JP2004345368A - ブレーキ制御装置及びそのプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】着陸後確実に航空機を停止できるブレーキ制御システムを提供する。
【解決手段】ウェイトオンホイールスイッチ(WOWS)9の異常により、着陸後もWOW信号がAIRの場合、回転判断装置8から出力されたタイヤ10の回転速度の検知結果によりブレーキ制御装置3は航空機が着陸していると判断する。このとき、WOW信号は誤りであるとブレーキ制御装置3は判断し、その旨を警告音等でパイロットに通知する。さらに、WOW信号が誤りと判断した以降はスピンアップオーバライドを起動させ続け、シャットオフバルブ4のバルブを開いた状態に維持する。
【選択図】 図1
【解決手段】ウェイトオンホイールスイッチ(WOWS)9の異常により、着陸後もWOW信号がAIRの場合、回転判断装置8から出力されたタイヤ10の回転速度の検知結果によりブレーキ制御装置3は航空機が着陸していると判断する。このとき、WOW信号は誤りであるとブレーキ制御装置3は判断し、その旨を警告音等でパイロットに通知する。さらに、WOW信号が誤りと判断した以降はスピンアップオーバライドを起動させ続け、シャットオフバルブ4のバルブを開いた状態に維持する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブレーキ制御装置及びそのプログラムに関し、さらに詳しくは、航空機の車輪が接地したか否かの情報及び車輪の回転速度に基づいてブレーキを制御するブレーキ制御装置及びそのプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
着陸後の航空機を減速させるために利用されるブレーキは左右の主脚にそれぞれ取り付けられている。ブレーキには油圧によりコントロールされるディスクブレーキが通常利用される。パイロットがブレーキペダルを踏み込むと、ディスクが油圧により左右の主脚のタイヤに密着され、ディスクとタイヤとの摩擦で航空機が減速する。
【0003】
着陸直前において、パイロットのブレーキペダルの踏み込みに応じてブレーキ圧がブレーキに加えられると、タイヤがロックされる。着陸時にロックされたタイヤが地面と接触すると、タイヤがバーストする危険が生じる。以上の問題を解決するため、航空機ではタッチダウンプロテクション制御とスピンアップオーバライド制御という2つのブレーキ制御が通常用いられる。
【0004】
タッチダウンプロテクション制御は、航空機が着陸したか否かを判断することによってブレーキの制御を行う。航空機が着陸したか否かの判断は、左右の主脚にそれぞれ取り付けられたウェイトオンホイールスイッチ(Weight on Wheel Switch:以下、WOWSと称する)を用いて行われる。WOWSから出力されるWOW(Weight on Wheel)信号がH(論理ハイ)レベル(以下、AIRと称する)のとき、航空機は飛行していると判断される。左右の両WOW信号の少なくとも一方がAIRの場合、タッチダウンプロテクションは起動する。このとき、ブレーキ圧をブレーキに供給するためのバルブが閉められ、パイロットのブレーキペダルの踏み込み量に関わらず、ブレーキ圧がフルリリースされる。一方、WOW信号がL(論理ロー)レベル(以下、GNDと称する)のとき、航空機は着陸していると判断される。WOWSは着陸により主脚に圧力が加わったとき、WOW信号をGNDにする。左右のWOW信号がGNDとなってから所定期間△t(たとえば3秒)経過後にタッチダウンプロテクションは解除される。このとき、バルブは開かれ、ブレーキ圧が徐々に加えられる。そのため、着陸時にタイヤはロックされない。
【0005】
スピンアップオーバライド制御は、主脚のタイヤの回転速度に基づいてブレーキ制御を行う。左右の主脚のタイヤの回転速度がともに第1所定値(たとえば40kts)よりも大きくなったとき、スピンアップオーバライドが起動する。その結果、バルブが開かれ、ブレーキ圧が徐々にブレーキに加えられる。航空機が低速で着陸した場合、タッチダウンプロテクション制御にのみ基づいて航空機は滑走路上で停止できる。しかしながら、航空機が高速で着陸した場合、WOW信号がGNDになってから3秒経過するまでに航空機は滑走路上のかなりの距離を走行するため、3秒経過してからブレーキが利くタッチダウンプロテクション制御のみでは滑走路上で停止できない可能性がある。そのため、航空機が高速で着陸した場合はスピンアップオーバライド制御に基づいて着陸後速やかに(3秒経過前に)ブレーキ圧が加えられる。
【0006】
ブレーキ圧が加えられると、航空機は減速する。減速した結果、タイヤの回転速度が第2所定値(たとえば20kts)よりも小さくなるとスピンアップオーバライドは解除され、再びタッチダウンプロテクション制御に基づいてブレーキ圧が加えられる。航空機が停止する前にスピンアップオーバライドを解除しなければ、次回の着陸時にスピンアップオーバライドが起動したままとなり、着陸直後にブレーキが利き、タイヤがロックする危険がある。そのため、機体が停止する前にスピンアップオーバライドは解除される。
【0007】
以上に説明したように、着陸後の航空機の停止動作はタッチダウンプロテクション制御及びスピンアップオーバライド制御の2つのブレーキ制御により行われる。しかしながら、WOWSが故障していた場合、航空機が停止できないといった問題が生じる。すなわち、WOWSが故障している場合、WOW信号は着陸後もAIRのままである。このとき、タイヤの回転速度が40ktsよりも大きいときはスピンアップオーバライドが起動してブレーキ圧が加えられるが、ブレーキ圧が加えられ機体が減速した結果、タイヤの回転速度が20kts以下となると、スピンアップオーバライドは解除され、再びタッチダウンプロテクションに基づいてブレーキが制御される。しかしながらWOWSの故障によりWOW信号はAIRのため、バルブは閉められ、ブレーキ圧がフルリリースとなる。その結果、航空機は停止できない。