JP2004356326A - 研磨用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】銅膜、タンタル化合物のバリア層、SiO2の絶縁層を有する半導体デバイスのCMP加工プロセスにおいて、銅のウエットエッチングレートを10(Å/min)以下に抑えつつ、銅の研磨レートのみを酸化剤の添加量及び酸化防止剤の添加量を調整することでタンタル化合物及びSiO2の絶縁層の研磨レートに比べて1/20〜1/2程度に調整できる研磨用組成物を提供する。
【解決手段】研磨材として一次粒子の平均粒径が30nmであるコロイダルシリカ、シュウ酸、過酸化水素、ベンゾトリアゾール、シュウ酸アンモニウムを0.5μmのカートリッジフィルターで濾過されたイオン交換水に混合し、高速ホモジナイザーで攪拌して均一に分散させて研磨用組成物を得た。
【解決手段】研磨材として一次粒子の平均粒径が30nmであるコロイダルシリカ、シュウ酸、過酸化水素、ベンゾトリアゾール、シュウ酸アンモニウムを0.5μmのカートリッジフィルターで濾過されたイオン交換水に混合し、高速ホモジナイザーで攪拌して均一に分散させて研磨用組成物を得た。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体、各種メモリーハードディスク用基板等の研磨に使用される研磨用組成物に関し、特に半導体のデバイスウエハーの表面平坦化加工に好適に用いられる研磨用組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エレクトロニクス業界の最近の著しい発展により、トランジスター、IC、LSI、超LSIと進化してきており、これら半導体素子に於ける回路の集積度が急激に増大するに伴って半導体デバイスのデザインルールは年々微細化が進み、デバイス製造プロセスでの焦点深度は浅くなり、パターン形成面の平坦性はますます厳しくなってきている。
【0003】
一方で配線の微細化による配線抵抗の増大をカバーするために、配線材料としてアルミニウムやタングステンからより電気抵抗の小さな銅配線が検討されてきている。しかしながら銅を配線層や配線間の相互接続に用いる場合には、絶縁膜上に配線溝や孔を形成した後、スパッタリングやメッキによって銅膜を形成して不要な部分を化学的機械的研磨法(CMP)によって絶縁膜上の不要な銅が取り除かれる。
【0004】
かかるプロセスでは銅が絶縁膜中に拡散してデバイス特性を低下させるので、通常は銅の拡散防止のために絶縁膜上にバリア層としてタンタルやタンタルナイトライドの層を設けることが一般的になっている。
【0005】
このようにして最上層に銅膜を形成させたデバイスの平坦化CMPプロセスにおいては、初めに不要な部分の銅膜を絶縁層上に形成されたタンタル化合物の表面層まで研磨し、次のステップでは絶縁膜上のタンタル化合物の層及びSiO2を若干研磨し、平坦化したところで終了していなければならない。このようなプロセスを図1に示したが、かかるプロセスにおけるCMP研磨では銅、タンタル化合物、SiO2などの異種材料に対して研磨レートに選択適性があることが必要である。
【0006】
即ちステップ1では銅に対する研磨レートが高く、タンタル化合物に対してはほとんど研磨能力がない程度の選択性が必要である。さらにステップ2ではタンタル化合物、SiO2に対する研磨レートが銅に対する研磨レートの2〜20倍程度のものが好ましい。
【0007】
このプロセスを理想的には一つの研磨材で研磨できることが望まれるが、異種材料に対する研磨レートの選択比をプロセスの途中で変化させることはできないのでプロセスを2ステップに分けて異なる選択性を有する2つのスラリーでそれぞれのCMP工程を実施する。通常溝や孔の銅膜の削りすぎ(ディッシング、リセス、エロージョン)を防ぐためにステップ1ではタンタル化合物上の銅膜は少し残した状態で研磨を終了させる。ついでステップ2では残ったわずかな銅、タンタル化合物及び若干のSiO2層を研磨除去する。
【0008】
ステップ2に用いられる研磨用組成物に対しては、ステップ1で研磨された状態から主としてタンタル化合物、SiO2を選択的に研磨するために必要な研磨レートはタンタル化合物の研磨レートが600〜800(Å/min.)、銅の研磨レートが30〜300(Å/min.)、SiO2の研磨レートが600〜800(Å/min.)程度であり、また、銅に対するウエットエッチングレートが10(Å/min.)以下であることが望ましいとされている。
