JP2004362128A - モデル画像照合における3次元姿勢の補正手法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、カメラ中心付近で用意した対象物体の種々の3次元姿勢を捉えたモデル画像のデータベースのみで、画面上の全ての位置に表される実空間に位置する対象物体のカメラ画像の姿勢推定を行うモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法を提供する。
【解決手段】対象物体1の種々の3次元姿勢を捉えたCADモデル画像4の球面射影画像データベースを作成した後、これとカメラ画像3の球面射影画像を照合し、カメラ画像3の球面射影画像に最もフィットする推定CADモデル2aを取得する。一方で、対象物体1、CADモデルの重心の視線差を計算しておき、推定CADモデル2aの姿勢を視線差φで補正することにより、正しい補正CADモデル2bの姿勢を得ることができる。
【選択図】 図5
【解決手段】対象物体1の種々の3次元姿勢を捉えたCADモデル画像4の球面射影画像データベースを作成した後、これとカメラ画像3の球面射影画像を照合し、カメラ画像3の球面射影画像に最もフィットする推定CADモデル2aを取得する。一方で、対象物体1、CADモデルの重心の視線差を計算しておき、推定CADモデル2aの姿勢を視線差φで補正することにより、正しい補正CADモデル2bの姿勢を得ることができる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モデル画像照合により推定した対象物体の3次元姿勢を補正するための、モデル画像照合における3次元姿勢の補正手法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、CADにより作成した対象物体のレンダリング画像(以下ではCADモデル画像と示す)照合を用いた実空間に位置する対象物体の3次元姿勢推定では、CADモデル画像と実空間に位置する対象物体を撮像したカメラ画像を照合して、対象物体の姿勢推定を行う。しかし、CADモデル画像は、一般には画像中心付近での画像しか用意しない。この場合、対象物体が同姿勢で位置のみ変動した場合、誤った姿勢推定を行ってしまう。以下に例を示す。
【0003】
図1は対象物体1が画像中心付近にある場合のカメラ画像3、図2は対象物体1の姿勢は図1と同姿勢だが位置のみ変動した場合のカメラ画像3である。図2の対象物体1の姿勢は 図1と同姿勢と推定されるべきだが、CADモデル画像との照合では、図1と別姿勢のCADモデル画像と最もフィットすると推定される。これは、カメラ画像3、CADモデル画像が透視変換により表されることが原因である。勿論、これは図1のような画像中心のみのCADモデル画像だけでなく、図 2のような画像中心以外のCADモデル画像を用意すればよいが、この場合には、データベースとして用意するCADモデル画像は画面上のあらゆる位置に対して必要になり、また、どの画面位置のCADモデル画像と照合するかが問題になり、データ量、精度の観点から好ましくない。
【0004】
この他にも、モデル画像照合を用いた3次元姿勢の推定手法には、特許文献1及び特許文献2に示すように、カメラ画像3をCADモデル画像データベースと画像照合する手法や、特許文献3に示すように、カメラ画像3の輪郭をCADモデル輪郭データベースと輪郭照合する手法等が考案されている。
【0005】
カメラ画像をCADモデル画像データベースと画像照合する手法では、画像データベースとの相関を取るのは非現実的なデータ量、計算時間となるため、一般的には特徴点部分のみの照合が行われ、かつ繰り返し収束計算を用いた推定手法が用いられる。
また、カメラ画像の輪郭をCADモデル輪郭データベースと輪郭照合する手法では、CADモデル画像データベースを用いる場合と比較すると大幅にデータ量、計算時間が削減される手法であり、特許文献3では、画像の輪郭線を関数化したデータベースを用いて位置、推定を行っている。
しかし、何れの手法においても、対象物体の画像位置による姿勢推定誤差に対する対処は考慮されていない。
【0006】
【特許文献1】
特開平09−277184号公報
【特許文献2】
特開2002−46087号公報
【特許文献3】
特開平09−167234号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記事情に鑑み、本発明は、カメラ中心付近で用意した対象物体の種々の3次元姿勢を捉えたモデル画像のデータベースのみで、画面上の全ての位置に表される実空間に位置する対象物体のカメラ画像の姿勢推定を行うモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法は、実空間における対象物体のカメラ画像と、対象物体の種々の3次元姿勢を画像化した複数のモデル画像をデータベース化した画像照合データベースとを画像照合することで、実空間における対象物体の3次元姿勢を推定するモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法であって、前記モデル画像照合により、実空間における対象物体の3次元姿勢を暫定的に推定するとともに、前記モデル画像とカメラ画像の両者で、同一点に設定されているカメラ視点から、前記対象物体固有の特徴点を、モデル画像取得時とカメラ画像取得時各々の位置で認識したときの視方向の角度差を視線差として算定し、該視線差を用いて、暫定的に推定した3次元姿勢を回転補正することを特徴としている。
【0009】
請求項2記載のモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法は、前記対象物体固有の特徴点に、前記モデル画像及びカメラ画像各々の画像重心が用いられることを特徴としている。
