JP2004347810A - 電気泳動表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気泳動表示装置において帯電泳動粒子が他の画素へ移動することを防止する。
【解決手段】一対の基板1,8が所定間隙を開けた状態に配置され、その間隙は隔壁2にて仕切られている。そして、隔壁2にて仕切られた画素には絶縁性液体4や帯電泳動粒子5が配置されている。ところで、上側の基板8と隔壁上面2aとは封止層3を介して接着されているが、該封止層3は隔壁の側面2bにまで延設されて該側面2bにも接着されている。したがって、絶縁性液体4や帯電泳動粒子5は下側の基板1と封止層3とによって確実に封止されることとなり、帯電泳動粒子5が他の画素へ移動することを防止できる。そして、該移動に伴う表示品質の悪化も防止できる。
【選択図】 図1
【解決手段】一対の基板1,8が所定間隙を開けた状態に配置され、その間隙は隔壁2にて仕切られている。そして、隔壁2にて仕切られた画素には絶縁性液体4や帯電泳動粒子5が配置されている。ところで、上側の基板8と隔壁上面2aとは封止層3を介して接着されているが、該封止層3は隔壁の側面2bにまで延設されて該側面2bにも接着されている。したがって、絶縁性液体4や帯電泳動粒子5は下側の基板1と封止層3とによって確実に封止されることとなり、帯電泳動粒子5が他の画素へ移動することを防止できる。そして、該移動に伴う表示品質の悪化も防止できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電圧を印加して前記帯電泳動粒子を移動させることに基づき表示を行う電気泳動表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電圧を印加して前記帯電泳動粒子を移動させることに基づき表示を行う電気泳動表示装置は、表示コントラストが大きい等の優れた特徴を有しているため、近年、開発が盛んに行われている。
【0003】
この電気泳動表示装置は、図5に符号D4で例示するように、所定間隙を開けた状態に配置された一対の基板30a,30bを備えており、それらの基板30a,30bの間隙には、画素A,Bを仕切るように隔壁2が配置され、各画素A,Bには絶縁性液体4や帯電泳動粒子5が充填されている。図中の符号6,7は電極を示し、符号33は、上側基板30aと隔壁上面2aとを接着するための封止層を示す。
【0004】
この封止層33を形成する方法としては種々のものが提案されている。例えば、下側基板30bに隔壁2を形成した後に、該隔壁2にて区画される凹部に絶縁性液体4や帯電泳動粒子5を充填するが、その絶縁性液体4に封止剤を混入させておく方法がある(例えば、特許文献1参照)。この場合、絶縁性液体4に混ざらず比重の小さいものを封止剤として選択しておけば、封止剤による層が絶縁性液体4の上側に分離形成されることとなり、その封止剤を硬化させれば、図5に示す形状の封止層33を得ることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−34672号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5に示すような封止層33の場合、封止層33と隔壁2との接着性が不十分であるため、繰り返しの曲げ耐久性が必ずしも十分でなかった。そして、隔壁2と封止層33との間に隙間が生じてしまうと、帯電泳動粒子5が他の画素へ移動して表示品質が悪くなってしまうおそれがあるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、帯電泳動粒子の他の画素への移動を防止する電気泳動表示装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記事情を考慮してなされたものであり、第1基板と、該第1基板の表面部分を仕切るように配置された隔壁と、該仕切られた部分を封止するように配置された封止層と、該封止された部分に配置された絶縁性液体及び複数の帯電泳動粒子と、該絶縁性液体に近接するように配置された第1電極及び第2電極と、を備え、これらの電極の間に電圧を印加して前記帯電泳動粒子を前記第1電極の側又は第2電極の側に移動させることに基づき表示を行う電気泳動表示装置において、
前記隔壁における前記第1基板とは反対側の面を第1面とし、前記隔壁における前記絶縁性液体に近接する側の面を第2面とした場合に、前記封止層が前記隔壁の第1面及び第2面に接着されている、ことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
本実施の形態に係る電気泳動表示装置は、図1に符号D1で示すように、第1基板1と、該第1基板1の表面部分を仕切るように配置された隔壁2と、該仕切られた部分を封止するように配置された封止層3と、該封止された部分に配置された絶縁性液体4及び複数の帯電泳動粒子5と、該絶縁性液体4に近接するように配置された第1電極6及び第2電極7と、を備えており、これらの電極6,7の間に電圧を印加して前記帯電泳動粒子5を前記第1電極6の側又は第2電極7の側に移動させることに基づき表示を行うようになっている。
【0011】
ここで、“第1基板1の表面部分”とは、第1基板1の表面に沿った空間(ある程度の厚みのある空間)を意味するものとする。第1基板1の面上に電極や絶縁層が形成されておらず絶縁性液体4が第1基板1に接触するように配置される構造の場合には“第1基板1の表面部分”は第1基板1に隣接した空間を意味するが、第1基板1の面上に何らかの層(電極や絶縁層等)が配置されている構造の場合には“第1基板1の表面部分”は該層に隣接した空間を意味するものとする。つまり、“第1基板1の表面部分”は 第1基板1に隣接されていることを限定するものではなく、隔壁2は、図2に示すように第1基板1の表面に直接形成されていても、図1に示すように何らかの層(電極や絶縁層等)7の表面に形成されていても良い。
