JP2004362667A - 不正コピー防止可能な光記録媒体とその不正コピー防止方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(1)少なくともROM領域を有する光記録媒体において、該ROM領域に存在する信号幅がnTのピット(nは所定の整数)のうち、nが同一のピットの幅Wと長さLの積W×Lを、ROM領域の一部で変化させたことにより、アシンメトリが変化し、再生の際にリードエラーが発生する光記録媒体。
(2)ROM領域のW×Lを変化させた部分が、通常の情報部分とは別の、媒体判別用の特別の情報部分であるか、(3)W×Lの変化、又はアシンメトリの変化が連続的又は不連続的である(1)記載の光記録媒体。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はROM領域を有する不正コピー防止可能な光記録媒体とその不正コピー防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今における情報量の増大とパーソナルコンピュータの急速な普及に伴い、高密度かつ高速で大量のデータの記録、再生が可能であるディスクドライブが商品化され普及してきている。このため情報の提供及び配布には、レーザービームの照射により再生を行うこのディスクドライブ装置に対応した光記録媒体であるCD−ROMやDVD−ROMといった再生専用ディスクが汎用されている。そして、このような光記録媒体を利用することで光記録媒体中に含まれているアプリケーションソフトや音楽、画像(静止画、動画)、文書等の各種情報を一度に速く読み出し、ハードディスク等の他のドライブへ高速で転送することが可能となっている。また前記の再生専用ディスクの機能に加え、既存の情報を持つ光記録媒体中に記録可能な領域を持ち、前記記録可能領域に新たな情報を付加することが可能なハイブリッドディスクも普及し始めている。このディスクでは、例えば当該ディスクのROM領域中に含まれているコンピューターソフトを利用して同一ディスクの記録可能領域に必要な情報を追記することで当該ディスクの使い勝手を向上することができ、また例えば前記コンピューターソフトの古いコンテンツを新しいバージョンにアップグレードさせることで、新たに余分なROMディスクを所持・使用する必要がなくなるなどの利点を持つ。
【0003】
しかし上記のようなROM領域を持つ再生専用ディスク及びハイブリッドディスクは、光記録媒体内がRAM領域のみで構成されている記録用ディスク及び記録用アプリケーションを用いることで容易に複製することができる。更に一度情報を複製した光記録媒体をソースとして使用し、別の新たな光記録媒体へバックアップを取る二次コピー、或いは同様の行為を繰り返す三次以降のコピーのように、不正コピーが次々と行われることがあり、これらの不正なコピー品が営利的に利用されることによって、著作者の権利が保護されず深刻な問題となっている。
また、コピー元の光記録媒体の原本性が損なわれるのみならず、光記録媒体中に重要情報や機密事項が含まれる場合の情報管理の安全性に問題が生じる。
この問題を解決するための手段として、特許文献1には、CD−RやCD−RWなどの光記録媒体の溝幅及び溝深さを通常の領域より小さくしたり、情報記録後に更にその上からエラー発生用記録マークを形成することが開示されている。これらの方法によれば、光記録媒体に記録した信号の一部に不定な再生エラーが発生するので、上記のような処理を施した光記録媒体をソースとして使用する複製、即ち二次コピーを行った場合、複製先の光記録媒体を、固定された訂正不能な再生エラーが入った状態とすることができる。しかし上記のような処理を施した光記録媒体に対する複製、即ち一次コピーは可能であるため、不正コピーを防止するには不十分である。
また、特許文献1の発明は、CD−RやCD−RWなどを対象とするものであって、本発明のような少なくともROM領域を有する光記録媒体を対象とする発明とは異なり、従って、不正コピー防止のための具体的手段も異なる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−92881号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、少なくともROM領域を有する、情報著作者の権利保護などのため不正コピー防止可能な光記録媒体とその不正コピー防止方法、更には該光記録媒体の基板成型用スタンパとその作製方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために鋭意検討した結果、光記録媒体のROM領域に存在するピットの幅Wと長さLの積W×Lを変化させることにより記録部分の信号特性が変化することを見出し、本発明に至った。