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−230831号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、着陸後確実に航空機を停止できるブレーキ制御システムを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によるブレーキ制御装置は、航空機の車輪のブレーキに加えられるブレーキ圧をバルブの開閉により制御するブレーキ制御装置であって、接地判断手段と、回転速度検知手段と、バルブ開閉手段と、故障判断手段とを備える。接地判断手段は車輪が接地したか否かを判断する。回転速度検知手段は車輪の回転速度を検知する。バルブ開閉手段は、接地判断手段の判断結果又は回転速度検知手段が検知した回転速度に基づいてバルブの開閉を制御する。故障判断手段は接地判断手段が車輪は接地していないと判断し、かつ回転速度検知手段が検知した回転速度が所定値よりも大きいとき、接地判断手段の判断結果が誤りであると判断する。
【0011】
本発明のブレーキ制御装置は、接地判断手段が車輪は接地していないと判断した場合であっても、回転速度検知手段が検知した回転速度が所定値よりも大きいとき、故障判断手段は接地判断手段の判断結果が誤りであると判断する。これにより、ブレーキ制御装置は、航空機の車輪が接地したか否かを判断するための装置(WOWS等)に何らかの異常が発生していることを把握できる。
【0012】
好ましくはさらに、ブレーキ制御装置は通知手段を備える。通知手段は接地判断手段の判断結果が誤りであると故障判断手段が判断した場合、航空機のパイロットに警告を通知する。
【0013】
この場合、通知手段の通知によりパイロットは航空機の異常を把握でき、異常に対して迅速に対応できる。なお、通知手段による通知は警告音や警告音声による通知でもよく、航空機のコクピット内のディスプレイに画面表示する通知でもよい。
【0014】
好ましくは、接地判断手段の判断結果が誤りであると故障判断手段が判断した場合、バルブ開閉手段はバルブを開いた状態に維持する。
【0015】
この場合、接地判断手段の判断結果が誤りであると故障判断手段が判断することにより、バルブ開閉手段はバルブを開いた状態に維持する。その結果、接地判断手段の判断結果が誤りであると判断された後は、ブレーキには常時ブレーキ圧が加えられる。その結果、航空機の車輪が接地したか否かを判断するための装置(WOWS等)に異常が生じても航空機は停止できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明を援用する。
【0017】
[ブレーキ制御システムの全体構成図]
図1を参照して、ブレーキ制御システム20は、ブレーキペダル1と、踏み込み量検知装置2と、ブレーキ制御装置3と、シャットオフバルブ4と、ブレーキコントロールバルブ5と、ブレーキ6と、油圧源7と、回転速度検知装置8と、ウェイトオンホイールスイッチ(WOWS)9と、タイヤ10と、油圧配管11とを備える。
【0018】
踏み込み量検知装置2はパイロットによるブレーキペダル1の踏み込み量を検知し、検知結果をブレーキ制御装置3に送信する。シャットオフバルブ4及びブレーキコントロールバルブ5は油圧源7とブレーキ6との間にそれぞれ配置され、ブレーキ制御装置3からの指令により開閉される。なお、シャットオフバルブ4はバルブを完全に開くか、完全に閉じるかしかできないが、ブレーキコントロールバルブ5はバルブを徐々に開いたり、閉じたりできる。ブレーキ6はディスクブレーキであり、油圧源7から油圧配管11を介して供給された油圧が加えられることにより、タイヤ10の回転速度を低減する。ディスクブレーキはシングル・ディスクブレーキ(single−disk brake)でもマルチプル・ディスクブレーキ(multiple−disk brake)でもよい。WOWS9はWOW信号をブレーキ制御装置3に出力する。飛行中WOWS9はAIRのWOW信号を出力する。着陸により主脚に圧力が加わったとき、WOWS9はGNDのWOW信号を出力する。
回転速度検知装置8はタイヤの回転速度を検知し、検知結果をブレーキ制御装置3に出力する。
【0019】
ブレーキ制御装置3は、CPU(Central Processing Unit)31と、記憶装置32とを含む。ブレーキ制御装置3はブレーキ6に加えられるブレーキ圧を調整する。具体的には、ブレーキ制御装置3はWOW信号及び回転速度検知装置8の検知結果に基づいてシャットオフバルブ4にバルブの開閉を指示する。また、踏み込み量検知装置2の検知結果に基づいてブレーキコントロールバルブ5にバルブの開閉を指示する。なお、ブレーキ制御装置3内の記憶装置32にブレーキ制御プログラムをインストールすることで、ブレーキ制御システム20はブレーキ制御処理を実行できる。
【0020】
[ブレーキ制御動作]
初めに、WOWS9が正常な場合のブレーキ制御動作について図2及び図3で説明する。なお、図3のタイミング図中では、パイロットによるブレーキペダル1の踏み込み量は常時最大とする。
【0021】
ブレーキ制御装置3は所定期間△CLKごとに図2に示したブレーキ制御動作を繰り返す。ブレーキ制御動作では初めにタッチダウンプロテクションフラグ(以下、TPフラグと称する)及びスピンアップオーバライドフラグ(以下、SPフラグと称する)を「1」とするか「0」とするかを判断するフラグ判断動作(S100)を行い、フラグ判断動作により判断されたSPフラグ及びTPフラグに基づいてシャットオフバルブ4に対してバルブの開閉を指示するバルブ開閉動作(S200)を行う。
【0022】
TPフラグが「1」の場合、タッチダウンプロテクションが起動していることを示し、TPフラグが「0」の場合、タッチダウンプロテクションは解除されていることを示す。一方、SPフラグが「1」の場合、スピンアップオーバライドが起動していることを示し、SPフラグが「0」の場合、スピンアップオーバライドが解除されていることを示す。TPフラグ及びSPフラグは記憶装置32に記憶されている。
【0023】
