JP2004357517A - 緑色組織特異的プロモーター - Google Patents

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Abstract

【課題】緑色組織における選択性の高いプロモーター及びそのようなプロモーターを容易に利用可能たらしめるベクターを提供する。
【解決手段】(a)特定の配列塩基配列を有するDNA;(b)特定の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ緑色組織特異的発現能を有するイネ由来のDNA;又は(c)特定の塩基配列において1個若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、且つ緑色組織特異的発現能を有するイネ由来のDNAからなるプロモーター、並びに当該プロモーターを含むベクター及び当該ベクターを植物体に導入する遺伝子の発現方法。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物における遺伝子発現のための新規なプロモーター及びベクター、並びに遺伝子の発現方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、植物に各種機能を付与するために、発現したい物質をコードする遺伝子を導入した、種々の形質転換植物が開発されている。
【0003】
形質転換植物においては、導入した遺伝子が、植物の各種器官組織のうち、発現することが望まれるもののみにおいて発現することが求められる場合がある。例えば、イネのアントラニル酸合成酵素αサブユニット遺伝子OSASA1をアミノ酸置換により改変したOSASA1D遺伝子(特許文献1参照)を導入することにより植物体のトリプトファン合成を増大させようとする場合、アミノ酸の多くを産生する部位である葉等の緑色組織において当該遺伝子が選択的に発現するようにすることができれば、作物の生育に過剰な負担をかけずにトリプトファン合成量を増やせることが期待される。
【0004】
遺伝子を植物体に導入し発現させる際には、当該遺伝子と共に用いるプロモータの選択が、発現の効率を左右する。プロモーターは、その候補となるDNAを、レポーター遺伝子と連結し、植物体におけるその発現を測定することにより探索しうる。β−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子は、これと連結してGUSを発現しうるプロモーターが通常殆どの多様な他の遺伝子と連結してもその発現をもたらしうることから、プロモーターの探索のためのレポーター遺伝子としてよく用いられる。
【0005】
これまで、緑色組織において選択的に発現するプロモーターとしては、例えば特許文献2において列挙されるものなどが知られているが、連結された遺伝子を発現させる能力が高く、且つ緑色組織における発現をより選択的に行なうプロモーターが求められている。
【0006】
【特許文献1】
国際公開パンフレットWO99/11800号
【特許文献2】
米国特許明細書第6033891号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、緑色組織における選択性の高いプロモーター及びそのようなプロモーターを容易に利用可能たらしめるベクターを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、(a)配列番号1の塩基配列を有するDNA;(b)配列番号1の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ緑色組織特異的発現能を有するイネ由来のDNA;又は(c)配列番号1の塩基配列において1個若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、且つ緑色組織特異的発現能を有するイネ由来のDNAからなるプロモーターが提供される。
【0009】
また、本発明によれば、前記プロモーターを含むベクターが提供される。
【0010】
さらに、本発明によれば、前記プロモーターと、その下流に連結された、緑色組織特異的に発現することが所望される遺伝子とを含むベクターを植物体に導入する工程を含む、緑色組織特異的な遺伝子の発現方法が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のプロモーターは、(a)配列番号1の塩基配列を有するDNA;(b)配列番号1の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ緑色組織特異的発現能を有するDNA;又は(c)配列番号1の塩基配列において1個若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、且つ緑色組織特異的発現能を有するDNAからなる。
【0012】
