JP2004345966A - 血管塞栓用懸濁液及びその製造方法 - Google Patents

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一美 後藤
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Abstract

【課題】高吸水性樹脂粒子の粒子径のコントロールが可能であり、血管内に注入されたときに高吸水性樹脂粒子が収縮することが無く、好適な膨潤性を有する高吸水性樹脂粒子を備えた血管塞栓用懸濁液及びその製造方法を提供する。
【解決手段】高吸水性樹脂粒子が非イオン性造影剤に懸濁された血管塞栓用懸濁液において、一価の陽イオンの塩(NaClやKCl)が含まれ、一価の陽イオンの塩の濃度により、高吸水性樹脂粒子の平均粒子径の大きさが制御されている。一価の陽イオンの塩の溶液の濃度は、0.20〜5.0重量%が好ましく、0.20〜1.0重量%がさらに好ましい。この結果、高吸水性樹脂粒子の膨潤後の平均粒子径は、膨潤前の平均粒子径の2〜4倍に膨潤する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は血管の特定部位を塞栓するのに使用される血管塞栓用懸濁液及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、血管の特定部位を塞栓するための血管塞栓用懸濁液として、高吸水性樹脂粒子(例えばアクリル酸ソーダ−ビニルアルコール共重合体を主成分とする)と油性造影剤若しくはイオン性造影剤との懸濁液が用いられている。高吸水性樹脂粒子は、油性造影剤に懸濁された場合、懸濁時にその平均粒子径とほぼ同様の粒子径のままで懸濁される(特許文献1参照)。一方、高吸水性樹脂粒子は、イオン性造影剤に懸濁された場合には、懸濁時に平均粒子径の2倍まで膨潤する。血管内に注入された高吸水性樹脂の粒子は懸濁液中の粒子径を保ちながら所定の部位まで到達し、さらに血液中の水分を吸収し、元の4倍まで膨潤することで、血管を隙間なく塞栓することができる。
【0003】
高吸水性樹脂粒子を上記造影剤と懸濁させた際、膨潤したときの粒子径が目的とする血管径相当となるような平均粒子径を持つ粒子を選択することで血管の所望部位を塞栓することが可能となる。
【0004】
ところで、油性造影剤は粘稠度が高く、血管内への注入が困難であること、発熱や肺塞栓などの副作用があるという欠点がある。又、イオン性造影剤は現在市販されている造影剤の主流となっている非イオン性造影剤と比較して副作用が4倍程度の頻度で発生し、副作用の発生が多いという臨床報告がある。
【0005】
すなわち、イオン性造影剤の溶液は毒性が高く、さらに血漿に対する浸透圧が高いため、注射後に患者に苦痛を与える場合がある。又、イオン性造影剤は、対カチオン(ナトリウムイオン,カルシウムイオン等)が高濃度で存在する。このことによって、毒性が高くなる。又、血漿容量の上昇が起こり、その結果、心血管に対する悪影響が出る。
【0006】
このことから、懸濁用造影剤として非イオン性造影剤の使用が望まれている。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−56676号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、非イオン性造影剤に高吸水性樹脂粒子を懸濁させた場合、高吸水性樹脂粒子が図5に示すように、その平均粒子径の5倍まで膨潤する性質がある。図5は、高吸水性樹脂粒子としての高吸水性ポリマーを、油性造影剤、イオン性造影剤、血清、非イオン性造影剤の溶媒中に入れた場合の高吸水性ポリマーの膨潤度を示している。前記高吸水性ポリマーはアクリル酸ソーダ−ビニルアルコール共重合体、油性造影剤はヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステルである。又、前記イオン性造影剤はイオキサグル酸、非イオン性造影剤はイオメプロールである。
【0009】
なお、この明細書で膨潤度とは、膨潤する前の平均粒子径に対する膨潤後の平均粒子径(以下、平均膨潤径という)の比である。同図において、油性造影剤に高吸水性ポリマーを入れたときには、膨潤度が1.0となっているが、油性造影剤を使用した段階では、高吸水性ポリマーが膨潤していないことを意味する。
【0010】
