JP2004354055A - 原子状ラジカル密度測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】容器内3に導入される原料ガスをラジカル化するラジカル発生装置において、容器内3に対して気密状に進入可能に設けられる中空体27に対して先端側から、原料ガスに対応するガスをプラズマ化して原子光を発光する原子光発生装置33と、該原子光発生装置33に隣接し、容器内に発生するラジカルを吸収するラジカル吸収部47と、原子光発生装置33から照射されてラジカル吸収部47のラジカルを透過した原子光を導波する光導波部49と、光導波部49により導波された原子光を受光して光強度に応じた電気信号を出力する原子光検出部53を順に備える。ラジカル吸収部内のラジカルを透過する原子光の光強度に基づいて原子状ラジカル密度を測定可能にする。
【選択図】図2
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、原料ガスをラジカル化して被処理体に原料ガス成分の薄膜を成膜したり、被処理体をエッチング処理する際に、ラジカル化した原料ガスに対して原子光発生装置から原子光を照射し、ラジカル透過前の基準原子光強度とラジカル透過後の原子光強度とに基づいて原子状ラジカル密度を測定する原子状ラジカル測定装置に関する。
【0002】
【従来技術】
従来の原子状ラジカル測定装置としては、▲1▼.原子光発光装置として低圧下での放電現象による発光を使用し、該発光をラジカル化した原料ガスに照射してラジカルを通過した光をレンズ系により分光器のスリット上に結像させて原子状ラジカル密度を測定する装置、▲2▼.原子光発光装置として電子サイクロトロン共鳴放電を利用し、電子サイクロトロン共鳴放電による発光をラジカル化した原料ガスに照射し、ラジカルを通過した光により原子状ラジカル密度を測定する装置等が知られている。
【0003】
上記した▲1▼にあっては、原子光発光装置の発光面積が大きく、分光器に全ての光を入射させること自体が困難なため、分光器に検出される光の信号強度が小さくなって検出精度、感度が悪くなっていた。
【0004】
また、▲2▼にあっては原料ガスが解離発光することにより原子光スペクトルに拡がりが生じている。このため、原子状ラジカル密度を測定する際には、原子光スペクトルの形状を仮定する必要があるが、解離発光による原子光スペクトルの形状近似を仮定することが極めて困難なため、原子状ラジカル密度を高精度で測定することができなかった。
【0005】
本出願人は、上記した▲1▼及び▲2▼による欠点を解決するため、特許文献1に示すように、原料ガスをプラズマによりラジカル化して被処理体に原料ガス成分の薄膜を成膜したり、被処理体をエッチング処理する際に、ラジカル化した原料ガスに対して原子光発生装置から原子光を照射し、ラジカル透過前の基準原子光の強度とラジカルを透過した原子光線の強度に基づいてプラズマ中の原子状ラジカル密度を測定する方法において、原子光発生装置は容器内に、一部に所定の内径からなる孔が形成された陰極板を設け、容器内における少なくとも上記ガス中の被測定原子を含むガス及び希ガスを所定の圧力にし、陰電極及び先端部が陰電極の孔に近接して設けられた陽電極に電流を印加して陰電極の孔内にて上記ガスをプラズマ化して発光させることにより生成される所望の原子光をプラズマに照射し、プラズマ透過前の基準原子光の強度とプラズマを透過した原子光線の強度に基づいてプラズマ中における原子状ラジカル密度を測定する装置を提案した。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−123996号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した原子状ラジカル測定装置を、例えばプロセス装置において具体化する際には、真空容器に互いに対向し合う2つのポートを必要とするため、装置自体が大型化及び複雑化すると共に既存のプロセス処理装置にあっては2つのポートを設けること自体が困難であった。
【0008】
また、原子状ラジカル密度が高い場合には、密度に対して測定される吸収強度が飽和して測定不能になっている。この問題は、高密度の原子状ラジカル密度を測定する際に、プラズマ中に計測用ポートを挿入して吸収長を短くすることにより解決できるが、プラズマ中に計測ポートを挿入すると、該計測ポートから金属が析出して不純物による汚染が生じたり、対象とするプラズマ自体が擾乱して測定しようとするプラズマ中の原子状ラジカル密度を高精度に測定できない問題が生じている。
【0009】
更に、プロセス制御や解析においては、プラズマ中における原子状ラジカルの空間分布状態に関する情報を得る必要があるが、上記装置はプラズマ中を通過する原子光の強度によりプラズマ中の原子状ラジカル密度を測定できるだけで、プラズマ中における原子状ラジカルの空間分布自体を測定できなかった。
【0010】
本発明は、上記した従来の欠点を解決するために発明されたものであり、その課題とする処は、装置自体の小型化及び簡素化を図りながら原子状ラジカルの密度を高精度及び高感度に測定することができる原子状ラジカル測定装置を提供することにある。
【0011】
本発明の他の課題は、原子状ラジカルが飽和状態であっても原子状ラジカル密度を高い精度で確実に測定することができる原子状ラジカル測定装置を提供することにある。
【0012】
本発明の他の課題は、簡易な構成により原子状ラジカルの空間分布を高い精度で測定することができる原子状ラジカル測定装置を提供することにある。
【0013】
本発明の他の課題は、測定されるラジカルの擾乱を最小限に押えて原子状ラジカルを高精度に測定することができる原子状ラジカル測定装置を提供することにある。