前記(a)〜(c)のDNAは、いずれも、イネ由来のものとすることができるが、これに限定されず、他の植物から同じ配列を切り出すこと等により得ても良く、また、化学的に合成することによって得てもよい。また前記(b)のDNAについての「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズ」するとは、標準的なハイブリダイゼーション条件下に、2つの核酸断片が互いにハイブリダイズできることを意味し、本条件は、Sambrook et al., Molecular Cloning : A laboratory manual (1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, USAに記載されている。詳しくは、「ストリンジェントな条件」とは、0.1〜0.6x、好ましくは0.4xのSSC中で約45℃にてハイブリダイゼーションを行い、そして2x SSCによって50℃にて洗浄することにより達成しうる。
【0013】
本発明において「緑色組織特異的発現能を有する」プロモーターとは、同じ植物体の他の組織又は器官の少なくとも1種におけるよりも強く、緑色組織において遺伝子を発現させることができるプロモーターをいう。より具体的には、本発明のプロモーターに他の遺伝子を連結した場合、同一の遺伝子を例えば公知のユビキチンプロモーター(特許文献1参照)に連結した場合に比べて、緑色組織において遺伝子の発現が相対的に強く、その他の組織又は器官において遺伝子の発現が弱い場合、緑色組織特異的発現能を有するものとすることができる。
【0014】
配列番号1の塩基配列を有するDNAの配列は、イネ染色体に含まれている配列であるので、イネ染色体DNAを鋳型として適当なプライマーを用いてPCR増幅をする等の公知の方法により得ることができるが、菌株Escherichia coli RbcAc−IntronGUS/XL−1(特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1−1−1中央第6)に寄託番号FERM P−19377として2003年5月30日に寄託されている)中のプラスミドに含まれるDNAを、本発明のプロモーターとして簡便に用いることができる。
【0015】
本発明のベクターは、その塩基配列中に、上記本発明のプロモーターを含む。本発明のベクターのそれ以外の部分の配列は、特に限定されないが、本発明のプロモーターにより緑色組織に特異的に発現することが所望される遺伝子を含むことができる他、さらにプロモーターと対になり用いられるターミネーター遺伝子、遺伝子発現の指標となるレポーター遺伝子、ベクターが導入された細胞を選別するための選抜マーカー遺伝子、本発明のプロモーターの発現に影響しない他の配列等を必要に応じて含むことができる。前記レポーター遺伝子としては、例えばβ−グルクロニダーゼ遺伝子(GUS)等を挙げることができる。前記ターミネーターとしては、nosターミネーターなどを用いることができる。前記選抜マーカー遺伝子としては、広く用いられているHPT(ハイグロマイシン耐性発現遺伝子)、NPTII(カナマイシン耐性発現遺伝子)を、広く用いられているpnosプロモーター、p35Sプロモーター等の各種の適当なプロモーター等と共に用いることができる。なお、本発明のベクターは、前記本発明のプロモーターの下流に緑色組織に特異的に発現することが所望される遺伝子を連結したものを含むことは勿論のこと、そのような遺伝子を連結していない状態のもの、例えばそのような遺伝子を連結していない状態で提供され、そのベクターを提供された入手者が所望の遺伝子を簡便に連結し緑色組織に特異的に発現させることができるようにしたものをも含む。さらに具体的には、前記本発明のプロモーターの下流に、繁用される制限酵素により認識されうる配列を有するようにしたベクターを好ましく挙げることができる。
【0016】
本発明のベクターの調製方法は特に限定されないが、前記本発明のプロモーターを、公知のもの等の他のベクターに組み込むことにより調製できる他、上記菌株RbcAc−IntronGUS/XL−1から常法により取得したものをそのまま、または必要に応じてプロモーターの下流の遺伝子を組みかえて得ることもできる。
【0017】
本発明の遺伝子の発現方法では、前記本発明のプロモーターと、その下流に連結された、緑色組織特異的に発現することが所望される遺伝子とを含むベクターを植物体に導入する工程を含む。
【0018】
導入対象の植物体は、イネを好ましく挙げることができる。また、緑色組織に特異的に発現することが所望される遺伝子は特に限定されないが、具体的には例えば、特定のアミノ酸の合成を増大させる遺伝子を緑色組織に特異的に発現させ、かかる遺伝子による植物体の稔性や生育力の低下等の不所望な影響を避けながら、アミノ酸の合成量だけを増大させることができる。より具体的には、例えば、イネのアントラニル酸合成酵素αサブユニット遺伝子OSASA1をアミノ酸置換により改変したOSASA1D遺伝子(特許文献1参照)を導入することにより、緑色組織におけるトリプトファン合成を促進して、植物体のトリプトファン合成を増大させることができる。また、リーフディスク法等により、いわゆるカルスではなく緑色組織から植物体を再生する場合、本プロモーターに前記選抜マーカー遺伝子をつないで、形質転換体を得ることができる。また他に、病害抵抗性遺伝子を葉で発現させることで抵抗性を付与しうる。
【0019】
