JP2004353562A - ジメチルエーテル圧縮着火エンジン - Google Patents
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Abstract
【課題】ジメチルエーテル圧縮着火エンジンにおいて、良好な予混合燃焼を可能とすることである。
【解決手段】ジメチルエーテルを気筒内へ噴射するための噴射装置17と、セタン価を低下させるようにジメチルエーテルを改質して改質体を生成する改質装置18とを具備し、機関高負荷時には、改質装置により生成された改質体を使用して気筒内に予混合気を形成すると共に、噴射装置によって着火用にジメチルエーテルを気筒内へ噴射して予混合燃焼を実施する。
【選択図】 図1
【解決手段】ジメチルエーテルを気筒内へ噴射するための噴射装置17と、セタン価を低下させるようにジメチルエーテルを改質して改質体を生成する改質装置18とを具備し、機関高負荷時には、改質装置により生成された改質体を使用して気筒内に予混合気を形成すると共に、噴射装置によって着火用にジメチルエーテルを気筒内へ噴射して予混合燃焼を実施する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軽油に代えてジメチルエーテルを燃料として使用するジメチルエーテル圧縮着火エンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な圧縮着火エンジンの排気ガス中には、パティキュレートとNOXとが含まれ、これらを大気中へ放出しないようにすることが望まれている。ジメチルエーテルは、含酸素燃料であるために、燃焼に際して殆どパティキュレート(煤)が発生しない。それにより、軽油に代えてジメチルエーテルを圧縮着火エンジンの燃料として使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−107872号公報
【特許文献2】
特開2001−115866号公報
【特許文献3】
特開2000−220482号公報
【特許文献4】
特開2001−159349号公報
【特許文献5】
特開2002−038981号公報
【特許文献6】
特開2002−327618号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
こうして、パティキュレートの問題は解決されるが、ジメチルエーテルを燃料として使用しても、燃焼に際して依然としてNOXは発生する。圧縮着火エンジンにおいて、NOX生成量を低減するためには、吸気行程又は圧縮行程前半で気筒内に燃料を噴射して、着火以前に燃料を予混合させることが有効である。しかしながら、ジメチルエーテルはセタン価が比較的高いために、特に機関高負荷時のように比較的多量の燃料が必要とされる時には、予混合させた燃料が意図する以前に自着火(過早着火)して、機関出力が低下したり、また、大きな燃焼騒音が発生したりする。
【0005】
従って、本発明の目的は、ジメチルエーテル圧縮着火エンジンにおいて、良好な予混合燃焼を可能とすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による請求項1に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンは、ジメチルエーテルを気筒内へ噴射するための噴射装置と、セタン価を低下させるようにジメチルエーテルを改質して改質体を生成する改質装置とを具備し、機関高負荷時には、前記改質装置により生成された前記改質体を使用して気筒内に予混合気を形成すると共に、前記噴射装置によって着火用にジメチルエーテルを気筒内へ噴射して予混合燃焼を実施することを特徴とする。このジメチルエーテル圧縮着火エンジンによれば、気筒内に形成される予混合気は、セタン価を低下させるようにジメチルエーテルを改質した改質体を使用するものであるために、過早着火することはなく、また、この予混合気は、着火用に噴射されたジメチルエーテルによって確実に着火燃焼させられる。
【0007】
また、本発明による請求項2に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンは、請求項1に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンにおいて、前記改質体は、機関吸気系を介して気筒内へ供給されることを特徴とする。このジメチルエーテル圧縮着火エンジンによれば、機関吸気系に設けられた単一の噴射装置を使用して、多気筒へ改質体を供給することができる。
【0008】
また、本発明による請求項3に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンは、請求項1又は2に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンにおいて、機関低負荷時には、前記噴射装置により気筒内へ噴射されたジメチルエーテルによって気筒内に予混合気を形成して予混合燃焼を実施することを特徴とする。このジメチルエーテル圧縮着火エンジンによれば、機関低負荷時のように必要燃料量が比較的少ない時にはジメチルエーテルによって予混合気を形成しても過早着火しないために、この時にはジメチルエーテルによって予混合気が形成される。
【0009】
また、本発明による請求項4に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンは、請求項1から3のいずれか一項に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンにおいて、前記改質装置により生成された前記改質体は気体であり、前記改質体を加圧するためのコンプレッサと、前記コンプレッサにより加圧された前記改質体を蓄えるリザーブタンクとを具備し、前記リザーブタンク内の前記改質体の圧力が設定値以下であって前記改質装置が前記改質体を生成可能である時には、前記改質装置へジメチルエーテルを供給すると共に前記コンプレッサを作動させて、前記リザーブタンク内へ前記改質体を充填することを特徴とする。このジメチルエーテル圧縮着火エンジンによれば、改質装置が改質体を生成可能である時には、リザーブタンク内の改質体の圧力は設定値より高く維持される。
【0010】
また、本発明による請求項5に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンは、請求項1から4のいずれか一項に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンにおいて、機関高負荷時に前記改質体を使用して気筒内に予混合気を形成することができない時には、前記噴射装置により気筒内へ噴射されたジメチルエーテルによってディーゼル通常燃焼を実施することを特徴とする。このジメチルエーテル圧縮着火エンジンによれば、改質体を使用して気筒内に予混合気を形成することができない時には、予混合燃焼を断念して、ジメチルエーテルによるディーゼル通常燃焼が実施される。
【0011】
また、本発明による請求項6に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンは、請求項5に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンにおいて、前記ディーゼル通常燃焼における燃焼空燃比は理論空燃比近傍とされることを特徴とする。このジメチルエーテル圧縮着火エンジンによれば、ジメチルエーテルのディーゼル通常燃焼ではパティキュレートの問題がないために理論空燃比近傍でディーゼル通常燃焼が実施される。