【0012】
本実施の形態では、前記隔壁2における前記第1基板とは反対側の面(つまり、隔壁2における前記第1基板1に対向する側の面ではなくて、該第1基板1に対向しない側の面をいう。図1の符合2a参照)を第1面とし、前記隔壁2における前記絶縁性液体4に近接する側の面(図1の符号2b参照)を第2面とした場合に、前記封止層3が前記隔壁の第1面2a及び第2面2bに接着されている。
【0013】
この封止層3は、前記隔壁の第2面2bに接着された状態で前記第1基板1の近傍にまで配置すると良い。また、この封止層は、図2に符号13で示すように、前記隔壁の第2面2b及び前記第1基板1に沿うように配置すると良い。
【0014】
ところで、封止層3,13は、前記絶縁性液体4及び前記帯電泳動粒子5を封止するように配置される際には流動性に富む状態(後述するように、製造段階で、絶縁性液体中を隔壁2の第2面2bに沿って移動できる程度の流動性を有する状態)であり、その後に硬化状態とされるものでなければならない。以下、硬化前の流動性に富む状態の硬化性樹脂を“封止剤”とし、硬化後のものを“封止層”とする。
【0015】
そして、本実施の形態では、隔壁2に対しては、絶縁性液体4よりも封止剤の方を濡れ易く(つまり、封止剤を隔壁表面に付着させた場合の濡れ角は90度より小さく、絶縁性液体4を隔壁表面に付着させた場合の濡れ角は“封止剤の濡れ角”よりも大きくなるように)すると良い。その結果、製造段階では、封止剤は絶縁性液体4を押し退けながら隔壁2に沿って流動することとなる。なお、封止層は、硬化後において隔壁2と堅固に接着されるような材料にする必要がある。
【0016】
この場合、第1基板1の表面(該第1基板1の表面に何らかの層が形成されている場合にはその層の表面)に対して、絶縁性液体4よりも封止剤の方を濡れ易く(つまり、封止剤を該表面に付着させた場合の濡れ角は90度より小さく、絶縁性液体4を該表面に付着させた場合の濡れ角は“封止剤の濡れ角”よりも大きくなるように)すると良い。そのようにした場合には、封止剤は図2に例示するように(隔壁2に沿って配置されるだけでなく)第1基板1に沿うようにも配置されることとなり、絶縁性液体4等の封止をより確実に行うことができる。
【0017】
また、帯電泳動粒子5に対しては、逆に、封止剤よりも絶縁性液体4の方を濡れ易く(つまり、絶縁性液体4を帯電泳動粒子5の表面に付着させた場合の濡れ角は90度より小さく、封止剤を該表面に付着させた場合の濡れ角は“絶縁性液体の濡れ角”よりも大きくなるように)すると良い。そのようにした場合には、帯電泳動粒子5が封止剤中に閉じ込められることを抑制できる。
【0018】
さらに、前記封止剤と前記絶縁性液体4とは互いに混ざり合わないような材料を選択すると良い。そのようにした場合には、封止層は隔壁2の第2面2bに沿うように配置される。絶縁性液体と混ざらない封止剤としては−O−、−CH2−O−、−OHのうち少なくとも一つを構成要素に含んでいる化合物を挙げることができる。−CH2−CH2−O−が繰り返し結合しているポリエチレングリコールユニットを含む化合物でも構わない。
【0019】
ところで、封止層3,13に沿うように第2基板8を配置しても良いが、このような第2基板8を配置する場合には、封止剤が第2基板8に濡れ易いように材料選択する必要がある。或いは、酸素プラズマ等によるアッシング処理などを施すようにしても良い。
【0020】
なお、封止層3,13を絶縁性に富む材料にすると良い。図1の第2電極7や図2の第1電極6及び第2電極17は、絶縁性液体4と接触しておらず、絶縁性液体4との間には封止層3,13が配置されているが、封止層3,13に絶縁材料を用いた場合にはこれらの電極6,7,17から帯電泳動粒子5への電荷注入を防止でき、電荷注入に伴う表示品質の悪化を防止できる。また、電荷注入防止のために、封止層の他に絶縁層を形成しなくても良く、その分、製造工程が簡略化され、製造コストの低減等を図ることができる。
【0021】
上述した封止層3,13は、観察者側に配置する場合には透明でなければならない。
【0022】
本発明に係る表示装置は、帯電泳動粒子5の分布状態を表示状態に反映させるようになっている。図1のA画素では、帯電泳動粒子5は第2電極7の近傍の狭い領域に集積されているため、観察者側(図示上側)からは帯電泳動粒子5は視認されにくく、主として第1電極6が視認されることとなる。この第1電極6が白色なら画素Aは白色を表示することとなる。これに対して、図1のB画素では、帯電泳動粒子5は第1電極6に沿った広い領域に分散されているため、観察者側からは帯電泳動粒子5が視認されることとなる。この帯電泳動粒子5が黒色なら画素Bは黒色を表示することとなる。このように、前記帯電泳動粒子5を前記第1電極6の側又は第2電極7の側に移動させることに基づき各画素の表示色を制御し、電気泳動表示装置全体で種々の情報を表示するように構成されている。なお、その表示状態を変化させるためには、第1電極6及び第2電極7への電気信号印加により、帯電泳動粒子5の分布状態を変化させればよい。
【0023】
また、電気泳動表示装置によって白黒表示をするだけでなく、各画素にカラーフィルターを配置する等してカラー表示を行うようにしても良い。
【0024】
次に、本発明に係る電気泳動表示装置の製造方法について説明する。
【0025】
本発明に係る電気泳動表示装置の製造方法は、
・ 第1基板1の表面部分を仕切るように隔壁2を配置する工程(図3(a) 参照)と、
・ 該隔壁2にて仕切られた凹部に絶縁性液体4及び複数の帯電泳動粒子5を充填する工程(図3(a) 参照)と、
・ これらの絶縁性液体4や帯電泳動粒子5を封止するように、流動性に富む状態の封止剤Cを配置する工程(図3(c) 参照)と、
・ 該封止剤Cを前記隔壁2に沿って流動させた後(図3(d) 参照)、該封止剤Cを硬化させて前記封止層(図1の符号3参照)を形成する工程と、
・ 前記絶縁性液体4に近接するように第1電極6及び第2電極7を配置する工程と、
