JP2004353421A - 埋設型反射体 - Google Patents
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Abstract
【課題】構造物に埋設された状態で観察者から反射光が視認できる埋設型反射体を提供する。
【解決手段】観察者から視認されるための一の面(第1面)10を有し、更に第1面10と鋭角で交差する第2面12を有する所定形状の透明体1と、透明体1の第2面12に配設された反射素子とを備えた埋没型反射体100であって、透明体1の第1面10上に、所定の間隔で配設された複数の突起4をさらに備え、隣接する複数の突起4相互間の形状が、平面形状に構成され、複数の突起4の相互間から反射素子による反射光を観察者が視認可能な埋設型反射体100。
【選択図】 図1
【解決手段】観察者から視認されるための一の面(第1面)10を有し、更に第1面10と鋭角で交差する第2面12を有する所定形状の透明体1と、透明体1の第2面12に配設された反射素子とを備えた埋没型反射体100であって、透明体1の第1面10上に、所定の間隔で配設された複数の突起4をさらに備え、隣接する複数の突起4相互間の形状が、平面形状に構成され、複数の突起4の相互間から反射素子による反射光を観察者が視認可能な埋設型反射体100。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造物に埋設されて使用され、前記構造物に埋設された状態で観察者から反射光が視認できる埋設型反射体に関する。構造物としては舗装道路、トンネル、縁石、ガードレール、建築物の壁等である。本発明の埋設型反射体は、たとえば、道路に埋設して使用する場合、センターライン、交差点、横断歩道、中央分離帯等の路面標示体の構成部材として使用できる。
【0002】
【従来の技術】構造物に設置された状態で、観察者から反射光が視認できる反射体または反射性の物品としては、構造物表面に固定して使用されるものと、構造物に埋設して使用されるものとがある(例えば、特許文献1〜5参照)。
【0003】特許文献1には、次の様な表面固定型の反射体が開示されている。すなわち、軟質金属や樹脂を基材として使用し、反射素子として、再帰性反射シートを貼り付けた後、エンボス加工を施し、所望のパターンの凹凸反射面を形成したプレート状の反射体である。この反射体では、表面の再帰性反射シートが入射光を観察者に向かって反射できる。このタイプでは、反射体の表面に反射シートが露出しているので、車両等の物体が反射体に接触した時には、反射シートがその物体から直接外力(摩擦や衝撃)を受ける。したがって、物体との接触が比較的多い場所にある構造物に固定して使用した場合、反射シートの割れや傷の発生により反射性能が低下しやすい。
【0004】特許文献2にも同様に、表面固定型の反射体が開示されている。ここに開示の反射体は、高分子支持体シート表面に突起物を形成させ、その表面に再帰性反射シート(以下、「再帰反射シート」ということがある)を接着したものである。
【0005】一方、特許文献3には、次の様な埋設型反射体が開示されている。すなわち、構造物に埋設された状態で観察者から視認される様に露出する第1面と、その第1面に対して90度よりも小さな角度を成す様に傾斜し、構造物内部に埋没する第2面とを有する透明体からなる全反射プリズムと、その全反射プリズムの前記第2面に形成された再帰反射素子とを備えた反射体である。この反射体では、前記第1面を通して前記再帰反射素子に到達した光は、そこで反射されて観察者が視認可能である。
【0006】この反射体を使用する場合、升状の保持体に反射体を固定し、保持体内に全反射プリズムの第2面が位置する様にする。反射体は保持体ごと、道路などの構造物に埋設される。この様にすれば、全反射プリズムの第2面の反射素子は、路面などの構造物表面からは露出しない。したがって、車両等の物体が反射体に接触した時でも、反射素子がその物体から直接外力を受けることがない。したがって、物体との接触が比較的多い場所で使用した場合でも、反射素子の損傷による反射性能の低下はほとんど起こらない。
【0007】特許文献4及び5にも、同様の埋設型反射体が開示されている。これらの反射体でも、構造物に埋設された状態で観察者から視認される様に露出する第1面は平面状である。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−333616号公報
【特許文献2】
特開平8−53819号公報
【特許文献3】
特開平10−280343号公報
【特許文献4】
特開平8−3945号公報
【特許文献5】
実開昭57−85012号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来の埋設型反射体では、透明体(全反射プリズム等)の第1面は平坦であるので、この反射体を道路で使用した場合には、車両のタイヤとの直接の接触や、タイヤとの間に介在する砂との接触を伴う摩擦などにより第1面は損傷しやすい。これは、その上を車両が通過する場合、タイヤが第1面全体を擦ることになるからであった。また、第1面の上に砂がある場合、その砂にタイヤが接触し、車両の重量が砂を介して第1面に加わることになるからであった。
【0010】第1面が損傷すると、たとえ第2面の反射素子が本来の性能を保持していても、反射体の反射性能は低下する。第1面の損傷は、第1面の光透過率を低下させたり、第1面にできた傷が、第2面からの反射光を観察者(車両のドライバー等)のいない方向に逸らして射出させるからであった。
【0011】したがって、本発明の目的は、第1面の損傷を効果的に防止し、第2面で反射された光を観察者に向けて効果的に射出させることができる、埋設型反射体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明によって以下の埋設型反射体が提供される。
【0013】
[1] 観察者から視認される面(第1面)及び、前記第1面と鋭角で交差する第2面を有する少なくとも一つの所定形状の透明体と、前記透明体の前記第2面に配設された反射素子とを備え、所定の構造物中に、前記透明体を構成する前記第2面が埋没するとともに前記第1面が露出した状態で埋設されたときに、前記第1面から前記透明体の内部に入射した光が、前記第2面に配設された前記反射素子により反射して再び前記第1面から前記透明体の外部に反射光として射出されることにより、観察者が前記第1面から射出された前記反射光を視認することが可能な埋設型反射体であって、前記透明体の前記第1面上に、所定の間隔で配設された複数の突起をさらに備え、前記第1面を損傷から保護することが可能であるとともに、隣接する前記複数の突起相互間の形状が、平面形状に構成され、前記複数の突起の相互間から前記反射素子による前記反射光を観察者が視認可能である、埋設型反射体。
【0014】
[2] 前記突起が、前記第1面の周囲に沿って前記第1面を取り囲むフレーム状突起を含む、[1]に記載の埋設型反射体。
【0015】
[3] 前記透明体に結合された壁部を有する、前記透明体を保持するための保持部材をさらに備え、前記保持部材の前記壁部と前記透明体の前記第2面との間に、内部空間が形成されるとともに、前記壁部に、その表面にほぼ垂直に貫通孔が形成されてなり、前記保持部材が前記透明体とともに前記構造物に埋設されたときに、前記保持部材の外部から前記貫通孔及び前記内部空間に前記構造物の構成材料が侵入して、前記貫通孔に侵入した前記構成材料を介して前記内部空間に侵入した前記構成材料と前記保持部材の外部に存在する前記構成材料とが互いに連結される、[1]に記載の埋設型反射体。
【0016】
[4] 前記保持部材は前記透明体と一体的に結合されている、[3]に記載の埋設型反射体。
【0017】
[5] 前記保持部材が、前記壁部と垂直でかつ前記第1面と平行な平面(天井面)を有し、前記第1面上に代えて前記天井面上だけに、又は前記第1面及び前記天井面上に、所定の間隔で配設された複数の前記突起をさらに備え、前記第1面を損傷から保護することが可能である[3]又は[4]に記載の埋設型反射体。
【0018】
[6] 前記透明体が、前記第1面と鋭角で交差するとともに、前記第2面と対向し、かつ前記反射素子が配設された、第3面をさらに有している、[1]に記載の埋設型反射体。
【0019】
[7] 前記透明体の前記第1面が、第1a面と第1b面との2つの面により構成された[1]〜[6]のいずれかに記載の埋設型反射体。
【0020】このように、本発明による埋設型反射体では、従来のものとは異なり、透明体の第1面には、その第1面を損傷から保護することが可能な、保護手段としての複数の突起が互いに所定の間隔をおいて配設されている。これにより、第1面上を通過する車両等の物体が加える外力を複数の突起が受け止めるため、その外力は、第1面の中の突起間の部分(面)に直接には加わらない。したがって、第1面の損傷を効果的に防止し、第1面の光透過率の低下や第1面にできた傷に起因する反射性能の低下を防止できる。
【0021】また、第1面の中の突起間の部分は平面形状であるので、少なくとも突起の間から第2面で反射された反射光を観察者に向けて効果的に射出させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0023】本発明の好ましい形態による埋設型反射体について、図1及び図2に沿って説明する。図1は、本発明の埋設型反射体の一の実施の形態を模式的に示す斜視図である。図2は、本発明の埋設型反射体の一の実施の形態を模式的に示す側面図である。
【0024】図示の埋設型反射体(100)は、構造物(図示せず)に埋設された状態で観察者から視認される第1面(10)と、第1面(10)と鋭角(90度よりも小さな角度(θ))に交差する第2面(12)とを有する透明体(1)を備えている(第2面(12)は第1面(10)に対して角度θで傾斜している)。第2面(12)は、埋設型反射体(100)が構造物に埋設された状態で構造物内部に埋没する。透明体(1)は、この様な形状を有する様に、透明な樹脂または透明なガラスから形成される。図示の例の透明体(1)は三角柱プリズムである。すなわち、三角柱プリズムの1つの側面が第1面(10)であり、別の1つの側面が第2面(12)となる。
