JP2004357181A - 無線通信端末 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、所定の場所を通過する場合のみならず、その通過する時間帯をも考慮して基地局との接続をする無線通信端末を提供するを提供することである。
【解決手段】基地局と無線通信を行う無線通信手段と(S100)、位置情報を取得する位置情報取得手段と(S130)、時刻情報を取得する時刻情報取得手段と(S130)、前記位置情報取得手段及び時刻情報取得手段によって、通過する経路上で前記無線通信手段が前記基地局との通信状況の履歴データベースを作成する手段と(S150)、前記通信状況の履歴データベースに基づいて、前記経路を再度通過するときに、無線通信を行う基地局の選定を行う手段とを備える無線通信端末。
【選択図】 図1
【解決手段】基地局と無線通信を行う無線通信手段と(S100)、位置情報を取得する位置情報取得手段と(S130)、時刻情報を取得する時刻情報取得手段と(S130)、前記位置情報取得手段及び時刻情報取得手段によって、通過する経路上で前記無線通信手段が前記基地局との通信状況の履歴データベースを作成する手段と(S150)、前記通信状況の履歴データベースに基づいて、前記経路を再度通過するときに、無線通信を行う基地局の選定を行う手段とを備える無線通信端末。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線通信端末に関し、特に、位置情報検出機能付き無線通信端末に関する。
【0002】
【従来の技術】
無線通信では、BSS(Base Service Set)と呼ばれる小さなエリアの集合によって広いサービスエリアが構成される。1つのBSSを1つの基地局が管理し、無線通信端末は基地局を介して有線ネットワークに接続された通信サービスを利用する。無線通信端末はBSS間を移動しながら継続的にサービスを受けるためにローミングと呼ばれる技術を利用する。
【0003】
ローミングするためには、無線通信端末がBSSを探索する動作(スキャニング)が行なわれる。このスキャニングは、基地局が発信するビーコンを受信することによって、基地局の存在を検知することである。
【0004】
例えば、無線通信端末が第1の基地局のBSSから第2の基地局のBSSへ移動を開始すると、両方のBSSが重なる場所では、第1の基地局からのビーコンが弱くなることを検知すると、スキャニングを開始し、第1の基地局、第2の基地局その他の基地局の中で、第2の基地局からのビーコンの信号強度が最も強いことを検知する。次に、第2の基地局に対してアクセス要求を送信し、アクセス許可を受信することによって、第2の基地局と通信ができ、ローミングが行なわれる。
【0005】
従来の無線通信端末では、所定の路線(高速道路や鉄道など)をユーザが予め通ることがわかっている場合、ローミングする基地局の情報を予め備えており、GPS(Global Positioning System)機能等によって取得される位置情報に基づいて、その位置情報に対応して優先的にローミングする基地局の情報が取得できる(例えば特許文献1参照)。これによって、端末があまりにも高速に移動している場合のローミングの失敗、すなわち基地局の接続がうまくいかず、基地局との通信が途絶えてしまういわゆる通信断が頻繁に発生するのを防いでいる。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−165253号公報(第2〜3頁、図3)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、所定の路線を通る場合であっても、通過する時間帯によって基地局の混雑状況は変化する。例えば、ある時間帯では、ある駅では通信が混雑しているという状況がある。
【0008】
本発明の目的は、所定の場所を通過する場合のみならず、その通過する時間帯をも考慮して基地局との接続をする無線通信端末を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、基地局と無線通信を行う無線通信手段と、位置情報を取得する位置情報取得手段と、時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、前記位置情報取得手段及び時刻情報取得手段によって、通過する経路上で前記無線通信手段が前記基地局との通信状況の履歴データベースを作成する手段と、前記通信状況の履歴データベースに基づいて、前記経路を再度通過するときに、無線通信を行う基地局の選定を行う手段とを備える無線通信端末である。
【0010】
第2の発明は、前記無線通信端末が前記基地局と通信を行なっている際に、他の無線通信端末との衝突が発生した場合、前記基地局のビーコン情報、前記位置情報、前記時刻情報、及び前記無線通信手段から得られる信号雑音比を記録する送信時衝突データベースをさらに備えることを特徴とする第1の発明記載の無線通信端末である。
【0011】
第3の発明は、前記基地局に関する基地局データベースをさらに備えることを特徴とする第2の発明記載の無線通信端末である。
第4の発明は、前記基地局データベースと、前記通信状況の履歴データベースとを用いて、基地局の変更回数を削減することを特徴とする第3の発明記載の無線通信端末である。
【0012】
第5の発明は、前記送信時衝突データベースと、前記通信状況の履歴データベースとを用いて、送信時に衝突予測を行うことによって送信を遅延する手段をさらに備えることを特徴とする第2の発明記載の無線通信端末である。
【0013】
第6の発明は、前記送信時衝突データベースをサービスプロバイダに提供することを特徴とする第2の発明記載の無線通信端末である。
第1の発明によれば、GPS受信機を搭載することと受信状況データベースを作成すること及びAPから発せられるビーコン情報等を基地局データベース化し、データベースを活用することにより“特定の基地局に移動体の通信が集中してしまうような非効率的な通信”を解消し、モバイルIPv6プロトコルとして提案されているプロトコルのBinding Update通信を軽減し、通信効率向上と不要な基地局変更を削減することができる。
【0014】
第2の発明によれば、“BSS内の隠れ端末による通信効率低下”を低減し通信効率を向上させることができる。“特定の基地局に移動体の通信が集中してしまうような非効率的な通信”を低減することができる。
【0015】
