JP2004354859A - 開口絞り付き成形レンズ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】開口絞りが形成された絞り板101が内部に配置されている開口絞り付き成形レンズにおいて、前記絞り板101の光入射側もしくは光射出側の開口絞り102を取り囲む第1の領域の表面粗さを、前記第1の領域の周辺部分である第2の領域の表面粗さよりも粗くするようにしている。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形レンズに関し、特に、小型撮像装置やカメラの焦点検出装置に好適な開口絞り付き成形レンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば樹脂中に金属を埋め込んで一体成形するインサート成形技術が広く知られている。特許文献1はこういった技術をレンズに応用し、絞り部をインサート成形したレンズの開示例である。
【0003】
開口絞り付きの成形レンズは、1枚のレンズであっても絞り部を挟んだ対称型のパワー配置による良好な光学性能を実現できるという利点がある。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−148501号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献1に開示の成形レンズでは、透明樹脂と絞り部との界面の密着性が悪い場合に、絞り部のエッジ部に真空の空間、あるいは外気が滲入した空間ができる場合がある。ここでは光線が全反射するので、フレアの発生原因となっていた。また、一部に生じた微細な剥離によって応力の不均衡が起こり、応力の集中部では樹脂に複屈折性が生じるといった問題があった。複屈折は光線の偏光方向によって異なる屈折率が作用するもので、レンズの結像性能の劣化や、偏光の光学軸の回転といった悪影響があって、光学系にとって好ましくない。
【0006】
(発明の目的)
本発明の目的は、絞り板の剥離に起因する結像性能の劣化を防止することのできる開口絞り付き成形レンズを提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、開口絞りが形成された絞り板が内部に配置されている開口絞り付き成形レンズにおいて、前記絞り板の光入射側もしくは光射出側の開口絞りを取り囲む第1の領域の表面粗さを、前記第1の領域の周辺部分である第2の領域の表面粗さよりも粗くした開口絞り付き成形レンズとするものである。
【0008】
同じく上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、開口絞りが形成された絞り板が内部に配置されている開口絞り付き成形レンズにおいて、前記絞り板の光入射側もしくは光射出側の開口絞りを取り囲む領域に、シラン化合物が含まれている開口絞り付き成形レンズとするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0010】
(実施の第1の形態)
図1乃至図3は本発明の実施の第1の形態に係る開口絞り付き成形レンズを説明するための図である。
【0011】
まず、図1は実施の第1の形態の絞り板を示す図であって、図1(a)は絞り板の平面図、図1(b)は絞り板の断面図である。図1に示す絞り板101は、開口絞り102を形成した遮光作用部122に保持部120,121が一体化された構造となっている。
【0012】
図1(b)の上方向から絞り板101に入射した光の一部は開口絞り102を通過して図1(b)の下方向に導かれ、残りは絞り板で遮られる。絞り板101は、鉄、ステンレス、銅合金、アルミ合金などの金属の板材をプレス加工で成形し、その後に、粗面化処理、防錆処理、反射防止処理を加えたものである。
【0013】
保持部120,121に形成された貫通孔103,104は高精度に仕上げられ、金型内での絞り板101の位置決めと、レンズ成形後の開口絞り付きレンズの位置決めの両方に用いられる。貫通孔105,106は絞り板101の表裏に射出された例えば樹脂を繋いで強度を増すための開口である。107,108は開口絞りの面取りと段差部である。段差部108は、透明樹脂の硬化収縮に起因して開口絞り付近の樹脂界面に働くせん断力を緩和するために設けられている。絞り板101を粗面化するには、金属やセラミックよりなる噴射剤を圧縮した空気とともに吹き付けて物理的に梨地状の表面を得るブラスト処理を利用するのが容易である。また、空気の代わりに水などの液体を使ったウエットブラスト処理も同様に用いられる。ブラスト処理を行うと、脆性物では粒界剥離や表面剥離、切削が起き、塑性物では凹んだり、削られたりして、何れも粗面化して表面積が増大する。アルミ合金では、水酸化ナトリウム溶液などの特定の溶液中に浸漬して、化学的に梨地面を付与させる化学梨地仕上げを行うことも出来る。粗面の程度は、レーザー顕微鏡などを使って非接触で測定可能である。