【0012】
また、本発明による請求項7に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンは、請求項1から6のいずれか一項に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンにおいて、機関排気系にはNOX吸蔵還元触媒装置が配置され、前記NOX吸蔵還元触媒装置の再生時には、前記改質装置により生成された前記改質体を前記NOX吸蔵還元触媒装置へ供給することを特徴とする。このジメチルエーテル圧縮着火エンジンによれば、ジメチルエーテルに比較して反応性が高い改質体が再生のためにNOX吸蔵還元触媒装置へ供給される。
【0013】
また、本発明による請求項8に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンは、請求項7に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンにおいて、前記NOX吸蔵還元触媒装置の再生時に前記改質体を前記NOX吸蔵還元触媒装置へ供給することができない時には、ジメチルエーテルを前記NOX吸蔵還元触媒装置へ供給することを特徴とする。このジメチルエーテル圧縮着火エンジンによれば、改質体をNOX吸蔵還元触媒装置へ供給することができない時には、改質体の供給を断念して、再生のためにジメチルエーテルがNOX吸蔵還元触媒装置へ供給される。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明によるジメチルエーテル圧縮着火エンジンの構成を示す全体図である。同図において、1は4気筒の機関本体である。機関本体1には、機関吸気系2が機関吸気系の一部であるインテークマニホルド2aを介して、また、機関排気系3が機関排気系の一部であるエキゾーストマニホルド3aを介して、それぞれ接続されている。
【0015】
機関吸気系2は、エアクリーナ4を介して大気へ通じており、エアクリーナ4の下流側において、吸気を過給して多量の吸気供給を可能とするためにターボチャージャのコンプレッサ5aが配置されている。また、コンプレッサ5aの下流側において、吸気を冷却して多量の吸気供給を可能とするためにインタークーラ6が配置されている。7はインテークマニホルド2aの直上流側に配置されたスロットル弁であり、このスロットル弁は、アクセルペダルに連動するものではなく、ステップモータ等の駆動装置によって任意に開度設定可能なものである。
【0016】
一方、機関排気系3は、エキゾーストマニホルド3aの下流側においてターボチャージャのタービン5bが配置され、タービン5bの下流側においてNOX吸蔵還元触媒装置8が配置され、NOX吸蔵還元触媒装置7の下流側において酸化触媒装置9が配置され、また、マフラー(図示せず)を介して大気と通じている。
【0017】
機関吸気系2におけるスロットル弁7の下流側と機関排気系3におけるタービン5bの上流側とは排気ガス再循環通路10によって接続され、排気ガス再循環(EGR)通路10を介して排気ガスの一部を気筒内へ再循環することにより、排気ガスの主成分である不活性ガスの大きな熱容量によって燃焼温度を低下させ、NOXの生成を抑制している。11はEGR通路10を介して気筒内へ再循環させる排気ガス量を制御するための制御弁であり、また、12は再循環排気ガスを冷却して多量の排気ガス再循環を可能とするためのEGRクーラである。前述のスロットル弁7により吸気を絞ると、スロットル弁7の下流側において機関吸気系には負圧が発生し、この負圧を利用して、EGR通路10を介して排気ガスが再循環し易くなる。
【0018】
機関本体1は、ディーゼルエンジンの燃料として一般的に使用される軽油ではなく、ジメチルエーテル(以下、DME)を燃料として使用するものである。DMEは、含酸素燃料であるために、燃焼に際して殆どパティキュレートが発生しない。それにより、機関排気系にパティキュレートを捕集するためのフィルタ等を配置する必要はない。DMEは、大気圧において気体であるために、燃料タンク13内に加圧液化して蓄えられる。14は、供給ポンプ15が配置されて、燃料タンク13と燃料噴射ポンプ16とを連通する燃料供給管である。燃料噴射ポンプ16は、燃料供給管14を介して供給される液化DMEをさらに加圧してコモンレール30へ圧送するためのものであり、機関本体1により駆動される。こうして、コモンレール30内は所望圧力近傍の液化DMEにより満たされ、この液化DMEは、コモンレール30に接続された気筒毎の第一燃料噴射弁17を介して各気筒へ供給される。
【0019】
第一燃料噴射弁17により圧縮上死点近傍の燃料噴射時期でDMEを気筒内へ噴射すれば、燃料気化が容易なために、軽油に比較して良好なディーゼル通常燃焼を実現することができる。このDMEを使用するディーゼル通常燃焼は、良好なだけでなく、前述したようにパティキュレートを殆ど発生しない。しかしながら、比較的多量の排気ガスを再循環させても、特に燃料噴射量が比較的多い時には燃焼温度が比較的高くなるために、NOXは生成される。
【0020】
ところで、NOX生成量を低減するのに、吸気行程又は圧縮行程前半で気筒内に燃料を噴射して予混合気を形成し、この予混合気を圧縮して自着火させる予混合燃焼が効果的である。それにより、DMEによって予混合燃焼を実施すれば、パティキュレートと共にNOXも殆ど発生しない。DMEはセタン価が高いために自着火し易く、燃料噴射量が比較的少なければ、このような予混合燃焼が可能である。しかしながら、燃料噴射量が多くなると、圧縮上死点近傍に意図された着火時期よりかなり前に自着火(過早着火)し、意図する機関出力を得ることができないだけでなく、この時には大きな燃焼騒音が発生する。
【0021】
本発明は、燃料噴射量が比較的多い時にもDMEの予混合燃焼を可能とすることを意図している。このために、図1の構成において、機関排気系3のNOX還元浄化触媒装置8と酸化触媒装置9との間には、DMEをCO及びH2等に改質するための改質装置18が設けられている。改質装置18は、機関排気系3を取り囲むような構造を有し、機関排気系3の熱を利用して活性化する酸化触媒等を担持している。改質装置18の流入口は、流入管19によって供給ポンプ15の下流側において燃料供給管14に接続され、また、改質装置18の流出口は、流出管20によってリザーバタンク21に接続されている。
【0022】
こうして、流入口を介して改質装置18へ流入するDMEは、酸化触媒によって部分酸化されて、改質体としてのCO及びH2に熱分解され、流出口を介して流出する。改質装置18内において、DMEは液体又は気体であるが、熱分解により生成された時点で改質体は一般的に気体となる。それにより、流出管20には改質体を加圧液化するためのコンプレッサ22が配置されており、改質体はリザーバタンク21内に液体として蓄えられる。
【0023】
