JP2004351744A - 凹凸を有する硬化樹脂層付き高分子基板 - Google Patents

凹凸を有する硬化樹脂層付き高分子基板 Download PDF

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Abstract

【課題】高精細なディスプレイに適用しても画面がチラツキを起こしにくい光散乱機能(いわゆる防眩機能)を有する基板を提供すること。
【解決手段】透明高分子基板の少なくとも片面に、平均一次粒子径が100nm以下の金属酸化物及び/または金属フッ化物からなる超微粒子が、実質的に均一に分散した、表面に特定粗さの凹凸を有する硬化樹脂層の付いた高分子基板。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光学機能用途に好適な凹凸を有する硬化樹脂層付き高分子基板に関する。かかる高分子基板は、とりわけ防眩層および抵抗膜方式のタッチパネルに使用する上部基板および/あるいは下部基板に好適である。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディスプレイ関連部材などの光学用途フィルムは使用量が拡大しているが、このような用途に使用するフィルムは外光が映りこみディスプレイの視認性に影響を与えることがある。これを回避する方法の一つとして、フィルムの表面を粗面化し、光を散乱させることによって映りこみを防止する方法が良く知られている。粗面化する方法としては、エッチング・サンドブラスト・エンボス加工などの方法や、微粒子を分散させた紫外線硬化樹脂を塗布、硬化させる方法があるが、一般には後者の方法が採用されている。例えば特許文献1には、平均一次粒子径が2〜4μmの微粒子を樹脂層中に分散させることによって防眩性を発現させることが記載されている。しかし近年ではディスプレイの高精細化に伴い、前記のように数ミクロン程度の粒子(微粒子の二次凝集粒子を含む)を基板の面内に施す方法を採用した場合、外観の映りこみを軽減する一方、使用している粒子や粒子周辺の樹脂がレンズ効果を果たすことによって、画素の色分離(チラツキ)を起こし、ディスプレイの視認性を著しく劣化させる問題が発生していた。
【0003】
このような課題に対し、特許文献2には、平均一次粒子径が1〜5μmであり、屈折率を制御した微粒子を樹脂層に分散させることによって、高精細なディスプレイに適応しても、チラツキを起こしにくい防眩層を形成していることが開示されている。しかしながら、この発明においても屈折率などを調整しているものの、従来のより一般的に使用されている平均一次粒子径が数ミクロンの微粒子を使用している。このような実質的に数ミクロンの微粒子を使用している系に対し、特許文献3には、活性化エネルギー線を照射することで重合可能な化合物またはそのオリゴマーと、熱可塑性樹脂と、平均一次粒子径が0.001μm以上かつ1μm未満の無機微粒子とを含有してなることを特徴とする防眩膜形成用塗料を用いたことが記載されている。これは、このような構成を採用することによって防眩性を発現させるように、実質的に2次粒子などを含め、数ミクロンの微粒子を使用せずに膜表面の凹凸が形成した例であるが、高精細なディスプレイに適応した際に画素のチラツキ性を抑えるものではない。
【0004】
また近年、マンマシンインターフェースの一つとして対話型入力方式を実現するタッチパネルが多く使用されるようになった。タッチパネルは位置検出方式によって、光学方式、超音波方式、静電容量方式、抵抗膜方式などがある。このうち抵抗膜方式は、構造が単純で価格/性能比も良いため、近年急速な普及を見せている。
【0005】
抵抗膜方式のタッチパネルは、対向する側に透明導電層を有する2枚のフィルムまたはシートを一定間隔に保持して構成される電気部品であり、一方の電極を固定した上で、視認側からペンまたは指で一方の電極を押圧し、たわませ、接触、導通することによって検出回路が位置を検知し、所定の入力がなされるものである。この際、押圧しているペンまたは指などのポインティング部周辺に、いわゆるニュートンリングと呼ばれる干渉色が現れることがあり、ディスプレイの視認性を低下させている。
【0006】
このような抵抗膜方式のタッチパネルにおけるニュートンリングを軽減する方法として、例えば特許文献4には、平均一次粒子径が1〜4μmのフィラーを所定量含むコーティング層と透明導電層を、プラスチックフィルムの上に施す方法が開示されている。また、特許文献5には、シリカの平均二次粒子径が1.0〜3.0μmとなる突起塗工層をフィルム上に形成する方法が開示されている。
【0007】