即ち、上記課題は、次の1)〜18)の発明によって解決される。
1) 少なくともROM領域を有する光記録媒体において、該ROM領域に存在する信号幅がnTのピット(nは所定の整数)のうち、nが同一のピットの幅Wと長さLの積W×Lを、ROM領域の一部で変化させたことにより、アシンメトリが変化し、再生の際にリードエラーが発生することを特徴とする光記録媒体。
2) ROM領域のW×Lを変化させた部分が、通常の情報部分とは別の、媒体判別用の特別の情報部分であることを特徴とする1)記載の光記録媒体。
3) W×Lの変化が連続的であることを特徴とする1)又は2)記載の光記録媒体。
4) アシンメトリの変化が連続的であることを特徴とする3)記載の光記録媒体。
5) W×Lの変化が不連続的であることを特徴とする1)又は2)記載の光記録媒体。
6) アシンメトリの変化が不連続的であることを特徴とする5)記載の光記録媒体。
7) 少なくとも変化したアシンメトリが5%より大きく10%以下、又は、−15%より小さく−20%以上の範囲内においてリードエラーが発生することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の光記録媒体。
8) アシンメトリが変化した領域で、再生信号のジッタに差異を生じることを特徴とする1)〜7)の何れかに記載の光記録媒体。
9) アシンメトリが変化した領域で、再生信号のエラーレートに差異を生じることを特徴とする1)〜7)の何れかに記載の光記録媒体。
10) リードエラーが発生する領域を再生することにより、光記録媒体がオリジナル品か複製品かを判別することができることを特徴とする1)〜9)の何れかに記載の光記録媒体。
11) リードエラーが発生する領域を再生し、光記録媒体をオリジナル品と判別した場合に限り記録情報が有効となるように設定されていることを特徴とする10)記載の光記録媒体。
12) 1)〜11)の何れかに記載の光記録媒体を再生した際に、リードエラーが発生することにより、光記録媒体がオリジナル品か複製品かを判別することを特徴とする光記録媒体の不正コピー防止方法。
13) 光記録媒体をオリジナル品と判別した場合に限り、ROM領域に存在する情報が有効となるようにすることを特徴とする12)記載の光記録媒体の不正コピー防止方法。
14) ROM領域に存在する信号幅がnTのピット(nは所定の整数)のうち、nが同一のピットの幅Wと長さLの積W×Lを、ROM領域の一部で変化させた光記録媒体の基板成形用スタンパ。
15) W×Lの変化が連続的である14)記載のスタンパ。
16) W×Lの変化が不連続的である14)記載のスタンパ。
17) レーザー露光工程においてプリマスタリングにより用意した情報に従って露光条件を変更することによりW×Lを変化させることを特徴とする14)〜16)の何れかに記載のスタンパの作製方法。
18) 露光パワーを連続的に変化させることを特徴とする17)記載のスタンパの作製方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明が適用可能な光記録媒体としては、ROM領域のみからなるROMディスク、或いはROM領域と追記可能な領域が同一の光記録媒体上に存在しているハイブリッドディスクが挙げられる。これらの光記録媒体は、まずガラス原盤へのフォトレジスト材料塗布、レーザー露光、現像、電鋳の各工程を経てスタンパを作製し、このスタンパを用いて一般的な方法で作製できる。CDフォーマットの光記録媒体を例に取ると、CD−ROMディスクの場合には、ポリカーボネート基板上にAlなどからなる反射層とアクリル樹脂などからなる保護層を積層させることで所望の光記録媒体が得られる。また、ハイブリッドディスクの場合には、追記可能領域への1回の記録が可能なCD−R型ではポリカーボネート基板上に有機色素記録層、Alなどからなる反射層及びアクリル樹脂などからなる保護層を積層させ、追記可能領域での記録/消去が繰り返し可能なCD−RW型ではポリカーボネート基板上に無機誘電体保護層、無機相変化記録層、無機誘電体保護層、Alなどからなる反射層及びアクリル樹脂などからなる保護層を積層させることで所望の光記録媒体が得られる。
【0008】
ROM領域の記録情報は、アプリケーションソフトウェアや音楽、画像、各種データなどのコンテンツ(所望の記録情報)が一般的であり、通常、信号幅がnT(nは所定の整数:CDの場合n=3〜11、Tはクロック時間:信号の変調に用いるクロックの周期に相当する時間)のピット(以下、nTピットという)で形成されている。この部分は0信号及び1信号で構成される2値パルス信号が変調されており、所定周波数のクロックに基づいてランダムな長さを持つピットが様々なピット間隔で存在している。ROM領域を有する光記録媒体では、一般的にROM領域に存在するピットの面積の目安となる、ピットの幅Wと長さLの積W×L(以下、W×Lという)が、ある同一のnを持つピット同士について同一光記録媒体内でほぼ不変である。