【0025】透明体(1)の第2面(12)には、通常、再帰反射素子を含む再帰反射シート(3)が接着され、第2面(12)が再帰反射素子を備える様にする。この場合、第2面(12)の表面は平面形状であり、その表面に反射面を密着させて再帰反射シート(3)が接着される。再帰反射シート(3)と第2面(12)とが密着することにより、反射体の視認輝度が効果的に高められる。
【0026】第1面(10)を通して透明体(1)内部に入射した光で、再帰反射シート(3)の反射面に到達した光は、再帰反射シート(3)が備える反射素子で反射される。その反射光は、透明体の中を第1面(10)に向かって進み、第1面(10)から外部に射出され、その反射光を観察者が視認可能である。
【0027】第1面(10)には、第1面(10)を損傷から保護する保護手段として、複数の突起(4)が互いに所定の間隔をおいて配設されている。互いに隣接する複数の突起(4)相互間の形状は平面形状である。すなわち、第1面(10)の中で、複数の突起(4)相互間に位置する部分(第1面の突起間部(11))の形状が平面形状である。観察者は、少なくともこの第1面の突起間部(11)を通過した反射光を視認することができる。
【0028】突起(4)の硬度は、透明体(1)の硬度以上であるのが好ましい。第1面(10)の上を通過する車両のタイヤ等の物体から加わる外力を突起(4)が受け止めた時に、突起が変形して第1面の突起間部(11)と物体とが接触することを効果的に防止できるからである。
【0029】透明体(1)の硬度は、通常50〜400、好ましくは70〜200、特に好ましくは70〜120である。硬度が低すぎると、透明体の損傷を効果的に防止できないおそれがある。反対に硬度が高すぎると、透明体を所望の大きさ及び所望の形状に加工することが困難になるおそれがある。突起(4)の硬度は、通常50〜410、好ましくは70〜210、特に好ましくは70〜130である。硬度が低すぎると、透明体の損傷を効果的に防止できないおそれがある。反対に硬度が高すぎると、突起を所望の大きさで所望の形状に加工することが困難になるおそれがある。なお、本明細書における硬度は、ASTM D785に準拠して測定したロックウェル硬度で、M−スケールを用い測定した値である。
【0030】反射性能(視認輝度)の向上の点からは、突起(4)は光透過性を有するのが好ましい。突起が光透過性である場合、その光透過率は、通常50%以上、好適には70%以上、特に好適には90%以上である。なお、本明細書における光透過率は、JIS K−7105に準じて測定した全光線透過率である。
【0031】突起(4)は、図3に示される様に、透明体(1)の第1面(10)の周囲に沿って第1面(10)を取り囲むフレーム状突起(4B)を含むのが好ましい。これにより、第1面(10)の周囲近傍の部分が損傷することを効果的に防止できるので、使用中の反射性能の低下を防ぐのに有利である。なお、図3に示される埋設型反射体(100B)は、突起がフレーム状突起(4B)と互いに離して配設された複数の突起(4A)とを含む以外は、図1に示されるものと同じである。
【0032】突起(4)と透明体(1)とは、一体的に結合されても良いし、別の部材として用意した後、透明体(1)と接着して突起付き透明体を形成しても良い。たとえば、透明体の第1面のほぼ全部を被覆する様に配置された透明板の表面に複数の突起を固定的に配設した、突起付きカバーを用意し、この突起付きカバーを透明体の第1面に接着することができる。この場合、透明板と突起とを互いに一体的に結合させるのが好ましい。突起に外力が加わった時に、突起が脱離することを効果的に防止できるからである。突起付きカバーは、一体成形により形成するのが好ましい。
【0033】また、突起と透明体とを一体的に結合した場合、突起が脱離することを効果的に防止できると同時に、突起と、それが接する透明体の第1面との間に光を反射する界面を作らない様にできる。したがって、突起が光透過性である場合に、突起を通過して観察者に届く反射光の量を効果的に増大させ、視認輝度を高めるのに有利になる。この様な突起付き透明体は、一体成形により形成するのが好ましい。
【0034】
(保持部材)
図1及び図2に示される埋設型反射体(100)は、透明体(1)を保持するための保持部材(2)を備えている。保持部材(2)は、透明体(1)とともに構造物(図示せず)に埋設される。図示の例では、透明体(1)の第1面(10)とほぼ直交するように結合される壁部(2A、2B)を有する保持部材(2)を用いている。壁部は、1つでも良いが、通常は図示の様に互いに向き合って配置された2つの壁部(2A、2B)を含む。すなわち、透明体の第2面(12)側の第1壁部(2A)と、透明体の第3面(13)側の第2壁部(2B)とを含む。なお、図示の例では、第3面(13)は、透明体の第1面(10)と鋭角で直交する様に備えられ、第3面(13)は第2面(12)と対向して備えられている。
【0035】図示の例の様に、通常、第1面に垂直な高さ方向の透明体(1)の寸法(透明体の高さ)(Ht)に比べて、第1面に垂直な高さ方向の壁部(2A、2B)の寸法(壁部の高さ)(Hw:通常、壁部の一端と他端との間の距離)が大きくなる(Ht<Hw)様に、それらの寸法が決定される。すなわち、設置面に壁部の他端を接触させた時に、透明体(1)は設置面には接触せず、設置面に対して埋設型反射体(100)を安定させて配置できる。設置面は、たとえば、構造物表面(たとえば、路面)に開けた穴の底の面である。この様に配置した状態で、構造物を構成する材料で穴を埋め、壁部(2A、2B)を埋没させ、反射体の埋設を行うことができる。なお、壁部のそれぞれの高さは、透明体の第1面の傾斜角度によって決定でき、また、設置面の傾斜角度によって決定できる。たとえば、設置面が水平で、透明体の第1面を水平にしたい場合、2つの壁部の高さを同じにする。なお、構造物の構成材料には、土、コンクリート、アスファルト等の構造物の主要部を構成するためのものや、構造物に埋設型反射体を埋設して固定するためのもので、固定完了後に構造物の一部となるもの(たとえば、接着剤、パテなど)が包含される。
【0036】図1に示すように、第1壁部(2A)と透明体の第2面(12)(再帰反射シート(3)で被覆されている)との間には内部空間が形成され、その内部空間に構造物を構成する構成材料が侵入可能である。第1壁部(2A)には、内側の内部空間と、第1壁部(2A)の外側(保持部材(2)の外部)とをつなぐ貫通孔(20A)が、第1壁部(2A)の表面にほぼ垂直に設けられている。貫通孔(20A)にも構造物を構成する構成材料が侵入可能である。この様にすれば、構造物に埋設された状態で、内側の内部空間に侵入した構造物の構成材料と、第1壁部(2A)の外側(保持部材(2)の外部)の構成材料とが、貫通孔(20A)に侵入した構成材料を介して連結される。これにより、透明体(埋設型反射体)が構造物から脱離することを効果的に防止できる。なお、図示の例では、第2壁部(2B)と透明体の第3面(13)との間にも内部空間が形成され、その内部空間に構造物を構成する構成材料が侵入可能である。また、第2壁部(2B)にも、脱離を効果的に防止するために、内側空間と外側とをつなぐ貫通孔(20B)が、第2壁部(2B)の表面にほぼ垂直に設けられている。貫通孔(20A、20B)は、構造物の構成材料が侵入しやすくするために、それぞれの壁部の表面にほぼ垂直に形成されていることが好ましいが、埋設型反射体を埋設するときに構成材料が侵入すれば、垂直でなくても良い。
【0037】また、埋設型反射体の内側の空間に構成材料が侵入しやすい様に、図示の様な第1壁部(2A)を貫通したスリット(21A)を、第1壁部(2A)の透明体に結合していない側の端部に設けるのが好ましい。図示の例のスリット(21A)は、貫通孔(20A)と連結しているが、貫通孔とは連結しないスリットであっても良い。また、スリットの数は壁部1つ当たりに2以上あっても良い。なお、図示の例では、第2壁部(2B)にも、貫通孔(20B)と、それと連結したスリット(21B)とが設けられている(図2参照)。
【0038】保持部材の壁部は、上記の様な第1壁部及び第2壁部を含み、前記透明体の周囲を取り囲む様に形成された筒状壁部であっても良い。たとえば、図4に示される様に、中空の角柱状(中心軸に垂直な平面で切断した断面形状が四角形の筒状)の筒状壁部(2W)が使用できる。この場合、壁部の他端側(透明体に結合していない側)には開口(20C)が形成され、筒状壁部(2W)に囲まれた空間内に開口(20C)から、構造物の構築材料が侵入可能である様にするのが好ましい。この様な筒状壁部は、中空の角柱状のものの他、他の形状、たとえば円筒状であっても良い。
【0039】保持部材と透明体とは、一体成形により一体的に結合されるのが好ましい。透明体に外力が加わった時に、保持部材から脱離することを効果的に防止できるからである。この様な保持部材からの透明体の脱離が生じると、頻繁に埋設工事ができない道路などで使用した場合に不具合が発生するおそれがある。すなわち、埋設型反射体が破損したまま交換できないので、その埋設型反射体を使い続けなければならない。保持部材と透明体とを一体成形しておけば、頻繁に埋設工事ができない道路などで使用した場合でも、この様な不具合の発生を効果的に防止できる。
【0040】
(透明体)
透明体の材料は、透明体の光透過率が所定の値以上になる様に選択される。透明体の光透過率は、通常70%以上、好適には80%以上、特に好適には90%以上である。
【0041】透明体の材料は、通常、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート、その他のエンジニアリングプラスチック等である。また、ガラスなどの無機材料を用いても良い。これらの材料を用い、削りだしや、鋳型を使用した成形(キャスティング成形、射出成形等)により形成する。表面保護用の突起または保持体と一体成形するのが好ましく、これら3者が一体的に結合する様に成形するのが特に好ましい。
【0042】透明体は、通常は前述の様な三角柱プリズムであるが、構造物表面に平行な第1面と、傾斜した第2面とを備える限り、その他の形状のものでも良い。たとえば、三角柱以外の角柱(四角柱、五角柱等)、円錐、角錐などである。円錐や角錐の場合、底面を第1面として使用し、底面に対して傾斜した(鋭角で交差する)側面を第2面として使用する。