ベクターを植物体に導入する方法は、特に限定されないが、例えば、ベクターで植物細胞カルスを形質転換し、形質転換カルスを植物体に分化させることにより行なうことができる。
【0020】
植物細胞カルスの調製は、具体的には例えば、イネのカルスの場合以下の方法等により行うことができるがこれに限定されない。
イネの完熟種子から籾殻を除き、得られた外皮付きコメ種子をエタノール溶液で殺菌、次いで次亜塩素酸ナトリウムの希水溶液で殺菌し、さらに滅菌水で洗浄する。MS培地等にショ糖、植物ホルモンとしての2,4−D(2,4−diclorophenoxyacetic acid)、寒天等を加えてなる組成のカルス形成用培地に、外皮付きコメ種子を置く。28℃で、暗黒条件下で30〜40日間培養すると、イネカルスが形成される。そのカルスを種子から切取り形質転換用カルスを得ることができる。
【0021】
次いで、ベクターによる植物細胞カルスの形質転換は、例えば、ベクターを、アグロバクテリウム法によりカルス細胞に導入することにより行なうことができる。アグロバクテリウム法においては、まず、宿主であるアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)への組み込みを行う。組み込みは公知のエレクトロポレーション法、凍結融解法、トリペアレントメルティング法等により行うことができる。得られたアグロバクテリウム細菌を、例えば、細胞工学別冊(モデル植物の実験プロトコール、93〜98頁、1996年、秀潤社発行)等にしたがって、前記調製したイネの細胞カルスと共存培養することにより、ベクターをイネの細胞カルスに導入することができる。
【0022】
ベクターが導入されたカルスは、必要に応じて、ベクターに組み込まれた上記選抜マーカーに基く耐性等により選抜し、植物体に分化させ、植物体とすることができる。得られた植物体においては、緑色組織に特異的に、本発明のプロモーターの下流に連結された遺伝子が発現されうる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例を参照して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、以下の実施例で行われる実験操作の手順は、特に記述しない限り、「Molecular Cloning」第2版(J. Sambrookら、Cold Spring Habor Labratory Press, 1989年発行)に記載される方法に従った。
【0024】
【実施例1】
(本発明のプロモーター及びベクターの調製)
イネ成葉由来のcDNAライブラリーを、プラスミド(HybriZAP2.1、Stratagene社製)を用いて大腸菌に導入して形質転換した。この大腸菌を培地プレート当り5×10cfuとなるよう広げてコロニーを形成させた。これをコロニーハイブリダイゼーション用のメンブレンに転写し、膜上で溶菌、アルカリによるDNAの変性、中和を経て、紫外線照射を行ない、膜に菌体のDNAを固定した。
【0025】
このメンブレンに対し、オリゴキャップ法で作成したイネ穂由来のcDNAを[α−P32]dCTPでラベルしたものをプローブとして用いコロニーハイブリダイゼーションを行なった。オートラジオグラフによりコロニーを検出した後、メンブレンフィルターから、穂由来cDNAのハイブリダイズが検出された部分を取リ除いてから、さらにイネ成葉由来の全長cDNAを同様にラベルしたものをプローブとして再度ハイブリダイゼーションを行なった。その結果、穂由来のプローブでは検出されず、葉由来のプローブでのみ検出されるクローンが見出された。このクローン4つを選び、プラスミドを抽出し、cDNAをPCRにより増幅し塩基配列を決定したところ、それらのうち3つがRubisco activase遺伝子由来のcDNAであることが判明した。この配列を元にイネゲノム配列のデータベースを検索した結果、この遺伝子のゲノミックシーケンス情報が得られた。このcDNA配列とゲノミックシーケンスをもとに、5’RACE法(Invitrogen社製GeneRacer Core kitの使用手順に従った)により、転写開始点を決定し、さらにRubisco activaseのプロモーター領域を、配列番号1の通り同定した。
【0026】
このプロモーター領域をPCRにより増幅すべく、制限酵素HindIII及びXbaI認識部位の配列を持たせた下記配列のプライマーA(配列番号2)及びプライマーB(配列番号3)を常法により合成した。
プライマーA:CCAAT TCACC ACAAG CTTCT TAATT(配列番号2)
プライマーB:AAGTC GATGA TTGTA GAGGA TCACT G(配列番号3)
イネより得た染色体DNAを鋳型とし、前記プライマーA及びBを用い、KOD DNAポリメラーゼによるHigh Fidelity PCRを行ない、配列番号1のプロモーターの両端に制限酵素認識部位を有するDNAを増幅した。
【0027】
