JP2004354613A - 実楽器演奏ロボットと実楽器演奏ロボット群 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の一つの態様のロボット100は、指揮のテンポにあわせて鍵盤楽器140を演奏する速度を増減する。そのために、音階の時系列変化を記述している楽曲データを記憶している楽曲データ記憶部108と、音階と鍵盤楽器からその音階を発生させるのに必要なロボット動作を対応付けて記憶している動作記憶部110と、指揮の態様からテンポを特定するとともに各種制御を実行する情報処理部106とを備えている。情報処理部106は、特定されたテンポで、楽曲データ記憶部108に記憶されている音階に対応するロボット動作を逐次に特定し、特定されたロボット動作を実行させる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、手足等を物理的機械的に動かすことによって、実楽器を演奏するロボットに関する。特に、指揮にあわせて実楽器を演奏するロボットに関する。本明細書では、シンセサイザー等の電子楽器に対する概念として「実楽器」という文言を使用する。この「実楽器」とは、何らかの機械的動作が加えられることによって発音する楽器を意味し、例えば、鍵盤楽器、管楽器、弦楽器、打楽器等を挙げることができる。
【0002】
【従来の技術】下記特許文献1には、指揮者の指揮に合わせて楽曲を再生する装置が開示されている。この楽曲再生装置は、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)形式で音階の時系列変化を記述している楽曲データを記憶している手段と、指揮棒に内蔵されている加速度センサと、加速度センサの出力から指揮者の意図するテンポとボリュームを特定する手段と、特定されたテンポで楽曲データから音階を読出し、読出された音階を特定されたボリュームで再生する電子楽器とを備える。この楽曲再生装置によると、指揮者が意図するテンポとボリュームに合わせて楽曲を再生することができる。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−161440号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、実楽器を演奏するロボットを開発している。この実楽器演奏ロボットには、ピアニストが指を動かしてピアノを演奏するように、ロボットの手指を機械的に動かして実楽器を演奏することが期待されている。
指揮に合わせて手指の機械的動作のテンポ等を変えることによって指揮にあわせて実楽器を演奏するロボットは未だ実現されておらず、指揮にあわせて実楽器を演奏するロボットが実現されれば、人々を楽しませることができることが期待できる。
ロボットを動作させる場合、最終的にはロボットを機械的に動かすためのアクチュエータを制御する必要があり、制御に必要な指令を必要とする。アクチュエータを制御するためには、ロボットの姿勢変化等(アクチュエータの駆動態様やアクチュエータに供給する電流量でもよい)を教示する必要がある。ロボットの姿勢変化等を事前に教示しておけば、ロボットは教示されたとおりに手指等の姿勢を変化させる。その手指等の姿勢の変化が、実楽器を演奏するための動作であれば、結果としてロボットが実楽器を演奏する。
実楽器から発生させる音階によってロボットの手指等の姿勢変化は相違し、一曲を演奏し終えるのに必要な手指等の姿勢変化を教示するには多大の労力を要する。これが、実楽器を演奏するロボットを実現する一つの問題となっている。この問題が存在するために、指揮にあわせて実楽器を演奏するロボットは未だ実現されていない。本発明は、上記の問題点を解決し、指揮に合わせて動作することによって実楽器を演奏するロボットを実現することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段と作用と効果】本発明の一つの態様のロボットは、指揮のテンポにあわせて実楽器を演奏する速度を増減する。そのために、指揮の態様からテンポを特定する手段と、音階の時系列変化を記述している楽曲データを記憶している手段と、音階と実楽器からその音階を発生させるのに必要なロボット動作を対応付けて記憶しているロボット動作記憶手段と、制御装置とを備えている。制御装置は、特定手段で特定されたテンポで、前記の楽曲データ記憶手段に記憶されている音階に対応するロボット動作を逐次に特定し、特定されたロボット動作を実行させる。
上記のロボット動作記憶手段は、音階に対応付けてその音階を発生させるのに必要なロボットの姿勢変化(右手を左方向に30cm動かす等)を記憶してもよいし、音階に対応づけてその音階を発生させるのに必要なアクチュエータの駆動態様を記憶してもよい。ここでの「アクチュエータの駆動態様」とは、アクチュエータの制御量(例えば供給する電流量)を含んだ概念である。音階に対応付けてその音階を発生させるのに必要なロボットの姿勢変化を記憶している場合は、ロボットの姿勢変化を実現するためのアクチュエータの駆動態様を特定する必要がある。
本発明のロボットは、音階に対して実楽器からその音階を発生させるのに必要なロボット動作を対応付けて記憶しているロボット動作記憶手段を備えていることから、楽曲を演奏するようにロボットを教示するにあたって、ロボットの姿勢変化等を教示する必要がなく、音階の時系列変化を記述している楽曲データを教示すれば足りる。ロボットは、楽曲データの音階から、実楽器からその音階を発生させるのに必要なロボット動作を特定し、特定されたロボット動作を実行するために、教示された楽曲データに従った演奏が行われる。
しかもこのロボットでは、特定手段で特定されたテンポでロボット動作を読出していくことから、指揮者が意図するテンポで演奏される。ロボットは指揮のテンポにあわせて実楽器を演奏する動作を実行し、音階を経時的に変化させて楽曲を演奏する。
【0006】
指揮者の意図するテンポにあわせるのみならず、指揮者の意図するボリュームにあわせることもできる。
