JP2004357607A - エンドトキシン認識に関わる新規な分子及びそれをコードするポリヌクレオチド - Google Patents
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Abstract
【課題】ウシでは、サルモネラ菌、大腸菌、緑膿菌などの感染がしばしば見られ、飼育農家に大きな被害を与えている。ウシはLPSに対して高い感受性を持っており、このことが経済的損失を大きくする原因の一つになっていると推測される。そこで、ウシのLPS応答に関するを分子機構を解明し、それを防ぐ薬剤のスクリーニング法を提供すること。
【解決手段】特定のアミノ酸配列から成るポリペプチドをコードするDNA、並びに、該分子を発現する形質転換体におけるレポーター遺伝子の発現量を測定することを含むTLR4及びMD−2から成る複合体に対するリガンドのシグナル伝達能のアッセイ方法、及びそれを利用した薬剤のスクリーニング法。
【選択図】 図3
【解決手段】特定のアミノ酸配列から成るポリペプチドをコードするDNA、並びに、該分子を発現する形質転換体におけるレポーター遺伝子の発現量を測定することを含むTLR4及びMD−2から成る複合体に対するリガンドのシグナル伝達能のアッセイ方法、及びそれを利用した薬剤のスクリーニング法。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンドトキシン認識に関わる新規な分子及びそれをコードするDNA、並びに、該分子を発現する形質転換体におけるレポーター遺伝子の発現量を測定することを含むTLR4及びMD−2から成る複合体に対するリガンドのシグナル伝達能のアッセイ方法、及びそれを利用した薬剤のスクリーニング法に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体は、細菌の侵襲に対し、その障害を防ぐために種々の防御反応を示す。グラム陰性細菌の感染では、発熱、播種性血管内凝固(DIC)、血小板数および白血球数の変動、ショックなどの症状が見られる。これらの症状は、細菌の細胞壁成分であるエンドトキシン又はリポ多糖体(LPS)の作用により引き起こされることが明らかにされている。LPSは、これらの障害作用の他に致死毒性を持っており、生体に対して強い有害作用を及ぼす一方で、B細胞の分裂促進、アジュバント作用、抗腫瘍作用など、生体に有利に働くと考えられる作用も持っており、その生物活性は多種多様である。
【0003】
LPSの作用発現の第一段階はLPSとその受容体との結合であり、第二段階は結合後に引き起こされる細胞内情報伝達機構の作動であると考えてよいであろう。このことから、現在LPSの結合と、それに引き続きおこる細胞内情報伝達系の解析が精力的に進められているが、その全容を明らかにするには至っていない。
【0004】
最近、生体が微生物を認識する際に、TLR(Toll−like receptor)ファミリーに属する分子がレセプターとして機能していることが明らかにされた(Medzhitov R, et al: Nature (1997) 388: 394−397)。ヒトやマウスでは既に、TLR1〜10で表される10種類のファミリーの存在が確認され、これらの分子は、それぞれ異なる菌体成分を認識する(竹田潔、審良静男書、「Toll−like receptor の特異性とシグナル伝達」、細胞工学Vo.21 No.11, 1308−1311 (2002))。
【0005】
例えば、マウスの1系統であるC3H/HeJマウスはLPS低応答性を示すマウスであることが以前から知られていた。同様なLPS 低応答性を示すマウスとしてC57BL/10ScCrも報告されていたが、近年これらのマウスの原因遺伝子がTLR(Toll−like receptor)4であることが明らかとなり、TLR4はLPSの認識に膜レセプターとして関与していることが報告されている(Hoshino K, et al., J Immunol (1999) 162: 3749−3752)。又、このTLR4はMD−2と会合して複合体を形成し、この複合体がLPSの認識そのものに関与することが示されている(若林靖貴、三宅健介書、「生前免疫の分子基盤」、細胞工学Vo.21 No.11, 1304−1307 (2002))。
【0006】
以来、細菌の侵入を認識するレセプターとしてのTLRファミリーが注目されるようになった。細菌性疾患が多発するウシにおいても TLR4とその細胞外修飾因子であるMD−2が存在し、ヒトおよびマウスのTLR4、MD−2と高い相同性を示した。ウシのTLR4の構造解析の結果、細胞外領域にはショウジョウバエにおけるTollや哺乳類におけるTLRファミリーに共通にみられるロイシンリッチリピートモチーフが存在し、細胞内領域にはIL−1レセプターとの相同領域が存在していた。ロイシンリッチリピートモチーフはタンパク質間の相互作用に関わることがしられているモチーフであり、哺乳類ではTLRのほかにLPSと直接結合するCD14など様々な種類の分子がこのモチーフを有する。このことからウシのTLR4はロイシンリッチリピートモチーフにより細胞外で標的分子と会合し、IL−1レセプターと類似した機構で細胞内にシグナルを伝えていると考えられる。
【0007】
【非特許文献1】
竹田潔、審良静男書、「Toll−like receptor の特異性とシグナル伝達」、細胞工学Vo.21 No.11, 1308−1311 (2002)
【非特許文献2】
Hoshino K, et al., J Immunol (1999) 162: 3749−3752
【非特許文献3】
(若林靖貴、三宅健介書、「生前免疫の分子基盤」、細胞工学Vo.21 No.11, 1304−1307 (2002)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
一方、ウシでは、サルモネラ菌、大腸菌、緑膿菌などの感染がしばしば見られ、飼育農家に大きな被害を与えている。ウシはLPSに対して高い感受性を持っており、このことが経済的損失を大きくする原因の一つになっていると推測される。しかしながらウシのLPS応答に関する分子基盤はいまだ明らかにされていないことが多く、その分子機構の解明が待たれているのが現状である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、ウシにおけるLPSの受容機構を解明する目的で、LPSの結合に密接に関連すると考えられているTLR4およびその修飾因子であるMD−2に着目し、その構造と機能および特性について、遺伝子レベルで検討した。
【0010】
その結果、我々は、すでにヒトやマウスでLPS受容体として確立されているMD‐2とTLR4について、ウシからcDNAを分離して塩基配列を決定しアミノ酸配列を確定した結果、Guionaud(ベルン大学)(Werling D, Jungi TW. TOLL−like
receptors linking innate and adaptive immune response. Vet ImmunolImmunopathol.2003 Jan. 10;91(1):1−12)が報告したものと異なる配列の第二の新型ウシMD−2があることを明らかにした。更に、このcDNAをレポータ遺伝子とともに人為的に導入した動物細胞がLPSによる刺激を顕著に増強させることを見出し、これら分子が実際にLPS受容体として機能することを確認した。これにより、新しい検査法を作製した。
【0011】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は以下の各態様に係るものである。
1.以下の(a)又は(b)のポリペプチドをコードするDNA:
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列から成るポリペプチド、
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチド。
2.以下の(a)又は(b)のDNAを含むDNA:
(a)配列番号1に示される塩基配列から成るDNA、
(b)(a)のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
3.以下の(a)又は(b)のDNAを含むDNA:
(a)配列番号1に示される塩基配列から成るDNA、
(b)配列番号1に示される塩基配列に対する相同性が85%以上であり、且つ、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
4.上記1〜3のいずれか一項に記載のDNAを含む遺伝子。
5.以下の(a)又は(b)のポリペプチドを含む蛋白質:
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列から成るポリペプチド、
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチド。
6.以下の(a)又は(b)のポリペプチドを含む蛋白質:
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列から成るポリペプチド、
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列に対する相同性が75%以上であるアミノ酸配列からなり、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチド。
7.組換え蛋白質であることを特徴とする、上記5又は6記載の蛋白質。
8.上記1ないし3のいずれか一項に記載の少なくとも一種のDNA又は上記4記載の遺伝子を含有する組換え発現ベクター。
9.組換えプラスミドベクターである上記8に記載の組換え発現ベクター。
10.TLR4遺伝子を有する含有する組換え発現ベクターによって形質転換された形質転換体。
11.更に、上記8又は9に記載の発現ベクターによって形質転換された、上記10記載の形質転換体。
12.更に、転写因子活性測定ベクターによって形質転換された、上記10又は11記載の形質転換体。
13.転写因子がNF−κB/Rel ファミリーである、上記12記載の形質転換体。14.転写因子活性測定ベクターがκB 配列の制御下にレポーター遺伝子を含むことを特徴とする、上記13記載の形質転換体。
15.レポーター遺伝子としてホタルルシフェラーゼ遺伝子を使用する、上記14記載の形質転換体。
16.形質転換体が哺乳類由来細胞である上記10〜15のいずれか一項に記載の形質転換体。
17.哺乳類細胞がCD14を発現している細胞である、上記16に記載の形質転換体。
18.哺乳類由来細胞がHEK293細胞である上記17に記載の形質転換体。
19.上記12〜18のいずれか一項に記載した形質転換体におけるレポーター遺伝子の発現量をアッセイすることを含む、TLR4、又は、TLR4及び請求項5〜7のいずれか一項に記載の蛋白質から成る複合体に対するリガンドによるシグナル伝達能の測定方法。
20.シグナルが、TLR4、又は、LTR4及び請求項5〜7のいずれか一項に記載の蛋白質から成る複合体を介して細胞内に伝達されることを特徴とする、上記19記載の測定方法。
21.リガンドがエンドトキシンである、上記19又は20記載の測定方法。
22.レポーター遺伝子としてホタルルシフェラーゼ遺伝子を使用する、上記19〜21のいずれか一項に記載の測定方法。
23.上記19〜22のいずれか一項に記載の測定に基づく、TLR4、又は、TLR4及び請求項5〜7のいずれか一項に記載の蛋白質から成る複合体に対する作動薬(アゴニスト)又は拮抗薬(アンタゴニスト)のスクリーニング法。
24.(a) 被験物質の存在下で、請求項5〜7のいずれか一項に記載の蛋白質及びTLR4を細胞表面に発現する細胞をTLR4、又は、TLR4及び請求項5〜7のいずれか一項に記載の蛋白質から成る複合体に対するリガンドで刺激する工程、
(b)所定時間後に細胞を溶解する工程、及び
(c)レポーター遺伝子の発現量をアッセイする工程、及び
(d) レポーター遺伝子の発現量を減少させる効果を示した被験物質を選択する工程、を含む上記23に記載の拮抗薬(アンタゴニスト)のスクリーニング法。
25.リガンドがLPSである、上記24に記載のスクリーニング法。
26.(a)請求項5〜7のいずれか一項に記載の蛋白質及びTLR4を細胞表面に発現する細胞を被験物質で刺激する工程、
(b)所定時間後に細胞を溶解する工程、及び
(c)レポーター遺伝子の発現量をアッセイする工程、及び
(d) レポーター遺伝子の発現が認められた被験物質を選択する工程、を含む上記23に記載の作動薬(アゴニスト)のスクリーニング法。
27.上記5〜7のいずれか一項に記載の蛋白質又はその部分ポリペプチドに対する抗体。
【0012】
【発明の実施の形態】
【0013】
本発明遺伝子又はDNA遺伝子は、ウシの細胞におけるエンドトキシン認識に関わる新規なMD−2をコードするものである。これは以下の実施例に示すように、業者に公知の任意の方法によって、例えば、黒毛和種の雄牛等のウシの体組織の一部、例えば、頸静脈由来の末梢血等から採取した血液から全mRNAを調製し、更に、公知のヒトおよびマウスのMD−2のcDNAの塩基配列に基づき作成したプライマーを用いるRT−PCR,及びRACE法等によって調製することが出来る。
【0014】
本発明DNAのクローニングの別の手段としては、本発明ポリペプチドの部分等の適当な塩基配列を有する合成DNAプライマーを作成し、適当なライブラリーを用いてPCR法によって増幅するか、または適当なベクターに組み込んだDNAを本発明ポリペプチドの一部あるいは全領域をコードするDNA断片もしくは合成DNAを用いて標識したものとのハイブリダイゼーションによって選別することができる。
ハイブリダイゼーションの方法は、例えば、上記の Current protocols in molecular biology(edited by Frederick M. Ausubel et al., 1987)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。
本発明DNAとしては、前述した本発明ポリペプチドをコードする塩基配列から成るものであればいかなるものであってもよい。また、上記のウシ由来の適当な体組織又は細胞に由来するcDNAライブラリー等から同定・単離されたcDNA、又は、合成DNAのいずれでもよい。
ライブラリー作成に使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織よりtotalRNA画分またはmRNA画分を調製したものを用いて、直接Reverse Transcription coupled Polymerase Chain Reaction(以下、「RT−PCR法」と略称する)によって増幅することもできる。