機関吸気系2のインテークマニホルド2aとスロットル弁7との間には、単一の第二燃料噴射弁23が設けられている。この第二燃料噴射弁23は、連通管24を介してリザーバタンク21に接続され、リザーバタンク21内の改質体を機関吸気系2に供給するためのものである。連通管24には、遮断弁25と圧力調節器26とが配置され、遮断弁25を介して放出されるリザーバタンク21内の改質体を圧力調節器26により調量して、機関吸気系2へ供給するようになっている。遮断弁25は、必要に応じて(例えば、第二燃料噴射弁23又は圧力調節器26の点検時等)、リザーバタンク21の改質体の放出を完全に停止可能とする。ところで、第二燃料噴射弁を各気筒に配置して、改質体を各気筒へ直接的に供給するようにしても良いが、本実施形態のように、改質体を機関吸気系2へ供給するようにすれば、第二燃料噴射弁を単一とすることができる。
【0024】
図2は、第一燃料噴射弁17及び第二燃料噴射弁23による燃料噴射制御を示す第一フローチャートである。先ず、ステップ101において、機関回転数及び機関負荷等によって定まる現在の運転状態が、図3に示すマップにおいて、領域I内であるか否かが判断される。このマップにおいて、高回転時を除く低負荷側が領域Iであり、その他が領域IIとなっている。
【0025】
ステップ101の判断が肯定される時、すなわち、現在の運転領域が領域Iである時には、必要燃料量が比較的少なく、前述したようにDMEによる予混合燃焼が可能であり、ステップ102において、第一燃料噴射弁17によって噴射時期を吸気行程又は圧縮行程前半へ進角してDMEを気筒内へ噴射し、DMEによる予混合燃焼を実施する。それにより、パティキュレート及びNOXは殆ど生成されない。この時の燃焼空燃比はリーンとされ、僅かに生成されたCO等の還元物質は、酸化触媒装置9によって浄化される。
【0026】
一方、現在の運転領域が領域IIである時にはステップ101における判断が否定され、ステップ103において、リザーバタンク21内の改質体の圧力Pが第一設定圧力P1以上であるか否かが判断される。この第一設定圧力P1は、第二燃料噴射弁23によって機関吸気系2へ所望量の改質体を供給可能とする最低圧力である。この判断が肯定される時には、ステップ104において第二燃料噴射弁23によって改質体を機関吸気系2へ供給し、吸気行程において吸気と共に改質体を気筒内へ供給する。こうして、気筒内には改質体による予混合気が形成される。
【0027】
改質装置18によってDMEを改質して生成されたCO及びH2等の改質体はセタン価が低く、それによって形成された予混合気は圧縮上死点まで圧縮しても殆ど自着火しない。それにより、意図する着火時期より前に自着火が起こることはない。次いで、ステップ105において、圧縮上死点近傍の意図する着火時期直前で第一燃料噴射弁17によりDMEを少量噴射する。この少量のDMEが高温高圧の気筒内で直ぐに自着火し、この火炎によって改質体により形成された予混合気が燃焼する。こうして、必要燃料量が比較的多い場合において、DMEの多くを改質体として気筒内へ供給した予混合燃焼を実現することができる。それにより、パティキュレート及びNOXは殆ど生成されない。この時の燃焼空燃比はリーンとされ、僅かに生成されたCO等の還元物質は、酸化触媒装置9によって浄化される。
【0028】
この運転領域IIにおける予混合燃焼において、火種として圧縮上死点近傍で噴射するDMEは、NOXを生成しないように、できる限り少量とすることが好ましい。しかしながら、必要燃料量が非常に多い場合において、このDMEを少量とすると、必然的に、予混合気形成に使用される改質体が多量となり、セタン価が低くても予混合気の自着火が起こり易くなる。それにより、予混合気の自着火が確実に起こらない改質体の上限量を定めて、現在の運転状態がそれ以上の燃料量を必要とする時には、上限量を超えて改質体を増量することなく、火種としてのDMEを増量するようにすることが好ましい。
【0029】
一方、火種としてのDMEは確実な自着火を可能とする最少量を確保しなければならない。それにより、必要燃料量に応じて、予混合気を形成するための改質体の量は上限量以下で制御されることとなり、ステップ103における第一設定圧力P1は、必要燃料量に応じて変化させるようにしても良い。しかしながら、第一設定圧力P1を、改質体の上限量が機関吸気系2へ供給可能なリザーバタンク21の最低圧力に固定して、制御を簡単化することが好ましい。
【0030】
このような火種としてのDMEと共にDMEのセタン価を低下させた改質体を使用する予混合燃焼は、運転領域Iにおいても不可能ではないが、必要燃料量が少ない時には、第一燃料噴射弁17により、これを確実に気筒内へ供給して、気筒内で成層化させた方が着火性において有利である。それにより、ステップ102において、必要燃料量が少ないほど、燃料噴射時期を遅角させて、着火時点において燃料が気筒内へ完全に分散しないようにすることが好ましい。
【0031】
ステップ103における判断が否定される時には、気筒内に改質体による予混合気を形成することができないために予混合燃焼は断念され、ステップ106において、第一燃料噴射弁17により着火時期直前に必要量のDMEを気筒内へ噴射し、又は、必要量のDMEの一部によるパイロット噴射を組み合わせて、ディーゼル通常燃焼を実施する。このディーゼル通常燃焼において、パティキュレートは殆ど生成されないが、比較的多量のNOXは生成されてしまう。このNOXを浄化するために、機関排気系には、NOX吸蔵還元触媒装置8が配置されているが、この非常に限定的なディーゼル通常燃焼以外の燃焼では、殆どNOXが生成されないために、NOX吸蔵還元触媒装置8は非常に小型化することができ、又は、NOX吸蔵還元触媒装置8において吸蔵したNOXを放出して還元浄化する再生処理の頻度をかなり低減することができる。
【0032】
NOX吸蔵還元触媒装置8は、近傍雰囲気がリーン空燃比状態の時にNOXを吸蔵し、近傍雰囲気が理論空燃比状態又はリッチ空燃比状態の時には、吸蔵したNOXを放出するものである。すなわち、近傍雰囲気が酸素過剰状態の時にはNOXを吸蔵し、近傍雰囲気の酸素濃度が低下するとNOXを放出する。ディーゼル通常燃焼において、一般的に、燃焼空燃比はリーンとされており、それにより、NOX吸蔵還元触媒装置8は、この時のNOXを良好に吸蔵する。NOX吸蔵還元触媒装置8のNOX吸蔵可能量は有限であるために、NOX吸蔵量がNOX貯蔵可能量に達すると、NOXを吸蔵することができなくなる。それにより、NOX吸蔵量を推定して、これが設定量に達した時点でNOX吸蔵還元触媒装置8に吸蔵されているNOXを放出させて還元浄化する前述の再生処理が必要となる。NOX吸蔵量の推定は、ディーゼル通常燃焼が実施されている時のNOX生成量を、運転状態に基づき算出し、又は予めマップ化しておき、これを積算してNOX吸蔵量とすれば良い。
【0033】
再生処理では、NOX吸蔵還元触媒装置8内の空燃比を理論空燃比状態、好ましくは、リッチ状態とするために、一般的には、NOX吸蔵還元触媒装置8の上流側において機関排気系へ燃料が供給される。この燃料は、NOX吸蔵還元触媒装置8に担持された貴金属触媒により燃焼させられて酸素を消費し、近傍雰囲気の酸素濃度を低下させ、また、それによって放出させたNOXを還元浄化することが意図されている。本実施形態における機関本体1は、燃料としてDMEを使用するものであり、機関排気系に燃料としてDMEを供給するとDMEは直ぐに気化するが、軽油等に比較して反応性に劣り、多くのDMEがそのままNOX吸蔵還元触媒装置8を通過してしまう。
【0034】
従って、本実施形態では、連通管24の圧力調節器26の下流側と、NOX吸蔵還元触媒装置8の上流側に位置するエキゾーストマニホルド3aとが、噴射弁27を介して連通されている。NOX吸蔵還元触媒装置8の再生処理時には、噴射弁27によりリザーバタンクに1内の改質体を機関排気系3へ供給するようにしている。改質体としてのCO及びH2は、高い反応性を有するために、NOX吸蔵還元触媒装置8において、良好に酸素濃度を低下させ、また、放出されたNOXを良好に還元浄化する。