【0043】透明体は、第2面以外の反射面を備えた、複反射面型の透明体が好ましい。たとえば、前述の様な三角柱プリズムを用いれば、2つの反射面を備えた埋設型反射体を形成できる。すなわち、図1に示される様に、透明体の第3面(13)にも反射素子を配設し、第3面(13)は第2面(12)と対向して備えられた埋設型反射体である。第3面(13)は、第2面(12)と同様に、第1面(10)と鋭角θ’で交差し(第1面(10)に対して90度よりも小さな角度(θ’)を成す様に傾斜し)、第3面(13)にも反射素子が配設されている。この様にすれば、第1の方向から(第2面からの反射光に対向するように)埋設型反射体に近づいて来る観察者と、第1の方向と対向する第2の方向から(第3面からの反射光に対向するように)近づいて来る観察者との両方に反射光を良好に視認させることができる。
【0044】上記の場合、第2面に配設された第2面の反射素子と、前記第3面に配設された第3面の反射素子とは互いに異なる色に着色されているのが好ましい。この様にすれば、第1の方向から埋設型反射体に近づいて来る観察者と、第1方向と対向する第2方向から近づいて来る観察者とが、別の色の反射光を良好に視認させ、それぞれの観察者に色を含む別々の情報を与えることができる。また、透明体が、四角錘などの角錐や円錐の形を有する場合、前述の互いに対向する2方向以外の方向から埋設型反射体を見る観察者にも反射光を良好に与えることができる。
【0045】前掲の特許文献1〜5に開示の埋設型反射体では、再帰反射面が1つしかない。したがって、この様な埋設型反射体を交互通行のセンターラインに設置する場合には、2つの反射体が必要になり、工事に手間がかかる。本発明の一の実施の形態による複反射面を有する埋設型反射体は、それを1つ設置するだけで良いので、工事の手間を増大することはない。
【0046】透明体は、十分な光透過性を有する限り、染料や顔料を含んでいても良い。また、それらが蛍光成分を含んでいても良い。顔料は、透明体の耐久性を高めるのに有利である。また、蛍光成分は、薄暮時の視認性を高めるのに有利である。
【0047】
(埋設型反射体の製造方法)
前述の様にして透明体を形成した後、透明体の第1面に突起を固定的に配設し、第2面に再帰反射シートを接着して、埋設型反射体を製造することができる。第3面や、その他の傾斜側面がある場合は、その面にも再帰反射シートを接着して埋設型反射体を製造すれば良い。再帰反射シートについては、後述する。
【0048】透明体と突起とを別々に成形する場合は、接着剤を用いて透明体と突起とを接着することができる。突起は、ポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチックから形成することができる。また、前述の様な突起付きカバーを用いる場合、透明板は、ポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチックから形成することができる。突起付きカバーを透明体に固定する場合、接着剤を用いることができる。
【0049】第2面などの傾斜面に再帰反射シートを接着するには、感圧接着剤などの接着剤を用いる。また、接着テープを用いても良い。第2面などに再帰反射シートを接着する場合、通常、その面全体が反射面になる様に再帰反射シートを全面に接着するが、本発明の効果を損なわない限り、第2面などの一部に再帰反射シートを配設しても良い。
【0050】保持部材の材料は、通常、透明体の材料と同じ様な、エンジニアリングプラスチック等の硬質プラスチックである。また、金属、セラミック、コンクリート等の無機材料でも良い。透明体と保持部材とを別々に成形する場合は、接着剤を用いて互いに接着すれば良い。
【0051】透明体の寸法は、用途に応じて適宜決定できる。たとえば、道路に埋設して注意喚起や区画の明確化などを行うために使用する場合の例について以下に説明する。
【0052】第1面の面積は、通常50〜250,000mm2、好適には100〜200,000mm2である。第1面の面積が小さすぎると、遠方からの視認性が低下するおそれがあり、反対に大きすぎると、透明体の質量が大きくなり過ぎ、埋設型反射体の運搬や埋設作業が困難になるおそれがある。第2面及びその他の第1面と鋭角で交差する面の面積は、通常50〜250,000mm2、好適には100〜200,000mm2である。面積が小さすぎると、遠方からの視認性が低下するおそれがあり、反対に大きすぎると、透明体の質量が大きくなり過ぎ、埋設型反射体の運搬や埋設作業が困難になるおそれがある。透明体の高さ(第1面から、それと対向する頂部までの距離)Ht(図1参照)は、通常5〜200mmである。
【0053】第2面と第1面との間の角度θ(図1参照)は、通常20〜70度、好適には30〜60度である。角度θが大きすぎると、遠方からの視認性が低下するおそれがある。反対に小さすぎると、遠方から見える第2面の面積(すなわち反射素子の面積)が小さくなり、遠方からの視認性が低下するおそれがある。
【0054】突起の1つ当たりが第1面に占める面積は、通常10〜500mm2、好適には15〜300mm2である。突起の配設密度は、通常、第1面において突起が配設された部分(P)と、平面形状の第1面の突起間部(B)との面積比(P:B)で、通常5:95〜20:80、好適には10:90〜15:85である。突起部分(P)の比率が小さすぎると、透明体を保護する効果が低下するおそれがある。反対に大きすぎると、突起が不透明の場合には、第2面等の反射面の視認性が低下するおそれがある。また、突起の透明性が高い場合は、第1面の突起間部(B)の比率がゼロであっても良い。
【0055】突起の形状は、物体と接触する表面が丸みをおびているのが良く、通常は図1や図2に示される様なかまぼこ形状(横置きの半円柱状)である。その他の形状、たとえば半球状であっても良いし、不規則な形であっても良い。また、保持部材を用いる場合、その壁部の高さHw(図1参照)は、通常10〜500mmである。
【0056】
(反射素子)
透明体の反射面に配設される反射素子は、反射輝度が高いものが良く、たとえば、鏡面反射性または再帰反射性を有するものが良い。通常、再帰反射性のものを反射素子として使用する。再帰反射素子は、通常、透明体の反射面となる面に、再帰反射シートを接着して形成する。本発明で使用される好適な再帰反射シートは、市販の封入レンズ型再帰反射シートまたはカプセルレンズ型再帰反射シート(ビーズ型及びプリズム型を含む)である。市販の例として、たとえば、3M社製の(商標)ダイヤモンドグレード(3970シリーズ、3990シリーズ、981シリーズ)、同社製の(商標)ハイ・インテンシティーグレード(3820シリーズ、3870シリーズ)、同社製の(商標)エンジニアグレード(2200シリーズ、3200シリーズ)などを挙げることができる。
【0057】次に、本発明の埋設型反射体の他の実施の形態として、透明体を2つ以上備えた埋設型反射体について説明する。
【0058】本発明の埋設型反射体は、上述のように、透明体を1つ備えるものであってもよいが、透明体を2つ以上備えることが好ましい。透明体を2つ以上備えることにより、より広入射角で入射する光に対応できる埋設型反射体となる。例えば、図5に示すような、上述の四角柱状の透明体(31)を2つ備えた埋設型反射体(200)が好ましい。
【0059】図5に示すように、透明体(31)は、第1面(40)が、四角柱の中心軸方向にそれぞれ伸びる第1a面(41)と第1b面(42)の2つの面から構成され、2つの面の交差部分(交線)が透明体31の外側に向かって凸になるように形成されている。このように、観察者から視認されるための第1面(40)が透明体31の外側に凸になる2つの平面から構成されることにより、より、広入射角で入射する光に対応できる埋設型反射体となる。このように、透明体31は、上記第1a面(41)、第1b面(42)、第2面(43)及び第3面(44)の4面によりその四角柱の外周面が形成されている。
【0060】透明体(31)の大きさ、形状は、用途に合わせて適宜決定することができ、特に限定されるものではないが、例えば、以下に示す大きさ、形状とすることが好ましい。第1b面(42)と第2面(43)との交線と、第1a面(41)と第3面(44)との交線とを、対向する2辺とする四角形状の平面(以下、「基準面」ということがある)から、第1a面(41)と第1b面(42)との交線までの平均距離は、1〜5mmであることが好ましい。また、上記基準面から、第2面(43)と第3面(44)との交線までの平均距離は、10〜100mmであることが好ましい。第1a面(41)と第1b面(42)とが交差する角度は、90〜170°が好ましい。また、第2面(43)と第3面(44)とが交差する角度は、45〜150°が好ましい。第1b面(42)と第2面(43)との交線と、第1a面(41)と第3面(44)との交線との間の平均距離は、10〜450mmが好ましい。ここで、平均距離とは、2つの直線同士、又は直線と平面とが平行である場合には、それらの間の最短距離をいい、2つの直線同士、又は直線と平面とが平行でない場合には、それらの間の最短距離と最長距離とを加えて2で除した値をいう。
【0061】また、2つの角柱状の透明体31は、それぞれの上記基準面が略同一平面上に位置するよう配設されている。
【0062】また、それぞれの透明体(31)の第1a面(41)及び第1b面(42)には、突起(34)が配設され、それぞれの第1面(第1a面(41)及び第1b面(42))を保護している。突起(34)は、それぞれの第1面(第1a面(41)、第1b面(42))上の両端部及び中央部の3箇所に配設されている。そして、突起(34)の上面(透明体(31)に接触する面の反対側の面)側は、上記基準面と略平行になるように形成されている。上記突起(34)の上面から上記基準面までの距離は、第1a面(41)と第1b面(42)との交線から上記基準面までの距離の最大値より長いことが好ましい。
【0063】図5において、2つの透明体(31)の第2面(43)及び第3面(44)には、再帰反射シート(反射素子)(33)が配設されている。