【0015】
或いは、本明細書で開示された配列情報に基づいて、当該技術分野における周知手段を用いた化学合成等によっても調製することが可能である。当業者であれば、特定のアミノ酸配列における1若しくは数個のアミノ酸を欠失、置換若しくは付加することも、当該技術分野における周知手段を用いて容易に実施することができる。
【0016】
本明細書において、本発明のポリペプチド(又は蛋白質)の「エンドトキシン認識活性」とは、該ポリペプチドが直接、又はTLR4等の他の蛋白質との会合によって形成される複合体を介して間接的に、エンドトキシンと会合し、結合し、或いは認識するか、又はそれらを制御する活性又は機能を意味する。
【0017】
本発明のDNAは、(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列から成るポリペプチド、又は、(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチド、をコードするDNAである。
このようなDNAの例として、例えば、配列番号1に示される塩基配列に対する相同性が85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%であり、且つ、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチドをコードするDNAを挙げることが出来る。
【0018】
上記の配列番号2で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加したアミノ酸配列から成るポリペプチドをコードするDNAは、例えば、部位特異的変異導入法、遺伝子相同組換え法、プライマー伸長法、及びPCR法等の当業者に周知の方法を適宜組み合わせて、容易に作成することが可能である。
【0019】
更に本発明のDNAは、(a)配列番号1に示される塩基配列から成るDNA、又は、(b)(a)のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチドをコードするDNAである。
ここで、「ストリンジェントな条件」とは、例えば、65℃の1mM EDTA ナトリウム、0.5M リン酸水素ナトリウム(pH7.2)、7%SDS 水溶液中でハイブリダイズさせ、65℃の1mM EDTA ナトリウム、40mM リン酸水素ナトリウム(pH7.2)、1%SDS 水溶液中でメンブレンを洗浄する条件でのサザンブロットハイブリダイゼーションで本発明DNAから成るプローブにハイブリダイズする程度の条件である。
【0020】
本発明の遺伝子又はDNAに、遺伝子組換え操作において当業者に公知である様々な配列、例えば、プロモーター及びエンハンサーなどの調節因子、制限酵素部位、並びに選択マーカー(マーカー酵素等)遺伝子等が適宜結合されたDNA分子も本発明の範囲である。
【0021】
本発明は、(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列から成るポリペプチド、又は、(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチド、を含む蛋白質に係る。従って、このようなポリペプチドの例として、例えば、配列番号2に示されるアミノ酸配列に対する相同性が75%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは、95%以上であるアミノ酸配列からなり、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチドを挙げることが出来る。
本発明のポリペプチドは、当業者に公知の遺伝子組換え技術を用いて、本発明のDNA又は遺伝子を発現させることにより、容易に組換え蛋白質として得ることが出来る。
【0022】
尚、その際に、エンドトキシン認識活性を有するためには、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加される際に、配列番号2で示されるアミノ酸配列から成るポリペプチドを構成するアミノ酸のうち、同族アミノ酸(極性・非極性アミノ酸、疎水性・親水性アミノ酸、陽性・陰性荷電アミノ酸、芳香族アミノ酸など)同士の置換が可能性として考えられる。又、実質的に同質の生物学的活性の維持のためには、本発明の各ポリペプチドに含まれる機能ドメイン内のアミノ酸は保持されることが望ましい。
更に、当該ポリペプチドにおいて、TLR4との会合に必須のアミノ酸(例えば、95番目のリジン)、機能ドメイン、又は、他のMD−2、特にウシのMD−2との共通配列は保存されることが望ましい。
【0023】
更に、本発明の遺伝子、DNA又は上記DNA分子を含有する組換え発現ベクターは、当該技術分野で公知の方法に従って作成することが出来る。例えば、(1)本発明DNA又は本発明DNAを含む遺伝子を含有するDNA断片を切り出し、(2)該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造することができる。
ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322,pBR325,pUC18,pUC118)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバクテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイルス,バキュロウイルスなどの動物ウイルス等を利用することが出来る。
【0024】
本発明で用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応した適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、宿主が大腸菌である場合は、trpプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーターなどが、宿主が枯草菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなど、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどが好ましい。動物細胞を宿主として用いる場合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMVプロモーター、HSV−TKプロモーターなどが挙げられる。
発現ベクターには、以上の他に、所望により当該技術分野で公知の、エンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン等を付加することができる。また、必要に応じて、本発明のDNAにコードされた蛋白質を他の蛋白質(例えば、グルタチオンSトランスフェラーゼ及びプロテインA)との融合蛋白質として発現させることも可能である。このような融合蛋白質は、適当なプロテアーゼを使用して切断し、それぞれの蛋白質に分離することが出来る。
【0025】
宿主細胞としては、例えば、当業者に公知のエシェリヒア属菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞などが用いられる。
これら宿主細胞の形質転換は、当該技術分野で公知の方法に従って行うことが出来る。例えば、以下に記載の文献を参照することが出来る。
Proc. Natl. Acad. Sci. USA,69巻,2110(1972); Gene,17巻,107(1982);Molecular & General Genetics,168巻,111(1979);Methods in Enzymology,194巻,182−187(1991);Proc. Natl. Acad. Sci. USA),75巻,1929(1978);細胞工学別冊8 新 細胞工学実験プロトコール.263−267(1995)(秀潤社発行);及び Virology,52巻,456(1973)。
このようにして得られた、本発明DNA又は本発明DNAを含む遺伝子を含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体は、当該技術分野で公知の方法に従って培養することが出来る。
【0026】
上記培養物から本発明ポリペプチド又は蛋白質を分離精製するには、例えば、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により蛋白質の粗抽出液を得る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白質変性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤が含まれていてもよい。培養液中に蛋白質が分泌される場合には、培養終了後、公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれる蛋白質の精製は、公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。
【0027】
こうして得られた本発明ポリペプチド(蛋白質)は、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には公知の方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体または他の塩に変換することができる。更に、組換え体が産生する蛋白質を、精製前または精製後に、トリプシン及びキモトリプシンのような適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去することもできる。
本発明ポリペプチド(蛋白質)又はその塩の存在は、様々な結合アッセイ及び特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイ等により測定することができる。
【0028】
本発明の抗体は、本発明蛋白質又はその部分ポリペプチドを認識し又はそれらと結合する限り特に制限はなく、公知の手段を用いてポリクローナルまたはモノクローナル抗体として得ることができる。本発明で使用される抗体として、特に哺乳動物由来のモノクローナル抗体が好ましい。哺乳動物由来のモノクローナル抗体は、ハイブリドーマに産生されるもの、および遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した宿主に産生されるもの等を含む。
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマは、基本的には公知技術を使用し、以下のようにして作製できる。すなわち、本発明蛋白質又はその部分ポリペプチドを感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞をスクリーニングすることによって作製できる。
【0029】
本発明は、本発明蛋白質であるMD−2遺伝子及び/又はTLR4遺伝子を含有する組換え発現ベクター、及び、更に転写因子活性測定ベクターによって形質転換された形質転換体に係る。尚、これらの各遺伝子は同じ発現ベクターに含まれていても良いし、夫々異なる発現ベクターに含有されていても良い。
転写因子としては宿主細胞中で発現される任意のものを使用することが出来る。代表的な例として、NF−κB/Rel ファミリー及びIRF3等を挙げることが出来る。
従って、転写因子活性測定ベクターはκB 配列等の転写因子の結合配列の制御下にレポーター遺伝子を含むことができる。
レポーター遺伝子としては、当業者に公知の任意の遺伝子、例えば、ホタルルシフェラーゼ遺伝子を使用することが出来る。
更に、形質転換体を作成する際の宿主細胞に特に制限はないが、例えば、ヒト等の哺乳類細胞由来である細胞、特に、ヒト胎児腎臓由来のHEK293細胞を使用することが出来る。
【0030】
更に、本発明は、上記形質転換体を利用したTLR4、又はTLR4及び本発明蛋白質(MD−2)からなる複合体に対するリガンドによるシグナル伝達能の測定方法に係る。この際、シグナルは、TLR4又は該複合体を介して細胞内に伝達されるものと考えられる。この測定方法は、該形質転換体におけるレポーター遺伝子の発現量をアッセイすることを含むものである。
ここで、該リガンドに特に制限はなく、例えば、グラム陰性菌外膜の主要な蛋白質であるエンドトキシン(LPS)を挙げることができる。
又、本発明は、このような測定に基づく、TLR4又は該複合体に対する作動薬(アゴニスト)又は拮抗薬(アンタゴニスト)のスクリーニング法にも係る。
当業者であれば、このようなスクリーニング方として、適当な工程から成る方法を容易に構成することが出来る。
例えば、(a) 被験物質の存在下で、本発明蛋白質及びTLR4を細胞表面に発現する細胞をTLR4受容体に対するリガンドで刺激する工程、
(b)所定時間後に細胞を溶解する工程、及び
(c)レポーター遺伝子の発現量をアッセイする工程、及び
(d) レポーター遺伝子の発現量を減少させる効果を示した被験物質を選択する工程、を含むTLR4又は該複合体に対する拮抗薬(アンタゴニスト)のスクリーニング法、を挙げることが出来る。
或いは、(a)本発明蛋白質及びTLR4を細胞表面に発現する細胞を被験物質で刺激する工程、
(b)所定時間後に細胞を溶解する工程、及び
(c)レポーター遺伝子の発現量をアッセイする工程、及び
(d) レポーター遺伝子の発現が認められた被験物質を選択する工程、を含むTLR4又は該複合体に対する作動薬(アゴニスト)のスクリーニング法を挙げることが出来る。
【0031】
【実施例】
以下に実施例に即して本発明を詳述するが、これら実施例は本発明の技術的範囲を如何なる意味でも何ら限定するものではない。
【0032】
尚、以下の実施例において使用する略語の意味は以下のとおりである。
略語一覧
LPS:リポ多糖体;
TLR4:Toll−like receptor 4;
MD−2:Myeroid defferentiation factor 2;
dNTP:デオキシリボヌクレオシド3リン酸;
ORF:Open reading flame;
GPDH:Glyceraldehyde−3−Phosphate DeHydrogenase;
PCR:Polymerase Chain Reaction;
