JP2004342511A - 液体燃料形燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【構成】直接メタノール形燃料電池のセルスタック4の積層方向を電池の長手方向とし、セルスタック4の上下に燃料タンク6,排燃料タンク8を配置し、セルスタック4の空気供給孔12と連通する孔16,18を設ける。燃料タンク6とMEAの燃料極や、空気極と排燃料タンク8とを毛細管体で接続する。
【効果】空気極への空気の供給や燃料極への燃料の供給が容易になる。
【選択図】図1
【効果】空気極への空気の供給や燃料極への燃料の供給が容易になる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジメチルエーテルなどの燃料を水と混合して、燃料極に直接供給するようにした、液体燃料形燃料電池に関する。本発明は、特に液体燃料形燃料電池への燃料や空気の供給に関する。
【0002】
【従来技術】
【非特許文献1】燃料電池開発最前線 日経BP社 2001年6月発行 64〜70頁
直接メタノール形燃料電池では、1〜10wt%程度のメタノール/水混合燃料を用い、メタノールを水素に改質せずに、直接燃料電池に供給する(非特許文献1)。直接メタノール燃料電池は改質器を要しないため、構造が簡単で軽量であり、特に小形の直接メタノール形燃料電池は、携帯電話、ビデオカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ等の携帯用電子機器等の電源として有望である。しかしながら従来の液体燃料形燃料電池の構造は、送液ポンプで燃料や排燃料を供給あるいは排出し、ブロアで空気を供給するものが多かった。そしてこのような構造では、携帯用電子機器などの電源にするには不向きである。
【0003】
【発明の課題】
この発明の課題は、小形でかつ空気や燃料の供給が容易な液体燃料形燃料電池を提供することにある(請求項1〜8)。
請求項2の発明での追加の課題は、液体燃料形燃料電池をコンパクトで取り扱いやすい構造とすることにある。
請求項3の発明での追加の課題は、空気の供給をさらに容易にすることにある。
請求項4の発明での追加の課題は、空気の供給を増加して出力密度を増すことにある。
請求項5の発明での追加の課題は、液体燃料形燃料電池からの空気の排出を損ねずに、燃料や排燃料が漏れ出すことを防止することにある。
請求項6の発明での追加の課題は、燃料の供給や排燃料の排出をさらに容易にすることにある。
請求項7の発明での追加の課題は、燃料の補給や排燃料の廃棄をユーザが簡単に行えるようにすることにある。
請求項8の発明での追加の課題は、電池構造を共通にしながら、低圧から高圧までの種々の電圧を取り出せるようにすることにある。
【0004】
【発明の構成と作用効果】
この発明は、燃料極と空気極とを設けたプロトン導電体膜を、セパレータを介して積層してセルスタックとし、燃料極に水性の液体燃料を供給し、空気極に空気を供給して発電する、液体燃料形燃料電池において、セルスタックの上面または下面の少なくとも一方に、燃料タンクと排燃料タンクとを配設し、かつセルスタックの上下方向に沿って燃料タンクから燃料極への燃料供給路とセルスタック内の空気流路とを設けたことを特徴とする(請求項1)。セルスタックは例えば長方形状とし、好ましくは長方形の長尺方向に積層する。このようにすると、空気の流通方向も燃料や排燃料の流通方向も基本的に上下方向となり、短い距離で空気や燃料/排燃料の物質移動を行うことができる。
【0005】
好ましくは、前記燃料タンクおよび前記排燃料タンクを、前記セルスタックと平面視でほぼ同形とする(請求項2)。このようにすると液体燃料形燃料電池の形状は、セルスタックを上下に延長したものになり、全体としてコンパクトになる。例えばセルスタックが長方形などの板状であれば、同じ平面形状のまま、板厚を増したものになる。
【0006】
好ましくは、燃料タンクおよび排燃料タンクに、前記セルスタック内の空気流路と連通するように、貫通孔状もしくは溝状の空気流路を設け(請求項3)、特に好ましくは燃料タンクと排燃料タンクとに貫通孔状の空気流路を設ける。このようにすると溝や孔をセルスタックの空気流路と連通させて、簡単に空気を供給排出できる。