【0064】そして、埋設型反射体(200)には、壁部(54)と、壁部(54)に垂直でかつ第1面(40)と平行(上記基準面と平行)な平面(天井面)(53)を有する天井部(55)とから構成される保持部材(32)が配設されて、透明体(31)を支えている。また、保持部材(32)の壁部(54)には、貫通孔(51)及びスリット(52)が形成されている。本実施の形態では、突起(34)は、透明体(31)の第1面(40)上に配設されているが、第1面(40)上に代えて天井面(53)上だけに所定の間隔で複数配設されてもよいし、第1面(40)上及び天井面(53)上の両方に配設されてもよい。いずれに配設されても第一面(40)を損傷から保護することができる。図5に示す埋設型反射体(200)は、透明体(31)が2つ配設された場合であるが、図1に示すように透明体(1)を1つだけ配設した埋設型反射体(100)においても、上述のように保持部材(2)が壁部と天井部とから構成されるようにしてもよい。また、その場合には、突起(4)の配設場所を第1面上に代えて天井面上だけとしてもよいし、これら第1面上及び天井面上の両方としてもよい。
【0065】また、2つの透明体(31)の間には、保持部材(32)の一部である繋ぎ部材(32A)が配設されて、2つの透明体(31)をつなぎ合わせている。これら、保持部材(32)(繋ぎ部材(32A)を含む)及び2つの透明体(31)は一体的に成形されることが、製造効率が向上するため好ましい。繋ぎ部材(32A)の長さ(一の透明体(31)の第1a面(41)と第3面(44)との交線と、他の透明体(31)の第1b面(42)と第2面(43)との交線との間の平均距離に相当)は、特に限定されるものではないが、第1a面(41)と第1b面(42)との交線から、第2面(43)と第3面(44)との交線までの平均距離の10〜30%が好ましく、15〜25%がさらに好ましい。
【0066】さらに、透明体は、図6に示すように、透明体(61)の第1面(70)が第1a面(71)及び第1b面(72)の2つの面から構成され、この2つの面により、第1面(70)が凹状に形成されていてもよい。図6の透明体(61)は、第2面(73)及び第3面(74)を有している。このように、第1面(70)が、2つの平面により凹状に形成されることにより、より、広入射角で入射する光に対応できる埋設型反射体となる。
【0067】本実施の形態の埋設型反射体は、上述した条件以外の条件については、図1〜4を参照しながら説明した、上記埋設型反射体の実施の形態と同様にすることができる。
【0068】
【実施例】
(実施例1)
図5に示される構造の埋設型反射体を作製した。ポリカーボネート樹脂を使用して、キャスティングによる一体成形により、第1面保護用の突起、保持部材及び2つの透明体が一体的に結合した埋設型反射体の前駆体を作製した。この前駆体の2つの透明体のそれぞれの第2面全体に、再帰反射シート(3M社製3970シリーズ、(商標)ダイヤモンドグレード、白色タイプ)を、接着テープで再帰反射シートの反射面(トップフィルムの表面)が密着する様に固定した。ここで使用した接着テープは、アルミ箔を基材とした感圧接着テープであった。
【0069】本実施例で作製した埋設型反射体の各部位(部材)の寸法を、以下に示す。
第1面の面積(2つの反射体の基準面の面積の合計):11,309mm2
第2面の面積:2,000mm2
第3面の面積:2,000mm2
透明体の高さ(第2面と第3面との交線と、第1a面と第1b面との交線の間の平均距離):26mm
第2面と第1b面との間の角度:55度
第3面と第1a面との間の角度:55度
突起の高さ(透明体の基準面から突起の上面部分までの高さ):3mm
突起の1つ当たりが第1面全体に占める面積(最大値):160mm2
突起配設部分(P)と第1面の突起間部(B)との面積比率(P/B):15/85
保持部材の壁部の高さ:50mm
壁部の貫通孔の形:真円
貫通孔の真円部分の寸法:φ=10mm
貫通孔のスリット部分の寸法:長さ10mm及び幅5mm
【0070】本実施例の埋設型反射体を、透明体の基準面が地面に対して水平になる様に埋設し、試験用の路面標示体を作製した。
【0071】
(実施例2)
本実施例では、図4に示される構造の埋設型反射体を作製した。まず、ポリカーボネート樹脂を使用して、キャスティングによる一体成形により、第1面保護用の突起及び保持部材とが透明体に一体的に結合した埋設型反射体の前駆体を作製した。この前駆体の透明体の第2面全体に、再帰反射シート(3M社製3970シリーズ、(商標)ダイヤモンドグレード、白色タイプ)を、接着テープで再帰反射シートの反射面(トップフィルムの表面)が密着する様に固定した。ここで使用した接着テープは、アルミ箔を基材とした感圧接着テープであった。
【0072】本実施例で作製した埋設型反射体の各部位(部材)の寸法を、以下に示す。
第1面の面積:10,000mm2
第2面の面積:4,500mm2
第3面の面積:4,500mm2
透明体の高さ(第1面から、それと対向する頂部までの距離):45mm
第2面と第1面との間の角度:45度
第3面と第1面との間の角度:45度
突起の高さ:3mm
突起の1つ当たりが第1面に占める面積:75mm2
突起配設部分(P)と第1面の突起間部(B)との面積比率(P/B):15/85
保持部材の壁部の高さ:50mm
壁部の貫通孔の形:真円
貫通孔の真円部分の寸法:φ=10mm
貫通孔のスリット部分の寸法:長さ10mm及び幅5mm
【0073】本実施例の埋設型反射体を、透明体の第1面が地面に対して水平になる様に埋設し、試験用の路面標示体を作製した。
【0074】
(実施例3)
再帰反射シートを、3M社製の3290シリーズ・エンジニアグレード(白色タイプ)に代えた以外は、実施例2と同様にして本実施例の埋設型反射体を作製し、これを用いて試験用の路面標示体を作製した。
【0075】
(比較例1)
3M社製の路面標示材である(商標)ステイマーク、380シリーズ(白色)を路面に貼り付け、試験用の路面標示体を作製した。この路面標示材は、ニトリルラバーからなるベースシートを用い、凸部をエンボス加工して形成し、凸部の表面に再帰性反射素子であるセラミックガラスビーズを散布して接着した再帰反射シートであった。
【0076】
(比較例2)
JIS K 5665、3種3号に適合した試験用の路面標示体を作製した。この標示体は、JIS K 5665に規定された標示体用の溶着材料を路面に施工した後、その表面にガラスビーズを散布して接着したものであった。
【0077】
(比較例3)
第1面保護用の突起を持たない以外は、実施例2と同様にして本例の埋設型反射体を作製し、これを用いて試験用の路面標示体を作製した。
【0078】
(反射性能の評価)
実施例1,2及び比較例1〜3の路面標示体を、10m離れた自動車の運転席から夜間に観察した。その結果、実施例1〜3及び比較例3の路面標示体は、自動車のヘッドライトの光を良好に反射して明るく視認できた。一方、比較例1及び2の路面標示体は視認できたものの、実施例のものに比べて反射輝度は明らかに低かった。
【0079】また、実施例1〜3、比較例1〜3の路面標示体について、次の様にして反射輝度を測定した。結果を表1に示す。測定にはDelta Light & Optics社製の反射測定装置(品番)LTL−2000を使用した。乾燥時は、透明体の第1面が乾燥した状態で測定した。湿潤時は、第1面の突起部分が冠水する状態で測定した。
【0080】また、実施例1〜3の路面標示体と、比較例1〜3の路面標示体とを摩耗試験にかけた後、反射性能を比較した。結果を表2に示す。その結果、実施例1〜3では、自動車のヘッドライトの光を良好に反射して明るく視認でき、特に実施例1の反射性能が優れていた。一方、比較例1,2についてはガラスビーズの摩耗により輝度が低下し、比較例3(保護用の突起なし)では、表面(第1面)の摩耗により輝度が低下した。
【0081】
(摩耗試験)
実施例1〜3及び比較例1〜3の路面標示体の反射面(実施例1〜3及び比較例3は露出した第1面)について、JIS K 7204(摩耗輪によるプラスチックの摩耗試験方法)に準拠した装置を使用して摩耗試験を行った。摩耗輪にはJIS R 6001(研磨材の粒度)に規定された研磨材#150を使用し、荷重750gf(7.35N)をかけて、摩耗輪を100回転させた。摩耗試験後の反射性能を上記反射測定装置で測定した。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【発明の効果】以上の説明から明らかな様に、本発明によれば、透明体の表面(第1面)の損傷が効果的に防止され、埋設された反射面(第2面)で反射された光を観察者に向けて効果的に射出可能な埋設型反射体を提供できる。また、本発明によれば、耐摩耗性に優れ、交通量の比較的多い場所で用いた場合でも、夜間や薄暮時にドライバーの注意を喚起させたり、車線等の区画域を明確に標示可能な路面標示体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の埋設型反射体の一の実施の形態を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の埋設型反射体の一の実施の形態を模式的に示す側面図である。
【図3】本発明の埋設型反射体の他の実施の形態を模式的に示す斜視図である。
【図4】本発明の埋設型反射体の他の実施の形態を模式的に示す斜視図である。
【図5】本発明の埋設型反射体の他の実施の形態を模式的に示す斜視図である。
【図6】本発明の埋設型反射体に使用する透明体の一の実施の形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,31,61…透明体、2,32…保持部材、2A,2B,54…壁部、2W…筒状壁部、3,33…再帰反射シート、4,4A,34…突起、4B…フレーム状突起、10,40,70…第1面、41,71…第1a面、42,72…第1b面、11…第1面の突起間部、12,43,73…第2面、13,44,74…第3面、20A,20B,51…貫通孔、20C…開口、21A,21B,52…スリット、32A…繋ぎ部材、53…天井面、55…天井部、100,100B,200…埋設型反射体、θ,θ’…角度、Ht…透明体の高さ、Hw…壁部の高さ。
【発明の属する技術分野】本発明は、構造物に埋設されて使用され、前記構造物に埋設された状態で観察者から反射光が視認できる埋設型反射体に関する。構造物としては舗装道路、トンネル、縁石、ガードレール、建築物の壁等である。本発明の埋設型反射体は、たとえば、道路に埋設して使用する場合、センターライン、交差点、横断歩道、中央分離帯等の路面標示体の構成部材として使用できる。
【0002】
【従来の技術】構造物に設置された状態で、観察者から反射光が視認できる反射体または反射性の物品としては、構造物表面に固定して使用されるものと、構造物に埋設して使用されるものとがある(例えば、特許文献1〜5参照)。
