JP2004358004A - 収納可能な幼児保持具 - Google Patents
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Abstract
【課題】別途袋等を要することなく、幼児保持具を運搬できる収納可能な幼児保持具を提供する。
【解決手段】収納可能な幼児保持具は、使用時に幼児の少なくとも尻部と股部を保持する幼児保持布と、幼児保持布に設けられた袋部40と、幼児保持布の上方端部に設けられ、相互に接続可能な肩ベルト20とを備え、肩ベルト20は装着者の腰に落として装着可能であり、それによって、袋部40を装着者の腰に保持する。
【選択図】 図10
【解決手段】収納可能な幼児保持具は、使用時に幼児の少なくとも尻部と股部を保持する幼児保持布と、幼児保持布に設けられた袋部40と、幼児保持布の上方端部に設けられ、相互に接続可能な肩ベルト20とを備え、肩ベルト20は装着者の腰に落として装着可能であり、それによって、袋部40を装着者の腰に保持する。
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は収納可能な幼児保持具に関し、特に、収納時の持ち運びが容易な収納可能な幼児保持具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の携帯可能な幼児用保持具が、たとえば下記の特許文献1および特許文献2に開示されている。図13は特許文献1に開示された従来の携帯可能な幼児用保持具の収納状態を示す図(A)と、展開した状態を示す図である(B)。
【0003】
図13(A)を参照して、従来の携帯可能な幼児用保持具100は、幼児用保持具を収納する袋部分102と、袋部分102の開口を閉じるチャック102aと、携帯するときに幼児用保持具を持つためのつりひも104とを含む。チャック102aを開いて、袋部分102を反転し、中から幼児保持部を取り出して展開すると、図13(B)のようになり、幼児の背中を支持する背中部101と、一方帯部101aと、他方帯部101bと、一方金具103aと、他方金具103bとが現れる。
【0004】
一方帯部101aと一方金具103aとが係合し、他方帯部101bと他方金具103bとを係合させて、肩でたすきがけし、背中に幼児を保持する。
【0005】
図14は特許文献2に開示された収納可能な幼児用背負帯110を示す図である。図14を参照して、収納可能な幼児用背負帯110は、背当て部111の外面にそのほぼ全面に設けられた袋部116と、背当て部111の上端部の両側に延びる帯ひも112と、背当て部111の下部に設けられた脚部113a、113b,113cと、脚部113a,113b,113cを連結して延びる下側帯114とを含む。袋部116の中央部にはファスナー117が設けられ、下側帯114の両端には、上側帯112と係合するための掛け具115が設けられている。
【0006】
収納可能な幼児用背負帯110を収納するときには、ファスナー117を開いて袋部116を反転し、その中に上記の各要素を収納する。
【0007】
【特許文献1】
実開昭54−4132号公報(図1およびそれに関係する説明)
【0008】
【特許文献2】
実開昭52−144830号公報(図1およびそれに関係する説明)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の、収納可能な幼児保持具100や幼児用背負帯110は上記のように構成されていた。幼児を背中におんぶしたときに幼児の臀部を袋部分102または116で受けるが、そのときに幼児の状態を手を後に回して確認しようとしても、袋部分102または116があるために、袋部分102または116に物が入っていると、幼児にじかに触れることができないという問題があった。
【0010】
収納可能な幼児保持具100においては、幼児を保持する時の保持部の幅をできるだけ広くするために、収納用の袋部102の幅は背中部分101とほぼ同じ寸法であった。また、幼児用背負帯110においても、同様の理由で収納用の袋部の幅寸法は背当て部とほぼ同じ寸法であった。
【0011】
このような幅寸法であれば、反転した収納時の幅寸法も元の背当て部の寸法とほぼ等しくなり、収納時にコンパクトになりにくいという問題があった。
【0012】
また、収納可能な幼児保持具100等においては、収納はされるものの、収納された幼児保持具を運搬するには別途袋等が必要になり、幼児とともに外出するとき等に別の部材が必要になるという問題があった。
【0013】
さらに、従来の幼児用保持具においては、図14に示すように、幼児をより安全に保持するためには、脚部113a、113b,113cを形成する必要があり、構成が複雑になるという問題点があった。
【0014】