RACE:Rapid Amplification of cDNA Ends;
RT−PCR:Reverse Transcriptase PCR;及び
cDNA:complementary DNA。
【0033】
【実施例1】
1、RT−PCR法によるウシのTLR4とMD−2のcDNA増幅
・供試動物
黒毛和種の雄牛の頸静脈より血液を採取した。
・全RNAの調製
末梢血からの全RNA抽出は、市販されている抽出試薬(TRIzol Reagent; GibcoBRL)を用いて、付属の説明書に従い行った。
【0034】
・逆転写反応によるcDNAの合成
cDNAは、市販の逆転写酵素(Super ScriptII RNase H− Reverse Transcriptase; GibcoBRL)を用い、付属の説明書に従って合成した。末梢血から抽出した全RNA1μgに対して1μl(25pmol/μl)のランダムプライマー(Random Primer; TOYOBO)を加え、H2Oで12μlに調整した後、70℃で10分間インキュベートして変性させ、氷中に移した。その溶液に、付属の5×First strand bufferを4μl、0.1M DTTを2μl、dNTP Mix(dNTP set, 100mM Solutions; Amersham Pharmaciaを10mM eachに調製したもの) を1μl加え、42℃で2分間インキュベートした後、1μlのSuper ScriptIIを加え、42℃で50分間逆転写反応を行った。反応終了後70℃で15分間加熱することにより酵素を失活させ、RNaseH(Ribonuclease H; TaKaRa)を2unit加えてRNAを分解した。これを−20℃で保存した。
【0035】
・プライマーの作製
すでに報告されているヒトおよびマウスTLR4 cDNAの塩基配列(GenBank Accession 番号:ヒトTLR4 NM_003266、マウスTLR4 NM_021297)を比較し、相同性の高い配列を基にしてbTLR4−5’(5’−CTGGATTTATCCAGGTGTGA−3’)、bTLR4−3’(5’−TCCAGTTGACACTTAGAGAG−3’)、bTLR4−F(5’−CTCCCTGACATCTTCACAGA−3’)、bTLR4−R(5’−TCGGCTCTGGATGAAGTGCTG−3’)の4種類のプライマーを作製した。
また、同様にしてウシのMD−2についてもbMD−2−F (5’−TCTGCAACTCATCCGAYGC−3’), bMD−2−R (5’−TGWTGTATTCACAGTCTCTC−3’)の2種類のプライマーを作製した。
・PCR法によるウシのTLR4とMD−2のcDNAの増幅
ウシの末梢血から抽出した全RNAを逆転写して得られたcDNAを鋳型にしてプライマーを作成した。これを用いて(組み合わせはbTLR4 5’とbTLR4 3’、bTLR4 FとbTLR4 R、bMD−2 FとbMD−2 R)、市販のPCRキット(Expand High Fidelity PCR System; Roche Diagnostics K.K)でPCR法を行った。
【0036】
PCR反応液は以下のように調製した。(50μlスケール)
10mM dNTP 1μl、10μM 5’プライマー 2.5μl、10μM 3’プライマー 2.5μl、及び鋳型DNA 1〜2μlに、H2Oを加えて25μlにし、Mix 1を調製した。一方、Buffer1 5μl及びEnzyme Mix 0.75μlにH2Oを加えて25μlにし、Master Mix 2を調製した。その後、4℃でMaster Mix 1と2を混合した。
PCR法の条件は以下の通りである。
BTLR4 5 ’と bTLR4 3 ’の組み合わせ
▲1▼94℃ 2 分
▲2▼94℃ 30 秒
▲3▼53℃ 30 秒
▲4▼72℃ 2 分
▲2▼〜▲4▼のサイクルを30回繰り返した。
bTLR4 F と bTLR4 R の組み合わせ
▲1▼94℃ 2 分
▲2▼94℃ 30 秒
▲3▼53℃ 30 秒
▲4▼72℃ 2 分
▲2▼〜▲4▼のサイクルを30回繰り返した。
bMD−2 F と bMD−2 R の組み合わせ
▲1▼94℃ 2 分
▲2▼94℃ 30 秒
▲3▼53℃ 30 秒
▲4▼72℃ 1 分
▲2▼〜▲4▼のサイクルを30回繰り返した。
【0037】
・RACE法(Rapid Amplification of cDNA Ends)によるウシのTLR4とMD−2の5’および3’末端の増幅
ウシのTLR4とMD−2の配列を決定した後、その配列を基にして作製したプライマーは以下の通りである。
ウシのTLR4 5’末端増幅用:5’GSP1(5’−AAATATTCAGGTAACTTGAA−3’)、および5’nested1 (5’− TCCAATGGGGAAGTCATTTA −3’)、5’nested2 (5’−CACCAGCTTCTGTAAACTTG−3’)。
ウシのTLR4 3’末端増幅用:3’GSP1 (5’−CCTTCACTACAGGGACTTTA−3’)、3’GSP2 (5’−GCCATCGCCGCCAATATCA−3’)。
ウシMD−2 5’末端増幅用:5’GSP−1 (5’−ATACAAGCTCCTTATATCTC−3’)、5’nGSP2 (5’−CTCAGAACGTATTGAAACAGG−3’)、および5’nested1 (5’−GTTATCACAGTAGTCGTACC−3’)。
ウシMD−2 3’末端増幅用:3’nested1 (5’−AACATTGAAGGGAAGCCGTG−3’)、3’nested2 (5’−TCCATGAATTTCCCATTGCG−3’)。
【0038】
5’RACEは、市販のキット(5’RACE System for Rapid Amprification of cDNA Ends,Version 2.0; GIBCO BRL)を用い付属の説明書に従い行った。
1) First Strand cDNAの合成
cDNAの合成は0.2mlのPCR用チューブにGSP1 2.5pmol及びサンプルRNA 5μgをとり、H2Oを加えて15.5μlにした。
これを70℃で10分間インキュベートすることによりRNAを変性させ、氷上で1分間インキュベートし、これに、10×PCR buffer 2.5μl、25mM MgCl2 2.5μl、10mM dNTPs Mix 1μl及び0.1M DTT 2.5μlをまぜて、これを42℃で1分間インキュベートした。
Super ScriptII1μlを加えて42℃で50分間インキュベートした後70℃で15分間加熱することによりSuper ScriptIIを失活させた。RNase Mix 1μlを加えて37℃で30分間インキュベートしてcDNAを得た。これを−20℃で保存した。
2) Glass Max DNA Isolation Spin Cartridge Purification of cDNAによるFirst strand
cDNAの精製
Binding solutionを室温にし、あらかじめH2Oを65℃に加温しておいた。First strand solutionに120μlのBinding solutionを加えた。cDNA/NaI solutionをGlass max spin cartridgeに移し、室温で10.000×g、20秒間遠心した。
チューブからInsert cartridgeを取り、Flowthroughを別のチューブに移しとっておいた。これに0.4mlのWash bufferをspin cartridgeに入れ室温で10.000×g、20秒間遠心した。この操作を3回繰り返した。室温で10.000×g、1分間遠心してCartridgeを乾かした。
Cartridgeを新しいサンプルを回収チューブにのせ、50μlのH2O(65℃)を加えて、室温で10.000×g、1分間遠心してcDNAを回収した。
3) TdT によるcDNAのtailing
TdT によるcDNAのtailingを以下の通り行った。
H2O 6.5μl、5×Tailing buffer 5μl、2mM dCTP 2.5μl及びGlass Max purified cDNA sample 10μlを混ぜて94℃で3分間インキュベートした後、氷上に移した。1μlのTdTを加えて37℃で10分間インキュベートした。65℃で10分間インキュベートでTdTを失活させて、これを−20℃で保存した。
4) PCRによるtailed cDNAへのdCTPの付加
dCTPの付加反応の条件は以下の通りである。
サーマルサイクラー(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL; TaKaRa)を94℃にしておいた。次に、以下のものを混ぜ、0.5μlのTaq DNA polymerase(5unit/μl)を加えて、以下の条件でPCRを行った。
H2O 31.5μl
10×PCR buffer 5μl
25mM MgCl2 3μl
10mM dNTP Mix 1μl
GSP2(10μM)2μl
Abridged Anchor Primer(5’−GGCCACGCGTCGACTAGTACGGGiiGGGiiGGGii G−3’ 10μM)2μl
dCTP tailed cDNA 5μl。
PCR 条件
▲1▼94℃ 2 分
▲2▼94℃ 30 秒
▲3▼55℃ 30 秒
▲4▼72℃ 2 分
▲2▼〜▲4▼のサイクルを30〜35回繰り返した。
5) Nested PCRによる増幅
1st PCRの産物5μlを495μlのTEで希釈し、以下の組成でPCRを行った。
H2O 33.5μl
10×PCR buffer 5μl
25mM MgCl2 3μl
10mM dNTP Mix 1μl
nested GSP(10μM)1μl
AUAP(5’−GGCCACGCGTCGACTAGTAC−3’ 10μM)1μl
1st PCR product(1/100) 5μl。
以上を混ぜ0.5μlのTaq DNA polymerase(5unit/μl)を加えてPCRを行った。
【0039】
3’RACEによる3’末端cDNAの増幅は、市販のキット(3’RACE System for Rapid Amprification of cDNA Ends; GIBCO BRL)を用い付属の説明書に従い行った。
1) First Strand cDNAの合成
cDNAの合成は0.2mlのPCR用チューブにKAUAP−18dT(5’−18dT+GACGACAAGGGGCCACGCGTCACGTAGTAC−3’10μM) 1μl、サンプルRNA 5μgをとり、H2Oを加えて12μlにした。
これを70℃で10分間インキュベートすることによりRNAを変性させ、氷上で1分間インキュベートし、これに、5×first strand buffer 4μl、25mM MgCl2 2μl、10mM dNTPs Mix 1μl、及び0.1M DTT 2μlをまぜ、これを42℃、1分間インキュベートした。
これにSuper ScriptII 1μlを加えて、42℃で50分間インキュベートした後、70℃で15分間インキュベートしてSuper ScriptIIを失活させた。
これにRNase Mix 1μlを加えて、37℃で30分間インキュベートしてcDNAを得た。これを−20℃で保存した。
2) cDNAの増幅
cDNAの増幅の条件は以下の通りである。
H2O 36.5μl
10×PCR buffer 5μl
25mM MgCl2 3μl
10mM dNTP Mix 1μl
GSP1(10μM)2.0μl
KAUAP(5’− GACGACAAGGGGCCACGCGTCACGTAGTAC −3’10μM)2.0μl
Taq DNA polymerase(5unit/μl)0.5μl
以上を混ぜ2μlの1st strand cDNAを加えてPCRを行った。
【0040】
・cDNAの電気泳動および検出
0.8%アガロースゲル(Agarose S; ニッポンジーン)で電気泳動した。ゲルの組成は以下の通りである。
アガロース0.8%
臭化エチジウム0.2μg/ml
TAE(0.04M Tris、0.04M氷酢酸、0.001M EDTA)。
目的のバンドを340nm紫外線下(Gel DocII; BIO RAD)で観察した。
【0041】
【実施例2】
2、ウシのTLR4とMD−2の塩基配列の解析
クローニングしたウシのTLR4とMD−2のcDNAを鋳型として、市販のシーケンスキット(ABI PRISM Big Dye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kits; PE Biosystems)を使用してサイクルシーケンス反応を行った(21)。反応産物をオートシーケンサー(ABI PRISMTM 310 Genetic Analyzer; PE Biosystems)にて分析し、塩基配列を決定した。
その結果、得られた塩基配列を配列番号1に示し、更に、その塩基配列から予想されるアミノ酸配列を配列番号2に示した。
ウシのTLR4のcDNAは、2526bpのオープンリーディングフレーム(ORF)にコードされる推定841個のアミノ酸で構成されていた(図1)。また、ウシのMD−2のcDNAは、483bpのORFにコードされる推定160個のアミノ酸で構成されていた(図2及び図3)。TLR4の配列は既にデータベースに登録されていたもの(AF310952)と一致したが、MD−2の配列はデータベースに既に記載されたMD−2(AF368418)とアミノ酸配列レベルで約30%異なっていた。これより、他の動物種ではそれぞれ1種類のMD−2しか報告されていないが、ウシでは2種類存在することが示された。
【実施例3】
3、ノーザンブロット解析
・cDNAプローブの調製
ウシのTLR4およびMD−2のcDNA全長をGeneclean III (BIO 101, USA) で精製したものを鋳型にして、Megaprime DNA labelling systems (amersham pharmacia biotech, USA) により、付属の説明書に従って、[α−32P] Deoxy CTP (370kBq/μl; Moravek Biochemical Inc., USA)で標識した。
GPDHプローブは、ウシDNAを鋳型にして5’−GACCACAGTCCATGCCATCAC−3’と5’−GTCCACCACCCTGTTGCTGTA−3’をプライマーとしたPCRによって増幅したDNA断片を、Geneclean IIIによって精製し、上述のように[α−32P] Deoxy CTPで標識した。
・RNAの調製および電気泳動