【0035】
リザーバタンク21内の圧力Pが第一設定圧力P1よりは低い設定圧力を下回っていて、NOX吸蔵還元触媒装置8の再生処理に必要な量の改質体が充填されていない時には、改質体による再生処置は不可能である。それにより、この時には、改質装置18を介することなくDMEを機関排気系に供給するようにしても良い。しかしながら、再生処理のための設定値をNOX吸蔵可能量より比較的小さくすれば、NOX吸蔵量がNOX吸蔵可能量に達するまでにまだ余裕があるために、リザーバタンク21内の圧力Pが設定圧力を超えるまで待って再生処理を実施しても良い。
【0036】
また、リザーバタンク21内の圧力Pが設定圧力を下回っている時には、第一設定圧力P1も下回っており、運転領域IIにおいてディーゼル通常燃焼が実施されることとなるが、このディーゼル通常燃焼の空燃比を理論空燃比又はリッチ空燃比として、排気ガス中の酸素濃度を低下させ、NOX吸蔵還元触媒装置8の再生処理を実施するようにしても良い。ディーゼル通常燃焼の空燃比はリーンとして、膨張行程又は排気行程において、第一燃料噴射弁17により気筒内へDMEを噴射しても良い。こうして改質装置18を介することなく、気筒内へ噴射されたDMEは、高温の気筒内において少なくとも一部はCO及びH2に改質され、機関排気系にDMEを供給する場合と比較して良好なNOX吸蔵還元触媒装置8の再生処理が可能である。
【0037】
運転領域Iにおいて、理論空燃比又はリッチ空燃比のディーゼル通常燃焼を実施して、又は、予混合燃焼又はディーゼル通常燃焼後の膨張行程又は排気行程において気筒内へDMEを噴射して、NOX吸蔵還元触媒を再生処理しても良い。
【0038】
DMEを燃料とする場合には、前述したように、パティキュレートが殆ど発生しないために、ディーゼル通常燃焼において、空燃比を理論空燃比又はリッチ空燃比とすることができる。この理論空燃比のディーゼル通常燃焼は、前述したように、NOX吸蔵還元触媒装置8の再生処理に利用可能なだけでなく、運転領域IIにおいてリザーバタンク21内の改質体の圧力Pが第一設定圧力P1より低い時に、この理論空燃比のディーゼル通常燃焼を実施すれば、多量のNOXが生成されることはなく、また、生成されるNOX量に見合うCO等の還元物質も生成されるために、NOX還元浄化触媒装置8を再生処理の必要ない三元触媒装置によって置き換えて、還元物質及びNOXを浄化することができる。ところで、NOX還元浄化触媒装置8及び三元触媒装置は、一般的に、貴金属触媒を担持して酸化機能も有するために、酸化触媒装置9を省略しても良い。
【0039】
NOX吸蔵還元触媒装置8は、排気ガス中にSOXが含まれていれば、NOXと同様なメカニズムでこれを吸蔵してしまう。SOXを放出させるS被毒回復処理は、酸素濃度を低下させると共にNOX吸蔵還元触媒装置8を高温としなければならないために、触媒劣化を早めてしまう。DMEは、硫黄を含まないために、燃料としてDMEを使用する場合には、このようなS被毒回復処理は必要ない。
【0040】
図4はコンプレッサ21の作動制御を示す第二フローチャートである。この第二フローチャートは第一フローチャートとは特に関係なく実施される。先ず、ステップ201において、リザーバタンク21内の改質体の圧力Pが第二設定圧力P2以下であるか否かが判断される。この第二設定圧力P2は、前述の第一設定圧力P1より高くリザーバタンク21の許容圧より僅かに低く設定されている。この判断が否定される時には、ステップ202においてコンプレッサ22は停止され、リザーバタンク21には、これ以上の改質体が充填されることはない。
【0041】
一方、ステップ201における判断が肯定される時には、ステップ203において、改質装置18の改質触媒が活性化しているか否かが判断される。この判断には、例えば、改質装置18の温度を利用したり、改質装置18の近傍を通過する排気ガスの温度を利用したり、また、機関始動からの経過時間等を利用することができる。ステップ203における判断が否定される時には、改質装置18においてDMEの改質は不可能であり、ステップ202においてコンプレッサ22を停止する。
【0042】
一方、ステップ203における判断が肯定される時には、ステップ204においてコンプレッサ22を作動し、燃料タンク13から改質装置18に供給されるDMEは、改質装置18において良好に改質されて改質体となり、この改質体をコンプレッサ22によってリザーバタンク21へ充填するようになっている。
【0043】
本実施形態において、改質装置18に担持された改質触媒は、排気ガスの熱を利用して活性化するものであるが、これは本発明を限定するものではなく、例えば、電気ヒータの熱を利用して活性化させても良い。それにより、DMEを常に改質することができれば、コンプレッサ22を作動する機会が増加するために、それに伴って、リザーバタンク21内の改質体の圧力Pが第一設定圧力P1を下回る機会が減少し、すなわち、リーン空燃比でのディーゼル通常燃焼を実施する機会が減少し、NOX還元浄化触媒装置8をさらに小型化させることができる。
【0044】
また、リザーバタンク21内の改質体の圧力Pが第一設定圧力P1を下回らないようにすれば、NOX還元浄化装置8を省略することも可能となる。しかしながら、こうしてリーン空燃比でのディーゼル通常燃焼を実施しないようにしても、予混合燃焼において火種として噴射されるDMEによって、僅かなNOXが生成されるために、このNOXを浄化するために、非常に小型のNOX吸蔵還元触媒装置8を設けるようにしても良い。
【0045】
【発明の効果】
請求項1に記載の本発明によるジメチルエーテル圧縮着火エンジンによれば、自着火性を低下させた改質体により予混合気が形成され、この予混合気は、意図する着火時期以前で自着火することはなく、また、着火用に噴射されるジメチルエーテルによって、着火時期での着火も確保されるために、良好な予混合燃焼を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるジメチルエーテル圧縮着火エンジンの構成を示す全体図である。
【図2】第一燃料噴射弁及び第二燃料噴射弁の燃料噴射制御を示す第一フローチャートである。
【図3】運転領域を示すマップである。
【図4】コンプレッサの作動制御を示す第二フローチャートである。
【符号の説明】
1…機関本体
2…機関吸気系
3…機関排気系
8…NOX吸蔵還元触媒装置
17…第一燃料噴射弁(噴射装置)
18…改質装置
21…リザーバタンク
22…コンプレッサ
23…第二燃料噴射弁
【発明の属する技術分野】
本発明は、軽油に代えてジメチルエーテルを燃料として使用するジメチルエーテル圧縮着火エンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な圧縮着火エンジンの排気ガス中には、パティキュレートとNOXとが含まれ、これらを大気中へ放出しないようにすることが望まれている。ジメチルエーテルは、含酸素燃料であるために、燃焼に際して殆どパティキュレート(煤)が発生しない。それにより、軽油に代えてジメチルエーテルを圧縮着火エンジンの燃料として使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−107872号公報
【特許文献2】
特開2001−115866号公報
【特許文献3】
特開2000−220482号公報