この発明は上記のような問題点に着目してなされたもので、別途袋等を要することなく、幼児保持具を運搬できる収納可能な幼児保持具を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる、収納可能な幼児保持具は、使用時に幼児の少なくとも尻部と股部を保持する幼児保持布と、幼児保持布に設けられた袋部と、幼児保持布の上方端部に設けられ、幼児保持布を装着者の肩に掛けるための肩掛けベルトとを備え、肩掛けベルトは装着者の腰に落として装着可能であり、それによって、袋部を装着者の腰に保持する。
【0016】
肩掛けベルトを装着者の腰に落として装着が可能なため、幼児保持具をウエストポーチとして装着者の腰に保持できる。その結果、別途袋等を要することなく、幼児保持具を運搬できる、収納可能な幼児保持具を提供できる。
【0017】
好ましくは、袋部は隙間を介して幼児保持布に保持される。
【0018】
さらに好ましくは、幼児保持布の下方端部に設けられた腰ベルトをさらに含み、
腰ベルトは取り外し可能である。
【0019】
さらに好ましくは、腰ベルトは隙間に設けられたベルト収納部に収納される。
【0020】
さらに好ましくは、幼児保持布は幼児の背部または腹部を保持する背当て部と、背当て部に続く股当て部と、股当て部に続く前当て部とを含み、前当て部の左右両端部に設けられた一対の第1係合部材と、背当て部に設けられた一対の第2係合部材とを含み、一対の第1および第2係合部材のそれぞれ同じ側が相互に係合した状態で、肩掛けベルトは装着者の腰に落として装着される。
【0021】
前当て部の左右両端部に設けられた一対の第1係合部材と、背当て部に設けられた一対の第2係合部材とが相互に係合した状態で、肩掛けベルトは装着者の腰に落として装着されるため、幼児保持布の下部が垂れ下がること無く保持できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1はこの発明の一実施の形態に係る携帯可能な幼児保持具10の収納状態を示す図である。幼児保持具10は収納状態ではポーチの形状をしている。図1(A)は幼児保持具10の正面図であり、図1(B)は背面図である。
【0024】
図1を参照して、携帯可能な幼児保持具10は、袋部40と、袋部40の上部に設けられ、幼児保持具10を手で保持または乳母車等の突起部に引っかけるための手持ちひも41と、手持ちひも41の直下に上下方向に設けられ、内部に収納された幼児保持布(ここで布とは平面形状のものを意図するもので、材質等を問わない)11を取り出すためのファスナー42と、ファスナー42の設けられた面の背面に設けられ、横方向に開口する小物を収納するポケット43とを含む。ポケット43はメッシュ状の布で構成されている。
【0025】
ここで袋部40のファスナー42が設けられている面を表側シートの外面16とよび、ポケット43が設けられている面を裏側シートの外面18という。なお、後の説明では、表側シートの外面16の裏面を表側シートの内面とよび、裏側シートの外面18の裏面を裏側シートの内面とよぶ。
【0026】
図2は図1(A)に示したファスナー42を開いた状態を示す図である。ファスナー42を開くと、その内部に収納された幼児保持布11が見える。
【0027】
図3は幼児保持布11を袋部40から取り出して展開した状態のファスナー42が設けられた表側を示す正面図である。図3を参照して、展開された幼児保持布11は、背当て部12と股当て部13と前当て部14とからなる本体部15と、本体部15の左右上端部にそれぞれ縫いつけ部21a、21bを介して接続された肩掛けベルト20と、本体部15の下部の左右両端部に設けられたフック部材27a、27bと、前当て部14に2箇所の縫いつけ部31a、31bで固定され、水平方向に延びる腰ベルト30とを含む。背当て部12の中央部には反転した袋部40が位置し、その近傍にはリング部材縫いつけ部26a,26b(図4参照)を介して一対のリング部材25a、25bが設けられている。袋部40は反転されると、表側シートの内面17で構成され、図に示すようにメッシュ状になっている。また、ファスナー42は、反転した状態においても反転前と同様に使用可能である。
【0028】
肩掛けベルト20の中央部には肩パッド22が設けられ、肩パッド22にはベルトの長さを調整するための一対の調節機構23a,23bが設けられている。
【0029】
腰ベルト30の一方端部にはワンタッチバックル33が設けられ、他方端部にはワンタッチバックル33と係合するカバー付きバックル34が設けられる。
【0030】
袋部40の幅方向寸法(図3でメッシュで表示されている部分のファスナー42に直交する方向の寸法)は袋部40が取付けられる背当て部12の幅方向寸法よりも狭い。収納時には、ファスナー42を開けて、この袋部40を反転し、その内部に幼児保持布11の使用時に必要な上記要素を全て収納する。収納時には、上記したように、反転したときの袋部40は図1に示した収納時の袋部40に対応し、袋部40の幅方向寸法は表側シートの外面16の幅方向寸法に対応するため、背当て部12の寸法の割に収納時の袋部40の寸法はコンパクトになる。
