JP2004347472A - 回転方向検出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、回転体21と共に信号入出力基板27に対して端子導通用基板26を回転させて、入力端子31に導通パターンを介して第1乃至第3の出力端子32、34、36を導通させ、入力端子31に対する第1乃至第3の出力端子32、34、36の導通の順番に従って回転体21の回転方向を検出することにより、第1乃至第3の出力端子32、34、36から出力される1種類の信号だけを用いて回転方向検出時の処理負荷を低減でき、回転体21の回転方向を容易に検出できる。また回転体103と共にモータ109の固定子に対して回転子を回転させて発生させた電圧の符号に従って回転体103の回転方向を検出することにより、回転体103の回転方向に応じた1種類の電圧だけを用いて回転方向検出時の処理負荷を低減でき、回転体103の回転方向を容易に検出できる。
【選択図】 図10
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は回転方向検出装置に関し、例えば回転操作可能な円筒状の回転体を有する指示入力部(以下、これをジョグダイヤルと呼ぶ)が設けられた携帯電話機に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の携帯電話機は、表示部に例えばメール文章画面と、当該メール文章画面上で変更対象の文字等を指示する指示子(以下、これをカーソルと呼ぶ)とを表示した状態でジョグダイヤルの回転体がその中心軸を中心にして一方向及び他方向に回転操作されると、当該回転体の回転方向及び回転角度に応じてメール文章画面上でカーソルを移動させて変更対象の文字等を指示させている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−342000公報(第2頁、第4頁、図6)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところでかかる構成の携帯電話機は、ジョグダイヤルの回転体の一端に、当該回転体と共にその中心軸を中心にして一方向及び他方向に回転する例えば12歯構成のドラムと、当該ドラムと対向する所定位置に固定された磁気ベッドとを2組有する磁気式のロータリエンコーダが設けられ、回転体が回転操作されると、2個の磁気ヘッドにより、それぞれドラムに対して回転に応じて変位する対向位置の磁界の変化を検出して方形波状の磁界検出信号を生成している。
【0005】
この場合、携帯電話機は、ジョグダイヤルの回転体が一方向に回転したときには2個の磁気ヘッドによって得られる2種類の磁界検出信号のうち一方の磁界検出信号の位相が他方の磁界検出信号の位相よりもわずかに進み、当該回転体が他方向に回転したときには他方の磁界検出信号の位相が一方の磁界検出信号の位相よりもわずかに進むように2個の磁気ヘッドの配置位置が選定されている。
【0006】
これにより携帯電話機は、ジョグダイヤルの回転体が回転操作されると、2個の磁気ヘッドから得られる2種類の磁界検出信号の位相差に基づいて回転体の回転方向を検出すると共に、少なくとも一方の磁界検出信号における磁界の変化の回数に基づいて当該回転体の回転角度を検出している。
【0007】
ところがかかる携帯電話機は、2個の磁気ヘッドによって得られる2種類の磁界検出信号に基づいて回転体の回転方向を検出することにより、回転体の回転方向検出時の処理が煩雑であるという問題があった。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、回転体の回転方向を容易に検出し得る回転方向検出装置を提案しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、中心軸を中心にして一方向及び他方向に回転可能な回転体と、端子形成面に1個の入力端子と、複数の出力端子とが互いに絶縁された状態で形成された信号入出力基板と、信号入出力基板の端子形成面と対向する対向面に、当該対向面が回転体の回転と共に端子形成面に対して相対的に回転した際に、入力端子に対して複数の出力端子を回転体の回転方向に応じた、異なる順番で導通させる所定の導通パターンが形成された端子導通用基板と、信号入出力基板の入力端子に信号を供給する信号供給手段と、回転体が回転したとき、信号入出力基板の入力端子と端子導通用基板の導通パターンを介して導通した出力端子から出力される信号に基づいて、入力端子に対する複数の出力端子の導通の順番を検出する導通順番検出手段と、導通順番検出手段によって検出された信号入出力基板の入力端子に対する複数の出力端子の導通した順番に従って回転体の回転方向を検出する回転方向検出手段とを設けるようにした。
【0010】
従って、回転体が回転したとき、信号入出力基板の複数の出力端子から順番に出力される1種類の信号だけを用いて、入力端子に対する複数の出力端子の導通の順番を検出する簡易な処理で回転体の回転方向を適確に検出して回転方向検出時の処理負荷を低減することができる。
【0011】
また本発明においては、中心軸を中心にして一方向及び他方向に回転可能な回転体と、回転体が回転したとき、当該回転体と共に固定子に対して回転子が回転して固定子と回転子との間の磁界が変化することにより回転体の回転方向に応じた、異なる符号の電圧を発生するモータと、回転体が回転したとき、モータの発生した電圧の符号に従って回転体の回転方向を検出する回転方向検出手段とを設けるようにした。
【0012】
従って、回転体が回転したときに、当該回転体の回転方向に応じて符号の異なる1種類の電圧だけを用いて、当該電圧の符号を検出する簡易な処理で回転体の回転方向を適確に検出して回転方向検出時の処理負荷を低減することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0014】
(1)第1の実施の形態
図1において、1は全体として本発明を適用した第1の実施の形態による携帯電話機を示し、表示部2と本体部3とがヒンジ部4を介して折り畳み可能に形成されている。
【0015】
この場合、表示部2の上端左側には、送受信用のアンテナ10が引き出し及び収納可能な状態に設けられ、当該アンテナ10を介して基地局(図示せず)との間で電波を送受信し得るようになされている。
【0016】
また表示部2の上端中央部には、ほぼ180度の角度範囲で回動自在なカメラ部11が設けられており、当該カメラ部11の正面に設けられたCCD(Charge Coupled Device )カメラ12によって表示部2の正面側及び背面側の所望の撮像対象を撮像し得ると共に、カメラ部11の背面中央部に設けられたスピーカ(図示せず)が表示部2の正面側に位置したときに通常の音声通話状態に切り換わって通話時の相手の音声を出力し得るようになされている。
【0017】
さらに表示部2の正面には液晶ディスプレイ13が設けられ、当該液晶ディスプレイ13に電波の受信状態、電池残量、電話帳として登録されている相手先の名前や電話番号及び発信履歴等の他、電子メールの内容、簡易ホームページ、CCDカメラ12で被写体を撮像して得られた画像等を表示し得るようになされている。
【0018】
一方、本体部3の表面中央部には、「0」〜「9」の数字キー、発呼キー、リダイヤルキー、終話及び電源キー、クリアキー及び電子メールキー等の操作キー16が設けられ、当該操作キー16を介して各種指示を入力し得るようになされている。
【0019】
また本体部3の表面には、操作キー16の下側にマイクロフォン17が設けられ、当該マイクロフォン17によって通話時のユーザの音声を集音するようになされている。
【0020】
さらに本体部3の左側面上部には、抜差可能なメモリスティック(ソニー株式会社・登録商標)18を挿着するためのメモリスティックスロット19が設けられ、操作キー16の押下に応じてメモリスティック18に通話中の相手の音声を記録し、又はユーザの操作に応じて電子メール及び簡易ホームページや、CCDカメラ12を介して被写体を撮像することにより得られた画像等を記録し得るようになされている。
【0021】
因みに本体部3の背面側には、バッテリパック(図示せず)が挿着され、終話及び電源キーが押下されてオン状態になると、当該バッテリパックから各回路部に対して電力を供給して動作可能な状態に起動する。
【0022】
かかる構成に加えてこの携帯電話機1の場合、本体部3の表面上側には、ジョグダイヤル20の回転操作及び押圧操作可能な円筒状の回転体21が当該表面から僅かに突出した状態で設けられている。
【0023】
そして本体部3は、回転体21に対するその中心軸を中心にした一方向(すなわち、本体部3の表面で指を操作キー16側から表示部2側に動かして回転させる方向)及び他方向(すなわち、本体部3の表面で指を表示部2側から操作キー16側に動かして回転させる方向)への回転操作に応じて、液晶ディスプレイ13に表示している電話帳リストや電子メールのスクロール動作、簡易ホームページの捲り動作及び画像の送り動作等の種々の動作を実行し得るようになされている。
【0024】
また本体部3は、例えば回転体21の回動操作に応じて、液晶ディスプレイ13に表示している電話帳リストの複数の電話番号の中から所望の電話番号が選択され、引き続き回転体21が本体部3の内部に押し込まれる方向(以下、これを押込方向と呼ぶ)に押圧操作されると、選択された電話番号を確定して当該電話番号に対して自動的に発呼処理を行なうようになされている。
【0025】
実際上、図2に示すように、ジョグダイヤル20は、本体部3の内部に固定されたコ字状のベース部材22を有し、当該ベース部材22の一方及び他方の壁部22A及び22B間に、一端保持部23及び他端保持部24からなる回転体保持部材25が配置されている。
【0026】
一端保持部23は、回転体保持板23Aの一面をベース部材22の一方の壁部22Aと対向させて当該回転体保持板23Aの他面を回転体21の一端と対向させると共に、回転体保持板23Aの一面に設けられた突起部23Bが、ベース部材22の一方の壁部22Aの下側後隅に穿設された、押込方向と平行な長孔22AXに挿入されている。
【0027】
また他端保持部24は、回転体保持板24Aの一面をベース部材22の他方の壁部22Bと対向させて当該回転体保持板24の他面を回転体21の他端と対向させると共に、回転体保持板24Aの一面に設けられた突起部(図示せず)がベース部材22の他方の壁部22Bの下側後隅に穿設された、押込方向と平行な長孔22BXに挿入されている。
【0028】
さらに他端保持部24は、回転体保持板24Aに設けられた、ベース部材22の底板22Cと平行な2本の連結アーム24B及び24Cの一端の突起部がそれぞれ一端保持部23の回転体保持板23Aに穿設された孔部(図示せず)に嵌合されることにより一端保持部23と連結され、前側の一方の連結アーム24Bの中央部がベース部材22の底板22C縁部に設けられた略L字状の折返部22Dに係止されている。
【0029】
一方、回転体21は、一端及び他端にそれぞれ凹部21Aが形成され、当該一端の凹部21Aの底面に円盤状の端子導通用基板26が固設されると共に、他端の凹部の底面中央に中心軸に沿って例えばレーストラック状の孔部(図示せず)が穿設されている。
【0030】
そして一端保持部23は、回転体保持板23Aの他面に設けられた略円柱状の一端挿入突起23Cの一面に円盤状の信号入出力基板27が固設され、当該一端挿入突起23Cが回転体21の一端の凹部21Aに挿入されることにより信号入出力基板27の端子形成面を端子導通用基板26の対向面と対向させている。
【0031】
また他端保持部24は、回転体保持板24Aの他面に設けられた略円柱状の他端挿入突起24Dの他面中央部に断面レーストラック状の回転軸28を一方向及び他方向に回転可能に枢支し、当該他端挿入突起24Dが回転体21の他端の凹部に挿入されることにより回転軸28を回転体21の孔部に嵌合させている。
【0032】