RNA5μgにRNA泳動用バッファー (10×) 2.5μl、ホルムアルデヒド (和光純薬, 日本) 4μl、ホルムアミド (nakalai tesque, 日本) 12.5μl、蒸留水適量を加えて25μlとし、65℃で15分間加熱後、氷水で急冷して、RNAを変性させた。このRNA溶液に、DNA loading buffer2.5μl、臭化エチジウム (和光純薬, 日本)を終濃度40μg/mlになるように加え、RNA泳動用バッファー (1×) と18% ホルムアルデヒドを含む1% アガロースゲル中で、RNA泳動用バッファー (1×) を電極槽液として、50V、5〜6時間電気泳動した。
・ナイロンメンブレンへのトランスファー
泳動終了後、ゲルを蒸留水に浸して15分間、2回振盪し、さらにSSC (10×) に浸して30分間振盪した。ゲルをSSC (10×) に浸したスポンジ、ワットマン3MM濾紙 (Whatman International Ltd., UK) の上に乗せ、さらにその上にナイロンメンブレンフィルター (GeneScreen Plus; NEN Life science, USA) 、ワットマン3MM濾紙、ペーパータオルの順に乗せて、一晩静置することにより、ゲル中のRNAをナイロンメンブレンに移行させた。フィルターをSSC (2×) で軽く洗浄後、紫外線照射によりRNAを固定させた。
・ハイブリダイゼーションおよび検出
作製したフィルターをハイブリダイゼーションバッファーに浸し、62℃で3〜4時間プレハイブリダイゼーションした後、前述の方法にて32Pで標識したウシTLR4プローブ、またはGPDHプローブを加え、さらに55℃〜62℃で一晩ハイブリダイゼーションを行った。反応後、フィルターをSSC(2×)および1%SDSを含む溶液とSSC(0.5×)および0.1%SDSを含む溶液で洗浄した。このフィルターを、増感紙 (BioMax TranScreen−HE; Kodak, USA) を用いてX線フィルム(BioMax MS Film; Kodak, USA) に−80℃で3日〜1週間露光し、フィルムを現像した。以上の結果、TLR4とMD−2の両者の発現が確認された。また、TLR4の発現においては高濃度LPSで刺激した場合、若干の発現の減少が見られた。(図4)
【0042】
【実施例4】
4、ウシのTLR4のMD−2の存在下でのLPSシグナル伝達能の検討
・ウシTLR4とMD−2の強制発現ベクターの作製
Luciferase assayに使用するウシTLR4とMD−2の強制発現ベクターを作製するために、ウシのTLR4とMD−2のタンパク質全長をコードする塩基配列を以下のようなプライマーを用いて増幅した。
ウシTLR4を増幅する組み合わせ:
bTLR4−5’FL (5’−TGCCAGGATGATGGCGCGTG−3’)とbTLR4−3’FL(5’−AGAAGCACATCAGGGGATTC−3’)
ウシMD−2を増幅する組み合わせ:
bMD−2 5’FL(5’−GTTTTGGAGAGATTGAATCAT−3’)とbMD−2 3’FL (5’−TTATTCTAATTGAAATCAGG−3’)。
上記の組み合わせでウシ末梢血total RNAより合成したcDNAを鋳型としてPCR法に供した。PCR法の条件は以下の通りである。
ウシ TLR4 の場合
▲1▼94℃ 2 分
▲2▼94℃ 1 分
▲3▼53℃ 1 分
▲4▼72℃ 3 分。
▲2▼〜▲4▼のサイクルを30回繰り返した。
ウシ MD−2 の場合
▲1▼94℃ 2 分
▲2▼94℃ 1 分
▲3▼53℃ 1 分
▲4▼72℃ 1 分。
▲2▼〜▲4▼のサイクルを30回繰り返した。
以上のPCRで得られた産物を電気泳動により精製し、塩基配列を確認後、pGEM−T Easy VectorにTAクローニングした。得られたプラスミドDNAを制限酵素Not1 で切断した。
制限酵素反応液の組成
H2O 6μl、10倍濃縮 buffer 1μl、10倍BSA buffer 1μl、プラスミドDNA 1μl (400ng)、及びNot1 1μlから成る混合物を37℃で2時間インキュベートした後、さらに68℃で20分間インキュベートすることにより酵素を失活させ、前述の方法に従い目的のバンドを精製した。同様に哺乳類用強制発現ベクターであるpCDNA3(Invitrogen) をNot1で切断後、アルカリフォスファターゼ処理し、精製したTLR4あるいはMD−2をコードするDNA断片をライゲーションした。すなわち、5×Ligation Buffer 2μl、ウシTLR4/MD−2断片3μl、pCDNA3 Vector 1μl、H2O 3μl、及びT4 DNA Ligase 1μlを混和し、16℃にて一晩インキュベートしライゲーションした。得られたプラスミドDNAをベクター上のT7 プライマー(5’−GTAATACGACTCACTATAGGGC−3’)とbTLR4 3’FLあるいはbMD−2 3’FLを用いてインサートチェックを行うことによりインサートの向きが正常であることを確認し、強制発現ベクターとした。
【0043】
・HEK293細胞(ヒト胎児腎臓由来)の培養
HEK293細胞(東北大学加齢医学研究所より購入)の培養に用いた培地の組成は以下の通りである(500mlの場合)。
MEM(日水) 430ml (ろ過滅菌済)
100倍濃縮L−Glutamin (日水) 5ml (ろ過滅菌済)
100倍濃縮NEAA (non−essential amino acid: GibcoBRL) 5ml。
これらにオートクレーブ処理済の8%重炭酸ナトリウムを適量加え、PHを7.2になるように調整した。その後、非働化ウシ胎児血清(Sigma、Lot:128H8482)を50ml加えた。これらを用い、37℃、5%CO2条件下で培養した。細胞は5日おきにトリプシン処理により遊離させ、4分の1に希釈して継代した。
【0044】
・HEK293細胞へのDNAの導入
HEK293細胞を12穴プレートにて1穴あたり3×105個加え、一晩インキュベート後、遺伝子導入の約1時間前に培地交換した。この時の添加培地量は0.5mlとした。遺伝子導入にはFuGENE6 (Roche) によるリポフェクション法を用いた。FuGENE6の希釈には血清無添加RPMI培地 (GibcoBRL) を用いた。1穴あたりの組成を以下に示す。
1.RPMI培地 20μl
2.FuGENE6 1μl
3.DNA 220ng
用いたDNAの組み合わせは以下の通りである。
a: 空ベクター 100ng
κB活性測定ベクター 100ng
導入効率測定ベクター20ng
b: TLR4強制発現ベクター50ng
空ベクター 50ng
κB活性測定ベクター 100ng
導入効率測定ベクター20ng
c: MD−2強制発現ベクター50ng
空ベクター 50ng
κB活性測定ベクター 100ng
導入効率測定ベクター20ng
b: TLR4強制発現ベクター50ng
MD−2強制発現ベクター50ng
κB活性測定ベクター 100ng
導入効率測定ベクター20ng
【0045】
空ベクターには、ウシTLR4およびMD−2導入前のpCDNA3ベクターを用いた。κB活性測定ベクターとしては、転写因子NF−κBの活性に比例してホタルルシフェラーゼが合成されるκB−Luciferase vector (Clontech) を用いた。導入効率測定ベクターとしては、遺伝子の細胞への導入量に比例してウミシイタケルシフェラーゼが合成されるpRL−tk (Promega)を用いた。まず1に2を加え20分室温でインキュベートした。次にDNAを加えさらに20分間室温でインキュベート後、準備した細胞に加えた。6〜8時間後、培地を交換しさらに18時間培養後LPS刺激を行った。
【0046】
・細胞の溶解と回収
既存の培地を除去後PBSで一度軽く細胞を洗浄し、次に1×Passsive Lysis Buffer (Promega) を1ウェルあたり50μl加えた。この状態で室温で数分間インキュベートすることで細胞を溶解させた後、これらを回収しLuciferase assayに供した。
【0047】
・Luciferase活性の測定
Luciferase活性はTR−717 (PERKIN ERMER)を用いて測定した。測定方法はDual−luciferase assay system (Promega)の法に準じた。すなわち96穴プレートを用いてLuciferase assay reagent 25μlに対して細胞溶解液5μlを加え、ピペッテイングし、速やかに25℃にてホタルルシフェラーゼの発光度を10秒間測定した。次にStop and glow reagentを25μl加え、ピペッテイングし、速やかに25℃にてウミシイタケルシフェラーゼの発光度を10秒間測定した。遺伝子導入を行わない細胞の発光度をバックグラウンドとして各サンプルの数値より差し引いた後、ホタルルシフェラーゼの値をウミシイタケルシフェラーゼの値で割り、各サンプルの相対NF−κB活性値とした。
その結果、HEK293細胞においてウシのTLR4とMD−2をそれぞれ単独にあるいは同時に強制発現させ、LPSで刺激した時の核内転写因子であるNF−κBの活性化状態を測定した。その結果、ウシのTLR4とMD−2の共存下でNF−κBの顕著な活性化が見られた。また、TLR4単独でもわずかなNF−κBの活性化が見られた。(図5)
【0048】
HEK293細胞を用いたウシの TLR4およびMD−2の強制発現実験から、ウシの TLR4はMD−2との共存下でLPS刺激を細胞内へ伝達することが示された。また、ヒトやマウスではTLR4とMD−2は複合体を形成することによりLPSのシグナル伝達に関わることが報告されており、ウシのTLR4およびMD−2のmRNAは末梢血で共に強い発現が見られたことからウシの生体内で実際に、TLR4/MD−2複合体はレセプターとしてLPSシグナルを細胞内に伝えていることが明らかとなった。また、末梢血で高濃度のLPS刺激を行った場合、TLR4の発現量の減少が見られた。このことは白血球系細胞のLPS応答の減弱を意味し、ウシにおいてTLR4の発現量の調節により過度のLPSに対する生体反応を緩和する機構が存在することが示唆された。
【0049】
LPSおよびその構造類似物質に対する反応は動物種によってことなり、その種特異性はMD−2の構造の違いに依存することが、ヒトとマウスでの研究にもとづき報告された。ウシMD−2の配列とヒトやマウスのものとの違いは、これらの動物種間でのLPS反応性の違いと密接に関わっていると考えられる。また、本研究で分離されたMD−2の配列はデータベースで報告されたものと異なっていた。これより、他の動物種ではそれぞれ1種類のMD−2しか報告されていないが、ウシでは2種類存在することが示された。ウシMD−2が2種類存在することは、ウシでは個体によりLPS反応性がことなる結果につながる可能性がある。特に、ウシでLPS受容体に対する作動薬(アゴニスト)や拮抗薬(アンタゴニスト)を開発するために本知見は重要である。
本研究では、LPSシグナル伝達メカニズムについてTLR4とその修飾因子MD−2に着目した。しかし実際に生体内で行われているLPS認識にはこれらに加え多くの分子が関与する複雑なプロセスであり、さらなる病原体認識機構の分子基盤の解明は非常に重要な課題である。
【0050】
【発明の効果】
本発明者はヒトやマウスでLPSレセプターとして見い出されたTLR4に着目し、ウシのTLR4とその修飾因子MD−2の同定と分子レベルでの機能解析を行った。その結果、新型ウシMD‐2をコードする遺伝子を見いだし、それに基づき、TLR4のレベルでウシに特有なLPS認識機構が存在することを示した。また、TLR4の発現量の調整によるLPSシグナルを緩和する機構が存在することを示した。
これらの知見に基づき、これらの遺伝子を導入した細胞によるLPS受容体を介した薬物のスクリーニング方法等の開発に成功した。
【0051】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】ウシ由来のTLR4のアミノ酸配列と他種由来のTLR4との比較を示す。
【図2】本発明のウシ由来のMD−2の塩基配列及び推定一次構造(アミノ酸配列)、並びに、他種由来のMD−2との比較を示す。
【図3】本発明のウシ由来のMD−2の推定一次構造(アミノ酸配列)と既報のMD−2(AF368418)のそれとの比較を示す。、
【図4】ウシ末梢血におけるTLR4及びMD−2の発現の結果を示す電気泳動の写真である。
【図5】ウシのTLR4及びMD−2の強制発現によるHEK293細胞のLPS応答能の変化を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンドトキシン認識に関わる新規な分子及びそれをコードするDNA、並びに、該分子を発現する形質転換体におけるレポーター遺伝子の発現量を測定することを含むTLR4及びMD−2から成る複合体に対するリガンドのシグナル伝達能のアッセイ方法、及びそれを利用した薬剤のスクリーニング法に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体は、細菌の侵襲に対し、その障害を防ぐために種々の防御反応を示す。グラム陰性細菌の感染では、発熱、播種性血管内凝固(DIC)、血小板数および白血球数の変動、ショックなどの症状が見られる。これらの症状は、細菌の細胞壁成分であるエンドトキシン又はリポ多糖体(LPS)の作用により引き起こされることが明らかにされている。LPSは、これらの障害作用の他に致死毒性を持っており、生体に対して強い有害作用を及ぼす一方で、B細胞の分裂促進、アジュバント作用、抗腫瘍作用など、生体に有利に働くと考えられる作用も持っており、その生物活性は多種多様である。
【0003】
LPSの作用発現の第一段階はLPSとその受容体との結合であり、第二段階は結合後に引き起こされる細胞内情報伝達機構の作動であると考えてよいであろう。このことから、現在LPSの結合と、それに引き続きおこる細胞内情報伝達系の解析が精力的に進められているが、その全容を明らかにするには至っていない。
【0004】
最近、生体が微生物を認識する際に、TLR(Toll−like receptor)ファミリーに属する分子がレセプターとして機能していることが明らかにされた(Medzhitov R, et al: Nature (1997) 388: 394−397)。ヒトやマウスでは既に、TLR1〜10で表される10種類のファミリーの存在が確認され、これらの分子は、それぞれ異なる菌体成分を認識する(竹田潔、審良静男書、「Toll−like receptor の特異性とシグナル伝達」、細胞工学Vo.21 No.11, 1308−1311 (2002))。
【0005】