【0031】
なお、この実施の形態の形態、すなわち、袋部40の幅方向寸法は袋部40が取付けられる背当て部12の幅方向寸法よりも狭い例においては、図3における袋部40の外周部全体が背当て部12に縫いつけられていてもよい。
【0032】
図4は図3に示した展開状態の幼児保持布11の背面を示す背面図である。図4を参照して、幼児保持布11の要部には、図中点線で示すように、強化帯が設けられている。具体的には、一方の肩ベルト20用の縫いつけ部21aから腰ベルト用の縫いつけ部31bへ第1強化帯45が設けられ、他方の肩ベルト用の縫いつけ部21bから腰ベルト用の縫いつけ部31aへ第2強化帯46が設けられている。また、背当て部12の上端部には第3強化帯47が設けられ、前当て部14の端部にはフック部材27aおよび27bを接続するように、第4強化帯48が設けられている。また、背当て部12と股当て部13との境界部には第5強化帯49が設けられている。図4に示すように、幼児保持布11の裏側は全てメッシュ状の布で構成されている。
【0033】
図5は図3のV−V線で示す部分の断面図である。図5を参照して、背当て部12の上に反転した袋部40(表布38と裏布39とからなる)がほぼ第3強化帯47および第5強化帯49に沿って、所定の部分で固定されている。反転した袋部40の内部には、反転前のポケット43が存在し、手持ちひも41も袋部40内に収納される。ポケット43がファスナー42で開閉可能な表布38で覆われているため、反転前にポケット43内に保持された小物類を落とすことなく保持できる。
【0034】
また、図1(B)に示した、収納状態のポケット43がそのままで、幼児保持布11として使用するために展開したときも使用可能となる。
【0035】
なお、表布38を構成する反転された外面は表側シートの内面17で構成され、内面(ポケット43のある側)は表側シートの外面16で構成される。
【0036】
反転した袋部40のこの状態の図からわかるように、反転した袋部40を第3強化帯47および第5強化帯49に取付ける位置を適切に選択しているため、背当て部12と反転された袋部40の裏布39との間には空間44が形成される。裏布39のポケット43側は裏側シートの外面18で構成され、背当て部12側は裏側シートの内面19でそれぞれ構成される。
【0037】
なお、この反転した袋部40の背当て部への取り付けは、第3強化帯47のみで行ってもよい。そうすれば、反転した袋部40は上端部のみで背当て部12に固定されるため、袋部は任意の形態になることができ、袋部40に収納される物の自由度が高くなる。
【0038】
なお、この実施の形態、すなわち、背当て部12に空間44を介して袋部40を設ける場合は、図3における幼児保持布11は、肩掛けベルト20に限らず、図13や図14に示した、従来のたすき掛けのベルトや、装着者が幼児保持布11とは別の保持具を有し、接続具を使用して幼児保持布11を保持具に接続する場合にも適用可能である。
【0039】
図6は装着者が幼児保持布11を肩掛けベルト20を右肩に掛けて保持した状態を示す図である。図6に示すように、使用時には、まず、反転した袋部40のファスナーが設けられた面が外を向くようにして、腰ベルト30を腰にセットし、長さを調節した後、ワンタッチバックル33とカバー付きバックルとを係合させて幼児保持布11を腰で保持する。ついで、長さを調節した肩掛けベルトを一方の肩に通し、前当て部14の端部に設けられたフック部材27a、27bをそれぞれ背当て部12に設けられたリング部材25a、25bに係合させる。この状態で幼児を、幼児保持布11の背当て部12と前当て部14で構成された空間に保持する。
【0040】
このように、幼児保持布11は幼児を保持できるだけでなく、背当て部12の背面のファスナー42の内側にはポケット43が設けられているため(図5参照)、幼児とともに外出するとき等に必要な小物を身近に保持できる。
【0041】
図6では装着者が、幼児保持布11を右肩に装着して、幼児と対面する方向で幼児を保持したとき、背当て部12と反転した袋部40との間に形成された空間44(図5参照)に手を入れることができる。したがって、収納用の袋を有しながら、幼児をじかに支えるような感覚をもてる。
【0042】
図7は図6を背面方向から見た図である。幼児保持布11は肩掛けベルト20と腰ベルト30とでしっかりと装着者に保持されている。
【0043】
図8は肩掛けベルト20を左肩に掛けて幼児幼児保持具10に保持した状態を示す図である。装着方法は図6で述べたのと同様である。
【0044】
このように、この実施の形態にかかる幼児保持布11は、利き腕等に応じて、左右任意の肩の一方に掛けるだけで幼児を保持できるため、従来のようなたすき掛けをすることなく、簡単な構成で幼児を確実に保持可能である。
【0045】