これにより回転体保持部材25は、一端保持部23及び他端保持部24の回転体保持板23A及び24A間に回転体21を、回転軸28を中心にして一方向及び他方向に回転可能に保持し、当該回転体21が一方向及び他方向に回転操作された際に信号入出力基板27の端子形成面を端子導通用基板26の対向面に摺接させている。
【0033】
因みにジョグダイヤル20は、回転体21が一方向に回転操作された場合、当該回転体21の回転操作に応じて回転体保持部材25に生じる一方向への回転力を、ベース部材22の折返部22Dに他端保持部24の連結アーム24Bを突き当てて規制することにより、当該回転体21と共に回転体保持部材25が一方向に回転することを防止している。
【0034】
またジョグダイヤル20は、回転体21が他方向に回転操作された場合、当該回転体21の回転操作に応じて回転体保持部材25に生じる他方向への回転力を、ベース部材22の長孔22AX及び22BXの内壁に一端保持部23及び他端保持部24の突起部23Bを突き当てて規制することにより、当該回転体21と共に回転体保持部材25が他方向に回転することを防止している。
【0035】
これによりジョグダイヤル20は、ベース部材22及び回転体保持部材25を固定したまま、回転体21の一方向及び他方向の回転操作に応じて当該回転体21と共に端子導通用基板26を一体に回転させ得るようになされている。
【0036】
これに加えてベース部材22の底板22Cには、他端保持部24の他方の連結アーム24Cの下面と対向させてダイヤフラム構成の接点(図示せず)が設けられている。
【0037】
またジョグダイヤル20は、一端保持部23及び他端保持部24の突起部23Bをベース部材22の長孔22AX及び22BXに挿入していることにより、回転体保持部材25を押込方向及び回転体21を本体部3の表面から突出させる突出方向に移動させ得るようになされている。
【0038】
これによりジョグダイヤル20は、回転体21が押圧操作された場合、当該回転体21と共に回転体保持部材25を押込方向に移動させ、かくして他端保持部24の他方の連結アーム24Cによって接点を導通させて押圧操作に応じた指示命令を入力させ得るようになされている。
【0039】
ここで図3に示すように、信号入出力基板27は、円盤状の絶縁部材30において端子形成面の縁部に、当該端子形成面の中心を中心点(以下、これを入出力基板中心点と呼ぶ)とした例えば60度の等角度間隔で円形の導電部材でなる6個の端子31乃至36が互いに絶縁されて形成されている。
【0040】
また信号入出力基板27は、6個の端子31乃至36のうち任意の1個の端子(以下、これを特に入力端子と呼ぶ)31に導電性の信号入力線37が接続されると共に、当該入力端子31と入出力基板中心点に対して右回り方向側で隣接する1個の端子(以下、これを特に第1の出力端子と呼ぶ)32、入力端子31と入出力基板中心点に対して点対称な位置の1個の端子(以下、これを特に第2の出力端子と呼ぶ)34、入力端子31と入出力基板中心点に対して左回り方向側で隣接する1個の端子(以下、これを特に第3の出力端子と呼ぶ)36にそれぞれ導電性の第1乃至第3の信号出力線38乃至40が接続されている。
【0041】
さらに信号入出力基板27は、第1及び第2の出力端子32及び34間の1個の端子(以下、これを特に第1の非出力端子と呼ぶ)33と、第2及び第3の出力端子34及び36間の1個の端子(以下、これを特に第2の非出力端子と呼ぶ)35が外部や他の入力端子31及び第1乃至第3の出力端子32、34、36と絶縁されている。
【0042】
一方、図4に示すように、端子導通用基板26は、円盤状の絶縁部材41において信号入出力基板27の端子形成面と対向する対向面の縁部に、当該対向面の中心を中心点(以下、これを導通用基板中心点と呼ぶ)とした例えば60度の等角度間隔で円形の導電部材でなる6個の第1乃至第6の端子42乃至47が、信号入出力基板27の入力端子31、第1乃至第3の出力端子32、34、36、第1及び第2の非出力端子33及び35と対向させて形成されている。
【0043】
また端子導通用基板26は、第1の端子42と、これと導通用基板中心点に対して点対称な位置の第4の端子45とが導電性の第1の配線48を介して電気的に接続されている。
【0044】
さらに端子導通用基板26は、第1及び第4の端子42及び45間の第2及び第3の端子43及び44と、第5及び第6の端子46及び47とがそれぞれ導電性の第2及び第3の配線49及び50を介して電気的に接続されている。
【0045】
そして図5に示すように、端子導通用基板26は、回転体21に対する一方向への回転操作時、信号入出力基板27の絶縁部材30の端子形成面に対して、回転体21と共に絶縁部材41の対向面が導通基板中心点を通る中心軸を中心にして一方向に回転することにより、回転体21が1回転する間、例えば第1及び第4の端子42及び及び45と第1の配線48とを介して信号入出力基板27の入力端子31と第2の出力端子34とを導通させた後、第6及び第5の端子47及び46と第3と第3の配線50とを介して入力端子31と第3の出力端子36とを導通させる。
【0046】
次いで端子導通用基板26は、第5及び第6の端子46及び47と第3の配線50とを介して信号入出力基板27の入力端子31と第1の出力端子32とを導通させた後、第4及び第1の端子45及び42と第1の配線48とを介して入力端子31と第2の出力端子34とを導通させる。
【0047】
続いて端子導通用基板26は、第3及び第2の端子44及び43と第2の配線49とを介して信号入出力基板27の入力端子31と第3の出力端子36とを導通させた後、第2及び第3の端子43及び44と第2の配線49とを介して入力端子31と第1の出力端子32とを導通させる。
【0048】
このようにして端子導通用基板26は、回転体21が一方向に1回転する毎に、以上説明した信号入出力基板27の入力端子31に対する第1乃至第3の出力端子32、34、36の導通を繰り返し切り替える。
【0049】
一方、図6に示すように、端子導通用基板26は、回転体21に対する他方向への回転操作時、信号入出力基板27の絶縁部材30の端子形成面に対して、回転体21と共に絶縁部材41の対向面が導通基板中心点を通る中心軸を中心にして他方向に回転することにより、回転体21が1回転する間、例えば第1及び第4の端子42及び及び45と第1の配線48とを介して信号入出力基板27の入力端子31と第2の出力端子34とを導通させた後、第2及び第3の端子43及び44と第2の配線49とを介して入力端子31と第1の出力端子32とを導通させる。
【0050】
次いで端子導通用基板26は、第3及び第2の端子44及び43と第2の配線49とを介して信号入出力基板27の入力端子31と第3の出力端子36とを導通させた後、第4及び第1の端子45及び42と第1の配線48とを介して入力端子31と第2の出力端子34とを導通させる。
【0051】
続いて端子導通用基板26は、第5及び第6の端子46及び47と第3の配線50とを介して信号入出力基板27の入力端子31と第1の出力端子32とを導通させた後、第6及び第5の端子47及び46と第3の配線50とを介して入力端子31と第3の出力端子36とを導通させる。
【0052】
このようにして端子導通用基板26は、回転体21が他方向に1回転する毎に、以上説明した信号入出力基板27の入力端子31に対する第1乃至第3の出力端子32、34、36の導通を繰り返し切り替える。
【0053】
すなわち端子導通用基板26は、絶縁部材41の対向面に第1乃至第6の端子42乃至47及び第1乃至第3の配線48乃至50により、信号入出力基板27の入力端子31に対して第1乃至第3の出力端子32、34、36を回転体21の回転方向に応じた、異なる順番で導通させる導通パターンが形成されており、入力端子31に対する第1乃至第3の出力端子32、34、36の導通の順番についてまとめると、以下のようになる。
【0054】
まず端子導通用基板26は、図7に示すように、説明の便宜上、信号入出力基板27の第1の出力端子32を「A」とし、第2の出力端子34を「C」とし、第3の出力端子36を「E」とすると、回転体21が一方向に回転した際には、入力端子31に対して第1乃至第3の出力端子32、34、36を、……、「C」、「E」、「A」、「C」、「E」、「A」、……、の順番で導通させる。
【0055】
また端子導通用基板26は、回転体21が他方向に回転した際には、入力端子31に対して第1乃至第3の出力端子32、34、36を、……、「C」、「A」、「E」、「C」、「A」、「E」、……、の順番で導通させる。
【0056】
ところで端子導通用基板26は、図4からも明らかなように、2個の第1及び第4の端子42及び45、第2及び第3の端子43及び44、第5及び第6の端子46及び47をそれぞれ電気的に接続する第1乃至第3の配線48乃至50がそれぞれ絶縁基板41の対向面の中央部を通るように形成されていることにより、これら第1乃至第3の配線48乃至50が回転体21の回転操作時に信号入出力基板27の入力端子31及び第1乃至第3の出力端子32、34、36と接触することを防止している。
【0057】
また信号入出力基板27は、端子導通用基板26が回転体21と共に回転したときに第1乃至第6の端子42乃至47の移動軌跡上で第1乃至第3の出力端子32、34、36の間に、外部から絶縁された第1及び第2の非出力端子33及び35を介在させていることにより、回転体21の回転操作時に、端子導通用基板26の第1乃至第6の端子42乃至47が第1乃至第3の出力端子32、34、36にまたがって接触することを防止して、第1乃至第6の端子42乃至47をそれぞれ第1乃至第3の出力端子32、34、36に個別に接触させ得るようになされている。
【0058】
これにより端子導通用基板26及び信号入出力基板27は、ジョグダイヤル20の回転体21が回転操作されたときに、入力端子31に対して、順次1個の第1乃至第3の出力端子32、34、36を適確に導通させ得るようになされている。
【0059】
因みにジョグダイヤル20は、一端保持部23の一端挿入突起23Cを回転体21の一端の凹部21Aに挿入して当該凹部21Aを外部からほぼ密閉していることにより、信号入出力基板27の端子形成面と端子導通用基板26の対向面との間に外部から埃等が入り込んで入力端子31及び第1乃至第3の出力端子32、34、36と、第1乃至第6の端子42乃至47とが適確に接触し得なくなることも防止している。
【0060】
ここで携帯電話機1の回路構成について以下に説明する。図8に示すように、携帯電話機1は、表示部2及び本体部3の各部を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit )60に、バッテリパック及び電源回路等からなる電源部61、CCDカメラ12、液晶ディスプレイ13、操作キー16及びジョグダイヤル20並びに後述するキーマトリックスからなる操作部62、送受信処理部63、スピーカ64、マイクロフォン17が接続されると共に、当該送受信処理部63にアンテナ10が接続されている。
【0061】
またCPU60には、当該CPU60のワークエリアとして用いられるDRAM(Dynamic Random Access Memory)65、起動時の初期設定情報等を予め格納しているEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory )66、回転方向検出処理プログラムや回転角度検出処理プログラム等の各種アプリケーションプログラムを予め格納していると共にアドレス帳や電子メール、被写体を撮像して得られた画像等を格納するフラッシュメモリ67、メモリスティック18として装着される外部メモリ68が接続されている。
【0062】
この場合、CPU60は、終話及び電源キーの押下操作に応じて操作部62から起動命令が与えられると、電源部61から供給される電力を各部に供給することにより携帯電話機1を動作可能な状態に起動すると共に、その際にEEPROM66から初期設定情報を読み出して各部を制御することにより例えば液晶ディスプレイ13に起動時の所定の画面を表示する。
