JP2004358331A - 液滴吐出装置、液滴吐出装置によって製造された電気光学装置、電気光学装置の製造方法および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板(ワーク)の静電気の発生を防止する液滴吐出装置、この液滴吐出装置によって製造された電気光学装置と、この電気光学装置の製造方法および電子機器とを提供する。
【解決手段】基板5が載置吸着される基板吸着テーブル3と、基板5上に設けられた基準マークの平面方向位置を検出するカメラユニット106とが設けられる基板搭載移動装置100と、機能液を液滴吐出ヘッド111に供給する機能液装置150と、前記機能液を基板5に吐出する液滴徒吐出ヘッド111を有するヘッド搭載移動装置200と、カメラユニット106の検出結果に基づき前記ヘッド搭載移動装置を制御する制御装置16とを備え、基板吸着テーブル3が導電性材料で形成され接地されていることを特徴とする液滴吐出装置1と、この液滴吐出装置によって製造された電気光学装置、電気光学装置の製造方法およびこの電気光学装置を備える電子機器を提供する。
【選択図】 図2
【解決手段】基板5が載置吸着される基板吸着テーブル3と、基板5上に設けられた基準マークの平面方向位置を検出するカメラユニット106とが設けられる基板搭載移動装置100と、機能液を液滴吐出ヘッド111に供給する機能液装置150と、前記機能液を基板5に吐出する液滴徒吐出ヘッド111を有するヘッド搭載移動装置200と、カメラユニット106の検出結果に基づき前記ヘッド搭載移動装置を制御する制御装置16とを備え、基板吸着テーブル3が導電性材料で形成され接地されていることを特徴とする液滴吐出装置1と、この液滴吐出装置によって製造された電気光学装置、電気光学装置の製造方法およびこの電気光学装置を備える電子機器を提供する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液滴吐出装置、この液滴吐出装置によって製造された電気光学装置、電気光学装置の製造方法およびこの電気光学装置を備える電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば液晶表示装置、有機EL表示装置、カラーフィルターなどの製造装置として液滴吐出装置が使用されている。これら液晶表示装置、有機EL表示装置、カラーフィルターなどは高精度に描画されることが求められるために、基板のようなワークと液滴吐出装置の液滴吐出ヘッドとの位置を正確に制御することが必要になっている。
そのために、例えば、カラーフィルター基板を基板吸着テーブル上に載置、吸引固定し、カラーフィルター基板に設けられた基準マーク(アライメントマーク)からの反射光を光学検出装置、例えばCCDカメラ等で検出し、その検出結果に基づいて液滴吐出ヘッドの位置を基板に対して制御してカラーフィルター基板上に描画する液滴吐出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−258026号公報(第5〜第6頁、図1、図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
カラーフィルター基板と液滴吐出ヘッドの位置を正確に制御するために、カラーフィルター基板上に設けられた基準マーク(アライメントマーク)を光学系検出装置(CCDカメラなどを含む)で検出して、その検出結果に基づき液滴吐出ヘッドを制御することにより、機能液の液滴(カラーフィルターの場合は、R,G,Bのインク)を正確にカラーフィルター基板の所定位置に着弾させなければならない。
このような液滴吐出装置においては、カラーフィルター基板の搬送工程や液滴吐出工程等で、カラーフィルター基板表面に静電気が発生することがある。
しかしながら、このような特許文献1では、アライメントマークを検出する場合に、基板吸着テーブルから反射された光が光学系検出装置(CCDカメラ)にも入射され、アライメントマークからの反射光と重なり、正確にアライメントマークを検出できないという課題や、基板表面に発生した静電気により、基板に形成された電気素子が破壊されてしまうことが考えられた。
【0005】
本発明の目的は、高精度の液滴吐出と基板(ワーク)の静電気の発生を防止しと、基板吸着面からの反射光を吸収または乱反射される層を設けることにより、画像処理の安定性を両立する液滴吐出装置、この液滴吐出装置によって製造された電気光学装置と、この電気光学装置の製造方法および電子機器とを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の液滴吐出装置は、基板が載置吸着される基板吸着テーブルと、前記基板上に設けられた基準マークの平面方向位置を検出する光学検出装置とが設けられる基板搭載移動装置と、機能液を液滴吐出ヘッドに供給する機能液装置と、前記機能液を前記基板に吐出する液滴徒吐出ヘッドを有するヘッド搭載移動装置と、前記光学検出装置の検出結果に基づき前記ヘッド搭載移動装置を制御する制御装置とを備え、前記基板吸着テーブルが導電性材料で形成され、接地されていることを特徴とする。
ここで、液滴吐出装置としては、インクジェット描画装置を採用することができる。
【0007】
この発明によれば、基板吸着テーブルが導電性材料で形成され、接地されているので、基板表面や、基板吸着テーブルに発生する静電気の発生を防止、または除去することができるので、静電気によって基板に形成された電気素子(例えば、トランジスタ、コンデンサ、ダイオードなど)が破壊されることを防止することができる。
また、基板表面の静電気が除去されているので、液滴が吐出された際に、静電気が液滴に影響することがないので正確な位置に液滴を基板に着弾させることができる。
【0008】
本発明の液滴吐出装置は、前記基板吸着テーブルが導電性材料で形成されている。導電性材料としては、例えば、銅系材料やアルミニウム系材料も考えられるが、鉄系材料で形成されていることが好ましい。
基板吸着テーブルは、描画精度を高めるために、高精度に形成されていることが求められる。
この発明によれば、基板吸着テーブルが鉄系材料で形成され、導電性を有しており接地されているので、基板表面の静電気の発生防止や除去が可能となる。また、鉄系材料であれば加工しやすく、高精度に仕上げることができ、また機械的強度も高いので他の材料よりも薄くすることができ軽量化にも効果があり、特に大型基板の液滴吐出装置には効果がある。
鉄系材料としては、例えば、軟鋼が採用される。
【0009】
本発明では、前記基板吸着テーブルの基板吸着面に、光が吸収され、且つ、導電性材料から成る皮膜が形成されていること好ましい。
このような構成によれば、基板に設けられた基準マーク(アライメントマーク)を光学検出装置(例えば、CCDカメラ)にて検出する際に、基板吸着面に照射された光が皮膜によって吸収されるため、基板吸着テーブルの基板吸着面からの反射光がアライメントマークからの反射光に重なることが防止され、基準マークを正しく認識することができる。
また、この皮膜は、鉄系材料表面に導電性材料で形成されているために、基板表面の静電気の発生防止や除去が可能できるので基板に形成された電気素子が静電気により破壊されることを防止することができる。
【0010】
本発明によれば、前記基板吸着テーブルの基板吸着面に形成される前記皮膜が黒クロムめっきであることが望ましい。
基板吸着面に形成される皮膜は、導電性があり、光が吸収される材料が求められる。この皮膜材料は、黒クロムめっきとされる。黒クロムめっき皮膜は、黒色を呈しており光の反射防止性、光選択吸収性があることが知られている。また、電気的な導電性があることも知られている。
このような黒クロムめっきの皮膜が形成されているために、上述のアライメントマークを正確に認識し液滴吐出ヘッドを正確に制御することができるうえ、基板表面の静電気を除去し基板に形成された電気素子の破壊を防止することができる。
【0011】
本発明の液滴吐出装置は、前記基板吸着テーブルの基板吸着面が、光を乱反射する乱反射層が形成されていることが好ましい。
基板吸着面には、例えば、サンドブラスト、ショットピーニングや化学研磨などの凹凸処理がなされる。これらの処理によって基板吸着面が細かい凹凸目が形成されるため、この凹凸面に照射された光が乱反射される。このことにより、基板のアライメントマークのみが光を正反射するので、アライメントマークを正確に認識することができる。
また、基板吸着テーブルは鉄系材料で形成されているので、静電気を除去し基板に形成された電気素子の破壊を防止することができる。
【0012】
本発明によれば、前記基板吸着テーブルの基板吸着面に乱反射層が形成され、且つ、該乱反射層表面に黒クロムめっき層が形成されていることが望ましい。
このような構成によれば、基板吸着面には、凹凸に形成された乱反射層と、さらに、その表面は黒クロムめっき層が形成されているので、基板吸着面からの反射光が吸収され、または乱反射されることにより一層、アライメントマークの正しい認識ができ、静電気による基板上に形成された電気素子の破壊を防止することができる。
【0013】
本発明の電気光学装置は、前述したような液滴吐出装置を用いて製造されたことを特徴とする。
このような液滴吐出装置で製造された電気光学装置は、例えば液晶表示装置や有機EL表示装置であって、基板吸着テーブルが導電性材料で形成され、または光が吸収される被覆や光の乱反射層が形成されているので、基板上に形成された電気素子が静電気によって破壊されることが防止され、また、アライメントマークを正確認識ができるため高精度な描画が施された高品質の電気光学装置を提供することができる。
【0014】
本発明の電気光学装置の製造方法は、本発明の液滴吐出装置を用いて製造されたことを特徴とする。
このような製造方法で製造された基板の例えば、機能パターン等を高い精度で描画することができ、かつ、安定した品質の電気光学装置を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の液滴吐出装置の電気光学装置を備えることを特徴とする。
このことにより、基板の機能パターン等が高い精度で、かつ、安定した品質の電気光学装置を備える高性能の電子機器を提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態の液滴吐出装置を図面に基づいて説明する。