図9は前当て部14の端部に設けられたフック部材27a、27bと背当て部12に設けられたリング部材25a、25bとの係合状態の詳細を示す図である。保持する幼児の寸法に合わせてフック部材27a、27bを取付けているフックベルト28の寸法を調整してリング部材25a、25bに係合させる。この係合部と股当て部13とによって、簡単な構成で、幼児を保持するときの股繰り部が
形成できる。
【0046】
図3に示すように、一対のリング部材25a、25bは、袋部40とほぼ同様の幅方向寸法で、背当て部12の左右上方に設けられており、一対のリング部材25a、25bの幅方向寸法は背当て部12の幅方向寸法より狭い。そのため、リング部材25a、25bとフック部材27a、27bをそれぞれ係合して幼児を保持すると、背当て部12の一対のリング部材25a、25bの幅より広い部分が幼児の側部を大きく覆うようになる。その結果、より安全に幼児を保持できる。
【0047】
次にこの発明にかかる幼児保持具10の他の使用例について説明する。図10は、他の使用例を示す図である。図10(A)は装着者の前面に幼児保持具10を保持した状態を示す図であり、図10(B)は装着者の背面側を示す図である。
【0048】
図10を参照して、この使用形態においては、幼児保持具10をウエストポーチとして使用する(図10(A))。すなわち、この使用形態においては、腰ベルト30だけでなく、肩掛けベルト20もその長さを調節機構23で寸法を調節して腰に保持する(図10(B))。
【0049】
このように、収納可能な幼児保持具10を幼児とともに持ち運ぶとき、ウエストポーチとして搬送ができるため、別途に搬送用の用具を要しない。
【0050】
このとき、肩掛けベルト20が主として幼児保持具10をウエストポーチとして装着者の腰に保持するために使用されるため、腰ベルト30は使用しなくてもよい。この場合は、腰ベルト30を取り外し可能に構成してもよい。腰ベルト30を取り外すと、前当て部14等が下にぶら下がる。そこで、これを防ぐため、リング部材25a、25bとフック部材27a、27bをそれぞれ係合した状態で保持したり、前当て部14等を背当て部12の背面に収納部を設けて収納してもよい。
【0051】
また、腰ベルト30は、取り外すことなく、袋部40と背当て部12との間の空間44内を通して保持したり、空間44内に腰ベルト30の収納部を設けてもよい。
【0052】
図11は図6に示す状態において、空間44にカーディガンのような衣服35を通して保持した状態を示す図である。このように、この実施の形態にかかる幼児保持布11は、空間44をファスナー付きポケット以外の他の収納手段として利用可能である。
【0053】
図12は図11に対して、幼児を前向きに保持した状態を示す図である。このように、この実施の形態にかかる幼児保持布11は、図4に示すように股当て部の幅寸法(腰ベルトの長さ方向の寸法)を比較的狭くし、第4強化帯と第5強化帯との間の幅寸法をほぼ等しくし、また、強化帯から股当て部13の端部までのをソフトクッション素材で形成したため、幼児は前向きでも後ろ向きでも保持が可能である。
【0054】
図面を参照してこの発明の一実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態に限定されるものではない。本発明と同一の範囲内において、または均等の範囲内において、図示した実施形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】幼児保持具の収納状態を示す図である。
【図2】幼児保持具の収納状態において、袋のファスナーを開いた状態を示す図である。
【図3】幼児保持具を袋から取り出し、展開した状態の正面図である。
【図4】幼児保持具を袋から取り出し、展開した状態の背面図である。
【図5】図3のV−V断面を示す図である。
【図6】幼児保持具の使用状態を示す図である。
【図7】幼児保持具の使用状態を示す図である。
【図8】幼児保持具の使用状態を示す図である。
【図9】リング部材とフック部材との係合状態を示す図である。
【図10】幼児保持具の他の使用状態を示す図である。
【図11】幼児保持具の使用状態を示す図である。
【図12】幼児保持具の使用状態を示す図である。
【図13】従来の幼児保持具を示す図である。
【図14】従来の幼児保持具を示す図である。
【符号の説明】
10 幼児保持具、11 幼児保持布、12 背当て部、13 股当て部、14 前当て部、15 本体部、16 表側シートの外面、17 表側シートの内面、18 裏側シートの外面、19 裏側シートの内面、20 肩掛けベルト、25 リング部材、27 フック部材、30 腰ベルト、40 袋部、42 ファスナー、43 ポケット、44 空間。
【発明の属する技術分野】