このためには、特定手段が、指揮の態様からテンポとボリュームを特定し、ロボット動作記憶手段が、音階とボリュームに対して、実楽器からその音階をそのボリュームで発生させるのに必要なロボット動作を対応付けて記憶しており、制御装置が、特定手段で特定されたテンポで、楽曲データ記憶手段に記憶されている音階と特定手段で特定されたボリュームに対応するロボット動作を逐次に特定し、特定されたロボット動作を実行させる。
この場合、指揮者の意図するテンポとボリュームが得られるよう実楽器演奏ロボットの手指等の機械的動作が制御され、指揮に合わせたテンポとボリュームで実楽器を演奏する。
【0007】
制御装置が、楽曲データ記憶手段に記憶されている音階の時系列に従ってアクチュエータの駆動態様を逐次に特定して記憶しておき、特定手段で特定されたテンポに従ったタイミングで、記憶しておいた駆動態様でアクチュエータを駆動することが好ましい。
本ロボットでは、音階から、その音階を発生させるのに必要なロボット動作(ロボットの姿勢変化又はアクチュエータの駆動態様)を読出してロボットを動作させる。教示データは単純である反面、教示データからロボットを動作させるまでの間に多くの時間を必要とする場合がある。例えば、教示データがアクチュエータの駆動態様である場合には、音階をキーとしてロボット動作記憶手段からアクチュエータの駆動態様を検索するのに時間がかかることがある。特に、教示データがロボットの姿勢変化である場合には、音階からロボットの姿勢変化を特定し、特定されたロボットの姿勢変化からアクチュエータの駆動態様を特定する必要があることから、多くの時間を必要とすることがある。
そこで、実際の演奏動作タイミングに先んじて、音階を発生させるのに必要なアクチュエータの駆動態様を特定して記憶しておき、そのようにして記憶しておいた駆動態様で演奏動作タイミングにあわせてアクチュエータを駆動することが好ましい。このようにすると、教示データからロボットを動作させるまでに要する演算負荷によってロボットの演奏動作が遅れることがない。この実楽器演奏ロボットによると、指揮者の意図するタイミングに正確にあわせながらロボットで実楽器を演奏することが可能となる。
【0008】
異なる種類の実楽器を演奏するロボットは、異なる種類のアクチュエータを利用する。手指を動かすピアノ演奏ロボットのアクチュエータと、ドラムをたたく腕を動かす打楽器演奏ロボットのアクチュエータは相違し、アクチュエータの動作を開始してから実際の楽器音が得られるまでの時間が相違する。アクチュエータの動作開始時点から楽器音が得られるまでの時間をアクチェエータの応答時間ということにすると、楽器の種類が相違すると応答時間も相違する。アクチェエータの応答時間が相違するロボット群によって楽器音の発生タイミングを一致させるには、そのための技術が必要とされる。
そのためには、実楽器演奏ロボットのアクチュエータ駆動開始タイミングが、アクチェエータの応答時間のずれに呼応してずらしておくことが好ましい。例えば、応答時間が0.1秒のロボットAと0.15秒のロボットBが存在する場合には、ロボットBのアクチュエータ駆動開始タイミングをロボットAよりも0.05秒だけ早めておく。
アクチュエータの応答時間の相違に対応して、実楽器演奏ロボット群のアクチュエータ駆動開始タイミングがずらされていると、複数の実楽器演奏ロボットが同じタイミングで音を出すことができるようになる。
【0009】
例えば一つの音階のみを出すことができる打楽器は、「楽曲スタートからの拍数」で演奏タイミングが記述できるものがある。
演奏タイミングが拍数で教示される場合には、実楽器演奏ロボットが、演奏タイミングを特定する「楽曲スタートからの拍数」を記憶している経過拍数記憶手段と、指揮の態様に基づいて「楽曲スタートからの拍数」をカウントする手段と、実楽器を演奏するロボット動作を記憶しているロボット動作記憶手段と、制御装置を備える。制御装置は、カウント手段のカウント値と経過拍数記憶手段に記憶されている「楽曲スタートからの拍数」が一致したときに、ロボット動作記憶手段に記憶されているロボット動作を実行させる。
「楽曲スタートからの拍数」は、いずれかの音符の長さを1拍としてカウントすることができる。例えば、16分音符の長さを一拍とすると、4分の4拍子の一小節の長さは16拍になる。
この実楽器演奏ロボットは、テンポの如何にかかわらず、教示された拍数において実楽器から音色を発生させる。
【0010】
【発明の実施の形態】最初に、下記の実施例で説明する技術の主要な特徴をまとめる。
(形態1)本発明は、鍵盤楽器演奏ロボットと管楽器演奏ロボットと打楽器演奏ロボットに具現化することができる。
鍵盤楽器演奏ロボットは、指を動かすことによって鍵盤を押し、腕を動かすことによって音階を変える。
管楽器ロボットは、唇接触部に装着されて使用される演奏用アクチュエータを備える。この演奏用アクチュエータは、管楽器の唇接触部を覆うフィルタと、そのフィルタを振動させるフィルタ振動装置と、そのフィルタと管楽器の唇接触部との間に空気を供給する空気供給装置とから構成される。フィルタの振動数を変えると音階が変わる。供給する空気量を変えると音のボリュームが変わる。
打楽器演奏ロボットは、腕を動かすことによって打楽器を叩く。
(形態2) 楽曲データは、音階とその音階の拍数を示すデータのならびによって、音階の時系列変化を記述している。例えば、ド(1/4拍)、レ(1/4拍)、ミ(1/4拍)、ファ(1/4拍)、ソー(4/4拍)といったように、楽曲データを記憶している。この場合、楽曲スタートからの拍数を累積すると、各音階の演奏開始拍数と演奏停止拍数を計算することができる。
(形態3)制御装置は、音の演奏開始拍数で音を発生させ始め、演奏停止拍数で音の発生を終了させる。
(形態4)制御装置は、アクチュエータの応答時間だけ早いタイミングで、アクチュエータを駆動させ始める。
(形態5)制御装置は、アクチュエータを駆動させ始めるよりも早いタイミングで、アクチュエータの駆動態様を特定して記憶している。