図1〜図3には本実施形態の液滴吐出装置1が示されている。
図1は本実施形態の液滴吐出装置の斜視図、図2は図1の矢印A方向から視認した液滴吐出装置の側面図を示す。図3は、液滴吐出装置の平面図を示す。
図1〜図3において、これらの図に示す液滴吐出装置(インクジェット描画装置)1は、ワークとしての基板5に対し、例えばインクや、目的とする材料を含む機能液等の液体(吐出液)をインクジェット方式(液滴吐出方式)により微小な液滴の状態で吐出して所定のパターンを形成(描画)する装置であり、例えば液晶表示装置におけるカラーフィルターや有機EL装置等を製造したり、基板上に金属配線を形成したりするのに用いることができるものである。液滴吐出装置1が対象とする基板5の素材は、特に限定されず、板状の部材(ワーク)であればいかなるものでもよいが、例えば、ガラス基板、シリコン基板、フレキシブル基板等を対象とすることができる。
【0016】
また、本発明で対象とする基板(ワーク)は、板状の部材に限らず、底面が平らな部材であればいかなるものでもよい。例えば、本発明は、レンズをワークとし、このレンズに液滴を吐出することにより光学薄膜等のコーティングを形成する液滴吐出装置などにも適用することができる。また、本発明は、比較的大型の基板(例えば、長さ、幅がそれぞれ数十cm〜数m程度のもの)にも対応することができる比較的大型の液滴吐出装置1に特に好ましく適用することができる。
【0017】
この液滴吐出装置1は、装置本体2と、基板が載置吸着固定される基板吸着テーブル3と、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)111を有するヘッドユニット11と、液滴吐出ヘッド111のメンテナンスをするメンテナンス装置12と、給液タンク、排液タンクおよび再利用タンクを備えたタンクユニット13と、基板5表面の静電気を除去するイオナイザー14と、制御装置16と、ドット抜け検査ユニット19とを備えている。
【0018】
液滴吐出ヘッド111から吐出する液体としては、特に限定されず、カラーフィルタのフィルター材料を含むインクの他、例えば以下のような各種の材料を含む液体(サスペンション、エマルジョン等の分散液を含む)とすることができる。
・有機EL(electroluminescence)装置におけるEL発光層を形成するための発光材料。・電子放出装置における電極上に蛍光体を形成するための蛍光材料。・PDP(Plasma Display Panel)装置における金属配線を形成するための液状金属材料。・電気泳動表示装置における泳動体を形成する泳動体材料。・基板5の表面にバンクを形成するためのバンク材料。・各種コーティング材料。・電極を形成するための液状電極材料。・2枚の基板間に微小なセルギャップを構成するためのスペーサを構成する粒子材料。・金属配線を形成するための液状金属材料。・マイクロレンズを形成するためのレンズ材料。・レジスト材料。・光拡散体を形成するための光拡散材料など。
【0019】
図2に示すように、装置本体2は、床上に設置された架台21の上には、基板吸着テーブル3が装置本体2に対しY軸方向に移動可能に設置されている。基板吸着吸着テーブル3は、リニアモータ101の駆動により、Y軸方向に前進・後退する。基板5は、基板吸着テーブル3上に載置される。液滴吐出装置1では、基板吸着テーブル3と同程度の大きさの比較的大型の基板5から、基板吸着テーブル3より小さい比較的小型の基板5まで、様々な大きさおよび形状の基板5を対象にすることができる。基板5は、原則としては基板吸着テーブル3と中心を一致させるように位置決めした状態で液滴吐出動作をすることが好ましいが、比較的小型の基板5の場合には、基板吸着テーブル3の端に寄せた位置に位置決めして液滴吐出動作をしてもよい。
【0020】
図1に示すように、基板吸着テーブル3のX軸方向に沿った2つの辺の付近には、それぞれ、基板5に対する液滴吐出(描画)前に液滴吐出ヘッド111から捨て吐出(フラッシング)された吐出液滴を受ける描画前フラッシングユニット104が設置されている。描画前フラッシングユニット104には、吸引チューブ(図示せず)が接続されており、捨て吐出された吐出液は、この吸引チューブを通って回収され、タンクユニット13に設置された排液タンク内に貯留される。
【0021】
また、装置本体2には、ヘッドユニット11を支持するメインキャリッジ102が、基板吸着テーブル3の上方空間においてX軸方向に移動可能に設置されている。複数の液滴吐出ヘッド111を有するヘッドユニット11は、サーボモータ103の駆動により、メインキャリッジ102とともにX軸方向に前進・後退する。
これらヘッドユニット11、メインキャリッジ102、サーボモータ103がヘッド搭載移動装置200(図2に示す)とされる。
本実施形態の液滴吐出装置1では、液滴吐出ヘッド111のいわゆる主走査は基板吸着テーブル3をY軸方向に移動しつつ、リニアスケール(図示せず)を用いて生成した吐出タイミングに基づいて、液滴吐出ヘッド111の駆動(吐出液滴の選択的吐出)を行う。また、これに対応して、いわゆる副走査は、ヘッドユニット11(液滴吐出ヘッド111)のX軸方向への移動により行われる。
【0022】
また、装置本体2には、基板5上に吐出された液滴を半乾燥させるブロー装置(図示せず)が設置されている。ブロー装置は、X軸方向に沿ってスリット状に開口するノズルを有しており、基板5を基板吸着テーブル3によりY軸方向に搬送しつつ、このノズルより基板5へ向けてガスを吹き付ける。本実施形態の液滴吐出装置1では、Y軸方向に互いに離れた個所に位置する2個のブロー装置が設けられている
【0023】
メンテナンス装置12は、架台21の側方に設置されている。このメンテナンス装置12は、ヘッドユニット11の待機時に液滴吐出ヘッド111をキャッピングするキャッピングユニット121と、液滴吐出ヘッド111のノズル形成面をワイピングするワイピングユニット122と、液滴吐出ヘッド111の定期的なフラッシングを受ける定期フラッシングユニット123とを有している。
また、メンテナンス装置12は、Y軸方向に移動可能な移動台124を有しており、キャッピングユニット121、ワイピングユニット122、定期フラッシングユニット123は、移動台124上にY軸方向に並んで設置されている。ヘッドユニット11がメンテナンス装置12の上方に移動した状態で移動台124がY軸方向に移動することにより、キャッピングユニット121、ワイピングユニット122、定期フラッシングユニット123のいずれかが液滴吐出ヘッド111の下方に位置し得るようになっている。ヘッドユニット11は、待機時にはメンテナンス装置12の上方に移動し、キャッピング、ワイピングおよび定期フラッシングを所定の順番で行う。
【0024】
キャッピングユニット121は、複数の液滴吐出ヘッド111のそれぞれに対応するように配置された複数のキャップとこれらキャップを昇降させる昇降機構とを有している。各キャップには、吸引チューブ(図示せず)が接続されており、キャッピングユニット121は、各キャップで各液滴吐出ヘッド111のノズル形成面を覆うとともに、ノズル形成面に形成されたノズルから吐出液を吸引することができる。このようなキャッピングを行うことにより、液滴吐出ヘッド111のノズル形成面が乾燥するのを防止し、ノズル詰まりを回復(解消)することができる。
キャッピングユニット121によるキャッピングは、ヘッドユニット11の待機時や、ヘッドユニット11に吐出液を初期充填する際、吐出液を異種のものに交換する場合にヘッドユニット11から吐出液を排出する際、洗浄液によって流路を洗浄する際などに行われる。
【0025】
キャッピングユニット121によるキャッピング中に液滴吐出ヘッド111から排出された吐出液は、前記吸引チューブを通ってタンクユニット13に設置された再利用タンク内に流入し貯留される。この貯留された液体は、回収され、再利用に供される。ただし、流路の洗浄時に回収した洗浄液は再利用しない。
クリーニングユニット122は、洗浄液を含ませたワイピングシートをローラーにより走行させ、このワイピングシートにより液滴吐出ヘッド111のノズル形成面を拭き取り、清掃するよう作動するものである。定期フラッシングユニット123は、ヘッドユニット11の待機時のフラッシングに使用されるものであり、液滴吐出ヘッド111が捨て吐出した吐出液滴を受けるものである。定期フラッシングユニット123には、吸引チューブ(図示せず)が接続されており、捨て吐出された吐出液は、この吸引チューブを通って回収され、タンクユニット13に設置された排液タンク内に貯留される。
【0026】
ドット抜け検出ユニット19は、基板吸着テーブル3の移動領域と重ならない場所であって、ヘッドユニット11の移動領域の下方に位置する場所に固定的に設置されている。ドット抜け検出ユニット19は、液滴吐出ヘッド111のノズルの目詰まりが原因となって生じるドット抜けを検出するものであり、例えばレーザー光を投光・受光する投光部および受光部を備えている。ドット抜け検出を行う際には、ヘッドユニット11がドット抜け検出ユニット19の上方空間をX軸方向に移動しつつ、各ノズルから液滴を捨て吐出し、ドット抜け検出ユニット19は、この捨て吐出された液滴に対し投光・受光を行って、目詰まりしているノズルの有無および個所を光学的に検出する。この際に液滴吐出ヘッド111から吐出された吐出液は、ドット抜け検出ユニット19が備える受け皿に溜まり、この受け皿の底部に接続された吸引チューブ(図示せず)を通って回収され、タンクユニット13に設置された排液タンク内に貯留される。
【0027】
タンクユニット13には、前述したキャッピング時に回収された吐出液を貯留する再利用タンクと、描画前フラッシングおよび定期フラッシングで回収された吐出液を貯留する排液タンクのほか、液滴吐出ヘッド111へ供給される吐出液を貯留する給液タンクや、ワイピングユニット122へ供給される洗浄液を貯留する給液タンクなどがそれぞれ設置されている。各給液タンク内は、液滴吐出装置1の近傍に設置された図示しない加圧気体供給源から供給された例えば窒素ガス等の加圧気体により加圧され、この圧力によって、吐出液および洗浄液が送出される。
これら機能液を回収し、貯留し、液滴吐出ヘッドに供給される装置およびユニットを含めて機能液装置とされる。
【0028】