【0014】
【問題点を解決するための手段】
このため請求項1の原子状ラジカル測定装置は、容器内に導入される原料ガスをラジカル化するラジカル発生装置において、容器内に対して気密状に進入可能に設けられる中空体に対して先端側から、原料ガスに対応するガスをプラズマ化して原子光を発光する原子光発生装置と、該原子光発生装置に隣接し、容器内に発生するラジカルを吸収するラジカル吸収部と、原子光発生装置から照射されてラジカル吸収部のラジカルを透過した原子光を導波する光導波部と、光導波部により導波された原子光を受光して光強度に応じた電気信号を出力する原子光検出部を順に備え、ラジカル吸収部内のラジカルを透過する原子光の光強度に基づいて原子状ラジカル密度を測定可能にしたことを特徴とする。
【0015】
請求項2の原子状ラジカル測定装置は、容器内に導入される原料ガスをラジカル化するラジカル発生装置において、容器内に対して気密状で進入可能に設けられる中空体に対して先端側から、反射板と、容器内に発生するラジカルを吸収するラジカル吸収部と、光導波部を順に設けると共に容器外に位置する中空体の基端部側に、原料ガスに対応するガスをプラズマ化して発光する原子光を中空体内に照射する原子光発生装置及び反射板により反射してラジカル吸収部を透過した原子光を受光して光強度に応じた電気信号を出力する原子光検出部を設け、原子光発生装置から出射されて反射板により反射してラジカル吸収部内を透過して原子光検出部により受光される原子光の光強度に基づいて原子状ラジカル密度を測定可能にしたことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る原子状ラジカル測定装置を、高周波誘電結合型プラズマ処理装置に適用して水素原子ラジカル密度を測定する実施形態に基づいて説明する。
【0017】
実施形態1
図1〜図5において、ラジカル発生装置を構成し、成膜処理或いはエッチング処理に使用するプロセス処理装置として使用するプラズマ処理装置1は、高周波誘電結合型プラズマ処理装置で、真空容器3の上部には石英管製の放電室5が設けられ、該放電室5の周囲には高周波電源7に接続された高周波アンテナ9が設けられている。この高周波アンテナ9は高周波電源7から印加される高周波電力により放電室5及び真空容器3内にプラズマを生成する。
【0018】
上記した高周波としては、RF帯域(13.56MHz)、VHF帯域〔100MHz〕、UHF帯域(500MHz)或いはマイクロ波(2.45GHz)の何れであってもよく、また、直流電力或いは熱によりプラズマを生成してもよい。
【0019】
真空容器3の上部には混合ガスの導入口13が設けられている。導入される混合ガスとしては、被処理体17をSiO2/Si選択エッチングする場合には、フルオロカーボンガスに水素を含有したガスを添加した混合ガス、又非結晶シリコン薄膜、微結晶シリコン薄膜及び多結晶シリコン薄膜を成膜する場合には、シリコン原子を含有したガスと水素原子を含有したガスの混合ガス、更にダイヤモンド薄膜を成膜する場合には、炭素原子を含有したガスと水素を含有した混合ガスを使用する。
【0020】
真空容器3内には電極としての載置台15が設けられ、該載置台15上には半導体ウェハーやLCD用ガラス基板等の被処理体17が、必要に応じて静電チャック等の保持部材19を介して載置される。尚、載置台15には液体窒素等の冷媒を循環させて冷却する冷却手段或いは加熱ヒーター(何れも図示せず)が必要に応じて設けられ、被処理体17が所望の温度になるように調整する。
【0021】
載置台15にはバイアス電源21が接続され、該バイアス電源21は任意のパルス幅のバイアス電圧を載置台15に印加してマイナスバイアスを生じさせている。また、載置台15には真空排気装置(図示せず)に接続された排気管23が設けられ、導入口13から原料ガスを導入しながら排気管23から真空容器3内を排気して真空容器3及び放電室5内を所定のガス圧に保っている。
【0022】
真空容器3の側壁には本発明に係る原子状ラジカル密度測定装置25が設けられる。該原子状ラジカル密度測定装置25の中空体を構成するパイプ27は少なくとも真空容器3の側壁から中心部に至る長さで、細径のパイプからなり、側壁に設けられた孔29に対してOリング等の気密部材29aにより気密状態を保ちながら軸線方向へ摺動可能に支持される。
【0023】
該パイプ27は真空容器3外に設けられた数値制御可能なサーボモータ等のパイプ駆動装置31により真空容器3の上下方向と直交する左右方向へ往復移動される。尚、真空容器3に対してパイプ27を手動で進入操作してもよいことは勿論である。
【0024】
真空容器3内に位置するパイプ27の先端部には水素原子光発生装置33が取付けられている。該水素原子光発生装置33を詳述すると、水素原子光発生装置33のケース35の内部には陰極板37が隔壁状に設けられている。該陰極板37は極薄銅板等の金属板からなり、中心部には微小径の孔37aが形成されている。該陰極板3の厚さ及び孔37aの内径は、装置構成等により放電条件が異なるため、所望する原子スペクトルが得られるように各サイズを設定すればよい。
【0025】
また、ケース35内には針状の陽電極39が、電気的絶縁状態で、かつその先端が陰極板37の孔37aの中心に近接するように位置決めされて取付けられている。該陽電極39は直径が孔37aと同程度で、タングステン(W)等の金属線ワイヤからなる。
【0026】
そしてケース35内には水素ガス及びヘリウムガスの混合ガスが所定の圧力で封入されている。即ち、混合ガスの圧力は以下に示すような条件により設定されるものであり、該圧力範囲で要求される水素原子光を得ることができる。