【0010】
請求項3記載のモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法は、前記モデル画像及びカメラ画像の両者を、前記カメラ視点を中心点に備えた同一の立体の面上に射影して、モデル射影画像及びカメラ射影画像を作成し、前記画像照合データベースには、前記モデル画像に代わり、モデル射影画像をデータベース化するとともに、モデル画像照合には、カメラ画像に代わり、カメラ射影画像を用いることを特徴としている。
【0011】
請求項4記載のモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法は、前記立体には、球体を用いることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係るモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法について、図3から図9を参照して詳細を以下に示す。
本実施の形態では、実空間における対象物体、実空間における対象物体を撮像するカメラ、対象物体のカメラ画像を、それぞれ対象物体1、カメラ、カメラ画像3と称す。また、カメラ画像3と照合するモデル画像をCAD空間で取得することとし、これをCADモデル画像4と称するとともに、CAD空間における対象物体をCADモデル2、CADモデル2からCADモデル画像4を取得するカメラをCADカメラと称する。
なお、カメラによる画像計測対象を衛星とするが、対象物体1は衛星に特定するものではない。
また、本発明で扱うカメラ画像3は、カメラキャリブレーション結果などを用いて、レンズ歪みは補正されているものとする。
さらに、カメラは2次元画像用カメラのみではなく、3Dのレーザレンジファインダに対しても適用可能である。
【0013】
また、本実施の形態では、照合する対象を画像として記載しているが、例えば、画像輪郭線を画像重心などを原点とした極座標で表した輪郭関数、あるいは輪郭線を曲率の関数として表したフーリエ記述子のように、画像データから作成した関数を照合する場合においても適用可能である。従って、以下に説明するモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法においては、照合する対象を、適宜、輪郭関数、フーリエ記述子などと読み替えればよい。
【0014】
次に、図3にCADモデル座標系Σmを示す。ΣmはCADモデル2に固定された直交右手系座標系であり、幾何学重心Omを原点とし、図3のようなXm、Ym、Zm軸の方向を取り、回転角θx、θy、θzは、各軸右ねじの進む方向に対応する回転を正の回転方向とする。OmはCADモデル2の幾何学重心、あるいは質量重心である必要はなく任意性があるが、本実施の形態では、幾何学重心として説明する。
【0015】
また、カメラ座標系は、透視変換の原理に基づき(実空間での)カメラの画面描画をモデル化した座標系であり、 CADカメラはカメラと焦点距離、画角、画像サイズ(ピクセル数)を一致させておく。図4にカメラ座標系Σcの説明を示す。Σcはカメラに固定された直交座標系であり、カメラ視点Ocを原点とし、図4のようにカメラ画面5の右方向を+Xc、カメラ画面5の上方向を+Yc、カメラ画面5の手前方向を+Zc軸の方向とする。また、oはカメラ画面5の中心で、fは焦点距離を表す。従って、カメラ画面5はZc=−fの平面となる。例として、Σc上の任意の点Pは、図 5のようにカメラ画面5上の点Pcに射影される。
【0016】
上述するCADモデル画像4及びカメラ画面5を利用したモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法を以降で詳述するが、これに先立ち、2次元を例に挙げて、簡略にモデル画像照合に用いる姿勢補正手法の原理について、図5、図6を参照して説明する。
図5は、2次元空間でのモデル画像照合に用いる姿勢補正の原理を示すものであり、カメラ、CADカメラを同一のものとして重畳してあり、対象物体1、CADモデル2が存在する空間も重畳されている。ここで、対象物体1がカメラ画面5の画像中心から離れた位置にある場合、CADモデル2が画像中心付近にあるCADモデル画像4による画像照合を用いての姿勢推定を考える。
【0017】
また、図6は、モデル画像照合に用いる姿勢補正の手順を示すフローチャートであり、このフローチャートは、必ずしも2次元に限定したものではない。
ところで、本実施の形態では、図6に示すように、モデル画像照合に用いる姿勢補正の手順に、球面射影を適用している。これは、CADモデル画像4、カメラ画像3には、透視変換に起因する歪みが存在することから、これらを球体に射影した球面射影(3次元極座標変換、眼球変換)を用いて透視変換歪み補正をすることを目的とするものである。ここで、上述する球面射影を用いた透視変換歪み補正を簡略に示す。
【0018】
図7に、球面座標変換を用いた透視変換歪み補正手法の原理を示す。対象物体1がカメラ画像3中心付近にある場合は画像A、対象物体1がカメラ画面5に平行移動すると画像Bとなる。画像Bでは画像Aでは写らなかったカメラ画面5に垂直な部分も撮像され、この垂直部分の撮像部はカメラ画面5の撮像位置により大きさが変化するため透視変換歪みの要因となる。
これに対し、カメラ視点を中心とする球面上に画像を射影する場合、画像A→球面射影画像A、画像B→球面射影画像B、と射影される。球面射影画像Aは画像Aと大差ないが、球面射影画像Bは画像Bよりかなり縮小される。すなわち、球面射影により、画面中心から離れた位置の画像を、あたかも画像中心にあるがごとく扱うことができ、画像の正規化と考えると解りやすい。
【0019】