【0007】
特に好ましくは、セルスタックへの空気供給用のマイクロファンを設ける(請求項4)。このようにすると、空気極への空気供給量を増して、電池の出力密度を増すことができる。
【0008】
好ましくは、液体燃料形燃料電池の少なくとも下面側を、撥水性多孔質材料で覆う(請求項5)。下面側を空気を通過させて空気の供給や排出に用いながら、燃料や排燃料が漏れ出しても、電池から外に漏れるのを防止できる。
【0009】
また好ましくは、前記燃料供給路とセルスタックから排燃料タンクへの空気流路とに、毛細管体を配設して、燃料の供給と排燃料の排出とを行う(請求項6)。このようにすると、毛細管現象を用いて簡単に燃料の供給や排燃料の排出ができる。
【0010】
好ましくは、前記燃料タンクに燃料供給用のカセットを着脱自在にすると共に、排燃料タンクに排燃料回収用のカセットとを着脱自在にする(請求項7)。このようにすると、一般ユーザが燃料を補給したり排燃料を排出するのが容易になる。
【0011】
また好ましくは、セルスタックを複数のブロックに分割して、ブロック間を並列に接続する(請求項8)。そして並列接続の仕方を変えると、共通の電池構造で低圧から高圧までの種々の用途に対応できる。
【0012】
燃料の種類はメタノール水が好ましいが、エタノール水、イソプロパノール水、ブタノール水、ジメチルエーテル水などでも良く、その濃度は公知技術に従って適宜に定めればよい。またプロトン導電体膜や空気極、燃料極等の電池構成部材の材料や構造は公知であり、適宜に定めればよい。
【0013】
【実施例】
図1〜図8に、実施例とその変形とを示す。これらの図において、2は燃料電池本体で、4はセルスタックであり、6は燃料タンク、8は排燃料タンクである。セルスタック4,燃料タンク6,排燃料タンク8はいずれも例えば直方体状で、平面視でほぼ同じ形状をしている。セルスタック4では、MEA(膜電極複合体)10を複数直列に積層し、この積層方向がセルスタック4の長手方向となっている。12はセルスタック4に設けた空気供給孔で、図1の上下方向に貫通し、13〜15は炭素やステンレスなどを用いたセパレータで、16は燃料タンク6を貫通する空気供給孔、18は排燃料タンク8を貫通する空気供給孔である。19は燃料カートリッジを挿入するためのカートリッジ挿入孔で、20は排燃料回収用のカートリッジを挿入するためのカートリッジ挿入孔である。
【0014】
図2に、セルスタック4と燃料タンク6,並びに排燃料タンク8の関係を拡大して示す。切断方向は図1のII−II方向で、切断面に含まれるセパレータを14a,14bとして図1に示す。MEA10には、固体高分子を用いたプロトン導電体膜22を設けると共に、その一面に燃料極23を設け、他面に空気極24を設けて、通気性と導電性のある炭素シート25,26で積層する。セパレータ14などには、溝28を設けて、燃料タンク6からメタノール水などの燃料を毛細管現象により燃料極23へと供給する毛細管体30を収容する。なお溝28の下端に接するように、燃料タンク6に毛細管体30を通すための孔33を設ける。また溝28の上端に、燃料極23で発生したCO2を排出するためのCO2排出孔29を設ける。なおCO2排出孔29は小孔に限らず、溝などでも良い。
【0015】
セルスタック4の空気供給孔12から排燃料タンク8へと、毛細管体31を配置し、空気極24で生成した水を排燃料タンク8へと、毛細管現象により廃棄できるようにする。34は排燃料タンク8に設けた孔で、この部分を毛細管体31を通過させる。セルスタック4の空気供給孔12は、タンク6,8の空気供給孔16,18と上下方向に連通しており、例えば図示しないマイクロファンにより、図の上から下へと空気を送気する。なお空気供給孔12と空気供給孔16,18を総称して空気流路32と呼ぶ。実施例ではマイクロファンによる強制通気を用いたが、MEA10での発熱による対流を利用し、空気流路32を下から上へと空気が流れるようにしても良い。
【0016】
図3に、変形例の排燃料タンク9を示す。36はカートリッジ挿入孔20から挿入された排燃料吸収用のカートリッジで、38は溝で、図1の空気供給孔18に代わるものであり、燃料タンク6の空気供給孔16を介して、セルスタック4の空気供給孔12と連通している。このため図3の排燃料タンク9での空気流通方向は紙面に垂直で、図2の排燃料タンク8では上下方向(鉛直方向)となる。図3の左側に、溝38並びに毛細管体用の孔34を拡大して示す。