しかし近年ではディスプレイの高精細化に伴い、前記のように平均一次または二次粒子径が数ミクロン程度の粒子を基板の面内に施す方法を採用したタッチパネルの場合ニュートンリングを軽減する一方、使用している粒子や粒子周辺の樹脂がレンズ効果を果たすことによって、画素の色分離(チラツキ)を起こし、ディスプレイの視認性を著しく劣化させる問題が発生していた。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−98813号公報
【0009】
【特許文献2】
特開2003−75611号公報
【0010】
【特許文献3】
特開2002−275391号公報
【0011】
【特許文献4】
特開平10−323931号公報
【0012】
【特許文献5】
特開2002−373056号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる現状に鑑みなされたもので、高精細なディスプレイに適用しても画面がチラツキを起こしにくい光散乱機能(いわゆる防眩機能)を付与するのが好ましい用途に好適な基板を提供すること、およびディスプレイや光学電子部品、とりわけ抵抗膜方式のタッチパネルに使用する上部基板および/あるいは下部基板に適用した際に、ペンまたは指の周辺に見られる干渉による虹模様(いわゆるニュートンリング)を抑制あるいは防止することができる凹凸を有する硬化樹脂層付き基板を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために超微粒子を用いた粗面化技術を鋭意検討した結果、従来一般的に使用されている平均粒子径が数ミクロンの微粒子や、数ミクロンの微粒子にナノサイズの微粒子を添加した系、あるいはナノサイズの超微粒子を使用しつつも実質的に数ミクロンの二次凝集体粒子を用いた系などのように実質的にミクロンサイズの粒子を分散させた状態とは異なり、平均一次粒子径が100nm以下の超微粒子からなる微粒子を実質的に均一に分散ることに成功した。そしてこの基板が驚くべきことに、ニュートンリングを軽減しつつ、高精細ディスプレイに適応しても画素の色分離(チラツキ)を生じさせにくいことを見出し本発明を完成するに至った。本発明の凹凸を有する硬化樹脂層付き高分子基板基板は、防眩機能を有する光学フィルムとして好適であり、さらに必要に応じて透明導電層や光学干渉層を組み合わせて用いることにより、タッチパネルなどのようなディスプレイ用途の光学電子部品として特に好適である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
【0016】
本発明に用いる透明高分子基板としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなる基板があげられる。またポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミドに代表されるアミド系ポリマー等の透明性に優れたポリマーからなるフィルムを用いることができる。さらにイミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーからなるフィルムも例示できる。前記ポリマーは、2種類以上をブレンドして用いてもよい。本発明における用途ではこれら透明高分子基板のうち、光学的に複屈折の少ないもの、あるいは特定の複屈折を有するもの(例えばλ/4やλ/2に制御したもの)、さらには複屈折をまったく制御していないものを、用途に応じて適宜選択することができる。
【0017】
ここで言う用途に応じて適宜選択する場合とは、例えば液晶ディスプレイに使用する偏光板や位相差フィルム、インナー型のタッチパネルのように直線偏光、楕円偏光、円偏光などのように偏光によって機能を発現するディスプレイ部材として用いた場合のことを指す。
【0018】
透明高分子基板の膜厚は適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性などの点より10〜500μm程度である。特に20〜300μmが好ましく、30〜200μmがより好ましい。
【0019】
本発明においては、上記透明高分子基板の一方もしくは両方の面に、硬化樹脂層が形成されている。かかる硬化樹脂層の表面は微細な凹凸形状を持っている。
【0020】
凹凸を有する硬化樹脂層を形成する樹脂としては、形成された硬化樹脂層中において平均一次粒子径が100nm以下粒子径を持つ超微粒子が基本的に均一に分散でき、硬化樹脂層形成後の皮膜として十分な強度を持ち、かつ透明性のある硬化性樹脂であれば特に制限なく使用できる。このような硬化性樹脂としては熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂などの架橋反応により硬化する樹脂があげられる。活性エネルギー線とは電子線、紫外線、放射線等挙げられるが、これらのなかでも紫外線によって硬化する紫外線硬化性樹脂が生産性や経済性の点から好適である。