例えば、マウスの1系統であるC3H/HeJマウスはLPS低応答性を示すマウスであることが以前から知られていた。同様なLPS 低応答性を示すマウスとしてC57BL/10ScCrも報告されていたが、近年これらのマウスの原因遺伝子がTLR(Toll−like receptor)4であることが明らかとなり、TLR4はLPSの認識に膜レセプターとして関与していることが報告されている(Hoshino K, et al., J Immunol (1999) 162: 3749−3752)。又、このTLR4はMD−2と会合して複合体を形成し、この複合体がLPSの認識そのものに関与することが示されている(若林靖貴、三宅健介書、「生前免疫の分子基盤」、細胞工学Vo.21 No.11, 1304−1307 (2002))。
【0006】
以来、細菌の侵入を認識するレセプターとしてのTLRファミリーが注目されるようになった。細菌性疾患が多発するウシにおいても TLR4とその細胞外修飾因子であるMD−2が存在し、ヒトおよびマウスのTLR4、MD−2と高い相同性を示した。ウシのTLR4の構造解析の結果、細胞外領域にはショウジョウバエにおけるTollや哺乳類におけるTLRファミリーに共通にみられるロイシンリッチリピートモチーフが存在し、細胞内領域にはIL−1レセプターとの相同領域が存在していた。ロイシンリッチリピートモチーフはタンパク質間の相互作用に関わることがしられているモチーフであり、哺乳類ではTLRのほかにLPSと直接結合するCD14など様々な種類の分子がこのモチーフを有する。このことからウシのTLR4はロイシンリッチリピートモチーフにより細胞外で標的分子と会合し、IL−1レセプターと類似した機構で細胞内にシグナルを伝えていると考えられる。
【0007】
【非特許文献1】
竹田潔、審良静男書、「Toll−like receptor の特異性とシグナル伝達」、細胞工学Vo.21 No.11, 1308−1311 (2002)
【非特許文献2】
Hoshino K, et al., J Immunol (1999) 162: 3749−3752
【非特許文献3】
(若林靖貴、三宅健介書、「生前免疫の分子基盤」、細胞工学Vo.21 No.11, 1304−1307 (2002)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
一方、ウシでは、サルモネラ菌、大腸菌、緑膿菌などの感染がしばしば見られ、飼育農家に大きな被害を与えている。ウシはLPSに対して高い感受性を持っており、このことが経済的損失を大きくする原因の一つになっていると推測される。しかしながらウシのLPS応答に関する分子基盤はいまだ明らかにされていないことが多く、その分子機構の解明が待たれているのが現状である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、ウシにおけるLPSの受容機構を解明する目的で、LPSの結合に密接に関連すると考えられているTLR4およびその修飾因子であるMD−2に着目し、その構造と機能および特性について、遺伝子レベルで検討した。
【0010】
その結果、我々は、すでにヒトやマウスでLPS受容体として確立されているMD‐2とTLR4について、ウシからcDNAを分離して塩基配列を決定しアミノ酸配列を確定した結果、Guionaud(ベルン大学)(Werling D, Jungi TW. TOLL−like
receptors linking innate and adaptive immune response. Vet ImmunolImmunopathol.2003 Jan. 10;91(1):1−12)が報告したものと異なる配列の第二の新型ウシMD−2があることを明らかにした。更に、このcDNAをレポータ遺伝子とともに人為的に導入した動物細胞がLPSによる刺激を顕著に増強させることを見出し、これら分子が実際にLPS受容体として機能することを確認した。これにより、新しい検査法を作製した。
【0011】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は以下の各態様に係るものである。
1.以下の(a)又は(b)のポリペプチドをコードするDNA:
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列から成るポリペプチド、
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチド。
2.以下の(a)又は(b)のDNAを含むDNA:
(a)配列番号1に示される塩基配列から成るDNA、
(b)(a)のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
3.以下の(a)又は(b)のDNAを含むDNA:
(a)配列番号1に示される塩基配列から成るDNA、
(b)配列番号1に示される塩基配列に対する相同性が85%以上であり、且つ、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
4.上記1〜3のいずれか一項に記載のDNAを含む遺伝子。
5.以下の(a)又は(b)のポリペプチドを含む蛋白質:
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列から成るポリペプチド、
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチド。
6.以下の(a)又は(b)のポリペプチドを含む蛋白質:
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列から成るポリペプチド、
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列に対する相同性が75%以上であるアミノ酸配列からなり、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチド。
7.組換え蛋白質であることを特徴とする、上記5又は6記載の蛋白質。
8.上記1ないし3のいずれか一項に記載の少なくとも一種のDNA又は上記4記載の遺伝子を含有する組換え発現ベクター。
9.組換えプラスミドベクターである上記8に記載の組換え発現ベクター。
10.TLR4遺伝子を有する含有する組換え発現ベクターによって形質転換された形質転換体。
11.更に、上記8又は9に記載の発現ベクターによって形質転換された、上記10記載の形質転換体。
12.更に、転写因子活性測定ベクターによって形質転換された、上記10又は11記載の形質転換体。
13.転写因子がNF−κB/Rel ファミリーである、上記12記載の形質転換体。14.転写因子活性測定ベクターがκB 配列の制御下にレポーター遺伝子を含むことを特徴とする、上記13記載の形質転換体。
15.レポーター遺伝子としてホタルルシフェラーゼ遺伝子を使用する、上記14記載の形質転換体。
16.形質転換体が哺乳類由来細胞である上記10〜15のいずれか一項に記載の形質転換体。
17.哺乳類細胞がCD14を発現している細胞である、上記16に記載の形質転換体。
18.哺乳類由来細胞がHEK293細胞である上記17に記載の形質転換体。
19.上記12〜18のいずれか一項に記載した形質転換体におけるレポーター遺伝子の発現量をアッセイすることを含む、TLR4、又は、TLR4及び請求項5〜7のいずれか一項に記載の蛋白質から成る複合体に対するリガンドによるシグナル伝達能の測定方法。
20.シグナルが、TLR4、又は、LTR4及び請求項5〜7のいずれか一項に記載の蛋白質から成る複合体を介して細胞内に伝達されることを特徴とする、上記19記載の測定方法。
21.リガンドがエンドトキシンである、上記19又は20記載の測定方法。
22.レポーター遺伝子としてホタルルシフェラーゼ遺伝子を使用する、上記19〜21のいずれか一項に記載の測定方法。
23.上記19〜22のいずれか一項に記載の測定に基づく、TLR4、又は、TLR4及び請求項5〜7のいずれか一項に記載の蛋白質から成る複合体に対する作動薬(アゴニスト)又は拮抗薬(アンタゴニスト)のスクリーニング法。
24.(a) 被験物質の存在下で、請求項5〜7のいずれか一項に記載の蛋白質及びTLR4を細胞表面に発現する細胞をTLR4、又は、TLR4及び請求項5〜7のいずれか一項に記載の蛋白質から成る複合体に対するリガンドで刺激する工程、
(b)所定時間後に細胞を溶解する工程、及び
(c)レポーター遺伝子の発現量をアッセイする工程、及び
(d) レポーター遺伝子の発現量を減少させる効果を示した被験物質を選択する工程、を含む上記23に記載の拮抗薬(アンタゴニスト)のスクリーニング法。
25.リガンドがLPSである、上記24に記載のスクリーニング法。
26.(a)請求項5〜7のいずれか一項に記載の蛋白質及びTLR4を細胞表面に発現する細胞を被験物質で刺激する工程、
(b)所定時間後に細胞を溶解する工程、及び
(c)レポーター遺伝子の発現量をアッセイする工程、及び
(d) レポーター遺伝子の発現が認められた被験物質を選択する工程、を含む上記23に記載の作動薬(アゴニスト)のスクリーニング法。
27.上記5〜7のいずれか一項に記載の蛋白質又はその部分ポリペプチドに対する抗体。
【0012】
【発明の実施の形態】
【0013】
本発明遺伝子又はDNA遺伝子は、ウシの細胞におけるエンドトキシン認識に関わる新規なMD−2をコードするものである。これは以下の実施例に示すように、業者に公知の任意の方法によって、例えば、黒毛和種の雄牛等のウシの体組織の一部、例えば、頸静脈由来の末梢血等から採取した血液から全mRNAを調製し、更に、公知のヒトおよびマウスのMD−2のcDNAの塩基配列に基づき作成したプライマーを用いるRT−PCR,及びRACE法等によって調製することが出来る。
【0014】
本発明DNAのクローニングの別の手段としては、本発明ポリペプチドの部分等の適当な塩基配列を有する合成DNAプライマーを作成し、適当なライブラリーを用いてPCR法によって増幅するか、または適当なベクターに組み込んだDNAを本発明ポリペプチドの一部あるいは全領域をコードするDNA断片もしくは合成DNAを用いて標識したものとのハイブリダイゼーションによって選別することができる。
ハイブリダイゼーションの方法は、例えば、上記の Current protocols in molecular biology(edited by Frederick M. Ausubel et al., 1987)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。
本発明DNAとしては、前述した本発明ポリペプチドをコードする塩基配列から成るものであればいかなるものであってもよい。また、上記のウシ由来の適当な体組織又は細胞に由来するcDNAライブラリー等から同定・単離されたcDNA、又は、合成DNAのいずれでもよい。
ライブラリー作成に使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織よりtotalRNA画分またはmRNA画分を調製したものを用いて、直接Reverse Transcription coupled Polymerase Chain Reaction(以下、「RT−PCR法」と略称する)によって増幅することもできる。
【0015】
或いは、本明細書で開示された配列情報に基づいて、当該技術分野における周知手段を用いた化学合成等によっても調製することが可能である。当業者であれば、特定のアミノ酸配列における1若しくは数個のアミノ酸を欠失、置換若しくは付加することも、当該技術分野における周知手段を用いて容易に実施することができる。
【0016】
本明細書において、本発明のポリペプチド(又は蛋白質)の「エンドトキシン認識活性」とは、該ポリペプチドが直接、又はTLR4等の他の蛋白質との会合によって形成される複合体を介して間接的に、エンドトキシンと会合し、結合し、或いは認識するか、又はそれらを制御する活性又は機能を意味する。
【0017】
本発明のDNAは、(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列から成るポリペプチド、又は、(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチド、をコードするDNAである。
このようなDNAの例として、例えば、配列番号1に示される塩基配列に対する相同性が85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%であり、且つ、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチドをコードするDNAを挙げることが出来る。
【0018】
上記の配列番号2で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加したアミノ酸配列から成るポリペプチドをコードするDNAは、例えば、部位特異的変異導入法、遺伝子相同組換え法、プライマー伸長法、及びPCR法等の当業者に周知の方法を適宜組み合わせて、容易に作成することが可能である。
【0019】
更に本発明のDNAは、(a)配列番号1に示される塩基配列から成るDNA、又は、(b)(a)のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチドをコードするDNAである。
ここで、「ストリンジェントな条件」とは、例えば、65℃の1mM EDTA ナトリウム、0.5M リン酸水素ナトリウム(pH7.2)、7%SDS 水溶液中でハイブリダイズさせ、65℃の1mM EDTA ナトリウム、40mM リン酸水素ナトリウム(pH7.2)、1%SDS 水溶液中でメンブレンを洗浄する条件でのサザンブロットハイブリダイゼーションで本発明DNAから成るプローブにハイブリダイズする程度の条件である。
【0020】
本発明の遺伝子又はDNAに、遺伝子組換え操作において当業者に公知である様々な配列、例えば、プロモーター及びエンハンサーなどの調節因子、制限酵素部位、並びに選択マーカー(マーカー酵素等)遺伝子等が適宜結合されたDNA分子も本発明の範囲である。
【0021】
本発明は、(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列から成るポリペプチド、又は、(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチド、を含む蛋白質に係る。従って、このようなポリペプチドの例として、例えば、配列番号2に示されるアミノ酸配列に対する相同性が75%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは、95%以上であるアミノ酸配列からなり、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチドを挙げることが出来る。