図3中の時刻t1で航空機は飛行中である。時刻t1でのブレーキ制御動作で、ブレーキ制御装置3は初めにフラグ判断動作を行う(S100)。具体的には、ブレーキ制御装置3はTPフラグが「1」か否かを判断する(S1)。時刻t1では航空機は飛行中であるためタッチダウンプロテクションは起動しており、TPフラグは「1」となっている。
【0024】
このときブレーキ制御装置3はWOWS9から送信されたWOW信号がAIRであると判断する(S2)。次に、ブレーキ制御装置3はSPフラグが「1」か否かを判断する(S16)。時刻t1では航空機は飛行中のため、スピンアップオーバライドは解除されており、SPフラグは「0」である。
【0025】
SPフラグが「0」であると判断した後、ブレーキ制御装置3はタイヤ10の回転速度が第1所定値(40kts)以上であるか否かを判断する(S17)。
時刻t1では飛行中でありタイヤ10は回転していないため、ブレーキ制御装置3は回転速度が40ktsより小さいと判断する。
【0026】
以上の動作によりフラグ判断動作(S100)は終了し、フラグ判断動作の結果に基づいてバルブ開閉動作が行われる(S200)。具体的には、ブレーキ制御装置3はTPフラグを「1」と判断し(S5)、SPフラグを「0」と判断する(S6)。その結果、ブレーキ制御装置3はシャットオフバルブ4にバルブを閉じるように指示する(S8)。ブレーキ制御装置3の指示を受け、シャットオフバルブ4はバルブを閉じる。よって、時刻t1ではパイロットがブレーキペダル1を踏み込んでもブレーキ6にブレーキ圧は加わらず、ブレーキは利かない。
【0027】
時刻t2で航空機は着陸する。このとき、WOWS9はGNDのWOW信号を出力する。ブレーキ制御装置3はTPフラグが「1」であると判断した後(S1)、WOW信号がGNDであると判断する(S2)。
【0028】
次に、ブレーキ制御装置3はWOW信号がGNDになってから所定時間△t(3秒)が経過したか否かを判断する(S3)。タッチダウンプロテクション制御では、タイヤ10のバースト防止のため、着陸後3秒間はタッチダウンプロテクションを起動させ続け、ブレーキが利かないようにする。そのため、ステップS3で着陸後3秒が経過したか否かを判断する。時刻t2では、ブレーキ制御装置3は着陸後3秒経過していないと判断する。
【0029】
次にブレーキ制御装置3はSPフラグが「1」か否かを判断する(S11)。
時刻t1から時刻t2までの間でSPフラグに変化はないため、ブレーキ制御装置3はSPフラグが「0」であると判断する(S11)。次に、ブレーキ制御装置3はタイヤ10の回転速度が第1所定速度(40kts)以上か否かを判断する(S12)。着地後3秒以内はタッチダウンプロテクションが起動したままとなるため、タッチダウンプロテクション制御に基づけばブレーキは利かないが、3秒以内であっても回転速度が40kts以上の場合はスピンアップオーバライドを起動させ、スピンアップオーバライド制御に基づいてブレーキ圧を加えられるようにするためである。時刻t2では、タイヤ10の回転速度が40ktsよりも小さいため、SPフラグは「0」のままである。
【0030】
以上のフラグ判断動作(S100)の結果、TPフラグが「1」であり(S5)、SPフラグは「0」であるため(S6)、ブレーキ制御装置3はシャットオフバルブ4を閉じるよう指示する。(S8)その結果、シャットオフバルブ4はバルブを閉じた状態を維持し、ブレーキ圧はリリースされたままとなる。
【0031】
着陸後、タイヤ10の回転速度が増加し、時刻t2から3秒が経過する前の時刻t3で回転速度が40ktsを越える。このとき、フラグ判断動作(S100)中のステップS12で、ブレーキ制御装置3は回転速度が40kts以上になったと判断し、SPフラグを「1」とする(S14)。バルブ開閉動作(S200)では、ブレーキ制御装置3はTPフラグを「1」と判断し(S5)、SPフラグも「1」と判断するため、ブレーキ制御装置3はスピンアップオーバライドを起動し、シャットオフバルブ4にバルブを開くように指示する(S7)。その結果、シャットオフバルブ4はバルブを開く。このとき踏み込み量検知装置2により検知された踏み込み量は最大であるが、ブレーキ制御装置3はブレーキコントロールバルブ5にバルブを徐々に開くように指示する。ブレーキコントロールバルブ5がバルブを徐々に開くことで、ブレーキ6に徐々にブレーキ圧が加わる。その結果、タイヤ10がロックするのを防止できる。
【0032】
時刻t4で航空機の着陸後3秒が経過する。このとき、フラグ判断動作(S100)中のステップS3で、ブレーキ制御装置3は着陸後から3秒経過したと判断し(S3)、TPフラグを「0」とする(S4)。よって、バルブ開閉動作(S200)ではTPフラグを「0」と判断し(S5)、タッチダウンプロテクションを解除する。その結果、ブレーキ制御装置3はシャットオフバルブ4にバルブを開くよう指示し(S7)、シャットオフバルブ4はバルブを開いた状態を維持する。
【0033】
時刻t4から所定期間△CLK後の時刻t41でのフラグ判断動作(S100)では、ブレーキ制御装置3はTPフラグが「0」と判断し(S1)、ブレーキ制御装置3はWOW信号がGNDであると判断する(S9)。続いて、ブレーキ制御装置3はSPフラグが「1」であるか否かを判断する(S11)。時刻t3以降SPフラグは「1」であるため、ブレーキ制御装置3はSPフラグが「1」であると判断する。続いて、ブレーキ制御装置3はタイヤ10の回転速度が第2所定値(20kts)以下か否かを判断する(S13)。時刻t41では回転速度は120ktsを維持しているため、ブレーキ制御装置3は回転速度が20ktsよりも大きいと判断する(S13)。以上の結果、バルブ開閉動作(S200)は時刻t4での動作と同じになり、シャットオフバルブ4はバルブを開いた状態を維持する。
【0034】