このような液滴吐出装置1は、好ましくは、チャンバ装置9により、温度および湿度の管理がなされた環境下に置かれている。チャンバ装置9は、液滴吐出装置1を収納し、温度調整装置を備えている。温度調整装置は、公知のエアーコンディショナー装置を内蔵しており、温度および湿度を調節した空気(温調空気)を生成する。この温調空気は、導入ダクトを通ってチャンバ装置内に送り込まれる。
このようなチャンバ装置9によって液滴吐出装置1の周囲の温度および湿度が管理されることにより、温度変化による基板5や装置各部の膨張・収縮が原因となって誤差が生じるのを防止することができ、基板5上に吐出液滴によって描画(形成)されるパターンの精度をより高くすることができる。また、タンクユニット13も温度および湿度が管理された環境に置かれるので、吐出液の粘度等も安定し、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高精度に行うことができる。また、チャンバ装置9内へのチリ、ホコリ等の侵入を防止することができ、基板5を清浄に維持することができる。
なお、チャンバ装置9内には、空気以外のガス(例えば窒素、二酸化炭素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等の不活性ガスなど)を温度調節して供給・充填し、このガスの雰囲気中で液滴吐出装置1を稼動することとしてもよい。
【0029】
チャンバ装置9の外部には、液滴吐出装置1の各部の作動を制御する制御装置(制御手段)16が設置されている。制御装置16は、CPU(Central Processing Unit)と、液滴吐出装置1の制御動作を実行するためのプログラム等の各種プログラムおよび各種データを記憶(格納)する記憶部とを有しており、液滴吐出装置1の各部の作動を制御する。
【0030】
架台21は、アングル材等を方形に組んで構成された枠体211と、枠体211の下部に分散配置された複数の支持脚212とを有している。基台22は、その上面は、高い平面度を有している。この基台22により、周囲の環境条件や振動等の影響を防ぎ、基板吸着テーブル3およびヘッドユニット11が高精度に移動することができる。
【0031】
基台22の上には、Y軸方向移動機構としてのリニアモータ101およびエアスライダ(図示せず)が設置されている。基板吸着テーブル3は、エアスライダによりY軸方向に円滑に移動可能に支持され、リニアモータ101の駆動によりY軸方向に移動する。また、基板吸着テーブル3の下部には、θ軸回転機構105が設けられており、これにより、基板吸着テーブル3は、基板吸着テーブル3の中心を通る鉛直なθ軸を回転中心として所定範囲で回動可能になっている。これら基板吸着テーブル3を含み、リニアモータ101、θ軸回転機構105と後述する光学検出装置が基板搭載移動装置とされる。
また、図4に示すように、基板吸着テーブル3には、載置された基板5を吸着して固定するための複数の吸引溝315(図5、図6)が形成されている。
【0032】
図2に示すように、基板吸着テーブル3の上方には、梁24に光学検出装置としてのカメラユニット106が設置されている。カメラユニット106には、基板5の所定の個所に設けられたアライメントマークを画像認識するための認識カメラ107が設置されている。認識カメラ107は、カメラユニット106から横手方向に支持されている。認識カメラ107はCCDカメラとされる。この認識カメラで基板5に設けられたアライメントマークを認識して、ヘッドユニット11の位置を制御して基板5に所定の描画を正確に行うのである。なお、認識カメラ107は、他の用途に用いてもよい。
【0033】
図4は、図1、図3に示す液滴吐出装置におけるヘッドユニット11の構成および液滴吐出動作を模式的に示す平面図である。図4に示すように、液滴吐出ヘッド111のノズル形成面には、液滴が吐出される多数の吐出ノズル(開口)が一列または二列以上に並んで形成されている。液滴吐出ヘッド111は、電圧の印加により変位(変形)する圧電素子を有し、この圧電素子の変位(変形)を利用して、吐出ノズルに連通するように形成された圧力室(液室)内の圧力を変化させることよって液滴を吐出ノズルから吐出するように構成されたものである。なお、液滴吐出ヘッド111は、このような構成に限らず、例えば、吐出液をヒータで加熱して沸騰させ、その圧力によって液滴を吐出ノズルから吐出するように構成されたものなどでもよい。
【0034】
ヘッドユニット11には、この液滴吐出ヘッド111が複数個(以下の説明では12個として説明する)設置されている。これらの液滴吐出ヘッド111は、6個ずつ二列に副走査方向(X軸方向)に並ぶとともに、ノズル列が副走査方向に対し所定角度傾斜するような姿勢で配置されている。
なお、このような配列パターンは一例であり、例えば、各ヘッド列における隣接する液滴吐出ヘッド111同士を90°の角度を持って配置(隣接ヘッド同士が「ハ」字状)したり、各ヘッド列間における液滴吐出ヘッド111を90°の角度を持って配置(列間ヘッド同士が「ハ」字状)したりしてもよい。いずれにしても、複数個の液滴吐出ヘッド111の全吐出ノズルによるドットが副走査方向において連続していればよい。
さらに、液滴吐出ヘッド111は、副走査方向に対し傾斜した姿勢で設置されていなくてもよく、また、複数個の液滴吐出ヘッド111が千鳥状、階段状に配設されていてもよい。また、所定長さのノズル列(ドット列)を構成できる限り、これを単一の液滴吐出ヘッド111で構成してもよい。また、メインキャリッジ102に複数のヘッドユニット11が設置されていてもよい。
【0035】
ここで、制御装置16の制御による液滴吐出装置1の全体の作動について簡単に説明する。後述する基板位置決め装置の作動により基板吸着テーブル3上に基板5が所定の位置に位置決め(プリアライメント)して載置されると、基板吸着テーブル3の各吸引溝315からのエアー吸引により、基板5は、基板吸着テーブル3に吸着・固定される。次いで、認識カメラ107が基板5の所定の個所(1箇所または複数箇所)に設けられたアライメントマークを認識する。この認識結果に基づいて、ヘッドユニット11に設けられた液滴吐出ヘッド111が基板5のアライメントマークに対応した位置補正、角度補正が行われる。
【0036】
以上のような液滴吐出ヘッド111と基板5のアライメント作業が完了すると、基板吸着テーブル3の移動により基板5を主走査方向(Y軸方向)に移動させつつ、各液滴吐出ヘッド111から基板5への選択的な液滴吐出動作を行う。このとき、液滴吐出動作は、基板吸着テーブル3の前進(往動)中に行っても、後退(復動)中に行っても、前進および後退の両方(往復)で行ってもよい。また、基板吸着テーブル3を複数回往復させて、液滴吐出動作を複数回繰り返し行ってもよい。以上の動作により、基板5上の、所定の幅(ヘッドユニット111により吐出可能な幅)で主走査方向に沿って伸びる領域に、液滴の吐出が終了する。
【0037】
その後、メインキャリッジ102を移動させることにより、ヘッドユニット111を前記所定の幅の分だけ副走査方向(X軸方向)に移動させる。この状態で、前述した動作と同様に、基板5を主走査方向に移動させつつ、液滴吐出ヘッド111から基板5への選択的な液滴吐出動作を行う。そして、この領域への液滴吐出動作が終了し後、ヘッドユニット111をさらに前記所定の幅の分だけ副走査方向(X軸方向)に移動させた状態として、基板5を主走査方向に移動させつつ、同様の液滴吐出動作を行う。これを、数回繰り返すことで、基板5の全領域に液滴吐出が行われる。このようにして、液滴吐出装置1は、基板5上に所定のパターンを形成(描画)する。
【0038】
図2において、基板5上に所定のパターンが形成(描画)されると、基板吸着テーブル3に穿設されたリフト孔311を貫通して合成樹脂製のリフト125が基板5を押し上げ、基板吸着テーブル3から基板5を分離して除材される。基板5が除材されると、リフト125は基板吸着テーブル3の基板5の載置面よりも突出しない位置まで復帰する。
【0039】
次に、基板吸着テーブル3について、図5、図6を用いて説明する。
図5は、基板吸着テーブル3の平面図である。図6は、基板吸着テーブル3の要部側面図である。
基板吸着テーブル3は、略矩形をした板状部材であり、本実施形態では軟鋼で形成されている。この基板吸着テーブル3の外形は、基板5の外形よりも大きく設定されている。基板吸着テーブル3には、略四角形のリフト孔311が複数穿設され(図面では6個)、このリフト孔311には、合成樹脂製のリフト125が挿通されている。リフト125は一端が基板5の裏面に当接しており、基板5に対して進退可能である。
リフト孔311の外側には、略円形の孔312が基板5の外周方向に複数の孔が穿設されている。この孔312は、図示しないが、基板吸着テーブル3に対して本体側方向から液滴吐出ヘッドに設けられたヘッドアライメントマークを認識するための認識カメラの覗き孔となっている。この孔312は、図6では4個設けられているが、2個あればヘッドアライメントマークの位置、角度認識ができる。この際,認識カメラが、基板吸着テーブル3に搭載され、基板吸着テーブル3と共に移動しヘッドアライメントマークを2箇所以上検出すれば、孔312はひとつでもよい。
ヘッドアライメントマークをこの認識カメラで認識して、液滴吐出ヘッド111の位置、角度を検出するものである。
【0040】
また、基板吸着テーブル3には、基板吸着テーブル3を移動台124に固定するための複数の固定孔313が穿設されている。基板吸着テーブル3は、螺子(図示しない)をこの固定孔313に挿入して螺合されるが、この螺子の螺子頭部分が基板吸着テーブル3の表面から突出しないようにザグリ穴314が設けられている。
さらに、基板5側表面には、それぞれが連結された幅2mm、深さ1mm程度の溝315が形成されている。この溝315の一部に、基板吸着テーブル3を断面方に貫通する吸着孔316がやはり複数個設けられている。これら吸着溝315、吸着孔317は前述したように、基板5を基板吸着テーブル3に真空吸着するためのものである。この吸着溝315の形状、吸着孔316の数、径は、基板5の大きさ、材質等により任意に設定することができる。
【0041】
この基板吸着テーブル3の裏面側(基板5とは反対側)には、略長方形の凹部316が複数設けられている。これは、本実施形態の基板吸着テーブル3が軟鋼で形成されているので、裏面側の機能的に関係のない位置に凹部317を設けることで、基板吸着テーブル3が軽量化できるように配慮して設けられたものである。