【0063】
そしてCPU60は、音声通話モード時、ユーザの音声をマイクロフォン17で集音することにより得られた音声信号に対して送受信処理部63により所定の送信処理を施し、得られた送信信号をアンテナ10から送信する。
【0064】
またCPU60は、このとき通話中の相手の音声に相当する受信信号をアンテナ10で受信して送受信処理部63に取り込み、当該送受信処理部63においてその受信信号に所定の受信処理を施すことにより得られた音声信号をスピーカ64から出力し、このようにしてユーザと相手との音声通話を実現する。
【0065】
因みにCPU60は、操作キー16及びジョグダイヤル20の操作に応じて操作部62から与えられる各種指示及び命令に応じて、フラッシュメモリ67に格納している各種アプリケーションプログラムに従い各部を制御することにより、図1について上述したように液晶ディスプレイ13に各種情報を表示し、又はCCDカメラ12で被写体を撮像して得られた画像をフラッシュメモリ及び外部メモリ68に記憶し、さらには送受信処理部63及びアンテナ10を介して外部から各種情報を取得し得るようになされている。
【0066】
ここで操作部62には、図9に示すように、操作キー16及びジョグダイヤル20が設けられると共に、複数の入力線LIと複数の出力線LOとがマトリックス(すなわち、行列)状に配線され、当該入力線LI及び出力線LOの交点箇所にそれぞれ操作キー16の押下操作を検出するダイヤフラム構成の接点SWが配置されたキーマトリックス70が設けられている。
【0067】
このキーマトリックス70は、各入力線LIの入力端及び各出力線LOの出力端がそれぞれCPU60に電気的に接続されている。
【0068】
またキーマトリックス70は、入力線LI及び出力線LOの交点箇所で接点SWの一方の端子が入力線LOに電気的に接続されると共に、他方の端子が出力線LOに接続され、操作キー16の押下操作に応じて対応する接点SWがオン状態になると、当該オン状態になった接点SWを介してこれに接続されている1本の入力線LI及び1本の出力線LOを導通させるようになされている。
【0069】
CPU60は、通常全ての入力線LIに対して論理「H」レベルの電圧でなる操作検出信号を入力した状態で、出力線LOから操作検出信号が出力されること(すなわち、いずれかの操作キー16の押下操作に応じて対応する接点SWがオン状態になり、当該接点SWに電気的に接続された出力線LOから操作検出信号が出力されること)を待ち受ける。
【0070】
そしてCPU60は、いずれかの操作キー16の押下操作に応じて対応する接点SWがオン状態になり、当該オン状態の接点SWを介して入力線LIと導通した出力線LOから操作検出信号が出力されると、導通した接点SWの探索(以下、これをキーセンスと呼ぶ)を開始して各入力線LIに順番に操作検出信号を入力しながら、接点SWのオン状態に応じて操作検出信号を出力している出力線LOを特定する。
【0071】
これによりCPU60は、特定した出力線LOと、その出力線LOから操作検出信号が出力された時点に当該操作検出信号を入力していた入力線LIとに基づいて、これらの交点箇所でオン状態となった接点SWに対応する、押下操作された操作キー16を検出すると共に、当該検出した操作キー16に割り当てられている指示命令に応じた処理を実行し得るようになされている。
【0072】
これに加えてキーマトリックス70は、例えば所定の1本の入力線(以下、これを特に端子接続入力線と呼ぶ)LI1に図3について上述した信号入出力基板27の入力端子31が信号入力線37を介して電気的に接続されると共に、所定の3本の出力線(以下、これらを特に第1乃至第3の端子接続出力線と呼ぶ)LO1乃至LO3に当該信号入出力基板27の第1乃至第3の出力端子32、34、36が第1乃至第3の信号出力線38乃至40を介して電気的に接続されている。
【0073】
これによりキーマトリックス70は、ジョグダイヤル20の回転体21が回転操作されたことにより、信号入出力基板27の入力端子31に端子導通用基板26の導通パターンを介して第1乃至第3の出力端子32、34、36のいずれかが導通されると、これに応じて端子接続入力線LI1を、入力端子31及びこれと導通した第1乃至第3の出力端子32、34、36を介して第1乃至第3の端子接続出力線LO1乃至LO3に導通させ得るようになされている。
【0074】
従ってCPU60は、キーマトリックス70の全ての入力線LI(端子接続入力線LI1を含む)に操作検出信号を入力することで、端子接続入力線LI1から信号入力線37を介して信号入出力基板27の入力端子31に操作検出信号を供給する。
【0075】
この状態でCPU60は、第1乃至第3の端子接続出力線LOから操作検出信号が出力されたときには、信号入出力基板27の入力端子31及び第1乃至第3の出力端子32、34、36を端子導通用基板26の導通パターンを介して導通する接点とみなして、上述した操作キー16に対する押下操作の検出時と同様にキーマトリックス70に対するキーセンスを実行することにより、ジョグダイヤル20の回転体21に対する回転操作の有無を検出し得るようになされている。
【0076】
ところで信号入出力基板27は、ジョグダイヤル20の回転体21が回転操作されてはいないとき、当該回転体21の回転が任意の回転角度で停止されることにより、端子導通用基板26の第1乃至第6の端子42乃至47が入力端子31、第1乃至第3の出力端子32、34、36、第1及び第2の非出力端子33及び35の間で停止して入力端子31に第1乃至第3の出力端子32、34、36のいずれも導通しない状態になることがある。
【0077】
また信号入出力基板27は、ジョグダイヤル20の回転体21が回転操作されないときには、入力端子31が端子導通用基板26の導通パターンを介して第1乃至第3の出力端子32、34、36のいずれかと導通したままの状態となることもある。
【0078】
このためCPU60は、ジョグダイヤル20の回転体21が回転操作されないときには、キーマトリックス70のいずれの第1乃至第3の端子接続出力線LO1乃至LO3からも操作検出信号が出力されないことにより操作キー16の押下操作を待ち受ける場合と同様に操作検出信号を何ら取り込まない状態になることもあれば、キーマトリックス70のいずれか1本の第1乃至第3の端子接続出力線LO1乃至LO3から継続的に出力された操作検出信号を取り込んだままの状態になることもある。
【0079】
従ってCPU60は、キーマトリックス70の第1乃至第3の端子接続出力線LO1乃至LO3のいずれからも操作検出信号が出力されていなければ、端子導通用基板26の第1乃至第6の端子42乃至47が信号入出力基板27の入力端子31、第1乃至第3の出力端子32、34、36、第1及び第2の非出力端子33及び35の間で停止した状態でジョグダイヤル20の回転体21が回転操作されてはいないと判断して、そのままジョグダイヤル20の回転体21に対する回転操作を待ち受ける。
【0080】
またCPU60は、キーマトリックス70のいずれか1本の第1乃至第3の端子接続出力線LO1乃至LO3から操作検出信号が出力されたことによりキーセンスを実行した結果、信号入出力基板27の入力端子31にいずれか1個の第1乃至第3の出力端子32、34、36が導通したことを検出したときには、当該いずれか1本の第1乃至第3の端子接続出力線LO1乃至LO3からの操作検出信号の出力が予め選定され所定の回転検出時間以上継続しているか否かを判断する。
【0081】
その結果、CPU60は、キーマトリックス70のいずれか1本の第1乃至第3の端子接続出力線LO1乃至LO3から操作検出信号が回転検出時間よりも短い時間だけ出力されれば、ジョグダイヤル20の回転体21が回転操作されたと判断する。
【0082】
これに対してCPU60は、キーマトリックス70のいずれか1本の第1乃至第3の端子接続出力線LO1乃至LO3から操作検出信号が回転検出時間以上出力されれば、ジョグダイヤル20の回転体21が回転操作されてはいないと判断する。
【0083】
そしてCPU60は、ジョグダイヤル20の回転体21が回転操作されてはいないものの、キーマトリックス70のいずれか1本の第1乃至第3の端子接続出力線LO1乃至LO3から操作検出信号が回転検出時間以上継続して出力されているときには、当該キーマトリックス70に対するキーセンスにより、入力端子31と導通している第1乃至第3の出力端子32、34、36を特定すると共に、当該特定した第1乃至第3の出力端子32、34、36を示す出力端子情報を回転体21に対する回転操作開始時の初期情報としてDRAM65に格納する。
【0084】
これによりCPU60は、この後、キーマトリックス70に対するキーセンスの実行により、信号入出力基板27において入力端子31に、初期情報の示す第1乃至第3の出力端子32、34、36とは異なる第1乃至第3の出力端子32、34、36が導通したことを検出すると、これに応じてジョグダイヤル20の回転体21が回転操作されたと判断する。
【0085】
このようにしてCPU60は、ジョグダイヤル20の回転体21に対する回転操作の有無を検出し、当該回転体21が回転操作されたことを検出すると、キーマトリックス70の第1乃至第3の端子接続出力線LO1乃至LO3から操作検出信号が出力される毎にキーセンスを実行して、入力端子31と導通した第1乃至第3の出力端子32、34、36を特定しながら、当該入力端子31に対する第1乃至第3の出力端子32、34、36の導通の順番に従って回転体21の回転方向を検出し得るようになされている。
【0086】
実際上、CPU60は、携帯電話機1が起動すると、キーマトリックス70の全ての入力線LI(端子接続入力線LIを含む)にそれぞれ操作検出信号を入力した状態で、フラッシュメモリ67に予め格納している回転方向検出処理プログラムに従って回転方向検出処理を開始することにより、図10に示す回転方向検出処理手順RT1に開始ステップから入って続くステップSP1に移る。
【0087】
ステップSP1においてCPU60は、信号入出力基板27の入力端子31に第1乃至第3の出力端子32、34、36のいずれかが導通しているか否かを判断する。
【0088】
このステップSP1において否定結果が得られると、キーマトリックス70の第1乃至第3の端子接続出力線LO1乃至LO3から操作検出信号が出力されてはいないことにより、端子導通用基板26の第1乃至第6の端子42乃至47が信号入出力基板27の入力端子31、第1乃至第3の出力端子32、34、36、第1及び第2の非出力端子33及び35の間に停止した状態でジョグダイヤル20の回転体21が回転操作されてはいないことを表しており、このときCPU60はステップSP2に移る。
【0089】
ステップSP2においてCPU60は、ジョグダイヤル20の回転体21が回転操作されたか否かを判断する。
【0090】
このステップSP2において否定結果が得られると、このことはキーマトリックス70の第1乃至第3の端子接続出力線LO1乃至LO3からそれぞれ操作検出信号が出力されてはいない、又はいずれか1本の第1乃至第3の端子接続出力線LO1乃至LO3から回転検出時間以上継続して操作検出信号が出力されていることにより、ジョグダイヤル20の回転体21が未だ回転操作されてはいないことを表しており、このときCPU60は当該回転体21の回転操作を待ち受ける。
【0091】
また上述したステップSP1において肯定結果が得られると、このことはキーマトリックス70のいずれか1本の第1乃至第3の端子接続出力線LO1乃至LO3から操作検出信号が出力されたことによりジョグダイヤル20の回転体21が回転操作された可能性のあることを表しており、このときCPU60はステップSP3に移る。
【0092】
ステップSP3においてCPU60は、信号入出力基板27の入力端子31が端子導通用基板26の導通パターンを介していずれか1個の第1乃至第3の出力端子32、34、36と回転検出時間以上継続して導通しているか否かを判断する。