第3の発明によれば、サービスプロバイダが持つ単純化モデル化されたBSSエリアと実際にBSSエリアとは異なっている。詳細なBSSエリア情報は、新規基地局設置の効率化や隠れ端末発生の軽減、既設置エリア変動を知る上で有効な情報となる。サービスプロバイダが時間と費用をかけて調査する情報が、低価格で、高精度に、そしてリアルタイムに更新することができる。
【0016】
第4の発明によれば、“特定な基地局に移動体の通信が集中する非効率的な通信”を解消し、モバイルIPv6プロトコルとして提案されているプロトコルのBinding Update通信を軽減し、通信効率向上と不要な基地局変更を削減することができる。
【0017】
第5の発明によれば、ユーザが使用しているモバイル機器が他のモバイル機器及び無線ネットワーク内の機器から隠れ端末となる可能性を削減する。“BSS内の隠れ端末による通信効率低下”を低減し通信効率を向上させることができる。
【0018】
基地局を変更することによって“特定の基地局に移動体の通信が集中してしまうような非効率的な通信”を低減することができる。
第6の発明によれば、不特定多数のユーザから提供されるAPに関するエリア情報が、サービスプロバイダに提供することが可能となる。詳細なBSSエリア情報は、新規基地局設置の効率化や隠れ端末発生の軽減、既設置エリア変動を知る上で有効な情報となる。サービスプロバイダが時間と費用をかけて調査する情報が、低価格で、高精度に、そしてリアルタイムに更新することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施形態に係る無線通信端末のフローチャートであり、(a)は基地局情報の記録フローチャート、(b)は衝突情報の記録フローチャートである。図2は本実施形態に係る無線通信端末のブロック図である。
【0020】
図1(a)は、無線LAN(Local Area Network)ビーコンは毎秒5回程度の割合で基地局(不図示)から送信されている場合(スキャニング)を示す。無線通信端末がビーコン受信処理を実施することより、無線LAN基地局データベースを作成できる。受信処理は、無線LAN送受信部120がビーコン情報を受信し(S100)、このビーコン情報を発している基地局の情報を摘出し(S110)、さらに、ビーコンのSNR(Signal Noise Ratio;信号雑音比)も取得する(S120)。一方、位置座標と時刻をGPS受信部110から求め(S130)、時系列で基地局情報データと受信座標、ビーコンのSNRをRAM(Random Access Memory)130に一時記録し(S140)、ユーザが設定時間になったら一時記録されている情報の最も新しい情報を本記録する(S150)。
【0021】
一方、同図(b)は、無線LAN送受信部120がDCF(Distributed Coordination Function)方式による送信をする場合を示す。DCF方式による送信を行なったが(S200)、CTS(Clear to send)が受け取れなかった叉はACK(Acknowledge)が返ってこない等の衝突が発生すると(S210)、SNRを取得し(S220)、衝突が発生したときの位置座標と時刻をGPS受信部110から取得し(S230)、時系列に記録媒体(ハードディスク等)140に記録する(S240)。
【0022】
このように、GPSから位置情報を取得するのみならず、時刻情報も取得しているので、例えば、ある時間帯ではある場所(駅など)では通信が混雑しているというデータベースを作成し、記録しておくことによって、再びこの時間帯に同じ駅を通るときには、この駅をカバーしている別の基地局と通信するように設定することができる。
【0023】
なお、時刻情報は、無線通信端末が有している時計を用いて入手しても良いが、GPSからの時刻情報を用いる場合、他の無線通信端末もこのGPSの時刻情報を利用するため、混雑情報データベースの信頼性が高くなる。
【0024】
基地局からの無線LANビーコンは、毎秒数回(約200msec毎)に送信されている。受信できる基地局の全てのビーコン情報を受信毎に記録することは非常に膨大な記憶容量が必要となる。基地局情報を記録するプログラムは、ユーザ設定により分単位に記録できる等の機能、記録インターバル時間(記録するデータの間隔)が設定できる機能を有している必要がある。
【0025】
図3は、本実施形態に係る通常処理(データ通信)から基地局情報処理などへの変更プログラムの動作概要をしめす。ビーコン受信によりビーコン受信処理に移動し(S300)、ビーコン受信処理が完了すると通常処理へ移動する(S310)。また、衝突発生を検知すると衝突情報処理(S320)へ移動し、衝突情報処理が完了すると通常処理へ移動する(S330)。また、情報記録処理の要請があると、基地局情報または衝突情報の記録処理へ移動し(S340)、記録処理が完了すると通常処理へ移動する(S350)。
【0026】
ハードディスク140内の基地局と衝突データ記録領域についても、ユーザ設定によりその容量を設定できる機能を有していることが必要である。基地局情報または衝突データ情報の記録容量の変更概要を図4に示す。この記録容量は、GPSからデータを取得する時間間隔に応じて変動する。すなわち、時間間隔が短くなれば記録容量は大きくなり、時間間隔が長くなれば記録容量が小さくなる。
【0027】
基地局データの記録はファイル名により管理する。経路に従いユーザが基地局記録データベース名を決定し、記録できる形式とする。特に指定がない場合には、テンポラリーとしてデフォルトファイル名で基地局データと衝突データを記録し、ディスク等に記録するかはユーザが決定する。基地局データベースと衝突データであることをあらわす拡張子(例えば、apbのような拡張子)を決定し、移動中の基地局探索を行なう場合や、移動方法を推定する場合にデータベース参照しやすいようにする。
【0028】
図5は、本実施形態における基地局と送信時に発生する衝突情報のデータベースについての概要を示す図である。図6は、基地局データベースの概要を示す図である。図7は、送信時衝突データベースの概要を示す図である。
【0029】
(無線通信端末による適切な基地局選択について)
無線通信端末(モバイル機器)移動プロトコルの1つであるMobile IPv6(Internet Protocol ver6)では、エリアの移動(基地局のPrefix変更を伴う場合)に対して次にような手続き(Binding Update)を行なう。
【0030】
Care of Addressの変更(基地局移動に相当)が行なわれた場合、本来所属しているネットワークエリア管理局(Mobile IPv6では Home Link Home Agentという)に対して、新しい移動先でのCare of Address(暫定的な仮IPアドレス)を報告しなければならない。また接続している他エリアのホストに対してもCare of Address(暫定的な仮IPアドレス)を報告しなければならない。