【0009】
このようなステップ2研磨用の研磨用組成物としては、コロイダルシリカ、過酸化水素、ベンゾトリアゾール、シュウ酸と水とを含有しKOHなどでpH2〜5に調整した研磨用組成物が特許文献1に示されている。しかし、この研磨用組成物は、SiO2に対しての研磨レートが小さくなっており、ステップ2に用いるスラリーとしては不向きである。
【特許文献1】
特開平2001−247853号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、銅膜、タンタル化合物のバリア層、SiO2の絶縁層を有する半導体デバイスのCMP加工プロセスにおいて、銅のウエットエッチングレートを10(Å/min)以下に抑えつつ、銅の研磨レートのみを酸化剤の添加量、酸化防止剤の添加量及び腐食防止剤の添加量を調整することでタンタル化合物及びSiO2の絶縁層の研磨レートに比べて1/20〜1/2程度に調整できる研磨用組成物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(A)研磨材、(B)有機酸、(C)酸化剤、(D)酸化防止剤、(E)腐食抑制剤および(F)水を含有する研磨用組成物であって、(A)研磨材が、平均粒径が20nm−50nmの範囲にあるフュームドシリカ、コロイダルシリカ、フュームドアルミナ、およびコロイダルアルミナのうち少なくとも1種類からなる無機粒子であり、研磨用組成物中の濃度が5〜10重量%であり、(B)有機酸の主成分がシュウ酸であり、研磨用組成物中の濃度が0.01〜1.0重量%であり、(C)酸化剤が過酸化水素であり、研磨用組成物中の濃度が0.0〜1.0重量%であり、(D)酸化防止剤がベンゾトリアゾールまたはその誘導体であり、研磨用組成物中の濃度が0.0〜1.0重量%であり、(E)腐食防止剤がシュウ酸アンモニウムであり、研磨用組成物中の濃度が0.01〜0.5重量%であることを特徴とする研磨用組成物である。
【0012】
本発明はかかる上記の問題点を解決するために種々検討した結果、シュウ酸アンモニウムを腐食防止剤に用い、シュウ酸アンモニウム、過酸化水素及びベンゾトリアゾールの添加量を調整することで銅のウエットエッチングレートを10(Å/min)以下に抑えつつ、銅の研磨レートのみをタンタル化合物及びSiO2絶縁層の研磨レートの1/20〜1/2程度に調整できることを見いだし、発明を完成するに至ったものである。
【0013】
本発明に用いる無機粒子の平均粒径は20nm−50nmの範囲にあることが好ましい。20nm未満ではSiO2膜を研磨する際の研磨速度が極端に低下するので好ましくなく、50nmを超えるとタンタル膜、SiO2膜の研磨レートが小さくなってしまうので好ましくない。
【0014】
本発明に用いる無機粒子はフュームドシリカ、コロイダルシリカ、フュームドアルミナ、およびコロイダルアルミナのうち少なくとも1種類であり、これらのものを単独或いは任意に組み合わせ用いることができる。組み合わせや比率などは特に限定されるものではない。
【0015】
研磨材の研磨用組成物中の濃度は5〜10重量%であることが望ましい。研磨材の濃度が小さくなりすぎると機械的な研磨能力が減少し研磨レートが低下するので好ましくなく、濃度が高すぎると機械的研磨能力が増大してタンタル化合物、銅、SiO2の研磨の選択性が低下するので好ましくない。
【0016】
本発明の研磨用組成物は有機酸を含有する。本発明に用いる有機酸の主成分はシュウ酸であることが好ましい。研磨用組成物中の濃度は0.01〜1.0重量%であることが望ましい。0.01重量%未満であるとタンタル化合物膜の研磨レートが小さくなるために好ましくなく1.0重量%を超えると銅膜研磨レートが大きくなり制御できなくなるので好ましくない。
【0017】
本発明の研磨用組成物は酸化剤を含有するが酸化剤としては過酸化水素が好ましい。過酸化水素はタンタル化合物膜に対して酸化作用を発揮し、イオン化を促進することによってタンタル化合物膜の研磨レートを高める働きがあるが、研磨用組成物中の濃度は0.0〜1.0重量%であることが望ましい。この範囲の濃度から高くなり過ぎてもタンタル化合物膜の研磨レートが低下するので好ましくない。また、過酸化水素は銅膜に対しても酸化作用を発揮し、イオン化を促進することによって銅膜の研磨レートを高める働きがあるが、研磨用組成物中の濃度は0.0〜1.0重量%であることが望ましい。この範囲の濃度より高い場合は、銅膜に対する研磨レートが大きくなりすぎるので好ましくない。