すなわち、高吸水性ポリマーは、油性造影剤に懸濁されると、前述したように当初のままの平均粒子径であるが、血管内(血清内)に注入されると、4倍になることが分かる。又、高吸水性ポリマーが、イオン性造影剤に懸濁されると、平均粒子径の2倍となり、この状態で、血管内(血清内)に注入されると、4倍になることが分かる。
【0011】
一方、高吸水性ポリマーが非イオン性造影剤に懸濁されると、平均粒子径が5倍に膨潤し、この状態で、血管内(血清内)に注入されると、血管内において4倍に収縮することが分かる。このように、非イオン性造影剤に高吸水性ポリマーを懸濁した後に、血管内に懸濁液が注入された際に血液中での膨潤度が4倍になって収縮するため、収縮によって、所定の部位より末梢側へ移動してしまい、所定の部位での停留が困難であるという問題がある。
【0012】
そこで、非イオン性造影剤に高吸水性樹脂粒子を懸濁する場合、血管内に注入される以前の懸濁状態では、高吸水性樹脂粒子の平均粒子径が、コントロール(制御)されて膨潤が抑制された血管塞栓用懸濁液の開発が望まれている。
【0013】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高吸水性樹脂粒子の粒子径のコントロールが可能であり、血管内に注入されたときに高吸水性樹脂粒子の収縮が無く、好適な膨潤性を有する高吸水性樹脂粒子を備えた血管塞栓用懸濁液及びその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、高吸水性樹脂粒子が非イオン性造影剤に懸濁された血管塞栓用懸濁液において、前記懸濁液には、一価の陽イオンの塩が含まれ、前記一価の陽イオンの塩の濃度により、前記高吸水性樹脂粒子の平均粒子径の大きさが制御されていることを特徴とする血管塞栓用懸濁液を要旨とするものである。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1において、前記一価の陽イオンの塩の溶液の濃度は、0.20〜5.0重量%であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1において、前記一価の陽イオンの塩の溶液の濃度は、0.20〜1.0重量%であることを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1において、前記高吸水性樹脂粒子の平均粒子径は、膨潤前の平均粒子径の2〜4倍に膨潤されていることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項において、前記一価の陽イオンの塩が塩化ナトリウム又は塩化カリウムであることを特徴とする。
【0017】
請求項6の発明は、非イオン性造影剤に対して高吸水性樹脂粒子を懸濁する以前又は以後、或いは同時に、所定濃度となるように前記非イオン性造影剤に一価の陽イオンの塩を投入することを特徴とする血管塞栓用懸濁液の製造方法を要旨とするものである。
【0018】
請求項7の発明は、請求項6において、前記所定濃度は、0.20〜5.0重量%であることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項6において、前記所定濃度は、0.20〜1.0重量%であることを特徴とする。
【0019】
請求項9の発明は、請求項6において、前記高吸水性樹脂粒子の平均粒子径は、膨潤前の平均粒子径の2〜4倍に膨潤されていることを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項6乃至請求項9のうちいずれか1項において、前記一価の陽イオンの塩が塩化ナトリウム又は塩化カリウムであることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施形態を図1〜図5を参照して説明する。
本発明において、対象としている高吸水性樹脂は、水中において、多量の水分を吸収して膨潤する公知の高吸水性ポリマーであって下記のものを代表例として挙げることができるが、これらに限定するものではない。
【0021】
1)高吸水性ポリマー
ポリアクリル酸塩架橋物
架橋イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の中和物
デンプン−アクリル酸グラフト重合体の中和物
デンプン−アクリロニトリルグラフト共重合体ケン化物
デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物
デンプン・ポリアクリル酸塩
酢酸ビニル−不飽和ジカルボン酸共重合体ケン化物
酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物