【0009】
これに対し本発明では、ROM領域に存在するnTピットのW×Lを、ROM領域の一部において変化させることにより、記録信号の特性を所望の値に設定したり、記録信号特性に連続的又は不連続的な変化を与えることが可能となる。
ROM領域の一部のW×Lを変化させた基板は、基板成形用スタンパのスタンパ作製条件を変更することで容易に作製できる。スタンパは通常、ガラス原盤へのフォトレジスト材料塗布工程、レーザー露光工程、現像工程、電鋳工程により作製されるが、レーザー露光工程において、プリマスタリングにより用意した情報に従って露光条件を変更することで、ROM領域に存在するnが同一のnTピットのうち、所望の部分のnTピットのW×Lを変化させた光記録媒体を作製するためのスタンパを得ることができる。
【0010】
W×Lを変化させる方法としては、ピットの幅Wを変化させる方法とピットの長さLを変化させる方法の二通りがあり、ピットの幅Wを変化させるには、図1に示したように、レーザー露光行程中、ピットの露光パワーを変化させてガラス原盤上のフォトレジスト材料の溶融により原盤上に形成されるnTピットの幅を変化させる方法が簡便で好ましい。この方法によればnTピットの幅を連続的(アナログ的)に変化させることができる。なお、図1の横軸は露光パワー(mW)、縦軸は3Tピット幅(μm)である。またピットの長さLを変化させるには、例えばピット露光中にピットのデューティを変化させればよい。ここで言うデューティとは、時定数に対するピットの露光時間の比である。図2にデューティ変化による3Tピット長の変化の一例を示した。この方法は、ピットの長さを不連続的(デジタル的)に変化させるのに適している。なお、図2の横軸はピットデューティ(%)、縦軸は3Tピット長(μm)である。
スタンパの露光工程で使用される露光機は、その制御機構上、露光パワーを連続的に変化させる方がデューティを連続的に変化させるよりも容易である。従って、W×Lを連続的に変化させる場合には、露光パワーを連続的に変化させることによりピットの幅Wを連続的に変化させる方法が好ましい。
【0011】
以上のような方法を用いてW×Lを変化させることにより、記録信号のアシンメトリを変化させることができる。図3に、3TピットのW×Lとアシンメトリとの関係を示すが、W×Lとアシンメトリとは概ね比例関係にあることが分る。この特性を利用することで、W×Lの変化により、基板のROM領域の一部において記録信号のアシンメトリが変化した光記録媒体を作製することができる。
また、W×LをROM領域の一部で変化させることにより、アシンメトリだけでなく、その他の信号特性が該ROM領域の一部で相違するか或いは変化した光記録媒体を得ることができる。即ちアシンメトリを変化させることにより、ROM領域の一部でジッタ及びエラーレートに差異を持たせるか或いは変化させることが可能となる。変化はW×Lを大きくすること、或いは小さくすることの両方で行うことが可能であるが、Wを大きくするには限界があること及び作り易さの点から、ピットの面積を小さくすること、即ちW×Lを小さくする方がより容易に変化を持たせることができる。これによりアシンメトリを変化させて(図3参照)記録信号のジッタを悪化させ、訂正可能なエラーをより多く発生させることができる。
以上のようにすれば、ROM領域の一部の記録信号を差別化することができ、光記録媒体の不正なコピーを防止する手段として使用することが可能となる。
なお、上記ROM領域の一部としては通常の記録情報部分(例えば前記所望の記録情報部分)でもよいが、必要な記録情報を再生装置で確実に抽出することが重要であるため、所望の記録情報部分とは別に、媒体判別用の特別の情報部分を設け、この特別の情報部分のW×Lを変化させることが望ましい。
【0012】
リードエラーの発生するアシンメトリは再生装置によって異なるが、アシンメトリの規格値が−15〜5%であることから、前記変化させた部分のW×Lは、アシンメトリが5%より大きく10%以下、又は、−15%より小さく−20%以上の範囲内となる部分を含むように設定すると、ジッタ及びエラーレートの悪化がより顕著となるため訂正可能なエラーレートが上昇し、何れの再生装置でもリードエラーが発生し易くなる。−15〜5%の範囲ではエラーレートが良好なため、不正コピーの防止手段として利用することが難しい。また、10%より大きいか、或いは−20%より小さいと、前記アシンメトリ範囲の再生中に、再生装置の再生動作自体に不具合が発生する可能性がある。また変化させている範囲が所望の記録情報部分である場合、当該光記録媒体を再生したときに訂正不可能なエラーが発生することがあり、必要な情報を提供する光記録媒体としての機能を果さなくなる場合があるので好ましくない。