【0003】特許文献1には、次の様な表面固定型の反射体が開示されている。すなわち、軟質金属や樹脂を基材として使用し、反射素子として、再帰性反射シートを貼り付けた後、エンボス加工を施し、所望のパターンの凹凸反射面を形成したプレート状の反射体である。この反射体では、表面の再帰性反射シートが入射光を観察者に向かって反射できる。このタイプでは、反射体の表面に反射シートが露出しているので、車両等の物体が反射体に接触した時には、反射シートがその物体から直接外力(摩擦や衝撃)を受ける。したがって、物体との接触が比較的多い場所にある構造物に固定して使用した場合、反射シートの割れや傷の発生により反射性能が低下しやすい。
【0004】特許文献2にも同様に、表面固定型の反射体が開示されている。ここに開示の反射体は、高分子支持体シート表面に突起物を形成させ、その表面に再帰性反射シート(以下、「再帰反射シート」ということがある)を接着したものである。
【0005】一方、特許文献3には、次の様な埋設型反射体が開示されている。すなわち、構造物に埋設された状態で観察者から視認される様に露出する第1面と、その第1面に対して90度よりも小さな角度を成す様に傾斜し、構造物内部に埋没する第2面とを有する透明体からなる全反射プリズムと、その全反射プリズムの前記第2面に形成された再帰反射素子とを備えた反射体である。この反射体では、前記第1面を通して前記再帰反射素子に到達した光は、そこで反射されて観察者が視認可能である。
【0006】この反射体を使用する場合、升状の保持体に反射体を固定し、保持体内に全反射プリズムの第2面が位置する様にする。反射体は保持体ごと、道路などの構造物に埋設される。この様にすれば、全反射プリズムの第2面の反射素子は、路面などの構造物表面からは露出しない。したがって、車両等の物体が反射体に接触した時でも、反射素子がその物体から直接外力を受けることがない。したがって、物体との接触が比較的多い場所で使用した場合でも、反射素子の損傷による反射性能の低下はほとんど起こらない。
【0007】特許文献4及び5にも、同様の埋設型反射体が開示されている。これらの反射体でも、構造物に埋設された状態で観察者から視認される様に露出する第1面は平面状である。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−333616号公報
【特許文献2】
特開平8−53819号公報
【特許文献3】
特開平10−280343号公報
【特許文献4】
特開平8−3945号公報
【特許文献5】
実開昭57−85012号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来の埋設型反射体では、透明体(全反射プリズム等)の第1面は平坦であるので、この反射体を道路で使用した場合には、車両のタイヤとの直接の接触や、タイヤとの間に介在する砂との接触を伴う摩擦などにより第1面は損傷しやすい。これは、その上を車両が通過する場合、タイヤが第1面全体を擦ることになるからであった。また、第1面の上に砂がある場合、その砂にタイヤが接触し、車両の重量が砂を介して第1面に加わることになるからであった。
【0010】第1面が損傷すると、たとえ第2面の反射素子が本来の性能を保持していても、反射体の反射性能は低下する。第1面の損傷は、第1面の光透過率を低下させたり、第1面にできた傷が、第2面からの反射光を観察者(車両のドライバー等)のいない方向に逸らして射出させるからであった。
【0011】したがって、本発明の目的は、第1面の損傷を効果的に防止し、第2面で反射された光を観察者に向けて効果的に射出させることができる、埋設型反射体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明によって以下の埋設型反射体が提供される。
【0013】
[1] 観察者から視認される面(第1面)及び、前記第1面と鋭角で交差する第2面を有する少なくとも一つの所定形状の透明体と、前記透明体の前記第2面に配設された反射素子とを備え、所定の構造物中に、前記透明体を構成する前記第2面が埋没するとともに前記第1面が露出した状態で埋設されたときに、前記第1面から前記透明体の内部に入射した光が、前記第2面に配設された前記反射素子により反射して再び前記第1面から前記透明体の外部に反射光として射出されることにより、観察者が前記第1面から射出された前記反射光を視認することが可能な埋設型反射体であって、前記透明体の前記第1面上に、所定の間隔で配設された複数の突起をさらに備え、前記第1面を損傷から保護することが可能であるとともに、隣接する前記複数の突起相互間の形状が、平面形状に構成され、前記複数の突起の相互間から前記反射素子による前記反射光を観察者が視認可能である、埋設型反射体。
【0014】
[2] 前記突起が、前記第1面の周囲に沿って前記第1面を取り囲むフレーム状突起を含む、[1]に記載の埋設型反射体。
【0015】
[3] 前記透明体に結合された壁部を有する、前記透明体を保持するための保持部材をさらに備え、前記保持部材の前記壁部と前記透明体の前記第2面との間に、内部空間が形成されるとともに、前記壁部に、その表面にほぼ垂直に貫通孔が形成されてなり、前記保持部材が前記透明体とともに前記構造物に埋設されたときに、前記保持部材の外部から前記貫通孔及び前記内部空間に前記構造物の構成材料が侵入して、前記貫通孔に侵入した前記構成材料を介して前記内部空間に侵入した前記構成材料と前記保持部材の外部に存在する前記構成材料とが互いに連結される、[1]に記載の埋設型反射体。
【0016】
[4] 前記保持部材は前記透明体と一体的に結合されている、[3]に記載の埋設型反射体。
【0017】
[5] 前記保持部材が、前記壁部と垂直でかつ前記第1面と平行な平面(天井面)を有し、前記第1面上に代えて前記天井面上だけに、又は前記第1面及び前記天井面上に、所定の間隔で配設された複数の前記突起をさらに備え、前記第1面を損傷から保護することが可能である[3]又は[4]に記載の埋設型反射体。
【0018】
[6] 前記透明体が、前記第1面と鋭角で交差するとともに、前記第2面と対向し、かつ前記反射素子が配設された、第3面をさらに有している、[1]に記載の埋設型反射体。
【0019】
[7] 前記透明体の前記第1面が、第1a面と第1b面との2つの面により構成された[1]〜[6]のいずれかに記載の埋設型反射体。
【0020】このように、本発明による埋設型反射体では、従来のものとは異なり、透明体の第1面には、その第1面を損傷から保護することが可能な、保護手段としての複数の突起が互いに所定の間隔をおいて配設されている。これにより、第1面上を通過する車両等の物体が加える外力を複数の突起が受け止めるため、その外力は、第1面の中の突起間の部分(面)に直接には加わらない。したがって、第1面の損傷を効果的に防止し、第1面の光透過率の低下や第1面にできた傷に起因する反射性能の低下を防止できる。
【0021】また、第1面の中の突起間の部分は平面形状であるので、少なくとも突起の間から第2面で反射された反射光を観察者に向けて効果的に射出させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0023】本発明の好ましい形態による埋設型反射体について、図1及び図2に沿って説明する。図1は、本発明の埋設型反射体の一の実施の形態を模式的に示す斜視図である。図2は、本発明の埋設型反射体の一の実施の形態を模式的に示す側面図である。
【0024】図示の埋設型反射体(100)は、構造物(図示せず)に埋設された状態で観察者から視認される第1面(10)と、第1面(10)と鋭角(90度よりも小さな角度(θ))に交差する第2面(12)とを有する透明体(1)を備えている(第2面(12)は第1面(10)に対して角度θで傾斜している)。第2面(12)は、埋設型反射体(100)が構造物に埋設された状態で構造物内部に埋没する。透明体(1)は、この様な形状を有する様に、透明な樹脂または透明なガラスから形成される。図示の例の透明体(1)は三角柱プリズムである。すなわち、三角柱プリズムの1つの側面が第1面(10)であり、別の1つの側面が第2面(12)となる。
【0025】透明体(1)の第2面(12)には、通常、再帰反射素子を含む再帰反射シート(3)が接着され、第2面(12)が再帰反射素子を備える様にする。この場合、第2面(12)の表面は平面形状であり、その表面に反射面を密着させて再帰反射シート(3)が接着される。再帰反射シート(3)と第2面(12)とが密着することにより、反射体の視認輝度が効果的に高められる。
【0026】第1面(10)を通して透明体(1)内部に入射した光で、再帰反射シート(3)の反射面に到達した光は、再帰反射シート(3)が備える反射素子で反射される。その反射光は、透明体の中を第1面(10)に向かって進み、第1面(10)から外部に射出され、その反射光を観察者が視認可能である。
【0027】第1面(10)には、第1面(10)を損傷から保護する保護手段として、複数の突起(4)が互いに所定の間隔をおいて配設されている。互いに隣接する複数の突起(4)相互間の形状は平面形状である。すなわち、第1面(10)の中で、複数の突起(4)相互間に位置する部分(第1面の突起間部(11))の形状が平面形状である。観察者は、少なくともこの第1面の突起間部(11)を通過した反射光を視認することができる。
【0028】突起(4)の硬度は、透明体(1)の硬度以上であるのが好ましい。第1面(10)の上を通過する車両のタイヤ等の物体から加わる外力を突起(4)が受け止めた時に、突起が変形して第1面の突起間部(11)と物体とが接触することを効果的に防止できるからである。
【0029】透明体(1)の硬度は、通常50〜400、好ましくは70〜200、特に好ましくは70〜120である。硬度が低すぎると、透明体の損傷を効果的に防止できないおそれがある。反対に硬度が高すぎると、透明体を所望の大きさ及び所望の形状に加工することが困難になるおそれがある。突起(4)の硬度は、通常50〜410、好ましくは70〜210、特に好ましくは70〜130である。硬度が低すぎると、透明体の損傷を効果的に防止できないおそれがある。反対に硬度が高すぎると、突起を所望の大きさで所望の形状に加工することが困難になるおそれがある。なお、本明細書における硬度は、ASTM D785に準拠して測定したロックウェル硬度で、M−スケールを用い測定した値である。