ブレーキ6にブレーキ圧が加えられてから時刻t5以降に回転速度は減少する。時刻t41から時刻t6までのブレーキ制御動作は同じである。時刻t6で回転速度が20kts以下となる。このとき、フラグ判断動作(S100)中のステップS13でブレーキ制御装置3は回転速度が20kts以下であると判断する。このとき、ブレーキ制御装置3はSPフラグを「0」とし、スピンアップオーバライドを解除する。航空機が完全に停止する前にSPフラグを「0」にしなければ、次回の飛行時にSPフラグが「1」のまま(すなわち、スピンアップオーバライドが起動したまま)着陸することになる。次回の飛行前にSPフラグを「0」とすることでブレーキが利いた状態で着陸する危険を回避できる。
【0035】
時刻t5以降時刻t6で停止するまでは、フラグ判断動作(S100)中のステップS11でブレーキ制御装置3はSPフラグが「0」と判断し、ステップS12で回転速度は40kts以下と判断する。バルブ開閉動作(S200)は時刻t41以降と同じである。
【0036】
WOWS9が正常な場合は、以上に示した動作によりブレーキ制御が可能である。続いて、WOWSの故障により、WOW信号が常に活性状態である場合のブレーキ制御動作について説明する。
【0037】
図2及び図4を参照して、時刻t2までのブレーキ制御動作についてはWOWS9が正常な場合と同じである。時刻t2で航空機は着陸するが、WOWS9が故障しているため、WOW信号はAIRのままである。よって、ブレーキ制御装置3はTPフラグが「1」であると判断した後(S1)、WOW信号がAIRであると判断する(S2)。次に、ブレーキ制御装置3はSPフラグが「1」か否かを判断する(S16)。時刻t2ではブレーキ制御装置3はSPフラグが「0」であると判断する。次にブレーキ制御装置3は回転速度が40ktsを越えているか否かを判断する(S17)。着陸時の時刻t2ではブレーキ制御装置3は回転速度が40kts以下であると判断する。
【0038】
以上のフラグ判断動作により、ブレーキ制御装置3はTPフラグを「1」、SPフラグを「0」と判断し(S5,S6)、シャットオフバルブ4にバルブを閉めるよう指示する(S8)。その結果、時刻t2ではブレーキ6にブレーキ圧は加わらない。
【0039】
時刻t3で回転速度が40ktsを越えると、ステップS100のフラグ判断動作中のステップS17でブレーキ制御装置3は回転速度が40kts以上と判断する。このとき、ブレーキ制御装置3はSPフラグを「1」にする。よって、S200のバルブ開閉動作でブレーキ制御装置3はTPフラグを「1」、SPフラグを「1」と判断する(S5,S6)。その結果、ブレーキ制御装置3はスピンアップオーバライドを起動させ、シャットオフバルブ4にバルブを開くよう指示する(S7)。このときブレーキ6にブレーキ圧が加わる。
【0040】
時刻t3から所定期間△CLK後の時刻t31で、フラグ判断動作(S100)中のステップS16でブレーキ制御装置3はSPフラグが「1」であると判断する。このとき、WOW信号がAIRであるにもかかわらず、SPフラグが「1」となっているため、ブレーキ制御装置3はWOW信号が誤りであると判断し(S19)、パイロットに対して警告を行う(S20)。警告は、音や音声で行ってもよく、コクピット内のディスプレイに表示されてもよい。警告を行うことで、WOW信号が誤った結果を出しており、WOWS9等に異常が発生していることをパイロットが迅速に把握できる。警告後のバルブ開閉動作(S200)は時刻t3と同じである。時刻t31以降、ブレーキ制御装置3は時刻t31と同じブレーキ制御動作を行い、スピンアップオーバライドを起動し続け、ブレーキ6にブレーキ圧を加え続ける。時刻t6で回転速度が20kts以下になったときのブレーキ制御動作も時刻t31と同じになり、SPフラグは「0」にならない。その結果、WOW信号が誤りであっても、航空機が完全に停止するまでブレーキ6にブレーキ圧が加えられ続ける。
【0041】
以上の動作により、着陸後もWOW信号がAIRであるといった異常が発生した場合、スピンアップオーバライドが起動すれば、ブレーキ制御装置3はその異常を認識でき、さらにパイロットに異常が発生した旨を警告できる。さらに、異常が発生した場合、スピンアップオーバライドを起動し続ける。その結果、20kts以下でスピンアップオーバライドが解除され、航空機が停止しないという危険を防止できる。また、警告により、WOW信号が誤った結果を出しており、WOWS9等に異常が発生していることをパイロットが迅速に把握できる。そのため、航空機を停止させた後、迅速に故障箇所の特定ができ、修理ができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、ブレーキ制御装置3はシャットオフバルブ4にバルブ開閉を指示することで、ブレーキ制御を行ったが、ブレーキコントロールバルブ5にバルブの開閉を指示してもよいし、シャットオフバルブ4とブレーキコントロールバルブ5との両方にバルブ開閉の指示をしてもよい。ブレーキ制御システム20はブレーキ・バイ・ワイヤでもブレーキ・バイ・メカでもよい。
【0043】
また、本実施の形態では、所定時間△tを3秒とし、第1所定値を40kts、第2所定値を20ktsとしたが、これらは他の値であってもよい。
【0044】
また、本実施の形態では、WOWS9に異常が発生した場合、航空機が停止するまでの間スピンアップオーバライド制御に基づいてブレーキ圧を印加したが、異常発生時に警告を受けたパイロットが手動でブレーキ操作を行ってもよい。
【0045】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるブレーキ制御システムの全体構成を示す概略ブロック図である。
【図2】図1に示したブレーキ制御装置の動作を示すフロー図である。
【図3】図1に示したWOWSが正常な場合の着陸時のWOW信号、タイヤ回転速度、ブレーキ圧の関係を示すタイミング図である。
【図4】図1に示したWOWSが故障している場合の着陸時のWOW信号、タイヤ回転速度、ブレーキ圧の関係を示すタイミング図である。
【符号の説明】
10 ブレーキ制御システム
1 ブレーキペダル
2 踏み込み量検知装置
3 ブレーキ制御装置
6 ブレーキ
8 回転速度検知装置
9 ウェイトオンホイールスイッチ(WOWS)