【0031】
Mobile Ipv6プロトコルに従って通信を行なうモバイル機器では、現状の無線LANシステムに加え、新たな機能を付加しない場合、基地局変更毎にモバイル機器と通信相手側の端末とホームエージェント間でBinding Update通信を行なわなければならない。この通信が各モバイル機器で実施されるとBSSエリア内の通信効率が低下する。
【0032】
本実施形態では無線LANシステムにGPS搭載による無線LAN 基地局データベース作成し活用することにより、より効率的に基地局の選択を行い、不要な通信を軽減することにより円滑な通信状態を確保するためのものである。
【0033】
モバイル機器利用者(以下ユーザ)は、旅行などの特別な場合を除けば、その利用範囲はそれほど広いものではない。通常生活では、学校・会社への通勤経路はほぼ確定しているし、営業担当者も担当範囲は確定している。このように考えると、日常生活範囲はさほど広範囲にわたるものではない。自宅外でのモバイル機器を使用する場合、使用する基地局は固定的なものになる。このような場合、使用する基地局を適切に選択することにより、一つの基地局に集中する問題とモバイル機器に不要な基地局選択とBinding Update通信を低減することができる。また旅行においても往路と復路が同じ場合には本実施形態が使用できる。なお、GPSを利用しているので、経路だけが問題であり、その方向は問題にならない。
【0034】
以下では、図8のようなA地点からB地点まで移動することを想定して説明する。通常ユーザは、A地点の自宅からB地点の会社までの通勤経路を使用している。図中のAP(access point)は、ユーザの経路上に存在する基地局を示す。楕円はRCS(Regular Cell Search)以上の受信レベルである範囲を示す。ユーザは、本実施形態に係るモバイル機器を所有している。ユーザは基地局記録モードに設定し通勤する。通勤中に基地局ビーコンを受信した場合、受信した位置と時間をGPSから取得し、さらに無線LAN機器からSNR値を取得しながら記録する。これによりユーザの通勤経路における受信可能なAPの情報データベースが完成する。図8ではユーザが受信できるAPは、AP_1、AP−2、AP_3、AP_4、AP_6、AP_7の6個のAPである。
【0035】
無線LANシステムでは地点a〜地点gでSCS(Stop Cell Search)とRCS判定が行なわれ、基地局移動が行なわれる可能性がある。全ての点で基地局変更が行なわれた場合には、5回の基地局変更が行なわれる。基地局が異なるプレフィックスを持つ場合、基地局の変更に伴ってBinding Update通信が行なわれる。
【0036】
(モバイル機器の動作)
本実施形態に係るモバイル機器の動作を説明する。
(1)地点aにおいて無線LANシステムが地点aで基地局変更(AP_1→AP_3)を行なう指示があった場合、GPSによる移動ログと基地局記録データベースを比較する。移動ログと基地局データベースからユーザはA地点(自宅)からB地点(会社)に向かっているものと推測できる。
【0037】
(2)自宅→会社の場合基地局データベースを探索すると、近隣にAP_2があり、このAPは移動方向に対してAP_3より長時間に渡って使用することができることが分かる。したがってここでは、AP_3からの受信レベルがSCSレベルであっても現状のAP_1がRCSレベルであるならば使用続けることにする。
【0038】
(3)c地点では、AP_2からAP_3及びAP_4への基地局変更が可能である。無線LANシステムはAP_3又はAP_4への変更要求を指示するかも知れない。
【0039】
(4)GPSによる移動ログと基地局データベースを参照すると、AP_2のRCS範囲はさらに続き、AP_6が次の基地局として選択することが、モバイルIPv6プロトコルによる基地局変更に伴うBinding Update通信回数を削減できると判定する。
【0040】
(5)上述した(4)の判定によりAP_6のビーコンが受信できるまで、RCSレベルが確保できるならばAP_2を使用続ける。
(6)AP_6が受信され、SCSレベルになった時点でAP_2→AP_6に変更する。同様にAP_7を受信し、AP_7がSCSレベルになった時点でAP_6→AP_7の変更を行なう。
【0041】
上記のような動作により、基地局の変更回数は、AP_1→AP_2→AP_6→AP_7の3回に減少する。またそれぞれの各ユーザ(モバイル機器)は、経路の違いから基地局データベースが異なり、AP_1→AP_2→AP_6→AP_7以外の基地局を選択することが予測される。これにより特定の基地局に集中するという問題が回避できる。図9に、基地局判定のアルゴリズム概要を示す(S400〜S530)。ここで、S440の移動方向はGPS機能によって判断できる。一方、図10に、衝突回避のアルゴリズム概要を示す(S600〜S790)。
【0042】
(隠れ端末の場合)
以下では、隠れ端末(互いの電波が届かないような距離にいる無線局)の場合について説明する。
“隠れ端末が存在する場合、その無線通信の効率は著しく低下する。”という問題点がある。隠れ端末となるのは、市街地などの高層ビル等の建築物により、モバイル機器間の相互SNRが一時的に低下したときに送信を行なうことにより発生する。現在位置が一時的なSNRの低下であることが推測することができれば、緊急性のない通信(リアルタイム性を必要としない通信)はモバイル機器の相互SNRに回復を待って送信することができる。しかし現状の無線LANシステムにおいて、モバイル機器間の相互SNRを知る機能はない。
【0043】
本実施形態では、GPS受信機を搭載することと受信状況データベースを作成すること及びAPから発せられるビーコン情報によりBSSエリア内の一時的なSNR低下を推測し、場合によっては基地局を変更して隠れ端末となることを回避するものである。以下にDFC通信時間帯での処理手順を示す。
【0044】
(1)送信要求が発生したら送信データの種類の判定を行なう。判定は、要求送信(モバイル機器が他のホストまたは通信相手に接続要求、データ送信要求等を行なう送信)と応答送信(他の接続機器から要求を受けその応答/回答を行なう送信)について行なう。
【0045】
(2)GPSより現在位置と時刻を取得する。
(3)過去に記録された送信時衝突データベースと現在APデータベース参照し現在接続しているAPと現在位置の関係が、衝突発生高頻度領域(以後衝突エリア)としてどのレベルにあるかを判定する。衝突レベルが設定した閾値以上である場合には、移動ログより推定移動方向と衝突エリア脱出予定時間を算出する。衝突エリア脱出予定時間は移動予測方向で衝突データベースを参照し、衝突レベルが閾値以下になる座標までの距離を算出した速度を使用して求めた時間である。