しかし、球面射影画像Bと、画像中心付近にあるCADモデル画像4の画像Cを球面射影した球面射影画像Cとを照合すると、図7のような推定CADモデル2aの姿勢と推定する。これは、カメラ視点に対する対象物体1、推定CADモデル2aの視線方向での姿勢が同一だからである。しかし、正しい姿勢は点線で示した対象物体1の姿勢である。従って、モデル画像照合において、球面射影を用いて透視変換に起因する歪みを補正することはできても、正しい推定姿勢は得られない。
【0020】
そこで、本発明は、カメラ視点から対象物体1の重心、CADモデル2の重心への各視線の差、あるいはカメラ視点から対象物体1の球面射影画像重心、CADモデル2の球面射影画像重心への各視線の差を視線差と称し、この視線差をモデル画像照合に適用して、推定姿勢を補正するものである。
【0021】
なお、予め、対象物体1、CADモデル2が画像中心付近にあることが解っている場合には、依然として、上述の視線方向の相違に起因する姿勢推定誤差は残るものの、画像中心付近では透視変換歪みの影響は少ないため球面射影は割愛可能であり、図6ではこれをカッコを用いて示している。この場合に照合する画像は、球面射影画像から、適宜、CADモデル画像4、カメラ画像3と読み替えれば良い。
また、本実施の形態では、球体に射影した球面射影を用いた透視変換歪み補正を示したが、射影する立体は、必ずしも球体にこだわるものではなく、円筒や多面体上の平面等、カメラ視点が中心点に備えられた立体であれば、適宜最適な立体を用いる構成とすればよい。
【0022】
以下、球面射影を用いた透視変換歪み補正を実施する場合を事例として、モデル画像照合に用いる姿勢補正の原理を詳述する。
【0023】
(オフラインでの画像データベース作成)
画像中心付近に位置するCADモデル2の、種々の3次元姿勢を捉えたCADモデル画像4を、予めデータベース化し画像照合データベースを作成しておく。図5では、種々の3次元姿勢において、モデル画像照合に用いるCADモデル画像4である画像Aを球面射影して、画像照合データベースに代わり、球面射影画像A(請求項のモデル射影画像に相当)をデータベース化した球面射影画像データベースを作成することに相当する。
【0024】
(カメラ画像の球面射影)
カメラ画像3を球面射影する。図5では、対象物体1のカメラ画像3である画像Bを球面射影して、球面射影画像B(請求項のカメラ射影画像に相当)を取得することに相当する。
【0025】
(画像照合)
CADモデル画像4の球面射影画像データベースと、カメラ画像3の球面射影画像を、相関計算などにより照合するモデル画像照合を実施する。図5では、球面射影画像Aと球面射影画像Bを照合することに相当する。
【0026】
(姿勢推定)
画像照合して、カメラ画像3の球面射影画像に最もフィットするCADモデル画像4の球面射影画像の姿勢を推定姿勢とする。図5では、推定CADモデル2aの姿勢が推定姿勢となる。
【0027】
(重心の視線差計算)
対象物体1、CADモデル2の重心の視線差を計算する。図5では、視線差の計算に用いる重心点として、対象物体1、CADモデル2の幾何学重心として示したが、必ずしもこれにこだわるものではなく、実用的には球面射影画像A、球面射影画像Bの画像重心を用いる方が便利である。これは幾何学重心を用いるためには、姿勢推定とは別に3次元位置推定を行う必要があるためであり、画像重心を用いる場合には単に2次元画像上での計算で済み、視線差計算を簡単に行うことができる。図5では、視線差はφに相当する。
なお、本実施の形態では、視線差の対象を画像重心として示すが、カメラ画像3、CADモデル画像4の特徴点(一例として、外接円の中心など)の視線の差を用いても良い。
【0028】
(姿勢補正)
「0026」で示したように、対象物体1の推定姿勢は、図5の推定CADモデル2aとして推定される。しかし、正しい推定姿勢は、図5の補正CADモデル2bで表される姿勢である。推定CADモデル2aと補正CADモデル2bの姿勢誤差は、視線差φにより生じたもので、補正CADモデル2bを−φ回転した姿勢として推定される。
これは図8のように、対象物体1をφ回転したカメラで見た相対姿勢として考えることができる。φ回転したカメラ画面5では、対象物体1は相対的に−φ回転したように見え、これは(回転していない)カメラ画面5での推定CADモデル2aの相対姿勢に等しい。すなわち、カメラ画面5でのCADモデル2と、回転したカメラ画面5での基準姿勢から−φ回転した対象物体1を照合したため、補正CADモデル2bを−φ回転した姿勢として推定される。従って、推定CADモデル2aの姿勢を視線差φで補正することにより、正しい補正CADモデル2bの姿勢を得ることができる。
【0029】
このような、2次元を事例としたモデル画像照合に用いる姿勢の補正手法の原理を念頭に置き、以下に、球面射影を用いた透視変換歪み補正を実施する場合を事例として、モデル画像照合における3次元姿勢の補正手法を詳述する。
【0030】
(姿勢表現の一般性)
ところで、3次元での姿勢表現の手法には、オイラー角、クオータニオン(オイラーパラメータあるいは四元数)、座標変換行列、方向余弦などの表現手法が有る。本実施の形態では、オイラー角、座標変換行列を用いるが、必ずしもこれにこだわるものではなく、クオータニオン、方向余弦などを姿勢表現として用いた場合に対しても、視線差の表現を同種の姿勢表現を用いることにより、オイラー角、座標変換行列の場合と同様な手法により姿勢補正が可能である。
【0031】
(球面射影)
図6の姿勢補正フローチャートを3次元に適用する場合には、図9に示すような球面射影を行う。図9は、図4のカメラ座標系に、カメラ視点Ocを中心とし焦点距離fを半径とする球面を付加した様子を表す。