を備えている。但し、第1電極6及び第2電極7を配置する工程は、封止剤による封止を行う前に実施しても、封止を行った後に実施しても良い。
【0026】
図3(c) では、封止剤Cによる封止は、該封止剤Cを第2基板8に塗布した状態で行ったが、第2基板8を使用しなくても良い。例えば、封止剤Cによる封止を行うときだけ封止剤Cを型基板に塗布しておき、封止剤Cを硬化した後はその型基板を封止層から剥離しても良い。
【0027】
封止剤の硬化方法に関する制限はない。例えば、紫外線重合を用いる場合、前記−O−、−CH2−O−、−OH等の構造を含むアクリレート化合物あるいはメタクリレート化合物を利用することができる。2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート(例えば、新中村化学工業製のEA−5520)、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(例えば、日本油脂製のブレンマーPEシリーズ)等を利用することができる。封止剤は重合性モノマーや重合性オリゴマーであっても構わない。これらモノマーやオリゴマーが単官能性であっても多官能性であっても構わない。更に、モノマーとオリゴマーとの混合物あるいは単官能性化合物と多官能性化合物の混合物であっても構わない。
【0028】
以下、各構成部品について補足する。
【0029】
図1に示す電気泳動表示装置では、第1電極6及び第2電極7は同じ側(第1基板1に沿った側)に配置されている(すなわち、水平移動型である)が、これに限られるものではなく、図2に符号6,17で示すように異なる側に配置しても良い(すなわち、上下移動型としても良い)。これらの電極には、パターニング可能な導電性材料ならどのようなものを用いてもよい。例えば、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の金属あるいはカーボンや銀ペースト、あるいは有機導電膜などが使用できる。電気泳動表示装置を反射型とする場合、後方側基板(観察者側に配置されない方の基板)に沿って配置する方の電極(例えば、図1及び図2に符号6で示す第1電極)には光反射層を兼用させても良い。その場合の電極は、銀やアルミニウム等の光反射率の高い材料にて形成すると良い。このような電極を用いて白色表示を行うには、光が乱反射するように電極表面に凹凸を形成したり、電極表面に光散乱層を形成したりすると良い。一方、図1に示す第2電極7は、隔壁2と第1基板1との間に配置されているが、隔壁2の内部に配置しても、隔壁2と第2基板8との間に配置しても、隔壁2の側面(第2面2b)に配置しても良い。
【0030】
図1に示す隔壁2は、画素A,Bを1つずつ仕切るように配置されているが、これに限られるものではなく、
・ 例えば、図4に示すように、1つの画素(符号AやB参照)をさらに複数に仕切るように配置されていても、
・ 或いは、複数の画素を仕切るように配置されていても(つまり、隣接する隔壁の間に複数の画素が含まれていても)
良い。この隔壁により、帯電泳動粒子の移動を防止できる。隔壁材料には、基板と同一の材料を用いても良く、アクリルなどの感光性樹脂を用いても良い。隔壁形成にはどのような方法を用いてもよい。例えば、感光性樹脂層を塗布した後露光及びウエット現像を行う方法、又は別に作製した障壁を接着する方法、印刷法によって形成する方法等を用いることができる。
【0031】
帯電泳動粒子5への電荷注入を防止する等の目的で、必要に応じて第1電極または第2電極上に表面絶縁層を形成しても良い。
【0032】
各画素に含まれる電極数は第1電極と第2電極が一対以上あれば特に限定しない。また、第1電極と第2電極の形状についても特に限定しない。
【0033】
第1基板1や第2基板8には、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)やポリエーテルサルフォン(PES)等のプラスチックフィルムの他、ガラスや石英等を使用することができる。電気泳動表示装置を反射型とした場合、観察者側に配置する方の基板や部材には透明な材料を使用する必要あるが、他方の基板や部材にはポリイミド(PI)などの着色されているものを用いても良い。
【0034】
絶縁性液体4は、イソパラフィン、シリコーンオイル及びキシレン、トルエン等の非極性溶媒であって透明なものを使用すると良い。
【0035】
また、帯電泳動粒子5しては、着色されていて絶縁性液体中で正極性又は負極性の良好な帯電特性を示す材料を用いると良い。例えば、各種の無機顔料や有機顔料やカーボンブラック、或いは、それらを含有させた樹脂を使用すると良い。粒子の粒径は通常0.01μm〜50μm程度のものを使用できるが、好ましくは、0.1から10μm程度のものを用いる。
【0036】
なお、上述した絶縁性液体4や帯電泳動粒子5には、帯電泳動粒子の帯電を制御し安定化させるための荷電制御剤を添加しておくと良い。かかる荷電制御剤としては、モノアゾ染料の金属錯塩やサリチル酸や有機四級アンモニウム塩やニグロシン系化合物などを用いると良い。
【0037】
また、絶縁性液体4には、帯電泳動粒子5同士の凝集を防ぎ分散状態を維持するための分散剤を添加しておいてもよい。かかる分散剤としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム等の炭酸塩、その他無機塩、無機酸化物、あるいは有機高分子材料などを用いることができる。
【0038】
次に、本実施の形態の効果について説明する。
【0039】
本実施の形態によれば、封止層3が隔壁2の第1面2aだけでなく第2面2bにも接着されているので、接着面積が大きくなって接着性が良好となり、繰り返しの曲げ耐久性が向上される。したがって、帯電泳動粒子5の他の画素や領域への移動を抑制でき、表示品質の悪化を防止できる。このような効果は、
・ 隔壁2に対して、絶縁性液体4よりも封止剤Cの方が濡れ易いように材料を選択し、
・ 該封止剤Cを前記隔壁第2面2bに沿って流動させた後に硬化させる、