【0014】
また、粗面化処理の範囲は、絞り板101の光入射側と光射出側の開口絞りを取り囲む領域であって、位置決めに用いる貫通孔103,104の内面を含まない。このため、絞り板101の光入射側と光射出側の開口絞りを取り囲む領域の表面粗さは、その領域の周辺部分である位置決めに用いる貫通孔103,104の内面の領域の表面粗さよりも粗くなっている。
【0015】
次工程では、例えば、インサート成形といった手法を用い、絞り板101を樹脂レンズの射出成形用の金型内にセットした後、キャビティ内に樹脂を射出してレンズと絞りを一体に成形する。
【0016】
インサート成形は、金型内にインサート品を装填した後、樹脂を注入してインサート品を溶融樹脂で包んで固化させ、一体化した複合部品を作る工法である。また、アウトサート成形と呼ばれる成形手法もあり、これは樹脂をアウトサート品の一部に成形で付着固定させて一体化し、複合部品を作る工法である。両者の差は樹脂が包むか、一部に付着するかの違いであって、本質的な違いはない。開口絞り付き成形レンズにおいては、絞り板に、例えば、イメージセンサの取り付け部が付加されていて、全体としてみると絞り板の一部にレンズが形成されている場合にはアウトサート成形と呼ばれることになる。
【0017】
インサート成形では、通常必要となる絞りやレンズの組立工程を省略することが出来るので、低コスト化に有利である。
【0018】
図2は、レンズと絞り板を一体成形した状態を示す図であって、図2(a)は開口絞り付き成形レンズの平面図、図2(b)は開口絞り付き成形レンズの断面図である。
【0019】
絞り板101は開口絞り102の部分および周囲が透明樹脂110で覆われるように、金型の鏡面を転写した2つのレンズ部112,113が形成されている。ここではレンズ部112,113は軸対称性の非球面であるが、軸対称性を持たない自由曲面であっても良い。また、イオン交換などの手法で、光軸からの距離に応じた屈折率分布を形成したり、表面からの深度に応じた屈折率分布を形成するとか、あるいは、レンズ表面に輪帯状の回折光学素子を形成して光学収差を補正するように構成しても良い。また、レンズ表面に波長よりも小さいピッチの周期構造を形成したフォトニック結晶を付加し、表面反射を抑えることもできる。
【0020】
111は金型のキャビティへの樹脂の入口となるゲートである。
【0021】
透明樹脂110としては、アクリル、ポリスチレン、ポリカーボネートといった可視光から赤外光までの広い波長域に対して高い透過率を有する樹脂や、これらに可視光線をカットする吸収剤などを添加して所定の分光透過率特性を付与し、例えば赤外光に対してのみ透明とした樹脂が好適に用いられる。
【0022】
開口絞りの光軸方向の位置は光学系の軸外主光線を決定するもので、諸収差を制御する上で極めて重要である。1枚のレンズで物体像を形成する際には、この構成のように物体側と像側に凸のレンズとして、その内部に開口絞りを置くと光学諸収差を良好に補正できる。特に、レンズの前側あるいは後ろ側に開口絞りを配置した結像レンズと比較すると、ディストーションの低減に著しい効果がある。
【0023】
ところで、透明樹脂110と絞り板101との界面の密着性が悪いと、開口絞り102のエッジ部に真空あるいは外気が滲入した空間ができる可能性がある。これは、絞り板と透明樹脂の線膨張係数の差に起因して、インサート成形での透明樹脂の硬化過程で残留応力が発生し、絞り板と透明樹脂との界面に働くせん断力が原因して密着性の悪い部分が剥離するためである。形状が大きく変化する場所に応力が集中しやすいので、特に、開口絞りのエッジ部で剥離が起こりやすい。
【0024】
図3は開口絞り付き成形レンズの開口絞り102のエッジ部を拡大して示した断面図であって、内部に空間ができている様子を示している。
【0025】
絞り板101の開口絞り102のエッジ部には樹脂の剥離によって真空の空間130が形成されている。透明樹脂110の屈折率がおよそ1.5、真空の屈折率が1.0であることから、界面への光線の入射角度が41.8度を越える範囲では図に示す光線131のように全反射し、ゴーストやフレアの原因となる。あるいは、絞り板101と樹脂の界面の一部に生じた微細な剥離によって応力の不均衡が発生すると、応力の集中した樹脂部に複屈折性が生じることもある。複屈折は偏光の光学軸方向で屈折率が異なる値を示す現象で、レンズが複屈折性を有すると結像特性が劣化したり、偏光の光学軸が回転してしまうため、好ましくない。