(形態6)実楽器演奏ロボットは、指揮棒の動きを時系列的に撮影し続けることができるカメラを備えている。このカメラで撮影された画像から指揮棒を抽出し、指揮棒の視野内位置の変化を監視することによって、指揮者が意図するテンポとボリュームを特定する。
(形態8)指揮棒が所定の態様(例えば二拍子)で振られる場合、振りの周期からテンポを特定し、振りの振幅からボリュームを特定する。
【0011】
【実施例】(第1実施例) 図面を参照して、本発明の実施例を説明する。本実施例では、鍵盤楽器140を演奏する鍵盤楽器演奏ロボット100と、太鼓240を演奏する太鼓演奏ロボット200と、トランペット340を演奏するトランペット演奏ロボット300によって構成される実楽器演奏ロボット群10を説明する。実楽器演奏ロボット群10は、指揮者20の指揮に合わせて、同時に、鍵盤楽器140と太鼓240とトランペット340を演奏する(合奏する)。
図1は、3台の実楽器演奏ロボット100,200,300と指揮者20の平面図を示している。図1では、各ロボット100,200,300や指揮者20を極めて簡略化して示している。
鍵盤楽器演奏ロボット100は、ヒトの胴体を模してつくられた胴体部150と、ヒトの頭を模してつくられた頭部152と、2本の腕130,132(左アーム130、右アーム132)を備え、鍵盤楽器140を保持している。頭部152は、胴体部150に対して回転可能となっている。アーム130,132は、胴体部150に対して揺動可能に接続されている。各アーム130,132の先端には、ヒトの手指を模してつくられた人工手指(図示省略)が設けられている。アーム130,132が鍵盤楽器140の上方を移動することによって鍵盤キーが選択され、人工手指が屈曲することによって選択された鍵盤キーが押される。鍵盤楽器140の鍵盤キーを押すことによって、鍵盤楽器140から音が出る。鍵盤楽器演奏ロボット100は、アーム130,132を利用して音階を選択し、人工手指を利用して音階を発生させて鍵盤楽器140を演奏する。
なお、以下では、「人工手指が鍵盤楽器140の鍵盤キーを押す」と正確に記載するべきところを、簡単のために「アーム130(又は132)が鍵盤キーを押す」と記載することにする。このことは、他のロボット200,300でも同様であり、人工手指に関する記載を省略する。また、図示省略しているが、ロボット100には、ヒトの足を模した足部も設けられている。ロボット100は、ヒューマノイドロボットといえる。鍵盤楽器演奏ロボット100の頭部152には、時系列的に撮影し続けることができるカメラ102が内蔵されている。
指揮者20が振る指揮棒30の先端には赤くて丸い部材32が取り付けられている。その赤くて丸い部材32を撮影し続けられるように、カメラ102の視野は広めに設定されている。ロボット100は、部材32の存在位置を画像処理によって抽出し、その視野内位置の変化から指揮棒30の動きを特定することができる。この点については後で詳しく説明する。
【0012】
太鼓演奏ロボット200は、鍵盤楽器演奏ロボット100とほぼ同様の構成をしている。太鼓演奏ロボット200は、胴体部250と、頭部252と、一対の腕230,232(左アーム230、右アーム232)と、カメラ202を備えており、太鼓240を保持している。アーム230,232が胴体部250に対して揺動することによって、太鼓240が叩かれる。これにより太鼓240から音が出る。太鼓240は、一つの音階の音だけを出すことができる。
トランペット演奏ロボット300も、鍵盤楽器演奏ロボット100とほぼ同様の構成をしており、胴体部350と、頭部352と、一対の腕330,332と、カメラ302を備えており、トランペット340を保持している。トランペット演奏ロボット300は、アーム330,332(人工手指)がトランペット340の演奏用ピストンを押すことによって音階を変えるものではない。どのようにしてトランペット340から音を出すのかは後で説明する。
【0013】
図2に、各ロボット100,200,300のシステム構成を示している。図2では、本発明に直接関連しないものは図示を省略している。
鍵盤楽器演奏ロボット100は、カメラ102、アーム130,132、アーム130,132を揺動させて人工手指を屈曲させるアクチュエータ120、アクチュエータ制御装置124、楽曲データ記憶部108、動作記憶部110、情報処理部106、I/O104等を有している。
カメラ102は、時系列的に撮影し続けることができるものであり、撮影した画像データをI/O104に送る。
I/O104は、送られてくる画像データを情報処理部106が処理できるデータ形式に変換する。変換されたデータは情報処理部106に取り込まれる。また、I/O104は、情報処理部106から送られてくる各種情報をアクチュエータ制御装置124に送る。
情報処理部106は、各種の処理を実行してロボット100の動作を統括的に制御する。例えば、カメラ102の撮影画像から指揮棒30の動きを抽出する画像処理、抽出された指揮棒30の動きに基づいて楽曲データ記憶部108の記憶内容を読出す処理、読出した内容に基づいてロボット100の動作に関する情報をアクチュエータ制御装置124に送る処理等を実行する。また、情報処理部106には記憶領域(図示省略)が設けられており、各種情報を記憶することもできる。また、情報処理部106は、カウンタ(図示省略)を有している。このカウンタは、拍数を1/10単位でカウントしていくものであり(0→0.1→0.2・・・とカウントできる)、カウントスピードを変えることもできる。拍数に関しては後で詳しく説明する。
アクチュエータ制御装置124は、情報処理部106から送られてくる情報に基づいてアクチュエータ120を駆動する。
アクチュエータ120は、アクチュエータ制御装置124によって駆動制御される。アクチュエータ120が駆動することによって胴体部150に対してアーム130,132が揺動し、人工手指が折り曲げられる。これにより鍵盤楽器140から音が出る。アクチュエータ120としては、例えば、モータやソレノイドを用いることができる。