酢酸ビニル・アクリル酸共重合体
酢酸ビニル・アルキル(メタ)アクリレート共重合体加水分解物の金属塩
アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物
カルボキシメチルセルロース架橋体
ポリアルギン酸
アクリル酸・アクリルアミド共重合体
ビニルアルコール−アクリル酸−無水マレイン酸共重合体架橋物
ポリアクリロニトリルグラフト共重合体ケン化物
ポリスチレンスルホン酸
ポリビニルピリジン
ここで、高吸水性ポリマーの吸水性発現の原理について説明する。
【0022】
上記高吸水性ポリマーは、イオン性基を有する電解質ポリマー、又は多くの水酸基を有する親水性ポリマーをわずかに架橋することによって作られている。図1は高吸水性ポリマーである酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物の1例として、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸系ポリマーの推定構造である。ポリビニルアルコールの「海」の中にポリアクリル酸ナトリウムの「島」が浮かんだようになっており、結晶化されたそれぞれの「島」を架橋した3次元網目構造をとっている。
【0023】
吸水の原理はP.J.Floryによって「イオン網目構造」として説明されている。これによると、吸水力を付与する要因は、
(1) 高分子電解質と水との親和力
(2) ゲルの内側の方が可動イオン濃度(例えば、ナトリウムイオン)が高いために発生する浸透圧の2種となる。又、吸水力を抑制する要因は網目構造によるゴム弾性力であり、これらのバランスから吸水力が下記式で決定される。
【0024】
吸水力=(イオンの浸透圧+高分子電解質と水との親和力)÷橋かけ密度…(A)
この式(A)より、吸水力を大きくするには、
(1)外部溶液のイオン濃度を低くする。
【0025】
(純水のとき最も吸水力は高くなる)
(2)水との親和力を大きくする。即ち、−COOHや−COONaのような親水基を多くする。
【0026】
(3)橋かけ密度を小さくする。
である。
水に接したとき、ポリマー内で生じている反応がどのようなものかを、図1、図2で示したポリビニルアルコール−ポリアクリル酸系ポリマーを例にして考えてみる。図2はゲル構造の模式図である。
【0027】
この中に含まれるカルボン酸ナトリウム基(−COONa)は親水基で、網目構造の中に水が入ってくると、Naが解離して水中に移動し、分子鎖にはCOOが残る。この残った−COO同士が反発するため、網目構造は広げられて、さらに多くの水が入ってくる。一方、−COO同士は水分子を引き合うため、これによって水分子は親水基(−COO)に捉えられ、ポリマー内に保持される。このようにして瞬時に、大量の水を吸収する。
【0028】
適用部位或いは適用症例によって塞栓しようとする血管径が異なるため、上記の高吸水性樹脂粒子の好適な平均粒子径(乾燥時、即ち膨潤前)は、一概に決められないが、末梢の毛細血管よりも大きく、血管内に注入可能な程度に小さい粒子であればよい。このことから、5〜1000μmのものが適当な大きさである。これらの平均粒子径を適宜選択することにより、血管内に注入されると血液中の水分を吸入して膨潤し、所望の血管の部位を塞栓できる。
【0029】
本実施形態では、これらの高吸水性ポリマーを、所定濃度にされている一価の陽イオンの塩が溶けた非イオン性造影剤に懸濁させるが、該非イオン性造影剤の量は、高吸水性ポリマーが、所定濃度にされている一価の陽イオンの塩が溶けた非イオン性造影剤の元で最大まで膨潤し得る十分な量であれば良い。
【0030】
なお、高吸水性ポリマーを投入する順序は、上記説明では、非イオン性造影剤に対して一価の陽イオンの塩を所定濃度になるように溶け込ませ、その後高吸水性ポリマーを投入するように説明したが、これに限定するものではない。
【0031】
例えば、非イオン性造影剤に対して、高吸水性ポリマーを投入した後、一価の陽イオンの塩を所定濃度になるように溶け込ませてもよい。後述の方法であると、一旦、高吸水性ポリマーを、5倍程度に膨潤させた後、一価の陽イオンの塩を溶け込ませることにより収縮させることになる。
【0032】
又、高吸水性ポリマーと、一価の陽イオンの塩を同時に投入して一価の陽イオンの塩を所定濃度にしてもよい。
前記非イオン性造影剤としては、下記の物を挙げることができるが、これらに限定するものではない。
【0033】
2)非イオン性造影剤
イオパミドール、イオヘキソール、イオベルソール、イオメプロール、イオプロマイド、メトリザマイド、イオグラマイド