ことにより得ることができる。
【0040】
また、図2に示すように、封止層17を、隔壁第1面2a、隔壁第2面2b及び第1基板1に沿うように配置した場合には、絶縁性液体4等の封止をより確実に行うことができる。
【0041】
さらに、帯電泳動粒子5に対して、前記封止剤Cよりも前記絶縁性液体4の方が濡れ易くなるように設定した場合には、帯電泳動粒子5が封止剤中に閉じ込められることを抑制できる。
【0042】
また、前記封止層3,13,23を絶縁性に富む材料にした場合には、該封止層3,13,23にて覆われた電極6,7,17から帯電泳動粒子5への電荷注入を防止でき、電荷注入に伴う表示品質の悪化を防止できる。そして、電荷注入防止のために、封止層の他に絶縁層を形成しなくても良く、その分、製造工程が簡略化され、製造コストの低減等を図ることができる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例に沿って本発明を更に詳細に説明する。
【0044】
(実施例1)
本実施例では図1に示す構造の電気泳動表示装置を作製し駆動を行った。表示装置の画素数は200×200画素とし、一つの画素の大きさは100μm×100μmとした。各画素の周囲は隔壁2によって囲むようにし、隔壁2の幅を5μmとし、高さを18μmとした。第1電極6は、隔壁2に囲まれた画素の中央部に位置し、横幅5μm、高さ1μmとした。第2電極7は、画素と画素との間(隔壁2と第1基板1との間)に配置した。
【0045】
次に、本実施例に係る電気泳動表示装置の製造方法について説明する。
【0046】
第1基板1に、厚さ0.2mmのポリエチレンテレフタレート板を用い、その表面にはアルミニウムを成膜し、フォトリソグラフィー及びウェットエッチングによりパターニングして、光散乱層を兼用した第1電極6とした(図3(a) 参照)。この第1電極6の表面には、酸化チタンを含有するアクリル樹脂層を形成した(不図示)。さらに、チタンを成膜し、フォトリソグラフィー及びドライエッチングによりパターニングして第2電極7とした。形成した第2電極7上に暗黒色の樹脂膜(不図示)を成膜した。
【0047】
その樹脂膜の表面に隔壁2を形成した(図3(a) 参照)。隔壁2は光感光性エポキシ樹脂を塗布した後、露光及びウェット現像を行うことにより形成し、20μmの高さとした。そして、隔壁2にて区画される凹部には、絶縁性液体4及び帯電泳動粒子5を充填した。絶縁性液体4にはイソパラフィン(商品名:アイソパー、エクソン社製)を用い、帯電泳動粒子5には粒径1〜2μm程度のカーボンブラックを含有したポリスチレン−ポリメチルメタクリレート共重合体樹脂を使用した。イソパラフィンには、荷電制御剤としてコハク酸イミド(商品名:OLOA1200、シェブロン社製)を含有させた。
【0048】
次に、封止剤Cとしてのポリエチレングリコールメタクリレート(日本油脂製、製品名:PE200)を第2基板8に塗布した(図3(b) 参照)。第2基板8には厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートを用いた。そして、封止剤Cが隔壁上面(第1面)2aに接するように第2基板8を0.3MPaの圧力で押し付けた(同図(c)参照)。これにより、封止剤Cは隔壁側面(第2面)2bに沿って流動し(同図(d)参照)、第1基板1にまで到達した。
【0049】
この状態のものに、室温下で強度0.3mW/cm2の紫外線を2分間照射し、硬化処理を行った。これに不図示の電圧印加回路を接続して表示装置とした。
【0050】
駆動方法について説明する。第1電極6に印加する電圧をVd1、第2電極7に印加する電圧をVd2とする。駆動電圧としてVd1=+50V、Vd2=0V、もしくはVd1=−50V、Vd2=0V、電圧印加時間として100msecの条件で駆動したところ、帯電泳動粒子6は移動元の電極上に残ることなく移動先の電極上に移動して、良好なコントラストが得られた。
【0051】
表示装置を繰り返し湾曲させた後、前述と同様の駆動を行ったが、帯電泳動粒子5の他の画素への移動は確認されず、封止層3は帯電泳動粒子5を確実に封止していることが分かった。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、前記封止層と前記隔壁との接着面積が大きくなって接着性が良好となり、繰り返しの曲げ耐久性が向上される。したがって、帯電泳動粒子の他の画素や領域への移動を抑制でき、表示品質の悪化を防止できる。
【0053】
また、前記封止層が、前記隔壁の第2面及び前記第1基板に沿うように配置された場合には、絶縁性液体等の封止をより確実に行うことができる。
【0054】
さらに、前記帯電泳動粒子に対して、前記封止剤よりも前記絶縁性液体の方が濡れ易くなるように設定した場合には、帯電泳動粒子が封止剤中に閉じ込められることを抑制できる。
【0055】
また、前記封止層を絶縁性に富む材料にした場合には、該封止層にて覆われた電極から帯電泳動粒子への電荷注入を防止でき、電荷注入に伴う表示品質の悪化を防止できる。そして、電荷注入防止のために、封止層の他に絶縁層を形成しなくても良く、その分、製造工程が簡略化され、製造コストの低減等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気泳動表示装置の構造の一例を示す断面図。
【図2】本発明に係る電気泳動表示装置の構造の他の例を示す断面図。
【図3】本発明に係る電気泳動表示装置の製造方法の一例を示す断面図。
【図4】本発明に係る電気泳動表示装置の構造の他の例を示す断面図。
【図5】従来の電気泳動表示装置の構造の一例を示す断面図。
【符号の説明】
1 第1基板
2 隔壁
2a 隔壁上面(第1面)
2b 隔壁側面(第2面)
3 封止層
4 絶縁性液体
5 帯電泳動粒子
8 第2基板
13 封止層
23 封止層
C 封止剤
D1 電気泳動表示装置
D2 電気泳動表示装置
