベース12に、パッケージベース12を貫通する電極切断用穴50が設けられている。この電極切断用穴50は電極の切断部のそれぞれに対応して、電極26を切断するレーザ光が通過できる大きさで設けられている。また、図6(b)は絶縁板18に形成された電極26と対向する位置のパッケージベース12が開口した、開口部52が設けられている。
【0032】
このような構成のSAWデバイス10では、電極切断用穴50または開口部52を介してレーザ光を照射し、電極26の切断部を切断してSAW共振子14の周波数を調整する。このため、SAW共振子14が不透明な圧電材質、例えばLiTaO3等の圧電基板を用いる場合でもパッケージベース12側からSAW共振子14の周波数調整を行うことができる。また、SAW共振子14の表面波伝搬面は絶縁板18および接合部材16で気密封止されているので、周波数特性が変化しない。
【0033】
次に、第3の実施形態について説明する。図7に第3の実施形態に係るSAWデバイスの断面図を示す。図7(a)のSAWデバイス60aは、パッケージベース62の内部にSAW共振子64の周波数調整用の電極66aが設けられている。この電極66aはパッケージベース62の下面に形成された外部電極68と導通している。また、パッケージベース62の上面にも周波数調整用の電極66bが設けられ、この電極66bとパッケージベース内部に設けられた電極66aとが導通電極69を介して導通している。これらの電極66a、66bは第1の実施形態と同様にコンデンサおよび/またはコイルを形成し、周波数調整用の切断部(図示せず)を有している。また、パッケージベース62には、下面から内部に設けられた電極66aの前記切断部へ電極切断用穴70が設けられている。この電極切断用穴70は、それぞれの前記切断部に対応して設けられている。このようなパッケージベース62の上側に、表面波伝搬面をパッケージベース62側に向けてSAW共振子64が接合部材72を介して接合している。SAW共振子64に形成されたIDTの引き出し電極(図示せず)は導通部材74を介してパッケージベース62の上面に形成された電極66bと接合している。なお、パッケージベース62、電極66a、66b、接合部材72および導通部材74の材質は第1の実施形態と同一である。
【0034】
また、図7(b)のSAWデバイス60bは、図7(a)のSAWデバイス60aとパッケージベース62の形状が異なるのみである。このため、図面に記載する番号を図7(a)と同一にしている。パッケージベース62の内部にSAW共振子64の周波数調整用の電極66aが設けられている。この電極66aの下部のパッケージベース62が開口した、開口部80が設けられている。
【0035】
このような構成のSAWデバイス60a、60bにおいて、SAW共振子64の周波数を調整する電極66a、66bの形状は、第1の実施形態の電極と同じ形状でよい。そして、電極66a、66bの周波数調整を行うときは、パッケージベース62に設けられた電極切断用穴70または開口部80よりレーザ光を照射して電極66a、66bの前記切断部を切断し、コンデンサのキャパシタンスおよび/またはコイルのインダクタンスを調整すればよい。コンデンサのキャパシタンスは、例えばSAW共振子64を2×1.8×0.3mm、パッケージベース62を2×1.8×0.4mm、電極66a、66bの面積を1.6×1.2mmとしたときに、0.1216Fとなる。そして、312MHzで振動するSAW共振子64は、コンデンサの電極をレーザ光により切断してキャパシタンスを調整すると、1pFあたり5.6ppmの周波数が変化する。
【0036】
このような第3の実施形態によれば、周波数調整用の電極66a、66bを設けたパッケージベース62の上部に、接合部材72を介してSAW共振子64を接合させてSAWデバイス60a、60bを構成している。このSAWデバイス60a、60bを形成するときに、SAW共振子64とパッケージベース62との導通、および接合部材72により気密封止を同時に行うことができる。また、SAWデバイス60a、60bは箱型パッケージをリッドにより封止する構成に比べ、小型化および薄型化を図ることができる。また、SAW共振子64の周波数調整は、SAWデバイス60a,60bを形成した後にコンデンサおよび/またはコイルの前記切断部を切断してキャパシタンスおよび/またはインダクタンスを変化させることにより行われる。