【0030】反射性能(視認輝度)の向上の点からは、突起(4)は光透過性を有するのが好ましい。突起が光透過性である場合、その光透過率は、通常50%以上、好適には70%以上、特に好適には90%以上である。なお、本明細書における光透過率は、JIS K−7105に準じて測定した全光線透過率である。
【0031】突起(4)は、図3に示される様に、透明体(1)の第1面(10)の周囲に沿って第1面(10)を取り囲むフレーム状突起(4B)を含むのが好ましい。これにより、第1面(10)の周囲近傍の部分が損傷することを効果的に防止できるので、使用中の反射性能の低下を防ぐのに有利である。なお、図3に示される埋設型反射体(100B)は、突起がフレーム状突起(4B)と互いに離して配設された複数の突起(4A)とを含む以外は、図1に示されるものと同じである。
【0032】突起(4)と透明体(1)とは、一体的に結合されても良いし、別の部材として用意した後、透明体(1)と接着して突起付き透明体を形成しても良い。たとえば、透明体の第1面のほぼ全部を被覆する様に配置された透明板の表面に複数の突起を固定的に配設した、突起付きカバーを用意し、この突起付きカバーを透明体の第1面に接着することができる。この場合、透明板と突起とを互いに一体的に結合させるのが好ましい。突起に外力が加わった時に、突起が脱離することを効果的に防止できるからである。突起付きカバーは、一体成形により形成するのが好ましい。
【0033】また、突起と透明体とを一体的に結合した場合、突起が脱離することを効果的に防止できると同時に、突起と、それが接する透明体の第1面との間に光を反射する界面を作らない様にできる。したがって、突起が光透過性である場合に、突起を通過して観察者に届く反射光の量を効果的に増大させ、視認輝度を高めるのに有利になる。この様な突起付き透明体は、一体成形により形成するのが好ましい。
【0034】
(保持部材)
図1及び図2に示される埋設型反射体(100)は、透明体(1)を保持するための保持部材(2)を備えている。保持部材(2)は、透明体(1)とともに構造物(図示せず)に埋設される。図示の例では、透明体(1)の第1面(10)とほぼ直交するように結合される壁部(2A、2B)を有する保持部材(2)を用いている。壁部は、1つでも良いが、通常は図示の様に互いに向き合って配置された2つの壁部(2A、2B)を含む。すなわち、透明体の第2面(12)側の第1壁部(2A)と、透明体の第3面(13)側の第2壁部(2B)とを含む。なお、図示の例では、第3面(13)は、透明体の第1面(10)と鋭角で直交する様に備えられ、第3面(13)は第2面(12)と対向して備えられている。
【0035】図示の例の様に、通常、第1面に垂直な高さ方向の透明体(1)の寸法(透明体の高さ)(Ht)に比べて、第1面に垂直な高さ方向の壁部(2A、2B)の寸法(壁部の高さ)(Hw:通常、壁部の一端と他端との間の距離)が大きくなる(Ht<Hw)様に、それらの寸法が決定される。すなわち、設置面に壁部の他端を接触させた時に、透明体(1)は設置面には接触せず、設置面に対して埋設型反射体(100)を安定させて配置できる。設置面は、たとえば、構造物表面(たとえば、路面)に開けた穴の底の面である。この様に配置した状態で、構造物を構成する材料で穴を埋め、壁部(2A、2B)を埋没させ、反射体の埋設を行うことができる。なお、壁部のそれぞれの高さは、透明体の第1面の傾斜角度によって決定でき、また、設置面の傾斜角度によって決定できる。たとえば、設置面が水平で、透明体の第1面を水平にしたい場合、2つの壁部の高さを同じにする。なお、構造物の構成材料には、土、コンクリート、アスファルト等の構造物の主要部を構成するためのものや、構造物に埋設型反射体を埋設して固定するためのもので、固定完了後に構造物の一部となるもの(たとえば、接着剤、パテなど)が包含される。
【0036】図1に示すように、第1壁部(2A)と透明体の第2面(12)(再帰反射シート(3)で被覆されている)との間には内部空間が形成され、その内部空間に構造物を構成する構成材料が侵入可能である。第1壁部(2A)には、内側の内部空間と、第1壁部(2A)の外側(保持部材(2)の外部)とをつなぐ貫通孔(20A)が、第1壁部(2A)の表面にほぼ垂直に設けられている。貫通孔(20A)にも構造物を構成する構成材料が侵入可能である。この様にすれば、構造物に埋設された状態で、内側の内部空間に侵入した構造物の構成材料と、第1壁部(2A)の外側(保持部材(2)の外部)の構成材料とが、貫通孔(20A)に侵入した構成材料を介して連結される。これにより、透明体(埋設型反射体)が構造物から脱離することを効果的に防止できる。なお、図示の例では、第2壁部(2B)と透明体の第3面(13)との間にも内部空間が形成され、その内部空間に構造物を構成する構成材料が侵入可能である。また、第2壁部(2B)にも、脱離を効果的に防止するために、内側空間と外側とをつなぐ貫通孔(20B)が、第2壁部(2B)の表面にほぼ垂直に設けられている。貫通孔(20A、20B)は、構造物の構成材料が侵入しやすくするために、それぞれの壁部の表面にほぼ垂直に形成されていることが好ましいが、埋設型反射体を埋設するときに構成材料が侵入すれば、垂直でなくても良い。
【0037】また、埋設型反射体の内側の空間に構成材料が侵入しやすい様に、図示の様な第1壁部(2A)を貫通したスリット(21A)を、第1壁部(2A)の透明体に結合していない側の端部に設けるのが好ましい。図示の例のスリット(21A)は、貫通孔(20A)と連結しているが、貫通孔とは連結しないスリットであっても良い。また、スリットの数は壁部1つ当たりに2以上あっても良い。なお、図示の例では、第2壁部(2B)にも、貫通孔(20B)と、それと連結したスリット(21B)とが設けられている(図2参照)。
【0038】保持部材の壁部は、上記の様な第1壁部及び第2壁部を含み、前記透明体の周囲を取り囲む様に形成された筒状壁部であっても良い。たとえば、図4に示される様に、中空の角柱状(中心軸に垂直な平面で切断した断面形状が四角形の筒状)の筒状壁部(2W)が使用できる。この場合、壁部の他端側(透明体に結合していない側)には開口(20C)が形成され、筒状壁部(2W)に囲まれた空間内に開口(20C)から、構造物の構築材料が侵入可能である様にするのが好ましい。この様な筒状壁部は、中空の角柱状のものの他、他の形状、たとえば円筒状であっても良い。
【0039】保持部材と透明体とは、一体成形により一体的に結合されるのが好ましい。透明体に外力が加わった時に、保持部材から脱離することを効果的に防止できるからである。この様な保持部材からの透明体の脱離が生じると、頻繁に埋設工事ができない道路などで使用した場合に不具合が発生するおそれがある。すなわち、埋設型反射体が破損したまま交換できないので、その埋設型反射体を使い続けなければならない。保持部材と透明体とを一体成形しておけば、頻繁に埋設工事ができない道路などで使用した場合でも、この様な不具合の発生を効果的に防止できる。
【0040】
(透明体)
透明体の材料は、透明体の光透過率が所定の値以上になる様に選択される。透明体の光透過率は、通常70%以上、好適には80%以上、特に好適には90%以上である。
【0041】透明体の材料は、通常、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート、その他のエンジニアリングプラスチック等である。また、ガラスなどの無機材料を用いても良い。これらの材料を用い、削りだしや、鋳型を使用した成形(キャスティング成形、射出成形等)により形成する。表面保護用の突起または保持体と一体成形するのが好ましく、これら3者が一体的に結合する様に成形するのが特に好ましい。
【0042】透明体は、通常は前述の様な三角柱プリズムであるが、構造物表面に平行な第1面と、傾斜した第2面とを備える限り、その他の形状のものでも良い。たとえば、三角柱以外の角柱(四角柱、五角柱等)、円錐、角錐などである。円錐や角錐の場合、底面を第1面として使用し、底面に対して傾斜した(鋭角で交差する)側面を第2面として使用する。
【0043】透明体は、第2面以外の反射面を備えた、複反射面型の透明体が好ましい。たとえば、前述の様な三角柱プリズムを用いれば、2つの反射面を備えた埋設型反射体を形成できる。すなわち、図1に示される様に、透明体の第3面(13)にも反射素子を配設し、第3面(13)は第2面(12)と対向して備えられた埋設型反射体である。第3面(13)は、第2面(12)と同様に、第1面(10)と鋭角θ’で交差し(第1面(10)に対して90度よりも小さな角度(θ’)を成す様に傾斜し)、第3面(13)にも反射素子が配設されている。この様にすれば、第1の方向から(第2面からの反射光に対向するように)埋設型反射体に近づいて来る観察者と、第1の方向と対向する第2の方向から(第3面からの反射光に対向するように)近づいて来る観察者との両方に反射光を良好に視認させることができる。
【0044】上記の場合、第2面に配設された第2面の反射素子と、前記第3面に配設された第3面の反射素子とは互いに異なる色に着色されているのが好ましい。この様にすれば、第1の方向から埋設型反射体に近づいて来る観察者と、第1方向と対向する第2方向から近づいて来る観察者とが、別の色の反射光を良好に視認させ、それぞれの観察者に色を含む別々の情報を与えることができる。また、透明体が、四角錘などの角錐や円錐の形を有する場合、前述の互いに対向する2方向以外の方向から埋設型反射体を見る観察者にも反射光を良好に与えることができる。
【0045】前掲の特許文献1〜5に開示の埋設型反射体では、再帰反射面が1つしかない。したがって、この様な埋設型反射体を交互通行のセンターラインに設置する場合には、2つの反射体が必要になり、工事に手間がかかる。本発明の一の実施の形態による複反射面を有する埋設型反射体は、それを1つ設置するだけで良いので、工事の手間を増大することはない。
【0046】透明体は、十分な光透過性を有する限り、染料や顔料を含んでいても良い。また、それらが蛍光成分を含んでいても良い。顔料は、透明体の耐久性を高めるのに有利である。また、蛍光成分は、薄暮時の視認性を高めるのに有利である。
【0047】
(埋設型反射体の製造方法)