【0046】
(4)衝突エリア脱出予定時間をそれぞれの送信(要求送信と応答送信)の設定遅延時間と比較する。
(5)衝突エリア脱出予定時間が各設定送信遅延時間より小さい場合には、衝突エリア脱出時間まで送信を遅延する。
(6)衝突エリア脱出予定時間が各設定送信遅延時間よりも大きい場合には、設定送信遅延時間まで送信を遅延する。
(7)送信後に衝突が確認された(CTSがない等)場合には、送信衝突データベースへの登録を行ない。同一のAPへの再送信処理は中断する。
(8)現在基地局データベースと送信衝突データベースから変更可能なAPを選択を開始する。
(9)上述した(8)によって選択されたAPを図9の▲1▼以降の処理を行なうことによってAP判定を行い、さらに適切なAPが存在しないかを検索する。
(10)新しいAPが選択されたらGPSより現在地位置を求める。送信時衝突データベースと現在APデータベース参照し現在接続しているAPと現在位置の関係が、衝突エリアとしてどのレベルにあるかを判定する。判定により現在位置が衝突エリア外である場合には、送信再送を行なう。
【0047】
(11)送信後に衝突が確認された(CTSがない等)場合には、送信衝突データベースへの登録を行ない。同一のAPへの再送信処理は行なわない。
(12)上述した(9)で選択されたAPに接続して送信を再開始する。
衝突データベースと上記の機能により、送信位置が相互SNR低下領域であることを推測し、ユーザのモバイル機器が隠れ端末となる可能性を低減することができる。また基地局を移動することによって、特定の基地局に集中すると言う問題も回避することができる。
【0048】
(無線ルータのサービスエリア詳細情報の取得)
電柱のアクセスポイント化の場合、光ファイバーやCATV、ADSLなど有線回線が敷設された電柱などに数十〜数百メートルおきに無線ルーター(基地局)を設置して(電柱のアクセスポイント化)、安価、定額、常時接続の無線インターネットを実現しているルーターのハンドオーバー機能を使用して、基地局間のシームレス通信を可能とする計画がある。無線ルータでは電磁波を使用するため、市街地ではビル等の建造物等によって伝播の障害となる物体が多数存在するので、BSS(小さな無線サービスエリア)内の状況も新規の建造物によりサービル範囲に変化か生じていく。この変化状況を適宜取得する場合、AP(アクセスポイント)を運営する業者によりサービスエリア内の受信状況を検証しなくてはならない。これは大変な能力と費用が発生することが見込まれる。また無線通信である以上割当てられた周波数帯域を効率よく使用することは重要なこととなり、無差別にAPを建設していくわけにはいかない。
【0049】
本実施形態では、AP(アクセスポイント)を運営する業者によりサービスエリア内の詳細な受信状況を提供するものである。本実施形態に係るモバイル機器はGPS受信機を内蔵し、すでに説明した生活エリアごとに基地局データベースと送信時衝突データベースを作成する機能がある。各モバイル機器局が作成した基地局データベースと送信時衝突データベースが、基地局を運営するサービスプロバイダに提供できるならば、サービスプロバイダは、各モバイル機器局のデータを集計することにより各BSSエリア内の詳細な情報を取得することができる。
【0050】
サービスプロバイダが持つ単純モデル化されたエリアと実際のエリアとは異なる。詳細なエリア情報は、新規基地局設置の効率化や隠れ端末発生の軽減、既設置エリア変動を知る上で有効な情報となる。この情報を本実施形態で使用するならば、サービスプロバイダが時間をかけて調査することなく、時々刻々とBSS情報を更新することができる。基地局データベースと送信時衝突データベース受け取り方法と注意点は次の通りである。
【0051】
(1)サービスプロバイダは、ユーザが使用しているモバイル機器が本実施形態に係るモバイル機器である場合には、ユーザ情報として登録してもらう。
(2)サービスプロバイダは、本実施形態に係るモバイル機器を所有しているユーザを定期的に検索して、メール等により基地局データベースを提供してもらえるかを尋ねる。
【0052】
(3)サービスプロバイダによる基地局データベース及び送信時衝突データベース提供を受けたユーザは、個人の判断により情報を提供するかを判断し、提供を行なう場合にはデータベース情報の送信を行なう。
【0053】
(4)サービスプロバイダは情報提供を行ったユーザに対して何らかの得点を与える。
(5)サービスプロバイダは、提供された情報は、個人の行動履歴とのなる情報であるので、その取扱には十分に注意する必要がある。このため送信データは暗号化するべきである。
【0054】
(6)サービスプロバイダは取得したBSSの詳細エリア情報は、ユーザにフィードバックできるようにすべきである。
上述した実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、適宜組合わせ及び変更することができることはいうまでもない。例えば、図2で説明した本実施形態に係る無線通信端末は、ROM150、インターフェース160〜190を備えていてもよい。
【0055】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、所定の場所を通過する場合のみならず、その通過する時間帯をも考慮して基地局との接続をする無線通信端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る無線通信端末のフローチャート。
【図2】本実施形態に係る無線通信端末のブロック図。
【図3】本実施形態に係る通常処理から基地局情報処理などへの変更プログラムの概要図。
【図4】基地局情報または衝突データ情報の記録容量の変更概要を示す図。
【図5】本実施形態における基地局と送信時に発生する衝突情報のデータベースについての概要を示す図。
【図6】基地局データベースの概要を示す図。
【図7】送信時衝突データベースの概要を示す図。
【図8】本実施形態が適用される具体的な状況を説明するための図。
【図9】基地局判定のフローチャート。
【図10】衝突回避のフローチャート。
【符号の説明】
110 GPS受信部
120 無線LAN送受信部
130 RAM
140 ハードディスクなどの記録媒体
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線通信端末に関し、特に、位置情報検出機能付き無線通信端末に関する。