このため、SAW共振子64の周波数特性を容易かつ正確に行うことができる。さらに、パッケージをリッドで封止する作業が必要ないので、応力や熱の影響を受けて周波数特性が変化することがない。なお、本実施の形態ではSAW共振子を用いて説明したが、他の実施の形態としてSAWフィルタにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る弾性表面波デバイスの断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る弾性表面波デバイスの分解した斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る弾性表面波デバイスのIDT等と電極との位置関係の説明図である。
【図4】第1の実施形態に係る弾性表面波デバイスの製造方法を説明するフローである。
【図5】絶縁板上に形成される電極構成の例の説明図である。
【図6】第2の実施形態に係る弾性表面波デバイスの断面図である。
【図7】第3の実施形態に係る弾性表面波デバイスの断面図である。
【符号の説明】
10………弾性表面波デバイス、12………パッケージベース、14………弾性表面波共振子、16………接合部材、18………絶縁板、26………電極、38………切断部、50………電極切断用穴、52………開口部、60a、60b………弾性表面波デバイス、62………パッケージベース、64………弾性表面波共振子、66a,66b………電極、70………電極切断用穴、80………開口部。
【発明の属する技術分野】
本発明は弾性表面波デバイスに係り、特に弾性表面波共振子の周波数調整を行うのに好適な弾性表面波デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
弾性表面波(surface acoustic wave:以下、SAWという)共振子は、圧電基板上にすだれ状電極(interdigital transducer:以下、IDTという)、反射器および前記IDTに接続する引き出し電極を、アルミニウム等の金属材料により形成している。このIDT等が酸化されると周波数特性が変化するため、表面波伝搬面を不活性ガス中または真空中に気密保持した状態でSAWデバイスを形成する必要がある。
【0003】
このSAWデバイスの形成は、次のように行われる。セラミック絶縁基板を複数積層させて箱型パッケージを形成し、このパッケージ内部にSAW共振子を接着剤により実装する。そして、このSAW共振子の引き出し電極と、パッケージに形成されたボンディングセカンド電極とをワイヤボンディングした後に、パッケージの上部へリッドをシーム溶接等により接合し、気密性を確保したSAWデバイスを形成している。
【0004】
また、箱型パッケージにSAW共振子を実装する方法として、フリップチップ実装方法がある。この方法は、SAW共振子のIDTが形成された面とパッケージとを対向させ、金バンプを用いて実装している。そして、パッケージの上部へリッドをシーム溶接等により接合し、気密性を確保したSAWデバイスを形成している。
【0005】
また、SAWデバイスに平面パッケージを使用した技術として特許文献1が挙げられる。この技術はSAW共振子のIDTと表面波伝搬路とを囲むようにシリコーンゴムからなる環状部材を配設し、SAW共振子のIDTが形成された面と平面パッケージとを対向させて実装している。このとき、SAW共振子を押圧すると、前記環状部材の接触面積が広くなり、気密機能を確保している。そして、IDTと平面パッケージとを半田により接合して、SAWデバイスを形成している。
【0006】
【特許文献1】特開平5−90883号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、SAWデバイスを形成するときは、SAW共振子の周波数調整をパッケージに実装する前後どちらかで行っている。パッケージに実装する前に行われる周波数調整は、封止によりパッケージに生じる応力がSAW共振子に影響し、周波数シフトを生じる問題点がある。
【0008】
また、パッケージに実装した後にドライエッチング等により周波数調整を行うと、正確な周波数調整を行うことができる。しかし、その後にパッケージの上部へリッドを接合すると、接合時に発生する応力、およびSAW共振子にかかる熱により周波数がシフトしてしまう問題点がある。この周波数シフトにより生じるSAW共振子の周波数のばらつきは約数ppm〜200ppmである。なお、SAW共振子自体の周波数のばらつきは約200〜1500ppmである。