【0014】
楽曲データ記憶部108は、音符の並びが時系列的に記述されたMIDI形式のデータを記憶している。図3(a)の上の図は、楽曲データ記憶部108の記憶内容を楽譜で示したものである。実際には、図3(a)の上の図のような楽譜そのものを記憶しているのではなく、図3(a)の下の図に示すように、音階と演奏開始拍数と演奏停止拍数を対応づけて記憶している。ここでの「演奏開始(停止)拍数」は、楽曲のスタートからの拍数を意味している。図3(a)を例にすると、最初のソ(4分音符)のデータとして、音階ソと演奏開始拍数ゼロと演奏停止拍数4とを対応づけて記憶している。本実施例では、拍数の単位として、16分音符の長さを「1」としている。従って、最初のソ(4分音符)の演奏停止拍数は「4」になっている。また、次のソ(4分音符)のデータとして、音階ソと演奏開始拍数4と演奏停止拍数8とを対応づけて記憶している。また、その次のシ(2分音符)のデータとして、音階シと演奏開始拍数8と演奏停止拍数16とを対応づけて記憶している。
なお、鍵盤楽器140には、2オクターブ以上の音階(鍵盤)が用意されているために、例えばドが複数存在することになる。楽曲データ記憶部108が記憶している音階には、どの高さの音階かを示す情報が付加される。本実施例では、第1のド、第2のド、…といった具合に情報を付加している。第1のドとは、鍵盤の最も左に位置するドのことであり、そのドから1オクターブ上がると第2のドになる。同様に、他の音階にも高さを示す情報が付加される。但し、本明細書では、簡単化するために「第1の…」といった記載をしないでおく。
【0015】
動作記憶部110は、音階とボリュームとロボット100の動作を対応づけて記憶している。図4(a)に、動作記憶部110の記憶内容の一例を示す。例えば、音階ドとボリューム1と「左アームの座標=(X1,Y1)、左アームを下げる速度=V1」とを対応づけて記憶している。これは、左アーム130の先端(人工手指)を座標(X1,Y1)に移動させ、そこから左アーム130を速度V1で下げる(正確には左アーム130の人工手指を速度V1で屈曲させる)と、音階ドをボリューム1で演奏できることを意味している。「アームの座標」は、鍵盤上でのアーム先端(人工手指)の位置を意味しており、X方向とY方向は図1に示されている。鍵盤楽器140の鍵盤を押す速度が速いと鍵盤楽器140から大きな音が出るし、鍵盤を押す速度が遅いと鍵盤楽器140から小さな音が出る。このロボット100は、アーム130,132を下げる速度を変えることで鍵盤楽器140から出すボリュームを変える。本実施例では、3段階のボリュームが用意されており、ボリューム1が最も小さく、ボリューム3が最も大きい。従って、ボリューム1に対応する速度V1が最も遅く、ボリューム3に対応する速度V3が最も速い。
【0016】
図2に戻り、太鼓演奏ロボット200のシステム構成について説明する。太鼓演奏ロボット200のシステム構成は、鍵盤楽器演奏ロボット100とほぼ同様である。即ち、カメラ202、アーム230,232、アクチュエータ220、アクチュエータ制御装置224、楽曲データ記憶部208、動作記憶部210、情報処理部206、I/O204等を有している。I/O204、情報処理部206、アクチュエータ制御装置224、及びアクチュエータ220のそれぞれは、鍵盤楽器演奏ロボット100のそれとほぼ同様のものであるために、説明を省略する。
【0017】
図3(b)の上の図は、楽曲データ記憶部208の記憶内容を楽譜で表現したものである。図3(b)の(i)は左アーム230用の楽譜であり、(ii)は右アーム232用の楽譜である。実際は、楽曲データ記憶部208には、図3(b)の下の図に示されるように、楽曲のスタートからの拍数と左右いずれかのアームとを対応づけて記憶している。例えば、拍数4と左アーム230とが対応づけて記憶されているが、これは、拍数4のときに左アーム230を駆動して太鼓240を叩くことを意味している。
【0018】
図4(b)には、動作記憶部210の記憶内容が示されている。動作記憶部210は、左右いずれかのアームとボリュームとロボットの動作とを対応づけて記憶している。例えば、左アームとボリューム1と「アームの最下点の座標=Z1」とを対応づけて記憶している。これは、左アーム230で太鼓140を叩いてボリューム1の音を出す場合、左アーム230をZ1の高さまで下ろすことを意味している。このZ方向は、図1の紙面垂直方向である。このロボット200は、太鼓240を叩く速度を変えることによって太鼓240から出す音のボリュームを変えるという方法を採用せず、太鼓240を叩く深さを変えてボリュームを変える方法を採用している。太鼓240を叩く深さが深いと大きな音を出すことができ、太鼓240を叩く深さが浅いと小さい音を出すことができる。従って、最も小さいボリューム1に対応づけられた座標Z1が最も高い位置であり、最も大きいボリューム3に対応づけられた座標Z3が最も低い位置である。
【0019】
図2に戻り、トランペット演奏ロボット300のシステム構成について説明する。トランペット演奏ロボット300は、カメラ302、楽曲データ記憶部308、動作記憶部310、情報処理部306、I/O304等を有している。I/O304、情報処理部306のそれぞれは、鍵盤楽器演奏ロボット100のそれとほぼ同様のものであるために、説明を省略する。
トランペット演奏ロボット300は、上記のほかに、アクチュエータ制御装置324と、フィルタ振動装置320と、メンブレンフィルタ360と、空気供給装置322等を有している。
【0020】