【特許文献4】
特開2001−159349号公報
【特許文献5】
特開2002−038981号公報
【特許文献6】
特開2002−327618号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
こうして、パティキュレートの問題は解決されるが、ジメチルエーテルを燃料として使用しても、燃焼に際して依然としてNOXは発生する。圧縮着火エンジンにおいて、NOX生成量を低減するためには、吸気行程又は圧縮行程前半で気筒内に燃料を噴射して、着火以前に燃料を予混合させることが有効である。しかしながら、ジメチルエーテルはセタン価が比較的高いために、特に機関高負荷時のように比較的多量の燃料が必要とされる時には、予混合させた燃料が意図する以前に自着火(過早着火)して、機関出力が低下したり、また、大きな燃焼騒音が発生したりする。
【0005】
従って、本発明の目的は、ジメチルエーテル圧縮着火エンジンにおいて、良好な予混合燃焼を可能とすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による請求項1に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンは、ジメチルエーテルを気筒内へ噴射するための噴射装置と、セタン価を低下させるようにジメチルエーテルを改質して改質体を生成する改質装置とを具備し、機関高負荷時には、前記改質装置により生成された前記改質体を使用して気筒内に予混合気を形成すると共に、前記噴射装置によって着火用にジメチルエーテルを気筒内へ噴射して予混合燃焼を実施することを特徴とする。このジメチルエーテル圧縮着火エンジンによれば、気筒内に形成される予混合気は、セタン価を低下させるようにジメチルエーテルを改質した改質体を使用するものであるために、過早着火することはなく、また、この予混合気は、着火用に噴射されたジメチルエーテルによって確実に着火燃焼させられる。
【0007】
また、本発明による請求項2に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンは、請求項1に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンにおいて、前記改質体は、機関吸気系を介して気筒内へ供給されることを特徴とする。このジメチルエーテル圧縮着火エンジンによれば、機関吸気系に設けられた単一の噴射装置を使用して、多気筒へ改質体を供給することができる。
【0008】
また、本発明による請求項3に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンは、請求項1又は2に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンにおいて、機関低負荷時には、前記噴射装置により気筒内へ噴射されたジメチルエーテルによって気筒内に予混合気を形成して予混合燃焼を実施することを特徴とする。このジメチルエーテル圧縮着火エンジンによれば、機関低負荷時のように必要燃料量が比較的少ない時にはジメチルエーテルによって予混合気を形成しても過早着火しないために、この時にはジメチルエーテルによって予混合気が形成される。
【0009】
また、本発明による請求項4に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンは、請求項1から3のいずれか一項に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンにおいて、前記改質装置により生成された前記改質体は気体であり、前記改質体を加圧するためのコンプレッサと、前記コンプレッサにより加圧された前記改質体を蓄えるリザーブタンクとを具備し、前記リザーブタンク内の前記改質体の圧力が設定値以下であって前記改質装置が前記改質体を生成可能である時には、前記改質装置へジメチルエーテルを供給すると共に前記コンプレッサを作動させて、前記リザーブタンク内へ前記改質体を充填することを特徴とする。このジメチルエーテル圧縮着火エンジンによれば、改質装置が改質体を生成可能である時には、リザーブタンク内の改質体の圧力は設定値より高く維持される。
【0010】
また、本発明による請求項5に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンは、請求項1から4のいずれか一項に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンにおいて、機関高負荷時に前記改質体を使用して気筒内に予混合気を形成することができない時には、前記噴射装置により気筒内へ噴射されたジメチルエーテルによってディーゼル通常燃焼を実施することを特徴とする。このジメチルエーテル圧縮着火エンジンによれば、改質体を使用して気筒内に予混合気を形成することができない時には、予混合燃焼を断念して、ジメチルエーテルによるディーゼル通常燃焼が実施される。
【0011】
また、本発明による請求項6に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンは、請求項5に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンにおいて、前記ディーゼル通常燃焼における燃焼空燃比は理論空燃比近傍とされることを特徴とする。このジメチルエーテル圧縮着火エンジンによれば、ジメチルエーテルのディーゼル通常燃焼ではパティキュレートの問題がないために理論空燃比近傍でディーゼル通常燃焼が実施される。
【0012】
また、本発明による請求項7に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンは、請求項1から6のいずれか一項に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンにおいて、機関排気系にはNOX吸蔵還元触媒装置が配置され、前記NOX吸蔵還元触媒装置の再生時には、前記改質装置により生成された前記改質体を前記NOX吸蔵還元触媒装置へ供給することを特徴とする。このジメチルエーテル圧縮着火エンジンによれば、ジメチルエーテルに比較して反応性が高い改質体が再生のためにNOX吸蔵還元触媒装置へ供給される。
【0013】
また、本発明による請求項8に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンは、請求項7に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジンにおいて、前記NOX吸蔵還元触媒装置の再生時に前記改質体を前記NOX吸蔵還元触媒装置へ供給することができない時には、ジメチルエーテルを前記NOX吸蔵還元触媒装置へ供給することを特徴とする。このジメチルエーテル圧縮着火エンジンによれば、改質体をNOX吸蔵還元触媒装置へ供給することができない時には、改質体の供給を断念して、再生のためにジメチルエーテルがNOX吸蔵還元触媒装置へ供給される。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明によるジメチルエーテル圧縮着火エンジンの構成を示す全体図である。同図において、1は4気筒の機関本体である。機関本体1には、機関吸気系2が機関吸気系の一部であるインテークマニホルド2aを介して、また、機関排気系3が機関排気系の一部であるエキゾーストマニホルド3aを介して、それぞれ接続されている。