【0009】
また、パッケージはSAW共振子を内部に実装する箱型のため、圧電デバイスのサイズが大きくなり小型化できない問題点があった。また、箱型パッケージはセラミック絶縁基板を複数積層させる構造のため、コストが高くなる問題点があった。
また、特許文献1に記載された技術は、SAW共振子の表面波伝搬面を平面パッケージに環状部材を介して接合するため、接合による応力の影響を受けて周波数シフトを生じ、高精度なSAWデバイスを得ることができない。
【0010】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、SAW共振子をパッケージに実装した後に、SAW共振子の周波数調整を容易かつ正確に行え、周波数シフトのない弾性表面波デバイスを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の弾性表面波デバイスは、弾性表面波共振子と、前記弾性表面波共振子のすだれ状電極が電気的に接続される外部電極を備えたパッケージベースと、前記パッケージベースと前記弾性表面波共振子との間に配設され、上面の周縁部が接合部材を介して前記弾性表面波共振子に接合された絶縁板と、前記絶縁板に設けられて前記すだれ状電極が接続され、前記弾性表面波共振子の共振周波数を調整するコンデンサおよび/またはコイルと、を有することを特徴としている。
【0012】
パッケージベースと弾性表面波共振子の線熱膨張係数が異なっているが、パッケージベースと弾性表面波共振子の間に絶縁板および接合部材を配設する構成なので応力を緩和することができる。これにより、応力の影響による弾性表面波共振子の周波数シフトをなくすことがきる。また、絶縁板に設けられたコンデンサまたはコイルにより弾性表面波共振子の周波数調整を行うことができる。
【0013】
また、前記コンデンサまたはコイルは、キャパシタンスまたはインダクタンスを変化させる切断部を有する構成とできる。コンデンサに設けられた切断部を切断するとコンデンサのキャパシタンスを変化させることができる。また、コイルに設けられた切断部を切断するとコイルのインダクタンスを変化させることができる。キャパシタンスまたはインダクタンスを変化させることにより、弾性表面波共振子の周波数調整を行うことができる。
【0014】
また、前記絶縁板は下面の周縁部が第2の接合部材を介して前記パッケージベースに接合してある構成とできる。これにより、弾性表面波デバイスの内部を気密封止することができる。
また、前記絶縁板は前記パッケージベースと同じ材質により形成してあり、前記パッケージベースと一体化してある構成とできる。これにより、弾性表面波デバイスを薄型化することができる。
【0015】
また、前記弾性表面波共振子は透明な圧電材料からなり、前記コンデンサの少なくとも一方の電極または前記コイルは前記絶縁板の上面に形成してある構成とできる。弾性表面波共振子が透明なのでレーザ光を透過させることができる。このレーザ光は前記切断部を切断するときに用いられる。これにより、絶縁基板の上面に形成されたコンデンサまたはコイルの前記切断部を、弾性表面波共振子の上側からレーザ光を透過させて切断することができる。そして、弾性表面波共振子の周波数調整を行うことができる。
【0016】
また、前記コンデンサの少なくとも一方の電極または前記コイルは前記絶縁板の下面に形成してあり、前記切断部を露出させる開口が設けられている構成とできる。これにより、パッケージベースの下面から電極を切断して、弾性表面波共振子の周波数調整を行うことができる。
また、前記接合部材は半田、金錫合金、または導電性接着剤のいずれかである構成とできる。この接合部材により弾性表面波デバイスの気密封止を行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る弾性表面波デバイスについて説明する。なお、以下に記載するものは本発明の実施形態の一態様にすぎず、本発明はこれに限定されるものでない。