【0021】
上記紫外線硬化性樹脂化合物の例としては、特に単官能アクリレートや多官能アクリレートが挙げられる。これらのアクリレート類はさらにポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アミド系、シリコーン系、エポキシ系等に分類でき、さらにまたモノマー、オリゴマー、ポリマー等にも分類できるが、これらのうち1種を単独で、または2種以上を混合して用いても良い。また、紫外線硬化性樹脂には通常、紫外線重合開始剤を配合する。さらにレベリング剤や光増感剤などの第三成分を添加しても良い。
【0022】
上記硬化樹脂層中には、平均一次粒子径が100nm以下の超微粒子が含有される。かかる超微粒子としては特に制限はなく用いることができるが、例えば、Al、Bi、CeO、In、In・SnO、HfO、La、MgF、Sb、Sb・SnO、SiO、SnO、TiO、Y、ZnO、ZrOなどの金属酸化物または金属フッ化物からなるものを挙げることができる。これらは2種類以上併用してもよい。また金属酸化物と金属フッ化物は同時に使用することもできる。
【0023】
上記超微粒子の平均一次粒子径は、硬化樹脂層が内部ヘーズによる白化を起こさないため小さいほうが望ましく、100nm以下である必要がある。かかる超微粒子の平均一次粒子径は好ましくは80nm以下、さらに好ましくは60nm以下である。また下限は特に制限ないが5nmである。超微粒子の平均一次粒子径は、レーザー回折散乱方式粒度分布測定装置を使用して測定することができる。また簡易的に粒子径を測定するには透過電子顕微鏡などを用いることによって実際の大きさを測定することもできる。具体的には超微粒子を含有する硬化樹脂層をエポキシ樹脂などで包埋し、エポキシ樹脂層を完全に硬化させた後ミクロトームで薄片化して測定試料を作製する。さらにこの測定試料を透過型電子顕微鏡で観察し、超微粒子の大きさをランダムに10点以上測定し、これらの測定値を平均化することで平均一次粒子径を求めることができる。
【0024】
本発明の凹凸を有する硬化樹脂層付き高分子基板は、用途として一般的にヘーズが低いことが望まれるケースもあるが、超微粒子が光学波長以上の凝集体(二次粒子)を形成し、かつ硬化樹脂と超微粒子の屈折率に差がある場合には、ヘーズが発生しやすい。ディスプレイ用途あるいは光学電子部品の用途では、超微粒子が実質的に明確な二次粒子を形成していないことが望まれる。さらに、ヘーズを発生させにくくするためには、硬化樹脂と超微粒子との屈折率差が出来るだけ小さくなる組み合わせを用いることにより、硬化樹脂と超微粒子の反射界面が無くなり内部ヘーズを減少させることができる。
【0025】
また、硬化樹脂層中に分散している上記超微粒子の含有量としては、硬化樹脂成分(硬化性樹脂)100重量部に対し、超微粒子が5重量部以上200重量部以下であり、5重量部以上100重量部以下が好ましい。超微粒子成分を5重量部未満とした場合は、ディスプレイ用途あるいは光学電子部品の用途に適する微細な凹凸を表面に持つ硬化樹脂層を形成することは難しく、200重量部を超える場合には、硬化樹脂成分の割合が少なくなるために、硬化樹脂層形成後の皮膜として十分な強度を持つことが難しくなるためである。
【0026】
表面に凹凸を有する硬化樹脂層の膜厚は、2μm以上10μm以下であることが好ましく、2μm以上7μm以下であることがより好ましい。膜厚が2μm未満である場合には、特に紫外線硬化性樹脂が酸素による影響で硬化不足となりやすいため好ましくない。また一般的に膜厚が10μmを超える場合には、紫外線硬化性樹脂の硬化収縮が高分子基板を撓ませ、カールが発生するので好ましくない。本発明における凹凸表面は、膜厚を制御することによっても、必要な形状の凹凸が形成されるため、膜厚を制御することは非常に重要である。特に本発明の場合、硬化樹脂成分に対し、含有する超微粒子成分を一定の量として膜厚だけを変化させた場合、膜厚を薄くするほど表面は平坦化する傾向にあり、逆に膜厚を厚くするほど表面は粗面化する傾向がある。
【0027】
本発明において、超微粒子が硬化樹脂層に実質的に明確な二次粒子を形成しないとは、超微粒子が硬化樹脂層中に基本的に均一に分散している状態であり、1.0μm以上の二次凝集体もしくは二次粒子を形成していないことを指す。したがって、本発明では、平均一次粒子径が100nm以下の超微粒子が1.0μm未満の二次凝集体を形成するような場合を含む。
【0028】
硬化樹脂層表面は、JIS B0601で定義される十点平均粗さ(Rz)が、100nm以上500nm未満であることが望ましく、またさらに100nm以上300nm未満であることがより望ましい。十点平均粗さが(Rz)100nm未満である場合には、ガラスやフィルム基板を本発明の凹凸面に強く接触させた際に、ニュートンリングが生じることがある。一方で十点平均粗さが(Rz)500nm以上となった場合には、ヘーズが大きくなり、高精細の液晶ディスプレイに適応すると、画素の色分離が生じてチラツキを起こすなどの理由から特にディスプレイ用途の基板としては好ましくない。
