JP2004346005A - 毛髪保護剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、毛髪保護剤に関し、さらに詳しくは、毛髪の水分保持機能を回復させることで、毛髪にみずみずしさとやわらかさを付与することができるとともに、毛髪のおさまりを向上させることができる毛髪保護剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
毛髪の洗髪にあたっては、通常、シャンプーを使用し、頭皮や毛髪表面に付着した分泌物やフケ、外部から付着した汚れなどを取り除き、洗い流した後、毛髪の損傷を回復させたり、毛髪に油分を補給するために、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアコンディショナーなどの毛髪保護剤が使用され、その使用によって、毛髪に柔軟性を付与するとともに、毛髪に周囲の水分変化に対する抵抗力や広がりを抑制する作用を付与することが期待されている。
【0003】
しかしながら、これまでに提案されてきた毛髪保護剤は、毛髪に周囲の水分変化に対する抵抗力を充分に付与できるものが少なく、そのため、毛髪に周囲の水分変化に対する抵抗力を付与して、毛髪の広がりを抑制することができるとともに、毛髪に柔軟性を付与することができる毛髪保護剤の出現が強く望まれている。
【0004】
そのため、臭化タイプのカチオン性界面活性剤と、ショ糖脂肪酸エステルと、ノニオン性界面活性剤と、アミノ変性シリコーンとを配合することによって、毛髪に周囲の水分変化に対する抵抗力を付与できるようにした毛髪保護剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−332216号公報(第1頁)
【0006】
しかしながら、上記毛髪保護剤は、毛髪に周囲の水分変化に対する抵抗力を付与できるものの、毛髪の水分保持機能を回復させて、毛髪にみずみずしさとやわらかさを付与するとともに、毛髪のおさまりを向上させる機能までは備えていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、毛髪の水分保持機能を回復させ、それによって、毛髪にみずみずしさとやわらかさを付与することができるとともに、毛髪のおさまりを向上させることができる毛髪保護剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、塩基性アミノ酸と下記の一般式(I)で表される高分子化合物
【化2】
(式中、m=4〜7、n=3〜6、m+n=10の数を表す)
を含有させて毛髪保護剤を調製するときは、毛髪の水分保持機能を回復させることができ、それによって、毛髪にみずみずしさとやわらかさを付与することができるとともに、毛髪のおさまりを向上させることができる毛髪保護剤が得られることを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の毛髪保護剤が上記のような効果を発現することができる理由を、本発明の実施の形態とともに説明する。まず、本発明の毛髪保護剤が上記のような効果を発現することができる理由について説明すると、現在のところ必ずしも明確ではないが、次のように考えられる。すなわち、損傷を受けた毛髪は、その外部、内部を問わず、アニオン性のシステイン酸が多く存在し、そのアニオン性のシステイン酸が多く存在する部分にカチオン化度が高く、かつ保水機能が優れた塩基性アミノ酸を導入させることで毛髪の損傷部分に水分保持機能を効率よく回復させることができる。また、損傷の進んだ毛髪は、健康な毛髪に比べて、その細胞膜を形成している脂質成分が減少していると考えられている。そこで、その脂質と類似した特性を有する一般式(I)で表される高分子化合物を毛髪の細胞膜に供給して脂質成分を補うことによって、毛髪の細胞内の水分保持機能を回復させることができる。そして、これら塩基性アミノ酸による水分保持機能と一般式(I)で表される高分子化合物による水分保持機能とが相乗的に働いて、毛髪にみずみずしさ、やわらかさを付与することができるようになるとともに、毛髪のおさまりを向上させることができるようになる。
【0010】
本発明において用いる塩基性アミノ酸としては、例えば、L−アルギニン、L−リジン、L−ヒスチジンなどが挙げられるが、特にL−アルギニンがカチオン化度が高く、かつ保水機能が優れていることから好ましい。この塩基性アミノ酸は、損傷を受けた毛髪に対しても、水分保持機能を回復させる作用を有しているが、その毛髪保護剤中の含有量としては、0.01〜1質量%が好ましく、特に0.02〜0.3質量%が好ましい。すなわち、塩基性アミノ酸の毛髪保護剤中の含有量が上記範囲より少ない場合は、その効果が充分に発現しなくなるおそれがあり、また、塩基性アミノ酸の毛髪保護剤中の含有量が上記範囲より多い場合は、毛髪保護剤の安定性が低下するおそれがある。