図4に示すようなCD、DVDドライブ等の記録/再生装置を用いてW×Lが変化した領域を再生した場合、この領域は他の領域よりアシンメトリが変化しており、ジッタ及び訂正可能なエラーレートが大きくなることで不定な情報が抽出されるため、リードエラーが発生する。
【0013】
一方、上記のような不正コピー防止機能を有するオリジナル光記録媒体を複製元とし、図4に示すような記録/再生装置を用いてCD−RやCD−RWなどの記録用光記録媒体に複製する場合、複製先の記録装置では記録時のパワーが一定であるため、複製先の光記録媒体に記録された信号領域の信号特性は総じて良好である。よって複製元の光記録媒体に含まれる情報は複製できても記録信号特性までは複製されない。即ち複製元の光記録媒体中のW×Lを変化させたことにより再生時にリードエラーが発生する領域に該当する複製先の光記録媒体中の領域は信号特性が良好で、これを再生装置で再生した場合には固定の情報が抽出されるため、リードエラーは発生しない。
上記のような複製元と複製先の光記録媒体を再生装置で再生させ、その結果のリードエラーの有無を利用することで、所望の記録情報を含む光記録媒体がオリジナル品か複製品かを判別することができる。即ち、光記録媒体中のROM領域中のW×Lを変化させた領域をディスク判別用領域として利用することができ、記録情報を再生した際にリードエラーが発生すれば、光記録媒体はオリジナル品と判定することができる。一方、複製先の光記録媒体では信号特性が一定かつ良好であり、複製元光記録媒体でピットのW×Lを変化させた部分に該当する信号領域の信号特性も良好であってリードエラーが発生しないことから複製品と判定できる。
【0014】
また、光記録媒体に、上記判別操作即ち再生操作を複数回行うことによりオリジナル品か複製品かを判別する機能を持たせれば、不正コピーを防止するのに効果的である。設定する再生操作の回数は任意でよいが、所望の記録情報の立ち上げに長い時間を要することのないよう、3〜10回程度にするのが好適である。
また、上記判別機能により、光記録媒体がオリジナル品と判別された場合に限り、所望の記録情報が有効となる機能を持たせれば、不正コピー品の流用を防止するのに効果的である。特に、媒体判別用の特別の記録情報を再生して判別した結果により、同じROM領域中に含まれる所望の記録情報が動作するかしないかが選択されるという設定にすることが望ましい。媒体判別用の特別の記録情報を構成するピットは、W×Lを他の記録情報領域と変えるが、情報の中身としてはディスク固有のID情報やランダムな数列情報などが挙げられる。
更に光記録媒体が追記可能領域を持つハイブリッドディスクである場合、記録可能領域に個人情報や記録装置に関する情報などのID情報を付加することにより、当該光記録媒体の固有性を更に向上させることができるのみならず、所望の情報を動作させるためのキーとして使用することができ、著作者の権利を保護するのにより効果がある。
【0015】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0016】
実施例1〜5、比較例1〜4
1.2mm厚のポリカーボネート基板上の半径位置25mmから32mmまでのROM領域中に、所望の画像データA、0から9までの数字で構成された数列データを持つディスク判別用情報B、及び該ディスク判別用情報Bを複数回再生し光記録媒体がオリジナル品か複製品かを判別するためのアプリケーションCの各情報ファイルをCDフォーマットに従うウォブルピットに変換させて配置し、直径32mm以降の記録可能領域には深さ1030Åの案内溝を有するハイブリッドディスク基板を成形した。画像データAは、ディスク判別用情報BがアプリケーションCによってオリジナル品と認識した後に動作可能とする仕組みとした。ROM領域のピット深さは2980Åとした。
スタンパ作製時のレーザー露光工程において、表1に記載の通り、ディスク判別用情報Bに該当する情報領域のnTピットのデューティを15%から45%まで設定し、各実施例及び比較例毎にピット長を不連続的に変化させることにより、3TピットのW×Lがそれぞれの光記録媒体で異なるように露光した。この時、画像データAに該当する情報領域のnTピットデューティは35%、露光パワーは3.7mWに固定した。
この基板上に、スピンコート法で膜厚130nmのフタロシアニン系色素記録層、スパッタリング法で膜厚約110nmのAg反射層を順次積層した。更に、紫外線硬化樹脂をスピンコートしてオーバーコート層、ハードコート層を形成した。
【表1】
【0017】