【0093】
このステップSP3において肯定結果が得られると、このことは信号入出力基板27の入力端子31が、端子導通用基板26の導通パターンを介していずれか1個の第1乃至第3の出力端子32、34、36と導通したままの状態で、キーマトリックス70のいずれか1本の第1乃至第3の端子接続出力線LO1乃至LO3から回転検出時間以上継続して操作検出信号が出力されていることにより、ジョグダイヤル20の回転体21が未だ回転操作されてはいないことを表している。
【0094】
従ってCPU60は、ステップSP3において肯定結果を得たときには、入力端子31と導通している第1乃至第3の出力端子32、34、36を示す初期情報をDRAM65に格納して、ステップSP2に移る。
【0095】
そしてステップSP2において肯定結果が得られると、このことはジョグダイヤル20の回転体21が回転操作されたことに応じて、信号入出力基板27の入力端子31に、いずれの第1乃至第3の出力端子32、34、36も導通してはいない状態からいずれか1個の第1乃至第3の出力端子32、34、36が新たに導通した、又は入力端子31にそれまで継続して導通していた、いずれか1個の第1乃至第3の出力端子32、34、36とは異なる他の1個の第1乃至第3の出力端子32、34、36が導通したことにより、キーマトリックス70のいずれか1本の第1乃至第3の端子接続出力線LO1乃至LO3から新たに操作検出信号が回転検出時間よりも短い時間内で出力されたことを表している。
【0096】
従ってCPU60は、このステップSP2において、ジョグダイヤル20の回転体21に対する回転操作に応じて、入力端子31に、第1乃至第3の出力端子32、34、36が導通してはいない状態からいずれか1個の第1乃至第3の出力端子32、34、36が新たに導通したことにより肯定結果を得たときは、当該入力端子31に新たに導通した第1乃至第3の出力端子32、34、36を示す初期情報をDRAM65に格納してステップSP4に移る。
【0097】
またCPU60は、このステップSP2において、ジョグダイヤル20の回転体21に対する回転操作に応じて、入力端子31にそれまで継続して導通していた第1乃至第3の出力端子32、34、36とは異なる他の第1乃至第3の出力端子32、34、36が導通したことにより肯定結果を得たときには、DRAM65にすでに格納している初期情報をそのままにしてステップSP4に移る。
【0098】
因みにステップSP3において否定結果が得られると、このことは信号入出力基板27の入力端子31に、いずれか1個の第1乃至第3の出力端子32、34、36が導通していたものの、回転検出時間よりも短い時間で新たに他の第1乃至第3の出力端子32、34、36と導通したことにより、ジョグダイヤル20の回転体21が回転操作されたことを表しており、このときCPU60は入力端子31に先に導通していた第1乃至第3の出力端子32、34、36を示す初期情報をDRAM65に格納してステップSP4に移る。
【0099】
ステップSP4においてCPU60は、DRAM65に格納した初期情報に基づいて、信号入出力基板27の入力端子31に対して最初に第1の出力端子32が導通したか否かを判断する。
【0100】
このステップSP4において肯定結果が得られると、このことはジョグダイヤル20の回転体21に対する回転操作に応じて、信号入出力基板27の入力端子31に、いずれの第1乃至第3の出力端子32、34、36も導通してはいない状態から導通パターンを介して第1の出力端子32が最初に導通したこと、又は回転体21が回転操作されてはない状態で入力端子31に第1の出力端子32がすでに導通していたことを表しており、このときCPU60はステップSP5に移る。
【0101】
ステップSP5においてCPU60は、信号入出力基板27の入力端子31に対して、第1の出力端子32に引き続き2番目に第2の出力端子34が導通したか否かを判断する。
【0102】
このステップSP5において肯定結果が得られると、このことは図5及び図7からも明らかなように、ジョグダイヤル20の回転体21に対する一方向への回転操作に応じて、信号入出力基板27の入力端子31に第1及び第2の出力端子32及び34が順番に導通したことを表しており、このときCPU60はステップSP6に移ってジョグダイヤル20の回転体21に対する回転方向を一方向と判断した後、ステップSP7に移る。
【0103】
これに対してステップSP5において否定結果が得られると、このことは図6及び図7からも明らかなように、ジョグダイヤル20の回転体21に対する他方向への回転操作に応じて、信号入出力基板27の入力端子31に第1及び第3の出力端子32及び36が順番に導通したことを表しており、このときCPU60はステップSP8に移ってジョグダイヤル20の回転体21に対する回転方向を他方向と判断した後、ステップSP7に移る。
【0104】
また上述したステップSP4において否定結果が得られると、このことはジョグダイヤル20の回転体21に対する回転操作に応じて、信号入出力基板27の入力端子31に、いずれの第1乃至第3の出力端子32、34、36も導通してはいない状態から導通パターンを介して第2又は第3の出力端子34又は36が導通したこと、又は回転体21が回転操作されてはない状態で入力端子31に導通パターンを介して第2又は第3の出力端子34又は36がすでに継続して導通していたことを表しており、このときCPU60はステップSP9に移る。
【0105】
ステップSP9においてCPU60は、信号入出力基板27の入力端子31に対して最初に第2の出力端子34が導通したか否かを判断する。
【0106】
このステップSP9において肯定結果が得られると、このことはジョグダイヤル20の回転体21に対する回転操作に応じて、信号入出力基板27の入力端子31に、いずれの第1乃至第3の出力端子32、34、36も導通してはいない状態から最初に導通パターンを介して第2の出力端子34が導通したこと、又は回転体21が回転操作されてはない状態で入力端子31に導通パターンを介して第2の出力端子34がすでに継続して導通していたことを表しており、このときCPU60はステップSP10に移る。
【0107】
ステップSP10においてCPU60は、信号入出力基板27の入力端子31に対して、第2の出力端子34に引き続き2番目に第3の出力端子36が導通したか否かを判断する。
【0108】
このステップSP10において肯定結果が得られると、このことは図5及び図7からも明らかなように、ジョグダイヤル20の回転体21に対する一方向への回転操作に応じて、信号入出力基板27の入力端子31に第2及び第3の出力端子34及び36が順番に導通したことを表しており、このときCPU60はステップSP6に移る。
【0109】
これに対してステップSP10において否定結果が得られると、このことは図6及び図7からも明らかなように、ジョグダイヤル20の回転体21に対する他方向への回転操作に応じて、信号入出力基板27の入力端子31に第2及び第1の出力端子34及び32が順番に導通したことを表しており、このときCPU60はステップSP8に移る。
【0110】
また上述したステップSP10において否定結果が得られると、このことはジョグダイヤル20の回転体21に対する回転操作に応じて、信号入出力基板27の入力端子31に、いずれの第1乃至第3の出力端子32、34、36も導通してはいない状態から最初に導通パターンを介して第3の出力端子36が導通したこと、又は回転体21が回転操作されてはない状態で入力端子31に導通パターンを介して第3の出力端子36がすでに継続して導通していたことを表しており、このときCPU60はステップSP11に移る。
【0111】
ステップSP11においてCPU60は、信号入出力基板27の入力端子31に対して、第3の出力端子36に引き続き2番目に第1の出力端子32が導通したか否かを判断する。
【0112】
このステップSP11において肯定結果が得られると、このことは図5及び図7からも明らかなように、ジョグダイヤル20の回転体21に対する一方向への回転操作に応じて、信号入出力基板27の入力端子31に第3及び第1の出力端子36及び32が順番に導通したことを表しており、このときCPU60はステップSP6に移る。
【0113】
これに対してステップSP11において否定結果が得られると、このことは図6及び図7からも明らかなように、ジョグダイヤル20の回転体21に対する他方向への回転操作に応じて、信号入出力基板27の入力端子31に第3及び第2の出力端子36及び34が順番に導通したことを表しており、このときCPU60はステップSP8に移る。
【0114】
このようにしてCPU60は、ジョグダイヤル20の回転体21に対する回転操作時の回転方向を検出すると、ステップSP7において携帯電話機1の起動を停止するか否かを判断する。
【0115】
このステップSP7において否定結果が得られると、このことは未だ終話及び電源キーを介して携帯電話機1に対する起動停止命令が入力されてはいないことにより、ジョグダイヤル20の回転体21がこの後も回転操作される可能性があることを表しており、このときCPU60はステップSP1に戻る。
【0116】
このようにしてCPU60は、この後ステップSP7において肯定結果を得るまでの間は、ステップSP1−SP2−SP3−SP4−SP5−SP6−SP7−SP8−SP9−SP10−SP11の処理を循環的に繰り返すことにより、ジョグダイヤル20の回転体21が回転操作される毎に当該回転体21の回転方向を検出する。
【0117】
そしてステップSP7において肯定結果が得られると、このことは終話及び電源キーを介して携帯電話機1に対する起動停止命令が入力されたことにより、これに応じて携帯電話機1の起動を停止してジョグダイヤル20の回転体21に対する回転操作を受け付けないようにすることを表しており、このときCPU60はステップSP12に移ってこの回転方向検出処理手順RT1を終了する。
【0118】
なお第1の実施の形態の場合、CPU60は、ジョグダイヤル20の回転体21が回転操作されたときには、当該回転体21が一方向及び他方向のいずれの方向に対しても60度回転される毎に、信号入出力基板27の入力端子31に対する第1乃至第3の出力端子32、34、36の導通が切り替わることにより、これに応じてキーマトリックス70の第1乃至第3の端子接続出力線LO1乃至LO3から順番に操作検出信号が与えられる。
【0119】
このためCPU60は、ジョグダイヤル20の回転体21に対する回転操作が開始されると、キーマトリックス70の第1乃至第3の端子接続出力線LO1乃至LO3から操作検出信号が順番に与えられた回数をカウントし、当該カウントした回数に60度を乗算することにより、回転体21に対する回転開始からの回転角度を容易に検出し得るようになされている。
【0120】
以上の構成において、携帯電話機1は、信号入出力基板27の入力端子31に操作検出信号を供給した状態でジョグダイヤル20の回転体21に対する回転操作を待ち受け(ステップSP1乃至ステップSP3)、ジョグダイヤル20の回転体21が回転操作されると、信号入出力基板27の端子形成面に対して、回転体21と共に端子導通用基板26の対向面を回転させる。
【0121】
この際に携帯電話機1は、ジョグダイヤル20の回転体21が一方向に回転操作されたときには、信号入出力基板27の入力端子31に対して第1乃至第3の出力端子32、34、36を端子導通用基板26の導通パターンを介して第1の出力端子32、第2の出力端子34、第3の出力端子36の順番で繰り返し導通させる。
【0122】
また携帯電話機1は、ジョグダイヤル20の回転体21が他方向に回転操作されたときには、信号入出力基板27の入力端子31に対して第1乃至第3の出力端子32、34、36を端子導通用基板26の導通パターンを介して第1の出力端子32、第3の出力端子36、第2の出力端子34の順番で繰り返し導通させる。
【0123】