【0002】
【従来の技術】
無線通信では、BSS(Base Service Set)と呼ばれる小さなエリアの集合によって広いサービスエリアが構成される。1つのBSSを1つの基地局が管理し、無線通信端末は基地局を介して有線ネットワークに接続された通信サービスを利用する。無線通信端末はBSS間を移動しながら継続的にサービスを受けるためにローミングと呼ばれる技術を利用する。
【0003】
ローミングするためには、無線通信端末がBSSを探索する動作(スキャニング)が行なわれる。このスキャニングは、基地局が発信するビーコンを受信することによって、基地局の存在を検知することである。
【0004】
例えば、無線通信端末が第1の基地局のBSSから第2の基地局のBSSへ移動を開始すると、両方のBSSが重なる場所では、第1の基地局からのビーコンが弱くなることを検知すると、スキャニングを開始し、第1の基地局、第2の基地局その他の基地局の中で、第2の基地局からのビーコンの信号強度が最も強いことを検知する。次に、第2の基地局に対してアクセス要求を送信し、アクセス許可を受信することによって、第2の基地局と通信ができ、ローミングが行なわれる。
【0005】
従来の無線通信端末では、所定の路線(高速道路や鉄道など)をユーザが予め通ることがわかっている場合、ローミングする基地局の情報を予め備えており、GPS(Global Positioning System)機能等によって取得される位置情報に基づいて、その位置情報に対応して優先的にローミングする基地局の情報が取得できる(例えば特許文献1参照)。これによって、端末があまりにも高速に移動している場合のローミングの失敗、すなわち基地局の接続がうまくいかず、基地局との通信が途絶えてしまういわゆる通信断が頻繁に発生するのを防いでいる。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−165253号公報(第2〜3頁、図3)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、所定の路線を通る場合であっても、通過する時間帯によって基地局の混雑状況は変化する。例えば、ある時間帯では、ある駅では通信が混雑しているという状況がある。
【0008】
本発明の目的は、所定の場所を通過する場合のみならず、その通過する時間帯をも考慮して基地局との接続をする無線通信端末を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、基地局と無線通信を行う無線通信手段と、位置情報を取得する位置情報取得手段と、時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、前記位置情報取得手段及び時刻情報取得手段によって、通過する経路上で前記無線通信手段が前記基地局との通信状況の履歴データベースを作成する手段と、前記通信状況の履歴データベースに基づいて、前記経路を再度通過するときに、無線通信を行う基地局の選定を行う手段とを備える無線通信端末である。
【0010】
第2の発明は、前記無線通信端末が前記基地局と通信を行なっている際に、他の無線通信端末との衝突が発生した場合、前記基地局のビーコン情報、前記位置情報、前記時刻情報、及び前記無線通信手段から得られる信号雑音比を記録する送信時衝突データベースをさらに備えることを特徴とする第1の発明記載の無線通信端末である。
【0011】
第3の発明は、前記基地局に関する基地局データベースをさらに備えることを特徴とする第2の発明記載の無線通信端末である。
第4の発明は、前記基地局データベースと、前記通信状況の履歴データベースとを用いて、基地局の変更回数を削減することを特徴とする第3の発明記載の無線通信端末である。
【0012】
第5の発明は、前記送信時衝突データベースと、前記通信状況の履歴データベースとを用いて、送信時に衝突予測を行うことによって送信を遅延する手段をさらに備えることを特徴とする第2の発明記載の無線通信端末である。
【0013】
第6の発明は、前記送信時衝突データベースをサービスプロバイダに提供することを特徴とする第2の発明記載の無線通信端末である。
第1の発明によれば、GPS受信機を搭載することと受信状況データベースを作成すること及びAPから発せられるビーコン情報等を基地局データベース化し、データベースを活用することにより“特定の基地局に移動体の通信が集中してしまうような非効率的な通信”を解消し、モバイルIPv6プロトコルとして提案されているプロトコルのBinding Update通信を軽減し、通信効率向上と不要な基地局変更を削減することができる。
【0014】
第2の発明によれば、“BSS内の隠れ端末による通信効率低下”を低減し通信効率を向上させることができる。“特定の基地局に移動体の通信が集中してしまうような非効率的な通信”を低減することができる。
【0015】
第3の発明によれば、サービスプロバイダが持つ単純化モデル化されたBSSエリアと実際にBSSエリアとは異なっている。詳細なBSSエリア情報は、新規基地局設置の効率化や隠れ端末発生の軽減、既設置エリア変動を知る上で有効な情報となる。サービスプロバイダが時間と費用をかけて調査する情報が、低価格で、高精度に、そしてリアルタイムに更新することができる。
【0016】
第4の発明によれば、“特定な基地局に移動体の通信が集中する非効率的な通信”を解消し、モバイルIPv6プロトコルとして提案されているプロトコルのBinding Update通信を軽減し、通信効率向上と不要な基地局変更を削減することができる。
【0017】
第5の発明によれば、ユーザが使用しているモバイル機器が他のモバイル機器及び無線ネットワーク内の機器から隠れ端末となる可能性を削減する。“BSS内の隠れ端末による通信効率低下”を低減し通信効率を向上させることができる。
【0018】
基地局を変更することによって“特定の基地局に移動体の通信が集中してしまうような非効率的な通信”を低減することができる。
第6の発明によれば、不特定多数のユーザから提供されるAPに関するエリア情報が、サービスプロバイダに提供することが可能となる。詳細なBSSエリア情報は、新規基地局設置の効率化や隠れ端末発生の軽減、既設置エリア変動を知る上で有効な情報となる。サービスプロバイダが時間と費用をかけて調査する情報が、低価格で、高精度に、そしてリアルタイムに更新することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施形態に係る無線通信端末のフローチャートであり、(a)は基地局情報の記録フローチャート、(b)は衝突情報の記録フローチャートである。図2は本実施形態に係る無線通信端末のブロック図である。