基板吸着テーブル3は、導電性部材である軟鋼で形成されており、基板5と基板吸着テーブル3、基板吸着テーブル3と装置本体2とは接地され他関係にある。
【0042】
この第1実施形態では、基板吸着テーブル3が導電性材料(軟鋼)で形成され接地されているので、基板5の表面や、基板吸着テーブル3に発生する静電気の発生を防止、または除去することができる。このことによって、静電気で基板に形成された電気素子(例えば、トランジスタ、コンデンサ、ダイオードなど)が破壊されたり劣化することを防止することができる。
この液滴吐出装置2には、基板5とヘッドユニット11の近傍にはイオナイザ14が設置されている。このイオナイザ14は、基板5の描画面の静電気を除去することができる。しかし、基板5の裏面と基板吸着テーブル3との間に発生する静電気の除去は困難である。本実施形態の如く基板吸着テーブル3が導電性材料で形成されていることによって、基板5の裏面側の静電気も除去できるため、先述したような効果が得られる。
【0043】
従って、本実施例のような液滴吐出装置1を用いて製造される電気光学装置も、基板5に形成された電気素子が描画過程で静電気によって破壊されたり、劣化されることがなく、歩留まりが向上し、高品質の電気光学装置が得られる。
また、このように製造された電気光学装置が搭載された高品質の電子機器を提供することができる。
また、基板表面(表裏面とも)の静電気が除去されているので、液滴が吐出された際に、静電気が液滴の方向を変える(飛行曲がり)ようなことがないので正確な位置に液滴を基板に着弾させることができる。
【0044】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、基板吸着テーブル3の表面構造が異なるのみで、液滴吐出装置1の構成は第1実施形態と同じであるため、基板吸着テーブル3のみについて説明する。
図7は、基板吸着テーブル3と光学検出ユニットであるカメラユニット106に備えられた認識カメラ107とを模式的に示した図面である。
図7において、基板吸着テーブル3の上面に基板5が載置され、上方から、カメラユニット106で、基板5に光沢のあるクロムなどで形成されたアライメントマーク501が認識される。カメラユニット106は、アライメントマーク501を認識するための光源110と認識カメラ(CCD)107とを備える。
【0045】
基板吸着テーブル3の基板5を載置する面には、黒クロムめっきの皮膜320が形成されている。黒クロムめっきのめっき皮膜電着物組成は、クロムの低級酸化物を含有しており、反射防止性、光選択吸収性に優れ、0.3μm〜2.5μmの波長領域の光を吸収し、2.5μm以上の赤外線の放射が極めて少ない材料とされる。
【0046】
従って、光源110から照射された光(イ)は、アライメントマークで反射され、この反射光(ロ)が認識カメラ107で認識される。アライメントマーク501以外の場所に照射された光は、基板5が光透過基板(例えば、ガラス)のような場合、基板5を透過し基板吸着テーブルまで達し、この黒クロムめっきの皮膜320の層で吸収される。そのため、コントラストが高く、正確にアライメントマーク501を認識することができる。この認識結果に基づき、制御装置16で、ヘッドの位置、角度を制御する。このことで精度の高い描画がなされる。
また、この黒クロムめっきは、導電性の材料であるため、先述したように、基板5とは接地された関係にあり、基板5の表面の静電気を除去することができ、高品質の電気光学装置を製造することができる。
この黒クロムめっきの皮膜320は、耐食性が大きいことも知られている。このことから、吐出される機能液やクリーニングのための溶剤などが腐食性の材料であっても、基板吸着テーブル3に付着しても腐食されにくいという効果もある。
また、黒クロムめっき層は、基板吸着テーブルの基材である軟鋼に比べ硬度が高く、耐磨耗性も向上する効果がある。
【0047】
(第3実施形態)
図8に、本発明の第3実施形態を示す。第3実施形態は、第2実施形態とは基板吸着テーブル3の表面構造が異なるのみであり、第1実施形態の液滴吐出装置1の構成は第1実施形態と同じであるため、基板吸着テーブル3についてのみ説明する。
図8は、基板吸着テーブル3とカメラユニットとを模式的に示した図面である。図8において、軟鋼製の基板吸着テーブル3の基板5を載置する面には凹凸321が形成されている。この凹凸321は、サンドブラスト、ショットピーニングや化学研磨のような加工方法で形成されている。カメラユニット106の光源110から照射された光(イ)は、アライメントマーク501の表面は全反射されて認識カメラ107にて認識される。アライメントマーク501以外に照射された光は、基板吸着テーブル3に形成された凹凸321面で乱反射されるので、認識カメラ107に入射される光が少なくなる。
この凹凸321面の基板5と接触する部分の高さ寸法は正確に管理されていることが好ましい。
【0048】
この構造によって、凹凸321を形成しない場合にくらべ、アライメントマーク501と他の部分のコントラストが高くなり、アライメントマーク501を正確に認識することができ、精度の高い描画をすることができる。
また、基板吸着テーブル3は、軟鋼で形成されているため、先述したような、静電気による基板5に与える影響を排除することができる。
【0049】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図9を用いて説明する。
第4実施形態は、前述した第2実施形態、第3実施形態とは基板吸着テーブル3の構造のみが異なるので、相違点のみを詳しく説明する。
図9は、基板吸着テーブル3とカメラユニット106に備えられた認識カメラ107を模式的に示した図面である。図9において、軟鋼製の基板吸着テーブル3の基板5を載置する面には、凹凸321が形成され、この凹凸321の表面には黒クロムめっきの皮膜321が形成されている。
【0050】
凹凸321は、例えば、サンドブラスト、ショットピーニング、化学研磨などで形成されている。その表面には黒ニッケルめっきの皮膜320が、あらかじめ形成されている凹凸321が消えない程度の厚みで施されている。
カメラユニット106の光源110から照射された光(イ)は、アライメントマーク501の表面では全反射されて、この反射光(ロ)は認識カメラ107にて認識される。アライメントマーク501以外に照射された光は、基板吸着テーブル3に形成された凹凸321で乱反射されるとともに、黒クロムめっきの皮膜320で吸収されるので、認識カメラ107に入射される光が一層少なくなる。
【0051】
このことによって、アライメントマーク501とその周囲の基板吸着テーブル3の表面とのコントラストが一層高くなり、認識カメラ107で正確にアライメントマーク501を認識することができる。
また、黒ニッケルめっきの皮膜320は導電性材料であるために前述したように、基板5および基板吸着テーブル3が接地され他関係であるために、静電気の影響をなくすことができる。
【0052】
さらに、吐出される機能液(例えば、インクなど)が引火性の溶剤(例えば、エタノール等)を含んだり、クリーニングの際に引火性の溶剤(例えば、アルコール等)が使われることも考えられる。この装置本体2はチャンバー9に収納されているので、これらの引火性の溶剤がガス化して充満することも有り得る。このような場合、静電気の放電により引火することも考えられる。
本実施形態のように、イオナイザ14と基板吸着テーブル3が導電性材料で形成されていることで静電気を除去できるので上述のような危険も回避することができる。
また、基板吸着テーブル3の表面に凹凸321を形成することで、基板5を基板吸着テーブル3に吸着し、描画後に除材使用としたときに、基板5が基板吸着テーブルに密着してしまい、リフト125で基板5を押し上げて除材しにくくなることも防止することができる。
【0053】
なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、基板吸着テーブル3は、軟鋼で形成されるとしていたが、導電性材料で、加工性が良く高精度で加工でき、剛性がある材料であれば、例えば、ステンレス鋼なども選択でき、また、合成樹脂材料の中に導電性材料の粒子や繊維を含んだ強化プラスチック材料なども採用できる。
また、前記実施形態では、基板吸着テーブル3の表面に黒ニッケルめっき皮膜320を施していたが、本発明では、基板吸着テーブル3に導電性があり、好ましくは光吸収性もある材料の被覆処理や窒化処理などを施してもよい。
【0054】
【発明の効果】
このような本発明によれば、高精度の液滴吐出と基板(ワーク)の静電気の発生の防止と、基板吸着面からの反射光を吸収または乱反射される層を設けることにより、画像処理の安定性を両立する液滴吐出装置、この液滴吐出装置によって製造された電気光学装置と、この電気光学装置の製造方法および電子機器とを提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる液滴吐出装置を示す斜視図。
【図2】図1の矢印A方向から視認した液滴吐出装置の側面図。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる液滴吐出装置の平面図。
【図4】ヘッドユニット11の構成および液滴吐出動作を模式的に示す平面図。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる基板吸着テーブル3の平面図。
【図6】本発明の第1実施形態にかかる基板吸着テーブル3の側面図。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる基板吸着テーブル3とカメラユニット106とを模式的に示した図面。
【図8】本発明の第3実施形態にかかる基板吸着テーブル3とカメラユニット106とを模式的に示した図面。
【図9】本発明の第4実施形態にかかる基板吸着テーブル3とカメラユニット106とを模式的に示した図面。
【符号の説明】
1…液滴吐出装置
2…装置本体
3…基板吸着テーブル
5…基板(ワーク)
9…チャンバ
11…ヘッドユニット
16…制御装置
106…カメラユニット(光学検出装置)
111…液滴吐出ヘッド
【発明の属する技術分野】