【0026】
長期の使用期間中に界面の剥離が生じるかどうかは、冷熱サイクルや温湿度サイクルなどの加速試験で知ることができる。条件を最適化した加速試験を経て、透明樹脂110と絞り板101との界面の密着が保たれていれば、使用者による通常の使用状態において、剥離が発生することは無い。
【0027】
図2に示した開口絞り付き成形レンズでは、絞り板101の貫通穴103,104を樹脂レンズ射出成形用の金型内にあるピンにセットした後、ゲートからキャビティ内に透明樹脂を射出してレンズと絞り板を一体に成形する。
【0028】
この際、貫通孔103,104の内壁は表面を粗面化してないので、金型に対しての充分な位置決め精度が得られる。したがって、レンズ部112,113と開口絞り102との偏芯が小さく、設計どおりの光学性能を引き出すことが出来る。一方、絞り板101の表面は粗面化してあるため、絞り板101の透明樹脂110に対するアンカー効果によって、両者の界面での高い密着性が得られる。大きいせん断力にも耐えられ、界面での剥離は生じ難い。開口絞り付き樹脂成形レンズを両凸レンズとすることで、表裏のせん断力が同程度となり、開口絞り102のエッジ部での応力集中が緩和されている。
【0029】
さらに、開口絞り付き成形レンズを成形した後、適当な温度に保持して除冷するアニーリングを施すと、熱または機械的な応力によって生じた成形品の内部残留応力を低減することが出来るので、より好ましい。
【0030】
このように粗面化によって絞り板101と透明樹脂110の密着性を高めると、冷熱サイクルや温湿度サイクルなどの加速試験を経ても不具合を生じず、長期の使用に対応した高い信頼性が得られる。開口絞り102の周辺部の貫通孔103,104を用いて高精度に位置決めするので、光学性能も良好である。
【0031】
以上は1枚の絞り板を備えた樹脂成形レンズについて説明したが、複数の絞り板を高精度に位置決めする場合にも適用できる。
【0032】
図4は、2枚の絞り板を備えている例であって、開口絞り付き成形レンズの断面図である。絞り板201と絞り板250は線膨張係数の近い材質で形成され、望ましくは同一の材質よりなる。絞り板201と絞り板250は周囲を透明樹脂210で覆われ、絞り板201の開口絞り202と絞り板250の開口絞り251を挟んで、金型の鏡面を転写したレンズ部212,213が形成されている。絞り板201と絞り板250の間隙にも透明樹脂210が充填されている。
【0033】
このような構成の場合には、絞り板201と絞り板250の向かい合った面201a,250aについての透明樹脂210との界面に働くせん断力は、反対側の面201b,250bで生じるせん断力よりも小さいので、面201b,250bについて、開口絞りを取り囲む領域の表面粗さを、その周辺部分の領域の表面粗さよりも粗くしてアンカー効果による高い密着性を得る。
【0034】
また、絞り板101(201,205)と透明樹脂110(210)との界面の密着性を高めるための方法として、シランカップリング処理を採用することも出来る。シランカップリング剤は本来なじみにくい無機成分と有機成分とを接着する仲立ちをするものである。シランカップリング剤は、1つの分子中に反応性の異なる2種類の官能基を持っている。その一つ目は、各種合成樹脂などの有機質材料と化学結合する反応基であって、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基などである。もう一つは、ガラス、金属、珪石など無機質材料と化学結合する反応基であって、メトキシ基、エトキシ基などである。
【0035】
シランカップリング剤を希薄水溶液にして、絞り板101を直接浸漬した後に、インサート成形することで、透明樹脂との界面の密着性を高めることが出来る。成形された開口絞り付き樹脂成形レンズは、少なくとも絞り板の光入射側もしくは光射出側の開口を取り囲む領域に、シラン化合物を含む。
【0036】
絞り板101の表面に金属が露出している場合には、水により加水分解されてシラノールとなったシランカップリング剤は、部分的に縮合してオリゴマー状態になり、金属表面に水素結合的に吸着する。その後、乾燥処理することで脱水縮合反応して強固な化学結合となる。
【0037】