前述の様にして透明体を形成した後、透明体の第1面に突起を固定的に配設し、第2面に再帰反射シートを接着して、埋設型反射体を製造することができる。第3面や、その他の傾斜側面がある場合は、その面にも再帰反射シートを接着して埋設型反射体を製造すれば良い。再帰反射シートについては、後述する。
【0048】透明体と突起とを別々に成形する場合は、接着剤を用いて透明体と突起とを接着することができる。突起は、ポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチックから形成することができる。また、前述の様な突起付きカバーを用いる場合、透明板は、ポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチックから形成することができる。突起付きカバーを透明体に固定する場合、接着剤を用いることができる。
【0049】第2面などの傾斜面に再帰反射シートを接着するには、感圧接着剤などの接着剤を用いる。また、接着テープを用いても良い。第2面などに再帰反射シートを接着する場合、通常、その面全体が反射面になる様に再帰反射シートを全面に接着するが、本発明の効果を損なわない限り、第2面などの一部に再帰反射シートを配設しても良い。
【0050】保持部材の材料は、通常、透明体の材料と同じ様な、エンジニアリングプラスチック等の硬質プラスチックである。また、金属、セラミック、コンクリート等の無機材料でも良い。透明体と保持部材とを別々に成形する場合は、接着剤を用いて互いに接着すれば良い。
【0051】透明体の寸法は、用途に応じて適宜決定できる。たとえば、道路に埋設して注意喚起や区画の明確化などを行うために使用する場合の例について以下に説明する。
【0052】第1面の面積は、通常50〜250,000mm2、好適には100〜200,000mm2である。第1面の面積が小さすぎると、遠方からの視認性が低下するおそれがあり、反対に大きすぎると、透明体の質量が大きくなり過ぎ、埋設型反射体の運搬や埋設作業が困難になるおそれがある。第2面及びその他の第1面と鋭角で交差する面の面積は、通常50〜250,000mm2、好適には100〜200,000mm2である。面積が小さすぎると、遠方からの視認性が低下するおそれがあり、反対に大きすぎると、透明体の質量が大きくなり過ぎ、埋設型反射体の運搬や埋設作業が困難になるおそれがある。透明体の高さ(第1面から、それと対向する頂部までの距離)Ht(図1参照)は、通常5〜200mmである。
【0053】第2面と第1面との間の角度θ(図1参照)は、通常20〜70度、好適には30〜60度である。角度θが大きすぎると、遠方からの視認性が低下するおそれがある。反対に小さすぎると、遠方から見える第2面の面積(すなわち反射素子の面積)が小さくなり、遠方からの視認性が低下するおそれがある。
【0054】突起の1つ当たりが第1面に占める面積は、通常10〜500mm2、好適には15〜300mm2である。突起の配設密度は、通常、第1面において突起が配設された部分(P)と、平面形状の第1面の突起間部(B)との面積比(P:B)で、通常5:95〜20:80、好適には10:90〜15:85である。突起部分(P)の比率が小さすぎると、透明体を保護する効果が低下するおそれがある。反対に大きすぎると、突起が不透明の場合には、第2面等の反射面の視認性が低下するおそれがある。また、突起の透明性が高い場合は、第1面の突起間部(B)の比率がゼロであっても良い。
【0055】突起の形状は、物体と接触する表面が丸みをおびているのが良く、通常は図1や図2に示される様なかまぼこ形状(横置きの半円柱状)である。その他の形状、たとえば半球状であっても良いし、不規則な形であっても良い。また、保持部材を用いる場合、その壁部の高さHw(図1参照)は、通常10〜500mmである。
【0056】
(反射素子)
透明体の反射面に配設される反射素子は、反射輝度が高いものが良く、たとえば、鏡面反射性または再帰反射性を有するものが良い。通常、再帰反射性のものを反射素子として使用する。再帰反射素子は、通常、透明体の反射面となる面に、再帰反射シートを接着して形成する。本発明で使用される好適な再帰反射シートは、市販の封入レンズ型再帰反射シートまたはカプセルレンズ型再帰反射シート(ビーズ型及びプリズム型を含む)である。市販の例として、たとえば、3M社製の(商標)ダイヤモンドグレード(3970シリーズ、3990シリーズ、981シリーズ)、同社製の(商標)ハイ・インテンシティーグレード(3820シリーズ、3870シリーズ)、同社製の(商標)エンジニアグレード(2200シリーズ、3200シリーズ)などを挙げることができる。
【0057】次に、本発明の埋設型反射体の他の実施の形態として、透明体を2つ以上備えた埋設型反射体について説明する。
【0058】本発明の埋設型反射体は、上述のように、透明体を1つ備えるものであってもよいが、透明体を2つ以上備えることが好ましい。透明体を2つ以上備えることにより、より広入射角で入射する光に対応できる埋設型反射体となる。例えば、図5に示すような、上述の四角柱状の透明体(31)を2つ備えた埋設型反射体(200)が好ましい。
【0059】図5に示すように、透明体(31)は、第1面(40)が、四角柱の中心軸方向にそれぞれ伸びる第1a面(41)と第1b面(42)の2つの面から構成され、2つの面の交差部分(交線)が透明体31の外側に向かって凸になるように形成されている。このように、観察者から視認されるための第1面(40)が透明体31の外側に凸になる2つの平面から構成されることにより、より、広入射角で入射する光に対応できる埋設型反射体となる。このように、透明体31は、上記第1a面(41)、第1b面(42)、第2面(43)及び第3面(44)の4面によりその四角柱の外周面が形成されている。
【0060】透明体(31)の大きさ、形状は、用途に合わせて適宜決定することができ、特に限定されるものではないが、例えば、以下に示す大きさ、形状とすることが好ましい。第1b面(42)と第2面(43)との交線と、第1a面(41)と第3面(44)との交線とを、対向する2辺とする四角形状の平面(以下、「基準面」ということがある)から、第1a面(41)と第1b面(42)との交線までの平均距離は、1〜5mmであることが好ましい。また、上記基準面から、第2面(43)と第3面(44)との交線までの平均距離は、10〜100mmであることが好ましい。第1a面(41)と第1b面(42)とが交差する角度は、90〜170°が好ましい。また、第2面(43)と第3面(44)とが交差する角度は、45〜150°が好ましい。第1b面(42)と第2面(43)との交線と、第1a面(41)と第3面(44)との交線との間の平均距離は、10〜450mmが好ましい。ここで、平均距離とは、2つの直線同士、又は直線と平面とが平行である場合には、それらの間の最短距離をいい、2つの直線同士、又は直線と平面とが平行でない場合には、それらの間の最短距離と最長距離とを加えて2で除した値をいう。
【0061】また、2つの角柱状の透明体31は、それぞれの上記基準面が略同一平面上に位置するよう配設されている。
【0062】また、それぞれの透明体(31)の第1a面(41)及び第1b面(42)には、突起(34)が配設され、それぞれの第1面(第1a面(41)及び第1b面(42))を保護している。突起(34)は、それぞれの第1面(第1a面(41)、第1b面(42))上の両端部及び中央部の3箇所に配設されている。そして、突起(34)の上面(透明体(31)に接触する面の反対側の面)側は、上記基準面と略平行になるように形成されている。上記突起(34)の上面から上記基準面までの距離は、第1a面(41)と第1b面(42)との交線から上記基準面までの距離の最大値より長いことが好ましい。
【0063】図5において、2つの透明体(31)の第2面(43)及び第3面(44)には、再帰反射シート(反射素子)(33)が配設されている。
【0064】そして、埋設型反射体(200)には、壁部(54)と、壁部(54)に垂直でかつ第1面(40)と平行(上記基準面と平行)な平面(天井面)(53)を有する天井部(55)とから構成される保持部材(32)が配設されて、透明体(31)を支えている。また、保持部材(32)の壁部(54)には、貫通孔(51)及びスリット(52)が形成されている。本実施の形態では、突起(34)は、透明体(31)の第1面(40)上に配設されているが、第1面(40)上に代えて天井面(53)上だけに所定の間隔で複数配設されてもよいし、第1面(40)上及び天井面(53)上の両方に配設されてもよい。いずれに配設されても第一面(40)を損傷から保護することができる。図5に示す埋設型反射体(200)は、透明体(31)が2つ配設された場合であるが、図1に示すように透明体(1)を1つだけ配設した埋設型反射体(100)においても、上述のように保持部材(2)が壁部と天井部とから構成されるようにしてもよい。また、その場合には、突起(4)の配設場所を第1面上に代えて天井面上だけとしてもよいし、これら第1面上及び天井面上の両方としてもよい。
【0065】また、2つの透明体(31)の間には、保持部材(32)の一部である繋ぎ部材(32A)が配設されて、2つの透明体(31)をつなぎ合わせている。これら、保持部材(32)(繋ぎ部材(32A)を含む)及び2つの透明体(31)は一体的に成形されることが、製造効率が向上するため好ましい。繋ぎ部材(32A)の長さ(一の透明体(31)の第1a面(41)と第3面(44)との交線と、他の透明体(31)の第1b面(42)と第2面(43)との交線との間の平均距離に相当)は、特に限定されるものではないが、第1a面(41)と第1b面(42)との交線から、第2面(43)と第3面(44)との交線までの平均距離の10〜30%が好ましく、15〜25%がさらに好ましい。
【0066】さらに、透明体は、図6に示すように、透明体(61)の第1面(70)が第1a面(71)及び第1b面(72)の2つの面から構成され、この2つの面により、第1面(70)が凹状に形成されていてもよい。図6の透明体(61)は、第2面(73)及び第3面(74)を有している。このように、第1面(70)が、2つの平面により凹状に形成されることにより、より、広入射角で入射する光に対応できる埋設型反射体となる。
【0067】本実施の形態の埋設型反射体は、上述した条件以外の条件については、図1〜4を参照しながら説明した、上記埋設型反射体の実施の形態と同様にすることができる。