D3 電気泳動表示装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、電圧を印加して前記帯電泳動粒子を移動させることに基づき表示を行う電気泳動表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電圧を印加して前記帯電泳動粒子を移動させることに基づき表示を行う電気泳動表示装置は、表示コントラストが大きい等の優れた特徴を有しているため、近年、開発が盛んに行われている。
【0003】
この電気泳動表示装置は、図5に符号D4で例示するように、所定間隙を開けた状態に配置された一対の基板30a,30bを備えており、それらの基板30a,30bの間隙には、画素A,Bを仕切るように隔壁2が配置され、各画素A,Bには絶縁性液体4や帯電泳動粒子5が充填されている。図中の符号6,7は電極を示し、符号33は、上側基板30aと隔壁上面2aとを接着するための封止層を示す。
【0004】
この封止層33を形成する方法としては種々のものが提案されている。例えば、下側基板30bに隔壁2を形成した後に、該隔壁2にて区画される凹部に絶縁性液体4や帯電泳動粒子5を充填するが、その絶縁性液体4に封止剤を混入させておく方法がある(例えば、特許文献1参照)。この場合、絶縁性液体4に混ざらず比重の小さいものを封止剤として選択しておけば、封止剤による層が絶縁性液体4の上側に分離形成されることとなり、その封止剤を硬化させれば、図5に示す形状の封止層33を得ることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−34672号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5に示すような封止層33の場合、封止層33と隔壁2との接着性が不十分であるため、繰り返しの曲げ耐久性が必ずしも十分でなかった。そして、隔壁2と封止層33との間に隙間が生じてしまうと、帯電泳動粒子5が他の画素へ移動して表示品質が悪くなってしまうおそれがあるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、帯電泳動粒子の他の画素への移動を防止する電気泳動表示装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記事情を考慮してなされたものであり、第1基板と、該第1基板の表面部分を仕切るように配置された隔壁と、該仕切られた部分を封止するように配置された封止層と、該封止された部分に配置された絶縁性液体及び複数の帯電泳動粒子と、該絶縁性液体に近接するように配置された第1電極及び第2電極と、を備え、これらの電極の間に電圧を印加して前記帯電泳動粒子を前記第1電極の側又は第2電極の側に移動させることに基づき表示を行う電気泳動表示装置において、
前記隔壁における前記第1基板とは反対側の面を第1面とし、前記隔壁における前記絶縁性液体に近接する側の面を第2面とした場合に、前記封止層が前記隔壁の第1面及び第2面に接着されている、ことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
本実施の形態に係る電気泳動表示装置は、図1に符号D1で示すように、第1基板1と、該第1基板1の表面部分を仕切るように配置された隔壁2と、該仕切られた部分を封止するように配置された封止層3と、該封止された部分に配置された絶縁性液体4及び複数の帯電泳動粒子5と、該絶縁性液体4に近接するように配置された第1電極6及び第2電極7と、を備えており、これらの電極6,7の間に電圧を印加して前記帯電泳動粒子5を前記第1電極6の側又は第2電極7の側に移動させることに基づき表示を行うようになっている。
【0011】
ここで、“第1基板1の表面部分”とは、第1基板1の表面に沿った空間(ある程度の厚みのある空間)を意味するものとする。第1基板1の面上に電極や絶縁層が形成されておらず絶縁性液体4が第1基板1に接触するように配置される構造の場合には“第1基板1の表面部分”は第1基板1に隣接した空間を意味するが、第1基板1の面上に何らかの層(電極や絶縁層等)が配置されている構造の場合には“第1基板1の表面部分”は該層に隣接した空間を意味するものとする。つまり、“第1基板1の表面部分”は 第1基板1に隣接されていることを限定するものではなく、隔壁2は、図2に示すように第1基板1の表面に直接形成されていても、図1に示すように何らかの層(電極や絶縁層等)7の表面に形成されていても良い。
【0012】
本実施の形態では、前記隔壁2における前記第1基板とは反対側の面(つまり、隔壁2における前記第1基板1に対向する側の面ではなくて、該第1基板1に対向しない側の面をいう。図1の符合2a参照)を第1面とし、前記隔壁2における前記絶縁性液体4に近接する側の面(図1の符号2b参照)を第2面とした場合に、前記封止層3が前記隔壁の第1面2a及び第2面2bに接着されている。
【0013】
この封止層3は、前記隔壁の第2面2bに接着された状態で前記第1基板1の近傍にまで配置すると良い。また、この封止層は、図2に符号13で示すように、前記隔壁の第2面2b及び前記第1基板1に沿うように配置すると良い。
【0014】
ところで、封止層3,13は、前記絶縁性液体4及び前記帯電泳動粒子5を封止するように配置される際には流動性に富む状態(後述するように、製造段階で、絶縁性液体中を隔壁2の第2面2bに沿って移動できる程度の流動性を有する状態)であり、その後に硬化状態とされるものでなければならない。以下、硬化前の流動性に富む状態の硬化性樹脂を“封止剤”とし、硬化後のものを“封止層”とする。
【0015】
そして、本実施の形態では、隔壁2に対しては、絶縁性液体4よりも封止剤の方を濡れ易く(つまり、封止剤を隔壁表面に付着させた場合の濡れ角は90度より小さく、絶縁性液体4を隔壁表面に付着させた場合の濡れ角は“封止剤の濡れ角”よりも大きくなるように)すると良い。その結果、製造段階では、封止剤は絶縁性液体4を押し退けながら隔壁2に沿って流動することとなる。なお、封止層は、硬化後において隔壁2と堅固に接着されるような材料にする必要がある。