最初に、第1の実施形態について説明する。図1ないし図3に第1の実施形態に係る弾性表面波(SAW)デバイスの説明図を示す。図1はSAWデバイスの断面図、図2は前記SAWデバイスを分解した斜視図、図3はSAW共振子に形成されたすだれ状電極(IDT)等と、絶縁板上に形成された電極との位置関係を説明する図である。なお、図2に記載した電極は形状を略して記載している。
【0018】
第1の実施形態に係る弾性表面波(SAW)デバイス10は、パッケージベース12と弾性表面波(SAW)共振子14との間に接合部材16を介して絶縁板18を接合してなる構造である。パッケージベース12の下面には外部電極20が形成され、上面にはパッケージ側マウント電極22が形成されている。この外部電極20とパッケージ側マウント電極22とはパッケージベース12に設けたスルーホールを介して導通している。
【0019】
パッケージベース12の上側に、接合部材16を介して樹脂製の絶縁板18が接合されている。この絶縁板18には上下面を電気的に接続する導通電極24が設けられている。また、絶縁板18の両面には電極26が形成され、この電極26は導通電極24と導通するよう形成されている。図5(a)に記載の形状のコンデンサを使用する場合は、図1の導通電極24を形成する必要があるが、コンデンサの形状によっては、形成する必要がない場合もある。そして、電極26は導通部材28を介してパッケージ側マウント電極22と導通している。
【0020】
この絶縁板18の上側に接合部材16を介してSAW共振子14が接合している。このSAW共振子14は透明な圧電材料、例えば水晶等からなり、圧電基板30上にIDT32、反射器34および引き出し電極36が形成されている。また、SAW共振子14は、IDT32および反射器34が形成された表面波伝搬面を絶縁板18側に向けて接合している。また、引き出し電極36は導通部材28を介して絶縁板18に形成された電極26と導通している。
【0021】
絶縁板18上に形成される電極26はコンデンサである。この電極26は絶縁板18の両面に銅などの金属箔により形成され、絶縁板18の上面と下面との電極26が対になりコンデンサを構成している。このコンデンサはSAW共振子14の共振周波数を調整するために設けられている。また、電極26には、レーザ光を照射することにより電極26を切断してコンデンサのキャパシタンスを調整する切断部38が設けられている。なお、図3には、電極26のそれぞれに1箇所の切断部38を設けているが、複数の切断部38を設ける構成にできる。この切断部38は、SAW共振子14のIDT32、反射器34および引き出し電極36と、上から見て重ならない位置に配置されるよう構成されている(図3(c)参照)。
【0022】
次に、第1の実施形態に係るSAWデバイスの製造方法を説明する。図4に製造方法のフローを示す。まず、圧電ウエハ上にIDT32、反射器34および引き出し電極36をスパッタ等の成膜により形成する(ステップ110)。このとき、引き出し電極36が導通部材28と接合する箇所をクロムメッキおよび金メッキを施して形成してもよい。また、樹脂製の絶縁板18上に銅箔からなる電極26を形成する(ステップ120)。前記樹脂にはポリイミドフィルムまたはポリエステルフィルムを用いればよい。また、絶縁板18のかわりにセラミック絶縁基板を用いることもできる。このとき、前記セラミック絶縁基板に形成される電極26はタングステンメタライズされ、このタングステン上にニッケルメッキおよび金メッキが施される。また、パッケージベース12はセラミック絶縁基板からなる。このパッケージベース12に形成される外部電極20およびパッケージ側マウント電極22は、厚膜印刷によりタングステン層が成膜された後、前記タングステン層の上部にニッケルメッキおよび金メッキを施すことにより形成される(ステップ130)。そして、前記圧電ウエハ、絶縁板およびパッケージベースを接合部材および導通部材を介して接合する(ステップ140)。この接合部材16は半田、金−錫、金−パラジウムまたは樹脂接着剤からなり、導通部材28は半田、金−錫、金−パラジウムまたは導電性接着剤からなる。
【0023】
次に、接合した前記圧電ウエハ、絶縁板およびパッケージベースをダイシングまたはブレーキングにより切断して、SAWデバイス10を形成する(ステップ150)。このSAWデバイス10は接合部材16により気密封止されている。また、SAWデバイス10を周波数調整するには、SAW共振子14の側からレーザ光を照射して電極26の切断部38を切断し、コンデンサのキャパシタンスを調整する(ステップ160)。