水素原子発光寿命>解離励起された高速の水素原子が他の粒子と衝突し、
減速するまでの時間
【0027】
上記の式は、ケース35内圧力の下限を規定するもので、解離性発光による原子光スペクトルの拡がりが生じない条件である。解離性発光による原子光スペクトルの拡がりの原因は、高速な原子が発光するために生ずる現象であり、高速な原子が発光するまでの時間(水素原子発光寿命)よりも、高速な原子が他の粒子と衝突し、減速するまでの時間(水素原子平均衝突時間)が小さくなるように容器内圧力を設定すればよいことを意味する。具体的な圧力例としては、大気圧程度であればよい。
【0028】
封入される混合ガスは水素ガスに希釈ガスとしてヘリウムガス(He)を混入して水素ガス濃度を希釈する。尚、希釈ガスとしては、ヘリウムのように質量が水素原子と大差のないガスが望ましいが、これ以外にも例えばアルゴン等の希ガスであってもよい。又、水素ガスの代わりに水素原子を含有したガスであってもよい。
【0029】
そして陰極板37及び陽電極39間に所定電圧を印加すると、孔37a内の水素ガスをプラズマ化して波長122nmの水素原子光を発光してケース35に設けられた光学レンズ41を透過してパイプ27内に向かって照射する。尚、上記光学レンズ41に隣設するパイプ27内には第1キャピラリープレート43が設けられている。該第1キャピラリープレート43に付いては第2キャピラリープレート45と共にその詳細を後述する。
【0030】
この水素原子光は、小さな容積の孔37a内でガスがプラズマ化した際に発光するため、従来の手法と比べ、プラズマ化を支配する電子が集中して電子密度が増え、ガスの解離が進む。このため、ガス分子の発光が減少し、所望する原子光の発光が増加する。これは入力した電子が所望する原子光の発光に有効に使われ、従来の手法に比べ、原子光の発光が増加することを意味する。
【0031】
又、上記した圧力範囲にて孔37a内のガスをプラズマ化するには、孔37aの内径が微小であることが必要である。そして発光面が微小であり、所望する原子光の輝度が大きく、吸収分光用光源としては最適である。これは、高感度な原子状ラジカル密度測定を可能にすることを意味している。
【0032】
水素原子光発生装置33の基端部側に位置するパイプ27は外周に複数の切欠き部27aが形成されて真空容器3内と連通し、該真空容器3内に発生しているプラズマが進入するように構成される。そして切欠き部27aの両側に位置するパイプ27内には上記した第1及び第2キャピラリープレート43・45が所定の間隔をおいて取付けられて区画された空洞部からなる水素原子光吸収部47が設けられている。水素原子光吸収部47を構成する第1及び第2キャピラリープレート43・45は軸線方向に対する相互間隔幅が可変可能に構成される。
【0033】
上記した第1及び第2キャピラリープレート43・45は所定厚さのガラス板やプラスティク板で、μmオーダの微小径からなる多数の貫通孔を有した構造からなり、水素原子光発生装置33の光学レンズ41や後述する光導波路49内に設けられる光学レンズ51にプラズマ中の堆積物が付着して水素原子光が減衰するのを防止する。
【0034】
即ち、第1及び第2キャピラリープレート43・45はプラズマ中の堆積物を貫通孔の内周面に付着させることにより光学レンズ41・51に付着するのを防止する。また、第1及び第2キャピラリープレート43・45は水素原子光吸収部47の吸収長が長くなるのを規制する。
【0035】
尚、光導波路49内を真空容器3より高真空にすることにより不純物を除去して水素原子光の減衰を最小限にすると共に光学レンズ51に不純物が付着堆積するのを防止して水素原子光の強度検出を高感度に行なうことができる。また、第2キャピラリープレート45の貫通孔を通過してプラズマ中の水素原子が光導波路49内に進入した場合であっても、該光導波路49を高真空形成して水素原子を除去することにより光吸収長が長くなるのを回避して水素原子ラジカル密度を高精度に測定することができる。
【0036】
上記したようにパイプ27の基端部には光学レンズ51が取付けられ、該光学レンズ51と第2キャピラリープレート45との間に位置するパイプ27は光導波路49を形成している。また、パイプ27の基端部には水素原子光検出部53が設けられ、水素原子光吸収部47内のプラズマを透過した水素原子光の光強度を検出する。水素原子光検出部53としては、真空紫外分光器を用いてもよいし、所望する原子光のみを検出する検出器を用いてもよい。
【0037】
上記のように構成された原子状ラジカル密度測定装置25による水素原子ラジカル密度の測定作用を説明する。
【0038】
先ず、高周波アンテナ9に高周波電力が印加されていない、従ってプラズマが発生していない状態で、かつ真空容器3内に原料ガスが導入されていない状態で、パイプ27の先端部を真空容器3内の中心部に位置するように進入させた状態で水素原子光発生装置33の陽電極39及び陰電極37間に電圧を印加して水素原子光を発光させて水素原子光検出部53に受光させることによりプラズマを透過していない水素原子光の強度I0を測定しておく。
【0039】
また、プラズマ中の水素原子ラジカル密度を測定する場合、プラズマ中における水素原子以外の原子による電離吸収が生じる。このため、例えば水素原子光(波長:122nm)を測定する場合には、これに近い波長の原子光、例えば波長:120nmの窒素原子光を使用して吸収率を計測しておく。具体的には水素原子光発生装置33とは別に窒素原子光発生装置(図示せず)を用意しておき、窒素原子光発生装置が取付けられたパイプ27を真空容器3内のプラズマ中に位置させてプラズマ中における水素原子以外の原子による吸収率を測定しておく。(背景吸収率の測定)
【0040】