本発明は、液滴吐出装置、この液滴吐出装置によって製造された電気光学装置、電気光学装置の製造方法およびこの電気光学装置を備える電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば液晶表示装置、有機EL表示装置、カラーフィルターなどの製造装置として液滴吐出装置が使用されている。これら液晶表示装置、有機EL表示装置、カラーフィルターなどは高精度に描画されることが求められるために、基板のようなワークと液滴吐出装置の液滴吐出ヘッドとの位置を正確に制御することが必要になっている。
そのために、例えば、カラーフィルター基板を基板吸着テーブル上に載置、吸引固定し、カラーフィルター基板に設けられた基準マーク(アライメントマーク)からの反射光を光学検出装置、例えばCCDカメラ等で検出し、その検出結果に基づいて液滴吐出ヘッドの位置を基板に対して制御してカラーフィルター基板上に描画する液滴吐出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−258026号公報(第5〜第6頁、図1、図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
カラーフィルター基板と液滴吐出ヘッドの位置を正確に制御するために、カラーフィルター基板上に設けられた基準マーク(アライメントマーク)を光学系検出装置(CCDカメラなどを含む)で検出して、その検出結果に基づき液滴吐出ヘッドを制御することにより、機能液の液滴(カラーフィルターの場合は、R,G,Bのインク)を正確にカラーフィルター基板の所定位置に着弾させなければならない。
このような液滴吐出装置においては、カラーフィルター基板の搬送工程や液滴吐出工程等で、カラーフィルター基板表面に静電気が発生することがある。
しかしながら、このような特許文献1では、アライメントマークを検出する場合に、基板吸着テーブルから反射された光が光学系検出装置(CCDカメラ)にも入射され、アライメントマークからの反射光と重なり、正確にアライメントマークを検出できないという課題や、基板表面に発生した静電気により、基板に形成された電気素子が破壊されてしまうことが考えられた。
【0005】
本発明の目的は、高精度の液滴吐出と基板(ワーク)の静電気の発生を防止しと、基板吸着面からの反射光を吸収または乱反射される層を設けることにより、画像処理の安定性を両立する液滴吐出装置、この液滴吐出装置によって製造された電気光学装置と、この電気光学装置の製造方法および電子機器とを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の液滴吐出装置は、基板が載置吸着される基板吸着テーブルと、前記基板上に設けられた基準マークの平面方向位置を検出する光学検出装置とが設けられる基板搭載移動装置と、機能液を液滴吐出ヘッドに供給する機能液装置と、前記機能液を前記基板に吐出する液滴徒吐出ヘッドを有するヘッド搭載移動装置と、前記光学検出装置の検出結果に基づき前記ヘッド搭載移動装置を制御する制御装置とを備え、前記基板吸着テーブルが導電性材料で形成され、接地されていることを特徴とする。
ここで、液滴吐出装置としては、インクジェット描画装置を採用することができる。
【0007】
この発明によれば、基板吸着テーブルが導電性材料で形成され、接地されているので、基板表面や、基板吸着テーブルに発生する静電気の発生を防止、または除去することができるので、静電気によって基板に形成された電気素子(例えば、トランジスタ、コンデンサ、ダイオードなど)が破壊されることを防止することができる。
また、基板表面の静電気が除去されているので、液滴が吐出された際に、静電気が液滴に影響することがないので正確な位置に液滴を基板に着弾させることができる。
【0008】
本発明の液滴吐出装置は、前記基板吸着テーブルが導電性材料で形成されている。導電性材料としては、例えば、銅系材料やアルミニウム系材料も考えられるが、鉄系材料で形成されていることが好ましい。
基板吸着テーブルは、描画精度を高めるために、高精度に形成されていることが求められる。
この発明によれば、基板吸着テーブルが鉄系材料で形成され、導電性を有しており接地されているので、基板表面の静電気の発生防止や除去が可能となる。また、鉄系材料であれば加工しやすく、高精度に仕上げることができ、また機械的強度も高いので他の材料よりも薄くすることができ軽量化にも効果があり、特に大型基板の液滴吐出装置には効果がある。
鉄系材料としては、例えば、軟鋼が採用される。
【0009】
本発明では、前記基板吸着テーブルの基板吸着面に、光が吸収され、且つ、導電性材料から成る皮膜が形成されていること好ましい。
このような構成によれば、基板に設けられた基準マーク(アライメントマーク)を光学検出装置(例えば、CCDカメラ)にて検出する際に、基板吸着面に照射された光が皮膜によって吸収されるため、基板吸着テーブルの基板吸着面からの反射光がアライメントマークからの反射光に重なることが防止され、基準マークを正しく認識することができる。
また、この皮膜は、鉄系材料表面に導電性材料で形成されているために、基板表面の静電気の発生防止や除去が可能できるので基板に形成された電気素子が静電気により破壊されることを防止することができる。
【0010】
本発明によれば、前記基板吸着テーブルの基板吸着面に形成される前記皮膜が黒クロムめっきであることが望ましい。
基板吸着面に形成される皮膜は、導電性があり、光が吸収される材料が求められる。この皮膜材料は、黒クロムめっきとされる。黒クロムめっき皮膜は、黒色を呈しており光の反射防止性、光選択吸収性があることが知られている。また、電気的な導電性があることも知られている。
このような黒クロムめっきの皮膜が形成されているために、上述のアライメントマークを正確に認識し液滴吐出ヘッドを正確に制御することができるうえ、基板表面の静電気を除去し基板に形成された電気素子の破壊を防止することができる。
【0011】
本発明の液滴吐出装置は、前記基板吸着テーブルの基板吸着面が、光を乱反射する乱反射層が形成されていることが好ましい。
基板吸着面には、例えば、サンドブラスト、ショットピーニングや化学研磨などの凹凸処理がなされる。これらの処理によって基板吸着面が細かい凹凸目が形成されるため、この凹凸面に照射された光が乱反射される。このことにより、基板のアライメントマークのみが光を正反射するので、アライメントマークを正確に認識することができる。
また、基板吸着テーブルは鉄系材料で形成されているので、静電気を除去し基板に形成された電気素子の破壊を防止することができる。
【0012】
本発明によれば、前記基板吸着テーブルの基板吸着面に乱反射層が形成され、且つ、該乱反射層表面に黒クロムめっき層が形成されていることが望ましい。
このような構成によれば、基板吸着面には、凹凸に形成された乱反射層と、さらに、その表面は黒クロムめっき層が形成されているので、基板吸着面からの反射光が吸収され、または乱反射されることにより一層、アライメントマークの正しい認識ができ、静電気による基板上に形成された電気素子の破壊を防止することができる。
【0013】
本発明の電気光学装置は、前述したような液滴吐出装置を用いて製造されたことを特徴とする。
このような液滴吐出装置で製造された電気光学装置は、例えば液晶表示装置や有機EL表示装置であって、基板吸着テーブルが導電性材料で形成され、または光が吸収される被覆や光の乱反射層が形成されているので、基板上に形成された電気素子が静電気によって破壊されることが防止され、また、アライメントマークを正確認識ができるため高精度な描画が施された高品質の電気光学装置を提供することができる。
【0014】
本発明の電気光学装置の製造方法は、本発明の液滴吐出装置を用いて製造されたことを特徴とする。
このような製造方法で製造された基板の例えば、機能パターン等を高い精度で描画することができ、かつ、安定した品質の電気光学装置を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の液滴吐出装置の電気光学装置を備えることを特徴とする。
このことにより、基板の機能パターン等が高い精度で、かつ、安定した品質の電気光学装置を備える高性能の電子機器を提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態の液滴吐出装置を図面に基づいて説明する。
図1〜図3には本実施形態の液滴吐出装置1が示されている。
図1は本実施形態の液滴吐出装置の斜視図、図2は図1の矢印A方向から視認した液滴吐出装置の側面図を示す。図3は、液滴吐出装置の平面図を示す。
図1〜図3において、これらの図に示す液滴吐出装置(インクジェット描画装置)1は、ワークとしての基板5に対し、例えばインクや、目的とする材料を含む機能液等の液体(吐出液)をインクジェット方式(液滴吐出方式)により微小な液滴の状態で吐出して所定のパターンを形成(描画)する装置であり、例えば液晶表示装置におけるカラーフィルターや有機EL装置等を製造したり、基板上に金属配線を形成したりするのに用いることができるものである。液滴吐出装置1が対象とする基板5の素材は、特に限定されず、板状の部材(ワーク)であればいかなるものでもよいが、例えば、ガラス基板、シリコン基板、フレキシブル基板等を対象とすることができる。
【0016】
また、本発明で対象とする基板(ワーク)は、板状の部材に限らず、底面が平らな部材であればいかなるものでもよい。例えば、本発明は、レンズをワークとし、このレンズに液滴を吐出することにより光学薄膜等のコーティングを形成する液滴吐出装置などにも適用することができる。また、本発明は、比較的大型の基板(例えば、長さ、幅がそれぞれ数十cm〜数m程度のもの)にも対応することができる比較的大型の液滴吐出装置1に特に好ましく適用することができる。
【0017】
この液滴吐出装置1は、装置本体2と、基板が載置吸着固定される基板吸着テーブル3と、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)111を有するヘッドユニット11と、液滴吐出ヘッド111のメンテナンスをするメンテナンス装置12と、給液タンク、排液タンクおよび再利用タンクを備えたタンクユニット13と、基板5表面の静電気を除去するイオナイザー14と、制御装置16と、ドット抜け検査ユニット19とを備えている。
【0018】