一方、透明樹脂に対しては、樹脂へのぬれ性が改良されることや、樹脂への相溶性が改良されること、および、樹脂との間で水素結合的に結合される効果のために、絞り板101と透明樹脂110との界面の密着性が向上する。
【0038】
なお、粗面化処理に加えてシランカップリング処理を施しても良い。この場合には、物理的な密着機構であるアンカー効果と化学的密着機構である水素結合の両方を働かせることができる。
【0039】
ここでは、開口絞り付き成形レンズを両凸レンズとすることで、表裏のせん断力を同程度としたが、両凹レンズとしても同様に開口絞りのエッジ部での応力集中を緩和することが出来る。
【0040】
(実施の第2の形態)
図5は本発明の実施の第2の形態に係る開口絞り付き成形レンズの絞り板を示す平面図であり、以下この図を用いて絞り板について説明する。
【0041】
絞り板301は、開口絞り351,352,353,354を形成した遮光作用部222に保持部320,321が一体化された構造となっている。開口絞り351,352,353,354は複眼レンズのために設けられた開口絞りであって、例えば、特開2002−209226号公報に開示されている4個のレンズ部を有する撮像系に適用することが出来る。本発明に依れば、開口絞りを樹脂成形レンズの内部に配置することが出来るので、両凸レンズとして光学性能を向上させつつ、絞り板の表裏の内部応力を均衡をさせ、開口絞りのエッジ部での応力集中を緩和する。
【0042】
紙面垂直手前方向から絞り板301に入射した光の一部は開口絞り351,352,353,354を通過して紙面奥方向に透過し、残りは絞り板301で遮られる。
【0043】
保持部320,321に形成された貫通孔303,304は金型内での絞り板301の位置決めと、レンズ成形後の開口絞り付きレンズの位置決めの両方に用いられる。貫通孔305,306は絞り板301の表裏に射出されたの樹脂を繋いで強度を増すための開口である。
【0044】
絞り板301は、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の熱硬化性樹脂を圧縮成形、トランスファ成形、射出成形などの方法で成形し、粗面化した金型の面を絞り板301に転写したものが好適に用いられる。絞り板301には遮光性が必要であるために所望の波長域の光を吸収する光吸収性物質を添加して用いる。
【0045】
また、粗面化処理の範囲は、絞り板301の光入射側と光射出側の開口絞り351,352,353,354を取り囲む斜線で示した領域355であって、4つの開口絞り351,352,353,354を一度に取り囲んでいる。
【0046】
次工程では、例えば、インサート成形といった手法を用い、絞り板301を樹脂レンズの射出成形用の金型内にセットした後、キャビティ内に樹脂を射出して複眼レンズと絞りを一体に成形する。熱硬化性樹脂を絞り板301の材料とすると、レンズを構成する透明樹脂との線膨張係数が近いので、レンズ部の射出成形の条件を広い範囲から選ぶことが可能である。絞り板301が熱硬化性樹脂であれば、インサート成形時に形状が崩れることもない。
【0047】
絞り板301の貫通孔303,304を樹脂レンズ射出成形用の金型内にあるガイドピンにセットした後、ゲートからキャビティ内に透明樹脂を射出してレンズと絞り板を一体に成形する。この際、貫通孔303,304の内壁は表面を粗面化してないので、充分な位置決め精度が得られる。したがって、レンズ部と開口絞り351,352,353,354との偏芯が小さく、設計どおりの光学性能を引き出すことが出来る。一方、絞り板301の表面は粗面化してあるため、絞り板301の透明樹脂に対するアンカー効果で、両者の界面での高い密着性が得られる。大きいせん断力にも耐えられるために、界面での剥離は生じ難い。
【0048】
また、異なった2種の樹脂、または2色の樹脂を使って単一の金型内で成形する2色射出成形という手法も採り得る。2色射出成形では、最初に成形した1次成形品である絞り板301を金型から取り出さずに、金型を移動させることで次回成形する2次キャビティへ移し、同時に金型内のコアを後退させて2次キャビティと1次成形品との間にレンズを形成する空間を作ってから、2次樹脂を充墳して絞り板301の周囲に透明樹脂からなるレンズを一体化すればよい。
【0049】
2色射出成形では、通常必要となる絞りやレンズの組立工程を省略することが出来るので、低コスト化に有利である。
【0050】