【0018】
本発明の研磨用組成物は酸化防止剤としてベンゾトリアゾールまたはその誘導体を含有し、研磨用組成物中の濃度は0.0〜1.0重量%である。1.0重量%を超えるとタンタル化合物膜の研磨レートが極端に減少するので好ましくない。
【0019】
本発明の研磨用組成物は腐食抑制剤としてシュウ酸アンモニウムを含有する。研磨用組成物に腐食抑制剤を加えることにより、過剰な化学的作用による銅膜表面の腐食を防ぐことができる。研磨用組成物中の腐食抑制剤の濃度はそれぞれ0.01〜0.5重量%であることが望ましい。ともにこの範囲の濃度から高くなっても低くなりすぎても銅膜の腐食防止効果が不十分であり、研磨後の銅膜の表面状態が悪くなるので好ましくない。
【0020】
本発明の研磨用組成物の媒体は水であり、イオン性不純物や金属イオンを極力減らしたものであることが望ましい。
【0021】
本発明の研磨用組成物は上記の各成分、研磨材、有機酸、酸化剤、酸化防止剤、を水に混合、溶解、分散させて製造する。過酸化水素は、研磨直前に前記の混合液に添加、混合するが予め混合しておくことも可能である。それらの混合方法は、任意の装置で行うことができる。例えば、翼式回転攪拌機、超音波分散機、ビーズミル分散機、ニーダー、ボールミルなどが適用可能である。
【0022】
また上記成分以外に種々の研磨助剤を配合してもよい。このような研磨助剤の例としては、分散助剤、防錆剤、消泡剤、pH調整剤、防かび剤等が挙げられるが、これらはスラリーの分散貯蔵安定性、研磨速度の向上の目的で加えられる。分散助剤としてはヘキサメタリン酸ソーダ等が挙げられる。もちろん各種界面活性剤などを添加して分散性を向上させることができることは言うまでもない。pH調整剤としてはアンモニアなどの塩基性化合物や酢酸、塩酸、硝酸等の酸性化合物が挙げられる。消泡剤としては流動パラフィン、ジメチルシリコーンオイル、ステアリン酸モノ、ジグリセリド混合物、ソルビタンモノパルミチエート、等が挙げられる。
【0023】
【実施例】
本発明を実施例で具体的に説明する。
<実施例1>
研磨材として一次粒子の平均粒径が30nmであるコロイダルシリカ、シュウ酸、過酸化水素、ベンゾトリアゾール、シュウ酸アンモニウムが表1に示された濃度になるように0.5μmのカートリッジフィルターで濾過されたイオン交換水に混合し、高速ホモジナイザーで攪拌して均一に分散させて研磨用組成物を得た。
【0024】
<研磨評価>
被研磨物は8インチのシリコンウエハー上SiO2膜、タンタル化合物膜、銅膜のベタ膜を形成したものを用意し各膜の研磨レートを測定し、選択比を求めた。
【0025】
研磨は定盤径600mmの片面研磨機を用いた。研磨機の定盤にはロデール社製(米国)のポリウレタン製研磨パッドIC−1000/Suba400を専用の両面テープで張り付け、研磨液組成物(スラリー)を流しながら研磨した。荷重は3psi、定盤の回転数を70rpm、ウエハー回転数72rpm、研磨材組成物の流量を150ml/minとした。
【0026】
<実施例2〜4、比較例1〜7>
表1に示された配合によって研磨用組成物を調整し研磨特性を評価した。
結果を表1に示した。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば銅膜、タンタル膜を含む半導体デバイスのCMP加工プロセスにおいてタンタル化合物膜を優先的に研磨可能な研磨液組成物が得られ、半導体デバイスを効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】銅膜を形成させたデバイスの研磨プロセスの模式図
【符号の説明】
1 Cu
2 Ta
3 SiO2
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体、各種メモリーハードディスク用基板等の研磨に使用される研磨用組成物に関し、特に半導体のデバイスウエハーの表面平坦化加工に好適に用いられる研磨用組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エレクトロニクス業界の最近の著しい発展により、トランジスター、IC、LSI、超LSIと進化してきており、これら半導体素子に於ける回路の集積度が急激に増大するに伴って半導体デバイスのデザインルールは年々微細化が進み、デバイス製造プロセスでの焦点深度は浅くなり、パターン形成面の平坦性はますます厳しくなってきている。