トランペット340から音を出すための技術は、本願出願人によって既に出願された特願2003−050511に記載の技術を採用する。本明細書では、トランペット340から音を出すための技術について簡単に説明しておく。トランペット340の唇接触部は、メンブレンフィルタ360で覆われる。そして、フィルタ振動装置320(具体的にはフィルタ360に固定されたコイルと電磁石とによって構成される)がメンブレンフィルタ360を振動させると、トランペット340から音が出る。フィルタ振動装置320がメンブレンフィルタ360の振動数を変えることによって音階を変えることができる。空気供給装置322は、メンブレンフィルタ360とトランペット340の唇接触部との間に加圧空気を供給する。この空気量を多くするとトランペット340から大きな音を出すことができ、空気量を少なくするとトランペット340から小さな音を出すことができる。
アクチュエータ制御装置324は、情報処理部306から送られてくる情報に基づいてフィルタ振動装置320の振動数と空気供給装置322が供給する空気量を制御する。フィルタ振動装置320のコイルに通電する電流量を変化させると、メンブレンフィルタ360の振動数が変わる。また、空気供給装置322に通電する電流量を変えると、供給される空気量が変わる。
【0021】
楽曲データ記憶部308は、複数の音符が時系列的に記述されたMIDIデータを記憶している。この点は、鍵盤楽器演奏ロボット100の楽曲データ記憶部108と同様である。図3(c)の上の図は、楽曲データ記憶部308の記憶内容を楽譜で示したものである。実際には、楽譜をそのまま記憶しているのではなく、図3(c)の下の図のように、音階と演奏開始拍数と演奏停止拍数とを対応づけて記憶している。
図4(c)は、動作記憶部310の記憶内容を示す。動作記憶部310は、音階とボリュームとロボットの動作とを対応づけて記憶している。例えば、音階ドとボリューム1に対して「振動数=F1、空気量=A1」を対応づけて記憶している。ここでの振動数は、メンブレンフィルタ360の振動数を意味している。また空気量は、空気供給装置322が供給する空気量を意味している。
【0022】
以下に、鍵盤楽器演奏ロボット100の情報処理部106が実行する処理について説明する。図5から図8に、情報処理部106が実行する各処理のフローチャートを示している。まず、図5を参照して、演奏をスタートする際に実行する処理(以下では演奏スタート処理という)について説明する。
<演奏スタート処理>
情報処理部106では、最初の音を発生させるために必要なアクチュエータ120の制御態様を事前に特定してアクチュエータ制御装置124に記憶しておく処理を実行する(ステップS2)。具体的には、(1)楽曲データ記憶部108から最初の音階(図3(a)に例示する場合ならばソ)を読出す。(2)続いて、読出した最初の音階とボリューム2(この段階ではボリュームを特定できないので標準的なボリューム2で指揮棒30が振られると仮定しておく)をキーとして動作記憶部110を検索し、ロボットの動作を特定する。(3)特定されたロボットの動作を実現するのに必要なアクチュエータ120の制御量を計算してアクチュエータ制御装置124に記憶しておく。例えば、アクチュエータ120がモータである場合には、特定されたロボット動作を実行するのに必要な供給電流量を計算してアクチュエータ制御装置124に記憶しておく。
上記の(1)〜(3)を実行すると、アクチュエータ制御装置124がアクチュエータ120を駆動して楽曲の最初の音を鍵盤楽器140から出すために必要な制御情報がアクチュエータ制御装置124に記憶される。鍵盤楽器140から意図された音階を意図されたボリュームで発生させるのに必要な制御情報を事前にアクチュエータ制御装置124に記憶しておくと、制御情報を計算するのに時間を要して実際の演奏タイミングが遅れることを防止することができる。
【0023】
続いて、指揮棒30の動きを監視する(ステップS4)。情報処理部106は、カメラ102で撮影される画像から指揮棒30の先端の部材32を抽出し、その部材32の視野内位置を算出する処理を常に実行している。このステップS4では、カメラ152の視野内にある部材32が大きく位置を変えるとYESとされる。
指揮棒30が振られ始めると、ステップS2でアクチュエータ制御装置124に記憶しておいた情報に従って、アクチュエータ120を駆動する(ステップS6)。この結果、楽曲の最初の音階が標準的ボリュームで演奏される。予め制御情報が計算されて記憶されているので、演奏タイミングが遅れることがなく、指揮棒30が振られ始めるのに同期して楽曲の最初の音階が演奏される。
ステップS4でYESとされると、経過拍数カウンタでカウントをスタートする(ステップS8)。この時点では、指揮棒30の動きからテンポを特定できないために、標準的な速度(下記の中速)でカウントをはじめる。
【0024】
続いて、図6を参照して、指揮棒30の動きを解析する処理(以下では指揮態様解析処理という)について説明する。
<指揮態様解析処理>
ステップS10では、指揮棒30の動きからテンポとボリュームを特定する処理を実行する。図9を参照しながらステップS10の処理について詳しく説明する。図9は、指揮者20が二拍子で指揮棒30を振っている場合に、画像処理することによって抽出された部材32の移動軌跡の一例である。(1)情報処理部106は、部材32が下死点pにあるときから次に下死点pにくるまでを一周期として、その一周期の時間tを測定する。測定された時間からテンポが特定される。本実施例では、テンポが3段階(高速、中速、低速)に分けられている。測定された一周期の時間tが予め設定された時間T1より小さい場合は高速と特定し、一周期の時間tがT1以上で時間T2より小さい場合は中速と特定し、一周期の時間tがT2以上の場合は低速と特定する(T1<T2)。(2)また、情報処理部106は、下死点pから上死点までの振幅sを測定する。測定された振幅sからボリュームが特定される。測定された振幅sが予め設定された閾値S1より大きい場合はボリューム3と特定し、振幅sが閾値S1以下で閾値S2より大きい場合はボリューム2と特定し、振幅sが閾値S2以下の場合はボリューム1と特定する(S1>S2)。