PAは 推定CADモデル画像(カメラ画像3に最もフィットしたCADモデル画像4)の画像点、PBはカメラ画像3の画像点、QAはPAの球面射影点、QBはPBの球面射影点である。以下では、QA、QBを推定CADモデル画像の球面射影の画像重心、カメラ画像3の球面射影の画像重心として説明する。QA、QBは、それぞれ、φyA→φxA、φyB→φxBの順番のオイラー角で表される姿勢である。
なお、本実施の形態では、PA、PBが画像中心から離れた位置にある場合を想定しているが、予めPA、PBが画像中心付近にあることが解っている場合には、画像中心付近では透視変換歪みの影響は少ないため、画像の球面射影は割愛することが可能である。この場合、本説明におけるQA、QBをPA、PBと読み替えれば良い。
【0032】
(視線差)
−Zc軸に対するQA、QBの絶対視線差は、オイラー角でφyA→φxA、φyB→φxBと表される。この姿勢を3×3の座標変換行列RA、RBで表すとすると、QAに対するQBの(相対)視線差の座標変換行列Φは(1)式となる。
【0033】
【数1】
【0034】
(姿勢補正)
「0028」に示した姿勢補正の考え方を用いると、対象物体1をΦで回転させたカメラ画面5でΦ−1で回転したと認識するため、カメラ画面5で正しい推定姿勢に対してΦ−1で回転したCADモデル2と照合フィットするとして姿勢推定される。従って、姿勢補正は、対象物体1をΦで回転させることになる。
推定CADモデル2aの姿勢を3×3の座標変換行列R1で表すとすると、姿勢補正後の座標変換行列R2は(2)式となる。補正後の姿勢をオイラー角で求める場合は、( 2 )式のR2を、「0014」のオイラー角θx、θy、θzで表される座標変換行列として解けばよい。
【0035】
【数2】
【0036】
(モデル画像照合における3次元姿勢の補正手法のまとめ)
本発明を用いることにより、カメラ中心付近で用意したCADモデル画像4のデータベースのみで、画面上の全ての位置に表される対象物体1のカメラ画像3の姿勢推定を行うことができる。
【0037】
【発明の効果】
請求項1記載のモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法によれば、実空間における対象物体のカメラ画像と、対象物体の種々の3次元姿勢を画像化した複数のモデル画像をデータベース化した画像照合データベースとを画像照合することで、実空間における対象物体の3次元姿勢を推定するモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法であって、前記モデル画像照合により、実空間における対象物体の3次元姿勢を暫定的に推定するとともに、前記モデル画像とカメラ画像の両者で、同一点に設定されているカメラ視点から、前記対象物体固有の特徴点を、モデル画像取得時とカメラ画像取得時各々の位置で認識したときの視方向の角度差を視線差として算定し、該視線差を用いて、暫定的に推定した3次元姿勢を回転補正する。
これにより、カメラ中心付近で用意したCADモデル画像のデータベースのみで、画面上の全ての位置に表される対象物体のカメラ画像による姿勢推定を行うことが可能となる。
【0038】
請求項2記載のモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法によれば、前記対象物体固有の特徴点に、前記モデル画像及びカメラ画像各々の画像重心が用いられる。
これにより、特徴点に幾何学重心を用いる場合と比較して視線差計算をより簡略に実施することが可能となる。
【0039】
請求項3もしくは4記載のモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法によれば、前記モデル画像及びカメラ画像の両者を、前記カメラ視点を中心点に備えた同一の立体の面上に射影して、モデル射影画像及びカメラ射影画像を作成し、前記画像照合データベースには、前記モデル画像に代わり、モデル射影画像をデータベース化するとともに、モデル画像照合には、カメラ画像に代わり、カメラ射影画像を用いる。もしくは、前記立体には、球体を用いる。
これにより、画面中心から離れた位置の画像を、あたかも画像中心にあるがごとく扱うことができることから透視変換歪みの影響を小さくすることができ、より精度の高い対象物体のカメラ画像の姿勢推定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来に係る画像中心付近での対象物体画像を示す図である。
【図2】従来に係る画像中心付近から平行移動した対象物体画像を示す図である。
【図3】本発明に係るCADモデル座標系の説明図を示す図である。
【図4】本発明に係るカメラ座標系の説明図を示す図である。
【図5】本発明に係る2次元でのモデル画像照合に用いる姿勢の補正手法の原理を示す図である。
【図6】本発明に係るモデル画像照合に用いる姿勢の補正手法のフローチャートを示す図である。
【図7】本発明に係る球面射影を用いた透視変換歪み補正手法を示す図である。
【図8】本発明に係るカメラ回転による等価姿勢を示す図である。
【図9】本発明に係る球面射影と視線差を示す図である。
【符号の説明】
1 対象物体
2 CADモデル
2a 推定CADモデル
2b 補正CADモデル
3 カメラ画像
4 CADモデル画像
5 カメラ画面
【発明の属する技術分野】
本発明は、モデル画像照合により推定した対象物体の3次元姿勢を補正するための、モデル画像照合における3次元姿勢の補正手法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、CADにより作成した対象物体のレンダリング画像(以下ではCADモデル画像と示す)照合を用いた実空間に位置する対象物体の3次元姿勢推定では、CADモデル画像と実空間に位置する対象物体を撮像したカメラ画像を照合して、対象物体の姿勢推定を行う。しかし、CADモデル画像は、一般には画像中心付近での画像しか用意しない。この場合、対象物体が同姿勢で位置のみ変動した場合、誤った姿勢推定を行ってしまう。以下に例を示す。