【0003】
一方で配線の微細化による配線抵抗の増大をカバーするために、配線材料としてアルミニウムやタングステンからより電気抵抗の小さな銅配線が検討されてきている。しかしながら銅を配線層や配線間の相互接続に用いる場合には、絶縁膜上に配線溝や孔を形成した後、スパッタリングやメッキによって銅膜を形成して不要な部分を化学的機械的研磨法(CMP)によって絶縁膜上の不要な銅が取り除かれる。
【0004】
かかるプロセスでは銅が絶縁膜中に拡散してデバイス特性を低下させるので、通常は銅の拡散防止のために絶縁膜上にバリア層としてタンタルやタンタルナイトライドの層を設けることが一般的になっている。
【0005】
このようにして最上層に銅膜を形成させたデバイスの平坦化CMPプロセスにおいては、初めに不要な部分の銅膜を絶縁層上に形成されたタンタル化合物の表面層まで研磨し、次のステップでは絶縁膜上のタンタル化合物の層及びSiO2を若干研磨し、平坦化したところで終了していなければならない。このようなプロセスを図1に示したが、かかるプロセスにおけるCMP研磨では銅、タンタル化合物、SiO2などの異種材料に対して研磨レートに選択適性があることが必要である。
【0006】
即ちステップ1では銅に対する研磨レートが高く、タンタル化合物に対してはほとんど研磨能力がない程度の選択性が必要である。さらにステップ2ではタンタル化合物、SiO2に対する研磨レートが銅に対する研磨レートの2〜20倍程度のものが好ましい。
【0007】
このプロセスを理想的には一つの研磨材で研磨できることが望まれるが、異種材料に対する研磨レートの選択比をプロセスの途中で変化させることはできないのでプロセスを2ステップに分けて異なる選択性を有する2つのスラリーでそれぞれのCMP工程を実施する。通常溝や孔の銅膜の削りすぎ(ディッシング、リセス、エロージョン)を防ぐためにステップ1ではタンタル化合物上の銅膜は少し残した状態で研磨を終了させる。ついでステップ2では残ったわずかな銅、タンタル化合物及び若干のSiO2層を研磨除去する。
【0008】
ステップ2に用いられる研磨用組成物に対しては、ステップ1で研磨された状態から主としてタンタル化合物、SiO2を選択的に研磨するために必要な研磨レートはタンタル化合物の研磨レートが600〜800(Å/min.)、銅の研磨レートが30〜300(Å/min.)、SiO2の研磨レートが600〜800(Å/min.)程度であり、また、銅に対するウエットエッチングレートが10(Å/min.)以下であることが望ましいとされている。
【0009】
このようなステップ2研磨用の研磨用組成物としては、コロイダルシリカ、過酸化水素、ベンゾトリアゾール、シュウ酸と水とを含有しKOHなどでpH2〜5に調整した研磨用組成物が特許文献1に示されている。しかし、この研磨用組成物は、SiO2に対しての研磨レートが小さくなっており、ステップ2に用いるスラリーとしては不向きである。
【特許文献1】
特開平2001−247853号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、銅膜、タンタル化合物のバリア層、SiO2の絶縁層を有する半導体デバイスのCMP加工プロセスにおいて、銅のウエットエッチングレートを10(Å/min)以下に抑えつつ、銅の研磨レートのみを酸化剤の添加量、酸化防止剤の添加量及び腐食防止剤の添加量を調整することでタンタル化合物及びSiO2の絶縁層の研磨レートに比べて1/20〜1/2程度に調整できる研磨用組成物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(A)研磨材、(B)有機酸、(C)酸化剤、(D)酸化防止剤、(E)腐食抑制剤および(F)水を含有する研磨用組成物であって、(A)研磨材が、平均粒径が20nm−50nmの範囲にあるフュームドシリカ、コロイダルシリカ、フュームドアルミナ、およびコロイダルアルミナのうち少なくとも1種類からなる無機粒子であり、研磨用組成物中の濃度が5〜10重量%であり、(B)有機酸の主成分がシュウ酸であり、研磨用組成物中の濃度が0.01〜1.0重量%であり、(C)酸化剤が過酸化水素であり、研磨用組成物中の濃度が0.0〜1.0重量%であり、(D)酸化防止剤がベンゾトリアゾールまたはその誘導体であり、研磨用組成物中の濃度が0.0〜1.0重量%であり、(E)腐食防止剤がシュウ酸アンモニウムであり、研磨用組成物中の濃度が0.01〜0.5重量%であることを特徴とする研磨用組成物である。