【0016】
この場合、第1基板1の表面(該第1基板1の表面に何らかの層が形成されている場合にはその層の表面)に対して、絶縁性液体4よりも封止剤の方を濡れ易く(つまり、封止剤を該表面に付着させた場合の濡れ角は90度より小さく、絶縁性液体4を該表面に付着させた場合の濡れ角は“封止剤の濡れ角”よりも大きくなるように)すると良い。そのようにした場合には、封止剤は図2に例示するように(隔壁2に沿って配置されるだけでなく)第1基板1に沿うようにも配置されることとなり、絶縁性液体4等の封止をより確実に行うことができる。
【0017】
また、帯電泳動粒子5に対しては、逆に、封止剤よりも絶縁性液体4の方を濡れ易く(つまり、絶縁性液体4を帯電泳動粒子5の表面に付着させた場合の濡れ角は90度より小さく、封止剤を該表面に付着させた場合の濡れ角は“絶縁性液体の濡れ角”よりも大きくなるように)すると良い。そのようにした場合には、帯電泳動粒子5が封止剤中に閉じ込められることを抑制できる。
【0018】
さらに、前記封止剤と前記絶縁性液体4とは互いに混ざり合わないような材料を選択すると良い。そのようにした場合には、封止層は隔壁2の第2面2bに沿うように配置される。絶縁性液体と混ざらない封止剤としては−O−、−CH2−O−、−OHのうち少なくとも一つを構成要素に含んでいる化合物を挙げることができる。−CH2−CH2−O−が繰り返し結合しているポリエチレングリコールユニットを含む化合物でも構わない。
【0019】
ところで、封止層3,13に沿うように第2基板8を配置しても良いが、このような第2基板8を配置する場合には、封止剤が第2基板8に濡れ易いように材料選択する必要がある。或いは、酸素プラズマ等によるアッシング処理などを施すようにしても良い。
【0020】
なお、封止層3,13を絶縁性に富む材料にすると良い。図1の第2電極7や図2の第1電極6及び第2電極17は、絶縁性液体4と接触しておらず、絶縁性液体4との間には封止層3,13が配置されているが、封止層3,13に絶縁材料を用いた場合にはこれらの電極6,7,17から帯電泳動粒子5への電荷注入を防止でき、電荷注入に伴う表示品質の悪化を防止できる。また、電荷注入防止のために、封止層の他に絶縁層を形成しなくても良く、その分、製造工程が簡略化され、製造コストの低減等を図ることができる。
【0021】
上述した封止層3,13は、観察者側に配置する場合には透明でなければならない。
【0022】
本発明に係る表示装置は、帯電泳動粒子5の分布状態を表示状態に反映させるようになっている。図1のA画素では、帯電泳動粒子5は第2電極7の近傍の狭い領域に集積されているため、観察者側(図示上側)からは帯電泳動粒子5は視認されにくく、主として第1電極6が視認されることとなる。この第1電極6が白色なら画素Aは白色を表示することとなる。これに対して、図1のB画素では、帯電泳動粒子5は第1電極6に沿った広い領域に分散されているため、観察者側からは帯電泳動粒子5が視認されることとなる。この帯電泳動粒子5が黒色なら画素Bは黒色を表示することとなる。このように、前記帯電泳動粒子5を前記第1電極6の側又は第2電極7の側に移動させることに基づき各画素の表示色を制御し、電気泳動表示装置全体で種々の情報を表示するように構成されている。なお、その表示状態を変化させるためには、第1電極6及び第2電極7への電気信号印加により、帯電泳動粒子5の分布状態を変化させればよい。
【0023】
また、電気泳動表示装置によって白黒表示をするだけでなく、各画素にカラーフィルターを配置する等してカラー表示を行うようにしても良い。
【0024】
次に、本発明に係る電気泳動表示装置の製造方法について説明する。
【0025】
本発明に係る電気泳動表示装置の製造方法は、
・ 第1基板1の表面部分を仕切るように隔壁2を配置する工程(図3(a) 参照)と、
・ 該隔壁2にて仕切られた凹部に絶縁性液体4及び複数の帯電泳動粒子5を充填する工程(図3(a) 参照)と、
・ これらの絶縁性液体4や帯電泳動粒子5を封止するように、流動性に富む状態の封止剤Cを配置する工程(図3(c) 参照)と、
・ 該封止剤Cを前記隔壁2に沿って流動させた後(図3(d) 参照)、該封止剤Cを硬化させて前記封止層(図1の符号3参照)を形成する工程と、
・ 前記絶縁性液体4に近接するように第1電極6及び第2電極7を配置する工程と、
を備えている。但し、第1電極6及び第2電極7を配置する工程は、封止剤による封止を行う前に実施しても、封止を行った後に実施しても良い。
【0026】
図3(c) では、封止剤Cによる封止は、該封止剤Cを第2基板8に塗布した状態で行ったが、第2基板8を使用しなくても良い。例えば、封止剤Cによる封止を行うときだけ封止剤Cを型基板に塗布しておき、封止剤Cを硬化した後はその型基板を封止層から剥離しても良い。
【0027】
封止剤の硬化方法に関する制限はない。例えば、紫外線重合を用いる場合、前記−O−、−CH2−O−、−OH等の構造を含むアクリレート化合物あるいはメタクリレート化合物を利用することができる。2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート(例えば、新中村化学工業製のEA−5520)、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(例えば、日本油脂製のブレンマーPEシリーズ)等を利用することができる。封止剤は重合性モノマーや重合性オリゴマーであっても構わない。これらモノマーやオリゴマーが単官能性であっても多官能性であっても構わない。更に、モノマーとオリゴマーとの混合物あるいは単官能性化合物と多官能性化合物の混合物であっても構わない。
【0028】
以下、各構成部品について補足する。
【0029】