【0024】
コンデンサのキャパシタンスは、例えばSAW共振子を2×1.8×0.3mm、パッケージベースを2×1.8×0.4mm、絶縁板を2×1.8×0.1mm、電極面積を1.6×1.2mmの大きさにすると、0.0768Fになる。そして、312MHzで振動するSAW共振子14は、コンデンサの電極26をレーザ光により切断してキャパシタンスを調整すると、1pFあたり5.6ppmの周波数が変化する。
【0025】
また、上記の実施形態では、絶縁板18に設けられる電極26を両側に設ける構成として説明したが、片面のみに電極26を設ける構成としてもよい。また、SAW共振子14の共振周波数の調整はコイルを用いて行うこともできる。また、SAW共振子14の共振周波数の調整を、コンデンサおよびコイルの両方を用いて行うこともできる。図5に絶縁板18上に形成される電極構成の例を説明する図を示す。図5(a)は片面のみにコンデンサを構成する電極26aを示し、同図(b)はコイルを構成する電極26bを示している。絶縁板18の片面のみでコンデンサを形成する場合は、切断部38aを有する櫛型の電極を向かい合わせて形成することができる。また、コイルを用いてSAW共振子14の周波数を調整する場合は、コイルの巻き数に応じてインダクタンスが変化するので、コイルの巻き数を調整する切断部38bを設ければよい。
【0026】
コイルのインダクタンスは、例えばSAW共振子14を2×1.8×0.3mm、パッケージベース12を2×1.8×0.4mm、絶縁板18を2×1.8×0.1mm、電極26の面積を幅0.1×長さ16.8×厚さ0.02mmとし、絶縁板18の片面に電極26を形成すると20.6nHとなり、絶縁板18の両面に電極26を形成すると41.2nHとなる。そして、312MHzで振動するSAW共振子14は、コイルの電極26をレーザ光により切断してインダクタスを調整すると、1nHあたり12.4ppmの周波数が変化する。
【0027】
このような第1の実施形態によれば、SAWデバイス10はパッケージベース12とSAW共振子14との間に接合部材16を介して絶縁板18を接合させてなる構成である。このSAWデバイス10を形成するときに、パッケージベース12、絶縁板18およびSAW共振子14の導通と、接合部材16による気密封止とを同時に行うことができる。また、パッケージベース12はセラミック製であり、SAW共振子14は圧電材料なので、それぞれの線熱膨張係数が異なり応力を発生させるが、樹脂製の絶縁板18が間に挿入されているので応力を緩和することができる。そして、絶縁板18および接合部材16の厚みを変えることにより応力も軽減させることができる。このような構成により、応力の影響による周波数シフトのないSAWデバイス10を形成することができる。
【0028】
また、SAW共振子14の周波数調整は、SAWデバイス10を形成した後にコンデンサおよび/またはコイルの電極26を切断してキャパシタンスおよび/またはインダクタンスを変化させることにより行われる。このため、周波数調整を容易かつ正確に行うことができ、調整後に応力等の影響を受けないので、周波数のばらつきは0〜50ppmの非常に低い値を得ることができる。
【0029】
また、SAWデバイス10の表面および側面を、スパッタリング、蒸着またはスプレーコートにより金属膜を成膜する、若しくは導通性のある樹脂被膜を形成する。そして、パッケージベース12の下面に前記金属膜、若しくは前記樹脂被膜と導通する外部電極を形成し、この外部電極を接地させると、SAWデバイス10のノイズを軽減することができる。
【0030】
次に、第2の実施形態について説明する。図6に第2の実施形態に係るSAWデバイスの断面図を示す。第2の実施形態では、第1の実施形態に係るSAWデバイスとパッケージベースの形状が異なるのみで、他の部分の構成は同一である。このため、図面に記載する番号を第1の実施形態と同一にしている。また、第1の実施形態と構成が同じ個所は説明を略する。
【0031】
図6(a)は絶縁板18に形成された電極26の切断部と対向する位置のパッケージベース12に、パッケージベース12を貫通する電極切断用穴50が設けられている。この電極切断用穴50は電極の切断部のそれぞれに対応して、電極26を切断するレーザ光が通過できる大きさで設けられている。また、図6(b)は絶縁板18に形成された電極26と対向する位置のパッケージベース12が開口した、開口部52が設けられている。