【0012】
本発明はかかる上記の問題点を解決するために種々検討した結果、シュウ酸アンモニウムを腐食防止剤に用い、シュウ酸アンモニウム、過酸化水素及びベンゾトリアゾールの添加量を調整することで銅のウエットエッチングレートを10(Å/min)以下に抑えつつ、銅の研磨レートのみをタンタル化合物及びSiO2絶縁層の研磨レートの1/20〜1/2程度に調整できることを見いだし、発明を完成するに至ったものである。
【0013】
本発明に用いる無機粒子の平均粒径は20nm−50nmの範囲にあることが好ましい。20nm未満ではSiO2膜を研磨する際の研磨速度が極端に低下するので好ましくなく、50nmを超えるとタンタル膜、SiO2膜の研磨レートが小さくなってしまうので好ましくない。
【0014】
本発明に用いる無機粒子はフュームドシリカ、コロイダルシリカ、フュームドアルミナ、およびコロイダルアルミナのうち少なくとも1種類であり、これらのものを単独或いは任意に組み合わせ用いることができる。組み合わせや比率などは特に限定されるものではない。
【0015】
研磨材の研磨用組成物中の濃度は5〜10重量%であることが望ましい。研磨材の濃度が小さくなりすぎると機械的な研磨能力が減少し研磨レートが低下するので好ましくなく、濃度が高すぎると機械的研磨能力が増大してタンタル化合物、銅、SiO2の研磨の選択性が低下するので好ましくない。
【0016】
本発明の研磨用組成物は有機酸を含有する。本発明に用いる有機酸の主成分はシュウ酸であることが好ましい。研磨用組成物中の濃度は0.01〜1.0重量%であることが望ましい。0.01重量%未満であるとタンタル化合物膜の研磨レートが小さくなるために好ましくなく1.0重量%を超えると銅膜研磨レートが大きくなり制御できなくなるので好ましくない。
【0017】
本発明の研磨用組成物は酸化剤を含有するが酸化剤としては過酸化水素が好ましい。過酸化水素はタンタル化合物膜に対して酸化作用を発揮し、イオン化を促進することによってタンタル化合物膜の研磨レートを高める働きがあるが、研磨用組成物中の濃度は0.0〜1.0重量%であることが望ましい。この範囲の濃度から高くなり過ぎてもタンタル化合物膜の研磨レートが低下するので好ましくない。また、過酸化水素は銅膜に対しても酸化作用を発揮し、イオン化を促進することによって銅膜の研磨レートを高める働きがあるが、研磨用組成物中の濃度は0.0〜1.0重量%であることが望ましい。この範囲の濃度より高い場合は、銅膜に対する研磨レートが大きくなりすぎるので好ましくない。
【0018】
本発明の研磨用組成物は酸化防止剤としてベンゾトリアゾールまたはその誘導体を含有し、研磨用組成物中の濃度は0.0〜1.0重量%である。1.0重量%を超えるとタンタル化合物膜の研磨レートが極端に減少するので好ましくない。
【0019】
本発明の研磨用組成物は腐食抑制剤としてシュウ酸アンモニウムを含有する。研磨用組成物に腐食抑制剤を加えることにより、過剰な化学的作用による銅膜表面の腐食を防ぐことができる。研磨用組成物中の腐食抑制剤の濃度はそれぞれ0.01〜0.5重量%であることが望ましい。ともにこの範囲の濃度から高くなっても低くなりすぎても銅膜の腐食防止効果が不十分であり、研磨後の銅膜の表面状態が悪くなるので好ましくない。
【0020】
本発明の研磨用組成物の媒体は水であり、イオン性不純物や金属イオンを極力減らしたものであることが望ましい。
【0021】
本発明の研磨用組成物は上記の各成分、研磨材、有機酸、酸化剤、酸化防止剤、を水に混合、溶解、分散させて製造する。過酸化水素は、研磨直前に前記の混合液に添加、混合するが予め混合しておくことも可能である。それらの混合方法は、任意の装置で行うことができる。例えば、翼式回転攪拌機、超音波分散機、ビーズミル分散機、ニーダー、ボールミルなどが適用可能である。
【0022】