図1に示す電気泳動表示装置では、第1電極6及び第2電極7は同じ側(第1基板1に沿った側)に配置されている(すなわち、水平移動型である)が、これに限られるものではなく、図2に符号6,17で示すように異なる側に配置しても良い(すなわち、上下移動型としても良い)。これらの電極には、パターニング可能な導電性材料ならどのようなものを用いてもよい。例えば、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の金属あるいはカーボンや銀ペースト、あるいは有機導電膜などが使用できる。電気泳動表示装置を反射型とする場合、後方側基板(観察者側に配置されない方の基板)に沿って配置する方の電極(例えば、図1及び図2に符号6で示す第1電極)には光反射層を兼用させても良い。その場合の電極は、銀やアルミニウム等の光反射率の高い材料にて形成すると良い。このような電極を用いて白色表示を行うには、光が乱反射するように電極表面に凹凸を形成したり、電極表面に光散乱層を形成したりすると良い。一方、図1に示す第2電極7は、隔壁2と第1基板1との間に配置されているが、隔壁2の内部に配置しても、隔壁2と第2基板8との間に配置しても、隔壁2の側面(第2面2b)に配置しても良い。
【0030】
図1に示す隔壁2は、画素A,Bを1つずつ仕切るように配置されているが、これに限られるものではなく、
・ 例えば、図4に示すように、1つの画素(符号AやB参照)をさらに複数に仕切るように配置されていても、
・ 或いは、複数の画素を仕切るように配置されていても(つまり、隣接する隔壁の間に複数の画素が含まれていても)
良い。この隔壁により、帯電泳動粒子の移動を防止できる。隔壁材料には、基板と同一の材料を用いても良く、アクリルなどの感光性樹脂を用いても良い。隔壁形成にはどのような方法を用いてもよい。例えば、感光性樹脂層を塗布した後露光及びウエット現像を行う方法、又は別に作製した障壁を接着する方法、印刷法によって形成する方法等を用いることができる。
【0031】
帯電泳動粒子5への電荷注入を防止する等の目的で、必要に応じて第1電極または第2電極上に表面絶縁層を形成しても良い。
【0032】
各画素に含まれる電極数は第1電極と第2電極が一対以上あれば特に限定しない。また、第1電極と第2電極の形状についても特に限定しない。
【0033】
第1基板1や第2基板8には、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)やポリエーテルサルフォン(PES)等のプラスチックフィルムの他、ガラスや石英等を使用することができる。電気泳動表示装置を反射型とした場合、観察者側に配置する方の基板や部材には透明な材料を使用する必要あるが、他方の基板や部材にはポリイミド(PI)などの着色されているものを用いても良い。
【0034】
絶縁性液体4は、イソパラフィン、シリコーンオイル及びキシレン、トルエン等の非極性溶媒であって透明なものを使用すると良い。
【0035】
また、帯電泳動粒子5しては、着色されていて絶縁性液体中で正極性又は負極性の良好な帯電特性を示す材料を用いると良い。例えば、各種の無機顔料や有機顔料やカーボンブラック、或いは、それらを含有させた樹脂を使用すると良い。粒子の粒径は通常0.01μm〜50μm程度のものを使用できるが、好ましくは、0.1から10μm程度のものを用いる。
【0036】
なお、上述した絶縁性液体4や帯電泳動粒子5には、帯電泳動粒子の帯電を制御し安定化させるための荷電制御剤を添加しておくと良い。かかる荷電制御剤としては、モノアゾ染料の金属錯塩やサリチル酸や有機四級アンモニウム塩やニグロシン系化合物などを用いると良い。
【0037】
また、絶縁性液体4には、帯電泳動粒子5同士の凝集を防ぎ分散状態を維持するための分散剤を添加しておいてもよい。かかる分散剤としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム等の炭酸塩、その他無機塩、無機酸化物、あるいは有機高分子材料などを用いることができる。
【0038】
次に、本実施の形態の効果について説明する。
【0039】
本実施の形態によれば、封止層3が隔壁2の第1面2aだけでなく第2面2bにも接着されているので、接着面積が大きくなって接着性が良好となり、繰り返しの曲げ耐久性が向上される。したがって、帯電泳動粒子5の他の画素や領域への移動を抑制でき、表示品質の悪化を防止できる。このような効果は、
・ 隔壁2に対して、絶縁性液体4よりも封止剤Cの方が濡れ易いように材料を選択し、
・ 該封止剤Cを前記隔壁第2面2bに沿って流動させた後に硬化させる、
ことにより得ることができる。
【0040】
また、図2に示すように、封止層17を、隔壁第1面2a、隔壁第2面2b及び第1基板1に沿うように配置した場合には、絶縁性液体4等の封止をより確実に行うことができる。
【0041】
さらに、帯電泳動粒子5に対して、前記封止剤Cよりも前記絶縁性液体4の方が濡れ易くなるように設定した場合には、帯電泳動粒子5が封止剤中に閉じ込められることを抑制できる。
【0042】
また、前記封止層3,13,23を絶縁性に富む材料にした場合には、該封止層3,13,23にて覆われた電極6,7,17から帯電泳動粒子5への電荷注入を防止でき、電荷注入に伴う表示品質の悪化を防止できる。そして、電荷注入防止のために、封止層の他に絶縁層を形成しなくても良く、その分、製造工程が簡略化され、製造コストの低減等を図ることができる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例に沿って本発明を更に詳細に説明する。
【0044】
(実施例1)
本実施例では図1に示す構造の電気泳動表示装置を作製し駆動を行った。表示装置の画素数は200×200画素とし、一つの画素の大きさは100μm×100μmとした。各画素の周囲は隔壁2によって囲むようにし、隔壁2の幅を5μmとし、高さを18μmとした。第1電極6は、隔壁2に囲まれた画素の中央部に位置し、横幅5μm、高さ1μmとした。第2電極7は、画素と画素との間(隔壁2と第1基板1との間)に配置した。