従って携帯電話機1は、ジョグダイヤル20の回転体21が回転操作されると、信号入出力基板27から、入力端子31に対して導通パターンを介して第1乃至第3の出力端子32、34、36が導通したときには論理「H」レベルの操作検出信号となり、入力端子31、第1乃至第3の出力端子32、34、36、第1及び第2の非出力端子33及び35の間に端子導通用基板26の第1乃至第6の端子42乃至47が位置したときには論理「L」レベル(すなわち、出力の無い状態)となって当該論理「H」レベルと論理「L」レベルとを順次交互に繰り返す実質的に1種類の方形波信号を得る。
【0124】
そして携帯電話機1は、信号入出力基板27から出力された1種類の方形波信号をキーマトリックス70に取り込んで、当該信号入出力基板27の入力端子31に供給した操作検出信号を出力する第1乃至第3の出力端子32、34、36を特定することで当該入力端子31に対して第1乃至第3の出力端子32、34、36が導通する順番を検出し、その検出結果に従って回転体21に対する回転方向を検出する。
【0125】
ところで従来の携帯電話機によれば、ジョグダイヤルの回転体の回転方向の検出に12歯構成のロータリエンコーダを用いる分、ジョグダイヤルの回転体が回転操作されると、当該回転体が1回転する間にロータリエンコーダから論理「H」レベルに12回立ち上がる方形波の磁界検出信号が出力されるため、回転体が比較的速く回転操作されると、チャタリングが発生して回転方向を検出し難くなることが考えられる。
【0126】
また従来の携帯電話機によれば、ジョグダイヤルの回転体が比較的速く回転操作されると、磁界検出信号の論理レベルが著しく変化するため、ロータリエンコーダから磁界検出信号をCPUに直接供給して回転体の回転方向及び回転角度を検出する必要があり、CPUの2個の入力ポートが、ロータリエンコーダから与えられる2種類の磁界検出信号を入力するためだけに使用されている。
【0127】
これに対して第1の実施の形態による携帯電話機1は、ジョグダイヤル20の回転体21が回転操作されると、当該回転体21が1回転する間に、信号入出力基板27から、入力端子31に対して第1乃至第3の出力端子32、34、36が導通する状態と、当該入力端子31に対して第1乃至第3の出力端子32、34、36が導通しない状態とを順次交互に繰り返すようにして論理「H」レベルの操作検出信号が6回出現する方形波信号を出力している。
【0128】
このため第1の実施の形態による携帯電話機1は、従来の携帯電話機に比べてジョグダイヤル20の回転体21が1回転する間に信号入出力基板27から出力する方形波信号に対して論理レベルの変化を低減している分、ジョグダイヤル20の回転体21が比較的速く回転操作された場合でも、チャタリングの発生を防止して回転方向を適確に検出することができる。
【0129】
また第1の実施の形態による携帯電話機1は、信号入出力基板27から出力される方形波信号を操作部62のキーマトリックス70に取り込んでも、操作キー16に対する押下操作の検出時と同様にして、入力端子31と導通する第1乃至第3の出力端子32、34、36を適確に特定することができ、CPU60において回転体21の回転方向の検出のためだけに入力ポートを使用することを防止し、従来の携帯電話機に比べて2個の入力ポートが空く分、他の新たな処理にその入力ポートを使用して実行可能な機能を容易に増加することができる。
【0130】
以上の構成によれば、携帯電話機1は、信号入出力基板27の入力端子31に操作検出信号を供給した状態で、ジョグダイヤル20の回転体21が回転操作されると、回転体21と共に回転する端子導通用基板26により、信号入出力基板27の入力端子31に、第1乃至第3の出力端子32、34、36を回転方向に応じた、異なる順番で導通させ、その結果第1乃至第3の出力端子32、34、36から出力された操作検出信号に基づいて入力端子31に対する第1乃至第3の出力端子32、34、36の導通の順番を検出し、当該検出した導通の順番に従って回転体21の回転方向を検出するようにしたことにより、信号入出力基板27から出力される操作検出信号を含む1種類の方形波信号だけを用いて入力端子31に対する第1乃至第3の出力端子32、34、36の導通の順番を検出する簡易な処理で回転体21の回転方向を適確に検出して回転方向検出時の処理負荷を低減することができ、かくして回転体21の回転方向を容易に検出し得る携帯電話機を実現することができる。
【0131】
また携帯電話機1は、端子導通用基板26に対して2個の第1及び第4の端子42及び45、第2及び第3の端子43及び44、第5及び第6の端子46及び47をそれぞれ電気的に接続する第1乃至第3の配線48乃至50を絶縁基板41において対向面の中央部を通るように形成すると共に、信号入出力基板27に対して、端子導通用基板26が回転体21と共に回転したときの第1乃至第6の端子42乃至47の移動軌跡上で第1乃至第3の出力端子32、34、36の間に第1及び第2の非出力端子33及び35を配置するようにした。
【0132】
従って携帯電話機1は、回転体21の回転操作時に、第1乃至第3の配線48乃至50が信号入出力基板27の入力端子31及び第1乃至第3の出力端子32、34、36と接触することを防止し、かつ第1乃至第6の端子42乃至47が第1乃至第3の出力端子32、34、36にまたがって接触することを防止して第1乃至第6の端子42乃至47をそれぞれ第1乃至第3の出力端子32、34、36に個別にかつ適確に接触させて入力端子31に第1乃至第3の出力端子32、34、36を順番に導通させることができ、かくして回転体21の回転方向を適確に検出することができる。
【0133】
なお上述した第1の実施の形態においては、図3について上述した信号入出力基板27及び図4について上述した端子導通用基板26を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図3との対応部分に同一符号を付した図11に示すように、絶縁部材30の端子形成面に例えば中心角度が60度の扇状の導電部材でなる入力端子75、第1乃至第3の出力端子76乃至78、第1及び第2の非出力端子79及び80が互いに絶縁されて形成された信号入出力基板81や、図3との対応部分に同一符号を付した図12に示すように、絶縁部材30の端子形成面の縁部に、中心角度が60度の扇状の外周部分を分離したような弓形状の導電部材でなる入力端子83、第1乃至第3の出力端子84乃至86、第1及び第2の非出力端子87及び88が互いに絶縁されて形成された信号入出力基板89と、図4との対応部分に同一符号を付した図13に示すように、絶縁部材41の対向面に導通用基板中心点を基準とした60度の等角度間隔で、入力端子75、第1乃至第3の出力端子76乃至78、第1及び第2の非出力端子79及び80や入力端子83、第1乃至第3の出力端子84乃至86、第1及び第2の非出力端子87及び88の間隔よりも幅の狭い短冊状の導電部材でなる6個の第1乃至第6の端子90乃至95が形成された端子導通用基板96等のように、この他種々の構成の信号入出力基板及び端子導通用基板を用いるようにしても良い。
【0134】
そして携帯電話機は、かかる信号入出力基板81又は89と、端子導通用基板96とを用いれば、入力端子75、第1乃至第3の出力端子76乃至78、第1及び第2の非出力端子79及び80や入力端子83、第1乃至第3の出力端子84乃至86、第1及び第2の非出力端子87及び88の幅が広く、これに対して第1乃至第6の端子90乃至95の幅が狭い分、回転体が比較的速く回転操作されたときでも、入力端子75及び83と、第1乃至第3の出力端子76乃至78及び84乃至86とに第1乃至第6の端子90乃至95を極力長い時間接触させることができる。
【0135】
また携帯電話機は、第1乃至第6の端子90乃至95の幅が入力端子75、第1乃至第3の出力端子76乃至78、第1及び第2の非出力端子79及び80や入力端子83、第1乃至第3の出力端子84乃至86、第1及び第2の非出力端子87及び88の間隔よりも狭いことにより、当該第1乃至第6の端子90乃至95が、隣接する入力端子75、第1乃至第3の出力端子76乃至78、第1及び第2の非出力端子79及び80や入力端子83、第1乃至第3の出力端子84乃至86、第1及び第2の非出力端子87及び88にまたいで接触することを防止することもできる。
【0136】
従って携帯電話機は、回転体が比較的速く回転操作されたときでも、入力端子75及び83と導通した第1乃至第3の出力端子76乃至78及び84乃至86から操作検出信号を適確に出力させることができ、上述した第1の実施の形態に比べて、回転体に対する回転方向の検出精度を向上させることができる。
【0137】
また上述した第1の実施の形態においては、端子導通用基板26に6個の第1乃至第6の端子42乃至47を形成すると共に、信号入出力基板27に合計で6個の入力端子31、第1乃至第3の出力端子32、34、36、第1及び第2の非出力端子33及び35を形成するようにした場合にについて述べたが、本発明はこれに限らず、端子導通用基板及び信号入出力基板に導通用基板中心点及び入出力基板中心点を基準とした所定角度間隔で5個以下又は7個以上の端子を形成するようにしても良い。
【0138】
そして従来の携帯電話機によれば、ロータリエンコーダから得られる2種類の磁界検出信号の位相差に基づいて回転体の回転方向を検出していることにより、当該回転体が速く回転操作されるほど、磁界検出信号の周期と共に位相差も小さくなって回転体の回転方向を検出しづらくなる。
【0139】
これに対して第1の実施の形態による携帯電話機1では、7個以上の端子が形成された端子導通用基板及び信号入出力基板を用いることで、回転体が速く回転操作されるほど信号入出力基板から出力される操作検出信号を含む方形波信号の周期が短くなっても、操作検出信号を出力した出力端子を特定しながら入力端子に対する出力端子の導通の順番に従って回転体の回転方向を検出することにより、回転体に対する回転操作の速度に何ら影響を受けずに当該回転体の回転方向を容易かつ適確に検出することができる。
【0140】
さらに上述した第1の実施の形態においては、回転体21の一端に端子導通用基板26を配置し、当該端子導通用基板26の対向面と端子形成面を対向させて信号入出力基板27を配置するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、回転体21の周囲に端子導通用基板26及び信号入出力基板27を配置し、当該回転体21の回転と共に、ギヤを介して信号入出力基板27の端子形成面に対して端子導通用基板26の対向面を相対的に回転させるようにしても良い。
【0141】
(2)第2の実施の形態
図1との対応部分に同一符号を付して示す図14は、第2の実施の形態による携帯電話機100を示し、本体部101に設けられたジョグダイヤル102の構成を除いて上述した第1の実施の形態による携帯電話機1と同様に構成されている。
【0142】
この場合、本体部101の表面上側には、ジョグダイヤル102の回転操作及び押圧操作可能な円筒状の回転体103が当該表面から僅かに突出した状態で設けられ、当該回転体103に対する一方向及び他方向への回転操作に応じて、液晶ディスプレイ13に表示している電話帳リストや電子メールのスクロール動作、簡易ホームページの捲り動作及び画像の送り動作等の種々の動作を実行し得ると共に、例えば回転体103が回動操作に引き続いて押込方向に押圧操作されると、選択された電話番号を確定して当該電話番号に対して自動的に発呼処理を行なうようになされている。
【0143】
実際上、図15に示すように、ジョグダイヤル102は、本体部101の内部に固定されたコ字状のベース部材105を有し、当該ベース部材105の一方及び他方の壁部105A及び105B間に、一端保持部106及び他端保持部107からなる回転体保持部材108が配置されている。
【0144】
一端保持部106は、回転体保持板106Aの一面をベース部材105の一方の壁部105Aと対向させて当該回転体保持板106Aの他面を回転体103の一端と対向させている。