背景吸収率の測定は、計測対象原子の計測原子光波長近傍の波長の光を、計測対象プラズマに含まれない原子または分子を含有したプラズマの原子・分子光を用いて行なう。ここで波長近傍とは計測対象原子光波長を含む。
【0041】
具体的には、水素原子計測(水素原子光波長122nmを使用)では、窒素原子を含有したプラズマの窒素原子光(波長120nm)や重水素原子を含有したプラズマより発光する波長122nm近傍の光やアルゴン原子を含有したプラズマより発光する波長122nm近傍の光を用いる。尚、計測対象プラズマに背景吸収率計測に用いる原子や分子を含有する、例えばメタンプラズマやシランプラズマの場合の水素原子計測の場合には、窒素を含有したプラズマからの窒素原子光のようにそれ以外の原子・分子光を使用する。
【0042】
窒素原子計測(窒素原子光波長120nmを使用)では、水素原子を含有したプラズマの水素原子光(波長122nm)や水素分子を含有したプラズマの水素分子光の波長120nm近傍の光や重水素原子を含有したプラズマより発光する波長120nm近傍の光やアルゴン原子を含有したプラズマより発光する波長120nm近傍の光を用いる。尚、計測対象プラズマに背景吸収率計測に用いる原子や分子を含有する、例えばアンモニアプラズマの場合の窒素原子計測の場合には、水素原子や水素分子を含有しないプラズマからの水素原子光のようにそれ以外の原子・分子光を使用する。
【0043】
酸素原子計測(酸素原子光:130nm)では、水素分子を含有したプラズマの波長130nm近傍の水素分子光や重水素原子を含有したプラズマより発光する波長130nm近傍の光やクリプトン原子を含有したプラズマより発光する波長130nm近傍の光を用いる。尚、計測対象プラズマに背景吸収率計測に用いる原子や分子を含有する、例えば酸素分子プラズマの場合の酸素原子計測の場合には、水素分子を含有したプラズマからの波長130nm近傍の分子光のようにそれ以外の原子・分子光を使用する。
【0044】
炭素原子計測(炭素原子光:156nm又は166nm)の場合には、水素分子を含有したプラズマの波長156nmまたは166nm近傍の水素分子光や重水素原子を含有したプラズマより発光する波長156nm又は166nm近傍の光やキセノン原子を含有したプラズマより発光する波長156nm又は166nm近傍の光を用いる。尚、計測対象プラズマに背景吸収率計測に用いる原子や分子を含有する場合は、それ以外の原子・分子光を使用する。
【0045】
塩素原子計測(塩素原子光:135nm)では、水素分子を含有したプラズマの波長135nm近傍の水素分子光や重水素原子を含有したプラズマより発光する波長135nm近傍の光やクリプトン原子を含有したプラズマより発光する波長135nm近傍の光を用いる。尚、計測対象プラズマに背景吸収率計測に用いる原子や分子を含有する場合は、それ以外の原子・分子光を使用する。
【0046】
フッ素原子計測(フッ素原子光:96nm)では、水素原子を含有したプラズマの水素原子光波長95nmやネオン原子やヘリウム原子を含有したプラズマより発光する波長96nm近傍の光を用いる。尚、計測対象プラズマに背景吸収率計測に用いる原子や分子を含有する場合は、それ以外の原子・分子光を使用する。
【0047】
このように上記背景吸収を考慮しないと、計測対象原子を計測する原子光による吸収率には背景吸収分が含まれて算出されて密度が多くなるが、背景吸収率を考慮することにより原子密度を正確に算出できる。
【0048】
次に、真空容器3内に原料ガスを導入して高周波アンテナ9に高周波電力を印加してプラズマを発生させた状態で、先ず、水素原子光発生装置33の非駆動状態で水素原子光吸収部47内に侵入したプラズマ中の水素原子ラジカルが発光する水素原子光の強度I1を水素原子光検出部53により測定する。
【0049】
そして水素原子光発生装置33を駆動して水素原子光を発光させてプラズマ中を透過する水素原子光の強度I2を水素原子光検出部53により測定する。これにより測定される水素原子光の強度I2はプラズマ中の水素原子自体が発光する水素原子光の光強度I1とプラズマ中の水素原子ラジカルに一部が吸収された水素原子光の強度I3との和になり、これから原子光の吸収率を求める。そして背景吸収率との関係から水素原子のラジカル密度Nを求める。
【0050】
即ち、今、原子光の光強度は上記したようにI2=I1+I3になり、その際の原子光の吸収率Aは、数式1により求めることができる。
【0051】
【数1】
上記式1において、SYMBOL 110 ¥f ”Symbol” ¥s 12は周波数、f1(SYMBOL 110 ¥f ”Symbol” ¥s 12)は原子光発生装置から発光する原子光のスペクトル形状、f2(SYMBOL 110 ¥f ”Symbol” ¥s 12)はプラズマにおける原子の吸収スペクトル形状、Lは原子光が通るプラズマの距離、kBAは背景吸収係数、I0は真空容器内を非プラズマ化した状態で水素原子光発生装置33から計測用の原子光を発光させた際に検出される原子光強度とする。そしてkBAは下記の背景吸収率BAを求める数式2から求める。尚、原子光のスペクトル形状は、原子光発生装置を用いることでスペクトル形状を単純化でき、同定可能である。また、プラズマの吸収スペクトル形状は、理論的に求めることができる。
【0052】
【数2】
上記数式2において、IBA0とIBA3は、原子光における計測で計測対象になる光の波長を背景吸収計測に変更した場合の各光強度で、例えば水素原子光計測時に、窒素原子光120nmで背景吸収率を測定した場合、IBA0はプラズマOFF、窒素原子光発生装置ONにおける窒素原子光強度、IBA3はプラズマを通過した後の窒素原子光発生装置から発光した窒素原子光強度である。