この発明は収納可能な幼児保持具に関し、特に、収納時の持ち運びが容易な収納可能な幼児保持具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の携帯可能な幼児用保持具が、たとえば下記の特許文献1および特許文献2に開示されている。図13は特許文献1に開示された従来の携帯可能な幼児用保持具の収納状態を示す図(A)と、展開した状態を示す図である(B)。
【0003】
図13(A)を参照して、従来の携帯可能な幼児用保持具100は、幼児用保持具を収納する袋部分102と、袋部分102の開口を閉じるチャック102aと、携帯するときに幼児用保持具を持つためのつりひも104とを含む。チャック102aを開いて、袋部分102を反転し、中から幼児保持部を取り出して展開すると、図13(B)のようになり、幼児の背中を支持する背中部101と、一方帯部101aと、他方帯部101bと、一方金具103aと、他方金具103bとが現れる。
【0004】
一方帯部101aと一方金具103aとが係合し、他方帯部101bと他方金具103bとを係合させて、肩でたすきがけし、背中に幼児を保持する。
【0005】
図14は特許文献2に開示された収納可能な幼児用背負帯110を示す図である。図14を参照して、収納可能な幼児用背負帯110は、背当て部111の外面にそのほぼ全面に設けられた袋部116と、背当て部111の上端部の両側に延びる帯ひも112と、背当て部111の下部に設けられた脚部113a、113b,113cと、脚部113a,113b,113cを連結して延びる下側帯114とを含む。袋部116の中央部にはファスナー117が設けられ、下側帯114の両端には、上側帯112と係合するための掛け具115が設けられている。
【0006】
収納可能な幼児用背負帯110を収納するときには、ファスナー117を開いて袋部116を反転し、その中に上記の各要素を収納する。
【0007】
【特許文献1】
実開昭54−4132号公報(図1およびそれに関係する説明)
【0008】
【特許文献2】
実開昭52−144830号公報(図1およびそれに関係する説明)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の、収納可能な幼児保持具100や幼児用背負帯110は上記のように構成されていた。幼児を背中におんぶしたときに幼児の臀部を袋部分102または116で受けるが、そのときに幼児の状態を手を後に回して確認しようとしても、袋部分102または116があるために、袋部分102または116に物が入っていると、幼児にじかに触れることができないという問題があった。
【0010】
収納可能な幼児保持具100においては、幼児を保持する時の保持部の幅をできるだけ広くするために、収納用の袋部102の幅は背中部分101とほぼ同じ寸法であった。また、幼児用背負帯110においても、同様の理由で収納用の袋部の幅寸法は背当て部とほぼ同じ寸法であった。
【0011】
このような幅寸法であれば、反転した収納時の幅寸法も元の背当て部の寸法とほぼ等しくなり、収納時にコンパクトになりにくいという問題があった。
【0012】
また、収納可能な幼児保持具100等においては、収納はされるものの、収納された幼児保持具を運搬するには別途袋等が必要になり、幼児とともに外出するとき等に別の部材が必要になるという問題があった。
【0013】
さらに、従来の幼児用保持具においては、図14に示すように、幼児をより安全に保持するためには、脚部113a、113b,113cを形成する必要があり、構成が複雑になるという問題点があった。
【0014】
この発明は上記のような問題点に着目してなされたもので、別途袋等を要することなく、幼児保持具を運搬できる収納可能な幼児保持具を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる、収納可能な幼児保持具は、使用時に幼児の少なくとも尻部と股部を保持する幼児保持布と、幼児保持布に設けられた袋部と、幼児保持布の上方端部に設けられ、幼児保持布を装着者の肩に掛けるための肩掛けベルトとを備え、肩掛けベルトは装着者の腰に落として装着可能であり、それによって、袋部を装着者の腰に保持する。
【0016】
肩掛けベルトを装着者の腰に落として装着が可能なため、幼児保持具をウエストポーチとして装着者の腰に保持できる。その結果、別途袋等を要することなく、幼児保持具を運搬できる、収納可能な幼児保持具を提供できる。
【0017】
好ましくは、袋部は隙間を介して幼児保持布に保持される。
【0018】
さらに好ましくは、幼児保持布の下方端部に設けられた腰ベルトをさらに含み、
腰ベルトは取り外し可能である。
【0019】
さらに好ましくは、腰ベルトは隙間に設けられたベルト収納部に収納される。
【0020】
さらに好ましくは、幼児保持布は幼児の背部または腹部を保持する背当て部と、背当て部に続く股当て部と、股当て部に続く前当て部とを含み、前当て部の左右両端部に設けられた一対の第1係合部材と、背当て部に設けられた一対の第2係合部材とを含み、一対の第1および第2係合部材のそれぞれ同じ側が相互に係合した状態で、肩掛けベルトは装着者の腰に落として装着される。