【0017】
実施例ではセルスタック4を上部に置き、その下部に燃料タンク6と排燃料タンク8を配置したが、いずれを上に配置するかの順序は変更できる。例えば図4の燃料電池本体42では、燃料タンク6を上側に、セルスタック4を中間に、排燃料タンク8を下側に配置している。これ以外に、上から下への順序で、セルスタック4,排燃料タンク8,燃料タンク6などの順で配置しても良い。
【0018】
実施例では空気の流路や、燃料や排燃料の流路が基本的に上下方向となり、燃料タンクや排燃料タンクとセルスタックとを短い距離で結ぶことができる。またセルスタックの空気供給孔を燃料タンクや排燃料タンクの空気供給孔や溝と連通させて、自然通気や強制通気などにより空気を供給できる。
【0019】
メタノール水燃料は例えば1〜10wt%程度のものを使用し、ここでは3wt%のものを使用する。図5に燃料供給用のカートリッジ37の例を示すと、50はケースで、52はシールで、54は燃料供給孔である。カートリッジ37の内部には、毛細管体などの吸水体を配置して、メタノール水燃料を吸収させ、燃料供給孔54から燃料が徐々に放出され、図1の燃料タンク6の内部全体に行き渡るようにする。そしてカートリッジ37はカートリッジ挿入孔から前記燃料タンク6に着脱自在にし、燃料を補給する際に古いカートリッジを取り出して新しいカートリッジに交換する。また排燃料タンク8,9にも同様の排燃料用のカートリッジ36を着脱自在にし、カートリッジ36の内部に吸水性樹脂などを配置して、排燃料を吸収させる。
【0020】
図6に、燃料電池本体2に対して、マイクロファン66から強制送気するようにした直接メタノール形燃料電池60の例を示す。62はケーシングで、63,64はPTFEなどの撥水性のある多孔質膜で、液体の水を通さず、通気性のある膜や材質であればよい。図6では、セルスタック4の上側のマイクロファン66から送気することにより空気を供給して、下側の多孔質膜63から排気する。仮に燃料漏れや排液漏れが生じた場合でも、燃料電池60の底面には撥水性の多孔質膜63があるので、外にこれらのものが漏れ出すことがない。
【0021】
図7の直接メタノール形燃料電池70では、ケーシング72に偏向板74を設けて、撥水性多孔質膜73を介して取り込んだ空気をマイクロファン66で送気し、偏向板74で気流を曲げて、空気供給孔12へ導くようにする。燃料電池70の底面に撥水性のある多孔質膜63を配置する点は、図6の直接メタノール形燃料電池60と同様で、図7の場合、図6よりも薄肉にできる利点がある。
【0022】
燃料電池に必要な出力電圧には、3V〜15V程度の種々のものが考えられる。単電池当たりの出力は0.4V程度の場合が多いので、単電池を複数積層して必要な電圧を得る。ここでセルスタック4の構造や形状などを、出力電圧が異なっても共通にするため、複数のセル群を並列に接続する。図8の場合、セルスタック4を例えば4つのセル群82a〜82dに分割し、セル群82aと82bを直列に、セル群82cと82dを直列に接続し、全体としてはセルスタックを2つの並列なブロックに分割する。
【0023】
このような並列接続を可能にするため、セルスタック4ではセル群とセル群とを絶縁して積層し、各セル群の正極と負極とに端子板を設けて、端子板と端子板とを適宜に配線して、所望の接続が得られるようにする。図8の84は制御回路で、マイクロファン66などを駆動する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の直接メタノール形燃料電池の要部分解状態を示す斜視図
【図2】図1の直接メタノール形燃料電池の単電池相当の要部拡大断面図で、切断面は図1のII−II方向である。
【図3】排燃料タンクの変形例を示す図
【図4】変形例の直接メタノール形燃料電池の要部斜視図
【図5】実施例で用いた燃料カートリッジの斜視図
【図6】実施例の直接メタノール形燃料電池の断面図
【図7】変形例の直接メタノール形燃料電池の断面図
【図8】実施例の直接メタノール形燃料電池の回路図
【符号の説明】
2,42 燃料電池本体