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブレーキ制御装置及びそのプログラムに関し、さらに詳しくは、航空機の車輪が接地したか否かの情報及び車輪の回転速度に基づいてブレーキを制御するブレーキ制御装置及びそのプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
着陸後の航空機を減速させるために利用されるブレーキは左右の主脚にそれぞれ取り付けられている。ブレーキには油圧によりコントロールされるディスクブレーキが通常利用される。パイロットがブレーキペダルを踏み込むと、ディスクが油圧により左右の主脚のタイヤに密着され、ディスクとタイヤとの摩擦で航空機が減速する。
【0003】
着陸直前において、パイロットのブレーキペダルの踏み込みに応じてブレーキ圧がブレーキに加えられると、タイヤがロックされる。着陸時にロックされたタイヤが地面と接触すると、タイヤがバーストする危険が生じる。以上の問題を解決するため、航空機ではタッチダウンプロテクション制御とスピンアップオーバライド制御という2つのブレーキ制御が通常用いられる。
【0004】
タッチダウンプロテクション制御は、航空機が着陸したか否かを判断することによってブレーキの制御を行う。航空機が着陸したか否かの判断は、左右の主脚にそれぞれ取り付けられたウェイトオンホイールスイッチ(Weight on Wheel Switch:以下、WOWSと称する)を用いて行われる。WOWSから出力されるWOW(Weight on Wheel)信号がH(論理ハイ)レベル(以下、AIRと称する)のとき、航空機は飛行していると判断される。左右の両WOW信号の少なくとも一方がAIRの場合、タッチダウンプロテクションは起動する。このとき、ブレーキ圧をブレーキに供給するためのバルブが閉められ、パイロットのブレーキペダルの踏み込み量に関わらず、ブレーキ圧がフルリリースされる。一方、WOW信号がL(論理ロー)レベル(以下、GNDと称する)のとき、航空機は着陸していると判断される。WOWSは着陸により主脚に圧力が加わったとき、WOW信号をGNDにする。左右のWOW信号がGNDとなってから所定期間△t(たとえば3秒)経過後にタッチダウンプロテクションは解除される。このとき、バルブは開かれ、ブレーキ圧が徐々に加えられる。そのため、着陸時にタイヤはロックされない。
【0005】
スピンアップオーバライド制御は、主脚のタイヤの回転速度に基づいてブレーキ制御を行う。左右の主脚のタイヤの回転速度がともに第1所定値(たとえば40kts)よりも大きくなったとき、スピンアップオーバライドが起動する。その結果、バルブが開かれ、ブレーキ圧が徐々にブレーキに加えられる。航空機が低速で着陸した場合、タッチダウンプロテクション制御にのみ基づいて航空機は滑走路上で停止できる。しかしながら、航空機が高速で着陸した場合、WOW信号がGNDになってから3秒経過するまでに航空機は滑走路上のかなりの距離を走行するため、3秒経過してからブレーキが利くタッチダウンプロテクション制御のみでは滑走路上で停止できない可能性がある。そのため、航空機が高速で着陸した場合はスピンアップオーバライド制御に基づいて着陸後速やかに(3秒経過前に)ブレーキ圧が加えられる。
【0006】
ブレーキ圧が加えられると、航空機は減速する。減速した結果、タイヤの回転速度が第2所定値(たとえば20kts)よりも小さくなるとスピンアップオーバライドは解除され、再びタッチダウンプロテクション制御に基づいてブレーキ圧が加えられる。航空機が停止する前にスピンアップオーバライドを解除しなければ、次回の着陸時にスピンアップオーバライドが起動したままとなり、着陸直後にブレーキが利き、タイヤがロックする危険がある。そのため、機体が停止する前にスピンアップオーバライドは解除される。
【0007】
以上に説明したように、着陸後の航空機の停止動作はタッチダウンプロテクション制御及びスピンアップオーバライド制御の2つのブレーキ制御により行われる。しかしながら、WOWSが故障していた場合、航空機が停止できないといった問題が生じる。すなわち、WOWSが故障している場合、WOW信号は着陸後もAIRのままである。このとき、タイヤの回転速度が40ktsよりも大きいときはスピンアップオーバライドが起動してブレーキ圧が加えられるが、ブレーキ圧が加えられ機体が減速した結果、タイヤの回転速度が20kts以下となると、スピンアップオーバライドは解除され、再びタッチダウンプロテクションに基づいてブレーキが制御される。しかしながらWOWSの故障によりWOW信号はAIRのため、バルブは閉められ、ブレーキ圧がフルリリースとなる。その結果、航空機は停止できない。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−230831号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、着陸後確実に航空機を停止できるブレーキ制御システムを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によるブレーキ制御装置は、航空機の車輪のブレーキに加えられるブレーキ圧をバルブの開閉により制御するブレーキ制御装置であって、接地判断手段と、回転速度検知手段と、バルブ開閉手段と、故障判断手段とを備える。接地判断手段は車輪が接地したか否かを判断する。回転速度検知手段は車輪の回転速度を検知する。バルブ開閉手段は、接地判断手段の判断結果又は回転速度検知手段が検知した回転速度に基づいてバルブの開閉を制御する。故障判断手段は接地判断手段が車輪は接地していないと判断し、かつ回転速度検知手段が検知した回転速度が所定値よりも大きいとき、接地判断手段の判断結果が誤りであると判断する。
【0011】
本発明のブレーキ制御装置は、接地判断手段が車輪は接地していないと判断した場合であっても、回転速度検知手段が検知した回転速度が所定値よりも大きいとき、故障判断手段は接地判断手段の判断結果が誤りであると判断する。これにより、ブレーキ制御装置は、航空機の車輪が接地したか否かを判断するための装置(WOWS等)に何らかの異常が発生していることを把握できる。