【0020】
図1(a)は、無線LAN(Local Area Network)ビーコンは毎秒5回程度の割合で基地局(不図示)から送信されている場合(スキャニング)を示す。無線通信端末がビーコン受信処理を実施することより、無線LAN基地局データベースを作成できる。受信処理は、無線LAN送受信部120がビーコン情報を受信し(S100)、このビーコン情報を発している基地局の情報を摘出し(S110)、さらに、ビーコンのSNR(Signal Noise Ratio;信号雑音比)も取得する(S120)。一方、位置座標と時刻をGPS受信部110から求め(S130)、時系列で基地局情報データと受信座標、ビーコンのSNRをRAM(Random Access Memory)130に一時記録し(S140)、ユーザが設定時間になったら一時記録されている情報の最も新しい情報を本記録する(S150)。
【0021】
一方、同図(b)は、無線LAN送受信部120がDCF(Distributed Coordination Function)方式による送信をする場合を示す。DCF方式による送信を行なったが(S200)、CTS(Clear to send)が受け取れなかった叉はACK(Acknowledge)が返ってこない等の衝突が発生すると(S210)、SNRを取得し(S220)、衝突が発生したときの位置座標と時刻をGPS受信部110から取得し(S230)、時系列に記録媒体(ハードディスク等)140に記録する(S240)。
【0022】
このように、GPSから位置情報を取得するのみならず、時刻情報も取得しているので、例えば、ある時間帯ではある場所(駅など)では通信が混雑しているというデータベースを作成し、記録しておくことによって、再びこの時間帯に同じ駅を通るときには、この駅をカバーしている別の基地局と通信するように設定することができる。
【0023】
なお、時刻情報は、無線通信端末が有している時計を用いて入手しても良いが、GPSからの時刻情報を用いる場合、他の無線通信端末もこのGPSの時刻情報を利用するため、混雑情報データベースの信頼性が高くなる。
【0024】
基地局からの無線LANビーコンは、毎秒数回(約200msec毎)に送信されている。受信できる基地局の全てのビーコン情報を受信毎に記録することは非常に膨大な記憶容量が必要となる。基地局情報を記録するプログラムは、ユーザ設定により分単位に記録できる等の機能、記録インターバル時間(記録するデータの間隔)が設定できる機能を有している必要がある。
【0025】
図3は、本実施形態に係る通常処理(データ通信)から基地局情報処理などへの変更プログラムの動作概要をしめす。ビーコン受信によりビーコン受信処理に移動し(S300)、ビーコン受信処理が完了すると通常処理へ移動する(S310)。また、衝突発生を検知すると衝突情報処理(S320)へ移動し、衝突情報処理が完了すると通常処理へ移動する(S330)。また、情報記録処理の要請があると、基地局情報または衝突情報の記録処理へ移動し(S340)、記録処理が完了すると通常処理へ移動する(S350)。
【0026】
ハードディスク140内の基地局と衝突データ記録領域についても、ユーザ設定によりその容量を設定できる機能を有していることが必要である。基地局情報または衝突データ情報の記録容量の変更概要を図4に示す。この記録容量は、GPSからデータを取得する時間間隔に応じて変動する。すなわち、時間間隔が短くなれば記録容量は大きくなり、時間間隔が長くなれば記録容量が小さくなる。
【0027】
基地局データの記録はファイル名により管理する。経路に従いユーザが基地局記録データベース名を決定し、記録できる形式とする。特に指定がない場合には、テンポラリーとしてデフォルトファイル名で基地局データと衝突データを記録し、ディスク等に記録するかはユーザが決定する。基地局データベースと衝突データであることをあらわす拡張子(例えば、apbのような拡張子)を決定し、移動中の基地局探索を行なう場合や、移動方法を推定する場合にデータベース参照しやすいようにする。
【0028】
図5は、本実施形態における基地局と送信時に発生する衝突情報のデータベースについての概要を示す図である。図6は、基地局データベースの概要を示す図である。図7は、送信時衝突データベースの概要を示す図である。
【0029】
(無線通信端末による適切な基地局選択について)
無線通信端末(モバイル機器)移動プロトコルの1つであるMobile IPv6(Internet Protocol ver6)では、エリアの移動(基地局のPrefix変更を伴う場合)に対して次にような手続き(Binding Update)を行なう。
【0030】
Care of Addressの変更(基地局移動に相当)が行なわれた場合、本来所属しているネットワークエリア管理局(Mobile IPv6では Home Link Home Agentという)に対して、新しい移動先でのCare of Address(暫定的な仮IPアドレス)を報告しなければならない。また接続している他エリアのホストに対してもCare of Address(暫定的な仮IPアドレス)を報告しなければならない。
【0031】
Mobile Ipv6プロトコルに従って通信を行なうモバイル機器では、現状の無線LANシステムに加え、新たな機能を付加しない場合、基地局変更毎にモバイル機器と通信相手側の端末とホームエージェント間でBinding Update通信を行なわなければならない。この通信が各モバイル機器で実施されるとBSSエリア内の通信効率が低下する。
【0032】
本実施形態では無線LANシステムにGPS搭載による無線LAN 基地局データベース作成し活用することにより、より効率的に基地局の選択を行い、不要な通信を軽減することにより円滑な通信状態を確保するためのものである。
【0033】
モバイル機器利用者(以下ユーザ)は、旅行などの特別な場合を除けば、その利用範囲はそれほど広いものではない。通常生活では、学校・会社への通勤経路はほぼ確定しているし、営業担当者も担当範囲は確定している。このように考えると、日常生活範囲はさほど広範囲にわたるものではない。自宅外でのモバイル機器を使用する場合、使用する基地局は固定的なものになる。このような場合、使用する基地局を適切に選択することにより、一つの基地局に集中する問題とモバイル機器に不要な基地局選択とBinding Update通信を低減することができる。また旅行においても往路と復路が同じ場合には本実施形態が使用できる。なお、GPSを利用しているので、経路だけが問題であり、その方向は問題にならない。