4 セルスタック
6 燃料タンク
8,9 排燃料タンク
10 MEA
12 空気供給孔
13〜15 セパレータ
16,18 空気供給孔
19,20 カートリッジ挿入孔
22 プロトン導電体膜
23 燃料極
24 空気極
25,26 炭素シート
28,38 溝
29 CO2排出孔
30,31 毛細管体
32 空気流路
33,34 孔
36,37 カートリッジ
50 ケース
52 シール
54 燃料供給孔
60,70 直接メタノール形燃料電池
62,72 ケーシング
63,64 多孔質膜
66 マイクロファン
74 偏向板
82a〜d セル群
84 制御回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジメチルエーテルなどの燃料を水と混合して、燃料極に直接供給するようにした、液体燃料形燃料電池に関する。本発明は、特に液体燃料形燃料電池への燃料や空気の供給に関する。
【0002】
【従来技術】
【非特許文献1】燃料電池開発最前線 日経BP社 2001年6月発行 64〜70頁
直接メタノール形燃料電池では、1〜10wt%程度のメタノール/水混合燃料を用い、メタノールを水素に改質せずに、直接燃料電池に供給する(非特許文献1)。直接メタノール燃料電池は改質器を要しないため、構造が簡単で軽量であり、特に小形の直接メタノール形燃料電池は、携帯電話、ビデオカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ等の携帯用電子機器等の電源として有望である。しかしながら従来の液体燃料形燃料電池の構造は、送液ポンプで燃料や排燃料を供給あるいは排出し、ブロアで空気を供給するものが多かった。そしてこのような構造では、携帯用電子機器などの電源にするには不向きである。
【0003】
【発明の課題】
この発明の課題は、小形でかつ空気や燃料の供給が容易な液体燃料形燃料電池を提供することにある(請求項1〜8)。
請求項2の発明での追加の課題は、液体燃料形燃料電池をコンパクトで取り扱いやすい構造とすることにある。
請求項3の発明での追加の課題は、空気の供給をさらに容易にすることにある。
請求項4の発明での追加の課題は、空気の供給を増加して出力密度を増すことにある。
請求項5の発明での追加の課題は、液体燃料形燃料電池からの空気の排出を損ねずに、燃料や排燃料が漏れ出すことを防止することにある。
請求項6の発明での追加の課題は、燃料の供給や排燃料の排出をさらに容易にすることにある。
請求項7の発明での追加の課題は、燃料の補給や排燃料の廃棄をユーザが簡単に行えるようにすることにある。
請求項8の発明での追加の課題は、電池構造を共通にしながら、低圧から高圧までの種々の電圧を取り出せるようにすることにある。
【0004】
【発明の構成と作用効果】
この発明は、燃料極と空気極とを設けたプロトン導電体膜を、セパレータを介して積層してセルスタックとし、燃料極に水性の液体燃料を供給し、空気極に空気を供給して発電する、液体燃料形燃料電池において、セルスタックの上面または下面の少なくとも一方に、燃料タンクと排燃料タンクとを配設し、かつセルスタックの上下方向に沿って燃料タンクから燃料極への燃料供給路とセルスタック内の空気流路とを設けたことを特徴とする(請求項1)。セルスタックは例えば長方形状とし、好ましくは長方形の長尺方向に積層する。このようにすると、空気の流通方向も燃料や排燃料の流通方向も基本的に上下方向となり、短い距離で空気や燃料/排燃料の物質移動を行うことができる。
【0005】
好ましくは、前記燃料タンクおよび前記排燃料タンクを、前記セルスタックと平面視でほぼ同形とする(請求項2)。このようにすると液体燃料形燃料電池の形状は、セルスタックを上下に延長したものになり、全体としてコンパクトになる。例えばセルスタックが長方形などの板状であれば、同じ平面形状のまま、板厚を増したものになる。
【0006】
好ましくは、燃料タンクおよび排燃料タンクに、前記セルスタック内の空気流路と連通するように、貫通孔状もしくは溝状の空気流路を設け(請求項3)、特に好ましくは燃料タンクと排燃料タンクとに貫通孔状の空気流路を設ける。このようにすると溝や孔をセルスタックの空気流路と連通させて、簡単に空気を供給排出できる。