液滴吐出ヘッド111から吐出する液体としては、特に限定されず、カラーフィルタのフィルター材料を含むインクの他、例えば以下のような各種の材料を含む液体(サスペンション、エマルジョン等の分散液を含む)とすることができる。
・有機EL(electroluminescence)装置におけるEL発光層を形成するための発光材料。・電子放出装置における電極上に蛍光体を形成するための蛍光材料。・PDP(Plasma Display Panel)装置における金属配線を形成するための液状金属材料。・電気泳動表示装置における泳動体を形成する泳動体材料。・基板5の表面にバンクを形成するためのバンク材料。・各種コーティング材料。・電極を形成するための液状電極材料。・2枚の基板間に微小なセルギャップを構成するためのスペーサを構成する粒子材料。・金属配線を形成するための液状金属材料。・マイクロレンズを形成するためのレンズ材料。・レジスト材料。・光拡散体を形成するための光拡散材料など。
【0019】
図2に示すように、装置本体2は、床上に設置された架台21の上には、基板吸着テーブル3が装置本体2に対しY軸方向に移動可能に設置されている。基板吸着吸着テーブル3は、リニアモータ101の駆動により、Y軸方向に前進・後退する。基板5は、基板吸着テーブル3上に載置される。液滴吐出装置1では、基板吸着テーブル3と同程度の大きさの比較的大型の基板5から、基板吸着テーブル3より小さい比較的小型の基板5まで、様々な大きさおよび形状の基板5を対象にすることができる。基板5は、原則としては基板吸着テーブル3と中心を一致させるように位置決めした状態で液滴吐出動作をすることが好ましいが、比較的小型の基板5の場合には、基板吸着テーブル3の端に寄せた位置に位置決めして液滴吐出動作をしてもよい。
【0020】
図1に示すように、基板吸着テーブル3のX軸方向に沿った2つの辺の付近には、それぞれ、基板5に対する液滴吐出(描画)前に液滴吐出ヘッド111から捨て吐出(フラッシング)された吐出液滴を受ける描画前フラッシングユニット104が設置されている。描画前フラッシングユニット104には、吸引チューブ(図示せず)が接続されており、捨て吐出された吐出液は、この吸引チューブを通って回収され、タンクユニット13に設置された排液タンク内に貯留される。
【0021】
また、装置本体2には、ヘッドユニット11を支持するメインキャリッジ102が、基板吸着テーブル3の上方空間においてX軸方向に移動可能に設置されている。複数の液滴吐出ヘッド111を有するヘッドユニット11は、サーボモータ103の駆動により、メインキャリッジ102とともにX軸方向に前進・後退する。
これらヘッドユニット11、メインキャリッジ102、サーボモータ103がヘッド搭載移動装置200(図2に示す)とされる。
本実施形態の液滴吐出装置1では、液滴吐出ヘッド111のいわゆる主走査は基板吸着テーブル3をY軸方向に移動しつつ、リニアスケール(図示せず)を用いて生成した吐出タイミングに基づいて、液滴吐出ヘッド111の駆動(吐出液滴の選択的吐出)を行う。また、これに対応して、いわゆる副走査は、ヘッドユニット11(液滴吐出ヘッド111)のX軸方向への移動により行われる。
【0022】
また、装置本体2には、基板5上に吐出された液滴を半乾燥させるブロー装置(図示せず)が設置されている。ブロー装置は、X軸方向に沿ってスリット状に開口するノズルを有しており、基板5を基板吸着テーブル3によりY軸方向に搬送しつつ、このノズルより基板5へ向けてガスを吹き付ける。本実施形態の液滴吐出装置1では、Y軸方向に互いに離れた個所に位置する2個のブロー装置が設けられている
【0023】
メンテナンス装置12は、架台21の側方に設置されている。このメンテナンス装置12は、ヘッドユニット11の待機時に液滴吐出ヘッド111をキャッピングするキャッピングユニット121と、液滴吐出ヘッド111のノズル形成面をワイピングするワイピングユニット122と、液滴吐出ヘッド111の定期的なフラッシングを受ける定期フラッシングユニット123とを有している。
また、メンテナンス装置12は、Y軸方向に移動可能な移動台124を有しており、キャッピングユニット121、ワイピングユニット122、定期フラッシングユニット123は、移動台124上にY軸方向に並んで設置されている。ヘッドユニット11がメンテナンス装置12の上方に移動した状態で移動台124がY軸方向に移動することにより、キャッピングユニット121、ワイピングユニット122、定期フラッシングユニット123のいずれかが液滴吐出ヘッド111の下方に位置し得るようになっている。ヘッドユニット11は、待機時にはメンテナンス装置12の上方に移動し、キャッピング、ワイピングおよび定期フラッシングを所定の順番で行う。
【0024】
キャッピングユニット121は、複数の液滴吐出ヘッド111のそれぞれに対応するように配置された複数のキャップとこれらキャップを昇降させる昇降機構とを有している。各キャップには、吸引チューブ(図示せず)が接続されており、キャッピングユニット121は、各キャップで各液滴吐出ヘッド111のノズル形成面を覆うとともに、ノズル形成面に形成されたノズルから吐出液を吸引することができる。このようなキャッピングを行うことにより、液滴吐出ヘッド111のノズル形成面が乾燥するのを防止し、ノズル詰まりを回復(解消)することができる。
キャッピングユニット121によるキャッピングは、ヘッドユニット11の待機時や、ヘッドユニット11に吐出液を初期充填する際、吐出液を異種のものに交換する場合にヘッドユニット11から吐出液を排出する際、洗浄液によって流路を洗浄する際などに行われる。
【0025】
キャッピングユニット121によるキャッピング中に液滴吐出ヘッド111から排出された吐出液は、前記吸引チューブを通ってタンクユニット13に設置された再利用タンク内に流入し貯留される。この貯留された液体は、回収され、再利用に供される。ただし、流路の洗浄時に回収した洗浄液は再利用しない。
クリーニングユニット122は、洗浄液を含ませたワイピングシートをローラーにより走行させ、このワイピングシートにより液滴吐出ヘッド111のノズル形成面を拭き取り、清掃するよう作動するものである。定期フラッシングユニット123は、ヘッドユニット11の待機時のフラッシングに使用されるものであり、液滴吐出ヘッド111が捨て吐出した吐出液滴を受けるものである。定期フラッシングユニット123には、吸引チューブ(図示せず)が接続されており、捨て吐出された吐出液は、この吸引チューブを通って回収され、タンクユニット13に設置された排液タンク内に貯留される。
【0026】
ドット抜け検出ユニット19は、基板吸着テーブル3の移動領域と重ならない場所であって、ヘッドユニット11の移動領域の下方に位置する場所に固定的に設置されている。ドット抜け検出ユニット19は、液滴吐出ヘッド111のノズルの目詰まりが原因となって生じるドット抜けを検出するものであり、例えばレーザー光を投光・受光する投光部および受光部を備えている。ドット抜け検出を行う際には、ヘッドユニット11がドット抜け検出ユニット19の上方空間をX軸方向に移動しつつ、各ノズルから液滴を捨て吐出し、ドット抜け検出ユニット19は、この捨て吐出された液滴に対し投光・受光を行って、目詰まりしているノズルの有無および個所を光学的に検出する。この際に液滴吐出ヘッド111から吐出された吐出液は、ドット抜け検出ユニット19が備える受け皿に溜まり、この受け皿の底部に接続された吸引チューブ(図示せず)を通って回収され、タンクユニット13に設置された排液タンク内に貯留される。
【0027】
タンクユニット13には、前述したキャッピング時に回収された吐出液を貯留する再利用タンクと、描画前フラッシングおよび定期フラッシングで回収された吐出液を貯留する排液タンクのほか、液滴吐出ヘッド111へ供給される吐出液を貯留する給液タンクや、ワイピングユニット122へ供給される洗浄液を貯留する給液タンクなどがそれぞれ設置されている。各給液タンク内は、液滴吐出装置1の近傍に設置された図示しない加圧気体供給源から供給された例えば窒素ガス等の加圧気体により加圧され、この圧力によって、吐出液および洗浄液が送出される。
これら機能液を回収し、貯留し、液滴吐出ヘッドに供給される装置およびユニットを含めて機能液装置とされる。
【0028】
このような液滴吐出装置1は、好ましくは、チャンバ装置9により、温度および湿度の管理がなされた環境下に置かれている。チャンバ装置9は、液滴吐出装置1を収納し、温度調整装置を備えている。温度調整装置は、公知のエアーコンディショナー装置を内蔵しており、温度および湿度を調節した空気(温調空気)を生成する。この温調空気は、導入ダクトを通ってチャンバ装置内に送り込まれる。
このようなチャンバ装置9によって液滴吐出装置1の周囲の温度および湿度が管理されることにより、温度変化による基板5や装置各部の膨張・収縮が原因となって誤差が生じるのを防止することができ、基板5上に吐出液滴によって描画(形成)されるパターンの精度をより高くすることができる。また、タンクユニット13も温度および湿度が管理された環境に置かれるので、吐出液の粘度等も安定し、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高精度に行うことができる。また、チャンバ装置9内へのチリ、ホコリ等の侵入を防止することができ、基板5を清浄に維持することができる。
なお、チャンバ装置9内には、空気以外のガス(例えば窒素、二酸化炭素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等の不活性ガスなど)を温度調節して供給・充填し、このガスの雰囲気中で液滴吐出装置1を稼動することとしてもよい。
【0029】
チャンバ装置9の外部には、液滴吐出装置1の各部の作動を制御する制御装置(制御手段)16が設置されている。制御装置16は、CPU(Central Processing Unit)と、液滴吐出装置1の制御動作を実行するためのプログラム等の各種プログラムおよび各種データを記憶(格納)する記憶部とを有しており、液滴吐出装置1の各部の作動を制御する。
【0030】
架台21は、アングル材等を方形に組んで構成された枠体211と、枠体211の下部に分散配置された複数の支持脚212とを有している。基台22は、その上面は、高い平面度を有している。この基台22により、周囲の環境条件や振動等の影響を防ぎ、基板吸着テーブル3およびヘッドユニット11が高精度に移動することができる。