又、本実施形態では、上記の非イオン性造影剤に高吸水性樹脂粒子を懸濁させる場合、高吸水性樹脂粒子の平均粒子径を制御するために、一価の陽イオンの塩を使用する。一価の陽イオンの塩は、下記のものを挙げることができる。
【0034】
3) 一価の陽イオンの塩
塩化ナトリウム、塩化カリウム
一価の陽イオンの塩を、高吸水性樹脂粒子と非イオン性造影剤の懸濁液に溶け込ませて、その濃度を、所定濃度にする。前記濃度は、血液内に懸濁液を注入したときに高吸水性樹脂粒子が血液中の水分を吸水して膨潤したときの膨潤度よりも小さい膨潤度となる濃度である。
【0035】
この一価の陽イオンの塩の濃度が適宜選択されることにより、上述した式(A)のイオンの浸透圧が変わり、吸水力の調整ができるのである。
本実施形態での濃度範囲(所定濃度)は、0.20〜5.0重量%が好ましい。0.20重量%未満であると、高吸水性樹脂粒子の膨潤度が大きすぎ、後で血液中に懸濁液を注入した場合、高吸水性樹脂粒子が収縮して、血管の末梢側に移動するという従来と同様の問題が生ずる。なお、本実施形態の好ましい膨潤度については後述する。
【0036】
5.0重量%を超えると、血管注入時の患者の血管痛が大きくなり好ましくない。さらに好適な濃度範囲は、0.20〜1.0重量%である。0.20〜0.90重量%では、さらに好ましい。0.90重量%が生理食塩水の濃度であるため、血管痛の発生の虞がなく好ましい。
【0037】
この濃度範囲内において、高吸水性樹脂粒子は、その濃度に応じた膨潤度を示す。従って、膨潤前の高吸水性樹脂の平均粒子径と、一価の陽イオンの塩の濃度が分かれば、懸濁液での膨潤度が予測できて、懸濁液中での膨潤後の高吸水性樹脂の平均粒子径が予測できるため、血管注入時に使用可能なマイクロカテーテルの最低限の大きさ(管径、特に内径)を容易に知ることができる。
【0038】
本実施形態の好ましい膨潤度について説明する。
前記濃度が5.0重量%では、高吸水性樹脂粒子の膨潤度は2倍付近となり、0.20重量%であると、高吸水性樹脂粒子の膨潤度は4倍となる。この例は、後述する実施例で説明する。
【0039】
従って、この濃度の範囲では、高吸水性樹脂粒子の膨潤度は2〜4倍となって、この膨潤度に高吸水性樹脂粒子の平均粒子径が制御された状態となる。そして、この状態で、懸濁液が血管内に注入されると、高吸水性樹脂粒子の膨潤度は4倍程度に増加し、すなわち、血管内に注入された後は、さらに高吸水性樹脂粒子は膨潤する。このように、本実施形態の好ましい膨潤度は2〜4倍である。
【0040】
【実施例】
以下、実施例について説明する。
実施例1〜4は、非イオン性造影剤として、イオメプロール(登録商標「イオメロン」:エーザイ社製)を使用し、高吸水性樹脂粒子としての酢酸ビニル−アクリル酸エステル重合体ケン化物であるスミカゲル(登録商標:住友化学工業製)を使用した。又、1価の陽イオンの塩として塩化ナトリウム(NaCl)を使用した。手順としては、下記の順序で行った。
【0041】
(手順)
(1) 非イオン性造影剤に対し、塩化ナトリウム(NaCl)を溶解させ、実施例1〜4の塩化ナトリウム(NaCl)の濃度を、それぞれ0.20重量%、0.30重量%、1.0重量%、5.0重量%とした。これを以下、溶液という。
【0042】
(2) 次に、前記高吸水性樹脂粒子をスパチュラ1かき分程度(おおよそ5〜10mg)分取し、分取した高吸水性樹脂粒子が最大まで膨潤し得る十分量の前記溶液を前記高吸水性樹脂粒子に加え、10分間静置した。この高吸水性樹脂粒子が混合された液を以下、懸濁液という。
【0043】
(3) その後、高吸水性樹脂粒子が懸濁状態のまま、前記懸濁液をマイクロスコープ(キーエンス製)にて膨潤後の粒子径[μm]を任意に50点測定し、膨潤後の平均粒子径(平均膨潤径)[μm]を求めた。
【0044】
又、予め、乾燥状態の高吸水性樹脂粒子について、任意に50点測定し、膨潤前(乾燥状態)の平均粒子径[μm]を求めた。
(4) 次式により、膨潤度を求めた。
【0045】
膨潤度=平均膨潤径/平均粒子径 [μm/μm]
又、実施例5〜8では、非イオン性造影剤及び高吸水性樹脂粒子は、前記実施例1〜4と同じ物を使用するとともに、1価の陽イオンの塩として塩化カリウム(KCl)を使用した。
【0046】
又、手順も実施例1〜4と同様に行った。なお、実施例5〜8の場合、手順(1)では、塩化カリウム(KCl)の濃度を0.25重量%、0.50重量%、1.0重量%、5.0重量%とした。
【0047】