【0145】
また一端保持部106は、回転体保持板106Aの他面に、回転体103の一端に挿入される略円柱状の一端挿入突起106Cが設けられ、当該回転体保持板106A及び一端挿入突起106Cに、回転体103の中心軸の延長線上に位置する貫通孔106Dが穿設されている。
【0146】
そして一端保持部106は、貫通孔106Dを、ベース部材105の一方の壁部105A中央に穿設された押込方向と平行な長孔105AYと対向させた状態で、回転体保持板106Aの一面に設けられた突起部106Bが、当該ベース部材105の一方の壁部105Aの下側後隅に穿設された、押込方向と平行な長孔105AXに挿入されている。
【0147】
一方、他端保持部107は、回転体保持板107Aの一面をベース部材105の他方の壁部105Bと対向させて当該回転体保持板107Aの他面を回転体103の他端と対向させている。
【0148】
また他端保持部107は、回転体保持板107Aの他面に、回転体103の他端に挿入される略円柱状の他端挿入突起107Dが設けられ、当該回転体保持板107A及び他端挿入突起107Dに、回転体103の中心軸の延長線上に位置する貫通孔107Eが穿設されている。
【0149】
そして他端保持部107は、貫通孔107Eを、ベース部材105の他方の壁部105B中央に穿設された押込方向と平行な貫通孔105BYと対向させた状態で、回転体保持板107Aの一面に設けられた突起部(図示せず)が当該ベース部材105の他方の壁部105Bの下側後隅に穿設された、押込方向と平行な長孔105BXに挿入されている。
【0150】
さらに他端保持部107は、回転体保持板107Aに設けられた、ベース部材105の底板105Cと平行な2本の連結アーム107B及び107Cの一端の突起部がそれぞれ一端保持部106の回転体保持板106Aに穿設された孔部(図示せず)に嵌合されることにより一端保持部106と連結され、前側の一方の連結アーム107Bの中央部がベース部材105の底板105C縁部に設けられた略L字状の折返部105Dに係止されている。
【0151】
これに加えてジョグダイヤル102は、モータ軸109Aの中央部に当該モータ軸109Aに固定された円環状の固定子と、その固定子の周囲に一方向及び他方向に回転可能に配置された円環状の回転子とからなるモータ本体109Bが設けられたモータ109を有し、当該モータ109のモータ本体109Bが、円盤状の振動子110の一面においてその中心からずれた所定位置に穿設された貫通孔に挿入されて固定されている。
【0152】
モータ109は、図15及び図16に示すように、モータ軸109Aを回転体103の中心軸に合わせて当該回転体103の内部に収納されている。
【0153】
そしてモータ109は、モータ軸109Aの一端及び他端をそれぞれ回転体103の一端及び他端から外部に突出させた状態で、振動子110の側面110Aにおいて、モータ軸109Aから最も離れた箇所が回転体103の内面に固着されている。
【0154】
またモータ109は、一端に一端保持部106の一端挿入突起106Cが挿入され、かつモータ軸109Aの一端を当該一端保持部106の貫通孔106Dに挿入して固定された状態でベース部材105の長孔105AYに挿入されている。
【0155】
さらにモータ109は、他端に他端保持部107の他端挿入突起107Dが挿入され、かつモータ軸109Aの他端を当該他端保持部107の貫通孔107Eに挿入して固定された状態でベース部材105の長孔105BYに挿入されている。
【0156】
これにより回転体保持部材108は、一端保持部106及び他端保持部107の回転体保持板106A及び107Aにモータ109のモータ軸109Aを固定した状態で、回転体103を当該モータ109の回転子及びこれに固定された振動子と共にモータ軸109Aを中心にして一方向及び他方向に回転可能に保持している。
【0157】
因みにジョグダイヤル102は、回転体103が一方向に回転操作された場合、当該回転体103の回転操作に応じて回転体保持部材108に生じる一方向への回転力を、ベース部材105の折返部105Dに他端保持部107の連結アーム107Bを突き当てて規制することにより、当該回転体103と共に回転体保持部材108が一方向に回転することを防止している。
【0158】
またジョグダイヤル102は、回転体103が他方向に回転操作された場合、当該回転体103の回転操作に応じて回転体保持部材108に生じる他方向への回転力を、ベース部材105の長孔105AX及び105BXの内壁に一端保持部106及び他端保持部107の突起部106Bを突き当てて規制することにより、当該回転体103と共に回転体保持部材108が他方向に回転することを防止している。
【0159】
これによりジョグダイヤル102は、ベース部材105及び回転体保持部材108を固定したまま、回転体103の一方向及び他方向の回転操作に応じて当該回転体103と共にモータ109の回転子を一体に回転させ得るようになされている。
【0160】
これに加えてベース部材105の底板105Cには、他端保持部107の他方の連結アーム107Cの下面と対向させてダイヤフラム構成の接点(図示せず)が設けられている。
【0161】
またジョグダイヤル102は、モータ軸109Aをベース部材105の長孔105AY及び105BYに挿入すると共に、一端保持部106及び他端保持部107の突起部106Bをベース部材105の長孔105AX及び105BXに挿入していることにより、回転体保持部材108を押込方向及び突出方向に移動させ得るようになされている。
【0162】
これによりジョグダイヤル102は、回転体103が押圧操作された場合、当該回転体103と共に回転体保持部材108を押込方向に移動させ、かくして他端保持部107の他方の連結アーム107Cによって接点を導通させて押圧操作に応じた指示命令を入力させ得るようになされている。
【0163】
ここで携帯電話機100の回路構成について以下に説明する。図8との対応部分に同一符号を付した図17に示すように、携帯電話機100は、CPU1200に、操作キー16及びジョグダイヤル102と当該操作キー16の押下操作のみを検出するためのキーマトリックスとからなる操作部121、モータ109を回転駆動するモータ駆動部122、モータ109を用いてジョグダイヤル102の回転体103に対する回転操作の有無を検出する回転検出部123、回転方向検出処理プログラムや回転角度検出処理プログラム等の各種アプリケーションプログラムを予め格納していると共にアドレス帳や電子メール、被写体を撮像して得られた画像等を格納するフラッシュメモリ124が接続されている。
【0164】
この場合、回転検出部123は、図18に示すように、2個の差動増幅回路125及び126を有し、一方の差動増幅回路125の非反転入力端子にモータ109のモータ軸109Aの一端が電気的に接続されると共に、反転入力端子が接地され、他方の差動増幅回路126の反転入力端子にモータ軸109Aの他端が電気的に接続されると共に、非反転入力端子が接地されている。
【0165】
また一方及び他方の差動増幅回路125及び126の出力端子は、それぞれシュミットトリガ回路127及び128を介してCPU120に電気的に接続されている。
【0166】
そして回転検出部123は、ジョグダイヤル102の回転体103が回転操作されたとき、当該回転体103と共にモータ109の回転子が回転することによりこれに応じて固定子のN極及びS極の磁石と回転子のコイルとによる磁界の変化によって発生する電圧(回転体103の回転方向によって発生する電圧の値の正負、すなわち符号が逆転する)をモータ軸109Aを介して取り込む。
【0167】
実際に回転検出部123は、ジョグダイヤル102の回転体103が例えば一方向に回転操作されたとき、モータ109の固定子に発生した正の値の電圧(以下、これを正電圧と呼ぶ)をモータ軸109Aの一端から取り込んで一方の差動増幅回路125の非反転入力端子に印加する。
【0168】
そして一方の差動増幅回路125は、非反転入力端子に印加された正電圧をそのまま反転入力端子の接地電位との電位差として増幅し、得られた増幅正電圧をシュミットトリガ回路127において波形整形することにより正の値の方形波でなる回転検出信号としてCPU120に送出する。
【0169】
また回転検出部123は、ジョグダイヤル102の回転体103が他方向に回転操作されたとき、モータ109の固定子に発生した負の値の電圧(以下、これを負電圧と呼ぶ)をモータ軸109Aの他端から取り込んで他方の差動増幅回路126の反転入力端子に印加する。
【0170】
そして他方の差動増幅回路126は、反転入力端子に印加された負電圧をそのまま非反転入力端子の接地電位との電位差として増幅し、得られた増幅負電圧をシュミットトリガ回路128において波形整形することにより負の値の方形波でなる回転検出信号としてCPU120に送出する。
【0171】
このようにして回転検出部123は、ジョグダイヤル102の回転体103が回転操作されると、これに応じて当該回転体103が一方向に回転操作されたときには、正の値の回転検出信号をCPU120に送出し、回転体103が他方向に回転操作されたときには、負の値の回転検出信号をCPU120に送出する。
【0172】
これによりCPU120は、ジョグダイヤル102の回転体103が回転操作されたとき、回転検出部123から与えられる回転検出信号の符号(すなわち、正の値であるか負の値であるか)に従って、当該回転検出信号が正の値の場合は回転体103が一方向に回転操作されたと判断し、負の値の場合には回転体103が他方向に回転操作されたと判断する。
【0173】
実際上CPU120は、携帯電話機100が起動すると、フラッシュメモリ124に予め格納している回転方向検出処理プログラムに従って回転方向検出処理を開始することにより、図19に示す回転方向検出処理手順RT2に開始ステップから入って続くステップSP21に移る。
【0174】
ステップSP21においてCPU120は、ジョグダイヤル102の回転体103が回転操作されたか否かを判断する。
【0175】
このステップSP21において否定結果が得られると、このことはジョグダイヤル102の回転体103が回転操作されてはいないことにより、回転検出部123において回転体103の回転操作に応じてモータ109の発生する電圧を未だ取り込んではいないことを表しており、このときCPU120は回転体103の回転操作を待ち受ける。
【0176】
またステップSP21において肯定結果が得られると、このことはジョグダイヤル102の回転体103が回転操作されたことにより、これに応じて回転検出部123においてモータ109で発生した電圧を取り込んだことを表しており、このときCPU120はステップSP22に移る。
【0177】
ステップSP22においてCPU120は、回転検出部123から与えられた回転検出信号の符号が正の値であるか否かを判断する。
【0178】
このステップSP22において肯定結果が得られると、このことはジョグダイヤル102の回転体103に対する一方向への回転操作に応じて、回転検出部123から正の値の回転検出信号が与えられたことを表しており、このときCPU120はステップSP23に移り、回転検出信号の符号(正)に従って回転体103の回転方向を一方向と判断して続くステップSP24に移る。
【0179】
これに対してステップSP22において否定結果が得られると、このことはジョグダイヤル102の回転体103に対する他方向への回転操作に応じて、回転検出部123から負の値の回転検出信号が与えられたことを表しており、このときCPU120はステップSP25に移り、回転検出信号の符号(負)に従って回転体103の回転方向を他方向と判断してステップSP24に移る。
【0180】
ステップSP24においてCPU120は、携帯電話機100の起動を停止するか否かを判断する。
【0181】