【0053】
上記した数式1の第1式から計測対象になる原子の吸収係数k0が求まり、このk0から下記の数式3より計測対象の原子密度Nを求める。尚、数式3におけるXは、個々の計測対象原子光により決まる定数である。
【数3】
次に、プラズマ中における水素原子ラジカルの空中分布を測定する場合について説明すると、先ず、上記したようにパイプ27の先端部を真空容器3内に中心部に位置した状態で上記した方法により真空容器3内で発生しているプラズマ中の水素原子ラジカル密度を測定した後にパイプ27を所定距離づつ外側へ移動させながら夫々の位置にてプラズマ中における水素原子ラジカルの密度を測定することによりプラズマ中における水素原子ラジカルの空中分布状態を測定する。
【0054】
上記したプロセス制御において、プラズマ中における水素原子ラジカル密度の測定結果を以下のように反映させる。
【0055】
即ち、被処理体17にシリコン薄膜を成膜するプロセス処理においては、排気管23から真空容器3内の空気を排出しながら導入口13からシリコン原子を含有したガス、例えばシランガス(SiH4)と水素ガスを混合した原料ガスを導入して真空容器3内を所定の圧力にした状態で高周波アンテナ9に高周波電力を印加して高周波電界により混合ガスを反応性プラズマ化させる。これにより該反応性プラズマ中のシリコン原子を被処理体17上に堆積させてシリコン薄膜を成膜させる。
【0056】
また、被処理体17をエッチングするプロセス処理においては、導入口13からフルオロカーボンガス等と水素ガスや酸素ガスを混合した原料ガスを導入して上記と同様に反応性プラズマ化させた状態で載置台15にバイアス電圧を印加すると、反応性プラズマ中から陽イオンを飛び出させて被処理体17に衝突させることにより被処理体17をエッチング処理する。尚、エッチングにはラジカル種も関与する。
【0057】
上記したようなエッチング処理及び成膜処理等のプロセス処理においては、混合ガス中の水素ガスはプラズマ中においてラジカル化してエッチング処理及び成膜処理に大きく寄与している。このため、上記処理時においては、プラズマ中における水素原子ラジカル密度を上記した方法によりリアルタイムで測定し、この測定結果により高周波アンテナ9に印加される高周波電力等の放電パラメータ(他にガス流量、容器内圧力等)を制御したり、載置台15に印加されるバイアス電圧を制御したり、更に原子ラジカル源(図示せず)により水素原子ラジカルを真空容器3内に注入することにより反応性プラズマ中の水素原子ラジカル密度を制御することにより成膜される薄膜の厚さを制御したり、エッチングの選択比、加工精度を調整することができる。
【0058】
尚、高周波アンテナ9に印加される高周波電力等の放電パラメータ(他にガス流量、容器内圧力等)や載置台15に印加されるバイアス電圧をフィードバック制御するため、水素原子ラジカル密度の基準値は、被処理体の種類、プロセスの種類、プロセス条件等によって大きく異なるため、これらの条件に応じてその都度設定することが望ましい。
【0059】
本実施形態は、真空容器3内に気密状態で進入するように設けたパイプ27に水素原子発生装置33、水素原子光吸収部47及びその基端部に水素原子光検出部53を設ける簡易な構造により真空容器3内におけるプラズマ中の水素原子ラジカル密度を高精度に測定することができる。
【0060】
また、真空容器3内に対するパイプ27の進入状態を可変することによりプラズマ中における水素原子ラジカル密度の空中分布状態を高精度に測定することができる。
【0061】
実施形態2
本実施形態の原子状ラジカル密度測定装置60は、図6に示すように真空容器3内に対して気密状態で軸線方向へ移動可能に支持される金属製パイプのパイプ61の先端部には空洞部からなる原子光吸収部63が形成され、該原子光吸収部63は空洞部を介してパイプ61内に挿嵌された第1及び第2キャピラリープレート43・45により軸線方向幅が可変可能に形成される。そしてパイプ61の先端には反射板65が取り付けられる。
【0062】
一方、真空容器3の外部に位置するパイプ61の基端には上記した水素原子光発生装置33が設けられ、該水原子光発生装置33はパイプ61内の光導波路49を通過して上記反射板65に向かって水素原子光を照射する。また、真空容器3の外部に位置するパイプ61の基端側にはパイプ61の軸線と直交する方向へ延出する原子光導出部67が一体形成され、該原子光導出部67の端部には水素原子光検出部53が設けられている。
【0063】
そして水素原子光発生装置33の光軸と水素原子光検出部53の光軸とが交差するパイプ61内には半透鏡69が設けられ、該半透鏡69は水素原子光発生装置53から反射板65に向かって照射される水素原子光を透過させる一方、反射板65により反射して原子光吸収部63内を透過した水素原子光を原子光導出部67に向かうように反射させる。
【0064】
尚、上記したパイプ61は真空容器3に対してパイプ駆動装置31により軸線方向へ移動可能に構成される。また、実施形態1と同一の部材に付いては実施形態1の説明で使用した符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0065】
そして本実施形態は、原子光発生装置33を真空容器3の外に設けることができ、原子光の発光に伴って温度上昇する原子光発生装置33の冷却を容易化して原子光を長時間にわたって安定的に発光させることができる。
【0066】
また、真空容器3の外部に設けられた水素原子光発生装置33から反射板65に向かって水素原子光を照射し、該反射板65により反射した水素原子光を原子光吸収部63内を透過させることにより、該原子光吸収部63内におけるプラズマ中の水素原子ラジカルの密度を測定する点において実施形態1と相違するのみで、その測定原理については上記した実施形態1と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