【0011】
また、本発明においては、上記塩基性アミノ酸とともに、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドとの共重合体である一般式(I)で表される高分子化合物を毛髪保護剤中に含有させ、毛髪に水分保持機能を回復させるのに寄与させているが、この一般式(I)で表される高分子化合物の毛髪保護剤中の含有量としては、0.005〜0.5質量%が好ましく、特に0.025〜0.25質量%が好ましい。すなわち、一般式(I)で表される高分子化合物の毛髪保護剤中の含有量が上記範囲より少ない場合は、その効果が充分に発現しなくなるおそれがあり、また、一般式(I)で表される高分子化合物の毛髪保護剤中の含有量が上記範囲より多い場合は、毛髪保護剤の安定性が低下するおそれがある。そして、このような一般式(I)で表される高分子化合物の好適な市販品としては、例えば、日本油脂(株)から上市されているLIPIDURE−C(商品名)などが挙げられる。なお、上記一般式(I)中のm、n、m+nは、理論的には整数であるが、測定値は平均値になって、小数点以下の数値が付く場合がある。
【0012】
本発明の毛髪保護剤は、塩基性アミノ酸と一般式(I)で表される高分子化合物とを必須成分として水または水を主剤とする水性液に溶解または分散させることによって調製される。そして、その調製にあたっては、上記の必須成分以外にもそれらの効果を損なわない範囲で他の成分を適宜添加することができる。
【0013】
そのような添加成分としては、例えば、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、油性成分、湿潤剤、防腐剤、キレート剤、香料、着色剤などが挙げられる。これらの任意成分に関しては特に限定されることはないが、上記カチオン性界面活性剤としては、例えば、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルトリメチルアンモニウムなどのアルキル4級化アンモニウム塩、あるいはアルキルピリジウム塩などが好適に用いられ、非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油などが好適に用いられ、アニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、α−オレフィン酸ナトリウムなどが好適に用いられ、両性界面活性剤としては、例えば、ベタインなどが好適に用いられ、油性成分としては、例えば、アボカド油、ヒマシ油などの油脂、軽質流動イソパラフィン、スクワランなどの炭化水素、高重合メチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーンなどのシリコーン類、セタノール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール類などが好適に用いられ、湿潤剤としては、例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、マルチトール、ピロリドンカルボン酸パラオキシ安息香酸プロピル、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノールなどが好適に用いられる。
【0014】
【実施例】
つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例などにおいては、毛髪保護剤全体で100%になるように、各成分の配合量(毛髪保護剤中の含有量)を%で示すが、その%はいずれも質量%であり、また、表中ではその%の表示を省略し、配合量を示す数値のみで表示する。
【0015】
実施例1〜7および比較例1〜3
表1および表2に示す組成で10種類の毛髪保護剤を調製した。それらの調製にあたって、塩基性アミノ酸としてはL−アルギニンを用い、一般式(I)で表される高分子化合物としては日本樹脂(株)から上市されているLIPIDURE−C(商品名)〔式中のm=7、n=3、m+n=10の一般式(I)で表される高分子化合物〕を用いた。なお、表中に示す配合成分で※印を付けたものについては、表2の後で説明する。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