【0012】
好ましくはさらに、ブレーキ制御装置は通知手段を備える。通知手段は接地判断手段の判断結果が誤りであると故障判断手段が判断した場合、航空機のパイロットに警告を通知する。
【0013】
この場合、通知手段の通知によりパイロットは航空機の異常を把握でき、異常に対して迅速に対応できる。なお、通知手段による通知は警告音や警告音声による通知でもよく、航空機のコクピット内のディスプレイに画面表示する通知でもよい。
【0014】
好ましくは、接地判断手段の判断結果が誤りであると故障判断手段が判断した場合、バルブ開閉手段はバルブを開いた状態に維持する。
【0015】
この場合、接地判断手段の判断結果が誤りであると故障判断手段が判断することにより、バルブ開閉手段はバルブを開いた状態に維持する。その結果、接地判断手段の判断結果が誤りであると判断された後は、ブレーキには常時ブレーキ圧が加えられる。その結果、航空機の車輪が接地したか否かを判断するための装置(WOWS等)に異常が生じても航空機は停止できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明を援用する。
【0017】
[ブレーキ制御システムの全体構成図]
図1を参照して、ブレーキ制御システム20は、ブレーキペダル1と、踏み込み量検知装置2と、ブレーキ制御装置3と、シャットオフバルブ4と、ブレーキコントロールバルブ5と、ブレーキ6と、油圧源7と、回転速度検知装置8と、ウェイトオンホイールスイッチ(WOWS)9と、タイヤ10と、油圧配管11とを備える。
【0018】
踏み込み量検知装置2はパイロットによるブレーキペダル1の踏み込み量を検知し、検知結果をブレーキ制御装置3に送信する。シャットオフバルブ4及びブレーキコントロールバルブ5は油圧源7とブレーキ6との間にそれぞれ配置され、ブレーキ制御装置3からの指令により開閉される。なお、シャットオフバルブ4はバルブを完全に開くか、完全に閉じるかしかできないが、ブレーキコントロールバルブ5はバルブを徐々に開いたり、閉じたりできる。ブレーキ6はディスクブレーキであり、油圧源7から油圧配管11を介して供給された油圧が加えられることにより、タイヤ10の回転速度を低減する。ディスクブレーキはシングル・ディスクブレーキ(single−disk brake)でもマルチプル・ディスクブレーキ(multiple−disk brake)でもよい。WOWS9はWOW信号をブレーキ制御装置3に出力する。飛行中WOWS9はAIRのWOW信号を出力する。着陸により主脚に圧力が加わったとき、WOWS9はGNDのWOW信号を出力する。
回転速度検知装置8はタイヤの回転速度を検知し、検知結果をブレーキ制御装置3に出力する。
【0019】
ブレーキ制御装置3は、CPU(Central Processing Unit)31と、記憶装置32とを含む。ブレーキ制御装置3はブレーキ6に加えられるブレーキ圧を調整する。具体的には、ブレーキ制御装置3はWOW信号及び回転速度検知装置8の検知結果に基づいてシャットオフバルブ4にバルブの開閉を指示する。また、踏み込み量検知装置2の検知結果に基づいてブレーキコントロールバルブ5にバルブの開閉を指示する。なお、ブレーキ制御装置3内の記憶装置32にブレーキ制御プログラムをインストールすることで、ブレーキ制御システム20はブレーキ制御処理を実行できる。
【0020】
[ブレーキ制御動作]
初めに、WOWS9が正常な場合のブレーキ制御動作について図2及び図3で説明する。なお、図3のタイミング図中では、パイロットによるブレーキペダル1の踏み込み量は常時最大とする。
【0021】
ブレーキ制御装置3は所定期間△CLKごとに図2に示したブレーキ制御動作を繰り返す。ブレーキ制御動作では初めにタッチダウンプロテクションフラグ(以下、TPフラグと称する)及びスピンアップオーバライドフラグ(以下、SPフラグと称する)を「1」とするか「0」とするかを判断するフラグ判断動作(S100)を行い、フラグ判断動作により判断されたSPフラグ及びTPフラグに基づいてシャットオフバルブ4に対してバルブの開閉を指示するバルブ開閉動作(S200)を行う。
【0022】
TPフラグが「1」の場合、タッチダウンプロテクションが起動していることを示し、TPフラグが「0」の場合、タッチダウンプロテクションは解除されていることを示す。一方、SPフラグが「1」の場合、スピンアップオーバライドが起動していることを示し、SPフラグが「0」の場合、スピンアップオーバライドが解除されていることを示す。TPフラグ及びSPフラグは記憶装置32に記憶されている。
【0023】
図3中の時刻t1で航空機は飛行中である。時刻t1でのブレーキ制御動作で、ブレーキ制御装置3は初めにフラグ判断動作を行う(S100)。具体的には、ブレーキ制御装置3はTPフラグが「1」か否かを判断する(S1)。時刻t1では航空機は飛行中であるためタッチダウンプロテクションは起動しており、TPフラグは「1」となっている。
【0024】
このときブレーキ制御装置3はWOWS9から送信されたWOW信号がAIRであると判断する(S2)。次に、ブレーキ制御装置3はSPフラグが「1」か否かを判断する(S16)。時刻t1では航空機は飛行中のため、スピンアップオーバライドは解除されており、SPフラグは「0」である。
【0025】
SPフラグが「0」であると判断した後、ブレーキ制御装置3はタイヤ10の回転速度が第1所定値(40kts)以上であるか否かを判断する(S17)。
時刻t1では飛行中でありタイヤ10は回転していないため、ブレーキ制御装置3は回転速度が40ktsより小さいと判断する。
【0026】
以上の動作によりフラグ判断動作(S100)は終了し、フラグ判断動作の結果に基づいてバルブ開閉動作が行われる(S200)。具体的には、ブレーキ制御装置3はTPフラグを「1」と判断し(S5)、SPフラグを「0」と判断する(S6)。その結果、ブレーキ制御装置3はシャットオフバルブ4にバルブを閉じるように指示する(S8)。ブレーキ制御装置3の指示を受け、シャットオフバルブ4はバルブを閉じる。よって、時刻t1ではパイロットがブレーキペダル1を踏み込んでもブレーキ6にブレーキ圧は加わらず、ブレーキは利かない。