【0067】
以下に、本発明の変更例を説明する。
1.上記説明は、ラジカル発生装置を真空容器内にプラズマを発生させて原料ガスをラジカル化するプラズマ発生装置としたが、本発明のラジカル発生装置としては、蒸着法、スパッタ法、レーザアブレーション法、熱フィラメント法(触媒作用を付加した熱フィラメントを使用する場合も含む)等のように公知の手法によりラジカルを発生するラジカル発生装置であっても良いことは勿論である。
【0068】
2.上記説明は、水素原子光を発生させてプラズマ中における水素原子ラジカル密度を測定する場合について説明したが、本発明は窒素原子ラジカル密度を測定してもよい。
【0069】
即ち、プラズマ処理装置1に原料ガスとして窒素ガスを導入してプロセス処理する際には窒素原子ラジカル密度を測定する必要がある。この場合にあっては、原子光発生装置に、窒素、酸素、塩素、フッ素、ケイ素、炭素や準安定原子である希ガス(ヘリウム、アルゴン、キセノン、クリプトン)の少なくとも1種類を含有したガスを封入し、それぞれの原子光を発生させることによりプラズマ中の原子状ラジカル密度を測定するようにしてもよい。
【0070】
窒素を例に具体的に説明すると、原子光発生装置に窒素ガスとネオンの混合ガスを封入して陰極板と陽電極に電流を印加したところ、所望する高輝度で自己吸収のない窒素原子光スペクトル(例えば波長120nm)を得た。希ガスとしては、ネオンのように質量が窒素ガスと大差のないガスが望ましいが、これ以外の希ガスであってもよい。尚、陰極板に窒素原子を含有した導電性材料を使用してもよい。
【0071】
また、例えばシリコン酸化膜成膜プラズマ(誘導結合型酸素プラズマ、基板はシリコンウェハ)にあっては、プラズマ中の酸素原子ラジカル密度、アルミニウムエッチングプラズマ(誘導結合型塩素プラズマ、基板はアルミニウム)にあっては塩素原子ラジカル密度、シリコン系薄膜成膜プラズマ(誘導結合型シラン、水素混合ガスプラズマ)にあってはケイ素原子ラジカル密度、ダイヤモンド成膜プラズマ(誘導結合型メタン、水素混合ガスプラズマ)にあっては炭素原子ラジカル密度を測定する必要がある。
【0072】
いずれの場合であっても、原子光発光装置に封入されるガスを測定しようとする原子を含むガス(具体的には酸素原子ラジカル密度の測定の場合は酸素を含有したガスと希ガス、例えば酸素ガスとネオンの混合ガス、塩素原子ラジカル密度の測定の場合には塩素を含有したガスと希ガス、例えば塩素ガスとアルゴンの混合ガス、ケイ素原子ラジカル密度の測定の場合にはケイ素を含有したガスと希ガス、例えばシランガスとアルゴンの混合ガス及び炭素原子ラジカル密度測定の場合には炭素を含有したガスと希ガス、例えばメタンガスとネオンの混合ガス)を封入して夫々の原子光を発光させることにより夫々の原子状ラジカル密度を測定することができる。
【0073】
3.上記説明は一種類の原子状ラジカル密度を測定する場合について説明したが、本発明は複数の原子状ラジカル密度を同時に測定することもできる。
【0074】
具体的には、例えば原子光発生装置にNH3ガスとヘリウムガスを封入して所望する高輝度で自己吸収のない水素原子光スペクトル(例えば波長122nm)及び窒素原子光スペクトル(例えば波長120nm)を発光させ、これら原子光により夫々の原子状ラジカル密度を測定する。
この場合にあっては、封入するガスとして計測対象になる原子のガスと、計測
【0075】
対象原子の波長近傍の波長を有した原子の背景吸収率測定用ガスとし、プラズマの背景吸収率の測定と計測対象である原子状ラジカル密度の測定とを同時に行ってもよい。
【0076】
また、封入するガスとしては、水素、炭素、窒素、及び酸素を含む有機化合物ガスを使用することにより4種類の原子状ラジカルを同時に測定するようにしてもよい。
【0077】
4.上記説明は、原子光発生装置に測定しようとする原子を含むガス及び希ガスの混合ガスを封入して所望の原子光を発光させたが、陰電極に、測定しようとする原子を含む材料を使用して所望の原子光を発光させてもよい。
【0078】
5.更に、上記説明においてラジカル発生装置を構成するプラズマ処理装置を高周波誘電結合型プラズマ処理装置としたが、プラズマ処理装置としてはこれに限定されるものではなく、直流プラズマ処理装置であってもよいことは勿論である。
【0079】
6.上記説明は、原子光発生装置の陰極板に1個の孔を設けた構成としたが、図7に示すように陰極板37複数個(図は3個の場合を示す)の孔37aを近接させて設け、それぞれの孔37a内での放電により得られる原子光を使用して原子状ラジカル密度を測定してもよい。
【0080】
陰極板37に設ける孔37aは、本来小さい孔とすることにより光を効率的に発光させることができるが、孔37aが小さい場合には計測に必要な光量を得ることが困難である。このため、陰極板37に小さい内径からなる複数個の孔37aを、相互が近接した状態で設けることにより放電効率を高めながら計測に必要な光量を得るようにした。
【0081】
7.上記説明は、陽極板の先端部に相対する陰極板の箇所に孔を設けたが、この場合にあっては、孔37aの周縁が露出しているため、放電は孔内だけでなく、孔の周縁でも発生し、プラズマの発生効率が悪くなる。この欠点は、陽極板の先端部と陰極板における孔の位置合わせを正確に行うことによりある程度、解決できるが、位置合せ作業に手間がかかっていた。
【0082】