【0029】
また、硬化樹脂層の表面の凹凸はJIS B0601で定義される平均算術粗さ(Ra)が、10nm以上80nm未満であることが望ましく、さらに10nm以上35nm未満であることがより望ましい。平均算術粗さ(Ra)が10nm未満である場合には、ガラスやフィルム基板を本発明の凹凸面に強く接触させた際に、ニュートンリングが生じる。また、平均算術粗さ(Ra)は80nmを超えると、ヘーズが大きくなり、高精細の液晶ディスプレイに適応すると、画素の色分離が生じてチラツキを起こすなどの理由から特にディスプレイ用途の基板としては好ましくない。
【0030】
本発明における凹凸を有する硬化樹脂層の形成方法としては、特に湿式法による形成が好適である。その場合、例えばドクターナイフ、バーコーター、グラビアロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、スピンコータ−等、スプレー法、浸漬法等、公知のあらゆる方法を用いることができる。
【0031】
具体的には、例えば硬化性樹脂に、分散液中に分散した所定量の超微粒子を加え、さらに反応開始剤を加えさらに必要に応じて希釈等のために溶媒を加えてよく混合する。ついで、この溶液組成物を透明高分子基板の表面に上記方法を用いて塗布し、熱や光を照射して樹脂を反応させ硬化樹脂層を形成させる。
【0032】
本発明の凹凸を有する硬化樹脂層は、溶媒、分散剤、超微粒子の添加量、硬化樹脂層の膜厚などのパラメーターをかえることによって、Rz、Ra、さらにはヘーズを自由に制御することができる。特にヘーズは、1〜20%の範囲でかえることが可能である。特に防眩機能だけが必要であり、高精細ディスプレイに適応した際の画面のチラツキ、解像度の劣化を起こさない場合にはヘーズを高くして用いてもよい。例えば偏光板の防眩層として用いる場合には、ヘーズは5〜20%程度が好ましく、タッチパネルのアンチニュートンリング層として用いる場合には2〜5%程度が好ましい。
【0033】
また、本発明における硬化樹脂層の表面の凹凸は使用する超微粒子のチクソ性にも依存する。それ故チクソ性を発現、あるいは制御する目的で硬化樹脂層を形成する際に、溶媒や分散剤を適宜選択して用いることができる。溶媒としては例えば、アルコール系、芳香族系、ケトン系、ラクテート系、セルソルブ系、グリコール系などの各種が使用できる。分散剤としては例えば、脂肪酸アミン系、スルホン酸アミド系、ε−カプロラクトン系、ハイドロステアリン酸系、ポリカルボン酸系、ポリエステルアミンなど各種が使用できる。これらの溶媒や分散剤は、それぞれ単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
本発明における硬化樹脂層が、硬化樹脂と分散剤を含む超微粒子のみからなるにもかかわらず、特許文献5のようにミクロンサイズの明確な2次粒子を形成せずに、実質的に均一に分散し、なおかつ凹凸を形成する理由は定かではないが、おそらく超微粒子の持つ表面張力が硬化樹脂層の表面を動かしていると考えられる。この現象は、特に超微粒子がチクソ性を持つ場合に見られる傾向にあり、溶媒、レベリング剤、硬化性樹脂を適宜選択することにより、表面性のまったく異なった面を形成することができる。
【0035】
該表面に凹凸を有する硬化樹脂層付き高分子基板には、用途に応じて透明導電層、光学干渉により反射率を制御する光学干渉層及びハードコート層を単独で、あるいはそれらのうちの複数を必要に応じて適切な順に、組み合わせて用いることができる。これら透明導電層、光学干渉層、やハードコート層の積層順は用途に応じて発現を期待される機能を果たしていれば特に限定するものではない。これらの積層順を例えばタッチパネル用基板として用いる場合、透明導電層をA、光学干渉層をB、凹凸を有する硬化樹脂層をC、高分子基板をD、ハードコートをEとすると、例えばA/B/C/D/E、A/B/C/D/C、A/B/B/C/D/E、A/B/B/C/D/C、A/C/D/E/B、A/C/D/C/B、A/C/D/E/B/B、A/C/D/C/B/Bなどを挙げることができる。
【0036】
透明導電層としては、例えば酸化錫を2〜20重量%含むITO膜やアンチモンまたはフッ素等をドープした酸化錫膜がある。透明導電層の形成方法としては、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等のPVD法あるいは塗工法、印刷法、CVD法があるが、PVD法またはCVD法が好ましい。
【0037】