【0015】
機関吸気系2は、エアクリーナ4を介して大気へ通じており、エアクリーナ4の下流側において、吸気を過給して多量の吸気供給を可能とするためにターボチャージャのコンプレッサ5aが配置されている。また、コンプレッサ5aの下流側において、吸気を冷却して多量の吸気供給を可能とするためにインタークーラ6が配置されている。7はインテークマニホルド2aの直上流側に配置されたスロットル弁であり、このスロットル弁は、アクセルペダルに連動するものではなく、ステップモータ等の駆動装置によって任意に開度設定可能なものである。
【0016】
一方、機関排気系3は、エキゾーストマニホルド3aの下流側においてターボチャージャのタービン5bが配置され、タービン5bの下流側においてNOX吸蔵還元触媒装置8が配置され、NOX吸蔵還元触媒装置7の下流側において酸化触媒装置9が配置され、また、マフラー(図示せず)を介して大気と通じている。
【0017】
機関吸気系2におけるスロットル弁7の下流側と機関排気系3におけるタービン5bの上流側とは排気ガス再循環通路10によって接続され、排気ガス再循環(EGR)通路10を介して排気ガスの一部を気筒内へ再循環することにより、排気ガスの主成分である不活性ガスの大きな熱容量によって燃焼温度を低下させ、NOXの生成を抑制している。11はEGR通路10を介して気筒内へ再循環させる排気ガス量を制御するための制御弁であり、また、12は再循環排気ガスを冷却して多量の排気ガス再循環を可能とするためのEGRクーラである。前述のスロットル弁7により吸気を絞ると、スロットル弁7の下流側において機関吸気系には負圧が発生し、この負圧を利用して、EGR通路10を介して排気ガスが再循環し易くなる。
【0018】
機関本体1は、ディーゼルエンジンの燃料として一般的に使用される軽油ではなく、ジメチルエーテル(以下、DME)を燃料として使用するものである。DMEは、含酸素燃料であるために、燃焼に際して殆どパティキュレートが発生しない。それにより、機関排気系にパティキュレートを捕集するためのフィルタ等を配置する必要はない。DMEは、大気圧において気体であるために、燃料タンク13内に加圧液化して蓄えられる。14は、供給ポンプ15が配置されて、燃料タンク13と燃料噴射ポンプ16とを連通する燃料供給管である。燃料噴射ポンプ16は、燃料供給管14を介して供給される液化DMEをさらに加圧してコモンレール30へ圧送するためのものであり、機関本体1により駆動される。こうして、コモンレール30内は所望圧力近傍の液化DMEにより満たされ、この液化DMEは、コモンレール30に接続された気筒毎の第一燃料噴射弁17を介して各気筒へ供給される。
【0019】
第一燃料噴射弁17により圧縮上死点近傍の燃料噴射時期でDMEを気筒内へ噴射すれば、燃料気化が容易なために、軽油に比較して良好なディーゼル通常燃焼を実現することができる。このDMEを使用するディーゼル通常燃焼は、良好なだけでなく、前述したようにパティキュレートを殆ど発生しない。しかしながら、比較的多量の排気ガスを再循環させても、特に燃料噴射量が比較的多い時には燃焼温度が比較的高くなるために、NOXは生成される。
【0020】
ところで、NOX生成量を低減するのに、吸気行程又は圧縮行程前半で気筒内に燃料を噴射して予混合気を形成し、この予混合気を圧縮して自着火させる予混合燃焼が効果的である。それにより、DMEによって予混合燃焼を実施すれば、パティキュレートと共にNOXも殆ど発生しない。DMEはセタン価が高いために自着火し易く、燃料噴射量が比較的少なければ、このような予混合燃焼が可能である。しかしながら、燃料噴射量が多くなると、圧縮上死点近傍に意図された着火時期よりかなり前に自着火(過早着火)し、意図する機関出力を得ることができないだけでなく、この時には大きな燃焼騒音が発生する。
【0021】
本発明は、燃料噴射量が比較的多い時にもDMEの予混合燃焼を可能とすることを意図している。このために、図1の構成において、機関排気系3のNOX還元浄化触媒装置8と酸化触媒装置9との間には、DMEをCO及びH2等に改質するための改質装置18が設けられている。改質装置18は、機関排気系3を取り囲むような構造を有し、機関排気系3の熱を利用して活性化する酸化触媒等を担持している。改質装置18の流入口は、流入管19によって供給ポンプ15の下流側において燃料供給管14に接続され、また、改質装置18の流出口は、流出管20によってリザーバタンク21に接続されている。
【0022】
こうして、流入口を介して改質装置18へ流入するDMEは、酸化触媒によって部分酸化されて、改質体としてのCO及びH2に熱分解され、流出口を介して流出する。改質装置18内において、DMEは液体又は気体であるが、熱分解により生成された時点で改質体は一般的に気体となる。それにより、流出管20には改質体を加圧液化するためのコンプレッサ22が配置されており、改質体はリザーバタンク21内に液体として蓄えられる。
【0023】
機関吸気系2のインテークマニホルド2aとスロットル弁7との間には、単一の第二燃料噴射弁23が設けられている。この第二燃料噴射弁23は、連通管24を介してリザーバタンク21に接続され、リザーバタンク21内の改質体を機関吸気系2に供給するためのものである。連通管24には、遮断弁25と圧力調節器26とが配置され、遮断弁25を介して放出されるリザーバタンク21内の改質体を圧力調節器26により調量して、機関吸気系2へ供給するようになっている。遮断弁25は、必要に応じて(例えば、第二燃料噴射弁23又は圧力調節器26の点検時等)、リザーバタンク21の改質体の放出を完全に停止可能とする。ところで、第二燃料噴射弁を各気筒に配置して、改質体を各気筒へ直接的に供給するようにしても良いが、本実施形態のように、改質体を機関吸気系2へ供給するようにすれば、第二燃料噴射弁を単一とすることができる。
【0024】
図2は、第一燃料噴射弁17及び第二燃料噴射弁23による燃料噴射制御を示す第一フローチャートである。先ず、ステップ101において、機関回転数及び機関負荷等によって定まる現在の運転状態が、図3に示すマップにおいて、領域I内であるか否かが判断される。このマップにおいて、高回転時を除く低負荷側が領域Iであり、その他が領域IIとなっている。
【0025】
ステップ101の判断が肯定される時、すなわち、現在の運転領域が領域Iである時には、必要燃料量が比較的少なく、前述したようにDMEによる予混合燃焼が可能であり、ステップ102において、第一燃料噴射弁17によって噴射時期を吸気行程又は圧縮行程前半へ進角してDMEを気筒内へ噴射し、DMEによる予混合燃焼を実施する。それにより、パティキュレート及びNOXは殆ど生成されない。この時の燃焼空燃比はリーンとされ、僅かに生成されたCO等の還元物質は、酸化触媒装置9によって浄化される。
【0026】
一方、現在の運転領域が領域IIである時にはステップ101における判断が否定され、ステップ103において、リザーバタンク21内の改質体の圧力Pが第一設定圧力P1以上であるか否かが判断される。この第一設定圧力P1は、第二燃料噴射弁23によって機関吸気系2へ所望量の改質体を供給可能とする最低圧力である。この判断が肯定される時には、ステップ104において第二燃料噴射弁23によって改質体を機関吸気系2へ供給し、吸気行程において吸気と共に改質体を気筒内へ供給する。こうして、気筒内には改質体による予混合気が形成される。
【0027】