※1:LIPIDURE−C(商品名)、前記のように、日本油脂(株)から上市されているm=7、n=3、m+n=10の一般式(I)で表される高分子化合物
※2 KF−8005〔商品名、信越化学工業(株)製〕のアミノ変性シリコーン
【0019】
上記実施例1〜7および比較例1〜3の毛髪保護剤を、後記のブリーチ処理とパーマネントウエーブ処理を施すことによって損傷を受けさせた毛髪に対して、それぞれ0.5gずつ塗布し、水洗および乾燥後の毛髪の感触(「みずみずしさ」および「やわらかさ」)と毛髪の見た目のおさまりについて20名の専門パネラーに官能評価させ、下記の評価基準で20名のパネラーが付けた評価点を合計して総合的な評価を行った。
【0020】
評価点:
5点:非常に良い
4点:良い
3点:普通
2点:悪い
1点:非常に悪い
【0021】
総合評価:
◎:点数の合計が80点以上
○:点数の合計が60点以上80点未満
△:点数の合計が40点以上60点未満
×:点数の合計が20点以上40点未満
【0022】
毛髪に損傷を受けさせるためのブリーチ処理とパーマネントウエーブ処理は、次に示すように行った。
【0023】
まず、ブリーチ処理のためのブリーチ剤は、35%過酸化水素水17.14%を含み精製水で全量を100%としたものと、25%アンモニア水1.00%を含み精製水で全量を100%にしたものとを等量混合して調製した。
【0024】
また、パーマネントウエーブ処理のための第1剤としては、DL−システイン塩酸塩5.5%とアセチルシステイン0.5%と50%チオグリコール酸アンモニウム液1.8%と80%モノエタノールアミン液4.7%を含み、25%アンモニア水でpH9.3に調整し、精製水で全量を100%にしたものを用意し、第2剤としては、臭素酸ナトリウム6.5%とクエン酸0.1%とリン酸0.05%とリン酸水素−水素ナトリウム0.5%を含み、精製水で全量を100%にしたものを用意した。
【0025】
そして、ブリーチ処理は、上記ブリーチ処理液100ml中に長さ20cm、質量2gの毛束を浸漬し、35℃の高温振盪器中にて30分間振盪することによって行い、パーマネントウエーブ処理は、それら全体を前記パーマネントウエーブ用第1剤100ml中に浸漬し、35℃の恒温振盪器中にて30分間振盪し、精製水で水洗した後、それら全体を前記パーマネントウエーブ用第2剤100mlに浸漬し、35℃で30分間振盪し、精製水で水洗した後、自然乾燥することによって行い、このブリーチ処理とそれに続くパーマネントウエーブ処理をそれぞれ3回ずつ繰り返して毛髪に損傷を受けさせた。このようにして損傷を受けさせた毛髪に対して前記のような実施例1〜7および比較例1〜3の毛髪保護剤で処理した場合の毛髪の感触(みずみずしさおよびやわらかさ)と毛髪の見た目のおさまりについての評価結果を表3に示す。
【0026】
【表3】
【0027】
表3に示すように、実施例1〜7の毛髪保護剤は、毛髪にみずみずしさとやわらかさを付与することができるとともに、毛髪のおさまりを向上させることができた。これは、実施例1〜7の毛髪保護剤では、損傷を受けた毛髪に対しても、水分保持機能を回復させることができることによるものと考えられる。
【0028】
これに対して、塩基性アミノ酸および一般式(I)で表される高分子化合物のいずれも含有させていない比較例1の毛髪保護剤では、毛髪にみずみずしさややわらかさを付与することができず、もとより、毛髪の見た目のおさまりも向上させることができなかった。また、塩基性アミノ酸としてL−アルギニンを含有させたもの、一般式(I)で表される高分子化合物を含有させていない比較例2の毛髪保護剤では、毛髪に若干のみずみずしさとやわらかさを付与することができたものの、毛髪の見た目のおさまりを向上させることができなかった。そして、一般式(I)で表される高分子化合物を含有させたものの、塩基性アミノ酸を含有させていない比較例2の毛髪保護剤では、毛髪に若干のやわらかさを付与することができたものの、その程度が低く、毛髪にみずみずしさを付与するにいたらなかった上に、毛髪の見た目のおさまりも向上させることができなかった。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、毛髪に水分保持機能を回復させることで、毛髪にみずみずしさとやわらかさを付与することができるとともに、毛髪のおさまりを向上させることができる毛髪保護剤を提供することができる。
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