このステップSP24において否定結果が得られると、このことは未だ終話及び電源キーを介して携帯電話機100に対する起動停止命令が入力されてはいないことにより、ジョグダイヤル102の回転体103がこの後も回転操作される可能性があることを表しており、このときCPU120はステップSP21に戻る。
【0182】
このようにしてCPU120は、この後ステップSP24において肯定結果を得るまでの間は、ステップSP21−SP22−SP23−SP24−SP25の処理を循環的に繰り返すことにより、ジョグダイヤル102の回転体103が回転操作される毎に当該回転体103の回転方向を検出する。
【0183】
そしてステップSP24において肯定結果が得られると、このことは終話及び電源キーを介して携帯電話機100に対する起動停止命令が入力されたことにより、これに応じて携帯電話機100の起動を停止してジョグダイヤル102の回転体103に対する回転操作を受け付けないようにすることを表しており、このときCPU120はステップSP26に移ってこの回転方向検出処理手順RT2を終了する。
【0184】
なお第2の実施の形態の場合、CPU120は、ジョグダイヤル102の回転体103が回転操作されたときには、当該回転体103が一方向及び他方向に回転操作されている間、モータ109が回転方向に応じた符号(正及び負)の電圧を継続して発生することにより、これに応じて回転検出部123からも回転検出信号が継続して与えられる。
【0185】
またCPU120は、ジョグダイヤル102の回転体103が回転操作されたときには、当該回転体103の回転速度に応じてモータ109の発生する電圧の値が変化することにより、回転検出部123から回転速度に応じた正の値及び負の値の回転検出信号が与えられる。
【0186】
従ってCPU120は、ジョグダイヤル102の回転体103が回転操作されると、これに応じて回転検出部123から与えられる回転検出信号の値と、当該回転検出信号の与えられている時間とに基づいて回転体103の回転角度を容易に検出し得るようになされている。
【0187】
これに加えてCPU120は、携帯電話機100に通話及び電子メール等の受信(以下、これを着信と呼ぶ)があったとき、リンガーを鳴らしてその着信をユーザに通知し得るものの、ジョグダイヤル102の回転体103内に収納したモータ109を回転駆動することにより回転体103の回転によっても着信を通知し得るようになされている。
【0188】
実際にCPU120は、モータ109の回転により着信を通知するように設定され、本体部101に対して表示部2が閉じた状態で着信があると、モータ駆動部122を制御することにより、当該モータ駆動部122においてモータ軸109Aに駆動電流を供給してモータ109を駆動することにより当該モータ109の回転子を比較的高速で回転させる。
【0189】
これによりCPU120は、このときモータ109の回転子と共にこれに固着されている振動子110をモータ軸109Aに対して偏心させた状態で回転させて当該振動子110の回転によりモータ軸109Aの周囲に不均一な遠心力を高速で生じさせることにより携帯電話機100を振動させ、かくしてその振動によってユーザに着信を通知し得るようになされている。
【0190】
またCPU120は、本体部101に対して表示部2を開いた状態で電子メールの本文作成等のようになんらかの操作が行なわれているときに、通話の着信があると、発呼キー以外の操作キー16が押下操作されてもその着信に応じて通話を開始し得るようになされている。
【0191】
さらにCPU120は、通話の着信があったときには、液晶ディスプレイ13に相手の名前や電話番号等を表示してユーザに通知し得るようになされている。
【0192】
このためCPU120は、本体部101に対して表示部2が開いた状態で着信があると、モータ駆動部122を制御することにより、当該モータ駆動部122においてモータ軸109Aに駆動電流を供給してモータ109を駆動することにより当該モータ109の回転子を比較的低速で回転させる。
【0193】
従ってCPU120は、このときモータ109の回転子と共に振動子110を回転させるものの、その回転速度を比較的低速にすることでモータ軸109Aの周囲に生じる不均一な遠心力を極力小さくし、かくして携帯電話機100を振動させずにジョグダイヤル102の回転体103に対する回転によってユーザに着信を通知し得るようになされている。
【0194】
これによりCPU120は、本体部101に対して表示部2が開いた状態で通話の着信があったとき、液晶ディスプレイ13によって確認させた相手がその時点では通話を拒否したい相手であるにもかかわらずに、着信の通知による携帯電話機100の振動でユーザによりいずれかの操作キー16が誤って押下操作されて、望んでもいない通話が開始されることを防止することができ、かくして通話の相手を確認させたうえで適確に通話を開始することができるようになされている。
【0195】
以上の構成において、携帯電話機100は、ジョグダイヤル102の回転体103内に当該回転体103と共に回転子を回転させるモータ109を収納し、当該ジョグダイヤル102の回転体103が回転操作されると(ステップSP21)、これに応じてモータ109の固定子が発生する電圧の符号に従って回転体103に対する回転方向を検出する。
【0196】
従って携帯電話機100は、ジョグダイヤル102の回転体103が回転操作されると、当該回転体103がいずれの方向に回転操作されても、その際にはモータ109によって1種類の電圧しか発生しないことにより、当該1種類の電圧の符号に従って回転体103の回転方向を容易かつ確実に検出することができる。
【0197】
また携帯電話機100は、モータ109で発生した正弦波状の電圧を波形整形して方形波でなる回転検出信号として取り込んでいるものの、通常モータ109のN極及びS極の磁石が、従来の携帯電話機に設けられたロータリエンコーダの歯数よりも少ないことにより、ジョグダイヤル102の回転体103が比較的速く回転操作されても回転検出信号に対してチャタリングが発生することを防止することができ、かくして回転体103の回転方向を適確に検出することができる。
【0198】
因みに携帯電話機100は、ジョグダイヤル102の回転体103が比較的速く回転操作されたことにより、仮に回転検出信号にチャタリングが発生しても、従来の携帯電話機のように2種類の磁界検出信号の位相差に基づいて回転体103の回転方向を検出するわけではなく、モータ109で発生した電圧の符号に従って回転体103の回転方向を検出することで、チャタリングの発生になんら影響を受けずに回転体103の回転方向を検出することができる。
【0199】
以上の構成によれば、携帯電話機100は、ジョグダイヤル102の回転体103が回転操作されたとき、当該回転体103と共にモータ109の回転子を回転させて回転方向に応じた符号の電圧を発生し、当該発生した電圧の符号に従って回転体103の回転方向を検出するようにしたことにより、回転体103の回転方向に応じた、符号の異なる1種類の回転検出信号だけを用いて当該電圧の符号を検出する簡易な処理で回転体103の回転方向を適確に検出して回転方向検出時の処理負荷を低減することができ、かくして回転体103の回転方向を容易に検出し得る携帯電話機を実現することができる。
【0200】
また携帯電話機100は、ジョグダイヤル102の回転体103に対する回転方向の検出に用いるモータ109を着信通知用としても兼用することにより、携帯電話機100の構成が煩雑化することを防止することができる。
【0201】
なお上述した第2の実施の形態においては、図15について上述したモータ軸109Aを介して電圧を出力し、かつ駆動電流を入力するモータ109を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図20に示すように、モータ軸130Aの中央部に設けられた固定子及び回転子でなるモータ本体130Bの一端面に円環状の2つの入出力端子130C及び130Dを同心円状に配置し、当該2つの入出力端子130C及び130Dにそれぞれ摺接する2個の固定端子130E及び130Fを介して電圧を出力し、かつ駆動電流を入力するモータ130を用いるようにしても良い。
【0202】
また上述した第2の実施の形態においては、回転検出部123においてモータ109で発生した正弦波状の電圧を波形整形して方形波でなる回転検出信号としてCPU120に送出するようにした場合にについて述べたが、本発明はこれに限らず、回転検出部123においてモータ109で発生した電圧を差動増幅回路(又はオペアンプ等)で増幅した状態でCPU120に送出するようにしても良く、このようにすれば、回転検出部123の処理負荷を低減させることができる。
【0203】
さらに上述した第2の実施の形態においては、モータ109を利用して着信を通知する際に本体部101に対して表示部2が閉じている状態のときには携帯電話機100を振動させ、当該本体部101に対して表示部2が開いている状態のときには携帯電話機100を振動させずにジョグダイヤル102の回転体103を回転させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、本体部101に対して表示部2が開いている状態では、携帯電話機100を振動させるか否かを予め任意に選択させるようにしても良く、本体部101に対して表示部2が開いている状態で携帯電話機100を振動させれば、ジョグダイヤル102の回転体103を単に回転させるときよりもユーザに対して着信を確実に通知することができる。
【0204】
さらに上述した第2の実施の形態においては、回転体21にモータ109を収納するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、回転体21の周囲にモータ109を配置し、当該回転体21の回転と共に、ギヤを介してモータの固定子に対して回転子を相対的に回転させるようにしても良い。
【0205】
(3)他の実施の形態
なお上述した第1及び第2の実施の形態においては、本発明による回転方向検出装置を図1乃至図20について上述した携帯電話機1及び100に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、選択項目に対する選択命令を入力するための回転体や、音量及び受信周波数の調整に用いられる回転体等のように、中心軸を中心にして一方向及び他方向に回転可能な回転体が設けられたものであれば、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistance )、オーディオ機器、ビデオテープレコーダ等のように、この他種々の回転方向検出装置に広く適用することができる。
【0206】
また上述した第1及び第2の実施の形態においては、中心軸を中心にして一方向及び他方向に回転可能な回転体として、図1乃至第20について上述したジョグダイヤル20及び102の円筒状の回転体21及び103を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、円盤状の回転体や、2つの筐体を折り畳み可能に連結するヒンジ部、図1及び図14について上述したカメラ部11等のように、この他種々の回転体を広く適用することができる。
【0207】
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、入出力基板の入力端子に信号を供給する信号供給手段として、図1乃至図13について上述したCPU60及びキーマトリックス70を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、CPU単体等のように、この他種々の信号供給手段を広く適用することができる。
【0208】