【0068】
【実施例】
(実施例1)
図5に示される構造の埋設型反射体を作製した。ポリカーボネート樹脂を使用して、キャスティングによる一体成形により、第1面保護用の突起、保持部材及び2つの透明体が一体的に結合した埋設型反射体の前駆体を作製した。この前駆体の2つの透明体のそれぞれの第2面全体に、再帰反射シート(3M社製3970シリーズ、(商標)ダイヤモンドグレード、白色タイプ)を、接着テープで再帰反射シートの反射面(トップフィルムの表面)が密着する様に固定した。ここで使用した接着テープは、アルミ箔を基材とした感圧接着テープであった。
【0069】本実施例で作製した埋設型反射体の各部位(部材)の寸法を、以下に示す。
第1面の面積(2つの反射体の基準面の面積の合計):11,309mm2
第2面の面積:2,000mm2
第3面の面積:2,000mm2
透明体の高さ(第2面と第3面との交線と、第1a面と第1b面との交線の間の平均距離):26mm
第2面と第1b面との間の角度:55度
第3面と第1a面との間の角度:55度
突起の高さ(透明体の基準面から突起の上面部分までの高さ):3mm
突起の1つ当たりが第1面全体に占める面積(最大値):160mm2
突起配設部分(P)と第1面の突起間部(B)との面積比率(P/B):15/85
保持部材の壁部の高さ:50mm
壁部の貫通孔の形:真円
貫通孔の真円部分の寸法:φ=10mm
貫通孔のスリット部分の寸法:長さ10mm及び幅5mm
【0070】本実施例の埋設型反射体を、透明体の基準面が地面に対して水平になる様に埋設し、試験用の路面標示体を作製した。
【0071】
(実施例2)
本実施例では、図4に示される構造の埋設型反射体を作製した。まず、ポリカーボネート樹脂を使用して、キャスティングによる一体成形により、第1面保護用の突起及び保持部材とが透明体に一体的に結合した埋設型反射体の前駆体を作製した。この前駆体の透明体の第2面全体に、再帰反射シート(3M社製3970シリーズ、(商標)ダイヤモンドグレード、白色タイプ)を、接着テープで再帰反射シートの反射面(トップフィルムの表面)が密着する様に固定した。ここで使用した接着テープは、アルミ箔を基材とした感圧接着テープであった。
【0072】本実施例で作製した埋設型反射体の各部位(部材)の寸法を、以下に示す。
第1面の面積:10,000mm2
第2面の面積:4,500mm2
第3面の面積:4,500mm2
透明体の高さ(第1面から、それと対向する頂部までの距離):45mm
第2面と第1面との間の角度:45度
第3面と第1面との間の角度:45度
突起の高さ:3mm
突起の1つ当たりが第1面に占める面積:75mm2
突起配設部分(P)と第1面の突起間部(B)との面積比率(P/B):15/85
保持部材の壁部の高さ:50mm
壁部の貫通孔の形:真円
貫通孔の真円部分の寸法:φ=10mm
貫通孔のスリット部分の寸法:長さ10mm及び幅5mm
【0073】本実施例の埋設型反射体を、透明体の第1面が地面に対して水平になる様に埋設し、試験用の路面標示体を作製した。
【0074】
(実施例3)
再帰反射シートを、3M社製の3290シリーズ・エンジニアグレード(白色タイプ)に代えた以外は、実施例2と同様にして本実施例の埋設型反射体を作製し、これを用いて試験用の路面標示体を作製した。
【0075】
(比較例1)
3M社製の路面標示材である(商標)ステイマーク、380シリーズ(白色)を路面に貼り付け、試験用の路面標示体を作製した。この路面標示材は、ニトリルラバーからなるベースシートを用い、凸部をエンボス加工して形成し、凸部の表面に再帰性反射素子であるセラミックガラスビーズを散布して接着した再帰反射シートであった。
【0076】
(比較例2)
JIS K 5665、3種3号に適合した試験用の路面標示体を作製した。この標示体は、JIS K 5665に規定された標示体用の溶着材料を路面に施工した後、その表面にガラスビーズを散布して接着したものであった。
【0077】
(比較例3)
第1面保護用の突起を持たない以外は、実施例2と同様にして本例の埋設型反射体を作製し、これを用いて試験用の路面標示体を作製した。
【0078】
(反射性能の評価)
実施例1,2及び比較例1〜3の路面標示体を、10m離れた自動車の運転席から夜間に観察した。その結果、実施例1〜3及び比較例3の路面標示体は、自動車のヘッドライトの光を良好に反射して明るく視認できた。一方、比較例1及び2の路面標示体は視認できたものの、実施例のものに比べて反射輝度は明らかに低かった。
【0079】また、実施例1〜3、比較例1〜3の路面標示体について、次の様にして反射輝度を測定した。結果を表1に示す。測定にはDelta Light & Optics社製の反射測定装置(品番)LTL−2000を使用した。乾燥時は、透明体の第1面が乾燥した状態で測定した。湿潤時は、第1面の突起部分が冠水する状態で測定した。
【0080】また、実施例1〜3の路面標示体と、比較例1〜3の路面標示体とを摩耗試験にかけた後、反射性能を比較した。結果を表2に示す。その結果、実施例1〜3では、自動車のヘッドライトの光を良好に反射して明るく視認でき、特に実施例1の反射性能が優れていた。一方、比較例1,2についてはガラスビーズの摩耗により輝度が低下し、比較例3(保護用の突起なし)では、表面(第1面)の摩耗により輝度が低下した。
【0081】
(摩耗試験)
実施例1〜3及び比較例1〜3の路面標示体の反射面(実施例1〜3及び比較例3は露出した第1面)について、JIS K 7204(摩耗輪によるプラスチックの摩耗試験方法)に準拠した装置を使用して摩耗試験を行った。摩耗輪にはJIS R 6001(研磨材の粒度)に規定された研磨材#150を使用し、荷重750gf(7.35N)をかけて、摩耗輪を100回転させた。摩耗試験後の反射性能を上記反射測定装置で測定した。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【発明の効果】以上の説明から明らかな様に、本発明によれば、透明体の表面(第1面)の損傷が効果的に防止され、埋設された反射面(第2面)で反射された光を観察者に向けて効果的に射出可能な埋設型反射体を提供できる。また、本発明によれば、耐摩耗性に優れ、交通量の比較的多い場所で用いた場合でも、夜間や薄暮時にドライバーの注意を喚起させたり、車線等の区画域を明確に標示可能な路面標示体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の埋設型反射体の一の実施の形態を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の埋設型反射体の一の実施の形態を模式的に示す側面図である。
【図3】本発明の埋設型反射体の他の実施の形態を模式的に示す斜視図である。
【図4】本発明の埋設型反射体の他の実施の形態を模式的に示す斜視図である。
【図5】本発明の埋設型反射体の他の実施の形態を模式的に示す斜視図である。
【図6】本発明の埋設型反射体に使用する透明体の一の実施の形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,31,61…透明体、2,32…保持部材、2A,2B,54…壁部、2W…筒状壁部、3,33…再帰反射シート、4,4A,34…突起、4B…フレーム状突起、10,40,70…第1面、41,71…第1a面、42,72…第1b面、11…第1面の突起間部、12,43,73…第2面、13,44,74…第3面、20A,20B,51…貫通孔、20C…開口、21A,21B,52…スリット、32A…繋ぎ部材、53…天井面、55…天井部、100,100B,200…埋設型反射体、θ,θ’…角度、Ht…透明体の高さ、Hw…壁部の高さ。
Claims (7)
- 観察者から視認される面(第1面)及び、前記第1面と鋭角で交差する第2面を有する少なくとも一つの所定形状の透明体と、前記透明体の前記第2面に配設された反射素子とを備え、所定の構造物中に、前記透明体を構成する前記第2面が埋没するとともに前記第1面が露出した状態で埋設されたときに、前記第1面から前記透明体の内部に入射した光が、前記第2面に配設された前記反射素子により反射して再び前記第1面から前記透明体の外部に反射光として射出されることにより、観察者が前記第1面から射出された前記反射光を視認することが可能な埋設型反射体であって、
前記透明体の前記第1面上に、所定の間隔で配設された複数の突起をさらに備え、前記第1面を損傷から保護することが可能であるとともに、隣接する前記複数の突起相互間の形状が、平面形状に構成され、前記複数の突起の相互間から前記反射素子による前記反射光を観察者が視認可能である埋設型反射体。 - 前記突起が、前記第1面の周囲に沿って前記第1面を取り囲むフレーム状突起を含む、請求項1に記載の埋設型反射体。
- 前記透明体に結合された壁部を有する、前記透明体を保持するための保持部材をさらに備え、前記保持部材の前記壁部と前記透明体の前記第2面との間に、内部空間が形成されるとともに、前記壁部に、その表面にほぼ垂直に貫通孔が形成されてなり、
前記保持部材が前記透明体とともに前記構造物に埋設されたときに、前記保持部材の外部から前記貫通孔及び前記内部空間に前記構造物の構成材料が侵入して、前記貫通孔に侵入した前記構成材料を介して前記内部空間に侵入した前記構成材料と前記保持部材の外部に存在する前記構成材料とが互いに連結される、請求項1に記載の埋設型反射体。 - 前記保持部材は前記透明体と一体的に結合されている、請求項3に記載の埋設型反射体。
- 前記保持部材が、前記壁部と垂直でかつ前記第1面と平行な平面(天井面)を有し、前記第1面上に代えて前記天井面上だけに、又は前記第1面及び前記天井面上に、所定の間隔で配設された複数の前記突起をさらに備え、前記第1面を損傷から保護することが可能である請求項3又は4に記載の埋設型反射体。
- 前記透明体が、前記第1面と鋭角で交差するとともに、前記第2面と対向し、かつ前記反射素子が配設された、第3面をさらに有している、請求項1に記載の埋設型反射体。
- 前記透明体の前記第1面が、第1a面と第1b面との2つの面により構成された請求項1〜6のいずれかに記載の埋設型反射体。
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