改質装置18によってDMEを改質して生成されたCO及びH2等の改質体はセタン価が低く、それによって形成された予混合気は圧縮上死点まで圧縮しても殆ど自着火しない。それにより、意図する着火時期より前に自着火が起こることはない。次いで、ステップ105において、圧縮上死点近傍の意図する着火時期直前で第一燃料噴射弁17によりDMEを少量噴射する。この少量のDMEが高温高圧の気筒内で直ぐに自着火し、この火炎によって改質体により形成された予混合気が燃焼する。こうして、必要燃料量が比較的多い場合において、DMEの多くを改質体として気筒内へ供給した予混合燃焼を実現することができる。それにより、パティキュレート及びNOXは殆ど生成されない。この時の燃焼空燃比はリーンとされ、僅かに生成されたCO等の還元物質は、酸化触媒装置9によって浄化される。
【0028】
この運転領域IIにおける予混合燃焼において、火種として圧縮上死点近傍で噴射するDMEは、NOXを生成しないように、できる限り少量とすることが好ましい。しかしながら、必要燃料量が非常に多い場合において、このDMEを少量とすると、必然的に、予混合気形成に使用される改質体が多量となり、セタン価が低くても予混合気の自着火が起こり易くなる。それにより、予混合気の自着火が確実に起こらない改質体の上限量を定めて、現在の運転状態がそれ以上の燃料量を必要とする時には、上限量を超えて改質体を増量することなく、火種としてのDMEを増量するようにすることが好ましい。
【0029】
一方、火種としてのDMEは確実な自着火を可能とする最少量を確保しなければならない。それにより、必要燃料量に応じて、予混合気を形成するための改質体の量は上限量以下で制御されることとなり、ステップ103における第一設定圧力P1は、必要燃料量に応じて変化させるようにしても良い。しかしながら、第一設定圧力P1を、改質体の上限量が機関吸気系2へ供給可能なリザーバタンク21の最低圧力に固定して、制御を簡単化することが好ましい。
【0030】
このような火種としてのDMEと共にDMEのセタン価を低下させた改質体を使用する予混合燃焼は、運転領域Iにおいても不可能ではないが、必要燃料量が少ない時には、第一燃料噴射弁17により、これを確実に気筒内へ供給して、気筒内で成層化させた方が着火性において有利である。それにより、ステップ102において、必要燃料量が少ないほど、燃料噴射時期を遅角させて、着火時点において燃料が気筒内へ完全に分散しないようにすることが好ましい。
【0031】
ステップ103における判断が否定される時には、気筒内に改質体による予混合気を形成することができないために予混合燃焼は断念され、ステップ106において、第一燃料噴射弁17により着火時期直前に必要量のDMEを気筒内へ噴射し、又は、必要量のDMEの一部によるパイロット噴射を組み合わせて、ディーゼル通常燃焼を実施する。このディーゼル通常燃焼において、パティキュレートは殆ど生成されないが、比較的多量のNOXは生成されてしまう。このNOXを浄化するために、機関排気系には、NOX吸蔵還元触媒装置8が配置されているが、この非常に限定的なディーゼル通常燃焼以外の燃焼では、殆どNOXが生成されないために、NOX吸蔵還元触媒装置8は非常に小型化することができ、又は、NOX吸蔵還元触媒装置8において吸蔵したNOXを放出して還元浄化する再生処理の頻度をかなり低減することができる。
【0032】
NOX吸蔵還元触媒装置8は、近傍雰囲気がリーン空燃比状態の時にNOXを吸蔵し、近傍雰囲気が理論空燃比状態又はリッチ空燃比状態の時には、吸蔵したNOXを放出するものである。すなわち、近傍雰囲気が酸素過剰状態の時にはNOXを吸蔵し、近傍雰囲気の酸素濃度が低下するとNOXを放出する。ディーゼル通常燃焼において、一般的に、燃焼空燃比はリーンとされており、それにより、NOX吸蔵還元触媒装置8は、この時のNOXを良好に吸蔵する。NOX吸蔵還元触媒装置8のNOX吸蔵可能量は有限であるために、NOX吸蔵量がNOX貯蔵可能量に達すると、NOXを吸蔵することができなくなる。それにより、NOX吸蔵量を推定して、これが設定量に達した時点でNOX吸蔵還元触媒装置8に吸蔵されているNOXを放出させて還元浄化する前述の再生処理が必要となる。NOX吸蔵量の推定は、ディーゼル通常燃焼が実施されている時のNOX生成量を、運転状態に基づき算出し、又は予めマップ化しておき、これを積算してNOX吸蔵量とすれば良い。
【0033】
再生処理では、NOX吸蔵還元触媒装置8内の空燃比を理論空燃比状態、好ましくは、リッチ状態とするために、一般的には、NOX吸蔵還元触媒装置8の上流側において機関排気系へ燃料が供給される。この燃料は、NOX吸蔵還元触媒装置8に担持された貴金属触媒により燃焼させられて酸素を消費し、近傍雰囲気の酸素濃度を低下させ、また、それによって放出させたNOXを還元浄化することが意図されている。本実施形態における機関本体1は、燃料としてDMEを使用するものであり、機関排気系に燃料としてDMEを供給するとDMEは直ぐに気化するが、軽油等に比較して反応性に劣り、多くのDMEがそのままNOX吸蔵還元触媒装置8を通過してしまう。
【0034】
従って、本実施形態では、連通管24の圧力調節器26の下流側と、NOX吸蔵還元触媒装置8の上流側に位置するエキゾーストマニホルド3aとが、噴射弁27を介して連通されている。NOX吸蔵還元触媒装置8の再生処理時には、噴射弁27によりリザーバタンクに1内の改質体を機関排気系3へ供給するようにしている。改質体としてのCO及びH2は、高い反応性を有するために、NOX吸蔵還元触媒装置8において、良好に酸素濃度を低下させ、また、放出されたNOXを良好に還元浄化する。
【0035】
リザーバタンク21内の圧力Pが第一設定圧力P1よりは低い設定圧力を下回っていて、NOX吸蔵還元触媒装置8の再生処理に必要な量の改質体が充填されていない時には、改質体による再生処置は不可能である。それにより、この時には、改質装置18を介することなくDMEを機関排気系に供給するようにしても良い。しかしながら、再生処理のための設定値をNOX吸蔵可能量より比較的小さくすれば、NOX吸蔵量がNOX吸蔵可能量に達するまでにまだ余裕があるために、リザーバタンク21内の圧力Pが設定圧力を超えるまで待って再生処理を実施しても良い。
【0036】
また、リザーバタンク21内の圧力Pが設定圧力を下回っている時には、第一設定圧力P1も下回っており、運転領域IIにおいてディーゼル通常燃焼が実施されることとなるが、このディーゼル通常燃焼の空燃比を理論空燃比又はリッチ空燃比として、排気ガス中の酸素濃度を低下させ、NOX吸蔵還元触媒装置8の再生処理を実施するようにしても良い。ディーゼル通常燃焼の空燃比はリーンとして、膨張行程又は排気行程において、第一燃料噴射弁17により気筒内へDMEを噴射しても良い。こうして改質装置18を介することなく、気筒内へ噴射されたDMEは、高温の気筒内において少なくとも一部はCO及びH2に改質され、機関排気系にDMEを供給する場合と比較して良好なNOX吸蔵還元触媒装置8の再生処理が可能である。
【0037】
運転領域Iにおいて、理論空燃比又はリッチ空燃比のディーゼル通常燃焼を実施して、又は、予混合燃焼又はディーゼル通常燃焼後の膨張行程又は排気行程において気筒内へDMEを噴射して、NOX吸蔵還元触媒を再生処理しても良い。
【0038】