【0007】
特に好ましくは、セルスタックへの空気供給用のマイクロファンを設ける(請求項4)。このようにすると、空気極への空気供給量を増して、電池の出力密度を増すことができる。
【0008】
好ましくは、液体燃料形燃料電池の少なくとも下面側を、撥水性多孔質材料で覆う(請求項5)。下面側を空気を通過させて空気の供給や排出に用いながら、燃料や排燃料が漏れ出しても、電池から外に漏れるのを防止できる。
【0009】
また好ましくは、前記燃料供給路とセルスタックから排燃料タンクへの空気流路とに、毛細管体を配設して、燃料の供給と排燃料の排出とを行う(請求項6)。このようにすると、毛細管現象を用いて簡単に燃料の供給や排燃料の排出ができる。
【0010】
好ましくは、前記燃料タンクに燃料供給用のカセットを着脱自在にすると共に、排燃料タンクに排燃料回収用のカセットとを着脱自在にする(請求項7)。このようにすると、一般ユーザが燃料を補給したり排燃料を排出するのが容易になる。
【0011】
また好ましくは、セルスタックを複数のブロックに分割して、ブロック間を並列に接続する(請求項8)。そして並列接続の仕方を変えると、共通の電池構造で低圧から高圧までの種々の用途に対応できる。
【0012】
燃料の種類はメタノール水が好ましいが、エタノール水、イソプロパノール水、ブタノール水、ジメチルエーテル水などでも良く、その濃度は公知技術に従って適宜に定めればよい。またプロトン導電体膜や空気極、燃料極等の電池構成部材の材料や構造は公知であり、適宜に定めればよい。
【0013】
【実施例】
図1〜図8に、実施例とその変形とを示す。これらの図において、2は燃料電池本体で、4はセルスタックであり、6は燃料タンク、8は排燃料タンクである。セルスタック4,燃料タンク6,排燃料タンク8はいずれも例えば直方体状で、平面視でほぼ同じ形状をしている。セルスタック4では、MEA(膜電極複合体)10を複数直列に積層し、この積層方向がセルスタック4の長手方向となっている。12はセルスタック4に設けた空気供給孔で、図1の上下方向に貫通し、13〜15は炭素やステンレスなどを用いたセパレータで、16は燃料タンク6を貫通する空気供給孔、18は排燃料タンク8を貫通する空気供給孔である。19は燃料カートリッジを挿入するためのカートリッジ挿入孔で、20は排燃料回収用のカートリッジを挿入するためのカートリッジ挿入孔である。
【0014】
図2に、セルスタック4と燃料タンク6,並びに排燃料タンク8の関係を拡大して示す。切断方向は図1のII−II方向で、切断面に含まれるセパレータを14a,14bとして図1に示す。MEA10には、固体高分子を用いたプロトン導電体膜22を設けると共に、その一面に燃料極23を設け、他面に空気極24を設けて、通気性と導電性のある炭素シート25,26で積層する。セパレータ14などには、溝28を設けて、燃料タンク6からメタノール水などの燃料を毛細管現象により燃料極23へと供給する毛細管体30を収容する。なお溝28の下端に接するように、燃料タンク6に毛細管体30を通すための孔33を設ける。また溝28の上端に、燃料極23で発生したCO2を排出するためのCO2排出孔29を設ける。なおCO2排出孔29は小孔に限らず、溝などでも良い。
【0015】
セルスタック4の空気供給孔12から排燃料タンク8へと、毛細管体31を配置し、空気極24で生成した水を排燃料タンク8へと、毛細管現象により廃棄できるようにする。34は排燃料タンク8に設けた孔で、この部分を毛細管体31を通過させる。セルスタック4の空気供給孔12は、タンク6,8の空気供給孔16,18と上下方向に連通しており、例えば図示しないマイクロファンにより、図の上から下へと空気を送気する。なお空気供給孔12と空気供給孔16,18を総称して空気流路32と呼ぶ。実施例ではマイクロファンによる強制通気を用いたが、MEA10での発熱による対流を利用し、空気流路32を下から上へと空気が流れるようにしても良い。
【0016】
図3に、変形例の排燃料タンク9を示す。36はカートリッジ挿入孔20から挿入された排燃料吸収用のカートリッジで、38は溝で、図1の空気供給孔18に代わるものであり、燃料タンク6の空気供給孔16を介して、セルスタック4の空気供給孔12と連通している。このため図3の排燃料タンク9での空気流通方向は紙面に垂直で、図2の排燃料タンク8では上下方向(鉛直方向)となる。図3の左側に、溝38並びに毛細管体用の孔34を拡大して示す。