【0027】
時刻t2で航空機は着陸する。このとき、WOWS9はGNDのWOW信号を出力する。ブレーキ制御装置3はTPフラグが「1」であると判断した後(S1)、WOW信号がGNDであると判断する(S2)。
【0028】
次に、ブレーキ制御装置3はWOW信号がGNDになってから所定時間△t(3秒)が経過したか否かを判断する(S3)。タッチダウンプロテクション制御では、タイヤ10のバースト防止のため、着陸後3秒間はタッチダウンプロテクションを起動させ続け、ブレーキが利かないようにする。そのため、ステップS3で着陸後3秒が経過したか否かを判断する。時刻t2では、ブレーキ制御装置3は着陸後3秒経過していないと判断する。
【0029】
次にブレーキ制御装置3はSPフラグが「1」か否かを判断する(S11)。
時刻t1から時刻t2までの間でSPフラグに変化はないため、ブレーキ制御装置3はSPフラグが「0」であると判断する(S11)。次に、ブレーキ制御装置3はタイヤ10の回転速度が第1所定速度(40kts)以上か否かを判断する(S12)。着地後3秒以内はタッチダウンプロテクションが起動したままとなるため、タッチダウンプロテクション制御に基づけばブレーキは利かないが、3秒以内であっても回転速度が40kts以上の場合はスピンアップオーバライドを起動させ、スピンアップオーバライド制御に基づいてブレーキ圧を加えられるようにするためである。時刻t2では、タイヤ10の回転速度が40ktsよりも小さいため、SPフラグは「0」のままである。
【0030】
以上のフラグ判断動作(S100)の結果、TPフラグが「1」であり(S5)、SPフラグは「0」であるため(S6)、ブレーキ制御装置3はシャットオフバルブ4を閉じるよう指示する。(S8)その結果、シャットオフバルブ4はバルブを閉じた状態を維持し、ブレーキ圧はリリースされたままとなる。
【0031】
着陸後、タイヤ10の回転速度が増加し、時刻t2から3秒が経過する前の時刻t3で回転速度が40ktsを越える。このとき、フラグ判断動作(S100)中のステップS12で、ブレーキ制御装置3は回転速度が40kts以上になったと判断し、SPフラグを「1」とする(S14)。バルブ開閉動作(S200)では、ブレーキ制御装置3はTPフラグを「1」と判断し(S5)、SPフラグも「1」と判断するため、ブレーキ制御装置3はスピンアップオーバライドを起動し、シャットオフバルブ4にバルブを開くように指示する(S7)。その結果、シャットオフバルブ4はバルブを開く。このとき踏み込み量検知装置2により検知された踏み込み量は最大であるが、ブレーキ制御装置3はブレーキコントロールバルブ5にバルブを徐々に開くように指示する。ブレーキコントロールバルブ5がバルブを徐々に開くことで、ブレーキ6に徐々にブレーキ圧が加わる。その結果、タイヤ10がロックするのを防止できる。
【0032】
時刻t4で航空機の着陸後3秒が経過する。このとき、フラグ判断動作(S100)中のステップS3で、ブレーキ制御装置3は着陸後から3秒経過したと判断し(S3)、TPフラグを「0」とする(S4)。よって、バルブ開閉動作(S200)ではTPフラグを「0」と判断し(S5)、タッチダウンプロテクションを解除する。その結果、ブレーキ制御装置3はシャットオフバルブ4にバルブを開くよう指示し(S7)、シャットオフバルブ4はバルブを開いた状態を維持する。
【0033】
時刻t4から所定期間△CLK後の時刻t41でのフラグ判断動作(S100)では、ブレーキ制御装置3はTPフラグが「0」と判断し(S1)、ブレーキ制御装置3はWOW信号がGNDであると判断する(S9)。続いて、ブレーキ制御装置3はSPフラグが「1」であるか否かを判断する(S11)。時刻t3以降SPフラグは「1」であるため、ブレーキ制御装置3はSPフラグが「1」であると判断する。続いて、ブレーキ制御装置3はタイヤ10の回転速度が第2所定値(20kts)以下か否かを判断する(S13)。時刻t41では回転速度は120ktsを維持しているため、ブレーキ制御装置3は回転速度が20ktsよりも大きいと判断する(S13)。以上の結果、バルブ開閉動作(S200)は時刻t4での動作と同じになり、シャットオフバルブ4はバルブを開いた状態を維持する。
【0034】
ブレーキ6にブレーキ圧が加えられてから時刻t5以降に回転速度は減少する。時刻t41から時刻t6までのブレーキ制御動作は同じである。時刻t6で回転速度が20kts以下となる。このとき、フラグ判断動作(S100)中のステップS13でブレーキ制御装置3は回転速度が20kts以下であると判断する。このとき、ブレーキ制御装置3はSPフラグを「0」とし、スピンアップオーバライドを解除する。航空機が完全に停止する前にSPフラグを「0」にしなければ、次回の飛行時にSPフラグが「1」のまま(すなわち、スピンアップオーバライドが起動したまま)着陸することになる。次回の飛行前にSPフラグを「0」とすることでブレーキが利いた状態で着陸する危険を回避できる。
【0035】
時刻t5以降時刻t6で停止するまでは、フラグ判断動作(S100)中のステップS11でブレーキ制御装置3はSPフラグが「0」と判断し、ステップS12で回転速度は40kts以下と判断する。バルブ開閉動作(S200)は時刻t41以降と同じである。
【0036】
WOWS9が正常な場合は、以上に示した動作によりブレーキ制御が可能である。続いて、WOWSの故障により、WOW信号が常に活性状態である場合のブレーキ制御動作について説明する。
【0037】
図2及び図4を参照して、時刻t2までのブレーキ制御動作についてはWOWS9が正常な場合と同じである。時刻t2で航空機は着陸するが、WOWS9が故障しているため、WOW信号はAIRのままである。よって、ブレーキ制御装置3はTPフラグが「1」であると判断した後(S1)、WOW信号がAIRであると判断する(S2)。次に、ブレーキ制御装置3はSPフラグが「1」か否かを判断する(S16)。時刻t2ではブレーキ制御装置3はSPフラグが「0」であると判断する。次にブレーキ制御装置3は回転速度が40ktsを越えているか否かを判断する(S17)。着陸時の時刻t2ではブレーキ制御装置3は回転速度が40kts以下であると判断する。