【0034】
以下では、図8のようなA地点からB地点まで移動することを想定して説明する。通常ユーザは、A地点の自宅からB地点の会社までの通勤経路を使用している。図中のAP(access point)は、ユーザの経路上に存在する基地局を示す。楕円はRCS(Regular Cell Search)以上の受信レベルである範囲を示す。ユーザは、本実施形態に係るモバイル機器を所有している。ユーザは基地局記録モードに設定し通勤する。通勤中に基地局ビーコンを受信した場合、受信した位置と時間をGPSから取得し、さらに無線LAN機器からSNR値を取得しながら記録する。これによりユーザの通勤経路における受信可能なAPの情報データベースが完成する。図8ではユーザが受信できるAPは、AP_1、AP−2、AP_3、AP_4、AP_6、AP_7の6個のAPである。
【0035】
無線LANシステムでは地点a〜地点gでSCS(Stop Cell Search)とRCS判定が行なわれ、基地局移動が行なわれる可能性がある。全ての点で基地局変更が行なわれた場合には、5回の基地局変更が行なわれる。基地局が異なるプレフィックスを持つ場合、基地局の変更に伴ってBinding Update通信が行なわれる。
【0036】
(モバイル機器の動作)
本実施形態に係るモバイル機器の動作を説明する。
(1)地点aにおいて無線LANシステムが地点aで基地局変更(AP_1→AP_3)を行なう指示があった場合、GPSによる移動ログと基地局記録データベースを比較する。移動ログと基地局データベースからユーザはA地点(自宅)からB地点(会社)に向かっているものと推測できる。
【0037】
(2)自宅→会社の場合基地局データベースを探索すると、近隣にAP_2があり、このAPは移動方向に対してAP_3より長時間に渡って使用することができることが分かる。したがってここでは、AP_3からの受信レベルがSCSレベルであっても現状のAP_1がRCSレベルであるならば使用続けることにする。
【0038】
(3)c地点では、AP_2からAP_3及びAP_4への基地局変更が可能である。無線LANシステムはAP_3又はAP_4への変更要求を指示するかも知れない。
【0039】
(4)GPSによる移動ログと基地局データベースを参照すると、AP_2のRCS範囲はさらに続き、AP_6が次の基地局として選択することが、モバイルIPv6プロトコルによる基地局変更に伴うBinding Update通信回数を削減できると判定する。
【0040】
(5)上述した(4)の判定によりAP_6のビーコンが受信できるまで、RCSレベルが確保できるならばAP_2を使用続ける。
(6)AP_6が受信され、SCSレベルになった時点でAP_2→AP_6に変更する。同様にAP_7を受信し、AP_7がSCSレベルになった時点でAP_6→AP_7の変更を行なう。
【0041】
上記のような動作により、基地局の変更回数は、AP_1→AP_2→AP_6→AP_7の3回に減少する。またそれぞれの各ユーザ(モバイル機器)は、経路の違いから基地局データベースが異なり、AP_1→AP_2→AP_6→AP_7以外の基地局を選択することが予測される。これにより特定の基地局に集中するという問題が回避できる。図9に、基地局判定のアルゴリズム概要を示す(S400〜S530)。ここで、S440の移動方向はGPS機能によって判断できる。一方、図10に、衝突回避のアルゴリズム概要を示す(S600〜S790)。
【0042】
(隠れ端末の場合)
以下では、隠れ端末(互いの電波が届かないような距離にいる無線局)の場合について説明する。
“隠れ端末が存在する場合、その無線通信の効率は著しく低下する。”という問題点がある。隠れ端末となるのは、市街地などの高層ビル等の建築物により、モバイル機器間の相互SNRが一時的に低下したときに送信を行なうことにより発生する。現在位置が一時的なSNRの低下であることが推測することができれば、緊急性のない通信(リアルタイム性を必要としない通信)はモバイル機器の相互SNRに回復を待って送信することができる。しかし現状の無線LANシステムにおいて、モバイル機器間の相互SNRを知る機能はない。
【0043】
本実施形態では、GPS受信機を搭載することと受信状況データベースを作成すること及びAPから発せられるビーコン情報によりBSSエリア内の一時的なSNR低下を推測し、場合によっては基地局を変更して隠れ端末となることを回避するものである。以下にDFC通信時間帯での処理手順を示す。
【0044】
(1)送信要求が発生したら送信データの種類の判定を行なう。判定は、要求送信(モバイル機器が他のホストまたは通信相手に接続要求、データ送信要求等を行なう送信)と応答送信(他の接続機器から要求を受けその応答/回答を行なう送信)について行なう。
【0045】
(2)GPSより現在位置と時刻を取得する。
(3)過去に記録された送信時衝突データベースと現在APデータベース参照し現在接続しているAPと現在位置の関係が、衝突発生高頻度領域(以後衝突エリア)としてどのレベルにあるかを判定する。衝突レベルが設定した閾値以上である場合には、移動ログより推定移動方向と衝突エリア脱出予定時間を算出する。衝突エリア脱出予定時間は移動予測方向で衝突データベースを参照し、衝突レベルが閾値以下になる座標までの距離を算出した速度を使用して求めた時間である。
【0046】
(4)衝突エリア脱出予定時間をそれぞれの送信(要求送信と応答送信)の設定遅延時間と比較する。
(5)衝突エリア脱出予定時間が各設定送信遅延時間より小さい場合には、衝突エリア脱出時間まで送信を遅延する。
(6)衝突エリア脱出予定時間が各設定送信遅延時間よりも大きい場合には、設定送信遅延時間まで送信を遅延する。
(7)送信後に衝突が確認された(CTSがない等)場合には、送信衝突データベースへの登録を行ない。同一のAPへの再送信処理は中断する。
(8)現在基地局データベースと送信衝突データベースから変更可能なAPを選択を開始する。
(9)上述した(8)によって選択されたAPを図9の▲1▼以降の処理を行なうことによってAP判定を行い、さらに適切なAPが存在しないかを検索する。
(10)新しいAPが選択されたらGPSより現在地位置を求める。送信時衝突データベースと現在APデータベース参照し現在接続しているAPと現在位置の関係が、衝突エリアとしてどのレベルにあるかを判定する。判定により現在位置が衝突エリア外である場合には、送信再送を行なう。
【0047】
(11)送信後に衝突が確認された(CTSがない等)場合には、送信衝突データベースへの登録を行ない。同一のAPへの再送信処理は行なわない。