本発明のポリペプチドは、当業者に公知の遺伝子組換え技術を用いて、本発明のDNA又は遺伝子を発現させることにより、容易に組換え蛋白質として得ることが出来る。
【0022】
尚、その際に、エンドトキシン認識活性を有するためには、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加される際に、配列番号2で示されるアミノ酸配列から成るポリペプチドを構成するアミノ酸のうち、同族アミノ酸(極性・非極性アミノ酸、疎水性・親水性アミノ酸、陽性・陰性荷電アミノ酸、芳香族アミノ酸など)同士の置換が可能性として考えられる。又、実質的に同質の生物学的活性の維持のためには、本発明の各ポリペプチドに含まれる機能ドメイン内のアミノ酸は保持されることが望ましい。
更に、当該ポリペプチドにおいて、TLR4との会合に必須のアミノ酸(例えば、95番目のリジン)、機能ドメイン、又は、他のMD−2、特にウシのMD−2との共通配列は保存されることが望ましい。
【0023】
更に、本発明の遺伝子、DNA又は上記DNA分子を含有する組換え発現ベクターは、当該技術分野で公知の方法に従って作成することが出来る。例えば、(1)本発明DNA又は本発明DNAを含む遺伝子を含有するDNA断片を切り出し、(2)該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造することができる。
ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322,pBR325,pUC18,pUC118)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバクテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイルス,バキュロウイルスなどの動物ウイルス等を利用することが出来る。
【0024】
本発明で用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応した適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、宿主が大腸菌である場合は、trpプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーターなどが、宿主が枯草菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなど、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどが好ましい。動物細胞を宿主として用いる場合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMVプロモーター、HSV−TKプロモーターなどが挙げられる。
発現ベクターには、以上の他に、所望により当該技術分野で公知の、エンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン等を付加することができる。また、必要に応じて、本発明のDNAにコードされた蛋白質を他の蛋白質(例えば、グルタチオンSトランスフェラーゼ及びプロテインA)との融合蛋白質として発現させることも可能である。このような融合蛋白質は、適当なプロテアーゼを使用して切断し、それぞれの蛋白質に分離することが出来る。
【0025】
宿主細胞としては、例えば、当業者に公知のエシェリヒア属菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞などが用いられる。
これら宿主細胞の形質転換は、当該技術分野で公知の方法に従って行うことが出来る。例えば、以下に記載の文献を参照することが出来る。
Proc. Natl. Acad. Sci. USA,69巻,2110(1972); Gene,17巻,107(1982);Molecular & General Genetics,168巻,111(1979);Methods in Enzymology,194巻,182−187(1991);Proc. Natl. Acad. Sci. USA),75巻,1929(1978);細胞工学別冊8 新 細胞工学実験プロトコール.263−267(1995)(秀潤社発行);及び Virology,52巻,456(1973)。
このようにして得られた、本発明DNA又は本発明DNAを含む遺伝子を含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体は、当該技術分野で公知の方法に従って培養することが出来る。
【0026】
上記培養物から本発明ポリペプチド又は蛋白質を分離精製するには、例えば、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により蛋白質の粗抽出液を得る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白質変性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤が含まれていてもよい。培養液中に蛋白質が分泌される場合には、培養終了後、公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれる蛋白質の精製は、公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。
【0027】
こうして得られた本発明ポリペプチド(蛋白質)は、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には公知の方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体または他の塩に変換することができる。更に、組換え体が産生する蛋白質を、精製前または精製後に、トリプシン及びキモトリプシンのような適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去することもできる。
本発明ポリペプチド(蛋白質)又はその塩の存在は、様々な結合アッセイ及び特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイ等により測定することができる。
【0028】
本発明の抗体は、本発明蛋白質又はその部分ポリペプチドを認識し又はそれらと結合する限り特に制限はなく、公知の手段を用いてポリクローナルまたはモノクローナル抗体として得ることができる。本発明で使用される抗体として、特に哺乳動物由来のモノクローナル抗体が好ましい。哺乳動物由来のモノクローナル抗体は、ハイブリドーマに産生されるもの、および遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した宿主に産生されるもの等を含む。
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマは、基本的には公知技術を使用し、以下のようにして作製できる。すなわち、本発明蛋白質又はその部分ポリペプチドを感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞をスクリーニングすることによって作製できる。
【0029】
本発明は、本発明蛋白質であるMD−2遺伝子及び/又はTLR4遺伝子を含有する組換え発現ベクター、及び、更に転写因子活性測定ベクターによって形質転換された形質転換体に係る。尚、これらの各遺伝子は同じ発現ベクターに含まれていても良いし、夫々異なる発現ベクターに含有されていても良い。
転写因子としては宿主細胞中で発現される任意のものを使用することが出来る。代表的な例として、NF−κB/Rel ファミリー及びIRF3等を挙げることが出来る。
従って、転写因子活性測定ベクターはκB 配列等の転写因子の結合配列の制御下にレポーター遺伝子を含むことができる。
レポーター遺伝子としては、当業者に公知の任意の遺伝子、例えば、ホタルルシフェラーゼ遺伝子を使用することが出来る。
更に、形質転換体を作成する際の宿主細胞に特に制限はないが、例えば、ヒト等の哺乳類細胞由来である細胞、特に、ヒト胎児腎臓由来のHEK293細胞を使用することが出来る。
【0030】
更に、本発明は、上記形質転換体を利用したTLR4、又はTLR4及び本発明蛋白質(MD−2)からなる複合体に対するリガンドによるシグナル伝達能の測定方法に係る。この際、シグナルは、TLR4又は該複合体を介して細胞内に伝達されるものと考えられる。この測定方法は、該形質転換体におけるレポーター遺伝子の発現量をアッセイすることを含むものである。
ここで、該リガンドに特に制限はなく、例えば、グラム陰性菌外膜の主要な蛋白質であるエンドトキシン(LPS)を挙げることができる。
又、本発明は、このような測定に基づく、TLR4又は該複合体に対する作動薬(アゴニスト)又は拮抗薬(アンタゴニスト)のスクリーニング法にも係る。
当業者であれば、このようなスクリーニング方として、適当な工程から成る方法を容易に構成することが出来る。
例えば、(a) 被験物質の存在下で、本発明蛋白質及びTLR4を細胞表面に発現する細胞をTLR4受容体に対するリガンドで刺激する工程、
(b)所定時間後に細胞を溶解する工程、及び
(c)レポーター遺伝子の発現量をアッセイする工程、及び
(d) レポーター遺伝子の発現量を減少させる効果を示した被験物質を選択する工程、を含むTLR4又は該複合体に対する拮抗薬(アンタゴニスト)のスクリーニング法、を挙げることが出来る。
或いは、(a)本発明蛋白質及びTLR4を細胞表面に発現する細胞を被験物質で刺激する工程、
(b)所定時間後に細胞を溶解する工程、及び
(c)レポーター遺伝子の発現量をアッセイする工程、及び
(d) レポーター遺伝子の発現が認められた被験物質を選択する工程、を含むTLR4又は該複合体に対する作動薬(アゴニスト)のスクリーニング法を挙げることが出来る。
【0031】
【実施例】
以下に実施例に即して本発明を詳述するが、これら実施例は本発明の技術的範囲を如何なる意味でも何ら限定するものではない。
【0032】
尚、以下の実施例において使用する略語の意味は以下のとおりである。
略語一覧
LPS:リポ多糖体;
TLR4:Toll−like receptor 4;
MD−2:Myeroid defferentiation factor 2;
dNTP:デオキシリボヌクレオシド3リン酸;
ORF:Open reading flame;
GPDH:Glyceraldehyde−3−Phosphate DeHydrogenase;
PCR:Polymerase Chain Reaction;
RACE:Rapid Amplification of cDNA Ends;
RT−PCR:Reverse Transcriptase PCR;及び
cDNA:complementary DNA。
【0033】
【実施例1】
1、RT−PCR法によるウシのTLR4とMD−2のcDNA増幅
・供試動物
黒毛和種の雄牛の頸静脈より血液を採取した。
・全RNAの調製
末梢血からの全RNA抽出は、市販されている抽出試薬(TRIzol Reagent; GibcoBRL)を用いて、付属の説明書に従い行った。
【0034】
・逆転写反応によるcDNAの合成
cDNAは、市販の逆転写酵素(Super ScriptII RNase H− Reverse Transcriptase; GibcoBRL)を用い、付属の説明書に従って合成した。末梢血から抽出した全RNA1μgに対して1μl(25pmol/μl)のランダムプライマー(Random Primer; TOYOBO)を加え、H2Oで12μlに調整した後、70℃で10分間インキュベートして変性させ、氷中に移した。その溶液に、付属の5×First strand bufferを4μl、0.1M DTTを2μl、dNTP Mix(dNTP set, 100mM Solutions; Amersham Pharmaciaを10mM eachに調製したもの) を1μl加え、42℃で2分間インキュベートした後、1μlのSuper ScriptIIを加え、42℃で50分間逆転写反応を行った。反応終了後70℃で15分間加熱することにより酵素を失活させ、RNaseH(Ribonuclease H; TaKaRa)を2unit加えてRNAを分解した。これを−20℃で保存した。
【0035】
・プライマーの作製
すでに報告されているヒトおよびマウスTLR4 cDNAの塩基配列(GenBank Accession 番号:ヒトTLR4 NM_003266、マウスTLR4 NM_021297)を比較し、相同性の高い配列を基にしてbTLR4−5’(5’−CTGGATTTATCCAGGTGTGA−3’)、bTLR4−3’(5’−TCCAGTTGACACTTAGAGAG−3’)、bTLR4−F(5’−CTCCCTGACATCTTCACAGA−3’)、bTLR4−R(5’−TCGGCTCTGGATGAAGTGCTG−3’)の4種類のプライマーを作製した。
また、同様にしてウシのMD−2についてもbMD−2−F (5’−TCTGCAACTCATCCGAYGC−3’), bMD−2−R (5’−TGWTGTATTCACAGTCTCTC−3’)の2種類のプライマーを作製した。
・PCR法によるウシのTLR4とMD−2のcDNAの増幅
ウシの末梢血から抽出した全RNAを逆転写して得られたcDNAを鋳型にしてプライマーを作成した。これを用いて(組み合わせはbTLR4 5’とbTLR4 3’、bTLR4 FとbTLR4 R、bMD−2 FとbMD−2 R)、市販のPCRキット(Expand High Fidelity PCR System; Roche Diagnostics K.K)でPCR法を行った。
【0036】
PCR反応液は以下のように調製した。(50μlスケール)
10mM dNTP 1μl、10μM 5’プライマー 2.5μl、10μM 3’プライマー 2.5μl、及び鋳型DNA 1〜2μlに、H2Oを加えて25μlにし、Mix 1を調製した。一方、Buffer1 5μl及びEnzyme Mix 0.75μlにH2Oを加えて25μlにし、Master Mix 2を調製した。その後、4℃でMaster Mix 1と2を混合した。
PCR法の条件は以下の通りである。