【0038】
以上のフラグ判断動作により、ブレーキ制御装置3はTPフラグを「1」、SPフラグを「0」と判断し(S5,S6)、シャットオフバルブ4にバルブを閉めるよう指示する(S8)。その結果、時刻t2ではブレーキ6にブレーキ圧は加わらない。
【0039】
時刻t3で回転速度が40ktsを越えると、ステップS100のフラグ判断動作中のステップS17でブレーキ制御装置3は回転速度が40kts以上と判断する。このとき、ブレーキ制御装置3はSPフラグを「1」にする。よって、S200のバルブ開閉動作でブレーキ制御装置3はTPフラグを「1」、SPフラグを「1」と判断する(S5,S6)。その結果、ブレーキ制御装置3はスピンアップオーバライドを起動させ、シャットオフバルブ4にバルブを開くよう指示する(S7)。このときブレーキ6にブレーキ圧が加わる。
【0040】
時刻t3から所定期間△CLK後の時刻t31で、フラグ判断動作(S100)中のステップS16でブレーキ制御装置3はSPフラグが「1」であると判断する。このとき、WOW信号がAIRであるにもかかわらず、SPフラグが「1」となっているため、ブレーキ制御装置3はWOW信号が誤りであると判断し(S19)、パイロットに対して警告を行う(S20)。警告は、音や音声で行ってもよく、コクピット内のディスプレイに表示されてもよい。警告を行うことで、WOW信号が誤った結果を出しており、WOWS9等に異常が発生していることをパイロットが迅速に把握できる。警告後のバルブ開閉動作(S200)は時刻t3と同じである。時刻t31以降、ブレーキ制御装置3は時刻t31と同じブレーキ制御動作を行い、スピンアップオーバライドを起動し続け、ブレーキ6にブレーキ圧を加え続ける。時刻t6で回転速度が20kts以下になったときのブレーキ制御動作も時刻t31と同じになり、SPフラグは「0」にならない。その結果、WOW信号が誤りであっても、航空機が完全に停止するまでブレーキ6にブレーキ圧が加えられ続ける。
【0041】
以上の動作により、着陸後もWOW信号がAIRであるといった異常が発生した場合、スピンアップオーバライドが起動すれば、ブレーキ制御装置3はその異常を認識でき、さらにパイロットに異常が発生した旨を警告できる。さらに、異常が発生した場合、スピンアップオーバライドを起動し続ける。その結果、20kts以下でスピンアップオーバライドが解除され、航空機が停止しないという危険を防止できる。また、警告により、WOW信号が誤った結果を出しており、WOWS9等に異常が発生していることをパイロットが迅速に把握できる。そのため、航空機を停止させた後、迅速に故障箇所の特定ができ、修理ができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、ブレーキ制御装置3はシャットオフバルブ4にバルブ開閉を指示することで、ブレーキ制御を行ったが、ブレーキコントロールバルブ5にバルブの開閉を指示してもよいし、シャットオフバルブ4とブレーキコントロールバルブ5との両方にバルブ開閉の指示をしてもよい。ブレーキ制御システム20はブレーキ・バイ・ワイヤでもブレーキ・バイ・メカでもよい。
【0043】
また、本実施の形態では、所定時間△tを3秒とし、第1所定値を40kts、第2所定値を20ktsとしたが、これらは他の値であってもよい。
【0044】
また、本実施の形態では、WOWS9に異常が発生した場合、航空機が停止するまでの間スピンアップオーバライド制御に基づいてブレーキ圧を印加したが、異常発生時に警告を受けたパイロットが手動でブレーキ操作を行ってもよい。
【0045】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるブレーキ制御システムの全体構成を示す概略ブロック図である。
【図2】図1に示したブレーキ制御装置の動作を示すフロー図である。
【図3】図1に示したWOWSが正常な場合の着陸時のWOW信号、タイヤ回転速度、ブレーキ圧の関係を示すタイミング図である。
【図4】図1に示したWOWSが故障している場合の着陸時のWOW信号、タイヤ回転速度、ブレーキ圧の関係を示すタイミング図である。
【符号の説明】
10 ブレーキ制御システム
1 ブレーキペダル
2 踏み込み量検知装置
3 ブレーキ制御装置
6 ブレーキ
8 回転速度検知装置
9 ウェイトオンホイールスイッチ(WOWS)
Claims (4)
- 航空機の車輪のブレーキに加えられるブレーキ圧をバルブの開閉により制御するブレーキ制御装置であって、
前記車輪が接地したか否かを判断する接地判断手段と、
前記車輪の回転速度を検知する回転速度検知手段と、
前記接地判断手段の判断結果又は前記回転速度検知手段が検知した回転速度に基づいて前記バルブの開閉を制御するバルブ開閉手段と、
前記接地判断手段が前記車輪は接地していないと判断し、かつ前記回転速度検知手段が検知した回転速度が所定値よりも大きいとき、前記接地判断手段の判断結果が誤りであると判断する故障判断手段とを備えることを特徴とするブレーキ制御装置。 - 請求項1に記載のブレーキ制御装置であってさらに、
前記接地判断手段の判断結果が誤りであると前記故障判断手段が判断した場合、前記航空機のパイロットに警告を通知する通知手段を備えることを特徴とするブレーキ制御装置。 - 請求項1又は請求項2に記載のブレーキ制御装置であって、前記接地判断手段の判断結果が誤りであると前記故障判断手段が判断した場合、前記バルブ開閉手段は前記バルブを開いた状態に維持することを特徴とするブレーキ制御装置。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の手段としてコンピュータを機能させるためのブレーキ制御プログラム。
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