先に述べた光学干渉層は、高屈折率層と低屈折率層を適宜組み合わせることにより反射光を防止あるいは抑制する層を指す。光学干渉層は少なくとも一層の高屈折率層と少なくとも一層の低屈折率層より構成される。高屈折率層と低屈折率層の組み合わせ単位を二つ以上とすることも出来る。光学干渉層が一層の高屈折率層と一層の低屈折率層から構成される場合、光学干渉層の膜厚は30nm〜150nmが好ましく、更に好ましくは50nm〜150nmである。光学干渉層は、湿式法、乾式法のいずれの方法でも形成することができる。例えば湿式法ではドクターナイフ、バーコーター、グラビアロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、スピンコータ−等、スプレー法、浸漬法等、乾式法ではスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等のPVD法あるいは印刷法、CVD法などを適応することが出来る。
【0038】
ハードコート層としては、熱硬化樹脂や活性エネルギー線硬化樹脂などが適応できる。なかでも、活性エネルギー線に紫外線を用いた、紫外線硬化型樹脂は生産性や経済性に優れており好適である。このような紫外線硬化型樹脂は、例えば1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ポリ(ブタンジオール)ジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリイソプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートおよびビスフェノールAジメタクリレートの如きジアクリレート類;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールモノヒドロキシトリアクリレートおよびトリメチロールプロパントリエトキシトリアクリレートの如きトリアクリレート類;ペンタエリトリトールテトラアクリレートおよびジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレートの如きテトラアクリレート類;並びにジペンタエリトリトール(モノヒドロキシ)ペンタアクリレートの如きペンタアクリレート類を挙げることができる。この他にも、5官能以上の多官能アクリレートも用いることができる。これらの多官能アクリレートは1種単独、または2種以上混合して同時に用いてもよい。さらにこれらのアクリレート類には、光開始剤、光増感剤、レベリング剤、金属酸化物やアクリル成分などから成る微粒子や超微粒子などの第三成分を1種または2種以上を添加して用いることができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、硬化性樹脂と分散剤を含む超微粒子を用いた硬化樹脂層の表面粗さ制御技術により、高精細ディスプレイに適応しても画素の色分離(チラツキ)を生じさせにくい表面に凹凸を有する硬化樹脂層付き基板、およびこれを用いてなるディスプレイおよび光学電子部品を提供することができる。光学電子部品としてより具体的にはニュートンリングを軽減しつつ、高精細ディスプレイに適応しても画素の色分離(チラツキ)を生じさせにくいという光学特性のバランスを可能とせしめ、従来の技術では実現できなかった視認性に優れた光学特性を有する全く新機能なタッチパネル用基板として応用することができる。
【0040】
【実施例】
以下実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、部および%は、特に断らない限り重量基準である。また、実施例中における各種の測定は、下記のとおり行った。
【0041】
表面粗さ:Sloan社製 触針段差計 DEKTAK3を用いて測定した。測定条件は測定長2000μm、ハイパスフィルター 20.00μmとし、基板のうねり成分を取り除いて、Ra、Rzを算出した。
【0042】
ヘーズ:日本電色社製ヘーズメーター(MDH 2000)を用いてヘーズ(Haze)値を測定した。
【0043】
チラツキ性・ニュートンリング性評価:約123dpi(対角10.4インチ、XGA(1024×768ドット))の液晶ディスプレイに1.1mm厚のガラスを乗せ、このガラスの上に本発明の凹凸を有する硬化樹脂層付き高分子基板を、凹凸を有する硬化樹脂層の面をガラスに接して乗せた。この時に画素のチラツキ、およびニュートンリングの有無を目視で観察し、評価した。
【0044】
超微粒子の分散状態確認:本発明の凹凸を有する硬化樹脂層付き高分子基板をエポキシ樹脂で包埋し、完全にエポキシ樹脂が硬化した後ミクロトームで薄片試料を作製した。この試料を透過型電子顕微鏡で観察し、超微粒子の分散が実質的に均一に分散(1μm以上の2次凝集粒子を形成していない)ことを確認した(図1および図2)。