BTLR4 5 ’と bTLR4 3 ’の組み合わせ
▲1▼94℃ 2 分
▲2▼94℃ 30 秒
▲3▼53℃ 30 秒
▲4▼72℃ 2 分
▲2▼〜▲4▼のサイクルを30回繰り返した。
bTLR4 F と bTLR4 R の組み合わせ
▲1▼94℃ 2 分
▲2▼94℃ 30 秒
▲3▼53℃ 30 秒
▲4▼72℃ 2 分
▲2▼〜▲4▼のサイクルを30回繰り返した。
bMD−2 F と bMD−2 R の組み合わせ
▲1▼94℃ 2 分
▲2▼94℃ 30 秒
▲3▼53℃ 30 秒
▲4▼72℃ 1 分
▲2▼〜▲4▼のサイクルを30回繰り返した。
【0037】
・RACE法(Rapid Amplification of cDNA Ends)によるウシのTLR4とMD−2の5’および3’末端の増幅
ウシのTLR4とMD−2の配列を決定した後、その配列を基にして作製したプライマーは以下の通りである。
ウシのTLR4 5’末端増幅用:5’GSP1(5’−AAATATTCAGGTAACTTGAA−3’)、および5’nested1 (5’− TCCAATGGGGAAGTCATTTA −3’)、5’nested2 (5’−CACCAGCTTCTGTAAACTTG−3’)。
ウシのTLR4 3’末端増幅用:3’GSP1 (5’−CCTTCACTACAGGGACTTTA−3’)、3’GSP2 (5’−GCCATCGCCGCCAATATCA−3’)。
ウシMD−2 5’末端増幅用:5’GSP−1 (5’−ATACAAGCTCCTTATATCTC−3’)、5’nGSP2 (5’−CTCAGAACGTATTGAAACAGG−3’)、および5’nested1 (5’−GTTATCACAGTAGTCGTACC−3’)。
ウシMD−2 3’末端増幅用:3’nested1 (5’−AACATTGAAGGGAAGCCGTG−3’)、3’nested2 (5’−TCCATGAATTTCCCATTGCG−3’)。
【0038】
5’RACEは、市販のキット(5’RACE System for Rapid Amprification of cDNA Ends,Version 2.0; GIBCO BRL)を用い付属の説明書に従い行った。
1) First Strand cDNAの合成
cDNAの合成は0.2mlのPCR用チューブにGSP1 2.5pmol及びサンプルRNA 5μgをとり、H2Oを加えて15.5μlにした。
これを70℃で10分間インキュベートすることによりRNAを変性させ、氷上で1分間インキュベートし、これに、10×PCR buffer 2.5μl、25mM MgCl2 2.5μl、10mM dNTPs Mix 1μl及び0.1M DTT 2.5μlをまぜて、これを42℃で1分間インキュベートした。
Super ScriptII1μlを加えて42℃で50分間インキュベートした後70℃で15分間加熱することによりSuper ScriptIIを失活させた。RNase Mix 1μlを加えて37℃で30分間インキュベートしてcDNAを得た。これを−20℃で保存した。
2) Glass Max DNA Isolation Spin Cartridge Purification of cDNAによるFirst strand
cDNAの精製
Binding solutionを室温にし、あらかじめH2Oを65℃に加温しておいた。First strand solutionに120μlのBinding solutionを加えた。cDNA/NaI solutionをGlass max spin cartridgeに移し、室温で10.000×g、20秒間遠心した。
チューブからInsert cartridgeを取り、Flowthroughを別のチューブに移しとっておいた。これに0.4mlのWash bufferをspin cartridgeに入れ室温で10.000×g、20秒間遠心した。この操作を3回繰り返した。室温で10.000×g、1分間遠心してCartridgeを乾かした。
Cartridgeを新しいサンプルを回収チューブにのせ、50μlのH2O(65℃)を加えて、室温で10.000×g、1分間遠心してcDNAを回収した。
3) TdT によるcDNAのtailing
TdT によるcDNAのtailingを以下の通り行った。
H2O 6.5μl、5×Tailing buffer 5μl、2mM dCTP 2.5μl及びGlass Max purified cDNA sample 10μlを混ぜて94℃で3分間インキュベートした後、氷上に移した。1μlのTdTを加えて37℃で10分間インキュベートした。65℃で10分間インキュベートでTdTを失活させて、これを−20℃で保存した。
4) PCRによるtailed cDNAへのdCTPの付加
dCTPの付加反応の条件は以下の通りである。
サーマルサイクラー(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL; TaKaRa)を94℃にしておいた。次に、以下のものを混ぜ、0.5μlのTaq DNA polymerase(5unit/μl)を加えて、以下の条件でPCRを行った。
H2O 31.5μl
10×PCR buffer 5μl
25mM MgCl2 3μl
10mM dNTP Mix 1μl
GSP2(10μM)2μl
Abridged Anchor Primer(5’−GGCCACGCGTCGACTAGTACGGGiiGGGiiGGGii G−3’ 10μM)2μl
dCTP tailed cDNA 5μl。
PCR 条件
▲1▼94℃ 2 分
▲2▼94℃ 30 秒
▲3▼55℃ 30 秒
▲4▼72℃ 2 分
▲2▼〜▲4▼のサイクルを30〜35回繰り返した。
5) Nested PCRによる増幅
1st PCRの産物5μlを495μlのTEで希釈し、以下の組成でPCRを行った。
H2O 33.5μl
10×PCR buffer 5μl
25mM MgCl2 3μl
10mM dNTP Mix 1μl
nested GSP(10μM)1μl
AUAP(5’−GGCCACGCGTCGACTAGTAC−3’ 10μM)1μl
1st PCR product(1/100) 5μl。
以上を混ぜ0.5μlのTaq DNA polymerase(5unit/μl)を加えてPCRを行った。
【0039】
3’RACEによる3’末端cDNAの増幅は、市販のキット(3’RACE System for Rapid Amprification of cDNA Ends; GIBCO BRL)を用い付属の説明書に従い行った。
1) First Strand cDNAの合成
cDNAの合成は0.2mlのPCR用チューブにKAUAP−18dT(5’−18dT+GACGACAAGGGGCCACGCGTCACGTAGTAC−3’10μM) 1μl、サンプルRNA 5μgをとり、H2Oを加えて12μlにした。
これを70℃で10分間インキュベートすることによりRNAを変性させ、氷上で1分間インキュベートし、これに、5×first strand buffer 4μl、25mM MgCl2 2μl、10mM dNTPs Mix 1μl、及び0.1M DTT 2μlをまぜ、これを42℃、1分間インキュベートした。
これにSuper ScriptII 1μlを加えて、42℃で50分間インキュベートした後、70℃で15分間インキュベートしてSuper ScriptIIを失活させた。
これにRNase Mix 1μlを加えて、37℃で30分間インキュベートしてcDNAを得た。これを−20℃で保存した。
2) cDNAの増幅
cDNAの増幅の条件は以下の通りである。
H2O 36.5μl
10×PCR buffer 5μl
25mM MgCl2 3μl
10mM dNTP Mix 1μl
GSP1(10μM)2.0μl
KAUAP(5’− GACGACAAGGGGCCACGCGTCACGTAGTAC −3’10μM)2.0μl
Taq DNA polymerase(5unit/μl)0.5μl
以上を混ぜ2μlの1st strand cDNAを加えてPCRを行った。
【0040】
・cDNAの電気泳動および検出
0.8%アガロースゲル(Agarose S; ニッポンジーン)で電気泳動した。ゲルの組成は以下の通りである。
アガロース0.8%
臭化エチジウム0.2μg/ml
TAE(0.04M Tris、0.04M氷酢酸、0.001M EDTA)。
目的のバンドを340nm紫外線下(Gel DocII; BIO RAD)で観察した。
【0041】
【実施例2】
2、ウシのTLR4とMD−2の塩基配列の解析
クローニングしたウシのTLR4とMD−2のcDNAを鋳型として、市販のシーケンスキット(ABI PRISM Big Dye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kits; PE Biosystems)を使用してサイクルシーケンス反応を行った(21)。反応産物をオートシーケンサー(ABI PRISMTM 310 Genetic Analyzer; PE Biosystems)にて分析し、塩基配列を決定した。
その結果、得られた塩基配列を配列番号1に示し、更に、その塩基配列から予想されるアミノ酸配列を配列番号2に示した。
ウシのTLR4のcDNAは、2526bpのオープンリーディングフレーム(ORF)にコードされる推定841個のアミノ酸で構成されていた(図1)。また、ウシのMD−2のcDNAは、483bpのORFにコードされる推定160個のアミノ酸で構成されていた(図2及び図3)。TLR4の配列は既にデータベースに登録されていたもの(AF310952)と一致したが、MD−2の配列はデータベースに既に記載されたMD−2(AF368418)とアミノ酸配列レベルで約30%異なっていた。これより、他の動物種ではそれぞれ1種類のMD−2しか報告されていないが、ウシでは2種類存在することが示された。
【実施例3】
3、ノーザンブロット解析
・cDNAプローブの調製
ウシのTLR4およびMD−2のcDNA全長をGeneclean III (BIO 101, USA) で精製したものを鋳型にして、Megaprime DNA labelling systems (amersham pharmacia biotech, USA) により、付属の説明書に従って、[α−32P] Deoxy CTP (370kBq/μl; Moravek Biochemical Inc., USA)で標識した。
GPDHプローブは、ウシDNAを鋳型にして5’−GACCACAGTCCATGCCATCAC−3’と5’−GTCCACCACCCTGTTGCTGTA−3’をプライマーとしたPCRによって増幅したDNA断片を、Geneclean IIIによって精製し、上述のように[α−32P] Deoxy CTPで標識した。
・RNAの調製および電気泳動
RNA5μgにRNA泳動用バッファー (10×) 2.5μl、ホルムアルデヒド (和光純薬, 日本) 4μl、ホルムアミド (nakalai tesque, 日本) 12.5μl、蒸留水適量を加えて25μlとし、65℃で15分間加熱後、氷水で急冷して、RNAを変性させた。このRNA溶液に、DNA loading buffer2.5μl、臭化エチジウム (和光純薬, 日本)を終濃度40μg/mlになるように加え、RNA泳動用バッファー (1×) と18% ホルムアルデヒドを含む1% アガロースゲル中で、RNA泳動用バッファー (1×) を電極槽液として、50V、5〜6時間電気泳動した。
・ナイロンメンブレンへのトランスファー
泳動終了後、ゲルを蒸留水に浸して15分間、2回振盪し、さらにSSC (10×) に浸して30分間振盪した。ゲルをSSC (10×) に浸したスポンジ、ワットマン3MM濾紙 (Whatman International Ltd., UK) の上に乗せ、さらにその上にナイロンメンブレンフィルター (GeneScreen Plus; NEN Life science, USA) 、ワットマン3MM濾紙、ペーパータオルの順に乗せて、一晩静置することにより、ゲル中のRNAをナイロンメンブレンに移行させた。フィルターをSSC (2×) で軽く洗浄後、紫外線照射によりRNAを固定させた。
・ハイブリダイゼーションおよび検出
作製したフィルターをハイブリダイゼーションバッファーに浸し、62℃で3〜4時間プレハイブリダイゼーションした後、前述の方法にて32Pで標識したウシTLR4プローブ、またはGPDHプローブを加え、さらに55℃〜62℃で一晩ハイブリダイゼーションを行った。反応後、フィルターをSSC(2×)および1%SDSを含む溶液とSSC(0.5×)および0.1%SDSを含む溶液で洗浄した。このフィルターを、増感紙 (BioMax TranScreen−HE; Kodak, USA) を用いてX線フィルム(BioMax MS Film; Kodak, USA) に−80℃で3日〜1週間露光し、フィルムを現像した。以上の結果、TLR4とMD−2の両者の発現が確認された。また、TLR4の発現においては高濃度LPSで刺激した場合、若干の発現の減少が見られた。(図4)
【0042】
【実施例4】
4、ウシのTLR4のMD−2の存在下でのLPSシグナル伝達能の検討
・ウシTLR4とMD−2の強制発現ベクターの作製
Luciferase assayに使用するウシTLR4とMD−2の強制発現ベクターを作製するために、ウシのTLR4とMD−2のタンパク質全長をコードする塩基配列を以下のようなプライマーを用いて増幅した。
ウシTLR4を増幅する組み合わせ:
bTLR4−5’FL (5’−TGCCAGGATGATGGCGCGTG−3’)とbTLR4−3’FL(5’−AGAAGCACATCAGGGGATTC−3’)
ウシMD−2を増幅する組み合わせ:
bMD−2 5’FL(5’−GTTTTGGAGAGATTGAATCAT−3’)とbMD−2 3’FL (5’−TTATTCTAATTGAAATCAGG−3’)。
上記の組み合わせでウシ末梢血total RNAより合成したcDNAを鋳型としてPCR法に供した。PCR法の条件は以下の通りである。
ウシ TLR4 の場合
▲1▼94℃ 2 分
▲2▼94℃ 1 分
▲3▼53℃ 1 分
▲4▼72℃ 3 分。
▲2▼〜▲4▼のサイクルを30回繰り返した。
ウシ MD−2 の場合
▲1▼94℃ 2 分
▲2▼94℃ 1 分
▲3▼53℃ 1 分
▲4▼72℃ 1 分。
▲2▼〜▲4▼のサイクルを30回繰り返した。
以上のPCRで得られた産物を電気泳動により精製し、塩基配列を確認後、pGEM−T Easy VectorにTAクローニングした。得られたプラスミドDNAを制限酵素Not1 で切断した。