【0003】
図1は対象物体1が画像中心付近にある場合のカメラ画像3、図2は対象物体1の姿勢は図1と同姿勢だが位置のみ変動した場合のカメラ画像3である。図2の対象物体1の姿勢は 図1と同姿勢と推定されるべきだが、CADモデル画像との照合では、図1と別姿勢のCADモデル画像と最もフィットすると推定される。これは、カメラ画像3、CADモデル画像が透視変換により表されることが原因である。勿論、これは図1のような画像中心のみのCADモデル画像だけでなく、図 2のような画像中心以外のCADモデル画像を用意すればよいが、この場合には、データベースとして用意するCADモデル画像は画面上のあらゆる位置に対して必要になり、また、どの画面位置のCADモデル画像と照合するかが問題になり、データ量、精度の観点から好ましくない。
【0004】
この他にも、モデル画像照合を用いた3次元姿勢の推定手法には、特許文献1及び特許文献2に示すように、カメラ画像3をCADモデル画像データベースと画像照合する手法や、特許文献3に示すように、カメラ画像3の輪郭をCADモデル輪郭データベースと輪郭照合する手法等が考案されている。
【0005】
カメラ画像をCADモデル画像データベースと画像照合する手法では、画像データベースとの相関を取るのは非現実的なデータ量、計算時間となるため、一般的には特徴点部分のみの照合が行われ、かつ繰り返し収束計算を用いた推定手法が用いられる。
また、カメラ画像の輪郭をCADモデル輪郭データベースと輪郭照合する手法では、CADモデル画像データベースを用いる場合と比較すると大幅にデータ量、計算時間が削減される手法であり、特許文献3では、画像の輪郭線を関数化したデータベースを用いて位置、推定を行っている。
しかし、何れの手法においても、対象物体の画像位置による姿勢推定誤差に対する対処は考慮されていない。
【0006】
【特許文献1】
特開平09−277184号公報
【特許文献2】
特開2002−46087号公報
【特許文献3】
特開平09−167234号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記事情に鑑み、本発明は、カメラ中心付近で用意した対象物体の種々の3次元姿勢を捉えたモデル画像のデータベースのみで、画面上の全ての位置に表される実空間に位置する対象物体のカメラ画像の姿勢推定を行うモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法は、実空間における対象物体のカメラ画像と、対象物体の種々の3次元姿勢を画像化した複数のモデル画像をデータベース化した画像照合データベースとを画像照合することで、実空間における対象物体の3次元姿勢を推定するモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法であって、前記モデル画像照合により、実空間における対象物体の3次元姿勢を暫定的に推定するとともに、前記モデル画像とカメラ画像の両者で、同一点に設定されているカメラ視点から、前記対象物体固有の特徴点を、モデル画像取得時とカメラ画像取得時各々の位置で認識したときの視方向の角度差を視線差として算定し、該視線差を用いて、暫定的に推定した3次元姿勢を回転補正することを特徴としている。
【0009】
請求項2記載のモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法は、前記対象物体固有の特徴点に、前記モデル画像及びカメラ画像各々の画像重心が用いられることを特徴としている。
【0010】
請求項3記載のモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法は、前記モデル画像及びカメラ画像の両者を、前記カメラ視点を中心点に備えた同一の立体の面上に射影して、モデル射影画像及びカメラ射影画像を作成し、前記画像照合データベースには、前記モデル画像に代わり、モデル射影画像をデータベース化するとともに、モデル画像照合には、カメラ画像に代わり、カメラ射影画像を用いることを特徴としている。
【0011】
請求項4記載のモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法は、前記立体には、球体を用いることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係るモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法について、図3から図9を参照して詳細を以下に示す。
本実施の形態では、実空間における対象物体、実空間における対象物体を撮像するカメラ、対象物体のカメラ画像を、それぞれ対象物体1、カメラ、カメラ画像3と称す。また、カメラ画像3と照合するモデル画像をCAD空間で取得することとし、これをCADモデル画像4と称するとともに、CAD空間における対象物体をCADモデル2、CADモデル2からCADモデル画像4を取得するカメラをCADカメラと称する。
なお、カメラによる画像計測対象を衛星とするが、対象物体1は衛星に特定するものではない。
また、本発明で扱うカメラ画像3は、カメラキャリブレーション結果などを用いて、レンズ歪みは補正されているものとする。
さらに、カメラは2次元画像用カメラのみではなく、3Dのレーザレンジファインダに対しても適用可能である。
【0013】