【0017】
実施例ではセルスタック4を上部に置き、その下部に燃料タンク6と排燃料タンク8を配置したが、いずれを上に配置するかの順序は変更できる。例えば図4の燃料電池本体42では、燃料タンク6を上側に、セルスタック4を中間に、排燃料タンク8を下側に配置している。これ以外に、上から下への順序で、セルスタック4,排燃料タンク8,燃料タンク6などの順で配置しても良い。
【0018】
実施例では空気の流路や、燃料や排燃料の流路が基本的に上下方向となり、燃料タンクや排燃料タンクとセルスタックとを短い距離で結ぶことができる。またセルスタックの空気供給孔を燃料タンクや排燃料タンクの空気供給孔や溝と連通させて、自然通気や強制通気などにより空気を供給できる。
【0019】
メタノール水燃料は例えば1〜10wt%程度のものを使用し、ここでは3wt%のものを使用する。図5に燃料供給用のカートリッジ37の例を示すと、50はケースで、52はシールで、54は燃料供給孔である。カートリッジ37の内部には、毛細管体などの吸水体を配置して、メタノール水燃料を吸収させ、燃料供給孔54から燃料が徐々に放出され、図1の燃料タンク6の内部全体に行き渡るようにする。そしてカートリッジ37はカートリッジ挿入孔から前記燃料タンク6に着脱自在にし、燃料を補給する際に古いカートリッジを取り出して新しいカートリッジに交換する。また排燃料タンク8,9にも同様の排燃料用のカートリッジ36を着脱自在にし、カートリッジ36の内部に吸水性樹脂などを配置して、排燃料を吸収させる。
【0020】
図6に、燃料電池本体2に対して、マイクロファン66から強制送気するようにした直接メタノール形燃料電池60の例を示す。62はケーシングで、63,64はPTFEなどの撥水性のある多孔質膜で、液体の水を通さず、通気性のある膜や材質であればよい。図6では、セルスタック4の上側のマイクロファン66から送気することにより空気を供給して、下側の多孔質膜63から排気する。仮に燃料漏れや排液漏れが生じた場合でも、燃料電池60の底面には撥水性の多孔質膜63があるので、外にこれらのものが漏れ出すことがない。
【0021】
図7の直接メタノール形燃料電池70では、ケーシング72に偏向板74を設けて、撥水性多孔質膜73を介して取り込んだ空気をマイクロファン66で送気し、偏向板74で気流を曲げて、空気供給孔12へ導くようにする。燃料電池70の底面に撥水性のある多孔質膜63を配置する点は、図6の直接メタノール形燃料電池60と同様で、図7の場合、図6よりも薄肉にできる利点がある。
【0022】
燃料電池に必要な出力電圧には、3V〜15V程度の種々のものが考えられる。単電池当たりの出力は0.4V程度の場合が多いので、単電池を複数積層して必要な電圧を得る。ここでセルスタック4の構造や形状などを、出力電圧が異なっても共通にするため、複数のセル群を並列に接続する。図8の場合、セルスタック4を例えば4つのセル群82a〜82dに分割し、セル群82aと82bを直列に、セル群82cと82dを直列に接続し、全体としてはセルスタックを2つの並列なブロックに分割する。
【0023】
このような並列接続を可能にするため、セルスタック4ではセル群とセル群とを絶縁して積層し、各セル群の正極と負極とに端子板を設けて、端子板と端子板とを適宜に配線して、所望の接続が得られるようにする。図8の84は制御回路で、マイクロファン66などを駆動する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の直接メタノール形燃料電池の要部分解状態を示す斜視図
【図2】図1の直接メタノール形燃料電池の単電池相当の要部拡大断面図で、切断面は図1のII−II方向である。
【図3】排燃料タンクの変形例を示す図
【図4】変形例の直接メタノール形燃料電池の要部斜視図
【図5】実施例で用いた燃料カートリッジの斜視図
【図6】実施例の直接メタノール形燃料電池の断面図
【図7】変形例の直接メタノール形燃料電池の断面図
【図8】実施例の直接メタノール形燃料電池の回路図
【符号の説明】
2,42 燃料電池本体