DMEを燃料とする場合には、前述したように、パティキュレートが殆ど発生しないために、ディーゼル通常燃焼において、空燃比を理論空燃比又はリッチ空燃比とすることができる。この理論空燃比のディーゼル通常燃焼は、前述したように、NOX吸蔵還元触媒装置8の再生処理に利用可能なだけでなく、運転領域IIにおいてリザーバタンク21内の改質体の圧力Pが第一設定圧力P1より低い時に、この理論空燃比のディーゼル通常燃焼を実施すれば、多量のNOXが生成されることはなく、また、生成されるNOX量に見合うCO等の還元物質も生成されるために、NOX還元浄化触媒装置8を再生処理の必要ない三元触媒装置によって置き換えて、還元物質及びNOXを浄化することができる。ところで、NOX還元浄化触媒装置8及び三元触媒装置は、一般的に、貴金属触媒を担持して酸化機能も有するために、酸化触媒装置9を省略しても良い。
【0039】
NOX吸蔵還元触媒装置8は、排気ガス中にSOXが含まれていれば、NOXと同様なメカニズムでこれを吸蔵してしまう。SOXを放出させるS被毒回復処理は、酸素濃度を低下させると共にNOX吸蔵還元触媒装置8を高温としなければならないために、触媒劣化を早めてしまう。DMEは、硫黄を含まないために、燃料としてDMEを使用する場合には、このようなS被毒回復処理は必要ない。
【0040】
図4はコンプレッサ21の作動制御を示す第二フローチャートである。この第二フローチャートは第一フローチャートとは特に関係なく実施される。先ず、ステップ201において、リザーバタンク21内の改質体の圧力Pが第二設定圧力P2以下であるか否かが判断される。この第二設定圧力P2は、前述の第一設定圧力P1より高くリザーバタンク21の許容圧より僅かに低く設定されている。この判断が否定される時には、ステップ202においてコンプレッサ22は停止され、リザーバタンク21には、これ以上の改質体が充填されることはない。
【0041】
一方、ステップ201における判断が肯定される時には、ステップ203において、改質装置18の改質触媒が活性化しているか否かが判断される。この判断には、例えば、改質装置18の温度を利用したり、改質装置18の近傍を通過する排気ガスの温度を利用したり、また、機関始動からの経過時間等を利用することができる。ステップ203における判断が否定される時には、改質装置18においてDMEの改質は不可能であり、ステップ202においてコンプレッサ22を停止する。
【0042】
一方、ステップ203における判断が肯定される時には、ステップ204においてコンプレッサ22を作動し、燃料タンク13から改質装置18に供給されるDMEは、改質装置18において良好に改質されて改質体となり、この改質体をコンプレッサ22によってリザーバタンク21へ充填するようになっている。
【0043】
本実施形態において、改質装置18に担持された改質触媒は、排気ガスの熱を利用して活性化するものであるが、これは本発明を限定するものではなく、例えば、電気ヒータの熱を利用して活性化させても良い。それにより、DMEを常に改質することができれば、コンプレッサ22を作動する機会が増加するために、それに伴って、リザーバタンク21内の改質体の圧力Pが第一設定圧力P1を下回る機会が減少し、すなわち、リーン空燃比でのディーゼル通常燃焼を実施する機会が減少し、NOX還元浄化触媒装置8をさらに小型化させることができる。
【0044】
また、リザーバタンク21内の改質体の圧力Pが第一設定圧力P1を下回らないようにすれば、NOX還元浄化装置8を省略することも可能となる。しかしながら、こうしてリーン空燃比でのディーゼル通常燃焼を実施しないようにしても、予混合燃焼において火種として噴射されるDMEによって、僅かなNOXが生成されるために、このNOXを浄化するために、非常に小型のNOX吸蔵還元触媒装置8を設けるようにしても良い。
【0045】
【発明の効果】
請求項1に記載の本発明によるジメチルエーテル圧縮着火エンジンによれば、自着火性を低下させた改質体により予混合気が形成され、この予混合気は、意図する着火時期以前で自着火することはなく、また、着火用に噴射されるジメチルエーテルによって、着火時期での着火も確保されるために、良好な予混合燃焼を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるジメチルエーテル圧縮着火エンジンの構成を示す全体図である。
【図2】第一燃料噴射弁及び第二燃料噴射弁の燃料噴射制御を示す第一フローチャートである。
【図3】運転領域を示すマップである。
【図4】コンプレッサの作動制御を示す第二フローチャートである。
【符号の説明】
1…機関本体
2…機関吸気系
3…機関排気系
8…NOX吸蔵還元触媒装置
17…第一燃料噴射弁(噴射装置)
18…改質装置
21…リザーバタンク
22…コンプレッサ
23…第二燃料噴射弁
Claims (8)
- ジメチルエーテルを気筒内へ噴射するための噴射装置と、セタン価を低下させるようにジメチルエーテルを改質して改質体を生成する改質装置とを具備し、機関高負荷時には、前記改質装置により生成された前記改質体を使用して気筒内に予混合気を形成すると共に、前記噴射装置によって着火用にジメチルエーテルを気筒内へ噴射して予混合燃焼を実施することを特徴とするジメチルエーテル圧縮着火エンジン。
- 前記改質体は、機関吸気系を介して気筒内へ供給されることを特徴とする請求項1に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジン。
- 機関低負荷時には、前記噴射装置により気筒内へ噴射されたジメチルエーテルによって気筒内に予混合気を形成して予混合燃焼を実施することを特徴とする請求項1又は2に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジン。
- 前記改質装置により生成された前記改質体は気体であり、前記改質体を加圧するためのコンプレッサと、前記コンプレッサにより加圧された前記改質体を蓄えるリザーブタンクとを具備し、前記リザーブタンク内の前記改質体の圧力が設定値以下であって前記改質装置が前記改質体を生成可能である時には、前記改質装置へジメチルエーテルを供給すると共に前記コンプレッサを作動させて、前記リザーブタンク内へ前記改質体を充填することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジン。
- 機関高負荷時に前記改質体を使用して気筒内に予混合気を形成することができない時には、前記噴射装置により気筒内へ噴射されたジメチルエーテルによってディーゼル通常燃焼を実施することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジン。
- 前記ディーゼル通常燃焼における燃焼空燃比は理論空燃比近傍とされることを特徴とする請求項5に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジン。
- 機関排気系にはNOX吸蔵還元触媒装置が配置され、前記NOX吸蔵還元触媒装置の再生時には、前記改質装置により生成された前記改質体を前記NOX吸蔵還元触媒装置へ供給することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジン。
- 前記NOX吸蔵還元触媒装置の再生時に前記改質体を前記NOX吸蔵還元触媒装置へ供給することができない時には、前記改質装置を介することなくジメチルエーテルを前記NOX吸蔵還元触媒装置へ供給することを特徴とする請求項7に記載のジメチルエーテル圧縮着火エンジン。
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