【0021】
前当て部の左右両端部に設けられた一対の第1係合部材と、背当て部に設けられた一対の第2係合部材とが相互に係合した状態で、肩掛けベルトは装着者の腰に落として装着されるため、幼児保持布の下部が垂れ下がること無く保持できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1はこの発明の一実施の形態に係る携帯可能な幼児保持具10の収納状態を示す図である。幼児保持具10は収納状態ではポーチの形状をしている。図1(A)は幼児保持具10の正面図であり、図1(B)は背面図である。
【0024】
図1を参照して、携帯可能な幼児保持具10は、袋部40と、袋部40の上部に設けられ、幼児保持具10を手で保持または乳母車等の突起部に引っかけるための手持ちひも41と、手持ちひも41の直下に上下方向に設けられ、内部に収納された幼児保持布(ここで布とは平面形状のものを意図するもので、材質等を問わない)11を取り出すためのファスナー42と、ファスナー42の設けられた面の背面に設けられ、横方向に開口する小物を収納するポケット43とを含む。ポケット43はメッシュ状の布で構成されている。
【0025】
ここで袋部40のファスナー42が設けられている面を表側シートの外面16とよび、ポケット43が設けられている面を裏側シートの外面18という。なお、後の説明では、表側シートの外面16の裏面を表側シートの内面とよび、裏側シートの外面18の裏面を裏側シートの内面とよぶ。
【0026】
図2は図1(A)に示したファスナー42を開いた状態を示す図である。ファスナー42を開くと、その内部に収納された幼児保持布11が見える。
【0027】
図3は幼児保持布11を袋部40から取り出して展開した状態のファスナー42が設けられた表側を示す正面図である。図3を参照して、展開された幼児保持布11は、背当て部12と股当て部13と前当て部14とからなる本体部15と、本体部15の左右上端部にそれぞれ縫いつけ部21a、21bを介して接続された肩掛けベルト20と、本体部15の下部の左右両端部に設けられたフック部材27a、27bと、前当て部14に2箇所の縫いつけ部31a、31bで固定され、水平方向に延びる腰ベルト30とを含む。背当て部12の中央部には反転した袋部40が位置し、その近傍にはリング部材縫いつけ部26a,26b(図4参照)を介して一対のリング部材25a、25bが設けられている。袋部40は反転されると、表側シートの内面17で構成され、図に示すようにメッシュ状になっている。また、ファスナー42は、反転した状態においても反転前と同様に使用可能である。
【0028】
肩掛けベルト20の中央部には肩パッド22が設けられ、肩パッド22にはベルトの長さを調整するための一対の調節機構23a,23bが設けられている。
【0029】
腰ベルト30の一方端部にはワンタッチバックル33が設けられ、他方端部にはワンタッチバックル33と係合するカバー付きバックル34が設けられる。
【0030】
袋部40の幅方向寸法(図3でメッシュで表示されている部分のファスナー42に直交する方向の寸法)は袋部40が取付けられる背当て部12の幅方向寸法よりも狭い。収納時には、ファスナー42を開けて、この袋部40を反転し、その内部に幼児保持布11の使用時に必要な上記要素を全て収納する。収納時には、上記したように、反転したときの袋部40は図1に示した収納時の袋部40に対応し、袋部40の幅方向寸法は表側シートの外面16の幅方向寸法に対応するため、背当て部12の寸法の割に収納時の袋部40の寸法はコンパクトになる。
【0031】
なお、この実施の形態の形態、すなわち、袋部40の幅方向寸法は袋部40が取付けられる背当て部12の幅方向寸法よりも狭い例においては、図3における袋部40の外周部全体が背当て部12に縫いつけられていてもよい。
【0032】
図4は図3に示した展開状態の幼児保持布11の背面を示す背面図である。図4を参照して、幼児保持布11の要部には、図中点線で示すように、強化帯が設けられている。具体的には、一方の肩ベルト20用の縫いつけ部21aから腰ベルト用の縫いつけ部31bへ第1強化帯45が設けられ、他方の肩ベルト用の縫いつけ部21bから腰ベルト用の縫いつけ部31aへ第2強化帯46が設けられている。また、背当て部12の上端部には第3強化帯47が設けられ、前当て部14の端部にはフック部材27aおよび27bを接続するように、第4強化帯48が設けられている。また、背当て部12と股当て部13との境界部には第5強化帯49が設けられている。図4に示すように、幼児保持布11の裏側は全てメッシュ状の布で構成されている。
【0033】