4 セルスタック
6 燃料タンク
8,9 排燃料タンク
10 MEA
12 空気供給孔
13〜15 セパレータ
16,18 空気供給孔
19,20 カートリッジ挿入孔
22 プロトン導電体膜
23 燃料極
24 空気極
25,26 炭素シート
28,38 溝
29 CO2排出孔
30,31 毛細管体
32 空気流路
33,34 孔
36,37 カートリッジ
50 ケース
52 シール
54 燃料供給孔
60,70 直接メタノール形燃料電池
62,72 ケーシング
63,64 多孔質膜
66 マイクロファン
74 偏向板
82a〜d セル群
84 制御回路
Claims (8)
- 燃料極と空気極とを設けたプロトン導電体膜を、セパレータを介して積層してセルスタックとし、燃料極に水性の液体燃料を供給し、空気極に空気を供給して発電する、液体燃料形燃料電池において、
セルスタックの上面または下面の少なくとも一方に、燃料タンクと排燃料タンクとを配設し、かつセルスタックの上下方向に沿って燃料タンクから燃料極への燃料供給路とセルスタック内の空気流路とを設けたことを特徴とする、液体燃料形燃料電池。 - 前記燃料タンクおよび前記排燃料タンクを、前記セルスタックと平面視でほぼ同形としたことを特徴とする、請求項1の液体燃料形燃料電池。
- 燃料タンクおよび排燃料タンクに、前記セルスタック内の空気流路と連通するように、貫通孔状もしくは溝状の空気流路を設けたことを特徴とする、請求項1または2の液体燃料形燃料電池。
- セルスタックへの空気供給用のマイクロファンを設けたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの液体燃料形燃料電池。
- 液体燃料形燃料電池の少なくとも下面側を、撥水性多孔質材料で覆ったことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの液体燃料形燃料電池。
- 前記燃料供給路とセルスタックから排燃料タンクへの空気流路とに、毛細管体を配設して、燃料の供給と排燃料の排出とを行うようにしたことを特徴とする、請求項1〜5の液体燃料形燃料電池。
- 前記燃料タンクに燃料供給用のカセットを着脱自在にすると共に、排燃料タンクに排燃料回収用のカセットとを着脱自在にしたことを特徴とする、請求項1〜6の液体燃料形燃料電池。
- セルスタックを複数のブロックに分割して、ブロック間を並列に接続したことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかの液体燃料形燃料電池。
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JP2003139134A JP2004342511A (ja) | 2003-05-16 | 2003-05-16 | 液体燃料形燃料電池 |
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JP2003139134A JP2004342511A (ja) | 2003-05-16 | 2003-05-16 | 液体燃料形燃料電池 |
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Cited By (3)
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KR100612912B1 (ko) | 2004-12-15 | 2006-08-14 | 삼성에스디아이 주식회사 | 직접액체연료전지용 연료공급장치 |
JP2007095581A (ja) * | 2005-09-29 | 2007-04-12 | Toshiba Corp | 燃料電池及び燃料電池システム |
JP2019083148A (ja) * | 2017-10-31 | 2019-05-30 | ダイニチ工業株式会社 | 燃料電池装置 |
-
2003
- 2003-05-16 JP JP2003139134A patent/JP2004342511A/ja active Pending
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