(12)上述した(9)で選択されたAPに接続して送信を再開始する。
衝突データベースと上記の機能により、送信位置が相互SNR低下領域であることを推測し、ユーザのモバイル機器が隠れ端末となる可能性を低減することができる。また基地局を移動することによって、特定の基地局に集中すると言う問題も回避することができる。
【0048】
(無線ルータのサービスエリア詳細情報の取得)
電柱のアクセスポイント化の場合、光ファイバーやCATV、ADSLなど有線回線が敷設された電柱などに数十〜数百メートルおきに無線ルーター(基地局)を設置して(電柱のアクセスポイント化)、安価、定額、常時接続の無線インターネットを実現しているルーターのハンドオーバー機能を使用して、基地局間のシームレス通信を可能とする計画がある。無線ルータでは電磁波を使用するため、市街地ではビル等の建造物等によって伝播の障害となる物体が多数存在するので、BSS(小さな無線サービスエリア)内の状況も新規の建造物によりサービル範囲に変化か生じていく。この変化状況を適宜取得する場合、AP(アクセスポイント)を運営する業者によりサービスエリア内の受信状況を検証しなくてはならない。これは大変な能力と費用が発生することが見込まれる。また無線通信である以上割当てられた周波数帯域を効率よく使用することは重要なこととなり、無差別にAPを建設していくわけにはいかない。
【0049】
本実施形態では、AP(アクセスポイント)を運営する業者によりサービスエリア内の詳細な受信状況を提供するものである。本実施形態に係るモバイル機器はGPS受信機を内蔵し、すでに説明した生活エリアごとに基地局データベースと送信時衝突データベースを作成する機能がある。各モバイル機器局が作成した基地局データベースと送信時衝突データベースが、基地局を運営するサービスプロバイダに提供できるならば、サービスプロバイダは、各モバイル機器局のデータを集計することにより各BSSエリア内の詳細な情報を取得することができる。
【0050】
サービスプロバイダが持つ単純モデル化されたエリアと実際のエリアとは異なる。詳細なエリア情報は、新規基地局設置の効率化や隠れ端末発生の軽減、既設置エリア変動を知る上で有効な情報となる。この情報を本実施形態で使用するならば、サービスプロバイダが時間をかけて調査することなく、時々刻々とBSS情報を更新することができる。基地局データベースと送信時衝突データベース受け取り方法と注意点は次の通りである。
【0051】
(1)サービスプロバイダは、ユーザが使用しているモバイル機器が本実施形態に係るモバイル機器である場合には、ユーザ情報として登録してもらう。
(2)サービスプロバイダは、本実施形態に係るモバイル機器を所有しているユーザを定期的に検索して、メール等により基地局データベースを提供してもらえるかを尋ねる。
【0052】
(3)サービスプロバイダによる基地局データベース及び送信時衝突データベース提供を受けたユーザは、個人の判断により情報を提供するかを判断し、提供を行なう場合にはデータベース情報の送信を行なう。
【0053】
(4)サービスプロバイダは情報提供を行ったユーザに対して何らかの得点を与える。
(5)サービスプロバイダは、提供された情報は、個人の行動履歴とのなる情報であるので、その取扱には十分に注意する必要がある。このため送信データは暗号化するべきである。
【0054】
(6)サービスプロバイダは取得したBSSの詳細エリア情報は、ユーザにフィードバックできるようにすべきである。
上述した実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、適宜組合わせ及び変更することができることはいうまでもない。例えば、図2で説明した本実施形態に係る無線通信端末は、ROM150、インターフェース160〜190を備えていてもよい。
【0055】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、所定の場所を通過する場合のみならず、その通過する時間帯をも考慮して基地局との接続をする無線通信端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る無線通信端末のフローチャート。
【図2】本実施形態に係る無線通信端末のブロック図。
【図3】本実施形態に係る通常処理から基地局情報処理などへの変更プログラムの概要図。
【図4】基地局情報または衝突データ情報の記録容量の変更概要を示す図。
【図5】本実施形態における基地局と送信時に発生する衝突情報のデータベースについての概要を示す図。
【図6】基地局データベースの概要を示す図。
【図7】送信時衝突データベースの概要を示す図。
【図8】本実施形態が適用される具体的な状況を説明するための図。
【図9】基地局判定のフローチャート。
【図10】衝突回避のフローチャート。
【符号の説明】
110 GPS受信部
120 無線LAN送受信部
130 RAM
140 ハードディスクなどの記録媒体
Claims (6)
- 基地局と無線通信を行う無線通信手段と、
位置情報を取得する位置情報取得手段と、
時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、
前記位置情報取得手段及び時刻情報取得手段によって、通過する経路上で前記無線通信手段が前記基地局との通信状況の履歴データベースを作成する手段と、
前記通信状況の履歴データベースに基づいて、前記経路を再度通過するときに、無線通信を行う基地局の選定を行う手段と
を備える無線通信端末。 - 前記無線通信端末が前記基地局と通信を行なっている際に、他の無線通信端末との衝突が発生した場合、前記基地局のビーコン情報、前記位置情報、前記時刻情報、及び前記無線通信手段から得られる信号雑音比を記録する送信時衝突データベースをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の無線通信端末。
- 前記基地局に関する基地局データベースをさらに備えることを特徴とする請求項2記載の無線通信端末。
- 前記基地局データベースと、前記通信状況の履歴データベースとを用いて、基地局の変更回数を削減することを特徴とする請求項3記載の無線通信端末。
- 前記送信時衝突データベースと、前記通信状況の履歴データベースとを用いて、送信時に衝突予測を行うことによって送信を遅延する手段をさらに備えることを特徴とする請求項2記載の無線通信端末。
- 前記送信時衝突データベースをサービスプロバイダに提供することを特徴とする請求項2記載の無線通信端末。
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