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、回転体が回転したとき、信号入出力基板の入力端子と端子導通用基板の導通パターンを介して導通した出力端子から出力される信号に基づいて、入力端子に対する複数の出力端子の導通の順番を検出する導通順番検出手段として、図1乃至図13について上述したCPU60及びキーマトリックス70を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、CPU単体等のように、この他種々の導通順番検出手段を広く適用することができる。
【0209】
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、導通順番検出手段によって検出された信号入出力基板の入力端子に対する複数の出力端子の導通した順番に従って回転体の回転方向を検出する回転方向検出手段として、図1乃至図13について上述したCPU60を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、マイクロプロセッサ等のように、この他種々の回転方向検出手段を広く適用することができる。
【0210】
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、回転体が回転したとき、モータの発生した電圧の符号に従って回転体の回転方向を検出する回転方向検出手段として、図14乃至図20について上述したCPU120及び回転検出部123を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、CPU単体等のように、この他種々の回転方向検出手段を広く適用することができる。
【0211】
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、外部から送信された信号を受信する受信手段として、図14乃至図20について上述した送受信処理部63及びアンテナ10を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、外部の機器から所定の信号線を介して送信された信号を受信するインターフェース回路等のように、この他種々の受信手段を広く適用することができる。
【0212】
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、回転体と共に固定子に対して回転子が相対的に回転する際の回転中心軸に対して偏心した状態でモータによって回転される振動子として、図14乃至図20について上述した円盤状の振動子110を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、断面楕円形のカム等のように、この他種々の振動子を広く適用することができる。
【0213】
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、受信手段により信号が受信されたとき、回転体の回転方向の検出に用いるモータを信号の受信の通知に兼用して当該モータを回転駆動することにより信号の受信を通知する受信通知手段として、図14乃至図20について上述したCPU120及びモータ駆動部122を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、マイクロプロセッサ等のように、この他種々の受信通知手段を広く適用することができる。
【0214】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、端子形成面に1個の入力端子と、複数の出力端子とが互いに絶縁された状態で形成された信号入出力基板と、当該信号入出力基板の端子形成面と対向する対向面に、中心軸を中心にして一方向及び他方向に回転可能な回転体の回転と共に端子形成面に対して当該対向面が相対的に回転した際に、入力端子に対して複数の出力端子を回転体の回転方向に応じた、異なる順番で導通させる所定の導通パターンが形成された端子導通用基板とのうち、信号供給手段により信号入出力基板の入力端子に信号を供給した状態で回転体が回転すると、導通順番検出手段により信号入出力基板の入力端子と端子導通用基板の導通パターンを介して導通した出力端子から出力される信号に基づいて、入力端子に対する複数の出力端子の導通の順番を検出し、回転方向検出手段により信号入出力基板の入力端子に対する複数の出力端子の導通した順番に従って回転体の回転方向を検出するようにしたことにより、回転体が回転したとき、信号入出力基板の複数の出力端子から順番に出力される1種類の信号だけを用いて、入力端子に対する複数の出力端子の導通の順番を検出する簡易な処理で回転体の回転方向を適確に検出して回転方向検出時の処理負荷を低減することができ、かくして回転体の回転方向を容易に検出し得る回転方向検出装置を実現することができる。
【0215】
また本発明によれば、中心軸を中心にして一方向及び他方向に回転可能な回転体が回転したとき、当該回転体と共にモータの固定子に対して回転子を回転させて固定子と回転子との間の磁界が変化することにより回転体の回転方向に応じた、異なる符号の電圧を発生させ、回転方向検出手段により、モータの発生した電圧の符号に従って回転体の回転方向を検出するようにしたことにより、回転体が回転したときに、当該回転体の回転方向に応じて符号の異なる1種類の電圧だけを用いて、当該電圧の符号を検出する簡易な処理で回転体の回転方向を適確に検出して回転方向検出時の処理負荷を低減することができ、かくして回転体の回転方向を容易に検出し得る回転方向検出装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による携帯電話機の外観構成の第1の実施の形態を示す略線的斜視図である。
【図2】ジョグダイヤルの構成を示す略線的分解斜視図である。
【図3】信号入出力基板の構成を示す略線的正面図である。
【図4】端子導通用基板の構成を示す略線的正面図である。
【図5】回転体の一方向への回転時の入力端子に対する第1乃至第3の出力端子の導通の説明に供する略線図である。
【図6】回転体の他方向への回転時の入力端子に対する第1乃至第3の出力端子の導通の説明に供する略線図である。
【図7】回転体の回転方向に応じた入力端子に対する第1乃至第3の出力端子の導通の順番の説明に供する略線図である。
【図8】携帯電話機の回路構成を示すブロック図である。
【図9】操作部の回路構成を示すブロック図である。
【図10】回転方向検出処理手順を示すフローチャートである。
【図11】他の実施の形態による信号入出力基板の構成を示す略線的正面図である。
【図12】他の実施の形態による信号入出力基板の構成を示す略線的正面図である。
【図13】他の実施の形態による端子導通用基板の構成を示す略線的正面図である。
【図14】第2の実施の形態による携帯電話機の外観構成を示す略線的斜視図である。
【図15】ジョグダイヤルの構成を示す略線的分解斜視図である。
【図16】回転体に対するモータの収納の説明に供する略線的側面図である。
【図17】携帯電話機の回路構成を示すブロック図である。
【図18】回転検出部の回路構成を示すブロックである。
【図19】回転方向検出処理手順を示すフローチャートである。
【図20】他の実施の形態によるモータの構成を示す略線的斜視図である。
【符号の説明】
1、100……携帯電話機、20、101……ジョグダイヤル、21、102……回転体、26、96……端子導通用基板、27、81、89……信号入出力基板、31、75、83……入力端子、32、76、84……第1の出力端子、34、77、85……第2の出力端子、36、78、86……第3の出力端子、42乃至47、90乃至95……第1乃至第6の端子、48乃至50……第1乃至第3の配線、60、120……CPU、62……操作部、67、124……フラッシュメモリ、70……キーマトリックス、109……モータ、110……振動子、122……モータ駆動部、123……回転検出部、RT1、RT2……回転方向検出処理手順。
Claims (6)
- 中心軸を中心にして一方向及び他方向に回転可能な回転体と、
端子形成面に1個の入力端子と、複数の出力端子とが互いに絶縁された状態で形成された信号入出力基板と、
上記信号入出力基板の上記端子形成面と対向する対向面に、当該対向面が上記回転体の回転と共に上記端子形成面に対して相対的に回転した際に、上記入力端子に対して上記複数の出力端子を上記回転体の回転方向に応じた、異なる順番で導通させる所定の導通パターンが形成された端子導通用基板と、
上記信号入出力基板の上記入力端子に信号を供給する信号供給手段と、
上記回転体が回転したとき、上記信号入出力基板の上記入力端子と上記端子導通用基板の上記導通パターンを介して導通した上記出力端子から出力される上記信号に基づいて、上記入力端子に対する上記複数の出力端子の導通の順番を検出する導通順番検出手段と、
上記導通順番検出手段によって検出された上記信号入出力基板の上記入力端子に対する上記複数の出力端子の導通した順番に従って上記回転体の回転方向を検出する回転方向検出手段と
を具えることを特徴とする回転方向検出装置。 - 上記端子導通用基板は、
上記対向面に、複数の端子と、当該複数の端子のうち所定の端子同士を電気的に接続する配線とからなる上記導通パターンが形成され、当該導通パターンに対して、上記信号入出力基板の上記入力端子といずれか1個の上記出力端子とを導通させたとき、他の上記出力端子に接触しないように形成位置及び大きさが選定された
ことを特徴とする請求項1に記載の回転方向検出装置。 - 端子形成面に1個の入力端子と、複数の出力端子とが互いに絶縁された状態で形成された信号入出力基板と、当該信号入出力基板の上記端子形成面と対向する対向面に、中心軸を中心にして一方向及び他方向に回転可能な回転体の回転と共に上記端子形成面に対して上記対向面が相対的に回転した際に、上記入力端子に対して上記複数の出力端子を上記回転体の回転方向に応じた、異なる順番で導通させる所定の導通パターンが形成された端子導通用基板とのうち、上記入出力基板の上記入力端子に信号を供給する信号供給ステップと、
上記回転体が回転したとき、上記信号入出力基板の上記入力端子と上記端子導通用基板の上記導通パターンを介して導通した上記出力端子から出力される上記信号に基づいて、上記入力端子に対する上記複数の出力端子の導通の順番を検出する導通順番検出ステップと、
上記信号入出力基板の上記入力端子に対する上記複数の出力端子の導通した順番に従って上記回転体の回転方向を検出する回転方向検出ステップと
を具えることを特徴とする回転方向検出方法。 - 中心軸を中心にして一方向及び他方向に回転可能な回転体と、
上記回転体が回転したとき、当該回転体と共に固定子に対して回転子が回転して上記固定子と上記回転子との間の磁界が変化することにより上記回転体の回転方向に応じた、異なる符号の電圧を発生するモータと、
上記回転体が回転したとき、上記モータの発生した上記電圧の符号に従って上記回転体の上記回転方向を検出する回転方向検出手段と
を具えることを特徴とする回転方向検出装置。 - 外部から送信された信号を受信する受信手段と、
上記回転体と共に上記固定子に対して上記回転子が相対的に回転する際の回転中心軸に対して偏心した状態で上記モータによって回転される振動子と、
上記受信手段により上記信号が受信されたとき、上記回転体の上記回転方向の検出に用いる上記モータを上記信号の受信の通知に兼用して当該モータを回転駆動することにより上記信号の受信を通知する受信通知手段と
を具えることを特徴とする請求項4に記載の回転方向検出装置。 - 中心軸を中心にして一方向及び他方向に回転可能な回転体が回転したとき、当該回転体と共にモータの固定子に対して回転子を回転させることにより上記固定子と上記回転子との間の磁界の変化によって上記回転体の回転方向に応じた、異なる符号の電圧を発生する電圧発生ステップと、
上記モータの発生した上記電圧の符号に従って上記回転体の上記回転方向を検出する回転方向検出ステップと
を具えることを特徴とする回転方向検出方法。
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