【0031】
基台22の上には、Y軸方向移動機構としてのリニアモータ101およびエアスライダ(図示せず)が設置されている。基板吸着テーブル3は、エアスライダによりY軸方向に円滑に移動可能に支持され、リニアモータ101の駆動によりY軸方向に移動する。また、基板吸着テーブル3の下部には、θ軸回転機構105が設けられており、これにより、基板吸着テーブル3は、基板吸着テーブル3の中心を通る鉛直なθ軸を回転中心として所定範囲で回動可能になっている。これら基板吸着テーブル3を含み、リニアモータ101、θ軸回転機構105と後述する光学検出装置が基板搭載移動装置とされる。
また、図4に示すように、基板吸着テーブル3には、載置された基板5を吸着して固定するための複数の吸引溝315(図5、図6)が形成されている。
【0032】
図2に示すように、基板吸着テーブル3の上方には、梁24に光学検出装置としてのカメラユニット106が設置されている。カメラユニット106には、基板5の所定の個所に設けられたアライメントマークを画像認識するための認識カメラ107が設置されている。認識カメラ107は、カメラユニット106から横手方向に支持されている。認識カメラ107はCCDカメラとされる。この認識カメラで基板5に設けられたアライメントマークを認識して、ヘッドユニット11の位置を制御して基板5に所定の描画を正確に行うのである。なお、認識カメラ107は、他の用途に用いてもよい。
【0033】
図4は、図1、図3に示す液滴吐出装置におけるヘッドユニット11の構成および液滴吐出動作を模式的に示す平面図である。図4に示すように、液滴吐出ヘッド111のノズル形成面には、液滴が吐出される多数の吐出ノズル(開口)が一列または二列以上に並んで形成されている。液滴吐出ヘッド111は、電圧の印加により変位(変形)する圧電素子を有し、この圧電素子の変位(変形)を利用して、吐出ノズルに連通するように形成された圧力室(液室)内の圧力を変化させることよって液滴を吐出ノズルから吐出するように構成されたものである。なお、液滴吐出ヘッド111は、このような構成に限らず、例えば、吐出液をヒータで加熱して沸騰させ、その圧力によって液滴を吐出ノズルから吐出するように構成されたものなどでもよい。
【0034】
ヘッドユニット11には、この液滴吐出ヘッド111が複数個(以下の説明では12個として説明する)設置されている。これらの液滴吐出ヘッド111は、6個ずつ二列に副走査方向(X軸方向)に並ぶとともに、ノズル列が副走査方向に対し所定角度傾斜するような姿勢で配置されている。
なお、このような配列パターンは一例であり、例えば、各ヘッド列における隣接する液滴吐出ヘッド111同士を90°の角度を持って配置(隣接ヘッド同士が「ハ」字状)したり、各ヘッド列間における液滴吐出ヘッド111を90°の角度を持って配置(列間ヘッド同士が「ハ」字状)したりしてもよい。いずれにしても、複数個の液滴吐出ヘッド111の全吐出ノズルによるドットが副走査方向において連続していればよい。
さらに、液滴吐出ヘッド111は、副走査方向に対し傾斜した姿勢で設置されていなくてもよく、また、複数個の液滴吐出ヘッド111が千鳥状、階段状に配設されていてもよい。また、所定長さのノズル列(ドット列)を構成できる限り、これを単一の液滴吐出ヘッド111で構成してもよい。また、メインキャリッジ102に複数のヘッドユニット11が設置されていてもよい。
【0035】
ここで、制御装置16の制御による液滴吐出装置1の全体の作動について簡単に説明する。後述する基板位置決め装置の作動により基板吸着テーブル3上に基板5が所定の位置に位置決め(プリアライメント)して載置されると、基板吸着テーブル3の各吸引溝315からのエアー吸引により、基板5は、基板吸着テーブル3に吸着・固定される。次いで、認識カメラ107が基板5の所定の個所(1箇所または複数箇所)に設けられたアライメントマークを認識する。この認識結果に基づいて、ヘッドユニット11に設けられた液滴吐出ヘッド111が基板5のアライメントマークに対応した位置補正、角度補正が行われる。
【0036】
以上のような液滴吐出ヘッド111と基板5のアライメント作業が完了すると、基板吸着テーブル3の移動により基板5を主走査方向(Y軸方向)に移動させつつ、各液滴吐出ヘッド111から基板5への選択的な液滴吐出動作を行う。このとき、液滴吐出動作は、基板吸着テーブル3の前進(往動)中に行っても、後退(復動)中に行っても、前進および後退の両方(往復)で行ってもよい。また、基板吸着テーブル3を複数回往復させて、液滴吐出動作を複数回繰り返し行ってもよい。以上の動作により、基板5上の、所定の幅(ヘッドユニット111により吐出可能な幅)で主走査方向に沿って伸びる領域に、液滴の吐出が終了する。
【0037】
その後、メインキャリッジ102を移動させることにより、ヘッドユニット111を前記所定の幅の分だけ副走査方向(X軸方向)に移動させる。この状態で、前述した動作と同様に、基板5を主走査方向に移動させつつ、液滴吐出ヘッド111から基板5への選択的な液滴吐出動作を行う。そして、この領域への液滴吐出動作が終了し後、ヘッドユニット111をさらに前記所定の幅の分だけ副走査方向(X軸方向)に移動させた状態として、基板5を主走査方向に移動させつつ、同様の液滴吐出動作を行う。これを、数回繰り返すことで、基板5の全領域に液滴吐出が行われる。このようにして、液滴吐出装置1は、基板5上に所定のパターンを形成(描画)する。
【0038】
図2において、基板5上に所定のパターンが形成(描画)されると、基板吸着テーブル3に穿設されたリフト孔311を貫通して合成樹脂製のリフト125が基板5を押し上げ、基板吸着テーブル3から基板5を分離して除材される。基板5が除材されると、リフト125は基板吸着テーブル3の基板5の載置面よりも突出しない位置まで復帰する。
【0039】
次に、基板吸着テーブル3について、図5、図6を用いて説明する。
図5は、基板吸着テーブル3の平面図である。図6は、基板吸着テーブル3の要部側面図である。
基板吸着テーブル3は、略矩形をした板状部材であり、本実施形態では軟鋼で形成されている。この基板吸着テーブル3の外形は、基板5の外形よりも大きく設定されている。基板吸着テーブル3には、略四角形のリフト孔311が複数穿設され(図面では6個)、このリフト孔311には、合成樹脂製のリフト125が挿通されている。リフト125は一端が基板5の裏面に当接しており、基板5に対して進退可能である。
リフト孔311の外側には、略円形の孔312が基板5の外周方向に複数の孔が穿設されている。この孔312は、図示しないが、基板吸着テーブル3に対して本体側方向から液滴吐出ヘッドに設けられたヘッドアライメントマークを認識するための認識カメラの覗き孔となっている。この孔312は、図6では4個設けられているが、2個あればヘッドアライメントマークの位置、角度認識ができる。この際,認識カメラが、基板吸着テーブル3に搭載され、基板吸着テーブル3と共に移動しヘッドアライメントマークを2箇所以上検出すれば、孔312はひとつでもよい。
ヘッドアライメントマークをこの認識カメラで認識して、液滴吐出ヘッド111の位置、角度を検出するものである。
【0040】
また、基板吸着テーブル3には、基板吸着テーブル3を移動台124に固定するための複数の固定孔313が穿設されている。基板吸着テーブル3は、螺子(図示しない)をこの固定孔313に挿入して螺合されるが、この螺子の螺子頭部分が基板吸着テーブル3の表面から突出しないようにザグリ穴314が設けられている。
さらに、基板5側表面には、それぞれが連結された幅2mm、深さ1mm程度の溝315が形成されている。この溝315の一部に、基板吸着テーブル3を断面方に貫通する吸着孔316がやはり複数個設けられている。これら吸着溝315、吸着孔317は前述したように、基板5を基板吸着テーブル3に真空吸着するためのものである。この吸着溝315の形状、吸着孔316の数、径は、基板5の大きさ、材質等により任意に設定することができる。
【0041】
この基板吸着テーブル3の裏面側(基板5とは反対側)には、略長方形の凹部316が複数設けられている。これは、本実施形態の基板吸着テーブル3が軟鋼で形成されているので、裏面側の機能的に関係のない位置に凹部317を設けることで、基板吸着テーブル3が軽量化できるように配慮して設けられたものである。
基板吸着テーブル3は、導電性部材である軟鋼で形成されており、基板5と基板吸着テーブル3、基板吸着テーブル3と装置本体2とは接地され他関係にある。
【0042】
この第1実施形態では、基板吸着テーブル3が導電性材料(軟鋼)で形成され接地されているので、基板5の表面や、基板吸着テーブル3に発生する静電気の発生を防止、または除去することができる。このことによって、静電気で基板に形成された電気素子(例えば、トランジスタ、コンデンサ、ダイオードなど)が破壊されたり劣化することを防止することができる。
この液滴吐出装置2には、基板5とヘッドユニット11の近傍にはイオナイザ14が設置されている。このイオナイザ14は、基板5の描画面の静電気を除去することができる。しかし、基板5の裏面と基板吸着テーブル3との間に発生する静電気の除去は困難である。本実施形態の如く基板吸着テーブル3が導電性材料で形成されていることによって、基板5の裏面側の静電気も除去できるため、先述したような効果が得られる。
【0043】
従って、本実施例のような液滴吐出装置1を用いて製造される電気光学装置も、基板5に形成された電気素子が描画過程で静電気によって破壊されたり、劣化されることがなく、歩留まりが向上し、高品質の電気光学装置が得られる。
また、このように製造された電気光学装置が搭載された高品質の電子機器を提供することができる。
また、基板表面(表裏面とも)の静電気が除去されているので、液滴が吐出された際に、静電気が液滴の方向を変える(飛行曲がり)ようなことがないので正確な位置に液滴を基板に着弾させることができる。
【0044】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、基板吸着テーブル3の表面構造が異なるのみで、液滴吐出装置1の構成は第1実施形態と同じであるため、基板吸着テーブル3のみについて説明する。
図7は、基板吸着テーブル3と光学検出ユニットであるカメラユニット106に備えられた認識カメラ107とを模式的に示した図面である。