【0032】
このような構成のSAWデバイス10では、電極切断用穴50または開口部52を介してレーザ光を照射し、電極26の切断部を切断してSAW共振子14の周波数を調整する。このため、SAW共振子14が不透明な圧電材質、例えばLiTaO3等の圧電基板を用いる場合でもパッケージベース12側からSAW共振子14の周波数調整を行うことができる。また、SAW共振子14の表面波伝搬面は絶縁板18および接合部材16で気密封止されているので、周波数特性が変化しない。
【0033】
次に、第3の実施形態について説明する。図7に第3の実施形態に係るSAWデバイスの断面図を示す。図7(a)のSAWデバイス60aは、パッケージベース62の内部にSAW共振子64の周波数調整用の電極66aが設けられている。この電極66aはパッケージベース62の下面に形成された外部電極68と導通している。また、パッケージベース62の上面にも周波数調整用の電極66bが設けられ、この電極66bとパッケージベース内部に設けられた電極66aとが導通電極69を介して導通している。これらの電極66a、66bは第1の実施形態と同様にコンデンサおよび/またはコイルを形成し、周波数調整用の切断部(図示せず)を有している。また、パッケージベース62には、下面から内部に設けられた電極66aの前記切断部へ電極切断用穴70が設けられている。この電極切断用穴70は、それぞれの前記切断部に対応して設けられている。このようなパッケージベース62の上側に、表面波伝搬面をパッケージベース62側に向けてSAW共振子64が接合部材72を介して接合している。SAW共振子64に形成されたIDTの引き出し電極(図示せず)は導通部材74を介してパッケージベース62の上面に形成された電極66bと接合している。なお、パッケージベース62、電極66a、66b、接合部材72および導通部材74の材質は第1の実施形態と同一である。
【0034】
また、図7(b)のSAWデバイス60bは、図7(a)のSAWデバイス60aとパッケージベース62の形状が異なるのみである。このため、図面に記載する番号を図7(a)と同一にしている。パッケージベース62の内部にSAW共振子64の周波数調整用の電極66aが設けられている。この電極66aの下部のパッケージベース62が開口した、開口部80が設けられている。
【0035】
このような構成のSAWデバイス60a、60bにおいて、SAW共振子64の周波数を調整する電極66a、66bの形状は、第1の実施形態の電極と同じ形状でよい。そして、電極66a、66bの周波数調整を行うときは、パッケージベース62に設けられた電極切断用穴70または開口部80よりレーザ光を照射して電極66a、66bの前記切断部を切断し、コンデンサのキャパシタンスおよび/またはコイルのインダクタンスを調整すればよい。コンデンサのキャパシタンスは、例えばSAW共振子64を2×1.8×0.3mm、パッケージベース62を2×1.8×0.4mm、電極66a、66bの面積を1.6×1.2mmとしたときに、0.1216Fとなる。そして、312MHzで振動するSAW共振子64は、コンデンサの電極をレーザ光により切断してキャパシタンスを調整すると、1pFあたり5.6ppmの周波数が変化する。
【0036】
このような第3の実施形態によれば、周波数調整用の電極66a、66bを設けたパッケージベース62の上部に、接合部材72を介してSAW共振子64を接合させてSAWデバイス60a、60bを構成している。このSAWデバイス60a、60bを形成するときに、SAW共振子64とパッケージベース62との導通、および接合部材72により気密封止を同時に行うことができる。また、SAWデバイス60a、60bは箱型パッケージをリッドにより封止する構成に比べ、小型化および薄型化を図ることができる。また、SAW共振子64の周波数調整は、SAWデバイス60a,60bを形成した後にコンデンサおよび/またはコイルの前記切断部を切断してキャパシタンスおよび/またはインダクタンスを変化させることにより行われる。このため、SAW共振子64の周波数特性を容易かつ正確に行うことができる。さらに、パッケージをリッドで封止する作業が必要ないので、応力や熱の影響を受けて周波数特性が変化することがない。なお、本実施の形態ではSAW共振子を用いて説明したが、他の実施の形態としてSAWフィルタにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る弾性表面波デバイスの断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る弾性表面波デバイスの分解した斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る弾性表面波デバイスのIDT等と電極との位置関係の説明図である。