以上の方法で得た実施例1〜5及び比較例1〜4の光記録媒体は、ディスク判別用情報Bに該当する記録領域中の3TピットのW×Lを不連続に変えることで、表1に記載の通りアシンメトリがそれぞれ異なり、かつ記録信号のジッタ値及びエラーレートに差異を与えることができた。
また、これらのハイブリッドディスクである光記録媒体を複製元として通常のCD−Rに複製し、各オリジナル媒体及び複製媒体に含まれるアプリケーションCを用いて再生装置にてディスク判別用情報Bを3回再生した結果、実施例1〜5のようにディスクディスク判別用情報Bの記録信号のアシンメトリが5%〜10%及び−15%〜−20%の領域に含まれる時、オリジナル媒体では画像データAが再生可能で、複製媒体では再生不可であった。これは表2に示すように、光記録媒体中のディスク判別情報Bを3回再生した時、抽出された情報がオリジナル媒体ではそれぞれ異なる数列データであったため不定な情報となり、複製媒体では3回の再生の全てにおいて同一の数列データとなったため、それぞれオリジナル品又は複製品と正しく判定されたことによる。
比較例1及び4は、オリジナル媒体中のディスク判別情報Bのアシンメトリがそれぞれ−15%以上5%以下であり、他の記録信号特性も実施例と比較して良好であったため、オリジナル媒体中のディスク判別情報Bを3回再生しても、複製媒体と同様に3回とも同一の数列データが抽出された。このためアプリケーションCによりオリジナル品も複製品と判定されたことで画像データAが無効となった。
また比較例2及び3は、オリジナル媒体中のディスク判別情報Bを構成する記録信号中にCUエラー(訂正不可能なエラー)が発生したためデータ抽出が不可となり、ディスク判別情報Bの判別と画像データAの動作及び複製までは至らなかった。
【表2】
【0018】
実施例6〜7、比較例5〜6
1.2mm厚のポリカーボネート基板上の半径位置25mmから32mmまでのROM領域中に、所望の画像データA、1分間の長さを持つランダムデータで構成されるディスク判別用の情報B、及びディスク判別用情報Bを再生し光記録媒体がオリジナル品か複製品かを判別するためのアプリケーションCの各情報ファイルをCDフォーマットに従うウォブルピットに変換させて配置し、直径32mm以降の記録可能領域には深さ1030Åの案内溝を有するハイブリッドディスク基板を成形した。画像データAは、ディスク判別用情報BがアプリケーションCによってオリジナル品と認識した後に動作可能とする仕組みとした。ROM領域のピット深さは2980Åとした。
スタンパ作製時のレーザー露光工程において、表3に示す通りデューティを33%(実施例6)及び47%(実施例7)に設定し、更に1分間のディスク判別用情報Bに該当する領域を露光する時に、この領域における露光パワーを2.5〜4.3mWの間で、毎秒0.03mWの速さで連続的に変化させた。即ち、実施例4では4.3mWから2.5mWへの減少、実施例5では逆に2.5mWから4.3mWへの増加を露光機上の操作で行い、両者とも各ピットの幅を連続的に変化させることで、3TピットのW×Lがそれぞれの光記録媒体で連続的に変化するように露光した。
この時、画像データA及び媒体判別用アプリケーションCに該当する情報領域のnTピットデューティは40%、露光パワーは3.4mWに固定した。
この基板上に、スピンコート法で膜厚130nmのフタロシアニン系色素記録層、スパッタリング法で膜厚約110nmのAg反射層を順次積層した。更に、紫外線硬化樹脂をスピンコートしてオーバーコート層、ハードコート層を形成した。
【0019】
以上の方法で得た実施例6及び7のハイブリッドディスクは、ディスク判別用情報Bに該当する記録領域中の3TピットのW×Lを連続的に変化させることにより、表3に記載の通りアシンメトリをディスク判別用情報B内で連続的に変化させることができ、記録信号のジッタ値も連続的に変化させることができた。また、これらのハイブリッドディスクを、媒体判別用アプリケーションCを用いて各種再生装置で再生させたところ、画像データAが再生可能となった。これはディスク判別用情報Bに該当する記録領域の再生中にリードエラーが発生し、これにより媒体判別用アプリケーションCが当該光記録媒体をオリジナル品と判定し、画像データAが有効となったためである。また、このディスク判別用情報Bに該当する記録領域におけるリードエラーの発生は、再生装置の読取能力に拘わらず、どの再生装置でも発生した。即ち、W×Lを連続的に変化させた領域ではどの再生装置でもリードエラーを発生させることができた。