増幅したDNAを、制限酵素HindIII及びXbaIで処理した。一方、pnosプロモーター、その下流に連結されたカナマイシン耐性を発現する配列(NPTII)、GUS遺伝子領域、p35Sプロモーター、その下流に連結されたハイグロマイシン耐性を発現する配列(HPT)、nosターミネーター等を含む15kbサイズの公知のベクターpIG121−Hmを同様にHindIII及びXbaIで消化した。これらをライゲーションし、pIG121−HmのGUS遺伝子領域の上流に、配列番号1のプロモーターを連結したプラスミドpRbcAc−Intron GUSベクター(図1参照)を得た。このプラスミドを、大腸菌に導入した菌株は、Eschericia coli RbcAc−Intron GUS/XL−1として、特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1−1−1中央第6)に寄託番号FERM P−19377として2003年5月30日に寄託した。
【0028】
【実施例2】
(本発明のベクターをアグロバクテリウムEHA101に導入)
(1)LB培地(バクトトリプトン10g/l、バクトイーストエクストラクト5g/l及びNaCl 5g、1N NaOH 2ml)の液体培地300mlにアグロバクテリウム(Agrobacterium tumefaciens)EHA101(ATCC53487として公衆により利用可能)を移植し、28℃で6時間振とう培養し、菌液を得た。
(2)50mlのYEB培地(1Lあたり、バクトペプトン5g、ビーフエキストラクト5g、バクトイーストエキストラクト1g、ショ糖5g、2mM MgSO、1N NaOHでpH7.2)を入れたフラスコに(1)の菌液を0.5ml加え、30℃で約9時間振とう培養した。
(3)遠心管に移し氷冷した後、6000rpm、5分間、4℃で遠心し上清を除き、氷冷した10mMトリス−塩酸pH7.5を25ml加えて懸濁した。
(4)(3)の懸濁液を、再び同じ条件で遠心後、上清を除き、0.5mlのYEB培地に懸濁した。
(5)エッペンドルフチューブで、実施例1で得たプラスミドpRbcAc−Intron GUSベクター5μgを含むYEB培地0.1mlと(4)で得た懸濁液0.2mlとを混合した。
(6)液体窒素中に5分間静置し、凍結させた後、37℃の恒温槽に25分間静置し融解させた。この操作を2〜3回繰返した。
(7)16mlのYEB培地を含む300mlのフラスコに移し30℃で約2時間振とう培養後、200μg/mlのカナマイシンを含む1.5%の寒天Lブロスに広げた。30℃で2日間静置培養した(0.2mlで約20コロニーが得られた)。
(8)得られたコロニーを上記の抗生物質を含む寒天Lブロス上にストリークし、単コロニーを取り再度同じ操作を行ない、単コロニーを純化し、組換えベクターが導入された形質転換アグロバクテリウムを得た。
【0029】
(形質転換アグロバクテリウムをイネに導入)
(9)イネ(品種名「日本晴」、完熟種子)を殺菌して、2N6培地(N6基本培地に、カサミノ酸2g/l及び2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)2mg/lを添加したもの)に置床し、3週間後に誘導されたカルスを新しい2N6培地に移し、さらに1週間培養した。
【0030】
(10)上記(8)で調製したアグロバクテリウムをAA培地の無機塩組成にショ糖20g/l、2,4−D 2mg/l、カイネチン0.2mg/l及びアセトシリンゴン10mg/lを添加してなる液体培地30mlに懸濁し菌液を得た。この懸濁液を50mlのチューブに入れ、上記(2)で得たカルスを入れた後、5分間浸漬した。浸漬後、ペーパータオルで余分な菌液を除去した。N6培地の無機塩組成にショ糖30g/l、グルコース10g/l、2,4−D 2mg/l、カサミノ酸2g/l、ゲルライト2g/l及びアセトシリンゴン10mg/lを添加してなる固体培地に、上記の浸漬したカルスを置床した。24℃で3日間、暗黒下で培養し、イネのカルスへのアグロバクテリウムの感染を行った。感染終了後、カルスを滅菌水及び500ml/lカルベニシリン溶液で洗浄し菌を除去した。
【0031】
(11)N6基本培地に、35mg/lハイグロマイシンを添加した選抜培地に、カルス小片を置床し、28℃で3週間培養し1次選抜を行った。増殖してきたカルスを新しい選抜培地に置床し、28℃で3週間培養し2次選抜を行った。ここで増殖の見られたカルスを、再分化培地(MS基本培地にベンジルアデニン(BA)2mg/l、ナフタレン酢酸(NAA)1mg/lを添加したもの)に移植し2週間培養したところ、緑色スポットが誘導された。これをさらにホルモン無添加培地で2週間培養して、シュートを形成させた。これをさらに、培養土の入ったカップに移し、閉鎖系温室(湿度60%、28℃)で生育させ、植物体を得た。
【0032】
(12)上記(11)で得られた植物体から葉を採取し、その葉50mgを1.5ml容のマイクロチューブに入れた。抽出バッファー(200mM Tris−HCl pH7.5, 250mM NaCl, 25mM EDTA, 0.5% SDS)を0.3ml加え、これを磨砕した。30分間静置後15,000 rpmで10分間遠心分離した。得られた上精に等量のイソプロパノールを加え転倒撹拌し、15,000 rpmで10分間遠心分離した。得られたDNAの沈澱を70%エタノールでリンスした後、減圧下で乾燥した。100 μlの1/10TE緩衝液にDNAペレットを溶解し、DNA溶液とした。
【0033】