絞り板301の材質として、PMMA(アクリル)、ABS樹脂、PS(ポリスチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PA(ナイロン/ポリアミド)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PC(ポリカーボネイト)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、LCP(液晶ポリマー)、ウレタン樹脂、TPE(熱可塑性エラストマー)などを用いることが可能である。ただし、2次樹脂である透明樹脂よりも溶融温度の高いものを選択する。
【0051】
この場合にも、絞り板301の光入射側と光射出側の開口絞りを取り囲む領域を粗面化し、絞り板301の透明樹脂に対するアンカー効果を得る。ただし、絞り板301の成形後の離型性を良くするために、開口絞りを取り囲む領域以外は粗面化しない。したがって、離型時に歪みを生じることもなく、高い形状精度が得られる。
【0052】
さらに、絞り板301と透明樹脂の溶融温度を近づけて、絞り板301の表面が2次樹脂の充填時に若干溶融する程度とするとアンカー効果に加えて溶融による接合ができる。
【0053】
なお、上記ではインサート成形、2色射出成形他について説明したが、他に、コンプレッション成形で絞り板と一体に形成する方法も選択し得る。
【0054】
以上の実施の各形態においては、絞り板の光入射側もしくは光射出側の開口絞りを取り囲む領域の表面粗さを、その領域の周辺部分の領域の表面粗さよりも粗くしたり、絞り板の光入射側もしくは光射出側の開口絞りを取り囲む領域に、シラン化合物が含まれるようにしているので、樹脂と絞り板の剥離に起因する光学性能の劣化を防止することが可能となる。
【0055】
特に、両凸レンズ、あるいは両凹レンズの内部に絞り板を配置することで、絞り板の表裏の内部応力を均衡をさせ、より剥離し難い構造とすることができる。この結果、1枚のレンズであっても、物体側と像側に凸のレンズとして、その内部に開口絞りを置くことで、光学諸収差を良好に補正することが可能であり、光学系の小型化や軽量化を実現し、しかも、低コストで光学系を作ることができる。
【0056】
しかも、インサート成形において、レンズ部と開口絞りとの偏芯を小さく抑え、設計どおりの光学性能を引き出すことができる。2色射出成形では、絞り板の成形において離型時の歪みを生じることもなく、高い形状精度が得ることが可能となった。
【0057】
したがって、上記構成の開口絞り付き成形レンズをカメラの焦点検出装置や小型撮像装置に搭載することにより、合焦精度の向上を図ることができ、見栄えの良い写真撮影を可能にすることもできる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、絞り板の剥離に起因する結像性能の劣化を防止することができる開口絞り付き成形レンズを提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1の形態に係る絞り板の平面および断面を示す図である。
【図2】本発明の実施の第1の形態に係る開口絞り付き成形レンズの平面および断面を示す図である。
【図3】本発明の実施の第1の形態に係る開口絞りのエッジ部を拡大して示した断面図である。
【図4】本発明の実施の第1の形態に係る絞り板の平面図である。
【図5】本発明の実施の第2の形態において2枚の絞り板を備えた開口絞り付き成形レンズの断面図である。
【符号の説明】
101,201,250,301 絞り板
102,202,251 開口絞り
110,210 透明樹脂
112,113,212,213 レンズ部
351,352,353,354 開口絞り
Claims (4)
- 開口絞りが形成された絞り板が内部に配置されている開口絞り付き成形レンズにおいて、
前記絞り板の光入射側もしくは光射出側の開口絞りを取り囲む第1の領域の表面粗さを、前記第1の領域の周辺部分である第2の領域の表面粗さよりも粗くしたことを特徴とする開口絞り付き成形レンズ。 - 開口絞りが形成された絞り板が内部に配置されている開口絞り付き成形レンズにおいて、
前記絞り板の光入射側もしくは光射出側の開口絞りを取り囲む領域に、シラン化合物が含まれていることを特徴とする開口絞り付き成形レンズ。 - 前記開口絞り付き成形レンズは、両凸レンズ、あるいは両凹レンズであることを特徴とする請求項1又は2に記載の開口絞り付き成形レンズ。
- 前記レンズは樹脂により成形されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の開口絞り付き成形レンズ。
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