次に比較のため、この実施例6及び7のハイブリッドディスクを複製元として通常のCD−Rに複製した(比較例5、6)。そして各複製媒体に含まれるアプリケーションCを用いて各種再生装置にてディスク判別用情報Bを再生した結果、画像データAが再生不可となった。これは表3に示すように、各光記録媒体中のディスク判別情報Bに該当する記録信号のアシンメトリが、−5%及び−7%近傍で一定であり、ジッタ等の他の記録信号特性も良好な状態で一定であったため、媒体判別用アプリケーションCにより複製品と判定されたことによる。
【表3】
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、ROM領域にコンピューターアプリケーションや音楽、画像(静止画、動画)などの各種情報を有する光記録媒体の不正コピーを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録媒体のROM領域におけるピットの幅Wと、スタンパ作製時のレーザー露光行程中の露光パワーとの関係の一例を示す図である。
【図2】本発明の光記録媒体のROM領域におけるピットの長さLと、ピットデューティとの関係の一例を示す図である。
【図3】本発明の光記録媒体のROM領域におけるピットの幅Wと長さLの積W×Lとアシンメトリとの関係の一例を示す図である。
【図4】記録/再生装置の形態の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 光記録媒体
2 スピンドルモーターからなる駆動部
3 記録/再生用ピックアップ
4 レーザー駆動回路
5 記録/再生パワー設定回路
Claims (18)
- 少なくともROM領域を有する光記録媒体において、該ROM領域に存在する信号幅がnTのピット(nは所定の整数)のうち、nが同一のピットの幅Wと長さLの積W×Lを、ROM領域の一部で変化させたことにより、アシンメトリが変化し、再生の際にリードエラーが発生することを特徴とする光記録媒体。
- ROM領域のW×Lを変化させた部分が、通常の情報部分とは別の、媒体判別用の特別の情報部分であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
- W×Lの変化が連続的であることを特徴とする請求項1又は2記載の光記録媒体。
- アシンメトリの変化が連続的であることを特徴とする請求項3記載の光記録媒体。
- W×Lの変化が不連続的であることを特徴とする請求項1又は2記載の光記録媒体。
- アシンメトリの変化が不連続的であることを特徴とする請求項5記載の光記録媒体。
- 少なくとも変化したアシンメトリが5%より大きく10%以下、又は、−15%より小さく−20%以上の範囲内においてリードエラーが発生することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の光記録媒体。
- アシンメトリが変化した領域で、再生信号のジッタに差異を生じることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の光記録媒体。
- アシンメトリが変化した領域で、再生信号のエラーレートに差異を生じることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の光記録媒体。
- リードエラーが発生する領域を再生することにより、光記録媒体がオリジナル品か複製品かを判別することができることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の光記録媒体。
- リードエラーが発生する領域を再生し、光記録媒体をオリジナル品と判別した場合に限り記録情報が有効となるように設定されていることを特徴とする請求項10記載の光記録媒体。
- 請求項1〜11の何れかに記載の光記録媒体を再生した際に、リードエラーが発生することにより、光記録媒体がオリジナル品か複製品かを判別することを特徴とする光記録媒体の不正コピー防止方法。
- 光記録媒体をオリジナル品と判別した場合に限り、ROM領域に存在する情報が有効となるようにすることを特徴とする請求項12記載の光記録媒体の不正コピー防止方法。
- ROM領域に存在する信号幅がnTのピット(nは所定の整数)のうち、nが同一のピットの幅Wと長さLの積W×Lを、ROM領域の一部で変化させた光記録媒体の基板成形用スタンパ。
- W×Lの変化が連続的である請求項14記載のスタンパ。
- W×Lの変化が不連続的である請求項14記載のスタンパ。
- レーザー露光工程においてプリマスタリングにより用意した情報に従って露光条件を変更することによりW×Lを変化させることを特徴とする請求項14〜16の何れかに記載のスタンパの作製方法。
- 露光パワーを連続的に変化させることを特徴とする請求項17記載のスタンパの作製方法。
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