(13)実施例1で用いたプライマーA及びBの各1μMをプライマーとして用い且つ上記(12)で得たDNA 7.5μgをテンプレートとして用い、これらを増幅用反応液(10mM Tris−HCl(pH8.3)、1.0mM MgCl、50mM KCl、0.01%ゼラチン、dNTPの各0.2mMの混合物及びTaqDNAポリメラーゼ2.5ユニットを含む)100μlに加え、増幅反応を行った。用いた増幅反応液は、PCRキット(PCR Amplification Kit(宝酒造株式会社製))で調製した。
増幅反応は、PCR反応装置(GeneAmp PCR System 9700(アプライドバイオシステムズ社製))内で、変性94℃、1分、アニーリング55℃、30秒、伸張72℃、1分の3つの反応操作を30回繰り返すことによって実施した。得られた反応液を、常法によりアガロース電気泳動により分析し、配列番号1のプロモーターの増幅によるDNA断片に由来するバンドの存在を確認した。
【0034】
【実施例3】
(葉におけるGUS遺伝子の選択的発現の評価)
実施例2(11)で選抜したカルス片100mg、又は実施例2(11)で得た植物体の成葉50mgに、300μlのGUS染色液(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド(X−Gluc)0.5mg/ml、50mMリン酸緩衝液pH7.0、20%メタノール、及び0.5% Triton X−100を含む)を入れ、60分間脱気してから、37℃で24時間インキュベートした後、染色液を除去し、100%エタノール1000μlを加えて反応を停止させ、反応液の色を目視で確認した。測定は、8系統の形質転換体について行なった。それぞれの結果を表1に示す。
【0035】
【実施例4】
(葉におけるGUS遺伝子の発現の定量的測定)
実施例2(11)で得た植物体の成葉100mgを、液体窒素にて破砕した後、抽出バッファー(50mMリン酸緩衝液pH7.0、10mM EDTA、0.1% Triton X−100、0.1% N−ラウロイルサルコシネートを含む)と混和した。これを12000rpmで遠心分離した後、上清を1.5ml容エッペンドルフチューブに移した。この上清10μlと、90μlの蛍光アッセイバッファー(1mM 4−メチル−ウンベリフェリル−β−D−グルクロニド;4MUG)とを混和後37℃で30分間インキュベートした。900μlの停止反応液(0.2M NaCO)を加え混和後、蛍光度計(励起波長365nm、蛍光波長445nm)で測定し、0、10、100及び1000nMの4−MU(4−メチルウンベリフェロン)を標準として4−MU量を求め、また、各抽出液中のタンパク質量をブラッドフォード法により定量し、GUS活性(nmol/分/mgタンパク)を求めた。結果を表1に示す。
【0036】
【比較例1】
本発明のプロモーターの代わりに、公知のユビキチンプロモーターをつないだベクターを用いた他は、実施例2と同様に形質転換及びカルス選抜を行ない、植物体を得た。このカルス及び植物体について、実施例3及び4と同様にGUSの発現を調べた。測定は、4つの形質転換体系統について行なった。結果を表1に示す。
【0037】
【比較例2】
形質転換をしていないイネ(日本晴)について、実施例3及び4と同様にGUSの発現を調べた。結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 2004357517
【0039】
【発明の効果】
本発明のプロモーター及びベクター並びに本発明の遺伝子の発現方法は、緑色組織特異的に遺伝子を発現させることができ、しかもその発現力が、組織非特異的だが強力なプロモーターとして知られているユビキチンプロモーターを用いた場合に比べても非常に強い。したがって、植物体の稔性や生育力の低下等の不所望な影響を避け、作物の生育に過剰な負担をかけずに緑色組織において顕著に遺伝子を発現させうる。
【0040】
【配列表】
Figure 2004357517
Figure 2004357517
Figure 2004357517
Figure 2004357517

【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において得た、本発明のプロモーターを含むベクターの概略図である。

Claims (3)

  1. (a)配列番号1の塩基配列を有するDNA;
    (b)配列番号1の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ緑色組織特異的発現能を有するイネ由来のDNA;又は
    (c)配列番号1の塩基配列において1個若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、且つ緑色組織特異的発現能を有するイネ由来のDNA
    からなるプロモーター。
  2. 請求項1記載のプロモーターを含むベクター。
  3. 請求項1記載のプロモーターと、その下流に連結された、緑色組織特異的に発現することが所望される遺伝子とを含むベクターを植物体に導入する工程を含む、緑色組織特異的な遺伝子の発現方法。
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