また、本実施の形態では、照合する対象を画像として記載しているが、例えば、画像輪郭線を画像重心などを原点とした極座標で表した輪郭関数、あるいは輪郭線を曲率の関数として表したフーリエ記述子のように、画像データから作成した関数を照合する場合においても適用可能である。従って、以下に説明するモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法においては、照合する対象を、適宜、輪郭関数、フーリエ記述子などと読み替えればよい。
【0014】
次に、図3にCADモデル座標系Σmを示す。ΣmはCADモデル2に固定された直交右手系座標系であり、幾何学重心Omを原点とし、図3のようなXm、Ym、Zm軸の方向を取り、回転角θx、θy、θzは、各軸右ねじの進む方向に対応する回転を正の回転方向とする。OmはCADモデル2の幾何学重心、あるいは質量重心である必要はなく任意性があるが、本実施の形態では、幾何学重心として説明する。
【0015】
また、カメラ座標系は、透視変換の原理に基づき(実空間での)カメラの画面描画をモデル化した座標系であり、 CADカメラはカメラと焦点距離、画角、画像サイズ(ピクセル数)を一致させておく。図4にカメラ座標系Σcの説明を示す。Σcはカメラに固定された直交座標系であり、カメラ視点Ocを原点とし、図4のようにカメラ画面5の右方向を+Xc、カメラ画面5の上方向を+Yc、カメラ画面5の手前方向を+Zc軸の方向とする。また、oはカメラ画面5の中心で、fは焦点距離を表す。従って、カメラ画面5はZc=−fの平面となる。例として、Σc上の任意の点Pは、図 5のようにカメラ画面5上の点Pcに射影される。
【0016】
上述するCADモデル画像4及びカメラ画面5を利用したモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法を以降で詳述するが、これに先立ち、2次元を例に挙げて、簡略にモデル画像照合に用いる姿勢補正手法の原理について、図5、図6を参照して説明する。
図5は、2次元空間でのモデル画像照合に用いる姿勢補正の原理を示すものであり、カメラ、CADカメラを同一のものとして重畳してあり、対象物体1、CADモデル2が存在する空間も重畳されている。ここで、対象物体1がカメラ画面5の画像中心から離れた位置にある場合、CADモデル2が画像中心付近にあるCADモデル画像4による画像照合を用いての姿勢推定を考える。
【0017】
また、図6は、モデル画像照合に用いる姿勢補正の手順を示すフローチャートであり、このフローチャートは、必ずしも2次元に限定したものではない。
ところで、本実施の形態では、図6に示すように、モデル画像照合に用いる姿勢補正の手順に、球面射影を適用している。これは、CADモデル画像4、カメラ画像3には、透視変換に起因する歪みが存在することから、これらを球体に射影した球面射影(3次元極座標変換、眼球変換)を用いて透視変換歪み補正をすることを目的とするものである。ここで、上述する球面射影を用いた透視変換歪み補正を簡略に示す。
【0018】
図7に、球面座標変換を用いた透視変換歪み補正手法の原理を示す。対象物体1がカメラ画像3中心付近にある場合は画像A、対象物体1がカメラ画面5に平行移動すると画像Bとなる。画像Bでは画像Aでは写らなかったカメラ画面5に垂直な部分も撮像され、この垂直部分の撮像部はカメラ画面5の撮像位置により大きさが変化するため透視変換歪みの要因となる。
これに対し、カメラ視点を中心とする球面上に画像を射影する場合、画像A→球面射影画像A、画像B→球面射影画像B、と射影される。球面射影画像Aは画像Aと大差ないが、球面射影画像Bは画像Bよりかなり縮小される。すなわち、球面射影により、画面中心から離れた位置の画像を、あたかも画像中心にあるがごとく扱うことができ、画像の正規化と考えると解りやすい。
【0019】
しかし、球面射影画像Bと、画像中心付近にあるCADモデル画像4の画像Cを球面射影した球面射影画像Cとを照合すると、図7のような推定CADモデル2aの姿勢と推定する。これは、カメラ視点に対する対象物体1、推定CADモデル2aの視線方向での姿勢が同一だからである。しかし、正しい姿勢は点線で示した対象物体1の姿勢である。従って、モデル画像照合において、球面射影を用いて透視変換に起因する歪みを補正することはできても、正しい推定姿勢は得られない。
【0020】
そこで、本発明は、カメラ視点から対象物体1の重心、CADモデル2の重心への各視線の差、あるいはカメラ視点から対象物体1の球面射影画像重心、CADモデル2の球面射影画像重心への各視線の差を視線差と称し、この視線差をモデル画像照合に適用して、推定姿勢を補正するものである。
【0021】
なお、予め、対象物体1、CADモデル2が画像中心付近にあることが解っている場合には、依然として、上述の視線方向の相違に起因する姿勢推定誤差は残るものの、画像中心付近では透視変換歪みの影響は少ないため球面射影は割愛可能であり、図6ではこれをカッコを用いて示している。この場合に照合する画像は、球面射影画像から、適宜、CADモデル画像4、カメラ画像3と読み替えれば良い。
また、本実施の形態では、球体に射影した球面射影を用いた透視変換歪み補正を示したが、射影する立体は、必ずしも球体にこだわるものではなく、円筒や多面体上の平面等、カメラ視点が中心点に備えられた立体であれば、適宜最適な立体を用いる構成とすればよい。
【0022】
以下、球面射影を用いた透視変換歪み補正を実施する場合を事例として、モデル画像照合に用いる姿勢補正の原理を詳述する。
【0023】
(オフラインでの画像データベース作成)
画像中心付近に位置するCADモデル2の、種々の3次元姿勢を捉えたCADモデル画像4を、予めデータベース化し画像照合データベースを作成しておく。図5では、種々の3次元姿勢において、モデル画像照合に用いるCADモデル画像4である画像Aを球面射影して、画像照合データベースに代わり、球面射影画像A(請求項のモデル射影画像に相当)をデータベース化した球面射影画像データベースを作成することに相当する。