制限酵素反応液の組成
H2O 6μl、10倍濃縮 buffer 1μl、10倍BSA buffer 1μl、プラスミドDNA 1μl (400ng)、及びNot1 1μlから成る混合物を37℃で2時間インキュベートした後、さらに68℃で20分間インキュベートすることにより酵素を失活させ、前述の方法に従い目的のバンドを精製した。同様に哺乳類用強制発現ベクターであるpCDNA3(Invitrogen) をNot1で切断後、アルカリフォスファターゼ処理し、精製したTLR4あるいはMD−2をコードするDNA断片をライゲーションした。すなわち、5×Ligation Buffer 2μl、ウシTLR4/MD−2断片3μl、pCDNA3 Vector 1μl、H2O 3μl、及びT4 DNA Ligase 1μlを混和し、16℃にて一晩インキュベートしライゲーションした。得られたプラスミドDNAをベクター上のT7 プライマー(5’−GTAATACGACTCACTATAGGGC−3’)とbTLR4 3’FLあるいはbMD−2 3’FLを用いてインサートチェックを行うことによりインサートの向きが正常であることを確認し、強制発現ベクターとした。
【0043】
・HEK293細胞(ヒト胎児腎臓由来)の培養
HEK293細胞(東北大学加齢医学研究所より購入)の培養に用いた培地の組成は以下の通りである(500mlの場合)。
MEM(日水) 430ml (ろ過滅菌済)
100倍濃縮L−Glutamin (日水) 5ml (ろ過滅菌済)
100倍濃縮NEAA (non−essential amino acid: GibcoBRL) 5ml。
これらにオートクレーブ処理済の8%重炭酸ナトリウムを適量加え、PHを7.2になるように調整した。その後、非働化ウシ胎児血清(Sigma、Lot:128H8482)を50ml加えた。これらを用い、37℃、5%CO2条件下で培養した。細胞は5日おきにトリプシン処理により遊離させ、4分の1に希釈して継代した。
【0044】
・HEK293細胞へのDNAの導入
HEK293細胞を12穴プレートにて1穴あたり3×105個加え、一晩インキュベート後、遺伝子導入の約1時間前に培地交換した。この時の添加培地量は0.5mlとした。遺伝子導入にはFuGENE6 (Roche) によるリポフェクション法を用いた。FuGENE6の希釈には血清無添加RPMI培地 (GibcoBRL) を用いた。1穴あたりの組成を以下に示す。
1.RPMI培地 20μl
2.FuGENE6 1μl
3.DNA 220ng
用いたDNAの組み合わせは以下の通りである。
a: 空ベクター 100ng
κB活性測定ベクター 100ng
導入効率測定ベクター20ng
b: TLR4強制発現ベクター50ng
空ベクター 50ng
κB活性測定ベクター 100ng
導入効率測定ベクター20ng
c: MD−2強制発現ベクター50ng
空ベクター 50ng
κB活性測定ベクター 100ng
導入効率測定ベクター20ng
b: TLR4強制発現ベクター50ng
MD−2強制発現ベクター50ng
κB活性測定ベクター 100ng
導入効率測定ベクター20ng
【0045】
空ベクターには、ウシTLR4およびMD−2導入前のpCDNA3ベクターを用いた。κB活性測定ベクターとしては、転写因子NF−κBの活性に比例してホタルルシフェラーゼが合成されるκB−Luciferase vector (Clontech) を用いた。導入効率測定ベクターとしては、遺伝子の細胞への導入量に比例してウミシイタケルシフェラーゼが合成されるpRL−tk (Promega)を用いた。まず1に2を加え20分室温でインキュベートした。次にDNAを加えさらに20分間室温でインキュベート後、準備した細胞に加えた。6〜8時間後、培地を交換しさらに18時間培養後LPS刺激を行った。
【0046】
・細胞の溶解と回収
既存の培地を除去後PBSで一度軽く細胞を洗浄し、次に1×Passsive Lysis Buffer (Promega) を1ウェルあたり50μl加えた。この状態で室温で数分間インキュベートすることで細胞を溶解させた後、これらを回収しLuciferase assayに供した。
【0047】
・Luciferase活性の測定
Luciferase活性はTR−717 (PERKIN ERMER)を用いて測定した。測定方法はDual−luciferase assay system (Promega)の法に準じた。すなわち96穴プレートを用いてLuciferase assay reagent 25μlに対して細胞溶解液5μlを加え、ピペッテイングし、速やかに25℃にてホタルルシフェラーゼの発光度を10秒間測定した。次にStop and glow reagentを25μl加え、ピペッテイングし、速やかに25℃にてウミシイタケルシフェラーゼの発光度を10秒間測定した。遺伝子導入を行わない細胞の発光度をバックグラウンドとして各サンプルの数値より差し引いた後、ホタルルシフェラーゼの値をウミシイタケルシフェラーゼの値で割り、各サンプルの相対NF−κB活性値とした。
その結果、HEK293細胞においてウシのTLR4とMD−2をそれぞれ単独にあるいは同時に強制発現させ、LPSで刺激した時の核内転写因子であるNF−κBの活性化状態を測定した。その結果、ウシのTLR4とMD−2の共存下でNF−κBの顕著な活性化が見られた。また、TLR4単独でもわずかなNF−κBの活性化が見られた。(図5)
【0048】
HEK293細胞を用いたウシの TLR4およびMD−2の強制発現実験から、ウシの TLR4はMD−2との共存下でLPS刺激を細胞内へ伝達することが示された。また、ヒトやマウスではTLR4とMD−2は複合体を形成することによりLPSのシグナル伝達に関わることが報告されており、ウシのTLR4およびMD−2のmRNAは末梢血で共に強い発現が見られたことからウシの生体内で実際に、TLR4/MD−2複合体はレセプターとしてLPSシグナルを細胞内に伝えていることが明らかとなった。また、末梢血で高濃度のLPS刺激を行った場合、TLR4の発現量の減少が見られた。このことは白血球系細胞のLPS応答の減弱を意味し、ウシにおいてTLR4の発現量の調節により過度のLPSに対する生体反応を緩和する機構が存在することが示唆された。
【0049】
LPSおよびその構造類似物質に対する反応は動物種によってことなり、その種特異性はMD−2の構造の違いに依存することが、ヒトとマウスでの研究にもとづき報告された。ウシMD−2の配列とヒトやマウスのものとの違いは、これらの動物種間でのLPS反応性の違いと密接に関わっていると考えられる。また、本研究で分離されたMD−2の配列はデータベースで報告されたものと異なっていた。これより、他の動物種ではそれぞれ1種類のMD−2しか報告されていないが、ウシでは2種類存在することが示された。ウシMD−2が2種類存在することは、ウシでは個体によりLPS反応性がことなる結果につながる可能性がある。特に、ウシでLPS受容体に対する作動薬(アゴニスト)や拮抗薬(アンタゴニスト)を開発するために本知見は重要である。
本研究では、LPSシグナル伝達メカニズムについてTLR4とその修飾因子MD−2に着目した。しかし実際に生体内で行われているLPS認識にはこれらに加え多くの分子が関与する複雑なプロセスであり、さらなる病原体認識機構の分子基盤の解明は非常に重要な課題である。
【0050】
【発明の効果】
本発明者はヒトやマウスでLPSレセプターとして見い出されたTLR4に着目し、ウシのTLR4とその修飾因子MD−2の同定と分子レベルでの機能解析を行った。その結果、新型ウシMD‐2をコードする遺伝子を見いだし、それに基づき、TLR4のレベルでウシに特有なLPS認識機構が存在することを示した。また、TLR4の発現量の調整によるLPSシグナルを緩和する機構が存在することを示した。
これらの知見に基づき、これらの遺伝子を導入した細胞によるLPS受容体を介した薬物のスクリーニング方法等の開発に成功した。
【0051】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】ウシ由来のTLR4のアミノ酸配列と他種由来のTLR4との比較を示す。
【図2】本発明のウシ由来のMD−2の塩基配列及び推定一次構造(アミノ酸配列)、並びに、他種由来のMD−2との比較を示す。
【図3】本発明のウシ由来のMD−2の推定一次構造(アミノ酸配列)と既報のMD−2(AF368418)のそれとの比較を示す。、
【図4】ウシ末梢血におけるTLR4及びMD−2の発現の結果を示す電気泳動の写真である。
【図5】ウシのTLR4及びMD−2の強制発現によるHEK293細胞のLPS応答能の変化を示すグラフである。
Claims (27)
- 以下の(a)又は(b)のポリペプチドをコードするDNA:
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列から成るポリペプチド、
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチド。 - 以下の(a)又は(b)のDNAを含むDNA:
(a)配列番号1に示される塩基配列から成るDNA、
(b)(a)のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチドをコードするDNA。 - 以下の(a)又は(b)のDNAを含むDNA:
(a)配列番号1に示される塩基配列から成るDNA、
(b)配列番号1に示される塩基配列に対する相同性が85%以上であり、且つ、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチドをコードするDNA。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のDNAを含む遺伝子。
- 以下の(a)又は(b)のポリペプチドを含む蛋白質:
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列から成るポリペプチド、
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチド。 - 以下の(a)又は(b)のポリペプチドを含む蛋白質:
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列から成るポリペプチド、
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列に対する相同性が75%以上であるアミノ酸配列からなり、エンドトキシン認識活性を有するポリペプチド。 - 組換え蛋白質であることを特徴とする、請求項5又は6記載の蛋白質。
- 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の少なくとも一種のDNA又は請求項4記載の遺伝子を含有する組換え発現ベクター。
- 組換えプラスミドベクターである請求項8に記載の組換え発現ベクター。
- TLR4遺伝子を有する含有する組換え発現ベクターによって形質転換された形質転換体。
- 更に、請求項8又は9に記載の発現ベクターによって形質転換された、請求項10記載の形質転換体。
- 更に、転写因子活性測定ベクターによって形質転換された、請求項10又は11記載の形質転換体。
- 転写因子がNF−κB/Rel ファミリーである、請求項12記載の形質転換体。
- 転写因子活性測定ベクターがκB 配列の制御下にレポーター遺伝子を含むことを特徴とする、請求項13記載の形質転換体。
- レポーター遺伝子としてホタルルシフェラーゼ遺伝子を使用する、請求項14記載の形質転換体。
- 形質転換体が哺乳類細胞由来である請求項10〜15のいずれか一項に記載の形質転換体。
- 哺乳類細胞がCD14を発現している細胞である、請求項16に記載の形質転換体。
- 哺乳類細胞がHEK293細胞である請求項17に記載の形質転換体。
- 請求項12〜18のいずれか一項に記載した形質転換体におけるレポーター遺伝子の発現量をアッセイすることを含む、TLR4、又は、TLR4及び請求項5〜7のいずれか一項に記載の蛋白質から成る複合体に対するリガンドによるシグナル伝達能の測定方法。
- シグナルが、TLR4、又は、LTR4及び請求項5〜7のいずれか一項に記載の蛋白質から成る複合体を介して細胞内に伝達されることを特徴とする、請求項19記載の測定方法。
- リガンドがエンドトキシンである、請求項19又は20記載の測定方法。
- レポーター遺伝子としてホタルルシフェラーゼ遺伝子を使用する、請求項19〜21のいずれか一項に記載の測定方法。
- 請求項19〜22のいずれか一項に記載の測定に基づく、TLR4、又は、TLR4及び請求項5〜7のいずれか一項に記載の蛋白質から成る複合体に対する作動薬(アゴニスト)又は拮抗薬(アンタゴニスト)のスクリーニング法。
- (a) 被験物質の存在下で、請求項5〜7のいずれか一項に記載の蛋白質及びTLR4を細胞表面に発現する細胞を、TLR4、又は、TLR4及び請求項5〜7のいずれか一項に記載の蛋白質から成る複合体に対するリガンドで刺激する工程、
(b)所定時間後に細胞を溶解する工程、及び
(c)レポーター遺伝子の発現量をアッセイする工程、及び
(d) レポーター遺伝子の発現量を減少させる効果を示した被験物質を選択する工程、を含む請求項23に記載の拮抗薬(アンタゴニスト)のスクリーニング法。 - リガンドがLPSである、請求項24に記載のスクリーニング法。
- (a)請求項5〜7のいずれか一項に記載の蛋白質及びTLR4を細胞表面に発現する細胞を被験物質で刺激する工程、
(b)所定時間後に細胞を溶解する工程、及び
(c)レポーター遺伝子の発現量をアッセイする工程、及び
(d) レポーター遺伝子の発現が認められた被験物質を選択する工程、を含む請求項23に記載の作動薬(アゴニスト)のスクリーニング法。 - 請求項5〜7のいずれか一項に記載の蛋白質又はその部分ポリペプチドに対する抗体。
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WO2008003489A1 (de) | 2006-07-07 | 2008-01-10 | Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. | Zellulärer pyrogentest mittels toll-like rezeptor |
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