図5は図3のV−V線で示す部分の断面図である。図5を参照して、背当て部12の上に反転した袋部40(表布38と裏布39とからなる)がほぼ第3強化帯47および第5強化帯49に沿って、所定の部分で固定されている。反転した袋部40の内部には、反転前のポケット43が存在し、手持ちひも41も袋部40内に収納される。ポケット43がファスナー42で開閉可能な表布38で覆われているため、反転前にポケット43内に保持された小物類を落とすことなく保持できる。
【0034】
また、図1(B)に示した、収納状態のポケット43がそのままで、幼児保持布11として使用するために展開したときも使用可能となる。
【0035】
なお、表布38を構成する反転された外面は表側シートの内面17で構成され、内面(ポケット43のある側)は表側シートの外面16で構成される。
【0036】
反転した袋部40のこの状態の図からわかるように、反転した袋部40を第3強化帯47および第5強化帯49に取付ける位置を適切に選択しているため、背当て部12と反転された袋部40の裏布39との間には空間44が形成される。裏布39のポケット43側は裏側シートの外面18で構成され、背当て部12側は裏側シートの内面19でそれぞれ構成される。
【0037】
なお、この反転した袋部40の背当て部への取り付けは、第3強化帯47のみで行ってもよい。そうすれば、反転した袋部40は上端部のみで背当て部12に固定されるため、袋部は任意の形態になることができ、袋部40に収納される物の自由度が高くなる。
【0038】
なお、この実施の形態、すなわち、背当て部12に空間44を介して袋部40を設ける場合は、図3における幼児保持布11は、肩掛けベルト20に限らず、図13や図14に示した、従来のたすき掛けのベルトや、装着者が幼児保持布11とは別の保持具を有し、接続具を使用して幼児保持布11を保持具に接続する場合にも適用可能である。
【0039】
図6は装着者が幼児保持布11を肩掛けベルト20を右肩に掛けて保持した状態を示す図である。図6に示すように、使用時には、まず、反転した袋部40のファスナーが設けられた面が外を向くようにして、腰ベルト30を腰にセットし、長さを調節した後、ワンタッチバックル33とカバー付きバックルとを係合させて幼児保持布11を腰で保持する。ついで、長さを調節した肩掛けベルトを一方の肩に通し、前当て部14の端部に設けられたフック部材27a、27bをそれぞれ背当て部12に設けられたリング部材25a、25bに係合させる。この状態で幼児を、幼児保持布11の背当て部12と前当て部14で構成された空間に保持する。
【0040】
このように、幼児保持布11は幼児を保持できるだけでなく、背当て部12の背面のファスナー42の内側にはポケット43が設けられているため(図5参照)、幼児とともに外出するとき等に必要な小物を身近に保持できる。
【0041】
図6では装着者が、幼児保持布11を右肩に装着して、幼児と対面する方向で幼児を保持したとき、背当て部12と反転した袋部40との間に形成された空間44(図5参照)に手を入れることができる。したがって、収納用の袋を有しながら、幼児をじかに支えるような感覚をもてる。
【0042】
図7は図6を背面方向から見た図である。幼児保持布11は肩掛けベルト20と腰ベルト30とでしっかりと装着者に保持されている。
【0043】
図8は肩掛けベルト20を左肩に掛けて幼児幼児保持具10に保持した状態を示す図である。装着方法は図6で述べたのと同様である。
【0044】
このように、この実施の形態にかかる幼児保持布11は、利き腕等に応じて、左右任意の肩の一方に掛けるだけで幼児を保持できるため、従来のようなたすき掛けをすることなく、簡単な構成で幼児を確実に保持可能である。
【0045】
図9は前当て部14の端部に設けられたフック部材27a、27bと背当て部12に設けられたリング部材25a、25bとの係合状態の詳細を示す図である。保持する幼児の寸法に合わせてフック部材27a、27bを取付けているフックベルト28の寸法を調整してリング部材25a、25bに係合させる。この係合部と股当て部13とによって、簡単な構成で、幼児を保持するときの股繰り部が
形成できる。
【0046】
図3に示すように、一対のリング部材25a、25bは、袋部40とほぼ同様の幅方向寸法で、背当て部12の左右上方に設けられており、一対のリング部材25a、25bの幅方向寸法は背当て部12の幅方向寸法より狭い。そのため、リング部材25a、25bとフック部材27a、27bをそれぞれ係合して幼児を保持すると、背当て部12の一対のリング部材25a、25bの幅より広い部分が幼児の側部を大きく覆うようになる。その結果、より安全に幼児を保持できる。
【0047】
次にこの発明にかかる幼児保持具10の他の使用例について説明する。図10は、他の使用例を示す図である。図10(A)は装着者の前面に幼児保持具10を保持した状態を示す図であり、図10(B)は装着者の背面側を示す図である。
【0048】
図10を参照して、この使用形態においては、幼児保持具10をウエストポーチとして使用する(図10(A))。すなわち、この使用形態においては、腰ベルト30だけでなく、肩掛けベルト20もその長さを調節機構23で寸法を調節して腰に保持する(図10(B))。