比較例1は、非イオン性造影剤の代わりに、油性造影剤であるヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステルとして、リピオドールウルトラフルイド(日本シェーリング製)を使用し、前記手順(2)〜(4)に従い、膨潤度を求めた。
【0048】
比較例2は、非イオン性造影剤の代わりに、イオン性造影剤であるイオキサグル酸として、ヘキサブリックス(田辺製薬製)を使用し、前記手順(2)〜(4)に従い、膨潤度を求めた。
【0049】
比較例3は、非イオン性造影剤の代わりに、人血清を使用し、前記手順(2)〜(4)に従い、膨潤度を求めた。
比較例4は、1価の陽イオンの塩を入れないで、実施例と同じ非イオン性造影剤と高吸水性樹脂粒子を使用して、前記手順(2)〜(4)に従い、膨潤度を求めた。
【0050】
図3に実施例1〜実施例4の膨潤度を、図4に実施例5〜実施例8の膨潤度を図示した。
図3に示すように、膨潤度は、実施例1では3.93、実施例2では3.68、実施例3では2.93、実施例4では2.03であった。又、膨潤度は、実施例5では3.98、実施例6では3.57、実施例7では3.04、実施例8では、2.42であった。
【0051】
図5には、比較例1〜比較例4、及び実施例3の膨潤度を示している。図5に示すように、比較例1では膨潤度が1.0を示し、比較例2では膨潤度が2.0を示し、比較例3では膨潤度が4.0であり、比較例4では、5.0を示した。
【0052】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1乃至請求項5の発明によれば、高吸水性樹脂粒子の粒子径のコントロールが可能であり、血管内に注入されたときに、高吸水性樹脂粒子が収縮することがなく、好適な膨潤性を有する高吸水性樹脂粒子を備えた血管塞栓用懸濁液とすることができる。この結果、この血管塞栓用懸濁液を使用すれば、所望の血管部位から、末梢側へ高吸水性樹脂粒子が移動することがなくなり、血管塞栓を所望の血管部位にて行うことができる優れた効果を奏する。
【0053】
又、請求項6乃至請求項10の発明によれば、上記請求項1乃至請求項5に記載の血管塞栓用懸濁液をそれぞれ容易に得ることができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸系ポリマーの推定構造の説明図。
【図2】ゲル構造の模式図。
【図3】NaCl添加時の実施例1〜実施例4における膨潤度のグラフ。
【図4】KCl添加時の実施例5〜実施例8における膨潤度のグラフ。
【図5】比較例1〜比較例4、及び実施例3の膨潤度のグラフ。

Claims (10)

  1. 高吸水性樹脂粒子が非イオン性造影剤に懸濁された血管塞栓用懸濁液において、
    前記懸濁液には、一価の陽イオンの塩が含まれ、前記一価の陽イオンの塩の濃度により、前記高吸水性樹脂粒子の平均粒子径の大きさが制御されていることを特徴とする血管塞栓用懸濁液。
  2. 前記一価の陽イオンの塩の溶液の濃度は、0.20〜5.0重量%であることを特徴とする請求項1に記載の血管塞栓用懸濁液。
  3. 前記一価の陽イオンの塩の溶液の濃度は、0.20〜1.0重量%であることを特徴とする請求項1に記載の血管塞栓用懸濁液。
  4. 前記高吸水性樹脂粒子の平均粒子径は、膨潤前の平均粒子径の2〜4倍に膨潤されていることを特徴とする請求項1に記載の血管塞栓用懸濁液。
  5. 前記一価の陽イオンの塩が塩化ナトリウム又は塩化カリウムであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の血管塞栓用懸濁液。
  6. 非イオン性造影剤に対して高吸水性樹脂粒子を懸濁する以前又は以後、或いは同時に、所定濃度となるように前記非イオン性造影剤に一価の陽イオンの塩を投入することを特徴とする血管塞栓用懸濁液の製造方法。
  7. 前記所定濃度は、0.20〜5.0重量%であることを特徴とする請求項6に記載の血管塞栓用懸濁液の製造方法。
  8. 前記所定濃度は、0.20〜1.0重量%であることを特徴とする請求項6に記載の血管塞栓用懸濁液の製造方法。
  9. 前記高吸水性樹脂粒子の平均粒子径は、膨潤前の平均粒子径の2〜4倍に膨潤されていることを特徴とする請求項6に記載の血管塞栓用懸濁液の製造方法。
  10. 前記一価の陽イオンの塩が塩化ナトリウム又は塩化カリウムであることを特徴とする請求項6乃至請求項9のうちいずれか1項に記載の血管塞栓用懸濁液の製造方法。
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