図6のステップS10でテンポとボリュームを特定すると、特定されたテンポ(高速、中速、又は低速)とボリューム(1、2、又は3)を記憶する(ステップS12)。テンポとボリュームは、情報処理部106に設けられた記憶領域の所定のアドレスに格納される。このステップS12の処理を行なう毎に、テンポとボリュームが更新されることになる。
ステップS14では、特定されたテンポ(ステップS12で記憶したテンポ)で拍数をカウントする。ステップS14を終えると、ステップS10に戻って指揮棒30の動きからテンポとボリュームを特定する処理を再び実行する。
【0025】
続いて、図7を参照して、一つの音が鍵盤楽器140から発音されるまでに実行される処理(以下では演奏処理という)を説明する。情報処理部106は、この演奏処理と上記した指揮棒解析処理とを並行して実行する。なお、後で説明する演奏停止処理(図8)も、演奏処理や指揮棒解析処理と並行して実行する。
<演奏処理>
ステップS20では、拍数カウンタのカウント値と、現在発音している音の次の音の演奏開始拍数からα1を減算した値とが一致したか否かを監視している。本実施例では、このα1として0.5を採用している。図3(a)に例示する場合、現在最初のソが発音されているとすると、次のソの音の演奏開始拍数(4)から0.5が減算された3.5がカウントされるとYESとする。この場合、ステップS22に進む。
ステップS22では、次の音を発生させるはずのアクチュエータ120の制御量を事前に特定してアクチュエータ制御装置124に記憶しておく処理を実行する。具体的には、(1)楽曲データ記憶部108から次の音階(図3(a)に例示する場合ならばソ)を読出す。(2)続いて、読出した音階と、情報処理部106が記憶しているボリューム(上記したステップS12参照)をキーとして動作記憶部110を検索し、ロボットの動作を特定する。(3)特定されたロボットの動作を実現するのに必要なアクチュエータ120の制御量を計算してアクチュエータ制御装置124に記憶しておく。
上記の(1)〜(3)を実行すると、次の音階を指揮者が意図するボリュームで鍵盤楽器140から発生させるのに必要な制御情報がアクチュエータ制御装置124に記憶される。鍵盤楽器140から意図された音階を意図されたボリュームで発生させるのに必要な制御情報を事前にアクチュエータ制御装置124に記憶しておくと、制御情報を計算するのに時間を要して実際の演奏タイミングが遅れることを防止することができる。
なお、アクチュエータ制御装置124は、必要な制御情報を得た段階で、次のような準備動作をアクチュエータ120に実行させてもよい。例えば、現在、左アーム130で鍵盤楽器140の鍵盤を押しており、得られた動作予告情報が右アーム132で鍵盤を押すものであった場合には、次に押される鍵盤の真上まで右アーム132を持ってくる動作を実行する。このような準備動作をしておくことによって、応答時間をより短くすることができる。
【0026】
ステップS24では、拍数カウンタのカウント値と、現在発音している音の次の音の演奏開始拍数からβ1を減算した値とが一致したか否かを監視する。本実施例では、β1として0.2を採用している。図3に例示する場合、現在発音している音が最初のソである場合、次のソの演奏開始拍数(4)から0.2を減算した3.8がカウントされたか否かを監視する。このβ1は、アクチュエータ120の応答時間(即ちアクチュエータ120が駆動開始してから実際に発音するまでの時間)を考慮して設定されている。ここでYESとされるとステップS26に進む。
ステップS26では動作開始信号を出力する。アクチュエータ制御装置124は、動作開始信号を入力すると、ステップS22で記憶しておいた制御情報に従ってアクチュエータ120を駆動する。これにより、アーム130,132が駆動され鍵盤楽器140の鍵盤キーが押されることになる。
【0027】
続いて、図8を参照して、一つの音の発音を停止する処理(以下では演奏停止処理という)について説明する。
<演奏停止処理>
情報処理部106は、拍数カウンタのカウント値と、現在発音している音の演奏停止拍数からβ1を減算した値とが一致したか否かを監視している(ステップS30)。このβ1は、上述したステップS24におけるβ1と同じ値である(但し異なる値を設定してもよい)。ここでYESとされるとステップS32に進む。
ステップS32では、動作停止信号をアクチュエータ制御装置124に送る。アクチュエータ制御装置124は、動作停止信号を入力すると、アクチュエータ120を駆動して鍵盤を押しているアーム130(又は132)を鍵盤から離す。これにより、現在発音している音の演奏が停止されることになる。なお、現在発音している音の演奏停止拍数と次に発音する音の演奏開始拍数が同じ場合には、ステップS32の処理とステップS26の処理とが同時に実行される(動作停止信号と動作開始信号とが同時に出力される)。この場合、アクチュエータ制御装置124は、アーム130(又は132)を鍵盤から離して現在の発音を停止する処理を優先して実行し、その後に次の音を演奏する処理を実行する。
【0028】
次に、太鼓演奏ロボット200の情報処理部206が実行する各処理について説明する。
<指揮棒解析処理>
情報処理部206は、図10に示される指揮棒解析処理を実行する。図10に示されるステップS100,S102は、上記した図5のステップS4,S8と同様であるために説明を省略する。ステップS100でYESとされると、ステップS104からステップS108の処理を繰り返して実行する。このステップS104からステップS108の処理は、上記したステップS10からステップS14までの処理(情報処理部106の指揮棒解析処理)と同様であるために、ここでは説明しない。
【0029】
<演奏処理>
図11に、情報処理部206が実行する演奏処理のフローチャートを示す。情報処理部206は、拍数カウンタのカウント値と、次の音の演奏開始拍数(太鼓240を叩く拍数)からα2を減算した値とが一致したか否かを監視している(ステップS120)。本実施例では、このα2として0.5を採用している。図3(b)に例示する場合、次に太鼓240を叩く拍数が8であるならば、8から0.5が減算された7.5がカウントされるとYESとする。この場合、ステップS122に進む。