これを解決するため、図8に示すように陰極板37における孔37a周縁の表裏面に絶縁体37bをそれぞれ設け、孔37a周縁での放電を抑制し、孔37a内における放電を効率的に発生させるように構成してもよい。
8.実施形態2においては、半透鏡を使用して原子光発生装置33からの原子光を反射板65に向かって照射可能にすると共に反射板から反射した原子光を反射光軸を出射光軸と直交するようにして導出させて原子光検出部53に受光させるように構成したが、図9に示すように平面反射板91を所定の微小角度を設けて配置すると共にパイプ61の基端部側に原子光発生装置33及び原子光検出部53を、上記した平面反射板91の設置角度に応じた間隔をおいて配置する構成であってもよい。
【0083】
この構成にあっては、原子光発生装置33からの原子光の出射光軸と平面反射板91からの反射光軸とを異ならせることができ、これによりパイプ61の基端部に原子光発生装置33及び原子光検出部53を設けて原子状ラジカル密度を測定することができる。
【0084】
また、図10に示すように反射部を凹面反射板101とすると共にパイプ61の基端部側に原子光発生装置33及び原子光検出部53を、上記した凹面反射板101の収束角度に応じた間隔をおいて配置する構成であってもよい。
【0085】
この場合においても、原子光発生装置33からの原子光の出射光軸と凹面反射板101からの反射光軸とを異ならせることができ、これによりパイプ61の基端部に原子光発生装置33及び原子光検出部53を設けて原子状ラジカル密度を測定することができる。
【0086】
尚、図においては、実施形態1及び2に示す部材と同一の部材については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0087】
8.実施形態1及び2は、真空容器に対して1個の原子状ラジカル密度測定装置25・60を進入可能に設けて真空容器3内に発生するラジカル密度を測定する構成としたが、本発明の応用例としては、図11に示すように異なる種類のガスがそれぞれ充填された実施形態1或いは2の原子光発生装置及び原子光検出部を備えた複数個(図は実施形態1の原子状ラジカル密度測定装置で、4個設けた例を示す)の原子状ラジカル密度測定装置111・113・115・117を真空容器3内に進入可能に設けた構成であってもよい。この場合にあっては、複数種類の原料ガスを混合した混合原料ガスのラジカル密度を一度の作業で測定することができる。
【0088】
また、図12に示すように真空容器3に対して実施形態1及び2に示す複数個(図は2個の場合を示す)の2個の原子状ラジカル密度測定装置121・123を進入可能に設けて複数種類のラジカルを同時測定する場合にあっては、原子状ラジカル密度測定装置121・123を実施形態2に示すように構成し、それぞれの原子光導出部125・127に共通の原子光検出部129を設けて1個の原子光検出部129により原子光強度を検出可能にしてもよい。
【0089】
この場合にあっては、それぞれの原子状ラジカル密度測定装置121・123における各原子光発生装置122・124に対する電圧の印加周期、従って原子光の発光周期を異ならせて発光させる一方、それぞれの発光周期に応じたタイミングで原子光検出部129により検出される原子光強度に応じた電圧を読み取るようにすることにより1個の原子光検出部129でそれぞれのラジカル密度を測定することができる。
【0090】
9.実施形態1に示す原子状ラジカル密度測定装置の原子光発生装置にあっては、原子光発光時に内部のガスが高温化し、時間の経過に伴って原子光強度が低下して測定不能になる恐れを有している。これを防止するため、図13に示すようにパイプ27の壁に、その基端部から原子光発生装置33に至る1個または複数個のガス供給流路131及びガス回収流路133を形成し、原子光発生装置33内のガスが高温化するのを防止するように構成すればよい。
【0091】
具体的には、図13に示すようにガス供給流路131の供給口部とガス回収流路133の回収口部に循環ポンプ135を設け、ガス供給流路131及びガス回収流路133と原子光発生装置33内に封入されたガスを循環させると共に真空容器3の外に位置するパイプ27部分を流通する際にガスを冷却させるように構成すればよい。尚、図中の137は真空容器3の外に位置し、外部に露出するパイプ27の外周面に設けられた放熱フィンである。
【0092】
また、図14に示すようにガス供給流路131の供給口部にガスボンベ139を接続すると共にガス回収流路133の回収口部を大気開放し、原子光発生装置33内に対してガスを継続的に供給してガスが高温化するのを防止するように構成すればよい。
【0093】
更に、図15に示すように原子光発生装置33の内部或いはパイプ27の外周面にペルチェ素子14(図は内部に設けた例を示す)を設け、該ペルチェ素子を通電制御して原子光発生装置33内部のガスを冷却するように構成すればよい。
【0094】
【発明の効果】
本発明は、装置自体の小型化及び簡素化を図りながら発生した原子状ラジカルの密度を高精度及び高感度に測定することができる。また、原子状ラジカルが飽和状態であっても原子状ラジカル密度を高い精度で確実に測定することができる。更に、簡易な構成により原子状ラジカルの空間分布を高い精度で測定することができる。また更に、測定されるラジカルの擾乱を最小限に抑えて原子状ラジカルを高精度に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】原子状ラジカル密度測定装置が適用された高周波誘電結合型プラズマ処理装置の概略を示す概略断面図である。
【図2】原子状ラジカル密度測定装置の説明図である。
【図3】水素原子光吸収部を拡大し、一部を破断して示す説明図である。
【図4】原子光発光装置の概略を示す説明図である。