【図4】第1の実施形態に係る弾性表面波デバイスの製造方法を説明するフローである。
【図5】絶縁板上に形成される電極構成の例の説明図である。
【図6】第2の実施形態に係る弾性表面波デバイスの断面図である。
【図7】第3の実施形態に係る弾性表面波デバイスの断面図である。
【符号の説明】
10………弾性表面波デバイス、12………パッケージベース、14………弾性表面波共振子、16………接合部材、18………絶縁板、26………電極、38………切断部、50………電極切断用穴、52………開口部、60a、60b………弾性表面波デバイス、62………パッケージベース、64………弾性表面波共振子、66a,66b………電極、70………電極切断用穴、80………開口部。
Claims (7)
- 弾性表面波共振子と、
前記弾性表面波共振子のすだれ状電極が電気的に接続される外部電極を備えたパッケージベースと、
前記パッケージベースと前記弾性表面波共振子との間に配設され、上面の周縁部が接合部材を介して前記弾性表面波共振子に接合された絶縁板と、
前記絶縁板に設けられて前記すだれ状電極が接続され、前記弾性表面波共振子の共振周波数を調整するコンデンサおよび/またはコイルと、
を有することを特徴とする弾性表面波デバイス。 - 前記コンデンサまたはコイルは、キャパシタンスまたはインダクタンスを変化させる切断部を有することを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波デバイス。
- 前記絶縁板は下面の周縁部が第2の接合部材を介して前記パッケージベースに接合してあることを特徴とする請求項1または2に記載の弾性表面波デバイス。
- 前記絶縁板は前記パッケージベースと同じ材質により形成してあり、前記パッケージベースと一体化してあることを特徴とする請求項1または2に記載の弾性表面波デバイス。
- 前記弾性表面波共振子は透明な圧電材料からなり、前記コンデンサの少なくとも一方の電極または前記コイルは前記絶縁板の上面に形成してあることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の弾性表面波デバイス。
- 前記コンデンサの少なくとも一方の電極または前記コイルは前記絶縁板の下面に形成してあり、前記切断部を露出させる開口が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の弾性表面波デバイス。
- 前記接合部材は半田、金錫合金、または導電性接着剤のいずれかであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の弾性表面波デバイス。
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Cited By (2)
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CN114337577A (zh) * | 2021-12-24 | 2022-04-12 | 武汉敏声新技术有限公司 | 一种调谐器件及其制备方法 |
US20220123735A1 (en) * | 2020-10-16 | 2022-04-21 | Qualcomm Incorporated | Tunable circuit including integrated filter circuit coupled to variable capacitance, and related integrated circuit (ic) packages and fabrication methods |
-
2003
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