図7において、基板吸着テーブル3の上面に基板5が載置され、上方から、カメラユニット106で、基板5に光沢のあるクロムなどで形成されたアライメントマーク501が認識される。カメラユニット106は、アライメントマーク501を認識するための光源110と認識カメラ(CCD)107とを備える。
【0045】
基板吸着テーブル3の基板5を載置する面には、黒クロムめっきの皮膜320が形成されている。黒クロムめっきのめっき皮膜電着物組成は、クロムの低級酸化物を含有しており、反射防止性、光選択吸収性に優れ、0.3μm〜2.5μmの波長領域の光を吸収し、2.5μm以上の赤外線の放射が極めて少ない材料とされる。
【0046】
従って、光源110から照射された光(イ)は、アライメントマークで反射され、この反射光(ロ)が認識カメラ107で認識される。アライメントマーク501以外の場所に照射された光は、基板5が光透過基板(例えば、ガラス)のような場合、基板5を透過し基板吸着テーブルまで達し、この黒クロムめっきの皮膜320の層で吸収される。そのため、コントラストが高く、正確にアライメントマーク501を認識することができる。この認識結果に基づき、制御装置16で、ヘッドの位置、角度を制御する。このことで精度の高い描画がなされる。
また、この黒クロムめっきは、導電性の材料であるため、先述したように、基板5とは接地された関係にあり、基板5の表面の静電気を除去することができ、高品質の電気光学装置を製造することができる。
この黒クロムめっきの皮膜320は、耐食性が大きいことも知られている。このことから、吐出される機能液やクリーニングのための溶剤などが腐食性の材料であっても、基板吸着テーブル3に付着しても腐食されにくいという効果もある。
また、黒クロムめっき層は、基板吸着テーブルの基材である軟鋼に比べ硬度が高く、耐磨耗性も向上する効果がある。
【0047】
(第3実施形態)
図8に、本発明の第3実施形態を示す。第3実施形態は、第2実施形態とは基板吸着テーブル3の表面構造が異なるのみであり、第1実施形態の液滴吐出装置1の構成は第1実施形態と同じであるため、基板吸着テーブル3についてのみ説明する。
図8は、基板吸着テーブル3とカメラユニットとを模式的に示した図面である。図8において、軟鋼製の基板吸着テーブル3の基板5を載置する面には凹凸321が形成されている。この凹凸321は、サンドブラスト、ショットピーニングや化学研磨のような加工方法で形成されている。カメラユニット106の光源110から照射された光(イ)は、アライメントマーク501の表面は全反射されて認識カメラ107にて認識される。アライメントマーク501以外に照射された光は、基板吸着テーブル3に形成された凹凸321面で乱反射されるので、認識カメラ107に入射される光が少なくなる。
この凹凸321面の基板5と接触する部分の高さ寸法は正確に管理されていることが好ましい。
【0048】
この構造によって、凹凸321を形成しない場合にくらべ、アライメントマーク501と他の部分のコントラストが高くなり、アライメントマーク501を正確に認識することができ、精度の高い描画をすることができる。
また、基板吸着テーブル3は、軟鋼で形成されているため、先述したような、静電気による基板5に与える影響を排除することができる。
【0049】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図9を用いて説明する。
第4実施形態は、前述した第2実施形態、第3実施形態とは基板吸着テーブル3の構造のみが異なるので、相違点のみを詳しく説明する。
図9は、基板吸着テーブル3とカメラユニット106に備えられた認識カメラ107を模式的に示した図面である。図9において、軟鋼製の基板吸着テーブル3の基板5を載置する面には、凹凸321が形成され、この凹凸321の表面には黒クロムめっきの皮膜321が形成されている。
【0050】
凹凸321は、例えば、サンドブラスト、ショットピーニング、化学研磨などで形成されている。その表面には黒ニッケルめっきの皮膜320が、あらかじめ形成されている凹凸321が消えない程度の厚みで施されている。
カメラユニット106の光源110から照射された光(イ)は、アライメントマーク501の表面では全反射されて、この反射光(ロ)は認識カメラ107にて認識される。アライメントマーク501以外に照射された光は、基板吸着テーブル3に形成された凹凸321で乱反射されるとともに、黒クロムめっきの皮膜320で吸収されるので、認識カメラ107に入射される光が一層少なくなる。
【0051】
このことによって、アライメントマーク501とその周囲の基板吸着テーブル3の表面とのコントラストが一層高くなり、認識カメラ107で正確にアライメントマーク501を認識することができる。
また、黒ニッケルめっきの皮膜320は導電性材料であるために前述したように、基板5および基板吸着テーブル3が接地され他関係であるために、静電気の影響をなくすことができる。
【0052】
さらに、吐出される機能液(例えば、インクなど)が引火性の溶剤(例えば、エタノール等)を含んだり、クリーニングの際に引火性の溶剤(例えば、アルコール等)が使われることも考えられる。この装置本体2はチャンバー9に収納されているので、これらの引火性の溶剤がガス化して充満することも有り得る。このような場合、静電気の放電により引火することも考えられる。
本実施形態のように、イオナイザ14と基板吸着テーブル3が導電性材料で形成されていることで静電気を除去できるので上述のような危険も回避することができる。
また、基板吸着テーブル3の表面に凹凸321を形成することで、基板5を基板吸着テーブル3に吸着し、描画後に除材使用としたときに、基板5が基板吸着テーブルに密着してしまい、リフト125で基板5を押し上げて除材しにくくなることも防止することができる。
【0053】
なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、基板吸着テーブル3は、軟鋼で形成されるとしていたが、導電性材料で、加工性が良く高精度で加工でき、剛性がある材料であれば、例えば、ステンレス鋼なども選択でき、また、合成樹脂材料の中に導電性材料の粒子や繊維を含んだ強化プラスチック材料なども採用できる。
また、前記実施形態では、基板吸着テーブル3の表面に黒ニッケルめっき皮膜320を施していたが、本発明では、基板吸着テーブル3に導電性があり、好ましくは光吸収性もある材料の被覆処理や窒化処理などを施してもよい。
【0054】
【発明の効果】
このような本発明によれば、高精度の液滴吐出と基板(ワーク)の静電気の発生の防止と、基板吸着面からの反射光を吸収または乱反射される層を設けることにより、画像処理の安定性を両立する液滴吐出装置、この液滴吐出装置によって製造された電気光学装置と、この電気光学装置の製造方法および電子機器とを提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる液滴吐出装置を示す斜視図。
【図2】図1の矢印A方向から視認した液滴吐出装置の側面図。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる液滴吐出装置の平面図。
【図4】ヘッドユニット11の構成および液滴吐出動作を模式的に示す平面図。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる基板吸着テーブル3の平面図。
【図6】本発明の第1実施形態にかかる基板吸着テーブル3の側面図。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる基板吸着テーブル3とカメラユニット106とを模式的に示した図面。
【図8】本発明の第3実施形態にかかる基板吸着テーブル3とカメラユニット106とを模式的に示した図面。
【図9】本発明の第4実施形態にかかる基板吸着テーブル3とカメラユニット106とを模式的に示した図面。
【符号の説明】
1…液滴吐出装置
2…装置本体
3…基板吸着テーブル
5…基板(ワーク)
9…チャンバ
11…ヘッドユニット
16…制御装置
106…カメラユニット(光学検出装置)
111…液滴吐出ヘッド
Claims (9)
- 基板が載置される基板吸着テーブルと、前記基板に設けられた基準マークを検出する光学検出装置とが設けられる基板搭載移動装置と、
機能液を液滴吐出ヘッドに供給する機能液装置と、
前記機能液を前記基板に吐出する液滴吐出ヘッドを有するヘッド搭載移動装置と、
前記光学検出装置の検出結果に基づき前記ヘッド搭載移動装置を制御する制御装置とを備え、
前記基板吸着テーブルが導電性材料で形成され、基板搭載移動装置に接地されていることを特徴とする液滴吐出装置。 - 請求項1に記載の液滴吐出装置において、
前記基板吸着テーブルが鉄系材料で形成されていることを特徴とする液滴吐出装置。 - 請求項1ないし請求項2のいずれかに記載の液滴吐出装置において、
前記基板吸着テーブルの基板吸着面に、光が吸収され、且つ、導電性材料から成る皮膜が形成されていることを特徴とする液滴吐出装置。 - 請求項3に記載の液滴吐出装置において、
前記皮膜が黒クロムめっきであることを特徴とする液滴吐出装置。 - 請求項1または請求項2に記載の液滴吐出装置において、
前記基板吸着テーブルの基板吸着面に光を乱反射する乱反射層が形成されていることを特徴とする液滴吐出装置。 - 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の液滴吐出装置において、
前記基板吸着テーブルの基板吸着面に乱反射層が形成され、且つ、該乱反射層表面に黒クロムめっき層が形成されていることを特徴とする液滴吐出装置。 - 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の液滴吐出装置を用いて製造されたことを特徴とする電気光学装置。
- 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の液滴吐出装置を用いて製造されたことを特徴とする前記電気光学装置の製造方法。
- 請求項7に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
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