【0045】
次に、本実施例に係る電気泳動表示装置の製造方法について説明する。
【0046】
第1基板1に、厚さ0.2mmのポリエチレンテレフタレート板を用い、その表面にはアルミニウムを成膜し、フォトリソグラフィー及びウェットエッチングによりパターニングして、光散乱層を兼用した第1電極6とした(図3(a) 参照)。この第1電極6の表面には、酸化チタンを含有するアクリル樹脂層を形成した(不図示)。さらに、チタンを成膜し、フォトリソグラフィー及びドライエッチングによりパターニングして第2電極7とした。形成した第2電極7上に暗黒色の樹脂膜(不図示)を成膜した。
【0047】
その樹脂膜の表面に隔壁2を形成した(図3(a) 参照)。隔壁2は光感光性エポキシ樹脂を塗布した後、露光及びウェット現像を行うことにより形成し、20μmの高さとした。そして、隔壁2にて区画される凹部には、絶縁性液体4及び帯電泳動粒子5を充填した。絶縁性液体4にはイソパラフィン(商品名:アイソパー、エクソン社製)を用い、帯電泳動粒子5には粒径1〜2μm程度のカーボンブラックを含有したポリスチレン−ポリメチルメタクリレート共重合体樹脂を使用した。イソパラフィンには、荷電制御剤としてコハク酸イミド(商品名:OLOA1200、シェブロン社製)を含有させた。
【0048】
次に、封止剤Cとしてのポリエチレングリコールメタクリレート(日本油脂製、製品名:PE200)を第2基板8に塗布した(図3(b) 参照)。第2基板8には厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートを用いた。そして、封止剤Cが隔壁上面(第1面)2aに接するように第2基板8を0.3MPaの圧力で押し付けた(同図(c)参照)。これにより、封止剤Cは隔壁側面(第2面)2bに沿って流動し(同図(d)参照)、第1基板1にまで到達した。
【0049】
この状態のものに、室温下で強度0.3mW/cm2の紫外線を2分間照射し、硬化処理を行った。これに不図示の電圧印加回路を接続して表示装置とした。
【0050】
駆動方法について説明する。第1電極6に印加する電圧をVd1、第2電極7に印加する電圧をVd2とする。駆動電圧としてVd1=+50V、Vd2=0V、もしくはVd1=−50V、Vd2=0V、電圧印加時間として100msecの条件で駆動したところ、帯電泳動粒子6は移動元の電極上に残ることなく移動先の電極上に移動して、良好なコントラストが得られた。
【0051】
表示装置を繰り返し湾曲させた後、前述と同様の駆動を行ったが、帯電泳動粒子5の他の画素への移動は確認されず、封止層3は帯電泳動粒子5を確実に封止していることが分かった。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、前記封止層と前記隔壁との接着面積が大きくなって接着性が良好となり、繰り返しの曲げ耐久性が向上される。したがって、帯電泳動粒子の他の画素や領域への移動を抑制でき、表示品質の悪化を防止できる。
【0053】
また、前記封止層が、前記隔壁の第2面及び前記第1基板に沿うように配置された場合には、絶縁性液体等の封止をより確実に行うことができる。
【0054】
さらに、前記帯電泳動粒子に対して、前記封止剤よりも前記絶縁性液体の方が濡れ易くなるように設定した場合には、帯電泳動粒子が封止剤中に閉じ込められることを抑制できる。
【0055】
また、前記封止層を絶縁性に富む材料にした場合には、該封止層にて覆われた電極から帯電泳動粒子への電荷注入を防止でき、電荷注入に伴う表示品質の悪化を防止できる。そして、電荷注入防止のために、封止層の他に絶縁層を形成しなくても良く、その分、製造工程が簡略化され、製造コストの低減等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気泳動表示装置の構造の一例を示す断面図。
【図2】本発明に係る電気泳動表示装置の構造の他の例を示す断面図。
【図3】本発明に係る電気泳動表示装置の製造方法の一例を示す断面図。
【図4】本発明に係る電気泳動表示装置の構造の他の例を示す断面図。
【図5】従来の電気泳動表示装置の構造の一例を示す断面図。
【符号の説明】
1 第1基板
2 隔壁
2a 隔壁上面(第1面)
2b 隔壁側面(第2面)
3 封止層
4 絶縁性液体
5 帯電泳動粒子
8 第2基板
13 封止層
23 封止層
C 封止剤
D1 電気泳動表示装置
D2 電気泳動表示装置
D3 電気泳動表示装置
Claims (1)
- 第1基板と、該第1基板の表面部分を仕切るように配置された隔壁と、該仕切られた部分を封止するように配置された封止層と、該封止された部分に配置された絶縁性液体及び複数の帯電泳動粒子と、該絶縁性液体に近接するように配置された第1電極及び第2電極と、を備え、これらの電極の間に電圧を印加して前記帯電泳動粒子を前記第1電極の側又は第2電極の側に移動させることに基づき表示を行う電気泳動表示装置において、
前記隔壁における前記第1基板とは反対側の面を第1面とし、前記隔壁における前記絶縁性液体に近接する側の面を第2面とした場合に、前記封止層が前記隔壁の第1面及び第2面に接着されている、
ことを特徴とする電気泳動表示装置。
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Cited By (1)
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WO2005015892A3 (ja) * | 2003-08-07 | 2005-03-31 | Bridgestone Corp | 画像表示装置、画像表示用パネルの製造方法及び画像表示用パネル |
-
2003
- 2003-05-21 JP JP2003143999A patent/JP2004347810A/ja active Pending
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