【0024】
(カメラ画像の球面射影)
カメラ画像3を球面射影する。図5では、対象物体1のカメラ画像3である画像Bを球面射影して、球面射影画像B(請求項のカメラ射影画像に相当)を取得することに相当する。
【0025】
(画像照合)
CADモデル画像4の球面射影画像データベースと、カメラ画像3の球面射影画像を、相関計算などにより照合するモデル画像照合を実施する。図5では、球面射影画像Aと球面射影画像Bを照合することに相当する。
【0026】
(姿勢推定)
画像照合して、カメラ画像3の球面射影画像に最もフィットするCADモデル画像4の球面射影画像の姿勢を推定姿勢とする。図5では、推定CADモデル2aの姿勢が推定姿勢となる。
【0027】
(重心の視線差計算)
対象物体1、CADモデル2の重心の視線差を計算する。図5では、視線差の計算に用いる重心点として、対象物体1、CADモデル2の幾何学重心として示したが、必ずしもこれにこだわるものではなく、実用的には球面射影画像A、球面射影画像Bの画像重心を用いる方が便利である。これは幾何学重心を用いるためには、姿勢推定とは別に3次元位置推定を行う必要があるためであり、画像重心を用いる場合には単に2次元画像上での計算で済み、視線差計算を簡単に行うことができる。図5では、視線差はφに相当する。
なお、本実施の形態では、視線差の対象を画像重心として示すが、カメラ画像3、CADモデル画像4の特徴点(一例として、外接円の中心など)の視線の差を用いても良い。
【0028】
(姿勢補正)
「0026」で示したように、対象物体1の推定姿勢は、図5の推定CADモデル2aとして推定される。しかし、正しい推定姿勢は、図5の補正CADモデル2bで表される姿勢である。推定CADモデル2aと補正CADモデル2bの姿勢誤差は、視線差φにより生じたもので、補正CADモデル2bを−φ回転した姿勢として推定される。
これは図8のように、対象物体1をφ回転したカメラで見た相対姿勢として考えることができる。φ回転したカメラ画面5では、対象物体1は相対的に−φ回転したように見え、これは(回転していない)カメラ画面5での推定CADモデル2aの相対姿勢に等しい。すなわち、カメラ画面5でのCADモデル2と、回転したカメラ画面5での基準姿勢から−φ回転した対象物体1を照合したため、補正CADモデル2bを−φ回転した姿勢として推定される。従って、推定CADモデル2aの姿勢を視線差φで補正することにより、正しい補正CADモデル2bの姿勢を得ることができる。
【0029】
このような、2次元を事例としたモデル画像照合に用いる姿勢の補正手法の原理を念頭に置き、以下に、球面射影を用いた透視変換歪み補正を実施する場合を事例として、モデル画像照合における3次元姿勢の補正手法を詳述する。
【0030】
(姿勢表現の一般性)
ところで、3次元での姿勢表現の手法には、オイラー角、クオータニオン(オイラーパラメータあるいは四元数)、座標変換行列、方向余弦などの表現手法が有る。本実施の形態では、オイラー角、座標変換行列を用いるが、必ずしもこれにこだわるものではなく、クオータニオン、方向余弦などを姿勢表現として用いた場合に対しても、視線差の表現を同種の姿勢表現を用いることにより、オイラー角、座標変換行列の場合と同様な手法により姿勢補正が可能である。
【0031】
(球面射影)
図6の姿勢補正フローチャートを3次元に適用する場合には、図9に示すような球面射影を行う。図9は、図4のカメラ座標系に、カメラ視点Ocを中心とし焦点距離fを半径とする球面を付加した様子を表す。
PAは 推定CADモデル画像(カメラ画像3に最もフィットしたCADモデル画像4)の画像点、PBはカメラ画像3の画像点、QAはPAの球面射影点、QBはPBの球面射影点である。以下では、QA、QBを推定CADモデル画像の球面射影の画像重心、カメラ画像3の球面射影の画像重心として説明する。QA、QBは、それぞれ、φyA→φxA、φyB→φxBの順番のオイラー角で表される姿勢である。
なお、本実施の形態では、PA、PBが画像中心から離れた位置にある場合を想定しているが、予めPA、PBが画像中心付近にあることが解っている場合には、画像中心付近では透視変換歪みの影響は少ないため、画像の球面射影は割愛することが可能である。この場合、本説明におけるQA、QBをPA、PBと読み替えれば良い。
【0032】
(視線差)
−Zc軸に対するQA、QBの絶対視線差は、オイラー角でφyA→φxA、φyB→φxBと表される。この姿勢を3×3の座標変換行列RA、RBで表すとすると、QAに対するQBの(相対)視線差の座標変換行列Φは(1)式となる。
【0033】
【数1】
【0034】
(姿勢補正)
「0028」に示した姿勢補正の考え方を用いると、対象物体1をΦで回転させたカメラ画面5でΦ−1で回転したと認識するため、カメラ画面5で正しい推定姿勢に対してΦ−1で回転したCADモデル2と照合フィットするとして姿勢推定される。従って、姿勢補正は、対象物体1をΦで回転させることになる。
推定CADモデル2aの姿勢を3×3の座標変換行列R1で表すとすると、姿勢補正後の座標変換行列R2は(2)式となる。補正後の姿勢をオイラー角で求める場合は、( 2 )式のR2を、「0014」のオイラー角θx、θy、θzで表される座標変換行列として解けばよい。
【0035】
【数2】
【0036】
(モデル画像照合における3次元姿勢の補正手法のまとめ)
本発明を用いることにより、カメラ中心付近で用意したCADモデル画像4のデータベースのみで、画面上の全ての位置に表される対象物体1のカメラ画像3の姿勢推定を行うことができる。
【0037】
【発明の効果】