ステップS122では、次の音を発生させるはずのアクチュエータ220の制御量を事前に特定してアクチュエータ制御装置224に記憶しておく処理を実行する。この処理は、以下のようにして行なう。(1)まず、次に太鼓240を叩くアーム(左アーム230又は右アーム232)と、情報処理部206が記憶しているボリュームとをキーとして動作記憶部210を検索し、ロボットの動作を特定する。例えば、次に太鼓240を叩くのが左アーム230であって、ボリュームが3であるならば、「左アームの最下点の座標=Z3」を特定する(図4(b)参照)。(2)続いて、特定されたロボットの動作を実現するのに必要なアクチュエータ220の制御量を計算してアクチュエータ制御装置224に記憶しておく。例えば、アクチュエータ220がモータである場合には、検索されたロボット動作を実行するために必要なモータ回転数や回転速度等に対応した供給電流量を計算してアクチュエータ制御装置224に記憶しておく。
上記の(1)と(2)を実行すると、アクチュエータ制御装置224がアクチュエータ220を駆動して、太鼓240を指揮者が意図するボリュームで叩くのに必要な制御情報がアクチュエータ制御装置224に記憶される。太鼓240から意図されたボリュームで発生させるのに必要な制御情報を事前にアクチュエータ制御装置224に記憶しておくと、制御情報を計算するのに時間を要して実際の演奏タイミングが遅れることを防止することができる。
ステップS124では、カウンタのカウント値と、次の音の演奏開始時間からβ2を減算した値とが一致したか否かを監視する。本実施例では、β2として0.3を採用している。図3(b)に例示する場合、次に太鼓240を叩く演奏開始拍数が8であるならば、8から0.3を減算した7.7がカウントされるとYESとする。このβ2は、アクチュエータ220の応答時間を考慮して設定されている。ここでYESとされるとステップS126に進む。
ステップS126では動作開始信号を出力する。アクチュエータ制御装置224は、動作開始信号を入力すると、計算して記憶しておいた制御態様に従ってアクチュエータ220を駆動する。これにより、左アーム230又は右アーム232が駆動して太鼓240が叩かれることになる。
【0030】
続いて、トランペット演奏ロボット300の情報処理部306が実行する処理について説明する。
情報処理部306が実行する演奏スタート処理と指揮態様解析処理は、鍵盤楽器演奏ロボット100の情報処理部106が実行する処理(図5、図6参照)と同様であるために、説明を省略する。
<演奏処理>
図12に、情報処理部306が実行する演奏処理のフローチャートを示す。ステップS220では、カウンタのカウント値と、次の音の演奏開始拍数からα3を減算した値とが一致したか否かを監視している。本実施例では、このα3として0.3を採用している。図3(c)を例にするならば、現在最初のラが発音されているとすると、次のラの演奏開始拍数(8)から0.3が減算された7.7がカウントされるとYESとする。
ステップS222では、次の音を発生させるはずのアクチュエータ320の制御量を事前に特定してアクチュエータ制御装置324に記憶しておく処理を実行する。この処理は、次の音を発生させるために必要なフィルタ振動装置320と空気供給装置322の供給電流量をそれぞれ計算し、計算された各供給電流量をアクチュエータ制御装置224に記憶しておくことによって実行する。
ステップS224では、カウンタのカウント値と、現在発音している音の次の音の演奏開始拍数からβ3を減算した値とが一致したか否かを監視する。本実施例では、β3として0.1を採用している。図3(c)を例にするならば、現在発音している音が最初のラである場合、次のラの演奏開始拍数(8)から0.1を減算した7.9がカウントされたか否かを監視する。このβ3は、フィルタ振動装置320と空気供給装置322の応答時間を考慮して設定されている。ここでYESとされるとステップS226に進む。
ステップS226では動作開始信号を出力する。アクチュエータ制御装置324は、動作開始信号を入力すると、ステップS222で記憶しておいた制御態様でフィルタ振動装置320と空気供給装置322を駆動する(即ち記憶しておいた電流量をフィルタ振動装置320と空気供給装置322に通電する)。これにより、メンブレンフィルタ360が振動してトランペット340から音が出る。
【0031】
続いて、情報処理部306の演奏停止処理について説明する。図13に、情報処理部306が実行する演奏停止処理のフローチャートを示す。
<演奏停止処理>
情報処理部306は、カウンタのカウント値と、現在発音している音の演奏停止拍数からβ3を減算した値とが一致したか否かを監視している(ステップS230)。このβ3は、上述したステップS224におけるβ3と同じ値である。ここでYESとされるとステップS232に進む。
ステップS232では、動作停止信号をアクチュエータ制御装置324に送る。アクチュエータ制御装置324は、動作停止信号を入力すると、フィルタ振動装置320と空気供給装置322の動作を停止させる(即ち通電をストップする)。これにより、現在発音している音の演奏が停止されることになる。
【0032】
上記した各実楽器演奏ロボット100,200,300は、指揮者20によって指揮されたテンポとボリュームに合わせて演奏することができる。この実楽器演奏ロボット100,200,300によると、人々を楽しませることができることが期待できる。
また、各アクチュエータ120,220,320,322の応答時間が考慮されたタイミングで動作開始信号が出力されるために、予定されている音を予定されている演奏開始拍数で出すことができる。各実楽器140,240,340の発音タイミングを合わして同時演奏することもできる。