また上記成分以外に種々の研磨助剤を配合してもよい。このような研磨助剤の例としては、分散助剤、防錆剤、消泡剤、pH調整剤、防かび剤等が挙げられるが、これらはスラリーの分散貯蔵安定性、研磨速度の向上の目的で加えられる。分散助剤としてはヘキサメタリン酸ソーダ等が挙げられる。もちろん各種界面活性剤などを添加して分散性を向上させることができることは言うまでもない。pH調整剤としてはアンモニアなどの塩基性化合物や酢酸、塩酸、硝酸等の酸性化合物が挙げられる。消泡剤としては流動パラフィン、ジメチルシリコーンオイル、ステアリン酸モノ、ジグリセリド混合物、ソルビタンモノパルミチエート、等が挙げられる。
【0023】
【実施例】
本発明を実施例で具体的に説明する。
<実施例1>
研磨材として一次粒子の平均粒径が30nmであるコロイダルシリカ、シュウ酸、過酸化水素、ベンゾトリアゾール、シュウ酸アンモニウムが表1に示された濃度になるように0.5μmのカートリッジフィルターで濾過されたイオン交換水に混合し、高速ホモジナイザーで攪拌して均一に分散させて研磨用組成物を得た。
【0024】
<研磨評価>
被研磨物は8インチのシリコンウエハー上SiO2膜、タンタル化合物膜、銅膜のベタ膜を形成したものを用意し各膜の研磨レートを測定し、選択比を求めた。
【0025】
研磨は定盤径600mmの片面研磨機を用いた。研磨機の定盤にはロデール社製(米国)のポリウレタン製研磨パッドIC−1000/Suba400を専用の両面テープで張り付け、研磨液組成物(スラリー)を流しながら研磨した。荷重は3psi、定盤の回転数を70rpm、ウエハー回転数72rpm、研磨材組成物の流量を150ml/minとした。
【0026】
<実施例2〜4、比較例1〜7>
表1に示された配合によって研磨用組成物を調整し研磨特性を評価した。
結果を表1に示した。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば銅膜、タンタル膜を含む半導体デバイスのCMP加工プロセスにおいてタンタル化合物膜を優先的に研磨可能な研磨液組成物が得られ、半導体デバイスを効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】銅膜を形成させたデバイスの研磨プロセスの模式図
【符号の説明】
1 Cu
2 Ta
3 SiO2
Claims (1)
- (A)研磨材、(B)有機酸、(C)酸化剤、(D)酸化防止剤、(E)腐食抑制剤および(F)水を含有する研磨用組成物であって、(A)研磨材が、平均粒径が20nm−50nmの範囲にあるフュームドシリカ、コロイダルシリカ、フュームドアルミナ、およびコロイダルアルミナのうち少なくとも1種類からなる無機粒子であり、研磨用組成物中の濃度が5〜10重量%であり、(B)有機酸の主成分がシュウ酸であり、研磨用組成物中の濃度が0.01〜1.0重量%であり、(C)酸化剤が過酸化水素であり、研磨用組成物中の濃度が0.0〜1.0重量%であり、(D)酸化防止剤がベンゾトリアゾールまたはその誘導体であり、研磨用組成物中の濃度が0.0〜1.0重量%であり、(E)腐食防止剤がシュウ酸アンモニウムであり、研磨用組成物中の濃度が0.01〜0.5重量%であることを特徴とする研磨用組成物。
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Cited By (4)
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---|---|---|---|---|
KR100641992B1 (ko) | 2005-06-28 | 2006-11-02 | 동부일렉트로닉스 주식회사 | 구리 배선 형성 방법 |
KR100641348B1 (ko) | 2005-06-03 | 2006-11-03 | 주식회사 케이씨텍 | Cmp용 슬러리와 이의 제조 방법 및 기판의 연마 방법 |
EP2038916A1 (en) * | 2006-06-29 | 2009-03-25 | Cabot Microelectronics Corporation | Silicon oxide polishing method utilizing colloidal silica |
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