請求項1記載のモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法によれば、実空間における対象物体のカメラ画像と、対象物体の種々の3次元姿勢を画像化した複数のモデル画像をデータベース化した画像照合データベースとを画像照合することで、実空間における対象物体の3次元姿勢を推定するモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法であって、前記モデル画像照合により、実空間における対象物体の3次元姿勢を暫定的に推定するとともに、前記モデル画像とカメラ画像の両者で、同一点に設定されているカメラ視点から、前記対象物体固有の特徴点を、モデル画像取得時とカメラ画像取得時各々の位置で認識したときの視方向の角度差を視線差として算定し、該視線差を用いて、暫定的に推定した3次元姿勢を回転補正する。
これにより、カメラ中心付近で用意したCADモデル画像のデータベースのみで、画面上の全ての位置に表される対象物体のカメラ画像による姿勢推定を行うことが可能となる。
【0038】
請求項2記載のモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法によれば、前記対象物体固有の特徴点に、前記モデル画像及びカメラ画像各々の画像重心が用いられる。
これにより、特徴点に幾何学重心を用いる場合と比較して視線差計算をより簡略に実施することが可能となる。
【0039】
請求項3もしくは4記載のモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法によれば、前記モデル画像及びカメラ画像の両者を、前記カメラ視点を中心点に備えた同一の立体の面上に射影して、モデル射影画像及びカメラ射影画像を作成し、前記画像照合データベースには、前記モデル画像に代わり、モデル射影画像をデータベース化するとともに、モデル画像照合には、カメラ画像に代わり、カメラ射影画像を用いる。もしくは、前記立体には、球体を用いる。
これにより、画面中心から離れた位置の画像を、あたかも画像中心にあるがごとく扱うことができることから透視変換歪みの影響を小さくすることができ、より精度の高い対象物体のカメラ画像の姿勢推定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来に係る画像中心付近での対象物体画像を示す図である。
【図2】従来に係る画像中心付近から平行移動した対象物体画像を示す図である。
【図3】本発明に係るCADモデル座標系の説明図を示す図である。
【図4】本発明に係るカメラ座標系の説明図を示す図である。
【図5】本発明に係る2次元でのモデル画像照合に用いる姿勢の補正手法の原理を示す図である。
【図6】本発明に係るモデル画像照合に用いる姿勢の補正手法のフローチャートを示す図である。
【図7】本発明に係る球面射影を用いた透視変換歪み補正手法を示す図である。
【図8】本発明に係るカメラ回転による等価姿勢を示す図である。
【図9】本発明に係る球面射影と視線差を示す図である。
【符号の説明】
1 対象物体
2 CADモデル
2a 推定CADモデル
2b 補正CADモデル
3 カメラ画像
4 CADモデル画像
5 カメラ画面
Claims (4)
- 実空間における対象物体のカメラ画像と、対象物体の種々の3次元姿勢を画像化した複数のモデル画像をデータベース化した画像照合データベースとを画像照合することで、実空間における対象物体の3次元姿勢を推定するモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法であって、
前記モデル画像照合により、実空間における対象物体の3次元姿勢を暫定的に推定するとともに、前記モデル画像とカメラ画像の両者で、同一点に設定されているカメラ視点から、前記対象物体固有の特徴点を、モデル画像取得時とカメラ画像取得時各々の位置で認識したときの視方向の角度差を視線差として算定し、
該視線差を用いて、暫定的に推定した3次元姿勢を回転補正することを特徴とするモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法。 - 請求項1に記載のモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法において、
前記対象物体固有の特徴点に、前記モデル画像及びカメラ画像各々の画像重心が用いられることを特徴とするモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法。 - 請求項1または2に記載のモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法において、
前記モデル画像及びカメラ画像の両者を、前記カメラ視点を中心点に備えた同一の立体の面上に射影して、モデル射影画像及びカメラ射影画像を作成し、
前記画像照合データベースには、前記モデル画像に代わり、モデル射影画像をデータベース化するとともに、
モデル画像照合には、カメラ画像に代わり、カメラ射影画像を用いることを特徴とするモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法。 - 請求項3に記載のモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法において、
前記立体には、球体を用いることを特徴とするモデル画像照合における3次元姿勢の補正手法。
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- 2003-06-03 JP JP2003157983A patent/JP2004362128A/ja active Pending
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