また、事前にアクチュエータの制御態様を計算して記憶しておくために、各アクチュエータ120,220,320,322の制御態様を計算するのに時間を要して、実際の演奏タイミングが遅れることがない。
【0033】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、ロボット100,300に、楽曲の最初に発音する音を楽曲の演奏開始前から事前出力させてもよい。この場合、図5のステップS2の段階で、最初の音を発生させるようにアクチュエータ120,320を駆動する。
また、上記実施例では、各動作記憶部110,210,310に、各ロボット100,200,300の姿勢を記憶させていたが、そのかわりに、各アクチュエータ120,220,320,322の駆動態様(モータの回転数等)や制御量(供給電流量等)を記憶させてもよい。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実楽器演奏ロボット群の概略平面図。
【図2】各実楽器演奏ロボットの概略システム図。
【図3】(a)鍵盤楽器演奏ロボットの楽曲データ記憶部の記憶内容。(b)太鼓演奏ロボットの楽曲データ記憶部の記憶内容。(c)トランペット演奏ロボットの楽曲データ記憶部の記憶内容。
【図4】(a)鍵盤楽器演奏ロボットの動作記憶部の記憶内容。(b)太鼓演奏ロボットの動作記憶部の記憶内容。(c)トランペット演奏ロボットの動作記憶部の記憶内容。
【図5】鍵盤楽器演奏ロボットの情報処理部が実行する演奏スタート処理のフローチャート。
【図6】鍵盤楽器演奏ロボットの情報処理部が実行する指揮態様解析処理のフローチャート。
【図7】鍵盤楽器演奏ロボットの情報処理部が実行する演奏処理のフローチャート。
【図8】鍵盤楽器演奏ロボットの情報処理部が実行する演奏停止処理のフローチャート。
【図9】指揮棒の移動軌跡の一例。
【図10】太鼓演奏ロボットの情報処理部が実行する指揮棒解析処理のフローチャート。
【図11】太鼓演奏ロボットの情報処理部が実行する演奏処理のフローチャート。
【図12】トランペット演奏ロボットの情報処理部が実行する演奏処理のフローチャート。
【図13】トランペット演奏ロボットの情報処理部が実行する演奏停止処理のフローチャート。
【符号の説明】
10・・実楽器演奏ロボット群
20・・指揮者
30・・指揮棒
32・・指揮棒の先端に取り付けられた部材
100・・鍵盤楽器演奏ロボット
102・・カメラ
104・・I/O
106・・情報処理部
108・・楽曲データ記憶部
110・・動作記憶部
120・・アクチュエータ
124・・アクチュエータ制御装置
130・・左アーム
132・・右アーム
140・・鍵盤楽器
150・・胴体部
152・・頭部
200・・太鼓演奏ロボット(以下は太鼓演奏ロボットの構成要素)
202・・カメラ
204・・I/O
206・・情報処理部
208・・楽曲データ記憶部
210・・動作記憶部
220・・アクチュエータ
224・・アクチュエータ制御装置
230・・左アーム
232・・右アーム
240・・太鼓
250・・胴体部
252・・頭部
300・・トランペット演奏ロボット(以下はトランペット演奏ロボットの構成要素)
302・・カメラ
304・・I/O
306・・情報処理部
308・・楽曲データ記憶部
310・・動作記憶部
320・・フィルタ振動装置
322・・空気供給装置
324・・アクチュエータ制御装置
330・・左アーム
332・・右アーム
340・・トランペット
350・・胴体部
352・・頭部
360・・メンブレンフィルタ
Claims (5)
- 指揮に合わせて動作することによって実楽器を演奏するロボットであり、
指揮の態様からテンポを特定する手段と、
音階の時系列変化を記述している楽曲データを記憶している手段と、
音階と、実楽器からその音階を発生させるのに必要なロボット動作を対応付けて記憶しているロボット動作記憶手段と、
前記特定手段で特定されたテンポで、前記楽曲データ記憶手段に記憶されている音階に対応するロボット動作を逐次に特定し、特定されたロボット動作を実行させる制御装置と
を備える実楽器演奏ロボット。 - 指揮に合わせて動作することによって実楽器を演奏するロボットであり、
指揮の態様からテンポとボリュームを特定する手段と、
音階の時系列変化を記述している楽曲データを記憶している手段と、
音階とボリュームに対して、実楽器からその音階をそのボリュームで発生させるのに必要なロボット動作を対応付けて記憶しているロボット動作記憶手段と、
前記特定手段で特定されたテンポで、前記楽曲データ記憶手段に記憶されている音階と前記特定手段で特定されたボリュームに対応するロボット動作を逐次に特定し、特定されたロボット動作を実行させる制御装置と
を備える実楽器演奏ロボット。 - 前記制御装置は、前記楽曲データ記憶手段に記憶されている音階の時系列に従ってアクチュエータの駆動態様を逐次に特定して記憶しておき、前記特定手段で特定されたテンポに従ったタイミングで、記憶しておいた駆動態様でアクチュエータを駆動することを特徴とする請求項1又は2の実楽器演奏ロボット。
- 請求項3のロボットで構成される実楽器演奏ロボット群であり、各実楽器演奏ロボットのアクチュエータの応答時間が異なり、
その応答時間の相違に対応して、アクチュエータ駆動開始タイミングがロボット毎にずらされていることを特徴とする実楽器演奏ロボット群。 - 指揮に合わせて動作することによって実楽器を演奏するロボットであり、
「楽曲のスタートからの拍数」を記憶している経過拍数記憶手段と、
指揮の態様に基づいて「楽曲のスタートからの拍数」をカウントする手段と、
実楽器を演奏するロボット動作を記憶しているロボット動作記憶手段と、
前記カウント手段のカウント値と、経過拍数記憶手段に記憶されている「楽曲のスタートからの拍数」が一致したときに、前記ロボット動作記憶手段に記憶されているロボット動作を実行させる制御装置と
を備える実楽器演奏ロボット。
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