【0049】
このように、収納可能な幼児保持具10を幼児とともに持ち運ぶとき、ウエストポーチとして搬送ができるため、別途に搬送用の用具を要しない。
【0050】
このとき、肩掛けベルト20が主として幼児保持具10をウエストポーチとして装着者の腰に保持するために使用されるため、腰ベルト30は使用しなくてもよい。この場合は、腰ベルト30を取り外し可能に構成してもよい。腰ベルト30を取り外すと、前当て部14等が下にぶら下がる。そこで、これを防ぐため、リング部材25a、25bとフック部材27a、27bをそれぞれ係合した状態で保持したり、前当て部14等を背当て部12の背面に収納部を設けて収納してもよい。
【0051】
また、腰ベルト30は、取り外すことなく、袋部40と背当て部12との間の空間44内を通して保持したり、空間44内に腰ベルト30の収納部を設けてもよい。
【0052】
図11は図6に示す状態において、空間44にカーディガンのような衣服35を通して保持した状態を示す図である。このように、この実施の形態にかかる幼児保持布11は、空間44をファスナー付きポケット以外の他の収納手段として利用可能である。
【0053】
図12は図11に対して、幼児を前向きに保持した状態を示す図である。このように、この実施の形態にかかる幼児保持布11は、図4に示すように股当て部の幅寸法(腰ベルトの長さ方向の寸法)を比較的狭くし、第4強化帯と第5強化帯との間の幅寸法をほぼ等しくし、また、強化帯から股当て部13の端部までのをソフトクッション素材で形成したため、幼児は前向きでも後ろ向きでも保持が可能である。
【0054】
図面を参照してこの発明の一実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態に限定されるものではない。本発明と同一の範囲内において、または均等の範囲内において、図示した実施形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】幼児保持具の収納状態を示す図である。
【図2】幼児保持具の収納状態において、袋のファスナーを開いた状態を示す図である。
【図3】幼児保持具を袋から取り出し、展開した状態の正面図である。
【図4】幼児保持具を袋から取り出し、展開した状態の背面図である。
【図5】図3のV−V断面を示す図である。
【図6】幼児保持具の使用状態を示す図である。
【図7】幼児保持具の使用状態を示す図である。
【図8】幼児保持具の使用状態を示す図である。
【図9】リング部材とフック部材との係合状態を示す図である。
【図10】幼児保持具の他の使用状態を示す図である。
【図11】幼児保持具の使用状態を示す図である。
【図12】幼児保持具の使用状態を示す図である。
【図13】従来の幼児保持具を示す図である。
【図14】従来の幼児保持具を示す図である。
【符号の説明】
10 幼児保持具、11 幼児保持布、12 背当て部、13 股当て部、14 前当て部、15 本体部、16 表側シートの外面、17 表側シートの内面、18 裏側シートの外面、19 裏側シートの内面、20 肩掛けベルト、25 リング部材、27 フック部材、30 腰ベルト、40 袋部、42 ファスナー、43 ポケット、44 空間。
Claims (5)
- 収納可能な幼児保持具であって、
使用時に幼児の少なくとも尻部と股部を保持する幼児保持布と、
前記幼児保持布に設けられた袋部と、
前記幼児保持布の上方端部に設けられ、前記幼児保持布を装着者の肩に掛けるための肩掛けベルトとを備え、
前記肩掛けベルトは装着者の腰に落として装着可能であり、それによって、前記袋部を前記装着者の腰に保持する、収納可能な幼児保持具。 - 前記袋部は隙間を介して前記幼児保持布に保持される請求項1に記載の収納可能な幼児保持具。
- 前記幼児保持布の下方端部に設けられた腰ベルトをさらに含み、
前記腰ベルトは取り外し可能である、請求項1または2に記載の収納可能な幼児保持具。 - 前記腰ベルトは前記隙間に設けられたベルト収納部に収納される、請求項2に記載の収納可能な幼児保持具。
- 前記幼児保持布は幼児の背部または腹部を保持する背当て部と、前記背当て部に続く股当て部と、前記股当て部に続く前当て部とを含み、
前記前当て部の左右両端部に設けられた一対の第1係合部材と、
前記背当て部に設けられた一対の第2係合部材とを含み、
前記一対の第1および第2係合部材のそれぞれ同じ側が相互に係合した状態で、前記肩掛けベルトは装着者の腰に落として装着される、請求項1から4のいずれかに記載の収納可能な幼児保持具。
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2003
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