【図5】プラズマ処理装置の制御概略を示す説明図である。
【図6】実施形態2の原子状ラジカル密度測定装置の説明図である。
【図7】陰極板における孔の変更実施形態を示す説明図である。
【図8】陰極板の変更実施形態を示す説明図である。
【図9】実施形態2の変更実施例を示す説明図である。
【図10】実施形態2の変更実施例を示す説明図である。
【図11】容器に対して複数個の原子状ラジカル密度測定装置を設ける場合を示す説明図である。
【図12】容器に対して2個の原子状ラジカル密度測定装置を設け、1個の原子光検出部により原子光強度を検出する例を示す説明図である。
【図13】原子光発光装置の冷却例を示す説明図である。
【図14】原子光発光装置の冷却例を示す説明図である。
【図15】原子光発光装置の冷却例を示す説明図である。
Claims (13)
- 容器内に導入される原料ガスをラジカル化するラジカル発生装置において、容器内に対して気密状に進入可能に設けられる中空体に対して先端側から、原料ガスに対応するガスをプラズマ化して原子光を発光する原子光発生装置と、該原子光発生装置に隣接し、容器内に発生するラジカルを吸収するラジカル吸収部と、原子光発生装置から照射されてラジカル吸収部のラジカルを透過した原子光を導波する光導波部と、光導波部により導波された原子光を受光して光強度に応じた電気信号を出力する原子光検出部を順に備え、ラジカル吸収部内のラジカルを透過する原子光の光強度に基づいて原子状ラジカル密度を測定可能にした原子状ラジカル密度測定装置 。
- 容器内に導入される原料ガスをラジカル化するラジカル発生装置において、容器内に対して気密状で進入可能に設けられる中空体に対して先端側から、反射板と、容器内に発生するラジカルを吸収するラジカル吸収部と、光導波部を順に設けると共に容器外に位置する中空体の基端部側に、原料ガスに対応するガスをプラズマ化して発光する原子光を中空体内に照射する原子光発生装置及び反射板により反射してラジカル吸収部を透過した原子光を受光して光強度に応じた電気信号を出力する原子光検出部を設け、原子光発生装置から出射されて反射板により反射してラジカル吸収部内を透過して原子光検出部により受光される原子光の光強度に基づいて原子状ラジカル密度を測定可能にした原子状ラジカル密度測定装置 。
- 請求項2において、中空体の光導波部に半透鏡を設けると共に容器外に位置する中空体の半透鏡箇所に原子光検出部を設け、半透鏡により原子光発生装置からの原子光を反射板に出射可能にすると共に反射板からの反射原子光を出射光軸と異なる位置にて原子光検出部に受光可能にする原子状ラジカル密度測定装置 。
- 請求項2において、反射部は平面反射板を適宜角度を設けて配置すると共に容器外に位置する中空体の基端部に原子光発生装置及び原子光検出部を平面反射板の設置角度に応じた間隔をおいて設け、原子光発生装置から出射されて平面反射板から反射された原子光を原子光検出部に受光可能にした原子状ラジカル密度測定装置 。
- 請求項2において、反射部は凹面反射板とすると共に容器外に位置する中空体の基端部に原子光発生装置及び原子光検出部を凹面反射板の反射角度に応じた間隔をおいて設け、原子光発生装置から出射されて凹面反射板から反射された原子光を原子光検出部に受光可能にした原子状ラジカル密度測定装置 。
- 請求項1又は2において、ラジカル吸収部は中空体の一部を切り欠いて容器内と連通可能にした原子状ラジカル密度測定装置 。
- 請求項1又は2において、中空体は駆動部材により容器内に進入可能に構成した原子状ラジカル密度測定装置 。
- 請求項1又は2において、容器内の原子状ラジカル密度は容器内に対する原料ガスの非導入状態で、かつラジカルの非発生状態にて原子光発生装置から発光される原子光強度と、原子光発生装置による原子光の非発生状態で容器内に発生したラジカルからの原子光強度と、ラジカル発生状態で原子光発生装置から原子光を発光させてラジカル中を透過する原子光強度とに基づいて測定する原子状ラジカル密度測定装置 。
- 請求項1又は2において、ラジカル吸収部は中空体内に一対のキャピラリープレートを移動可能に設けて吸収長を可変可能にした原子状ラジカル密度測定装置 。
- 請求項1又は2において、ラジカル吸収部は中空体内に一対の窓部材を移動可能に設けて吸収長を可変可能にした原子状ラジカル密度測定装置 。
- 請求項1又は2において、測定される原子は水素、窒素、酸素、塩素、フッ素、ケイ素、炭素、希ガスの少なくとも1種類からなる原子状ラジカル密度測定装置 。
- 請求項1又は2において、計測対象と異なり、計測対象原子光近傍の波長を有する原子又は分子のガスをプラズマ化して発光させる背景吸収率測定用原子光発生装置を設け、該背景吸収率測定用原子光発生装置からの光により測定されるラジカルの背景吸収率と計測対象の原子光強度とに基づいて原子状ラジカル密度を測定可能とした原子状ラジカル密度測定装置。
- 請求項12における背景吸収率測定は、計測対象原子光の波長近傍の波長を有した背景吸収率測定用原子又は分子のガスが封入された背景吸収率測定用原子光発生装置を使用し、背景吸収率測定用原子光発生装置からプラズマ化した背景吸収率測定用原子又は分子の光を発光させて原料ガスが非導入状態でラジカル非発生状態の容器内を透過する光の光強度と、背景吸収率測定用原子光発生装置による原子光非発生状態において容器内にてラジカル化して発光する背景吸収率測定用原子又は分子の光強度と、背景吸収率測定用原子光発生装置から背景吸収率測定用原子又は分子の光を発光させて容器内のプラズマ中を透過する光の光強度に基づいて測定する原子状ラジカル密度測定装置 。
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