【0045】
[実施例1]
透明高分子基板にポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム社製、OFW−188)を用い、その一方の面に下記組成の塗布液Rをワイヤーバーで塗布し、80℃で1分間加熱乾燥した後、紫外線ランプで120mW/cm、400mJ/cmの紫外線を照射し、膜厚約5μmの凹凸を有する硬化樹脂層を形成させた。
【0046】
塗布液Rの組成
アクリル系紫外線硬化性樹脂:100重量部(東亞合成(株)社製 アロニックスM−215)
超微粒子:15重量部(固形分換算)(シーアイ化成(株)社製 SiO超微粒子 10重量% イソプロピルアルコール分散液、超微粒子の平均一次粒子径は約30nm(透過型電子顕微鏡により決定)
光反応開始剤:5重量部(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製 イルガキュア184)
希釈液:適宜の量(イソブチルアルコール)
【0047】
このようにして得た凹凸を有する硬化樹脂層付き高分子基板は、表1のような特性をもち、図1および図2に示す通り超微粒子が硬化樹脂層中に均一に分散し、約123dpi(10.4インチXGA)の高解像液晶ディスプレイにかざしてもチラツキの生じず、またガラスとフィルムの界面にニュートンリングの生じない基板であった。
【0048】
[比較例1]
実施例1の超微粒子を、一次平均粒子径が3.0μmのシリカ系粒子に変更し、かつシリカ系粒子の添加量をアクリル系紫外線硬化性樹脂の0.5重量部とし、さらに凹凸を形成する硬化樹脂層の膜厚を2.3μmに変更した以外は実施例1と同様にして凹凸を有する硬化樹脂層付き高分子基板を得た。
【0049】
このようにして得られた凹凸を有する高分子基板は、表1に示す特性を示し、約123dpi(10.4インチXGA)の高解像度液晶ディスプレイに乗せると、ニュートンリングは発生しないが画素に色分離が生じチラツキを生じる基板であった。
【0050】
【表1】
Figure 2004351744

【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で形成した凹凸を有する硬化樹脂層付き高分子基板を、硬化樹脂で包埋後、ミクロトームで薄片試料とし、透過電子顕微鏡で撮影した断面写真である。
【図2】図1の超微粒子を含有した凹凸を有する硬化樹脂層をさらに拡大撮影した断面写真である。
【符号の説明】
1:包埋樹脂
2:超微粒子を含有した凹凸を有する硬化樹脂層
3:PETフィルム
4:超微粒子を含有した凹凸を有する硬化樹脂層の拡大部分

Claims (6)

  1. 透明高分子基板の少なくとも片面に、平均一次粒子径が100nm以下の金属酸化物及び/または金属フッ化物からなる超微粒子が、(1)硬化樹脂成分100重量部に対して5重量部以上、200重量部以下の割合で(2)実質的に明確な二次粒子を形成せずに含有し、(3)当該樹脂層の膜厚が2μm以上10μm以下であり、かつ(4)表面に凹凸を有する硬化樹脂層の付いた高分子基板であって、該凹凸を有する硬化樹脂層のJIS B0601で定義される十点平均粗さ(Rz)が、100nm以上500nm未満であることを特徴とする凹凸を有する硬化樹脂層付き高分子基板。
  2. 該凹凸を有する硬化樹脂層のJIS B0601で定義される算術平均粗さ(Ra)が、10nm以上80nm未満であることを特徴とする請求項1記載の凹凸を有する硬化樹脂層付き高分子基板。
  3. JIS B7361で定義されるヘーズが、1%以上20%未満であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の凹凸を有する硬化樹脂層付き高分子基板。
  4. 該金属酸化物及び/または金属フッ化物からなる超微粒子がAl、Bi、CeO、In、In・SnO、HfO、La、MgF、Sb、Sb・SnO、SiO、SnO、TiO、Y、ZnO及びZrOからなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の凹凸を有する硬化樹脂層付き高分子基板。
  5. 透明導電層、光学干渉層及びハードコート層を単独、あるいは複数を必要に応じて適切な順に、該凹凸を有する硬化樹脂層付き高分子基板と組み合わせて用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の凹凸を有する硬化樹脂層付き高分子基板。
  6. 請求項5記載の凹凸を有する硬化樹脂層付き高分子基板を適用してなるディスプレイおよび光学電子部品。
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